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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163762
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20241115BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079633
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユージン チャン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰
【テーマコード(参考)】
2C060
3F048
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BA11
2C060BC62
2C060BC99
3F048AA05
3F048AC04
3F048BA07
3F048DB02
3F048DC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正確に用紙幅の設定を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】ロール紙に対して画像を形成するプリンタ1であって、ロール紙を収容する筐体10と、筐体10内に設けられ、それぞれロール紙の幅方向に沿って移動可能に構成され、互いに幅方向に離間してロール紙を間に保持する一対の用紙ガイド40と、一対の用紙ガイド40のそれぞれの位置を検知するセンサ121~124と、センサ121~124の検知結果に基づいて、ロール紙の幅を判定するプロセッサとを備えた。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に対して画像を形成するプリンタであって、
前記ロール紙を収容する筐体と、
前記筐体内に設けられ、それぞれ前記ロール紙の幅方向に沿って移動可能に構成され、互いに前記幅方向に離間して前記ロール紙を間に保持する一対のガイドと、
前記一対のガイドのそれぞれの位置を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記ロール紙の幅を判定するプロセッサと
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記検知部は、前記一対のガイドのいずれかが近接する場合、該近接するガイドを検知するセンサを複数有し、
前記複数のセンサは互いに幅方向に離間して設けられ、
前記プロセッサは、前記一対のガイドのうちの一方を検知したセンサと、他方を検知したセンサとからの検知信号をそれぞれ検知結果として取得し、前記ロール紙の幅を判定する
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数のセンサの組み合わせと、設定すべきロール紙の幅とが対応付けられた対応情報を有し、前記対応情報と前記検知結果とに基づいて、前記ロール紙の幅を判定する
ことを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記対応情報と前記検知結果とに基づいて、前記ロール紙が前記幅方向における一方側及び他方側のいずれかに寄って配置されているか否かを更に判定し、前記ロール紙が前記幅方向における一方側及び他方側のいずれかに寄って配置されていると判定された場合、前記ロール紙が寄る側に対応して画像形成範囲を設定する
ことを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項5】
前記筐体内に設けられ、前記幅方向に延在して前記移動及び回動可能に前記一対のガイドそれぞれを軸支する支軸
を更に備えることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通紙や感熱紙等のロール紙に画像を形成するプリンタでは、ロール紙の幅方向への移動が用紙ガイドにより規制される。そのため、プリンタにロール紙をセットする場合、ユーザはロール紙をプリンタ内に収容させた後に用紙ガイドを手動で移動させる。移動後には、ユーザは、セットしたロール紙の幅をプリンタに設定する作業を手動で行う。
【0003】
このようなユーザによる手動での用紙幅の設定作業は、入力ミス等の誤りが生じる可能性がある。用紙幅の設定を誤ると、プリンタが本来の性能を発揮できず、印刷品質の低下やロール紙の残量が少ないことを検知できない、等の問題が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-164296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、正確に用紙幅の設定を行うことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、ロール紙に対して画像を形成するプリンタであって、前記ロール紙を収容する筐体と、前記筐体内に設けられ、それぞれ前記ロール紙の幅方向に沿って移動可能に構成され、互いに前記幅方向に離間して前記ロール紙を間に保持する一対のガイドと、前記一対のガイドのそれぞれの位置を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記ロール紙の幅を判定するプロセッサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略斜視図である。
図2】実施形態に係る、カバーを開いた状態にあるプリンタを示す斜視図である。
図3】実施形態に係るプリンタを示す平面図である。
図4】実施形態に係る、保持状態にある用紙ガイドを説明するための図である。
図5】実施形態に係る、移動状態にある用紙ガイドを説明するための図である。
図6】実施形態に係る一対の用紙ガイドの移動及び固定位置を説明するための図である。
図7】実施形態に係る一対の用紙ガイドを狭めた状態にあるプリンタを示す斜視図である。
図8】実施形態に係る一対の用紙ガイドを狭めた状態においてロール紙をセットしたプリンタを示す平面図である。
図9図8のA-A線断面図である。
図10】実施形態に係るプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
図11】実施形態に係る用紙設定処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図において、同一構成については同一の符号が付される。
【0009】
(プリンタの構成)
本実施形態に係るプリンタの構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る、カバーを開いた状態にあるプリンタを示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るプリンタを示す平面図である。なお、図3では、説明上カバー20が省略されている。
【0010】
図1図3に示される本実施形態に係るプリンタ1は、感熱紙等の直発色用紙である連続紙を用いて、直接感熱記録印刷方式により印刷を行うサーマルプリンタとして構成される。プリンタ1は、例えばレシートプリンタである。プリンタ1は、連続紙がロール状に巻回されてなるロール紙Rを収容する筐体10と、筐体10に対して開閉可能に設けられたカバー20とを備える。筐体10とカバー20との上面には、連続紙を排出する排出口30が形成される。なお、図1に示されるプリンタ1の図中左斜め下方側をプリンタ1の前方、その逆側を後方と称して以後説明を行う。
【0011】
筐体10は、ロール紙Rを収容する収容空間を画成する略箱状に形成される。筐体10は、後方側と比較して前方側が上方に突出しており、この部分がプリンタ1の上面の一部を形成する。筐体10の収容空間内には、それぞれ板状に形成された一対の用紙ガイド40が設けられている。なお、図2では、一対の用紙ガイド40のうちの一方のみが示されている。一対の用紙ガイド40は、それらの間でロール紙Rを保持する。一対の用紙ガイド40の詳細については後述する。
【0012】
カバー20は、筐体10の後方側上面を被覆可能に形成されている。カバー20は、その一端部に設けられた図示しない一対の支軸が、筐体10内において回動可能に軸支される。カバー20は、一対の支軸を軸に回動することにより、筐体10の収容空間を開放、閉塞可能に開閉する。
【0013】
排出口30は、筐体10の上面とカバー20の正面とに亘って形成されている。具体的には、筐体10上面の後方側に形成された切り欠き部分と、カバー20上面の前方側に形成された切り欠き部分とにより形成される。排出口30は、下方に窪むことにより凹部として形成される。排出口30の下方には、プラテンローラ50が回動可能にカバー20に取り付けられている。
【0014】
プラテンローラ50は、連続紙を裏面側から印字ヘッド60(図10参照)に圧着するように、印字ヘッド60に対向する位置において回転可能に軸支される送りローラである。プラテンローラ50は、プラテンモータ51(図10参照)により回転駆動されることによって、ロール紙Rから巻き解かれた連続紙を排出口30から排出するように搬送する。
【0015】
印字ヘッド60は、排出口30の下方に設けられ、連続紙の幅方向に隣接する複数の発熱素子を有する。印字ヘッド60は、複数の発熱素子が入力されたパルス波に応じて発熱することにより、連続紙に画像を形成する。印字ヘッド60により画像が形成されて排出口30から排出された連続紙は、連続紙の搬送方向においてプラテンローラ50及び印字ヘッド60よりも下流側に設けられたカッタユニット70(図10参照)により切断される。
【0016】
カッタユニット70は、固定刃と可動刃とを有し、不図示のモータやソレノイドなどの駆動装置により可動刃を固定刃に向けて進退動させる。可動刃の固定刃への進出により、固定刃と可動刃との間に介在される連続紙を切断する。当該切断により、ユーザは、排出口30から切断された連続紙を取得することができる。
【0017】
以下、一対の用紙ガイド40について詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る、保持状態にある用紙ガイドを示す概略側面図である。図5は、本実施形態に係る、移動状態にある用紙ガイドを示す概略側面図である。図6は、本実施形態に係る一対の用紙ガイドの移動及び固定位置を説明するための図である。図7は、実施形態に係る一対の用紙ガイドを狭めた状態にあるプリンタを示す斜視図である。図8は、本実施形態に係る一対の用紙ガイドを狭めた状態においてロール紙をセットしたプリンタを示す平面図である。図9は、図8のA-A線断面図である。なお、図4図5では、図中左側がプリンタ1の前方側を示している。また、図6は、一対の用紙ガイド40が模式的に示される平面図となっている。また、図8では、説明上カバー20が省略されている。
【0018】
図3に示されるように、一対の用紙ガイド40は、ロール紙Rが収容空間にセットされた状態において、ロール紙Rの幅方向(左右方向)端面に近接または当接する。近接または当接することにより、一対の用紙ガイド40は、左右方向への移動を規制可能に、それらの間でロール紙Rを保持する。一対の用紙ガイド40は、それぞれ筐体10の収容空間内において前後方向に延在する同一形状、同一機能を有する板状部材として構成される。一対の用紙ガイド40は、前後方向に延在することにより、ロール紙Rのみならずロール紙Rから巻き解かれた連続紙もそれらの間に保持することができる。
【0019】
図4に示されるように、用紙ガイド40は、筐体10の収容空間の特に底壁の形状に対応するよう、前方側が略鍵爪状に内側に湾曲するように先細り、後方側が上下方向に広がる形状を有している。換言すれば、用紙ガイド40は、筐体10の収容空間の床面に一様に当接可能に形成されている。なお、筐体10内に設けられた連続紙用のダンパーを避けるため、用紙ガイド40の前方先端部分は略鍵爪状に形成されている。つまり、一対の用紙ガイド40は、ダンパー近傍にまで達することにより、ダンパー近傍における連続紙の左右方向移動を規制することができる。一対の用紙ガイド40は、それぞれ図4に示されるように収容空間の床面に当接した状態で、それらの間でロール紙Rを保持する保持状態となる。
【0020】
用紙ガイド40は、後方側下部に後方に突出する突出片402が形成されている。突出片402は、図4に示される保持状態において筐体10の収容空間内に設けられたセンサ120内の検知空間に挿入される。センサ120についての詳細は後述する。
【0021】
用紙ガイド40の後方側上部は、上方に突出しており、その先端に挿通孔401が穿設されている。挿通孔401は、図3に示される筐体10の収容空間内に左右方向に延在するように設けられた支軸140が挿通される。挿通孔401に支軸140が挿通されることにより、用紙ガイド40は、支軸140に対して回動可能に軸支される。したがって、図5に示されるように、用紙ガイド40は、支軸140を軸に上方に回動することができる。このような用紙ガイド40の回動は、例えばその前方先端部をユーザが把持して上方に引き上げる等することにより、容易に行うことができる。
【0022】
用紙ガイド40は、上方に回動されることにより、突出片402がセンサ120の検知空間から抜去される。このように上方に回動され、突出片402がセンサ120から抜去された状態において、用紙ガイド40は移動状態となる。移動状態にある一対の用紙ガイド40は、支軸140に沿って左右方向に互いに接離可能に相対移動することができる。
【0023】
センサ120は、左右方向に離間する投光部と受光部とを有する平面視C字状に形成される非接触センサである。投光部と受光部との間の空間が上述した検知空間となる。センサ120は、投光部と受光部との間に突出片402が挿入されている場合に、検知信号を検知結果として後述するMPU(Micro Processing Unit)81(図10参照)に送出する。このような非接触センサとしては、フォトインタラプタやリフレクタ型の光電センサ等が挙げられる。なお、接触式変位センサ等の接触型のセンサを用いるようにしてもよい。しかしながら、繰り返しの接触により不具合が生じる可能性を考慮すると、非接触センサを用いることが好ましい。
【0024】
センサ120は、本実施形態においては左右方向に沿って整列して互いに離間するように、4つ設けられている。図6に示される符号121~124は、互いに位置が異なるセンサ120を示している。センサの位置を区別する場合はセンサ121~124と称し、区別しない場合はセンサ120と称して以後説明を行う。図6に示されるように、本実施形態においては、センサ121とセンサ122とのいずれかに一対の用紙ガイド40の一方を移動させて位置付けることができる。また、センサ123とセンサ124とのいずれかに一対の用紙ガイド40の他方を移動させて位置付けることができる。
【0025】
図6に示されるように、センサ122の前方側における収容空間の床面には、前後方向に沿って整列するように対をなす、一対の係合溝101,102が設けられる。係合溝101は係合溝102の後方に位置して前後方向に長く形成される。一対の係合溝101,102は、センサ121,123,124のそれぞれの前方にも対応して設けられている。したがって、収容空間の床面には、計一対の係合溝101,102が計4つ形成される。一対の係合溝101,102には、真後ろに位置するセンサ120に突出片402が挿入される保持状態において、用紙ガイド40の一部がそれぞれ個別に挿入される。これにより一対の係合溝101,102と1つの用紙ガイド40とがそれぞれ係合する。当該係合により、用紙ガイド40は少なくとも左右方向への移動が規制され、保持状態を良好に維持することが可能となる。本実施形態においては、図4及び図5に示されるガイド40の下部に形成された突起403が係合溝101に係合し、突起404が係合溝102に係合する。
【0026】
センサ121~124それぞれの間の離間距離は、プリンタ1に使用する幅の異なる複数種類のロール紙Rに対応した距離となっている。つまり、一対の用紙ガイド40は、センサ121~124のいずれか2つに突出片402が挿入されて保持状態となった場合、当該2つのセンサの離間距離に対応するロール紙Rを保持することが可能となる。
【0027】
例えば、センサ121とセンサ124との離間距離は、80mm幅のロール紙Rを一対の用紙ガイド40間で保持可能な距離に設定される。センサ122とセンサ123との離間距離は、40mm幅のロール紙Rを一対の用紙ガイド40間で保持可能な距離に設定される。センサ121とセンサ123との離間距離、及び、センサ122とセンサ124との離間距離は、それぞれ58mm幅のロール紙Rを一対の用紙ガイド40間で保持可能な距離に設定される。このように設定されることにより、本実施形態のプリンタ1では、4つのセンサ121~124により3種類の幅のロール紙Rを一対の用紙ガイド40で保持することが可能となる。
【0028】
図7図9は、一例として一対の用紙ガイド40を、センサ122とセンサ124とに位置付けた保持状態が示されている。一方、図2及び図3は、一対の用紙ガイド40を、センサ121とセンサ124とに位置付けた保持状態が示されている。したがって、図8及び図9に示されるロール紙Rは58mm幅、図2及び図3に示されるロール紙Rは80mm幅である。図2図3図8によれば、58mm幅のロール紙Rであっても、80mm幅のロール紙Rであっても、一対の用紙ガイド40により確実に保持されていることがわかる。なお、図7においては、センサ124に位置付けた用紙ガイド40が説明上省略されている。
【0029】
また、図9に示されるように、一対の用紙ガイド40は、その前後方向略中央部分が下方に窪む形状に形成されている。このように形成されることにより、一対の用紙ガイド40は、ロール紙Rの下方の両端面を覆うようにロール紙Rを保持することができる。したがってユーザは、ロール紙Rの上方両端面を把持することができ、筐体10の収容空間にロール紙Rを容易にセットすることができる。
【0030】
(制御系の構成及び動作)
本実施形態に係るプリンタの制御系の構成及び動作について説明する。図10は、本実施形態に係るプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【0031】
図10に示すように、プリンタ1は、上述したMPU81、プラテンモータ51、印字ヘッド60、カッタユニット70、4つのセンサ120(センサ121~124)以外に、RAM(Random Access Memory)82、ROM(Read Only Memory)83、通信I/F(InterFace)84を備える。
【0032】
通信I/F84は、プリンタ1の上位装置との通信を行う。MPU81は、RAM82と協働して、プラテンモータ51、印字ヘッド60、及びカッタユニット70を制御する。当該制御によりMPU81は、通信I/F84を介して上位装置から受信した画像を連続紙に形成し、連続紙を所定量搬送後に切断する。
【0033】
更に、MPU81は、4つのセンサ120のうちのいずれか2つから検知信号を取得し、取得した検知信号に基づいてロール紙Rの幅を自動設定する用紙幅設定処理を実行する。なお、MPU81は、検知信号がどのセンサから取得したものであるかを判定することができる。検知信号にセンサを固有に示す情報が含まれていても良い。ROM83は、MPU81による処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。特に、本実施形態においては用紙幅判定テーブルを記憶する。用紙幅判定テーブルの詳細は後述する。
【0034】
(ロール紙Rのセット方法)
上述したプリンタ1にロール紙Rをセットする場合、ユーザは、先ずカバー20を開いて筐体10内の一対の用紙ガイド40を、セットしたいロール紙Rの幅に合うように移動させる。具体的には、一対の用紙ガイド40のいずれか一方を、保持状態から移動状態に移行させる。移行後、ユーザは、4つのセンサ121~124のいずれかのセンサに突出片402を挿入するように、一方の用紙ガイド40を当該センサに位置付けて下方に回動させる。ユーザは、一方の用紙ガイド40を更に下方に回動させ、当該センサの前方に位置する一対の係合溝101,102に突起402,403を挿入して係合させる。
【0035】
当該係合により、一方の用紙ガイド40は、保持状態となる。その後、ユーザは、必要があれば他方の用紙ガイド40も保持状態から移動状態に移行させ、4つのセンサ121~124のいずれかに位置付けて保持状態とする。このように一対の用紙ガイド40をそれぞれ保持状態とすると、本実施形態に係るプリンタ1は、用紙幅設定処理により自動でロール紙Rの幅を判定する。一対の用紙ガイド40をそれぞれ保持状態とした後、ユーザは、ロール紙Rを一対の用紙ガイド40の間にセットする。
【0036】
(用紙幅設定処理)
用紙幅設定処理について説明する。図11は、本実施形態に係る用紙幅設定処理を示すフローチャートである。なお、図11に示す処理は、電源が投入された後、所定の周期毎に実行されるものとする。
【0037】
図11に示すように、MPU81は、先ず4つのセンサ121~124のうちの2つから検知信号を検知結果として取得したか否かを判定する(S101)。この判定によれば、一対の用紙ガイド40がそれぞれ4つのセンサ121~124のいずれかに位置付けられた保持状態となっているか否かを判定することができる。2つのセンサから検知信号を検知結果として取得したと判定した場合(S101,YES)、MPU81は、プリンタ1のロール紙Rの幅の情報を初期化済みであるか否かを判定する(S102)。
【0038】
初期化済みである場合(S102,YES)、MPU81は、ROM83から用紙幅判定テーブルを読み込む(S103)。読み込み後、MPU81は、用紙幅判定テーブルに基づいて、ロール紙Rの幅を判定し、プリンタ1に使用されるロール紙Rの幅を設定(S104)する。具体的には、MPU81は、ロール紙Rの幅をRAM82等の記憶装置に記憶し、当該幅に応じて印字ヘッド60による印字範囲を設定する。設定後、本周期での用紙幅設定処理は終了となる。
【0039】
用紙幅判定テーブルは、4つのセンサ121~124の検知信号の組み合わせと、ロール紙の幅とが対応付けられた情報である。例えば、センサ121とセンサ124との組み合わせに対して、ロール紙R幅80mmが対応付けられている。同様に、センサ122とセンサ123との組み合わせに対して、ロール紙R幅40mmが対応付けられている。また、センサ121とセンサ123との組み合わせ、及び、センサ122とセンサ124との組み合わせに対して、それぞれロール紙R幅58mmが対応付けられている。したがって、用紙幅判定テーブルを参照することにより、MPU81は、取得した検知結果からロール紙Rの幅を判定することが可能となる。
【0040】
なお、センサ121とセンサ123との組み合わせでは、ロール紙Rはプリンタ1に向かって左方側に寄って収容空間内に配置される。同様に、センサ122とセンサ124との組み合わせでは、ロール紙Rはプリンタ1に向かって右方側に寄って収容空間内に配置される。このことから、用紙幅判定テーブルには、センサの組み合わせに対して、収容空間における左右方向にいずれに寄っているか否かを示す情報も対応付けられていることが好ましい。当該情報がセンサの組み合わせに対応付けられることにより、MPU81は、印字ヘッド60の発熱素子を左右方向のいずれかのみに限定して制御するなどして画像形成範囲(印字範囲)を変更できる。画像形成範囲を変更することにより、印字ヘッド60の消耗を分散することができる。
【0041】
なお、ステップS101の処理において、2つのセンサから検知信号を検知結果として取得していないと判定した場合(S101,NO)、MPU81は、設定されているロール紙の幅の情報を初期化する(S105)。2つのセンサから検知信号を検知結果として取得していない場合は、少なくとも一対の用紙ガイド40のいずれかが移動状態となっている。そのため、ロール紙Rの幅が変更される可能性が極めて高い。よって、設定されているロール紙の幅の情報を初期化して次周期以降でのロール紙Rの幅の設定に備えるようにしている。
【0042】
また、ステップS102の処理において、初期化済みでない場合(S102,NO)、本周期での用紙幅設定処理は終了となる。これは、本周期の直前の周期で取得された2つの検知信号に変更がない、つまりロール紙Rの幅に変更がないことを意味するためである。
【0043】
以上に説明した本実施形態によれば、一対の用紙ガイド40を移動させてセンサ120に位置付けるのみで自動的にロール紙Rの幅を設定することができる。そのため、人が手動で設定する場合と比較して、正確な設定を行うことができる。また、人が手動でロール紙Rの幅の設定を行う場合には、相当な時間を要するが、本実施形態によれば極めて短時間で設定を完了することができる。更に、一対の用紙ガイド40は互いに相対移動可能に構成されているため、様々な幅のロール紙Rに対応することができる。また、幅によっては、ロール紙Rを左右方向にいずれかに択一的に寄らせて保持することが可能となる。
【0044】
なお、以上に説明した本実施形態では、センサ120を4つ設けると説明したがこれに限定するものではない。少なくとも2通りの幅のロール紙Rをセット可能に、センサ120は3つ以上設けられていればよい。
【0045】
また、上述した用紙幅設定処理では、一対の用紙ガイド40のいずれかが移動状態となるとロール紙Rの幅の情報が初期化されると説明した。しかしながら、初期化を行わず、取得した2つの検知信号が前回の周期で取得した検知信号と出力元が同一であるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、同一であれば現周期での用紙幅設定処理は終了となり、異なればステップS103の処理に移行することとなり、ステップS104においてロール紙Rの幅の情報が更新される。
【0046】
また、本実施形態においては、プリンタ1は直接感熱記録印刷方式により印字を行うものと説明したが、他の方式により印字を行うものであっても良い。また、ロール紙Rは感熱紙である必要は無い。ロール紙Rは複数のラベルが間隔を空けて連続的に貼着された連続紙等であってもよく、ライナを有するものであってもよい。
【0047】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンタ
10 筐体
40 一対の用紙ガイド(ガイド)
81 MPU(プロセッサ)
120~124 センサ(検知部)
140 支軸
R ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11