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  • 特開-宝石支持体および装飾具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163790
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】宝石支持体および装飾具
(51)【国際特許分類】
   A44C 17/02 20060101AFI20241115BHJP
   A44C 9/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A44C17/02
A44C9/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079671
(22)【出願日】2023-05-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】503175966
【氏名又は名称】株式会社クロスフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀位
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA14
3B114AA21
3B114JA09
(57)【要約】
【課題】リングの材料としてセラミックスを用いた宝石支持体および装飾具を提供すること。
【解決手段】宝石類100を支持する宝石支持体10は、一部に開口11hを有する円環状のセラミックス製のリング11と、リング11の開口11hにおける互いに向かい合う2つの端面11aのそれぞれに設けられた凹部12とを備える。凹部12の底部分12bは、リング11の開口11hに宝石類100を嵌め入れた際に宝石類100の最外周端111が到達する位置よりも深い場所に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石類を支持する宝石支持体であって、
一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、
前記リングの前記開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、
を備え、
前記凹部の底部分は、前記リングの前記開口に前記宝石類を嵌め入れた際に前記宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、
宝石支持体。
【請求項2】
前記端面の正面からみた前記凹部の開口形状は多角形状である、
請求項1に記載の宝石支持体。
【請求項3】
前記リングの中心軸と直交する面での前記凹部の断面形状は多角形状である、
請求項1または請求項2に記載の宝石支持体。
【請求項4】
前記凹部の前記断面形状における前記端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である、
請求項3記載の宝石支持体。
【請求項5】
宝石支持体と、前記宝石支持体に支持された宝石類と、を備える装飾具であって、
前記宝石支持体は、
一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、
前記リングの前記開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、
を備え、
前記凹部の底部分が、前記リングの前記開口に前記宝石類を嵌め入れた際に前記宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、
装飾具。
【請求項6】
前記端面の正面からみた前記凹部の開口形状は多角形状である、
請求項5に記載の装飾具。
【請求項7】
前記リングの中心軸と直交する面での前記凹部の断面形状は多角形状である、
請求項5または請求項6に記載の装飾具。
【請求項8】
前記凹部の前記断面形状における前記端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である、
請求項7記載の装飾具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドなどの宝石類を支持する宝石支持体およびこの宝石支持体に宝石類を配置した装飾具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、爪等の取付部を有さずに宝石を固定でき、厚みを薄く、かつ宝石の露出度の高い指輪及び指輪の製造方法が開示される。この指輪は、リングと、リング内に定義された支点より外方に向けて切り開かれた開口と、開口に面する壁面にそれぞれ一本ずつ刻設された溝と、各溝に対し宝石のガードル端部が係止され、2本の溝のみの係止により宝石が支持された指輪であって、支点を隔てて開口の反対側に位置するリングの左右両側方部分に対して内側に向けて力が掛けられたことで開口が支点を中心に拡開された状態で溝に対し宝石のガードル端部が係止され、内側に向けた力が解除されたときの復元力が支点を介して係止箇所に押圧力として作用することで宝石がリングに対し固定されていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5180586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リングの弾性を利用して宝石を固定する装飾具においては、リングの材料として弾性変形可能な金、銀、プラチナ、チタン、ステンレスといった金属材料が用いられる。ここで、リングが金属で出来ていると、金属アレルギーを起こす可能性があることから、リングとしてセラミックスを使用することが考えられる。しかし、金属よりも弾性率の高いセラミックスをリングの材料に用いることは難しい。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リングの材料としてセラミックスを用いた宝石支持体および装飾具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、宝石類を支持する宝石支持体であって、一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、リングの開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、を備え、凹部の底部分は、リングの開口に宝石類を嵌め入れた際に宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、宝石支持体である。
【0007】
このような構成によれば、セラミックス製のリングの開口に宝石類を嵌め入れた際、宝石類の外周部が開口の端面に設けられた凹部に嵌まって位置決めされる。この際、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接しないため、宝石類の嵌め入れによって宝石類からセラミックス製のリングの開口の端面への応力集中が回避される。
【0008】
好適には、端面の正面からみた凹部の開口形状は多角形状である。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口形状における多角形状の辺と宝石類の外周部とが複数点で点接触して、応力集中が緩和される。
【0009】
好適には、リングの中心軸と直交する面での凹部の断面形状は多角形状である。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口の縁部と宝石類の外周部とが接触して、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接することを避けることができる。
【0010】
好適には、凹部の断面形状における端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である。これにより、外周部の角度が70度を超える宝石類を嵌め入れることで、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接することを避けられる。
【0011】
本発明の第2の態様は、宝石支持体と、宝石支持体に支持された宝石類と、を備える装飾具であって、宝石支持体は、一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、リングの開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、を備え、凹部の底部分は、リングの開口に宝石類を嵌め入れた際に宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、装飾具である。
【0012】
このような構成によれば、セラミックス製のリングの開口に宝石類を嵌め入れた際、宝石類の外周部が開口の端面に設けられた凹部に嵌まって位置決めされる。この際、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接しないため、宝石類の嵌め入れによって宝石類からセラミックス製のリングの開口の端面への応力集中が回避される。
【0013】
好適には、端面の正面からみた凹部の開口形状は多角形状である。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口形状における多角形状の辺と宝石類の外周部とが複数点で接触して、応力集中が緩和される。
【0014】
好適には、リングの中心軸と直交する面での凹部の断面形状は多角形状である。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口の縁部と宝石類の外周部とが接触して、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接することを避けることができる。
【0015】
好適には、凹部の断面形状における端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である。これにより、外周部の角度が70度を超える宝石類を嵌め入れることで、宝石類の最外周端が凹部の底部分に当接することを避けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リングの材料としてセラミックスを用いた宝石支持体および装飾具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態にかかる装身具および宝石支持体を例示する正面図である。
図2図2は、本実施形態に係る装身具および宝飾支持体を例示する部分拡大断面図である。
図3図3は、宝石類と凹部との当接関係を例示する模式断面図である。
図4図4は、リングの端面を正面からみた模式図である。
図5図5は、リングの開口部分の部分断面図である。
図6図6は、本実施形態に係る装飾具の製造方法を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0019】
(装身具および宝石支持体)
図1は、本実施形態にかかる装身具および宝石支持体を例示する正面図である。
図2は、本実施形態に係る装身具および宝飾支持体を例示する部分拡大断面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る装飾具1は、本実施形態に係る宝石支持体10と、宝石支持体10に支持された宝石類100と、を備える。宝石類100としては、ダイヤモンドなどの宝石のほか、宝石に類似した鉱物以外の材料により形成されたもの、ガラスや金属などで装飾したものが挙げられる。
【0020】
宝石類100は、セラミックス製のリング11を有する宝石支持体10に支持される。リング11は、一部に開口11hを有する円環状の形状を持つ。リング11は、例えば指に嵌める指輪となる部分である。リング11の材料であるセラミックスとしては、例えばジルコニアやアルミナが用いられる。リング11の材料として用いられるセラミックスの硬度はモース硬度で8以上10未満が好ましく、ヤング率は120GPa以上400GPa以下が好ましい。
【0021】
円環状に設けられるリング11の一部には円環が途切れた部分である開口11hが設けられる。リング11の開口11hに宝石類100が挟み込まれている。セラミックス製のリング11の一部に設けられた開口11hは、セラミックスの有する僅かな弾性変形の範囲で拡げることができる。リング11の開口11hが拡げられると、拡げられた開口11hの幅が元のサイズへ戻るようにリング11の弾性力が働き、開口11hを構成する2つの端面11aの間隔が狭まる。宝石類100は、弾性力が働く2つの端面11aに挟み込まれることによってリング11に保持される。
【0022】
図2に示すように、リング11の開口11hにおける互いに向かい合う2つの端面11aのそれぞれには凹部12が設けられる。このようなリング11を用いることで、セラミックス製のリング11の開口11hに宝石類100を嵌め入れた際、宝石類100の外周部110が開口11hの端面11aに設けられた凹部12に嵌まって位置決めされる。これにより、リング11の開口11hに宝石類100を挟み込んだ際の宝石類100の位置ずれが抑制される。
【0023】
また、凹部12の底部分12bは、リング11の開口11hに宝石類100を嵌め入れた際に宝石類100の最外周端111が到達する位置よりも深い場所に設けられている。すなわち凹部12は、宝石類100の最外周端111が底部分12bに当接しない深さを有する。凹部12の底部分12bより浅い場所(例えば凹部12の縁部)が宝石類100に当接する。宝石類100の最外周端111が凹部12の底部分12bに当接しないため、宝石類100の嵌め入れによって宝石類100からセラミックス製のリング11の開口11hの端面11aへの応力集中が回避される。すなわち、宝石類100の最外周端111がリング11の端面11aに当接すると、当接部分に応力集中が発生しやすい。本実施形態ではリング11の材料として金属よりも硬度は高いものの靭性の低いセラミックスを用いていることから、応力集中による端面11aへの影響が金属よりも大きい。そこで、リング11の開口11hに宝石類100を挟み込む際、宝石類100の最外周端111が凹部12の底部分12bに当接しないようにすることで、応力集中を抑制して、セラミックスにより形成されたリング11の端面11aへの影響を少なくすることができる。また、宝石類100の最外周端111が凹部12の底部分12bに当接しないことにより、凹部12における底部分12bより浅い複数の場所が宝石類100に当接して押し当てられた状態になるため、宝石類100の最外周端111が底部分12bに当接して押し当てられる場合に比べて宝石類100のぐらつきが生じ難くなり、宝石類100を安定に保持することができる。
【0024】
図3は、宝石類と凹部との当接関係を例示する模式断面図である。
図3には、リング11の端面11aの部分におけるリング11の中心軸と直交する面での断面形状が示される。凹部12の断面形状は、例えば多角形状になっている。一例として、凹部12の断面形状は、端面11aよりも凹んだ場所に設けられた底部分12bを構成する底辺aと、底辺aから端面11aに向けて開く斜辺b、cとを有する。斜辺b、cの開く角度θ1は宝石類100の外周部110の角度θ2よりも狭い。
【0025】
宝石類100が例えば標準的なラウンドブリリアントカットを施された宝石の場合、外周部110に相当するガードル部分の角度θ2は約74度であることから、斜辺b、cの開く角度θ1は74度未満が好ましく、例えば65度以上70度以下が好ましい。これにより、ラウンドブリリアントカットのように外周部110の角度θ2が70度を超える宝石類100を嵌め入れる場合、宝石類100の最外周端111が凹部12の底部分12bに当接することを避けられる。すなわち、ラウンドブリリアントカットを施された宝石のガードル部分が凹部12の底部分12bに当接することはなく、セラミックスよりも硬度の高いダイヤモンドから端面11aに対して加えられる応力の集中を避けることができる。
【0026】
図4は、リングの端面を正面からみた模式図である。
図4では、説明の便宜上、リング11の端面11aがハッチングで示される。
端面11aの正面からみて、端面11aに設けられた凹部12の開口形状は多角形状であることが好ましい。一例として、凹部12の開口形状は略菱形となっている。凹部12に宝石類100の外周部110が嵌め入れられると、凹部12の開口形状における多角形状の辺と宝石類の外周部110とが複数点で接触することになり、宝石類100から端面11aに対して加えられる応力の集中を避けることができる。宝石類100が例えばラウンドブリリアントカットを施された宝石の場合、外周部110に相当するガードル部分が略菱形の中央に位置するように凹部12に嵌め入れられる。これにより、ガードル部分と凹部12の開口形状の辺とが複数点(この場合、図中黒点で示す4点)で接触することになる。したがって、多点での接触による応力の分散を図ることができる。
【0027】
また図4の例において、端面11aの正面から見た凹部12の開口形状は、少なくとも1つの対角線と当該対角線に直交する線とが線対称の対称軸となり得る線対称な多角形であって、内角がそれぞれ180度よりも小さい多角形(図4の例では略菱形)であることが好ましい。この場合、ラウンドブリリアントカットを施された宝石類100のガードル部分が、この多角形の対角線である対称軸に沿うように凹部12に嵌入される。これにより、図4に示すように、凹部12の縁部(凹部12と端面11aとの境界辺)と宝石類100とが接触する4つの接触点(図4中の黒点で示す4点)は、凹部12の開口形状(多角形)の対称軸に対して概ね線対称な位置関係を有するようになる。そのため、凹部12の縁部において宝石類100を安定的に保持することができる。
【0028】
図5は、リングの開口部分の部分断面図である。図5には、図4に示すA-A線の断面が示される。
図5の例において、リング11の端面11aに沿った方向(凹部12の深さ方向と直交する方向)からみた凹部12の断面形状は円弧状になっている。凹部12の断面形状の円弧を一部とした円の直径は、宝石類100の外周縁を繋ぐ円の直径よりも小さい。これにより、2つの端面11aにおけるそれぞれの凹部12の縁部(凹部12と端面11aとの境界辺)と宝石類100の外周縁112とが複数点で接触する状態となる(図4中の黒点を参照)。したがって、多点での接触によって宝石類100から端面11aへ加えられる応力の分散を図ることができる。
【0029】
図6は、本実施形態に係る装飾具の製造方法を例示する正面図である。
本実施形態に係る宝石支持体10はセラミックス製のリング11を有している。金属製のリング11に比べてセラミックス製のリング11のほうが弾性変形し難い。しかし、セラミックスであっても弾性変形可能であることから、この性質を利用して装飾具1を製造することができる。
【0030】
すなわち、先ず、セラミックス製のリング11を有する宝石支持体10が用意される。リング11には、円環形状の途中に開口11hが設けられる。開口11hにおける対向する端面11aの間隔d1は、宝石類100の外径d2よりも狭い。間隔d1と外径d2との差は、例えば0.1mm以上0.2mm以下である。端面11aには凹部12が設けられる。凹部12は、例えば円盤型のダイヤモンドカッターを用いた切削加工によって形成される。
【0031】
次に、セラミックス製のリング11に対して中心から外側に力が加えられて開口11hが拡げられる。リング11には、弾性変形の範囲内で力が加えられる。拡げられた開口11hの間隔d3は、宝石類100の外径d2よりも広い。間隔d3と外径d2との差は、例えば0.1mm以上0.2mm以下である。すなわち、セラミックス製のリング11に外方へ力を加えて弾性変形させることで、開口11hの間隔が、例えば0.2mm以上0.4mm以下の範囲で拡げられる。
【0032】
次に、開口11hが拡げられた状態で開口11hにおける2つの端面11aの間に宝石類100が差し込まれる。そして、リング11に加えられていた外力が解除される。外力が解除されると、弾性変形により拡がっていたリング11の開口11hの間隔d3が間隔d1に戻り、2つの端面11aの間で宝石類100が挟持された状態となる。この際、端面11aに設けられた凹部12に宝石類100の外周部110が嵌め入れられ、位置決めされる。宝石類100はセラミックス製のリング11の弾性復元力を受けて開口11hの2つの端面11aの間で挟持される。なお、必要に応じて凹部12内に接着剤を塗布しておき、凹部12に嵌め入れた宝石類100の外周部110を凹部12内で接着剤によって補助的に固定するようにしてもよい。これにより装飾具1が完成する。
【0033】
本実施形態のようにセラミックス製のリング11による宝石支持体10であっても、セラミックスの弾性を利用してリング11の開口11hに宝石類100を挟み込み、リング型の装飾具1を構成することが可能となる。この際、宝石類100の最外周端111が凹部12の底部分12bに当接しないことから、例えばリング11のセラミックスよりも固いダイヤモンドからなる宝石類100を挟み込む場合であっても、ダイヤモンドからセラミックスへの応力集中を避けて、リング11への影響を抑制することが可能となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、金属アレルギーの発生を防止できるセラミックスを用いたリング11による宝石支持体10および装飾具1を構成することが可能となる。
【0035】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、リング11の材料は全てがセラミックス製ではなく、セラミックス以外の芯材の周囲をセラミックスで被覆したものであってもよい。また、凹部12の断面形状や開口形状は上記に示した形状以外であってもよい。また、前述の実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0036】
1…装飾具,10…宝石支持体,11…リング,11a…端面,11h…開口,12…凹部,12b…底部分,100…宝石類,110…外周部,111…最外周端,112…外周縁,a…底辺,b…斜辺,c…斜辺,d1…間隔,d2…外径,d3…間隔,θ1…角度,θ2…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石類を支持する宝石支持体であって、
一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、
前記リングの前記開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、
を備え、
前記端面の正面からみた前記凹部の開口形状は、少なくとも1つの対角線と当該対角線に直交する線とが線対称の対称軸となり得る線対称な多角形であって、内角がそれぞれ180度よりも小さい多角形であり、
前記宝石類は、ラウンドブリリアントカットを施されており、
前記宝石類のガードル部分が、前記多角形の前記対角線である線対称の前記対称軸に沿うように前記凹部に嵌入され、
前記凹部の縁部と前記宝石類とが複数点で点接触し、
前記凹部の底部分は、前記リングの前記開口に前記宝石類を嵌め入れた際に前記宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、
宝石支持体。
【請求項2】
前記リングの中心軸と直交する面での前記凹部の断面形状は多角形状である、
請求項1に記載の宝石支持体。
【請求項3】
前記凹部の前記断面形状における前記端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である、
請求項2に記載の宝石支持体。
【請求項4】
宝石支持体と、前記宝石支持体に支持された宝石類と、を備える装飾具であって、
前記宝石支持体は、
一部に開口を有する円環状のセラミックス製のリングと、
前記リングの前記開口における互いに向かい合う2つの端面のそれぞれに設けられた凹部と、
を備え、
前記端面の正面からみた前記凹部の開口形状は、少なくとも1つの対角線と当該対角線に直交する線とが線対称の対称軸となり得る線対称な多角形であって、内角がそれぞれ180度よりも小さい多角形であり、
前記宝石類は、ラウンドブリリアントカットを施されており、
前記宝石類のガードル部分が、前記多角形の前記対角線である線対称の前記対称軸に沿うように前記凹部に嵌入され、
前記凹部の縁部と前記宝石類とが複数点で点接触し、
前記凹部の底部分が、前記リングの前記開口に前記宝石類を嵌め入れた際に前記宝石類の最外周端が到達する位置よりも深い場所に設けられている、
装飾具。
【請求項5】
前記リングの中心軸と直交する面での前記凹部の断面形状は多角形状である、
請求項4に記載の装飾具。
【請求項6】
前記凹部の前記断面形状における前記端面に向けて開く角度は65度以上70度以下である、
請求項5に記載の装飾具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
好適には、端面の正面からみた凹部の開口形状は、少なくとも1つの対角線と当該対角線に直交する線とが線対称の対称軸となり得る線対称な多角形であって、内角がそれぞれ180度よりも小さい多角形であり、宝石類は、ラウンドブリリアントカットを施されており、宝石類のガードル部分が、多角形の対角線である線対称の対称軸に沿うように凹部に嵌入され、凹部の縁部と宝石類とが複数点で点接触する。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口形状における多角形状の辺と宝石類の外周部とが複数点で点接触して、応力集中が緩和される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
好適には、端面の正面からみた凹部の開口形状は、少なくとも1つの対角線と当該対角線に直交する線とが線対称の対称軸となり得る線対称な多角形であって、内角がそれぞれ180度よりも小さい多角形であり、宝石類は、ラウンドブリリアントカットを施されており、宝石類のガードル部分が、多角形の対角線である線対称の対称軸に沿うように凹部に嵌入され、凹部の縁部と宝石類とが複数点で点接触する。これにより、宝石類の外周部が凹部に嵌まる際、凹部の開口形状における多角形状の辺と宝石類の外周部とが複数点で接触して、応力集中が緩和される。