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特開2024-163855原動機付き車両用の非常ブレーキアシストを動作させる制御装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163855
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】原動機付き車両用の非常ブレーキアシストを動作させる制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
B60T7/12 C
B60T7/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068267
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】10 2023 112 655.5
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・レンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ブルックナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ドゥクス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・カプス
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246EA01
3D246GB30
3D246GC14
3D246GC16
3D246HA02A
3D246HA08A
3D246HB11A
3D246HC05
3D246JA12
3D246JB04
3D246JB12
3D246JB43
3D246LA02Z
(57)【要約】
【課題】従来技術を改善するのにそれぞれ適した装置及び/又は方法を提供する。
【解決手段】原動機付き車両10用の非常ブレーキアシストを動作させる制御装置1が、
-非常ブレーキアシストのブレーキ介入を作動させるように構成されており、
-ブレーキ介入の作動前又はブレーキ介入の作動中の原動機付き車両10のブレーキペダル2の操作を検出するように構成されており、
-ブレーキペダル2の検出された操作後かつブレーキ介入の作動中のブレーキペダル2の解放を検出するように、
-ブレーキペダル2の検出された解放後のアクセルペダル3の操作を検出するように、及び
-作動されたブレーキ介入が、アクセルペダル3の検出された操作によって、無効とされ、及び/又は取り消されるように
構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両(10)用の非常ブレーキアシストを動作させる制御装置(1)であって、該制御装置(1)が、
-前記非常ブレーキアシストのブレーキ介入を作動させる(S1)ように構成されており、前記非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合にブレーキ介入によって前記原動機付き車両(10)を自動化して停止させるために構成されており、
-ブレーキ介入の作動前又はブレーキ介入の作動中の前記原動機付き車両(10)のブレーキペダル(2)の操作を検出する(S2)ように構成されており、
-前記ブレーキペダル(2)の検出された操作後かつブレーキ介入の作動中の前記ブレーキペダル(2)の解放を検出するように構成されている、
前記制御装置(1)において、
該制御装置(1)が、
-前記ブレーキペダル(2)の検出された解放後のアクセルペダル(3)の操作を検出する(S4)ように、及び
-作動されたブレーキ介入を、前記アクセルペダル(3)の検出された操作によって、無効とし、及び/又は取り消す(S5)ように
構成されていることを特徴とする制御装置(1)。
【請求項2】
前記制御装置(1)が、
-前記ブレーキペダル(2)の検出された解放後のあらかじめ規定された時間インターバル内に前記アクセルペダル(3)が検出された場合に、作動されたブレーキ介入が、前記アクセルペダル(3)の検出された操作によって無効とされ、及び/又は取り消される(S5)ように
構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置(1)。
【請求項3】
前記制御装置(1)が、前記非常ブレーキアシストのブレーキ介入の無効の際及び/又は取消の際(S5)に、
-ブレーキ介入が作動された第1の時点と、前記原動機付き車両(10)の制動がブレーキ介入によって行われ、及び/又は運転者にとって知覚可能に実行される第2の時点との間の待機時間を考慮するように
構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置(1)。
【請求項4】
前記制御装置(1)が、
-前記待機時間が終了し、前記ブレーキペダル(2)の解放が検出されたときにあらかじめ規定された時間インターバルを開始するように、及び
-前記アクセルペダル(3)が前記あらかじめ規定された時間インターバル内に検出された場合に、作動されたブレーキ介入を、前記アクセルペダル(3)の検出された操作によって無効とされ、及び/又は取り消されるように
構成されていることを特徴とする請求項3に記載の制御装置(1)。
【請求項5】
前記制御装置(1)が、
-ブレーキ介入による前記原動機付き車両(10)の制動が運転者にとって知覚可能に実行される場合に前記原動機付き車両の車両センサ類のセンサ信号を得るように、及び
-得られたセンサ信号に依存して前記第2の時点を設定するように
構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の制御装置(1)。
【請求項6】
前記制御装置(1)が、
-前記アクセルペダル(3)の操作を、あらかじめ規定されたアクセルペダル角度及び/又は前記アクセルペダル(3)のアクセルペダル勾配を超過することによって検出するように
構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御装置(1)を含むことを特徴とする原動機付き車両(10)。
【請求項8】
原動機付き車両(10)用の非常ブレーキアシストを動作させる方法(100)であって、該方法(100)が、
-前記非常ブレーキアシストのブレーキ介入を作動させる(S1)ことを含み、前記非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合にブレーキ介入によって前記原動機付き車両(10)を自動化して停止させるために構成されており、
-ブレーキ介入の作動前又はブレーキ介入の作動中の前記原動機付き車両(10)のブレーキペダル(2)の操作を検出すること(S2)を含み、
-前記ブレーキペダル(2)の検出された操作後かつブレーキ介入の作動中の前記ブレーキペダル(2)の解放を検出すること(S3)を含む、
前記方法において、
-前記ブレーキペダル(2)の検出された解放後のアクセルペダル(3)の操作を検出すること(S4)、及び
-前記アクセルペダル(3)の検出された操作によって、作動されたブレーキ介入を無効とすること、及び/又は取り消すこと
を特徴とする方法。
【請求項9】
コンピュータによるプログラムの実行時に、請求項8に記載の方法を該コンピュータに実行させるコマンドを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータによるコマンドの実行時に、請求項8に記載の方法を該コンピュータに実行させるコマンドを含むことを特徴とするコンピュータ読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原動機付き車両用の非常ブレーキアシストを動作させる制御装置と、当該制御装置を含む原動機付き車両、及び/又は原動機付き車両用の非常ブレーキアシストを動作させる方法に関するものである。これに加えて、又はこれに代えて、コンピュータによるプログラムの実行時に、方法を少なくとも部分的にコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータプログラムが提供される。これに加えて、又はこれに代えて、コンピュータによるコマンドの実行時に、方法を少なくとも部分的にコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータ読取可能な媒体が提供される。
【背景技術】
【0002】
現代の原動機付き車両、特に自動車では、運転者アシストシステムがますます用いられる。
【0003】
運転者アシストシステム(FAS:英語(Advanced) Driver Assistance System、(A)DAS)は、所定の走行状況において運転者をサポートする、原動機付き車両における電子的な、特にメカトロニックな装置である。ここで、しばしば、安全性の側面のみならず快適性の向上も優先される。
【0004】
公知の走行アシストシステムは、障害物、例えば人又は別の車両との衝突が起きる前に、衝突のおそれがある場合に警告し、場合によっては原動機付き車両を完全に停止させるように構成された非常ブレーキアシスト(英語:Autonomous Emergency Braking、AEB)である。このために、センサが、現在の速度と、障害物に対する距離とを測定する。非常ブレーキアシストは、非常ブレーキ前に、できる限り最適なブレーキ出力及びこれに必要なブレーキ圧を演算する。算出された当該圧力は、システムに応じて、非常ブレーキアシストによって独立して自動的なブレーキへ変換されるか、又は原動機付き車両のブレーキペダルが操作されて初めて応用される。
【0005】
さらに、当該従来の非常ブレーキアシストでは、アクセルペダル相互作用(アクセルペダルの操作又は解放)によって非常ブレーキアシストのブレーキ介入が車両の運転者によっていつでも無効とされ得ることが知られている。これにより、例えば、運転者は、非常ブレーキアシストが誤って機能する場合に不要な非常ブレーキが実行されることを回避することが可能である。
【0006】
特許文献1には、車両用の非常ブレーキアシストを作動させる方法が記載されており、非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合に、ブレーキ介入によって車両を停止させるように構成されている。非常ブレーキアシストのブレーキ介入は、車両の運転者のアクセルペダル相互作用によって無効とされることが可能である。当該方法は、アクセルペダル相互作用によって非常ブレーキアシストのブレーキ介入を無効とするために超過される必要がある閾値を特定すること、及び設定することを有している。
【0007】
したがって、従来の非常ブレーキアシストは、運転者の行動が確認されると運転者に責任を委ねることに依拠するものであるが、さらに、各非常ブレーキアシストのブレーキ介入が不意に無効とされ、あるいは取り消され(中断される)こととなり得る。そのため、ブレーキ介入の所望の無効あるいは取消につながることとなる運転者相互作用は、その安定性及び信頼性について更に改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102021114530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の背景において、本開示の課題は、従来技術を改善するのにそれぞれ適した装置及び/又は方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、独立請求項の特徴によって解決される。同等の請求項及び従属請求項は、それぞれ開示のオプションの発展形態を意図している。
【0011】
これによれば、上記課題は、原動機付き車両用の非常ブレーキアシスト(英語:Autonomous Emergency Braking,AEB)を動作させる制御装置によって解決される。
【0012】
制御装置は、非常ブレーキアシストのブレーキ介入を作動させるように(及びオプションで原動機付き車両のブレーキ装置を作動されたブレーキ介入に従って作動させる(制御する)ように)構成されている。非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合にブレーキ介入によって原動機付き車両を自動化して停止させるために構成されている。
【0013】
制御装置は、ブレーキ介入前又はブレーキ介入中の原動機付き車両のブレーキペダルの操作を検出するように構成されている。
【0014】
制御装置は、ブレーキペダルの検出された操作後かつブレーキ介入の作動中のブレーキペダルの解放を検出するように構成されている。
【0015】
制御装置は、ブレーキペダルの検出された解放後のアクセルペダルの操作を検出し、アクセルペダルの検出された操作によって作動されたブレーキ介入を無効とし、及び/又は取り消すように構成されている。
【0016】
制御装置あるいは制御ユニットは、走行アシストシステムの一部であり得るか、又は走行アシストシステムであり得る。制御装置は、例えば、電子制御ユニット(英語:ECU=electronic control unit)であり得る。電子制御ユニットは、例えばセントラルゲートウェイ(Central Gateway(CGW))を介して他のモジュールと通信可能であって場合によってはCANバス、LINバス、MOSTバス及びFlexRayのようなフィールドバスを介して、及び/又は自動車イーサネット(車載イーサネット)を介してテレマティクス制御機器及び/又は周囲センサ類と共に車両(車載)電気システムを形成することが可能な、プロセッサ制御されるインテリジェントユニットであり得る。
【0017】
操舵、エンジン制御、力の伝達及び/又はブレーキシステムのような原動機付き車両の走行態様に関連する機能を制御装置が制御することが考えられる。そのほか、例えば非常ブレーキアシスト、パーキングアシスト、アダプティブクルーズコントロール(ACC、英語:Adaptive Cruise Control)、レーンキープアシスト、車線変更アシスト、交通標識識別、信号灯表示認識、発進アシスト、ナイトビジョンアシスト及び/又は交差点アシスト(ターンアシスト)のような運転者アシストシステムは、制御装置によって制御されることが可能である。
【0018】
上述の制御装置は、一連の利点を提供する。とりわけ、非常ブレーキアシストのブレーキ介入の所望の無効化あるいは取消につながる運転者相互作用の安定性及び信頼性が公知の非常ブレーキアシストに比して改善されている。換言すれば、ブレーキ介入を無効とし、及び/又は取り消すために、ブレーキペダル操作とアクセルペダル操作の組合せによって、ブレーキ介入の誤った不意の無効化あるいは不意の取消がなされるおそれあるいは確率が低減され、これにより、非常ブレーキアシストの確実な動作が保証される。
【0019】
以下に、上述の制御装置の可能な発展形態を詳細に説明する。
【0020】
制御装置は、ブレーキペダルの検出された解放後のあらかじめ規定された時間インターバル(及び/又はあらかじめ規定された検出時間)内にアクセルペダルが検出された場合に、作動されたブレーキ介入をアクセルペダルの検出された操作によって無効とし、及び/又は取り消すように構成されることが可能である。ブレーキペダルの検出された解放後のあらかじめ規定された時間インターバル内にアクセルペダルが検出されたという条件は、例えば、非常ブレーキアシストの遅延要求と呼ばれることが可能である。有利には、当該条件によって、ブレーキ介入の不意の無効化あるいは不意の取消のおそれあるいは確率を更に低減することが可能である。
【0021】
制御装置は、作動されたブレーキ介入の無効時及び/又は取消時には、ブレーキ介入が作動された第1の時点と、原動機付き車両の制動がブレーキ介入によって行われ、及び/又は運転者にとって知覚可能に実行される第2の時点との間の待機時間を考慮するように構成されることが可能である。待機時間は、1秒より短く、例えば300ミリ秒であり得る。
【0022】
制御装置は、待機時間が終了し、ブレーキペダルの解放が検出されたときにあらかじめ規定された時間インターバルを開始するように、及びアクセルペダルがあらかじめ規定された時間インターバル内に検出された場合に、作動されたブレーキ介入を、アクセルペダルの検出された操作によって無効とし、及び/又は取り消すように構成されることが可能である。
【0023】
制御装置は、ブレーキ介入による原動機付き車両の制動が運転者にとって知覚可能に実行される場合に原動機付き車両の車両センサ類のセンサ信号を得るように、及び得られたセンサ信号に依存して前記第2の時点を設定するように構成されることが可能である。車両センサ類は、例えば、原動機付き車両の前進方向における運転者あるいは運転者の上半身の(例えば唐突な(ぎくしゃくした))動きを検出するように構成されることが可能である。
【0024】
制御装置は、アクセルペダルのあらかじめ規定されたアクセルペダル角度及び/又はアクセルペダル勾配(及び/又はあらかじめ規定された偏向)によってアクセルペダルの操作を検出するように構成されることが可能である。換言すれば、制御装置は、アクセルペダルのあらかじめ規定されたアクセルペダル角度及び/アクセルペダル勾配を超過する場合に初めてアクセルペダルの操作を検出するように構成されることが可能である。
【0025】
換言すれば、上述の事項は、換言して、及び開示の可能な具体的な構成について以下のようにまとめられることができ、以下の説明は、開示について限定的に解釈されるべきではない。
【0026】
非常ブレーキアシストの動作時あるいは非常ブレーキアシストの作動されたブレーキ介入の無効化時及び/又は取消時の運転者相互作用の安定性を改善するために、ブレーキペダル操作及びアクセルペダル操作を互いに組み合わせることが可能である。さらに、デバウンスタイムは、運転者の応答がシステムによって確実な運転者の応答として認識されるように、運転者の応答が所定の時間内に行われる必要があるようにするものである。
【0027】
前提条件として、非常ブレーキアシストの遅延要求が存在し得る。システム待機後の要求される遅延がいつから運転者に知覚可能に実行されるか(典型的には約300msの待機)が、車両センサ類を介して特定されることが可能である。原動機付き車両における遅延が存在し、運転者がブレーキペダルを解放する時点から検出時間を開始することが可能である。運転者がブレーキペダルを操作し、解放すると、運転者が検出時間内にアクセルペダルを操作する場合にのみ非常ブレーキアシストの作動されたブレーキ介入の無効化及び/又は取消を行うことが可能である。アクセルペダルの操作は、アクセルペダル角度の超過及び/又はアクセルペダル勾配の超過によって認識されることができる。
【0028】
また、上述の制御装置を含む原動機付き車両が提供される。
【0029】
原動機付き車両は、ブレーキペダル及びアクセルペダルを含むことができる。ブレーキペダル及びアクセルペダルは、信号技術的に制御装置と接続可能であり得るか、又は接続されることが可能である。
【0030】
原動機付き車両は、自家用車、特に自動車、又は例えばトラックのような商用車であってよい。
【0031】
原動機付き車両は、自動化されていることが可能である。原動機付き車両は、原動機付き車両の自動化された走行時に長手方向運転(ガイド)及び/又は横方向運転(ガイド)を少なくとも部分的に、及び/又は少なくとも一時的に引き受けるように構成されることが可能である。
【0032】
自動化された走行は、原動機付き車両の移動が(ほぼ)自律的に行われるように行われることが可能である。自動化された走行は、少なくとも部分的及び/又は一時的に制御装置によって制御されることが可能である。
【0033】
原動機付き車両は、例えば実際のステアリングホイール位置の適合によって、走行アシストシステムによってアクティブに、又はオプションで、例えば転回指示の表示によってパッシブに原動機付き車両の横方向運転に介入することが考えられる。
【0034】
原動機付き車両は自律レベル0であってよく、すなわち、サポートシステム(例えばABS又はESP)が存在するものの、運転者が動的な走行タスクを引き受ける。
【0035】
原動機付き車両は、自律レベル1の原動機付き車両であってよく、すなわち、例えばアダプティブクルーズコントロール(車間距離制御クルーズコントロール(ACC))のような車両操作において運転者をサポートする所定の運転者アシストシステムを備えることが可能である。
【0036】
原動機付き車両は、自律レベル2の原動機付き車両であってよく、すなわち、自動的な駐車、レーンキープあるいは横方向運転、一般的な長手方向運転、加速及び/又は制動を運転者アシストシステムによって引き受けられるように部分的に自動化されることが可能である。
【0037】
原動機付き車両は、自律レベル3の原動機付き車両であってよく、すなわち、運転者が車両のシステムを継続的に監視する必要がないように操作自動化されることが可能である。原動機付き車両は、ウインカの作動、レーンチェンジ及びレーンキープのような機能を自動的に実行する。運転者は、他の動作に取り組むことができるが、必要に応じてシステムの予備警告時間内に運転を引き受けることを要求される。
【0038】
原動機付き車両は、自律レベル4の原動機付き車両であってよく、すなわち、車両の運転が継続的に車両のシステムによって引き受けられるように高度自動化されることが可能である。システムが走行の役割をもはや果たせないときには、運転者に運転の引き受けが要求される。
【0039】
制御装置について説明した上記事項は、原動機付き車両についても同様に当てはまり、またその逆も同様である。
【0040】
また、原動機付き車両用の非常ブレーキアシストを動作させる方法が提供される。
【0041】
当該方法は、非常ブレーキアシストのブレーキ介入を作動させることを含む。非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合にブレーキ介入によって原動機付き車両を自動化して停止させるために構成されている。
【0042】
方法は、作動されたブレーキ介入前又はブレーキ介入中の原動機付き車両のブレーキペダルの操作を検出することを含む。
【0043】
方法は、ブレーキペダルの検出された操作後かつブレーキ介入の作動中のブレーキペダルの解放を検出することを含む。
【0044】
方法は、ブレーキペダルの検出された解放後のアクセルペダルの操作を検出すること、並びにアクセルペダルの検出された操作によって作動されたブレーキ介入を無効とし、及び/又は取り消すことを含む。
【0045】
制御方法は、コンピュータ実装された方法であってよく、方法の1つの、複数の、又は全てのステップは、少なくとも部分的にコンピュータあるいはデータ処理のための装置によって、オプションで制御装置によって、実行されることが可能である。
【0046】
制御装置及び原動機付き車両について説明した上記事項は、方法についても同様に当てはまり、またその逆も同様である。
【0047】
また、コンピュータによるプログラムの実行時に、上述の方法を少なくとも部分的にコンピュータに実行あるいは実施させるコマンドを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0048】
コンピュータプログラムのプログラムコードは、任意のコード、特に原動機付き車両の制御に適したコードにおいて存在し得る。
【0049】
制御装置、原動機付き車両及び方法について説明した上記事項は、コンピュータプログラムについても同様に当てはまり、またその逆も同様である。
【0050】
また、コンピュータ読取可能な媒体、特にコンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータによるプログラムの実行時に、上述の方法を少なくとも部分的にコンピュータに実行あるいは実施させるコマンドを含んでいる。
【0051】
すなわち、上記のように規定されたコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取可能な媒体を提供することが可能である。コンピュータ読取可能な媒体は、例えばUSBスティック、ハードディスク、CD-ROM、SDカード又はSSDカード(あるいはSSDドライブ/SSDハードディスク)のような任意のデジタルデータ記憶機器であり得る。
【0052】
コンピュータプログラムは、原動機付き車両が利用可能であるために、必ずしもこのようなコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶される必要はなく、インターネットなどを介して外部から得ることも可能である。
【0053】
方法、制御装置、コンピュータプログラム及び原動機付き車両について説明した上記事項は、コンピュータ読取可能な媒体についても同様に当てはまり、またその逆も同様である。
【0054】
以下に、図1図2及び図3を参照して任意的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】非常ブレーキアシストを動作させる制御装置を有する開示による原動機付き車両を概略的に示す図である。
図2】非常ブレーキアシストを動作させる開示による方法を概略的に示すフローチャートである。
図3】ブレーキペダル及びアクセルペダルの操作推移に基づき方法を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1において単に概略的に図示された原動機付き車両10は、非常ブレーキアシストの動作のために形成された制御装置1を含んでいる。非常ブレーキアシストは、物体との衝突のおそれがある場合にブレーキ介入によって原動機付き車両10を自動化して停止させるために構成されている。
【0057】
原動機付き車両10は、ブレーキペダル2及びアクセルペダル3を含んでいる。ブレーキペダル2及びアクセルペダル3の操作あるいは偏向を検出することができるように、制御装置1は、両ペダル2,3に信号技術的に接続されている。
【0058】
原動機付き車両10は、走行動作中に原動機付き車両10を減速させるブレーキ装置を更に含んでおり、当該ブレーキ装置は、制御装置1と信号技術的に接続されることが可能である。これにより、非常ブレーキアシストのブレーキ介入時にブレーキ装置を対応して作動させることが可能である。
【0059】
原動機付き車両10は、原動機付き車両10の周囲における物体を検出する少なくとも1つの周囲センサ装置を含んでおり、当該周囲センサ装置は、制御装置1と信号技術的に接続されることが可能である。少なくとも1つの周囲センサ装置と、例えば原動機付き車両10の車両電気システム(オンボード電源)によって得ることが可能な原動機付き車両10の現在の走行速度とに基づき、制御装置1によって動作される非常ブレーキアシストが衝突のおそれを認識することが可能である。
【0060】
非常ブレーキアシストを動作させるために、制御装置1は、図2も参照して以下に詳述する方法100を実行するように構成されている。
【0061】
第1の方法ステップS1では、非常ブレーキアシストのブレーキ介入が作動される。
【0062】
第2の方法ステップS2では、作動されたブレーキ介入前又はブレーキ介入中の原動機付き車両10のブレーキペダル2の操作が検出される。したがって方法ステップS2は、例えば方法ステップS1の前にも行われることがあり得る。
【0063】
第3の方法ステップS3では、ブレーキペダル2の検出された操作後かつブレーキ介入の作動中のブレーキペダル2の解放が検出される。
【0064】
第4の方法ステップS4では、ブレーキペダル2の解放の検出後のアクセルペダル3の操作が検出される。アクセルペダル3の操作は、あらかじめ規定されたアクセルペダル角度及び/又はアクセルペダル3のアクセルペダル勾配を超過したときに初めて検出あるいは考慮されることが可能である。
【0065】
第5の方法ステップS5では、作動されたブレーキ介入が、アクセルペダル3の検出された操作によって、無効(オーバーライド)とされ、及び/又は取り消される。
【0066】
このことは、例えば、ブレーキペダル2の検出された解放後のあらかじめ規定された時間インターバル内にアクセルペダル3が検出された場合にのみ行われ得る。
【0067】
また、作動されたブレーキ介入の無効時及び/又は取消時には、ブレーキ介入が作動された第1の時点と、原動機付き車両10の制動がブレーキ介入によって行われ、及び/又は運転者にとって知覚可能に実行される第2の時点との間の待機(遅延)時間を考慮することが可能である。このために、例えば、ブレーキ介入による原動機付き車両10の制動が運転者にとって知覚可能に実行される場合には原動機付き車両の車両センサ類のセンサ信号を得ることができ、得られたセンサ信号に依存して第2の時点を設定することが可能である。
【0068】
あらかじめ規定された時間インターバルは、例えば、待機時間が終了し、ブレーキペダル2の解放が検出されると開始されることができ、アクセルペダル3があらかじめ規定された時間インターバル内に検出された場合には、作動されたブレーキ介入は、アクセルペダル3の検出された操作によって無効とされ、及び/又は取り消されることが可能である。
【0069】
図3には、ブレーキペダル2の操作推移BP及びアクセルペダル3の操作推移FPに基づき方法100が例示的に図示されている。
【0070】
図示のグラフでは、両操作推移BP,FPは、時間tに依存して記入されており、ブレーキペダル2あるいはアクセルペダル3の非操作が高さAで示され、ブレーキペダル2あるいはアクセルペダル3の操作が高さBで示されている。
【0071】
時点tでは、ブレーキペダル2が操作されるか、あるいはブレーキペダル2の操作が開始される。これは、例えばブレーキ介入が作動される前に、非常ブレーキアシストのブレーキ介入とは無関係に行われることが可能である。
【0072】
時点tでは、ブレーキペダル2が再び解放され、あるいはブレーキペダル2の操作が再び終了し、これにより、オプションで待機時間を考慮してあらかじめ規定された時間インターバルΔTが開始される。当該時点tでは、非常ブレーキアシストのブレーキ介入が既に作動されている。
【0073】
時点tでは、アクセルペダル3が操作されるか、あるいはアクセルペダル3の操作が開始される。当該時点tは、時点tで初めて終了するあらかじめ規定された時間インターバルΔT内にあるため、非常ブレーキアシストの作動されたブレーキ介入は、アクセルペダル3の検出された操作によって無効とされ、及び/又は取り消される。
【符号の説明】
【0074】
1 制御装置
2 ブレーキペダル
3 アクセルペダル
10 原動機付き車両
100 方法
S1~S5 方法ステップ
図1
図2
図3
【外国語明細書】