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特開2024-163776情報出力システム、及び、情報出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163776
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】情報出力システム、及び、情報出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241115BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079653
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】城戸 清規
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】建物におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる情報出力システムを提供する。
【解決手段】情報出力システム40は、建物90を建築するために排出されるGHGの第1排出量、及び、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得部44と、取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力部45とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を建築するために排出されるGHG(GreenHouse Gas)の第1排出量、及び、建築された後の前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得部と、
取得された前記第1排出量及び前記第2排出量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力部とを備える
情報出力システム。
【請求項2】
前記第2排出量は、前記建物のオーナによる前記建物の運用に伴って排出されるGHGの排出量であるオーナ排出量を含む
請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項3】
前記第2排出量は、前記建物のテナントによる前記建物を利用した活動に伴って排出されるGHGの排出量であるテナント排出量を含む
請求項2に記載の情報出力システム。
【請求項4】
前記第2排出量は、前記建物の管理者による前記建物の管理業務に伴って排出されるGHGの排出量である管理排出量を含む
請求項3に記載の情報出力システム。
【請求項5】
前記第2排出量は、前記建物を運用する前に定められる推定排出量である
請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項6】
前記取得部は、実際の運用にかかったGHG排出量と、過去のGHGの排出量を用いた予測に基づいて将来の前記第2排出量を取得し、
前記出力部は、将来の前記合計排出量を出力する
請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項7】
前記第1排出量及び前記第2排出量の少なくとも一方は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量である
請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項8】
前記取得部は、さらに、前記建物が建築された後に前記建物の保守に伴って排出される第3排出量を取得し、
前記出力部は、取得された前記第1排出量、前記第2排出量、及び、前記第3排出量に基づいて、前記合計排出量を出力する
請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項9】
前記出力部は、取得された前記第1排出量及び前記第2排出量に基づいて、前記建物のオーナに関するGHGの排出量と、前記建物のテナントに関するGHGの排出量とを個別に表示するための情報を出力する
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報出力システム。
【請求項10】
建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得部と、
取得された前記第1削減量及び前記第2削減量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力部とを備える
情報出力システム。
【請求項11】
コンピュータシステムによって実行される情報出力方法であって、
建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量、及び、建築された後の前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得ステップと、
取得された前記第1排出量及び前記第2排出量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力ステップとを含む
情報出力方法。
【請求項12】
コンピュータシステムによって実行される情報出力方法であって、
建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得ステップと、
取得された前記第1削減量及び前記第2削減量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力ステップとを含む
情報出力方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の情報出力方法を前記コンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力システム、及び、情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガス(GHG:GreenHouse Gas)は地球温暖化の原因となることから、企業等はGHGの排出量の削減に取り組んでいる。温室効果ガスの排出量に関する技術として、特許文献1には、家庭等での利便性を向上させた二酸化炭素排出量算出システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-25487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、建物におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる情報出力システム、及び、情報出力方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報出力システムは、建物を建築するために排出されるGHG(GreenHouse Gas)の第1排出量、及び、建築された後の前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得部と、取得された前記第1排出量及び前記第2排出量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る情報出力システムは、建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得部と、取得された前記第1削減量及び前記第2削減量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報出力方法は、建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量、及び、建築された後の前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得ステップと、取得された前記第1排出量及び前記第2排出量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力ステップとを含む。
【0008】
本発明の一態様に係る情報出力方法は、コンピュータシステムによって実行される情報出力方法であって、建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、前記建物を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得ステップと、取得された前記第1削減量及び前記第2削減量に基づいて、前記建物のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力ステップとを含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記情報出力方法を前記コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報出力システム、及び、情報出力方法は、建物におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る表示システムの動作例1のシーケンス図である。
図3図3は、第1排出量、第2排出量、及び、合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
図4図4は、第2排出量の内訳を示す画像の一例を示す図である。
図5図5は、第1排出量、第2排出量、第3排出量、及び、合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
図6図6は、将来の合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
図7図7は、テナントのGHG排出量を個別に示す画像の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る表示システムの動作例2のシーケンス図である。
図9図9は、第1削減量、第2削減量、及び、合計削減量を示す画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る表示システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【0015】
表示システム10は、複数の建物90のそれぞれに設けられた機器に関する情報を情報端末30に表示することができるシステムである。また、表示システム10は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHG(GreenHouse Gas)の合計排出量を情報端末30に表示することもできる。建物90は、例えば、商業施設またはオフィス等として使用される、数フロアからなる大規模なビル(非住宅の建物)である。なお、建物90は、病院または工場等の他の非住宅の建物であってもよいし、住宅(戸建て住宅または集合住宅)であってもよい。表示システム10は、具体的には、機器管理システム20と、情報端末30と、情報出力システム40とを備える。
【0016】
機器管理システム20は、複数の建物90のそれぞれに設けられた機器の制御、及び、当該機器の監視等を行うシステムである。機器管理システム20は、複数の建物90のそれぞれに、複数の照明機器21と、複数の空調機器22と、複数の計測機器23と、制御装置24と、ゲートウェイ装置25とを備える。また、機器管理システム20は、複数の建物90外に、サーバシステム26を備える。
【0017】
このように、複数の照明機器21、複数の空調機器22、複数の計測機器23、制御装置24、及び、ゲートウェイ装置25は、建物90に設けられ、サーバシステム26は、建物90外に設けられる。建物90に設けられた、とは、建物90の敷地内に設けられたと言い換えることができる。建物90を建築物としてとらえた場合、建物90に設けられた機器には、当該建築物内に設けられた機器だけでなく、当該建築物外に設けられた機器が含まれる場合がある。
【0018】
照明機器21、空調機器22、及び、計測機器23のそれぞれは、建物90に設けられた機器の一例である。照明機器21は、建物90内の空間を照らす機器であり、空調機器22は、温度調整された空気を送出することにより建物90内の空間の温度を調整する機器である。計測機器23は、建物90内のエネルギー使用量(電気、水道、及び、ガスなどの使用量)を計測する機器である。計測機器23は、センサ(センシング機器)であってもよい。具体的には、計測機器23は、建物90内の所定の領域の人の有無、人数等の人の状態、温度、湿度、明るさ等の環境の状態等の空間の状態をセンシングする機器であってもよい。なお、機器管理システム20が備える、照明機器21、空調機器22、及び、計測機器23の数は特に限定されない。
【0019】
制御装置24は、建物90に設けられた機器の制御、及び、当該機器の監視等を行う装置であり、ゲートウェイ装置25を介してサーバシステム26と通信を行うことができる。機器の制御とは、機器のオン及びオフ、並びに、機器の設定変更などである。また、制御装置24は、建物90内に設けられた機器の異常等の発生を、ゲートウェイ装置25を介してサーバシステム26へ通知することができる。
【0020】
なお、以下では、便宜上、機器管理システム20が備える1つの制御装置24が、照明機器21、空調機器22、及び、計測機器23の3種類の機器を管理するものとして説明が行われるが、機器管理システム20は、複数の制御装置24を備えてもよい。例えば、機器管理システム20は、機器の種類ごとに制御装置24を備えてもよい。
【0021】
ゲートウェイ装置25は、制御装置24が、サーバシステム26と、インターネットなどの広域通信ネットワークを通じて通信するための通信装置である。
【0022】
サーバシステム26は、複数の建物90のそれぞれに設けられた機器に関する情報を情報端末30に表示するための情報処理を行うシステムである。サーバシステム26は、1つまたは複数のWebサーバ(クラウドサーバ)によって実現される。サーバシステム26は、具体的には、通信部27、情報処理部28、及び、記憶部29を備える。
【0023】
通信部27は、サーバシステム26が、制御装置24及び情報端末30と通信するための通信回路である。通信部27は、例えば、広域通信ネットワークを用いた通信を行う。この通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。
【0024】
情報処理部28は、機器に関する情報を情報端末30に表示するための情報処理を行う。この情報処理は、例えば、表示画面情報を情報端末30へ提供(送信)する処理などである。情報処理部28は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部28の機能は、例えば、情報処理部28を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部29に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0025】
記憶部29は、情報処理部28が行う情報処理に必要な情報、及び、情報処理部28が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部29は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリなどによって実現されてもよい。
【0026】
情報端末30は、機器に関する情報などが表示される情報端末である。情報端末30は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。情報端末30のユーザとしては、建物90のオーナ等を想定している。情報端末30は、操作受付部31と、表示部32と、通信部33と、情報処理部34と、記憶部35とを備える。
【0027】
操作受付部31は、ユーザの操作を受け付ける。操作受付部31は、例えば、タッチパネルによって実現される。情報端末30が据え置き型の情報端末である場合、操作受付部31は、マウスまたはキーボードなどによって実現される。
【0028】
表示部32は、機器に関する情報などの各種表示画面を表示する。表示部32は、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルによって実現される。
【0029】
通信部33は、情報端末30がサーバシステム26と通信するための通信回路である。通信部33は、例えば、移動体通信ネットワークを用いた無線通信を行う。
【0030】
情報処理部34は、ユーザの操作に応じて各種表示画面を表示するための表示処理などを行う。情報処理部34は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部34の機能は、例えば、情報処理部34を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部35に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0031】
記憶部35は、上記表示処理に必要な情報が記憶される記憶装置である。記憶部35に記憶される情報には、情報処理部34が実行するコンピュータプログラムが含まれる。コンピュータプログラムは、例えば、ユーザによってあらかじめ記憶部35にインストールされる、表示システム10の専用のアプリケーションプログラムである。記憶部35は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0032】
情報出力システム40は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を情報端末30に表示するための情報処理を行うシステムである。情報出力システム40は、1つまたは複数のWebサーバ(クラウドサーバ)によって実現される。情報出力システム40は、具体的には、通信部41、情報処理部42、及び、記憶部43を備える。
【0033】
通信部41は、情報出力システム40が、サーバシステム26及び情報端末30と通信するための通信回路である。通信部41は、例えば、広域通信ネットワークを用いた通信を行う。この通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。
【0034】
情報処理部42は、GHGの合計排出量を情報端末30に表示するための情報処理を行う。この情報処理は、例えば、表示画面情報を情報端末30へ提供(送信)する処理などである。情報処理部42は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部42は、機能的な構成要素として、取得部44と、出力部45とを備える。取得部44及び出力部45の機能は、例えば、情報処理部42を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
記憶部43は、情報処理部42が行う情報処理に必要な情報、及び、情報処理部42が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部43は、例えば、HDDによって実現されるが、半導体メモリなどによって実現されてもよい。
【0036】
[動作例1]
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、及び、フロンガスなどのGHGは地球温暖化の原因となることから、企業は、GHGの排出量の削減に取り組んでいる。このような取り組みに関連して、企業自身からの温室効果ガスの排出だけでなく、企業の事業活動に関係するあらゆるGHGの排出を合計したサプライチェーン排出量が提案されている。
【0037】
サプライチェーン排出量は、企業(事業者)ごとに算出されるものであるが、企業という単位ではなく建物という単位に着目し、建物単位でGHGの排出量を管理したいという要望がある。そこで、表示システム10は、建物90におけるGHGの合計排出量を情報端末30に表示する(可視化する)。以下、このような表示システム10の動作例1について説明する。図2は、表示システム10の動作例1のシーケンス図である。
【0038】
情報出力システム40の取得部44は、既存の建物90を建築するときに使用した建物90の設計情報を取得する(S11)。設計情報には、建物90に使用されている建築資材の種別と量、建物90のフロア数、建物90の高さ、建物90の延床面積、建物90を建築するときの工法、及び、建物90に導入される設備などの各種データが含まれる。設計情報は、例えば、ユーザ(建物90のオーナ)により情報端末30に入力され、情報端末30から情報出力システム40へ送信されることで取得される。設計情報は、建物90の建築に関与した一つまたは複数の事業者が使用するシステム(図示せず)から情報出力システム40へ提供されてもよい。
【0039】
次に、取得部44は、取得した設計情報に基づいて、建物90を建築するために排出されたGHGの第1排出量を取得(算出)する(S12)。取得部44は、例えば、設計情報に含まれる各種データをGHGの排出量に換算する計算式(アルゴリズム)を使用して、建物90を建築するために排出されるGHGの第1排出量を取得する。このように、第1排出量が各種データから取得される場合、第1排出量には、建物90の資材の調達に伴って排出される資材調達排出量が含まれる。
【0040】
よりシンプルには、取得部44は、建物90の建築に要した総工費に所定の係数を乗算することで第1排出量を算出することができる。建物90の建築に関与した一つまたは複数の事業者が使用するシステムにおいて、第1排出量が管理されているような場合には、取得部44は、当該システムから第1排出量を直接的に取得することもできる。なお、建物90の建築に複数の事業者が関与する場合には、第1排出量は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量であるといえる。
【0041】
次に、取得部44は、建物90が建築されてから現在までの、建物90全体における、エネルギーの使用量を示す計測情報を取得する(S13)。計測情報は、例えば、機器管理システム20の計測機器23によって計測された、建物90全体における電気、水道、及び、ガスの使用量を示す情報である。
【0042】
次に、取得部44は、取得した計測情報に基づいて、建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得(算出)する(S14)。例えば、建物90における建物90が建築されてから現在までの水道使用量がxm、ガス使用量がym、電気使用量がzkWhであるとすると、第2排出量は、a×x+b×y+c×z[t]という式に基づいて算出することができる。a、b、及び、cは、エネルギー使用量をGHGの排出量に換算するための係数である。
【0043】
ここで、建物90の運用に複数の事業者が関与する場合には、第2排出量は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量であるといえる。そこで、取得部44は、第2排出量の事業者ごとの内訳を決定(取得)してもよい(S15)。取得部44は、例えば、建物を利用する事業者ごとに当該事業者が使用する領域の面積を特定し、面積の比率を第2排出量の比率(内訳)として決定する。事業者が使用する領域の面積は、例えば、あらかじめユーザによって情報端末30に入力され、情報端末30から情報出力システム40へ通知される。
【0044】
例えば、建物90にテナントA及びテナントBが入居しており、建物90内には管理者が使用する管理室が設けられているとする。建物90の内部を、共用の領域と専有の領域とに分けた場合、共用の領域の面積をSとし、専有の領域のうち、テナントAが使用する領域の面積S、テナントBが使用する領域の面積をS、管理者が使用する領域の面積S、残りの領域の面積をSとすると、取得部44は、以下のように第2排出量の比率(内訳)を決定することができる。
【0045】
テナントA:テナントB:管理者:オーナ
=S/4+S:S/4+S:S/4+S:S/4+S
【0046】
なお、計測情報が、共用の領域、テナントAが使用する領域、テナントBが使用する領域、管理者が使用する領域、及び、残りの領域のそれぞれにおけるエネルギー使用量を個別に示す場合、取得部44は、エネルギー使用量の比率を第2排出量の比率として決定してもよい。
【0047】
次に、出力部45は、ステップS12において取得された第1排出量と、ステップS14において取得された第2排出量と、第1排出量、及び、第2排出量の合計排出量と、ステップS15において決定された内訳とを示す排出量情報を生成し、生成した排出量情報を出力する(S16)。ステップS16において、出力部45は、取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力しているといえる。出力された排出量情報は、通信部41によって情報端末30へ送信される(S17)。
【0048】
情報端末30の通信部33は、排出量情報を受信する。情報処理部34は、受信された排出量情報に基づいて、第1排出量、第2排出量、及び、合計排出量を示す画像を表示部32に表示する(S18)。図3は、第1排出量、第2排出量、及び、合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
【0049】
このように、表示システム10は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を、建物90を建築するために排出される第1排出量、及び、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量に区分して可視化することができる。なお、建物90のライフサイクルとは、例えば、建物90が建築されてから現在までを意味するが、以下の(a)~(d)のような意味であってもよい。
【0050】
(a)建物90が建築されてから、取り壊されるまで
(b)建物90が建築されてから、建物90の運用が終了するまで
(c)建物90が建築されてから、運用開始後所定期間(所定年数)が経過するまで
(d)現在から所定期間(所定年数)が経過するまで
【0051】
また、情報処理部34は、排出量情報に含まれる第2排出量の内訳に基づいて、第2排出量の内訳を表示してもよい。図4は、第2排出量の内訳を示す画像の一例を示す図である。図4に示されるように、第2排出量は、オーナ排出量、テナント排出量、及び、管理排出量が含まれる。オーナ排出量は、建物90のオーナによる建物90の運用に伴って排出されるGHGの排出量であり、テナント排出量は、建物90のテナントによる建物90を利用した活動に伴って排出されるGHGの排出量であり、管理排出量は、建物90の管理者による建物90の管理業務に伴って排出されるGHGの排出量である。
【0052】
このように、表示システム10は、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を、オーナ排出量、テナント排出量、及び、管理排出量に区分して可視化することができる。
【0053】
なお、動作例1では、第2排出量が、オーナ排出量、テナント排出量、及び、管理排出量に区分されたが、第1排出量も、第2排出量と同様の手法により、オーナ排出量、テナント排出量、及び、管理排出量に区分されてもよい。
【0054】
[動作例1の変形例1]
情報出力システム40の取得部44は、第1排出量、及び、第2排出量に加えて、建物90が建築された後に建物90の保守(メンテナンス)に伴って排出されるGHGの第3排出量を取得(算出)してもよい。
【0055】
例えば、取得部44は、建物90の保守に使用された建築資材の種別、建築資材の量、建築資材の運搬方法、及び、建物90を保守するときの工法などの保守に関する各種データをGHGの排出量に換算する計算式(アルゴリズム)を使用して、第3排出量を取得する。保守に関する各種データは、例えば、ユーザにより情報端末30に入力され、情報端末30から情報出力システム40へ送信されることで取得される。保守に関する各種データは、建物90の保守に関与した一つまたは複数の事業者が使用するシステム(図示せず)から情報出力システム40へ提供されてもよい。
【0056】
よりシンプルには、取得部44は、建物90の保守にかかった総工費に所定の係数を乗算することで第3排出量を算出することができる。建物90の保守に関与した一つまたは複数の事業者が使用するシステムにおいて、第3排出量が管理されているような場合には、取得部44は、当該システムから第3排出量を直接的に取得することもできる。なお、建物90の保守に複数の事業者が関与する場合には、第3排出量は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量であるといえる。
【0057】
このように、取得部44によって第3排出量が取得される場合、上記動作例1のステップS16において、出力部45は、第1排出量と、第2排出量と、第3排出量と、第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量の合計排出量と、第2排出量の内訳とを示す排出量情報を生成し、生成した排出量情報を出力する。
【0058】
この結果、ステップS18において、情報端末30の情報処理部34は、排出量情報に基づいて、第1排出量、第2排出量、第3排出量、及び、合計排出量を示す画像を表示部32に表示することができる。図5は、第1排出量、第2排出量、第3排出量、及び、合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
【0059】
このように、表示システム10は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を、建物90を建築するために排出される第1排出量、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量、及び、建物90が建築された後に建物90の保守に伴って排出されるGHGの第3排出量に区分して可視化することができる。
【0060】
なお、第3排出量が第1排出量及び第2排出量と区別されることは必須ではない。第3排出量は、第1排出量の一種として第1排出量に含められてもよいし、第2排出量の一種として第2排出量に含められてもよい。
【0061】
また、第3排出量も、第2排出量と同様の手法により、オーナ排出量、テナント排出量、及び、管理排出量に区分されてもよい。
【0062】
[動作例1の変形例2]
上記実施の形態では、第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量は、各種データに基づいて取得(算出)された。ここで、取得部44は、建物90を建築する前の設計段階において算出される、設計上の第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量を取得してもよい。つまり、情報端末30の表示部32には、設計上の第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量が表示されてもよい。設計上の排出量は、言い換えれば、建物90を建設及び運用する前に定められる推定排出量である。なお、設計上の第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量は、例えば、上述の設計情報と同様の手法で取得されればよい。
【0063】
[動作例1の変形例3]
上記実施の形態では、表示システム10は、建物90が建築されてから現在までにおいて建物90に関連して排出されるGHGの合計排出量を表示した。ここで、第2排出量に関して、取得部44は、過去のGHGの第2排出量を用いた予測に基づいて将来の第2排出量を取得(算出)してもよい。過去のGHGの第2排出量を用いた将来の第2排出量の予測には、例えば、気候などの外的要因を考慮して第2排出量を予測することができる予測モデルなどが用いられる。
【0064】
この場合、出力部45は、将来の第2排出量を加味して将来の合計排出量を示す排出量情報を出力し、情報端末30の情報処理部34は、排出量情報に基づいて、将来の合計排出量を示す画像を表示部32に表示することができる。図6は、将来の合計排出量を示す画像の一例を示す図である。
【0065】
なお、取得部44は、第3排出量についても、過去のGHGの第3排出量を用いた予測に基づいて将来の第3排出量を取得(算出)することができる。この場合、出力部45は、将来の第2排出量及び第3排出量を加味して将来の合計排出量を示す排出量情報を出力し、情報端末30の情報処理部34は、排出量情報に基づいて、将来の合計排出量を示す画像を表示部32に表示することができる。
【0066】
[動作例1の変形例4]
動作例1では、表示システム10は、建物90におけるGHG排出量を建築時の第1排出量と運用時の第2排出量に区別して表示したが、建物90のオーナまたは建物90に入居するテナントに注目し、オーナに関するGHG排出量とテナントに関するGHG排出量とを個別に表示してもよい。図7は、テナントAのGHG排出量を個別に示す画像の一例を示す図である。
【0067】
図7に示されるように、テナントAのGHG排出量は、例えば、上流排出量と、自社排出量と、下流排出量とに区分される。自社排出量は、自社で直接燃料を使用することによる直接排出量と、他社から共有されたエネルギー使用に伴う間接排出量である。
【0068】
テナントAの上流排出量は、例えば、上述のオーナによる第1排出量、及び、第2排出量から算出される間接排出量である。建物90の面積の合計(延床面積)をStotal、テナントAが使用する領域の面積Sとすると、建築に関する上流排出量は、第1排出量×S/Stotalとなる。オーナによる第2排出量から算出される、運用に関する上流排出量についても同様である。また、それらに加えて、テナントAが独自にフロアを改修した際の排出量、あるいは、テナントAが独自に追加導入した設備に関する排出量も含んでもよい。
【0069】
テナントAの自社排出量は、テナントAの企業活動に際してテナントA自らが燃料を使用することによる排出する直接排出量と、他社から供給されたエネルギー使用に伴うGHGの間接排出量をあわせたものである。自社排出量を特定するために、情報出力システム40の取得部44は、例えば、テナントAが使用する情報端末(図示せず)から情報出力システム40へ送信される自社排出量を示す情報を取得すればよい。これにより、出力部45は、取得された自社排出量を示す情報を可視化するための情報を情報端末30へ出力することができる。例えば、建物90に関わる電気やガスなどのエネルギー使用量であり、上述の第2排出量のうちテナントAが寄与する分(上述のテナント排出量に相当)である。
【0070】
テナントAの下流排出量は、例えば、建物に居住するテナント従業員の通勤に関わるGHGの排出量が含まれる。通勤によるGHGの排出量を特定するために、情報出力システム40の取得部44は、例えば、テナントAが使用する情報端末(図示せず)から情報出力システム40へ送信される通勤によるGHGの排出量を示す情報を取得すればよい。これにより、出力部45は、取得された通勤によるGHGの排出量を可視化するための情報を情報端末30へ出力することができる。
【0071】
また、表示システム10は、建物90のオーナのGHG排出量を個別に表示してもよい。オーナのGHG排出量は、例えば、上流排出量と、自社排出量と、下流排出量とに区分される。
【0072】
オーナの上流排出量は、例えば建物の建築時の排出量、導入設備に関する排出量などである。
【0073】
オーナの自社排出量は、例えば、ビル全体の運用・管理、共用部運用のためのエネルギー使用に関わる排出量である。
【0074】
オーナの下流排出量は、例えば、建物に入居しているテナントが建物を利用する際に利用するエネルギー使用量や、その他建物を利用したテナント活動による排出量である。
【0075】
なお、以上のように、オーナに関するGHG排出量とテナントに関するGHG排出量とが個別に表示される場合、情報出力システム40において、出力部45は、取得部44によって取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のオーナに関するGHGの排出量と、建物90のテナントに関するGHGの排出量とを個別に表示するための情報を出力する。
【0076】
また、表示システム10は、上流排出量、自社排出量、及び、下流排出量などの排出量の属性に着目し、属性ごとにテナントの排出量とオーナの排出量との比率を示す画像を表示してもよい。
【0077】
[動作例2]
表示システム10は、建物90におけるGHGの排出量の基準排出量に対する削減量を情報端末30に表示してもよい。図8は、表示システム10の動作例2のシーケンス図である。
【0078】
情報出力システム40の取得部44は、建物90を建築するために排出されたGHGの第1排出量を取得(算出)する(S21)。ステップS21の処理は、動作例1のステップS11~S12で説明した処理と同様であるため詳細な説明が省略される。
【0079】
次に、取得部44は、第1基準排出量から第1排出量を減算することにより、第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量を取得(算出)する(S22)。第1基準排出量としては、例えば、建物90と同じ規模の建物を建築する場合の標準的な排出量が使用される。標準的な排出量は、例えば、標準的な排出量を管理するシステム(データベース)への問い合わせなどによって取得することができる。なお、第1基準排出量として、動作例1の変形例2で説明した設計上の第1排出量が使用されてもよい。
【0080】
次に、取得部44は、建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得(算出)する(S23)。ステップS23の処理は、動作例1のステップS13~S14で説明した処理と同様であるため詳細な説明が省略される。
【0081】
次に、取得部44は、第2基準排出量から第2排出量を減算することにより、第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得(算出)する(S24)。第2基準排出量としては、例えば、建物90と同じ規模の建物を運用する場合の標準的な排出量が使用される。標準的な排出量は、例えば、標準的な排出量を管理するシステム(データベース)への問い合わせなどによって取得することができる。なお、第2基準排出量として、動作例1の変形例2で説明した設計上の第2排出量が使用されてもよい。
【0082】
次に、出力部45は、ステップS22において取得された第1削減量と、ステップS24において取得された第2削減量と、第1削減量、及び、第2削減量の合計削減量とを示す削減量情報を生成し、生成した削減量情報を出力する(S25)。ステップS25において、出力部45は、取得された第1削減量及び前記第2削減量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力しているといえる。出力された削減量情報は、通信部41によって情報端末30へ送信される(S26)。
【0083】
情報端末30の通信部33は、削減量情報を受信する。情報処理部34は、受信された削減量情報に基づいて、第1削減量、第2削減量、及び、合計削減量を示す画像を表示部32に表示する(S27)。図9は、第1削減量、第2削減量、及び、合計削減量を示す画像の一例を示す図である。
【0084】
このように、表示システム10は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を、建物90を建築するときに削減された第1削減量、及び、建築された後の建物90を運用しているときに削減された第2削減量に区分して可視化することができる。
【0085】
なお、第2削減量については、オーナ削減量、テナント削減量、及び、管理削減量を区別して取得(算出)されてもよい。オーナ削減量は、建物90のオーナによる建物90の運用に伴って排出されるGHGの削減量であり、テナント削減量は、建物90のテナントによる建物90の利用に伴って排出されるGHGの削減量であり、管理削減量は、建物90の管理者による建物90の管理業務に伴って排出されるGHGの削減量である。
【0086】
例えば、計測情報が、共用の領域、テナントが使用する領域、管理者が使用する領域、及び、残りの領域のそれぞれにおけるエネルギー使用量を個別に示す場合、取得部44は、計測情報に基づいて、オーナ削減量、テナント削減量、及び、管理削減量を区別して取得(算出)することができる。
【0087】
また、動作例2には、動作例1の変形例1~4で説明した内容が適用されてもよい。例えば、動作例2に動作例1の変形例1の内容を適用し、取得部44は、建物90が建築された後に建物90の保守(メンテナンス)に伴って排出されるGHGの第3削減量を取得(算出)してもよい。
【0088】
[効果等]
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、例示される発明から得られる効果等について説明する。
【0089】
発明1は、建物90を建築するために排出されるGHGの第1排出量、及び、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得部44と、取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力部45とを備える、情報出力システム40である。
【0090】
このような情報出力システム40は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力することができる。つまり、情報出力システム40は、建物90におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる。
【0091】
発明2は、第2排出量は、建物90のオーナによる建物90の運用に伴って排出されるGHGの排出量であるオーナ排出量を含む、発明1の情報出力システムである。
【0092】
このような情報出力システム40は、第2排出量として、オーナ排出量を考慮(区別)することができる。
【0093】
発明3は、第2排出量は、建物90のテナントによる建物90を利用した活動に伴って排出されるGHGの排出量であるテナント排出量を含む、発明1または2の情報出力システム40である。
【0094】
このような情報出力システム40は、第2排出量として、テナント排出量を考慮(区別)することができる。
【0095】
発明4は、第2排出量は、建物90の管理者による建物90の管理業務に伴って排出されるGHGの排出量である管理排出量を含む、発明1~3のいずれかの情報出力システム40である。
【0096】
このような情報出力システム40は、第2排出量として、管理排出量を考慮(区別)することができる。
【0097】
発明5は、第2排出量は、建物90を運用する前に定められる推定排出量である、発明1~4のいずれかの情報出力システム40である。
【0098】
このような情報出力システム40は、推定排出量に基づいて合計排出量を出力することができる。
【0099】
発明6は、取得部44は、実際の運用にかかったGHG排出量と、過去のGHGの排出量を用いた予測に基づいて将来の第2排出量を取得し、出力部45は、将来の合計排出量を出力する、発明1~5のいずれかの情報出力システム40である。
【0100】
このような情報出力システム40は、建物90の将来の合計排出量を出力することができる。
【0101】
発明7は、第1排出量及び第2排出量の少なくとも一方は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量である、発明1~6のいずれかの情報出力システム40である。
【0102】
このような情報出力システム40は、複数の事業者の活動に伴って排出されるGHGの排出量に基づいて、合計排出量を出力することができる。
【0103】
発明8は、取得部44は、さらに、建物90が建築された後に建物90の保守に伴って排出される第3排出量を取得し、出力部45は、取得された第1排出量、第2排出量、及び、第3排出量に基づいて、合計排出量を出力する、発明1~7のいずれかの情報出力システム40である。
【0104】
このような情報出力システム40は、建物90の保守に伴って排出される第3排出量を含む合計排出量を出力することができる。
【0105】
発明9は、出力部45は、取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のオーナに関するGHGの排出量と、建物90のテナントに関するGHGの排出量とを個別に表示するための情報を出力する、発明1~8のいずれかの情報出力システム40である。
【0106】
このような情報出力システム40は、建物90のオーナによるGHGの排出量、及び、建物90のテナントによるGHGの排出量の個別表示を支援することができる。
【0107】
発明10は、建物90を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得部44と、取得された第1削減量及び第2削減量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力部45とを備える、情報出力システム40である。
【0108】
このような情報出力システム40は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力することができる。つまり、情報出力システム40は、建物90におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる。
【0109】
発明11は、コンピュータシステムによって実行される情報出力方法であって、建物90を建築するために排出されるGHGの第1排出量、及び、建築された後の建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量を取得する取得ステップと、取得された第1排出量及び第2排出量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力する出力ステップとを含む、情報出力方法である。
【0110】
このような情報出力方法は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量を出力することができる。つまり、情報出力方法は、建物90におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる。
【0111】
発明12は、コンピュータシステムによって実行される情報出力方法であって、建物を建築するために排出されるGHGの第1排出量の第1基準排出量に対する第1削減量、及び、建物90を運用しているときに排出されるGHGの第2排出量の第2基準排出量に対する第2削減量を取得する取得ステップと、取得された第1削減量及び第2削減量に基づいて、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力する出力ステップとを含む、情報出力方法である。
【0112】
このような情報出力方法は、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計削減量を出力することができる。つまり、情報出力方法は、建物90におけるGHGの排出量に関する情報を出力することができる。
【0113】
発明13は、発明11または12の情報出力方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0114】
このようなプログラムによれば、コンピュータシステムは、建物90のライフサイクルにおいて排出されるGHGの合計排出量または合計削減量を出力することができる。
【0115】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0116】
例えば、上記実施の形態において、表示システム、機器管理システム、または、情報出力システムなどの各種システムは、1つの装置によって実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。システムが複数の装置によって実現される場合、システムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0118】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0120】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0121】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0122】
例えば、本発明は、上記実施の形態の表示システム、機器管理システム、または、情報出力システムなどの各種システム(コンピュータシステム)が実行する方法として実現されてもよいし、コンピュータシステムに当該方法を実行させるためのプログラム(コンピュータプログラムプロダクト)として実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0123】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10 表示システム
20 機器管理システム
21 照明機器
22 空調機器
23 計測機器
24 制御装置
25 ゲートウェイ装置
26 サーバシステム
27、41 通信部
28、42 情報処理部
29、43 記憶部
30 情報端末
31 操作受付部
32 表示部
33 通信部
34 情報処理部
35 記憶部
40 情報出力システム(コンピュータシステム)
44 取得部
45 出力部
90 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9