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特開2024-163728搬送車管理装置および搬送車管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163728
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】搬送車管理装置および搬送車管理方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241115BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241115BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079578
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永吉 洋登
(72)【発明者】
【氏名】ディヴェディ サンジェイ クマル
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 久
(72)【発明者】
【氏名】萩原 高行
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM36
3F022NN31
3F022NN57
3F022QQ17
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522FF05
3F522FF37
3F522GG13
3F522GG25
3F522GG37
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH24
3F522LL09
3F522LL10
3F522LL33
3F522LL47
(57)【要約】
【課題】倉庫などの搬送車が動作する環境で、搬送のための障害物が発生したときに、適切なオーダ管理を支援し、迅速に障害物を撤去して、搬送車の運用効率を向上させる。
【解決手段】搬送車管理装置は、物品を含むオーダに関するオーダ情報と、倉庫内における搬送車の位置と棚の位置と倉庫の設備の位置と倉庫の状態を示すレイアウト情報と、搬送車を動作させるスケジュール情報とを保持し、搬送車から倉庫内の障害物の位置情報を受け付け、障害物の位置情報をレイアウト情報に反映し、障害物の位置情報を含むレイアウト情報に基づいて、搬送車を動作させるスケジュールを算出して、スケジュール情報に反映し、スケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行った結果に従って、オーダ情報に含まれるオーダの出荷を間に合わせるための障害物を除去するべき時間を出力する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に設置されている棚に保管された物品を搬送する搬送車の動作をスケジュールに従って指令する搬送車管理装置であって、
物品を含むオーダに関するオーダ情報と、
前記倉庫内における前記搬送車の位置と前記棚の位置と倉庫の設備の位置と倉庫の状態を示すレイアウト情報と、
前記搬送車を動作させるスケジュールに関するスケジュール情報とを保持し、
前記搬送車から倉庫内の障害物の位置情報を受け付け、前記障害物の位置情報を前記レイアウト情報に反映し、
前記障害物の位置情報を含む前記レイアウト情報に基づいて、前記搬送車を動作させるスケジュールを算出して、前記スケジュール情報に反映し、前記スケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行って、倉庫の搬送運用のシミュレーションの結果に従って、前記オーダ情報に含まれるオーダの出荷を間に合わせるための前記障害物を除去するべき時間を出力することを特徴とする搬送車管理装置。
【請求項2】
前記障害物の位置情報を含まない第一のレイアウト情報に基づいて、前記搬送車を動作させるスケジュールを算出して、第一のスケジュール情報として反映し、前記第一のスケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行って、前記搬送運用のシミュレーションの結果による複数の時刻に関する第一のスループットを出力し、
前記障害物の位置情報を含む第二のレイアウト情報に基づいて、前記搬送車を動作させるスケジュールを算出して、第二のスケジュール情報として反映し、前記第二のスケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行って、前記搬送運用のシミュレーションの結果による複数の時刻に関する第二のスループットを出力し、
前記第一のスループットと、前記第二のスループットを比較する形式で表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の搬送車管理装置。
【請求項3】
倉庫に設置されている棚に保管された物品を搬送する搬送車の動作をスケジュールに従って指令する搬送車管理装置であって、
物品を含むオーダに関するオーダ情報と、
前記倉庫内における前記搬送車の位置と前記棚の位置と倉庫の設備の位置と倉庫の状態を示すレイアウト情報と、
前記搬送車を動作させるスケジュールに関するスケジュール情報とを保持し、
前記搬送車から倉庫内の障害物の位置情報を受け付け、前記障害物の位置情報を前記レイアウト情報に反映し、
前記障害物の位置情報を含む前記レイアウト情報に基づいて、人の出入口から前記障害物までの障害物回収経路を算出し、前記障害物回収経路を表示手段に表示することを特徴とする搬送車管理装置。
【請求項4】
前記障害物回収経路の情報を、前記レイアウト情報に反映し、
前記レイアウト情報に基づいて、前記障害物と前記障害物回収経路の位置を通らないように、前記搬送車を動作させるスケジュールを算出して、前記スケジュール情報に反映し、
前記スケジュール情報に基づいて、前記搬送車に対する指令を行うことを特徴とする請求項3記載の搬送車管理装置。
【請求項5】
前記倉庫の各位置とライトの対応を示すライト位置情報を保持し、
前記ライト位置情報に基づいて、前記障害物回収経路の位置に対するライトの点灯・消灯を制御することを特徴とする請求項3記載の搬送車管理装置。
【請求項6】
倉庫に設置されている棚に保管された物品を搬送する搬送車の動作をスケジュールに従って指令する搬送車管理装置による搬送車管理方法であって、
前記搬送車管理装置は、
物品を含むオーダに関するオーダ情報と、
前記倉庫内における前記搬送車の位置と前記棚の位置と倉庫の設備の位置と倉庫の状態を示すレイアウト情報と、
前記搬送車を動作させるスケジュールに関するスケジュール情報とを保持し、
前記搬送車管理装置が、前記搬送車から倉庫内の障害物の位置情報を受け付け、前記障害物の位置情報を前記レイアウト情報に反映するステップと、
前記搬送車管理装置が、前記障害物の位置情報を含む前記レイアウト情報に基づいて、前記搬送車を動作させるスケジュールを算出して、前記スケジュール情報に反映するステップと、
前記搬送車管理装置が、前記スケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行って、倉庫の搬送運用のシミュレーションの結果に従って、前記オーダ情報に含まれるオーダの出荷を間に合わせるための前記障害物を除去するべき時間を出力するステップとを有することを特徴とする搬送車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車管理装置および搬送車管理方法に係り、特に、倉庫などの搬送車が動作する環境で、搬送のための障害物が発生したときに、適切なオーダ管理を支援し、迅速に障害物を撤去して、搬送車の運用効率を向上させるのに好適な搬送車管理装置および搬送車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流倉庫などの多品種の物品を扱う現場で、労働力不足や人件費の削減のため倉庫で取り扱う物品を、管理システムからの指令に従って、運搬や取り出しを行う自律型ロボットの形態の搬送車が普及してきている。
【0003】
この様な搬送車に関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、搬送車が走行するルートを経路評価に基づいて生成し、搬送車をそれによって制御し、動作させる技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、搬送対象物に影響を与える環境パラメータを考慮して搬送経路を決定する搬送システムが開示されている。特に、搬送のアルゴリズムとしては、エリアを格子状に区切ったグリッドで分割して、A*と呼ばれる探索アルゴリズムによって動作させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-72555号公報
【特許文献2】特開2022-139772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような搬送車を用いて物流処理においては、搬送車の停止は物流の停止に直結するため,極力停止時間を短くすることが求められる。搬送車の停止は、搬送車自身の故障の外、搬送車での搬送物が落下して、障害物が発生したことが主要な要因となる。
【0007】
上記特許文献1、特許文献2では、物流倉庫において、障害物が発生したときの搬送車の制御については、考慮されていない。例えば、そのように障害物が発生して、システムのスループットが考慮したときに、どのようにして、オーダ管理をすればよいのかについての記載がされていない。また、倉庫に障害物が発生したときに、迅速に障害物を除去するためのサポート手段と、そのようなときに、どのようにして搬送車を制御すればよいのかについての記載がない。
【0008】
本発明の目的は、倉庫などの搬送車が動作する環境で、搬送のための障害物が発生したときに、適切なオーダ管理を支援し、迅速に障害物を撤去して、搬送車の運用効率を向上させることができる搬送車管理装置および搬送車管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の搬送車管理装置の構成は、好ましくは、倉庫に設置されている棚に保管された物品を搬送する搬送車の動作をスケジュールに従って指令する搬送車管理装置であって、物品を含むオーダに関するオーダ情報と、倉庫内における搬送車の位置と棚の位置と倉庫の設備の位置と倉庫の状態を示すレイアウト情報と、搬送車を動作させるスケジュールに関するスケジュール情報とを保持し、搬送車から倉庫内の障害物の位置情報を受け付け、障害物の位置情報をレイアウト情報に反映し、障害物の位置情報を含むレイアウト情報に基づいて、搬送車を動作させるスケジュールを算出して、スケジュール情報に反映し、スケジュール情報に基づいて、複数の時刻における倉庫の搬送運用のシミュレーションを行って、倉庫の搬送運用のシミュレーションの結果に従って、オーダ情報に含まれるオーダの出荷を間に合わせるための障害物を除去するべき時間を出力するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、倉庫などの搬送車が動作する環境で、搬送のための障害物が発生したときに、適切なオーダ管理を支援し、迅速に障害物を撤去して、搬送車の運用効率を向上させることができる搬送車管理装置および搬送車管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】搬送車を使用した物流管理システムの構成を示す図である。
図2】搬送車管理装置のハードウェア・ソフトウェア構成図である。
図3】搬送車のハードウェア・ソフトウェア構成図である。
図4A】搬送車による物流作業を行う倉庫モデルを図示した図である(その一)。
図4B】搬送車による物流作業を行う倉庫モデルを図示した図である(その二)。
図5】レイアウト管理テーブルの一例を示す図である。
図6】棚情報テーブルの一例を示す図である。
図7】ライト位置情報テーブルの一例を示す図である。
図8】オーダ情報テーブルの一例を示す図である。
図9】スケジューリングテーブルの一例を示す図である。
図10A】PICKコマンドの一例を示す図である。
図10B】棚返却コマンドの一例を示す図である。
図11A】ロックコマンドの一例を示す図である。
図11B】アンロックコマンドの一例を示す図である。
図12A】点灯コマンドの一例を示す図である。
図12B】消灯コマンドの一例を示す図である。
図13】障害物が検知されたときの障害物に関するスループット/オーダ影響情報を表示するときの搬送車管理装置の処理を示すフローチャートである。
図14A】作業者が障害物を除去しようとするときの搬送車管理装置の処理を示すフローチャートである(その一)。
図14B】作業者が障害物を除去しようとするときの搬送車管理装置の処理を示すフローチャートである(その二)。
図15】障害物回収経路に関連するLEDライトにより点灯した様子を示す図である。
図16A】倉庫運用ユーティリティ画面の一例を示す図である(その一)。
図16B】倉庫運用ユーティリティ画面の一例を示す図である(その二)。
図17】シミュレーション結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図17を用いて説明する。
【0018】
本実施形態の物流管理システムは、物流倉庫に設置された物品が収容された棚を搬送車管理装置の指令により、搬送車が棚ごと持ち上げて、所定の場所まで運搬するシステムである。作業者は、運搬されてきた棚にある物品を取り出すピッキング作業を行う。
【0019】
本実施形態の物流管理システムは、図1に示されるように、倉庫管理サーバ10、搬送車管理装置100、AP(Access Point)30、ライト制御装置40、LED(light-emitting diode)ライト41、搬送車200からなる。
【0020】
倉庫管理サーバ10は、倉庫での物品の入出庫を管理するサーバである。倉庫管理サーバ10は、搬送車管理装置100に対して、物品の出庫を指示する。
【0021】
出入口ロック機構20は、搬送車管理装置100の指示に従い、倉庫50に人が出入りするための出入口に対して、施錠(Lock)と解錠(Unlock)を行うための機構である。
【0022】
ライト制御装置40は、搬送車管理装置100からの指令により、LEDライト41の点灯、消灯を制御するための装置である。
【0023】
LEDライト41(図1では、41a,41b,…と表記)は、倉庫内の必要な部分を搬送車管理装置100の指令に従って、照明するためのライトである。
【0024】
AP30(図1では、30a,30b,…と表記)は、搬送車管理装置100と搬送車200が無線で情報をやり取りするための通信装置である。
【0025】
搬送車管理装置100は、倉庫管理サーバ10からの指令を受けて、倉庫50内設備である出入口ロック機構20、LEDライト41の制御、搬送車200のスケジューリングと、搬送車200の物品の出庫に関する指令を行う。
【0026】
搬送車管理装置100は、機能部として、倉庫運用部101、搬送シミュレーション部102、倉庫運用ユーザインターフェイス部103からなる。また、搬送車管理装置100は、データベースとして、レイアウト管理DB300、オーダ・運用スケジュールDB310、運用指令DB320を保持する。
【0027】
レイアウト管理DB300には、レイアウト管理テーブル301、棚情報テーブル302、ライト位置情報テーブル303のテーブルが含まれる。オーダ・運用スケジュールDB310には、オーダ情報テーブル311、スケジューリングテーブル312のテーブルが含まれる。運用指令DB320には、PICKコマンド321、棚返却コマンド322、ロックコマンド323、アンロックコマンド324、点灯コマンド325、消灯コマンド326のコマンドが含まれる。
【0028】
なお、各テーブル、コマンドの詳細は、後に説明する。
【0029】
倉庫運用部101は、倉庫の設備を運用するための指令、搬送車200に移動と物品の出庫に関する指令を行う機能部である。搬送シミュレーション部102は、物品のオーダ情報、倉庫の状態、搬送車のスケジュールに基づいた搬送車による物品の搬送のシミュレーションを行う機能部である。倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、倉庫の管理者や作業者に対して、現在の倉庫の状態、物品のオーダに関する情報、搬送のシミュレーションの結果情報、また、障害物の発生状況、障害物の回収経路(詳細は、後述)に関する情報を表示し、倉庫の管理者からのコマンドを受け付ける機能部である。
【0030】
搬送車200(図1では、200a,200b,…と表記)は、搬送車管理装置100からの指令に従って、倉庫50内の棚をロードし、ピッキングエリアまで運搬するための自律ロボット走行車である。
【0031】
搬送車200は、機能部として、走行制御部201、搬送制御部202、障害物検知部203からなる。
【0032】
走行制御部201は、搬送車の走行に関するモータ、ブレーキなどの走行に関する部分を制御する機能部である。搬送制御部202は、ワークをロード、アンロードする搬送円盤とその駆動機構を制御する機能部である。障害物検知部203は、倉庫50内で発生した障害物を検知し、その障害物を撮像した画像情報とともに搬送車管理装置100に連絡を行う機能部である。
【0033】
次に、図2を用いて搬送車管理装置100のハードウェア・ソフトウェア構成を説明する。
搬送車管理装置100のハードウェア構成としては、例えば、図2に示されるパーソナルコンピュータのような一般的な情報処理装置で実現される。
【0034】
搬送車管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)402、主メモリ404、ネットワークI/F(InterFace)406、表示I/F408、入出力I/F410、補助記憶I/F412が、バスにより結合された形態になっている。
【0035】
CPU402は、搬送車管理装置100の各部を制御し、主メモリ404に必要なプログラムをロードして実行する。
【0036】
主メモリ404は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、CPU402が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0037】
ネットワークI/F406は、ネットワーク5と接続するためのインタフェースである。
【0038】
表示I/F408は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置420を接続するためのインタフェースである。
【0039】
入出力I/F410は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。図2の例では、キーボード430とポインティングデバイスのマウス432が接続されている。
【0040】
補助記憶I/F412は、HDD(Hard Disk Drive)450やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインタフェースである。
【0041】
HDD450は、大容量の記憶容量を有しており、本実施形態を実行するためのプログラムが格納されている。搬送車管理装置100には、倉庫運用プログラム451、搬送シミュレーションプログラム452、倉庫運用ユーザインターフェイスプログラム453がインストールされている。
【0042】
倉庫運用プログラム451、搬送シミュレーションプログラム452、倉庫運用ユーザインターフェイスプログラム453は、それぞれ倉庫運用部101、搬送シミュレーション部102、倉庫運用ユーザインターフェイス部103の機能を実現するプログラムである。
【0043】
また、HDD450には、レイアウト管理DB300、オーダ・運用スケジュールDB310、運用指令DB320が格納されている。
【0044】
次に、図3を用いて搬送車のハードウェア・ソフトウェア構成を説明する。
搬送車200は、搬送車管理装置100からの指令を受けて走行とワークの運搬を行う自律ロボットであり、図3に示されるように、MPU(Micro Processing Unit)502、主メモリ504、通信装置506、障害物検知センサ508、不揮発メモリ510、走行機構520、搬送機構530が、バスにより結合されており、自律走行のためのバッテリ540を有する。
【0045】
MPU502は、搬送車200の各部を制御し、主メモリ504に必要なプログラムをロードして実行する。
【0046】
主メモリ504は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、MPU502が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0047】
通信装置506は、アンテナを含み、無線によりAP30を介して、搬送車管理装置100と通信するための装置である。
【0048】
不揮発メモリ504は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの電源を切っても、データがパージしない記憶装置である。
【0049】
不揮発メモリ504には、走行制御プログラム511、搬送制御プログラム512、障害物検知プログラム513がインストールされている。走行制御プログラム511、搬送制御プログラム512、障害物検知プログラム513は、それぞれ走行制御部201、搬送制御部202、障害物検知部203の機能を実行するプログラムである。
【0050】
障害物検知センサ508は、動作中に検知領域内の障害物を検知するセンサである。障害物検知センサ508は、カメラなどによるセンシング機能を有しており、これにより障害物の画像などをセンシングして、搬送車管理装置100に送信することが可能になる。
【0051】
走行機構520は、搬送車200を走行させる機構であり、図示しなかったが、モータ、ギア、ブレーキ、タイヤなどの稼動部分を含んでいる。
【0052】
搬送機構530は、搬送車200がワークをロードする機構であり、図示しなかったが、ステッピングモータ、ギア、ワークを搭載する円盤を含んでいる。
【0053】
バッテリ540は、搬送車200の各部に電源を供給するデバイスであり、例えば、充電可能なリチウムイオン電池である。
【0054】
次に、図4Aおよび図4Bを用いて搬送車による物流作業を行う倉庫モデルについて説明する。
【0055】
搬送車200は、倉庫50を単位時間Δt(例えば、5秒間)で、図4Aに示すようなN×Mのマス目600を上下左右の一升ずつ動作する。
【0056】
マス目600の外周のEブロック601は、人が出入りするための出入口である。Pブロック602は、ピッキングエリアを示すブロックである。ピッキングエリアでは、作業者は、搬送車200で運ばれてきた棚から物品を取り出すピッキング作業を行う。
【0057】
マス目600内のSブロック603は、棚が置かれるブロックである。Sブロック603は、必ず指定された棚エリア610内に置かれるものとする。
【0058】
マス目600内のOブロック604は、例えば、搬送車200が搬送途中に脱落した物品などの搬送車200の搬送のための障害となる障害物である。
【0059】
マス目600内のVブロック605は、搬送車200が存在するブロックである。マス目600内のVSブロック606は、搬送車200が棚を搬送するときの状態を表すブロックである。
【0060】
搬送車200の動作としては、ある時刻において、搬送車のVブロック605、 VSブロック606、Oブロック604と重なってはならない。ただし、棚は、四脚の構造であり、Sブロック603の下は、搬送車が通行することが可能になっている。
【0061】
ここで、n台の搬送車200をVi(i=1,…,n)で表すものとする。
【0062】
搬送車管理装置100がオーダの発生により物品の出荷の指示を行ったときの搬送車管理装置100、搬送車200、作業者の動作は、以下の通りである。
(1)搬送車管理装置100は、オーダに含まれる物品IDから、保管されている棚の棚IDを求める。
(2)現在の棚の状態情報から、棚IDがおかれているマス目の位置を求める。
(3)Viの搬送車200に対して、現在の位置から棚IDのマス目の位置までの経路と動作(Δtごとに指定するマス目の移動、停止、棚のロード)、棚IDのマス目の位置からPブロック602と隣接するブロックの位置の経路と動作(Δtごとに指定するマス目の移動、停止)を指示する。ここで、V1~Vnの搬送車に優先順位をつけて、V1からVnの順に指示を行う。このとき、Vブロック605、VSブロック606、Oブロック604のブロックがある位置には、経路は作成されない。
(4)Viの搬送車200は、(3)の指示に従い、現在の位置から棚IDがマス目の位置までの経路を移動し、棚をロードして、Pブロック602と隣接するブロックの位置まで動作する。
(5)作業者が物品のピッキングを完了したことを倉庫管理端末(図示せず)に入力すると、その入力は倉庫管理サーバ10へと送信され、さらに搬送車管理装置100へと送信される。物品のピッキング時には、搬送車200は、棚を持ち上げたままである。
(6)(5)の連絡を契機として、搬送車管理装置100は、Pブロック602と隣接するブロックの位置から、現在のロードしている棚をアンロードする棚エリアのブロック(例えば、現在の位置から最も近い棚エリアのブロックであいているブロック)までのΔtごとの経路と動作(マス目の移動、停止、棚のアンロード)を、搬送車200に指示する。
(7)Viの搬送車200は、(5)の指示に従い、Pブロック602と隣接するブロックの位置から、棚エリアのブロックまで移動し、棚をアンロードする。
【0063】
なお、上記の(3)、(6)のフェーズにおいて、現在の位置のマス目から搬送車が移動するための経路を求めるには、以下の(式1)の評価値Evalが一番小さくなるような隣のブロックに移動するように経路を作成する。
【0064】
Eval=distance(next_square,target_square) …(式1)
ここで、distance(s1,s2)は、マス目s1とマス目s2の距離
target_squareは、移動の目的のマス目、next_squareは、現在の搬送車200の位置から移動可能な隣のマス目である。
【0065】
次に、図4Bを用いて図4Aに示した搬送車による物流作業を行う倉庫モデルを拡張して、あらたなブロックを指定する例について説明する。
【0066】
図4Bのマス目600には、CブロックC607が付け加わっている。Cブロック607は、回収経路ブロックとして、外周のEブロック601の隣のブロックからOブロック604の隣まで一つの連続した経路として置かれるブロックである。経路の計算は、上記の(式1)により行うことができる。
【0067】
Cブロック607により構成するブロックは、作業者が回収するために通行する経路であり、作業者が回収を終えて、マス目600を出る間は、搬送車200は、Cブロック607を移動しないようにする。
【0068】
すなわち、上記の(3)のフェーズの記述で、「…このとき、Vブロック605、VSブロック606、Oブロック604、Cブロック607のブロックには、経路は作成されない。」となる。
【0069】
Eブロック601が複数あるときには、Cブロック607の構成する経路の距離が一番短くなるように出入口を選択すればよい。また、特定の出入口に作業者を配しているときには、その出入口のEブロック601からCブロックを計算すればよい。
【0070】
この拡張した倉庫モデルによる搬送車200の動作により、障害物を回収しようとする作業者は、安全に障害物の回収を行うことができ、しかも、搬送車200の動作を全面的に停止する必要がない(Cブロックの位置を移動できないという一部の制限のみで)。
【0071】
次に、図5ないし図12Bを用いて本実施形態の物流管理システムで用いられるデータ構造について説明する。
【0072】
レイアウト管理テーブル301は、物流倉庫におけるレイアウトの情報を格納するテーブルであり、図5に示されるように、ブロック種別301a、位置301bのフィールドを有する。
【0073】
ブロック種別301aには、図4A図4Bで示したようなブロックの種別(E:出入口、P:ピッキングエリア、O:障害物、V:搬送車、VS:搬送車の棚作業状態、C:回収経路)を示す情報が格納される。位置301bには、ブロック種別301aに示すブロックの位置が格納される。なお、本実施形態の例では、8×8のマス目で、マス目の外周は、0行、9行、0列、9列とした。
【0074】
なお、図示しなかったが、レイアウト管理DB300には、図4Aの棚エリア610を示す情報も格納されている。
【0075】
棚情報テーブル302は、棚と物品の保管との関係と、棚の現在の位置を示すテーブルであり、棚ID302a、物品リスト302b、位置302cの各フィールドからなる。
【0076】
棚ID302aには、棚を一意に表すIDが格納される。物品リスト302bには、棚に保管されている物品のリストが格納される。位置302cには、この棚の現在の位置が格納される。
【0077】
ライト位置情報テーブル303は、ライトとマス目のブロックの位置の対応を示すテーブルであり、図7に示すように、ライトID303a、位置303bの各フィールドからなる。
【0078】
ライトID303aには、点灯、消灯の制御のためのライトを一意的に示すIDが格納される。位置303bには、ライトID303aの示すLEDライトが受け持つ照明のブロックの位置が格納される。
【0079】
オーダ情報テーブル311は、顧客からの注文に関する情報を格納するテーブルであり、図8に示すように、オーダID311a、注文ID311b、出荷先ID311c、期限311d、物品リスト311eの各フィールドからなる。
【0080】
オーダID311aには、オーダを一意に表すIDが格納される。注文主ID311bには、注文主を一意に表すIDが格納される。出荷先ID311cには、出荷先を一意に表すIDが格納される。期限311dには、オーダの出荷期限が格納される。物品リスト311eには、オーダに含まれる物品のIDがリスト形式で格納される。
【0081】
なお、図示しなかったが、注文主の名称、氏名は、注文主マスタテーブルに、出荷先の名称、氏名、住所、電話番号は、出荷先マスタテーブルに、物品の名称、その他の詳細は、物品マスタテーブルに別途それぞれのIDに対応付けられた形式で格納されているものとする。
【0082】
スケジューリングテーブル312は、搬送車管理装置100がスケジュールした搬送車200ごとの移動とコマンド実行のスケジュールを格納するテーブルであり、図9に示されるように、搬送車ID312a、位置・コマンド312b1、位置・コマンド312b2、…、位置・コマンド312bi、…(図9では、各フールドごとに、Δt、2Δt、…、iΔt…と表記)の各フィールドを有する。
【0083】
搬送車ID312aには、搬送車200を一意に表すIDが格納される。位置・コマンド312bi(i=1,…,m)には、今から、i×Δt時間後の搬送車ID312aの位置または実行するコマンドが格納される。図9の例で、コマンド「Stop」は、Δt間搬送車200を停止させるコマンド、コマンド「Load」は、搬送車200が棚を持ち上げるコマンド、コマンド「Unload」は、搬送車200が、棚エリア610のブロックに返すときに、棚を降ろすコマンドである。
【0084】
PICKコマンド321は、搬送車200に棚のピックを指示するコマンドであり、図10Aに示されるように、搬送車ID321a、コマンド種別321b、位置・コマンド321c1、位置・コマンド321c2、…、位置・コマンド321ck、…の各フィールドを有する。
【0085】
搬送車ID312aには、搬送車200を一意に表すIDが格納される。コマンド種別321bには、コマンドの「PICK」を表す文字列またはID、位置・コマンド321bi(i=1,…,k)には、コマンドを受けたときから、i×Δt時間後の搬送車ID321aの位置または実行するコマンドが格納される。コマンド「Stop」、コマンド「Load」は、コマンド「Unload」は、既に説明した通りであり、これらは、PICKコマンドのサブコマンドとなる。
【0086】
搬送車200が、搬送車管理装置100からPICKコマンドを受けたときには、位置・コマンド321c1、位置・コマンド321c2、…、位置・コマンド321ckの情報に従い、現在の位置から、棚が置かれているSブロックのブロックまで行き、棚を搬送車200にロードして、その後、Pブロック602と隣接するブロックの位置まで移動する。
【0087】
棚返却コマンド322は、ピッキングに、ロードした棚を棚エリアのあいているブロックに返却するコマンドであり、搬送車ID322a、コマンド種別322b、位置・コマンド322c1、位置・コマンド322c2、…、位置・コマンド322cl、…の各フィールドを有する。それぞれのフィールドの意味は、図10Aに示したPICKコマンド321と同様である。コマンド種別322bには、コマンドの「RETURN_SHELF」を表す文字列またはIDが格納される。
【0088】
搬送車200が、搬送車管理装置100から棚返却コマンドを受けたときには、位置・コマンド322c1、位置・コマンド322c2、…、位置・コマンド322ckの情報に従い、現在の位置から、棚エリア610のあきブロックまで行き、棚をアンロードする。
【0089】
ロックコマンド323は、搬送車管理装置100から出入口ロック機構20のロック(施錠)をするコマンドであり、図11Aに示されるように、出入口ID323a、コマンド種別323bの各フィールドを有する。
【0090】
出入口ID323aには、出入口を一意に表すIDが格納される。コマンド種別323bには、コマンドの「LOCK」を表す名称またはIDが格納される。
【0091】
同様に、アンロックコマンド324は、搬送車管理装置100から出入口ロック機構20のアンロック(解錠)をするコマンドであり、図11Bに示されるように、出入口ID324a、コマンド種別324bの各フィールドを有する。
【0092】
コマンド種別324bには、コマンドの「UNLOCK」を表す名称またはIDが格納される。
【0093】
点灯コマンド325は、搬送車管理装置100からライト制御装置40に、LEDライトの点灯を指令するコマンドであり、図12Aに示されるように、ライトID325a、コマンド種別325bの各フィールドを有する。
【0094】
ライトID325aには、LEDライト41を一意に表すIDが格納される。コマンド種別323bには、コマンドの「ON」を表す名称またはIDが格納される。
【0095】
同様に、消灯コマンド326は、搬送車管理装置100からライト制御装置40に、LEDライトの消灯を指令するコマンドであり、図12Bに示されるように、ライトID326a、コマンド種別326bの各フィールドを有する。
【0096】
ライトID326aには、LEDライト41を一意に表すIDが格納される。コマンド種別323bには、コマンドの「OFF」を表す名称またはIDが格納される。
【0097】
次に、図13ないし図15を用いて本実施形態の搬送車管理装置の処理について説明する。
【0098】
先ず、図13を用いて障害物が検知されたときの搬送車管理装置の処理を説明する。
先ず、搬送車管理装置100は、障害物を検知した搬送車200から、障害物を検知した旨と位置情報、障害物の画像情報などを受信し、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301に、障害物のブロックの情報を追加する(S100)。
【0099】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、それに基づいた倉庫運用ユーティリティ画面を表示し、ユーザは、障害物に関するスループット/オーダ影響情報の表示を指令選択する(S101)
なお、倉庫運用ユーティリティ画面のユーザインターフェイスの具体例は、後に説明する。
【0100】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301に基づき、障害物回避する経路を計算し、障害物を回避した経路として、スケジューリングテーブル312に反映する(S102)。
【0101】
次に、搬送車管理装置100の搬送シミュレーション部102は、障害物がないときのスケジューリング情報に基づいたシミュレーションと、S101の障害物があるときのそれぞれのスケジューリング情報に基づいたシミュレーションを行う(S103)。
【0102】
次に、搬送車管理装置100の搬送シミュレーション部102は、S103のそれぞれのシミュレーション結果に基づいて、障害物があるときの倉庫運用のスループットを算出する(S103)。
【0103】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、表示装置420に、障害物がないときの倉庫運用のスループットと、障害物があるときの倉庫運用のスループットそれぞれを比較して表示する(S105)。
【0104】
なお、スループットの表示のユーザインターフェイスの具体例は、後に説明する。
【0105】
次に、搬送車管理装置100の搬送シミュレーション部102は、図8のオーダ情報テーブル311とシミュレーション結果を参照し、障害物を放置したときに、出荷期限に間に合わないオーダがあるか否かを判定する(S106)。
【0106】
出荷期限に間に合わないオーダがないときには(S106:NO)、処理を終了し、出荷期限に間に合わないオーダがあるときには(S106:YES)、S107に行く。
【0107】
出荷期限に間に合わないオーダがあるときは、搬送車管理装置100の搬送シミュレーション部102は、障害物を除去する複数の時間設定の候補に対して、シミュレーションを行い、出荷期限に間に合うための障害物を除去する時間を求める(S107)。例えば、現在の時刻から、30分ごとに障害物を除去する時間を設定して、シミュレーションを行い、出荷期限に間に合わないオーダが発生した時間から、30分前の時間を取り除く時間とする。ここで、出荷期限に間に合うための障害物を除去する時間は、オーダの出荷期限に対して、梱包、データ入力、搬送などの作業時間を猶予に入れて、作業者がオーダに関する物品をいつまでにピッキングすればよいかという時間に基づいて求められる。
【0108】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、表示装置420に、出荷期限に間に合わないオーダに関する情報と、S107で求めた出荷期限に間に合うための障害物を除去する時間を表示する(S108)。
【0109】
なお、この出荷期限に間に合わないオーダに関する情報の具体的なユーザインターフェイスは、後に説明する。
【0110】
次に、図14Aおよび図14Bを用いて作業者が障害物を除去しようとするときの搬送車管理装置の処理について説明する。
【0111】
先ず、搬送車管理装置100は、障害物を検知した搬送車200から、障害物を検知した旨と位置情報、障害物の画像情報を受信し、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301に、障害物のブロックの情報を追加する(S200)。
【0112】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、それに基づいた倉庫運用ユーティリティ画面を表示する(S201)。
【0113】
なお、倉庫運用ユーティリティ画面のユーザインターフェイスの具体例は、後に説明する。
【0114】
作業者が、倉庫運用ユーティリティ画面上で「障害物回収」指令をしたときには、S202に行き、「のちほど回収」指令をしたときには、処理を終了する。
【0115】
「障害物回収」指令をしたときには、搬送車管理装置100の搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301を参照し、障害物のブロックから出入口ブロックの隣のブロックまでの連続する障害物回収経路を算出し、レイアウト管理テーブル301に、障害物回収経路のブロックの情報を書き込む(S202)。
【0116】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、倉庫運用ユーティリティ画面に障害物回収経路を表示する(S203)。
【0117】
なお、このときの倉庫運用ユーティリティ画面の具体例は、後に説明する。
【0118】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301を参照し、障害物のブロックと障害物回収経路のブロックに対して、搬送車200の動作のためのブロックが重ならないように、リスケジューリングして、スケジューリングテーブル312に反映する(S204)。
【0119】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、S204のスケジューリング情報に基づき、搬送車200を動作させ、搬送運用を行う(S205)。
【0120】
次に、作業者が障害物回収経路に搬送車があるか否かを確認し(S206)、障害物回収経路に搬送車があるときには(S206:YES)、WAITし(S207)、障害物回収経路に搬送車がなくなったときには(S206:NO)、S208に行く。
【0121】
障害物回収経路に搬送車がなくなったときには、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、出入口ロック機構20に対して、アンロック(解錠)の指令、ライト制御装置40に、障害物回収経路に関連するLEDライト41の点灯の指令を行う(S208)。障害物回収経路に関連するLEDライトを点灯の指令がされたときには、図15に示されるように、図7のライト位置情報テーブル303に基づいて、障害物720のある障害物回収経路710のブロックに関連するLEDライトが点灯される。図15で、▽がLEDライト41の点灯状態701であり、▼がLEDライト41の消灯状態702である。
【0122】
ロボットが作業する倉庫の作業エリアは、通常暗くてもよいが、本実施形態の搬送システムでは、このように、人が立ち入るときに、必要なエリアを自動的に点灯するので、安全かつ効率的に障害物の除去作業を行うことができる。
【0123】
そして、作業者は、出入口から倉庫に入り、障害物を除去して、同じ出入口から倉庫を出る。
【0124】
搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、倉庫運用ユーティリティ画面から「回収完了」の通知が行われるか否かを判定し(S209)、「回収完了」の通知が行われていないときは(S209:NO)、WAITし(S210)、「回収完了」の通知が行われたときには(S209:YES)、S211に行く。
【0125】
「回収完了」の通知が行われたときには、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、出入口ロック機構20に対して、ロック(施錠)の指令、ライト制御装置40に、障害物回収経路に関連するLEDライト41の消灯の指令を行う(S211)。
【0126】
搬送車管理装置100の倉庫運用ユーザインターフェイス部103は、倉庫運用ユーティリティ画面に、障害物の回収が終わった旨のメッセージと、倉庫のレイアウト情報の表示を更新する(S212)。
【0127】
搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、レイアウト管理テーブル301から障害物のブロックの情報と、障害物回収経路のブロックの情報を除去して、レイアウト管理テーブル301の更新し、リスケジューリングする(S213)。
【0128】
次に、搬送車管理装置100の倉庫運用部101は、S212のスケジューリング情報に基づき、搬送車200を動作させ、搬送運用を行う(S214)。
【0129】
次に、図16Aないし図17を用いて搬送車管理装置が提供するユーザインターフェイスについて説明する。
【0130】
倉庫運用ユーティリティ画面800は、倉庫運用のレイアウトと、障害物に関する情報を表示し、障害物に関するコマンド、シミュレーション結果表示のコマンドを入力する画面である。倉庫運用ユーティリティ画面800は、図16Aに示されるように、レイアウト表示領域810、障害物画像表示領域820、回収開始ボタン831、のちほど回収ボタン832、スループット/オーダ影響表示ボタン833、回収完了ボタン833からなる。
【0131】
レイアウト表示領域810は、倉庫内のレイアウトに関して、各ブロックの状態を表示する領域である。レイアウト表示領域810は、通常は、現在の搬送車200の位置(Vブロック)、棚の位置(Sブロック)と、搬送車200による棚の搬送状態(VSブロック)を示しているが、障害物を検知したときには、障害物に関する情報(Oブロック)を表示するものとする。
【0132】
図16AにおけるEブロック(出入口)、Pブロック(ピッキングエリア)、Sブロック(棚)、Oブロック(障害物)は、図4Aにより既に説明した所である。
【0133】
障害物画像表示領域820は、搬送車200から障害物を検知したときに送られてきた障害物の画像などが表示される。
【0134】
回収開始ボタン831は、作業者が障害物を回収するときに、搬送車管理装置100に通知するために押下するボタンである(図14Aの「障害物を回収」指令)。
【0135】
のちほど回収ボタン832は、作業者をのちほど回収することを、搬送車管理装置100に伝えるときに、押下するボタンである(図14Aの「のちほど回収指令」)。
【0136】
スループット/オーダ影響表示ボタン833は、障害物に関するスループットとオーダの影響に関する情報を示すシミュレーション結果画面(後述)を表示するときに、押下するボタンである(図13のS101)。
【0137】
回収完了ボタン834は、障害物を回収し、辞去したときに、システムに通知するために押下するボタンである(図14BのS209)。
【0138】
倉庫運用ユーティリティ画面800のレイアウト表示領域810は、回収開始ボタン831が押されたときには、図16Bに示されるように、レイアウト表示領域810に出入口(Eブロック)の隣のブロックから障害物(Oブロック)までの障害物回収経路(Cブロック)814が表示される。
【0139】
シミュレーション結果画面900は、障害物に関するスループットとオーダの影響に関する情報を示す画面であり、図17に示されるように、スループット表示領域910、オーダ情報表示領域920よりなる。
【0140】
スループット表示領域910は、障害物があるとき、ないときを対比して示すスループットグラフ911を表示する領域である。スループットグラフ911の横軸は、時刻、縦軸は、スループットを表している。スループットは、例えば、倉庫運用における物品の出庫件数/単位時間、オーダ処理件数/単位時間である。スループットグラフ911では、時刻ごとに、障害物を除去したときの折れ線912a、障害物を除去しないときの折れ線912bが対比して示される。当然のことながら、障害物を除去した方がスループットがよくなるので、障害物を除去したときの折れ線912aが、障害物を除去しないときの折れ線912bの下にくることはない。
【0141】
このスループット表示領域910の表示により、管理者または作業者は、障害物を取り除かなかったとき、障害物を取り除いたときの比較を容易に把握できるようになるため、的確に障害物を取り除く判断を行うことができる。
【0142】
オーダ情報表示領域920には、障害物を検知したときのオーダに関する情報を表示する領域であり、オーダ警告メッセージ921、障害物除去推奨メッセージ922、オーダ情報詳細923が表示される。
【0143】
オーダ警告メッセージ921は、オーダされた物品の出荷期限が間に合わないことを警告するメッセージである。障害物除去推奨メッセージ922は、オーダされた物品の出荷期限が間に合わせるために、障害物を除去する時間を示すメッセージである。オーダ情報詳細923には、問題とするオーダの詳細が、図8に示したオーダ情報テーブル311の内容に従って表示される。
【0144】
以上、本実施形態の搬送車管理装置によれば、倉庫などの搬送車が動作する環境で、搬送のための障害物が発生したときに、障害物を検知して、障害物によるオーダの影響、スループットを表示して、倉庫の運用管理をサポートする。また、障害物を回収するための人が作業する障害物を回収するための障害物回収経路を表示し、搬送車が障害物回収経路に立ち入らないように、搬送車の動作をスケジューリングすることにより、作業者は、安全、迅速に障害物を撤去し、しかも、搬送車の動作を停止することなく、搬送車の運用効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0145】
5…ネットワーク、10…倉庫管理サーバ、20…出入口ロック機構、30…AP、40…ライト制御装置、41…LEDライト、50…倉庫、
100…搬送車管理装置、101…倉庫運用部、102…搬送シミュレーション部、103…倉庫運用ユーザインターフェイス部、
200…搬送車、201…走行制御部、202…搬送制御部、203…障害物検知部、
300…レイアウト管理DB、301…レイアウト管理テーブル、302…棚情報テーブル、303…ライト位置情報テーブル、
310…オーダ・運用スケジュールDB、311…オーダ情報テーブル、312…スケジューリングテーブル、
320…運用指令DB、321…PICKコマンド、322…棚返却コマンド、323…ロックコマンド、324…アンロックコマンド、325…点灯コマンド、326…消灯コマンド
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17