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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163972
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】スチール製机
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/06 20060101AFI20241119BHJP
   A47B 3/12 20060101ALI20241119BHJP
   A47B 13/06 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A47B3/06 Z
A47B3/12 B
A47B3/06 A
A47B13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079743
(22)【出願日】2023-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】397001628
【氏名又は名称】東洋事務器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅也
(72)【発明者】
【氏名】好田 達彦
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053FA01
3B053FA05
3B053FA07
3B053FB05
3B053LA00
3B053NR01
3B053NR04
(57)【要約】
【課題】 天板、左右の側板、幕板を最低限の構成とし、それらを手動で簡易に組み合わせることができるスチール製机を提供することを目的とする。
【解決手段】 座り姿勢の利用者の顔側を正面とした6面において、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材を備えたスチール製机100であり、幕板120と右側板130および左側板140の部材同士の係合、さらに、右側板130および左側板140と天板110の部材同士の係合において、一方に鍵形状の突出係合金具(例えば、幕板右側突出係合金具121)を設け、他方に鍵形状の窪みを持つ受け係合金具(例えば、右側板用受け係合金具111)を設け、鍵形状の突出係合金具を鍵形状の窪みを持つ受け係合金具に係合させて各部材同士を螺合するネジ留めによらず安定させる。引き出し150を天板110の裏面に係合させて設ける構成も可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が座る側を正面とした6面において、
天板、幕板、右側板、左側板の4つの各部材を備えたスチール製机であり、
前記幕板が、右側面および左側面のそれぞれに突出した少なくとも1つの幕板右側突出係合金具と幕板左側突出係合金具を備え、
前記右側板が、左側面側に前記幕板右側突出係合金具と係合する右側板受け係合金具と、上面に突出した少なくとも1つの右側板上面突出係合金具を備え、
前記左側板が、右側面側に前記幕板左側突出係合金具と係合する左側板受け係合金具と、上面に突出した少なくとも1つの左側板上面突出係合金具を備え、
前記天板が裏面において、前記右側板の前記右側板突出係合金具と係合する右側板用受け係合金具と、前記左側板の前記左側板突出係合金具と係合する左側板用受け係合金具を備え、
前記各部材同士を螺合する螺子によらず、前記幕板と前記右側板と前記左側板同士の係合を介して、それらの上下方向の位置関係が固定され、さらに、前記幕板と前記右側板と前記左側板に対して前記天板が被さって係合することにより、前記幕板と前記右側板と前記左側板の水平方向の位置関係が固定されるものであることを特徴とするスチール製机。
【請求項2】
前記幕板の前記幕板右側突出係合金具および前記幕板左側突出係合金具の形状が、前記幕板から側方に所定長を突出してから所定高さを下側に屈曲した鍵形状であり、
前記右側板の前記右側板受け係合金具の形状および前記左側板の前記左側板受け係合金具の形状が、前記所定長を受け入れてから前記所定高さ以上下側に屈曲した屈曲窪みを含む窪み形状であり、
前記幕板の重量によって、前記幕板と前記右側板と前記左側板の上下方向の位置関係が固定されることを特徴とする請求項1に記載のスチール製机。
【請求項3】
前記右側板の右側板上面突出係合金具および前記左側板の左側板上面突出係合金具のそれぞれの形状が、所定幅で対向し合った2片の板片を備えた形状であり、
前記天板の前記右側板用受け係合金具と前記左側板用受け係合金具の形状が、対向する辺の間隔が、前記右側板上面突出係合金具および前記左側板上面突出係合金具の前記所定幅に相当する幅である矩形の窪み形状であり、
前記天板の重量によって、前記幕板と前記右側板と前記左側板の水平方向の位置関係が固定されることを特徴とする請求項2に記載のスチール製机。
【請求項4】
前記右側板の前記右側板上面突出係合金具として、前記右側板と前記幕板が係合する位置よりも正面側の上端に設けられたものが1箇所以上あり、
前記左側板の前記左側板上面突出係合金具として、前記左側板と前記幕板が係合する位置よりも正面側の上端に設けられたものが1箇所以上あることを特徴とする請求項3に記載のスチール製机。
【請求項5】
前記天板、前記幕板、前記右側板、前記左側板の4つの各部材に加え、引き出しに関する部材を備え、
前記引き出しに関する部材が、前記天板の下面に正面方向および背面方向に摺動可能に設けられた引き出し筐体と、前記天板の下面に対して前記引き出し筐体を摺動可能に左右から支持する左右1セットの引き出しレール部材を備え、
前記引き出し筐体の側面と前記引き出しレール部材の側面との対向面の間にそれぞれ摺動可能なスライダー構造体が設けられており、前記引き出し筐体の前記スライダー構造体が、左右1セットの前記引き出しレール部材のそれぞれの前記スライダー構造体の上に摺動可能に載置された構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスチール製机。
【請求項6】
左右1セットの前記引き出しレール部材がそれぞれ上面に突出した少なくとも1つの引き出しレール上面突出係合金具を備え、
前記天板が裏面において、左右1セットの前記引き出しレール部材のそれぞれの前記引き出しレール上面突出係合金具と係合する、左右1セットの引き出しレール用受け係合金具を備え、
前記各部材同士を螺合する螺子によらず、左右1セットの前記引き出しレール上面突出係合金具と、前記天板の左右1セットの前記引き出しレール用受け係合金具との係合を介して、左右1セットの前記引き出しレール部材の前記天板に対する上下方向の位置関係が固定されるものである特徴とする請求項5に記載のスチール製机。
【請求項7】
前記引き出しレール上面突出係合金具の形状が、上方に所定高さを突出してから先端が所定長屈曲した所定幅の鍵形状であり、
前記天板の左右1セットの前記引き出しレール用受け係合金具の形状が、前記引き出しレール上面突出係合金具の前記所定長で前記所定幅の開口であり、
前記引き出しレール上面突出係合金具が前記引き出しレール用受け係合金具内に挿通可能で前記鍵形状により係合可能であり、
左右1セットの前記引き出しレール部材自身の重量によって、前記天板と左右1セットの前記引き出しレール部材の上下方向の位置関係が固定されることを特徴とする請求項6に記載のスチール製机。
【請求項8】
補強部材として、前記天板、前記引き出しレール部材の各部材同士の接合箇所に、手動で取り付けと取り外しが可能な螺子および螺子孔を設けたものである請求項7に記載のスチール製机。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチール製の各部材を組み合わせて組み立てる主としてオフィス等で使用される簡易組立可能なスチール製机に関するものである。特に、一時的に開催されるイベント会場内や催事会場内で付設されるスチール製机や、常設されるオフィスに入居する前の一時的な仮オフィス内で付設されるスチール製机などで、付設に向けて現場で組み立てたり、撤去に伴い現場で分解したりすることができる簡易組立可能なスチール製机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスで使用する机は、スチール製机が多いところ、スチール製机の工場内でピン(ビス)留めやボルトナットを用いて組み上がった完成品の状態で出荷・運搬して設置場所において据え付け工事を行うことが多かった。しかし、組み上がった完成品のスチール製机は嵩張る上に重く、さらに運搬に際する養生が必要であり、その手間が負担となっていた。
そこで、従来から、工場からの出荷の際は、天板、幕板、右側板、左側板という各部材単位で運搬し、現地で組立てる手法も用いられていた。しかし、天板、幕板、右側板、左側板という各部材の点数に比例して組み立てる作業工数が多くなると、ピン(ビス)留めやボルトナットを締める手間、すなわち組立作業の手間も大変であった。
【0003】
従来技術において、組立作業の手間の省力化を目的としたスチール製机も幾つか知られている。
例えば、図10に示した特開平5-228022号公報に開示された組立机が知られている(特許文献1)。特許文献1の組立机は、図10に示すように、机を構成する両側部フレーム1の内側下部にピン2と上部に上方開放の切込み3を設け、後部フレーム4の両側下部に前記両側部フレームのピン2に嵌まる下方開放の切込み5及び上部に前記両側部フレーム上部の切込み3に嵌まるピン6をそれぞれ設け、両側部フレーム1の後方に横向きピン12及び手前に上向きの突出ピン7をそれぞれ設け、天板8先部両側で前記横向きピン12に対応する位置に先部がピン下方へ差込み可能な係止板9と手前両側に前記上向きの突出ピン7と対応する位置にプッシュナット10をそれぞれ設けたことを特徴とする組立机である。
【0004】
また、例えば、図11に示した実用新案登録第3151313号公報に開示された耐震組立机が知られている。図11に示すように、この耐震組立机1は脚部取付具2と、脚部5と、脚部固定用ボルト4と天板3とからなる構造であり、脚部5を脚部取付具2が備える係止部25に挿入する。この係止部25の外壁面に上記脚部固定用ボルト4を螺合するためのナット26が溶接により取り付けられた構造となっている。
【0005】
また、例えば、図12に示した特許2934751号公報に開示された組み立て机は、天板1と、脚部3と、パネルフレーム20とを備えた組み立て机が開示されている。
ここで、図12(b)に示すように、脚部3は天板1の側端部の裏面側に取り付けることも可能であり、天板1の側面2に当接して取り付けることも可能と開示されており、その組み付けは、同公報の3頁目から4頁目にかけて記載されているように『脚部3を天板1に取り付けるための部材は示していないが、天板1と同様にネジ孔等適当な取り付け部材が設けられることは当然であり、また天板1への取り付けに際しては取り付け強度を確保するためにブラケット等を使用してもよいことも当然である』と開示されている。つまりネジ留めが当然とされている。
また、図12(c)に示すように、脚部3とパネルフレーム20の組み付けは、上部引掛け金具53及び下部引掛け金具54をそれぞれ矢印55、56で示すようにパネルフレーム20の開口51、52に係止することによって、脚部3とパネルフレーム20の取り付けを行うことが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5-228022号公報
【特許文献2】実用新案登録第3151313号公報
【特許文献3】特許2934751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術において、組立が簡易で組立工数が少ない省力化したスチール製机として、特許文献1から特許文献3に示すようなものは知られていたが、それぞれ下記に示すような問題があった。
【0008】
まず、特許文献1の特開平5-228022号公報に開示された組立机は、組み立て作業工数の省力化を目指したものであるものの、ピン(ビス)留めにより各部材を接合するものであることには変わらず、ピン2,ピン6,突出ピン7,横向きピン12、プッシュナット10を用いて、複数個所のピン(ビス)留め作業が依然残っており、まだ改善の余地が大きいものと言える。
【0009】
次に、特許文献2の実用新案登録第3151313号公報に開示された耐震組立机は、組み立て作業工数の省力化も目指したものであるものの、複数個所のピン(ビス)留め作業が依然残っており、まだ改善の余地が大きいものと言える。また、脚部固定用ボルト4およびナット26で組み付けられ、それらが溶接により取り付けられた構造となっており、このボルトナットでの組み付けと溶接という作業工数の負担が相当大きいものであり、まだ改善の余地が大きいものと言える。
また、オフィスを中心とする用途では、使用者の足元を隠す要請もあり、正面方向にある幕板や、側面方向にある左右の側板などの部材が求められることが多いが、この特許文献2の耐震組立机には、幕板や左右の側板などが存在しないのでオフィス用途には不向きである。さらに、オフィス用途としては引き出しもあった方が好ましいところ、特許文献2の耐震組立机ではどのように引き出しを簡易な構造で設けて組み立てるかについてはまったく開示も示唆もされていない。
【0010】
次に、上記特許文献3の特許2934751号公報に開示された、組み立て机は、脚部3を天板1の側端部の裏面側に取り付けることも可能であり、脚部3を天板1の側面2に当接して取り付けることも可能と開示されており、その組み付けは、同公報の3頁目から4頁目にかけて記載されているように『脚部3を天板1に取り付けるための部材は示していないが、天板1と同様にネジ孔等適当な取り付け部材が設けられることは当然であり、また天板1への取り付けに際しては取り付け強度を確保するためにブラケット等を使用してもよいことも当然である。』と開示されている。つまりネジ留めが当然で必須とされている。
また、特許文献3の公報の5頁目の右欄の第7行から第47行目にかけて記載されているように、『パネルフレーム20の上側パイプの両端部の下面及び下側パイプの両端部の下面にはそれぞれ開口51、52が形成されており、脚部3のパネルフレーム20に当接するパイプの上端部には上部引掛け金具53がネジ等の固着手段で固着され、下面には下部引掛け金具54がネジ等の固着手段により固着されている。従って、上部引掛け金具53及び下部引掛け金具54をそれぞれ矢印55、56で示すようにパネルフレーム20の開口51、52に係止することによって、脚部3とパネルフレーム20の取り付けを行うことができる。』と開示されている。また、『隣接する二つのパネルフレーム20はボルト60とナット61により固定される。』ことも開示されている。つまり、脚部3とパネルフレーム20の組み付けは一部簡略化されている点は評価できるものの、一部にボルトナット留め作業が依然残っており、さらに、天板1と脚部3との接合ではネジ留めが当然とされ、まだ作業工数が多く、改善の余地が残っているものと言える。
さらに、オフィス用途としては引き出しもあった方が好ましいところ、特許文献3の組立机ではどのように引き出しを簡易な構造で設けて組み立てるかについてはまったく開示も示唆もされていない。
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明のスチール机は、スチール製の各部材をネジ留めやボルトナット留めなどを不要とし、組立工数を低減して簡単に組み立てることができるスチール製机を提供することを目的とする。特に、付設に向けて現場で手動で組み立てたり、撤去に伴い現場で手動で分解したりすることができる簡易組立可能なスチール製机を提供することを目的とする。
また、本発明のスチール製机は、部材構成として、天板、左右の側板、幕板の4つの部材の組み合わせを最低限の構成とし、さらに、引き出しも加えた5つの部材を簡易に組み合わせたスチール製机を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスチール製机は、 利用者が座る側を正面とした6面において、天板、幕板、右側板、左側板の4つの各部材を備えたスチール製机であり、前記幕板が、右側面および左側面のそれぞれに突出した少なくとも1つの幕板右側突出係合金具と幕板左側突出係合金具を備え、前記右側板が、左側面側に前記幕板右側突出係合金具と係合する右側板受け係合金具と、上面に突出した少なくとも1つの右側板上面突出係合金具を備え、前記左側板が、右側面側に前記幕板左側突出係合金具と係合する左側板受け係合金具と、上面に突出した少なくとも1つの左側板上面突出係合金具を備え、前記天板が裏面において、前記右側板の前記右側板突出係合金具と係合する右側板用受け係合金具と、前記左側板の前記左側板突出係合金具と係合する左側板用受け係合金具を備え、前記各部材同士を螺合するネジ留めによらず、前記幕板右側突出係合金具と前記右側板受け係合金具との係合、および、前記幕板左側突出係合金具と前記左側板受け係合金具との係合を介して、前記幕板と前記右側板と前記左側板の上下方向の位置関係が固定され、さらに、前記幕板と前記右側板と前記左側板に対して前記天板が被さることにより、前記右側板上面突出係合金具と前記右側板用受け係合金具との係合、および、前記左側板上面突出係合金具と前記左側板用受け係合金具との係合を介して、それら前記幕板と前記右側板と前記左側板の水平方向の位置関係が固定されるものであることを特徴とするスチール製机である。
【0013】
上記構成において、前記幕板の前記幕板右側突出係合金具および前記幕板左側突出係合金具の形状が、前記幕板から側方に所定長を突出してから所定高さを下側に屈曲した鍵形状であり、前記右側板の前記右側板受け係合金具の形状および前記左側板の前記左側板受け係合金具の形状が、前記所定長を受け入れてから前記所定高さ以上下側に屈曲した屈曲窪みを含む窪み形状であり、前記幕板の重量によって、前記幕板と前記右側板と前記左側板の上下方向の位置関係が固定される構造が好ましい。
【0014】
さらに、上記構成において、前記右側板の右側板上面突出係合金具および前記左側板の左側板上面突出係合金具のそれぞれの形状が、所定幅で対向し合った2片の板片を備えた形状であり、前記天板の前記右側板用受け係合金具と前記左側板用受け係合金具の形状が、対向する辺の間隔が、前記右側板上面突出係合金具および前記左側板上面突出係合金具の前記所定幅に相当する幅である矩形の窪み形状であり、前記天板の重量によって、前記幕板と前記右側板と前記左側板の水平方向の位置関係が固定される構造であることが好ましい。
なお、右側板の右側板上面突出係合金具として、右側板と幕板が係合する位置よりも正面側の上端に設けられたものが1箇所以上あり、左側板の左側板上面突出係合金具として、左側板と幕板が係合する位置よりも正面側の上端に設けられたものが1箇所以上あることが好ましい。
右側板と左側板と幕板の係合が背面近くとなる関係上、天板と右側板と左側板との係合が背面から離れている方が、右側板と左側板とが並行を保ちやすく、幕板と右側板と左側板の水平方向の位置関係が固定されやすくなる。
【0015】
上記構成により、天板、幕板、右側板、左側板の4つの各部材同士を螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てであるが、幕板の重量、天板の重量などによるそれらの係合の安定化を図っており、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
【0016】
さらに、本発明にかかるスチール製机の応用例として、天板、幕板、右側板、左側板の4つの各部材に加えて、さらに、引き出しに関する部材を加えた5つの部材を備えたものとすることも可能である。
引き出しに関する部材は、前記天板の下面に正面方向および背面方向に摺動可能に設けられた引き出し筐体と、前記天板の下面に対して前記引き出し筐体を摺動可能に左右から支持する左右1セットの引き出しレール部材を備え、前記引き出し筐体の側面と前記引き出しレール部材の側面との対向面の間にそれぞれ摺動可能なスライダー構造体が設けられており、前記引き出し筐体の前記スライダー構造体が、左右1セットの前記引き出しレール部材のそれぞれの前記スライダー構造体の上に摺動可能に載置された構造であることが好ましい。
【0017】
上記構成において、本発明のスチール製机は、前記引き出しレール上面突出係合金具の形状が、上方に所定高さを突出してから先端が所定長屈曲した所定幅の鍵形状であり、前記天板の左右1セットの前記引き出しレール用受け係合金具の形状が、前記引き出しレール上面突出係合金具の前記所定長で前記所定幅の開口であり、前記引き出しレール上面突出係合金具が前記引き出しレール用受け係合金具内に挿通可能で前記鍵形状により係合可能であり、左右1セットの前記引き出しレール部材自身の重量によって、前記天板と左右1セットの前記引き出しレール部材の上下方向の位置関係が固定されるものであることが好ましい。
【0018】
上記構成により、引き出しに関する部材を、天板と引き出しレール部材の各部材同士を螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てであるが、引き出しレール部材の重量によるそれらの係合の安定化を図っており、引き出しを追加した構成であっても、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
【0019】
さらに、本発明のスチール製机において、補強部材として、前記天板、前記幕板、前記右側板、前記左側板の各部材同士の接合箇所に、手動で取り付けと取り外しが可能なネジおよびネジ孔を設けたものとすることも可能である。
また、同様に、補強部材として、前記天板と前記引き出しレール部材の各部材同士の接合箇所に、手動で取り付けと取り外しが可能なネジおよびネジ孔を設けたものとすることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のスチール製机によれば、天板、幕板、右側板、左側板の4つの各部材同士を螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てであるが、幕板の重量、天板の重量などによってそれらの係合の安定化を図っており、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
また、本発明のスチール製机によれば、天板、幕板、右側板、左側板に加え、引き出しも備えた構成において、5つの各部材同士を螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てであるが、幕板の重量、天板の重量、引き出しレール部材の重量などによってそれらの係合の安定化を図っており、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1にかかる本発明のスチール製机100の構成を簡単に示した図である。
図2】天板110を簡単に示す図である。
図3】幕板120の構成を簡単に示した図である。
図4】右側板130の構成を簡単に示した図である。
図5】幕板120と右側板130と左側板140の係合を簡単に示す図である。
図6】幕板120と右側板130と左側板140の係合済みの3者に対して、天板110を被せて係合させる様子を簡単に示す図である。
図7】実施例2にかかるスチール製机100aの構造を簡単に示した図である。
図8】引き出し150を取り出して簡単に示した図である。
図9】天板110の裏面にある左右1セットの引き出しレール用受け係合金具115の形状を分かりやすく簡単に示したものである。
図10】従来技術(特開平5-228022号公報)に開示された組立机を簡単に示した図である。
図11】従来技術(実用新案登録第3151313号公報)に開示された耐震組立机を示す図である。
図12】従来技術(特許2934751号公報)に開示された組み立て机を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明のスチール製机を説明する。
以下の説明や図面の各図において、利用者が座る側を正面とした6面として説明する。
本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかるスチール製机は、引き出しの無い構成例として説明する。
実施例1のスチール製机に対してさらに引き出しを追加したスチール製机の構成例は実施例2で説明する。
【実施例0023】
実施例1にかかる本発明のスチール製机100の例を示す。
なお、本発明のスチール製机100の設置箇所や用途は特に限定されない。例えば、オフィス内や、一時的に開催されるイベント会場内や催事会場内で付設されたり、常設されるオフィスに入居する前の一時的な仮オフィス内で付設され、付設に向けて現場で組み立てたり、撤去に伴い現場で分解したりすることができる簡易組立可能なスチール製机を想定している。
図1は実施例1にかかるスチール製机100の構成を簡単に示した図である。
図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。図1(c)は平面図において下方に存在する部材を透過して示した図である。
図1においてスチール製机100は、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材を備えた構成例となっている。
なお、以下、先に、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材の構成をそれぞれ説明し、その後に、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材同士の係合について説明する。
【0024】
まず、天板110を説明する。
図2は、天板110を簡単に示す図である。
図2(a)は、天板110の表面を示す図である。
図2(b)は、天板110の裏面を示す図である。
また、図2(c)は、図2(b)におけるA-A線断面図を示す図であり、天板110の内部を簡単に示した図である。
【0025】
天板110の素材はスチールを前提としているが、重量を軽くするため鉄板鋼材を折り曲げて加工したいわゆるフレーム構造で良く内部は空洞で良い。また、図示しないが、内部に鉄板鋼材を屈曲したトラス構造(コルゲート構造)を設けて構造的強度を大きくすることは好ましい。なお、図2(c)は単純に内部が空洞のフレーム構造として図示している。
天板110は、剛性があり、その上面111はいわゆる机面として使用されるものである。天板110はその裏面112において、右側板130の右側板突出係合金具131と係合する右側板用受け係合金具113と、左側板140の左側板突出係合金具141と係合する左側板用受け係合金具114を備えた構成となっている。
天板110の厚みについては、特に限定されないが、一般的な厚みで良い。例えば、2cm~5cm程度のものが多い。この例では、高さがH2である右側板130の右側板突出係合金具131と左側板140の左側板突出係合金具141を受け入れるための十分な厚みが確保されているものとする。
また、実施例2で後述するように、引き出し150を伴う構成であれば、天板110が裏面において、左右1セットの引き出しレール部材160のそれぞれの引き出しレール上面突出係合金具161と係合するための左右1セットの引き出しレール用受け係合金具115を備えた構成であるが、実施例2の構成での天板110の厚みは、この所定高さH3の引き出しレール上面突出係合金具161を下面から受け入れるための厚みも必要である。この点については実施例2において後述する。
【0026】
図2(c)に示すように、天板110の裏面には、右側板130の右側板突出係合金具132を受け入れる窪み状の右側板用受け係合金具113を2つ備え、左側板140の左側板突出係合金具141と係合する窪み状の左側板用受け係合金具114を2つ備えている。
この例では、右側板用受け係合金具113および左側板突出係合金具141は、ごく簡単に箱体の窪みとなっている。
なお、後述するように、右側板130の右側板上面突出係合金具131および左側板140の左側板上面突出係合金具141のそれぞれの形状が、所定長さL2、所定高さH2、所定間隔Wの間隔を空けて対向し合った2片の板片を備えた形状となっているため、右側板用受け係合金具113および左側板用受け係合金具114の形状は、右側板上面突出係合金具131や左側板上面突出係合金具141を受け入れるため箱体の窪みであって、その開口幅は所定間隔Wであり、開口長さは所定長L2であり、箱体の高さはH2よりやや大きな矩形の窪み形状となっている。
【0027】
次に、幕板120を説明する。
図3は幕板120の構成を簡単に示した図である。
図3(a)は幕板120の正面図であり、図3(b)は幕板120の平面図である。図3(c)は幕板120の右側面図である。なお、左側面図も右側面図と左右対称であるので省略する。
図3(d)は幕板右側突出係合金具121を取り出して拡大して示した正面方向からの図である。
図3(e)は幕板右側突出係合金具121を取り出して拡大して示した右側面方向から見た図である。
図3に示すように、幕板120は、右側面および左側面のそれぞれに突出した少なくとも1つの幕板右側突出係合金具121と幕板左側突出係合金具122を備えている。この構成例では、図3(a)および図3(c)に示すように、右側面において上端やや下側付近と下端やや上側付近にそれぞれ幕板右側突出係合金具121が設けられ、左側面において上端やや下側付近と下端やや上側付近にそれぞれ幕板左側突出係合金具122が設けられている。
幕板右側突出係合金具121および幕板左側突出係合金具122は、それぞれ対向し合う2列の金具をもっている。図3(d)および図3(e)は代表的に幕板右側突出係合金具121を取り出して拡大して示した図である。幕板右側突出係合金具121の形状は、幕板120の側面から所定長L2突出し、さらに所定高さH2下方に延設されており、鍵形状となっている。それぞれ厚みがW2となっている。この鍵形状の幕板右側突出係合金具121が対向して2列設けられている。
幕板右側突出係合金具121の数や幕板左側突出係合金具122の個数や位置は限定されないが、図3に示すように、上端やや下側付近と下端やや上側付近に設けられていれば、後述するように、より一層幕板120と右側板130と左側板140の3者間の係合が安定して強固になる。
【0028】
次に、右側板130を説明する。
図4は右側板130の構成を簡単に示した図である。
図4(a)は右側板130正面図である。なお、内部にある窪み形状である右側板受け係合金具132を透過して描いている。
図4(b)は右側板130の左側面図(幕板120と接合する内面側方向の図)となっている。右側板受け係合金具132は開口部分のみが見えている。
図4(c)は右側板130の平面図となっている。
図4(d)は右側板上面突出係合金具131のみを取り出して拡大して右側面から見た図である。
図4(e)は右側板上面突出係合金具131のみを取り出して拡大して正面から見た図である。
図4(f)は内部にある右側板受け係合金具132のみを取り出して拡大して示した正面方向から見た図である。右側板受け係合金具132は2列並んで設けられている。
図4(g)は右側板受け係合金具132の開口部分のみを拡大して示した左側面方向(幕板120と接合する内面側方向)から見た図である。
図4(a)から図4(e)に示すように、右側板130の上端面には2列に並んだ右側板上面突出係合金具131を備えている。この例では、正面端のやや背面側付近と、背面端のやや正面側付近の2箇所にそれぞれ設けられている。
また、右側板130は、その左側面側に幕板右側突出係合金具121と係合する2列に並んだ右側板受け係合金具132を備えている。図4(b)ではその開口部分が見えている。この例では、上端のやや下側付近と、下端のやや上側付近の2箇所にそれぞれ設けられている。
【0029】
なお、左側板140については、右側体130と左右対称であるので、ここでは左側板140の説明を省略する。上端面には左側板上面突出係合金具141が設けられており、右側面には左側板受け係合金具142が設けられている。
【0030】
次に、幕板120と右側板130と左側板140の3者間の係合について簡単に述べる。
図5は、幕板120と右側板130と左側板140の3者間の係合を簡単に示す図である。なお、幕板120の幕板右側突出係合金具121と右側板130の右側板受け係合金具132との係合関係と、幕板120の幕板左側突出係合金具122と左側板140の左側板受け係合金具142との係合関係は同様であるため、ここでは代表的に、幕板120の幕板右側突出係合金具121と右側板130の右側板受け係合金具132との係合を説明する。
さらに、幕板120の幕板右側突出係合金具121と右側板130の右側板受け係合金具132との係合は複数箇所あるが、ここでは、両者の係合が理解できれば良いので、1箇所の幕板120の幕板右側突出係合金具121と右側板130の右側板受け係合金具132との係合関係のみを取り上げて説明する。
【0031】
図5(a)は、幕板120と右側板130の係合前の状態を示しており、両者が離れた状態となっている。
次に、図5(b)は、幕板120の幕板右側突出係合金具121が右側板130の右側板受け係合金具132の内部に挿通された状態を示している。右側板受け係合金具132の開口の形状は幕板120の幕板右側突出係合金具121を受け入れ可能な形であるので、幕板120の幕板右側突出係合金具121の所定長L2だけ幕板120の幕板右側突出係合金具121が右側板130の右側板受け係合金具132の内部に挿通されている。同様に、幕板120の幕板左側突出係合金具122が左側板140の左側板受け係合金具142の内部に挿通された状態となっている。
なお、図5(b)の状態ではまだ両者が完全には係合していない。
次に、図5(c)は、幕板120の幕板右側突出係合金具121が所定高さH2だけ下側に移動し、右側板130の右側板受け係合金具132に完全に係合された状態を示している。
【0032】
これらの図5(a)から図5(c)の変化に示すように、幕板右側突出係合金具121が、まず、所定長L2だけ右側板受け係合金具132の内部に入り込み、さらに、所定高さH2だけ右側板受け係合金具132の内部に落ち込み、係合し合っている。つまり、鍵形状の幕板右側突出係合金具121が、受け入れ可能な形状である屈曲窪み形状である右側板受け係合金具132に対して、ロックされる形で入り込み、幕板120の重量が印加され、安定して係合し合った状態となる。
【0033】
同様に、鍵形状の幕板左側突出係合金具122が、受け入れ可能な形状である屈曲窪み形状である左側板受け係合金具142に対して、ロックされる形で入り込み、幕板120の重量が印加され、安定して係合し合った状態となる点は同様である。
この図5に示した幕板120と右側板130と左側板140の3者が係合し合うことにより、それらの上下方向の位置関係が固定される。
【0034】
次に、引き続き、幕板120と右側板130と左側板140の3者に対して、天板110が被さって係合し合うことにより、それら幕板120と右側板130と左側板140の水平方向の位置関係が固定される点について説明する。
【0035】
図6は、幕板120と右側板130と左側板140の係合済みの3者に対して、天板110を被せて係合させる様子を簡単に示す図である。
図6(a)は、幕板120と右側板130と左側板140の係合済みの3者に対して、天板110を被せて係合させる前の状態を示す図である。まだ、両者が離れた状態となっている。なお、天板110は内部にある右側板用受け係合金具113および左側板用受け係合金具114が分かりやすいように、図1(c)と同様、A-A線断面図で示している。
【0036】
次に、図6(b)は、幕板120と右側板130と左側板140の係合済みの3者に対して、天板110を被せて係合させた状態を示す図である。つまり、右側板130の右側板上面突出係合金具131の所定高さH1だけ天板110の右側板用受け係合金具113の内部に挿通され、同様に、左側板140の左側板上面突出係合金具141の所定高さH1だけ天板110の左側板用受け係合金具114の内部に挿通され、係合されている。
ここで、右側板130の右側板上面突出係合金具131、左側板140の左側板上面突出係合金具141は2片あり、それぞれ所定長さL1、所定高さH1、両者の所定間隔W1であるところ、天板110の右側板用受け係合金具113および左側板用受け係合金具114の形状とも矩形の窪み形状であり、所定長さL1、所定高さH1、対向する辺の間隔が所定間隔W1であるため、両者が嵌合し合ってしっかりと係合される。
【0037】
これらの図6(a)から図6(b)の変化に示すように、右側板130の右側板上面突出係合金具131および左側板130の左側板上面突出係合金具141と、天板110の右側板用受け係合金具113および左側板用受け係合金具114との係合は、左右にわたり、かつ、上端やや下側付近と下端やや上側付近の2箇所に設けられているので、係合済みの幕板120と右側板130と左側板140の係合体の水平方向の位置関係が、天板110により固定され、頑丈になる。
なお、図6は正面方向からの図示しかないが、この例では、右側板130の右側板上面突出係合金具131として正面近くに1つ背面近くに1つあり、そのうち正面近くの右側板上面突出係合金具131は幕板120と右側板130が係合している位置からは離れており、同様に、左側板140の左側板上面突出係合金具141として正面近くに1つ背面近くに1つあり、そのうち正面近くの左側板上面突出係合金具141は幕板120と左側板140が係合している位置からは離れており、その結果、右側板130と左側板140が並行を保ちやすくなり、幕板120と右側板130と左側板140の3者間の係合体の水平方向の位置関係が、天板110によりいわゆるコの字型に制御されるメリットが得られる。
【0038】
天板110は大きなスチール部材であるため比較的重量が大きく、その重量によって、幕板110と右側板130と左側板140の3者がしっかりと嵌合してそれらの水平方向の位置関係が固定される。
【0039】
以上、本実施例1にかかる本発明のスチール製机100によれば、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材同士を、螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てにより組み立て可能であり、幕板120の重量、天板110の重量などによってそれらの係合の安定化を図っており、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
【実施例0040】
次に、実施例2にかかる本発明のスチール製机100aについて説明する。
実施例2にかかるスチール製机100aは、天板110、幕板120、右側板130、左側板140、引き出し150の5つの各部材を備えた構成例となっている。
【0041】
図7は、実施例2にかかるスチール製机100aの構造を簡単に示した図である。図7(a)は平面図、図7(b)は正面図である。図7(c)は平面図において下方に存在する部材を透過して示した図である。実施例1の構成に比べて、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材に加えて、天板110の下側に引き出し150が追加されていることが分かる。
なお、天板110、幕板120、右側板130、左側板140の4つの各部材の構成は実施例1と同様で良いので、ここではそれらの説明を省略し、ここでは引き出し150の構成と、天板110との係合について説明する。
【0042】
引き出し150は、引き出し筐体160と、引き出しレール部材170の組み合わせとなっている。引き出し筐体160に対して左右から引き出しレール部材170で支持するものとなっており、これらで1セットの引き出し150である。この例では、引き出し150は右引き出しと左引き出しの左右1つずつであるが、真ん中に中引き出しを設けることも可能である。
図8は、引き出し150を取り出して示した拡大図である。一例として正面方向から見て左側の引き出し150を示している。
図8(a)が拡大した正面図である。つまり座り姿勢の利用者が使用する方向から見た図となっている。
図8(b)が引き出し筐体160と引き出しレール部材170を分離した状態の拡大図である。
図8(c)は拡大した平面図である。平面図としては、図8(a)の状態でも図8(b)の状態でも同様のものとなる。
図8(d)は引き出しレール上面突出係合金具173のみを取り出してさらに拡大してみた右側面図である。
図8(e)は引き出しレール上面突出係合金具173のみを取り出してさらに拡大してみた正面図である。2列構成のまま描いている。
【0043】
図8に示すように、引き出し筐体160は、筐体本体161と、その筐体本体161の左右の側面にスライダー構造体162が設けられた構造となっている。この例では、スライダー構造体162はシンプルに水平の板状のフランジとなっている。図8(b)の正面図に示すように、引き出し筐体160の幅はW5、スライダー構造体162であるフランジの幅はW6とする。つまり、筐体本体161の両側面から2つのスライダー構造体162が左右外側に向けて配設されているものとなっている。
また、図8(a)の正面図に示すように、引き出しレール部材170は、天板110の裏面に対向する板状部分171と、引き出し筐体160側のスライダー構造体162と摺動可能に当接し合うスライダー構造体172と、板状部分171から上方に突出した引き出しレール上面突出係合金具173を備えた構造となっている。
この例では、スライダー構造体172はシンプルに水平の板状のフランジとなっている。図8(b)の正面図に示すように、そのフランジの幅はW6とする。
この構成例では、引き出し筐体160の両側から引き出しレール部材170が支持している構造であるが、引き出しレール部材170(1)はスライダー構造体172が1つしかなく、いわゆる片持ちの引き出しレール部材170(1)となっている。また、引き出しレール部材170(2)はスライダー構造体172が左右に1つずつあり、いわゆる両持ちの引き出しレール部材170(2)となっている。
なお、中央側に引き出しを設けない構成であれば、すべて片持ちの引き出しレール部材170(1)に統一してもよいが、両持ちの引き出しレール部材170(2)を使用するメリットとしては2列の引き出しレール上面突出係合金具173が左右並んで4列構成となるため、天板110の裏面により安定して係合することができるメリットがある。
【0044】
引き出しレール上面突出係合金具173は、図8(d)に示すように、その形状が上方に所定高さH7を突出してから所定長L7を正面方向に屈曲した鍵形状であり、また、この例では図8(e)に示すように引き出しレール上面突出係合金具173は左右2列の構成となっている。2列の引き出しレール上面突出係合金具173の間隔はW8とする。
【0045】
引き出し筐体160を左右から摺動可能に支持するため、この引き出しレール部材170は左右1セット設けられ、それぞれのスライダー構造体172であるフランジが左右から内側に対向し合うよう取り付けられている。両者の間隔がW5となっている。もっとも機械構造的な遊びとなる小幅の余裕は必要であるが、ここの説明では省略する。
引き出しレール部材170と引き出し筐体160は、スライダー構造体172が下側からスライダー構造体162を当接しながら支持し、両者とも板状のフランジなので両者が摺動可能となっている。つまり、引き出し筐体160は、天板110の裏面において、正面方向と背面方向に出し入れすることができる構造となっている。
なお、このスライダー構造体162とスライダー構造体172の摺動による摩擦力の発生を抑え、引き出し筐体160をスムーズに引き出したり収めたりできるように、スライダー構造体172において摺動を支援するローラー構造やベアリング構造などを設けることも可能である。
【0046】
なお、引き出し150の数は限定されないが、天板110の横幅W5を、引き出し150の引き出し筐体160の幅であるWより広くすれば、引き出し150を複数設けることができる。
例えば、天板110の横幅Wを、W5の3倍よりやや広くすれば、3つの引き出し150スペースが確保できる。つまり、右引き出し150R、中引き出し150C、左引き出し150Lの3セット設けることも可能である。この場合、引き出しレール部材170は、右から、片持ちの引き出しレール部材170(1),両持ちの170(2),両持ちの170(2),片持ち170(1)の順に設けておけば良い。
【0047】
なお、上記の天板110の横幅Wを、W5の3倍よりやや広い構成においても中引き出し150Cを設けない構成は可能である。中引き出し150Cを省略することで利用者の膝上のスペースを大きく確保するメリットがある。
【0048】
次に、引き出しレール部材170を天板110の裏面に係合する点について説明する。
左右1セットの引き出しレール部材170のそれぞれの引き出しレール上面突出係合金具173と係合するため、天板110の裏面には左右1セットの引き出しレール用受け係合金具115が設けられている。
この天板110の裏面の左右1セットの引き出しレール用受け係合金具115と、引き出しレール部材170の左右1セットの引き出しレール上面突出係合金具173とを係合させる。
【0049】
引き出しレール上面突出係合金具173の形状は、図8(b)に示すように、上方に所定高さH3突出してから所定長L3を先端方向に屈曲した鍵形状である。
【0050】
図9は、天板110の裏面にある引き出しレール用受け係合金具115の形状を分かりやすく簡単に示したものである。
図9(a)は天板110の底面図である。引き出しレール用受け係合金具115の開口が見えている。
図9(b)は天板110内部の引き出しレール用受け係合金具115を簡単に示した図である。図9(a)におけるB-B線断面図となっている。
図9(c)は、引き出しレール用受け係合金具115と引き出しレール上面突出係合金具173を拡大して示した図である。右側面から示したものとなっている。図9(c)は引き出しレール用受け係合金具115に対して引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状部分を係合させる前の状態の図である。両者が分離した状態である。
図9(d)は、引き出しレール用受け係合金具115の開口に対して引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状部分を突出させた状態の図である。右側面から示したものとなっている。
図9(e)は、引き出しレール用受け係合金具115に対して引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状部分の係合が完了した状態を示す図である。
【0051】
図9(a)に示すように、天板110の裏面において、引き出しレール用受け係合金具115が見えるが、2列の溝があり、この溝の長さはL7であり、引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状部分の所定長L7を受け入れられる長さとなっている。もっとも機械構造的な遊びとなる小幅の余裕は必要であるが、ここの説明では省略する。
【0052】
さらに、図9(c)に示すように、引き出しレール用受け係合金具115の形状は、高さ方向にH7の深さを持っている。
つまり、引き出しレール用受け係合金具115は、引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状部分の所定長L7で高さH7を受け入れられる形状となっている。
【0053】
図9(d)に示すように、引き出しレール部材170を天板110の下面から接近させ、引き出しレール上面突出係合金具173を引き出しレール用受け係合金具115の中に挿入し、所定高さH7分上昇させれば、鍵形状である引き出しレール上面突出係合金具173が引き出しレール用受け係合金具115内に収まる。
【0054】
引き続き、図9(e)に示すように、鍵形状である引き出しレール上面突出係合金具173を鍵形状の先端方向へスライド移動させれば、引き出しレール上面突出係合金具173の鍵形状が引き出しレール用受け係合金具115内で係合し合うこととなる。
【0055】
基本的には、この図9(e)の状態で、引き出しレール部材170自身の重量によって、天板110と左右1セットの引き出しレール部材170の上下方向の位置関係が固定される。
つまり、各部材同士を螺合する螺子によらず、引き出しレール上面突出係合金具173を介して引き出しレール部材170を天板110の裏面に取り付けることができる。
【0056】
しかし、引き出し筐体160を使用するため、引き出したり収めたり摺動させれば、スライダー構造体162とスライダー構造体172の間に摩擦力が生じるため、引き出しレール部材170が天板110の裏面にしっかりとは固定されずに動いてしまうことも想定できる。
そこで、基本構造としては、各部材同士を螺合する螺子によらず係合のみで組み上げることができるが、この実施例2の構成では、引き出しレール部材170を天板110の裏面において固定するため、引き出しレール部材170の板状部分171と天板110の裏面を接合するための簡易なネジ部材を設けることも好ましい。手で簡単にネジ留めできるものを採用することもできる。多様なものがあるが、例えば、蝶ボルトを用いて簡単に指で螺合して取り付けることができる。天板110の裏面と引き出しレール部材170の板状部分171ともに、蝶ボルトに適合する径のネジ孔を適切な位置に設けておけば簡単に取り付けることができる。
【0057】
以上、本実施例2にかかる本発明のスチール製机100aによれば、天板110、幕板120、右側板130、左側板140に加え、引き出し150も備えた構成において、5つの各部材同士を、螺合するネジ留めによらず、突出係合金具と受け係合金具との係合により嵌め込むだけの簡易な組み立てが可能となり、幕板120の重量、天板110の重量、引き出しレール部材151の重量などによってそれらの係合の安定化を図っており、作業工数の少ない簡易な組み立てとある程度の構造的強度の保持を両立させた優れたスチール製机を得ることができた。
【0058】
以上、本発明のスチール製机100の構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
100,110a スチール製机
110 天板
120 幕板
130 右側板
140 左側板
150 引き出し
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12