(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016377
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】脚装置
(51)【国際特許分類】
F16M 11/32 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F16M11/32 N
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118442
(22)【出願日】2022-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】522298129
【氏名又は名称】青山 満也
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】青山 満也
(57)【要約】
【課題】各脚部を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置を実現する。
【解決手段】脚装置10は、回転軸11と、回転軸11の周方向に並べて配置された複数の脚部12と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、回転軸11を中心にして回転自在に脚支持部13を、上側から支持する上側支持部14と、脚支持部13と上側支持部14の一方に一体化されて、脚支持部13と上側支持部14の他方に一体化された回転軸11を回転自在に支持するベアリング15とを備え、複数の脚部12が閉脚した状態で上側支持部14を回転運動させると、脚支持部13及び複数の脚部12が、回転軸11を中心にして上側支持部14から独立して回転する状態となり、その回転による遠心力によって複数の脚部12が開脚する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の周方向に並べて配置された複数の脚部と、
前記複数の脚部の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部と、
前記回転軸を中心にして回転自在に前記脚支持部を、上側から支持する上側支持部と、
前記脚支持部と前記上側支持部の一方に一体化されて、前記脚支持部と前記上側支持部の他方に一体化された前記回転軸を回転自在に支持するベアリングとを備え、
前記複数の脚部が閉脚した状態で前記上側支持部を回転運動させると、前記脚支持部及び前記複数の脚部が、前記回転軸を中心にして上側支持部から独立して回転する状態となり、該回転による遠心力によって複数の脚部が開脚する、脚装置。
【請求項2】
前記回転軸を中心にして前記上側支持部を回転運動させると、前記上側支持部の回転力を前記脚支持部及び前記複数の脚部に伝達する伝達部とをさらに備え、
前記複数の脚部が閉脚した状態で前記回転軸を中心にして前記上側支持部を回転運動させると、前記伝達部による前記回転力の伝達がなされて、前記複数の脚部が、前記回転軸を中心に回転することで、遠心力によって開脚し、
前記複数の脚部が開脚する過程では、前記伝達部による前記回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、前記複数の脚部は前記上側支持部から独立して回転する状態になる、請求項1に記載の脚装置。
【請求項3】
前記脚支持部、及び、前記複数の脚部の回転が停止すると、重力によって複数の脚部は自動的に閉脚状態に戻る、請求項1に記載の脚装置。
【請求項4】
前記脚部は、脚本体部と、該脚本体部の上側に設けられ前記脚支持部に回転自在に支持される脚側取付部とを有し、
前記複数の脚部を閉脚させた状態で、当該脚装置を平坦面上に設置すると、前記脚本体部の上面に前記脚支持部が載置されるように構成されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の脚装置。
【請求項5】
前記脚支持部は、前記脚部を回転自在に支持する支持ピンを有し、
前記脚側取付部には、前記支持ピンが挿通されて高さ方向に延びる長穴が形成され、
当該脚装置を平坦面上に設置して、前記脚本体部の上面に前記脚支持部が載置された状態で、前記支持ピンは前記長穴の下端から離間するように構成されている、請求項4に記載の脚装置。
【請求項6】
前記脚支持部は、当該脚装置を平坦面上に設置すると前記上側支持部が載置される台座部を有する、請求項1乃至3の何れか1つに記載の脚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の脚部を有する脚装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の脚部を有する脚装置として、カメラなどを載せるために用いる三脚(三脚架)が広く用いられている。特許文献1には、正常な開閉位置におけるクリック係止を確実かつ効果的に行い得る三脚が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、三脚のような開脚と閉脚との切り替えが可能な従来の脚装置は、片方の手で脚装置を持ち上げながら、もう片方の手で各脚部を開脚させる必要がある。それに対し、本願の発明者は、各脚部を開脚させた状態での設置を片手で行うことができれば、脚装置がより便利なものになると考えた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、各脚部を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、回転軸と、回転軸の周方向に並べて配置された複数の脚部と、複数の脚部の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部と、回転軸を中心にして回転自在に脚支持部を、上側から支持する上側支持部と、脚支持部と上側支持部の一方に一体化され、脚支持部と上側支持部の他方に一体化された回転軸を回転自在に支持するベアリングとを備え、複数の脚部が閉脚した状態で上側支持部を回転運動させると、脚支持部及び複数の脚部が、回転軸を中心にして上側支持部から独立して回転する状態となり、該回転による遠心力によって複数の脚部が開脚する、脚装置である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、回転軸を中心にして上側支持部を回転運動させると、上側支持部の回転力を脚支持部及び複数の脚部に伝達する伝達部とをさらに備え、複数の脚部が閉脚した状態で回転軸を中心にして上側支持部を回転運動させると、伝達部による回転力の伝達がなされて、複数の脚部が、回転軸を中心に回転することで、遠心力によって開脚し、複数の脚部が開脚する過程では、伝達部による回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、複数の脚部は上側支持部から独立して回転する状態になる。
【0008】
第3の発明は、第1の発明において、脚支持部、及び、複数の脚部の回転が停止すると、重力によって複数の脚部は自動的に閉脚状態に戻る。
【0009】
第4の発明は、第1乃至3の何れか1つの発明において、脚部は、脚本体部と、該脚本体部の上側に設けられ脚支持部に回転自在に支持される脚側取付部とを有し、複数の脚部を閉脚させた状態で、当該脚装置を平坦面上に設置すると、脚本体部の上面に脚支持部が載置されるように構成されている。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、脚支持部は、脚部を回転自在に支持する支持ピンを有し、脚側取付部には、支持ピンが挿通されて高さ方向に延びる長穴が形成され、当該脚装置を平坦面上に設置して、脚本体部の上面に脚支持部が載置された状態で、支持ピンは長穴の下端から離間するように構成されている。
【0011】
第6の発明は、第1乃至3の何れか1つの発明において、脚支持部は、当該脚装置を平坦面上に設置すると上側支持部が載置される台座部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、複数の脚部が閉脚した状態で上側支持部を回転運動させると、脚支持部及び複数の脚部が、回転軸を中心にして上側支持部から独立して回転する状態となり、その回転による遠心力によって複数の脚部が開脚する。脚支持部及び複数の脚部は、ベアリングを具備するため滑らかに回転する。そのため、上側支持部の回転運動を停止させても、複数の脚部が回転する状態、及び、複数の脚部が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。そして、この状態で、脚装置をそのまま降ろすと、各脚部を開脚させた状態で、脚装置が設置される。それに対し、ベアリングを具備しない場合は、脚支持部及び複数の脚部は、回転しない、又は、回転する場合でも滑らかに回転しない。そのため、上側支持部の回転運動を続けなければ、複数の脚部が回転する状態は継続されず、上側支持部の回転運動によって複数の脚部が開脚する状態になったとしても、上側支持部の回転運動が停止すると、複数の脚部は直ちに閉脚する。従って、ベアリングを具備しない場合、上側支持部の回転運動を続けながら、或いは、脚部を手で把持しなければ、各脚部を開脚させた状態で脚装置を設置することが難しい。本発明では、脚部を開脚させた状態で脚装置を設置するために、上側支持部の回転運動を続けたり、脚部を手で把持したりする必要がなく、各脚部を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)の脚装置を縦方向に切断した図であり、
図1(c)は、
図1(a)の脚装置の軸部及び台座部の拡大斜視図であり、
図1(d)は、
図1(a)の脚装置のベアリングの拡大斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た分解斜視図であり、
図2(b)は、
図2(a)に示す分解状態の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る脚装置の脚部の側面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子を示す斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態に係る脚装置を閉脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の脚装置を縦方向に切断した図であり、
図5(c)は、第1実施形態に係る脚装置を開脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図5(d)は、
図5(c)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図6】
図6(a)は、第1実施形態の第1変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)の脚装置を縦方向に切断した図であり、
図6(c)は、
図6(a)の脚装置における複数の脚部を上側から見た図である。
【
図7】
図7(a)は、第1実施形態の第2変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図7(b)は、
図7(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図8】
図8(a)は、第1実施形態の第3変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図9】
図9(a)は、第2実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図10】
図10(a)は、第2実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た分解斜視図であり、
図10(b)は、
図10(a)に示す分解状態の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図11】
図11(a)は、第2実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子を示す斜視図であり、
図11(b)は、
図11(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図12】
図12(a)は、第2実施形態に係る脚装置を閉脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図12(b)は、
図12(a)の脚装置を縦方向に切断した図であり、
図12(c)は、第2実施形態に係る脚装置を開脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図12(d)は、
図12(c)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図13】
図13(a)は、第2実施形態の第1変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図13(b)は、
図13(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図14】
図14(a)は、第2実施形態の第2変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図14(b)は、
図14(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図15】
図15(a)は、第2実施形態の第3変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図15(b)は、
図15(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図16】
図16(a)は、第3実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図16(b)は、
図16(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図17】
図17(a)は、第3実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た分解斜視図であり、
図17(b)は、
図17(a)に示す分解状態の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図18】
図18(a)は、第3実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子を示す斜視図であり、
図18(b)は、
図18(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図19】
図19(a)は、第3実施形態に係る脚装置を閉脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図19(b)は、
図19(a)の脚装置を縦方向に切断した図であり、
図19(c)は、第3実施形態に係る脚装置を開脚状態で平坦面に設置した状態の側面図であり、
図19(d)は、
図19(c)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図20】
図20(a)は、第3実施形態の第1変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図20(b)は、
図20(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図21】
図21(a)は、第3実施形態の第2変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図21(b)は、
図21(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図22】
図22(a)は、第3実施形態の第3変形例に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図22(b)は、
図22(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図23】
図23(a)は、第4実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図23(b)は、
図23(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図24】
図24(a)は、第4実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子の前半を示す斜視図であり、
図24(b)は、
図24(a)の後半の斜視図である。
【
図25】
図25(a)は、第5実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図25(b)は、
図25(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図26】
図26(a)は、第5実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子の前半を示す斜視図であり、
図26(b)は、
図26(a)の後半の斜視図である。
【
図27】
図27(a)は、第6実施形態に係る脚装置を斜め上側から見た斜視図であり、
図27(b)は、
図27(a)の脚装置を縦方向に切断した図である。
【
図28】
図28(a)は、第6実施形態に係る脚装置が閉脚状態から開脚状態へ切り替わる様子の前半を示す斜視図であり、
図28(b)は、
図28(a)の後半の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0015】
<第1実施形態>
本実施形態は、閉脚状態と開脚状態との切り替えが可能な脚装置10である。
図1-2は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図1に示すように、全体として略円柱状に形成されている。脚装置10は、回転軸を構成する軸部(ベアリング軸)11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部(回動部)13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部(発動部)14と、リング状のベアリング15とを備えている。なお、脚装置10では、軸部11の軸方向が「高さ方向」となる。また「閉脚状態」は、各脚部12が高さ方向に延びる状態であり、「開脚状態」は、各脚部12の下部が外側に広がった状態である。この点は、他の実施形態及び他の変形例でも同様である。
【0016】
ベアリング15は、脚支持部13と上側支持部14の一方に一体化されて、脚支持部13と上側支持部14の他方に一体化された軸部11を回転自在に支持する。本実施形態では、ベアリング15が、上側支持部14に一体化され、脚支持部13に一体化された軸部11を回転自在に支持する。具体的に、ベアリング15は、転がり軸受けである。ベアリング15は、内輪15aと外輪15bと転動体15cなどを有し、内輪15aと外輪15bが回転自在に組み付けられている(
図1(d)では一部の転動体15cのみ記載)。内輪15aは、脚支持部13と上側支持部14の一方(本実施形態では脚支持部13)に一体化された軸部11をスプライン構造(凸部11t、凹部15d)により保持する。外輪15bは、脚支持部13と上側支持部14の他方(本実施形態では上側支持部14)に取り付けられている。軸部11及び内輪15aは、外輪15bに対し、回転自在に設けられている。
図1(c)に示すように、軸部11は、外周面において周方向に並ぶ複数の凸部11tが設けられた略円柱状のスプライン軸により構成されている。
図1(d)に示すように、ベアリング15の内輪15aの内周面は円筒面であり、その内周面には、周方向に並ぶ複数の凹部15dが設けられている。凹部15dの幅(周方向の寸法)は、歯部11tの幅(周方向の寸法)よりも大きい。内輪15aの凹部15dには、軸部11の凸部11tが嵌まり込む。本実施形態では、ベアリング15を用いることで、軸部11は滑らかに回転する。なお、ベアリング15には転がり軸受け以外のものを用いてもよいし、軸部11はスプライン軸により構成しなくてもよい。
【0017】
脚装置10は、例えば、傘の先端又はペンなどの筆記用具を嵌め込み可能な穴を有する部位を上側支持部14に設けて、傘や筆記用具を自立させるのに用いることができる。また、傘や筆記用具以外に、玩具や鑑賞物などの対象物を取り付ける部位を上側支持部14などに設けて、対象物を自立させるために用いることができる。これらの点(本段落の記載内容)も、他の実施形態及び他の変形例でも同様である。
【0018】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、
図2及び
図3に示すように、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。例えば、脚本体部21の断面形状は扇形であり、その中心角は120°である。閉脚状態では、
図2(a)に示すように、複数の脚本体部21は略円柱状を呈する。なお、脚本体部21の断面形状は扇形に限定されない。
【0019】
図3(a)は、扇形の径方向に直交する方向に脚部12を見た側面図である。
図3(b)は、扇形の中心S側から径方向に脚部12を見た側面図である。
図3(c)は、扇形の径方向に延びる側面21aの正面側から脚部12を見た側面図である。ここで、閉脚状態における脚本体部21の上面21u及び下面21bについて説明する。上面21uは、高さ方向に垂直な平坦面となっている。なお、複数の脚部12を閉脚させた状態で、脚装置10を平坦面上に設置すると、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置されるように構成されている(
図5(b)参照)。また、下面21bは、中心側部分21bcが、中心S側から外周側へ斜め下に傾斜した傾斜面となっており、外周側部分21bpが、上面21uに平行な平坦面となっている。
【0020】
脚側取付部22は、脚本体部21と一体形成されている。脚側取付部22は、厚みが一様の平板状に形成されている。脚側取付部22は、上述の扇形の径方向に沿って設けられている。脚側取付部22の正面形状(厚さ方向に見た形状)は、脚本体部21側(下側)に直角を有する略直角台形状に形成されている。脚側取付部22の上面22uは、外周側から中心側へ斜め下に傾斜した傾斜面となっている。上面22uは、開脚完了状態を規定する開脚停止面として機能する。また、脚側取付部22では、上面22uと内面22iの接続部が円弧状に形成されている。
【0021】
脚側取付部22には、後述する支持ピン29が通されたスライド穴23が形成されている。(
図1(b)参照)。スライド穴23は、閉脚状態で高さ方向に延びる長穴である。スライド穴23の上端部は、円形断面の支持ピン29に対して脚部12が回転しやすいように、
図3(a)に示すように半円状に形成されている。スライド穴23の下端部は、上端部と同様に半円状に形成しているが、任意の形状にすることができる。なお、脚装置10を平坦面上に設置して、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置された状態では、支持ピン29はスライド穴23の下端から離間するように構成されている(
図5(b)参照)。また、スライド穴23において支持ピン29は、ある程度の遊びがある状態で設けられ、スリット26,36においても脚側取付部22は、ある程度の遊びがある状態で設けられている。そのため、脚部12は小さい力で開脚又は閉脚する。但し、この遊びの程度は、適宜調節することができる。また、脚側取付部22の各側面に支持ピン29を設けて、脚支持部13の後述する各対向面25aにスライド穴(例えば窪みの穴)23を設けてもよい。
【0022】
脚支持部13は、
図2に示すように、高さ方向に延びる柱状部24と、柱状部24の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25と、柱状部24の上端に一体化された台座部28とを備えている。
図2(b)では、柱状部24と被取付部25との境界位置を破線で表す。台座部28は、閉脚状態又は開脚状態の脚装置10を平坦面上に設置した際に上側支持部14が載置される(
図5(b)、
図5(d)参照)。台座部28の上面の中央部には、軸部11が一体化されている。
【0023】
被取付部25は、平面視において環状の柱に対し、径方向に延びる複数のスリット26を形成した形状を呈する。すなわち、被取付部25は、平面視において環状扇形の部分を複数有する。スリット26は、脚側取付部22を通すための隙間である。被取付部25には、脚部12と同数のスリット26が周方向に等角度間隔で形成されている。
【0024】
スリット26は、上下方向においては被取付部25の上端から下端まで形成され、径方向においては被取付部25の外周面から柱状部24の外周面まで形成されている(
図2(b)参照)。スリット26には、横方向に延びる円形断面の支持ピン29が設けられている。支持ピン29は、被取付部25のうちスリット26を挟んで対向する対向面25aの間に架けられ、脚側取付部22のスライド穴23に通されている。またスリット26の幅は、脚側取付部22の厚さよりも大きい。そのため、被取付部25に対し脚側取付部22は回転自在に支持される。
【0025】
柱状部24及び軸部11は、円柱状に形成されている。台座部28は、円板状に形成されている。脚支持部13では、軸部11に対し、柱状部24、被取付部25及び台座部28が同軸に配置されている。軸部11の上端部には、軸部11より大径に形成された、ベアリング15用の第1係止部41が設けられている。
【0026】
上側支持部14は、上側が閉塞された略円筒状に形成されている。上側支持部14は、
図2(b)に示すように、天板となる円板状の上部30と、上部30の下端に連続して設けられた第1円筒部31と、第1円筒部31の下端に連続して設けられた第2円筒部32とを備えている。
【0027】
第1円筒部31は、台座部28の上面に対向する内側下面35よりも上側の部分である。第1円筒部31では、下端部の内径をその上側部分よりも小さくすることで、ベアリング15用の第2係止部42が形成されている。第2円筒部32は、第1円筒部31に比べて内径が大きく、外周と内周間の厚みが薄い。第2円筒部32には、脚部12と同数のスリット36が周方向に等角度間隔で形成されている。スリット36は、第2円筒部32の下端から上方に延びている。スリット36の幅は、スリット26の幅と等しい。
【0028】
上側支持部14と脚支持部13は、ベアリング15を介して回転自在に連結されている。この連結は、脚支持部13に一体形成された軸部11が上側支持部14の内側に挿入され、且つ、ベアリング15が第1係止部41と第2係止部42の間に配置されることでなされている。ベアリング15の内径は第1係止部41の外径よりも小さく、ベアリング15の外径は第2係止部42の内径よりも大きい。軸部11を下方に抜こうとしても、ベアリング15が第2係止部42に引っ掛かり、軸部11の第1係止部41がベアリング15に引っ掛かる。
【0029】
[回転力の伝達部について]
本実施形態に係る脚装置10は、軸部11を中心にして上側支持部14を回転運動させた時に上側支持部14の回転力を脚支持部13及び複数の脚部12に伝達する伝達部5をさらに備えている。伝達部5は、回転力を与える側の伝動部5aと、伝動部5aから回転力を受ける側の受動部5bとを有する。本実施形態では、上側支持部14の各スリット36の内側面36aが伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する(
図1(b)参照)。閉脚状態では、脚側取付部22の上部は、スリット36の一対の内側面36aに挟まれている。
【0030】
[脚装置の開脚プロセス]
図4は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図4の左図)。そうすると、第1係止部41と第2係止部42とにベアリング15が挟まれて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0031】
そして、この状態から、上側支持部14を回転運動させると(例えば、軸部11の軸心を中心に回転させると)、伝達部5による回転力の伝達がなされて、複数の脚部12が、軸部11を中心に回転することで、遠心力によって外側に開脚する。複数の脚部12は、所定の開脚完了状態まで開脚可能である。
【0032】
具体的に、上側支持部14を回転運動させると、上側支持部14における各スリット36の内側面36a(伝動部5a)が、各脚側取付部22(受動部5b)に接触して(伝達部5が作動して)、伝動部5aから受動部5bへ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、各脚部12は、脚支持部13と共に、軸部11を中心に回転して、各脚部12には遠心力が作用する。その結果、
図4(b)の真ん中の図に示すように、各脚部12は、支持ピン29を回転軸(脚側回転軸)として回転する。各脚部12は、下部が外側に広がるように開脚する。
図4(b)の真ん中の図は、開脚途中の状態を表す。なお、脚側取付部22では、上述したように、上面22uと内面22iの接続部が円弧状に形成されているため、各脚部12は、柱状部24の外周面に引っ掛かることなく滑らかに回転する。
【0033】
各脚部12の開脚は、脚側取付部22の上面22u(開脚停止面)の上端が、脚支持部13の柱状部24の外周部24pに当接すると停止する(
図4(b)の右図参照)。この状態が、開脚完了状態となる。
【0034】
ここで、複数の脚部12が開脚する過程(開脚完了状態に至る過程)では、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わる。この状態では、伝動部5aと受動部5bは接触しないため(伝達部5は作動しないため)、脚支持部13及び複数の脚部12は、上側支持部14から独立して回転する。本実施形態では、脚支持部13及び複数の脚部12は、ベアリング15によって滑らかに回転する。そのため、上側支持部14の回転運動を停止させても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。
【0035】
そして、この状態で、脚装置10をそのまま平坦面に降ろすと、各脚部12が開脚完了状態になっていなくても平坦面(設置面)に押されて開脚完了状態となり、各脚部12を開脚させた状態で、脚装置10を平坦面に設置することができる。開脚完了状態では、各脚本体21の中心側部分21bcが、軸部11に対し略垂直になる。そのため、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。ここで、伝達部5による回転力の伝達が失われるタイミングは、開脚過程であれば特に限定されないが、例えば高さ方向に対する脚部12の傾きが、開脚完了状態での傾きの半分程度になるタイミング(
図4(b)の真ん中図のタイミング)とすることができる。
【0036】
[脚装置の閉脚プロセス]
上側支持部14の回転運動を停止又は減速させると、上述の遠心力が低下し、各脚部12は重力によって閉脚する。例えば、上側支持部14の回転運動をさせて各脚部12を開脚させたものの、脚装置10を設置しない場合は、上側支持部14の回転運動の停止により、各脚部12が徐々に減速していき、各脚部12は閉脚する。閉脚過程では、伝動部5aと受動部5bは再び接触するようになる。そのため、接触の再開により、各脚部12の回転速度は直ちにゼロになり、各脚部12は速やかに閉脚する。なお、開脚状態の脚装置10を設置した状態から持ち上げた場合も、重力によって各脚部12は閉脚する。
【0037】
[脚装置を設置した状態]
図5は、脚装置10を平坦面50に設置した状態を表す。
図5(a)及び
図5(b)は、閉脚状態の図である。この状態では、
図5(b)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の外周側部分21bpを底面として安定して自立する。
図5(c)及び
図5(d)は、開脚状態の図である。この状態では、
図5(d)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。
【0038】
まず閉脚状態について説明を行う。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、上側支持部14の内側下面35と台座部28の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。これに対し、上下に繋がった脚支持部13のスリット26と上側支持部14のスリット36に対し、脚部12の脚側取付部22が入り込むが、スリット36の上端面36usに対し脚側取付部22の上端22ueが離間した状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となり、上側支持部14の上部30の下面30aに対し軸部11の上面も離間した状態となる。
【0039】
従って、脚装置10の上側支持部14に対し上側から力が作用した場合に、比較的面積が大きい台座部28の上面及び脚本体部21の上面21uで、上側からの力を受けることになり、脚側取付部22、支持ピン29、軸部11及びベアリング15にはほとんど力が作用しない。
【0040】
次に開脚状態について説明を行う。
図5(d)に示すように、開脚状態でも、上側支持部14の内側下面35と台座部28の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。上側支持部14の上部30の下面30aに対し軸部11の上面も離間した状態となる。また、脚側取付部22も、その上側の台座部28とは離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0041】
そのため、支持ピン29の強度を確保することで、脚装置10に対し上側から比較的大きな力が作用する場合でも、部品が破損しない脚装置10を実現することができる。支持ピン29、又は、支持ピン29を脚支持部13に一体形成する場合は脚支持部13について、脚部12や上側支持部14よりも高強度の材料を用いることができる。
【0042】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0043】
<第1実施形態の第1変形例>
本変形例は、伝達部5が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第1実施形態とは異なる。第1実施形態において伝達部5を構成したスリット36は、
図6(a)に示すように設けられていない。以下では、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0044】
伝達部5の伝動部5aは、上側支持部14に一体化された下方突出軸33に設けられ、受動部5bは、複数の脚部12に設けられている。下方突出軸33は、
図6(b)に示すように、上側支持部14の下面の中央部から下方に突出し、脚支持部13の中央部の貫通孔13pを上下に貫通している。閉状態における略円柱状の複数の脚部12では、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、上面の中央部に、上面視が円形の凹部38が形成されている。下方突出軸33のうち、凹部38の上端よりも下側の先端部には、伝動部5aを構成する伝動側突出部43が設けられている。凹部38の内壁からは、受動部5bを構成する板状の受動側突出部44が径方向に突出している。伝動側突出部43の突出長は、下方突出軸33の外周面から受動側突出部44の先端までの距離よりも大きい。なお、本変形例では、伝動側突出部43と受動側突出部44がそれぞれ複数設けられているが、何れも1つだけ設けてもよい。
【0045】
そのため、空中で閉脚状態の脚装置10の上側支持部14をその周方向に回転運動させると、下方突出軸33が回転して、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。なお、複数の脚部12が開脚する過程では、支持ピン29を支点にして、受動側突出部44が脚部12と共に回転するため、伝動側突出部43と伝動側突出部44は非接触に切り替わり、それに伴って、伝動側突出部43による回転力の伝達が失われた状態に切り替わる。これにより、複数の脚部12は、上側支持部14から独立して回転する。この点は、第1実施形態の第3変形例、第2実施形態の第1変形例、第2実施形態の第3変形例、第3実施形態の第1変形例、及び、第3実施形態の第3変形例でも同様である。
【0046】
<第1実施形態の第2変形例>
本変形例は、上側支持部14に回転力を加える箇所が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第1実施形態とは異なる。なお、伝達部5は、第1実施形態と同様に、上側支持部14の各スリット36の内側面36aが伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する。以下では、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0047】
図7に示すように、上側支持部14には、第1実施形態の第1変形例と同様に、下方突出軸33が一体化されている。脚支持部13の中央部には、上下に延びる貫通孔13pが形成されている。閉脚状態における複数の脚部12の中央部にも、各脚部12に形成された切欠きにより、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。貫通孔12pと貫通孔13pは、互いに同軸に形成されている。下方突出軸33は、貫通孔12pと貫通孔13pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。
【0048】
そのため、本変形例に係る脚装置10は、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、上側支持部14を回転運動させることができる。これにより、複数の脚部12は、伝達部5により回転力が伝達され、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。また、第1実施形態と同様に、複数の脚部12が開脚する過程では、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、複数の脚部12は上側支持部14から独立して回転する。
【0049】
<第1実施形態の第3変形例>
本変形例は、第1実施形態の第1変形例と同様に、伝達部5が脚装置10の下部に設けられ、第1実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に回転力を加える箇所が脚装置10の下部に設けられている。以下では、第1実施形態の第1変形例とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0050】
閉脚状態における複数の脚部12の中央部には、
図8に示すように、第1実施形態の第2変形例と同様に、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。下方突出軸33は、貫通孔12pと貫通孔13pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。本変形例では、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。これにより、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
【0051】
<第2実施形態>
本実施形態も、閉脚状態と開脚状態との切り替えが可能な脚装置10である。
図9-10は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図9に示すように、第1実施形態と同様に、軸部11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部14と、リング状のベアリング15とを備えている。本実施形態では、ベアリング15が、脚支持部13に一体化され、上側支持部14に一体化された軸部11を回転自在に支持する。内輪15aは、上側支持部14に一体化された軸部11をスプライン構造により保持する。外輪15bは、脚支持部13に取り付けられている。軸部11及び内輪15aは、外輪15bに対し、回転自在に設けられている。
【0052】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、
図10に示すように、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。本実施形態の脚部12は、上面視において、脚側取付部22の外端面22eが脚本体部21の外周よりも内側に位置している点で、脚側取付部22の外端面が脚本体部21の外周に位置している第1実施形態とは異なる。この点以外の構成は、第1実施形態と同じである。複数の脚部12を閉脚させた状態で、脚装置10を平坦面上に設置すると、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置されるように構成されている(
図12(b)参照)。脚装置10を平坦面上に設置して、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置された状態では、支持ピン29はスライド穴23の下端から離間するように構成されている(
図12(b)参照)。
【0053】
脚支持部13は、
図10に示すように、略円筒状に形成されている。脚支持部13は、高さ方向に延びる柱状部24と、柱状部24の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25と、被取付部25の外周部の上端に連続して設けられた円筒部51と、円筒部51の上端に連続して設けられた上部52とを備えている。
図10(b)では、柱状部24と被取付部25との境界位置を破線で表す。柱状部24は、円柱状に形成されている。
【0054】
被取付部25は、第1実施形態と同様に、平面視において環状の柱に対し、径方向に延びる複数のスリット26を形成した形状を呈する。スリット26は、脚側取付部22を通すための隙間である。被取付部25には、脚部12と同数のスリット26が周方向に等角度間隔で形成されている。
【0055】
スリット26は、上下方向においては被取付部25の上端から下端まで形成され、径方向においては被取付部25の外周面から柱状部24の外周面まで形成されている(
図10(b)参照)。スリット26には、横方向に延びる円形断面の支持ピン29が設けられている。支持ピン29は、被取付部25のうちスリット26を挟んで対向する対向面25aの間に架けられ、脚側取付部22のスライド穴23に通されている。またスリット26の幅は、脚側取付部22の厚さよりも大きい。そのため、被取付部25に対し脚側取付部22は回転自在に支持される。
【0056】
円筒部51は、柱状部24の上部を囲うように設けられている。円筒部51は、柱状部24の上端よりも上方に延びている。上部52は、中央部に円形の貫通孔53が形成された円板状に形成されている。脚支持部13では、貫通孔53に対し、柱状部24、被取付部25及び円筒部51が同軸に配置されている。上部52では、貫通孔53の下部に内径が小さい小径部72が設けられている。上部52では、貫通孔53における小径部72の上側にベアリング15の外輪15bが固定されている。
【0057】
上側支持部14は、
図10(b)に示すように、第1円板部61と、第1円板部61の下面の中央部から下方に突出する軸部11と、軸部11の下端に連続して設けられた第2円板部62と、第2円板部62の下面から突出する複数の突出部63とを備えている。
【0058】
軸部11は、外周面において周方向に並ぶ複数の凸部が設けられた略円柱状のスプライン軸により構成されている。上側支持部14では、軸部11に対し、第1円板部61及び第2円板部62が同軸に配置されている。軸部11の下端部には、軸部11より大径に形成された、ベアリング15用の係止部71が設けられている。
【0059】
第2円板部62は、脚支持部13の円筒部51内に配置されている。第2円板部62の外径は、円筒部51の内径よりも小さい。第2円板部62の下面では、複数の突出部63が等角度間隔で配置されている。各突出部63は、板状を呈する。各突出部63は、第2円板部62の外周の位置から、柱状部24に接触しない位置まで第2円板部62の径方向に延びている。第2円板部62における各突出部63の内端から中心までの距離は、柱状部24の半径よりも大きい。
【0060】
上側支持部14と脚支持部13は、ベアリング15を介して回転自在に連結されている。この連結は、上側支持部14に一体形成された軸部11が脚支持部13の貫通孔53及びベアリング15に挿通され、且つ、ベアリング15が係止部71の上側に配置されることでなされている。ベアリング15の外輪15bは、脚支持部13に固定されている。ベアリング15の内径は係止部71の外径よりも小さい。
【0061】
[回転力の伝達部について]
本実施形態に係る脚装置10は、第1実施形態と同様に、軸部11を中心にして上側支持部14を回転運動させた時に上側支持部14の回転力を脚支持部13及び複数の脚部12に伝達する伝達部5をさらに備えている。伝達部5は、回転力を与える側の伝動部5aと、伝動部5aから回転力を受ける側の受動部5bとを有する。本実施形態では、上側支持部14の各突出部63が伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する(
図9(b)参照)。
【0062】
[脚装置の開脚プロセス]
図11は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図11の左図)。そうすると、係止部71にベアリング15の内輪15aが載置されて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0063】
そして、この状態から、上側支持部14をその周方向に回転運動させると、上側支持部14における各突出部63(伝動部5a)が、各脚側取付部22(受動部5b)に引っ掛かって(伝達部5が作動して)、伝動部5aから受動部5bへ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
図11(b)の真ん中の図は、開脚途中の状態を表す。
【0064】
各脚部12の開脚は、脚側取付部22の上面22u(開脚停止面)の上端が、脚支持部13の柱状部24の外周部24pに当接すると停止する(
図11(b)の右図参照)。この状態が、開脚完了状態となる。開脚完了状態では、各脚本体21の中心側部分21bcが、軸部11に対し略垂直になる。そのため、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。
【0065】
ここで、複数の脚部12が開脚する過程では、突出部63と脚側取付部22は非接触に切り替わり、それに伴って、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わる。この状態では、第1実施形態と同様に、伝動部5aと受動部5bは接触しないため(伝達部5は作動しないため)、複数の脚部12は上側支持部14から独立して回転する。そのため、本実施形態では、上側支持部14の回転運動が停止しても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。
【0066】
[脚装置の閉脚プロセス]
上側支持部14の回転運動を停止又は減速させると、第1実施形態と同様に、上述の遠心力が低下し、各脚部12は重力によって閉脚する。なお、開脚状態の脚装置10を設置した状態から持ち上げた場合も、重力によって各脚部12は閉脚する。
【0067】
[脚装置を設置した状態]
図12は、脚装置10を平坦面50に設置した状態を表す。
図12(a)及び
図12(b)は、閉脚状態の図である。この状態では、
図12(b)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の外周側部分21bpを底面として安定して自立する。
図12(c)及び
図12(d)は、開脚状態の図である。この状態では、
図12(d)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。
【0068】
まず閉脚状態について説明を行う。
図12(a)及び
図12(b)に示すように、上側支持部14の下面と脚支持部13の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。これに対し、第2円板部62に対し脚側取付部22の上端22ueが離間した状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となる。る。
【0069】
従って、脚装置10の上側支持部14に対し上側から力が作用した場合に、比較的面積が大きい脚支持部13の上面及び脚本体部21の上面21uで、上側からの力を受けることになり、脚側取付部22、支持ピン29、軸部11及びベアリング15にはほとんど力が作用しない。
【0070】
次に開脚状態について説明を行う。
図12(d)に示すように、開脚状態でも、上側支持部14の下面と脚支持部13の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、第2円板部62に対し脚側取付部22の上端22ueが離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0071】
そのため、支持ピン29の強度を確保することで、脚装置10に対し上側から比較的大きな力が作用する場合でも、部品が破損しない脚装置10を実現することができる。支持ピン29、又は、支持部29を脚支持部13に一体形成する場合は脚支持部13について、脚部12や上側支持部14よりも強度が強い部材を用いることができる。
【0072】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0073】
<第2実施形態の第1変形例>
本変形例は、伝達部5が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第2実施形態とは異なる。第2実施形態において伝達部5を構成した突出部63は、
図13(a)に示すように設けられていない。以下では、第2実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0074】
伝達部5の伝動部5aは、上側支持部14に一体化された下方突出軸33の伝動側突出部43により構成され、受動部5bは、複数の脚部12に設けられた板状の受動側突出部44により構成されている。下方突出軸33は、
図13(b)に示すように、上側支持部14の軸部11の下面の中央部から下方に突出し、脚支持部13の中央部の貫通孔13pを上下に貫通している。伝動側突出部43及び受動側突出部44の構成は、第1実施形態の第1変形例と同じである。
【0075】
本変形例では、空中で閉脚状態の脚装置10の上側支持部14をその周方向に回転運動させると、下方突出軸33が回転して、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、複数の脚部12は、第2実施形態と同様に、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
【0076】
<第2実施形態の第2変形例>
本変形例は、上側支持部14に回転力を加える箇所が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第2実施形態とは異なる。なお、伝達部5は、第2実施形態と同様に、上側支持部14の各突出部63が伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する。以下では、第2実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0077】
図14に示すように、上側支持部14には、第2実施形態の第1変形例と同様に、下方突出軸33が一体化されている。脚支持部13の中央部には、上下に延びる貫通孔13pが形成されている。閉脚状態における複数の脚部12の中央部にも、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。下方突出軸33は、互いに同軸に形成された貫通孔12pと貫通孔13pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。
【0078】
本変形例に係る脚装置10は、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、上側支持部14を回転運動させることができる。これにより、複数の脚部12は、伝達部5により回転力が伝達され、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。また、第2実施形態と同様に、複数の脚部12が開脚する過程では、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、複数の脚部12は上側支持部14から独立して回転する。
【0079】
<第2実施形態の第3変形例>
本変形例は、第2実施形態の第1変形例と同様に、伝達部5が脚装置10の下部に設けられ、第2実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に回転力を加える箇所が脚装置10の下部に設けられている。以下では、第2実施形態の第1変形例とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0080】
閉脚状態における複数の脚部12の中央部には、
図15に示すように、第2実施形態の第2変形例と同様に、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。下方突出軸33は、貫通孔12pと貫通孔13pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。本変形例では、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。これにより、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
【0081】
<第3実施形態>
本実施形態も、閉脚状態と開脚状態との切り替えが可能な脚装置10である。
図16-17は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図16に示すように、第1実施形態と同様に、軸部11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部14と、リング状のベアリング15とを備えている。本実施形態では、ベアリング15が、脚支持部13に一体化され、上側支持部14に一体化された軸部11を回転自在に支持する。内輪15aは、上側支持部14に一体化された軸部11をスプライン構造により保持する。外輪15bは、脚支持部13に取り付けられている。軸部11及び内輪15aは、外輪15bに対し、回転自在に設けられている
【0082】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、
図16に示すように、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。本実施形態の脚部12は、第1実施形態と同じものである。複数の脚部12を閉脚させた状態で、脚装置10を平坦面上に設置すると、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置されるように構成されている(
図19(b)参照)。脚装置10を平坦面上に設置して、各脚本体部21の上面21uに脚支持部13が載置された状態では、支持ピン29はスライド穴23の下端から離間するように構成されている(
図19(b)参照)。
【0083】
脚支持部13は、
図17に示すように、高さ方向に延びる円筒部81と、円筒部81の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25とを備えている。
図17(b)では、円筒部81と被取付部25との境界位置を破線で表す。
【0084】
被取付部25は、第1実施形態と同様に、平面視において環状の柱に対し、径方向に延びる複数のスリット26を形成した形状を呈する。スリット26は、脚側取付部22を通すための隙間である。被取付部25には、脚部12と同数のスリット26が周方向に等角度間隔で形成されている。
【0085】
スリット26は、上下方向においては被取付部25の上端から下端まで形成され、径方向においては被取付部25の外周面から円筒部81の外周面まで形成されている(
図17(b)参照)。スリット26には、横方向に延びる円形断面の支持ピン29が設けられている。支持ピン29は、被取付部25のうちスリット26を挟んで対向する対向面25aの間に架けられ、脚側取付部22のスライド穴23に通されている。またスリット26の幅は、脚側取付部22の厚さよりも大きい。そのため、被取付部25に対し脚側取付部22は回転自在に支持される。
【0086】
円筒部81は、被取付部25よりも上方に突出している。円筒部81は、その内周面による貫通孔83を有する。脚支持部13では、貫通孔83に対し、被取付部25が同軸に配置されている。円筒部81では、貫通孔83の下部に内径が小さい小径部72が設けられている。円筒部81では、貫通孔83における小径部72の上側にベアリング15の外輪15bが固定されている。
【0087】
上側支持部14は、上側が閉塞された略円筒状に形成されている。上側支持部14は、
図17(b)に示すように、天板となる円板状の上部84と、上部84の外周部の下端に連続して設けられた円筒部85とを備えている。上部84の下面の中央部には、軸部11が一体化されている。軸部11は下方に突出している。上側支持部14では、軸部11に対し、上部84及び円筒部85が同軸に配置されている。
【0088】
円筒部85には、脚部12と同数のスリット36が周方向に等角度間隔で形成されている。スリット36は、円筒部85の下端から上方に延びている。スリット36の幅は、スリット26の幅と等しい
【0089】
上側支持部14と脚支持部13は、ベアリング15を介して回転自在に連結されている。この連結は、上側支持部14に一体形成された軸部11が脚支持部13の貫通孔83及びベアリング15に挿通され、且つ、ベアリング15が係止部71の上側に配置されることでなされている。ベアリング15の外輪15bは、脚支持部13に固定されている。ベアリング15の内径は係止部71の外径よりも小さい。
【0090】
[回転力の伝達部について]
本実施形態に係る脚装置10は、第1実施形態と同様に、軸部11を中心にして上側支持部14を回転運動させた時に上側支持部14の回転力を脚支持部13及び複数の脚部12に伝達する伝達部5をさらに備えている。伝達部5は、回転力を与える側の伝動部5aと、伝動部5aから回転力を受ける側の受動部5bとを有する。本実施形態では、上側支持部14の各スリット36の内側面36aが伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する(
図16(b)参照)。閉脚状態では、脚側取付部22の上部は、スリット36の一対の内側面36aに挟まれている。
【0091】
[脚装置の開脚プロセス]
図18は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図18の左図)。そうすると、係止部71にベアリング15の内輪15aが載置されて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0092】
そして、この状態から、上側支持部14をその周方向に回転運動させると、上側支持部14における各スリット36の内側面36a(伝動部5a)が、各脚側取付部22(受動部5b)に接触して(伝達部5が作動して)、伝動部5aから受動部5bへ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
図18(b)の真ん中の図は、開脚途中の状態を表す。
【0093】
各脚部12の開脚は、脚側取付部22の上面22u(開脚停止面)の上端が、脚支持部13の円筒部81の外周部81pに当接するまで続く(
図18(b)の右図参照)。この状態が、開脚完了状態となる。開脚完了状態では、各脚本体21の中心側部分21bcが、軸部11に対し略垂直になる。そのため、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。
【0094】
ここで、脚装置10では、複数の脚部12が開脚する過程で、スリット36の内側面36aと脚側取付部22は非接触に切り替わり、それに伴って、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わる。この状態では、第1実施形態と同様に、伝動部5aと受動部5bは接触しないため(伝達部5は作動しないため)、複数の脚部12は上側支持部14から独立して回転する。本実施形態では、上側支持部14の回転運動が停止しても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。
【0095】
[脚装置の閉脚プロセス]
上側支持部14の回転運動を停止又は減速させると、第1実施形態と同様に、上述の遠心力が低下し、各脚部12は重力によって閉脚する。なお、開脚状態の脚装置10を設置した状態から持ち上げた場合も、重力によって各脚部12は閉脚する。
【0096】
[脚装置を設置した状態]
図19は、脚装置10を平坦面50に設置した状態を表す。
図19(a)及び
図19(b)は、閉脚状態の図である。この状態では、
図19(b)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の外周側部分21bpを底面として安定して自立する。
図19(c)及び
図19(d)は、開脚状態の図である。この状態では、
図19(d)に示すように、脚装置10は、脚本体部21の中心側部分21bcを底面として安定して自立する。
【0097】
まず閉脚状態について説明を行う。
図19(a)及び
図19(b)に示すように、上側支持部14の上部84の下面84bと脚支持部13の円筒部81の上面81uとが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。これに対し、上下に繋がった脚支持部13のスリット26と上側支持部14のスリット36に対し、脚部12の脚側取付部22が入り込むが、スリット36の上端面36usに対し脚側取付部22の上端22ueが離間した状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となり、軸部11の下面11bも脚本体21の上面21uから離間した状態となる。
【0098】
従って、脚装置10の上側支持部14に対し上側から力が作用した場合に、比較的面積が大きい円筒部81の上面81u及び脚本体部21の上面21uで、上側からの力を受けることになり、脚側取付部22、支持ピン29、軸部11及びベアリング15にはほとんど力が作用しない。
【0099】
次に開脚状態について説明を行う。
図19(d)に示すように、開脚状態でも、上側支持部14の上部84の下面84bと脚支持部13の円筒部81の上面81uとが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚側取付部22も、上部84の下面84bとは離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0100】
そのため、支持ピン29の強度を確保することで、脚装置10に対し上側から比較的大きな力が作用する場合でも、部品が破損しない脚装置10を実現することができる。支持ピン29、又は、支持部29を脚支持部13に一体形成する場合は脚支持部13について、脚部12や上側支持部14よりも強度が強い部材を用いることができる。
【0101】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0102】
<第3実施形態の第1変形例>
本変形例は、伝達部5が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第3実施形態とは異なる。第3実施形態において伝達部5を構成したスリット36は、
図20(a)に示すように設けられていない。以下では、第3実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0103】
伝達部5の伝動部5aは、上側支持部14に一体化された下方突出軸33の伝動側突出部43により構成され、受動部5bは、複数の脚部12に設けられた板状の受動側突出部44により構成されている。下方突出軸33は、
図20(b)に示すように、軸部11の下面の中央部から下方に突出し、脚支持部13の円筒部81の貫通孔83を上下に貫通している。伝動側突出部43及び受動側突出部44の構成は、第1実施形態の第1変形例と同じである。
【0104】
本変形例では、空中で閉脚状態の脚装置10の上側支持部14をその周方向に回転運動させると、下方突出軸33が回転して、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。そうすると、複数の脚部12は、第3実施形態と同様に、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
【0105】
<第3実施形態の第2変形例>
本変形例は、上側支持部14に回転力を加える箇所が、脚装置10の下部に設けられているという点で、第3実施形態とは異なる。なお、伝達部5は、第3実施形態と同様に、上側支持部14の各スリット36の内側面36aが伝動部5aを構成し、各脚部12の脚側取付部22の上部が受動部5bを構成する。以下では、第3実施形態とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0106】
図21に示すように、上側支持部14には、第3実施形態の第1変形例と同様に、下方突出軸33が一体化されている。閉脚状態における複数の脚部12の中央部には、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。下方突出軸33は、互いに同軸に形成された貫通孔83と貫通孔13pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。
【0107】
本変形例に係る脚装置10は、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、上側支持部14を回転運動させることができる。これにより、複数の脚部12は、伝達部5により回転力が伝達され、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。また、第3実施形態と同様に、複数の脚部12が開脚する過程では、伝達部5による回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、複数の脚部12は上側支持部14から独立して回転する。
【0108】
<第3実施形態の第3変形例>
本変形例は、第3実施形態の第1変形例と同様に、伝達部5が脚装置10の下部に設けられ、第3実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に回転力を加える箇所が脚装置10の下部に設けられている。以下では、第3実施形態の第1変形例とは異なる箇所を中心に説明を行う。
【0109】
閉脚状態における複数の脚部12の中央部には、
図22に示すように、第3実施形態の第2変形例と同様に、上下に延びる貫通孔12pが形成されている。下方突出軸33は、貫通孔83と貫通孔12pを貫通し、複数の脚部12の下面よりも下方に突出している。本変形例では、下方突出軸33の先端側を把持して回転させることで、伝動側突出部43が受動側突出部44に引っ掛かり、伝動側突出部43から受動側突出部44へ上側支持部14の回転力が伝達される。これにより、複数の脚部12は、脚支持部13と共に軸部11を中心に回転して、遠心力によって外側に開脚する。
【0110】
<第4実施形態>
本実施形態は、第1実施形態から伝達部5を省略したものである。
図23は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図23に示すように、第1実施形態と同様に、軸部11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部14と、リング状のベアリング15とを備えている。
【0111】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。本実施形態の脚部12は、第1実施形態と同じものである。
【0112】
脚支持部13は、
図23に示すように、高さ方向に延びる柱状部24と、柱状部24の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25と、柱状部24の上端に一体化された台座部28とを備えている。本実施形態の脚支持部13は、第1実施形態と同じものである。
【0113】
上側支持部14は、
図23に示すように、天板となる円板状の上部30と、上部30の下端に連続して設けられた第1円筒部31とを備えている。本実施形態の上側支持部14は、第1実施形態の上側支持部14から、第2円筒部32を省略したものである。上側支持部14には、脚側取付部22を通すためのスリット36は形成されていない。
【0114】
[脚装置の開脚プロセス]
図24は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図24(a)の左図)。そうすると、第1係止部41と第2係止部42とにベアリング15が挟まれて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0115】
そして、この状態から、円形又は楕円形などの環状の軌道に沿って(例えば、太線の矢印に沿って)上側支持部14を回転移動させると、
図24(a)及び
図24(b)に示すように、複数の脚部12のうち、環状の軌道に対し外側に位置する脚部12が遠心力によって開脚する。そして、この開脚に伴って、開脚した脚部12に作用する遠心力によって、脚支持部13及び複数の脚部12が、軸部11を中心に回転し始め、未開脚であった内側の脚部12も開脚し始める。本実施形態では、複数の脚部12が閉脚した状態で上側支持部14を回転移動させると、軸部11を中心にして、脚支持部13及び複数の脚部12が、上側支持部14から独立して回転する状態となり、この回転による遠心力によって複数の脚部12が開脚する。
【0116】
脚支持部13及び複数の脚部12は、ベアリング15によって滑らかに回転する。そのため、上側支持部14の回転運動を停止させても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。そして、この状態で、脚装置10をそのまま平坦面に降ろすと、各脚部12が開脚完了状態になっていなくても平坦面(設置面)に押されて開脚完了状態となり、各脚部12を開脚させた状態で、脚装置10を平坦面に設置することができる。
【0117】
[脚装置を設置した状態]
脚装置10は、脚支持部13がスリット36を有しない点が第1実施形態とは異なる。閉脚状態では、上側支持部14の下面と台座部28の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となり、上側支持部14の上部30の下面30aに対し軸部11の上面も離間した状態となる。
【0118】
また、開脚状態でも、上側支持部14の下面と台座部28の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。上側支持部14の上部30の下面30aに対し軸部11の上面も離間した状態となる。また、脚側取付部22も、その上側の台座部28とは離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0119】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0120】
なお、本実施形態について、上側支持部14を回転移動させるために、第1実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に下方突出軸33を一体形成し、脚支持部13の中央部、及び、閉脚状態における複数の脚部12の中央部に貫通孔12p,13pを形成し、下方突出軸33が、貫通孔12p,13pを貫通して、複数の脚部12の下面よりも下方に突出するようにしてもよい。
【0121】
<第5実施形態>
本実施形態は、第2実施形態から伝達部5を省略したものである。
図25は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図25に示すように、第2実施形態と同様に、軸部11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部14と、リング状のベアリング15とを備えている。
【0122】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。本実施形態の脚部12は、第2実施形態と同じものである。
【0123】
脚支持部13は、
図25に示すように、高さ方向に延びる柱状部24と、柱状部24の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25と、被取付部25の外周部の上端に連続して設けられた円筒部51と、円筒部51の上端に連続して設けられた上部52とを備えている。本実施形態の脚支持部13は、第2実施形態と同じものである。
【0124】
上側支持部14は、
図25に示すように、第1円板部61と、第1円板部61の下面の中央部から下方に突出する軸部11とを備えている。本実施形態の上側支持部14は、第2実施形態の上側支持部14から、第2円板部62及び複数の突出部63を省略したものである。
【0125】
[脚装置の開脚プロセス]
図26は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図26(a)の左図)。そうすると、係止部71にベアリング15の内輪15aが載置されて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0126】
そして、この状態から、円形又は楕円形などの環状の軌道に沿って(例えば、太線の矢印に沿って)上側支持部14を回転移動させると、
図26(a)及び
図26(b)に示すように、複数の脚部12のうち、環状の軌道に対し外側に位置する脚部12が遠心力によって開脚し、この開脚に伴って、脚支持部13及び複数の脚部12が、軸部11を中心に回転し始め、未開脚であった内側の脚部12も開脚し始める。本実施形態でも、第4実施形態と同様に、複数の脚部12が閉脚した状態で上側支持部14を回転移動させると、軸部11を中心にして、脚支持部13及び複数の脚部12が、上側支持部14から独立して回転する状態となり、この回転による遠心力によって複数の脚部12が開脚する。
【0127】
脚支持部13及び複数の脚部12は、ベアリング15によって滑らかに回転する。そのため、上側支持部14の回転運動を停止させても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。そして、この状態で、脚装置10をそのまま平坦面に降ろすと、各脚部12が開脚完了状態になっていなくても平坦面(設置面)に押されて開脚完了状態となり、各脚部12を開脚させた状態で、脚装置10を平坦面に設置することができる。
【0128】
[脚装置を設置した状態]
脚装置10は、上側支持部14が第2円板部62及び複数の突出部63を有しない点が第2実施形態とは異なる。閉脚状態では、上側支持部14の下面と脚支持部13の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。これに対し、脚側取付部22の上端22ueが、その上側の上部52に対し離間した状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となり、軸部11の下面は脚支持部13の柱状部24の上面に離間した状態となる。
【0129】
また、開脚状態でも、上側支持部14の下面と脚支持部13の上面とが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚側取付部22の上端22ueが、その上側の上部52に対し離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0130】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0131】
なお、本実施形態について、上側支持部14を回転移動させるために、第2実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に下方突出軸33を一体形成し、脚支持部13の中央部、及び、閉脚状態における複数の脚部12の中央部に貫通孔12p,13pを形成し、下方突出軸33が、貫通孔12p,13pを貫通して、複数の脚部12の下面よりも下方に突出するようにしてもよい。
【0132】
<第6実施形態>
本実施形態は、第3実施形態から伝達部5を省略したものである。
図27は、閉脚状態の図である。脚装置10は、
図27に示すように、第3実施形態と同様に、軸部11と、軸部11の周方向に並べて配置された複数の脚部12(本実施形態では3つの脚部12)と、複数の脚部12の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部13と、軸部11を中心にして回転自在に脚支持部13を上側から支持する上側支持部14と、リング状のベアリング15とを備えている。
【0133】
[各部品の構成等について]
複数の脚部12は、互いに同じ形状で同じ大きさである。脚部12は、柱状に形成された脚本体部21と、脚部12の上面に立設された脚側取付部22とを備えている。本実施形態の脚部12は、第3実施形態と同じものである。
【0134】
脚支持部13は、
図27に示すように、高さ方向に延びる円筒部81と、円筒部81の下部の外周側に一体化されて複数の脚部12が取り付けられる被取付部25とを備えている。本実施形態の脚支持部13は、第3実施形態と同じものである。
【0135】
上側支持部14は、
図27に示すように、天板となる円板状の上部84を備え、上部84の下面の中央部に軸部11が一体化されている。本実施形態の上側支持部14は、第3実施形態の上側支持部14から、円筒部85を省略したものである。
【0136】
[脚装置の開脚プロセス]
図28は、脚装置10の開脚プロセスを表す。閉脚状態の脚装置10を開脚させる際は、まず、例えば上側支持部14を把持して(図示省略)、空中に脚装置10を持ち上げる(
図28(a)の左図)。そうすると、係止部71にベアリング15の内輪15aが載置されて、上側支持部14に対し脚支持部13が吊り下げられて支持された状態となり、スライド穴23の上端部に支持ピン29が引っ掛かって、各脚部12も脚支持部13に吊り下げられた状態となる。
【0137】
そして、この状態から、円形又は楕円形などの環状の軌道に沿って(例えば、太線の矢印に沿って)上側支持部14を回転移動させると、
図28(a)及び
図28(b)に示すように、複数の脚部12のうち、環状の軌道に対し外側に位置する脚部12が遠心力によって開脚し、この開脚に伴って、脚支持部13及び複数の脚部12が、軸部11を中心に回転し始め、未開脚であった内側の脚部12も開脚し始める。本実施形態でも、第4実施形態と同様に、複数の脚部12が閉脚した状態で上側支持部14を回転移動させると、軸部11を中心にして、脚支持部13及び複数の脚部12が、上側支持部14から独立して回転する状態となり、この回転による遠心力によって複数の脚部12が開脚する。
【0138】
脚支持部13及び複数の脚部12は、ベアリング15があるために滑らかに回転する。そのため、上側支持部14の回転運動を停止させても、複数の脚部12が回転する状態、及び、複数の脚部12が開脚する状態は、ある程度の時間に亘って継続される。そして、この状態で、脚装置10をそのまま平坦面に降ろすと、各脚部12が開脚完了状態になっていなくても平坦面(設置面)に押されて開脚完了状態となり、各脚部12を開脚させた状態で、脚装置10を平坦面に設置することができる。
【0139】
[脚装置を設置した状態]
脚装置10は、上側支持部14が円筒部85を有しない点が第3実施形態とは異なる。閉脚状態では、上側支持部14の上部84の下面84bと脚支持部13の円筒部81の上面81uとが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。脚本体21の上面21uと脚支持部13の下面13bとが接触し、脚支持部13が複数の脚部12に載置された状態となる。これに対し、脚側取付部22の上端22ueが、その上側の上部84の下面84bとは離間した状態となる。また、スライド穴23の下端に対し支持ピン29が離間した状態となり、軸部11の下面11bも脚本体21の上面21uから離間した状態となる。
【0140】
また、開脚状態でも、上側支持部14の上部84の下面84bと脚支持部13の円筒部81の上面81uとが接触し、上側支持部14が脚支持部13に載置された状態となる。また、脚側取付部22も、上部84の下面84bとは離間した状態となる。但し、閉脚状態とは異なり、支持ピン29には力が作用する。
【0141】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、脚部12を開脚させた状態で脚装置10を設置するために、上側支持部14の回転運動を続けたり、脚部12を手で把持したりする必要がなく、各脚部12を開脚させた状態での設置を片手で容易に行うことができる脚装置10を実現することができる。
【0142】
なお、本実施形態について、上側支持部14を回転移動させるために、第3実施形態の第2変形例と同様に、上側支持部14に下方突出軸33を一体形成し、脚支持部13の中央部、及び、閉脚状態における複数の脚部12の中央部に貫通孔83,12pを形成し、下方突出軸33が、貫通孔83,12pを貫通して、複数の脚部12の下面よりも下方に突出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、複数の脚部を有する脚装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0144】
5 伝達部
5a 伝動部
5b 受動部
10 脚装置
11 軸部(回転軸)
12 脚部
13 脚支持部
14 上側支持部
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の周方向に並べて配置された複数の脚部と、
前記複数の脚部の各々の付け根側を回転自在に支持する脚支持部と、
前記回転軸を中心にして回転自在に前記脚支持部を、上側から支持する上側支持部と、
前記脚支持部と前記上側支持部の一方に一体化されて、前記脚支持部と前記上側支持部の他方に一体化された前記回転軸を回転自在に支持するベアリングとを備え、
前記複数の脚部が閉脚した状態で前記上側支持部を回転運動させると、前記脚支持部及び前記複数の脚部が、前記回転軸を中心にして前記上側支持部から独立して回転する状態となり、該回転による遠心力によって前記複数の脚部が開脚する、脚装置。
【請求項2】
前記回転軸を中心にして前記上側支持部を回転運動させると、前記上側支持部の回転力を前記脚支持部及び前記複数の脚部に伝達する伝達部をさらに備え、
前記複数の脚部が閉脚した状態で前記回転軸を中心にして前記上側支持部を回転運動させると、前記伝達部による前記回転力の伝達がなされて、前記複数の脚部が、前記回転軸を中心に回転することで、遠心力によって開脚し、
前記複数の脚部が開脚する過程では、前記伝達部による前記回転力の伝達が失われた状態に切り替わり、前記複数の脚部は前記上側支持部から独立して回転する状態になる、請求項1に記載の脚装置。
【請求項3】
前記脚支持部、及び、前記複数の脚部の回転が停止すると、重力によって前記複数の脚部は自動的に閉脚状態に戻る、請求項1に記載の脚装置。
【請求項4】
前記脚部は、脚本体部と、該脚本体部の上側に設けられ前記脚支持部に回転自在に支持される脚側取付部とを有し、
前記複数の脚部を閉脚させた状態で、当該脚装置を平坦面上に設置すると、前記脚本体部の上面に前記脚支持部が載置されるように構成されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の脚装置。
【請求項5】
前記脚支持部は、前記脚部を回転自在に支持する支持ピンを有し、
前記脚側取付部には、前記支持ピンが挿通されて高さ方向に延びる長穴が形成され、
当該脚装置を平坦面上に設置して、前記脚本体部の上面に前記脚支持部が載置された状態で、前記支持ピンは前記長穴の下端から離間するように構成されている、請求項4に記載の脚装置。
【請求項6】
前記脚支持部は、当該脚装置を平坦面上に設置すると前記上側支持部が載置される台座部を有する、請求項1乃至3の何れか1つに記載の脚装置。