(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163807
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
B41M5/333 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079707
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】掛谷 颯太
(72)【発明者】
【氏名】松本 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 淳
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB02
2H026BB24
2H026BB39
2H026DD15
2H026DD18
2H026DD53
2H026FF01
(57)【要約】
【課題】感熱記録された画像部の耐光性及び耐酸性が従来よりも向上した感熱記録材料を提供する。
【解決手段】表面及び裏面を有する支持体と、前記支持体の少なくとも表面に対して染料前駆体及び顕色剤を含む感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記顕色剤が一般式(化1)で示される尿素系化合物の一種又は二種以上と、一般式(化3)で示されるN、N’-ジアリール尿素系化合物の一種又は二種以上とを含む感熱記録材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を有する支持体と、前記支持体の少なくとも表面に対して染料前駆体及び顕色剤を含む感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記顕色剤が下記一般式(化1)で示される尿素系化合物の一種又は二種以上と、下記一般式(化3)で示されるN、N’-ジアリール尿素系化合物の一種又は二種以上とを含む感熱記録材料。
【化1】
ここで、R
1は、下記一般式(化2)を表す。
【化2】
ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。
【化3】
ここで、R
3は、置換若しくは無置換の炭素数3以上12以下の分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上12以下のアリール基、ハロゲン原子で置換された炭素数7以上12以下のアラルキル基を表す。なお、複数存在するR
3は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(化3)において、複数ある置換基「-OSO
2-R
3」は、各々のベンゼン環中で同じ位置又は異なる位置である。
【請求項2】
前記一般式(化1)で示される化合物が、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を少なくとも含む請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記一般式(化3)で示される化合物が、N,N’-ジ[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を少なくとも含む請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記一般式(化1)で示される化合物が、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を少なくとも含み、かつ前記一般式(化3)で示される化合物が、N,N’-ジ[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を少なくとも含む請求項1に記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に画像部の耐光性及び耐酸性に優れた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は既に周知である。感熱記録材料は、一般に、支持体上に電子供与性の染料前駆体及び電子受容性の顕色剤を主成分とする感熱記録層を有する。そして、感熱記録材料は、サーマルヘッド、熱ペン及びレーザー光等を用いた加熱によって発色して画像を形成する。感熱記録材料は、計測記録計、ファクシミリ、金融機関のATMの利用明細書、コンピューター用印刷端末機、ラベル印刷機、乗車券発券機、POSシステム、チケット発券機及び携帯型端末機等に対する出力媒体用途に採用される。
【0003】
感熱記録材料の用途が多種多様に拡大した結果、感熱記録材料には、発色性のみならず従来よりも増して耐性が要求される傾向にある。耐性は、例えば、耐光性及び耐酸性である。この理由は、上記出力媒体用途の印字物が、照明下に放置される傾向、並びに食品が含む酸性物質だけでなく生活環境に存在するCOx、NOx及びSOxの影響によって酸性水が増える傾向にあるからである。
【0004】
耐性を有する感熱記録材料が公知である。例えば、耐油性に優れる感熱記録材料として、支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設け、前記感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、及びウレア化合物を含有する感熱記録体が公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、食酢などに対する耐酸性及び耐水性を改良した感熱記録材料として、支持体上に、フィラー、樹脂を主成分とするアンダーコート層、ロイコ染料と加熱時に該ロイコ染料を発色させる顕色剤を主成分とする感熱発色層、及びジアセトン変性ポリビニルアルコールと架橋剤を主成分とする保護層を有し、前記アンダーコート層中に樹脂としてジアセトン変性ポリビニルアルコールを含有し、かつ該感熱発色層中に架橋剤としてN-アミノポリアクリルアミドを含有する感熱記録材料が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6960562号公報
【特許文献2】特開2011-056894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の感熱記録材料は、感熱記録層及び保護層がん含む架橋剤の作用効果によって耐酸性等を達成する技術思想である。よって、特許文献2は、耐酸性に関する顕色剤を何ら開示しない。
本発明の目的は、感熱記録された画像部の耐光性及び耐酸性が従来よりも向上した感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、以下の発明に至った。
[1]表面及び裏面を有する支持体と、前記支持体の少なくとも表面に対して染料前駆体及び顕色剤を含む感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記顕色剤が下記一般式(化1)で示される尿素系化合物の一種又は二種以上と、下記一般式(化3)で示されるN、N’-ジアリール尿素系化合物の一種又は二種以上とを含む感熱記録材料。
【0008】
【化1】
ここで、R
1は、下記一般式(化2)を表す。
【0009】
【化2】
ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。
【0010】
【化3】
ここで、R
3は、置換若しくは無置換の炭素数3以上12以下の分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上12以下のアリール基、ハロゲン原子で置換された炭素数7以上12以下のアラルキル基を表す。なお、複数存在するR
3は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(化3)において、複数ある置換基「-OSO
2-R
3」は、各々のベンゼン環中で同じ位置又は異なる位置である。
【0011】
いくつかの実施態様において、本発明は以下である。
[2]上記一般式(化1)で示される化合物が、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を少なくとも含む上記[1]に記載の感熱記録材料。
【0012】
いくつかの実施態様において、本発明は以下である。
[3]上記一般式(化3)で示される化合物が、N,N’-ジ[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を少なくとも含む上記[1]に記載の感熱記録材料。
【0013】
いくつかの実施態様において、本発明は以下である。
[4]上記一般式(化1)で示される化合物が、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を少なくとも含み、かつ上記一般式(化3)で示される化合物が、N,N’-ジ[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を少なくとも含む上記[1]に記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感熱記録材料は、感熱記録された画像部の耐光性及び耐酸性が従来よりも向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の内容を更に具体的に説明する。
感熱記録材料は、表面及び裏面を有する支持体と、前記支持体の少なくとも表面に対して染料前駆体及び顕色剤を含む感熱記録層を有する。なおかつ、前記顕色剤が上記一般式(化1)で示される尿素系化合物の一種又は二種以上と、上記一般式(化3)で示されるN、N’-ジアリール尿素系化合物の一種又は二種以上とを含む。ここで、支持体の表面及び裏面とは、面を区別する便宜上の表現であり、具体的な違いに基づく支持体の表面及び裏面を意味しない。
【0016】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層中における顕色剤100質量部に対して染料前駆体が30質量部以上50質量部以下である。この理由は、感熱記録材料の地肌変色防止と熱に対する感度とがより良好に両立できるからである。
【0017】
上記染料前駆体は、通常状態では無色又は淡色であって、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル又はアミド等の部分骨格を有して、電子を供与して又は酸等のプロトンを受容して発色する性質を有する感熱記録分野で従来公知のものである。発色性が良好な感熱記録材料では、加熱によって顕色剤と染料前駆体とが反応することで染料前駆体が発色する。いくつかの実施態様において、染料前駆体は、感熱記録分野で従来公知のものから選ばれる一種又は二種以上である。
【0018】
いくつかの実施態様において、染料前駆体はロイコ染料である。これらの理由は、商業的に入手し易く及び種々存在するからである。ロイコ染料は、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物及びスピロ系化合物を挙げることができる。また、いくつかの実施態様において、染料前駆体は、ロイコ染料から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
ロイコ染料は、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1,2-ジメチルインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-フェニルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(9-エチルカルバゾール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(2-フェニルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、及び3-p-ジメチルアミノフェニル-3-(1-メチルピロール-2-イル)-6-ジメチルアミノフタリド等を、また4,4′-ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N-クロロフェニルロイコオーラミン、及びN-2,4,5-トリクロロフェニルロイコオーラミン等を、またローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB-p-クロロアニリノラクタム、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-フェニルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3,4-ジクロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-トリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-トリル)アミノ-6-メチル-7-フェネチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(4-ニトロアニリノ)フルオラン、3-(N-メチル-N-プロピル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、2-アニリノ-3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、及び2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン等を、またベンゾイルロイコメチレンブルー、及びp-ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等を、さらに3-メチルスピロジナフトピラン、3-エチルスピロジナフトピラン、3,3′-ジクロロスピロジナフトピラン、3-ベンジルスピロジナフトピラン、3-メチルナフト-(3-メトキシベンゾ)スピロピラン、及び3-プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、染料前駆体は、キサンテン系化合物中のフルオラン系化合物から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。少なくとも一つの実施態様において、染料前駆体は、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン及び3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランから選ばれる一種又は二種である。これらの理由は、発色性に優れるからである。
【0019】
上記顕色剤は、上記一般式(化1)で示される尿素系化合物と、上記一般式(化3)で示されるN、N’-ジアリール尿素系化合物とを含む、少なくともこれら二種の顕色剤の組み合わせである。
ここで、上記一般式(化1)中のR1は、上記一般式(化2)で示されるベンゼンスルホニルオキシ基を示す。そして、上記一般式(化2)中のR2は、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。また、上記一般式(化3)中のR3は、置換若しくは無置換の炭素数3以上12以下の分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上12以下のアリール基、ハロゲン原子で置換された炭素数7以上12以下のアラルキル基を表す。なお、複数存在するR3は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(化3)において、複数ある置換基「-OSO2-R3」は、各々のベンゼン環中で各々同じ位置関係又は異なる位置である。
【0020】
上記一般式(化1)で示される顕色剤は、例えば、N-3-(フェニルスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素、N-4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素、N-3-(t-ブチルフェニルスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素、及びN-3-(n-ヘキシルフェニルスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素等を挙げることができる。いくつかの実施態様において、一般式(化1)で示される顕色剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。少なくとも一つの実施態様において、一般式(化1)で示される顕色剤は、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素である。この理由は、感熱記録材料の耐光性が良化するからである。
【0021】
上記一般式(化3)中のR3は、例えば、以下を挙げることができる。
アルキル基では、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2-エチルへキシル基、及びラウリル基等を挙げることができる。
アリール基では、例えば、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、メシチレン基、p-エチルフェニル基、p-i-プロピルフェニル基、p-t-ブチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、p-エトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、メチル化ナフチル基等を挙げることができる。
アラルキル基では、例えば、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、p-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、m-エチルベンジル基、p-エチルベンジル基、p-i-プロピルベンジル基、p-t-ブチルベンジル基、p-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、o-メトキシベンジル基、m,p-ジ-メトキシベンジル基、p-エトキシ-m-メトキシベンジル基、p-クロロベンジル基等を挙げることができる。
【0022】
上記一般式(化3)で示される顕色剤は、例えば、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-4-メチル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-プロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-イソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-t-ブチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m,p-ジメトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-エトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-プロポキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-ブトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-クロロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[4-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(p-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(プロパンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、及びN-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-[3-(t-ブタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素等を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、一般式(化3)で示される顕色剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。少なくとも一つの実施態様において、一般式(化3)で示される顕色剤は、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素である。この理由は、感熱記録材料の耐酸性が良化するからである。
【0023】
いくつかの実施態様において、感熱記録層は、一般式(化1)及び一般式(化3)で示される顕色剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で感熱記録分野で従来公知の顕色剤を含むことができる。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録層は、感熱記録層が含む総顕色剤に対して一般式(化1)及び一般式(化3)で示される顕色剤が80質量%以上100質量%以下である。この理由は、感熱記録材料の耐酸性が良化するからである。
【0024】
いくつかの実施態様において、感熱記録層中における一般式(化1)及び一般式(化3)で示される顕色剤の含有質量比が、一般式(化1):一般式(化3)=10:90~50:50である。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録層中における一般式(化1)及び一般式(化3)で示される顕色剤の含有質量比が、一般式(化1)の顕色剤がN-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素であり、かつ一般式(化3)の顕色剤がN,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素であって、なおかつ一般式(化1):一般式(化3)=10:90~50:50である。これらの理由は、感熱記録材料の耐光性及び耐酸性が良化するからである。
【0025】
感熱記録材料は、染料前駆体及び顕色剤等の各成分を水に対して分散又は溶解した感熱記録層用塗工液を支持体の表面に対して塗工及び乾燥して得ることができる。感熱記録層は、単層又は多層のいずれでも構わない。なお、水の概念は蒸留水及びイオン交換水を含む。
塗工は、塗工紙分野で従来公知の塗工装置又は印刷装置を用いる方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、フィルムプレスコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター及びフィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。印刷装置の例としては、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア及びスクリーンなどの各種印刷機を挙げることができる。
乾燥は、塗工紙分野で従来公知の乾燥装置を用いる方法を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、及びマイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
また、感熱記録層には、感熱記録層の平滑性を改良するために、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー及びブラッシング等の装置を適用することができる。
いくつかの実施態様において、感熱記録層の固形分塗工量は、支持体の表面に対して2g/m2以上15g/m2以下である。この理由は、耐光性及び耐酸性が良化、又は生産性が良化するからである。
【0026】
感熱記録層は、染料前駆体及び顕色剤以外に必要に応じて感熱記録分野で従来公知の、分散剤、バインダー、増感剤、滑剤、保存性向上剤及び顔料等から成る添加剤群から選ばれる一種又は二種以上を含有することができる。いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層に染料前駆体及び顕色剤に加えて分散剤、バインダー及び顔料を含有する。この理由は、感熱記録材料の製造が安定するからである。また、いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層に染料前駆体及び顕色剤に加えて増感剤を含有する。この理由は、感熱記録材料の熱に対する感度が良化するからである。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層に染料前駆体及び顕色剤に加えて分散剤、バインダー、顔料及び増感剤を含有する。
【0027】
上記分散剤は、感熱記録分野で従来公知のものである。
分散剤は、例えば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、リン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール及びエポキシ変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその変性体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン及びカゼイン等のプロテイン、キトサンの酸中和物、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ジイソブチレン無水マレイン酸共重合体、スチレンイソブチレン無水マレイン酸共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、スチレンアクリル酸共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸類、、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルスルホン酸等の水溶性高分子化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩及び脂肪酸金属塩等のアニオン系低分子界面活性剤、並びにアセチレングリコール等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。いくつかの実施態様において、分散剤は、上記から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0028】
上記バインダーは、感熱記録分野で従来公知のものである。
バインダーは、例えば、澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドアクリル酸エステル共重合体、アクリルアミドアクリル酸エステルメタクリル酸共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、スチレンマレイン酸共重合体、エチレンマレイン酸共重合体及びイソブチレンマレイン酸共重合体等の水溶性バインダー、並びにスチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリル酸メチルブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルアクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレンアクリル酸エステル共重合体及びポリウレタン等の水分散性バインダーを挙げることができる。いくつかの実施態様において、バインダーは、上記から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0029】
上記顔料は、感熱記録分野で従来公知のものである。
顔料は、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛及び非晶質ケイ酸カルシウム等の無機顔料、並びに各種樹脂粒子等の有機顔料を挙げることができる。いくつかの実施態様において、顔料は、上記から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0030】
上記増感剤は、感熱記録分野で従来公知のものである。
増感剤は、例えば、パルミチン酸モノアミド、ステアリン酸モノアミドなどの脂肪酸モノアミド類、ジフェニルスルホン、N-ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N-ステアリル尿素、ベンジル-2-ナフチルエーテル、p-トルエンスルホンアミド、m-ターフェニル、4-ベンジルビフェニル、2,2′-ビス(4-メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α,α′-ジフェノキシ-o-キシレン、ビス(4-メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ビス(4-メチルベンジル)エステル、蓚酸ビス(4-クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4-アリルオキシフェニル)スルホン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、4-アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類等を挙げることができる。いくつかの実施態様において、増感剤は、上記から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0031】
また、感熱記録層は、染料前駆体及び顕色剤以外に必要に応じて感熱記録分野で従来公知の、画像の保存性を向上するためにヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体及びベンゾトリアゾール誘導体、並びに耐スティッキング性を向上するためにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン及びカスターワックス等のワックス類、並びに耐水性を向上するために硬膜剤及び架橋剤、さらに界面活性剤、蛍光染料、着色染料、並びにブルーイング剤等から成る助剤群から選ばれる一種又は二種以上を含有することができる。
【0032】
上記支持体は、透明支持体、半透明支持体及び不透明支持体のいずれであってもよく、特に限定されない。支持体は、例えば、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙等、並びにこれらを組み合わせた複合シートを挙げることができる。いくつかの実施態様において、環境問題の観点から、支持体は紙である。
【0033】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、支持体と感熱記録層との間に感熱記録分野で従来公知のアンダーコート層を有する。この理由は、支持体と感熱記録層との接着性及び/又は感熱記録材料の寸法安定性が良化するからである。アンダーコート層は、顔料及びバインダー、並びに界面活性剤、着色染料、蛍光染料、滑剤及び紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有することができる。
【0034】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、支持体の裏面に対して塗工紙分野で従来公知のバックコート層を有する、又は水塗り処理を施す。この理由は、感熱記録材料のカール発生を抑制できるからである。バックコート層は、顔料及びバインダー、並びに界面活性剤、着色染料、蛍光染料、滑剤及び紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有することができる。
【0035】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録分野で従来公知の保護層を感熱記録層に対して有する。この理由は、感熱記録材料の耐傷性及び耐水性等を得ることができるからである。保護層は、顔料及びバインダー、並びに滑剤、硬化剤、架橋剤及び紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有することができる。
【0036】
感熱記録材料にアンダーコート層、バックコート層及び保護層を形成する方法は、塗工紙分野で従来公知の塗工装置又は印刷装置を用いる方法を挙げることができる。塗工装置は、例えば、フィルムプレスコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター及びフィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。印刷装置は、例えば、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア及びスクリーンなどの各種印刷機を挙げることができる。
【実施例0037】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工量は乾燥固形分量を示す。
【0038】
各実施例及び各比較例の感熱記録材料用紙支持体及び感熱記録材料を下記の手順によって作製した。
【0039】
<感熱記録材料用紙支持体>
紙料は下記の内容により調製した。
パルプ(CSF濾水度420mlのLBKP) 1000質量部
填料(軽質炭酸カルシウム) 100質量部
硫酸アルミニウム 10質量部
紙力剤(カチオン化澱粉) 10質量部
AKDサイズ剤 1質量部
【0040】
上記紙料を長網抄紙機を用いて抄造した。得た抄造紙をマシンカレンダー処理して坪量90g/m2の原紙を得た。得た原紙の両面に表面サイズ剤として澱粉を含有するサイズ液を用いてサイズプレス処理を行った。澱粉の付着量は片面あたり1g/m2とした。サイズプレス処理して得られた紙を感熱記録材料用の支持体とした。
【0041】
<アンダーコート層用塗工液>
水に対して下記材料を配合してアンダーコート層用塗工液とした。
顔料(焼成カオリン) 1000質量部
分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム) 1質量部
分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 1質量部
バインダー(スチレンブタジエン共重合体) 120質量部
バインダー(尿素変性リン酸エステル化デンプン) 60質量部
【0042】
<アンダーコート層>
アンダーコート層用塗工液を、支持体の表面に対して塗工量9g/m2となるように塗工及び乾燥して、支持体の表面にアンダーコート層を設けた。
【0043】
<染料前駆体の分散液>
水を媒体に以下の配合により混合し、ビーズミルで体積平均粒子径が0.7μmになるまで湿式粉砕して、濃度30質量%の分散液を得た。
染料前駆体 種類は表1に記載/40質量部
分散剤(完全ケン化ポリビニルアルコール) 10質量部
アセチレングリコール系界面活性剤 0.2質量部
ここで、表1に記載の染料前駆体Aには2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオランを、及び表1に記載の染料前駆体Bには3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランを、及び表1に記載の染料前駆体Cには3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランを用いた。
【0044】
<顕色剤及び増感剤の分散液>
水を媒体に以下の配合により分散及び溶解して混合し、顕色剤及び増感剤をビーズミルで体積平均粒子径が0.7μmになるまで湿式粉砕して、濃度30質量%の分散液を得た。
顕色剤 種類及び組合せは表1に記載/100質量部
増感剤(1,2-ジフェノキシエタン) 50質量部
増感剤(ステアリン酸モノアミド) 30質量部
分散剤(完全ケン化ポリビニルアルコール) 4質量部
分散剤(スチレンマレイン酸共重合体) 7質量部
ステアリン酸亜鉛 20質量部
界面活性剤(スルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム) 5質量部
パラフィン(パラフィンワックス) 10質量部
ここで、表1に記載の顕色剤AにはN-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を、表1に記載の顕色剤BにはN,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、表1に記載の顕色剤CにはN-3-(フェニルスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素を、表1に記載の顕色剤DにはN,N'-ジ-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素を、及び表1に記載の顕色剤Eには、従来公知の4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いた。表1に記載の顕色剤Fには、従来公知の4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホンを用いた。
【0045】
<顔料の分散液>
水を媒体に以下の配合により混合及び攪拌して、濃度15質量%の分散液を得た。
水酸化アルミニウム 80質量部
非晶質シリカ 20質量部
分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム) 0.4質量部
分散剤(ポリビニルアルコール) 35質量部
バインダー(ポリアクリル酸塩) 12質量部
【0046】
<感熱記録層用塗工液>
染料前駆体の分散液、顕色剤及び増感剤の分散液及び顔料の分散液を、最終的に染料前駆体と顕色剤と白色顔料とが下記質量部比になるように混合し及び分散した。
染料前駆体の質量部:顕色剤の質量部:白色顔料の質量部=40:100:80
【0047】
<感熱記録材料>
アンダーコート層を有する支持体の表面側に対して、上記感熱記録層用塗工液を塗工量が3g/m2になるようにエアーナイフコーターを用いて塗工及び乾燥機を用いて乾燥した。その後、カレンダー処理を行い、感熱記録材料を得た。
【0048】
<感熱記録>
各実施例及び各比較例の感熱記録材料について、印字テスト機〔大倉電機社、TH-PMD〕を用いて、0.00mJ/dotから0.58mJ/dotへと印加エネルギーを段階的に変化させて黒ベタで階調画像となる印字を行った。
【0049】
各実施例及び各比較例の感熱記録材料について耐光性及び耐酸性を評価した。評価結果は表1に示す。
【0050】
【0051】
<耐光性>
感熱記録材料の耐光性は、以下の方法で評価を行った。
印字した感熱記録材料に対して、キセノンアークウェザオメーター(アトラス社)を用いて、340nmにおける放射照度が0.39W/m2である光を、40℃、相対湿度55%の条件下で8時間、24時間及び144時間の3種時間で照射した。照射後、それぞれの感熱記録材料について、印加エネルギーが0.58mJ/dotである箇所の黒ベタ部の光学色濃度を反射濃度計(Videojet X-Rite K.K社、MACBETH(登録商標)RD-918)を用いて測定した。測定値から下記の基準で評価した。本発明において、感熱記録材料は、評価A及びBであれば従来よりも耐光性が向上したとなる。
A:8時間照射後の濃度が1.00以上、
かつ144時間照射後の濃度値が0.85以上1.00未満である。
B:8時間照射後の濃度が1.00以上、
かつ144時間照射後の濃度値が0.70以上0.85未満である。
C:8時間照射後の濃度が1.00未満、
及び/又は144時間照射後の濃度値が0.70未満である。
【0052】
<耐酸性>
感熱記録材料の耐酸性は、以下の方法で評価を行った。
印字した感熱記録材料を35℃及び濃度4質量%の酢酸水溶液中に24時間浸漬した。浸漬後、それぞれの感熱記録材料について、印加エネルギーが0.58mJ/dotである箇所の黒ベタ部の光学色濃度を反射濃度計(Videojet X-Rite K.K社、MACBETH RD-918)を用いて測定した。測定値から下記の基準で評価した。本発明において、感熱記録材料は、評価A、B及びCであれば従来よりも耐酸性が向上したとなる。
A:浸漬後の濃度が1.20以上。
B:浸漬後の濃度が1.10以上1.20未満。
C:浸漬後の濃度が1.00以上1.10未満。
D:浸漬後の濃度が1.00未満。
【0053】
表1の結果から、本発明に該当する実施例1~14は、耐光性及び耐酸性を従来よりも向上できた感熱記録材料であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~10は、耐光性及び/又は耐酸性を満足できないと分かる。
【0054】
主に、実施例7、13及び14の対比から、一般式(化1)で示される顕色剤は、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)尿素が好ましいと分かり、及び一般式(化3)で示される顕色剤は、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素が好ましいと分かる。