(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016393
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】情報印刷ゴルフボールおよびゴルフ施設
(51)【国際特許分類】
A63B 45/02 20060101AFI20240131BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240131BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240131BHJP
A63B 37/00 20060101ALI20240131BHJP
A63B 47/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A63B45/02
B41J2/01 109
B41J3/407
A63B37/00 216
A63B37/00 212
A63B47/00 C
A63B47/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118465
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】502052147
【氏名又は名称】大栄トレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】海南 真太郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056EC29
2C056FC02
(57)【要約】
【課題】印刷された情報の内容が確認でき、リサイクル可能な情報印刷ゴルフボールおよび当該情報印刷ゴルフボールを製造するゴルフ施設を提供する。
【解決手段】情報印刷ゴルフボール1は、ゴルフボールである球体状の本体2と、本体2の表面3と、表面3に印刷された情報4とを備える。情報4は、パソコンや携帯端末などの記憶媒体に記録された画像データを基づいて、3Dプリンターなどで印刷された、写真、絵柄、文字、マーク、図形、等である。ゴルフ施設10は、印刷装置11と、加熱装置12と、温度管理装置13とを備えている。使用者は、ゴルフ場で携帯端末に記憶された画像データに基づいて好みの情報4を印刷することができる。情報4は、所定の放置期間経過後、または、第1の所定温度以上になった場合、消失するので、新たな情報4を印刷できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に情報が印刷された情報印刷ゴルフボールであって、
本体と、
前記本体の前記表面と、
前記表面に印刷された情報と、を備え、
前記情報は、所定の放置期間経過後、または、第1の所定温度以上になった場合、消失することを特徴とする、
情報印刷ゴルフボール。
【請求項2】
前記情報は、携帯端末のカメラにより撮影された画像データに基づいて印刷されたことを特徴とする、
請求項1に記載の情報印刷ゴルフボール。
【請求項3】
前記情報が、人物の顔であることを特徴する、
請求項1または請求項2に記載の情報印刷ゴルフボール。
【請求項4】
印刷装置と、
加熱装置と、を備え、
前記印刷装置は、前記表面に前記情報を印刷して、請求項1に記載の情報印刷ゴルフボールを製造し、
前記加熱装置は、前記表面に印刷された前記情報を前記第1の所定温度以上に加熱することを特徴とする、
ゴルフ施設。
【請求項5】
前記加熱装置は、乾燥熱風や水蒸気熱風を放出する熱風放出装置、または、容器内の水を加熱する温水装置であることを特徴とする、
請求項4に記載のゴルフ施設。
【請求項6】
前記ゴルフ施設は、温度管理装置をさらに備え、
前記温度管理装置は、前記情報印刷ゴルフボールが、第2の所定温度以下にならないように管理することを特徴とする、
請求項4に記載のゴルフ施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールの表面に絵柄、文字、マークなどの情報が印刷された情報印刷ゴルフボールおよび情報印刷ゴルフボールを製造するゴルフ施設に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールの表面に文字や図形を印刷した情報印刷ゴルフボールが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、太陽光を受けることにより、または気温が変化することにより第1の色から第1の色と異なる第2の色に変色する表面と、外表面の外側に、一部重ねて形成される、第1の色により文字または図形を表示する印刷層と、を有し、表面の変色前において印刷層が認識されず、表面の変色後に印刷層が視認されるゴルフボールであり、趣向に富んだゴルフボールを提供できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しなしながら、特許文献1に記載されたゴルフボールでは、ゴルフボールに熱が加えられない限り、どの様な印刷層であるか否か不明であるという問題がある。また、温度の上昇に伴い印刷層が明らかになるが、印刷層を除去しない限り初期の印刷層が保持され、特にゴルフ練習場ではリサイクルできないという問題がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑み、印刷された情報の内容が確認でき、リサイクル可能な情報印刷ゴルフボールおよび当該情報印刷ゴルフボールを製造するゴルフ施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究開発を続けた結果、以下の様な画期的な情報印刷ゴルフボールおよびゴルフ施設を見出した。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、表面に情報が印刷された情報印刷ゴルフボールであって、本体と、本体の表面と、表面に印刷された情報と、を備え、情報は、所定の放置期間経過後、または、第1の所定温度以上になった場合、消失することを特徴とする情報印刷ゴルフボールにある。
【0009】
ここで、「情報」とは、印刷された写真、絵柄、文字、マーク、図形、等である。また、「所定の放置期間」とは、情報を印刷した後、情報印刷ゴルフボールを静止状態で放置している期間である。さらに「第1の所定温度」とは、印刷している環境温度より高い温度であり、情報が消失する温度である。
【0010】
かかる第1の態様では、どの様な情報が印刷されたかを知ることができ、情報を確認しながら使用者がスイングできる。また、使用した情報印刷ゴルフボールは、所定の放置期間後、または、第1の所定温度以上になると消失するため、新たな情報を印刷することができる。その結果、スイングする使用者の好みに合わせた情報を印刷でき、使用者が楽しめる情報印刷ゴルフボールを提供することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、情報は、携帯端末のカメラにより撮影された画像データに基づいて印刷されたことを特徴とする第1の態様に記載の情報印刷ゴルフボールにある。
【0012】
かかる第2の態様では、手持ちの携帯端末で撮影した写真の中から好みの写真を選択して情報として印刷できる。その結果、特別なカメラ等を利用しなくても手軽にデータ提供が可能となる。
【0013】
本発明の第3の態様は、情報が、人物の顔であることを特徴する第1または第2の態様に記載の情報印刷ゴルフボールにある。
【0014】
かかる第3の態様では、人物の顔を見ながら思いを込めてスイングするので、集中でき、体のブレが少なくなり、インパクト力も向上し、スコアも向上させることが可能となる。その結果、商品価値の高い情報印刷ゴルフボールを提供できる。
【0015】
本発明の第4の態様は、印刷装置と、加熱装置と、を備え、印刷装置は、表面に情報を印刷して、第1の態様に記載の情報印刷ゴルフボールを製造し、加熱装置は、表面に印刷された情報を第1の所定温度以上に加熱することを特徴とするゴルフ施設にある。
【0016】
ここで、「ゴルフ施設」とは、ゴルフを行うことができる施設であれば特に限定されない。ゴルフ施設としては、例えば、ゴルフ場、ゴルフ練習場(屋外・屋内)等が挙げられる。
【0017】
かかる第4の態様では、ゴルフ施設で使用者の好みに合わせた情報を選択することができる。また、使用者が持参した画像データから選択することができる。その結果、利便性が向上し、商品価値の高い情報印刷ゴルフボールを提供できる。
【0018】
本発明の第5の態様は、加熱装置は、乾燥熱風や水蒸気熱風を放出する熱風放出装置、または、容器内の水を加熱する温水装置であることを特徴とする第4の態様に記載のゴルフ施設にある。
【0019】
かかる第5の態様では、加熱装置および温水装置はヒータやファンなどの簡単な構造で情報を容易に加熱できる。その結果、設備投入費が安価で容易に設置でき、短時間で情報の消失ができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、温度管理装置をさらに備え、温度管理装置は、情報印刷ゴルフボールが、第2の所定温度以下にならないように管理することを特徴とする第4の態様に記載のゴルフ施設にある。
【0021】
ここで、「第2の所定温度」とは、第1の所定温度以上で消失した情報が再び発色する温度であり、印刷した環境温度よりも低い温度である。
【0022】
かかる第6の態様では、インクが可逆性を使用している場合、第2の所定温度以下になると再発色(再不透明化)する。温度管理装置で温度管理することで、再発色を防止することができる。その結果、リサイクル可能な情報印刷ゴルフボールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る情報印刷ゴルフボールの一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図2】本発明に係るゴルフ施設の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る情報印刷ゴルフボールの情報の様子を示す正面図であり、(a)は情報印刷前の本体、(b)は情報印刷後の情報印刷ゴルフボールである。
【
図4】本発明に係る情報の実施例を示す正面図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2である。
【
図5】
図4に続き、(a)は実施例3、(b)は実施例4である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報印刷ゴルフボールの実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る情報印刷ゴルフボールの一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図1に基づいて、本実施形態の情報印刷ゴルフボールを詳述する。
【0026】
本実施形態の情報印刷ゴルフボール1は、ゴルフボールである球体状の本体2と、本体2の表面3と、表面3に印刷された情報4とを備える。一般的にゴルフボールは、大きな反発係数を有するコアと、コアをインサート成形する樹脂製のカバーから構成されている。なお、本発明に用いられるゴルフボールは、その形状、構造等は特に限定されず、例えば市販されているゴルフボールを用いることができる。
【0027】
本実施形態の情報印刷ゴルフボール1は、表面3に情報4が印刷されたゴルフボールであり、情報4とは、写真、絵柄、文字、マーク、図形、等である。情報4は、パソコンや携帯端末などの記憶媒体に記録された画像データを基づいて、3Dプリンターなどで印刷されたものである。また、情報4は、ゴルファー(使用者)が提供した画像データに基づいて印刷されたものでも良い。このような画像データの提供は、ネット上での送信、持参した記憶媒体などから行われる。なお、画像データには、人物の顔、写真、似顔絵などが含まれ、携帯端末のカメラ等で撮影した撮像データ、携帯端末などのソフトで作成した作成データなどが含まれる。
【0028】
図2は、ゴルフ施設の一例を示すブロック図である。
図2に基づいてゴルフ施設内に設置される装置を説明する。
【0029】
ゴルフ場やゴルフ練習場などのゴルフ施設10は、情報4を印刷する印刷装置11と、情報印刷ゴルフボール1を加熱する加熱装置12と、情報印刷ゴルフボール1の温度を管理する温度管理装置13とを備えている。
【0030】
本体2の表面3に形成される情報4は、ゴルフ施設10に設置された印刷装置11により印刷され、情報印刷ゴルフボール1が製造される。印刷装置11には、図示しない印刷機の他、USBポート、ディスプレイ、記憶装置などが電気的に接続されている。印刷される情報4は、記憶装置にデータとして蓄積されているが、ユーザーが用意した携帯端末等からデータを取得するようにしても良い。印刷装置11を用いて、記憶装置に記録されたデータを選択し、ユーザーの好みの画像をゴルフボールの表面3に印刷することができる。ここで、印刷装置11は、本体2の表面3に情報4を印刷することができるものであれば特に限定されない。印刷装置11としては、例えば、曲面等にも印刷することができるインクジェットプリンター等が挙げられる。
【0031】
この印刷装置11で使用する印刷用のインクは、例えば、特開2005-206650号公報、国際公開第2018/186479号、国際公開第2019/082722号、特開2019-77853号公報、特開2019-99628号公報、国際公開第2020/085358号、特開2020-100710号公報、特開2022-55176号公報または特開2022-92862号公報に記載された顔料等を含有する。本実施形態において、このようなインクで印刷された情報4は、所定の放置期間経過後または第1の所定温度以上になると消失する。所定の放置期間とは、情報4を印刷してからそのまま放置している期間であり、特に限定されないが、例えば、半日から2日等の数日程度である。第1の所定温度とは、印刷する環境温度よりも高い温度であり、例えば、50℃~60℃程度である。
【0032】
使用されるインクは、第1の所定温度以上で永久的に消失する不可逆性を有するものでもよく、第2の所定温度以下で発色状態に復帰する可逆性を有するものでもよい。第2の所定温度とは、印刷する環境温度よりも低い温度であり、例えば、-10℃~-20℃程度である。情報4の厚みは特に限定されないが、情報印刷ゴルフボール1を打った際の軌道が変化しないような厚みが好ましく、例えば、1μm~2μmが好ましい。
【0033】
情報4が消失することで、使用が終了した情報印刷ゴルフボール1に新たな情報4を印刷することができるので、特にゴルフ練習場では、情報印刷ゴルフボール1を使用者の好みに合わせた情報4が印刷でき、本体2のリサイクルが可能となる。
【0034】
図3に示すように、一般的なゴルフボールである本体2は情報4が印刷されていない(
図3(a)参照)。本体2の表面3に情報4を印刷すると情報印刷ゴルフボール1が完成する(
図3(b)参照)。第1の所定温度以上になると、情報4が消失し、情報4の印刷されていない本体2のみとなる(
図3(a)参照)。情報4は消失するので、新たな情報4を印刷することが可能となる。なお、
図3では、分かりやすさを優先させるために、情報4の部分にディンプルを図示していない。
【0035】
第1の所定温度以上での情報4の消失は、情報印刷ゴルフボール1の本体2の表面3を加熱することで実現できる。例えば、太陽光、情報印刷ゴルフボール1にインパクトを与える、飛んでいる間の空気の摩擦抵抗、バウンドしたときの摩擦、などで情報印刷ゴルフボール1を加熱させることができる。また、人為的に情報印刷ゴルフボール1の情報4を擦って加熱させることで、情報4を消失させることもできる。
【0036】
また、ゴルフ施設10に設置された加熱装置12により第1の所定温度以上に加熱して、情報4を消失させることもできる。加熱装置12で直接情報4を加熱してもよく、情報印刷ゴルフボール1全体を加熱してもよい。また、情報印刷ゴルフボール1を保管する室内を加熱してもよい。
【0037】
加熱装置12は、例えば、乾燥熱風や水蒸気熱風を放出する熱風放出装置でもよく、情報印刷ゴルフボール1を浸漬させる容器内の水を加熱する温水装置でもよい。熱風放出装置および温水装置は、ヒータやファンなどの簡単な構造であり、取り扱いが容易で、安価で設置し易く、利便性に優れている。
【0038】
さらに、ゴルフ施設10に温度管理装置13を設置してもよい。可逆性を有するインクを使用している場合、第2の所定温度以下になると再発色(再不透明化)してしまう。一般的に、ゴルフ練習場では、使用された情報印刷ゴルフボール1は洗浄されるので、インクが落ちる可能性が高い。しかし、洗浄で落ちない場合もあり、綺麗な情報印刷ゴルフボール1を洗浄しない場合もある。そこで、情報印刷ゴルフボール1が第2の所定温度以下にならないように温度管理装置13で温度管理をすることができる。換言すれば、再発色を防ぐように温度管理をするのである。温度管理装置13は、情報印刷ゴルフボール1が第2の所定温度以下にならないように温度を管理することができるものであれば特に限定されない。温度管理装置13としては、例えば、一般的な空調装置等が挙げられる。
【0039】
図4および
図5に基づいて、情報の実施例を説明する、
図4(a)は実施例1、
図4(b)は実施例2、
図5(a)は実施例3、
図5(b)は実施例4である。
【0040】
実施例1は、人物の顔である。人物の顔は、カメラで撮影して画像データとして記憶媒体に記録させ、印刷装置11で本体2の表面3に印刷することで情報4として得ることができる。カメラは、一眼レフカメラ、携帯端末に備えられたカメラ、等である。また、ソフトを利用してイラスト的に描いてもよく、似顔絵でも良い。人物の顔を見ながら思いを込めてスイングするので、集中でき、体のブレが少なくなり、インパクト力も向上し、スコアも向上させることが可能となる。
【0041】
実施例2は、絵柄である。絵柄はゴルフ場をイメージしたイラストである。ソフトを利用して作成したイラストでもよく、カメラで撮像した画像をソフトで加工した画像データでも良い。その他、風景、人物、アニメ、インテリア、植物、ファンタジーなどを題材としても良い。
【0042】
実施例3は、マークや図形である。マークは、記号、符号、しるし、標章、図案などを含み、ある意味や概念に用いられる。図形は、三角形、円、四角形、多角形、などであり、各図形を並べる変形するなどして作成できる。
【0043】
実施例4は、文字である。使用者の好みに合わせて選択し、スイングするときに文字に合わせて、念じる、思い浮かべる、注意を払う、などができ、トレーニングの質の向上に繋がる。
【0044】
また、上述した人物の顔、絵柄、マークや図形、または文字等を適宜組み合わせることも可能である。
【0045】
印刷できる範囲内であれば、情報4の大きさは選択できる。大きければ、使用者に対して目立つので、ボールに注視でき、体のブレが少なくなり、スイングが良くなる可能性がある。また、使用者の好みの情報4が選べるので、気持ちよくスイングができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 情報印刷ゴルフボール
2 本体
3 表面
4 情報
10 ゴルフ施設
11 印刷装置
12 加熱装置
13 温度管理装置