(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016379
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 5/04 20060101AFI20240131BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20240131BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240131BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240131BHJP
G02B 5/08 20060101ALN20240131BHJP
G02B 5/00 20060101ALN20240131BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240131BHJP
【FI】
F21V5/04 500
F21V13/02 400
F21V5/00 510
F21V5/02 350
G02B5/08 E
G02B5/00 A
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118445
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】萱沼 安昭
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA03
2H042DB10
2H042DE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LED光源から発せられた光を側方に向けて出射させ、レンズを正面側から見た時に眩しさを感じない照明装置を提供する。
【解決手段】光源1と、第1レンズ3と、第2レンズ4と、レンズ間に設けられる空気層17とを備え、第1レンズ3が、底部に形成され、光源出射面33と平行な第1入射面6と、第1入射面6から入射した光の一部を第2レンズ4の側に屈折する光屈折面8と、光屈折面8の外側に隣接し、第1入射面6から入射した光の一部を側方に反射する光反射面7と、を有する円錐状に窪んだ第1反射面9と、光反射面7で反射した光を側方に出射する第1出射面11とを備え、第2レンズ4が、第1入射面6と平行に配置され光屈折面8から出射した光が入射する第2入射面12と、第2入射面12から入射した光を側方に反射する円錐状に窪んだ第2反射面13と、第2反射面13で反射した光を側方に出射する第2出射面14とを備える照明装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の発光部における面状の領域である光源出射面の側に配置されるレンズ群と、を備え、前記レンズ群が前記光源の側に配置される第1レンズと、前記第1レンズを介して前記光源とは反対側に配置される第2レンズと、前記第1レンズと前記第2レンズの間に設けられる空気層と、を備えた照明装置であって、
前記第1レンズが、
前記第1レンズの前記光源側の底部に形成され、前記光源出射面から出射した光が入射する前記光源出射面と平行な第1入射面と、
前記第1入射面から入射した光の一部を前記第2レンズの側に屈折する光屈折面と、前記光屈折面の外側に隣接し、前記第1入射面から入射した光の一部を側方に反射する光反射面と、を有する円錐状に窪んだ第1反射面と、
前記光反射面で反射した光を側方に出射する第1出射面と、を備え、
前記第2レンズが、
前記第1反射面に囲われた円錐状の窪みの内側に前記第1入射面と平行に配置され前記光屈折面から出射した光が入射する第2入射面と、
前記第2入射面から入射した光を側方に反射する円錐状に窪んだ第2反射面と、
前記第2反射面で反射した光を側方に出射する第2出射面と、を備え、
前記第2入射面と前記第1入射面との間の距離は、前記光屈折面と前記光反射面との境界と前記第1入射面との間の距離より大きく、前記第1反射面の最外周と前記第1入射面との間の距離より小さいことを特徴とした照明装置。
【請求項2】
前記光屈折面は、前記光源出射面から出射し、前記第1入射面から入射した光の少なくとも一部が、直接前記第1反射面に臨界角未満の角度で当たる前記第1反射面上の領域であり、前記光反射面は、前記光源出射面から出射し、前記第1入射面から入射した光が、前記第2レンズの側に屈折することなく、前記第1反射面に臨界角以上の角度で当たる前記第1反射面上の領域である請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第2入射面は、前記光屈折面から出射する光が、前記第2入射面を含む平面を照射する領域を内包する請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1反射面の断面視における接線方向は、前記第1反射面の外側から中央に近づくほど前記第1入射面の法線方向に近くなる請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2入射面は、前記光屈折面から出射し前記第2入射面から入射した光が直接前記第2反射面で反射する位置に配置される請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1レンズの第1反射面と、前記第2レンズの第2入射面と第2出射面の間の面である第2レンズ下面との間の前記空気層に沿って前記第2レンズ下面に光拡散面が形成される請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光拡散面は、少なくとも前記第2出射面の近傍に形成される請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光拡散面は、連続する微細凹凸面からなる請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1レンズは前記発光部が収容される凹部を有し、前記凹部の底には前記第1入射面が形成され、前記凹部の側面には光を前記第1出射面側に出射する側部入射面が形成され、前記側部入射面が前記光源出射面と半径方向に近接している請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の光軸方向の光を反射させて、側方に光を出射する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED光源は、発光分布に指向性があり上方に強く光を放射する。従来からLED光源からの光を側方に発光する照明装置としては、LED光源をレンズで覆い、レンズの反射を利用して光を光軸と直交する方向に向ける照明装置が知られている。しかし、LED光源の中心から出射した光線が単一の反射面で全反射するよう設計しても、LED光源の他の部分から出射した光線の一部が反射面で全反射せず上方に漏れ、レンズを正面側から見た時に眩しさを感じてしまうという問題があった。特許文献1には、反射面を光軸方向に2枚重ねた照明装置が開示されている。1枚目の反射面の上部にさらに2枚目の反射面を備えることにより、LED光源から発した光が1枚目の反射面を透過した場合であっても、2枚目の反射面で反射して側方に向けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された照明装置にあっては、2枚目のレンズの入射面が1枚目のレンズの上端とほぼ同じ高さにあり、2枚目のレンズに入射した光が屈折する位置が光源から遠いため、屈折光の中には2枚目のレンズの反射面ではなく出射面で全反射してしまう光があった。出射面で全反射した光は臨界角よりも小さい角度で反射面に入射するため、屈折してそのまま反射面から出射してしまう。このためレンズを正面側から見た時に眩しさを感じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、LED光源から発せられた光を側方に向けて出射させ、レンズを正面側から見た時に眩しさを感じない照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における照明装置は、光源と、光源の発光部における面状の領域である光源出射面の側に配置されるレンズ群とを備え、レンズ群が光源の側に配置される第1レンズと、第1レンズを介して光源とは反対側に配置される第2レンズと、第1レンズと第2レンズの間に設けられる空気層と、を備えた照明装置であって、第1レンズが、第1レンズの光源側の底部に形成され、光源出射面から出射した光が入射する光源出射面と平行な第1入射面と、第1入射面から入射した光の一部を第2レンズの側に屈折する光屈折面と、光屈折面の外側に隣接し、第1入射面から入射した光の一部を側方に反射する光反射面と、を有する円錐状に窪んだ第1反射面と、光反射面で反射した光を側方に出射する第1出射面とを備え、第2レンズが、第1反射面に囲われた円錐状の窪みの内側に第1入射面と平行に配置され光屈折面から出射した光が入射する第2入射面と、第2入射面から入射した光を側方に反射する円錐状に窪んだ第2反射面と、第2反射面で反射した光を側方に出射する第2出射面とを備え、第2入射面と第1入射面との間の距離は、光屈折面と光反射面との境界と第1入射面との間の距離より大きく、第1反射面の最外周と第1入射面との間の距離より小さいことを特徴とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照明装置によれば、光源側に配置される第1レンズに隣接する第2レンズの入射面を第1レンズの第1反射面の内側に配置することにより、第2レンズの入射面から入射した光を屈折させて第2レンズの第2反射面に当て側方に向けて反射できるため、照明装置のレンズを正面側から見た時に眩しさを感じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るレンズの積層構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る第2入射面の配置を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る光の拡散状態を説明する断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の照明装置について、図面を参照しながら各実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、照明装置、照明装置の構成部材および照明装置の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実寸の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特に断らない限り、便宜上、
図1に示す照明装置の向きを基準に、上下などの方向を表わす。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0010】
(第1実施形態)
図1には本発明の第1実施形態に係る照明装置10が示されている。照明装置10は、光源(図示せず)と、光源の出射面側に配置されるレンズ群2とを備えている。光源はレンズ群2の底部に配置されており、第1レンズ3と第2レンズ4の2つのレンズから構成されるレンズ群2が、光源の上部を覆うように配置されている。レンズ群2は全体として円筒形状であり、透明材料により形成されている。光源から発せられた光の大部分がレンズ群2の側面の円筒面から側方に向かって出射される。
【0011】
次に、
図2により照明装置10の構造をさらに詳しく説明する。
図2には代表的な光線が記入されている。レンズ群2の中心軸である光軸15は、第1レンズ3や第2レンズ4及び光源1の中央を通過している。レンズ群2は2つの個別のレンズの組み合わせで構成されている。レンズ群2は光源1側に配置される第1レンズ3と、第1レンズ3を介して光源1とは反対側に配置される第2レンズ4とを備えている。第1レンズ3と第2レンズ4は、光軸15を同一の軸としたほぼ同一直径の円筒形状である。
【0012】
光源1は、上面と下面を有する板状の基板34と、基板34の上面には光を発光する発光部35を有し、発光部35の光源1と反対側には光を出射する面状の領域である光源出射面33を有する。なお、本実施形態においては、基板34の上面に発光部35が固定されているが、発光部35を確実にレンズ群2に対して固定できれば固定方法や固定部材は限定されない。
【0013】
第1レンズ3の上面側の第1反射面9は上部が窪んだ円錐形状をしている。第2レンズ4の底面側の第2レンズ下面16は下に突出した円錐台形状である。第2レンズ下面16と第1反射面9とは円錐状の斜面の断面形状がほぼ同一であるため互いに近接するように組み合わせることができる。
図3には第1レンズ3と第2レンズ4の組付け方法の一例が示されている。第1レンズ3の第1反射面9は外周に突起部25を有している。第2レンズ4の第2レンズ下面16は外周に孔部21を有している。突起部25および孔部21は、第1反射面9および第2レンズ下面16の外周の互いに対応する箇所に少なくとも一組形成さている。第2レンズ4と第1レンズ3とは、これら突起部25と孔部21の嵌め合いにより積層されて組み合わされ、レンズ群2となる。
【0014】
突起部25および孔部21の組み合わせの数は2以上であってもよい。また、突起部25と孔部21との隙間には接着剤を介在させて第2レンズ4と第1レンズ3とを接合することもできる。突起部25の突起の長さを、孔部21の孔の深さより長くすることで、第1反射面9と第2レンズ下面16との間にはわずかな隙間ができ、空気層17が形成されている。なお、第1レンズ3及び第2レンズ4の表面の粗さによる微細な凹凸によっても空気層17は形成することができる。
【0015】
図2に示されるように第1レンズ3には、底部5に形成され光源1の光源出射面33から出射した光が入射する第1入射面6と、円錐状に窪んだ第1反射面9と、第1反射面9で反射した光を側方に出射する第1出射面11とが設けられている。第1反射面9にはさらに、第1入射面6から入射した光の入射角度により、第1入射面6から入射した光の一部を側方に反射させる光反射面7と、第1入射面6から入射した光の一部を第2入射面12に向けて屈折させる光屈折面8とが形成される。
【0016】
第1入射面6は、光源1の上方に位置する平面状の面である。第1入射面6は光軸15に対して直角に形成されている。第1入射面6は、平面視において光源出射面33対して平行に配置されている。
【0017】
第1反射面9は円錐状に窪んでおり、断面形状が光軸15を対称軸として対称に傾いた凹曲面であり、光軸15から遠ざかるほど第1入射面6から遠ざかるように傾斜している。また第1反射面9は光軸15に近づくほど傾斜が急勾配となっている。第1反射面9の断面視における接線方向は、第1反射面9の外側から中央に近づくほど第1入射面6の法線方向に近くなるように形成されている。
【0018】
第1反射面9は、第1入射面6から入射した光の一部を側方に反射する光反射面7と、第1入射面6から入射した光の一部を上方に屈折する光屈折面8とを有している。ここで、第1反射面9には第1入射面6からそれぞれ入射角度の異なる複数の光線が照射される。前述のように、第1反射面9と第2レンズ下面16との境界面にはわずかな空気層17が形成されている。屈折率の高い媒質である第1レンズ3と屈折率の低い媒質である空気層17の境界である第1反射面9は、第1反射面9に到達する光の入射角度によって、反射面にも屈折面にもなり得る。第1反射面9が反射面になるには、第1反射面9に入射する光の入射角度が臨界角以上であることが必要になる。第1反射面9が屈折面になるには、第1入射面6から入射した光が光出射面11で反射せずに直接第1反射面9に入射する光の入射角度が臨界角未満であることが必要になる。
【0019】
光屈折面8は、光源出射面33から出射し、第1入射面6から入射し、第1出射面で反射しなかった光の少なくとも一部が、第1反射面9に臨界角未満の角度で直接当たる第1反射面9上の領域である。光屈折面8により屈折される光を矢印L2で示す。光反射面7は、光屈折面8の外側に隣接し、光源出射面33から出射し、第1入射面6から入射した光が、第2レンズ4の側に屈折することなく、第1反射面9に臨界角以上の角度で当たる第1反射面9上の領域である。光反射面7により反射される光を矢印L3で示す。点Pは光反射面7と光屈折面8との境界を示している。第1反射面9において、点Pよりも光軸15から離れる側では全ての光を側方に全反射させ、点Pから光軸15との間には屈折して第2入射面12側に入射する光が存在する。
【0020】
第1出射面11は、第1反射面9の外周と底部5の外周とを連続させるように形成された円筒形状の側面である。第1出射面11からは、第1反射面9により反射された光が側方に向かって出射される。
【0021】
第2レンズには、第1反射面9内に配置され光屈折面8から出射した光が入射する第2入射面12と、第2入射面12から入射した光を側方に反射する円錐状に窪んだ第2反射面13と、第2反射面13で反射した光を側方に出射する第2出射面14とが設けられている。
【0022】
第2入射面12は光源1に向かって突出しているため、第2出射面14の下端32よりも下方の光源1側に位置している。また、第1反射面9に囲われた円錐状の窪みの内側に配置された第2入射面12は、外径が第2出射面14の外径よりも小さく、また第1出射面11の外径よりも小さく形成されている。このように第1反射面9に囲われた円錐状の窪みの内側に配置され光源1に向かって下方に突出した第2入射面12は、第1入射面6と平行に形成されており、上面視において、第2入射面は、光屈折面から出射する光が、第2入射面を含む平面を照射する領域を内包することにより、光屈折面8から入射した光を取り込むことができる。
【0023】
第2入射面12は、少なくとも第1反射面9の光反射面7と光屈折面8との境界である点Pより光反射面7側に配置される。すなわち、第2入射面12と第1入射面6との間の距離は、光屈折面8と光反射面7との境界である点Pと第1入射面6との間の距離より大きく、第1反射面9の最外周と第1入射面6との間の距離より小さく設けられている。第2入射面12が、光屈折面8からの屈折光L2を漏れなく取り込むためである。また、第2入射面12は、第1反射面9の光反射面7と光屈折面8との境界付近から第2入射面12に入射した屈折光L2が、第2反射面13以外の面で反射することなく、直接第2反射面13で反射されるような位置に配置される。
【0024】
第2入射面12についてさらに詳述する。
図4に示されるように第1反射面9を透過する光のうち、最も外周側に位置する光線L2の第1反射面9上の位置に該当する点Pの位置は、光源1の最も外周側の位置、すなわち光源1の半径rにより決定される。ここで、光源1の最も外周側である半径rの位置から発光した光線L2の第1入射面6における入射角をθ1、屈折角をθ2、レンズの屈折率をnとすると、θ1とθ2には以下の(式1)の関係が成り立つ。
sinθ
1=n×sinθ
2・・・(式1)
このとき、点Pにおける第1反射面と第1入射面とのなす角度をαとすると、点Pにおける臨界角はθ
2+αとなり、光線L2は(式2)を満たす。
θ
2+α-sin
-1(1/n)=0・・・(式2)
L2が到達する第1反射面9上の点Pの、
図4における座標を(x、y)=(a、b)とし、第2入射面12の最外周の点P’の座標を(x、y)=(c、d)とし、第1反射面9の最外周の点Qの座標を(x、y)=(e、f)とすると、第2の入射面の最外周のx座標cはa≦c<eを満たし、y座標dはb≦d<fを満たしている。このため第2入射面12は、光屈折面8から出射する光が、第2入射面12を含む平面を照射する領域を内包することができる。
【0025】
上記の様に第2入射面12は第1反射面9の最外周よりも光源1に近い位置で光屈折面8から出射する光をすべて入射させることができる。このため光屈折面8から出射して第2入射面12に入射した光は直接第2反射面13で反射される。具体的には、光屈折面8から出射した光が入射する第2入射面12上の位置は光軸15から直交する方向に、(d-b)tan(90°-α)離れており、この距離は点P’よりも光軸15側であるため(式3)を満たす。
a+(d-b)tan(90°-α)≦c・・・(式3)
また、第1レンズ3の半径をR、光屈折面8から入射して第2入射面12に入射した最外周の光が到達する第2反射面13の位置である点Q’を(x,y)=(g,h)とすると、点Q’は、光軸15から直交する方向にa+(d-b)tan(90°-α)+(h-d)tanβ離れており、この距離は第1レンズ3の外径よりも光軸15側であるため(式4)を満たす。
a+(d-b)tan(90°-α)+(h-d)tanβ≦R・・・(式4)
【0026】
図5に示されるように、第2入射面12の位置が光源1に対して十分には近接して配置されていない場合は、第1反射面9の光反射面7と光屈折面8との境から第2入射面12に入射した光L4が拡散により光軸15から離れてしまい、第2入射面12により屈折させたとしても第2出射面14に当たる場合がある。第2出射面14で全反射した光は第2反射面13から出射してしまい、レンズを正面側から見た時に眩しさを感じてしまう。このように、第2入射面12の役割は光屈折面8から漏れ出た光L2を第2反射面13に誘導することである。
【0027】
図2に示されるように、第2反射面13は、円錐状に窪んでおり、断面形状が光軸15を中心として対称に傾いた曲面であり、光軸15から遠ざかるほど第1入射面6から遠ざかるように傾斜している。第2反射面13は第2レンズ4の外縁からは形成されておらず、第2反射面13の外周端23が第2レンズ4の外縁よりも内側に位置している。すなわち、第2レンズ4において、第2反射面13と第2出射面14とは連続して形成されていない。第2レンズ4は、第2反射面13と第2出射面14との間に平面部31を有している。平面部31は光軸15に対して直交しており、平面視においてリング状に形成されている。リング状に形成された平面部31の内側には円錐状に窪んだ第2反射面13が形成されている。このように第2反射面13の外径は第1反射面9および第2出射面14の外径よりも小さいが、光屈折面8からの屈折光を側面に向けて反射させることができる。これは、上面視において第2入射面12を光反射面7の内側に設け、光源1に近い位置で光屈折面8からの屈折光をさらに屈折させることにより、屈折光が光軸15寄りに導かれるからである。このため第2レンズ4を第1レンズ3の外径内に収めることができる。
【0028】
第2反射面13の最深部19の第2入射面12からの高さは、第2出射面14の下端32の第2入射面12からの高さ以上である。最深部19の高さを下端32の高さ以上にすることで、第2反射面で反射された光が第2出射面より効率よく出射できる。最深部19の高さは下端32の高さに近づくほど、第2レンズ4を薄くできる。本実施形態では、第2反射面13の最深部19の第2入射面12からの高さと、第2出射面14の下端32の第2入射面12からの高さは、同一となるように設けている。このため第2反射面13は、側面視において第2出射面14とほぼ重なるように位置している。第2反射面13と第2出射面14とが、側面視において重なるように設けられていることにより、第2反射面13により反射された光を効率よく第2出射面14から出射させることができ、かつ第2レンズ4を薄くすることができる。第2出射面14は、第1出射面11と同一の円筒形状の側面である。
【0029】
図2に示されるように第1レンズ3の第1反射面9と、第2レンズ4の第2入射面12から第2出射面14へと続く第2レンズ4の第2レンズ下面16との間には空気層17が設けられ、この空気層17に沿って第2レンズの第2レンズ下面16に光拡散面24を形成することもできる。
図6に示されるように、第1レンズ3の第1入射面6から第1レンズ3に入射し、第1レンズ3の第1反射面9に当たらずに第1出射面11に当たる光が存在する(矢印L4)。この光は、第1出射面11で全反射することにより第1反射面9から出射し、さらに第2レンズ下面16に入射して、第2レンズ4の第2反射面13から出射してしまう。この場合も第2レンズ4の正面方向へ出射するため、レンズ群2を正面側から見た時に眩しさを感じてしまうという問題がある。第2レンズ4の第2レンズ下面16に光拡散面24を形成することにより、第1出射面11で全反射する光が拡散するため、第2レンズ4の正面方向へ出射する光を大幅に減少させることができる。なお、光拡散面24は、少なくとも第2出射面14の近傍に形成される必要がある。第1レンズ3の第1入射面6から第1レンズ3に入射し、第1レンズ3の第1反射面9に当たらずに第1出射面11に当たる光は、第2出射面14の近傍から第2レンズ下面16に入射するからである。光拡散面24は、第2レンズ下面16に連続する微細凹凸面を設けることにより形成することができる。
【0030】
このように、第1反射面9と第2反射面13とを光軸方向に2枚重ね、さらに2枚の反射面の間の光源1に近い側に第2入射面12を設けることにより、反射板を用いない小径のレンズでありながら光を側方に出射でき、正面方向の発光を抑えている。
【0031】
(第2実施形態)
図7には本発明の第2実施形態に係る照明装置20が示されている。この照明装置20は、以下に説明する点で第1実施形態に係る照明装置10と相違し、その他の点では、第1実施形態に係る照明装置10と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0032】
第1レンズ3には、光源1の発光部35が収容される凹部27が設けられており、凹部27の底には、第1入射面6が設けられている。第1入射面6の外周からは光軸15と平行に光源1側に向かって側部入射面29が形成されている。側部入射面29を光源出射面33に近接させ光軸15と平行に設けることにより、
図6に示される光L4の経路を、
図7に示されるように、第1出射面11で屈折して側方へ出射される光L5に変更することができる。光L5は第1出射面11で全反射しないため、第2レンズ下面16に光拡散面24を設けなくても第2レンズ4の正面方向へ出射する光を大幅に減少させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 光源
2 レンズ群
3 第1レンズ
4 第2レンズ
5 底部
6 第1入射面
7 光反射面
8 光屈折面
9 第1反射面
10 照明装置
11 第1出射面
12 第2入射面
13 第2反射面
14 第2出射面
15 光軸
16 第2レンズ下面
17 空気層
18 最深部
19 最深部
20 照明装置
21 孔部
22 外周端
23 外周端
24 光拡散面
25 突起部
27 凹部
29 側部入射面
31 平面部
32 下端
33 光源出射面
34 基板
35 発光部