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特開2024-163801傾斜角度変更機構、その操作方法および組立方法、ならびに電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163801
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】傾斜角度変更機構、その操作方法および組立方法、ならびに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20241115BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20241115BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20241115BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20241115BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H05K5/02 B
F16C11/04 F
F16C11/10 E
H04M1/11 Z
H04M1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079698
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】神田 達雄
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
3J105AA02
3J105AA12
3J105AB23
3J105AB50
3J105AC07
3J105BA41
3J105BB52
3J105DA04
3J105DA15
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB09
4E360AC05
4E360AC13
4E360AC17
4E360AC24
4E360EA25
4E360EB03
4E360EC05
4E360EC13
4E360EC14
4E360ED03
4E360ED12
4E360ED16
4E360ED17
4E360ED23
4E360GA02
4E360GA03
4E360GA07
4E360GA46
4E360GA53
4E360GB23
4E360GC08
4E360GC14
5K023AA07
5K023CC01
5K023KK04
5K023KK10
5K023LL06
5K023MM27
5K023RR09
(57)【要約】
【課題】スタンドの傾斜角度を変更するための操作を簡素化する。
【解決手段】傾斜角度変更機構は、回動する回動端部(221)、および筐体(1)に回動可能に支持される支持端部(222)を有する一対の脚部(22)、および脚部(22)の回動端部(221)を接続する連結部(21)を有し、筐体(1)を複数の角度のいずれか1つに傾斜させた状態で支持するスタンド(2)と、支持端部(222)側の一端に爪(32a)が設けられ、脚部(22)にスライド可能に嵌め込まれたスライド部(32)を一対有するとともに、スライド部(32)の他端を接続する操作部(31)を有する操作レバー(3)と、筐体(1)において支持端部(222)が支持される位置に近接して設けられ、爪(32a)が係合する複数の凹部と、爪(32a)を支持端部(222)から突出させるように、脚部(22)に対してスライド部(32)を押すスプリングと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動する回動端部、および傾斜させる対象物に回動可能に支持される支持端部を有する脚部を一対有するとともに、前記回動端部同士を接続する第1接続部を有し、前記対象物を複数の角度のいずれか1つに傾斜させた状態で支持するスタンドと、
前記支持端部側の一端に爪が設けられ、前記脚部の内部にスライド可能に嵌め込まれたスライド部を一対有するとともに、前記スライド部の他端同士を接続する第2接続部を有する操作レバーと、
前記対象物において前記支持端部が支持される位置に近接して設けられ、前記爪が係合する前記複数の角度に対応した複数の凹部と、
前記爪を前記支持端部から突出させるように、前記脚部に対して前記スライド部を押す力を与えるバネ部材と、を備える、傾斜角度変更機構。
【請求項2】
前記操作レバーの前記第2接続部は、前記スタンドの前記第1接続部よりも前記支持端部側に位置するように設けられている、請求項1に記載の傾斜角度変更機構。
【請求項3】
前記スライド部は、前記バネ部材の一端が当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記脚部の前記支持端部側に設けられた係止部に係止される、請求項1に記載の傾斜角度変更機構。
【請求項4】
前記操作レバーの前記第2接続部の両端には突起が設けられており、
前記スタンドの前記脚部は、前記突起が挿入される案内溝を有し、
前記案内溝は、一対の前記脚部が対向する側部において、前記突起を前記スライド部がスライドする方向に案内するように形成されている、請求項3に記載の傾斜角度変更機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の傾斜角度変更機構と、
前記傾斜角度変更機構により傾斜角度が変更される対象物と、を備える電子機器。
【請求項6】
請求項2または3に記載の傾斜角度変更機構を操作する操作方法であって、
前記バネ部材の力に抗して前記操作レバーの前記第2接続部を前記スタンドの前記第1接続部に近付けることにより、前記爪の前記凹部への係合を解除する解除ステップと、
前記第2接続部を前記第1接続部に近付けた状態で前記スタンドを回転させる回転ステップと、
前記バネ部材の力により前記第2接続部を前記第1接続部から遠ざけることにより、前記爪を前記凹部に係合させる係合ステップと、を含む操作方法。
【請求項7】
請求項4に記載の傾斜角度変更機構を組み立てる組立方法であって、
前記操作レバーの前記スライド部を前記スタンドの前記脚部に嵌め込むとともに、前記スライド部の前記突起を前記脚部の前記案内溝に導入する嵌め込みステップと、
前記操作レバーを前記係止部に係止させるとともに、前記突起を前記案内溝における前記スライド部が前記脚部にスライド可能に保持される位置に移動させる保持ステップと、
前記スタンドの前記支持端部に設けられた支持軸を前記対象物の支持孔に挿入する挿入ステップと、を含む、組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜して配置される対象物の傾斜角度を変更する傾斜角度変更機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
卓上などに置かれる物品には、傾斜した姿勢を保ち、かつその傾斜角度が変更可能となるように構成されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、筐体の背面にスタンドを回動可能に接続し、スタンドの角度を複数段に選択可能とし、選択段にてスタンドの回動をロックする電子機器が開示されている。当該電子機器では、スタンドに設けられた係合爪を複数の係合窪みのいずれかと係合させることによりスタンドの回動がロックされる。このロック状態では、筐体またはスタンドの一方に設けられた回動軸が、回動軸の受け部となるガイド溝における所定の位置にある。
【0004】
また、特許文献2には、電子機器に設けられたストッパーが、スタンドとしてのベース部材に設けられた回転軸の突起に、バネ部材で押動させることにより係合することで、ベース部材の回動が阻止されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4548621号公報
【特許文献2】実用新案登録第3190297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に開示された電子機器では、スタンドの回動がロックされている状態を解除するとき、ガイド溝において、回動軸をロックさせる位置からロックを解除する位置に移動させるようにスタンドを移動させるという操作が必要となる。このため、回動軸を移動させる操作と、スタンドを回動させる操作とを行う必要がある。
【0007】
また、上記の特許文献2に開示された電子機器では、ベース部材が回動できない状態からベース部材を回動させるとき、バネ部材を縮ませる方向にストッパーを操作することにより、回転軸へのストッパーの係合を解除する。このため、ストッパーの係合を解除する操作と、ベース部材を回動させる操作とを行う必要がある。
【0008】
スタンドの傾斜角度を頻繁に変える場合、ユーザは上記のような操作に直ぐに慣れるが、通常、スタンドの傾斜角度を変えることは殆どないと考えられる。そのような、たまにしかしない操作は、単純な操作であっても忘れがちである。
【0009】
本発明の一態様は、スタンドの傾斜角度を変更するための操作を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る傾斜角度変更機構は、回動する回動端部、および傾斜させる対象物に回動可能に支持される支持端部を有する脚部を一対有するとともに、前記回動端部同士を接続する第1接続部を有し、前記対象物を複数の角度のいずれか1つに傾斜させた状態で支持するスタンドと、前記支持端部側の一端に爪が設けられ、前記脚部の内部にスライド可能に嵌め込まれたスライド部を一対有するとともに、前記スライド部の他端同士を接続する第2接続部を有する操作レバーと、前記対象物において前記支持端部が支持される位置に近接して設けられ、前記爪が係合する前記複数の角度に対応した複数の凹部と、前記爪を前記支持端部から突出させるように、前記脚部に対して前記スライド部を押す力を与えるバネ部材と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、スタンドの傾斜角度を変更するための操作を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の使用状態を示す斜視図である。
図2】上記電子機器の背面構造を示す斜視図である。
図3】上記電子機器からスタンドおよび操作レバーが取り外された状態を示す分解斜視図である。
図4】上記電子機器の背面構造を示す平面図である。
図5図4のA-A線矢視断面図である。
図6】上記スタンドおよび操作レバーの構成を示す分解斜視図である。
図7】上記操作レバーの構成を示す分解斜視図である。
図8】上記スタンドおよび操作レバーの構成を示す平面図である。
図9図8のB-B線矢視断面図である。
図10図8のC-C線矢視断面図およびその一部を拡大した断面図である。
図11図8に示す上記操作レバーとは異なる位置にある状態の上記スタンドおよび操作レバーの構成を示す平面図である。
図12図11のD-D線矢視断面図およびその一部を拡大した断面図である。
図13】スタンドの傾斜角度を変更するときの上記操作レバーの爪が上記電子機器の筐体における凹部に係合している状態と爪が凹部から外れている状態との遷移を示す図である。
図14】上記スタンドが電子機器の筐体における背面部に対して傾斜した状態を示す斜視図である。
図15】スタンドの傾斜角度を変更するときの上記爪が上記凹部に係合している状態と爪が上記凹部から外れている状態との他の遷移を示す図である。
図16】上記スタンドが電子機器の筐体における背面部に対して図14に示す状態からさらに傾斜した状態を示す斜視図である。
図17】スタンドの傾斜角度を変更するときの上記爪が上記凹部に係合している状態と爪が上記凹部から外れている状態とのさらに他の遷移を示す図である。
図18】上記スタンドが上記背面部に対して図16に示す状態からさらに傾斜した状態を示す斜視図である。
図19】上記スタンドおよび上記操作レバーの一部を示す平面図である。
図20】上記操作レバーを上記スタンドに嵌め込む前の状態の上記スタンドおよび上記操作レバーを図20に示すE-E線で切断した矢視断面図である。
図21】上記操作レバーを上記スタンドに嵌め込んだ状態の上記スタンドおよび上記操作レバーを図20に示すE-E線で切断した矢視断面図である。
図22】上記操作レバーを上記スタンドに組み込んだ状態の上記スタンドおよび上記操作レバーを図20に示すE-E線で切断した矢視断面図である。
図23図22に示す状態から上記操作レバーを上記スタンド側に移動させた状態の上記スタンドおよび上記操作レバーを図20に示すE-E線で切断した矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図23を参照して説明する。
【0014】
〈電子機器の概要〉
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器100の使用状態を示す斜視図である。図2は、電子機器100の背面構造を示す斜視図である。図3は、電子機器100からスタンド2および操作レバー3が取り外された状態を示す分解斜視図である。図4は、電子機器100の背面構造を示す平面図である。図5は、図4のA-A線矢視断面図である。図6は、スタンド2および操作レバー3の構成を示す分解斜視図である。
【0015】
図1図3に示すように、電子機器100は、筐体1と、スタンド2と、操作レバー3とを備えている。また、電子機器100は、図6に示すように、主要構成要素の1つとして、スタンド2内に配置されるスプリング4(バネ部材)を備えている。
【0016】
筐体1は、スタンド2により傾斜させる対象物であり、前面パネル10と、背面部11とを有している。電子機器100が例えば電話機である場合、前面パネル10には、受話器、操作ボタン、ディスプレイなどが設けられている。背面部11は、各種の電子部品を内蔵するように、その内部が空洞に形成されている。
【0017】
スタンド2は、背面部11のほぼ中間部分に、回動可能に取り付けられており、筐体1を複数の角度のいずれか1つに傾斜させた状態で支持する。スタンド2は、連結部21(第1接続部)と、一対の脚部22とを有している。
【0018】
脚部22は、回動する回動端部221と、筐体1の背面部11に回動可能に支持される支持端部222とを有している。脚部22は、電子機器100の組み立てにおいて、背面部11に取り付けられるときに撓むように、弾性を有する樹脂によって形成されている。
【0019】
連結部21は、一対の脚部22が互いに平行となり、かつ一体に動くように、回動端部221同士を連結かつ接続する棒状の部分である。連結部21は、電子機器100の設置面上に当接する部分となる。支持端部222の脚部22が互いに対向する面には、支持軸22aが設けられている。脚部22は、支持軸22aにより回動可能に背面部11に支持される。なお、スタンド2については、後に詳しく説明する。
【0020】
操作レバー3は、スタンド2を背面部11に保持させる操作と、スタンド2の保持状態を解除する操作とを行うために設けられたレバーである。操作レバー3は、操作部31(第2接続部)と、一対のスライド部32とを有している。スライド部32は、支持端部222側の一端に爪32aが設けられている。また、スライド部32は、脚部22の内部にスライド可能に嵌め込まれている。操作部31は、一対のスライド部32が互いに平行となり、かつ一体に動くように、スライド部32の他端同士を接続する。操作レバー3については、後に詳しく説明する。
【0021】
スプリング4は、爪32aを脚部22の支持端部222から突出させるように、脚部22に対してスライド部32を押す力を与える圧縮スプリングである。スプリング4の脚部22における配置については、後に詳しく説明する。
【0022】
図4および図5にも示すように、筐体1の背面部11には、スタンド2を収納するための収納部12が設けられている。収納部12は、第1収納部121と、第2収納部122とを含んでいる。第1収納部121は、電子機器100が設置面上に設置される状態で下端となる背面部11の一端側における中央部分に、スタンド2の連結部21および操作レバー3の操作部31を収納するように凹状に形成されている。第2収納部122は、スタンド2の脚部22をそれぞれ収納するように、第1収納部121の両側から背面部11の中央部辺りに伸びるように凹状に形成されている。
【0023】
第2収納部122における背面部11の中央部辺りの端部には、爪32aが係合する複数の凹部として、第1凹部122aと、第2凹部122bと、第3凹部122cと、第4凹部122dとが設けられている。第1凹部122a、第2凹部122b、第3凹部122cおよび第4凹部122dは、後述する支持孔13aに近接する位置に、支持孔13aを中心として描かれる円弧上に配置されている。
【0024】
第1凹部122aは、背面部11の表面に最も近い位置に設けられている。第2凹部122bは、第1凹部122aよりも背面部11の表面から深い位置に設けられている。第3凹部122cは、第2凹部122bよりも背面部11の表面から深い位置に設けられている。第4凹部122dは、第3凹部122cよりも背面部11の表面から深い位置に設けられている。第1凹部122a、第2凹部122b、第3凹部122cおよび第4凹部122dは、爪32aを構成する、後述の平行面32a1および傾斜面32a2(図10)にそれぞれ接する面を有している。
【0025】
なお、以降の説明において、第1凹部122a、第2凹部122b、第3凹部122cおよび第4凹部122dについては、それぞれ特定しない場合、単に「凹部122n」と称する。
【0026】
背面部11には、第2収納部122における背面部11の中心側に近い壁面に、回動支持部13が設けられている。回動支持部13は、支持孔13aと、導入溝13bとを有している。支持孔13aは、スタンド2の支持軸22aが支持孔13a内で回動可能に嵌め入れられることで、支持端部222を回動可能に支持する。導入溝13bは、スタンド2を背面部11に組み付けるときに、支持軸22aが背面部11の表面から支持孔13aまでを摺動しながら移動できるように、支持軸22aを案内するために設けられている。
【0027】
電子機器100においては、スタンド2、操作レバー3、第1凹部122a、第2凹部122b、第3凹部122c、第4凹部122dおよびスプリング4によって、傾斜角度変更機構101が構成されている。電子機器100は、筐体1と、傾斜角度変更機構101とを備えることにより構成されている。
【0028】
〈スタンドおよび操作レバーの構成〉
スタンド2および操作レバー3の構成について詳しく説明する。図7は、操作レバー3の構成を示す分解斜視図である。図8は、スタンド2および操作レバー3の構成を示す平面図である。図9は、図8のB-B線矢視断面図である。図10は、図8のC-C線矢視断面図およびその一部を拡大した断面図である。
【0029】
図6図10に示すように、スタンド2の脚部22において、スライド部32が嵌め込まれる部分は、スライド部32の表面が露出するように開放されている。脚部22の開放された部分は、スライド部32がスライド可能になるように、スライド部32の幅よりやや広い幅を有する。また、脚部22の支持端部222の先端はスライド部32の爪32aが露出するように開口している。
【0030】
爪32aは、平行面32a1および傾斜面32a2を有する。平行面32a1は、スライド部32における脚部22から露出する露出面の先端と段差を有し、当該露出面と平行に形成されている面である。傾斜面32a2は、平行面32a1の先端から、後述する、スプリング4が配置される配置凹部22f(図10参照)に近づくに連れて爪32aの根元側に寄るように傾斜している面である。
【0031】
脚部22の内凹部22bには、スライド部32をスライド可能に支持する支持体22cが設けられている。支持体22cは、脚部22の長手方向に伸びるように配された2つの長壁と、当該長壁と交差して脚部22の幅方向に伸びるように配された複数の短壁とを有する。
【0032】
操作レバー3の操作部31の両端には、それぞれ円筒形状の突起31aが設けられている。これに対し、一対の脚部22が対向する側部において、連結部21の付近に案内溝22dが形成されている。案内溝22dは、突起31aが挿入され、突起31aをスライド部32がスライドする方向に案内するように形成されている。
【0033】
案内溝22dは、当該側部を貫通し、かつ突起31aの直径の幅よりも広い幅を有するように形成されている。また、案内溝22dは、かつ脚部22の開放部分から切り欠かかれた切欠き部を有するように形成されている。案内溝22dの切欠き部は、図6に矢印にて示す、スライド部32が脚部22に嵌め込まれる方向に沿って、側部の同方向における中間部位まで形成されている。また、案内溝22dは、切欠き部に続いて、スライド部32がスライドする方向、すなわち脚部22の長手方向に連結部21側に伸びるように形成されている。
【0034】
操作レバー3の爪32aが設けられている一端(先端部)には、爪32aの根元部分の付近に当接部32bが設けられている。図10に示すように、当接部32bは、スプリング4の一端が当接するように、スライド部32の長手方向に直交する面を有するように形成されている。
【0035】
脚部22の支持端部222における内凹部22bには、当接面22eと、配置凹部22fと、係止部22gとが設けられている。当接面22eは、脚部22の先端よりやや奥の位置に、スプリング4の他端が当接するように脚部22の長手方向に直交する面として形成されている。配置凹部22fは、スプリング4が配置されるように、脚部22の長手方向に沿って形成されている凹部である。係止部22gは、支持端部222の先端に設けられており、スライド部32の上述した当接部32bが係止されるように、配置凹部22fの底面よりも高くなるように形成されている。これにより、図10に示すように、当接部32bの先端が係止部22gに係止され、配置凹部22fにおいて、当接面22eと当接部32bとの間にスプリング4が保持される。
【0036】
図8に示すように、操作レバー3の操作部31は、スタンド2の連結部21よりも支持端部222側に位置するように設けられている。
【0037】
〈傾斜角度変更の操作および動作〉
上記のように構成される電子機器100の傾斜角度変更機構101の操作方法と、当該操作に伴う傾斜角度変更機構101の動作とについて説明する。
【0038】
図11は、図8に示す操作レバー3とは異なる位置にある状態のスタンド2および操作レバー3の構成を示す平面図である。図12は、図11のD-D線矢視断面図およびその一部を拡大した断面図である。図13は、スタンド2の傾斜角度を変更するときの操作レバー3の爪32aが筐体1における凹部122nに係合している状態と爪32aが凹部122nから外れている状態との遷移を示す図である。図14は、スタンド2が筐体1の背面部11に対して傾斜した状態を示す斜視図である。図15は、スタンド2の傾斜角度を変更するときの操作レバー3の爪32aが凹部122nに係合している状態と爪32aが凹部122nから外れている状態との他の遷移を示す図である。図16は、スタンド2が背面部11に対して図14に示す状態からさらに傾斜した状態を示す斜視図である。図17は、スタンド2の傾斜角度を変更するときの爪32aが凹部122nに係合している状態と爪32aが凹部122nから外れている状態とのさらに他の遷移を示す図である。図18は、スタンド2が背面部11に対して図16に示す状態からさらに傾斜した状態を示す斜視図である。
【0039】
まず、図2に示すように、スタンド2および操作レバー3が収納部12に収納された状態では、図10に示すように、当接部32bがスプリング4により押されているので、爪32aが支持端部222の先端から突出している。この状態では、図8に示すように、スタンド2の連結部21と操作レバー3の操作部31との間に、若干の隙間が生じている。また、この状態は、図13の(A)の状態であり、爪32aが第1凹部122aに係合している。
【0040】
スタンド2が収納部12に収納されている図13の(A)の状態から、ユーザが連結部21に手を添えてスタンド2を起こすと、脚部22が支持軸22aを中心に矢印の方向に回転しようとする。脚部22の回転に伴い、爪32aの傾斜面32a2が、第1凹部122aの傾斜面32a2と接触する面に押されることにより、爪32aは、図13の(B)の状態のように、スプリング4の力に抗して脚部22内に押し込まれる。
【0041】
そして、脚部22がさらに回転し、爪32aの先端が、第1凹部122aと第2凹部122bとの境界を乗り越えると、図13の(C)の状態のように、爪32aは、圧縮状態にあったスプリング4の力により押されて、第2凹部122bに入り込んで係合する。これにより、図14に示すように、スタンド2は、第2凹部122bの位置で定まる最小の傾斜角度で傾斜した状態に保持される。
【0042】
爪32aの第2凹部122bへの係合状態を解除するには、図8に示す矢印方向に、スプリング4の力に抗して、操作レバー3の操作部31をスタンド2の連結部21に近付けることにより、爪32aの凹部122nへの係合を解除する(解除ステップ)。具体的には、ユーザは、連結部21側から連結部21および操作部31を併せて掴んだ状態から操作部31を握ることにより、図11に示すように、操作部31が連結部21に引き寄せられる。
【0043】
すると、図12に示すように、スライド部32が矢印方向にスライドすることにより、爪32aが脚部22内に入り込む。これにより、爪32aが第2凹部122bから抜け出して、爪32aの第2凹部122bとの係合が解除される。
【0044】
図13の(A)の状態に戻す場合、ユーザが、操作部31を握ったまま、すなわち操作部31を連結部21に近付けた状態で、スタンド2を起こしたときと逆方向にスタンド2を回転させる(回転ステップ)。この結果、図13の(C)の状態から(B)の状態に移行することができる。
【0045】
そして、スタンド2が収納部12における収納位置にある図13の(D)の状態でユーザが操作レバー3を離すと、圧縮状態にあったスプリング4の力により、操作部31を連結部21から遠ざける。これにより、図13の(A)の状態のように、爪32aを第1凹部122aに係合させる(係合ステップ)。この状態では、当接部32bがスプリング4の力によって押し出されるので、爪32aが支持端部222の先端から突出する。これにより、スタンド2は、図2に示す収納状態に保持される。
【0046】
図13の(C)の状態から、ユーザが連結部21に手を添えてスタンド2をさらに起こすと、爪32aは、図13の(A)~(C)の状態と同様に動作して、図15の(A)の状態のように、第3凹部122cに入り込んで係合する。これにより、図16に示すように、スタンド2は、第3凹部122cの位置で定まる2番目に大きい傾斜角度で傾斜した状態に保持される。
【0047】
また、図15の(A)の状態から、ユーザが連結部21に手を添えてスタンド2をさらに起こすと、爪32aは、図13の(A)~(C)の状態と同様に動作して、図17の(A)の状態のように、第4凹部122dに入り込んで係合する。これにより、図18に示すように、スタンド2は、第4凹部122dの位置で定まる最大の傾斜角度で傾斜した状態に保持される。
【0048】
図15の(A)の状態から、上述した解除ステップおよび回転ステップを行うことにより、図15の(B)の状態のように、爪32aが第3凹部122cから抜け出して、支持端部222の移動が自由になる。これにより、図13の(A)または(C)の状態に移行することができる。
【0049】
図17の(A)の状態から、上述した解除ステップおよび回転ステップを行うことにより、図17の(B)の状態のように、爪32aが第4凹部122dから抜け出して、支持端部222の移動が自由になる。これにより、図13の(A)の状態、図13の(C)の状態、または図15の(A)の状態に移行することができる。
【0050】
〈傾斜角度変更機構の組み立て〉
傾斜角度変更機構101の組立方法について説明する。
【0051】
図19は、スタンド2および操作レバー3の一部を示す平面図である。図20は、上記操作レバー3をスタンド2に嵌め込む前の状態のスタンド2および操作レバー3を図19に示すE-E線で切断した矢視断面図である。図21は、操作レバー3をスタンド2に嵌め込んだ状態のスタンド2および操作レバー3を図19に示すE-E線で切断した矢視断面図である。図22は、操作レバー3をスタンド2に組み込んだ状態のスタンド2および操作レバー3を図19に示すE-E線で切断した矢視断面図である。図23は、図22に示す状態から操作レバー3をスタンド2側に移動させた状態のスタンド2および操作レバー3を図19に示すE-E線で切断した矢視断面図である。
【0052】
まず、図19図21に示すように、操作レバー3のスライド部32をスタンド2の脚部22に嵌め込むとともに、突起31aを脚部22の案内溝22dに導入する(嵌め込みステップ)。この状態では、図21に示すように、操作レバー3の突起31aが案内溝22dの屈曲部に位置している。
【0053】
続いて、図22に示すように、爪32aを押し込んで、操作レバー3の当接部32bを係止部22gに係止させるとともに、突起31aを案内溝22dにおけるスライド部32が脚部22にスライド可能に保持される位置に移動させる(保持ステップ)。これにより、操作レバー3がスタンド2に組み付けられる。この状態では、突起31aが案内溝22dのスライド方向に沿った直線部分の中間位置にある。
【0054】
そして、スタンド2の支持端部222に設けられた支持軸22aを筐体1の支持孔13aに挿入する(挿入ステップ)。これにより、スタンド2が筐体1に回動可能に取り付けられる。取り付けにおいて、図3に示す状態から、操作レバー3を引いて爪32aが脚部22内に収まった状態で、さらに脚部22の支持端部222側を広げた状態で、支持軸22aを導入溝13b上で移動させて支持孔13aに嵌め入れる。このようにして、傾斜角度変更機構101の組み立てが完成する。
【0055】
さらに、上述した操作レバー3の操作時に、図11に示すように、操作レバー3の操作部31をスタンド2の連結部21に引き寄せると、図23に示すように、爪32aが脚部22内に退く。この状態では、突起31aが案内溝22dの直線部分における端部に達する。これにより、操作レバー3がそれ以上に連結部21側に進まないように動きを規制される。
【0056】
〈実施形態の効果〉
本実施形態に係る電子機器100は、筐体1と、傾斜角度変更機構101とを備えている。傾斜角度変更機構101は、スタンド2と、操作レバー3と、凹部122nと、スプリング4とを備えている。スタンド2は、回動端部221および支持端部222を有する一対の脚部22と、連結部21とを有し、筐体1を複数の角度のいずれか1つに傾斜させた状態で支持する。操作レバー3は、支持端部222側の一端に爪32aが設けられ、一対のスライド部32と、操作部31とを有する。凹部122nは、支持端部222が支持される支持孔13aの位置に近接して設けられ、爪32aが係合する複数の角度に対応して設けられている。スプリング4は、爪32aを脚部22の支持端部222から突出させるように、脚部22に対してスライド部32を押す力を与える。
【0057】
上記の構成によれば、スプリング4の力に抗して操作レバー3の操作部31をスタンド2の連結部21に近付ける操作をすることで、スライド部32が連結部21側に移動して、爪32aが凹部122nから離れる。この状態で、スタンド2を筐体1に対して回動させることで、爪32aが凹部122nに係合する位置を変更することができる。また、上記の操作をしないことで、スプリング4の力により、スライド部32が支持端部222側に移動して、爪32aが支持端部222から突出して凹部122nに係合する。
【0058】
このように、操作部31を係合の解除の操作および係合の操作に用いることで、上述した操作方法のように、操作をわかりやすくすることができる。これにより、簡単な操作でスタンドの傾斜角度を変更することができる。また、筐体1の傾斜角度を容易に変更することができる電子機器100を提供することができる。
【0059】
また、電子機器100において、操作レバー3の操作部31は、スタンド2の連結部21よりも支持端部222側に位置するように設けられている。
【0060】
上記の構成によれば、スタンド2側からスタンド2とともに操作レバー3を握ることで、操作部31を係合の解除の操作および係合の操作を行うことができる。それゆえ、操作を簡素化することができる。
【0061】
また、電子機器100において、スライド部32は、当接部32bを有している。当接部32bは、脚部22に設けられた係止部22gに係止される。
【0062】
上記の構成によれば、当接部32bが係止されるので、スプリング4による力が当接部32bに作用しても、当接部32bはその力に抗して動くことはない。これにより、所定の位置でスプリング4を保持することができる。また、スライド部32が脚部22から抜け出すことを防止できる。
【0063】
また、電子機器100において、操作レバー3の操作部31の両端には突起31aが設けられるとともに、スタンド2の脚部22が案内溝22dを有する。
【0064】
上記の構成によれば、突起31aがスライド部32のスライドに伴って、案内溝22d内を移動するとともに、案内溝22dに保持される。これにより、スライド部32が脚部22から抜け出すことを防止できる。
【0065】
傾斜角度変更機構101の操作方法は、上述した解除ステップと、回転ステップと、係合ステップとを含んでいる。
【0066】
上記の構成によれば、解除ステップでは、スライド部32が連結部21側に移動して、爪32aが凹部122nから離れ、回転ステップにより、スタンド2を所望の傾斜角度に傾斜させることができる。そして、係合ステップにおいて、スタンド2を傾斜させた状態で、スプリング4の力により爪32aを支持端部222から突出させて凹部122nに係合させることができる。これにより、上述したように、わかりやすい操作で簡単に筐体1の傾斜角度を変更することができる。
【0067】
傾斜角度変更機構101の組立方法は、上述した嵌め込みステップと、保持ステップと、挿入ステップとを含んでいる。
【0068】
上記の構成によれば、嵌め込みステップおよび保持ステップの2つのステップにより、スタンド2を組み立てることができる。そして、挿入ステップにより、傾斜角度変更機構101の組み立てが完成する。それゆえ、特殊な工具や治具を用いることなく、傾斜角度変更機構101を簡単に組み立てることができる。
【0069】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 筐体(対象物)
2 スタンド
3 操作レバー
4 スプリング(バネ部材)
13a 支持孔
21 連結部(第1接続部)
22a 支持軸
22g 係止部
22 脚部
31 操作部(第2接続部)
31a 突起
32 スライド部
32a 爪
32b 当接部
4 スプリング(バネ部材)
100 電子機器
101 傾斜角度変更機構
122a 第1凹部(凹部)
122b 第2凹部(凹部)
122c 第3凹部(凹部)
122d 第4凹部(凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図19
図20
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図23