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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163893
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ゴム用プロセス油
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20241115BHJP
   C08L 23/24 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077287
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2023079333
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀ノ上 翔吾
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC081
4J002BB192
4J002GH01
4J002GM00
4J002GM01
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】
従来のパラフィン油よりも加工性の向上に優れたゴム用プロセス油を提供すること。
【解決手段】
ポリ内部オレフィンを含有するゴム用プロセス油であって、
前記ポリ内部オレフィンが、内部オレフィンを含有するオレフィンの重合体であり、
前記オレフィンのDBP平均値が3.0以上6.0以下であり、
前記オレフィンの平均炭素数が16以上20以下である、ゴム用プロセス油。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ内部オレフィンを含有するゴム用プロセス油であって、
前記ポリ内部オレフィンが、内部オレフィンを含有するオレフィンの重合体であり、
前記オレフィンのDBP平均値が3.0以上6.0以下であり、
前記オレフィンの平均炭素数が16以上20以下である、ゴム用プロセス油。
【請求項2】
前記ゴム用プロセス油中の前記ポリ内部オレフィンの含有量が70質量%以上である、請求項1に記載のゴム用プロセス油。
【請求項3】
前記ポリ内部オレフィンの流動点が-35℃以上0℃以下である、請求項1に記載のゴム用プロセス油。
【請求項4】
前記ゴム用プロセス油が、天然ゴム及びスチレン-ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上の共役ジエン系ゴム用のプロセス油である、請求項1に記載のゴム用プロセス油。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のゴム用プロセス油を含有するゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム組成物中の前記ポリ内部オレフィンの含有量が、0.2質量%以上40質量%以下である、請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項5に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム用プロセス油に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のタイヤ等に適用されるゴム材料には、加工性を向上させる等の目的で伸展油やプロセス油等が配合される。プロセス油としてパラフィン油が用いられることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-25370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパラフィン油では加工性の向上が十分ではなく、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、従来のパラフィン油よりも加工性の向上に優れたゴム用プロセス油を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリ内部オレフィンを含有するゴム用プロセス油であって、前記ポリ内部オレフィンが、内部オレフィンを含有するオレフィンの重合体であり、前記オレフィンのDBP平均値が3以上6以下であり、前記オレフィンの平均炭素数が16以上20以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来のパラフィン油よりも加工性の向上に優れたゴム用プロセス油を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<ゴム用プロセス油>
本実施形態のゴム用プロセス油は、ポリ内部オレフィンを含有するゴム用プロセス油であって、前記ポリ内部オレフィンが、内部オレフィンを含有するオレフィンの重合体であり、前記オレフィンのDBP平均値が3.0以上6.0以下であり、前記オレフィンの平均炭素数が16以上20以下である。本実施形態のゴム用プロセス油は、従来のパラフィン油よりも加工性の向上に優れる。
【0009】
〔ポリ内部オレフィン〕
前記内部オレフィンを含有するオレフィン内のDBP平均値(二重結合位置の平均値)は、流動点を低下させる観点から、3.0以上であり、3.2以上が好ましく、3.4以上がより好ましく、3.8以上が更に好ましく、混練時のトルク低減の観点から、6.0以下であり、5.5以下が好ましく、5.0以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましい。本明細書において、オレフィン内のDBP平均値は、実施例に記載の方法で測定する。
【0010】
前記内部オレフィンを含有するオレフィンの平均炭素数は、ゴム材料との相溶性の観点から、16以上であり、17以上が好ましく、18以上がより好ましく、同様の観点から、20以下であり、18以下がより好ましい。
【0011】
前記ポリ内部オレフィンの引火点は、作業環境の安全性の観点から、250℃以上が好ましく、260℃以上がより好ましい。なお、前記ポリ内部オレフィンの引火点は、300℃以下である。本明細書において、引火点とは、JIS K 2265に準拠して測定された引火点を意味する。
【0012】
前記ポリ内部オレフィンの流動点は、ゴム材料との相溶性の観点から、-35℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましく、-20℃以上が更に好ましく、ハンドリングの観点から、0℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましい。本明細書において、流動点とは、JIS K 2269に準拠して測定された流動点を意味する。
【0013】
前記ポリ内部オレフィンの100℃における動粘度は、ゴム材料との相溶性の観点から、40mm/s以上が好ましく、45mm/s以上がより好ましく、50mm/s以上が更に好ましく、ハンドリングの観点から、75mm/s以下が好ましく、70mm/s以下がより好ましく、65mm/s以下が更に好ましい。本明細書において、動粘度とは、JIS K 2283に準拠して測定された動粘度を意味する。
【0014】
前記ポリ内部オレフィンの40℃における動粘度は、ゴム材料との相溶性の観点から、7.0mm/s以上が好ましく、7.5mm/s以上がより好ましく、8.2mm/s以上が更に好ましく、ハンドリングの観点から、14.0mm/s以下が好ましく、12.0mm/s以下がより好ましく、10.5mm/s以下が更に好ましい。
【0015】
前記ポリ内部オレフィンの25℃における密度は、ゴム材料との相溶性の観点から、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、ハンドリングの観点から、0.95g/cm以下が好ましく、0.90g/cm以下がより好ましい。本明細書において、25℃における密度とは、JIS K 2249-1に準拠して測定された流動点を意味する。
【0016】
前記ポリ内部オレフィンは、前記内部オレフィンを含有するオレフィンを公知の方法で重合することによって得ることができる。前記内部オレフィンを含有するオレフィンにおける、前記内部オレフィンの含有量は、可塑化性能の観点から、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましく、100質量%が更に好ましい。また、前記ポリ内部オレフィンは水添されていてもよい。
【0017】
前記ゴム用プロセス油中の前記ポリ内部オレフィンの含有量は、可塑化性能の観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%が更に好ましく、100質量%が更に好ましい。なお、本明細書において「実質的に100質量%」とは不可避的に微量の不純物等を含んでいる状態をいう。
【0018】
<ゴム組成物>
本実施形態のゴム組成物は、プロセス油として前記ゴム用プロセス油を含有する。前記ゴム組成物に含有されるゴムは、成形加工性や、ゴム成形体の耐熱性、耐摩耗性、及び機械的強度等の観点から、共役ジエン系ゴムを含有するのが好ましい。
【0019】
前記共役ジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエン-イソプレンゴム(SBIR)、スチレン-イソプレンゴム(SIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム(SIBR)、水添ブタジエンゴム、水添スチレン-ブタジエンゴム等からなる群より選ばれる1種以上が例示でき、これらの中でも天然ゴム、及びスチレン-ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。ずなわち、前記ゴム用プロセス油は、天然ゴム及びスチレン-ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上の共役ジエン系ゴム用のプロセス油であってよい。
【0020】
前記ゴム組成物中の前記ポリ内部オレフィンの含有量は、可塑化性能の観点から、0.2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、ブリードアウト抑制の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0021】
前記ゴム組成物は、ゴム工業の分野で使用される種々の補強剤、充填剤、加硫促進剤、加硫助剤等を更に含有していてもよい。
【0022】
前記ゴム組成物は、前記ゴム用プロセス油を用いること以外は公知のゴム組成物の製造方法により製造することができる。
【0023】
<ゴム成形体>
本実施形態のゴム成形体は、前記ゴム組成物を架橋してなる。前記ゴム成形体は前記ゴム組成物を公知の方法で架橋して製造することができる。
【0024】
前記ゴム成形体は、種々の用途に好適に用いることができ、例えば、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料、ホース、ベルト、マット、防振ゴム、塗料、その他の各種工業用品の材料として好適に用いることができる。
【0025】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の組成物等を開示する。
【0026】
<1>
ポリ内部オレフィンを含有するゴム用プロセス油であって、
前記ポリ内部オレフィンが、内部オレフィンを含有するオレフィンの重合体であり、
前記オレフィンのDBP平均値が3.0以上6.0以下であり、
前記オレフィンの平均炭素数が16以上20以下である、ゴム用プロセス油。
<2>
前記内部オレフィンを含有するオレフィン内のDBP平均値(二重結合位置の平均値)が、3.0以上であり、3.2以上が好ましく、3.4以上がより好ましく、3.8以上が更に好ましく、6.0以下であり、5.5以下が好ましく、5.0以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましい、<1>に記載のゴム用プロセス油。
<3>
前記内部オレフィンを含有するオレフィンの平均炭素数が、16以上であり、17以上が好ましく、18以上がより好ましく、20以下であり、18以下がより好ましい、<1>又は<2>に記載のゴム用プロセス油。
<4>
前記ポリ内部オレフィンの引火点が、250℃以上が好ましく、260℃以上がより好ましく、300℃以下である、<1>~<3>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<5>
前記ポリ内部オレフィンの流動点が、-35℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましく、-20℃以上が更に好ましく、0℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましい、<1>~<4>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<6>
前記ポリ内部オレフィンの100℃における動粘度が、40mm/s以上が好ましく、45mm/s以上がより好ましく、50mm/s以上が更に好ましく、75mm/s以下が好ましく、70mm/s以下がより好ましく、65mm/s以下が更に好ましい、<1>~<5>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<7>
前記ポリ内部オレフィンの40℃における動粘度が、7.0mm/s以上が好ましく、7.5mm/s以上がより好ましく、8.2mm/s以上が更に好ましく、14.0mm/s以下が好ましく、12.0mm/s以下がより好ましく、10.5mm/s以下が更に好ましい、<1>~<6>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<8>
前記ポリ内部オレフィンの25℃における密度が、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.95g/cm以下が好ましく、0.90g/cm以下がより好ましい、<1>~<7>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<9>
前記内部オレフィンを含有するオレフィンにおける、前記内部オレフィンの含有量が、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましく、100質量%が更に好ましい、<1>~<8>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<10>
前記ゴム用プロセス油中の前記ポリ内部オレフィンの含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%が更に好ましく、100質量%が更に好ましい、<1>~<9>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<11>
前記ゴム用プロセス油が、天然ゴム及びスチレン-ブタジエンゴムからなる群より選ばれる1種以上の共役ジエン系ゴム用のプロセス油である、<1>~<10>の何れかに記載のゴム用プロセス油。
<12>
<1>~<11>の何れかに記載のゴム用プロセス油を含有するゴム組成物。
<13>
前記ゴム組成物中の前記ポリ内部オレフィンの含有量が、0.2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい、<12>に記載のゴム組成物。
<14>
<12>又は<13>に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム成形体。
【実施例0027】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、各種測定、評価方法は以下のとおりである。
【0028】
<測定方法>
〔オレフィンの二重結合分布の測定方法〕
オレフィンの二重結合分布は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。それぞれのピーク面積よりオレフィンの二重結合分布を求めた。なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。
GC装置:商品名HP6890(HEWLETT PACKARD社製)
カラム:商品名Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm(フロンティア・ラボ社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
インジェクション温度:300℃
ディテクター温度:350℃
オーブン:60℃(0分)→2℃/分→225℃→20℃/分→350℃→350℃(5.2分)
【0029】
〔DBP平均値(二重結合位置の平均値)の算出方法〕
例えば、二重結合分布が、C1位:a質量%、C2位:b質量%、C3位:c質量%、C4位:d質量%、C5位:e質量%、C6位:f質量%、C7位:g質量%、C8位:h質量%、C9位:i質量%(合計100質量%)の場合、DBP平均値は、
(1×a+2×b+3×c+4×d+5×e+6×f+7×g+8×h+9×i)/100
から算出される。なお、複数のピークが重なった場合は、それぞれのピークに均等に面積を割り振り、DBP平均値を算出した。
【0030】
〔構造異性体の含有量比の測定方法〕
アルキルグリセリルエーテル0.05g、トリフルオロ酢酸無水物0.2g、重クロロホルム1gを混合し、H-NMRにて測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
核磁気共鳴装置:Agilent 400-MR DD2、アジレント・テクノロジー社製
観測範囲:6410.3Hz
データポイント:65536
測定モード:Presat
パルス幅:45°
パルス遅延時間:10sec
積算回数:128回
【0031】
〔ポリ内部オレフィンに係る各種物性値〕
[25℃における密度]
JIS K 2249-1に準拠して測定した。
【0032】
[動粘度]
動粘度の評価は、ASTM D7042で要求される精度を満たしたスタビンガー動粘度計(Anton Paar社製、SVM3000)により、40℃における動粘度及び100℃における動粘度(mm/s)を測定した。
【0033】
[流動点]
JIS K 2269に準拠して測定した。
【0034】
[引火点]
JIS K 2265に準拠し、クリーブランド開放式(COC)法により測定した。
【0035】
<内部オレフィンを含有するオレフィンの製造例>
〔炭素数18の内部オレフィンを含有するオレフィン1の製造例〕
攪拌装置付きフラスコに、原料アルコールとして、1-オクタデカノール(花王社製、カルコール8098)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7L/分)を流通させながら10時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18内部オレフィン純度は98.2%であった。得られた粗C18内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、148~158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%のC18内部オレフィンを含有するオレフィン(オレフィン1)を得た。得られたオレフィン1の二重結合分布は、C1位0.8質量%、C2位31.3質量%、C3位22.9質量%、C4位15.5質量%、C5位10.8質量%、C6位7.2質量%、C7位5.3質量%、C8位とC9位の合計が6.2質量%であった。DBP平均値は、約3.8であった。
【0036】
〔炭素数16の内部オレフィンを含有するオレフィン2の製造例〕
攪拌装置付きフラスコに、原料アルコールとして、1-ヘキサデカノール(花王社製、カルコール6098)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7L/分)を流通させながら5時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C16内部オレフィン純度は99.7%であった。得られた粗C16内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、136~160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%のC16内部オレフィンを含有するオレフィン(オレフィン2)を得た。得られたオレフィン2の二重結合分布は、C1位0.5質量%、C2位16.5質量%、C3位15.4質量%、C4位16.4質量%、C5位17.2質量%、C6位14.2質量%、C7位とC8位の合計が19.8質量%であった。DBP平均値は、約4.7であった。
【0037】
<ポリ内部オレフィンの製造例>
〔ポリ内部オレフィン1の製造例〕
撹拌装置付き反応器に前記オレフィン1を2.21モル、触媒として塩化アルミニウム(富士フイルム和光純薬社製)0.11モルを装填し、窒素雰囲気下、120℃にて10時間撹拌して反応を行った。その後、水酸ナトリウム15質量%水溶液88gを加えて撹拌し、触媒を失活させた後に水洗を行った。更に180℃、5torr(ゲージ圧)の条件で、軽質分を除去してポリ内部オレフィン1を得た。
【0038】
〔水添ポリ内部オレフィン1の製造例〕
撹拌装置付き反応器に前記ポリ内部オレフィン1を2207g、ニッケル触媒(日興リカ社製)225gを装填し、水素流量5.0L/min、圧力2.0MPa、200℃にて回転速度600rpmで10時間撹拌して反応を行った。その後、触媒をろ過で除去し、水添ポリ内部オレフィン1を得た。
【0039】
〔ポリ内部オレフィン2の製造例〕
原料として、前記オレフィン1の代わりに前記オレフィン2を用いた以外は、前記ポリ内部オレフィン1と同様の方法により、ポリ内部オレフィン2を調製した。
【0040】
〔水添ポリ内部オレフィン2の製造例〕
撹拌装置付き反応器にポリ内部オレフィン2を2448g、ニッケル触媒(日興リカ社製)50gを装填し、水素流量5.0L/min、圧力2.0MPa、200℃にて回転速度600rpmで18時間撹拌して反応を行った。その後、触媒をろ過で除去し、水添ポリ内部オレフィン2を得た。
【0041】
上記ポリ内部オレフィン等の各種物性値を表1に示す。なお、表1中のオイル1及びオイル2はそれぞれ下記を意味する。
オイル1:ナフテン系プロセスオイル、日本サン石油株式会社製、商品名:SUNTHENE 410
オイル2:パラフィン系オイル、EXXONMOBIL社製、商品名:PAO8
【0042】
【表1】
【0043】
<ゴム組成物及びゴム成形体の製造例>
表2に示す酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤以外の成分を表2に示す配合処方で、バンバリーミキサー(東洋精機社製、ラボプラストミル10C100、容量600cc)を用いて、回転速度70rpm、最高温度150℃で4分間混練し(混練1)、各実施例及び比較例に係る混練物をそれぞれ得た。当該各混練物に、酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤をそれぞれ添加し、最高温度100℃で2分間混練して、各実施例及び比較例に係る未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を、145℃で20分間加熱して各実施例及び比較例に係るシート状加硫ゴム成形体を得た。
【0044】
<評価方法>
〔加工性の評価〕
前記混練1の混練終了時のトルクを測定し、各実施例に対応する比較例を100として相対値表示した。具体的には実施例1~4は、比較例1に対する相対値を、実施例5、6及び比較例3は比較例2に対する相対値を表示した。数値が小さいほど加工性が良好である。評価結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
なお、表2中の表記は、それぞれ下記を意味する。
SBR:日本ゼオン株式会社製、乳化重合スチレン-ブタジエンゴム、商品名:NIPOL 1502、スチレン量23.5質量%
天然ゴム:RSS #3
オイル1:ナフテン系プロセスオイル、日本サン石油株式会社製、商品名:SUNTHENE 410
オイル2:パラフィン系オイル、EXXONMOBIL社製、商品名:PAO8
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、商品名:ニップシールAQ、BET比表面積205m/g
カーボンブラック:HAF、東海カーボン株式会社製、商品名:シースト3、DBP吸収量101cm/100g、NAS:79m/g
シランカップリング剤:ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名:Si69
老化防止剤:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクラック6C
ステアリン酸:花王株式会社製、商品名:ルナックS-70V
酸化亜鉛:富士フイルム和光純薬株式会社製、酸化亜鉛(一級)
硫黄:富士フイルム和光純薬株式会社製、硫黄(粉末、化学用)
加硫促進剤1:スルフェンアミド系加硫促進剤、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクセラーCZ-G
加硫促進剤2:グアニジン系加硫促進剤、1,3-ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクセラーD