(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163778
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】昇降システム、及びスタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20241115BHJP
B66F 9/07 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65G1/04 539A
B66F9/07 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079655
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 凌
【テーマコード(参考)】
3F022
3F333
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ09
3F022MM57
3F022MM67
3F022NN05
3F022NN26
3F022QQ03
3F333AA04
3F333AB08
3F333AE03
3F333BD05
3F333FA21
(57)【要約】
【課題】モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することができる昇降システム、及びスタッカクレーンを提供する。
【解決手段】キャリッジ昇降システム(KS)は、ブレーキ(SM1)が設けられるとともに、キャリッジを昇降させるためのサーボモータ(SM)と、サーボモータ(SM)を駆動するサーボアンプ(C2)と、ブレーキ開放回路(BK1)と、ブレーキ開放回路(BK1)に直列に接続されたブレーキ誤動作防止回路(BK2)と、を備える。ブレーキ開放回路(BK1)は、ブレーキ(SM1)によるサーボモータ(SM)の停止状態を解除し得る。ブレーキ誤動作防止回路(BK2)は、第2信号を受信しているときのみ、ブレーキ開放回路(BK1)を介してブレーキ(SM1)によるサーボモータ(SM)の停止状態を解除する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降台の昇降を制御する昇降システムであって、
前記昇降台を昇降させるためのモータと、
第1リレー回路と、を備え、
前記モータには、所定の電圧が印加されないと前記モータを停止状態に維持し、前記所定の電圧が印加される間、前記停止状態を解除する電磁ブレーキが設けられており、
前記第1リレー回路は、
前記電磁ブレーキへの通電を許可する旨の信号である第1信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断する回路であり、
前記モータの動作を許可する旨の信号である第2信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断するための遮断回路を更に備える、昇降システム。
【請求項2】
前記モータを駆動するモータドライバを、更に備え、
前記モータドライバは、
前記第2信号を受信している場合に、前記モータを駆動することができるとともに、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信し、
前記第2信号を受信していない場合に、前記モータを駆動しないとともに、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信しない回路であり、
前記遮断回路は、前記第1リレー回路に直列に接続される第2リレー回路である、請求項1に記載の昇降システム。
【請求項3】
前記モータドライバに対して前記昇降台の昇降の指示を行う制御装置を、更に備え、
前記制御装置は、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信し得る、請求項2に記載の昇降システム。
【請求項4】
前記モータドライバ及び前記遮断回路に対して前記第2信号を送信する第1安全制御装置を、更に備える、請求項2または3に記載の昇降システム。
【請求項5】
前記モータを駆動するモータドライバ、
前記モータドライバに対して前記昇降台の昇降の指示を行う制御装置、及び、
前記モータドライバ及び前記遮断回路に対して前記第2信号を送信する第1安全制御装置を、更に備え、
前記モータドライバは、
前記第2信号を受信している場合に、前記モータを駆動することができるとともに、前記遮断回路に前記第1信号を送信し、
前記第2信号を受信していない場合に、前記モータを駆動しないとともに、前記遮断回路に前記第1信号を送信しない回路であり、
前記制御装置は、前記遮断回路に前記第1信号を送信し得、
前記遮断回路は、
前記第1安全制御装置から、前記第2信号を受信している場合に、前記モータドライバまたは前記制御装置から受信した前記第1信号を前記第1リレー回路に伝達し、
前記第2信号を受信していない場合に、前記モータドライバまたは前記制御装置から受信した前記第1信号を前記第1リレー回路に伝達しない回路である、請求項1に記載の昇降システム。
【請求項6】
マストと、
前記マストに対して昇降可能に設けられる前記昇降台と、
請求項1から3のいずれか1項、または請求項5に記載の昇降システムと、を備える、スタッカクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇降システム、及びスタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来文献には、スタッカクレーンの昇降台の位置を制御するスタッカクレーンの昇降制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記スタッカクレーンの昇降台(キャリッジ)を昇降するためのモータには、電磁ブレーキが設けられており、電磁ブレーキは、モータドライバからの指示に従って、モータに対するブレーキ動作を行う。
【0005】
ところが、上記のような従来技術では、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することには改善の余地がある。
【0006】
本開示は、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することができる昇降システム、及びスタッカクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の昇降システムは、昇降台の昇降を制御する昇降システムであって、前記昇降台を昇降させるためのモータと、第1リレー回路と、を備え、前記モータには、所定の電圧が印加されないと前記モータを停止状態に維持し、前記所定の電圧が印加される間、前記停止状態を解除する電磁ブレーキが設けられており、前記第1リレー回路は、前記電磁ブレーキへの通電を許可する旨の信号である第1信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断する回路であり、前記第1リレー回路に直列に接続されるとともに、前記モータの動作を許可する旨の信号である第2信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断するための第2リレー回路を更に備える。
【0008】
また、本開示のスタッカクレーンは、マストと、前記マストに対して昇降可能に設けられる前記昇降台と、上記昇降システムと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することができるキャリッジ昇降システム、及びスタッカクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1に係るスタッカクレーンが適用された物品搬送システムの概要を説明する図である。
【
図3】
図2に示すスタッカクレーンを前方から見た正面図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。
【
図5】本開示の変形例2に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、
図1~
図4を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本開示の実施形態1に係るキャリッジ昇降システムKS及びスタッカクレーン1が適用される具体例としての物品搬送システム100について説明する。
【0012】
また、以下の説明では、昇降システムとして、例えば、昇降台としてのキャリッジ30を有し、走行機能を備えた搬送装置を含む、キャリッジ昇降システムKSに本開示を適用した場合について説明する。但し、本開示は、これに限定されるものではなく、例えば、昇降台を有し、走行機能を備えていないリフター(昇降装置)を含む、昇降システムに適用することができる。
【0013】
〔物品搬送システム〕
図1は、本開示の実施形態1に係るスタッカクレーン1が適用された物品搬送システム100の概要を説明する図である。なお、以下の説明では、
図1等の矢印で示されるように、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。また、本実施形態において、上下方向は前後方向及び左右方向と直交する方向であって、前後方向は左右方向と直交する方向である。
【0014】
図1において、物品搬送システム100は、スタッカクレーン1と、荷棚2A及び2Bと、を備える。荷棚2A及び2Bは、物品を載置可能な棚である。荷棚2A及び2Bは、上下方向に複数の段が設けられ、その各段の左右方向において物品を載置するスペースが区画化されている。荷棚2Aと荷棚2Bとの間には、スタッカクレーン1の走行経路を構成する走行ガイドレール3がフロアに設置され、荷棚2Aと荷棚2Bとの間をスタッカクレーン1が走行可能となっている。荷棚2Aはスタッカクレーン1の後方に位置し、荷棚2Bはスタッカクレーン1の前方に位置する。
【0015】
スタッカクレーン1は、物品を搬送する装置である。スタッカクレーン1の上下方向の高さは、5m~8m程である。スタッカクレーン1は、走行ガイドレール3に沿って走行する。本実施形態において、スタッカクレーン1の走行方向D1は、左右方向である。物品搬送システム100は、複数のスタッカクレーン1を備えてもよい。本実施形態においては、走行ガイドレール3上を2つのスタッカクレーン1が走行する。なお、物品搬送システム100は、走行ガイドレール3上を1つのスタッカクレーン1が走行する構成としてもよい。
【0016】
以下の説明において、
図1の左側に示すスタッカクレーン1については、スタッカクレーン1Aと称し、
図1の右側に示すスタッカクレーン1についてはスタッカクレーン1Bと称する。
【0017】
スタッカクレーン1A及び1Bは、物品の搬送を行わない待機状態の場合、各ホーム位置HP1及びHP2にて待機する。ホーム位置HP1は走行ガイドレール3の左側に設けられ、ホーム位置HP2は走行ガイドレール3の右側に設けられている。物品の搬送を行う場合、スタッカクレーン1Aはホーム位置HP1から搬送位置CP1へ、スタッカクレーン1Bはホーム位置HP2から搬送位置CP2へ移動する。搬送位置CP1及びCP2は、荷棚2A又は2Bから物品の出し入れを行うことが可能な位置である。搬送位置CP1及びCP2は、荷棚2A又は2Bに載置される物品の位置に応じて異なる。
【0018】
スタッカクレーン1Aの搬送位置CP1はホーム位置HP1よりも走行ガイドレール3の右側の位置であり、スタッカクレーン1Bの搬送位置CP2はホーム位置HP2よりも走行ガイドレール3の左側の位置である。スタッカクレーン1Aはホーム位置HP1と搬送位置CP1との間を往復移動し、スタッカクレーン1Bはホーム位置HP2と搬送位置CP2との間を往復移動する。
【0019】
例えば、スタッカクレーン1Aが、前側の荷棚2Bの左から4番目の列に載置される物品の出し入れを行う場合、スタッカクレーン1Aは、ホーム位置HP1から
図1に示す搬送位置CP1まで移動する。スタッカクレーン1Aは、搬送位置CP1にて物品の出し入れが完了すると、ホーム位置HP1に戻る。
【0020】
〔スタッカクレーンの構造〕
次に、スタッカクレーン1の詳細な構成について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、上記スタッカクレーン1Aを示す斜視図である。
図3は、
図2に示すスタッカクレーン1Aを前方から見た正面図である。なお、スタッカクレーン1A及び1Bは何れも同じ構成であるため、スタッカクレーン1Aについてのみ説明し、スタッカクレーン1Bの説明は省略する。
図2に示すように、スタッカクレーン1Aは、マスト10と、走行台車20と、キャリッジ30と、制御ボックス40と、ドライバボックス50と、を備えている。
【0021】
マスト10は、上下方向に延伸する柱状の部材である。スタッカクレーン1Aには、一対のマスト10が設けられている。なお、以下の説明において、図面の左側(ホーム位置HP1側)のマスト10については第1マスト10Aと称し、図面の右側(搬送位置CP1側)のマスト10については第2マスト10Bと称する。
【0022】
第1マスト10A及び第2マスト10Bは、左右方向において離間している。第1マスト10Aと第2マスト10Bとの間には、キャリッジ30が設けられている。第1マスト10A及び第2マスト10Bのそれぞれには、昇降ガイドレール11が設けられている。昇降ガイドレール11はキャリッジ30を上下方向に案内する。
【0023】
マスト10の上方には、上部フレーム14が設けられている。上部フレーム14は、第1マスト10Aの上方の端部と第2マスト10Bの上方の端部を接続するように設けられる。上部フレーム14は、図示していない上部ガイドレールと係合し、上部ガイドレールにより走行方向D1にスタッカクレーン1Aを案内する。
【0024】
図3に示すように、マスト10の下方には、キャリッジ30をマスト10に対して昇降させるための駆動部である昇降モータユニット15が設けられている。昇降モータユニット15は、マスト10の下方に設けられた駆動ドラム17を駆動して、キャリッジ30を昇降させるための(昇降)モータとして、例えば、サーボモータSM(
図4)を有する。サーボモータSMはマスト10の前側に設けられている。
【0025】
なお、以下の説明において、第1マスト10Aに設けられた昇降モータユニット15及び駆動ドラム17については、それぞれ昇降モータユニット15A及び駆動ドラム17Aと称する。第2マスト10Bに設けられた昇降モータユニット15及び駆動ドラム17については、それぞれ昇降モータユニット15B及び駆動ドラム17Bと称する。また、昇降モータユニット15A及び昇降モータユニット15Bにおいて、駆動ドラム17A及び駆動ドラム17Bをそれぞれ駆動するモータについては、上記サーボモータSMで総称する。
【0026】
駆動ドラム17には、一端がキャリッジ30に固定された昇降ワイヤ16が巻回されている。昇降ワイヤ16は、マスト10の上方において、マスト10に設けられたプーリ18に巻回されている。プーリ18は、昇降ワイヤ16の進退により回転する。昇降モータ151が正回転または逆回転することにより、昇降ワイヤ16が駆動ドラム17から進退する。これにより、キャリッジ30は、昇降ワイヤ16とともに、マスト10に対して上下方向に移動、即ち昇降方向D2に昇降する。
図2に示すように、キャリッジ30は、昇降モータユニット15により、実線にて示す最下方位置と破線にて示す最上方位置との間を昇降する。昇降モータユニット15、昇降ワイヤ16、駆動ドラム17、及びプーリ18は、リフト部の一例である。
【0027】
第1マスト10Aの前面には、第1支持部12と、第2支持部13とが設けられている。第1支持部12及び第2支持部13は、昇降ケーブル45(
図3)を支持する。なお、
図2において、図面の見易さを考慮し昇降ケーブル45の図示は省略している。第1支持部12は、第2支持部13よりも上方に位置する。第1支持部12は、上下方向において、第1マスト10Aのほぼ中間の位置に設けられている。
図3に示すように、昇降ケーブル45は、第1支持部12に支持されている部分で折り曲げられている。
【0028】
走行台車20は、台車フレーム21と、走行モータユニット25とを有している。走行台車20は、走行部の一例である。台車フレーム21には、マスト10が立設される。また、台車フレーム21には、走行ガイドレール3上を走行する車輪22を有している。
【0029】
台車フレーム21には、スタッカクレーン1Aを走行させるための駆動部である走行モータユニット25が設けられている。より詳細には、走行モータユニット25は、左右方向において台車フレーム21の左側に設けられ、前後方向において台車フレーム21の後側に設けられている。走行モータユニット25はマスト10よりも後側に配置されている。走行モータユニット25は、図示しない走行モータを有し、当該走行モータからの駆動力が車輪22に伝達されることで車輪22が回転する。車輪22が回転すると、スタッカクレーン1Aは走行ガイドレール3に案内され、走行方向D1に沿って走行する。
【0030】
キャリッジ30は、
図3に点線にて例示する物品Mを載置可能に構成されており、マスト10に対して昇降可能に設けられている。また、キャリッジ30には、当該キャリッジ30と荷棚2A、2Bとの間にて物品Mの出し入れを行うフォーク部と、当該フォーク部を旋回させる旋回部が設けられており、荷棚2A、2Bに対する物品Mの搬入出を容易に行えるようになっている(周知につき図示せず)。
【0031】
第1マスト10Aには、制御ボックス40が取り付けられている。制御ボックス40は、前後方向において、第1マスト10Aの後側に取り付けられている。制御ボックス40は、スタッカクレーン1Aの全体における電子的な制御を行う制御装置C1(
図4)が格納される筐体である。
【0032】
図2に示すように、第1マスト10Aには、ドライバボックス50が取り付けられている。ドライバボックス50は、キャリッジ昇降システムKSに含まれたモータドライバとしてのサーボアンプC2(
図4)等が格納される筐体の一例である。ドライバボックス50は、前後方向において、第1マスト10Aの前側に取り付けられている。ドライバボックス50の上部には、昇降ケーブル45が接続されるコネクタが設置されるコネクタプレート(図示せず)が設けられている。昇降ケーブル45は、ドライバボックス50の上部に形成された開口52を介して、ドライバボックス50のコネクタプレートと接続する。また、ドライバボックス50には、走行モータユニット25を駆動する走行ドライバなどのスタッカクレーン1に設けられた他のドライバも格納されている(図示せず)。
【0033】
〔キャリッジ昇降システムの概要〕
次に、キャリッジ昇降システムKSの機能構成について
図4も参照して詳細に説明する。
図4は、本開示の実施形態1に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。
【0034】
図4に示すように、キャリッジ昇降システムKSは、少なくともサーボモータSMと、サーボアンプC2と、第1リレー回路としてのブレーキ開放回路BK1と、遮断回路としてのブレーキ誤動作防止回路BK2と、を備えている。また、キャリッジ昇降システムKSは、スタッカクレーン1を制御する、制御装置C1を含むものとしてもよい。またキャリッジ昇降システムKSは、スタッカクレーン1の安全動作を担う安全制御システムでもある、第1安全制御装置としてのセーフティコントローラC3を含むものとしてもよい。また、キャリッジ昇降システムKSは、当該キャリッジ昇降システムKSに電力を供給するための電源システムでもある、電源PSを含むものとしてもよい。
【0035】
〔制御装置〕
制御装置C1は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、またはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及びRAM若しくはROM等のメモリ、及び通信インターフェースを備えたコンピュータにより構成される。制御装置C1のプロセッサは、メモリに格納された種々のプログラムを実行することで、種々の制御及び種々の演算を実行する。
【0036】
また、制御装置C1は、上記サーボアンプC2に対してキャリッジ30の昇降の指示を行うように構成されている。具体的にいえば、制御装置C1は、昇降モータユニット15に含まれたサーボアンプC2に指令信号を出力することにより、昇降モータユニット15に含まれた上記サーボモータSMを動作させてキャリッジ30を昇降させる。また、制御装置C1は、スタッカクレーン1の走行モータユニット25などの他のユニットに指令信号を出力することにより、対応する他のユニットを動作させる。また、制御装置C1は、ブレーキ開放回路BK1に対して、サーボモータSMに設けられた後述のブレーキSM1への通電を許可する旨の信号である第1信号を送信することができてもよい(変形例参照)。
【0037】
〔セーフティコントローラ〕
セーフティコントローラC3は、例えば、制御装置C1とは独立したPLC(Programmable Logic Controller)を用いて構成されており、スタッカクレーン1Aの安全運転を実現する。換言すれば、物品搬送システム100において、セーフティコントローラC3は、制御装置C1とは別個にキャリッジ30の昇降動作の安全確保を行わせるための機能を有する。
【0038】
本実施形態1において、セーフティコントローラC3は、サーボモータSMの動作を許可する旨の信号である第2信号をサーボアンプC2及びブレーキ誤動作防止回路BK2に送信する。
【0039】
換言すれば、物品搬送システム100において、安全に上記昇降動作を実施できる場合にのみセーフティコントローラC3は第2信号を送出する。例えば、スタッカクレーン1Aの非常停止ボタンまたはメンテナンスボタンがユーザの操作によってオン状態とされる、あるいは所要のセンサによってスタッカクレーン1A周辺の進入禁止エリアへの人の進入が検知された場合には、セーフティコントローラC3は第2信号の送出を行わない。
【0040】
〔サーボモータ〕
サーボモータSMには、電磁ブレーキとしてのブレーキSM1と、当該サーボモータSMの回転位置や速度などの所定のパラメータ値を検出するためのエンコーダSM2とが設けられている。サーボモータSMは、後に詳述するように、サーボアンプC2による、フィードバック制御が行われることにより、キャリッジ30の昇降動作を実施可能になっている。ブレーキSM1は、所定の電圧が印加されないとサーボモータSMを停止状態に維持し、上記所定の電圧が印加される間、サーボモータSMの停止状態を解除するよう構成されている。
【0041】
ブレーキSM1には、電源PSからの電力が、ブレーキ誤動作防止回路BK2及びブレーキ開放回路BK1を順次介してブレーキSM1に供給されるようになっている。なお、ブレーキ開放回路BK1及びブレーキ誤動作防止回路BK2は、スタッカクレーン1単位に設けられており、ドライバボックス50に格納されている。
【0042】
〔ブレーキ開放回路〕
ブレーキ開放回路BK1は、制御装置C1またはサーボアンプC2からブレーキSM1への通電を許可する旨の信号である第1信号を受信しているとき以外は、当該ブレーキSM1に印加される電圧を遮断するリレー回路(第1リレー回路)である。換言すれば、ブレーキ開放回路BK1は、第1信号を受信している場合のみ、ブレーキSM1への電圧印加を許容して、当該ブレーキSM1によるサーボモータSMの停止状態を解除させて、キャリッジ30の昇降動作を実施させ得る。
【0043】
〔サーボアンプ〕
サーボアンプC2は、制御装置C1から、サーボモータSMについての動作目標値、例えば、サーボモータSMの回転位置、速度、及び回転力についての動作目標値(指令信号)を受信する。サーボアンプC2は、受信した動作目標値を基に、サーボモータSMが動作目標値どおりに動作するようにフィードバック制御を実行する。なお、サーボアンプC2は、サーボモータSMを駆動する場合に第1信号をブレーキ開放回路BK1に出力する。
【0044】
また、サーボアンプC2は、制御装置C1またはセーフティコントローラC3からサーボモータSMの動作を許可する旨の信号である第2信号を受信している場合に、当該サーボモータSMを駆動することができるとともに、ブレーキ開放回路BK1に上記第1信号を送信する。換言すれば、サーボアンプC2は、第2信号を受信している場合に、キャリッジ30の昇降動作を実現することができる。また、サーボアンプC2は、上記第2信号を受信していない場合に、サーボモータSMを駆動しないとともに、ブレーキ開放回路BK1に上記第1信号を送信しない。換言すれば、サーボアンプC2は、第2信号を受信している場合に、キャリッジ30の昇降動作を行えない。
【0045】
〔ブレーキ誤動作防止回路〕
実施形態1において、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、ブレーキ開放回路BK1に直列に接続されるとともに、セーフティコントローラC3から上記第2信号を受信しているとき以外は、ブレーキSM1に印加される電圧を遮断するリレー回路(第2リレー回路)である。
【0046】
〔キャリッジ昇降システムの動作:キャリッジ昇降時〕
キャリッジ昇降システムKSにおいては、メンテナンススイッチが押されている等の、第2信号を送信することができない事情が無ければ、キャリッジ30を昇降する通常の昇降動作が可能となる。このとき、セーフティコントローラC3からの第2信号が、サーボアンプC2及びブレーキ誤動作防止回路BK2に送信され、サーボアンプC2による、サーボモータSMの駆動が可能となる。
【0047】
通常の昇降時においては、制御装置C1からの指令信号が、サーボアンプC2に送信される。サーボアンプC2が、受信した指令に従って、ブレーキ開放回路BK1に第1信号を送信し、サーボモータSMの制御を行う。第1信号を受信しているブレーキ開放回路BK1及び第2信号を受信しているブレーキ誤動作防止回路BK2は、電源PSからブレーキSM1への通電を許容するため、ブレーキSM1は解放されることとなる。このようにして、サーボモータSMを用いた所望のキャリッジ30の昇降動作が実行される。
【0048】
〔キャリッジ昇降システムの動作:メンテナンス時〕
キャリッジ30等のメンテナンス時のときに、例えば、ユーザの操作によってメンテナンスボタンがオン状態とされる。するとセーフティコントローラC3は、第2信号を送出しない状態となる。ブレーキ誤動作防止回路BK2は、第2信号を受信しないので、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、電源PSからブレーキSM1に印加される電圧を遮断して、サーボモータSMの停止状態を維持させる。サーボアンプC2は、第2信号を制御装置C1から受信しないので、サーボモータSMを駆動できない。また、サーボアンプC2は、ブレーキ開放回路BK1に第1信号を送信しない。ブレーキ開放回路BK1は、第1信号を受信しないので、ブレーキ開放回路BK1は、電源PSからブレーキSM1に印加される電圧を遮断して、サーボモータSMの停止状態を維持させる。
【0049】
以上のように、メンテナンス時においては、ブレーキ開放回路BK1及びブレーキ誤動作防止回路BK2は、ともに、電源PSからサーボモータSMへの電圧を遮断して、サーボモータSMの停止状態を維持させる。サーボアンプC2の動作が異常となってキャリッジ30の昇降動作に不具合が生じた場合には、ブレーキ誤動作防止回路BK2が無いと、サーボアンプC2がブレーキ開放回路BK1に誤って第1信号を出力し、ブレーキSM1を解放させてしまう可能性がある。しかし、本実施形態1では、ブレーキ誤動作防止回路BK2がブレーキ開放回路BK1に直列に設置されているので、ブレーキ誤動作防止回路BK2がブレーキSM1に印加される電圧を遮断することにより、サーボモータSMの停止状態を維持させることができる。したがって、メンテナンス時においては、サーボモータSMの停止状態が維持されて、ユーザは安全にメンテナンスの作業を実施可能となる。
【0050】
また、キャリッジ昇降システムKSにおいては、上記のメンテナンス時以外に、ユーザの操作によって図示しない非常停止ボタンがオン状態とされた場合、またはスタッカクレーン1Aの図示しない安全柵の扉がユーザによって開かれた場合などのキャリッジ30の昇降動作を停止させて安全確保を行う場合も、制御装置C1及びセーフティコントローラC3は、メンテナンス時と同様に、動作する。
【0051】
以上のように、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSは、ブレーキSM1が設けられるとともに、キャリッジを昇降させるためのサーボモータSMと、サーボモータSMを駆動するサーボアンプC2と、ブレーキ開放回路BK1と、ブレーキ開放回路BK1に直列に接続されたブレーキ誤動作防止回路BK2と、を備える。ブレーキ開放回路BK1は、ブレーキSM1によるサーボモータSMの停止状態を解除し得る。ブレーキ誤動作防止回路BK2は、第2信号を受信しているときのみ、ブレーキ開放回路BK1を介してブレーキSM1によるサーボモータSMの停止状態を解除する。
【0052】
以上の構成によれば、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、ブレーキ誤動作防止回路BK2が、ブレーキSM1によるサーボモータSMの停止状態を解除し得るブレーキ開放回路BK1に直列に接続されている。また、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、第2信号を受信しているとき以外は、ブレーキSM1に印加される電圧を遮断して、サーボモータSMを停止状態に維持する。これにより、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、ブレーキ誤動作防止回路BK2が、第2信号を受信しているときのみ、ブレーキ開放回路BK1を介してブレーキSM1によるサーボモータSMの停止状態を解除する。この結果、キャリッジ昇降システムKSでは、サーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生を防止することができる。また、本実施形態1のスタッカクレーン1では、キャリッジ昇降システムKSを備えているので、キャリッジ昇降システムKSと同様に、サーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生を防止することができる。
【0053】
また、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、サーボアンプC2は、第2信号を受信している場合に、サーボモータSMを駆動することができるとともに、ブレーキ開放回路BK1に第1信号を送信する。一方、サーボアンプC2は、第2信号を受信していない場合に、サーボモータSMを駆動しないとともに、ブレーキ開放回路BK1に第1信号を送信しない。これにより、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、サーボアンプC2により、サーボモータSMをより適切に駆動することができる。
【0054】
また、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、制御装置C1はブレーキ開放回路BK1に第1信号を送信し得るので、制御装置C1へのユーザの指示に応じて、サーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生を確実に防止することができる。
【0055】
また、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、セーフティコントローラC3がサーボアンプC2及びブレーキ誤動作防止回路BK2に第2信号を送信するので、ユーザはセーフティコントローラC3を介在させてサーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生をより確実に防止することができる。また、本実施形態1のキャリッジ昇降システムKSでは、セーフティコントローラC3からサーボアンプC2に送信される第2信号を利用しているので、ブレーキ誤動作防止回路BK2を設けた場合でも、当該ブレーキ誤動作防止回路BK2への専用の指示回路を設ける必要がなく、システム構成(回路構成)が複雑で大型化するのを抑制することができる。
【0056】
〔変形例1〕
本開示の変形例1について具体的に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
本変形例1と上記実施形態1との主な相違点は、スタッカクレーン1がキャリッジ昇降のための複数のサーボモータSM及び複数のサーボアンプC2を備えた点である。
【0058】
本変形例1のキャリッジ昇降システムKSでは、複数のサーボモータSMとこれらの複数のサーボモータSMをそれぞれ制御する複数のサーボアンプC2が設置されている。また、制御装置C1は、複数の各サーボアンプC2に対して、指令信号を出力することにより、対応するサーボモータSMを制御するように構成されている。制御装置C1は、例えば、1つのサーボアンプC2に異常が発生した場合などにおいて、ブレーキ開放回路BK1に直接的に第1信号を出力することができるようになっている。これにより、異常が生じたサーボアンプC2が制御するサーボモータSMのブレーキSM1の解除ができなくなった場合に、制御装置C1が当該ブレーキSM1のためのブレーキ開放回路BK1を操作してブレーキSM1の解除をさせ、他のサーボモータSMを動作させてキャリッジを昇降させる非常時動作が可能になる。
【0059】
〔変形例2〕
本開示の変形例2について、
図5を用いて具体的に説明する。
図5は、本開示の変形例2に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0060】
本変形例2と実施形態1との主な相違点は、第2安全制御装置としてのセーフティコントローラC4を設けた点である。
【0061】
図5に示すように、本変形例2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、セーフティコントローラC4は、サーボアンプC2に対して、第2信号を出力しない。本変形例2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、実施形態1のものと異なり、セーフティコントローラC4は、ブレーキ誤動作防止回路BK2専用の安全制御装置として機能してもよい。
【0062】
以上の構成により、本変形例2のキャリッジ昇降システムKSは、実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0063】
また、本変形例2のキャリッジ昇降システムKSでは、セーフティコントローラC4がブレーキ誤動作防止回路BK2に第2信号を送信するので、ユーザはセーフティコントローラC4を介在させてサーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生をより確実に防止することができる。
【0064】
また、本変形例2のキャリッジ昇降システムKSでは、セーフティコントローラC4は第2信号をサーボアンプC2に送信しないので、ブレーキ誤動作防止回路BK2を設置した場合に、当該サーボアンプC2における構成や制御動作等を変更する必要がない。このため、本変形例2では、例えば、既製品のキャリッジ昇降システムKSまたはスタッカクレーン1に対して、ブレーキ誤動作防止回路BK2及びその安全制御を担うセーフティコントローラC4を容易に取り付けることが可能となる。この結果、本変形例2では、上記既製品のキャリッジ昇降システムKSまたはスタッカクレーン1において、ブレーキSM1での誤開放の発生をより確実な防止を簡単に図ることができる。
【0065】
なお、上記の説明以外に、セーフティコントローラC4に加えて、上記セーフティコントローラC3を設けて、当該セーフティコントローラC3がセーフティコントローラC4とは別個にブレーキ誤動作防止回路BK2及びサーボアンプC2のうち、少なくともブレーキ誤動作防止回路BK2に第2信号を出力する構成でもよい。この場合には、キャリッジ昇降システムKSにおいて、互いに独立した第1安全制御装置及び第2安全制御装置が設けられているので、サーボモータSMのブレーキSM1での誤開放の発生をより確実に防止することができ、キャリッジ昇降システムKSの信頼性をより容易に高めることができる。
【0066】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について
図6を用いて具体的に説明する。
図6は、本開示の実施形態2に係るキャリッジ昇降システムKSの構成例を説明する機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0067】
実施形態2と実施形態1との主な相違点は、電源PSに対して、ブレーキ誤動作防止回路BK2を独立して設置した点である。
【0068】
図6に示すように、本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、実施形態1のものと異なり、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、例えば、論理回路を用いて構成されたブレーキSM1に印加される電圧を遮断するための遮断回路である。本実施形態2のブレーキ誤動作防止回路BK2は、ブレーキ開放回路BK1に入力される信号を処理する回路である。
【0069】
また、本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、実施形態1のものと異なり、制御装置C1はブレーキ開放回路BK1ではなく、ブレーキ誤動作防止回路BK2に第1信号を送信し得るように構成されている。
【0070】
また、本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、実施形態1のものと異なり、サーボアンプC2は、セーフティコントローラC3から、第2信号を受信している場合に、サーボモータSMを駆動することができるとともに、ブレーキ誤動作防止回路BK2に第1信号を送信する。一方、サーボアンプC2は、セーフティコントローラC3から第2信号を受信していない場合に、サーボモータSMを駆動しないとともに、ブレーキ誤動作防止回路BK2に第1信号を送信しない。
【0071】
本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSにおいては、実施形態1のものと異なり、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、セーフティコントローラC3から、第2信号を受信している場合に、サーボアンプC2または制御装置C1から受信した第1信号をブレーキ開放回路BK1に伝達する。一方、ブレーキ誤動作防止回路BK2は、セーフティコントローラC3から、第2信号を受信していない場合に、サーボアンプC2または制御装置C1から受信した第1信号をブレーキ開放回路BK1に伝達しない。
【0072】
なお、上記の説明以外に、サーボアンプC2が、実施形態1のものと同様に、ブレーキ開放回路BK1に第1信号を出力してもよいし、ブレーキ開放回路BK1及びブレーキ誤動作防止回路BK2の双方に第1信号を出力してもよい。
【0073】
以上の構成により、本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSは、実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0074】
また、本実施形態2のキャリッジ昇降システムKSでは、ブレーキ誤動作防止回路BK2をブレーキ開放回路BK1に独立して設けることができ、更には、
図6に示したように、ブレーキ誤動作防止回路BK2を電源PSとも独立して設けることができる。この結果、キャリッジ昇降システムKSにおいて、サーボモータSMのブレーキSM1の誤開放の発生を容易に防止することができる。また、本実施形態2では、例えば、既製品のキャリッジ昇降システムKSまたはスタッカクレーン1に対して、ブレーキ誤動作防止回路BK2を容易に取り付けることが可能となる。この結果、本実施形態2では、上記既製品のキャリッジ昇降システムKSまたはスタッカクレーン1において、ブレーキSM1での誤開放の発生をより確実な防止を簡単に図ることができる。
【0075】
〔まとめ〕
本開示の第1態様に係る昇降システムは、昇降台の昇降を制御する昇降システムであって、前記昇降台を昇降させるためのモータと、第1リレー回路と、を備え、前記モータには、所定の電圧が印加されないと前記モータを停止状態に維持し、前記所定の電圧が印加される間、前記停止状態を解除する電磁ブレーキが設けられており、前記第1リレー回路は、前記電磁ブレーキへの通電を許可する旨の信号である第1信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断する回路であり、前記モータの動作を許可する旨の信号である第2信号を受信しているとき以外は、前記電磁ブレーキに印加される電圧を遮断するための遮断回路を更に備える。
【0076】
第1態様に係る昇降システムによれば、遮断回路が、第2信号を受信しているとき以外は、電磁ブレーキに印加される電圧を遮断して、モータを停止状態に維持する。これにより、昇降システムでは、遮断回路が、第2信号を受信しているときのみ、電磁ブレーキによるモータの停止状態を解除する。この結果、昇降システムでは、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することができる。
【0077】
本開示の第2態様に係る昇降システムは、第1態様に係る昇降システムにおいて、前記モータを駆動するモータドライバを、更に備え、前記モータドライバは、前記第2信号を受信している場合に、前記モータを駆動することができるとともに、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信し、前記第2信号を受信していない場合に、前記モータを駆動しないとともに、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信しない回路であり、前記遮断回路は、前記第1リレー回路に直列に接続される第2リレー回路であってもよい。
【0078】
第2態様に係る昇降システムによれば、モータドライバにより、モータをより適切に駆動することができる。
【0079】
本開示の第3態様に係る昇降システムは、第2態様に係る昇降システムにおいて、前記モータドライバに対して前記昇降台の昇降の指示を行う制御装置を、さらに備え、前記制御装置は、前記第1リレー回路に前記第1信号を送信し得てもよい。
【0080】
第3態様に係る昇降システムによれば、ユーザの指示に応じて、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を確実に防止することができる。
【0081】
本開示の第4態様に係る昇降システムは、第2態様または第3態様に係る昇降システムにおいて、前記モータドライバ及び前記遮断回路に対して前記第2信号を送信する第1安全制御装置を、さらに備えてもよい。
【0082】
第4態様に係る昇降システムによれば、ユーザは第1安全制御装置を介在させてモータの電磁ブレーキの誤開放の発生をより確実に防止することができる。
【0083】
本開示の第5態様に係る昇降システムは、第1態様から第4態様のいずれかの態様に係る昇降システムにおいて、前記モータを駆動するモータドライバ、前記モータドライバに対して前記昇降台の昇降の指示を行う制御装置、及び、前記モータドライバ及び前記遮断回路に対して前記第2信号を送信する第1安全制御装置を、更に備え、前記モータドライバは、前記第2信号を受信している場合に、前記モータを駆動することができるとともに、前記遮断回路に前記第1信号を送信し、前記第2信号を受信していない場合に、前記モータを駆動しないとともに、前記遮断回路に前記第1信号を送信しない回路であり、前記制御装置は、前記遮断回路に前記第1信号を送信し得、前記遮断回路は、前記第1安全制御装置から、前記第2信号を受信している場合に、前記モータドライバまたは前記制御装置から受信した前記第1信号を前記第1リレー回路に伝達し、前記第2信号を受信していない場合に、前記モータドライバまたは前記制御装置から受信した前記第1信号を前記第1リレー回路に伝達しない回路であってもよい。
【0084】
第6態様に係る昇降システムによれば、遮断回路を第1リレー回路に独立して設けることができ、遮断回路の設置を容易に行うことができる。この結果、昇降システムにおいて、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を容易に防止することができる。
【0085】
本開示の第6態様に係るスタッカクレーンは、マストと、前記マストに対して昇降可能に設けられる前記昇降台と、第1態様から第5態様のいずれかの態様に係る昇降システムと、を備える。
【0086】
第7態様に係るスタッカクレーンは、上記いずれかの昇降システムを備えているので、モータの電磁ブレーキの誤開放の発生を防止することができる。
【0087】
本開示は上述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態及び変形例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
30 キャリッジ(昇降台)
KS キャリッジ昇降システム(昇降システム)
SM サーボモータ(モータ)
SM1 ブレーキ(電磁ブレーキ)
C1 制御装置
C2 サーボアンプ(モータドライバ)
C3 セーフティコントローラ(第1安全制御装置)
C4 セーフティコントローラ(第2安全制御装置)
BK1 ブレーキ開放回路(第1リレー回路)
BK2 ブレーキ誤動作防止回路(遮断回路、第2リレー回路)