(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163712
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 83/04 20060101AFI20241115BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A47B83/04
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079556
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 有希
【テーマコード(参考)】
3B053
3B260
【Fターム(参考)】
3B053NP08
3B053NQ06
3B053NQ09
3B053NQ10
3B260AB01
3B260AB04
3B260AB05
3B260AB06
3B260AB08
3B260AD03
(57)【要約】
【課題】足置き部よりも下側の下方空間を有効に活用することで省スペース化を実現しつつ、目線の高い位置で執務を行うことができる、什器を提供する。
【解決手段】什器の一実施形態に係るベッドデスク1は、執務を行う天板25bと、天板25bを支持する天板支持部20・20と、天板25bの利用者Uが着座する座部28と、座部28を支持する座支持部(収納棚27)と、座部28よりも低い位置に配置され、座部28に着座した利用者Uの足を支持する足置き部29と、を備え、天板25bの下方には、執務とは他の目的に用いられる下方空間が形成され、足置き部29は、下方空間よりも高い位置に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
執務を行う天板と、
前記天板を支持する天板支持部と、
前記天板の利用者が着座する座部と、
前記座部を支持する座支持部と、
前記座部よりも低い位置に配置され、前記座部に着座した利用者の足を支持する足置き部と、を備え、
前記天板の下方には、前記執務とは他の目的に用いられる下方空間が形成され、
前記足置き部は、前記下方空間よりも高い位置に設けられる、什器。
【請求項2】
前記天板には、前記天板の奥側端部から上方に延出された立板部が設けられる、請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記下方空間にベッドが設けられる、請求項1に記載の什器。
【請求項4】
前記ベッドは、前記下方空間から出し入れ可能に構成される、請求項3に記載の什器。
【請求項5】
利用者が前記座部に乗り降りするためのステップ部を備える、請求項1に記載の什器。
【請求項6】
前記ステップ部は、内部が収納空間として用いられる箱体である、請求項5に記載の什器。
【請求項7】
前記座部の下方に配置される収納棚をさらに備える、請求項1に記載の什器。
【請求項8】
前記収納棚が座支持部として機能する、請求項7に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、天板を備える什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板を備えた机の上方空間を活用した什器が開示されている。例えば、特許文献1には、机の上方にベッドが配置される什器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の什器においては、机とベッドが上下に重なっていることで省スペース化が実現されている。一方で、昨今、生産性向上の観点から、高い位置で執務を行うことができる什器の需要がある。そこで、本開示は、省スペース化を実現しつつ、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る什器は、執務を行う天板と、前記天板を支持する天板支持部と、前記天板の利用者が着座する座部と、前記座部を支持する座支持部と、前記座部よりも低い位置に配置され、前記座部に着座した利用者の足を支持する足置き部と、を備え、前記天板の下方には、前記執務とは他の目的に用いられる下方空間が形成され、前記足置き部は、前記下方空間よりも高い位置に設けられる。
【0006】
上記第1観点に係る什器によれば、足置き部よりも下側の下方空間を有効に活用することで省スペース化を実現しつつ、目線の高い位置で執務を行うことができる。
【0007】
また、本発明の第2観点に係る什器は、上記第1観点に係る什器であって、前記天板には、前記天板の奥側端部から上方に延出された立板部が設けられる。
【0008】
上記第2観点に係る什器によれば、天板の奥側からの物の落下を防止できる。
【0009】
また、本発明の第3観点に係る什器は、上記第1観点に係る什器であって、前記下方空間にベッドが設けられる。
【0010】
上記第3観点に係る什器によれば、下方空間を就寝用のスペースとして活用できる。
【0011】
また、本発明の第4観点に係る什器は、上記第3観点に係る什器であって、前記ベッドは、前記下方空間から出し入れ可能に構成される。
【0012】
上記第4観点に係る什器によれば、起床時にベッドを収納して省スペース化し、就寝時にベッドを引き出して利用できる。
【0013】
また、本発明の第5観点に係る什器は、上記第1観点に係る什器であって、利用者が前記座部に乗り降りするためのステップ部を備える。
【0014】
上記第5観点に係る什器によれば、座部への乗り降り動作を容易にできる。
【0015】
また、本発明の第6観点に係る什器は、上記第5観点に係る什器であって、前記ステップ部は、内部が収納空間として用いられる箱体である。
【0016】
上記第6観点に係る什器によれば、ステップ部の内部を収納空間として活用できる。
【0017】
また、本発明の第7観点に係る什器は、上記第1観点に係る什器であって、前記座部の下方に配置される収納棚をさらに備える。
【0018】
上記第7観点に係る什器によれば、収納棚を収納空間として活用できる。
【0019】
また、本発明の第8観点に係る什器は、上記第7観点に係る什器であって、前記収納棚が座支持部として機能する。
【0020】
上記第8観点に係る什器によれば、収納棚を座支持部として有効に活用できる。
【0021】
なお、上記第2観点から第8観点の内容は、本発明に係る什器において必ずしも必須の構成ではなく、適宜省略/変更することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
以上における本発明に係る什器によれば、足置き部よりも下側の下方空間を有効に活用することで省スペース化を実現しつつ、目線の高い位置で執務を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】什器の一実施形態に係るベッドデスクを示した前側斜視図。
【
図3】ベッドを引き出した状態のベッドデスクを示した前側斜視図。
【
図4】デスク部に対するベッドとステップ部との組付構成を示した分解斜視図。
【
図10】(a)はベッドの平面図、(b)は
図10(a)中のA-A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、
図1から
図5を用いて、本発明である什器の一実施形態に係るベッドデスク1について説明する。ベッドデスク1は、
図1から
図3に示す矢印でその方向を規定する。本実施形態においては、在宅家具であるベッドデスク1を用いて、テレワークや学習等の執務を行う利用者Uからの視点で前後左右方向を規定している(
図5を参照)。
【0025】
本実施形態に係るベッドデスク1は
図4に示す如く、デスク部2、ベッド4、及び、ステップ部5を組み合わせて構成される。ベッドデスク1を構成する部材は、後述するフレーム部材21、開き止めワイヤ45、マット47、及び、キャスタ48等の一部の部材を除いて木製の板材が用いられる。また、ベッドデスク1を構成する各部材は図示しないねじ部材や接着剤等により互いに結合されている。
【0026】
ベッドデスク1において、デスク部2は主に利用者(天板25bの利用者、以下同じ)Uが執務を行う際に用いられる(
図5を参照)。ベッド4は図示しない使用者(ベッド4の使用者、以下同じ)が就寝又は横臥する際に用いられる。ステップ部5は利用者Uがデスク部2の使用前後で昇降するために用いられる。
【0027】
図6に示す如く、デスク部2は、左右一対の天板支持部20・20、天板ユニット25、座ユニット26、及び、背面板31を組み合わせて構成される。天板ユニット25は利用者Uが執務を行うための部材であり、天板支持部20・20の上前部に架け渡される。座ユニット26は利用者Uが座るための部材であり、天板支持部20・20の上下中途位置における後部に架け渡される。背面板31はデスク部2の剛性を高めるために天板支持部20・20の下後部を連結する。
【0028】
図6及び
図8に示す如く、二個の天板支持部20は、スチール製のフレーム部材21の下側、後側、及び上側のそれぞれに、板材である第一側板22、第二側板23、及び第三側板24が組付けられて構成される。フレーム部材21は前フレーム21a、後フレーム21b、下フレーム21c、及び、上フレーム21dを備える矩形の枠材である。
【0029】
図8に示す如く、第一側板22の上面22aにはフレーム部材21の下フレーム21cが固定される。具体的には、第一側板22の上面22aの近傍に丸ナットが挿入され、下フレーム21cを貫通するねじが丸ナットに螺入される。これにより、フレーム部材21に対して第一側板22が固定される。同様に、第二側板23の前面23aにはフレーム部材21の後フレーム21bが、第三側板24の下面24aにはフレーム部材21の上フレーム21dが固定される。
【0030】
上記の如く、フレーム部材21と側板22~24とを組み合わせて天板支持部20を構成することにより、ベッドデスク1において天板ユニット25及び座ユニット26の支持部材である天板支持部20の強度を確保するとともに、ベッドデスク1の意匠性を高めている。
【0031】
図6に示す如く、天板ユニット25は、立板部25a、天板25b、収納板25c、及び、仕切板25dを組み合わせて構成される。立板部25aは天板25bの前奥側端部から上方に延出される。
図5に示す如く利用者Uは天板25bの上面で執務を行うことができる。利用者Uは天板25bと収納板25cとの間の空間を、書類や筆記用具、通信機器等を収納するための収納スペースとして利用することができる。
【0032】
図6及び
図7に示す如く、座ユニット26は、座支持部である収納棚27、座部28、足置き部29、及び、補強板30を組み合わせて構成される。収納棚27は、収納底板27a、収納天板27b、二枚の収納側板27c・27c、及び、収納背板27dで構成されて前方に向かって開口した箱体である。収納棚27の内部空間は、複数の収納仕切板27eで水平方向に仕切られるとともに、複数の収納棚板27fで上下方向に仕切られる。収納棚27は、ベッド4の上にいる使用者が本や小物、書類等を収納する収納スペースとして使用することができる。
【0033】
図6及び
図7に示す如く、収納棚27の上面には板材である座部28が固定される。座部28はその上面に利用者Uが座ることができる。収納棚27の下面には板材である足置き部29が固定される。足置き部29はその上面に利用者Uの足を載置することができる。足置き部29の下面における前端部には補強板30が固定されている。
【0034】
図1及び
図3に示す如く、ベッド4はベッドユニット41、簀子46・46、及びマット47を組み合わせて構成される。
図9及び
図10に示す如く、ベッドユニット41は、ベッド前板42、ベッド背板43、及び、二枚のベッド側板44・44で構成される箱状の部材である。ベッド前板42、ベッド背板43、及び、二枚のベッド側板44・44の内側面には、それぞれ簀子46を支持するための棒材である前支持部材42a、背支持部材43a、及び、側支持部材44a・44aが固定されている。
【0035】
ベッド前板42には、その下部が切り欠かれて持ち手42bが形成されている。また、
図5及び
図10(b)に示す如く、ベッド背板43の後面下部には二個のキャスタ48・48が固定されている。ベッド4の使用者はキャスタ48・48により、持ち手42bを持ってベッド4の前側を少し持ち上げることでベッド4を前後に移動させることができる。これにより、ベッド4は天板25bの下方空間から出し入れすることが可能となる。
【0036】
本実施形態に係るベッドデスク1は、
図5に示す如く、天板25bの下方空間には、執務とは他の目的である就寝や横臥等に用いられるベッド4が配置されている。また、足置き部29は、ベッド4が配置される下方空間よりも高い位置に設けられる。
【0037】
ベッド前板42とベッド背板43とは二本の開き止めワイヤ45・45により連係されることにより、中央部が互いに離間する方向に変形することが抑制されている。具体的には
図9に示す如く、背支持部材43aには被挿入溝43bが形成され(前支持部材42aについても同様)、開き止めワイヤ45の端部に形成された挿入部45aを被挿入溝43bに挿入する。これにより、ベッド前板42とベッド背板43とが開き止めワイヤ45・45により連係される。
【0038】
図9及び
図10に示す如く、簀子46は多数の簀子板46aが四本の連結板46bによって連結されて構成される。簀子46は、連結板46bが前支持部材42a、背支持部材43a、及び、側支持部材44aに載置されることによりベッドユニット41に支持される。簀子46のうち内側に設けられる連結板46bの端部は、隣接する簀子46の簀子板46aの下側に配置されている。これにより簀子46が上側に変位することを互いに抑制している。
【0039】
図1から
図4に示す如く、ステップ部5は箱体である第一ステップ部51と、第一ステップ部51よりも小さい第二ステップ部52と、を組み合わせて構成されている。第一ステップ部51の内部空間は第一収納部5aとして、第二ステップ部52の内部空間は第二収納部5bとして利用することができる。
【0040】
上記の如く、本発明である什器の一実施形態に係るベッドデスク1は、執務を行う天板25bと、天板25bを支持する天板支持部20・20と、天板25bの利用者Uが着座する座部28と、座部28を支持する座支持部である収納棚27と、座部28よりも低い位置に配置され、座部28に着座した利用者Uの足を支持する足置き部29と、を備えている。そして、天板25bの下方には、執務とは他の目的(本実施形態においては就寝や横臥等)に用いられる下方空間が形成され、足置き部29は、下方空間よりも高い位置に設けられる。
【0041】
上記の如く、本実施形態に係るベッドデスク1によれば、足置き部29よりも下側の下方空間にベッド4を配置することにより、下方空間を有効に活用することで省スペース化を実現できる。また、本実施形態に係るベッドデスク1によれば、ベッド4よりも高い位置に足置き部29が配置されるため、目線が高いため視界が遮られることがなく、解放感が高い姿勢で執務を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係るベッドデスク1において、天板25bには、天板25bの前奥側端部から上方に延出された立板部25aが設けられる。これにより、天板25bの前奥側からの物の落下を防止できる。
【0043】
また、本実施形態に係るベッドデスク1において、ベッド4は、天板25bの下方空間から出し入れ可能に構成される。これにより、ベッドデスク1の使用者は、起床時にベッド4を収納して省スペース化し、就寝時にベッド4を引き出して利用できる。
【0044】
また、本実施形態に係るベッドデスク1は、利用者Uが座部28に乗り降りするためのステップ部5を備える。これにより、利用者Uが座部28への乗り降り動作を容易に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態に係るベッドデスク1において、ステップ部5は、内部が収納空間(第一収納部5a及び第二収納部5b)として用いられる箱体である。これにより、ステップ部5の内部を収納空間として活用できる。
【0046】
また、本実施形態に係るベッドデスク1は、座部28の下方に配置される収納棚27をさらに備える。これにより、座部28の下方の座支持部である収納棚27を収納空間として有効に活用できる。
【0047】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0048】
本実施形態に係るベッドデスク1によれば、天板25bの下方空間にベッド4が設けられているが、本発明に係る什器において、下方空間を就寝や横臥以外の他の目的に用いても良い。例えば、下方空間を他の活動スペース(リビング空間など)、収納用スペース、異なる利用者の執務スペース等として活用することも可能である。
【0049】
本実施形態に係るベッドデスク1において、ベッド4は天板25bの下方空間から出し入れ可能としているが、ベッド4は下方空間から出し入れ不能に設けられてもよい。また、本発明に係る什器を、オフィス向けハイポジションワーク用家具として構成することも可能である。
【0050】
また、本発明に係る什器において、足置きと下方空間との間にパネルなどで仕切りを設けてもよい。また、立板部の上端を天板と同じ高さにすることも可能である。逆に、立板部の上端をより高く構成することにより、安全性を向上させることも可能である。また、座部に乗り降りする際のステップ部を梯子等で構成することも可能である。また、本実施形態においてはステップ部5をテスク部2に近接させて配置する構成としているが、ステップ部をデスク部に固定する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ベッドデスク(什器) 2 デスク部
4 ベッド 5 ステップ部
5a 第一収納部 5b 第二収納部
20 天板支持部 21 フレーム部材
21a 前フレーム 21b 後フレーム
21c 下フレーム 21d 上フレーム
22 第一側板 22a 上面
23 第二側板 23a 前面
24 第三側板 24a 下面
25 天板ユニット 25a 立板部
25b 天板 25c 収納板
25d 仕切板 26 座ユニット
27 収納棚(座支持部) 27a 収納底板
27b 収納天板 27c 収納側板
27d 収納背板 27e 収納仕切板
27f 収納棚板 28 座部
29 足置き部 30 補強板
31 背面板
41 ベッドユニット 42 ベッド前板
42a 前支持部材 42b 持ち手
43 ベッド背板 43a 背支持部材
43b 被挿入溝 44 ベッド側板
44a 側支持部材 45 開き止めワイヤ
45a 挿入部 46 簀子
46a 簀子板 46b 連結板
47 マット 48 キャスタ
51 第一ステップ部 52 第二ステップ部
U 利用者