(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163892
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ウォータージェットレーザ結合装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/146 20140101AFI20241115BHJP
【FI】
B23K26/146
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024077207
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】202310534854.7
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524180473
【氏名又は名称】浙江工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】斉 歓
(72)【発明者】
【氏名】維邦 西唐
(72)【発明者】
【氏名】張 利
(72)【発明者】
【氏名】陶 麒羽
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168EA24
4E168FA05
4E168FC05
4E168GA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、水キャビティ内の流れ場のチャンネルを加工しやすく、ノズルと光学窓の取り外しや交換が容易なウォータージェットレーザ結合装置を提供する。
【解決手段】ウォータージェットレーザ結合装置は水キャビティ、光学キャビティ及びノズルシートを含み、前記水キャビティは中空キャビティを有する環状構造であり、上から下に順に接続された上部キャビティ、中間キャビティ及び下部キャビティを含み、前記光学キャビティは水キャビティの中空キャビティの上部に埋設され、光透過キャビティ及び光学窓を含み、光学窓は光透過キャビティの下端に開けられる溝内に設けられて中間キャビティの上部の貫通孔の段差に当接し、前記ノズルシートは水キャビティの中空キャビティの下部に埋設され、ノズルベース及びノズルを含み、ノズルはノズルベースの上端の溝内に設けられて下部キャビティの頂部に当接し、ノズルと光学窓との間に薄い水の層が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォータージェットレーザ結合装置であって、前記結合装置は水キャビティ、光学キャビティ及びノズルシートを含み、前記水キャビティは中空キャビティを有する環状構造であり、上から下に順に接続された上部キャビティ(1)、中間キャビティ(2)及び下部キャビティ(3)を含み、前記光学キャビティは水キャビティの中空キャビティの上部に埋設され、光透過キャビティ(4)及び光学窓(5)を含み、光学窓(5)は光透過キャビティ(4)の下端に開けられる溝内に設けられて中間キャビティ(2)の上部の貫通孔の段差に当接し、前記ノズルシートは水キャビティの中空キャビティの下部に埋設され、ノズルベース(6)及びノズル(7)を含み、ノズル(7)はノズルベース(6)の上端の溝内に設けられて下部キャビティ(3)の頂部に当接し、ノズル(7)と光学窓(5)との間に薄い水の層(27)が形成され、
前記上部キャビティ(1)の中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内に光透過キャビティ(4)が取り付けられ、
前記中間キャビティ(2)の頂部にチャンネルが開けられ、前記チャンネルは上部キャビティ(1)と頂部環状流路(23)を形成し、
前記中間キャビティ(2)には連通する入水口(21)と第1上昇流路(22)が開けられ、前記第1上昇流路(22)は頂部環状流路(23)に連通し、前記中間キャビティ(2)には、水を中間キャビティ(2)の底部に導くために頂部環状流路(23)に連通する貫通流路(24)が開けられ、前記中間キャビティ(2)の底部にチャンネルが開けられ、前記チャンネルは下部キャビティ(3)と底部環状流路(25)を形成し、中間キャビティ(2)と下部キャビティ(3)との間には、薄い水の層(27)に連通する第2上昇流路(26)が更に形成され、
前記下部キャビティ(3)の中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内にノズルベース(6)が取り付けられる、ことを特徴とするウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項2】
前記ノズルベース(6)は下部キャビティ(3)の中央の貫通孔にネジで接続され、前記ノズルベース(6)は上部が細く下部が太い段付き軸管構造であり、その頂部にはノズル(7)を取り付けるための第1取付溝が開けられ、前記ノズル(7)、光学窓(5)、下部キャビティ(3)、中間キャビティ(2)の間に薄い水の層(27)が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項3】
前記光透過キャビティ(4)の下部には雄ネジを有するボスが設けられ、上部キャビティ(1)の中央貫通孔及び中間キャビティ(2)の中央の段付き貫通孔の両方には光透過キャビティ(4)にマッチングする雌ネジが設けられ、前記光学窓(5)は光透過キャビティ(4)のボスの底部の溝内に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項4】
前記中間キャビティ(2)の中央に段付き貫通孔が設けられ、貫通孔の上部には光透過キャビティ(4)にマッチングするネジが設けられ、貫通孔の下部と下部キャビティ(3)の中央のボスの外壁とは第2上昇流路(26)を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項5】
前記光透過キャビティ(4)の頂部とノズルベース(6)の底部に六角溝が開けられ、六角レンチによって、光透過キャビティ(4)及びノズルベース(6)はそれぞれ上部キャビティ(1)及び下部キャビティ(3)にネジで接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項6】
前記上部キャビティ(1)と中間キャビティ(2)との間、下部キャビティ(3)と中間キャビティ(2)との間、光透過キャビティ(4)と中間キャビティ(2)の中央の段付き貫通孔との間には、Oリング(8)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項7】
前記入水口(21)、第1上昇流路(22)、頂部環状流路(23)、貫通流路(24)、底部環状流路(25)及び第2上昇流路(26)はいずれも対称的に分布している、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項8】
前記光学窓(5)は石英ガラス材料を採用している、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項9】
前記ノズル(7)は中央にサファイアインサートを採用しており、金属ハウジングとサファイアノズルによって嵌め込まれて形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【請求項10】
前記第2上昇流路(26)は複数で周方向に配置される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウォータージェットレーザの技術分野に属し、具体的に、ウォータージェットレーザ結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォータージェットレーザ加工技術の原理は、水と空気の光学的特性の伝播の違いを利用し、水ビーム内のレーザの入射角度が全反射の臨界角度よりも大きい場合、レーザビームが分離せずに水ビーム内で完全に全反射できるため、レーザビームを水ビーム内で折り曲げて伝播させ、水ビームの光ファイバーを形成することである。ウォータージェットレーザで加工されたスラグは水に運ばれ、水の冷却作用によりレーザ加工で発生した熱が奪われ、熱影響領域や再溶融層がなくなり、加工品質が向上する。
【0003】
ウォータージェットレーザ加工技術において、レーザビームとマイクロ水ビームとの結合状況は加工効果を直接的に決定する。ウォータージェットレーザ結合装置はコア装置であり、高圧水が入り込み、細くて安定した水ビームを形成し、レーザを水ビーム内に結合する。結合の原理は、レーザビームを集束させてビームウェストのサイズを水ビームの直径よりも小さくし、その後、レーザスポットとノズルとの相対位置を調整して、レーザが全て水ビーム内に入るようにし、レーザが水ビームと空気との界面で全反射され、前方に向かって加工対象の表面に伝送されることである。
【0004】
従来のウォータージェットレーザ結合装置はほとんど単一の入水口を採用しており、流れ場内の流路が簡単すぎるため、流速が変動しやすく、比較的不安定であり、また、従来の結合装置のノズル及び光学窓は取り付けや取り外しが難しく、メンテナンス、保守及び交換は不便である。
【0005】
上記問題に鑑みて、安定した高圧水を提供でき、ノズル、光学窓を容易に取り外して交換することができ、密封性が高いウォータージェットレーザ結合装置を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点を補うために、本発明はウォータージェットレーザ結合装置を提供し、水キャビティ内の液体の圧力を安定させことで、微細な水ビームの安定した長さを効果的に増加させることができ、且つノズル及び光学窓の交換が容易で、装置の洗浄が容易で、密封性が高いという利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は以下の技術的解決手段によって実現できる。
【0008】
ウォータージェットレーザ結合装置であって、該結合装置は水キャビティ、光学キャビティ及びノズルシートを含み、前記水キャビティは中空キャビティを有する環状構造であり、上から下に順に接続された上部キャビティ、中間キャビティ及び下部キャビティを含み、前記光学キャビティは水キャビティの中空キャビティの上部に埋設され、光透過キャビティ及び光学窓を含み、光学窓は光透過キャビティの下端に開けられる溝内に設けられて中間キャビティの上部の貫通孔の段差に当接し、前記ノズルシートは水キャビティの中空キャビティの下部に埋設され、ノズルベース及びノズルを含み、ノズルはノズルベースの上端の溝内に設けられて下部キャビティの頂部に当接し、ノズルと光学窓との間に薄い水の層が形成される。
【0009】
前記上部キャビティの中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内に光透過キャビティが取り付けられる。
【0010】
前記中間キャビティの頂部にチャンネルが開けられ、該チャンネルは上部キャビティと頂部環状流路を形成する。
【0011】
前記中間キャビティには連通する入水口と第1上昇流路が開けられ、前記第1上昇流路は頂部環状流路に連通し、前記中間キャビティには、水を中間キャビティの底部に導くために頂部環状流路に連通する貫通流路が開けられ、前記中間キャビティの底部にチャンネルが開けられ、該チャンネルは下部キャビティと底部環状流路を形成し、中間キャビティと下部キャビティとの間には、薄い水の層に連通する第2上昇流路が更に形成される。流れ場内の水流の安定性を更に向上させるために、前記中間キャビティは頂部と底部2つの環状流路を採用することで水流をより良好に導く。前記中間キャビティの第1上昇流路は頂部環状流路に連通し、入水口から流入した高圧水は第1上昇流路を通って頂部環状流路に導入される。前記中間キャビティと下部キャビティは協働して第2上昇流路を形成し、水を薄い水の層に合流させ、圧力が安定した薄い水の層を提供する。
【0012】
前記下部キャビティの中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内にノズルベースが取り付けられる。
【0013】
上記技術案では、入水口、第1上昇流路、頂部環状流路、貫通流路、底部環状流路、第2上昇流路及び薄い水の層が構成した水キャビティの内部の流れ場は、2つの凸状の流れ場及び1つの凹状の流れ場を形成し、流れ場内の流体の圧力が不安定である問題を効果的に解消することができ、安定した水ビームの長さの増加に有利である。ノズルシートのノズル孔は加工中に高圧やレーザ侵食を受ける消耗部品であり、ノズルとノズルベースは分離可能な構造を採用することで、ノズルのメンテナンスや交換が容易になり、加工工程への影響が軽減されるとともに、出口径の異なるノズルの置き換えも容易になる。
【0014】
更に、前記ノズルベースは下部キャビティの中央の貫通孔にネジで接続され、前記ノズルベースは上部が細く下部が太い段付き軸管構造であり、その頂部にはノズルを取り付けるための第1取付溝が開けられ、前記ノズル、光学窓、下部キャビティ、中間キャビティの間に薄い水の層が形成される。
【0015】
更に、前記光透過キャビティの下部には雄ネジを有するボスが設けられ、上部キャビティの中央貫通孔と中間キャビティの中央の段付き貫通孔の両方には光透過キャビティにマッチングする雌ネジが設けられ、前記光学窓は光透過キャビティのボスの底部の溝内に取り付けられる。
【0016】
更に、前記中間キャビティの中央に段付き貫通孔が設けられ、貫通孔の上部には光透過キャビティにマッチングするネジが設けられ、貫通孔の下部と下部キャビティの中央のボスの外壁とは第2上昇流路を形成する。
【0017】
更に、光透過キャビティとノズルベースの着脱を容易にするために、前記光透過キャビティの頂部とノズルベースの底部に六角溝が開けられ、六角レンチによって、光透過キャビティ及びノズルベースはそれぞれ上部キャビティ及び下部キャビティにネジで接続される。
【0018】
更に、前記上部キャビティと中間キャビティとの間、下部キャビティと中間キャビティとの間、光透過キャビティと中間キャビティの中央の段付き貫通孔との間には、Oリングが設けられる。
【0019】
更に、前記入水口、第1上昇流路、頂部環状流路、貫通流路、底部環状流路及び第2上昇流路はいずれも対称的に分布している。
【0020】
流れ場内の水流の安定性を更に向上させるために、前記中間キャビティは対称的な2つの入水口を採用している。
【0021】
更に、前記ノズルは中央にサファイアインサートを採用しており、金属ハウジングとサファイアノズルによって嵌め込まれて形成される。
【0022】
更に、前記第2上昇流路は複数で周方向に配置される。
【0023】
結合装置の安定性を確保するために、前記中間キャビティの中央に段付き貫通孔が開けられ、上部の貫通孔には上部キャビティの中央部と同じサイズの雌ネジが開けられ、光透過キャビティはネジによって上部キャビティ、中間キャビティに接続される。前記中間キャビティの下部には、下部キャビティのボスと嵌合する貫通孔が開けられる。
【0024】
更に、前記光透過キャビティは円筒状のキャビティ構造を採用し、前記光学窓は耐圧性が高く、硬度が高く、透光性が良好な石英ガラス材料を採用する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0026】
1、流れ場内の水流が安定する:入水口を中間キャビティに設け、上部キャビティと中間キャビティ、中間キャビティと下部キャビティの協働により、対称的な多流路の流れ場を形成し、また、複数の上昇流路を採用して水流を導くことにより、流れ場内の水流の安定性が向上する。
【0027】
2、取り付けが簡単である:全体の構造はハンバーガー型の軸方向に取り付けられた構造であり、上部キャビティと中間キャビティ、中間キャビティと下部キャビティはネジ留め具によって接続され、光透過キャビティとノズルベースはネジによって結合装置内に取り付けられる。
【0028】
3、消耗部品のメンテナンスや交換が便利である:光学窓とノズルは分離可能な構造を採用してそれぞれ光透過キャビティとノズルベースの溝内に取り付けられることで、六角レンチを使用して光透過キャビティ又はノズルベースを回転させて取り外すだけで、光学窓又はノズルをメンテナンスし交換することができる。
【0029】
4、密封性が高い:結合装置内に複数の流れ場流路があり、Oリングを設けることで装置の密封性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】本発明の実施例1の別の方向からの断面図である。
【
図4】本発明の実施例1の水キャビティの流れ場模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【0032】
実施例1
本実施例に記載のウォータージェットレーザ結合装置は、
図1~
図4に示すように、本体が上部キャビティ1、中間キャビティ2、下部キャビティ3、光透過キャビティ4、光学窓5、ノズルベース6及びノズル7を含む。
【0033】
図1及び
図2に示すように、上部キャビティ1、中間キャビティ2、下部キャビティ3は軸方向に取り付けられた構造であり、上部キャビティ1と中間キャビティ2の頂部には周方向に均一に配置された複数のネジ取付孔が開けられ、ボルトでしっかりと接続される。中間キャビティ2と下部キャビティ3にも、周方向に均一に配置されるネジ取付孔が設けられ、ボルトでしっかりと接続される。
【0034】
引き続き、
図1に示すように、上部キャビティ1の中央にネジ貫通孔が開けられ、孔内に光透過キャビティ4が取り付けられ、光透過キャビティ4は円筒状のキャビティ構造を採用することで、ビームの通過を容易にする。光透過キャビティ4に六角溝が開けられ、六角レンチによって、それは上部キャビティ1にネジで接続される。光透過キャビティ4のボスの頂部に円形の第2取付溝が開けられ、第2取付溝は六角溝の下端に連通するように設けられ、該第2取付溝の下端には直径が第2取付溝よりも大きい沈み溝が形成され、光学窓5は該沈み溝内に取り付けられる。中間キャビティ2の中央に段付き貫通孔が開けられ、段付き貫通孔の上部には光透過キャビティ4にマッチングするネジが開けられ、光透過キャビティ4はネジによって上部キャビティ1、中間キャビティ2に接続され、光学窓5の底端は中間キャビティ2の段差面に当接する。該実施例では、光学窓5は石英ガラス材料を採用しており、石英ガラス材料は硬度が高く、耐圧性が高く、透光性が良好である。
【0035】
引き続き、
図1~
図3に示すように、中間キャビティ2の頂部に頂部環状流路23が開けられ、底部に底部環状流路25が開けられ、入水口21は第1上昇流路22を介して頂部環状流路23に連通する。入水口21が対称的に2つ設けられるため、水流は良好な対称性を有し、水キャビティ内の水流の安定性の向上に役に立つ。中間キャビティ2に貫通流路24が開けられ、貫通流路24は頂部環状流路23及び底部環状流路25に連通する。
【0036】
引き続き、
図1及び
図2に示すように、下部キャビティ3の中央にネジ貫通孔が開けられ、孔内にノズルベース6が取り付けられ、ノズルベース6は円筒状のキャビティ構造を採用することで、水ビームの射出を容易にする。ノズルベース6の底部に六角溝が開けられ、六角レンチによって、それは下部キャビティ3にネジで接続される。ノズルベース6のボスに円形の第1取付溝が開けられ、ノズル7は第1取付溝内に取り付けられて下部キャビティ3の中央の頂部のバッフルに当接する。下部キャビティ3の中央のボスは中間キャビティ2の底部の貫通孔に延在し、それと協働して第2上昇流路26を形成する。
【0037】
具体的に、中間キャビティ2の貫通孔の下部の内壁には上下に貫通する複数の溝が周方向に配置され、中間キャビティ2の貫通孔の下部の内壁が下部キャビティ3の中央のボスの外壁に密着することで、溝と下部キャビティ3の中央のボスの外壁は協働して第2上昇流路26を形成する。
【0038】
ノズル7と光学窓5との間に薄い水の層27が形成される。第1上昇流路22、頂部環状流路23及び貫通流路24は凸状の流れ場を形成し、貫通流路24、底部環状流路25及び第2上昇流路26は凹状の流れ場を形成し、底部環状流路25、第2上昇流路26及び薄い水の層27は凸状の流れ場を形成する。
【0039】
更に、ノズル7のサファイアインサートの中央にノズル孔が開けられ、ノズル孔は上部が円筒状で下部が円錐状の構造であり、微細な水ビームを形成するのに役に立つ。レーザはノズル孔の中心で水ビームとコリメート結合し、水ビームで全反射して被加工物の表面に伝送され、ウォータージェットレーザ加工が行われる。
【0040】
図2に示すように、上部キャビティ1と中間キャビティ2との間、光透過キャビティ4と中間キャビティ2との間、中間キャビティ2と下部キャビティ3との間には、Oリングが設けられる。結合装置の内部に複数の流れ場流路が形成され、Oリングを設けることにより装置の密封性を高めることができる。
【0041】
本実施例の作動原理は以下の通りである。高圧水は入水口21を通って第1上昇流路22に入り、頂部環状流路23を上昇し、その後、貫通流路24を通って底部環状流路25に入り、更に第2上昇流路26を通って薄い水の層27に入ることで、水キャビティの流れ場を十分に充填する。入水口21、第1上昇流路22、貫通流路24は水流を導いて輸送するための軸対称構造である。第1上昇流路22及び第2上昇流路26により水流の圧力の安定性が向上する。第2上昇流路26は水流を薄い水の層27に合流させて、安定したノズル孔の出口圧力を取得する。
【0042】
レーザは集束レンズによって集束された後に光透過キャビティ4から入り、光学窓5を通って薄い水の層27に入り、ノズル7の中心のノズル孔内にコリメートされる。レーザはノズル孔の中心で水ビームと結合し、ノズルベース6の中央の貫通孔から射出される。レーザは水ビーム内で全反射し、高エネルギーのレーザは水ビームを通して被加工物の表面に導かれ、レーザは被加工物を強熱して加工することができ、水ビームは被加工物の表面を急速に冷却して加工残渣を洗い流すことができる。
【0043】
実施例2
図5に示すように、本実施例では、実施例1との相違点は、光透過キャビティ4が上部キャビティ1の中央のネジ貫通孔内に取り付けられ、上部キャビティ1の中央のボスが中間キャビティ2の上部の貫通孔内に取り付けられることである。
【0044】
最後に、上記の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではないことに留意されたい。本発明が前述の各実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正したり、一部又は全部の技術的特徴に対して同等の置換を行ったりすることができ、これらの修正や置換は対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではないことを理解されたい。
【0045】
(付記)
(付記1)
ウォータージェットレーザ結合装置であって、前記結合装置は水キャビティ、光学キャビティ及びノズルシートを含み、前記水キャビティは中空キャビティを有する環状構造であり、上から下に順に接続された上部キャビティ(1)、中間キャビティ(2)及び下部キャビティ(3)を含み、前記光学キャビティは水キャビティの中空キャビティの上部に埋設され、光透過キャビティ(4)及び光学窓(5)を含み、光学窓(5)は光透過キャビティ(4)の下端に開けられる溝内に設けられて中間キャビティ(2)の上部の貫通孔の段差に当接し、前記ノズルシートは水キャビティの中空キャビティの下部に埋設され、ノズルベース(6)及びノズル(7)を含み、ノズル(7)はノズルベース(6)の上端の溝内に設けられて下部キャビティ(3)の頂部に当接し、ノズル(7)と光学窓(5)との間に薄い水の層(27)が形成され、
前記上部キャビティ(1)の中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内に光透過キャビティ(4)が取り付けられ、
前記中間キャビティ(2)の頂部にチャンネルが開けられ、前記チャンネルは上部キャビティ(1)と頂部環状流路(23)を形成し、
前記中間キャビティ(2)には連通する入水口(21)と第1上昇流路(22)が開けられ、前記第1上昇流路(22)は頂部環状流路(23)に連通し、前記中間キャビティ(2)には、水を中間キャビティ(2)の底部に導くために頂部環状流路(23)に連通する貫通流路(24)が開けられ、前記中間キャビティ(2)の底部にチャンネルが開けられ、前記チャンネルは下部キャビティ(3)と底部環状流路(25)を形成し、中間キャビティ(2)と下部キャビティ(3)との間には、薄い水の層(27)に連通する第2上昇流路(26)が更に形成され、
前記下部キャビティ(3)の中央に貫通孔が開けられ、該貫通孔内にノズルベース(6)が取り付けられる、ことを特徴とするウォータージェットレーザ結合装置。
【0046】
(付記2)
前記ノズルベース(6)は下部キャビティ(3)の中央の貫通孔にネジで接続され、前記ノズルベース(6)は上部が細く下部が太い段付き軸管構造であり、その頂部にはノズル(7)を取り付けるための第1取付溝が開けられ、前記ノズル(7)、光学窓(5)、下部キャビティ(3)、中間キャビティ(2)の間に薄い水の層(27)が形成される、ことを特徴とする付記1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0047】
(付記3)
前記光透過キャビティ(4)の下部には雄ネジを有するボスが設けられ、上部キャビティ(1)の中央貫通孔及び中間キャビティ(2)の中央の段付き貫通孔の両方には光透過キャビティ(4)にマッチングする雌ネジが設けられ、前記光学窓(5)は光透過キャビティ(4)のボスの底部の溝内に取り付けられる、ことを特徴とする付記1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0048】
(付記4)
前記中間キャビティ(2)の中央に段付き貫通孔が設けられ、貫通孔の上部には光透過キャビティ(4)にマッチングするネジが設けられ、貫通孔の下部と下部キャビティ(3)の中央のボスの外壁とは第2上昇流路(26)を形成する、ことを特徴とする付記1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0049】
(付記5)
前記光透過キャビティ(4)の頂部とノズルベース(6)の底部に六角溝が開けられ、六角レンチによって、光透過キャビティ(4)及びノズルベース(6)はそれぞれ上部キャビティ(1)及び下部キャビティ(3)にネジで接続される、ことを特徴とする付記1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0050】
(付記6)
前記上部キャビティ(1)と中間キャビティ(2)との間、下部キャビティ(3)と中間キャビティ(2)との間、光透過キャビティ(4)と中間キャビティ(2)の中央の段付き貫通孔との間には、Oリング(8)が設けられる、ことを特徴とする付記1に記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0051】
(付記7)
前記入水口(21)、第1上昇流路(22)、頂部環状流路(23)、貫通流路(24)、底部環状流路(25)及び第2上昇流路(26)はいずれも対称的に分布している、ことを特徴とする付記1~6のいずれか1つに記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0052】
(付記8)
前記光学窓(5)は石英ガラス材料を採用している、ことを特徴とする付記1~6のいずれか1つに記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0053】
(付記9)
前記ノズル(7)は中央にサファイアインサートを採用しており、金属ハウジングとサファイアノズルによって嵌め込まれて形成されることを特徴とする付記1~6のいずれか1つに記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【0054】
(付記10)
前記第2上昇流路(26)は複数で周方向に配置される、ことを特徴とする付記1~6のいずれか1つに記載のウォータージェットレーザ結合装置。
【符号の説明】
【0055】
1、上部キャビティ
2、中間キャビティ
3、下部キャビティ
4、光透過キャビティ
5、光学窓
6、ノズルベース
7、ノズル
8、Oリング
21、入水口
22、第1上昇流路
23、頂部環状流路
24、貫通流路
25、底部環状流路
26、第2上昇流路
27、薄い水の層。
【外国語明細書】