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特開2024-163817ダイヤフラム及びこれを備えるダイヤフラムバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163817
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ダイヤフラム及びこれを備えるダイヤフラムバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16J 3/02 20060101AFI20241115BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F16J3/02 A
F16K7/12 A
F16J3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079722
(22)【出願日】2023-05-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】隈元 康太
【テーマコード(参考)】
3J045
【Fターム(参考)】
3J045AA05
3J045BA02
3J045BA03
3J045CA03
3J045DA00
(57)【要約】
【課題】ダイヤフラムの膜部の屈曲性を維持しつつ、膜部の耐摩耗性を向上させて、ダイヤフラムからのパーティクルの発生を抑制する。
【解決手段】ダイヤフラム15は、中央に設けられた弁機能部53と、弁機能部53から外方に延びる膜部55と、膜部55の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される外周縁部57とを含む。さらに、ダイヤフラム15は樹脂材料から形成されており、膜部55が、非架橋樹脂材料から形成される膜部非架橋樹脂部分と、非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有し、膜部架橋樹脂部分が膜部において外周縁部57と隣接する部分を構成し、膜部非架橋樹脂部分が膜部において膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部53に近い側の部分を構成するようになっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に設けられた弁機能部と、該弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の膜部と、該膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される外周縁部とを含み、前記弁機能部が前記膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されているダイヤフラムであって、
前記ダイヤフラムが樹脂材料から形成されており、前記膜部が、非架橋樹脂材料から形成される膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有し、前記膜部架橋樹脂部分が前記膜部において前記外周縁部と隣接する部分を構成し、前記膜部非架橋樹脂部分が前記膜部において前記膜部架橋樹脂部分よりも前記弁機能部に近い側の部分を構成することを特徴とするダイヤフラム。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの前記外周縁部の少なくとも一部が架橋樹脂材料から形成された外周縁部架橋樹脂部分によって構成されている、請求項1に記載のダイヤフラム。
【請求項3】
前記二つの部材の間をシールするための隆起したシール部が前記外周縁部に設けられており、前記シール部が前記外周縁部架橋樹脂部分によって構成されている、請求項2に記載のダイヤフラム。
【請求項4】
前記弁機能部が弁体部である、請求項1に記載のダイヤフラム。
【請求項5】
前記弁体部の底面部が架橋樹脂材料から形成された弁機能部架橋樹脂部分によって構成されている、請求項4に記載のダイヤフラム。
【請求項6】
前記膜部架橋樹脂部分は、前記移動軸線方向に前記ダイヤフラムを見たときに前記弁機能部の最大外周面よりも外側に設けられている、請求項5に記載のダイヤフラム。
【請求項7】
前記架橋樹脂材料は、前記非架橋樹脂材料に放射線を照射することによって形成される、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のダイヤフラム。
【請求項8】
第1の流路と第2の流路と前記第1の流路及び前記第2の流路が連通する弁室とが形成されたバルブ本体と、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のダイヤフラムと、該ダイヤフラムに力を付与するための力付与機構部とを備え、前記弁機能部が前記膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されていることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項9】
前記外周縁部が前記バルブ本体と前記力付与機構部との間に挟持される、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項10】
前記外周縁部がダイヤフラム押さえを介して前記力付与機構部と前記バルブ本体との間に挟持されている、請求項9に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項11】
前記バルブ本体が第1のバルブ本体と第2のバルブ本体とを互いに接続することによって構成されており、前記補助ダイヤフラムの前記補助外周縁部が前記第1のバルブ本体と前記第2のバルブ本体との間に挟持されている、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ
【請求項12】
前記弁機能部が、前記第1の流路から前記弁室への開口の周囲に形成された環状の弁座部に接離する弁体部である、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項13】
前記弁室が、前記第1の流路が連通する第1の弁室と、前記第2の流路が連通する第2の弁室と、前記第1の弁室と前記第2の弁室とを連通させる連通路とを含み、前記連通路の一方の端部開口の周囲に環状の弁座部が形成されており、前記弁機能部が、前記弁座部に接離する弁体部である、または、前記弁座部に接離する弁体部と接続されている基台部である、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項14】
前記ダイヤフラムの前記膜部架橋樹脂部分を形成する前記架橋樹脂材料が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンであり、前記ダイヤフラムの前記膜部非架橋樹脂部分を形成する前記非架橋樹脂材料が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンである、請求項12に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項15】
前記弁座部が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された架橋樹脂部分によって構成されている、請求項14に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項16】
前記バルブ本体における前記弁座部以外の残余の部分が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された非架橋樹脂部分によって構成されている、請求項15に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項17】
前記ダイヤフラムの前記膜部架橋樹脂部分を形成する前記架橋樹脂材料が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンであり、前記ダイヤフラムの前記膜部非架橋樹脂部分を形成する前記非架橋樹脂材料が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンである、請求項13に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項18】
前記弁座部が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された架橋樹脂部分によって構成されている、請求項17に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項19】
前記バルブ本体における前記弁座部以外の残余の部分が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された非架橋樹脂部分によって構成されている、請求項18に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項20】
前記架橋樹脂材料は、前記非架橋樹脂材料に放射線を照射することによって形成される、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項21】
前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されており、前記補助弁機構部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接続され、前記力付与機構部が前記補助弁機能部を介して前記ダイヤフラムの前記弁機構部に力を付与するようになっている、請求項13に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項22】
前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成する、請求項21に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項23】
前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムと、該補助ダイヤフラムに力を付与するための補助力付与機構部とをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助弁機能部が前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持され、前記補助力付与機構部によって力を付与される、請求項13に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項24】
前記補助ダイヤフラムの前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接離可能に構成され、前記弁機構部に力を付与できるようになっている、請求項23に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項25】
前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成する、請求項23に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項26】
前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成する、請求項24に記載のダイヤフラムバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体部のような弁機能部が膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されているダイヤフラム及びこれを備えるダイヤフラムバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置に用いられる薬液の流量を制御する際には、薬液が流れる弁室と駆動部とを区画する膜部と膜部の中央に支持された弁体部とを有したダイヤフラムを備えるダイヤフラムバルブが用いられることが多い。ダイヤフラムバルブは、一般的に、入口流路及び出口流路とこれらと連通する弁室とが形成されているバルブ本体と、弁室の上方の開口を塞ぐように配置されるダイヤフラムと、ダイヤフラムを駆動するためにバルブ本体の上部に取り付けられる駆動部とを備え、バルブ本体によってダイヤフラムを支持して、ダイヤフラムの膜部を介して支持される弁体部を駆動部によって移動軸線に沿って往復動させて、流路から弁室への開口の周囲に形成された弁座に弁体部を接離させることによって、開閉を行うようになっている。また、ダイヤフラムバルブでは、例えば特許文献1に開示されているダイヤフラムバルブのように、バルブ本体に接している外周縁部が、移動軸線方向に沿った弁体部の往復動の際に変形しないように、駆動部の底部によって、又は別部材として構成されダイヤフラム押さえを介して駆動部によって、バルブ本体に押し付けられて固定され、直接的に又は間接的にバルブ本体と駆動部との間に挟持される構造になっていることが多い。
【0003】
薬液を流通させるためのラインでダイヤフラムバルブを用いる場合、ダイヤフラムは薬液に接するので、耐薬品性も求められる。また、ダイヤフラムバルブでは、弁体部を弁座に接離させるために移動軸線方向に移動させるので、弁体部を支持する膜部が弁体部の移動に追随できるように、膜部に屈曲性及び屈曲耐久性が要求される。このため、ダイヤフラムは屈曲性を有し且つ屈曲耐久性も高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成され、膜部が薄肉化されていることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6681723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、駆動部とバルブ本体との間に挟持されるダイヤフラムバルブの外周縁部は、駆動部の底部によって又は駆動部でバルブ本体に向かって押し付けられるダイヤフラム押さえによって、バルブ本体に押し付けられて固定されている。しかしながら、膜部は薄肉化されていて変形しやすいので、移動軸線方向に沿った弁体部の往復動に伴って、膜部が駆動部の底部の形状やダイヤフラム押さえの弁室側表面の形状に沿って変形する。このとき、膜部においてバルブ本体と接触している外周縁部との接続部分がバルブ本体に対して摺動し、摩擦による摩耗でパーティクルが発生し得る。膜部の外周縁部付近における膜部とバルブ本体との接触箇所は、弁室内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、ダイヤフラムバルブ内を流通する流体中にパーティクルが混入してしまう。このような外周縁部付近におけるパーティクル発生の問題は、PTFEが発塵しやすいため、特に膜部の屈曲性を確保し且つ耐薬品性に優れている観点からダイヤフラムがPTFEから形成されている場合に生じやすくなる。
【0006】
高い清浄性が求められる分野では、ダイヤフラムバルブ内で発生するパーティクルが問題となる場合がある。例えば半導体ウエハの製造工程では、パーティクル、種々の金属やポリマー化合物などの汚染物質が生じて半導体ウエハ上に残存したり付着すると品質に大きな影響を与える。このため、半導体ウエハの製造工程では、洗浄液を用いて半導体ウエハの洗浄が行われる。しかしながら、半導体ウエハの製造工程で使用するダイヤフラムバルブにおいて、上述したようにパーティクルが発生し、パーティクルを含んだ洗浄液がダイヤフラムバルブから排出されて半導体ウエハの洗浄のために用いられると、十分な洗浄を行うことができず、半導体ウエハの清浄性が低下するという問題が生じる。
【0007】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決するために、ダイヤフラムの膜部の屈曲性を維持しつつ、膜部の耐摩耗性を向上させて、ダイヤフラムからのパーティクルの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的に鑑み、本発明は、第1の態様として、中央に設けられた弁機能部と、該弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の膜部と、該膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される外周縁部とを含み、前記弁機能部が前記膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されているダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムが樹脂材料から形成されており、前記膜部が、非架橋樹脂材料から形成される膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有し、前記膜部架橋樹脂部分が前記膜部において前記外周縁部と隣接する部分を構成し、前記膜部非架橋樹脂部分が前記膜部において前記膜部架橋樹脂部分よりも前記弁機能部に近い側の部分を構成するようなっているダイヤフラムを提供する。
【0009】
上記ダイヤフラムでは、膜部において外周縁部に隣接する部分が架橋樹脂材料から形成された膜部架橋樹脂部分によって構成され、膜部において膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部に近い側の部分が非架橋樹脂材料から形成される膜部非架橋樹脂部分によって構成されている。膜部において膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部に近い側の部分が膜部非架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料として屈曲性に優れた樹脂材料を選択すれば、膜部は移動軸線方向に沿った弁機能部の移動に追随するのに十分な屈曲性を維持することが可能となる。また、樹脂材料は架橋により密度が高くなって耐摩耗性も向上することから、架橋樹脂材料は非架橋樹脂材料と比較して高い耐摩耗性を有している。膜部において外周縁部に隣接する部分は、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料によって形成された膜部架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部において弁機能部に近い側の部分よりも耐摩耗性が高くなる。したがって、ダイヤフラムの外周縁部が、例えば、ダイヤフラムバルブのバルブ本体(弁室が形成される構成要素)とダイヤフラムを駆動するための駆動部との間のような二つの部材の間に挟持されている状態でダイヤフラムが支持されているときに、移動軸線に沿った弁機能部の往復動に伴って膜部が変形して膜部において外周縁部に隣接する部分がダイヤフラムに隣接する他の部材に接触していても、摺動による膜部の摩耗が生じにくくなる。この結果、パーティクルの発生が抑制される。
【0010】
上記ダイヤフラムでは、前記ダイヤフラムの前記外周縁部の少なくとも一部が架橋樹脂材料から形成された外周部架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましい。また、前記二つの部材の間をシールするための隆起したシール部が前記外周縁部に設けられており、前記シール部が前記外周縁部架橋樹脂部分によって構成されていることがさらに好ましい。このような構成により、ダイヤフラムを装着する際に外周縁部が他の部材と接触していても摩耗しにくくなり、装着時に発生したパーティクルが流体中に放出されることを抑制することができる。
【0011】
一つの実施形態として、前記弁機能部が弁体部であるようにすることができる。この場合、前記弁機能部の底面部が架橋樹脂材料から形成された弁機能部架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましい。例えば弁機能部が弁座に接離する弁体部である場合、弁体部の底面部の耐摩耗性も向上するので、弁体部の底面部からのパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0012】
上記ダイヤフラムでは、前記膜部架橋樹脂部分は、前記移動軸線方向に前記ダイヤフラムを見たときに前記弁体部の最大外周面よりも外側に設けられているようになっていることがさらに好ましい。
【0013】
例えば、前記架橋樹脂材料は、前記非架橋樹脂材料に放射線を照射することによって形成されるようにすることができる。
【0014】
また、本発明は、第2の態様として、第1の流路と第2の流路と前記第1の流路及び前記第2の流路が連通する弁室とが形成されたバルブ本体と、上記ダイヤフラムと、該ダイヤフラムに力を付与するための力付与機構部とを備え、前記弁機能部が前記膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されているダイヤフラムバルブを提供する。
【0015】
一つの実施形態として、前記外周縁部が前記バルブ本体と前記力付与機構部との間に挟持されるようにすることができる。この場合、前記外周縁部がダイヤフラム押さえを介して前記力付与機構部と前記バルブ本体との間に挟持されているようにしてもよい。
【0016】
他の実施形態として、前記バルブ本体が第1のバルブ本体と第2のバルブ本体とを互いに接続することによって構成されており、前記ダイヤフラムが前記第1のバルブ本体と前記第2のバルブ本体との間に挟持されているようにすることもできる。
【0017】
また、一つの実施形態として、前記弁機能部が、前記第1の流路から前記弁室への開口の周囲に形成された環状の弁座部に接離する弁体部であるようにすることができる。
【0018】
他の実施形態として、前記弁室が、前記第1の流路が連通する第1の弁室と、前記第2の流路が連通する第2の弁室と、前記第1の弁室と前記第2の弁室とを連通させる連通路とを含み、前記連通路の一方の端部開口の周囲に環状の弁座部が形成されており、前記弁機能部が、前記弁座部に接離する弁体部である、または、前記弁座部に接離する弁体部と接続されている基台部であるようにしてもよい。
【0019】
上述の二つの実施形態の何れでも、前記ダイヤフラムの前記膜部架橋樹脂部分を形成する前記架橋樹脂材料が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンであり、前記ダイヤフラムの前記膜部非架橋樹脂部分を形成する前記非架橋樹脂材料が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンであるようにすることができる。この場合、前記弁座部が架橋ポリテトラフルオロエチレン又は架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましく、前記バルブ本体における前記弁座部以外の残余の部分が非架橋ポリテトラフルオロエチレン又は非架橋パーフルオロアルコキシアルカンから形成された非架橋樹脂部分によって構成されているようにすることがさらに好ましい。
【0020】
前記架橋樹脂材料は、前記非架橋樹脂材料に放射線を照射することによって形成されるようにすることができる。
【0021】
前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部を支持するように前記補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されており、前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接続され、前記力付与機構部が前記補助弁機構部を介して前記ダイヤフラムの前記弁機構部に力を付与するようになっていてもよい。この場合、前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成するようにすることが好ましい。
【0022】
また、前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムと、該補助ダイヤフラムに力を付与するための補助力付与機構部とをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助弁機能部が前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持され、前記補助力付与機構部によって力を付与されるようになっていてもよい。さらに、前記補助ダイヤフラムの前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部に接離可能に構成され、前記弁機能部に力を付与できるようにしてもよい。この場合、前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、膜部において膜部架橋樹脂部分よりも弁体部に近い側部分が膜部非架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料として屈曲性に優れた樹脂材料を選択すれば、膜部は移動軸線方向に沿った弁機能部の移動に追随するのに十分な屈曲性を維持することが可能となる。また、膜部において外周縁部に隣接する部分は、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料によって形成された膜部架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部において弁機能部に近い側の部分よりも耐摩耗性が高くなる。したがって、移動軸線に沿った弁機能部の往復動に伴って膜部が変形する際に、外周縁部に隣接する部分がダイヤフラムに隣接する他の部材に接触していても、摺動による膜部の摩耗が生じにくくなり、パーティクルの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるダイヤフラムを備えた第1の実施形態のダイヤフラムバルブの縦断面図であり、閉弁状態を示している。
図2図1に示されているダイヤフラムバルブの開状態を示す縦断面図である。
図3図1に示されているダイヤフラムバルブにおける弁座に弁体が着座した状態を示す要部拡大断面図である。
図4】本発明によるダイヤフラムを備えた第1の実施形態のダイヤフラムバルブの変形形態の縦断面図である。
図5図3に示されているダイヤフラムにおいて架橋樹脂材料から形成されている部分の位置を説明するための説明図である。
図6図3に示されているバルブ本体において架橋樹脂材料から形成されている部分の位置を説明するための説明図である。
図7】非架橋樹脂材料から形成されたダイヤフラムの必要箇所を架橋させるための架橋方法の一つの実施形態を模式的に示す説明図である。
図8】ダイヤフラムにおいて図7に示されている架橋方法によって架橋される部分をハッチングによって模式的に示した説明図である。
図9】非架橋樹脂材料から形成されるダイヤフラムの必要箇所を架橋させる方法の他の実施形態を示す説明図である。
図10】本発明によるダイヤフラムを備えた第2の実施形態のダイヤフラムバルブであるニードル弁の縦断面図である。
図11】本発明によるダイヤフラムを備えた第3の実施形態のダイヤフラムバルブである定圧弁の縦断面図である。
図12】本発明によるダイヤフラムを備えた第4の実施形態のダイヤフラムバルブである背圧弁の縦断面図である。
図13】本発明によるダイヤフラムを備えた第5の実施形態のダイヤフラムバルブであるサックバック弁の縦断面図である。
図14】本発明によるダイヤフラムを備えた第6の実施形態のダイヤフラムバルブである定流量弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明によるダイヤフラムを備えたダイヤフラムバルブの実施の形態を説明する。
【0026】
最初に、図1から図3を参照して、本発明によるダイヤフラムを備える第1の実施形態のダイヤフラムバルブ11の全体構成を説明する。ダイヤフラムバルブ11は、開閉弁であり、バルブ本体13と、ダイヤフラム15と、ダイヤフラム15に力を付与するための力付与機構部として機能してダイヤフラム15を駆動する駆動部17とを備え、駆動部17はバルブ本体13の上部に取り付けられている。
【0027】
バルブ本体13には、上部中央に弁室19が形成されていると共に、弁室19に連通する第1の流路及び第2の流路が形成されている。弁室19には、第1の流路から弁室19への開口の周囲に、ダイヤフラム15が接離する環状の弁座21が形成されている。図示されている実施形態では、第1の流路として、バルブ本体13の対向する側面の一方に形成された流入口23から延び且つ弁室19の底部中央に開口する入口流路25が形成されていると共に、第2の流路として、バルブ本体13の対向する側面の他方に形成された流出口27から延び且つ弁室19の側面に開口する出口流路29が形成されており、入口流路25から弁室19への開口の周囲に環状の弁座21が形成されている。
【0028】
駆動部17は、バルブ本体13の上部に取り付けられ且つ内部に機構収容空間が形成されている駆動部筐体31と、駆動部筐体31の上部に取り付けられる蓋部材33と、ダイヤフラム15に連結されているステム35と、機構収容空間に収容され且つステム35を駆動する駆動機構とを備えている。本実施形態では、駆動部筐体31内に機構収容空間としてシリンダ部が形成されており、駆動機構は、シリンダ部内に収容されているピストン37と、付勢部材としてのコイルばね39とによって構成されている。
【0029】
ピストン37は、駆動部筐体31のシリンダ部内に摺動可能に収容されるピストン本体37aと、ピストン本体37aから上方に延びる案内軸37bとを有しており、ピストン本体37aから下方に向かって延びるようにステム35がピストン本体37aに連結されている。ピストン本体37aは、外周面がシリンダ部の内周面に上下方向に摺動可能に接触しており、シリンダ部の内部空間を、ピストン本体37aの上面とシリンダ部の内周壁とシリンダ部の天井面(すなわち蓋部材33の下面)によって囲まれた上部空間41と、ピストン本体37aの下面とシリンダ部の内周壁とシリンダ部の底面(すなわち駆動部筐体31の底部)とによって囲まれた下部空間43とに区画している。案内軸37bは、蓋部材33を貫通して設けられた貫通孔に摺動可能に挿入されており、ピストン37の上下動を案内するようになっている。ステム35は、駆動部筐体31の底部を貫通して設けられた貫通孔に摺動可能に挿入されて、弁室19まで延びており、その先端がダイヤフラム15(詳細には、後述する弁機能部53)に連結されている。
【0030】
蓋部材33には、上部空間41を区画するシリンダ部に連通する通気口45が形成されており、通気口45を通して上部空間41と外部との間で通気を行うことができるようになっている。また、駆動部筐体31の側部には、下部空間43を区画するシリンダ部の底部に連通する作動流体供給口47が形成されており、作動流体供給口47から下部空間43内へ作動流体を供給できるようになっている。さらに、蓋部材33の下面(シリンダ部の天井面)とピストン本体37aの上面との間にコイルばね39が圧縮状態で配置されている。
【0031】
なお、駆動部17は、ステム35及びピストン37の案内軸37bが弁座21に対して垂直となるようにバルブ本体13に取り付けられる。また、ピストン本体37aの外周面及び駆動部筐体31の底部の貫通孔に挿入されたステム35の外周面にそれぞれOリング49,51が装着され、ピストン本体37aの外周面と駆動部筐体31のシリンダ部の内周面との間及びステム35の外周面と駆動部筐体31の底部(すなわち、シリンダ部の底面)の貫通孔の内周面との間から、下部空間43に供給された作動流体が漏出することを防止している。
【0032】
ダイヤフラム15は、弁室19の上方の開口を塞ぐように配置され、バルブ本体13に固定される。図3に詳細に示されているように、ダイヤフラム15は、中央に設けられた弁機能部53と、屈曲が容易となるように薄肉に形成され且つ中央部の弁機能部53を支持する環状の膜部55と、膜部55の外周部に設けられた外周縁部57とを有している。本実施形態では、弁機能部53が弁座21に接離する弁体部によって構成されている。膜部55の外周部に設けられた外周縁部57は、少なくとも一部がバルブ本体13の弁室19の上部開口の周囲領域の上面と駆動部筐体31の底面との間に挟持されており、ダイヤフラム15は、膜部55を介して弁室19の上方に弁機能部53を支持した状態で、弁室19と駆動部17との間を区画している。図示されている実施形態では、弁機能部53である弁体部は、円柱上に円錐台が連結されたような形状、すなわち上端部がテーパ状になった錘形状を有しており、底面(弁座当接面)が弁座21に対向するように配置されている。しかしながら、弁体部は、膜部55によって弁室19内に支持され、弁座21に接離して入口流路25から弁室19への開口の開閉を行うことができれば、形状を限定されるものではない。また、膜部55は、弁機能部53の上端部の外周部から半径方向外方に延びるように形成されており、膜部55の外周は概略円形状を有している。
【0033】
なお、本願におけるダイヤフラム15の「外周縁部57」とは、挟持する一方側が単数の部材によって構成されているか複数の部材によって構成されているかを問わず、二つの部材の間に挟持されている部分を指すものとする。本実施形態では、外周縁部57は、バルブ本体13と力付与機構部である駆動部17(詳細にはその駆動部筐体31)との間に挟持されている。
【0034】
外周縁部57は、図3に詳細に示されているように、ダイヤフラム15の最外縁部に位置し且つ水平方向に延びる環状の水平支持部57aと、水平支持部57aの内周縁端と膜部55の外周縁端とを接続するように上下方向(鉛直方向)に延びる筒状の垂直支持部57bとを含んでいる。ダイヤフラム15は、駆動部筐体31の底部中央から延びる突出部31aをバルブ本体13の弁室19の上部開口内に挿入したときに、突出部31aよりも外側に位置する駆動部筐体31の底面とバルブ本体13の弁室19の上部開口の周囲領域の上面との間に水平支持部57aを挟持し且つ駆動部筐体31の突出部31aの外周面とバルブ本体13の弁室19の上部開口の内周面との間に垂直支持部57bを挟持することにより、バルブ本体13に固定されるようになっている。また、水平支持部57aの底面に断面台形状の環状溝57cが設けられていると共に、垂直支持部57bの外側表面に断面半円形状の環状突起57dが設けられている一方、バルブ本体13の弁室19の上部開口の周囲領域の上面に断面半円形状の環状突起13aが設けられると共に、バルブ本体13の弁室19の上部開口の内周面に断面台形状の環状溝13bが設けられている。環状突起13a,57dはそれぞれ環状溝57c,13bよりも僅かに大きく形成されており、水平支持部57aの環状溝57cにバルブ本体13の上面の環状突起13aを係合させ且つ垂直支持部57bの外側表面の環状突起57dを弁室19の内周面の環状溝13bに係合させた状態で、駆動部筐体31の突出部31aをバルブ本体13の弁室19内に挿入して駆動部筐体31をバルブ本体13の上部に取り付けたときに、環状突起13a,57dが変形して環状溝57c,13bに密着嵌合し、ダイヤフラム15とバルブ本体13との間のシール性を高めるようになっている。
【0035】
本実施形態では、上述したように、ダイヤフラム15の外周縁部57の水平支持部57aに環状溝57cを設けると共に垂直支持部57bに環状突起57dを設け、環状溝57c及び環状突起57dをそれぞれバルブ本体13の上部開口の内周面に設けられた環状突起13aと弁室19の内周面に設けられた環状溝13bに係合させている。しかしながら、ダイヤフラム15の水平支持部57aに環状突起を設けると共に垂直支持部57bに環状溝を設け、設けた環状突起及び環状溝をそれぞれをバルブ本体13の上部開口の内周面に設けられた環状溝と弁室19の内周面に設けられた環状突起に係合させるようにしてもよく、水平支持部57aと垂直支持部57bの両方に環状突起又は環状溝を設けたり、水平支持部57aと垂直支持部57bの一方のみに環状溝又は環状突起を設けるようにしてもよい。
【0036】
ダイヤフラム15は、特に膜部55が繰り返しの曲げを伴う部分となることから、屈曲性と高い屈曲耐性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されることが好ましい。一方、弁体部としての弁機能部53は、弁座21に当接してパーティクルを発生しやすいことから、発塵性が低いパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)から形成されることが好ましい。したがって、弁機能部53(すなわち弁体部)の底面部(弁座接触面)のみをPFAから形成すると共に、ダイヤフラム15の残余の部分をPTFEから形成し、ダイヤフラム15の弁体部(弁機能部53)の底面部を他の部分と異なる材料から形成するようにしてもよい。また、バルブ本体13、駆動部17の駆動部筐体31、蓋部材33、ステム35、ピストン37は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PTFE、PFA、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)など適宜の材料から形成することができる。
【0037】
図1から図3に示されている実施形態では、ダイヤフラム15は、その外周縁部57がバルブ本体13の弁室19の上部開口の周囲領域と力付与機構部である駆動部筐体31の底部との間に直接的に挟持されることにより、バルブ本体13に固定、支持されている。しかしながら、ダイヤフラム15の外周縁部57は、バルブ本体13と駆動部筐体31との間に直接的に挟持されている必要はなく、他の部材を介して間接的に挟持されていてもよい。例えば、図4に示されている他の実施形態のように、ダイヤフラム押さえ59を介して間接的にバルブ本体13と力付与機構部である駆動部筐体31との間に挟持されていてもよい。
【0038】
さらに、ダイヤフラム15では、図5に示されているように、大部分が上述したPTFEやPFAなどの非架橋樹脂材料から形成されている一方、膜部55と外周縁部57との接続部分61が架橋樹脂材料から形成されており、膜部55が、非架橋樹脂材料から形成される膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。膜部55の膜部架橋樹脂部分は外周縁部57と隣接する部分を構成しており、膜部55の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部53に近い側の部分を構成している。さらに、外周縁部57の垂直支持部57bに設けられた環状突起57d、弁座21と当接する弁機能部53(すなわち弁体部)の底面部分63、外周縁部57の水平支持部57aにおいて環状溝57cが設けられている溝部分65も、架橋樹脂材料から形成される架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましい。すなわち、環状突起57d、弁機能部53の底面部分63、溝部分65が架橋樹脂材料から形成される外周縁部架橋樹脂部分によって構成され、弁機能部53の底面部分63が架橋樹脂材料から形成される弁機能部架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましい。また、図6に示されているように、弁体部として機能する弁機能部53と当接するバルブ本体13の弁座21を構成する部分(以下、弁座部67と記載する。)も架橋樹脂材料から形成される弁座部架橋樹脂部分によって構成されているようにしてもよい。架橋樹脂材料は、ダイヤフラム15やバルブ本体13の他の部分を形成する非架橋樹脂材料を架橋させたものであることが好ましい。
【0039】
弁体部である弁機能部53が移動軸線に沿って弁座21に対して往復動することを許容するために、ダイヤフラム15の膜部55は薄肉化されて屈曲性又は柔軟性を高められている。このように膜部55は薄肉化されているために変形しやすい。したがって、ダイヤフラムバルブ11の開閉のために弁機能部53が移動軸線に沿って往復動するのに伴って膜部55が変形する際に、膜部55における外周縁部57との接続部分すなわち外周縁部57に隣接する部分も、バルブ本体13との間で外周縁部57を挟持する駆動部筐体31の突出部31a又はダイヤフラム押さえ59の形状に沿って変形する。このとき、膜部55における外周縁部57との接続部分61がバルブ本体13に対して摺動して摩擦による摩耗でパーティクルが発生し得る。膜部55において外周縁部57に隣接する膜部55とバルブ本体13との接触箇所は、弁室19内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、ダイヤフラムバルブ11内を流通する流体中にパーティクルが混入してしまう。
【0040】
しかしながら、ダイヤフラム15では、膜部55における外周縁部57との接続部分61(すなわち、外周縁部57に隣接する部分)が膜部架橋樹脂部分によって構成されている。膜部架橋樹脂部分を形成する構成する架橋樹脂材料は、架橋により密度が高くなっており、非架橋樹脂材料よりも高い耐摩耗性を有している。したがって、ダイヤフラムバルブ11の開閉のために弁機能部53が移動軸線に沿って往復動するのに伴って、膜部55が変形して膜部55における外周縁部57との接続部分61がバルブ本体13の上部開口の外周面に対して摺動しても、摩耗によるパーティクルの発生を抑制することができる。PTFEは発塵しやすいので、特にダイヤフラム15の膜部55の屈曲性及び屈曲耐久性を確保するためにダイヤフラム15がPTFEから形成されている場合、パーティクルを発生しやすくなる。したがって、ダイヤフラム15をPTFEから形成する場合、膜部55における外周縁部57との接続部分61を架橋PTFEから形成すれば、パーティクルの発生を抑制する効果が特に有効となる。
【0041】
また、ダイヤフラム15の外周縁部57の水平支持部57aに環状溝57cが設けられ、垂直支持部57bに環状突起57dが設けられている場合、上述したように、シール性を高めるために、水平支持部57aの環状溝57cにバルブ本体13の環状突起13aを係合させ且つ垂直支持部57bの環状突起57dを弁室19の環状溝13bに係合させ、バルブ本体13に対する駆動部筐体31の取り付けによる押圧で環状溝57c,13b内で環状突起13a,57dを変形させて密着嵌合させる。このとき、環状突起13a,57dの変形に伴って、環状突起13a,57dと環状溝57c,13bとの間で摺動が生じ、摺動による摩耗でパーティクルが発生し得る。ダイヤフラム15の水平支持部57a及び垂直支持部57bに面するバルブ本体13の表面は接液領域に連なっているので、発生したパーティクルは、ダイヤフラムバルブ11内を流通する流体に混入する可能性がある。しかしながら、環状突起57dや溝部分65が架橋樹脂材料から形成される外周縁部架橋樹脂部分によって構成されていれば、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態のようにダイヤフラム15の弁機能部53が弁体部である場合、弁機能部53は、ダイヤフラムバルブ11の開閉時に、移動軸線に沿った往復動により弁座21に接離するので、衝撃によってパーティクルが発生し得る。しかしながら、弁機能部53としての弁体部の底面部分63や弁座部67が架橋樹脂材料から形成される弁機能部架橋樹脂部分や弁座部架橋樹脂部分から構成されていれば、同様に、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0043】
次に、図7から図9を参照して、非架橋樹脂材料から形成されたダイヤフラム15において、非架橋樹脂材料を架橋させて架橋樹脂部分を形成する方法を説明する。
【0044】
最初に、例えばPTFEなどの非架橋樹脂材料から成形及び切削加工によりダイヤフラム15の形状に加工する。次に、図7に示されているように、ダイヤフラム15を加熱した状態で、弁機能部53の側に配置した放射線源71から、非架橋樹脂材料のみから形成されたダイヤフラム15に放射線を照射して、非架橋樹脂材料を架橋させ、架橋樹脂部分を形成させる。放射線源71の側からダイヤフラム15を移動軸線方向に見たときに、弁機能部53の底面と、弁機能部53の最大外周面(最大の外径を有する部分の外周面であり、図7において破線が延長されている面)よりも外側に位置する部分が、放射線に晒される。したがって、弁機能部53の底面と、弁機能部53の最大外周面より外側に位置する部分とが架橋され、架橋樹脂材料から形成される部架橋樹脂部分によって構成されるようになる。図7に示されているように、放射線源71の側からダイヤフラム15を移動軸線方向に見たときに、膜部55において外周縁部57に隣接する部分が弁機能部53の最大外周面よりも外側に設けられ、かつ、環状溝57cが環状突起57dよりも半径方向外側に設けられている場合、図8に示されているように、弁機能部53の底面部分63と、膜部55における外周縁部57との接続部分61と、環状突起57dと、水平支持部57aの溝部分65が放射線に晒されて、これらの部分の非架橋樹脂材料が架橋され、弁機能部53の底面部分63、接続部分61、環状突起57d及び溝部分65が架橋樹脂材料から形成される架橋樹脂部分となる。具体的には、弁機能部53の底面部分63が弁機能部架橋樹脂部分によって構成され、接続部分61が膜部架橋樹脂部分によって構成され、環状突起57d及び溝部分65が外周縁部架橋樹脂部分によって構成されるようになる。
【0045】
バルブ本体13の弁座部67を弁座部架橋樹脂部分によって構成する場合にも、同様に、バルブ本体13を例えばPFAのような非架橋樹脂材料から成形及び切削加工により作製した後、加熱した状態で、弁座21を形成する部分(すなわち弁座部67)のみに放射線源71から放射線を照射して、弁座21を形成する部分の非架橋樹脂材料を架橋させ、架橋樹脂材料から形成される弁座部架橋樹脂部分によって弁座部67が構成されるようにすればよい。
【0046】
弁機能部53の底面部分63を架橋樹脂部分ではなく、非架橋樹脂部分によって構成したい場合には、例えば図9に示されているように弁機能部53の底面を覆うようにマスキングを施して、弁機能部53の底面に放射線が照射されないようにすればよい。このとき、接続部分61、環状突起57d及び溝部分65のうちの何れかを架橋樹脂材料によって形成したいときには、放射線源71の側からダイヤフラム15を移動軸線方向に見たときに、架橋樹脂材料によって形成したい部分がマスキングされていないようにすればよい。
【0047】
次に、図1及び図2を参照して、ダイヤフラムバルブ11の動作を説明する。図1に示されているように、作動流体供給口47から駆動部17に作動流体が供給されていない通常時は、駆動部17のピストン37がコイルばね39によって下方に付勢されて押し下げられる。この結果、弁体部であるダイヤフラム15の弁機能部53がステム35を介して弁座21に接近する方向に移動して弁座21に圧接され、ダイヤフラムバルブ11が図1に示されているように閉状態となる。これに伴って、弁機能部53を支持する膜部55も駆動部17から離れる方向に変形する。
【0048】
弁閉状態から、駆動部17の作動流体供給口47に作動流体を供給すると、シリンダ部の下部空間43に流入した作動流体の流体圧がピストン本体37aに上向きに作用し、ピストン37がコイルばね39の付勢力に抗して押し上げられる。このとき、上部空間41内の空気は通気口45から外部に放出される。この結果、弁体部である弁機能部53がステム35を介して弁座21から離間する方向に移動させられ、ダイヤフラムバルブ11が開状態となる。これに伴って膜部55も駆動部17へ接近する方向に変形する。作動流体供給口47への作動流体の供給が停止されると、コイルばね39により、再びピストン37が下方に付勢されて押し下げられ、弁体部である弁機能部53が弁座21に圧接して、再び閉状態となる。
【0049】
ダイヤフラムバルブ11では、弁体部である弁機能部53が弁座21への接離を繰り返し、特に弁機能部53が弁座21に当接したときに、衝撃でパーティクルを発生しやすい。しかしながら、架橋樹脂材料は他の部分を形成する非架橋樹脂材料よりも耐摩耗性に優れているので、弁機能部53の底面部分63が、架橋樹脂材料(弁機能部53の他の部分を形成する非架橋樹脂材料を架橋させたもの)から形成される弁機能部架橋樹脂部分によって構成されていれば、弁体部である弁機能部53の全体が非架橋樹脂材料から形成されている場合と比較して、パーティクルの発生を抑制することができる。また、ダイヤフラムバルブ11の開閉の際に、移動軸線方向の弁機能部53の往復動により膜部55が変形すると、それに伴って、バルブ本体13の上部開口を覆うように固定されたダイヤフラム15は、膜部55において外周縁部57に隣接する接続部分61がバルブ本体13の上部開口の内周面と摺動して摩擦により摩耗し、パーティクルを発生し得る。しかしながら、架橋樹脂材料は他の部分を形成する非架橋樹脂材料よりも耐摩耗性に優れているので、膜部55の接続部分61が架橋樹脂材料(膜部55を形成する非架橋樹脂材料を架橋させたもの)から形成される膜部架橋樹脂部分によって構成されていれば、膜部55の全体が非架橋樹脂材料から形成されている場合と比較して、パーティクルの発生を抑制することができる。この結果、ダイヤフラムバルブ11を流通する流体がパーティクルによって汚染されることを抑制することが可能となる。
【0050】
第1の実施形態では、開閉弁として機能するダイヤフラムバルブ11を例として、本発明によるダイヤフラム15及びこれを備えるダイヤフラムバルブ11を説明したが、本発明によるダイヤフラムは、第1の実施形態の構成のダイヤフラムバルブへの適用に限定されるものではない。例えば、本発明によるダイヤフラムは、流量調整機能を有したニードル弁、液だれを防止するためのサックバック機能を有したサックバック弁、定流量弁、圧力を調整するための定圧弁や背圧弁など、接液領域に面してダイヤフラムが配置されている他のタイプのダイヤフラムに適用することも可能である。
【0051】
図10は、本発明によるダイヤフラム115を使用した第2の実施形態のダイヤフラムバルブであるニードル弁111を示している。ニードル弁111は、バルブ本体113と、ダイヤフラム115と、ダイヤフラム115を駆動する駆動部117とを備え、駆動部117がバルブ本体113の上部に取り付けられている。駆動部117は、ダイヤフラム115に力を付与する力付与機構部として機能する。ダイヤフラムバルブ11と同様に、バルブ本体113には、上部中央に形成された弁室119と、弁室119に連通する入口流路125及び出口流路129が形成されており、入口流路125から弁室119への開口の周囲に環状の弁座121が形成されている。
【0052】
ダイヤフラム115は、弁室119の上方の開口を塞ぐように配置され、バルブ本体113に固定される。ダイヤフラム115は、弁座121に接近及び離反する弁機能部としてのニードル153と、ニードル153が移動軸線方向に上下動可能となるようにニードル153を支持する環状の膜部155と、膜部155の外周部に設けられた外周縁部157とを有している。図10に示されている実施形態では、ダイヤフラム115の外周縁部157は、ダイヤフラム押さえ159を介して駆動部117(詳細にはその駆動部筐体131)とバルブ本体113との間に間接的に挟持されている。しかしながら、ダイヤフラム115の外周縁部157は、駆動部117(詳細にはその駆動部筐体131)とバルブ本体113との間に直接的に挟持されていてもよい。
【0053】
図10に示されている実施形態では、駆動部117は、ハンドル169を時計回り及び反時計回りに回転させることによってダイヤフラム115のニードル153を上下動させて、弁座121に接近及び離反させることができるようになっている。
【0054】
このようにニードル弁111では、ニードル153の上下動に伴って、膜部155が変形して、膜部155における外周縁部157との接続部分すなわち外周縁部157に隣接する部分も、バルブ本体113との間で外周縁部157を挟持するダイヤフラム押さえ159の形状に沿って変形する。このとき、膜部155における外周縁部157との接続部分がバルブ本体113に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。膜部155における外周縁部157の付近における膜部155とバルブ本体113との接触箇所は、弁室119内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、ニードル弁111内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、ダイヤフラム115は、ダイヤフラム15と同様に、膜部155と外周縁部157との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、膜部155が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。膜部155の膜部架橋樹脂部分は外周縁部157と隣接する部分を構成しており、膜部155の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりもニードル153に近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラム115をニードル弁111に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様に、パーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【0055】
図11は、本発明によるダイヤフラム215を使用した第3の実施形態のダイヤフラムバルブである定圧弁211を示している。定圧弁211は、バルブ本体213と、主ダイヤフラム215と、従動ダイヤフラム216と、主ダイヤフラム215及び従動ダイヤフラム216に連結されている弁体部270と、主ダイヤフラム215に力を付与する力付与機構部217と、ベースプレート218とを備える。バルブ本体213の上部に、力付与機構部217が取り付けられ、バルブ本体213の下部に、ベースプレート218が取り付けられている。ダイヤフラムバルブ11と同様に、バルブ本体213には、中央に形成され且つ上方及び下方に開口した弁室219と、弁室219に連通する入口流路225及び出口流路229が形成されている。弁室219は、入口流路225が連通し且つ下方に開口する第1の弁室219aと、出口流路229が連通し且つ上方に開口する第2の弁室219bと、第1の弁室219aと第2の弁室219bとを連通させる連通路219cとを含んでいる。連通路219cから第1の弁室219aへの開口の周囲には環状の弁座221が形成され、弁体部270が、主ダイヤフラム215に連動して移動軸線方向に上下動し、弁座221に対して接近及び離反するようになっている。
【0056】
主ダイヤフラム215は第2の弁室219bの上部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体213に固定され、従動ダイヤフラム216は第1の弁室219aの下部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体213に固定される。主ダイヤフラム215は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機能部としての第1の基台部253と、第1の基台部253が上下動可能となるように第1の基台部253を支持する環状の第1の膜部255と、第1の膜部255の外周部に設けられた第1の外周縁部257とを有している。また、従動ダイヤフラム216は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機構部としての第2の基台部254と、第2の基台部254が上下動可能となるように第2の基台部254を支持する環状の第2の膜部256と、第2の膜部256の外周部に設けられた第2の外周縁部258とを有している。図11に示されている実施形態では、主ダイヤフラム215の第1の外周縁部257は、ダイヤフラム押さえ259を介して力付与機構部217(詳細には、その筐体)とバルブ本体213との間に間接的に挟持されている。また、従動ダイヤフラム216の第2の外周縁部258は、その最外周部がベースプレート218とバルブ本体213との間に直接的に挟持されている。しかしながら、主ダイヤフラム215の第1の外周縁部257が、力付与機構部217(詳細には、その筐体)とバルブ本体213との間に直接的に挟持されていてもよく、従動ダイヤフラム216の第2の外周縁部258が、ダイヤフラム押さえを介してベースプレート218とバルブ本体213との間に間接的に挟持されていてもよい。
【0057】
弁体部270の上部には主ダイヤフラム215の第1の基台部253が連結されていると共に、弁体部270の下部には従動ダイヤフラム216の第2の基台部254が連結されている。図11に示されている実施形態では、力付与機構部217は、その筐体内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ばね受けとしても機能するダイヤフラム押さえ259と、ダイヤフラム押さえ259とピストンに設けられた鍔部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンは主ダイヤフラム215の第1の基台部253に連結されており、第1の基台部253が力付与機構部217のコイルばねによって上向きの付勢力を付与されている。また、力付与機構部217の筐体の上部には、作動流体供給口が設けられており、筐体内部の機構収容空間内に対して作動流体の供給及び排出を行うことができるようになっている。また、ベースプレート218の上部中央には、凹部が形成され、凹部の底面には通気口が形成されている。
【0058】
上述のように構成された定圧弁211では、弁体部270には、力付与機構部217のコイルばねの付勢力と、第2の弁室219b内の流体が主ダイヤフラム215の下面に作用させる圧力とにより、上向きの力が作用している。また、力付与機構部217の機構収容空間内の作動流体が主ダイヤフラム215の上面に作用させる圧力により、下向きの力が作用している。なお、厳密には、弁体部270の下面と従動ダイヤフラム216の第2の膜部256の上面とが第1の弁室219a内の流体から流体圧力を受けているが、それらの受圧面積がほぼ等しく設定されているため、両者の力がほぼ相殺されるようになっている。したがって、弁体部270は、上述した三つの力(すなわち、コイルばねの付勢力と、第2の弁室219b内の流体が主ダイヤフラム215の下面に作用させる圧力による力と、作動流体が主ダイヤフラム215の上面に作用させる圧力による力)が釣り合う位置にて静止する。また、力付与機構部217に供給する作動流体の圧力を増加させると、主ダイヤフラム215を押し下げる力が増加し、弁体部270と弁座221とが離れて、第2の弁室219bの圧力が増加する。一方、力付与機構部217に供給する作動流体の圧力を減少させると、主ダイヤフラム215を押し下げる力が減少し、弁体部270と弁座221とが近づいて、第2の弁室219bの圧力が減少する。したがって、作動流体の圧力を調整することによって、第2の弁室219bの圧力を所望の値に設定することができる。
【0059】
上述した三つの力が釣り合った状態で、入口流路225側の流体圧力が増加すると、瞬間的に第2の弁室219b内の流体の圧力も増加して、主ダイヤフラム215の第1の膜部255の下面に作用する流体圧力が増加するので、主ダイヤフラム215が上方へ移動し、これに伴って弁体部270も上方へ移動する。この結果、弁体部270と弁座221とが近づいて、第2の弁室219b内の流体の圧力が減少して、最終的に、弁体部270は上記の三つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。一方、上述した三つの力が釣り合った状態で、入口流路225側の流体圧力が減少すると、瞬間的に第2の弁室219b内の流体の圧力も減少して、主ダイヤフラム215の第1の膜部255の下面に作用する流体圧力が減少するので、主ダイヤフラム215が下方へ移動し、これに伴って弁体部270も下方へ移動する。この結果、弁体部270と弁座221とが離れて、第2の弁室219b内の流体の圧力が増加して、最終的に、弁体部270は上記の三つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。
【0060】
このように、定圧弁211では、弁体部270の上下動に伴う主ダイヤフラム215の第1の基台部253の上下動の際に、主ダイヤフラム215の第1の膜部255が変形し、第1の膜部255における第1の外周縁部257との接続部分すなわち第1の外周縁部257に隣接する部分も、第1の外周縁部257を挟持するダイヤフラム押さえ259の形状に沿って変形する。このとき、第1の膜部255における第1の外周縁部257との接続部分がバルブ本体213に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。第1の膜部255における第1の外周縁部257の付近における第1の膜部255とバルブ本体213との接触箇所は、第2の弁室219b内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、定圧弁211内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、主ダイヤフラム215は、ダイヤフラム15と同様に、第1の膜部255と第1の外周縁部257との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第1の膜部255が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第1の膜部255の膜部架橋樹脂部分は第1の外周縁部257と隣接する部分を構成しており、第1の膜部255の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である第1の基台部253に近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラムである主ダイヤフラム215を定圧弁211に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様にパーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【0061】
なお、従動ダイヤフラム216は、その第2の外周縁部258においてバルブ本体213とベースプレート218とに挟持されている部分が、第2の外周縁部258と第2の膜部256との接続部分から離れている。したがって、弁体部270の上下動に伴う従動ダイヤフラム216の第2の基台部254の上下動の際に、従動ダイヤフラム216の第2の膜部256が変形するが、接液領域において第2の膜部256が他の部材に接触しないので、接液領域内にパーティクルを発生しない。よって、従動ダイヤフラム216に本発明を適用する必要性は低い。
【0062】
図12は、本発明によるダイヤフラム315を使用した第4の実施形態のダイヤフラムバルブである背圧弁311を示している。背圧弁311は、バルブ本体313と、主ダイヤフラム315と、従動ダイヤフラム316と、主ダイヤフラム315及び従動ダイヤフラム316に連結されている弁体部370と、主ダイヤフラム315に力を付与する力付与機構部317と、ベースプレート318とを備える。バルブ本体313の上部に、力付与機構部317が取り付けられ、バルブ本体313の下部に、ベースプレート318が取り付けられている。ダイヤフラムバルブ11と同様に、バルブ本体313には、中央に形成され且つ上方及び下方に開口した弁室319と、弁室319に連通する入口流路325及び出口流路329が形成されている。弁室319は、入口流路325が連通し且つ上方に開口する第1の弁室319aと、出口流路329が連通し且つ下方に開口する第2の弁室319bと、第1の弁室319aと第2の弁室319bとを連通させる連通路319cとを含んでいる。連通路319cから第1の弁室319aへの開口の周囲には環状の弁座321が形成され、弁体部370が、主ダイヤフラム315に連動して移動軸線方向に上下動し、弁座321に対して接近及び離反するようになっている。
【0063】
主ダイヤフラム315は第1の弁室319aの上部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体313に固定され、従動ダイヤフラム316は第2の弁室319bの下部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体313に固定される。主ダイヤフラム315は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機能部としての第1の基台部353と、第1の基台部353が上下動可能となるように第1の基台部353を支持する環状の第1の膜部355と、第1の膜部355の外周部に設けられた第1の外周縁部357とを有している。また、従動ダイヤフラム316は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機構部としての第2の基台部354と、第2の基台部354が上下動可能となるように第2の基台部354を支持する環状の第2の膜部356と、第2の膜部356の外周部に設けられた第2の外周縁部358とを有している。図12に示されている実施形態では、主ダイヤフラム315の第1の外周縁部357は、ダイヤフラム押さえ359を介して力付与機構部317(詳細には、その筐体)とバルブ本体313との間に間接的に挟持されている。また、従動ダイヤフラム316の第2の外周縁部358は、その最外周部がベースプレート318とバルブ本体313との間に直接的に挟持されている。しかしながら、主ダイヤフラム315の第1の外周縁部357が、力付与機構部317(詳細には、その筐体)とバルブ本体313との間に直接的に挟持されていてもよく、従動ダイヤフラム316の第2の外周縁部358が、ダイヤフラム押さえを介してベースプレート318とバルブ本体313との間に間接的に挟持されていてもよい。
【0064】
弁体部370の上部には主ダイヤフラム315の第1の基台部353が連結されていると共に、弁体部370の下部には従動ダイヤフラム316の第2の基台部354が連結されている。図12に示されている実施形態では、力付与機構部317は、その筐体内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ばね受けとしても機能するダイヤフラム押さえ359と、ダイヤフラム押さえ359とピストンに設けられた鍔部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンは主ダイヤフラム315の第1の基台部353に連結されており、第1の基台部353が力付与機構部317のコイルばねによって上向きの付勢力を付与されている。また、力付与機構部317の筐体の上部には、作動流体供給口が設けられており、筐体内部の機構収容空間内に対して作動流体の供給及び排出を行うことができるようになっている。また、ベースプレート318の上部中央には、凹部が形成され、凹部の底面には通気口が形成されている。
【0065】
上述のように構成された背圧弁311では、弁体部370には、力付与機構部317のコイルばねの付勢力と、第1の弁室319a内の流体が主ダイヤフラム315の下面に作用させる圧力とにより、上向きの力が作用している。また、力付与機構部317の機構収容空間内の作動流体が主ダイヤフラム315の上面に作用させる圧力により、下向きの力が作用している。なお、厳密には、弁体部370の下面と従動ダイヤフラム316の第2の膜部356の上面とが第2の弁室319b内の流体から流体圧力を受けているが、それらの受圧面積がほぼ等しく設定されているため、両者の力がほぼ相殺されるようになっている。したがって、弁体部370は、上述した三つの力(すなわち、コイルばねの付勢力と、第1の弁室219a内の流体が主ダイヤフラム315の下面に作用させる圧力による力と、作動流体が主ダイヤフラム315の上面に作用させる圧力による力)が釣り合う位置にて静止する。また、力付与機構部317に供給する作動流体の圧力を増加させると、主ダイヤフラム315を押し下げる力が増加し、弁体部370と弁座321とが近づいて、第1の弁室319aの圧力が増加する。一方、力付与機構部317に供給する作動流体の圧力を減少させると、主ダイヤフラム315を押し下げる力が減少し、弁体部370と弁座321とが離れて、第1の弁室319aの圧力が減少する。したがって、作動流体の圧力を調整することによって、第1の弁室319aの圧力を所望の値に設定することができる。
【0066】
上述した三つの力が釣り合った状態で、入口流路325側の流体圧力が増加すると、瞬間的に第1の弁室319a内の流体の圧力が増加して、主ダイヤフラム315の第1の膜部355の下面に作用する流体圧力が増加するので、主ダイヤフラム315が上方へ移動し、これに伴って弁体部370も上方へ移動する。この結果、弁体部370と弁座321とが離れて、第1の弁室319a内の流体の圧力が減少して、最終的に、弁体部370は上記の三つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。一方、上述した三つの力が釣り合った状態で、入口流路325側の流体圧力が減少すると、瞬間的に第1の弁室319a内の流体の圧力も減少して、主ダイヤフラム315の第1の膜部355の下面に作用する流体圧力が減少するので、主ダイヤフラム315が下方へ移動し、これに伴って弁体部370も下方へ移動する。この結果、弁体部370と弁座321とが近づいて、第1の弁室319a内の流体の圧力が増加して、最終的に、弁体部370は上記の三つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。
【0067】
このように、定圧弁311では、弁体部370の上下動に伴う主ダイヤフラム315の第1の基台部353の上下動の際に、主ダイヤフラム315の第1の膜部355が変形し、第1の膜部355における第1の外周縁部357との接続部分すなわち第1の外周縁部357に隣接する部分も、第1の外周縁部357を挟持するダイヤフラム押さえ359の形状に沿って変形する。このとき、第1の膜部355における第1の外周縁部357との接続部分がバルブ本体313に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。第1の膜部355における第1の外周縁部357の付近における第1の膜部355とバルブ本体313との接触箇所は、第1の弁室319a内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、背圧弁311内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、主ダイヤフラム315は、ダイヤフラム15と同様に、第1の膜部355と第1の外周縁部357との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第1の膜部355が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第1の膜部355の膜部架橋樹脂部分は第1の外周縁部357と隣接する部分を構成しており、第1の膜部355の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である第1の基台部353に近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラムである主ダイヤフラム315を背圧弁311に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様にパーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【0068】
なお、従動ダイヤフラム316は、その第2の外周縁部358においてバルブ本体313とベースプレート318とに挟持されている部分が、第2の外周縁部358と第2の膜部356との接続部分から離れている。したがって、弁体部370の上下動に伴う従動ダイヤフラム316の第2の基台部354の上下動の際に、従動ダイヤフラム316の第2の膜部356が変形するが、接液領域において第2の膜部356が他の部材に接触しないので、接液領域内にパーティクルを発生しない。よって、従動ダイヤフラム316に本発明を適用する必要性は低い。
【0069】
図13は、本発明による二つのダイヤフラムを使用した第5の実施形態のダイヤフラムバルブであるサックバック弁411を示している。サックバック弁411は、バルブ本体413と、第1のダイヤフラム415と、第2のダイヤフラム416と、第1のダイヤフラム415に力を付与する第1の力付与機構部417と、第2のダイヤフラム416に力を付与する第2の力付与機構部418とを備える。バルブ本体413の下部に、第1の力付与機構部417が取り付けられ、バルブ本体413の上部に、第2の力付与機構部418が取り付けられている。ダイヤフラムバルブ11と同様に、バルブ本体413には、中央に形成され且つ上方及び下方に開口した弁室419と、弁室419に連通する入口流路425及び出口流路429が形成されている。弁室419は、入口流路425が連通し且つ下方に開口する第1の弁室419aと、出口流路429が連通し且つ上方に開口する第2の弁室419bと、第1の弁室419aと第2の弁室419bとを連通させる連通路419cとを含んでいる。連通路419cから第1の弁室419aへの開口の周囲には環状の弁座421が形成されている。
【0070】
第1のダイヤフラム415は第1の弁室419aの下部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体413に固定され、第2のダイヤフラム416は第2の弁室419bの上部開口を塞ぐように配置され、バルブ本体413に固定される。第1のダイヤフラム415は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動して弁座421に接離する弁機能部としての弁体部453と、弁体部453が上下動可能となるように弁体部453を支持する環状の第1の膜部455と、第1の膜部455の外周部に設けられた第1の外周縁部457とを有している。また、第2のダイヤフラム416は、第1のダイヤフラム415の動作を補助する補助ダイヤフラムとして機能するものである。第2のダイヤフラム416は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する補助弁機能部としての押圧部454と、押圧部454が上下動可能となるように押圧部454を支持する補助膜部としての環状の第2の膜部456と、第2の膜部456の外周部に設けられた補助外周縁部としての第2の外周縁部458とを有している。図13に示されている実施形態では、第1のダイヤフラム415の第1の外周縁部457は、第1の力付与機構部417(詳細には、その筐体417a)とバルブ本体413との間に直接的に挟持されている。また、第2のダイヤフラム416の第2の外周縁部458は、ダイヤフラム押さえ459を介して第2の力付与機構部418(詳細には、その筐体418a)とバルブ本体413との間に間接的に挟持されている。しかしながら、第1のダイヤフラム415の第1の外周縁部457が、ダイヤフラム押さえを介して第1の力付与機構部417(詳細には、その筐体417a)とバルブ本体413との間に間接的に挟持されていてもよく、第2のダイヤフラム416の第2の外周縁部458が、第2の力付与機構部418(詳細には、その筐体418a)とバルブ本体413との間に直接的に挟持されていてもよい。
【0071】
第2のダイヤフラム416の押圧部454は、弁室419内において第1のダイヤフラム415の弁体部453と移動軸線方向に対向して配置されており、移動軸線方向に上下動することによって、弁体部453に接離するようになっている。第2のダイヤフラム416は、押圧部454が第1のダイヤフラム415の弁体部453と当接しているとき、押圧部454を介して弁体部453に対して下向きの力を付与する。
【0072】
図13に示されている実施形態では、第1の力付与機構部417は、その筐体417aの内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ピストンの上部に設けられた鍔部と機構収容空間の底部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンは、第1のダイヤフラム415の弁体部453に連結されており、弁体部453が第1の力付与機構部417のコイルばねによって弁座421に押し付ける方向に上向きの付勢力を付与されている。また、図13に示されている実施形態では、第2の力付与機構部418は、その筐体418aの内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ばね受としても機能するダイヤフラム押さえ459と、ダイヤフラム押さえ459とピストンの上部に設けられた鍔部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンの鍔部の外周面は筐体418aの内周面上を摺動するようになっており、機構収容空間を上部空間と下部空間とに区分しており、上部空間に対して作動流体の供給及び排出を行うことによってピストンを往復動させることができる。また、ピストンの下端部は第2のダイヤフラム416の押圧部454に連結されており、ピストンの上下動に伴って第2のダイヤフラム416の押圧部454を上下動させることができるようになっている。
【0073】
上述のように構成されたサックバック弁411では、第1のダイヤフラム415の弁体部453が第1の力付与機構部417によって上向きの付勢力を作用されており、第2のダイヤフラム416の押圧部454が弁体部453と離間している状態では、第1の力付与機構部417が提供する上向きの付勢力によって弁体部453が弁座421に押し付けられ、閉弁状態となる。この状態から、第2の力付与機構部418の機構収容空間の上部空間に作動流体を供給することによって第2の力付与機構部418のコイルばねの付勢力に抗してピストンを下方へ移動させると、ピストンに連結された押圧部454が下降し、押圧部454が弁体部453に当接する。この状態からさらに機構収容空間の上部空間に作動流体を供給し且つ下部空間から作動流体を排出することによってピストンを下方へ移動させると、押圧部454が弁体部453に下向きの力を付与し、第1の力付与機構部417の上向きの付勢力に抗して弁体部453が下方に移動し、弁座421から離れて開弁状態となる。
【0074】
上述の開弁状態で、第2の力付与機構部418の機構収容空間の上部空間から作動流体を排出すると、ピストンがコイルばねの付勢力により上方へ移動して、ピストンに連結された押圧部454が上昇し、押圧部454が弁体部453から離れる。この結果、弁体部453は、第1の力付与機構部417の上向きの付勢力によって弁座421に押し付けられ、閉弁状態となる。この後、さらに第2の力付与機構部418の機構収容空間の上部空間から作動流体を排出すると、ピストンがコイルばねの付勢力により上方へ移動して、ピストンに連結された押圧部454が上昇する。この結果、第2の弁室419bの容積が増加して、吸い戻し作用が生じ、下流側の流路からの液だれを防止することができる。
【0075】
このように、サックバック弁411では、第1のダイヤフラム415の弁体部453の上下動の際に、第1のダイヤフラム415の第1の膜部455が変形し、第1の膜部455における第1の外周縁部457との接続部分すなわち第1の外周縁部457に隣接する部分も第1の弁室419aの外周面に沿って変形する。同様に、第2のダイヤフラム416の押圧部454の上下動の際に、第2のダイヤフラム416の第2の膜部456も変形し、第2の膜部456における第2の外周縁部458との接続部分すなわち第2の外周縁部458に隣接する部分もダイヤフラム押さえ459の形状に沿って変形する。このとき、第1の膜部455における第1の外周縁部457との接続部分や第2の膜部456における第2の外周縁部458との接続部分がバルブ本体413に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。パーティクルが発生すると、サックバック弁411内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、第1のダイヤフラム415は、ダイヤフラム15と同様に、第1の膜部455と第1の外周縁部457との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第1の膜部455が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第1の膜部455の膜部架橋樹脂部分は第1の外周縁部457と隣接する部分を構成しており、第1の膜部455の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である弁体部453に近い側の部分を構成している。また、第2のダイヤフラム416も、ダイヤフラム15と同様に、第2の膜部456と第2の外周縁部458との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第2の膜部456が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第2の膜部456の膜部架橋樹脂部分は第2の外周縁部458と隣接する部分を構成しており、第2の膜部456の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である押圧部454に近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラムである第1のダイヤフラム415や第2のダイヤフラム416をサックバック弁411に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様にパーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【0076】
図14は、本発明による三つのダイヤフラムを使用した第6の実施形態のダイヤフラムバルブである定流量弁511を示している。定流量弁511は、バルブ本体513と、第1のダイヤフラム515と、第2のダイヤフラム516Aと、第3のダイヤフラム516Bと、第3のダイヤフラム516Bに力を付与する第1の力付与機構部517と、第2のダイヤフラム516Aに力を付与する第2の力付与機構部518とを備える。バルブ本体513の上部に第1の力付与機構部517が取り付けられ、バルブ本体513の下部に第2の力付与機構部518が取り付けられている。ダイヤフラムバルブ11と同様に、バルブ本体513には、中央に形成され且つ上方及び下方に開口した弁室519と、弁室519に連通する入口流路525及び出口流路529が形成されている。弁室519は、入口流路525が連通する第1の弁室519aと、出口流路529が連通する第2の弁室519bと、第1の弁室519aと第2の弁室519bとを連通させる連通路519cとを含んでいる。連通路519cから第1の弁室519aへの開口の周囲には環状の弁座521が形成されている。
【0077】
バルブ本体513は、第1のバルブ本体513aと第2のバルブ本体513bとを接続することによって構成されている。第1のバルブ本体513aには入口流路525が形成され、第2のバルブ本体513bには、連通路519c、第2の弁室519b及び出口流路529が形成されている。第1の弁室519aは、第1のバルブ本体513aと第2のバルブ本体513bとに跨って形成されている。すなわち、第1の弁室519aは、第1のバルブ本体513aと第2のバルブ本体513bとに分割して形成されている。
【0078】
第1のダイヤフラム515は、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動して弁座521に接離する弁機能部としての弁体部553と、弁体部553が上下動可能となるように弁体部553を支持する環状の第1の膜部555と、第1の膜部555の外周部に設けられた第1の外周縁部557とを有しており、弁体部553には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。第2のダイヤフラム516Aは、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機能部としての第1の基台部554Aと、第1の基台部554Aが上下動可能となるように第1の基台部554Aを支持する環状の第2の膜部556Aと、第2の膜部556Aの外周部に設けられた第2の外周縁部558Aとを有している。第3のダイヤフラム516Bは、中央に位置し且つ移動軸線方向に上下動する弁機能部としての第2の基台部554Bと、第2の基台部554Bが上下動可能となるように第2の基台部554Bを支持する環状の第3の膜部556Bと、第3の膜部556Bの外周部に設けられた第3の外周縁部558Bとを有している。
【0079】
図14に示されている実施形態では、第1のダイヤフラム515の第1の外周縁部557は、第1のバルブ本体513aと第2のバルブ本体513bとの間に直接的に挟持されている。すなわち、第1のダイヤフラム515は、第1の弁室519aを二つに区画するようにバルブ本体513に支持されており、二つに区画された第1の弁室519aが弁体部553に設けられた貫通孔を介して連通するようになっている。第3のダイヤフラム516Bの第3の外周縁部558Bは、ダイヤフラム押さえ559を介して第1の力付与機構部517(詳細には、その筐体517a)とバルブ本体513との間に間接的に挟持されている。また、第2のダイヤフラム516Aの第2の外周縁部558Aは、第2の力付与機構部518(詳細には、その筐体518a)とバルブ本体513との間に直接的に挟持されている。しかしながら、第2のダイヤフラム516Aの第2の外周縁部558Aが、ダイヤフラム押さえを介して第2の力付与機構部518(詳細には、その筐体518a)とバルブ本体513との間に間接的に挟持されていてもよく、第3のダイヤフラム516Bの第3の外周縁部558Bが、第1の力付与機構部517(詳細には、その筐体517a)とバルブ本体413との間に間接的に挟持されていてもよい。
【0080】
第1のダイヤフラム515の弁体部553の上部には第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bが連結されていると共に、弁体部553の下部には第2のダイヤフラム516Aの第1の基台部554Aが連結されている。
【0081】
図14に示されている実施形態では、第1の力付与機構部517は、第1のダイヤフラム515の弁体部553の駆動部として機能するものであり、内部に機構収容空間が形成された筐体517aと、外周縁部をダイヤフラム押さえ559と第1の力付与機構部517の筐体517aとの間に挟持されて機構収容空間内に支持された駆動ダイヤフラムとを有し、駆動ダイヤフラムの中央の駆動基台部が第3のダイヤフラム516Bの基台部554Bに連結されている。第1の力付与機構部517は駆動ダイヤフラムによって上側空間と下側空間とに区画されており、上側空間に対して作動流体の供給及び排出を行うことによって、駆動基台部を上下動させることができるようになっている。第1の力付与機構部517の駆動基台部は第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bに連結され、第2の基台部554Bが第1のダイヤフラム515の弁体部553に連結されているので、第1の力付与機構部517が第3のダイヤフラム516Bを介して第1のダイヤフラム515の弁体部553に力を付与して駆動することができる。すなわち、弁体部553は、第3のダイヤフラム516Bを介して第1の力付与機構部517によって駆動することができる。また、図14に示されている実施形態では、第2の力付与機構部518は、その内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ピストンの上部に設けられた鍔部と機構収容空間の底部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンは、第2のダイヤフラム516Aの第1の基台部554Aに連結されており、第1の基台部554Aが第2の力付与機構部518のコイルばねによって上向きの付勢力を付与されている。第1の基台部554Aは、第1のダイヤフラム515の弁体部553に連結されているので、第2の力付与機構部518が第2のダイヤフラム516Aを介して第1のダイヤフラム515の弁体部553に付勢力を作用させることができる。すなわち、弁体部553は、第2のダイヤフラム516Aを介して第2の力付与機構部518によって弁座521に押し付けられる方向の上向きの付勢力を作用される。
【0082】
上述のように構成された定流量弁511では、第1のダイヤフラム515の弁体部553が第2のダイヤフラム516Aを介して第2の力付与機構部518によって上向きの付勢力を作用されており、第1の力付与機構部517によって力を付与されていない状態では、上述の上向きの力によって弁体部553が弁座521に押し付けられ、閉弁状態となる。この状態から、第1の力付与機構部517の機構収容空間の上側空間に作動流体を供給することによって駆動ダイヤフラムを下方へ移動させると、駆動ダイヤフラムの駆動基台部に連結された第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bが下降する。これに伴って第2の基台部554Bに連結される第1のダイヤフラム515の弁体部553が第2の力付与機構部518による付勢力に抗して下方へ移動する。この結果、弁体部553が弁座521から離れて、開弁状態になり、入口流路525から出口流路529に流体が流れるようになる。
【0083】
また、逆に、開弁状態から、第1の力付与機構部517の機構収容空間の上側空間から作動流体を排出させることによって駆動ダイヤフラムを上方へ移動させると、駆動ダイヤフラムの駆動基台部に連結された第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bが上昇する。これに伴って第2の基台部554Bに連結される第1のダイヤフラム515の弁体部553が第2の力付与機構部518による付勢力によって上方に移動して、弁座21に当接して閉弁状態となる。
【0084】
開弁状態のときに、第1の弁室519aの下側空間内の流体の圧力が上昇すると、第1のダイヤフラム515の下面に作用する流体の圧力も増加するので、第1のダイヤフラム515に作用する上向きの力が増加する。この結果、弁体部553が上方へ移動されて、弁座521と弁体部553との間の開口面積が減少する。すると、第1の弁室519a内において第1のダイヤフラム515よりも上側の上側空間内の流体の圧力が上昇して、第1の弁室519aの上側空間内の流体の圧力と下側空間内の流体の圧力が等しくなるつり合いの位置で弁体部553が静止する。また、開弁状態のときに、第1の弁室519aの上側空間内の流体の圧力が上昇すると、第1のダイヤフラム515の上面に作用する流体の圧力も増加するので、第1のダイヤフラム515に作用する下向きの力が増加する。この結果、弁体部553が下方へ移動されて、弁座521と弁体部553との間の開口面積が増加する。すると、第1の弁室519a内において第1のダイヤフラム515よりも上側の上側空間内の流体の圧力が減少して、第1の弁室519aの上側空間内の流体の圧力と下側空間内の流体の圧力が等しくなるつり合いの位置で弁体部553が静止する。第2の力付与機構部518による付勢力は一定であるので、第1の力付与機構部517の作動流体の圧力を調節することによって、第1の弁室519aの上側空間内の流体の圧力と下側空間内の流体の圧力とを変化させ、流量を制御することができる。
とができる。
【0085】
このように、定流量弁511では、第1のダイヤフラム515の弁体部553の上下動の際に、第1のダイヤフラム515の第1の膜部555が変形し、第1の膜部555における第1の外周縁部557との接続部分すなわち第1の外周縁部557に隣接する部分も第1の弁室519aの外周面に沿って変形する。同様に、第2のダイヤフラム516Aの第1の基台部554A及び第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bの上下動の際に、第2のダイヤフラム516Aの第2の膜部556A及び第3のダイヤフラム516Bの第3の膜部556Bも変形し、第2の膜部556Aにおける第2の外周縁部558Aとの接続部分(すなわち第2の外周縁部558Aに隣接する部分)も第1の弁室519aの内周壁の形状に沿って変形すると共に、第3の膜部556Bにおける第3の外周縁部558Bとの接続部分(すなわち第3の外周縁部558Bに隣接する部分)も第2の弁室519bの内周壁の形状に沿って変形する。このとき、第1の膜部555における第1の外周縁部557との接続部分、第2の膜部556Aにおける第2の外周縁部558Aとの接続部分、及び第3の膜部556Bにおける第3の外周縁部558Bとの接続部分がバルブ本体513に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。パーティクルが発生すると、定流量弁511内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、第1のダイヤフラム515は、ダイヤフラム15と同様に、第1の膜部555と第1の外周縁部557との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第1の膜部555が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第1の膜部555の膜部架橋樹脂部分は第1の外周縁部557と隣接する部分を構成しており、第1の膜部555の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である弁体部553に近い側の部分を構成している。同様に、第2のダイヤフラム516Aも、ダイヤフラム15と同様に、第2の膜部556Aと第2の外周縁部558Aとの接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第2の膜部556Aが、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第2の膜部556Aの膜部架橋樹脂部分は第2の外周縁部558Aと隣接する部分を構成しており、第2の膜部556Aの膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である第1の基台部554Aに近い側の部分を構成している。また、第3のダイヤフラム516Bも、ダイヤフラム15と同様に、第3の膜部556Bと第3の外周縁部558Bとの接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第3の膜部556Bが、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第3の膜部556Bの膜部架橋樹脂部分は第3の外周縁部558Bと隣接する部分を構成しており、第3の膜部556Bの膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である第2の基台部554Bに近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラムである第1のダイヤフラム515、第2のダイヤフラム516A及び第3のダイヤフラム516Bを定流量弁511に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様にパーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【0086】
以上、図示される実施形態を参照して、本発明によるダイヤフラム15,115,215,315,415、416、515,516A,516B及びこれを備えるダイヤフラムバルブ11,111,211,311,411,511を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、第2の実施形態のダイヤフラムバルブであるニードル弁111、第3の実施形態のダイヤフラムバルブである定圧弁211、第4の実施形態のダイヤフラムバルブである背圧弁311、第5の実施形態のダイヤフラムバルブであるサックバック弁411、第6の実施形態のダイヤフラムバルブである定流量弁511では、弁体部の底部や弁座部について特に説明をしていないが、第1のダイヤフラムバルブ11と同様に、弁体部の底部や弁座部を架橋樹脂材料から形成される架橋樹脂部分によって構成してもよい。この場合にも、パーティクルの発生を抑制する効果をさらに向上させることが可能である。また、図示されている実施形態では、ダイヤフラムの膜部において外周縁部に隣接する接続部分のみが架橋樹脂部分によって構成されているが、膜部が弁体部の往復動に追従するに十分な屈曲性を確保できれば、膜部の接続部分以外の部分も架橋樹脂部分によって構成してもよい。また、図示されている実施形態では、ダイヤフラムがPTFEなど単一の樹脂材料から形成されているものとして説明されているが、弁体部の底面部などをから形成するなど、ダイヤフラムを異なる樹脂材料から形成するようにしてもよい。この場合でも、放射線を照射するなどにより異なる樹脂材料をそれぞれ架橋させて架橋樹脂部を構成するようにできる。
【符号の説明】
【0087】
11 ダイヤフラムバルブ
13 バルブ本体
15 ダイヤフラム
17 駆動部
19 弁室
21 弁座
25 入口流路
29 出口流路
53 弁体部
55 膜部
57 外周縁部
59 ダイヤフラム押さえ
61 接続部分
63 底面部分
65 溝部分
67 弁座部
111 ニードル弁
113 バルブ本体
115 ダイヤフラム
117 駆動部
119 弁室
121 弁座
125 入口流路
129 出口流路
153 ニードル
155 膜部
157 外周縁部
159 ダイヤフラム押さえ
211 定圧弁
213 バルブ本体
215 主ダイヤフラム
216 従動ダイヤフラム
217 力付与機構部
219 弁室
219a 第1の弁室
219b 第2の弁室
219c 連通路
221 弁座
225 入口流路
229 出口流路
253 第1の基台部
254 第2の基台部
255 第1の膜部
256 第2の膜部
257 第1の外周縁部
258 第2の外周縁部
259 ダイヤフラム押さえ
270 弁体部
311 背圧弁
313 バルブ本体
315 主ダイヤフラム
316 従動ダイヤフラム
317 力付与機構部
319 弁室
319a 第1の弁室
319b 第2の弁室
319c 連通路
321 弁座
325 入口流路
329 出口流路
353 第1の基台部
354 第2の基台部
355 第1の膜部
356 第2の膜部
357 第1の外周縁部
358 第2の外周縁部
359 ダイヤフラム押さえ
370 弁体部
411 サックバック弁
413 バルブ本体
415 第1のダイヤフラム
416 第2のダイヤフラム
417 第1の力付与機構部
418 第2の力付与機構部
419 弁室
419a 第1の弁室
419b 第2の弁室
419c 連通路
421 弁座
425 入口流路
429 出口流路
453 弁体部
454 押圧部
455 第1の膜部
456 第2の膜部
457 第1の外周縁部
458 第2の外周縁部
459 ダイヤフラム押さえ
511 定流量弁
513 バルブ本体
513a 第1のバルブ本体
513b 第2のバルブ本体
515 第1のダイヤフラム
516A 第2のダイヤフラム
516B 第3のダイヤフラム
517 第1の力付与機構部
518 第2の力付与機構部
519 弁室
519a 第1の弁室
519b 第2の弁室
519c 連通路
521 弁座
525 入口流路
529 出口流路
553 弁体部
554A 第1の基台部
554B 第2の基台部
555 第1の膜部
556A 第2の膜部
556B 第3の膜部
557 第1の外周縁部
558A 第2の外周縁部
558B 第3の外周縁部
559 ダイヤフラム押さえ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記膜部架橋樹脂部分は、前記移動軸線方向に前記ダイヤフラムを見たときに前記弁体部の最大外周面よりも外側に設けられている、請求項5に記載のダイヤフラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記バルブ本体が第1のバルブ本体と第2のバルブ本体とを互いに接続することによって構成されており、前記ダイヤフラム前記外周縁部が前記第1のバルブ本体と前記第2のバルブ本体との間に挟持されている、請求項8に記載のダイヤフラムバルブ
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項21
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項21】
前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されており、前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接続され、前記力付与機構部が前記補助弁機能部を介して前記ダイヤフラムの前記弁機能部に力を付与するようになっている、請求項13に記載のダイヤフラムバルブ。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項24
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項24】
前記補助ダイヤフラムの前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接離可能に構成され、前記弁機能部に力を付与できるようになっている、請求項23に記載のダイヤフラムバルブ。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一つの実施形態として、前記弁機能部が弁体部であるようにすることができる。この場合、前記弁体部の底面部が架橋樹脂材料から形成された弁機能部架橋樹脂部分によって構成されていることが好ましい。例えば弁機能部が弁座に接離する弁体部である場合、弁体部の底面部の耐摩耗性も向上するので、弁体部の底面部からのパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
他の実施形態として、前記バルブ本体が第1のバルブ本体と第2のバルブ本体とを互いに接続することによって構成されており、前記ダイヤフラムの前記外周縁部が前記第1のバルブ本体と前記第2のバルブ本体との間に挟持されているようにすることもできる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
前記ダイヤフラムバルブは、樹脂材料から形成された補助ダイヤフラムをさらに備えており、該補助ダイヤフラムが、中央に設けられた補助弁機能部と、該補助弁機能部から外方に延び且つ移動軸線方向に変形可能な環状の補助膜部と、該補助膜部の外縁部に接続され且つ二つの部材の間に挟持される補助外周縁部とを含み、前記補助膜部によって移動軸線方向に移動可能に支持されており、前記補助弁機能部が前記ダイヤフラムの前記弁機能部と接続され、前記力付与機構部が前記補助弁機能部を介して前記ダイヤフラムの前記弁機能部に力を付与するようになっていてもよい。この場合、前記補助膜部が、非架橋樹脂材料から形成される補助膜部非架橋樹脂部分と、前記非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料から形成される補助膜部架橋樹脂部分とを有し、前記補助膜部架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助外周縁部と隣接する部分を構成し、前記補助膜部非架橋樹脂部分が前記補助膜部において前記補助膜部架橋樹脂部分よりも前記補助弁機能部に近い側の部分を構成するようにすることが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明によれば、膜部において膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部に近い側部分が膜部非架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料として屈曲性に優れた樹脂材料を選択すれば、膜部は移動軸線方向に沿った弁機能部の移動に追随するのに十分な屈曲性を維持することが可能となる。また、膜部において外周縁部に隣接する部分は、膜部非架橋樹脂部分を形成する非架橋樹脂材料を架橋させた架橋樹脂材料によって形成された膜部架橋樹脂部分によって構成されているので、膜部において弁機能部に近い側の部分よりも耐摩耗性が高くなる。したがって、移動軸線に沿った弁機能部の往復動に伴って膜部が変形する際に、外周縁部に隣接する部分がダイヤフラムに隣接する他の部材に接触していても、摺動による膜部の摩耗が生じにくくなり、パーティクルの発生が抑制される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
このように、背圧弁311では、弁体部370の上下動に伴う主ダイヤフラム315の第1の基台部353の上下動の際に、主ダイヤフラム315の第1の膜部355が変形し、第1の膜部355における第1の外周縁部357との接続部分すなわち第1の外周縁部357に隣接する部分も、第1の外周縁部357を挟持するダイヤフラム押さえ359の形状に沿って変形する。このとき、第1の膜部355における第1の外周縁部357との接続部分がバルブ本体313に対して摺動を繰り返して、摩擦による摩耗でパーティクルを発生し得る。第1の膜部355における第1の外周縁部357の付近における第1の膜部355とバルブ本体313との接触箇所は、第1の弁室319a内の接液領域に面しているので、パーティクルが発生すると、背圧弁311内を流通する流体中にパーティクルが混入する。しかしながら、主ダイヤフラム315は、ダイヤフラム15と同様に、第1の膜部355と第1の外周縁部357との接続部分が架橋樹脂材料から形成されており、第1の膜部355が、非架橋樹脂材料から形成されている膜部非架橋樹脂部分と、架橋樹脂材料から形成される膜部架橋樹脂部分とを有している。第1の膜部355の膜部架橋樹脂部分は第1の外周縁部357と隣接する部分を構成しており、第1の膜部355の膜部非架橋樹脂部分は膜部架橋樹脂部分よりも弁機能部である第1の基台部353に近い側の部分を構成している。したがって、本発明によるダイヤフラムである主ダイヤフラム315を背圧弁311に使用した場合でも、ダイヤフラム15と同様にパーティクルの発生を抑制する効果を奏することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
図14に示されている実施形態では、第1の力付与機構部517は、第1のダイヤフラム515の弁体部553の駆動部として機能するものであり、内部に機構収容空間が形成された筐体517aと、外周縁部をダイヤフラム押さえ559と第1の力付与機構部517の筐体517aとの間に挟持されて機構収容空間内に支持された駆動ダイヤフラム517bとを有し、駆動ダイヤフラム517bの中央の駆動基台部が第3のダイヤフラム516Bの基台部554Bに連結されている。第1の力付与機構部517は駆動ダイヤフラム517bによって上側空間と下側空間とに区画されており、上側空間に対して作動流体の供給及び排出を行うことによって、駆動基台部を上下動させることができるようになっている。第1の力付与機構部517の駆動基台部は第3のダイヤフラム516Bの第2の基台部554Bに連結され、第2の基台部554Bが第1のダイヤフラム515の弁体部553に連結されているので、第1の力付与機構部517が第3のダイヤフラム516Bを介して第1のダイヤフラム515の弁体部553に力を付与して駆動することができる。すなわち、弁体部553は、第3のダイヤフラム516Bを介して第1の力付与機構部517によって駆動することができる。また、図14に示されている実施形態では、第2の力付与機構部518は、その内部の機構収容空間内に上下動可能に配置されたピストンと、ピストンの上部に設けられた鍔部と機構収容空間の底部との間に配置されたコイルばねとを有しており、コイルばねによりピストンに上向きの付勢力を付与するようになっている。ピストンは、第2のダイヤフラム516Aの第1の基台部554Aに連結されており、第1の基台部554Aが第2の力付与機構部518のコイルばねによって上向きの付勢力を付与されている。第1の基台部554Aは、第1のダイヤフラム515の弁体部553に連結されているので、第2の力付与機構部518が第2のダイヤフラム516Aを介して第1のダイヤフラム515の弁体部553に付勢力を作用させることができる。すなわち、弁体部553は、第2のダイヤフラム516Aを介して第2の力付与機構部518によって弁座521に押し付けられる方向の上向きの付勢力を作用される。