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特開2024-163743型枠セット、セパレータ、及び施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163743
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】型枠セット、セパレータ、及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/065 20060101AFI20241115BHJP
   E04G 9/08 20060101ALI20241115BHJP
   E04G 9/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
E04G17/065 B
E04G9/08
E04G9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079598
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和裕
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150BA07
2E150BA24
2E150BA42
2E150CA01
2E150DA22
2E150EA01
2E150EA06
2E150EB02
2E150FA02
2E150GA03
2E150GB01
(57)【要約】
【課題】施工性を向上させること。
【解決手段】型枠セット1は、コンクリートが打設される打設空間SPの一方の側面を形成する第1の型枠パネル2と、打設空間SPの対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネル3と、打設空間SPを横断し、第1,第2の型枠パネル2,3同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータ5とを備える。セパレータ5は、第1の型枠パネル2の第1の貫通孔H1に挿通される第1の棒状部材51と、第1の棒状部材51と接続する位置調整部材52とを備える。位置調整部材52は、第1の棒状部材51と接続する第1の接続部材53と、第2の型枠パネル3の第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材74と接続する第2の接続部材54とを備える。第1,第2の接続部材53,54は、第1の棒状部材51の中心軸Ax1に交差する水平方向Ar1に沿って互いに相対移動可能に連結されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、
前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、
前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルと、
前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、
前記セパレータは、
前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、
前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、
前記位置調整部材は、
前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、
前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、
前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、
前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されている
ことを特徴とする型枠セット。
【請求項2】
前記第2の型枠パネルは、
波形状の断面が前記水平方向に沿って連続するパネルである
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項3】
前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材における前記水平方向への相対移動可能とする移動量は、
前記第2の型枠パネルにおける前記波形状の断面のピッチ以下に設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の型枠セット。
【請求項4】
前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材を前記水平方向に相対移動させ、前記第1の棒状部材の中心軸と前記第2の棒状部材の中心軸とを最も大きく偏心させた状態での偏心量は、
前記第2の型枠パネルにおける前記波形状の断面のピッチの半分より大きく、前記ピッチ以下に設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の型枠セット。
【請求項5】
前記第2の型枠パネルは、
長辺同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片を有し、
前記板片は、
隣接するものの前記長辺同士が回転可能に接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の型枠セット。
【請求項6】
前記第2の接続部材は、
前記第2の棒状部材の一端に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が設けられ、前記雌ネジ部に前記雄ネジ部が螺合することで前記第2の棒状部材と接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠セット。
【請求項7】
コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとを備えた型枠セットに用いられ、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータであって、
前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、
前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、
前記位置調整部材は、
前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、
前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、
前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、
前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されている
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項8】
コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、
前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを設置するセパレータ設置工程と、
前記セパレータを調整するセパレータ調整工程と、
前記第2の型枠パネルを設置する第2の型枠パネル設置工程とを備え、
前記セパレータ設置工程では、
前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に前記セパレータにおける第1の棒状部材を挿通し、
前記セパレータ調整工程では、
前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔の形成位置に合わせて、前記セパレータにおける位置調整部材を構成する第1の接続部材及び第2の接続部材を前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動させる
ことを特徴とする施工方法。
【請求項9】
前記セパレータ調整工程では、
さらに前記第1の棒状部材の中心軸を中心として前記セパレータを180°回転させる
ことを特徴とする請求項8に記載の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セット、型枠治具、及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の基礎の施工時には、型枠セットによって、コンクリートが打設される打設空間を形成する(例えば、特許文献1参照)。このような型枠セットは、一般的に、以下に示す第1,第2の型枠パネルと、セパレータとを備える。
第1,第2の型枠パネルは、打設空間の互いに対向する各側面をそれぞれ形成する。
セパレータは、打設空間を横断し、第1,第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定する。
【0003】
そして、基礎の施工時において、上述した型枠セットは、例えば、以下に示すように用いられる。
先ず、第1,第2の型枠パネルにおける対向する同一位置に表裏を貫通する第1,第2の貫通孔をそれぞれ形成する。
次に、第1の型枠パネルを設置する。
次に、第1の型枠パネルの第1の貫通孔にセパレータにおける一端側を挿通する。
次に、セパレータにおける他端側が第2の型枠パネルの第2の貫通孔に挿通するように当該第2の型枠パネルを設置する。
以上のように型枠セットが組み立てられることにより、第1,第2の型枠パネル間が特定の幅に設定され、当該第1,第2の型枠パネル間に基礎を構成するコンクリートが打設される打設空間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-181448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来における基礎の施工方法では、第1,第2の型枠パネルに第1,第2の貫通孔を形成するにあたって、当該第1,第2の貫通孔の位置がずれないように当該位置の精密な寸法計算が必要となる。すなわち、当該位置の精密な寸法計算を行う必要があるため、施工性を向上させることが難しい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工性を向上させることができる型枠セット、セパレータ、及び施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る型枠セットは、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルと、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、前記セパレータは、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、前記位置調整部材は、前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るセパレータは、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとを備えた型枠セットに用いられ、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータであって、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、前記位置調整部材は、前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを設置するセパレータ設置工程と、前記セパレータを調整するセパレータ調整工程と、前記第2の型枠パネルを設置する第2の型枠パネル設置工程とを備え、前記セパレータ設置工程では、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に前記セパレータにおける第1の棒状部材を挿通し、前記セパレータ調整工程では、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔の形成位置に合わせて、前記セパレータにおける位置調整部材を構成する第1の接続部材及び第2の接続部材を前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る型枠セット、セパレータ、及び施工方法によれば、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る型枠セットを示す図である。
図2】第2の型枠パネルの構成を説明する図である。
図3】第2の型枠パネルの構成を説明する図である。
図4】型枠治具の構成を説明する図である。
図5】型枠治具の構成を説明する図である。
図6】施工方法における型枠セットの組立手順を示す図である。
図7】施工方法における脱型手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
〔型枠セットの概略構成〕
図1は、実施の形態に係る型枠セット1を示す図である。具体的に、図1の(a)は、型枠セット1の平面図である。図1の(b)は、図1の(a)中、下側から型枠セット1を見た図である。図1の(c)は、図1の(a)中、右側から型枠セット1を見た図である。なお、図1では、住宅等の基礎の施工時において、型枠セット1が組み立てられ、コンクリートが打設される前の状態を示している。
型枠セット1は、住宅等の基礎の施工に用いられる。ここで、基礎としては、戸建て住宅等のべた基礎や布基礎等を例示することができる。この型枠セット1は、複数の第1の型枠パネル2と、複数の第2の型枠パネル3と、複数の型枠治具4とを備える。
【0014】
第1の型枠パネル2は、コンクリートが打設される打設空間SPの一方の側面を形成する型枠パネルである。本実施の形態では、第1の型枠パネル2は、樹脂製の板体または木製の合板(コンパネ)等の平板状のパネルであり、打設空間SPの外周面を形成する。そして、複数の第1の型枠パネル2は、当該外周面を形成するように、各第1の型枠パネル2の表面が連なる状態で配設される。
【0015】
図2及び図3は、第2の型枠パネル3の構成を説明する図である。具体的に、図2は、第2の型枠パネル3の斜視図である。図3は、第2の型枠パネル3における板片31同士の連結構造を示す拡大斜視図である。
第2の型枠パネル3は、打設空間SPの対向する他方の側面を形成する型枠パネルである。本実施の形態では、第2の型枠パネル3は、波形状の断面が打設空間SPにおける一対の側面の対向する方向に直交する水平方向に連続するパネルであり、打設空間SPの内周面を形成する。また、第2の型枠パネル3は、長辺311同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片31によって構成されている。すなわち、第2の型枠パネル3は、所謂スラット構造であり、隣接する板片31の長辺311同士が当該長辺311に沿う方向を基準として回転可能に連結されている。
【0016】
板片31は、例えば、鋼板をプレス加工したものである。
具体的に、板片31は、一対の長辺311に沿って鉤手部311a,311bを有している。そして、隣接する板片31同士は、鉤手部311aと鉤手部311bとが係合して回転可能に連結される。これら鉤手部311a,311bは、それぞれ略360°程度の円弧による薄形状となっている。ここで、一方の長辺311に沿った鉤手部311aは、他方の長辺311に沿った鉤手部311bよりもやや小さい。すなわち、鉤手部311a,311bは、大きさの違いによって互いに係合可能に構成されている。
【0017】
また、板片31は、平面部312と、当該平面部312の両端から当該平面部312の一方の面312a側にそれぞれ傾斜し、端縁がそれぞれ長辺311となる一対の斜面部313を有する。ここで、平面部312の中央には、長尺方向に沿った直線状の屈曲筋314が形成されている。
【0018】
さらに、板片31の一方の長辺311の端部には、鉤手部311aのない欠損部315が形成されている。また、板片31の他方の長辺311の端部において、欠損部315を介して外部に露出する鉤手部311bの端部は、当該鉤手部311bを加締めた抜止部316を有する。そして、隣接する板片31同士は、抜止部316が鉤手部311aの端面に当接することにより、当該板片31同士の変位が制限され、連結した状態が維持される。この抜止部316は、ペンチ等の工具によって容易に形成することができる。また、抜止部316は、同様の工具により元の鉤手部311bの形状に戻すこと、または、切り取ることも可能である。すなわち、抜止部316を元の鉤手部311bの形状に戻す、または、切り取ることにより、隣接する板片31を離脱させ、必要に応じて第2の型枠パネル3を短くすることができる。さらに、鉤手部311a,311b同士を係合させて抜止部316を形成することにより、必要に応じて第2の型枠パネル3を長くすることができる。これらの作業は、施工現場において、簡易な工具によって容易に行うことができる。
【0019】
以上説明した第2の型枠パネル3は、鉤手部311a,311bが大きい角度範囲に亘る円弧の渦形状同士が係合していることから、概念的には2本のポールが同心状に存在しているのと同様である。このため、第2の型枠パネル3は、高強度であって反り難く、コンクリート打設時に作用する内圧に耐え得る。また、板片31は、平面部312、及び当該平面部312の両端から長辺311までの一対の斜面部313を有する台形断面となっており、さらに曲がり難くなっている。さらに、板片31は、平面部312に長尺方向に沿った直線状の屈曲筋314が形成されていることから、一層、高強度となっている。
【0020】
また、第2の型枠パネル3は、複数の板片31から構成されており、隣接する板片31の長辺311同士が回転可能に連結されていることから、ロール状に巻き取っておくことで保管及び搬送が可能である。また、ロール状態から巻き出しながら第2の型枠パネル3を設置する施工が可能となり、施工性が向上する。
【0021】
型枠治具4は、第1,第2の型枠パネル2,3同士の間の幅を特定の幅に設定するとともに、型枠セット1の強度を保持する。
以下、型枠治具4の詳細な構成について説明する。
【0022】
〔型枠治具の構成〕
図4及び図5は、型枠治具4の構成を説明する図である。具体的に、図4は、図1の(a)の一部を拡大した図である。図5は、図4中、右側から型枠治具4を見た図である。
型枠治具4は、セパレータ5と、第1,第2の保持具6,7とを備える。
【0023】
セパレータ5は、打設空間SPを横断し、第1,第2の型枠パネル2,3同士の間の幅を特定の幅に設定する。このセパレータ5は、第1の棒状部材51と、位置調整部材52とを備える。
【0024】
第1の棒状部材51は、第1の型枠パネル2の表裏を貫通する第1の貫通孔H1に挿通される。この第1の棒状部材51は、円柱状の一対の棒状部511,512が直線状に並ぶように連結部513によって連結された構成を有する。本実施の形態では、連結部513は、Pコンによって構成されている。
【0025】
なお、図4及び図5において、中心軸Ax1は、第1の棒状部材51の中心軸である。また、中心軸Ax2は、第2の保持具7における第2の棒状部材74の中心軸である。
【0026】
位置調整部材52は、第1の棒状部材51が接続するとともに、中心軸Ax1,Ax2同士の第1の方向Ar1の位置関係を調整する。ここで、第1の方向Ar1は、第1の棒状部材51の中心軸に交差する水平方向(図4中、左右方向)である。この位置調整部材52は、第1の接続部材53と、第2の接続部材54とを備える。
【0027】
第1の接続部材53は、第1の棒状部材51(棒状部511)と接続する。この第1の接続部材53は、平面部531と、固定部532と、一対の移動規制部533と、一対の立上げ片534とを備える。
【0028】
平面部531は、平面視矩形状の平板によって構成されている。また、この平面部531には、表裏を貫通する挿通孔531aが形成されている。ここで、挿通孔531aは、平面部531の中心位置から第1の方向Ar1に所定寸法だけずれた位置に形成されている。
【0029】
固定部532は、平面部531と棒状部511とを接続(固定)する。本実施の形態では、固定部532は、ナットによって構成されている。そして、固定部532は、挿通孔531aに棒状部511の一端が挿通され、当該一端の外周面に形成されたネジ溝(図示略)に固定されることで、平面部531と当該棒状部511とを接続する。この状態では、平面部531は、その板面が中心軸Ax1に直交する姿勢となる。
【0030】
一対の移動規制部533は、平面部531における第1の方向Ar1の両端から当該平面部531の一方の面531b側に略90°屈曲して突出した部分である。当該一方の面531bは、棒状部511の他端が位置する側である。
【0031】
一対の立上げ片534は、平面部531における第1の方向Ar1に直交する方向(鉛直方向、図5中、左右方向)の両端から当該平面部531の他方の面531c側に略90°屈曲して突出した部分である。当該他方の面531cは、一方の面531bの裏面である。また、一対の立上げ片534の突端は、面531b,531cに平行な平坦面によって構成されている。
【0032】
第2の接続部材54は、第2の棒状部材74と接続する。この第2の接続部材54は、平面部541と、固定部542と、一対の第1の係止部543と、第2の係止部544とを備える。
【0033】
平面部541は、平面視矩形状の平板によって構成されている。また、この平面部541には、表裏を貫通する挿通孔541aが形成されている。ここで、挿通孔541aは、平面部541の中心位置に形成されている。
【0034】
固定部542は、平面部541と第2の棒状部材74とを接続(固定)する。本実施の形態では、固定部542は、ナットによって構成され、本発明に係る雌ネジ部に相当する。そして、固定部542は、挿通孔541aに第2の棒状部材74の一端が挿通され、当該一端の外周面に形成されたネジ溝(図示略)に固定されることで、平面部541と当該第2の棒状部材74とを接続する。この状態では、平面部541は、その板面が中心軸Ax2に直交する姿勢となる。
【0035】
一対の第1の係止部543は、基部543aと、爪部543bとをそれぞれ備える。
一対の基部543aは、平面部531における第1の方向Ar1に直交する方向(鉛直方向、図5中、左右方向)の両端から当該平面部541の一方の面541b側に略90°屈曲して延在する部分である。ここで、一対の基部543aにおける互いに対向する内面同士の離間寸法は、平面部531における第1の方向Ar1に直交する方向の長さ寸法よりも若干大きい。
また、一対の基部543aには、第1の方向Ar1に沿って貫通する挿通孔543cがそれぞれ形成されている。
【0036】
一対の爪部543bは、一対の基部543aの延在方向の先端から他方の基部543aに向けて略90°屈曲して突出する部分である。これら一対の爪部543bにおいて、一方の面541bに対向する面は、当該一方の面541bに平行な平坦面によって構成されている。
【0037】
第2の係止部544は、一対の第1の係止部543との間で第1の接続部材53に係止する。本実施の形態では、第2の係止部544は、ネジ544aと、ナット544bとによって構成されている。そして、第2の係止部544は、ネジ544aを一対の挿通孔543cに挿通し、ネジ544aのネジ溝(図示略)にナット544bを螺合することで、一対の基部543aに固定される。
【0038】
そして、第1の接続部材53は、平面部531と一対の立上げ片534とにおける第1の方向Ar1の一部の領域が一対の第1の係止部543及び第2の係止部544で囲まれる空間に位置する状態で、第2の接続部材54に連結されている。この状態では、挿通孔531a,541a同士(中心軸Ax1,Ax2同士)の鉛直方向の高さ位置は、略合致する(図5)。また、第2の接続部材54は、第2の係止部544及び一対の爪部543bが一対の立上げ片534及び平面部531に摺接しつつ、第1の接続部材53に対する姿勢を維持しながら第1の方向Ar1に沿って移動可能とする。ここで、一対の移動規制部533は、第2の接続部材54(爪部543b)に当接することで、第1の接続部材53に対する当該第2の接続部材54の第1の方向Ar1に沿う移動を規制する。
【0039】
そして、第1の接続部材53に対する第2の接続部材54の第1の方向Ar1に沿う移動可能量は、一対の移動規制部533によって、第2の型枠パネル3における波形状の断面のピッチP(例えば隣接する屈曲筋314同士の第1の方向Ar1の離間寸法)以下に設定されている。また、第1の接続部材53に対して第2の接続部材54を第1の方向Ar1に沿って移動させ、中心軸Ax1,Ax2同士を最も大きく偏心させた状態での偏心量は、ピッチPの半分より大きく、当該ピッチP以下に設定されている。
【0040】
第1の保持具6は、第1の型枠パネル2の第1の貫通孔H1を介して当該第1の型枠パネル2における打設空間SPとは反対の面側に突出したセパレータ5(棒状部512)に接続する。そして、第1の保持具6は、2本の端太材8とともに型枠セット1における第1の型枠パネル2側の強度を保持する。本実施の形態では、端太材8は、単管パイプである。この第1の保持具6は、ネジ棒61と、押え具62と、固定ナット63とを備える。
【0041】
ネジ棒61は、円柱形状を有し、棒状部512の一端に接続する。より具体的に、ネジ棒61の一端には、ネジ孔(図示略)が形成されている。そして、当該ネジ孔に棒状部512の一端の外周面に形成されたネジ溝を螺合することで、ネジ棒61は、棒状部512の一端に接続する。この状態では、ネジ棒61は、中心軸Ax1と同軸上に位置する。
【0042】
押え具62は、2本の端太材8を第1の型枠パネル2に対して押さえる。この押え具62には、ネジ棒61が挿通される挿通孔621が形成されている。そして、押え具62は、挿通孔621にネジ棒61が挿通された状態で当該ネジ棒61に組み付けられる。また、押え具62において、第1の型枠パネル2側の面には、2本の端太材8の外形形状にそれぞれ応じた一対の当接面622が形成されている。
【0043】
固定ナット63は、ネジ棒61の外周面に形成されたネジ溝(図示略)に螺合する。そして、固定ナット63を締め付けることで、押え具62と第1の型枠パネル2との間で2本の端太材8を固定する。
【0044】
第2の保持具7は、第2の型枠パネル3の第2の貫通孔H2を介してセパレータ5(固定部542)に接続する。そして、第2の保持具7は、2本の端太材9とともに型枠セット1における第2の型枠パネル3側の強度を保持する。本実施の形態では、端太材9は、単管パイプである。この第2の保持具7は、ネジ棒71と、押え具72と、固定ナット73と、第2の棒状部材74とを備える。なお、ネジ棒71、押え具72、及び固定ナット73は、上述した第1の保持具6におけるネジ棒61、押え具62、及び固定ナット63と同様の構成である。すなわち、押え具72は、挿通孔621と同様の挿通孔721と、一対の当接面622と同様の一対の当接面722とが形成されている。
【0045】
第2の棒状部材74は、円柱形状を有し、固定部542に接続する。より具体的に、第2の棒状部材74の一端の外周面には、ネジ溝(図示略)が形成されている。そして、当該ネジ溝をネジ棒71の一端に形成されたネジ孔(図示略)に螺合することで、第2の棒状部材74は、ネジ棒71の一端に接続する。また、第2の棒状部材74の他端741の外周面にもネジ溝(図示略)が形成されている。そして、他端741を第2の貫通孔H2及び挿通孔541aに挿通し、当該ネジ溝を固定部542に螺合することで、第2の棒状部材74は、セパレータ5に接続する。そして、他端741は、本発明に係る雄ネジ部に相当する。
【0046】
〔施工方法〕
次に、上述した型枠セット1を用いた基礎の施工方法について説明する。
以下、施工方法における型枠セット1の組立手順、及び脱型手順を順に説明する。
【0047】
〔型枠セット1の組立手順〕
先ず、施工方法における型枠セット1の組立手順について説明する。
図6は、施工方法における型枠セット1の組立手順を示す図である。具体的に、図6は、図4に対応した図である。また、図6において、符号「SP1」は、打設空間SPの外周面を示している。符号「SP2」は、打設空間SPの内周面を示している。
先ず、作業者は、予め捨てコンクリート上に取り付けた型枠保持具(図示略)上に第1の型枠パネル2を設置する(第1の型枠パネル設置工程(図6の(a)))。
【0048】
次に、作業者は、第1の型枠パネル2の第1の貫通孔H1に打設空間SP側からセパレータ5における第1の棒状部材51(棒状部512)を挿通するとともに、当該棒状部512の一端に第1の保持具6を接続する(セパレータ設置工程(図6の(b)))。そして、作業者は、セパレータ5を避けつつ、打設空間SPに鉄筋(図示略)を設置する。
【0049】
なお、第1の型枠パネル設置工程とセパレータ設置工程との順序は、上述した順序に限らない。例えば、セパレータ設置工程にてセパレータ5を第1の型枠パネル2に設置した後に、第1の型枠パネル設置工程にてセパレータ5付の第1の型枠パネル2を上述した型枠保持具上に設置しても構わない。
【0050】
次に、作業者は、上述した型枠保持具上に取り付けたレール(図示略)上に第2の型枠パネル3を設置する(第2の型枠パネル設置工程(図6の(c)))。より具体的に、作業者は、板片31における平面部312の一方の面312aが第1の型枠パネル2に対向するように第2の型枠パネル3を設置する。
【0051】
ここで、作業者は、第2の接続部材54(平面部541)が鉤手部311aに機械的に干渉する場合(図6の(c))には、第1の接続部材53に対して第2の接続部材54を第1の方向Ar1に沿って移動させる(セパレータ調整工程(図6の(d)))。より具体的に、作業者は、第2の型枠パネル3の第2の貫通孔H2の形成位置(平面部312の位置)に第2の接続部材54を位置付ける。
【0052】
なお、第1の方向Ar1に沿う移動によって第2の接続部材54を平面部312の位置に位置付けることが難しい場合には、中心軸Ax1を中心としてセパレータ5を180°回転させた後、第1の方向Ar1に沿って当該第2の接続部材54を移動させることで微調整すればよい。
【0053】
次に、作業者は、例えばステップドリルDRを用いて、第2の接続部材54を位置付けた平面部312における挿通孔541aに対向する位置に第2の貫通孔H2を形成する(図6の(e))。
【0054】
次に、作業者は、第2の貫通孔H2を介して打設空間SPの外側から第2の保持具7(第2の棒状部材74)をセパレータ5(第2の接続部材54)に接続する(図6の(f))。
【0055】
次に、作業者は、第1の型枠パネル2と押え具62との間に端太材8を取り付け、第2の型枠パネル3と押え具72との間に端太材9を取り付ける(図6の(g))。
【0056】
以上のように型枠セット1を組み立てた後、打設空間SPにコンクリートを打設する。
【0057】
〔脱型手順〕
次に、施工方法における脱型手順について説明する。
図7は、施工方法における脱型手順を示す図である。具体的に、図7は、図4に対応した図である。
先ず、作業者は、コンクリートCが硬化した後、端太材8,9の取り外し、セパレータ(棒状部512)からの第1の保持具6の取り外し、第1の型枠パネル2の取り外し、及び棒状部511からの連結部513(棒状部512を含む)の取り外しを順次、行う(図7の(a)~(d))。
【0058】
次に、作業者は、第2の接続部材54(固定部542)から第2の保持具7を取り外す(図7の(e))。
【0059】
最後に、作業者は、連結部513によって硬化後のコンクリートCに空いた穴、及び第2の棒状部材74によって硬化後のコンクリートCに空いた穴を補修材によって埋める。
【0060】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、第1の型枠パネル2として、平板状のパネルを採用していたが、これに限らず、第2の型枠パネル3と同様の波形状の断面が第1の方向Ar1に連続するパネルを採用しても構わない。すなわち、第1,第2の型枠パネル2,3の双方を波形状の断面が第1の方向Ar1に連続するパネルによって構成しても構わない。
【0061】
上述した実施の形態では、第2の型枠パネル3として、波形状の断面が第1の方向Ar1に連続するパネルを採用していたが、これに限らず、第1の型枠パネル2と同様の平板状のパネルを採用しても構わない。すなわち、第1,第2の型枠パネル2,3の双方を平板状のパネルによって構成しても構わない。
【0062】
上述した実施の形態では、第2の棒状部材74は、第2の保持具7を構成していたが、これに限らず、セパレータ5の一部として、第2の接続部材54に一体的に設けた構成を採用しても構わない。
【0063】
本発明に係る型枠セットは、コンクリートが打設される打設空間を形成する型枠セットであって、前記打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルと、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータとを備え、前記セパレータは、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、前記位置調整部材は、前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されていることを特徴とする。
【0064】
本発明では、セパレータを構成する第1,第2の接続部材は、第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向(以下、第1の方向と記載)に沿って互いに相対移動可能に連結されている。このため、第1,第2の貫通孔の位置がずれている場合であっても、第1,第2の接続部材を第1の方向に沿って互いに相対移動させれば、当該ずれに対応させることができる。
したがって、第1,第2の貫通孔の位置の精密な寸法計算をする必要がなく、施工性を向上させることができる。
【0065】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第2の型枠パネルは、波形状の断面が前記水平方向に沿って連続するパネルであることを特徴とする。
本発明では、第2の型枠パネルは、波形状の断面が第1の方向に沿って連続するパネルである。このように波形状の断面が第1の方向に沿って連続するパネルでは、第2の貫通孔を形成する位置は、当該波形状の山または谷の部分となり、第1の貫通孔の位置からずれ易いものとなる。このため、セパレータを構成する第1,第2の接続部材を用いれば、好適に当該ずれに対応させることができる。
【0066】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材における前記水平方向への相対移動可能とする移動量は、前記第2の型枠パネルにおける前記波形状の断面のピッチ以下に設定されていることを特徴とする。
本発明では、第1,第2の接続部材における第1の方向への相対移動可能とする移動量が上述したピッチ以下に設定されているため、必要な移動量を確保しつつ、位置調整部材の大型化を回避することができる。
【0067】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材を前記水平方向に相対移動させ、前記第1の棒状部材の中心軸と前記第2の棒状部材の中心軸とを最も大きく偏心させた状態での偏心量は、前記第2の型枠パネルにおける前記波形状の断面のピッチの半分より大きく、前記ピッチ以下に設定されていることを特徴とする。
本発明では、上述した偏心量が上述したピッチの半分より大きく、当該ピッチ以下に設定されている。このため、セパレータ自体を第1の棒状部材の中心軸を中心として180°回転させ、第1,第2の接続部材を第1の方向に相対移動させれば、第1,第2の貫通孔の位置のずれに確実に対応させることができるとともに、位置調整部材の大型化を回避することができる。
【0068】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第2の型枠パネルは、長辺同士が隣接するように組まれた短冊状の複数の板片を有し、前記板片は、隣接するものの前記長辺同士が回転可能に接続されていることを特徴とする。
本発明では、第2の型枠パネルが上述したように構成されているため、当該第2の型枠パネルをロール状に巻き取っておくことで保管及び搬送が可能である。また、ロール状態から巻き出しながら第2の型枠パネルを設置する施工が可能となり、施工性をさらに向上させることができる。
【0069】
また、本発明では、上述した型枠セットにおいて、前記第2の接続部材は、前記第2の棒状部材の一端に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が設けられ、前記雌ネジ部に前記雄ネジ部が螺合することで前記第2の棒状部材と接続することを特徴とする。
本発明では、第2の接続部材は、雌ネジ部によって第2の棒状部材の一端に設けられた雄ネジ部に螺合する。このため、脱型後、第2の棒状部材を雌ネジ部から取り外すことができ、当該第2の棒状部材が突出した状態となることを回避することができる。
【0070】
本発明に係るセパレータは、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルと、前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとを備えた型枠セットに用いられ、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネル及び前記第2の型枠パネル同士の間の幅を特定の幅に設定するセパレータであって、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に挿通される第1の棒状部材と、前記第1の棒状部材と接続する位置調整部材とを備え、前記位置調整部材は、前記第1の棒状部材と接続する第1の接続部材と、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔に挿通される第2の棒状部材と接続する第2の接続部材とを備え、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動可能に連結されていることを特徴とする。
本発明に係るセパレータは、上述した型枠セットに用いられるセパレータであるため、上述した型枠セットと同様の作用及び効果を奏する。
【0071】
本発明に係る施工方法は、コンクリートが打設される打設空間の一方の側面を形成する第1の型枠パネルを設置する第1の型枠パネル設置工程と、前記打設空間を横断し、前記第1の型枠パネルと前記打設空間の対向する他方の側面を形成する第2の型枠パネルとの間の幅を特定の幅に設定するセパレータを設置するセパレータ設置工程と、前記セパレータを調整するセパレータ調整工程と、前記第2の型枠パネルを設置する第2の型枠パネル設置工程とを備え、前記セパレータ設置工程では、前記第1の型枠パネルの表裏を貫通する第1の貫通孔に前記セパレータにおける第1の棒状部材を挿通し、前記セパレータ調整工程では、前記第2の型枠パネルの表裏を貫通する第2の貫通孔の形成位置に合わせて、前記セパレータにおける位置調整部材を構成する第1の接続部材及び第2の接続部材を前記第1の棒状部材の中心軸に交差する水平方向に沿って互いに相対移動させることを特徴とする。
本発明に係る施工方法は、上述した型枠セットを用いた施工方法であるため、上述した型枠セットと同様の作用及び効果を奏する。
【0072】
また、本発明では、上述した施工方法において、前記セパレータ調整工程では、さらに前記第1の棒状部材の中心軸を中心として前記セパレータを180°回転させることを特徴とする。
本発明では、セパレータ調整工程では、第1,第2の接続部材の第1の方向への相対移動と、第1の棒状部材の中心軸を中心とするセパレータの180°の回転とを組み合わせる。このため、第1,第2の貫通孔の位置のずれに確実に対応させつつ、位置調整部材の大型化を回避した構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 型枠セット、2 第1の型枠パネル、3 第2の型枠パネル、5 セパレータ、31 板片、51 第1の棒状部材、52 位置調整部材、53 第1の接続部材、54 第2の接続部材、74 第2の棒状部材、311 長辺、542 固定部(雌ネジ部)、741 他端(雄ネジ部)、Ar1 第1の方向、Ax1 中心軸、C コンクリート、H1 第1の貫通孔、H2 第2の貫通孔、P ピッチ、SP 打設空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7