(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016376
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】移動用車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20240131BHJP
B62B 5/06 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61H3/04
B62B5/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118441
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】滝藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】川村 満夫
【テーマコード(参考)】
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA04
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG04
4C046AA24
4C046AA43
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD07
4C046DD26
4C046DD27
4C046DD33
4C046DD43
(57)【要約】
【課題】ハンドルの高さ位置調整をし易くしながら、ハンドルのがたつきを好適に抑制することができる移動用車を提供する。
【解決手段】歩行車において、ハンドル支柱25は、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位により伸縮可能とされ、その伸縮によりハンドル22の高さ位置を調整可能となっている。縦フレーム16と支柱フレーム17との間には筒状の弾性部材50が介在されている。弾性部材50は、縦フレーム16の対向板部16aに形成された孔部48aを通じて固定ねじ18のハンドル基部42aにより押し込まれ、その押し込みによりハンドル基部42aと縦フレーム16の対向板部16bとの間で挟み込まれる。そして、その挟み込みにより、弾性部材50が支柱フレーム17の外面に左右方向に押し付けられる。支柱フレーム17の下端部に取り付けられた下端部材は、一対の脚部が前後方向において支柱フレーム17の内面に当接している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側にハンドルが支持されたハンドル支柱を備え、
前記ハンドル支柱は、筒状部と、前記筒状部に挿入された棒状部とを有し、
前記筒状部と前記棒状部との相対変位により前記ハンドル支柱を伸縮させることで前記ハンドルの高さ位置を調整可能な移動用車において、
前記筒状部は、上下方向と交差する第1方向に対向する第1部分及び第2部分を有し、
前記筒状部と前記棒状部との間に介在され、前記棒状部を囲むように設けられた弾性部材と、
前記第1部分に形成された開口部を通じて前記弾性部材を前記第2部分に向けて押し込む押込部と、を備え、
前記押込部による押し込みにより、前記押込部と前記第2部分との間に前記弾性部材が挟み込まれることで、前記弾性部材が前記棒状部の外面に前記第1方向に押し付けられ、
前記棒状部と一体に設けられ、上下方向及び前記第1方向のいずれにも交差する第2方向に互いに離間して配置された一対の当接部を備え、
前記各当接部は、前記第2方向において前記筒状部の内面に当接する、移動用車。
【請求項2】
前記ハンドルの高さ位置が調整された状態で締め込まれることにより、前記筒状部と前記棒状部とを互いに固定する固定ねじを備え、
前記固定ねじには、前記固定ねじの締め込みに伴い前記弾性部材を押し込む前記押込部が設けられている、請求項1に記載の移動用車。
【請求項3】
前記棒状部には、前記筒状部へ挿入される挿入先側の端部に、前記各当接部を有する端部材が取り付けられている、請求項2に記載の移動用車。
【請求項4】
前記端部材は、前記棒状部の前記端部に取り付けられた取付部と、前記取付部から前記棒状部とは反対側に延びる前記当接部としての一対の脚部とを有し、
前記各脚部は、前記端部材の弾性力により、互いに離間する側へ付勢されることで、前記筒状部の内面に押し付けられる、請求項3に記載の移動用車。
【請求項5】
前記筒状部、前記棒状部及び前記弾性部材はいずれも、前記上下方向と交差する断面において一方向の長さが前記一方向と交差する他方向の長さよりも長くなっており、
前記押込部による押込方向である前記第1方向は、前記他方向となっており、
前記当接部が当接する前記第2方向は、前記一方向となっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移動用車。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記上下方向の一端から他端側へ向けて延びる複数のスリットにより分割された複数の分割片を有しており、
前記複数の分割片には、前記第1方向に対向する一対の第1分割片と、前記第2方向に対向する一対の第2分割片とが含まれており、
前記押込部による押し込みにより、前記押込部と前記第2部分との間に前記各第1分割片が挟み込まれることで、前記各第1分割片が前記棒状部の外面にそれぞれ押し付けられる一方、その押し付けにより前記各第1分割片が互いに近づくことに伴い、前記各第2分割片が前記第2方向において互いに離間する側に変位して前記筒状部の内面に押し付けられた状態で当接するようになっており、
それら当接する前記各第2分割片が前記当接部となる、請求項1に記載の移動用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人や荷物の移動を補助する移動用車として、高齢者等の歩行を補助する歩行車や、荷物を運ぶ際に用いられるキャリーカート、車椅子、ベビーカー等が知られている。移動用車は、上端側にハンドルが支持されたハンドル支柱を備えている。ハンドル支柱には、外筒と、外筒に挿入された内筒とを有して構成されているものがある。かかるハンドル支柱は、外筒と内筒とが上下に相対変位されることにより伸縮可能となっており、そのハンドル支柱の伸縮によりハンドルの高さ位置を調整可能となっている。
【0003】
ハンドルの高さ位置を調整可能な上記の構成では、ハンドル支柱を構成する外筒及び内筒の間でがたつきが生じる場合が想定される。この場合、ハンドルを持って移動用車を移動させる際に、ハンドルががたつくおそれがある。そこで特許文献1には、かかるハンドルのがたつきを抑制すべく、外筒及び内筒の間に弾性部材を介在させた構成が開示されている。
【0004】
特許文献1の構成では、円筒状の外筒に、上方から円筒状の内筒が挿入されている。そして、それら外筒及び内筒の間に断面C字状の弾性部材が設けられている。弾性部材は、その厚みが外筒と内筒との間の隙間寸法と略同じに設定されている。弾性部材は、外筒の上端側に取り付けられ、内筒を囲むように配置されている。外筒の上端側には、外筒の上端から下方に延びるスリットが形成されている。また、外筒の上端側においてスリットを挟んだ両側には、径方向外側に突出する一対のボス部が設けられている。それらボス部には締付ねじが貫通しており、その締付ねじはナットと締結されている。
【0005】
上述した特許文献1の構成では、締付ねじがナットに締め付けられることにより、各ボスが締付ねじとナットとの間に挟み込まれ、それにより外筒が縮径されている。そして、外筒が縮径されることにより、内筒が弾性部材を介して締め付けられている。かかる構成によれば、外筒と内筒との間でがたつきが生じるのを抑制することができる。具体的には、外筒と内筒との間で前後方向にも左右方向にもがたつきが生じるのを抑制することができる。そのため、ハンドルのがたつきを好適に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構成において、ハンドルの高さ位置を調整する際には、まず締付ねじを緩めて弾性部材を介した内筒の締め付けを解除し、そして、その解除状態で外筒と内筒とを相対変位させることによりハンドルの高さ位置を調整することになる。しかしながら、外筒と内筒との間には、それら両者間の隙間と同じ厚みを有する断面C字状の弾性部材が介在されているため、外筒と内筒とを相対変位させる際に、内筒が弾性部材の略全周と擦れ合うことが想定される。このため、外筒と内筒との相対変位を円滑に行うのが困難になると考えられ、ひいてはハンドルの高さ位置調整が困難になると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ハンドルの高さ位置調整をし易くしながら、ハンドルのがたつきを好適に抑制することができる移動用車を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の移動用車は、上端側にハンドルが支持されたハンドル支柱を備え、前記ハンドル支柱は、筒状部と、前記筒状部に挿入された棒状部とを有し、前記筒状部と前記棒状部との相対変位により前記ハンドル支柱を伸縮させることで前記ハンドルの高さ位置を調整可能な移動用車において、前記筒状部は、上下方向と交差する第1方向に対向する第1部分及び第2部分を有し、前記筒状部と前記棒状部との間に介在され、前記棒状部を囲むように設けられた弾性部材と、前記第1部分に形成された開口部を通じて前記弾性部材を前記第2部分に向けて押し込む押込部と、を備え、前記押込部による押し込みにより、前記押込部と前記第2部分との間に前記弾性部材が挟み込まれることで、前記弾性部材が前記棒状部の外面に前記第1方向に押し付けられ、前記棒状部と一体に設けられ、上下方向及び前記第1方向のいずれにも交差する第2方向に互いに離間して配置された一対の当接部を備え、前記各当接部は、前記第2方向において前記筒状部の内面に当接する。
【0010】
第1の発明によれば、ハンドル支柱において、筒状部と棒状部との間には、棒状部を囲む弾性部材が介在されている。弾性部材は、筒状部の第1部分に形成された開口部を通じて、押込部により筒状部の第2部分に向けて押し込まれる。そして、かかる押し込みにより、押込部と第2部分との間に弾性部材が挟み込まれることで、弾性部材が棒状部の外面に第1方向に押し付けられる。この場合、筒状部と棒状部との間で第1方向のがたつきが生じるのを抑制することができ、その結果、ハンドルが第1方向にがたつくのを抑制することができる。
【0011】
また、上記の構成では、押込部による押し込みを解除することにより、押込部と第2部分との間に弾性部材を挟み込まない状態を構築することができる。そのため、ハンドルの高さ位置を調整すべく、筒状部と棒状部とを相対変位させる際に、棒状部が第1方向における棒状部を挟んだ両側で弾性部材と擦れるのを抑制することができる。そのため、棒状部が弾性部材の全周と擦れ合う場合と比べ、筒状部と棒状部との相対変位を円滑に行うことができる。これにより、ハンドルの高さ位置調整をし易くすることができる。
【0012】
また、棒状部と一体に設けられた各当接部が、上下方向及び第1方向のいずれにも交差する第2方向において筒状部の内面に当接するため、筒状部と棒状部との間で第2方向のがたつきが生じるのを抑制することができる。そのため、ハンドルが第2方向にがたつくのを抑制することができる。この場合、互いに交差する第1方向及び第2方向のいずれにもハンドルががたつくのを抑制することができるため、ハンドルのがたつきを好適に抑制することができる。
【0013】
第2の発明の移動用車は、第1の発明において、前記ハンドルの高さ位置が調整された状態で締め込まれることにより、前記筒状部と前記棒状部とを互いに固定する固定ねじを備え、前記固定ねじには、前記固定ねじの締め込みに伴い前記弾性部材を押し込む前記押込部が設けられている。
【0014】
第2の発明によれば、筒状部と棒状部とを固定する固定ねじに押込部が設けられている。この場合、筒状部と棒状部とを固定すべく、固定ねじを締め込むのと同時に、押込部による弾性部材の押し込みが行われる。そのため、固定ねじによる固定作業とは別に、弾性部材の押し込み作業を行う必要がなく、ハンドルの高さ位置調整を行う上で作業効率の向上を図ることができる。
【0015】
第3の発明の移動用車は、第2の発明において、前記棒状部には、前記筒状部へ挿入される挿入先側の端部に、前記各当接部を有する端部材が取り付けられている。
【0016】
固定ねじにより筒状部と棒状部とが固定される上記第2の発明の構成では、筒状部と棒状部とが固定ねじを支点として互いに回動するように、両者の間でがたつきが生じる場合が想定される。この場合、このがたつきは、固定ねじの締込方向(換言すると押込部による押込方向)である第1方向と交差する方向へのがたつき、つまり第2方向へのがたつきとなる。
【0017】
そこで、第3の発明では、こうした点に鑑み、棒状部において、筒状部への挿入先側の端部に各当接部を有する端部材を取り付けている。この場合、各当接部は、上下方向において固定ねじから離間した位置に配置される。そのため、各当接部は、固定ねじから上記離間した位置で第2方向において筒状部の内面に当接することになる。これにより、固定ねじを支点とした筒状部と棒状部との間の第2方向へのがたつきを好適に抑制することができる。その結果、筒状部と棒状部とが固定ねじにより固定される構成において、ハンドルの第2方向のがたつきを好適に抑制することができる。
【0018】
第4の発明の移動用車は、第3の発明において、前記端部材は、前記棒状部の前記端部に取り付けられた取付部と、前記取付部から前記棒状部とは反対側に延びる前記当接部としての一対の脚部とを有し、前記各脚部は、前記端部材の弾性力により、互いに離間する側へ付勢されることで、前記筒状部の内面に押し付けられる。
【0019】
第4の発明によれば、端部材の各脚部が、弾性力により、第2方向における互いに離間する側へ付勢されることで、筒状部の内面に押し付けられる。この場合、筒状部と棒状部との間の第2方向のがたつきをより一層抑制することができる。そのため、ハンドルの第2方向のがたつきをより好適に抑制することができる。
【0020】
第5の発明の移動用車は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記筒状部、前記棒状部及び前記弾性部材はいずれも、前記上下方向と交差する断面において一方向の長さが前記一方向と交差する他方向の長さよりも長くなっており、前記押込部による押込方向である前記第1方向は、前記他方向となっており、前記当接部が当接する前記第2方向は、前記一方向となっている。
【0021】
筒状部及び棒状部には、その横断面(上下方向と交差する断面)において一方向の長さが、一方向と交差する他方向の長さよりも長くなっているものがある。第5の発明では、こうした構成において、押込部による押し込み方向である第1方向を上記他方向にしている。この場合、押込部による押し込みにより、弾性部材を棒状部の外面に押し付ける際に、比較的広い範囲で押し付けることができる。そのため、弾性部材に対して棒状部が第2方向にずれるのを抑制することが可能となる。これにより、押込部による押し込みにより、ハンドルの第1方向のがたつきに加え、第2方向のがたつきについても抑制することが可能となる。
【0022】
また、当接部が当接する第2方向については、上記一方向としているため、各当接部が筒状部の内面に当接する範囲を狭くすることができる。この場合、筒状部と棒状部との相対変位に伴い、各当接部が筒状部の内面に摺動する際の摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、筒状部と棒状部との相対変位をより円滑に行うことができ、その結果、ハンドルの高さ位置調整をよりし易くすることができる。
【0023】
第6の発明の移動用車は、第1の発明において、前記弾性部材は、前記上下方向の一端から他端側へ向けて延びる複数のスリットにより分割された複数の分割片を有しており、前記複数の分割片には、前記第1方向に対向する一対の第1分割片と、前記第2方向に対向する一対の第2分割片とが含まれており、前記押込部による押し込みにより、前記押込部と前記第2部分との間に前記各第1分割片が挟み込まれることで、前記各第1分割片が前記棒状部の外面にそれぞれ押し付けられる一方、その押し付けにより前記各第1分割片が互いに近づくことに伴い、前記各第2分割片が前記第2方向において互いに離間する側に変位して前記筒状部の内面に押し付けられた状態で当接するようになっており、それら当接する前記各第2分割片が前記当接部となる。
【0024】
第6の発明によれば、弾性部材が、複数のスリットにより分割された一対の第1分割片、及び一対の第2分割片を有している。この場合、押込部による押し込みにより、弾性部材の各第1分割片が押込部と筒状部の第2部分との間に挟み込まれ、その挟み込みにより各第1分割片が棒状部の外面にそれぞれ押し付けられる。かかる構成では、弾性部材を棒状部の外面に第1方向に押し付けし易く、その結果、第1方向のがたつきを好適に抑制することができる。また、各第1分割片の上記の押し付けにより各第1分割片が互いに近づくと、それに伴い、各第2分割片が第2方向において互いに離間する側に変位して筒状部の内面に押し付けられた状態で当接する。これにより、ハンドルの第1方向のがたつきを抑制する弾性部材を用いて、第2方向のがたつきについても抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】ハンドル支柱を左右方向の内側から見た図であり、ハンドル支柱の一部を縦断面の状態で示している。
【
図5】(a)が弾性部材を斜め上方から見た斜視図であり、(b)が弾性部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】(a)が支柱フレームの下端部に下端部材が取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)が下端部材を示す斜視図である。
【
図7】支柱フレームの下端部に下端部材が取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0027】
図1に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13とを備える。各フレーム部11は、連結部材14を介して互いに連結されている。なお、歩行車10が移動用車に相当する。
【0028】
各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下部フレーム15と、下部フレーム15の中間部から上方に延びる縦フレーム16とを有する。下部フレーム15の前端部に前輪12が取り付けられ、下部フレーム15の後端部に後輪13が取り付けられている。
【0029】
縦フレーム16は、金属製のパイプ材により筒状に形成されている。各縦フレーム16の内側には、支柱フレーム17が上方から挿入されている。支柱フレーム17は、金属製のパイプ材により筒状に形成され、上下方向に延びている。支柱フレーム17は、縦フレーム16に挿入された状態で、縦フレーム16に固定ねじ18を用いて固定されている。この場合、縦フレーム16と支柱フレーム17とを含んでハンドル支柱25が構成されている。また、固定ねじ18は、縦フレーム16の上端部に設けられたブラケット19に保持されている。なお、縦フレーム16が筒状部に相当し、支柱フレーム17が棒状部に相当する。
【0030】
支柱フレーム17(ひいてはハンドル支柱25)の上端側には、取付部材21を介してハンドル22とブレーキレバー23とが設けられている。ハンドル22は、ユーザが歩行車10を移動させる際に把持する部分である。また、ブレーキレバー23は、ブレーキ操作を行うためのものであり、ハンドル22の下方に配置されている。なお、取付部材21には、段差等で歩行車10を持ち上げる際に把持する持ち手24が形成されている。
【0031】
各縦フレーム16の間には、座部31が設けられている。座部31には、後方から着座することが可能となっている。座部31の後方には、左右一対のかご受け部32が設けられている。スーパーマーケット等の店舗では、各かご受け部32と座部31とにそれぞれ買い物かごを載せて買い物することが可能となっている。また、かご受け部32は、左右方向の外側に回動可能となっている(
図1の二点鎖線参照)。座部31に着座する際には、各かご受け部32を左右方向の外側にそれぞれ回動させてから着座するようになっている。
【0032】
座部31の上方には、背もたれ34が設けられている。背もたれ34は、座部31に着座するユーザの背を受けるものである。背もたれ34は、各縦フレーム16の上端部に架け渡され、各縦フレーム16のブラケット19に取り付けられている。また、座部31の前方には、物を収容可能な収容部36が設けられている。
【0033】
続いて、ハンドル支柱25の構成について、
図1に加え、
図2及び
図3に基づき説明する。
図2は、ハンドル支柱25を左右方向の内側から見た図であり、ハンドル支柱25の一部を縦断面の状態で示している。なお、
図2では、右側のハンドル支柱25を示している。また、
図3は、
図2のA-A線断面図である。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ハンドル支柱25は、上述したように、縦フレーム16と、縦フレーム16の内側に挿入された支柱フレーム17とを有している。支柱フレーム17は、縦フレーム16への挿入状態で縦フレーム16に沿って上下方向に変位可能となっている。この場合、縦フレーム16と支柱フレーム17とは上下方向に相対変位可能となっており、その相対変位によりハンドル支柱25を上下に伸縮させることが可能となっている。そして、ハンドル支柱25を伸縮させることにより、ハンドル22の高さ位置を調整可能となっている。
【0035】
図1~
図3に示すように、支柱フレーム17と縦フレーム16とは、ハンドル22の高さ位置が調整された状態で、固定ねじ18を用いて互いに固定される。固定ねじ18は、ハンドル付きのつまみねじからなり、ねじ部が形成された軸部41と、軸部41の基端側に設けられたハンドル部42とを有する。ハンドル部42は、軸部41の基端部に取り付けられたハンドル基部42aと、ユーザにより把持される把持部42bとを有する。ハンドル基部42aは、軸部41と同方向に延びる円柱状をなし、軸部41よりも径が大きくなっている。また、把持部42bは、ハンドル基部42aに対して基端側に設けられ、ハンドル基部42aよりも拡径された円盤状をなしている。
【0036】
固定ねじ18を保持するブラケット19は、上下方向に延びる筒状部43を有している。筒状部43は、その内側に縦フレーム16の上端側を挿入した状態で、縦フレーム16に取り付けられている。筒状部43は、左右方向に対向する一対の対向部43a,43bを有している。各対向部43a,43bのうち、対向部43aが左右方向の内側に配置され、対向部43bが左右方向の外側に配置されている。
【0037】
対向部43aには、固定ねじ18の軸部41がねじ込まれるねじ孔部44が形成されている。ねじ孔部44には、その内周面にめねじが形成されている。また、対向部43bには、固定ねじ18のハンドル部42(詳しくはハンドル基部42a)が挿通される孔部45が形成されている。固定ねじ18は、その孔部45にハンドル基部42aを挿通した状態で、軸部41が縦フレーム16及び支柱フレーム17を介して対向部43aのねじ孔部44にねじ込まれている。これにより、縦フレーム16と支柱フレーム17とが、固定ねじ18により互いに固定されている。
【0038】
縦フレーム16には、固定ねじ18(詳しくは軸部41)を挿通可能な挿通孔48が形成されている。挿通孔48は、縦フレーム16を左右方向に貫通している。また、支柱フレーム17には、固定ねじ18(詳しくは軸部41)を挿通可能な挿通孔49が上下方向に所定の間隔(詳しくは等間隔)で複数形成されている。これらの挿通孔49は、支柱フレーム17を左右方向に貫通している。
【0039】
固定ねじ18は、縦フレーム16の挿通孔48と支柱フレーム17の各挿通孔49のうちのいずれかとにそれぞれ挿通され、その挿通状態でブラケット19のねじ孔部44に締め込まれるようになっている。これにより、縦フレーム16に対する支柱フレーム17の高さ位置が調整された状態で、つまりハンドル22の高さ位置が調整された状態で、縦フレーム16と支柱フレーム17とが固定ねじ18を用いて互いに固定されるようになっている。
【0040】
ここで、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位により、ハンドル22の高さ位置が調整可能とされた上述の構成では、縦フレーム16と支柱フレーム17との間でがたつきが生じるおそれがあり、ひいては支柱フレーム17に支持されたハンドル22にがたつきが生じるおそれがある。そこで、本歩行車10では、かかる点に鑑み、ハンドル22のがたつきを抑制するための構成を備えている。以下においては、その構成について
図3に加え、
図4及び
図5に基づき説明する。
図4は、
図2のB-B線断面図である。また、
図5は、(a)が弾性部材50を斜め上方から見た斜視図であり、(b)が弾性部材50を斜め下方から見た斜視図である。
【0041】
図4に示すように、縦フレーム16及び支柱フレーム17はいずれも横断面(上下方向と交差する断面)の形状が前後方向に長い略長方形状とされている。そのため、これら各フレーム16,17は、その横断面において前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。なお、本実施形態では、前後方向が「一方向」に相当し、左右方向が「他方向」に相当する。また、支柱フレーム17には左右方向に対向する板部17a同士を繋ぐ繋ぎ部17bが設けられ、それにより支柱フレーム17の補強が図られている。
【0042】
図3及び
図4に示すように、縦フレーム16と支柱フレーム17との間には、弾性部材50が設けられている。弾性部材50は、樹脂材料により弾性を有して形成されている。弾性部材50の樹脂材料としては、エンジニアリングプラスチックが好ましく、またポリアセタール樹脂がより好ましい。弾性部材50は、上下方向に延びる筒状をなしており、支柱フレーム17を囲んだ状態で配置されている。弾性部材50は、縦フレーム16及び支柱フレーム17と同様、横断面(上下方向と交差する断面)の形状が前後方向に長い略長方形状とされている。そのため、弾性部材50は、その横断面(上下方向と交差する断面)において、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。なお、弾性部材50は、金属材料やゴム材料等、樹脂材料以外の材料により形成されてもよい。
【0043】
弾性部材50は、縦フレーム16の上端側において、縦フレーム16と支柱フレーム17との間に介在されている。
図3~
図5に示すように、弾性部材50には、その上縁部から外側に突出するフランジ部55が設けられている。フランジ部55は、縦フレーム16の上端部に上方から引っ掛けられている。また、ブラケット19の筒状部43には、その上縁部から内側に突出するフランジ部56が形成されている。フランジ部56は、弾性部材50のフランジ部55の上方に配置され、縦フレーム16の上端部との間でフランジ部55を挟んでいる。これにより、弾性部材50が縦フレーム16の上端側に取り付けられている。
【0044】
弾性部材50には、その下端から上方に延びる複数(具体的には4つ)のスリット51が形成されている。弾性部材50は、これらのスリット51により分割された複数の分割片52を有している。これら複数の分割片52には、左右方向に対向する一対の分割片52aと、前後方向に対向する一対の分割片52bとが含まれている。なお、各分割片52aが第1分割片に相当し、各分割片52bが第2分割片に相当する。また、弾性部材50には、厚みの大きくされた肉厚部54が格子状に設けられており、それにより弾性部材50の強度が確保されている。
【0045】
弾性部材50には、固定ねじ18の軸部41が挿通される挿通孔53が形成されている。挿通孔53は、弾性部材50を左右方向に貫通しており、詳しくは弾性部材50の各分割片52aを貫通している。また、挿通孔53は、縦フレーム16の挿通孔48と連通している。
【0046】
縦フレーム16は、弾性部材50を挟んで左右方向に対向する一対の対向板部16a,16bと、弾性部材50を挟んで前後方向に対向する一対の対向板部16c,16dとを有している。各対向板部16a,16bのうち、対向板部16aが左右方向の外側に配置され、対向板部16bが左右方向の内側に配置されている。なお、対向板部16aが第1部分に相当し、対向板部16bが第2部分に相当する。
【0047】
縦フレーム16の挿通孔48は、各対向板部16a,16bに跨がって形成されている。挿通孔48は、対向板部16aに形成された孔部48aと、対向板部16bに形成された孔部48bとを有している。孔部48aは、孔部48bよりも径が大きくなっている。孔部48aには、固定ねじ18のハンドル基部42aを挿入可能となっている。なお、孔部48aが開口部に相当する。
【0048】
固定ねじ18は、そのハンドル基部42aが孔部48aに挿入された状態で、軸部41が弾性部材50の挿通孔53に挿通されている。この場合、固定ねじ18の軸部41は、縦フレーム16、支柱フレーム17及び弾性部材50の各挿通孔48,49,53に挿通され、その挿通状態でブラケット19のねじ孔部44に締め込まれている。なお、固定ねじ18の締込方向である左右方向が「第1方向」に相当する。また、前後方向が「第2方向」に相当する。
【0049】
固定ねじ18の締め込みに伴い、弾性部材50は、固定ねじ18のハンドル基部42aにより縦フレーム16の対向板部16bに向けて押し込まれている。この押し込みにより、弾性部材50はハンドル基部42aと対向板部16bとの間に挟み込まれ、その挟み込みにより支柱フレーム17の外面に左右方向に押し付けられた状態となっている。また、詳しくは、弾性部材50の各分割片52aがハンドル基部42aと対向板部16bとの間に挟み込まれ、それにより各分割片52aが支柱フレーム17の外面に押し付けられた状態となっている。これにより、縦フレーム16と支柱フレーム17との間で左右方向のがたつきが生じるのを抑制することができ、その結果、ハンドル22が左右方向にがたつくのを抑制することができる。なお、固定ねじ18のハンドル基部42aが押込部に相当する。
【0050】
また、弾性部材50の各分割片52aが支柱フレーム17の外面に押し付けられる際には、各分割片52aが互いに近づくことになる。この場合、各分割片52aが左右方向に近づくことに伴い、別の各分割片52bが前後方向に互いに離間する側に変位する。そして、その変位により、各分割片52bは、縦フレーム16の各対向板部16c,16dの内面に前後方向に押し付けられた状態となっている。これにより、縦フレーム16と支柱フレーム17との間で前後方向のがたつきが生じるのを抑制することができ、その結果、ハンドル22が前後方向にがたつくのを抑制することができる。なお、各分割片52bが「棒状部(支柱フレーム17)と一体に設けられた当接部」に相当する。
【0051】
固定ねじ18が緩められることによりハンドル基部42aによる弾性部材50の押し込みが解除されると、ハンドル基部42aと縦フレーム16の対向板部16bとの間に弾性部材50が挟み込まれない状態とされる。これにより、弾性部材50は、弾性力により左右方向に拡がって、縦フレーム16の内面に押し付けられた状態とされる。詳しくは、弾性部材50の各分割片52aが左右方向の外側に弾性変形して、縦フレーム16の内面に押し付けられた状態とされる。この場合、固定ねじ18を取り外してハンドル22の高さ位置調整をすべく、縦フレーム16と支柱フレーム17とを相対変位させる際に、支柱フレーム17が弾性部材50の各分割片52aに擦れるのを抑制することができる。そのため、支柱フレーム17が弾性部材50の全周と擦れ合う場合と比べ、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位を円滑に行うことができ、その結果、ハンドル22の高さ位置調整をし易くすることができる。
【0052】
なお、弾性部材50の各分割片52aが左右方向の外側に弾性変形するのに伴い、他方の各分割片52bは、前後方向の内側に若干弾性変形するようになっている。
【0053】
ここで、本歩行車10では、上述した弾性部材50に加え、支柱フレーム17の下端部に下端部材60を設けている。そして、この下端部材60により、ハンドル22のがたつきをさらに抑制するようにしている。そこで、以下では、この下端部材60について、
図2に加え、
図6及び
図7に基づき説明する。
図6は、(a)が支柱フレーム17の下端部に下端部材60が取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)が下端部材60を示す斜視図である。
図7は、支柱フレーム17の下端部に下端部材60が取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【0054】
図6(a),(b)及び
図7に示すように、下端部材60は、支柱フレーム17の下端部に取り付けられた取付部61と、取付部61から下方に延びる一対の脚部62とを有している。取付部61は、前後方向に延びており、上方へ突出する突出部61aを有している。突出部61aは、支柱フレーム17の下端開口より支柱フレーム17の内側に入り込んでおり、その状態でビス65により支柱フレーム17に固定されている。この場合、ビス65は、突出部61aに形成されたねじ孔66にねじ込まれている。なお、下端部材60が端部材に相当する。
【0055】
各脚部62は、取付部61の前後方向の両端部からそれぞれ下方に延びている。この場合、各脚部62は、支柱フレーム17とは反対側に向けて延びている。各脚部62の先端側(下端側)には、前後方向の外側に突出する突部68が形成されている。これら各突部68は、脚部62の左右方向に延びている。また、各脚部62には、突部68の先端から下方に延びる傾斜面69が形成されている。各傾斜面69は、下方に向かうにつれて互いに近づくように傾斜している。
【0056】
下端部材60は、樹脂材料により弾性を有して形成されている。下端部材60は、支柱フレーム17の内部に配置され、その配置状態で各脚部62の突部68が支柱フレーム17の内面に当接している。この場合、各脚部62の突部68は、前後方向において支柱フレーム17の内面に当接している。そのため、縦フレーム16と支柱フレーム17との間で前後方向にがたつきが生じるのを抑制することができ、その結果、ハンドル22が前後方向にがたつくのを抑制することができる。なお、各脚部62が「棒状部(支柱フレーム17)と一体に設けられた当接部」に相当する。
【0057】
また、各脚部62は、前後方向の内側に弾性変形された状態で支柱フレーム17の内部に配置されている。この場合、各脚部62は、下端部材60の弾性力により、前後方向において互いに離間する側に付勢されており、それにより、各脚部62は支柱フレーム17の内面に押し付けられた状態で当接している。これにより、ハンドル22の前後方向のがたつきを好適に抑制することが可能となっている。
【0058】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
上述したように、縦フレーム16と支柱フレーム17との間に介在された弾性部材50により、左右方向及び前後方向のいずれにもハンドル22ががたつくのを抑制することができる。これにより、ハンドル22のがたつきを好適に抑制することができる。また、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位の際に支柱フレーム17が弾性部材50に擦れるのを抑制することができるため、ハンドル22の高さ位置調整をし易くしながら、ハンドル22のがたつきを好適に抑制することができる。
【0060】
縦フレーム16と支柱フレーム17とを固定する固定ねじ18に、弾性部材50を押し込むハンドル基部42aが設けられている。この場合、縦フレーム16と支柱フレーム17とを固定すべく、固定ねじ18を締め込むのと同時に、ハンドル基部42aによる弾性部材50の押し込みが行われる。そのため、固定ねじ18による固定作業とは別に、弾性部材50の押し込み作業を行う必要がなく、ハンドル22の高さ位置調整を行う上で作業効率の向上を図ることができる。
【0061】
固定ねじ18により縦フレーム16と支柱フレーム17とが固定される上記の構成では、縦フレーム16と支柱フレーム17とが固定ねじ18を支点として互いに回動するように、両者16,17の間でがたつきが生じる場合が想定される。この場合、このがたつきは、固定ねじ18の締込方向(換言するとハンドル基部42aによる押込方向)である左右方向と交差する方向へのがたつき、つまり前後方向へのがたつきとなる。
【0062】
そこで、上記の実施形態では、こうした点に鑑み、支柱フレーム17において、縦フレーム16への挿入先側の端部となる下端部に下端部材60を取り付けている。下端部材60は、前後方向において縦フレーム16の内面に当接する一対の脚部62を有している。この場合、各脚部62は、固定ねじ18から下方に離間した位置に配置される。そのため、各脚部62は、固定ねじ18から上記離間した位置で前後方向において縦フレーム16の内面に当接することになる。これにより、固定ねじ18を支点とした縦フレーム16と支柱フレーム17との間の前後方向へのがたつきを好適に抑制することができる。その結果、縦フレーム16と支柱フレーム17とが固定ねじ18により固定される構成において、ハンドル22の前後方向のがたつきを好適に抑制することができる。
【0063】
縦フレーム16と支柱フレーム17とは、その横断面において、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。そして、上記の実施形態では、こうした構成において、固定ねじ18のハンドル基部42aによる押込方向を左右方向にしている。この場合、ハンドル基部42aによる押し込みにより、弾性部材50を支柱フレーム17の外面に押し付ける際に、比較的広い範囲で押し付けることができる。そのため、弾性部材50に対して支柱フレーム17が前後方向にずれるのを抑制することが可能となる。これにより、ハンドル基部42aによる弾性部材50の押し込みにより、ハンドル22の左右方向のがたつきに加え、前後方向のがたつきについても抑制することが可能となる。
【0064】
また、下端部材60の各脚部62が縦フレーム16の内面に当接する当接方向を前後方向としているため、各脚部62が縦フレーム16の内面に当接する範囲を狭くすることができる。この場合、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位に伴い、各脚部62が縦フレーム16の内面に摺動する際の摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、縦フレーム16と支柱フレーム17との相対変位をより円滑に行うことができ、その結果、ハンドル22の高さ位置調整をよりし易くすることができる。
【0065】
弾性部材50が、複数のスリット51により分割された複数の分割片52a,52bを有している。この場合、ハンドル基部42aによる押し込みにより、弾性部材50の各分割片52aがハンドル基部42aと支柱フレーム17の対向板部16bとの間に挟み込まれ、その挟み込みにより各分割片52aが支柱フレーム17の外面にそれぞれ押し付けられる。かかる構成では、弾性部材50を支柱フレーム17の外面に左右方向に押し付けし易く、その結果、左右方向のがたつきを好適に抑制することができる。また、各分割片52aの上記押し付けにより各分割片52aが互いに近づくと、それに伴い、他方の各分割片52bが前後方向において互いに離間する側に変位して縦フレーム16の内面に押し付けられた状態で当接する。これにより、ハンドル22の左右方向のがたつきを抑制する弾性部材50を用いて、前後方向のがたつきについても抑制することが可能となる。
【0066】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0067】
・弾性部材50にスリット51を設けず、弾性部材50が分割片52を有しない構成としてもよい。また、弾性部材50に上下方向全域に亘って切れ目を設け、弾性部材50を断面C字状に形成してもよい。
【0068】
・上記実施形態において、下端部材60を不具備としてもよい。この場合にも、弾性部材50の各分割片52bにより、ハンドル22の前後方向のがたつきを抑制することが可能となる。また、下端部材60を不具備とすることに代え、弾性部材50が各分割片52bを有しない構成としてもよい。この場合にも、下端部材60によりハンドル22の前後方向のがたつきを抑制することができる。
【0069】
・上記実施形態では、固定ねじ18のハンドル基部42aを弾性部材50を押し込む押込部としたが、固定ねじ18とは別で押込部を設けてもよい。例えば、かかる押込部として、円柱状のゴム部材を設けることが考えられる。この場合、縦フレーム16の対向板部16aにゴム部材を嵌め込み可能な孔部を設け、その孔部にゴム部材を嵌め込むことで当該ゴム部材により弾性部材50を押し込むようにする。
【0070】
・上記実施形態では、縦フレーム16と支柱フレーム17とを固定ねじ18を用いて固定したが、縦フレーム16と支柱フレーム17とを係合ピン等、固定ねじ18以外の部材を用いて固定してもよい。例えば、係合ピンを用いて固定する場合、支柱フレーム17の各挿通孔49のうちのいずれかと縦フレーム16の挿通孔48とに係合ピンを挿通することにより、縦フレーム16と支柱フレーム17とを固定することが考えられる。
【0071】
また、上記の構成において、係合ピンに、弾性部材50を押し込む押込部を設けてもよい。この場合、係合ピンを両フレーム16,17の各挿通孔48,49に押し込んで挿通する際に、弾性部材50が押込部により押し込まれることになる。
【0072】
・上記実施形態では、ハンドル支柱25において、筒状部としての縦フレーム16を下側、棒状部としての支柱フレーム17を上側に配置した。換言すると、筒状部を固定側、棒状部を可動側にした。しかしながら、筒状部を可動側(上側)、棒状部を固定側(下側)として、ハンドル支柱を構成することも考えられる。そこで、そのような構成に本発明を適用するようにしてもよい。
【0073】
また、ハンドル支柱を上記のように構成した場合、端部材として、棒状部の上端部(挿入先側の端部)に上端部材を取り付けるようにする。上端部材は、例えば上記実施形態の下端部材60を上下に反転した構成とすることが考えられる。この場合、上端部材は、棒状部の上端部に取り付けられる取付部と、取付部の前後方向の両端部から上方に延びる一対の脚部とを有して構成される。
【0074】
・上記実施形態では、高齢者等の歩行を補助する歩行車10に本発明を適用したが、ベビーカーやキャリーカート、車椅子、台車等、歩行車以外の移動用車に本発明を適用してもよい。要するに、筒状部と棒状部との相対変位により、ハンドルの高さ位置を調整可能な移動用車であれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10…移動用車としての歩行車、16…筒状部としての縦フレーム、16a…第1部分としての対向板部、16b…第2部分としての対向板部、17…棒状部としての支柱フレーム、18…固定ねじ、22…ハンドル、25…ハンドル支柱、42a…押込部としてのハンドル基部、48a…開口部としての孔部、50…弾性部材、51…スリット、52…分割片、52a…第1分割片としての分割片、52b…第2分割片としての分割片、60…端部材としての下端部材、61…取付部、62…当接部としての脚部。