(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163789
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】角栓除去用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20241115BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241115BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q19/10
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079670
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】土井 康子
(72)【発明者】
【氏名】松本 善行
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智則
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC232
4C083AC242
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD282
4C083AD392
4C083BB51
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】毛穴に生じる角栓は、角層のくすみや毛穴まわりの黒ずみの一因となる。角栓は皮脂と角層が混ざって毛穴に固着しており、通常の洗顔やメイク落としでは満足のいく効果が得られなかった。また、シートパックやクレイパックなど角栓除去の方法が提案されているが、毎日行うには刺激による肌への負担と、通常のスキンケアに特別ケアが加わり面倒という要因もあり持続的な効果を得るのが難しかった。そこで、本発明の課題は、角栓除去作用に優れる角栓除去用組成物及びこれを含有する化粧料を提供することである。
【解決手段】炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを含有する角栓除去用組成物にて上記課題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを含有する角栓除去用組成物。
【請求項2】
前記ポリグリセリンの平均重合度が2~10である、請求項1記載のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリンアルキルエーテルを含有する角栓除去用組成物。
【請求項3】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがラウリン酸ポリグリセリル-10又はカプリル酸ポリグリセリル-6であり、前記ポリグリセリンアルキルエーテルがポリグリセリル-4ラウリルエ-テルである、請求項1記載の角栓除去用組成物。
【請求項4】
前記ラウリン酸ポリグリセリル-10のモノエステル含量が65質量%以上、又は前記ポリグリセリル-4ラウリルエ-テルのモノエーテル含量が65質量%以上である請求項3記載の角栓除去用組成物。
【請求項5】
炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを含有する角層カルボニル化レベル抑制用組成物。
【請求項6】
請求項1~4いずれか記載の角栓除去用組成物又は請求項5記載の角層カルボニル化レベル抑制用組成物を含有する化粧料。
【請求項7】
洗顔化粧料である請求項6記載の化粧料。
【請求項8】
炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを使用する、角栓除去方法。
【請求項9】
炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを使用する、角層カルボニル化レベルを抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角栓除去用組成物及びこれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛穴の詰まりやざらつきは、毛穴の目立ちにつながり美容上の大きな問題として認識されている。毛穴の目立ちは、角栓が詰まることにより起こる。角栓は、皮脂と角層(ケラチン)などの混合物であり、皮脂分泌の多い鼻周りでよく見られる。皮脂は酸化されやすく、酸化が進むと肌表面の酸化にもつながり、角層のくすみや毛穴まわりの黒ずみの一因となる。そのため、角栓を除去し小さく維持することが重要である。しかし、角栓は皮脂と角層が混ざって毛穴に固着しており、通常の洗顔やメイク落としでは満足のいく効果が得られなかった。また、シートパックやクレイパックなど角栓除去の方法が提案されているが、毎日行うには刺激による肌への負担と、通常のスキンケアに特別ケアが加わり面倒という要因もあり持続的な効果を得るのが難しかった。
【0003】
角栓除去に効果を有する化粧料として、特許文献1には、例えば、多価アルコールと多価アルコール脂肪酸エステルとスクラブ剤と水を含有し、比重が1.2~1.3であることを特徴とする角栓除去化粧料が提案されている。しかしながら、特許文献1の角栓除去化粧料では、多価アルコールと多価アルコール脂肪酸エステルとスクラブ剤と水を含有し、比重が1.2~1.3である角栓除去化粧料であるが、その角栓除去効果までは検証されていない。またスクラブ剤が配合されているため毎日のスキンケアで行うには肌への負担も懸念され、更なる改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、角栓除去作用に優れる角栓除去用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意努力した結果、炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるポリグリセリンアルキルエーテルを含有する角栓除去用組成物より優れた角栓除去作用を見出し、本発明の完成に至った。かかるメカニズムは不明であるが、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルは皮脂成分であるオレイン酸に対する高い洗浄性と推定される。オレイン酸は洗浄されにくく、角層を酸化させやすいものとして知られている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の角栓除去用組成物は、優れた角栓除去作用を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】連続使用試験における角栓のサイズの変化割合を示す図である。
【
図2】連続使用試験における角層カルボニル化レベルの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数8~12の脂肪酸とポリグリセリンからなるエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、角栓除去効果の観点から、炭素数が8~12の飽和脂肪酸が好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、角栓除去効果の観点から、2~10が好ましく、6~10がより好ましい。また、本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルのモノエステル含量は、角栓除去効果の観点から、好ましくは65%以上である。本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定するものではないが、例えば、カプリル酸ポリグリセリル-6又はラウリン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。
【0010】
本発明の角栓除去用組成物におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.01~30.0質量%、より好ましくは0.5~10.0質量%である。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上使用した場合の角栓除去用組成物におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、使用したポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量を指す。
【0011】
本発明におけるポリグリセリンアルキルエーテルは、炭素数8~12の高級アルコールとポリグリセリンからなるエーテルである。ポリグリセリンアルキルエーテルを構成する脂肪酸は、角栓除去効果の観点から、炭素数が8~12の飽和脂肪酸が好ましい。また、ポリグリセリンアルキルエーテルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、角栓除去効果の観点から、好ましくは2~10であり、4がより好ましい。また、本発明におけるポリグリセリンアルキルエーテルにおけるモノエーテル含量は、角栓除去効果の観点から、好ましくは65%以上である。本発明におけるポリグリセリンアルキルエーテルは、特に限定するものではないが、例えば、ポリグリセリン-4ラウリルエーテルが挙げられる。
【0012】
本発明の角栓除去用組成物におけるポリグリセリンアルキルエーテルの含有量は、好ましくは0.01~30.0質量%、より好ましくは0.5~10.0質量%である。なお、ポリグリセリンアルキルエーテルを2種以上使用した場合の角栓除去用組成物におけるポリグリセリンアルキルエーテルの含有量は、使用したポリグリセリンアルキルエーテルの合計量を指す。
【0013】
本発明におけるポリグリセリンの平均重合度とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度であり、(式1)及び(式2)から算出した平均重合度である。
(式1)平均重合度=(112.2×103-18×水酸基価)/(74×水酸基価-56.1×103)
(式2)水酸基価=(a-b)×28.05/試料の採取量(g)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
上記(式1)中の水酸基価は社団法人日本油化学会編「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法(I)1996年度版」に準じて(式2)で算出される。
【0014】
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルのモノエステル含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分析により、ピーク面積比で、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、及び副産物であるポリグリセリンやポリグリエリンジエステルの生成量や含有量を定量することができる。ポリグリセリンアルキルエーテルのモノエーテル含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分析により、ピーク面積比で、 ポリグリセリンモノエーテル、及び副生物であるポリグリセリンやポリグリセリンジエーテルの生成量や含有量を定量することができる。
【0015】
本発明の角栓除去用組成物は、上記成分以外に通常化粧料に用いられる成分を適宜、その用途、目的に応じて含有することができる。このような任意成分としては、特に限定するものではないが、例えば、水、前記のポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルを除く界面活性剤、多価アルコール、水性ゲル化剤、油性ゲル化剤、紫外線吸収剤、粉体、抗酸化剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、植物抽出液、ビタミン類、中和剤、保湿剤、抗炎症剤、pH調整剤、アミノ酸等が挙げられる。
【0016】
本発明における界面活性剤は、前記のポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリンアルキルエーテルを除くものであり、特に限定するものではないが、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、天然界面活性剤等が挙げられ、これらの界面活性剤の群から選択される少なくとも1種以上を角栓除去用組成物に含有することができる。
【0017】
本発明におけるアニオン性界面活性剤は、特に限定するものではないが、例えば、カルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アシルペプチド塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アシルサルコシン塩、アシルメチルアラニン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルアスパラギン酸塩、アシルグリシン塩、アシルメチルタウリン酸、アシル乳酸塩等が挙げられる。
【0018】
本発明における非イオン性界面活性剤は、特に限定するものではないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0019】
本発明における両性界面活性剤は、特に限定するものではないが、例えば、グリシン型のココアンホ酢酸Na、ラウロアンホ酢酸Na、アミノ酢酸ベタイン型のコカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココベタイン、スルホベタイン型のラウリルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
【0020】
本発明における多価アルコールは、特に限定するものではないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、1,3-ブチレングリコール(BG)、プロピレングリコール(PG)、プロパンジオール、ジプロピレングリコール(DPG)、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、1,10-デカンジオール、イソペンチルジオール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール等が挙げられる。
【0021】
本発明の角栓除去用組成物は、常法により上記成分を混合して調製することができる。
【0022】
本発明の角栓除去用組成物は、角栓除去作用に優れることから、各種化粧料に好適に使用することができる。即ち、本発明は、本発明の化粧料用組成物を含有する化粧料についても提供するものである。ここで、本発明の角栓除去用組成物をそのまま化粧料として使用してもよいし、上記のような任意成分を更に含有させたものを化粧料とすることもできる。
【0023】
本発明における化粧料は、角栓除去効果の観点から水性化粧料が好ましい。特に限定するものではないが、例えば、泡洗顔、洗顔ペースト、洗顔ジェル、クレンジング洗顔ペースト、クレンジング洗顔ジェル等が挙げられる。
【0024】
本発明における化粧料の製造方法は、上記各成分を含有させる工程を有する製造方法が挙げられる。ここで、「上記各成分を含有させる工程」とは、予め調製された本発明の角栓除去用組成物を添加する態様の他、上記各成分を個別に配合して調製する態様も含まれる。また、本発明では、上記各成分を使用する角栓の除去方法についても開示するものである。また、本発明では、後述の実施例で示すように、上記各成分を含有する角層カルボニル化レベル抑制用組成物、上記各成分を含有させる工程を有する角層カルボニル化レベル抑制用組成物を含有する化粧料の製造方法、上記各成分を使用する角層カルボニル化レベルを抑制する方法についても提供するものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0025】
角栓除去用組成物の調製
実施例1~26、比較例1~14
表1~3に示す組成で各成分を70℃で加熱溶解し、室温まで攪拌冷却してpH調整を行い、本発明品1~26及び比較品1~14の角栓除去用組成物を調製した。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
試験例1:オレイン酸が泡の維持に与える影響評価
本発明品1~26及び比較品1~14の角栓除去用組成物をそれぞれ所定のポンプフォーマーに入れ、スライドガラス(縦25mm、横75mm)上に0.05gの泡を吐出し、高さ1.0mmのスペーサーを介して2枚のスライドガラスで挟み込み、スライドガラスの隙間から0.2%Oil Red O(和光純薬工業)染色したオレイン酸を30μl注入した評価用スライドガラスを調製した。5分後のオレイン酸の泡への浸透の様子を撮影して、オレイン酸の注入前後で浸透したオレイン酸による破泡の程度を評価した。その結果を表4に示した。
(評価基準)
◎:泡が残っている割合が80%以上
○:泡が残っている割合が60%以上80%未満
△:泡が残っている割合が40%以上60%未満
×:泡が残っている割合が40%未満
【0030】
【0031】
試験例2:オレイン酸の洗い流し評価
試験例1と同様にして評価用スライドガラスを調製し、オレイン酸の注入5分後に水10mlで洗い流したときにスライドガラス上に残ったオレイン酸の残存する程度を評価した。その結果を表5に示した。
(評価基準)
◎:オレイン酸が残っている割合が20%未満
○:オレイン酸が残っている割合が20%以上40%未満
△:オレイン酸が残っている割合が40%以上60%未満
×:オレイン酸が残っている割が60%以上
【0032】
【0033】
試験例3:洗い流し時の肌感触
オレイン酸10μlを手の甲に塗布し、試験例1で調製した本発明品1~26及び比較品1~14の角栓除去用組成物を入れたポンプフォーマーより1プッシュ吐出し、30秒間マッサージした後、水ですすいだ直後の肌感触を以下の基準で評価した。評価は専門パネラー13名で行い、13人中9人以上が○と回答したものを「4」、6~8人が○と回答したものを「3」、3~5人が○と回答したものを「2」、○が2人以下のものを「1」と記載した。その結果を表6に示した。
(評価基準)
○:べとつきがなく、さっぱりする
△:わずかにべとつきが残る
×:べとつきが残る
【0034】
【0035】
表4~6に示すように、本発明品1~26の角栓除去用組成物は、いずれも角栓の皮脂成分であるオレイン酸の除去作用に優れるものであった。また、本発明品1~26の角栓除去用組成物について洗い流し時の肌感触についても優れることを確認した。
【0036】
本発明品2、比較品1の角栓除去用組成物において、更に人での連続使用試験を行い連続使用時の角栓除去効果及び肌角層の酸化に及ぼす影響について評価を行った。
【0037】
試験例4:連続使用後の角栓の大きさ評価
本発明品2、比較品1の角栓除去用組成物をそれぞれ所定のポンプフォーマーに入れ、吐出した泡で鼻の半々を30秒程度の洗顔を朝晩6週間、被験者9名で連続使用を行った。
【0038】
マイクロスコープで被験者の鼻の縦5.8mm×横7.7mmの範囲で同じ場所を特定して撮影し、連続使用前、2週間、4週間、6週間経過した際のマイクロスコープで撮影された範囲内の全ての毛穴の角栓の大きさを評価した。撮影された範囲内の全ての角栓の内、連続使用前の角栓の大きさと比較して大きくなったもの、変化なし、小さくなったものをカウントし、全ての角栓のカウント数に対するそれぞれの割合を算出した。この評価を被験者9名で行い、連続使用前の角栓に対して大きくなったもの、変化なし、小さくなったものの割合について9名の平均で示した。結果を表7及び
図1に示す。
【0039】
【0040】
試験例5:連続使用後の角層の酸化評価
被験者の鼻の同じ場所を特定してその角層を6週間連続使用の前後で、テープストリッピング法にて角層を採取し、得られた角層をカルボニル染色し、顕微鏡による蛍光観察を行い、その蛍光強度を角層カルボニル化レベルの指標として画像解析によりその平均輝度を算出した。なお、平均輝度が高い程、角層が酸化されていることを示す。この評価を被験者9名で行い、9名の評価結果を更に平均化した。その結果を表8及び
図2に示した。
【0041】
【0042】
表7、表8、
図1、2に示すように、比較品1と比較して本発明品2は、角栓が小さくなる傾向が有意に多く、角栓が大きくなる傾向が少なかった。また鼻の毛穴周りの角層のカルボニル化度が有意に低下しており、酸化が抑制されていることが分かった。角層カルボニル化が抑制されたメカニズムは不明であるが、角栓を構成する皮脂はオレイン酸などの酸化されやすい成分を多く含有するため、オレイン酸を含有する皮脂が効率的に減ることで毛穴まわりの角層の酸化が抑制され角層カルボニル化の抑制につながったと考えられる。従って、オレイン酸の除去力の高い他の実施例においても同様の効果を期待することができる。
【0043】
(処方例)
以下に、本発明の化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではない。なお、配合量は全て製品全量に対する質量%で表している。また、原料名に記載された純分とは、その成分を含有した製剤中の実際の成分含量を示す。
【0044】
処方例1:角栓ケア用洗顔ペースト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原料名 配合割合(質量%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラウリン酸ポリグリセリル-10 3.00
ココイルグリシンNa(純分30%) 40.00
ラウロアンホ酢酸Na(純分26%) 8.00
水 8.64
アクリレーツコポリマー(純分30%) 2.00
グリセリン 37.00
pH調整剤 1.16
防腐剤 0.20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
合計 100.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0045】
処方例2:角栓ケア用泡洗顔
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原料名 配合割合(質量%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
水 68.65
PG 5.00
ラウリン酸ポリグリセリル-10 2.90
ココイルメチルタウリンNa(純分30%) 10.00
ラウロアンホ酢酸Na(純分26%) 10.80
カプリン酸グリセリル 1.30
防腐剤 0.40
pH調整剤 0.75
香料 0.20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
合計 100.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0046】
処方例3:角栓ケア用液体洗顔
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原料名 配合割合(質量%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━水 46.15
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.50
グリセリン 5.00
ラウリン酸ポリグリセリル-10 10.00
ココイルメチルタウリンNa(純分30%) 25.00
ラウロアンホ酢酸Na(純分26%) 8.50
カプリン酸グリセリル 2.00
ステアリン酸PEG-150 2.00
防腐剤 0.40
pH調整剤 0.25
香料 0.20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
合計 100.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0047】
処方例4:角栓ケア用クレンジング洗顔ペースト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原料名 配合割合(質量%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ポリグリセリル-4ラウリルエーテル 2.00
カプリル酸ポリグリセリル-6 1.00
ミリスチン酸 19.00
パルミチン酸 4.00
ラウリン酸 2.00
ステアリン酸 2.00
ジステアリン酸グリコール 2.00
ステアリン酸グリセリル(SE) 1.00
グリセリン 20.00
BG 1.00
ラウリルベタイン(純分33%) 10.00
水 29.30
水酸化K(純分86%) 6.70
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
合計 100.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0048】
処方例5:角栓ケア用クレンジング洗顔ジェル
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原料名 配合割合(質量%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジカプリン酸ポリグリセリル-6 4.20
カプリン酸ポリグリセリル-6 2.80
ラウリン酸ポリグリセリル-10 1.50
ラウラミドプロピルベタイン(純分30%) 18.50
ラウリルグリコールカルボン酸Na(純分29%) 5.00
水 20.80
防腐剤 0.50
pH調整剤 0.20
キレート剤 0.50
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)
クロスポリマー(2%水溶液) 42.00
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル
(1%水溶液) 4.00
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
合計 100.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0049】
処方例1~5の化粧料は、いずれも角栓除去作用に優れるものであった。