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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163835
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ワイヤー型の傘
(51)【国際特許分類】
   A45B 25/14 20060101AFI20241115BHJP
   A45B 25/16 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A45B25/14 Z
A45B25/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187932
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0061463
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523415338
【氏名又は名称】厦門明和実業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 漢育
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104TA01
3B104TA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】展開・折畳み用ワイヤーにより、構造の簡素化、軽量化、製造コスト低減するワイヤー型の傘を提供する。
【解決手段】中棒と中棒の上部に配置された上ろくろ(11)と中棒にスライド可能に嵌合する下ろくろ(20)と上ろくろ(11)と下ろくろ(20)に連結された傘骨(13)とを含む傘であり、一端が下ろくろ(20)に固定されて下ろくろ(20)を上ろくろ(11)の方向に引上げて傘を開く展開用ワイヤー(31)と、一端が下ろくろ(20)に固定されて下ろくろ(20)を中棒の下部に引下げて傘を折畳む折畳み用ワイヤー(33)と、両ワイヤー(31)(33)の他端が固定され、回転により両ワイヤー(31)(33)の巻戻し及び巻取りが逆になるプーリ(40)と、両ワイヤー(31)(33)がテンションを維持しプーリ(40)に巻戻し及び巻取りが行われるテンション部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中棒と、前記中棒の上部に配置された上ろくろと、前記中棒にスライド可能に嵌合する下ろくろと、前記上ろくろと前記下ろくろに連結された傘骨と、を含む傘であって、
一端が前記下ろくろに固定されて前記下ろくろを前記上ろくろの方向に引き上げて傘を開くようにする展開用ワイヤーと、
一端が前記下ろくろに固定されて前記下ろくろを前記中棒の下部に引き下げて傘を折り畳むようにする折畳み用ワイヤーと、
前記中棒の下部側に配置され、各前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーの他端が固定され、回転に応じて前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーの巻き戻しおよび巻き取りがそれぞれ逆になるプーリと、
各前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーがテンションを維持した状態で前記プーリに巻き戻しおよび巻き取りが行われるようにするテンション部と、を備えるワイヤー型の傘。
【請求項2】
前記テンション部は、前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方の一端と前記下ろくろの固定点との間に設けられた弾性部材によって構成される請求項1に記載のワイヤー型の傘。
【請求項3】
前記テンション部は、前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方で、前記プーリに巻かれない片側に設けられた弾性部材によって構成される請求項1に記載のワイヤー型の傘。
【請求項4】
前記中棒の下端に設けられた手元部をさらに含み、前記プーリは前記手元部の内部に設けられ、前記テンション部は前記プーリと前記中棒の下端との間に配置される請求項1に記載のワイヤー型の傘。
【請求項5】
前記手元部内に設けられ、前記プーリから延在する前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方を前記中棒の下端にガイドするガイドピンをさらに含み、前記テンション部は、前記ガイドピンと前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方との間に設けられた弾性部材によって構成される請求項4に記載のワイヤー型の傘。
【請求項6】
前記プーリは、それぞれ前記展開用ワイヤーと前記折畳み用ワイヤーにそれぞれ対応して2本で構成されるか、または各前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーが逆方向に巻回されて回転方向に応じて前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーの巻き戻しおよび巻き取りが逆に行われる二重プーリのいずれかで構成される請求項1に記載のワイヤー型の傘。
【請求項7】
前記中棒の下端に設けられた手元部をさらに含み、前記手元部内には、前記プーリと、前記プーリを回転駆動する駆動部と、前記駆動部を操作するための操作部と、をさらに含む請求項6に記載のワイヤー型の傘。
【請求項8】
前記駆動部に電源が入力されていない状態で、前記下ろくろを手動で押し上げたり引き下げたりして傘を開いたり折り畳んだりすることが可能に構成される請求項7に記載のワイヤー型の傘。
【請求項9】
傘の展開状態を固定する展開固定部をさらに含む請求項1または6に記載のワイヤー型の傘。
【請求項10】
前記下ろくろは、内部下ろくろと、前記内部下ろくろの外部に設けられ、前記内部下ろくろに対して設定距離だけ上下に相対移動が可能に設けられる外部下ろくろを含み、
前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーの一端は、前記外部下ろくろの一側にそれぞれ固定され、
前記展開固定部は、傘の展開状態における前記外部下ろくろの位置に対応して前記中棒の一側に設けられた挿入穴と、前記中棒に向かう前記外部下ろくろに設けられ、傘の展開時に、前記展開用ワイヤーにより上昇する前記外部下ろくろにより押圧されて前記挿入穴に引き込まれることによって、傘の展開状態を固定し、傘の折り畳み時に、前記折畳み用ワイヤーにより下降する前記外部下ろくろにより解除されて前記挿入穴から引き出されることにより、傘を折り畳むようにする弾性突起と、を含む請求項9に記載のワイヤー型の傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘の技術分野に関し、特に、傘の折り畳み・展開機構を2本の展開・折畳み用ワイヤーで実現し、各ワイヤーがテンションを維持することにより構成の簡素化、軽量化および製造コストを低減することができ、電動式自動傘で実現する場合であっても、手動で傘を開閉することが可能なワイヤー型の傘(Wire-type Umbrella)に関する。
【背景技術】
【0002】
傘は雨よけだけではなく、日傘、ゴルフ傘、手動傘、自動傘など、用途や種類がますます多様化している。
【0003】
従来に使用されていた手動傘は、傘骨、中棒、手元などで構成され、使用者が下ろくろを直接押し上げたり引き下ろしたりする動作によって傘を開いたり折り畳んだりすることができる。このような手動方式は、傘骨の間に複数のスプリングを設置して傘を開くときに復元力を蓄えて傘を折り畳むときに使用するが、使用者にとっては傘を広げるときに復元力を蓄えるための力まで加えなければならないため、使用が不便な点がある。
【0004】
一方、自動式傘は傘棒の内部に糸のような連結部材や複数の歯車列を設け、手元部分にこれを駆動するための駆動モータを設け、ボタン操作で傘を開いたり折り畳んだりすることができる。しかし、このような自動方式は、上記の連結部材や歯車列動作に必要な力以外にスプリングを引っ張る(または圧縮する)力まで必要となるため、トルクの大きい駆動モータを使用しなければならず、これにより製造コストが増大し、バッテリー消費量が大きくなるため、頻繁に交換したり充電したりする不都合が生じていた。
【0005】
また、韓国公開特許10-2023-0042361の「全自動開閉傘」に開示されているように、ラックとウォームギアおよびギアベルト等を用いることで開閉動作の信頼性を向上させる側面があるが、動力伝達構成が複雑で部材が多く、組み立てが難しく、製造コストが上がる上、多くの構成を中棒内部に設置する必要があるため、中棒の大きさが大きくなり、重くなり、使い勝手が悪いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、傘の折り畳み・展開機構を2本の展開・折畳み用ワイヤーで実現することにより構造の簡素化および軽量化が可能であり、製造コストを低減できるワイヤー型の傘を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、テンション部を介して展開用ワイヤーおよび/または折畳み用ワイヤーが使用その他の原因によって長さが変更した場合でもこれを補正することができるので、傘の誤動作を防止でき、製品の信頼性および耐久性を向上させることができるワイヤー型の傘を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、駆動モータ等を用いた自動傘に適用する場合でもプーリのみに回転力を提供すればよいので、自動傘の実現が極めて容易であり、特に二重プーリを用いる場合には、1つの駆動部で操作が可能であり、製造コストの削減、重量および体積の減少はもちろん、傘の開閉動作に必要な電力を最小限に抑えることができ、使用時間を最大化できるワイヤー型の傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明によるワイヤー型の傘は、中棒と、前記中棒の上部に配置された上ろくろと、前記中棒にスライド可能に嵌合する下ろくろと、前記上ろくろと前記下ろくろに連結された傘骨と、を含む傘であって、一端が前記下ろくろに固定されて前記下ろくろを前記上ろくろの方向に引き上げて傘を開くようにする展開用ワイヤーと、一端が前記下ろくろに固定されて前記下ろくろを前記中棒の下部に引き下げて傘を折り畳むようにする折畳み用ワイヤーと、前記中棒の下部側に配置され、各前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーの他端が固定され、回転に応じて前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーの巻き戻しおよび巻き取りがそれぞれ逆になるプーリと、各前記展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーがテンションを維持した状態で前記プーリに巻き戻しおよび巻き取りが行われるようにするテンション部とを備える。
【0010】
前記テンション部は、前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方の一端と前記下ろくろの固定点との間に設けられた弾性部材によって構成されてもよい。
【0011】
また、前記テンション部は、前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方で、前記プーリに巻かれない片側に設けられた弾性部材によって構成されてもよい。
【0012】
あるいは、前記中棒の下端に設けられた手元部をさらに含み、前記プーリは前記手元部の内部に設けられ、前記テンション部は前記プーリと前記中棒の下端との間に配置されてもよい。この場合、前記手元部内に設けられ、前記プーリから延在する前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方を前記中棒の下端にガイドするガイドピンをさらに含み、前記テンション部は、前記ガイドピンと前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方との間に設けられた弾性部材によって構成されてもよい。
【0013】
ここで、前記プーリは、それぞれ前記展開用ワイヤーと前記折畳み用ワイヤーにそれぞれ対応して2本で構成されるか、または各前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーが逆方向に巻回されて回転方向に応じて前記展開用ワイヤーおよび前記折畳み用ワイヤーの巻き戻しおよび巻き取りが逆に行われる二重プーリのいずれかで構成されてもよい。
【0014】
ここで、前記中棒の下端に設けられた手元部をさらに含み、前記手元部内には、前記プーリと、前記プーリを回転駆動する駆動部と、前記駆動部を操作するための操作部と、をさらに含んでもよい。
【0015】
ここで、前記駆動モータに電源が入力されていない状態で、前記下ろくろを手動で押し上げたり引き下げたりして傘を開いたり折り畳んだりすることが可能に構成されてもよい。
【0016】
ここで、傘の展開状態を固定する展開固定部をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るワイヤー型の傘によれば、2本の展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーで傘を折り畳んだり開いたりする機構を実現することにより、構成が簡単で製造コストを削減でき、ワイヤーの特性上軽量化および小型化が可能である。
【0018】
また、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、駆動モータ等を用いた自動傘に適用する場合にもプーリのみに回転力を提供すればよいので、自動傘の実現が極めて容易であり、特に二重プーリを用いる場合には、1つの駆動部で操作が可能であり、製造コストの削減、重量および体積の減少はもちろん、傘の開閉動作に必要な電力を最小限に抑えることができ、使用時間を最大化できる。
【0019】
また、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、手動傘のように使用者が下ろくろを押し上げたり引き下げたりして傘を開閉することが可能であるため、駆動部の電源が放電している場合にも使用が可能であり、使用者の利便性を最大限に高めることができる。
【0020】
従って、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、テンション部を介して展開用ワイヤーおよび折畳み用ワイヤーのいずれか一方または両方が使用その他の原因によって長さが変更した場合でもこれを補正することができるので、傘の誤動作を防止でき、製品の信頼性および耐久性を向上させる効果がある。
【0021】
また、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、急激な傘操作や局所的な過剰引張力による局部荷重を相殺することができるので、ワイヤーの破損を防止し、損傷を最小化して耐久性を増加させる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態によるワイヤー型の傘の展開概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるワイヤー型の傘の折り畳み概略図である。
図3】本発明の一実施形態による下ろくろ側の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による手元部側の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態によるテンション部の要部拡大図である。
図6】本発明の一実施形態による展開固定部の動作に関する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点と特徴、およびその達成方法は、添付の図面とともに詳細に後述する実施形態を参照して明らかになるであろう。しかしながら、後述する実施形態は、本発明の技術的思想を明確かつ完全に理解することを可能にするために提供されるものであり、本発明は提示される実施形態に限定されず、他の様々な形態で具体化することができる。
【0024】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されるものであり、本発明を限定することを意図していない。例えば、本明細書における単数の表現は、文脈上明らかに別段の意味がない限り、複数の表現を含む。さらに、本明細書で「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたは複数の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を除外することは意図されていないため、これらの除外について例外的に指定されていない限り、それらを除外しないと解釈されるべきである。
【0025】
本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。したがって、ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」と言及されている場合、その表現が「直接連結されている」と言及されない限り、他の構成要素に直接連結されてもよいが、中間に別の構成要素が存在する可能性もあると解釈されるべきである。また、本明細書中の単数形は、文脈で特に言及されていない限り、複数形も含む。
【0026】
本明細書において、「および/または」という表現は、前後に記載された構成の両方を含み得るか、または構成のうちの1つのみを含むことができるという意味で解釈される。例えば、「構成1および/または構成2の一端に構成3が設けられる」という表現は、構成1または構成2のいずれか一方にまたは両方の構成1、2に構成3を設けることができるという意味である。
【0027】
一方、使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、別段の定義がない限り、基本的に本発明が属する分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。しかしながら、後述する各用語は、本発明の実施形態における機能を考慮して定義されたものであり、これは、使用者、操作者の意図または慣例等に応じて異なるため、その用語の明確な定義は、本明細書全体にわたる内容に基づいて優先的に解釈されるべきである。
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
本発明の一実施形態によるワイヤー型の傘1は、中棒10と、中棒10の上部に設けられた上ろくろ11と、中棒10にスライド可能に嵌合される下ろくろ20と、上ろくろ11と下ろくろ20に連結される傘骨13と、を備える傘であって、展開用ワイヤー31と、折畳み用ワイヤー33と、プーリ40と、各展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33がテンション(Tension)を維持した状態でプーリ40に巻き戻しおよび巻き取りを行わせるテンション部50と、を備えている。
【0030】
展開用ワイヤー31は、一端が下ろくろ20に固定され、下ろくろ20を上ろくろ11の方向に引き上げて傘が開くようになる。
【0031】
一実施形態として、図1および図2を参照すると、展開用ワイヤー31は、一端が下ろくろ20に固定され、他端は、中棒10の上部一側の上部経由点15を介して中棒10の内部に導入された後、プーリ40に固定される。このため、図2に示すように、傘が折り畳まれた状態でプーリ40が回転して展開用ワイヤー31を巻き取ると、図1に示すように、展開用ワイヤー31の一端が固定された下ろくろ20を上ろくろ11の方向に引き上げて傘が開くようになる。
【0032】
ここで、本発明による展開用ワイヤー31は、両端が下ろくろ20とプーリ40にそれぞれ固定されて下ろくろ20を引き上げることができる限り、様々な経由点や付加構成物等を用いた様々な経由方式は、限定なしに使用することができ、そのような様々な変形例は、本発明の権利範囲に属することを明らかにする。
【0033】
一実施形態として、展開用ワイヤー31は、下ろくろ20と上部経由点15との間で中棒10の外部に露出することができ、この場合、図3に示すように、ワイヤーガイド16を中棒10の外部に配置することができる。他にも、上記の露出区間には、傘骨13等の他の構成との干渉による展開用ワイヤー31の破断等の損傷を防止したり、露出による外観低下を防止したりするための公知の様々な構成が追加されてもよいことは勿論である。
【0034】
本発明において、展開用ワイヤー31(後述する折畳み用ワイヤー33を含む。)の材質は、プーリ40に巻き付けたり巻き戻したりすることができる限り、公知の様々な種類で配置することができる。通常、長手方向に伸縮しない材質が用いられることが一般的であるが、伸縮材料を除外するものではなく、もちろん場合によっては(伸縮性の程度など)伸縮材質を用いることも可能である。
【0035】
折畳み用ワイヤー33は、一端が下ろくろ20に固定され、下ろくろ20を中棒10の下部に引き下げて傘が折り畳まれるようにする。一実施形態として、折畳み用ワイヤー33は、図1および図2に示すように、一端が下ろくろ20に固定され、他端が下方に延びてプーリ40に固定される。これにより、プーリ40が回転して折畳み用ワイヤー33を巻くと、下ろくろ20を中棒10の下部に引き下げる。
【0036】
本発明による折畳み用ワイヤー33は、上述した展開用ワイヤー31と同様に、両端固定位置および巻き付け時に下ろくろ20を下方に引き下げることができる限り、様々な経由方式が制限なく使用されることは言うまでもない。例えば、折畳み用ワイヤー33は、中棒10の内部に延びて、1つ以上の経由点を通過して中棒10の外部に露出した後、下ろくろ20に固定されてもよい。
【0037】
また、図1に示すように、折畳み用ワイヤー33は中棒10の内部を経由せずに中棒10の外部に直接延びて下ろくろ20に固定されてもよい。この場合、折畳み用ワイヤー33が中棒10の外部に露出すると破損の危険があり、他の構成との干渉が発生して誤動作を引き起こす可能性があり、外観が低下する問題がある。このために、図3および図4に示すように、中棒10の外部に折畳み用ワイヤー33を収容するワイヤーガイド16を設けることができる。これにより、プーリ40から延びた折畳み用ワイヤー33は中棒10の下端からワイヤーガイド16に引き込まれて延び、下ろくろ20に設けられた経由滑車23に沿って下ろくろ20の外部に引き出されて固定点21bに固定される。 ここで、ワイヤーガイド16は、図3に示す実施形態以外にも様々な変形が可能であることはもちろんである。一方、上述したワイヤーガイド16は、前述した展開用ワイヤー31が中棒10の外部に露出した区間にも適用することができる。
【0038】
プーリ40は、中棒10の下部一側に配置され、各展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33の他端が固定され、回転に応じて展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33がそれぞれ逆方向に巻き戻しまたは巻き取るようにする。
【0039】
ここで、中棒10の下端に手元部60が設けられる場合、プーリ40は手元部60内に配置されることができる。ただし、プーリ40の位置が手元部60の内部に制限されるものではなく、手元部60の外部など様々な位置に配置することができることはもちろんであり、展開用ワイヤー31または折畳み用ワイヤー33のいずれかに対応するプーリ40は手元部60内に配置され、他方は手元部60の外部に配置されるなど、必要に応じてその位置の変更が可能である。
【0040】
プーリ40は様々な種類で配置することができる。一実施形態では、プーリ40は展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33にそれぞれ対応して2つに設けられてもよい。この場合、各プーリ40を回転駆動する駆動部63は2つに設けられてもよい。
【0041】
また、図4に示す別の実施形態では、プーリ40は各展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33が反対方向に巻かれて回転方向に応じて展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33の巻き戻しおよび巻き取りが逆に実行される二重プーリ40として配置されてもよい。この場合、展開用ワイヤー31と折畳み用ワイヤー33が下ろくろ20およびプーリ40を両端として1つのループ(閉曲線)を形成し、プーリ40の回転に応じて展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33が互いに逆方向に巻き戻しまたは巻き込まれて下ろくろ20を引き上げたり下げたりする動作を実行して、傘が開いたり折り畳んだりすることができる。そこで、本発明によるワイヤー型の傘は、傘を折り畳み・展開する機構を2つの展開用ワイヤー31と折畳み用ワイヤー33で実現することで、構成が簡単で製造コストを削減することができ、ワイヤーの特性上軽量化および小型化が可能である。
【0042】
一方、本発明の一実施形態によるワイヤー型の傘1は、駆動部63を介してプーリ40を回転させる自動傘として実現することができる。一実施形態として、駆動部63は、例えば、プーリ40を回転させる駆動モータと、電源部と、駆動モータを操作するための操作部65と、を含むことができる。この場合、中棒10の下端に手元部60が設けられる場合、プーリ40と駆動部63は手元部60の内部に設けられ、操作部65は手元部60の外部に設置することができる。また、上記の電源部は外部から充電が可能となるように端子を設置するか、または電源部を手元部60から分離して充電が可能となるように設けてもよい。
【0043】
ここで、前記電源部から前記駆動モータへ電源が供給されていない場合、または電源部が放電した場合、駆動部63はプーリ40の回転を制限しないようにすることができる。この場合、手動傘のように使用者が下ろくろ20を押し上げたり引っ張ったりして傘を開閉することができるため、自動傘または手動傘の両方で使用することができ、使用者の利便性を最大化することができる。
【0044】
また、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、駆動モータ等を用いた自動傘に適用する場合にもプーリ40のみに回転力を提供すればよいので、自動傘の実現が極めて容易である。特に二重プーリを用いる場合は、1つの駆動部で操作が可能で、製造コストの削減、重量および体積の減少はもちろん、傘の開閉動作に必要な電力を最小限に抑えることができ、使用時間を最大化できる。
【0045】
一方、傘1の展開状態を固定する展開固定部を設けることができる。展開固定部は、傘1が開いた状態で傘骨13および生地の自重によって下ろくろ20が中棒10の下方に押し下げられることを防止する。
【0046】
展開固定部は、公知の様々な種類が制限なく設けることができ、例えば、中棒10に向かう下ろくろ20の一側に設けられ、弾性により引き出しおよび引き入れが可能に設けられる弾性突起71と、傘の展開状態での下ろくろ20の位置に対応して中棒10の一側に設けられた挿入穴(図示せず)とを含むことができる。
【0047】
一実施形態として、図6を参照すると、下ろくろ20は中棒10の外部にスライド可能に嵌合する内部下ろくろ20aと、内部下ろくろ20aの外部に設けられ、内部下ろくろ20aに対して設定距離だけ上下に相対移動が可能に設けられる外部下ろくろ20bとして設けることができる。
【0048】
一方、展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33の一端は、図6に示すように、いずれも外部下ろくろ20bの一側に固定される。
【0049】
ここで、傘1の展開および折り畳み時の内部下ろくろ20aと外部下ろくろ20bの移動を説明すると、まず傘1が折り畳まれた状態では、図6(b)のように内部下ろくろ20aと外部下ろくろ20bが離間した状態にある。このため、傘が開かれる際には、展開用ワイヤー31によって外部下ろくろ20bがまず上昇し、外部下ろくろ20bと内部下ろくろ20aが図6(a)のように当接した状態になると、外部下ろくろ20bと内部下ろくろ20aが一緒に中棒10に沿って上昇する。逆に傘が折り畳むときは、折畳み用ワイヤー33によって外部下ろくろ20bがまず下降し、上記の設定距離だけ離間した後、内部下ろくろ20aと外部下ろくろ20bが一緒に中棒10に沿って下降する。
【0050】
本実施形態において、展開固定部は傘の展開状態における外部下ろくろ20bの位置に対応して中棒10の一側に設けられた挿入穴(図示せず)と、内部下ろくろ20aに設けられ、前記挿入穴に引き出しおよび引き入れる弾性突起71を含む。
【0051】
弾性突起71は、図6(b)の状態で前記設定距離内に位置し、図6(b)の状態では弾性突起71と外部下ろくろ20bの干渉は発生しない。そして、図6(a)のように傘が開かれる際には、展開用ワイヤー31によって上昇する外部下ろくろ20bによって干渉(加圧)され、前記挿入穴に引き込まれる。このように傘の展開状態が固定される。
【0052】
逆に、図6(b)のように、傘が折り畳まれるときには、外部下ろくろ20bが先に下降して弾性突起71に対する干渉(加圧)が解除されると、弾性突起71は弾性力によって挿入穴から引き出され、その後、内部下ろくろ20aおよび外部下ろくろ20bは共に中棒10の下部に下降する。
【0053】
ここで、外部下ろくろ20bの相対移動に伴う干渉(上述した加圧など)および解除によって、傘の展開状態での外部下ろくろ20bの位置固定が行われる限り、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。
【0054】
したがって、駆動部63が装着された自動傘の場合、傘の展開状態では、前記挿入突起によって展開状態を支持するため、駆動部63で展開状態を維持するための別途の駆動が不要であり、電源使用を最小限に抑えて使用時間を最大化することができる。また、駆動部63なしで手動傘として使用する場合には、展開固定部によって傘が開かれた状態が維持されるため、使用者が下ろくろ20を支える必要がないという利点がある。
【0055】
テンション部50は、各展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33がテンションを維持した状態でプーリ40に巻き戻しおよび巻き取りが行われるようにする。テンション部50は、展開用ワイヤー31および/または折畳み用ワイヤー33の伸縮または他の構成の位置変更に応じて、最初に設定された各ワイヤーの長さの変更を補正する機能を果たす。例えば、展開用ワイヤー31または折畳み用ワイヤー33のいずれかが使用その他の原因により長さが変化する場合、いずれかのワイヤーはプーリ40から完全に巻き戻されないか、あるいはさらに巻き戻されるため、下ろくろ20が指定された展開位置および折り畳み位置に配置されず、開閉自体が不可能になることがある。また、傘の開閉自体は可能であっても、傘の折った状態または広げた状態で下ろくろ20が固定されず、流動するなど製品の価値が低下する可能性がある。したがって、テンション部50は、各展開用ワイヤー31および折畳み用ワイヤー33にテンションを加えて補正する。
【0056】
テンション部50は、様々な種類で設けることができ、例えば、図3に示すように、展開用ワイヤー31および/または折畳み用ワイヤー33の一端と下ろくろ20の固定点21との間に設けられる弾性部材で構成することができる。これにより、ワイヤーの伸縮に応じて、前記弾性部材が伸縮しながら各ワイヤーがテンションを維持するようにする。ここで、図3では折畳み用ワイヤー33側のテンション部50を示しているが、同一または類似の構成が展開用ワイヤー31側にも適用されることは言うまでもない。
【0057】
または、図5に示すように、テンション部50は、展開用ワイヤー31および/または折畳み用ワイヤー33からプーリ40に巻かれていない片側に設けられてもよい。例えば、展開用ワイヤー31の場合、テンション部50は下ろくろ20側の固定点からプーリ40に巻かれていない区間の間に図5と同様の弾性部材を配置することができる。
【0058】
また、テンション部50は、プーリ40が手元部60の内部に設けられる場合、プーリ40と中棒10の下端の間に配置されてもよい。
【0059】
一例として、図4を参照すると、手元部60内には、プーリ40から延びる展開用ワイヤー31および/または折畳み用ワイヤー33を中棒10の下端にガイドするためのガイドピン61が配置されることができる。この場合、テンション部50は、ガイドピン61と展開用ワイヤー31および/または折畳み用ワイヤー33との間に配置される弾性部材で構成することができる。すなわち、弾性部材50の一端はガイドピン61aに固定し、他端は環状に連結して折畳み用ワイヤー33を移動可能とすることにより、折畳み用ワイヤー33が長くなった場合、これをガイドピン61a側に引き寄せて伸縮を調整し、折畳み用ワイヤー33が短くなった場合、折畳み用ワイヤー33を一直線になるように長さを調整することができる。
【0060】
従って、本発明に係るワイヤー型の傘によれば、テンション部を介して展開用ワイヤーおよび/または折畳み用ワイヤーが使用その他の原因によって長さが変更される場合でもこれを補正することができるので、傘の誤動作を防止することができ、製品の信頼性および耐久性を向上させる効果がある。
【0061】
また、テンション部50は、プーリ40の回転が始まるときのように、急激な傘操作によってワイヤーに一時的に加えられる過剰引張力または経由点付近の局所荷重を吸収することができるので、ワイヤーの破断を防止し、損傷を最小限に抑えて耐久性を向上させる利点がある。
【0062】
以上、本発明を限定された実施形態と図面により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により本発明の技術的思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正および変形が可能であることは勿論である。したがって、開示された実施形態は限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮されるべきである。本発明の範囲は上記の説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にある全ての相違点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 ワイヤー型の傘
10 中棒
11 上ろくろ
13 傘骨
15 上部経由点
16 ワイヤーガイド
20 下ろくろ
20a 内部下ろくろ
20b 外部下ろくろ
21、21a、21b 固定点
23 経由滑車
31 展開用ワイヤー
33 折畳み用ワイヤー
40 プーリ
50 テンション部
60 手元部
61 ガイドピン
63 駆動部
65 操作部
71 弾性突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6