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特開2024-163813ブロー成形ボトル容器及び包装ボトル容器
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  • 特開-ブロー成形ボトル容器及び包装ボトル容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163813
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ブロー成形ボトル容器及び包装ボトル容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241115BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65D1/02 100
B65D1/02 221
C08L23/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079714
(22)【出願日】2023-05-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 知之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 淳司
(72)【発明者】
【氏名】菅原 秀尚
(72)【発明者】
【氏名】秋元 正之
【テーマコード(参考)】
3E033
4J002
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033CA03
3E033CA20
3E033DA03
3E033DD01
3E033DE01
3E033GA02
4J002BB031
4J002BB032
4J002BB033
4J002GB00
4J002GB01
4J002GC00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】薄肉でありながら、強度及び成形性を両立できるブロー成形ボトル容器を提供すること。
【解決手段】ブロー成形ボトル容器10は、樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した係数A(A=W/V2/3)が0.40以下であり、バイオ由来ポリエチレンP1、高密度ポリエチレンP2及び直鎖状低密度ポリエチレンP3を含む。ブロー成形ボトル容器10は、下記割合Bが20%以上50%以下であり、(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40である。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
ブロー成形ボトル容器は、容器容量V(mL)が1100mL以上であることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した係数A(A=W/V2/3)が0.40以下であり、
バイオ由来ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオ由来ポリエチレンの質量をP1、前記高密度ポリエチレンの質量をP2、及び前記直鎖状低密度ポリエチレンの質量をP3としたとき、
下記割合Bが20%以上50%以下であり、
(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40である、ブロー成形ボトル容器。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
【請求項2】
前記容器容量V(mL)が1100mL以上である、請求項1に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項3】
前記バイオ由来ポリエチレン及び前記高密度ポリエチレンが混合された混合ポリエチレンを含み、
前記混合ポリエチレンは、190℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが0.20g/10min以上0.50g/10min以下である、請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項4】
ノズル部、底部、胴部、並びに該胴部と該ノズル部間に位置する把持胴部を備えており、
前記把持胴部に、前記ブロー成形ボトル容器の高さ方向に延びる把持部形成用の貫通孔が形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項5】
請求項4に記載のブロー成形ボトル容器と、前記胴部の周囲の全周を被覆する被覆シートとを備えた、包装ボトル容器。
【請求項6】
前記被覆シートの下端が、前記底部の上縁よりも下方に位置している、請求項5に記載の包装ボトル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形ボトル容器及び包装ボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や洗剤等の液体は、ボトル容器等の容器に収容された状態で流通している。ボトル容器は、ブロー成形により形成されたものが一般的である。本出願人は、先に、密度、メルトフローレート及び引張り衝撃強度それぞれの値が特定範囲であるポリエチレン組成物を用いてブロー成形により製造された、薄肉中空成形容器を提案している(特許文献1)。
また近年、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂量の削減の観点から、薄肉化したボトル容器が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-253424号公報
【特許文献2】特開2018-034829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボトル容器を薄肉化した場合、ボトル容器の強度が低下することで、落下したときの衝撃に対する耐久性が低下する傾向にある。また製造時のボトル容器の成形性が低下することがある。特許文献1及び2の技術は、薄肉化されたボトル容器に関し、強度及び成形性を両立させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、薄肉でありながら、強度及び成形性を両立できる、ボトル容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ブロー成形ボトル容器に関する。
前記ブロー成形ボトル容器は、樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した係数A(A=W/V2/3)が好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.35以下である。
前記ブロー成形ボトル容器は、バイオ由来ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。
前記ブロー成形ボトル容器は、前記バイオ由来ポリエチレンの質量をP1、前記高密度ポリエチレンの質量をP2、及び前記直鎖状低密度ポリエチレンの質量をP3としたとき、下記割合Bが20%以上50%以下であることが好ましい。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
前記ブロー成形ボトル容器は、(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のボトル容器によれば、薄肉でありながら、強度及び成形性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る包装ボトル容器の一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、図2に示すブロー成形ボトル容器の底部近傍を示す断面図である。
図4図4は、図1に示すブロー成形ボトル容器の製造方法を説明するための概略図である。
図5図5は、図4に示す押出し機のダイ近傍と、該押出し機により形成されるパリソンとを示す鉛直方向に沿う断面図である。
図6図6(a)は図4に示すバリ付きボトル容器の上部を示す斜視図であり、図6(b)はバリとボトル容器との接続部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1図3には、本発明の包装ボトル容器1の一実施形態が示されている。本実施形態の包装ボトル容器1は、図1に示すように、液体を収容するブロー成形ボトル容器10と、該ブロー成形ボトル容器10のノズル部2に着脱可能に装着されるキャップ6と、該ブロー成形ボトル容器10の胴部3を被覆する被覆シート5とを備えている。
【0010】
本実施形態のボトル容器10又は包装ボトル容器1に収容される液体の種類は特に限定されない。当該液体としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の液体石鹸、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、液状の飲料、食品、医薬品、エンジンオイル等が挙げられる。また、クリーム等の粘度の高い液体であってもよい。液体は、ボトル容器10内部の収容空間Sに収容される。
【0011】
本実施形態のブロー成形ボトル容器10(以下、単に「ボトル容器10」ともいう。)は、図1に示すように、薄肉のボトル形状の容器であり、該容器の内容物である液体を吐出させるノズル部2、胴部3、並びに該胴部3と該ノズル部2間に位置する把持胴部4を備えている。このボトル容器10は、把持胴部4及び胴部3の内部に液体の収容空間Sを有している。この胴部3は底部32を有し、該底部32を水平面に接地させることで、ボトル容器10を自立させた自立状態にすることができる。自立状態においてボトル容器10の高さ方向Z(中心軸方向)は鉛直方向と一致し、ノズル部2が鉛直方向の上方に位置し且つ同方向において底部32と対向配置される。以下、特に断らない限り、図1図3に示す実施形態のボトル容器10及び包装ボトル容器1の説明は、自立状態におけるボトル容器10(包装ボトル容器1)の説明とする。
以下、包装ボトル容器1を単に「包装容器1」ともいう。
【0012】
ボトル容器10は、ブロー成形品であり、ノズル部2、把持胴部4、及び底部32を含む胴部3が一体成形されており、これら部分2、4、3が連続している。ボトル容器10は、把持胴部4及び胴部3の内部に液体の収容空間Sを有している。
本実施形態のボトル容器10は、ノズル部2と把持胴部4が高さ方向Zに隣接し、さらに把持胴部4と胴部3とが高さ方向Zに隣接している(図2参照)。胴部3は、円筒状の周壁部30を有し、高さ方向Z下方側の開口が底部32によって閉塞されている。本実施形態の底部32は、周壁部30よりも若干大きい外径を有している。本実施形態の胴部3は、筒状の周壁部30が後述する大径部48の下端周縁と連続している。
胴部3の周壁部30を、以下、「下方胴周壁部30」ともいう。
【0013】
把持胴部4は、高さ方向Z上方にノズル部2の内部と連通する上方開口45が上端部に形成されており、且つ該ボトル容器10を正面視したとき、上方開口45の周縁から水平方向に拡がりつつ下降する略円錐台状のドーム部46を有している(図2参照)。また把持胴部4は、ドーム部46の下方に位置する筒状の正面側中央胴部47と、該正面側中央胴部47の下方に位置し且つ正面側中央胴部47よりも外径が大きい大径部48とを有している(図1及び図2参照)。正面側中央胴部47は、上方のドーム部46と連続し、さらに下方の大径部48と連続している。これらドーム部46、正面側中央胴部47、及び大径部48は筒状の周壁部40によって形成されている。すなわちドーム部46、正面側中央胴部47及び大径部48の内部は連通している。
【0014】
本実施形態の把持胴部4は、ドーム部46及び正面側中央胴部47とは径方向の反対側に位置する把持部41を有している。把持部41は高さ方向Zに長い筒状形状を有し、その一端がドーム部46に連設され、他端が大径部48に連設されている。把持部41の内部は、ドーム部46及び大径部48それぞれの内部と連通している。これにより、把持胴部4は、ドーム部46、正面側中央胴部47、大径部48及び把持部41の各内部が、液体の収容空間Sとなっている。
【0015】
把持胴部4には、高さ方向Zに延びる把持部形成用の貫通孔(以下、「把持貫通孔42」ともいう。)が形成されており、ボトル容器10の側面視においてドーム部46及び正面側中央胴部47と把持部41との間に位置している。換言すると把持貫通孔42は、把持胴部4の一部が周方向に貫通した部分となっており、該把持貫通孔42と径方向外方に隣接する部分が、ボトル容器10を把持する際の取手として機能する把持部41となっている。把持貫通孔42は、ドーム部46及び正面側中央胴部47の背面と、把持部41の径方向内方の面と、大径部48の上面によって画成されている。
【0016】
本実施形態のノズル部2は、ドーム部46の天面から上方に突出する筒状の部分であり、該ノズル部2の内部がドーム部46の内部、すなわち把持胴部4の内部と上方開口45を介して連通している。ノズル部2は、正面側中央胴部47の内径よりも小さい外径を有している。本実施形態のノズル部2は、外周面に雄ネジ凸条22が形成されており、キャップ6の内周面に形成された雌ネジ凸条(図示せず)と螺合可能になされている。これにより、ノズル部2に着脱自在にキャップ6が取り付けられる。
キャップ6は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂や、ポリ乳酸等のバイオマス由来の樹脂を用いた金型成形品であり、好ましくは射出成形方法によって形成される。
【0017】
本実施形態の包装容器1は、ボトル容器10の胴部3の周囲を被覆する被覆シート5を備えている(図1及び図2参照)。この被覆シート5は、胴部3の全周を被覆している。斯かる構成により、薄肉の下方胴周壁部30を保護し、包装容器1の突き刺し強度をより向上することができる。突き刺し強度は、包装容器1に鋭利な障害物が突き刺された場合の該突き刺しに対する破断強度、すなわち突き刺しに対する耐性の度合いである。
被覆シート5には、公知の各種ラベルを用いることができる。ラベルとしては、合成樹脂製のフィルムを用いたものが挙げられ、タックラベル、巻きラベル(ラップラウンドラベル)、シュリンクラベル、ストレッチラベル等が挙げられる。突き刺し強度をより向上させる観点から、被覆シート5には、シュリンクラベルを用いることが好ましい。またラベルの形成材料は、延伸ポリスチレン(OPS)、延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。
包装容器1の突き刺し強度をより向上させる観点から、被覆シート5の厚みは、好ましくは30μm以上70μm以下、より好ましくは40μm以上60μm以下である。
【0018】
本実施形態の包装容器1は、被覆シート5の下端5eが、底部32の上縁32eよりも下方に位置している(図3参照)。これにより、底部32を含む包装容器1の下方部分を被覆シート5によって保護することができ、落下等の衝撃に対する耐性をより向上させることができる。上記の効果をより確実に奏させる観点から、被覆シート5の下端5eの位置は、底部32の上縁32eよりも15mm以上下方に位置することが好ましく、該被覆シート5の下端5eが底部32の接地面まで延在していてもよい。
上記と同様の観点から、被覆シート5の下端5eが、底部32の上縁32eよりも下方に位置している場合、高さ方向Zにおける被覆シート5の下端5eと底部32の上縁32eとの間の距離L5(図3参照)は、好ましくは15mm以上20mm以下、より好ましくは18mm以上20mm以下である。
底部32は、下方胴周壁部30よりも剛性が大きい部分であるので、下方胴周壁部30よりも下方に位置し且つ下方胴周壁部30よりも剛性が大きくなる部分の上縁を底部32の上縁32eとする。
【0019】
本実施形態のボトル容器10は、上述したように薄肉であり、樹脂の使用量を低減した容器である。斯かるボトル容器10は、係数A(A=W/V2/3)が0.40以下であり、好ましくは0.35以下である。係数A(A=W/V2/3)は、樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した値であり、当該値が低いほど、容器容量(mL)当たり樹脂量の使用量が少ない。
ボトル容器10の樹脂量Wは、ボトル容器10を形成する樹脂の量(g)であり、ノズル部2、把持胴部4、及び底部32を含む胴部3を形成する樹脂の合計量(g)である。
ボトル容器10の容器容量Vは、ボトル容器10の満容量である。ボトル容器10の容器容量Vは、ノズル部2の容量も含むが、主に把持胴部4及び胴部3の容量(収容容積)に占められる。
ボトル容器10の各部(ノズル部2、把持胴部4、及び胴部3)についても、係数A、樹脂量及び容量それぞれを求めることができる。
【0020】
樹脂の使用量の低減とボトル容器10の強度とをより両立させる観点から、ボトル容器10は、係数A(A=W/V2/3)が好ましくは0.20以上0.40以下、より好ましくは0.20以下0.35以下、さらに好ましくは0.20以上0.34以下、さらに一層好ましくは0.20以上0.30以下である。
係数Aは、以下の方法により測定される。
【0021】
〔係数Aの測定〕
空のボトル容器10を測定対象とし、空のボトル容器10の質量(g)を測定して、これをボトル容器10の樹脂量W(g)とする。次いで、ノズル部2を含むボトル容器10が満容量となるまで、該ボトル容器10に水を注入し、満容量となったボトル容器10の質量W1(g)を測定する。この質量W1から樹脂量Wを減算して満容量(mL)を求め、これを容器容量Vとする。
ボトル容器10の各部(ノズル部2、把持胴部4、胴部3)の係数Aを求める場合は、ボトル容器10を各部(ノズル部2、把持胴部4、胴部3)に分割し、当該各部の質量(g)を測定して、これを各部の樹脂量W(ノズル部2の樹脂量W2、把持胴部4の樹脂量W4、胴部3の樹脂量W3)(g)とする。次いで、三次元スキャナー等を用いて、各部(ノズル部2、把持胴部4、胴部3)の3Dモデルを作成し、3Dモデルから各部の満容量(mL)を算出して、これを各部の容量V(ノズル部2の容量V2、把持胴部4の容量V4、胴部3の容量V3)とする。3Dモデルからの満容量(mL)の算出は、三次元CADソフト(ソリッドワークス)を用いて実行することができる。
【0022】
本実施形態のボトル容器10は、ノズル部2、把持胴部4、及び胴部3それぞれの係数Aが異なっている。
樹脂の使用量の低減とボトル容器10の強度とをより両立させる観点から、ボトル容器10の各部の係数Aは、以下の範囲内であることが好ましい。
ノズル部2の係数Aは、好ましくは0.44以上0.54以下、より好ましくは0.50以上0.54以下である。
把持胴部4の係数Aは、好ましくは0.25以上0.35以下、より好ましくは0.26以上0.35以下である。
胴部3の係数Aは、好ましくは0.09以上0.15以下、より好ましくは0.10以上0.15以下である。
【0023】
本実施形態のボトル容器10は、ノズル部2、把持胴部4、底部32、及び下方胴周壁部30それぞれの樹脂量(g)が異なっている。
樹脂の使用量の低減とボトル容器10の強度とをより両立させる観点から、ボトル容器10の各部の樹脂量(g)は、以下の範囲内であることが好ましい。
ノズル部2の樹脂量W2は、好ましくは4.0g以上4.9g以下、より好ましくは4.5g以上4.9g以下である。
把持胴部4の樹脂量W4は、好ましくは14.5g以上18.0g以下、より好ましくは16.0g以上18.0g以下である。
下方胴周壁部30の樹脂量は、好ましくは9.0g以上12.0g以下、より好ましくは9.5g以上12.0g以下である。
底部32の樹脂量は、好ましくは0.20g以上0.30g以下、より好ましくは0.25g以上0.30以下である。
【0024】
ボトル容器10は、バイオ由来ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを、形成材料として含んでいる。バイオ由来ポリエチレン(以下、「bio PE」と示す。)は、植物等のバイオマス由来のポリエチレンである。斯かるポリエチレンとしては、バイオマス由来であることを前提として、例えば高密度ポリエチレン(bio HDPE)、中密度ポリエチレン(bio-MDPE)、低密度ポリエチレン(bio-LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(bio-LLDPE)、超低密度ポリエチレン(bio-ULDPE)等の各種バイオ由来ポリエチレンが挙げられる。
後述するバリの除去性をより向上させる観点から、ボトル容器10は、bio PEとしてbio HDPEを含むことが好ましい。
【0025】
またボトル容器10に含まれる高密度ポリエチレン(HDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、石油や石炭等の化石資源に由来する非バイオマス由来(non-bio)のものである。
また、日本ポリエチレン株式会社製のHB330EBPのように、bio HDPEとnon-bio HDPEとが予め混合された混合HDPEが流通されている。ボトル容器10に用いられるbio PE及びnon-bio HDPEとして、斯かる混合HDPEを用いてもよい。
【0026】
ボトル容器10の強度をより向上させる観点から、bio PE及びnon-bio HDPEが混合された混合ポリエチレン(混合PE)は、190℃における2.16kg荷重下のメルトフローレート(以下、単に「MFR」ともいう。)が好ましくは0.20g/10min以上0.50g/10min以下、より好ましくは0.30g/10min以上0.40g/10min以下である。
MFRは、JIS K7210に従い、190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。測定に使用するダイスの孔の直径は2.095mmであり、孔の長さは8.000mmとする。
【0027】
ボトル容器10の形成材料は、バイオ由来ポリエチレン(bio PE)、高密度ポリエチレン(non-bio HDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(non-bio LLDPE)を主体とする。ボトル容器10はこれら樹脂からなるものであってもよいが、bio PE、non-bio HDPE及びnon-bio LLDPE以外のその他の樹脂を含有していてもよい。
その他の樹脂としては、非バイオマス由来の低密度ポリエチレン(LDPE)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。その他の樹脂を含有する場合、ボトル容器10におけるその他の樹脂の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。後述するバリ切れ性及び落下等の衝撃に対する耐性をより向上させる観点から、ボトル容器10が含有する樹脂は、bio PE、non-bio HDPE及びnon-bio LLDPEであることが好ましい。
またボトル容器10は、樹脂以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分は、着色材、蛍光材、酸化防止剤等が挙げられる。上記と同様の観点から、ボトル容器10における他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
【0028】
後述するようにボトル容器10は、bio PE、non-bio HDPE及びnon-bio LLDPEを含む混合樹脂を用いて形成される。ボトル容器10を構成する混合樹脂のMFRは、好ましくは0.60g/10min以上0.75g/10min以下、より好ましくは0.65g/10min以上0.70g/10min以下である。
前記混合樹脂のMFRは、JIS K6922-2に従い、測定される。
【0029】
後述するバリ切れ性及びボトル容器10の落下強度をより両立させる観点から、ボトル容器10を構成する混合樹脂の引張衝撃強度は、好ましくは180kJ/m以上260kJ/m以下、より好ましくは190kJ/m以上240kJ/m以下である。
前記の混合樹脂の引張衝撃強度(kJ/m)は、該混合樹脂を用いて作製したJIS K7160 1形試験片について、JIS K7160に準拠して23℃、50%RHの条件で測定することができる。
【0030】
ボトル容器10は、bio PEの質量をP1及びnon-bio HDPEの質量をP2としたとき、下記割合Bが20%以上50%以下であり、好ましくは25%以上45%以下、より好ましくは30%以上40%以下である。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
特にbio PEがbio HDPEである場合、バイオマス由来(bio)と非バイオマス由来(non-bio)とのHDPEの割合Bが上記の範囲であると、ボトル容器10の成形性をより向上することができる。
【0031】
ボトル容器10は、bio PEの質量をP1、non-bio HDPEの質量をP2、及びnon-bio LLDPEの質量をP3としたとき、(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40であり、好ましくは41:59~59:41、より好ましくは45:55~55:45である。斯かる範囲であると、ボトル容器10の落下強度をより向上することができる。
【0032】
本実施形態のボトル容器10は、係数Aが前述の範囲内であるので、該ボトル容器10の容量に対する樹脂の使用量の割合が従来のボトル容器よりも小さい。すなわち本実施形態のボトル容器10は、容量に対する樹脂量が低減された薄肉の容器である。なお従来のボトル容器は、係数Aが0.55程度である。
薄肉の容器をブロー成形で製造する場合、厚みが薄いことによって変形又は破断が生じ易くなるとともに、成形性の制御が困難となる傾向にある。例えば、後述するパリソンを形成する際、ダイから押し出されたパリソンにドローダウンが生じると、薄肉の厚み制御が不安定となって、成形性が低下する。また一対の金型でパリソンを型締めする際、金型どうし間の隙間に樹脂が侵入することで、ボトル容器の周囲にバリが形成されることがある。このバリを除去する際に容器が薄肉であると、バリの一部がボトル容器側に残存し易い。バリの残存を抑制するため、バリを容器から切り離す切断力を大きくすると、容器が変形し易い。
本発明者らは、ボトル容器10の係数Aを0.40以下とした上で、前記割合B及び前記比率Cそれぞれを前述の範囲内にすることで、薄肉でありながら、耐ドローダウン性及びバリの除去性に優れることを知見した。
また薄肉であるほど、容器自体の強度が低下して、落下等の衝撃に対する耐性が低下する傾向にあるが、前記割合B及び前記比率Cそれぞれを前述の範囲内とすることで、落下等の衝撃に対しても優れた耐性を有することを知見した。斯かる効果は、後述する実施例の結果にも示されている。
このように本実施形態のボトル容器10は、薄肉でありながら、強度及び成形性を両立することができる。
【0033】
ボトル容器10が収容し得る液体の容量、すなわち容器容量Vは特に限定されないが、1100mL以上の大容量であることが好ましい。
ボトル容器10を大容量化する観点から、ボトル容器10の容器容量Vは、好ましくは1100mL以上2500mL未満、より好ましくは1200mL以上2000mL以下である。
上記と同様の観点から、把持胴部4及び胴部3の合計容量は、好ましくは1100mL以上2500mL未満、より好ましくは1200mL以上2000mL以下である。
【0034】
ボトル容器10は、少なくとも把持胴部4の周壁部40及び下方胴周壁部30が薄肉となっており、これにより樹脂の使用量を低減している。斯かる効果をより確実に奏させる観点から、把持胴部4の周壁部40の厚みは、好ましくは0.15mm以上1.50mm以下、より好ましくは0.25mm以上1.00mm以下である。把持胴部4の周壁部40の厚みは、該周壁部40における最小厚みである。
また下方胴周壁部30の厚みは、好ましくは0.10mm以上0.40mm以下、より好ましくは0.15mm以上0.35mm以下である。下方胴周壁部30の厚みは、該周壁部30における最小厚みである。
ボトル容器10が落下した時の衝撃に対する耐性をより確実に得る観点から、底部32の厚みは、下方胴周壁部30の厚みよりも大きくなっている。斯かる底部32の厚みは、好ましくは0.20mm以上2.00mm以下、より好ましくは0.25mm以上2.00mm以下である。
【0035】
またノズル部2の強度をより確実に確保する観点から、ノズル部2の厚みは、好ましくは0.50mm以上1.50mm以下、より好ましくは0.60mm以上1.20mm以下である。ノズル部2の厚みは、該ノズル部2における最小厚みである。
【0036】
次に、本発明のブロー成形ボトル容器の製造方法について、上述した実施形態のボトル容器10の製造方法を例に説明する。
本実施形態の製造方法に用いられる製造装置100の概略図を図4に示す。図4に示す製造装置100は、パリソン成形工程を行うパリソン成形装置70と、容器成形工程を行うボトル容器成形装置80とを備えている。また製造装置100は、さらにバリを打ち抜きで除去するパンチング機を備えている(図示せず)。パンチング機は、ブロー成形品の製造分野における公知のものを用いることができる。
【0037】
本実施形態のパリソン成形装置70は、混合樹脂10aを供給するホッパー72と、混合樹脂10aを溶融して溶融樹脂10bにする溶融機74と、溶融樹脂10bを筒状に押し出す押出し機75とを備えている(図4参照)。この溶融機74は、円筒状の溶融機本体74bと、該溶融機本体74bの外周面を囲って設けられたヒーター73と、該溶融機本体74b内部に設けられたスクリュー74aとを備えている。このヒーター73の熱によって混合樹脂10aを溶融することで、溶融樹脂10bが得られる。溶融樹脂10bは、スクリュー74aによって搬送され、押出し機75に供給される。
【0038】
本実施形態の押出し機75は、溶融樹脂10bの搬送流路を内部に有し且つ一方の端部に溶融樹脂10bの吐出開口を有する筒状の押出し本体部76と、該吐出開口に隣接して設けられたダイ78と、ダイ78の内部に設けられたコア79と、該押出し本体部76内に設けられ且つ該コア79を昇降させる上下軸77とを備えている。本実施形態の押出し本体部76は、その長手方向を鉛直方向に一致させて配置されており、吐出開口が下方に向いている。押出し本体部76の内部は、吐出開口を介してダイ78の内部と連通している。ダイ78の内部には、鉛直方向に沿う断面が略台形形状のコア79が設けられており、該コア79に接続する上下軸77の昇降に伴い、該コア79も昇降する。コア79は、ダイ78の内部、すなわちダイ78が有する開口に入り込んだ状態で設けられており、パリソン10cを吐出する側に向かって拡径した部分を有している(図5参照)。上下軸77は、押出し本体部76の吐出開口側の端部に、コア79と接続する接続部77aを有している。接続部77aは、コア79の基端部と同じ外径を有している。基端部は、パリソン10cを押出し(吐出)する側とは反対側の端部である。
【0039】
ダイ78は、コア79との間に隙間を有し、吐出開口を通過してダイ78の内部に供給された溶融樹脂10bが該隙間を通過するようになされている。
本実施形態のダイ78は、鉛直方向Z1において開口面積が異なっており、パリソン10cを吐出する側に向かうにつれ開口面積が拡径した部分を有している(図5参照)。また本実施形態のコア79も、パリソン10cを吐出する側に向かうにつれ水平方向に沿う断面面積が拡径した部分を有している(図5参照)。斯かるダイ78に対して、コア79が上下軸77によって昇降することで、ダイ78の内周面とコア79の外周面との隙間を調整することができる。これにより、ボトル容器10の高さ方向Zの各部(底部32、下方胴周壁部30、把持胴部4等)に応じて厚みを異ならせることができるとともに、ボトル容器10を薄肉化することができる。
【0040】
本実施形態のボトル容器成形装置80は、ボトル容器10の形状を有するキャビティ82を備えた一対の金型81,81と、空気を吹き込むブローノズル85とを備えている。一対の金型81,81は、移動機構を備えており(図示せず)、該移動機構によって、互いに近づく又は遠のく型開閉方向に移動可能になされている。また一対の金型81,81は移動機構によって、型開閉方向以外に、型締めをした状態で該型開閉方向に直交する水平方向に移動可能になされている。ブローノズル85には、これに空気を供給する空気供給部(図示せず)が接続されている。
【0041】
本実施形態のボトル容器10の製造方法は、パリソンを形成するパリソン成形工程と、パリソンからボトル容器を形成する容器成形工程と、容器からバリを除去するバリ除去工程とを具備する(図4参照)。
パリソン成形工程は、ボトル容器10の形成材料である混合樹脂10aを溶融する溶融工程と、該溶融によって得られた溶融樹脂10bを筒状に押出成形して、筒状のパリソン10cを形成する押出成形工程とを具備する。混合樹脂10aは、前述したバイオ由来ポリエチレン(bio PE)、高密度ポリエチレン(non-bio HDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(non-bio LLDPE)の混合物であり、各樹脂が顆粒状又はペレット状となって均一に混合されている。溶融樹脂10bは該混合樹脂10aを溶融したものである。
【0042】
本実施形態の溶融工程は、ホッパー72から混合樹脂10aを溶融機74に供給し、該混合樹脂10aを溶融して溶融樹脂10bにする。溶融工程は、溶融機本体74b内に供給された混合樹脂10aを、ヒーター73によって加熱溶融しつつ、スクリュー74aによって混錬することで溶融樹脂10bを得、該溶融樹脂10bを押出し機75に供給する。
本実施形態の押出成形工程は、押出し機75に供給された溶融樹脂10bを、ダイ78とコア79との間から押し出して、筒状のパリソン10cを形成する。押出成形工程は、押出し本体部76内を通過した溶融樹脂10bが、吐出開口を介してダイ78とコア79との間の隙間を通過する。この溶融樹脂10bが通過する方向は、鉛直方向の下方に向かう方向と一致しており、ダイ78から筒状の溶融樹脂(パリソン10c)が下垂した状態で押し出される。これにより、パリソン10cが形成される。
【0043】
押出成形工程では、ダイ78とコア79との間の隙間を調整することによって、パリソン10cの厚みを調整する(図5参照)。より詳細には、コア79を下降させ、ダイ78とコア79との間の隙間を大きくすることで、パリソン10cの厚みを増大させる。またコア79を上昇させ、ダイ78とコア79との間の隙間を小さくすることで、パリソン10cの厚みを減少させる。
本実施形態のボトル容器10は、前述したように、底部32に比して下方胴周壁部30及び把持胴部4の周壁部40の厚みが小さい。このように厚みを部分的に変化させる観点から、押出成形工程では、パリソン10cの高さ方向における底部32に対応する部分をダイ78から吐出する際は、コア79を下降させ、ダイ78とコア79との間の隙間を大きくする。一方、パリソン10cの高さ方向における下方胴周壁部30及び把持胴部4の周壁部40に対応する部分をダイ78から吐出する際は、コア79を上昇させ、ダイ78とコア79との間の隙間を小さくする。
【0044】
ボトル容器10が薄肉であるほど、パリソン10cの肉厚を精度良く制御することが求められる。斯かる観点から、ダイ78から押出し(吐出)したパリソン10cは、その自重で垂れ下がるドローダウンが生じ難いことが好ましい。本発明者らは、ボトル容器10の形成材料(樹脂)について前記割合B及び前記比率Cそれぞれを前述の範囲内とすることにより、ドローダウンが生じ難くなることを知見した。そのため本実施形態のパリソン成形工程は、パリソン10cの成形性に優れる。
【0045】
容器成形工程は、一対の金型81,81に挟んだパリソン10cを一定の長さに切断する切断工程と、該パリソン10cを一対の金型81,81に型締めした状態で膨張させるブロー成形工程とを具備する。
本実施形態の切断工程は、ダイ78から押し出されたパリソン10cを一対の金型81,81間に挟み型締めすると同時に、カッター(図示せず)によってパリソン10cを切断することで、パリソン10cを一定の長さに切断する。パリソン10cの切断後、一対の金型81,81は、切断したパリソン10cごとブローノズル85に移動する。
【0046】
本実施形態のブロー成形工程は、一対の金型81,81に挟まれたパリソン10c内に、ブローノズル85を挿入する。この際、パリソン10cの切断された方の端の開口を一対のチャックを用いて広げ、該開口にブローノズル85を挿入してもよい。ブローノズル85が挿入された後、型締めされた金型81,81のパリソン10cに該ノズル85からエアーを吹き込み、パリソン10cを膨張させる。これにより、金型81のキャビティ82の形状に沿ってパリソン10cが成形されて、ボトル容器10が形成される。
ブロー成形工程では、ボトル容器10の成形とともに、一対の金型81,81間の隙間にパリソン10cの一部(樹脂)が侵入することで、ボトル容器10の周囲に薄片状のバリ19a,19cが形成される。例えば、金型81のキャビティ82の上縁部及び下縁部から高さ方向外方に延出するように、金型81どうし間の隙間にバリ19a,19cが形成される。本実施形態では、把持貫通孔42にもバリ19bが形成される。これらバリ19a,19b,19cが形成されたボトル容器10pを、以下、「バリ付きボトル容器10p」ともいう(図4参照)。容器成形工程後、バリ付きボトル容器10pは金型81,81ごと冷却される。この冷却後、金型81,81からバリ付きボトル容器10pを取り出し、該ボトル容器10pをバリ除去工程に供する。
【0047】
バリ除去工程は、バリ付きボトル容器10pに形成されたバリ19a,19b,19cを除去して、ボトル容器10を得る。
本実施形態のバリ除去工程は、パンチング機によってボトル容器10からバリ19a,19b,19cを打ち抜く。除去されたバリ19a,19b,19cは、粉砕されて、混合樹脂10aとして再利用されてもよい(図4参照)。
【0048】
バリ付きボトル容器10pにおけるバリは、例えば図6(a)に示すように、側面視におけるボトル容器10の上縁部分に沿って形成される。この上縁部分は、ボトル容器10の側面視における把持胴部4の上縁部とノズル部2の周縁部とを含む。バリ付きボトル容器10pでは、バリ19aに、ボトル容器10との接続部分であるバリ接続部18が形成される〔図6(b)参照〕。バリ接続部18は、ボトル容器10と連続する部分であり、バリ19aにおけるバリ接続部18以外の部分に比して厚みが薄くなっている部分である。
バリ除去工程は、バリ接続部18をパンチング機によって切断することで、ボトル容器10からバリ19aを除去する。これにより、ボトル容器10が得られる。
【0049】
本発明者らは、ボトル容器10が薄肉であるほど、バリ接続部18が湾曲し易くなり、バリを除去する際にバリ接続部18での切断が困難になることを知見した。これにより、ボトル容器10にバリ19a,19b,19cが残存し易くなる。
また本発明者らは、係数Aが0.35以下の薄肉であっても、前記割合B及び前記比率Cを上述した範囲内とすることで、バリ接続部18が直線状になり易くなって、バリ接続部18での切断が容易になることを知見した。本実施形態のバリ付きボトル容器10pは、バリ接続部18が直線状になり易く〔図6(b)参照〕、該バリ接続部18での切断が容易である。すなわち本実施形態のバリ付きボトル容器10pは、バリ19a,19b,19cを除去し易いので、成形性に優れる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態のボトル容器10は、把持胴部4を具備していたが、把持胴部4を有さないものであってもよい。この場合、ボトル容器のノズル部2と底部32との間は、筒状の周壁部30によって形成される。
また、キャップ6は、嵌合によってノズル部2に着脱自在に装着されるものであってもよい。
また、ノズル部2に装着されるキャップ6は、液体を計量し得る計量キャップであってもよい。計量キャップは、例えば、内部に内容物(液体)を注入し、貯留することができる筒部を備え、該筒部の外周面又は内周面に目盛り等が表示されたものが挙げられる。
【実施例0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0052】
〔実施例1〕
図4に示す製造装置100によって、図1に示すボトル容器10を製造した。ボトル容器10の形成材料に、bio HDPEを35%及びnon-bio HDPEを65%含有した混合HDPE(日本ポリエチレン株式会社製、HB330EBP、MFR0.35)とnon-bio LLDPE(日本ポリエチレン株式会社製、NF324A、MFR1.11)とを均一混合した混合樹脂を用いた。この混合樹脂における各樹脂の含有割合を下記表1に示す。下記表1では、混合HDPEに含まれるnon-bio HDPEを「non-bio HDPE1」と示す。
実施例1では、前述した製造方法によってボトル容器10を製造した。より詳細には、パリソン成形工程によって、前記の混合樹脂を溶融した溶融樹脂からパリソン10cを製造した後、容器成形工程によって、該パリソン10cからバリ付きボトル容器10pを製造した。また、バリ除去工程によってバリ付きボトル容器10pからバリ19a,19b,19cを除去し、ボトル容器10を得た。このボトル容器10は、容器容量Vが1453mLであり、係数Aが0.29であり、把持胴部の周壁部の厚みが0.35mmであり、下方胴周壁部の厚みが0.20mmであった。
【0053】
〔実施例2及び3、比較例1~4〕
混合樹脂における各樹脂の含有割合を下記表1に示すとおりに変更した点以外は、実施例1と同様の方法によって、ボトル容器10を製造した。各実施例及び比較例のボトル容器の諸元を下記表1に示す。
比較例4では、前記の混合HDPEに代えて、別のnon-bio HDPE(日本ポリエチレン株式会社製、HB331RE、MFR0.39)を用いた。下記表1では、別のnon-bio HDPEを「non-bio HDPE2」と示す。
また実施例2、比較例1及び比較例4の引張衝撃強度を前述の方法により測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0054】
各実施例及び各比較例について、パリソン成形工程におけるパリソンの耐ドローダウン性、バリ除去工程におけるバリ除去性、及びボトル容器10についての落下強度を以下の方法により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0055】
〔耐ドローダウン性〕
ダイ78から250mmのパリソンを押出し、該ダイ78から下垂させた状態で10秒静置した。次いで、パリソンの全長を測定し、押出し直後の初期長L250mmに対する10秒経過後のパリソンの全長L(L/L)を算出して、下記の基準で耐ドローダウン性を評価した。なお、耐ドローダウン性の評価がCのパリソンは、ドローダウンが過度となり、ボトル容器の成形が不可能であった。
A:L/Lが1.25未満である。
B:L/Lが1.26以上1.35以下である。
C:L/Lが1.35超である。
【0056】
〔バリ除去性〕
バリ付きボトル容器10pからバリ19a,19b,19cを除去し、得られたボトル容器10を目視で確認して、下記の基準でバリ除去性を評価した。
A:ボトル容器にバリ接続部が残存せずに容易に除去された。
B:ボトル容器に1.0mm未満のバリ接続部が残存した。
C:ボトル容器に1.0mm以上のバリ接続部が残存した。
【0057】
〔落下強度〕
ボトル容器の高さ方向と鉛直方向とを一致させた状態で、該ボトル容器を100cmの高さから落下させた後、該ボトル容器の外観を目視で確認する操作を複数回繰り返し、下記の基準で落下強度を評価した。斯かる落下試験は、ボトル容器に水を1250mL充填した状態で行った。
A:10回落下させてもボトル容器に、亀裂等の損傷が確認されなかった。
B:10回以内の落下でボトル容器に、亀裂等の損傷が確認された。
C:1回の落下でボトル容器に、亀裂等の損傷が確認された。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果から明らかなように、実施例1~3は、耐ドローダウン性及びバリ除去性及び落下強度が少なくともB以上の結果となった。実施例1~3及び比較例1~2の対比から、比率C〔(P1+P2):P3〕を60:40~40:60とすることが、落下強度の向上に有効であることが示された。また実施例2の結果より、比率Cを50:50に近似させることが、耐ドローダウン性、バリ除去性及び落下強度の向上に有効であることが示された。
以上の結果から、本発明のボトル容器は、薄肉でありながら、強度及び成形性を両立できることが示された。
【符号の説明】
【0060】
1 包装ボトル容器(包装容器)
2 ノズル部
3 胴部
4 把持胴部
5 被覆シート
6 キャップ
10 ブロー成形ボトル容器
10a 混合樹脂
10b 溶融樹脂
10c パリソン
10p バリ付きボトル容器
18 バリ接続部
19a,19b,19c バリ
22 雄ネジ凸条
30 下方胴周壁部
40 周壁部
41 把持部
42 把持貫通孔
45 上方開口
46 ドーム部
47 正面側中央胴部
48 大径部
70 パリソン成形装置
72 ホッパー
73 ヒーター
74 溶融機
74a スクリュー
74b 溶融機本体
75 押出し機
76 押出し本体部
77 上下軸
77a 接続部
78 ダイ
79 コア
80 ボトル容器成形装置
81,81 金型
82 キャビティ
85 ブローノズル
100 製造装置
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した係数A(A=W/V2/3)が0.40以下であり、
バイオ由来ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオ由来ポリエチレンの質量をP1、前記高密度ポリエチレンの質量をP2、及び前記直鎖状低密度ポリエチレンの質量をP3としたとき、
下記割合Bが20%以上50%以下であり、
(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40である、ブロー成形ボトル容器。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
【請求項2】
前記容器容量V(mL)が1100mL以上である、請求項1に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項3】
前記バイオ由来ポリエチレン及び前記高密度ポリエチレンが混合された混合ポリエチレンを含み、
前記混合ポリエチレンは、190℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが0.20g/10min以上0.50g/10min以下である、請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項4】
ノズル部、底部、胴部、並びに該胴部と該ノズル部間に位置する把持胴部を備えており、
前記把持胴部に、前記ブロー成形ボトル容器の高さ方向に延びる把持部形成用の貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項5】
請求項4に記載のブロー成形ボトル容器と、前記胴部の周囲の全周を被覆する被覆シートとを備えた、包装ボトル容器。
【請求項6】
前記被覆シートの下端が、前記底部の上縁よりも下方に位置している、請求項5に記載の包装ボトル容器。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂量W(g)を容器容量V(mL)の2/3乗で除した係数A(A=W/V2/3)が0.20以上0.40以下であり、
バイオ由来ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオ由来ポリエチレンの質量をP1、前記高密度ポリエチレンの質量をP2、及び前記直鎖状低密度ポリエチレンの質量をP3としたとき、
下記割合Bが20%以上50%以下であり、
(P1+P2):P3の比率Cが40:60~60:40である、ブロー成形ボトル容器。
割合B(%)=[P1/(P1+P2)]×100
【請求項2】
前記容器容量V(mL)が1100mL以上である、請求項1に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項3】
前記バイオ由来ポリエチレン及び前記高密度ポリエチレンが混合された混合ポリエチレンを含み、
前記混合ポリエチレンは、190℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが0.20g/10min以上0.50g/10min以下である、請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項4】
ノズル部、底部、胴部、並びに該胴部と該ノズル部間に位置する把持胴部を備えており、
前記把持胴部に、前記ブロー成形ボトル容器の高さ方向に延びる把持部形成用の貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル容器。
【請求項5】
請求項4に記載のブロー成形ボトル容器と、前記胴部の周囲の全周を被覆する被覆シートとを備えた、包装ボトル容器。
【請求項6】
前記被覆シートの下端が、前記底部の上縁よりも下方に位置している、請求項5に記載の包装ボトル容器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
樹脂の使用量の低減とボトル容器10の強度とをより両立させる観点から、ボトル容器10は、係数A(A=W/V2/3)が好ましくは0.20以上0.40以下、より好ましくは0.20以上0.35以下、さらに好ましくは0.20以上0.34以下、さらに一層好ましくは0.20以上0.30以下である。
係数Aは、以下の方法により測定される。