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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163722
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20241115BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20241115BHJP
   F28F 13/04 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F28F3/04 Z
F28F3/08 311
F28F13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079569
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】結露水の滞留を低減して通風抵抗を低下させることのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】本開示の熱交換器は、複数の第1プレートと第2プレートとを備え、第1プレートは、複数の第1突起とを含み、第1プレート本体の第1主面には溝が設けられており、複数の第1突起には第1の孔が形成されており、第2プレートは、複数の第2突起とを含み、複数の第2突起は積層方向から見たときに複数の第1突起と重なる位置に設けられ、複数の第2突起には第2の孔が形成されており、複数の第1突起のそれぞれは対向する複数の第2突起のそれぞれと接触して第2主面と第4主面との間に隙間を形成し、第1プレート本体の第1主面と第2プレート本体の第3主面とが接触して第1主面の溝を第3主面で塞ぐことにより冷媒の流路を画定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、
複数の第1プレートと、
前記複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、
を備え、
前記第1プレートは、
第1主面および前記第1主面と反対側の第2主面を有する第1プレート本体と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向において前記第2主面から突出する複数の第1突起と、
を含み、
前記第1プレート本体の前記第1主面には、溝が設けられており、
前記複数の第1突起のそれぞれには、第1の孔が形成されており、
前記第2プレートは、
前記第1プレート本体の前記第1主面に対向する第3主面および前記第3主面と反対側の第4主面を有する第2プレート本体と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向において前記第4主面から突出する複数の第2突起と、を含み、
前記複数の第2突起はそれぞれ、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記複数の第1突起のそれぞれと重なる位置に設けられ、
前記複数の第2突起のそれぞれには、第2の孔が形成されており、
前記複数の第1突起のそれぞれは、対向する前記複数の第2突起のそれぞれと接触して前記第2主面と前記第4主面との間に隙間を形成し、
前記第1プレート本体の前記第1主面と前記第2プレート本体の前記第3主面とが接触して、前記第1主面の前記溝を前記第3主面で塞ぐことにより、冷媒の流路を画定する、
熱交換器。
【請求項2】
前記複数の第1突起のそれぞれは、前記第2主面に沿った第1台座面、を有し、
前記複数の第2突起のそれぞれは、前記第4主面に沿った第2台座面、を有し、
前記第1台座面と前記第2台座面とが接触している、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の第1突起のそれぞれは、前記第1台座面と前記第2主面とを繋ぐ2つの第1側壁、を有し、前記2つの第1側壁は互いに向き合って配置され、前記2つの第1側壁の間に前記第1の孔が設けられ、
前記複数の第2突起のそれぞれは、前記第2台座面と前記第4主面とを繋ぐ2つの第2側壁、を有し、前記2つの第2側壁は互いに向き合って配置され、前記2つの第2側壁の間に前記第2の孔が設けられる、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1側壁と前記第2主面とのなす角度は、100度以上105度以下であり、
前記第2側壁と前記第4主面とのなす角度は、100度以上105度以下である、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1突起の前記第2主面からの高さは、前記第2突起の前記第4主面からの高さに等しい、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記複数の第1突起は、前記溝に沿って配置される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記複数の第1突起は、等間隔に配置される、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1プレートと前記第2プレートとは、矩形状の形状を有し、
前記溝は、前記第1プレートの長手方向に沿って設けられた直線状の第1の溝と第2の溝とを含み、
前記複数の第1突起は、前記第1の溝または前記第2の溝に沿って配置される、
請求項6または7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記複数の第1突起は、前記第1プレートの短手方向に沿って整列して配置される、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1主面に沿った方向から見たときに、前記第1の孔と第2の孔とは、四角形状に形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1プレートと前記第2プレートとは、矩形状の形状を有し、
前記複数の第1突起のそれぞれにおいて、前記第1プレートの長手方向に沿った方向の第1寸法は、前記積層方向における第2寸法よりも大きく、
前記複数の第2突起のそれぞれにおいて、前記第2プレートの長手方向に沿った方向の第3寸法は、前記積層方向における第4寸法よりも大きい、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1寸法および前記第3寸法が3mm以上7mm以下であり、前記第2寸法および前記第4寸法が0.40mm以上0.65mm以下である、
請求項11に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる熱エネルギーを有する流体間において熱エネルギーを交換するために、熱交換器が使用される。熱交換器は、空気調和気、コンピュータ、および各種電子機器などの様々な機器に使用される。
【0003】
特許文献1には、プレートフィン積層体の各層間に第2流体を流して、プレートフィン流路に流れる第1流体と第2流体との間で熱交換器を行う熱交換器が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の熱交換器において、積層されるプレートフィンの間の隙間を一定間隔に規定するための間隔規定突起が、第2フィン部材に複数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-63637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の熱交換器では、結露水が滞留しやすく、通風抵抗が上昇してしまうという課題がある。
【0007】
本開示は、結露水の滞留を低減して通風抵抗を低下させることのできる熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる熱交換器は、
複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、
複数の第1プレートと、
前記複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、
を備え、
前記第1プレートは、
第1主面および前記第1主面と反対側の第2主面を有する第1プレート本体と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向において前記第2主面から突出する複数の第1突起と、
を含み、
前記第1プレート本体の前記第1主面には、溝が設けられており、
前記複数の第1突起のそれぞれには、第1の孔が形成されており、
前記第2プレートは、
前記第1プレート本体の前記第1主面に対向する第3主面および前記第3主面と反対側の第4主面を有する第2プレート本体と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向において前記第4主面から突出する複数の第2突起と、を含み、
前記複数の第2突起はそれぞれ、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記複数の第1突起と重なる位置に設けられ、
前記複数の第2突起のそれぞれには、第2の孔が形成されており、
前記複数の第1突起のそれぞれは、対向する前記複数の第2突起のそれぞれと接触して前記第2主面と前記第4主面との間に隙間を形成し、
前記第1プレート本体の前記第1主面と前記第2プレート本体の前記第3主面とが接触して、前記第1主面の前記溝を前記第3主面で塞ぐことにより、冷媒の流路を画定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によると、結露水の滞留を低減して通風抵抗を低下させることのできる熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる熱交換器の全体斜視図
図2図1の熱交換器の分解斜視図
図3図1の熱交換器の第1プレートを示す斜視図
図4図3の領域R1を拡大した図
図5図3の第1プレートを反対側の方向から見た斜視図
図6図5の領域R2を拡大した図
図7図1の熱交換器の第2プレートを示す斜視図
図8図7の領域R3を拡大した図
図9図7の第2プレートを反対側の方向から見た斜視図
図10図9の領域R4を拡大した図
図11図1の熱交換器の一部を示す断面図
図12図11の領域R5を拡大した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
2種類のプレートが積層されて構成される熱交換器が知られている。2種類のプレートのうち、一方のプレートに冷媒の流路となる溝が形成される。例えば、特許文献1には、プレートフィンのうち第1フィン部材に流路を形成するための凹みが形成された熱交換器が開示されている。第1フィン部材の凹みは、第1フィン部材と第2フィン部材の平坦面とを接合することにより、流路を形成する。また、第2フィン部材の平坦面と反対側には、プレートフィンの間の隙間を一定に規定するための間隔規定突起が複数設けられている。
【0012】
このような熱交換器において、第1フィン部材と第2フィン部材とにより形成される流路には第1流体である冷媒が流れ、プレートフィンの間の隙間には第2流体である空気が流れる。このような構成により、冷媒と空気との間で熱交換が行われる。このとき、空気中の水分が冷やされて結露することにより、プレートフィンの間に結露水が滞留してしまう。結露水の滞留により、プレートフィンの間の通風抵抗が大きくなり、熱交換の性能を低下させてしまうという課題がある。
【0013】
また、熱交換の性能を向上させるために、第1フィン部材および第2フィン部材を薄肉化することもあるが、この場合、間隔規定突起が破損しやすいという課題もある。
【0014】
本発明者らは、結露水の滞留を低減して通風抵抗を低下させることのできる熱交換器について検討し、以下の開示に至った。
【0015】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、実施の形態1にかかる熱交換器1の全体斜視図である。図2は、図1の熱交換器1の分解斜視図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は熱交換器1の短手方向、Y軸方向は熱交換器1の積層方向、Z軸方向は熱交換器1の長手方向を示す。
【0016】
図1および図2に示すように、熱交換器1は、プレート積層体30と、プレート積層体30の両端に配置されたエンドプレート31、32と、を含む。プレート積層体30は、第1プレート11および第2プレート21が交互に積層されて構成されている。
【0017】
プレート積層体30の積層方向における両端には、エンドプレート31、32が配置されている。エンドプレート31、32は、第1プレート11および第2プレート21と平面視において略同一形状である。なお、エンドプレート31、32は、本開示にかかる熱交換器1の必須の構成ではない。エンドプレート31には、給入孔33および排出孔34が設けられている。給入孔33と排出孔34とは、実質的に同じ構成を有しており、そのときの動作に対応する機能を名称として用いる。
【0018】
熱交換器1に給入孔33から流入した冷媒が、第1プレート11および第2プレート21により構成される冷媒の流路を通り、排出孔34から排出される。冷媒が第1プレート11および第2プレート21により構成される流路を通過している間、第1プレート11と第2プレート12との積層間に形成された隙間を空気が通過する。このとき、冷媒と空気との間で熱交換が行われる。
【0019】
図3は、図1の熱交換器1の第1プレート11を示す斜視図である。図4は、図3の領域R1を拡大した図である。図5は、図3の第1プレート11を反対側の方向から見た斜視図である。図6は、図5の領域R2を拡大した図である。
【0020】
図3および図5に示すように、第1プレート11は、第1プレート本体12と、複数の第1突起13と、を含む。本実施の形態では、第1プレート11は、積層方向(Y方向)から見たときに略矩形状の薄板に形成されている。第1プレート本体12は、第1主面12aと、第1主面12aと反対側の第2主面12bと、を有する。
【0021】
複数の第1突起13は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向(Y方向)において、第2主面12bから突出している。図4に示すように、複数の第1突起13のそれぞれには、第1の孔15が形成されている。本実施の形態では、第1の孔15は、第1突起13の突出する方向(Y方向)に交差する方向に開口部を有するよう形成されている。さらに、本実施の形態では、複数の第1突起13のそれぞれは、第2主面12bに沿った第1台座面13aを有する。また、複数の第1突起13のそれぞれは、第1台座面13aと第2主面12bとを繋ぐ2つの第1側壁13bを有する。2つの第1側壁13bは、互いに向き合って配置されている。第1の孔15は、2つの第1側壁13bの間に設けられている。
【0022】
図3および図5に示すように、複数の第1突起13は、それぞれ溝14に沿って配置されている。本実施の形態では、複数の第1突起13は、溝14の両側に並んで配置されている。また、本実施の形態では、複数の第1突起13は、それぞれ等間隔に配置されている。
【0023】
図6に示すように、第1プレート本体12の第1主面12aには、溝14が設けられている。本実施の形態では、溝14は、プレス加工により、第1プレート本体12の第1主面12aを凹ませて形成されている。したがって、図4に示すように、第1主面12aと反対側の面においては、溝14が設けられている部分14aは凸状に隆起している。本実施の形態では、溝14は、第1プレート本体12の長手方向に沿って設けられた第1の溝14aと第2の溝14bと、第3の溝14cと、を含む。これらの3つの溝14a~14cは、第1プレート本体12の短手方向に沿って設けられた溝14d~14eにより接続されることで、蛇行した溝を形成する。
【0024】
本実施の形態では、複数の第1突起13は、第1プレート11の長手方向に沿った溝14a~14cに沿って配置されている。さらに、本実施の形態では、複数の第1突起13は、第1プレート11の短手方向に沿って整列して配置されている。
【0025】
図7は、図1の熱交換器1の第2プレート21を示す斜視図である。図8は、図7の領域R3を拡大した図である。図9は、図7の第2プレート21を反対側の方向から見た斜視図である。図10は、図9の領域R4を拡大した図である。
【0026】
図7および図9に示すように、第2プレート21は、第2プレート本体22と、複数の第2突起23と、を含む。本実施の形態では、第2プレート21は、積層方向(Y方向)から見たときに略矩形状の薄板に形成されている。第2プレート本体22は、第3主面22aと、第3主面22aと反対側の第4主面22bと、を有する。
【0027】
第1プレート11と第2プレート21とは、第1主面12aと第3主面22aとが対向するよう積層される。第1プレート11と第2プレート21とを積層すると、第1プレート本体12の第1主面12aと第2プレート本体22の第3主面22aとが接触して、第1主面12aの溝14を第3主面22aで塞ぐことにより、冷媒の流路を画定する。本実施の形態では、第1主面12aに設けられた溝14a~14eが第3主面22aに塞がれて蛇行した流路が形成される。
【0028】
また、図2に示すように、第2プレート本体22の第4主面22bは、第3主面22aに積層された第1プレート11とは別の第1プレート11の第2主面12bと向き合っている。
【0029】
複数の第2突起23は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向(Y方向)において、第4主面22bから突出している。図10に示すように、複数の第2突起23のそれぞれには、第2の孔25が形成されている。本実施の形態では、第2の孔25は、第2突起23の突出する方向(Y方向)に交差する方向に開口部を有するよう形成されている。さらに、本実施の形態では、複数の第2突起23のそれぞれは、第4主面22bに沿った第2台座面23aを有する。また、複数の第2突起23のそれぞれは、第2台座面23aと第4主面22bとを繋ぐ2つの第2側壁23bを有する。2つの第2側壁23bは、互いに向き合って配置されている。第2の孔25は、2つの第2側壁23bの間に設けられている。
【0030】
複数の第2突起23は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向(Y方向)から見たときに、複数の第1突起13と重なる位置に設けられている。したがって、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、複数の第1突起13のそれぞれは、対向する複数の第2突起23のそれぞれと接触して、第2主面12bと第4主面24bとの間に隙間を形成する。
【0031】
図11は、図1の熱交換器1の一部を示す断面図である。図12は、図11の領域R5を拡大した図である。図11および図12において、第1プレート本体12の第2主面12bと第2プレート本体22の第4主面22bとの間に隙間が形成されていることを示す。
【0032】
本実施の形態では、複数の第1突起13のそれぞれの第1台座面13aが、対向する複数の第2突起23のそれぞれの第2台座面23aと接触している。また、本実施の形態では、複数の第1突起13および複数の第2突起23は、それぞれ同一の形状を有している。第1台座面13aは第2主面12bよりも突出しており、第2台座面23aは第4主面22bよりも突出しているため、第1台座面13aと第2台座面23aとが接触することにより、第2主面12bと第4主面22bとの間に隙間を形成することができる。
【0033】
図12に示すように、第1突起13の第1側壁13bと第2主面12bとのなす角度θ1は、100度以上105度以下であるとよい。同様に、第2突起23の第2側壁23bと第4主面22bとのなす角度θ2は、100度以上105度以下であるとよい。角度θ1および角度θ2をこの範囲とすることで、結露水を排水させやすくすることができる。また、角度θ1および角度θ2をこの範囲とすることで、第1突起13および第2突起23の強度を向上させることができる。
【0034】
また、図12に示すように、複数の第1突起13のそれぞれにおいて、第1プレート11の長手方向(Z方向)に沿った方向の幅(第1寸法)w1は、積層方向(Y方向)における高さ(第2寸法)h1よりも大きくてもよい。同様に、複数の第2突起23のそれぞれにおいて、第2プレート21の長手方向(Z方向)に沿った方向の幅(第3寸法)w2は、積層方向(Y方向)における高さ(第4寸法)h2よりも大きくてもよい。このような構成により、積層方向に対する荷重に対する第1突起13および第2突起23の強度を向上させることができる。例えば、第1寸法w1および第3寸法w2は、3mm以上7mm以下であるとよい。また、第2寸法h1および第4寸法h2は、0.40mm以上0.65mm以下であるとよい。
【0035】
複数の第1突起13のそれぞれと複数の第2突起23のそれぞれとが同じ形状および寸法であってもよい。第1突起13および第2突起23が同じ形状および寸法であることにより、第1プレート11と第2プレート21とを積層する際のろう付け性を向上させることができる。例えば、図12に示すように、第1突起13の第2主面12bからの高さh1は、第2突起23の第4主面22bからの高さh2と等しくてもよい。また、図12に示すように、第1突起13の第1寸法w1と第2突起23の第2寸法w2とが等しくてもよい。第1突起13と第2突起23の形状および寸法を合わせることで、第1突起13および第2突起23の変形を抑制することができる。ここで、「等しい」という用語は、±10%程度の誤差、好ましくは、±5%程度の誤差、より好ましくは、±3%程度の誤差を含んでもよい。
【0036】
また、図12に示すように、第1突起13に設けられた第1の孔15は、第1主面12aに沿った方向から見たときに、すなわち、X方向から見たときに、四角形状に形成されている。同様に、第2突起23に設けられた第2の孔25は、第1主面12aに沿った方向から見たときに、すなわち、X方向から見たときに、四角形状に形成されている。本実施の形態では、図12に示すように、第1の孔15および第2の孔25は、台形状に形成されている。
【0037】
複数の第1プレート11と複数の第2プレート21とが積層されると、図11に示すように、複数の第1突起13のそれぞれと複数の第2突起23のそれぞれとが接触して、第2主面12bと第4主面22bとの間に隙間が形成される。また、複数の第1プレート11と複数の第2プレート21とが積層されたときに、複数の第1突起13に設けられた第1の孔15のそれぞれと、複数の第2突起23に設けられた第2の孔25のそれぞれとが合わさって、大きな孔40が形成される。大きな孔40とすることができるため、図11の矢印に示すような結露水の流れを発生させることができ、第2主面12bと第4主面22bとの間に発生した結露水を排水させやすくすることができる。
【0038】
[効果]
上述した実施の形態によると、以下の効果を奏することができる。
【0039】
熱交換器1は、複数のプレートが積層されて構成され、複数の第1プレート11と、複数の第1プレート11と交互に積層される第2プレート21と、を備える。第1プレート11は、第1プレート本体12と、複数の第1突起13と、を含む。第1プレート本体12は、第1主面12aおよび第1主面12aと反対側の第2主面12bを有する。複数の第1突起13は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向において、第2主面12bから突出する。第1プレート本体12の第1主面12aには、溝14が設けられている。複数の突起13のそれぞれには、第1の孔15が形成されている。第2プレート21は、第2プレート本体22と、複数の第2突起23と、を含む。第2プレート本体22は、第1プレート本体12の第1主面12aに対向する第3主面22a、および第3主面22aと反対側の第4主面22bを有する。複数の第2突起23は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向において、第4主面22bから突出する。複数の第2突起23はそれぞれ、第1プレート11と第2プレート21との積層方向から見たときに、複数の第1突起13と重なる位置に設けられる。複数の第2突起23のそれぞれには、第2の孔25が形成されている。複数の第1突起13のそれぞれは、対向する複数の第2突起23のそれぞれと接触して、第2主面12bと第4主面22bとの間に隙間を形成する。第1プレート本体12の第1主面12aと第2プレート本体22の第3主面22aとが接触して、第1主面12aの溝14を第3主面22aで塞ぐことにより、冷媒の流路を画定する。
【0040】
このような構成により、結露水の滞留を低減して通風抵抗を低下させることのできる熱交換器を提供することができる。第1プレート本体12と第2プレート本体22との両方に突起13、23により第1プレート本体12と第2プレート本体22との間に隙間を形成することで、結露水の排水性を向上させることができる。その結果、通風抵抗を低下させることができる。さらに、第1プレート本体12および第2プレート本体22の両方に突起13、23を形成することで、それぞれの突起13、23の高さを小さくすることができるため、プレス加工が容易になり製造コストを抑制することができる。
【0041】
複数の第1突起13のそれぞれは、第2主面12bに沿った第1台座面13aを有する。複数の第2突起23のそれぞれは、第4主面22bに沿った第2台座面23aを有する。
【0042】
このような構成により、第1プレート11および第2プレート21を積層する際のろう付け性を向上させることができる。
【0043】
複数の第1突起13のそれぞれは、第1台座面13aと第2主面12bとをつなぐ2つの第1側壁13bを有する。2つの第1側壁13bは、互いに向き合って配置され、2つの第1側壁13bの間に、第1の孔15が設けられる。複数の第2突起23のそれぞれは、第2台座面23aと第4主面22bとをつなぐ2つの第2側壁23bを有する。2つの第2側壁23bは、互いに向き合って配置され、2つの第2側壁23bの間に、第2の孔25が設けられる。
【0044】
このような構成により、第1プレート11と第2プレート21とを積層したときに、第1の孔15と第2の孔25とがつながって結露水を排水するための空間が形成されるため、結露水の排水性を向上させて、通風抵抗を低下させることができる。
【0045】
第1側壁13bと第2主面12bとのなす角度θ1は、100度以上105度以下である。第2側壁23bと第4主面22bとのなす角度θ2は、100度以上105度以下である。
【0046】
このような構成により、積層方向における強度を向上させることができ、突起13、23の破損を抑制することができる。また、結露水の表面張力を小さくすることができるため、結露水の滞留を抑制することができる。
【0047】
第1突起13の第2主面12bからの高さは、第2突起23の第4主面22bからの高さに等しい。
【0048】
このような構成により、第1突起13と第2突起23との高さを合わせることで、第1プレート11と第2プレート21とを積層したときの強度を向上させることができる。また、第1突起13と第2突起23との高さを合わせることができ、プレス加工を容易にすることができる。
【0049】
複数の第1突起13は、溝14に沿って配置される。複数の第1突起13は、等間隔に配置される。
【0050】
このような構成により、より結露水を排水しやすくすることができる。また、第1プレート11と第2プレート21とを積層する際のろう付け性を向上させることができる。
【0051】
第1プレート11と第2プレート21とは、矩形状の形状を有する。溝14は、第1プレート11の長手方向に沿って設けられた直線状の第1の溝14aと、第2の溝14bと、を含む。複数の第1突起13は、第1の溝14aまたは第2の溝14bに沿って配置される。
【0052】
このような構成により、結露水の排水性を向上させることができる。また、第1プレート11と第2プレート21とを積層する際のろう付け性を向上させることができる。
【0053】
複数の第1突起13は、第1プレート11の短手方向に沿って整列して配置される。
【0054】
このような構成により、結露水の排水性を向上させることができる。また、第1プレート11と第2プレート21とを積層する際のろう付け性を向上させることができる。
【0055】
第1主面12aに沿った方向から見たときに、第1の孔15と第2の孔25とは、四角形状に形成される。
【0056】
このような構成により、結露水の排水性を向上させることができる。
【0057】
第1プレート11と第2プレート21とは、矩形状の形状を有する。複数の第1突起13のそれぞれにおいて、第1プレート11の長手方向に沿った方向の第1寸法w1は、積層方向における第2寸法h1よりも大きい。複数の第2突起のそれぞれにおいて、第2プレート21の長手方向に沿った方向の第3寸法w2は、積層方向における第4寸法h2よりも大きい。
【0058】
このような構成により、第1プレート11と第2プレート21とを積層したときに、積層方向の荷重により突起13、23が破損するのを抑制することができる。
【0059】
第1寸法w1および第3寸法が3mm以上7mm以下である。第2寸法h1および第4寸法h4が0.40mm以上0.65mm以下である。
【0060】
このような構成により、結露水の滞留を抑制し、通風抵抗を低下させることができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態では、第1プレート本体12の第1突起13と、第2プレート本体22の第2突起23とが同じ形状である例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1突起13の第1台座面13aが、第2突起23の第2台座面23aよりも大きく形成されていてもよいし、その逆であってもよい。いずれか一方の突起の台座面を他方の台座面より大きく形成することで、公差を吸収して第1台座面13aと第2台座面23aとを容易に接触させることができる。
【0062】
(実施の形態の概要)
(1)本開示の熱交換器は、複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、複数の第1プレートと、複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、を備え、第1プレートは、第1主面および第1主面と反対側の第2主面を有する第1プレート本体と、第1プレートと第2プレートとの積層方向において第2主面から突出する複数の第1突起と、を含み、第1プレート本体の第1主面には、溝が設けられており、複数の第1突起のそれぞれには、第1の孔が形成されており、第2プレートは、第1プレート本体の第1主面に対向する第3主面および第3主面と反対側の第4主面を有する第2プレート本体と、第1プレートと第2プレートとの積層方向において第4主面から突出する複数の第2突起と、を含み、複数の第2突起はそれぞれ、第1プレートと第2プレートとの積層方向から見たときに、複数の第1突起と重なる位置に設けられ、複数の第2突起のそれぞれには、第2の孔が形成されており、複数の第1突起のそれぞれは、対向する複数の第2突起のそれぞれと接触して第2主面と第4主面との間に隙間を形成し、第1プレート本体の第1主面と第2プレート本体の第3主面とが接触して、第1主面の溝を第3主面で塞ぐことにより、冷媒の流路を画定する。
【0063】
(2)(1)の熱交換器において、複数の第1突起のそれぞれは、第2主面に沿った第1台座面、を有し、複数の第2突起のそれぞれは、第4主面に沿った第2台座面、を有し、第1台座面と第2台座面とが接触していてもよい。
【0064】
(3)(2)の熱交換器において、複数の第1突起のそれぞれは、第1台座面と第2主面とを繋ぐ2つの第1側壁、を有し、2つの第1側壁は互いに向き合って配置され、2つの第1側壁の間に第1の孔が設けられ、複数の第2突起のそれぞれは、第2台座面と第4主面とを繋ぐ2つの第2側壁、を有し、2つの第2側壁は互いに向き合って配置され、2つの第2側壁の間に第2の孔が設けられていてもよい。
【0065】
(4)(3)の熱交換器において、第1側壁と第2主面とのなす角度は、100度以上105度以下であり、第2側壁と第4主面とのなす角度は、100度以上105度以下であってもよい。
【0066】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの熱交換器において、第1突起の第2主面からの高さは、第2突起の第4主面からの高さに等しくてもよい。
【0067】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの熱交換器において、複数の第1突起は、溝に沿って配置されていてもよい。
【0068】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの熱交換器において、複数の第1突起は、等間隔に配置されてもよい。
【0069】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの熱交換器において、第1プレートと第2プレートとは、矩形状の形状を有し、溝は、第1プレートの長手方向に沿って設けられた直線状の第1の溝と第2の溝とを含み、複数の第1突起は、第1の溝または第2の溝に沿って配置されてもよい。
【0070】
(9)(8)の熱交換器において、複数の第1突起は、第1プレートの短手方向に沿って整列して配置されてもよい。
【0071】
(10)(1)から(9)のいずれか1つの熱交換器において、第1主面に沿った方向から見たときに、第1の孔と第2の孔とは、四角形状に形成されてもよい。
【0072】
(11)(1)から(10)のいずれか1つの熱交換器において、第1プレートと第2プレートとは、矩形状の形状を有し、複数の第1突起のそれぞれにおいて、第1プレートの長手方向に沿った方向の第1寸法は、積層方向における第2寸法よりも大きく、複数の第2突起のそれぞれにおいて、第2プレートの長手方向に沿った方向の第3寸法は、積層方向における第4寸法よりも大きくてもよい。
【0073】
(12)(11)の熱交換器において、第1寸法および第3寸法が3mm以上7mm以下であり、第2寸法および第4寸法が0.40mm以上0.65mm以下であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示は、複数のプレートが積層されて構成される熱交換器に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 熱交換器
11 第1プレート
12 第1プレート本体
12a 第1主面
12b 第2主面
13 第1突起
13a 第1台座面
13b 第1側壁
14 溝
14a 第1の溝
14b 第2の溝
14c 第3の溝
15 第1の孔
21 第2プレート
22 第2プレート本体
22a 第3主面
22b 第4主面
23 第2突起
23a 第2台座面
23b 第2側壁
24b 第4主面
25 第2の孔
図1
図2
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