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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163834
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】体毛処理具の加熱機構
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20241115BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20241115BHJP
   A45D 1/28 20060101ALI20241115BHJP
   B26B 19/48 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
A45D1/00 503A
A45D1/28 C
A45D1/00 504B
B26B19/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183360
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2023079718
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023153959
(32)【優先日】2023-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】渡部 要
(72)【発明者】
【氏名】峰村 千尋
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056JE01
3C056MB01
(57)【要約】
【課題】 体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具において、加熱速度の速い加熱手段を備えると共に安定的に適温を維持することのできる技術を提供すること。
【解決手段】 使用者の体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具における加熱機構であって、体毛処理具本体又は外部から発熱するための電力を受電する受電手段と、電力により体毛や肌面を加熱をする第1加熱手段及び第2加熱手段の少なくとも2以上の加熱手段とを備えた構成において、第2加熱手段の加熱速度が、第1加熱手段の加熱速度よりも速いことを特徴とする体毛処理具の加熱機構を提供する。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具における加熱機構であって、
体毛処理具本体又は外部から発熱するための電力を受電する受電手段と、
電力により体毛や肌面を加熱をする第1加熱手段及び第2加熱手段の少なくとも2以上の加熱手段とを備えた構成において、
該第2加熱手段の加熱速度が、該第1加熱手段の加熱速度よりも速い
ことを特徴とする体毛処理具の加熱機構。
【請求項2】
前記第1加熱手段の比熱が、前記第2加熱手段の比熱よりも大きい
請求項1に記載の体毛処理具の加熱機構。
【請求項3】
前記第1加熱手段が、前記第2手段を加熱可能である
請求項1又は2に記載の体毛処理具の加熱機構。
【請求項4】
前記第1加熱手段に少なくともフィルムヒータを備えると共に、
前記第2手段に少なくともニクロム線を備える
請求項3に記載の体毛処理具の加熱機構。
【請求項5】
前記体毛処理具が、前記体毛を切断する切断刃を備える構成において、
前記第1加熱手段が該切断刃を加熱し、
前記第2加熱手段が使用者の肌面を加熱する
請求項1又は2に記載の体毛処理具の加熱機構。
【請求項6】
前記体毛処理具が、ヘアアイロンであって、
該ヘアアイロンにおいて髪と接触して加熱するアイロン部に前記第2加熱手段を配設すると共に、
前記第1加熱手段は該アイロン部の髪と反対側に配設する
請求項1又は2に記載の体毛処理具の加熱機構。
【請求項7】
前記第1加熱手段と前記第2加熱手段との間に第1加熱手段の熱を蓄熱する蓄熱部材を備えた、
請求項6に記載の体毛処理具の加熱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の髪、髭、ムダ毛等の体毛を処理する体毛処理具の加熱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
髪、髭、ムダ毛等の体毛を処理するさまざまな体毛処理具が知られている。例えばヘアアイロンは、板状あるいは棒状のアイロン部を髪と接触させて加熱し髪型を変化させる器具である。また、使用者の髭を剃るシェーバーや、ムダ毛等の体毛を切断するトリマーなどの体毛処理具も古くから用いられている。
【0003】
シェーバーやトリマーにおいては、剃毛時に刃が皮膚を傷つけたり器具と肌が擦れてダメージを与えることが問題となっている。また、単に体毛を切断するだけでなく、その動作に合わせて様々な美容作用を行うことはあまり行われていない。
【0004】
剃毛時のダメージを軽減する方法として、肌を加温することが知られている。
例えば、特許文献1は回転式電気かみそりにおいて、回転する刃の背面側に面ヒータを備える構成を開示している。特許文献2では、往復式電気かみそりにおいて、内刃ブレードよりもかなり本体内部に近い部位にヒータを設けることが開示されている。
【0005】
様々な美容作用を行う構成について特許文献3は出願人による先行発明であり、カッタユニットの背面側にフィルムヒータを備える構成を開示している。また、ヘッド部に特定作用を与える作用手段を備えて、高周波による加熱作用、EMSに係る作用、イオン導入に係る作用、イオン導出に係る作用などを行うことを記載している。
【0006】
一方、ヘアアイロンにおいては本質的に髪を加熱する器具であり、加熱の制御に係る技術は多数提案されている。また、特許文献4及び5に開示されるように加熱棒内部に蓄熱材を備えて、ヒータの発熱を停止した後に徐々に放熱させることで長時間使用を可能としたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57-183887号公報
【特許文献2】特開昭62-139689号公報
【特許文献3】特開2022-187098号公報
【特許文献4】公開実用新案公報昭54-164785号
【特許文献5】公開実用新案公報昭52-122879号
【特許文献6】特許第6901156号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような先行技術文献に開示される技術では、体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具は多く開示されているが、器具を素早く昇温し、適温を維持する好適な技術は提供されていない。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑み、体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具において、加熱速度の速い加熱機構を備えると共に安定的に適温を維持することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は次のような体毛処理具の加熱機構を提供する。
すなわち、本発明の第1の実施態様によれば、使用者の体毛や肌面を加熱する機能を備えた体毛処理具における加熱機構であって、体毛処理具本体又は外部から発熱するための電力を受電する受電手段と、電力により体毛や肌面を加熱をする第1加熱手段及び第2加熱手段の少なくとも2以上の加熱手段とを備えた構成において、第2加熱手段の加熱速度が、第1加熱手段の加熱速度よりも速いことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の実施態様によれば、上記の第1加熱手段の比熱が、第2加熱手段の比熱よりも大きい構成でもよい。
【0011】
本発明の第3の実施態様によれば、上記の第1加熱手段が、第2手段を加熱可能である構成でもよい。
【0012】
本発明の第4の実施態様によれば、上記の第1加熱手段に少なくともフィルムヒータを備えると共に、第2手段に少なくともニクロム線を備える構成でもよい。
【0013】
本発明の第5の実施態様によれば、上記の体毛処理具が、体毛を切断する切断刃を備える構成において、第1加熱手段が切断刃を加熱し、第2加熱手段が使用者の肌面を加熱する構成でもよい。
【0014】
本発明の第6の実施態様によれば、上記の体毛処理具が、ヘアアイロンであって、ヘアアイロンにおいて髪と接触して加熱するアイロン部に第2加熱手段を配設すると共に、第1加熱手段はアイロン部の髪と接触する側の反対側に配設する構成でもよい。
【0015】
本発明の第7の実施態様によれば、上記の第1加熱手段と第2加熱手段との間に第1加熱手段の熱を蓄熱する蓄熱部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成により次のような効果を奏する。
すなわち、電力により体毛や肌面を加熱をする第1加熱手段及び第2加熱手段を備え、その第2加熱手段の加熱速度が、第1加熱手段の加熱速度よりも速い構成とすることにより、第2加熱手段によって素早く器具を昇温すると共に、第1加熱手段によって安定的に適温を維持することができる。
【0017】
特に、第1加熱手段の比熱が、第2加熱手段の比熱よりも大きくすることにより、比熱が相対的に小さい第2加熱手段は速く昇温しやすいメリットの一方で、冷めやすく温度の維持が難しい点を、温度の維持を図りやすい第1加熱手段によって相互に特性を補うことができる。
【0018】
本発明をシェーバーやトリマーに用いることで、体毛や肌面を良好に加熱し、剃毛時の肌や毛穴のダメージを軽減することができる。体毛処理具の肌への密着性を高めて深ぞりを可能にし、埋没毛ができにくい効果も有する。肌を温めることは、皮膚の血流増加、緊張緩和、保湿効果など様々な美容効果を奏する。
【0019】
本発明をヘアアイロンに用いることで、素早く昇温してすぐに使用を開始できると共に、適温を安定的に維持することで毛髪へのダメージを抑制し、好ましい作用を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施例に係る体毛処理具の正面側斜視図。
図2】第1実施例に係る体毛処理具の断面図。
図3】第1実施例に係る体毛処理具のヘッド部の内部機構を示す断面図。
図4】第1実施例に係る体毛処理具の切断刃の詳細を示す断面図。
図5】第1実施例に係る加熱機構の構造を示す説明図。
図6】第1実施例に係る発光手段の様々な実施形態を示す説明図。
図7】第1実施例に係る加熱機構の配置方法を示す説明図。
図8】第1実施例に係るヘッド部の正面側斜視図。
図9】第1実施例の別態様に係る第2加熱手段の分解説明図。
図10】第1実施例の別態様カッタユニットとヘッド部との着脱の様子を示す図
図11】第1実施例の別態様に係るヘッド部の側面断面図
図12】同、正面断面図である。
図13】第2実施例に係る体毛処理具の斜視図。
図14】第2実施例に係る加熱機構の説明図。
図15】第3実施例に係る体毛処理具の斜視図。
図16】第3実施例に係る加熱機構の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
(第1実施例)
体毛処理具がシェーバーやトリマーなどの体毛を切断する切断刃を備えた構成について説明する。図1は本発明に係る体毛処理具の正面側斜視図、図2は右側面視の断面図である。以降、図1の向きを基準として正面側を前方、平面側を上方として説明する。
【0022】
体毛処理具の本体(1)は、本体(1)の上端部に設けられるヘッド部(2)と使用者が把持する略角柱状の把持部(3)とからなる。
【0023】
ヘッド部(2)には体毛を切断する切断刃を有するカッタユニット(20)と、カッタユニット(20)の前方及び後方にカッタユニット(20)の長手方向と平行に前伝熱体(21)と後伝熱体(22)を配設している。後述するように加熱機構の一部である前伝熱体(21)と後伝熱体(22)は直接、及び切断刃を介して使用者の肌を加熱する。
【0024】
ヘッド部(2)のカッタユニット(20)の前伝熱体(21)のさらに前方には、光を放射する発光窓(23)を備える。発光窓(23)はポリカーボネート製の透過材であり、内部の発光ダイオードの光を肌面に対して放射する出口である。発光窓(23)もカッタユニット(20)の長手方向と平行に設けられている。このため、カッタユニット(20)の短手方向に肌面上を摺動させた時に、前伝熱体(21)、後伝熱体(22)、発光窓(23)の全てが順に肌に対して作用することができるように配置されている。
発光窓の素材にはその他、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなど任意の材料を用いることができ、例えば乳白色で透過な形態が好ましい。
【0025】
把持部(3)は使用者が手で持ってヘッド部(2)を処理を行いたい部位に当てるように持ちやすく形成されている。正面側には操作ボタン(30)類が配置され、図示の実施例では、下に電源スイッチ(300)、上にモード切替スイッチ(301)が設けられる。また操作ボタン(30)の動作に応じて発光するランプ(31)類として、電源ランプ(310)とモード表示ランプ(311)(312)が設けられている。
【0026】
図2を用いて把持部(3)の内部構造を説明すると、内部には給電手段として充電池(32)と、カッタユニット(20)や加熱機構、発光手段を制御する制御回路基板(33)と、下端面に充電のために用いる充電ポート(34)、とを備えている。
【0027】
ヘッド部(2)の内部には、カッタユニット(20)の駆動手段であるモータ(24)と、モータ(24)の回転運動を切断刃の左右往復運動に変換するカム機構(25)、その他発光手段や加熱機構が配設されている。
【0028】
図3は、体毛処理具のヘッド部の内部機構を示す断面図である。モータ(24)の回転軸(240)に設けられたウェイト(241)に偏心して設けられる突起がカム機構(25)のホルダ(250)の下端に設けられた溝に係合し、突起の位置によってホルダ(250)が左右に揺動する。ホルダ(250)の中途には揺動軸(251)が固定されているので、ホルダ(250)の上端のカッタユニット連結部(252)が下端の溝の揺動とは反対向きに揺動する。
【0029】
カッタユニット連結部(252)はカッタユニット(20)におけるカム連結部(200)が着脱自在に連結される。モータ(24)が回転したときに、カム機構(25)を介して、カッタユニット(20)における切断刃の左右往復運動として伝動されることになる。
【0030】
図4は、体毛処理具の切断刃の詳細を示す断面図である。
本実施例の切断刃は、網目状で肌に接して主として深ぞりをするためのメイン刃(201)と、その前後に2つのサイド刃(202)(203)を備えている。
ただし、本発明においてどのような切断刃を備えるかは任意であり、メイン刃のみ、志度刃のみでもよい。また、主としてひげ剃りを行うシェーバー、主としてムダ毛の切断を行うトリマーのどちらの器具でもよく、両方を備えていてもよい。また、対象とする体毛に合わせて切断刃の態様は任意である。
【0031】
メイン刃(201)は網目状のネット刃(201a)と、肌面と反対面に密接して設けられているネット内刃(201b)とから構成され、ネット内刃(201b)が左右に摺動してネット刃(201a)の網目から中に入る体毛を切断する。このような構成自体はシェーバーなどにおいて周知である。
【0032】
メイン刃(201)は前後方向の中央が最も高い円弧状をなしている。なお、顔の曲面に合わせて、左右方向の中央を凹ませた形状とすることもできる。
【0033】
サイド刃(202)はメイン刃(201)に対してそれぞれ70度~80度傾斜した外側に向けて設けられており、固定されている内刃(202a)と、カム連結部(200)と共に左右に摺動する外刃(202b)とからなる。ここで前側のサイド刃(202)について説明したが、後側のサイド刃(203)についても対称形で同一である。
【0034】
カッタユニット(20)を肌に沿って摺動したときに、進行方向の上流にあるサイド刃(202)(203)が体毛をまず短く切断した後、メイン刃(202)によって短い毛がさらに深く剃られる。
【0035】
従来の一般的なシェーバーではメイン刃だけを備えるので、長い体毛は網目の中に入ることができず、処理ができない問題があった。本発明は上記のようにサイド刃(202)(203)を備えて長い体毛を先に短くすることで、メイン刃(201)によって確実に深く剃ることができる。
【0036】
サイド刃(202)(203)は上記のようにメイン刃(201)の長手方向に平行に、両側に設けることが好ましいが、発光窓(23)との配置の都合により後側だけでもよい。
また、メイン刃(201)は何度も近い場所を往復させるので、メイン刃(201)の左右両側、左右どちらか一方に設けることもできる。
【0037】
本発明では、カム連結部(200)の近傍に左右方向に伸びた軸を中心に前後に30度程度、カッタユニット(20)が揺動するように構成してもよい。これによって肌面の細かい凹凸にもフィットさせることができる。
【0038】
上述した通り、メイン刃(201)とサイド刃(202)(203)の間には前伝熱体(21)と後伝熱体(22)がそれぞれ設けられている。前伝熱体(21)と後伝熱体(22)はネット刃(201a)の円弧形に沿った円弧状の連結部材(210)によって左右両側が連結され平面視において矩形の一体的部材である。
そして前伝熱体(21)、後伝熱体(22)、連結部材(210)は熱伝導率の高い材料、例えば銅などで形成されており、本体(1)で発生させた熱を効率良く肌や切断刃に伝導する。
熱伝導率の高い素材として、アルミニウム等の金属、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミックなども好ましく、これらに表面処理を施してもよい。
【0039】
図5は、本発明に係る加熱機構の構造を示す説明図である。本発明において加熱機構は充電池(32)等の本体(4)から電力を受電するために配線、基板上のパターン、コネクタなどの受電手段を備える。
受電手段は本体(4)以外に外部の充電池や電源アダプタから受電する構成でもよい。加熱機構は本体(4)と一体ではなく、外部装置として提供されてもよい。
【0040】
図5は、前伝熱体(21)、後伝熱体(22)、連結部材(210)を下方から見ている。連結部材(210)の左右端から下方に延長した領域をさらに備えており、これと別の伝熱体(26)が接続されている。伝熱体(26)も銅などの熱伝導率の高い材料で形成され、その下面(26a)には電気によって加熱する第1加熱手段であるフィルムヒータ(27)が貼着されている。また、前伝熱体(21)、後伝熱体(22)の内側には第2加熱手段であるニクロム線(図示せず)を配置することができる。
【0041】
フィルムヒータ(27)が発熱すると、伝熱体(26)を介して連結部材(210)、前伝熱体(21)、後伝熱体(22)と伝熱し、これらで構成される加熱機構によって肌面や切断刃、例えばネット刃(201a)やネット内刃(201b)が加熱される。
このように切断刃を取り囲むようにいくつかの伝熱体を備えて、切断刃全体を温めることによって加温による効果を十分に奏することができる。
【0042】
本発明では第1加熱手段だけでなく第2加熱手段を備えることを特徴とする。第2加熱手段は、第1加熱手段の加熱速度よりも速い異なる特性を有し、例えばフィルムヒータとニクロム線のように異なる熱源を用いることが好ましい。第2加熱手段については後段で詳述する。
【0043】
前伝熱体(21)や後伝熱体(22)を加熱する温度は30℃ないし50℃程度が好ましい。従来技術のようにニクロム線など加熱速度の速い熱源だけを使用すると温度変化が大きすぎて高温になりやすい課題がある。そこで、フィルムヒータ(27)を使用して全体的に温度を上げることにより、ニクロム線への通電時間を短くすることができ、過度の高温にならない。同時に、少ないスペースで適した加熱が可能である。
肌面を温めながら処理を行うことによって、肌の柔軟性が上がり毛を引っ張ったり剃刀による刺激を緩和させることができる。また、肌が柔軟になることで切断刃との密着度が上がり、深剃りが可能となる。合わせて、埋没毛ができにくい効果も有する。
【0044】
また、体毛自体も温められることで柔らかくなり、剃毛時の毛穴負担を減らすことができる。使用感としても、蒸しタオルで温めたような柔らかい温度で、心地よく使用が可能となる。
肌を温めることは、皮膚の血流増加、緊張緩和、保湿効果など様々な美容効果を奏する。
【0045】
本発明において、切断刃に表面処理、特に黒色酸化被膜処理を施すことも好ましい。黒色酸化被膜処理により耐食、耐熱、耐候、耐薬品などの耐久性の向上が図られるだけでなく、保熱しやすい黒色表面によって加熱機構からの熱放射率が高められる効果を奏する。これにより体感温度が高まり、使用感が向上する。
【0046】
このように切断刃を保熱しやすい塗装を行うことで切断刃を、フィルムヒータ(27)から発生した熱を蓄熱する蓄熱部材として利用することもできる。加熱手段だけでなく熱容量の大きな蓄熱部材をさらに備えることによって、温度が安定する。起動時に急激に温度が過熱したり、肌と接触して急激に温度が低下したりすることを防ぐことができる。
【0047】
蓄熱性をさらに高めるために、切断刃の側面に蓄熱性塗膜を形成する蓄熱塗料を塗布してもよい。蓄熱塗料の例としては上記特許文献6(特許第6901156号)に開示されるように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーを用いたものなどが知られている。
蓄熱塗料を切断刃の他、伝熱体(26)、前伝熱体(21)、後伝熱体(22)、ネット刃(201a)、ネット内刃(201b)などの部材に施して蓄熱部材として機能させてもよい。
【0048】
さらに、パラフィンや脂肪酸等の有機系の蓄熱材、水和塩を用いた無機系の蓄熱材を別部材として介在させてもよい。例えば、ネット刃(201a)やネット内刃(201b)の裏側(フィルムヒータ側)に蓄熱材の層を形成して蓄熱性を高めてもよい。
【0049】
上記表面処理の副次的な効果として、金属の質感から、切断刃が黒色の独特の外観の製品を提供することができる。黒色酸化被膜処理に合わせて周辺の部材や筐体についても黒色として輻射熱の増加を図っても良い。
表面処理としては、黒色酸化被膜処理の他、四三酸化鉄皮膜や電解酸化発色などの参加皮膜処理、亜鉛メッキや塗装など、任意のものから選択することができ、これら様々な表面処理によっても上記効果を得ることができる。
【0050】
次に発光手段について説明する。
図3に示すように、サイド刃(202)の直前方に発光窓(23)が設けられている。発光窓(23)は、ヘッド部(2)のヘッド部前カバー(28)に凹部として設けられたLED収容空間(280)を防水しながら塞ぐように固定されている。
【0051】
そして、LED収容空間(280)には複数のLED(230)がLED基板(231)上に配置され、制御回路基板(33)やLED基板(231)の制御によってLEDを発光させ、発光窓(23)から切断刃の近傍に肌面に対して美容効果を奏する光を放射する。
【0052】
LED(230)の配列方向は任意であるが、発光窓(23)がカッタユニット(20)の長手方向と平行であり、LEDも略平行な方向に分散して配置することが好ましい。
【0053】
本発明の発光手段は従来技術のように証明や、光触媒として作用させるものではなく、肌にハリ・うるおい効果をもたらす美容効果を奏するものである。そのため、LED(230)には、さまざまな美容効果が知られている光の波長として360nm~1000nmの範囲が好ましい。特にうるおい効果を重視すると、赤色(波長615~630nm)を用いることが好ましい。
【0054】
発光手段の光源としては、光の波長が1μm~1000μmの範囲としてもよい。この波長域の光源を用いることにより、皮膚の血流増加の効果、緊張緩和の効果、皮膚の保湿効果などを奏することができる
また、発光手段として温熱効果を有する赤外線、例えば遠赤外光を発光する光源を用いてもよい。
【0055】
図6は、本発明に係る発光手段の様々な実施形態を示す説明図である。
(a)は上記実施例を示している。カッタユニット(20)の長手方向と平行で下方に設けた例である。切断刃を摺動した時に、例えば肌にうるおいを与えながら処理ができる。
【0056】
(b)はカッタユニット(20)の裏側(下方側)に複数のLEDを配置した例である。省スペースで発光手段を設けることができるほか、光源によっては切断刃の加温にも用いることができる。
【0057】
(c)は、カッタユニット(20)の長手方向と平行で上下両側に細い発光手段をそれぞれ設けた例である。微小なLEDを用いることで、小さなスペースでカッタユニット(20)の摺動の方向に関わらず肌面に作用させることができる。
【0058】
(d)は、(a)の実施例と近いが微小なLEDを用いることで、小さなスペースで本発明を実施することができる。
【0059】
図7は、本発明に係る第1加熱手段の別の配置方法を示す説明図である。
上記実施例は、前伝熱体(21)と後伝熱体(22)を備えて切断刃だけでなく肌に対しても直接加熱することができる構成であったが、本実施例ではシェーバーの下部にヒータを直接設けて、切断刃を下方から加熱する構成である。本実施例は、ヒータを備えた熱伝導率の高い材質(銅、アルミなど)を本体内部に配置し、切断刃の側面から熱を与え、切断刃を通して間接的に肌を温めるものである。
【0060】
図7(b)に示すように、この配置方法ではシェーバーとヒータとが着脱できるように別体で構成されている。これによってシェーバーを取り外して掃除したり、ヒータを濡らすこと無く水洗いすることもできる。また、刃の切れ味が悪くなったときに刃だけを取り替えたり、故障時のパーツの交換を部分的に行うことができるなど、メンテナンス性や補修、修理コストを抑える利点がある。
【0061】
さらに加熱方法の別実施例として、本体(1)に加熱機構として高周波電流の発生回路を備え、切断刃(上記実施例では例えばネット刃(201a)など)を電極として肌に高周波電流を通電し、肌におけるジュール熱により加熱することもできる。
【0062】
次に本発明における第2加熱手段について説明する。図8は、第2加熱手段を備えたヘッド部の正面側斜視図である。
体毛処理具の本体(4)は、本体(4)の上端部に設けられるヘッド部(40)と使用者が把持する略角柱状の把持部(41)とからなる。
【0063】
ヘッド部(40)には体毛を切断する切断刃を有するカッタユニット(42)と、カッタユニット(42)の前方及び後方にカッタユニット(42)の長手方向と平行な板状部分を有する上ケース(43)を有して、上ケース(43)は直接に使用者の肌を加熱する。
上ケースは銅など熱伝導性の高い素材で形成され、セラミックコートにより錆を防止し、平滑な表面としている。
【0064】
別実施例において、発光手段はヘッド部(40)の本体側、カッタユニット(42)着脱部分の前後両側にレンズ体(44)が設けられ、本体(4)内のLEDの光を導光して発光する。
把持部(41)の構成については上記実施例と同様であるので説明を省略する。また、ヘッド部(40)におけるカッタユニットの駆動方法などについても上記実施例と同様であるので説明を省略する。
【0065】
図9は第2加熱手段を説明するための分解説明図、図10はカッタユニット(42)とヘッド部(40)との着脱の様子を示す図である。
上ケース(43)は、上ケースカバー(430)と、前後2本のニクロム線(431)(431)、上ケースベース(432)とから構成され、その下にカッタユニット(42)が配置される。なお、第2加熱手段を説明するために上記実施例とは別の本体(4)の図を用いて説明する。
【0066】
カッタユニット(42)は上記実施例と同様に、メイン刃(420)、サイド刃(421)(422)、メイン刃(420)はネット刃(420a)とネット内刃(420b)とからなる。
【0067】
第2加熱手段として、ニクロム線(431)(431)に通電してジュール熱による発熱を行う。ニクロム線は、上記第1加熱手段で用いたフィルムヒータと比して加熱速度が十分速く、フィルムヒータが加温されるよりも前に速やかに温度が上昇する。
そこで、ニクロム線(431)はコ字状に曲げて形成され、コ字の略全長は絶縁を目的として絶縁チューブ(431a)で被覆される。絶縁チューブ(431a)によって電気と水を防ぎ、熱のみを伝えることができる。
【0068】
ニクロム線(431)の下端、両端部はコイル状(431b)(431b)に巻回される。コイル状部分(431b)をヘッド部(40)の着脱部に設けられた四隅の通電突起(440)に嵌入して、本体(4)側から電源が供給される。
従って、第2加熱手段もカッタユニット(42)の着脱と共にヘッド部(40)に対して着脱することができる。
【0069】
ニクロム線(431)の熱は、熱伝導性の高い上ケースカバー(430)に伝わり肌に当接することで肌を加温する。ニクロム線(431)と上ケースカバー(430)は直近に配置され、ニクロム線の加熱速度が高いことによって、フィルムヒータよりも急速に加熱される。そして、上ケースカバー(430)の細長の面からピンポイントに肌を加熱することができる。
【0070】
ニクロム線は他の素材でもよく、例えばカンタル線やタングステンなどジュール熱を発生する素材を任意に用いることができる。適用する部位の大きさにより、フィルムヒータやセラミックヒータなどを用いてもよい。
また、上記実施例において高周波電流の発生回路から切断刃を電極として肌に高周波電流を通電し、肌におけるジュール熱により加熱することを示したが、第2加熱手段として切断刃からのジュール熱を用いる構成でもよい。
【0071】
図11は別態様に係るヘッド部の側面断面図、図12は同、正面断面図である。図示されるようにカッタユニット(42)の下側にはフィルムヒータ(450)が配置され、それと広い面で面接触する伝熱体(451)がL字状の断面でカッタユニット(42)の前後両側を囲むように設けられる。
本実施例におけるフィルムヒータ(450)及び伝熱体(451)はそれぞれ1枚の部材であり、カッタユニット連結部(252)を通す穴が設けられている。
【0072】
伝熱体(451)は銅などの熱伝導性の高い材料で形成され、カッタユニット(42)の側面(423)(423)(図9参照)の傾斜に沿って接触することでカッタユニット(42)に熱を伝導する。
側面(423)と伝熱体(451)とは面接触ではなく側面(423)の各2つの突起(424)と点で接触し、両者の間に空隙が設けられている。
【0073】
さらに、加熱機構の温度を制御するための2つのサーミスタを配置している。第1のサーミスタは肌に近い部分(460)でニクロム線から離隔した位置に配置される。第1のサーミスタにより温度を測定し、本体(4)の制御回路によりPWM制御によって温度をコントロールする。
【0074】
本実施例において、温度は40度、50度、60度の3段階で温度設定できるようにPWM制御される。設定温度よりも低く差が一定以上ある場合にはOFF時間を無くして一気に温度を上げ、設定温度に近づいてきたらPWM制御でOFF時間を長くする。本制御により、オーバーシュートを少なくするように調整することができる。
【0075】
第1加熱手段と第2加熱手段の温度について異なる温度に制御してもよい。例えば第2加熱手段の温度を上記で40度に設定した時、第1加熱手段の温度は37度となるように制御することができる。同様に、50度の設定時は46度、60度の設定時は55度にそれぞれ第1加熱手段の温度を制御することが好ましい。
【0076】
第2加熱手段の温度を高く設定することで、素早く目的の温度に達する。一方、一定温度の保温機能を目的とする第1加熱手段は、それよりも低くしておくことで、第2加熱手段による微調整を容易とし、温度を下げる時にも、第1加熱手段の温度まではすぐに降下させることができる。
【0077】
従って、第1加熱手段の温度は、第2加熱手段よりも低く、好ましくは5~20%低く、あるいは2度ないし10度低く、より好適には3度ないし6度低くすることが好適である。
【0078】
第2のサーミスタはフィルムヒータ(450)に取り付けられ、フィルムヒータ(450)の過熱を防止する。
【0079】
ニクロム線(431)は図示のようにメイン刃(420)を挟んで両側に並列に設けられている。両側に配置することで肌面上をどの向きに摺動させたときも同じく加温され、快適な使用を行うことができる。
なお、それぞれのニクロム線(431)についてサーミスタを備えて、PWM制御によって両者の温度が適正となるように温度調整してもよい。
【0080】
本発明によると第2加熱手段を備えることにより、第1加熱手段よりも速やかに肌を加熱することができる。フィルムヒータで切断刃を介して加熱すると、熱容量が大きく、温度の変動を抑えることができるが、使用開始時に温度が上昇するまでに時間を要する問題がある。
第2加熱手段はより直接的に肌を温めることができることから使用性が向上する。
また、化粧水等の液体を肌に塗布する場合に、液体によって温度が降下する場合があるが、第2加熱手段によって温度の降下も抑えることができる。
【0081】
第1加熱手段は第2加熱手段自体を加熱する構成でもよい。すなわちフィルムヒータ(450)によってニクロム線(431)を加熱する。ニクロム線は熱容量が小さいため肌と接すると温度変化が大きいが、フィルムヒータ(450)によって加熱されることで、温度変化を抑えることもできる。
【0082】
第2加熱手段は、第1加熱手段と加熱速度が異なるものであって、例えば熱伝導率や、熱源の抵抗値が異なるものを用いることができる。上記フィルムヒータ(450)の代わりにセラミックヒータやシリコンラバーヒータなどを用いてもよく、第1加熱手段と第2加熱手段で用いる熱源の組み合わせは任意である。
【0083】
さらに、第2加熱手段にもフィルムヒータを用いてもよい。その場合、第2加熱手段のフィルムヒータは相対的に抵抗値が小さく大きな電流により加熱速度が高いもの、第1加熱手段は抵抗値が大きく熱容量の大きなものを使用してもよい。
【0084】
(第2実施例)
図13は、体毛処理具がヘアアイロン、特にストレートアイロンである本発明の実施例を示す。ヘアアイロンは例えば出願人による先行技術(WO2013/051427、特開2022-102628)等のように周知であるので、詳しい説明は省略する。
【0085】
本実施例におけるストレートアイロン(5)は、外部からの給電や本体内に備える充電池の電力により加熱機構の受電手段が電力を受け、アイロン部の第2加熱手段が毛髪と接触して加熱する。
【0086】
ストレートアイロン(5)には毛髪を挟む第1筐体(50)と第2筐体(51)がヒンジ(52)で開閉可能に構成され、第2筐体(51)にアイロン部(53)が配置されている。なお、アイロン部(53)と対向する第1筐体(50)の部位にも同様に図示しないアイロン部が設けられている。なお、アイロン部はどちらかの筐体だけに設けてもよい。
【0087】
アイロン部の表面には第2加熱手段である加熱プレート(530)を備え、毛髪と接触して髪型を変化させる。加熱プレート(530)は図示しないサーミスタにより適切な温度となるように温度制御する。温度は操作ボタン等により使用者が調整することもできる。
第2加熱手段はニクロム線やセラミックヒータの熱源を用いることができる。
【0088】
図14は、第2実施例の加熱機構の断面を示す説明図である。本発明では第2加熱手段に加え、アイロン部基体(532)の底面に断面コ字状の金属板(533)を付設し、さらに金属板(533)底面に第1加熱手段であるフィルムヒータ(534)を配設している。
フィルムヒータ(54)によって金属製のアイロン部基体(532)を加温し、アイロン部(53)が大きく温度変化しないように構成している。
【0089】
第1実施例と同様に、ストレートアイロン(5)にも制御回路やサーミスタを備え、第1加熱手段や第2加熱手段の温度を制御することができる。
【0090】
本実施例でも、加熱速度が相対的に速いニクロム線やセラミックヒータを用いた加熱プレート(530)と、加熱速度が遅いものの熱容量の大きなフィルムヒータ(534)を組み合わせることによって、温度変化が少なく適温を維持したストレートアイロン(5)が提供できる。
第1実施例と同様に、第1加熱手段と第2加熱手段の熱源はそれぞれ任意に変更可能であり、両方ともニクロム線やフィルムヒータとして抵抗の大小により加熱速度を変えることもできる。
【0091】
(第3実施例)
図15は、体毛処理具がヘアアイロン、特にカールアイロンである本発明の実施例を示す。
本実施例におけるカールアイロン(6)は、外部からの給電や本体内に備える充電池の電力により加熱機構の受電手段が電力を受け、アイロン部の第2加熱手段が毛髪と接触して加熱する。
【0092】
本図はカールアイロン(6)のアイロン部だけを図示している。
アイロン部(60)は図16に示すように半円筒状で、放射状に加熱凸部(600)・・を備える。加熱凸部(600)・・はそれぞれに加熱手段である発熱体(601)・・を内設している。
【0093】
発熱体(601)・・はニクロム線やセラミックヒータ等の熱源であり、これに加熱された金属製の加熱凸部(600)が毛髪と接触して髪型を変化させる。各発熱体(601)は図示しないサーミスタにより適切な温度となるように温度制御する。温度は操作ボタン等により使用者が調整することもできる。
【0094】
本発明では第2加熱手段に加え、アイロン部基体(610)の底面に断面コ字状の金属板(611)を付設し、さらに金属板(611)底面に第1加熱手段であるフィルムヒータ(612)を配設している。
フィルムヒータ(612)によって金属製のアイロン部基体(610)を加温し、アイロン部(60)が大きく温度変化しないように構成している。
【0095】
第1実施例と同様に、カールアイロン(6)にも制御回路やサーミスタを備え、第1加熱手段や第2加熱手段の温度を制御することができる。
【0096】
本実施例でも、加熱速度が相対的に速いニクロム線やセラミックヒータを用いた発熱体(601)と、加熱速度が遅いものの熱容量の大きなフィルムヒータ(612)を組み合わせることによって、温度変化が少なく適温を維持したカールアイロン(6)が提供できる。
第1実施例と同様に、第1加熱手段と第2加熱手段の熱源はそれぞれ任意に変更可能であり、両方ともニクロム線やフィルムヒータとして抵抗の大小により加熱速度を変えることもできる。
【0097】
本実施例では、第1加熱手段と第2加熱手段は独立して温度制御をしており、上述のように第1加熱手段は設定温度より低い温度、第2加熱手段は設定温度で制御する。これによって温度上昇時に温度が上がりすぎることを防ぎ、第1加熱手段の熱量が大きいことで温度も下がりにくい制御が実現できる。
【0098】
本発明において設定温度に差を設けている目的の1つは、サーミスタで測定する各加熱手段の表面と、その内部の温度には差があり、正確な測定まで時間差が生じることから、一般的に熱容量の大きな第1加熱手段の温度把握が難しいこと、そして第1加熱手段を低い温度で制御することにより表面温度が高温になる時間を少なくすることが挙げられる。
【0099】
例えば、第2加熱手段の設定温度を60度とした時、第1加熱手段の温度が55度、第2加熱手段の温度が60度とすると、第1加熱手段の安定した温度によって表面が55度以下となる時間を少なくすることができる。
これに対して、第一加熱手段の設定温度を60度とすると、温度が低下した時に、第2加熱手段が60度以上の表面温度になっても、第1加熱手段の方は応答時間がかかるため、第1加熱手段のサーミスタはもっと低温を測定し、さらに加熱を続ける制御を行ってしまう。このように冷却機能をもたない機器では、設定温度以上に温度を上昇させすぎない制御が必要となる。
【0100】
なお、熱源の種類や目的により、温度の差は適宜変更可能である。
設定された温度が30度ないし70度の範囲であれば第1加熱手段を第2加熱手段よりも5~20%低く、あるいは2度ないし10度低く、より好適には3度ないし6度低くすることが好適である。一方、例えば180度の設定の場合、室温との差が大きくなるため、第1加熱手段の冷却速度も速くなり、その場合には温度差は小さくしてもよい。
同様に第1加熱手段の質量が小さい、あるいは表面積が大きく放熱しやすい場合には温度差を小さくしてもよい。逆に質量が大きい、あるいは密閉空間に収められているなど放熱しにくい構造の場合には、温度差を大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 本体
2 ヘッド部
20 カッタユニット
200 カム連結部
201 メイン刃
202、203 サイド刃
21 前伝熱体
210 連結部材
22 後伝熱体
23 発光窓
230 LED
231 LED基板
24 モータ
240 回転軸
241 ウェイト
25 カム機構
250 ホルダ
251 揺動軸
252 カッタユニット連結部
26 伝熱体
27 フィルムヒータ
28 ヘッド部前カバー
280 LED収容空間
3 把持部
30 操作ボタン
300 電源スイッチ
301 モード切替スイッチ
31 ランプ
310 電源ランプ
311、312 モード表示ランプ
32 充電池
33 制御回路基板
34 充電ポート
4 本体
40 ヘッド部
41 把持部
42 カッタユニット
43 上ケース
44 レンズ体
420 メイン刃
420a ネット刃
420b ネット内刃
421 サイド刃
422 サイド刃
423 側面
424 突起
430 上ケースカバー
431 ニクロム線
431a 絶縁チューブ
431b コイル状
431b コイル状部分
432 上ケースベース
440 通電突起
450 フィルムヒータ
451 伝熱体
460 サーミスタの設置部分
5 ストレートアイロン
50 第1筐体
51 第2筐体
52 ヒンジ
53 アイロン部
530 加熱プレート
531 部材
532 アイロン部基体
533 金属板
534 フィルムヒータ
6 カールアイロン
60 アイロン部
600 加熱凸部
601 発熱体
610 アイロン部基体
611 金属板
612 フィルムヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16