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2024-163914情報処理システム、プログラムおよび保険条件判定方法
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  • -情報処理システム、プログラムおよび保険条件判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163914
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラムおよび保険条件判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20241115BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125047
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2023079186の分割
【原出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 健太
【テーマコード(参考)】
5L040
【Fターム(参考)】
5L040BB61
(57)【要約】
【課題】治療用アプリ103の利用履歴105に基づいて適切に保険条件を判定する。
【解決手段】本発明は、医師が患者に処方する治療用アプリケーションがインストールされた前記患者の端末装置と通信可能に接続される情報処理装置であって、治療用アプリケーションの利用履歴を受信する受信部と、利用履歴に基づいて治療用アプリケーションの患者による利用頻度を評価し、評価に基づいて患者を対象とする保険の保険条件を判定する判定部と、を有する情報処理装置を提案する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師が患者に処方する治療用アプリケーションがインストールされた前記患者の端末装置と通信可能に接続される情報処理装置であって、
前記治療用アプリケーションの利用履歴を受信する受信部と、
前記利用履歴に基づいて前記治療用アプリケーションの前記患者による利用頻度を評価し、前記評価に基づいて前記患者を対象とする保険の保険条件を判定する判定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記患者を対象とする契約済みの保険の保険条件は、保険金の支払い可否である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記患者を対象とする未契約の保険の保険条件は、前記保険への加入可否、又は前記保険の保険料である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記患者が送信することを同意した利用履歴のみを受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記保険のIDと、前記治療用アプリケーションのID又は前記治療用アプリケーションのIDに紐づくIDと、を関連付けて記憶するID記憶部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記評価がさらに前記患者が申告した健康状態に関する申告データと前記利用履歴とに基づいて評価される前記患者が適切に外来受診を行っているかの評価結果を含み、前記保険条件を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記利用履歴を送信するよう要求する利用履歴送信要求部と、
前記要求への応答として前記利用履歴を受信する利用履歴受信部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
医師が患者に処方する治療用アプリケーションがインストールされた前記患者の端末装置と通信可能に接続されるコンピュータを、
前記治療用アプリケーションの利用履歴を受信する受信手段、及び
前記利用履歴に基づいて前記治療用アプリケーションの前記患者による利用頻度を評価し、前記評価に基づいて前記患者を対象とする保険の保険条件を判定する判定手段、として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記患者を対象とする未契約の保険の保険条件は、保険金の支払い可否である
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記患者を対象とする未契約の保険の保険条件は、前記保険への加入可否、又は前記保険の保険料である
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記受信手段は、前記患者が送信すること同意した利用履歴のみを受信する
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、
前記保険のIDと、前記治療用アプリケーションのID又は前記治療用アプリケーションのIDに紐づくIDと、を関連付けて記憶するID記憶手段、として機能させる
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項13】
前記判定手段は、前記評価がさらに前記患者が申告した健康状態に関する申告データと前記利用履歴とに基づいて評価される前記患者が適切に外来受診を行っているかの評価結果を含み、前記保険条件を判定する
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、
前記利用履歴を送信するよう要求する利用履歴送信要求手段、及び
前記要求への応答として前記利用履歴を受信する利用履歴受信手段、として機能させる ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項15】
医師が患者に処方した治療用アプリケーションがインストールされた前記患者の端末装置と通信可能に接続されるコンピュータが、前記治療用アプリケーションの利用履歴を受信すること、及び
前記利用履歴に基づいて前記治療用アプリケーションの前記患者による利用頻度を評価し、前記評価に基づいて前記患者を対象とする保険の保険条件を判定すること、を有する
ことを特徴とする保険条件判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラムおよび保険条件判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な保険商品がある中で、例えば、就業不能保険では、医師の指示に基づき治療に専念していることが保険金の支払い条件となっている場合がある。また、医療保険では、当該医療保険に加入する際に、被保険者の健康状態(例えば、被保険者の健康診断の結果、被保険者からの健康状態の申告)に応じて当該医療保険への加入の可否を判定したり、加入可能な保険の保険料を算定したりする場合がある。
【0003】
特許文献1には、ユーザが被保険者として加入する第1保険機関が提供する生体情報の提供に基づく第1保険契約に基づき、ユーザが被保険者として加入する第2保険機関の保険契約の保険料を算出し設定する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ユーザが服薬したかを管理し、用法・容量を守って服薬するユーザにインセンティブを与える技術が開示されている。
【0005】
ところで、近年、医療や健康の分野でもデジタル技術の活用が進み、患者が日常生活の中で病気の治療や健康の増進を図るために、医師が患者に治療用アプリケーションを処方する場合がある。患者は、スマートフォンなどに当該治療用アプリケーションをダウンロードし、日常生活の中で健康状態を示すデータを逐次入力する。健康状態を示すデータは医師等の医療従事者に提供され、医療従事者は、健康状態を示すデータに基づいて適切なタイミングで患者に健康指導などのアドバイスを行うことができる。治療用アプリケーションには、様々な種類があり、例えば、パニック障害、鬱、肥満、アルコール依存症、高血圧、糖尿病などを治療するためのアプリがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-135987号公報
【特許文献2】特開2021-177330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、上記した保険金の支払い条件、保険への加入条件、又は保険料の算定条件などの保険条件は、被保険者からの申告などに基づいて判定されており、必ずしも適切に判定されていたとは言えなかった。
【0008】
そこで、本発明は、治療用アプリケーションの利用履歴に基づいて適切に保険条件を判定する情報処理システム、プログラム、及び保険条件判定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、医師が患者に処方する治療用アプリケーションがインストールされた前記患者の端末装置と通信可能に接続される情報処理装置であって、
前記治療用アプリケーションの利用履歴を受信する受信部と、
前記利用履歴に基づいて前記治療用アプリケーションの前記患者による利用頻度を評価し、前記評価に基づいて前記患者を対象とする保険の保険条件を判定する判定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、治療用アプリケーションの利用履歴に基づいて適切に保険条件を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】保険条件判定システム100を示した全体構成図である。
図2】情報処理装置130のハードウェアブロック図である。
図3】治療用アプリ103の画面の一例を示した図である。
図4】入力データ104の一例を示す図である。
図5】利用履歴105の一例を示す図である。
図6】管理DB203aの一例を示す図である。
図7】保険条件を判定する方法(保険条件判定方法)を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。
【0013】
図1を参照して、情報処理装置130を含む保険条件判定システム100の全体構成を説明する。図1は、保険条件判定システム100を示した全体構成図である。医師101は、患者102の健康状態に応じて、治療用アプリケーション103(以下、適宜「アプリケーション」を「アプリ」と省略し、例えば「治療用アプリケーション103」を「治療用アプリ103」と省略する)を処方することがある。治療用アプリ103は、例えば、高血圧患者向けに処方されるアプリである。患者102は日々の血圧情報を当該アプリに入力する。アプリに入力された血圧情報は、医師101などの医療従事者に提供され、医師101は、提供された血圧情報に基づいて適切でタイムリーなアドバイスを患者に提供することができる。なお、治療用アプリ103は、上記した高血圧患者向けのアプリケーションだけでなく、日々の血糖値情報を管理する等の機能を有する糖尿病患者向けに処方されるアプリであってもよいし、日々の呼気CO濃度情報を管理する等の機能を有するニコチン依存症患者向けに処方されるアプリケーションであってもよい。なお、医師101から処方される治療用アプリ103は、公的な医療保険が適用されるアプリであってもよいし、公的な医療保険が適用されないアプリであってもよい。
【0014】
(保険条件判定システム100)
保険条件判定システム100は、治療用アプリ103がインストールされる患者102の端末装置110と、端末装置110や医師101が利用可能な端末装置(図示せず)とネットワークを介して通信可能に接続される治療用アプリ管理装置120と、治療用アプリ管理装置120とネットワークを介して通信可能に接続される情報処理装置130と、を備える。
【0015】
(端末装置110)
端末装置110は、患者102が所有する端末装置110であって、例えば、スマートフォン、タブレット、又はノートパソコンである。医師101は患者102に治療用アプリ103を処方し、患者102は処方された治療用アプリ103を端末装置110にインストールする。患者102が処方された治療用アプリ103を利用するためには、治療用アプリ103のアクティベート操作が必要となる。例えば、医師101は、治療用アプリ103の処方時に患者102にコードを発行し、患者102は、当該コードを治療用アプリ103に入力することにより、治療用アプリ103をアクティベートする。コードは、バーコードであってもよいし、二次元コードであってもよいし、アルファベットや数字などを組み合わせた文字情報であってもよい。なお、各国の制度において、薬局などの薬剤師が治療用アプリ103を患者102に提供できる場合、薬剤師が治療用アプリ103を処方してもよい。この場合、薬剤師が患者102にコードを発行することになる。
【0016】
(治療用アプリ103)
治療用アプリ103は、日々の健康状態を示すデータ(例えば、血圧情報、血糖値情報、呼気CO濃度情報)を入力する機能、入力された入力データ104を治療用アプリ管理装置120に送信する機能、及び医師101からアドバイスを受信する機能などを有する。なお、治療用アプリ103は、医師101からのアドバイスを受信するだけでなく、医師101と患者102との間で相互にメッセージ等のやりとりを行う機能を有してもよい。
【0017】
(治療用アプリ管理装置120)
治療用アプリ管理装置120は、治療用アプリ103に入力された入力データ104を受信し、治療用アプリ103ごとに管理する。例えば、治療用アプリ管理装置120は、治療用アプリ103を提供するアプリメーカが運営及び管理するシステムであり、クラウドサーバ又はオンプレミスサーバなどである。治療用アプリ管理装置120が管理する入力データ104は、医師101が使用可能な端末装置(図示せず)に提供される。医師101は、提供された入力データ104を参照して、患者102の治療用アプリ103上にアドバイスを送信する。
【0018】
また、治療用アプリ管理装置120は、治療用アプリ103の利用履歴105を情報処理装置130に提供する。利用履歴105は、入力データ104の一部データをマスクしたものであって、例えば、入力データ104の中の健康状態を示す内容を含まない。
【0019】
(情報処理装置130)
情報処理装置130は、患者102を対象とする保険の各種情報を管理する。患者102を対象とする保険は、例えば、患者102が被保険者となっている保険であって、当該患者102の健康状態に応じて、保険条件が判定される保険である。この保険条件が判定される保険は、民間の保険を想定しており、例えば、就業不能保険、医療保険、死亡保険、がん保険などである。具体的には、患者102を対象とする契約済みの保険の保険条件は、保険金の支払い可否である。また、患者102を対象とする未契約の保険(加入しようとしている保険)の保険条件は、保険への加入可否、又は当該保険の保険料である。患者102を対象とする保険は、患者102が契約者でなくてもよいし、患者102が受取人でなくてもよい。
【0020】
なお、保険金とは、保険会社から保険契約に従って受取人に支払われるお金であり、保険料は、保険契約者が保険契約に従って保険会社に支払うお金である。
【0021】
例えば、情報処理装置130は、各種の保険商品を扱う保険会社が運営及び管理する保険システムであり、クラウドサーバ又はオンプレミスサーバなどである。そして、情報処理装置130は、患者102が使用する治療用アプリ103の利用履歴105に基づいて、当該患者102を対象とする保険の保険条件を判定する。
【0022】
既に契約済みの保険であって保険会社が保険金の支払い判定する場面において、情報処理装置130は、患者102の利用履歴105に基づいて、保険金の支払い可否を判定する。また、未契約の保険であって、特定の保険に加入しようとする場面において、情報処理装置130は、患者102の利用履歴105に基づいて、当該保険の加入の可否を判定する。そして、情報処理装置130は、保険の加入が可能であると判定すると、当該保険の保険料を判定する。判定した保険条件は、患者102に提供される。
【0023】
(情報処理装置130のハードウェア構成)
図2は、情報処理装置130のハードウェアブロック図である。次に、図2を参照して、情報処理装置130のハードウェア構成を説明する。
【0024】
情報処理装置130は、プロセッサ201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、通信I/F204と、入出力I/F205と、を備える。プロセッサ201は、各種の演算を行う中央処理演算装置である。プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。主記憶部202は、プロセッサ201が実行するプログラム、当該プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。主記憶部202は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。補助記憶部203は、各種のプログラム(例えば、保険条件判定プログラム203b)および各種のデータ(例えば、管理DB203a)を記憶する。補助記憶部203は、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD、Solid State Drive)装置、ハードディスク(HDD、Hard Disk Drive)装置、又はそれらの組み合わせである。通信I/F204は、ネットワークと通信可能に接続されるネットワークコントローラである。入出力I/F205は、キーボード、マウスおよびディスプレイなどと通信可能に接続されるデバイスコントローラである。保険条件判定プログラム203b、及び管理DB203aの詳細は後述する。
【0025】
通信I/F204は、治療用アプリ103の利用履歴105を受信する受信部の一例であり、プロセッサ201は、利用履歴105に基づいて、患者102を対象とする保険の保険条件を判定する判定部の一例である。
【0026】
(治療用アプリ103の画面)
図3は、治療用アプリ103の画面の一例を示した図である。次に、図3を参照して、治療用アプリ103の画面の一例を説明する。図3に示した画面は、高血圧患者向けに処方された治療用アプリ103が表示する画面である。なお、治療用アプリ103が別種類のアプリケーションである場合には、当然画面の内容も異なる。なお、治療用アプリ103は、Webアプリであってもよいし、ネイティブアプリであってもよいし、ハイブリッドアプリであってもよい。
【0027】
治療用アプリ103は、例えば、図3(a)に示した血圧登録画面310、及び図3(b)に示した外来受診日登録画面320を表示する。
【0028】
患者102は、血圧計で測定した血圧を血圧登録画面310に入力する。図3(a)の血圧登録画面310の例では、最高血圧入力欄311に測定した最高血圧「140」が入力され、及び最低血圧入力欄312に測定した最低血圧「89」が入力されている。最高血圧及び最低血圧が入力された状態で登録ボタン313が選択されると、登録ボタン313が選択された日時と共に最高血圧及び最低血圧が治療用アプリ管理装置120に送信され、登録される。また、戻るボタン314が選択されると、前画面に戻る。
【0029】
また、患者102は、外来受診日を外来受診日登録画面320に入力する。図3(b)の外来受診日登録画面320の例では、外来受診日入力欄321に外来受診日「4/4」が入力され、及び医療機関名入力欄322に受診した医療機関名「XXクリニック」が入力されている。外来受診日及び医療機関名が入力された状態で登録ボタン323が選択されると、登録ボタン323が選択された日時と共に外来受診日及び医療機関名が治療用アプリ管理装置120に送信され、登録される。また、戻るボタン324が選択されると、前画面に戻る。
【0030】
(入力データ104)
図4は、入力データ104の一例を示す図である。次に、図4を参照して、入力データ104の一例を説明する。入力データ104は、治療用アプリ103から治療用アプリ管理装置120に送信される。入力データ104を治療用アプリ103にデータが登録される度に治療用アプリ管理装置120に送信してもよいし、治療用アプリ103が確保したバッファに蓄積された入力データ104を、所定のタイミングで一括して送信してもよい。
【0031】
入力データ104は、治療用アプリ103のユーザ(患者102)が入力した各種データ(最高血圧、査定血圧、外来受診日、医療機関名など)に当該治療用アプリ103を識別するためのアプリIDを紐づけたデータである。図4に示すように、入力データ104は、アプリID400、日時データ401、属性データ402、及び入力値403を有する。アプリID400は、患者に処方された治療用アプリ103を識別するIDである。日時データ401は、治療用アプリ103が操作された日時を示し、上記した登録ボタン313及び323が選択された日時に対応する。また、属性データ402は、入力値403の属性を示し、最高血圧や最低血圧を示す「血圧」、又は外来受診日や医療機関名を示す「外来受診」を示す。入力値403は、治療用アプリ103のユーザが各入力欄311、312、321及び322に入力した値に対応する。
【0032】
治療用アプリ管理装置120は、治療用アプリ103から送信された入力データ104をアプリ毎に記憶し、医師101などからのリクエスト又は所定のタイミングで当該入力データ104を医師101などが使用する端末装置に送信する。なお、治療用アプリ管理装置120は、入力データ104を医師101が勤務する医療機関のサーバに送信し、医師101は、医師101が使用する端末から当該サーバにアクセスして入力データ104を参照してもよい。
【0033】
(利用履歴105)
図5は、利用履歴105の一例を示す図である。次に、図5を参照して、利用履歴105の詳細を説明する。治療用アプリ管理装置120は、上記した入力データ104の一部を利用履歴105として情報処理装置130に送信する。この利用履歴105は、患者102が入力した入力データ104だけでなく、当該治療用アプリ103へのログイン履歴を含んでもよいし、治療用アプリ103の操作履歴や閲覧履歴を含んでもよい。情報処理装置130は、患者102が情報処理装置130に送信することを同意した利用履歴のみを受信することができる。例えば、患者102が健康状態に関わるデータの利用を拒否し、治療用アプリ103の利用履歴のみの利用を許可した場合には、治療用アプリ管理装置120は、治療用アプリ103の利用履歴のみを情報処理装置130に送信する。なお、ここでは、入力データ104の一部を利用履歴105としたが、患者102の同意があれば、入力データ104の全部を利用履歴105として情報処理装置130に送信してもよい。
【0034】
情報処理装置130を操作するユーザ(例えば、保険会社の社員)は、利用履歴105を参照することによって、患者102の健康状態までは把握することができないが、患者102が健康状態に気遣い、治療に専念しているか否かを判定することが可能となる。
【0035】
利用履歴105は、アプリID500、日時データ501、属性データ502、及び入力値503を有する。アプリID500、日時データ501、属性データ502、及び入力値503の内容は、上記した入力データ104と同様であるので、その説明を省略する。なお、本実施形態の入力値503は、入力値403と比較して、一部の情報がマスクされている。例えば、入力値503は、患者102の健康状態に関わる値を含まない。図5の例では、属性データ402の属性「血圧」の入力値403、及び属性「外来受診」の入力値403の医療機関名を含まない入力データ104を、利用履歴105とする。
【0036】
(管理DB203a)
図6は、管理DB203aの一例を示す図である。次に、図6を参照して、管理DB203aの詳細を説明する。管理DB203aは、保険契約ごとに各種情報を記憶するデータベースである。本実施形態では、管理DB203aは、保険契約に係る各種情報に紐づけて、治療用アプリ103を特定するアプリID605、及びそのアプリID605によって特定される治療用アプリ103の利用履歴606を記憶する。管理DB203aは、保険契約ID601、被保険者情報602、加入保険603、申告データ604、アプリID605、及び利用履歴606を有する。なお、管理DB203aは、さらに契約者の各種情報を有してもよい。管理DB203aは、上記したように保険契約ID601と、アプリID605(又はアプリID605に紐づくID)と、を関連付けて記憶するID記憶部の一例である。このようにして、管理203aは、保険契約ID601と、アプリID605によって特定される治療用アプリ103の利用履歴606と関連付けて記憶することができる。
【0037】
保険契約ID601は、保険に付与されたIDである。保険契約ID601は、契約済みの保険に付与されたIDであってもよいし、未契約の保険(加入しようとしている保険)に付与された仮IDであってもよい。
【0038】
被保険者情報602は、保険契約ID601によって特定される保険の被保険者の情報である。被保険者情報602は、例えば、被保険者に付与されたID、被保険者の氏名、被保険者の住所、被保険者の年齢、被保険者の性別などを含む。
【0039】
加入保険603は、保険契約ID601によって特定される契約済みの保険の内容を示す。加入保険603は、仮IDによって特定される加入しようとしている保険の内容であってもよい。
【0040】
申告データ604は、被保険者から申告された被保険者の健康状態を示すデータであって、例えば、被保険者の健康診断の結果、被保険者から口頭でヒアリングした健康状態を示す情報などである。
【0041】
アプリID605は、保険契約ID601によって特定される被保険者が使用する治療用アプリ103に付与されたIDである。
【0042】
利用履歴606は、上記した利用履歴105である。
【0043】
情報処理装置130は、被保険者が使用する治療用アプリ103のアプリID605を取得し、管理DB203aに登録する。このアプリID605は、被保険者(患者102)から直接ヒアリングしたIDであってもよいし、治療用アプリ管理装置120に照会して取得したIDであってもよい。そして、情報処理装置130は、治療用アプリ管理装置120から受信した利用履歴105を管理DB203aの利用履歴606に記憶する。例えば、情報処理装置130は、治療用アプリ管理装置120から受信した利用履歴105のアプリID500に一致するアプリIDを有するレコードをサーチして、当該レコードの利用履歴606に治療用アプリ管理装置120から受信した利用履歴105を記憶する。
【0044】
(保険条件判定方法)
図7は、保険条件を判定する方法(保険条件判定方法)を示したフローチャートである。情報処理装置130のプロセッサ201が保険条件判定プログラム203bを実行することによって、図7のフローチャートの各処理が実行される。
【0045】
まず、情報処理装置130は、情報処理装置130のユーザ(例えば、保険会社の社員)の入力に従って、情報処理装置130の管理DB203aに保険契約ID601、被保険者情報602、加入保険603、及び申告データ604を登録する(S701)。
【0046】
また、情報処理装置130は、ユーザの入力に従って、情報処理装置130の管理DB203aに被保険者(患者102)が利用する治療用アプリ103のアプリIDを登録する(S702)。
【0047】
また、ユーザは、保険条件を判定する際に、情報処理装置130に保険条件の判定指示を情報処理装置130に入力する。情報処理装置130は、ユーザから当該判定指示を受信する(S703)。例えば、ユーザは、保険金の支払い可否を判定する際に、情報処理装置130に保険条件の判定指示を入力する。また、保険会社の社員等は、保険への加入可否を判定する際に、情報処理装置130に保険条件の判定指示を入力する。
【0048】
情報処理装置130は、当該判定指示に従って、治療用アプリ管理装置120から利用履歴105を取得する(S704)。具体的には、情報処理装置130は、当該判定指示に従って、治療用アプリ管理装置120にリクエストを送信し、このリクエストへの応答として利用履歴105を受信する。情報処理装置130の通信I/F204は、利用履歴105を送信するよう治療用アプリ管理装置120や治療用アプリ103に要求する利用履歴送信要求部の一例であり、また、当該要求への応答として利用履歴を受信する利用履歴受信部の一例である。なお、治療用アプリ管理装置120は、患者102から同意がなされていることを条件に、利用履歴105を情報処理装置130に送信する。なお、この情報処理装置130は、判定指示に従って利用履歴105を受信したが、利用履歴105を取得するタイミングは、判定指示の入力時に限定されない。例えば、情報処理装置130は、定期的に利用履歴105を取得してもよいし、治療用アプリ103にデータが入力されたタイミングで利用履歴105を取得してもよい。
【0049】
そして、情報処理装置130は、予め登録された申告データ604と利用履歴105(利用履歴606)とに基づいて保険条件を判定する。なお、情報処理装置130は、申告データ604を用いずに、利用履歴105を用いて保険条件を判定してもよい。
【0050】
例えば、保険への加入可否及び加入時の保険料を判定する場合、情報処理装置130は、所定期間毎の治療用アプリ103の利用頻度を評価する。具体的には、情報処理装置130は、所定期間毎(1月、2月、…)に特定の属性(例えば、「血圧」)の入力値が登録された回数に応じて治療用アプリ103の利用頻度(治療への専念度合い)を評価する。また、所定期間毎(1月、2月、…)に特定の属性(例えば、「外来受診」)の入力値が登録されているか否かに応じて適切に外来受診を行っているかを評価する。また、申告データ604を、異常なし、やや異常あり、異常あり、などとランクに分けて評価する。情報処理装置130は、治療用アプリ103の利用頻度の評価、外来受診の評価、及び申告データのランクに基づいて、保険への加入可否及び加入時の保険料を判定する。例えば、治療用アプリ103の利用頻度が高く、適切に外来受診を行い、且つ申告データが異常なしの場合には、保険への加入が可能となり、且つ加入時の保険料も安くなる。一方、治療用アプリ103の利用頻度が低く、外来受診を受けず、且つ申告データが異常ありの場合には、保険への加入が不可となり、又は加入時の保険料が高額となる。
【0051】
また、保険金の支払い可否を判定する場合、治療用アプリ103の利用頻度を評価し、適切に外来受診を行っているかを評価する。そして、情報処理装置130は、治療用アプリ103の利用頻度の評価、及び外来受診の評価に基づいて、保険金の支払い可否を判定する。例えば、治療用アプリ103の利用頻度が高く、及び適切に外来受診を行っている場合、保険金の支払いを可能とする判定を行い、治療用アプリ103の利用頻度が低く、及び適切に外来受診を行っていない場合、保険金の支払いを不可とする判定を行う。
【0052】
なお、上記した保険への加入可否及び加入時の保険料を判定する場合に、治療用アプリ103の利用頻度の評価、外来受診の評価、及び申告データのランクを用いたが、これら全てを用いる必要はない。例えば、保険への加入可否及び加入時の保険料を判定する場合に、治療用アプリ103の利用頻度の評価、又は外来受診の評価の何れか一方を用いればよい。また、上記した保険金の支払い可否を判定する場合に、治療用アプリ103の利用頻度の評価、及び外来受診の評価を用いたが、これら全てを用いる必要はない。例えば、保険金の支払い可否を判定する場合に、治療用アプリ103の利用頻度の評価、又は外来受診の評価の何れか一方を用いればよい。
【0053】
そして、情報処理装置130は、判定した保険条件を保険の契約者又は契約しようとする者に通知する。保険条件の通知方法は、保険会社の社員等が使用する端末装置の表示部に保険条件を表示してもよいし、保険の契約者又は契約しようとする者に保険条件を記載した電子メールを送信してもよいし、保険条件を記載した書類を送付してもよい。
【0054】
(保険条件判定プログラム203b)
保険条件判定プログラム203bは、情報処理装置130のプロセッサ201や主記憶部202から構成されるコンピュータを、
治療用アプリ103の利用履歴105を受信する受信手段、及び
利用履歴105に基づいて、患者102を対象とする保険の保険条件を判定する判定手段、として機能させる。
【0055】
なお、判定手段は、患者が申告した健康状態に関する申告データと利用履歴とに基づいて、前記保険条件を判定してもよい。
【0056】
受信手段は、患者102が送信すること同意した利用履歴のみを受信してもよい。
【0057】
当該プログラム203bは、コンピュータを、保険のID(保険契約ID601)と、治療用アプリ103のID(アプリID605)又は治療用アプリ103のIDに紐づくIDと、を関連付けて記憶するID記憶手段として機能させてもよい。
【0058】
また、当該プログラム203bは、コンピュータを、利用履歴を送信するよう要求する利用履歴送信要求手段、及び要求への応答として利用履歴を受信する利用履歴受信手段、として機能させてもよい。
【0059】
(変形例)
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0060】
例えば、上記した実施形態では、情報処理装置130は、保険の契約時や保険金の支払い時に利用履歴105を受信したが、保険契約の更新時に利用履歴105を受信してもよい。情報処理装置130は、受信した利用履歴105に基づいて、保険の契約を更新するか否かを判定してもよいし、更新する保険の契約内容(例えば、保険料、保険期間)の見直しを判定してもよい。
【0061】
さらに、情報処理装置130は、上記した保険の契約時、保険金の支払い時、又は保険の更新時に、利用履歴105を取得できなかった場合に、患者102に治療ステータスを確認するための通知を行ってもよい。
【0062】
上記した実施形態では、情報処理装置130は、治療用アプリ管理装置120と通信するものとして記載したが、情報処理装置130は、治療用アプリ管理装置120を介さずに治療用アプリ103と通信してもよい。例えば、情報処理装置130は、治療用アプリ103がインストールされた患者102の端末装置110から利用履歴105を受信してもよいし、上記した治療ステータスを確認するための通知を端末装置110に送信してもよい。
【符号の説明】
【0063】
100:保険条件判定システム、 101:医師、 102:患者、 103:治療用アプリ、 104:入力データ、 105:利用履歴、 110:端末装置、 120:治療用アプリ管理装置、 130:情報処理装置
図1
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図7