(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163875
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】VOCs吸着及び脱着防止性能に優れた有機金属構造体とこれを含む物品
(51)【国際特許分類】
B01J 20/22 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
B01J20/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077063
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2023-0062013
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0077052
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0052244
(32)【優先日】2024-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】522089675
【氏名又は名称】ラビンキューブ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,キョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョン シン
【テーマコード(参考)】
4G066
【Fターム(参考)】
4G066AB07C
4G066AB24B
4G066AB27C
4G066BA21
4G066BA31
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA01
4G066DA02
4G066EA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOCs)の吸着性能に優れていると同時に吸着されたVOCsの脱着(outgassing)防止性能に優れた有機金属構造体を提供する。
【解決手段】本発明は、ジルコニウム系有機金属構造体(MOF)として結晶構造内にアミン基(-NH
2)を導入することによって、VOCsの吸着性能と脱着防止性能を同時に確保したことに特徴がある。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機リンカーとしてフマル酸を含むジルコニウム系有機金属構造体(MOF)であって、揮発性有機化合物の吸着性能と脱着(outgassing)防止性能に優れた、有機金属構造体。
【請求項2】
有機リンカーとしてL-アスパラギン酸をさらに含む、請求項1に記載の有機金属構造体。
【請求項3】
前記フマル酸とL-アスパラギン酸の混合割合がモル比で9.5:0.5~0.1:9.9である、請求項2に記載の有機金属構造体。
【請求項4】
前記フマル酸とL-アスパラギン酸の混合割合がモル比で9:1~1:9である、請求項2に記載の有機金属構造体。
【請求項5】
前記フマル酸とL-アスパラギン酸の混合割合がモル比で7.5:2.5~2.5:7.5である、請求項2に記載の有機金属構造体。
【請求項6】
前記有機金属構造体は、結晶構造からなり、
前記結晶構造により形成される気孔入口のサイズは、気孔内部のサイズに比べて大きい構造からなる、請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の有機金属構造体。
【請求項7】
前記気孔の内部には、アミン基(NH2)が位置する、請求項6に記載の有機金属構造体。
【請求項8】
前記有機金属構造体のVOCs吸着率は、95%以上であり、脱着率は、2.5%以下である、請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の有機金属構造体。
【請求項9】
請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の有機金属構造体を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOCs)の吸着性能に優れていると同時に吸着されたVOCsの脱着(outgassing)防止性能に優れた有機金属構造体とこれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒドに対する吸着性能及び吸着されたホルムアルデヒドの脱着(outgassing)防止性能の改善が要求される。
【0003】
ところが、既存の粒子(ほこり)の除去とともにVOCsの除去のために用いられてきた活性炭の場合、例えば、25坪型のエアクリーナーは、25坪型の粒子(ほこり)を処理できるが、VOCsは、5坪程度の処理性能しか有さず、VOCsの除去性能が粒子(ほこり)の除去性能に比べて顕著に不足している。それだけでなく、活性炭は、VOCsの再脱着が起きるので、長期間フィルターの使用時には吸着されたVOCsが再発生するという問題がある。
【0004】
一方、下記特許文献には、活性炭の低いVOCs吸着特性を改善するために、チタン系列の有機金属構造体であるMIL-125 MOFをホルムアルデヒドの吸着に用いる技術が提示されている。しかし、MIL-125 MOFの場合、活性炭に比べてVOCsの吸着性能は優秀であるが、再脱着性能は活性炭に比べて落ちるので、フィルターの使用時に吸着されたVOCsが再発生する問題は解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
(特許文献1)大韓民国公開特許第2023-0033579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、VOCsに対する吸着性能に優れているだけでなく、吸着されたVOCsの脱着防止性能も向上した有機金属構造体を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、次の(1)~(6)の有機金属構造体と(7)及び(8)の物品を提供する。
【0008】
(1)有機リンカーとしてフマル酸を含むジルコニウム系有機金属構造体(MOF)であって、揮発性有機化合物の吸着性能と脱着(outgassing)防止性能に優れた、有機金属構造体。
【0009】
(2)(1)において、有機リンカーとしてL-アスパラギン酸をさらに含む、有機金属構造体。
【0010】
(3)(2)において、前記フマル酸とL-アスパラギン酸の混合割合がモル比で9.5:0.5~0.1:9.9、9:1~1:9、8.5:1.5~1.5:8.5、8:2~2:8、7.5:2.5~2.5:7.5又は7:3~3:7である、有機金属構造体。
【0011】
(4)(1)~(3)のうちいずれか一つにおいて、前記有機金属構造体は、結晶構造からなり、前記結晶構造により形成される気孔入口のサイズは、気孔内部のサイズに比べて大きい構造からなる、有機金属構造体。
【0012】
(5)(4)において、前記気孔の内部には、アミン基(NH2)が位置する、有機金属構造体。
【0013】
(6)(1)~(5)のうちいずれか一つにおいて、前記有機金属構造体のVOCs吸着率は、95%以上であり、脱着率は、2.5%以下である、有機金属構造体。
【0014】
(7)(1)~(6)のうちいずれか一つの有機金属構造体を含む物品。
【0015】
(8)(7)において、前記物品は、フィルターを含む物品。
【発明の効果】
【0016】
本発明による有機金属構造体は、従来の有機金属構造体に比べてVOCsの吸着性能の向上だけでなく吸着されたVOCsの脱着防止性能も向上される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体のイメージである。
【0018】
【
図2】本発明の実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体のPXRD分析結果である。
【0019】
【
図3】本発明の実施例6及び比較例1(MIL-125)によって合成された有機金属構造体の粉末をロールツーロールコーティングを通じて製作した試験片のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能に対する分析を進行した結果である。
【0020】
【
図4】実施例1~10及び比較例2による有機金属構造体のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能の評価結果である。
【0021】
【
図5】本発明の実施例11~14によって合成された有機金属構造体のイメージである。
【0022】
【
図6】本発明の実施例11~14によって合成された有機金属構造体のPXRD分析結果である。
【0023】
【
図7】本発明の実施例11~14によって合成された有機金属構造体の粉末をロールツーロールコーティングを通じて製作した試験片のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能に対する分析を進行した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。
【0025】
しかし、次に例示する本発明の実施例は、様々な他の形態に変形され得、本発明の範囲が次に詳述する実施例によって限定されるものではない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0026】
<実施例1>
【0027】
実施例1による有機金属構造体は、下記表1の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0028】
【0029】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0030】
その後、フマル酸(Fumaric acid)12.19g(0.21mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例1(InCube 206(0:10))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。表1に使用されるギ酸は溶媒として使用された物質であるため、得られた有機金属構造体に実質的に含まれていないが、合成の過程で少量のギ酸が不純物の形態ですこし残ることもできる。これは、以下の実施例2~実施例14により得られた有機金属構造体においても同様である。
【0031】
<実施例2>
【0032】
実施例2による有機金属構造体は、下記表2の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0033】
【0034】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0035】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)2.80g(0.021mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)21.94g(0.189mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例2(InCube 206(1:9))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0036】
<実施例3>
【0037】
実施例3による有機金属構造体は、下記表3の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0038】
【0039】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0040】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)5.59g(0.042mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)19.5g(0.168mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例3(InCube 206(2:8))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0041】
<実施例4>
【0042】
実施例4による有機金属構造体は、下記表4の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0043】
【0044】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0045】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)8.39g(0.063mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)17.06g(0.147mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例4(InCube 206(3:7))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0046】
<実施例5>
【0047】
実施例5による有機金属構造体は、下記表5の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0048】
【0049】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0050】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)11.18g(0.084mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)14.63g(0.126mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例5(InCube 206(4:6))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0051】
<実施例6>
【0052】
実施例6による有機金属構造体は、下記表6の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0053】
【0054】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0055】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)13.98g(0.105mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)12.19g(0.105mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例6(InCube 206(5:5))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0056】
<実施例7>
【0057】
実施例7による有機金属構造体は、下記表7の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0058】
【0059】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0060】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)16.77g(0.126mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)9.75g(0.084mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例7(InCube 206(6:4))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0061】
<実施例8>
【0062】
実施例8による有機金属構造体は、下記表8の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0063】
【0064】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0065】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)19.57g(0.147mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)7.31g(0.063mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例8(InCube 206(7:3))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0066】
<実施例9>
【0067】
実施例9による有機金属構造体は、下記表9の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0068】
【0069】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0070】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)22.36g(0.168mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)4.87g(0.042mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例9(InCube 206(8:2))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0071】
<実施例10>
【0072】
実施例10による有機金属構造体は、下記表10の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0073】
【0074】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0075】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)25.16g(0.189mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)2.44g(0.021mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例10(InCube 206(9:1))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0076】
<実施例11>
【0077】
実施例11による有機金属構造体は、下記表11の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0078】
【0079】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0080】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)26.55g(0.1995mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)1.22g(0.0105mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例11(InCube 206(0.5:9.5))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0081】
<実施例12>
【0082】
実施例12による有機金属構造体は、下記表12の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0083】
【0084】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0085】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)26.83g(0.2016mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)0.97g(0.0084mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例12(InCube 206(0.4:9.6))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0086】
<実施例13>
【0087】
実施例13による有機金属構造体は、下記表13の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0088】
【0089】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0090】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)27.11g(0.2037mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)0.73g(0.0063mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例13(InCube 206(0.3:9.7))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0091】
<実施例14>
【0092】
実施例14による有機金属構造体は、下記表14の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0093】
【0094】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0095】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)27.67g(0.2079mol)を入れた後、完全にとかす。最後に、フマル酸(Fumaric acid)0.24g(0.0021mol)を入れた後に撹拌する。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて実施例14(InCube 206(0.1:9.9))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0096】
<実施例15>
【0097】
実施例1~実施例14による有機金属構造体のホルムアルデヒドの吸/放出特性を測定するために、実施例1~実施例14による有機金属構造体を利用して懸濁液を製造し、これを公知のロールツーロールコーティングした後に乾燥した。このとき、コーティングされたシート上にローディングされたサンプル量は、シート1m2当たり30~100gである。
【0098】
<比較例1>
【0099】
実施例1~実施例10との比較のために、MIL125 MOFを次のような過程で合成した。
【0100】
Terephthalic acid 0.5g(0.003mol)をDMF/MeOH(9/1mL)入れた後、完全にとかす。前記溶液にtitanium butoxide 0.26ml(0.0008mol)を入れた後に撹拌する。その後、20mLのテフロン容器に移した後、オートクレーブに入れた後に150℃で24時間の間加熱する。合成完了後、遠心分離機を利用して1次濾過した後、DMF及びMeOHを各3回ずつ洗浄する。洗浄完了後、80℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末状態の有機金属構造体を収得した。
【0101】
<比較例2>
【0102】
比較例2による有機金属構造体は、下記表15の原料を用いて次のような過程で合成された。
【0103】
【0104】
蒸溜水100mlにZirconium(IV) oxychloride 32.23g(0.1mol)を入れた後、完全にとかす。前記溶液にFormic acid 92.06gを入れた後に撹拌する。
【0105】
その後、L-アスパラギン酸(L-aspartic acid)27.95g(0.21mol)を入れた後、完全にとかす。最終溶液を120℃で24時間の間還流反応を通じて比較例2(InCube 206(0:10))の有機金属構造体を合成する。合成完了後、ブフナー濾過を進行し、水とエタノールを利用して洗浄する。洗浄完了後、110℃オーブンで真空乾燥し、白色粉末の有機金属構造体を収得した。
【0106】
<比較例3>
【0107】
比較例1及び2による有機金属構造体のホルムアルデヒドの吸/放出特性を測定するためのサンプルを製造する方法で比較例1による有機基金属構造体を利用して懸濁液を製造し、これを公知のロールツーロールコーティングした後に乾燥した。このとき、コーティングされたシート上にローディングされたサンプル量は、シート1m2当たり30~50gである。
【0108】
図1は、本発明の実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体のイメージである。
図1から確認されるように、実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体は、約数nm~数百nm範囲のサイズで粒子状に形成された。
【0109】
図2は、本発明の実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体のPXRD分析結果である。
図2から確認されるように、実施例1~10及び比較例2によって合成された有機金属構造体は、PXRD分析を通じて結晶状からなっていることが確認された。
【0110】
図3は、本発明の実施例6及び比較例1(MIL-125、図面で「現在素材」で表示)によって合成された有機金属構造体の粉末をロールツーロールコーティングを通じて製作した試験片のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能に対する分析を進行した結果である。
図3から確認されるように、現在サンプルより実施例6のサンプルのホルムアルデヒドの吸着及び脱着防止性能が優秀であることを確認することができる。
【0111】
循環方式の吸着測定システムを用いてppm単位でのホルムアルデヒド吸着及び脱着性能評価を実施した。このとき、測定システム内のチャンバに特定濃度のホルムアルデヒドガスを製造し、ロールツーロールコーティングされた試験片にガスを通過させてチャンバ内の濃度変化を追跡することによって、ホルムアルデヒドの吸脱着等温曲線を導出した。吸着性能を測定するために、約20ppm以下のホルムアルデヒドガスを試験片に通過させて20分間ホルムアルデヒド吸着量を測定した。また、吸着後、ホルムアルデヒドが含まれない気体を投入して試験片から発生するホルムアルデヒド量を20分間測定することで、試験片からのホルムアルデヒドの再脱着量を測定した。
【0112】
図4は、実施例1~10及び比較例2による有機金属構造体のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能の評価結果である。
【0113】
図4から確認されるように、実施例2~10の場合、比較例1である現在素材に比べてホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能が優れ、特に、実施例4~8の場合、吸着及び脱着防止性能が現在素材に比べて大幅に改善されたことが分かる。
【0114】
図5は、本発明の実施例11~14によって合成された有機金属構造体のイメージである。
【0115】
図5から確認されるように、実施例11~14によって合成された有機金属構造体は、約数nm~数百nm範囲のサイズで粒子状に形成された。
【0116】
図6は、本発明の実施例11~14によって合成された有機金属構造体のPXRD分析結果である。
【0117】
図6から確認されるように、実施例11~14によって合成された有機金属構造体は、PXRD分析を通じて結晶状からなっていることが確認された。
【0118】
図7は、実施例11~14による有機金属構造体のホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能の評価結果である。
【0119】
図7から確認されるように、実施例11~14の場合、比較例1である現在素材に比べてホルムアルデヒド吸着及び脱着防止性能が優秀であることを確認することができる。
【0120】
表16は、
図4及び
図7の結果を数値化したものであって、ホルムアルデヒド吸着量及び吸着率、ホルムアルデヒド脱着量及び脱着率を整理した結果である。
【0121】
【0122】
表16から確認されるように、本発明の実施例1~14は、既存のVOCsの吸着性能を改善するために開発されたMIL-125に比べてホルムアルデヒド吸着量が高いだけでなく、ホルムアルデヒドの脱着率も同時に低い。
【0123】
一方、フマル酸を含まない比較例2の場合、ホルムアルデヒドの吸着量は、MIL-125に比べて向上したが、ホルムアルデヒドの脱着率が一層高くなる結果を示した。
【0124】
本発明の実施例の中で、特に、実施例4(InCube206-(7:3))~実施例8(InCube206-(3:7))の場合、ホルムアルデヒドの吸着率が高いと同時にホルムアルデヒドの脱着率が低いため、より好ましい性能を有することが分かる。