(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163874
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20241115BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20241115BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241115BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/35
A61K8/55
A61K8/891
A61K8/19
A61K8/29
A61K8/58
A61K8/86
A61Q3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076904
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2023079447
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】浅見 綾香
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC881
4C083AC882
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083BB12
4C083BB21
4C083CC28
4C083DD04
4C083DD22
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】粘度の上昇を抑制しつつ比重の大きい着色剤の沈降を抑制することができ、各種の顔料をジェルネイルに使用することを可能とすることができ、ジェルネイルのカラーバリエーションを増やし意匠性を向上することができ、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物を提供すること。
【解決手段】下記(a)~(d);(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物、(b)重合開始剤、(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカ、(d)着色剤、を含有する硬化性人工爪組成物であって、(c)がジアルキルシリル化シリカを含む場合、(d)着色剤は、比重4.4以上の顔料を1種以上含む、硬化性人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)~(d);
(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物、
(b)重合開始剤、
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカ、
(d)着色剤、
を含有する硬化性人工爪組成物であって、
(c)がジアルキルシリル化シリカを含む場合、(d)着色剤は、比重4.4以上の顔料を1種以上含む、
硬化性人工爪組成物。
【請求項2】
前記(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカが、トリメチルシリル化シリカ及び/又はジメチルシリル化シリカである、請求項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【請求項3】
前記(d)着色剤が、疎水化度50以上の顔料を1種以上含む、請求項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
【請求項4】
(d)着色剤が、比重3.3以上4.4未満の顔料を1種以上含む、請求項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
【請求項5】
前記(c)トリメチルシリル化シリカ及び/又はジメチルシリル化シリカの含有量が、前記(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下である、請求項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、硬化性のジェル状爪被覆材料(硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線等のエネルギーを付与して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
ジェルネイルとしては、爪上に設けられるベースコート層、ベースコート層とトップコート層との間に設けられるカラーコート層、最表面に設けられるトップコート層の3層から構成されるものが広く知られている。
【0004】
ジェルネイルにおいて、カラーコート層は、(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物、重合開始剤及び着色剤を含む硬化性人工爪組成物から構成され、また、ベースコート層やトップコート層も、(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物及び重合開始剤を含み、必要に応じて着色剤を含む硬化性人工爪組成物から構成され、ジェルネイルに意匠性、色調を付与している。
【0005】
硬化性人工爪組成物の着色剤として、比重が大きい顔料を用いた場合、経時的に比重の大きい顔料が沈降して色別れが生じ、使用時に撹拌が必要であった。
最近は、ジェルネイルの施術者の手間を省くことができ、撹拌のばらつき等に起因する色調のばらつきを抑えることができ、均一な色調のジェルネイルを構成できる、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物が要望されている。
【0006】
特許文献1には、光重合性化合物、着色剤、セピオライト及び/又はベントナイトを含有する人工爪組成物が開示されている。この人工爪組成物は、低粘度で保存安定性に優れる硬化性人工爪組成物であるとされている。
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレートモノマー、アルミナ微粒子及び/又は親水性シリカ、及び光重合開始剤を含有し、アルミナ微粒子及び/又は親水性シリカの含有量が特定の範囲にある光硬化性人工爪組成物が開示されている。この光硬化性人工爪組成物は、配合されたアルミナ微粒子及び/又は親水性シリカが十分にチキソトロピー性を発揮することで、より微細な模様や線を描くことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-70498号公報
【特許文献2】特開2017-124098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ジェルネイルを構成する硬化性人工爪組成物において、含まれる着色剤、特に比重の大きい顔料の沈降を防止する方法として、シリカ等の沈降防止剤を添加する方法が一般的に用いられている。しかし、着色剤の中でも比重の大きい着色剤、例えば比重が3.3を超える顔料、特に比重が4.4を超える顔料(酸化鉄(黒酸化鉄、ベンガラ)、酸化亜鉛等)の沈降を防止するためには、大量の沈降防止剤を使用する必要があり、これにより粘度が上昇して高くなりすぎ、塗布性が低下する問題があった。一方で、沈降防止剤を用いない場合には、経時的に沈降が生じるという問題があった。このため、比重の大きい顔料、特に比重が4.4を超える酸化鉄(黒酸化鉄)を、硬化性人工爪組成物の着色剤として用いることは困難とされており、その特有の色調をジェルネイルで表現することができず、ジェルネイルのカラーバリエーションに制限がかかり、意匠性の点で満足できるものではなかった。
また、顔料を含む硬化性人工爪組成物において、液表面に経時的に斑模様が発生するという問題もあった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題の1つは、粘度の上昇を抑制しつつ比重の大きい着色剤の沈降を抑制することができ、各種の顔料をジェルネイルに使用することを可能とすることができ、ジェルネイルのカラーバリエーションを増やし意匠性を向上することができ、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物を提供することである。
本発明が解決しようとする課題の1つは、粘度の上昇を抑制しつつ比重の大きい着色剤の沈降を抑制することができ、液表面に斑模様が発生するのを抑制でき、各種の顔料をジェルネイルに使用することを可能とすることができ、ジェルネイルのカラーバリエーションを増やし意匠性を向上することができ、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
[項1]
下記(a)~(d);
(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物、
(b)重合開始剤、
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカ、
(d)着色剤、
を含有する硬化性人工爪組成物であって、
(c)がジアルキルシリル化シリカを含む場合、(d)着色剤は、比重4.4以上の顔料を1種以上含む、
硬化性人工爪組成物。
[項2]
前記(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカが、トリメチルシリル化シリカ及び/又はジメチルシリル化シリカである、項1に記載の硬化性人工爪組成物。
[項3]
前記(d)着色剤が、疎水化度50以上の顔料を1種以上含む、項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
[項4]
(d)着色剤が、比重3.3以上4.4未満の顔料を1種以上含む、項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
[項5]
前記(c)トリメチルシリル化シリカ及び/又はジメチルシリル化シリカの含有量が、前記(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下である、項1~3のいずれか1項に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、粘度の上昇を抑制しつつ比重の大きい着色剤の沈降を抑制することができ、各種の顔料をジェルネイルに使用することを可能とすることができ、ジェルネイルのカラーバリエーションを増やし意匠性を向上することができ、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物が提供される。
また、本発明により、粘度の上昇を抑制しつつ比重の大きい着色剤の沈降を抑制することができ、液表面に斑模様が発生するのを抑制でき、各種の顔料をジェルネイルに使用することを可能とすることができ、ジェルネイルのカラーバリエーションを増やし意匠性を向上することができ、使用時に撹拌しなくてもよい硬化性人工爪組成物が提供される。
【0012】
本発明者らは、本発明の効果のうち、比重の大きい着色剤の沈降を防止できることについて、機構等は不明であるものの以下のとおりに推察している。
表面処理をしていないシリカは、表面にシラノール基が多数あることから、親水性シリカとなる。一方、ジアルキルシリル化シリカ及びトリアルキルシリル化シリカは、表面に疎水性のアルキル基が多数あることから、疎水性シリカとなり有機化合物中に分散しやすくなる。水系溶媒を含む組成物における沈降防止には、シラノール基の水素結合による三次元格子構造が形成されるために、親水性シリカが有効である場合が多い。しかしながら、ジェルネイルを構成する硬化性人工爪組成物における沈降防止には、主成分である(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物との相互作用による沈降防止効果を発揮するために、疎水性シリカであるジアルキルシリル化シリカやトリアルキルシリル化シリカが沈降防止に有用であると推察している。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【0013】
また、本発明者らは、本発明の効果のうち、液表面に斑模様が発生するのを抑制できることについて、機構等は不明であるものの以下のとおりに推察している。
硬化性人工爪組成物に含まれる(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物と顔料の疎水化度が離れすぎていると、硬化性人工爪組成物中の気泡と顔料の疎水化度が近いことから、気泡と顔料との親和性が高くなり、気泡とともに顔料が浮上するおそれがある。そして、気泡が割れた際に、顔料が硬化性人工爪組成物の液表面に留まって斑模様が発生すると推察される。一方で、疎水化度50以上の疎水性の高い顔料を着色剤に含有させることで、硬化性人工爪組成物と顔料との親和性が高くなり、気泡とともに顔料が浮上することが抑制され、硬化性人工爪組成物の液表面に斑模様が発生するのを抑制できるものと推察している。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。
【0015】
[(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有し、光等のエネルギー線を照射することで硬化し得る化合物である。
(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物は、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を指し、「(メタ)アクリレートオリゴマー」は、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを指し、「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを指す。
【0016】
<(メタ)アクリレートオリゴマー>
(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有するとともに繰返し単位を複数有するオリゴマーであれば、特に制限されない。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは2~8個である。
(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
(メタ)アクリレートオリゴマーの質量平均分子量は、特に限定されない。例えば1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上であり、例えば100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは35,000以下である。質量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上できる。
【0017】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されないが、例えば、
(i)主骨格(主鎖)にウレタン結合、エポキシ基の開環反応によって生じる結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(ii)主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エポキシ基の開環反応により生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種以上を用いると、密着性等の点で有利である。本発明においては、特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品又は合成品のいずれを使用してもよい。また、本発明においては、硬化性人工爪組成物及び/又はその硬化塗膜の密着性や耐久性等の観点から、1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)又は分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させること等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを硬化性人工爪組成物に使用すると、伸縮性、密着性、強度に優れる硬化塗膜を得ることができる。
本発明にて使用できる1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、アクリル骨格、ポリオレフィン骨格からなる群より選ばれる1種以上を有するものから選択して使用できる。中でも、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリカーボネート骨格を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上が好ましい。
【0020】
例えば、ポリエーテル骨格の1種以上を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオキシプロピレンポリオール等のポリオキシアルキレンポリオールと、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等のポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0021】
例えば、ポリカーボネート骨格の1種以上を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと同様に、ポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリカーボネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0022】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、AH-600、AT-600、UA-306H、UF-8001G(共栄社化学社製)や、RUA-071、RUA-003VE、RUA-075、RUA-048(亜細亜化学工業社製)、SUA TH1、SUA 2、SUA-16N(ケーエスエム社製)、UV-3310B(三菱ケミカル社製)、アートレジン UN-6303、UN-6304、UN-6305、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-353、UN-333、UN-352(根上工業社製)、AU-2040(トクシキ社製)、KUA-PC2I(ケーエスエム社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定ない。
【0023】
エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、EBECRYL 1259、605、1606(ダイセル・サイテック社製)、EPOXY ESTER 3000A、3000MK、3002A(N)、3002M(N)、40EM(共栄社化学社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
エステル結合を有するエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
エーテル結合を有するエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、ライトアクリレート(登録商標)3EG-A,4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA,BP-10EA、ライトエステル4EG、9EG、14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
<(メタ)アクリレートモノマー>
(メタ)アクリレートモノマーは、前記(メタ)アクリレートオリゴマー以外の化合物であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有する化合物である。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上を用いることができる。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上と、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上との混合物を用いてもよい。
【0027】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有(メタ)アクリレート;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミドN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0028】
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル基含有(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等の脂環式モノ(メタ)アクリレートモノマー;ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートの含有量等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0029】
(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(イソピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4つ以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0030】
これらの(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
【0031】
本発明においては、(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物として、(メタ)アクリレートオリゴマーと(メタ)アクリレートモノマーを混合して用いることが好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、前記の(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上であれば、特に限定されない。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上が挙げられ、好ましくは、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格からなる群より選ばれる1種以上を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上であり、より好ましくは、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリカーボネート骨格を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上である。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、前記の(メタ)アクリレートモノマーの1種以上であれば、特に限定されない。例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、リン酸エステル系(メタ)アクリレート及び複素環含有(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくは、脂環含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、複素環含有(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは、脂環含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーの1種以上である。
【0032】
<(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物の構成及び含有量>
本発明の硬化性人工爪組成物において、(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば20.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは50.0質量%以上、さらに好ましくは60.0質量%以上であり、例えば95.0質量%以下、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは88.0質量%以下とすることができる。
【0033】
硬化性人工爪組成物全量を100質量%とした場合における(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、例えば90質量%以下、好ましくは80質量%以下とすることができる。(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40質量%未満である場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が低くなりすぎるおそれがあり、90質量%を超える場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が高くなりすぎるおそれがある。
【0034】
硬化性人工爪組成物全量を100質量%とした場合における(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、例えば55質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下とすることができる。(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、1質量%未満である場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が高くなりすぎるおそれがあり、55質量%を超える場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下するおそれがあり、粘度が低くなりすぎるおそれがある。
【0035】
[(b)重合開始剤]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(b)重合開始剤は、光(例えば、紫外線)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものであって、前記(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物の重合を開始し得るものであれば、特に制限されない。例えば、アシルフォスフィンオキシド系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種以上の重合開始剤が挙げられる。
例えば、光重合開始剤を用いると、硬化性人工爪組成物に対して、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射した場合であっても、良好な硬化性を付与することができる。
【0036】
例えば、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、一般的に用いられるUV-LED光源から発せられる365~405nmの波長の紫外線の照射によりラジカルを発生する。このため、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射して硬化させる場合であっても、良好な硬化性を硬化性組成物に付与できる。さらに、UV-LED光源を用いて光を照射して硬化させる場合には、硬化塗膜の黄変を防止できる。
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(OMNIRAD TPO)は、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0037】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(OMNIRAD 184)、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノンエチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジサクシニックアシッドパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキサイドパレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0038】
本発明の硬化性人工爪組成物においては、硬化時に照射する紫外線波長405nm付近及び365nm付近において、ラジカルを発生し重合を開始することができる重合開始剤を用いることが好ましく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることがより好ましい。また、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤に加えて、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いてもよく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤組成物を用いることもできる。
【0039】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(b)重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。(b)重合開始剤の含有量が15.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が脆くなるおそれや黄変(黄ばみ)するおそれがある。(b)重合開始剤の含有量が0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化に時間がかかるおそれがあり、また、硬化不良となるおそれがある。
【0040】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(b)重合開始剤としてアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いる場合、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量は、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下であり、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量は、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下である。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量合計は、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量について、それぞれ0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化不良が起こるおそれがあり、それぞれ10質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が脆くなるおそれや黄変(黄ばみ)するおそれがある。
【0041】
[(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカ]
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカは、本発明においては、主として沈降防止剤として機能する成分である。トリアルキルシリル化シリカにおけるアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよい、炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状アルキル基であり、ジアルキルシリル化シリカにおけるアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよい、炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。本発明において、これらのアルキル基としては、好ましくは炭素数1~6の直鎖又は分岐アルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3の直鎖又は分岐アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
本発明者は、トリアルキルシリル化シリカは、(d)着色剤の種類(着色剤の比重)によらず、沈降防止剤として優れた機能を発揮すること、ジアルキルシリル化シリカは、(d)着色剤が比重4.4以上の顔料を含む場合に、沈降防止剤として優れた機能を発揮することを見出した。
【0042】
本発明において、トリアルキルシリル化シリカは、シリカの表面が、トリアルキルシリル化剤(3つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。)で処理されたものであり、ジアルキルシリル化シリカは、シリカの表面が、ジアルキルシリル化剤(2つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。)で処理されたものであって、化粧料の成分として使用可能なものであれば、特に限定されない。
【0043】
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカを構成するシリカの形状、粒子構造、粒子径等は、特に限定されない。例えば、球状、略球状、板状、繊維状等の形状のものを用いることができ、例えば、多孔質、無孔質、中空、凝集等の粒子構造のものを用いることができ、例えば、平均一次粒子径0.5nm以上、好ましくは1nm以上であり、例えば500nm以下、好ましくは300nm以下のものを用いることができる。
【0044】
シリカのトリアルキルシリル化処理及びジアルキルシリル化処理は、例えば、反応性オルガノシランやオルガノシラザン等のシリコーン化合物を用いて行うことができる。
トリアルキルシリル化処理に用いられるシリコーン化合物としては、例えば、トリアルキルモノハロゲン化シラン(例えば、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン等)やヘキサアルキルジシラザン(例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等)が挙げられる。トリアルキルシリル化処理は、トリアルキルシリル化シラン中の炭素含有量が、例えば0.2質量%以上、好ましくは0.4質量%以上であり、例えば7.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下となるように行うことができる。
ジアルキルシリル化処理に用いられるシリコーン化合物としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン(例えば、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン等)が挙げられる。ジアルキルシリル化処理は、ジアルキルシリル化シラン中の炭素含有量が、例えば0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、例えば7.0質量%以下、好ましくは4.5質量%以下となるように行うことができる。
【0045】
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカの平均一次粒子径は、特に限定されない。シリカの疎水性、硬化性人工爪組成物中での分散安定性等の観点から、適宜定めることができる。例えば0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上であり、例えば500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下である。
【0046】
(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカは、市販品を用いることができる。
トリアルキルシリル化シリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のAEROSILシリーズ(RX 50、NAX 50、NX 90 G、NX 90 S、NX 130、RX 200、R 8200、RX 300、R 812、R 812 S)、キャボット社製のキャボジルTS-530、旭化成ワッカーシリコーン社製のHDK H2000、東レ・ダウコーニング社製のVM-2270 Aerogel Fine Particles等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
ジアルキルシリル化シリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のAEROSILシリーズ(R 972、R 974、R 9200、R 976、R 976 S)、旭化成ワッカーシリコーン社製のHDK H15、HDK H18、HDK H20、HDK
H 30等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0047】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカの含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物中の前記(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、例えば20.0質量部以下、好ましくは17.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下である。(c)トリアルキルシリル化シリカ及び/又はジアルキルシリル化シリカの含有量が、硬化性人工爪組成物中の前記(a)(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部未満であると、硬化性人工爪組成物中の顔料が沈降するおそれがあり、20.0質量部を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなるおそれがあり、レベリング性が悪くなるおそれがある。
【0048】
[(d)着色剤]
(d)着色剤は、ジェルネイルに所望の色調を付与するためのものであれば特に限定されない。例えば、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種以上であって、紫外線照射(光照射)等による硬化を大きく阻害しないものである。(d)着色剤を任意の量を用いることで、ジェルネイル及び硬化性人工爪組成物に所望の色調が付与される。また、硬化性人工爪組成物の黄色味を消すために、ブルーイング剤として用いることができる。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
なお、本発明においては、(c)がジアルキルシリル化シリカを含む場合、(d)着色剤は、比重4.4以上の顔料を1種以上含む。比重4.4以上の顔料としては、例えば、酸化鉄(黒酸化鉄、ベンガラ)、酸化亜鉛、バナジン酸ビスマス、真鍮粉等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明においては、比重3.3以上4.4未満の顔料を1種以上含んでいてもよい。比重3.3以上4.4未満の顔料としては、例えば酸化チタン、黄色酸化鉄等が挙げられる。
また、本発明においては、(d)着色剤として、疎水化度50以上の顔料を1種以上含んでいてもよい。
【0049】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号-(1)、黄色202号-(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号-(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号-(1)、赤色230-(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(黒酸化鉄黒、黄酸化鉄、ベンガラ)、バナジン酸ビスマス、チタンイエロー、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0050】
(d)着色剤に含まれていてもよい疎水化度50以上の顔料は、疎水性の表面処理剤等により疎水化処理した顔料が挙げられる。疎水化度50以上の顔料を構成する顔料としては、例えば、先に着色顔料として挙げた顔料や、各種体質顔料等の1種以上が挙げられる。特に、着色顔料であることが好ましい。
疎水化度50以上の顔料を構成する際に用いられる表面処理剤としては、化粧品分野で使用されるものであれば特に限定されない。例えば、ジメチコン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン;オクチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;パルミチン酸デキストリンなどのデキストリン系化合物;脂肪酸エステル;ステアリン酸等の脂肪酸;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0051】
本発明において、疎水化度は、例えば、以下の方法により測定することができる。
(疎水化度の測定方法)
ガラス瓶に顔料0.02gとイオン交換水3mlを入れた後に、スポイトでメタノールを滴下させ、酸化チタン全量がイオン交換水に懸濁された時の滴下量を測定し、以下の式により疎水化度を算出する。
疎水化度=メタノール滴下量(ml)×100/(メタノール滴下量(ml)+イオン交換水量(ml))
【0052】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(d)着色剤の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、例えば25.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下である。(d)着色剤の含有量について、0.01質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の発色が悪くなり、任意の色調とすることができないおそれがあり、25.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなるおそれがあり、硬化性が悪くなるおそれがある。
【0053】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(d)着色剤に含まれる比重4.4以上の顔料の量は、特に限定されない。着色剤全量100質量%に対して、例えば100質量%以下である。
本発明の硬化性人工爪組成物において、(d)着色剤に含まれる比重3.3以上4.4未満の顔料の量は、特に限定されない。着色剤全量100質量%に対して、例えば50質量%以下とすることができる。
本発明の硬化性人工爪組成物において、(d)着色剤に含まれる疎水化度50以上の顔料の量は、特に限定されない。着色剤全量100質量%に対して、例えば50.0質量%以下、好ましくは40.0質量%以下とすることができる。
【0054】
[(e)その他成分]
本発明の硬化性人工爪組成物には、貯蔵安定性、硬化性、硬化塗膜の色調、硬化塗膜耐久性、硬化塗膜接着性、粘度、取扱性、塗布性等に悪影響を与えない範囲で、前記(a)~(d)に加え、各種の成分を「(e)その他成分」として配合することができる。
(e)その他成分としては、例えば、重合禁止剤、前記(a)アクリロイル基含有重合性化合物以外のラジカル重合性化合物、前記(a)以外の樹脂、ポリオール化合物、溶剤、多官能チオール化合物、メルカプトアルカン酸、香料、前記(c)以外の沈降防止剤(アルミナ等)、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の重合促進剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤、装飾用材料、充填材等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0055】
重合禁止剤としては、例えば、トコフェロール化合物、キノン化合物、フェノール系化合物、カテコール系化合物、オキシジフェニルアミン系化合物、ニトロソ系化合物、ニトロン系化合物、ニトリル系化合物、ヒドラジル系化合物、フェノチアジン系化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0056】
トコフェロール化合物としては、例えば、トコール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、η-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸-α-トコフェロール、酢酸-β-トコフェロール、酢酸-γ-トコフェロール、酢酸-δ-トコフェロール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。キノン化合物としては、例えば、ハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-p-ベンゾキノン、2,5-ジクロロ-p-ベンゾキノン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。フェノール系化合物としては、例えば、3,5-t-ジブチル-6-ヒドロキシトルエン等が挙げられる。カテコール系化合物としては、例えば、カテコール、4-t-ブチルカテコール等が挙げられる。オキシジフェニルアミン系化合物としては、例えば、2-オキシジフェニルアミン、その水酸基位置異性体、フェニル基置換体、アミノ基のアルキル置換体等が挙げられる。ニトロソ系化合物としては、例えば、カルボニル化合物のα炭素にニトロソ基を有する化合物(メチル-α-ニトロソイソプロピルケトン等)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン化合物(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等)等が挙げられる。ニトロン系化合物としては、例えば、フェニル-t-ブチルニトロン等が挙げられる。ニトリル系化合物としては、例えば、ニトリル基が共役している化合物(フルフリリデンマロノニトリル等)等が挙げられる。ヒドラジル系化合物としては、例えば、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルが好ましい。フェノチアジン系化合物としては、例えば、フェノチアジン又は芳香環部分に1つ以上の置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0057】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合禁止剤の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物全量に対し、0質量%を超え0.7質量%以下とすることができる。好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上とすることができる。重合禁止剤の含有量が0.7質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の効果塗膜表面に未硬化成分が残存するおそれがあり、経時的に増粘して塗布性や取扱性等が低下するおそれがある。重合禁止剤を含有していない場合、貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0058】
(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物以外のラジカル重合性化合物としては、特に限定されない。例えば、ビニル基含有化合物、アリル基含有化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アリルグリシジルエーテル、ビニル基含有オリゴマー、アリル基含有オリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0059】
樹脂は、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0060】
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0061】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100~100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100~100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100~100,000が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0062】
溶剤は、希釈により塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0063】
多官能チオール化合物は、分子内にチオール基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。(b)多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の連鎖移動剤、硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に配合することで、硬化塗膜の表面における未硬化成分の残留を抑制することができる。
多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等が挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-へキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネレート、エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTG)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール基含有モノマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、3官能又は4官能のチオール化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0064】
メルカプトアルカン酸としては、例えば、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、4-メルカプト酪酸、2-メルカプトイソ酪酸、3-メルカプトイソ酪酸、3-メルカプト-3-メチル酪酸、2-メルカプト吉草酸、4-メルカプト吉草酸等からなる1種以上が挙げられる。好ましくは炭素数2~5のメルカプトアルカン酸、より好ましくは炭素数2~4のメルカプトアルカン酸である。
本発明においては、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトブタン酸、4-メルカプト酪酸からなる群より選ばれる炭素数2~4のメルカプトアルカン酸の1種以上が好ましく、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、3-メルカプトプロピオン酸がさらに好ましい。
【0065】
[硬化性人工爪組成物の粘度]
本発明の硬化性人工爪組成物は、25℃での粘度を、例えば0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下とすることができる。好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、例えば75.0Pa・s未満、好ましくは70.0Pa・s未満、より好ましくは60.0Pa・s以下である。このような粘度範囲とすることで、筆やインクジェット等の塗布具による塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物にできる。
【0066】
[硬化性人工爪組成物の用途]
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、塗布性に優れていることから、平滑な硬化塗膜を形成することが可能であり、配合する着色剤を選ばず多種多様な色調とすることができ、使用時に撹拌が必要なく均一な色調を再現することができ、意匠性に優れている。
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜を形成する際には、ラジカル重合性の硬化性組成物を硬化させる際に用いるのと同様の設備、例えば、一般の紫外線硬化用の設備やマニキュア硬化用の設備を用いることができる。
【0067】
本発明の硬化性人工爪組成物は、特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート層、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれの層の形成に用いることができる。特に、配合する着色剤を選ばず多種多様な色調とすることができ、使用時に撹拌が必要なく均一な色調を再現することができ、意匠性に優れていることから、カラーコート層又はトップコート層、特に、カラーコート層として好適に用いることができる。
【0068】
本発明の硬化性人工爪組成物は、特に、所望の色調としたカラートップコート層、所網の色調が付与されていてもよいクリア系トップコート層、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等の光輝材を含むラメ入りクリア系トップコート層としても、好適に用いることができる。また、本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
【0069】
[硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆]
本発明の硬化性組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫等の動物の爪でもよい。さらに、ネイルチップ(つけ爪)等の人工の爪であってもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた(未)硬化塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。硬化性人工爪組成物の塗布方法は、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
【0070】
本発明の硬化性人工爪組成物を用い、シートの少なくとも一方の面に、爪等の形状を有する未硬化の塗膜層を作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて未硬化の塗膜層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
【0071】
塗布後の硬化性人工爪組成物の硬化手段については、硬化性人工爪組成物の硬化を生起させるエネルギーを付与し得る手段であれば、特に限定されない。例えば、光(紫外線(UV)等)、電子線、熱等のエネルギー線照射等が挙げられる。特に、紫外線(UV)照射による硬化は、比較的迅速に、簡便に行うことができることから、好ましく用いることができる。紫外線等の光を照射することで硬化させる際には、公知の紫外線硬化用の装置を用いられる。硬化性人工爪組成物の組成によって、硬化に必要なエネルギー量は異なるものの、例えば、紫外線等の光照射により硬化する際には、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm2以上、好ましくは10mJ/cm2以上であり、例えば1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性及び耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
光を照射する際の光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV-LED;波長385~415nm;ピーク波長約405nm)及び紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
【実施例0072】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0073】
[実施例1~12、比較例1~3]
表1に示す成分を、表1に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより室温で30分撹拌した後、フーバーマーラーで回転速度100rpm、回転数50回の条件により分散し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
得られた硬化性人工爪組成物について、粘度測定及び粘度評価を行うとともに、沈降評価を行った。結果を表1に示す。
【0074】
[実施例13~15]
表1に示す成分を、表1に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより室温で30分撹拌した後、フーバーマーラーで回転速度100rpm、回転数50回の条件により分散し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
得られた硬化性人工爪組成物について、粘度評価、沈降評価及び斑模様評価を行った。結果を表2に示す。さらに、実施例1~12で得られた硬化性人工爪組成物についても、斑模様評価を行った。結果を表2に併せて示す。
【0075】
<成分>
表1中の成分は、それぞれ以下のとおりである。
PUA1:1分子中にラジカル重合性不飽和二重結合を2個有する、イソホロンジイソシアネート-ポリブチレングリコール-ヒドロキシエチルメタクリレート系ウレタン(メタ)アクリレート(質量平均分子量4,000)
PUA2:1分子中にラジカル重合性不飽和二重結合を2個有する、イソホロンジイソシアネート-ポリプロピレングリコール-ヒドロキシエチルメタクリレート系ウレタン(メタ)アクリレート(質量平均分子量4,000)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
IBXA:アクリル酸イソボルニル
HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
Pig1:酸化鉄(黒酸化鉄;平均一次粒子径400nm;比重5.0)
Pig2:酸化チタン(平均一次粒子径250nm;比重4.2;疎水化度0)
Pig3:酸化チタン(平均一次粒子径250nm;シリコンアルキル処理;疎水化度50以上)
Pig4:酸化チタン(平均一次粒子径250nm;ジメチコン処理;疎水化度50以上)
Pig5:酸化チタン(平均一次粒子径16nm;含水シリカ処理;疎水化度0)
SiO2:シリカ(親水性ヒュームドシリカ;平均一次粒子径12nm)
DMSi:ジメチルシリル化シリカ(平均一次粒子径16nm)
TMSi:トリメチルシリル化シリカ(平均一次粒子径12nm)
【0076】
<評価>
(粘度評価)
コーン・プレート型粘度計(東機産業社製「TVE-22H」;3°×R14コーンローター)を用い、20±0.1℃、回転数5rpmで硬化性人工爪組成物の粘度を測定し、以下の基準で評価した。本発明において、Aは合格、Cは不合格である。
A:粘度が70Pa・s未満。
C:粘度が70Pa・s以上。
【0077】
(沈降評価)
得られた硬化性人工爪組成物3gを、直径2.5cm、高さ2.5cmの円柱遮光容器に入れ、50℃雰囲気下で2週間静置した。その後、表面状態を目視で確認し、顔料の沈降を、以下の基準に基づき評価した。本発明において、Aは合格、Cは不合格である。
A:顔料が沈降せず、表面が均一である。
C:顔料が沈降し、表面にむらが発生している。
【0078】
(斑模様評価)
得られた硬化性人工爪組成物3gを、直径2.5cm、高さ2.5cmの円柱遮光容器に入れ、50℃雰囲気下で2日間静置した。その後、硬化性人工爪組成物の表面(液面)の状態を目視で確認し、斑模様の発生状態について、以下の基準に基づき評価した。本発明において、S、A、Bは合格、Cは不合格である。
S:硬化性人工爪組成物の表面(液面)が均一である。
A:硬化性人工爪組成物の表面(液面)にわずかに斑点が観察される。
B:硬化性人工爪組成物の表面(液面)に斑点が確認される。
C:硬化性人工爪組成物の表面(液面)に斑模様・色ムラが発生する。
【0079】
【0080】
【0081】
表1に示すように、実施例1~12の硬化性人工爪組成物は、いずれも、比重が4.0を超える無機充填材を含んでいるにもかかわらず、粘度評価及び沈降評価に優れ、爪への塗布に適切な粘度を有し、50℃2週間の保存後も顔料の沈降が観察されなかった。
一方、シリカ成分を含まない比較例1の硬化性人工爪組成物と親水性ヒュームドシリカを少量含む比較例2の硬化性人工爪組成物は、いずれも、沈降評価の点で問題があった。また、親水性ヒュームドシリカを大量に含む比較例3の硬化性人工爪組成物は、粘度評価の点で問題があり、粘度が高すぎて爪への塗布性に劣るものであった。
表2に示すように、疎水化度50以上の顔料を含有する実施例13及び14は、斑模様評価がS又はAとなり、斑模様評価に優れたものであった。