(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163983
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】把持具、岩石穿孔ユニット、および方法
(51)【国際特許分類】
E21B 19/18 20060101AFI20241119BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20241119BHJP
E21B 19/20 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
E21B19/18
F15B15/14 345Z
E21B19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075525
(22)【出願日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】23172251
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マッコネン, エーロ
(72)【発明者】
【氏名】シッランパー, ヴェーサ
(72)【発明者】
【氏名】ルーティキヴィ, ユッカ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】把持具、岩石穿孔ユニット、および穿孔ツールを取り扱う方法を提供する。
【解決手段】把持具(9)は、油圧シリンダと、油圧シリンダによって穿孔ツール(7)に向かって移動可能かつ穿孔ツール(7)から遠ざかるように移動可能である少なくとも1つの把持顎部とを備える。油圧シリンダは、第1の固定されたストッパによる第1の動作位置と、固定された第2のストッパによる第2の動作位置とを有する少なくとも1つの調整ピストンを備える。調整ピストンは、第1および第2の動作位置の一方においてピストンロッドの移動長さを制限して、把持顎部に把持顎部の極限移動位置間の中間位置を設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石穿孔ツール(7)を取り扱うための把持具(9)であって、
本体(11)と、ピストン(15)と、前記ピストン(15)に接続されたピストンロッド(11)と、作動圧力空間(WP)と、前記ピストン(15)を第1の移動方向(A)および反対の第2の移動方向(B)に移動させるべく加圧された油圧流体を供給および排出するために前記作動圧力空間に接続されたいくつかの圧力流体チャネル(19、20、21)とを備える少なくとも1つの油圧シリンダ(10)と、
前記油圧シリンダ(10)によって、前記把持具(9)を通過するように配置された前記穿孔ツール(7)に向かって移動可能かつ前記把持具(9)を通過するように配置された前記穿孔ツール(7)から遠ざかるように移動可能である少なくとも1つの把持顎部(12)と
を備えた把持具(9)において、
前記油圧シリンダ(10)は、第1の固定されたストッパによる第1の動作位置と、固定された第2のストッパによる第2の動作位置とを有する少なくとも1つの調整ピストン(16)を備え、
前記調整ピストン(16)は、前記第1および第2の動作位置の一方において前記ピストンロッド(11)の移動長さを制限して、前記少なくとも1つの把持顎部(12)に前記少なくとも1つの把持顎部(12)の極限移動位置間の中間位置を設けるように構成されている
ことを特徴とする、
把持具(9)。
【請求項2】
前記把持具(9)は、3つの動作モード(M1~M3)を備え、各々のモードは、前記ピストンロッド(11)の突出長さ(Lp1~Lp3)が異なり、前記ピストンロッド(11)の前記突出長さ(Lp)の大きさが、取り扱われている前記岩石穿孔ツール(7)に対する前記少なくとも1つの把持顎部(12)の位置を定めるように構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項3】
前記把持具(9)は、開放モード(M1)、案内モード(M3)、および把持モード(M2)を有し、
前記ピストンロッド(11)は、前記開放モード(M1)の選択に応答して第1の極限突出長さへと移動し、前記把持モード(M2)の選択に応答して反対の第2の極限突出長さへと移動するように構成され、
前記ピストンロッド(11)は、前記案内モード(M3)の選択に応答して前記第1および第2の極限突出長さの間の中間位置に移動するように構成されている
ことを特徴とする、請求項2に記載の把持具。
【請求項4】
前記把持具(9)は、前記油圧シリンダ(10)のすべての圧力空間(Wp)が少なくとも1つのタンク圧力ラインに接続されるアイドルモードを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項5】
前記調整ピストン(16)は、前記ピストンロッド(11)上に可動に取り付けられたスリーブ状部品である
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項6】
前記調整ピストン(16)は、前記ピストン(15)の方を向いた第1のフェース面(17)を有し、前記第1のフェース面(17)は、前記ピストン(15)の方を向いたリング状の軸方向突出部(18)を備え、前記軸方向突出部(18)の直径が前記調整ピストン(16)の外径よりも小さいことにより、前記軸方向突出部(18)は、前記調整ピストン(16)が前記ピストン(15)に向かって極限位置へと移動したときに、前記ピストン(15)のための軸方向ストッパ面として機能するように構成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項7】
前記油圧シリンダ(10)は、3つの作動圧力空間(Wp1~Wp3)を含み、存在する圧力は、前記ピストン(15)を移動させるため、かつピストン(15)と前記調整ピストン(16)との相対位置を移動させるために調整することができることを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項8】
前記把持具(9)は、リテーナ(8)の一部であり、前記リテーナ(8)は、前記リテーナ(8)を通過するように配置された前記穿孔ツール(7)に対して両側に取り付けられた2つの油圧シリンダ(10a、10b)を備え、
前記油圧シリンダ(10a、10b)のピストンロッド(11a、11b)が互いに対向し、
前記リテーナ(8)は、前記ピストンロッド(11a、11b)の遠位端に取り付けられた2つの把持顎部(12a、12b)を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項9】
前記把持具(9)は、関節レバー機構を備えるリテーナ(8)の一部であり、前記レバー機構は、前記レバー機構のレバーアーム(13a、13b)に取り付けられた前記把持顎部(12a、12b)に前記油圧シリンダ(10)の動きを伝達するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項10】
前記把持具(9)は、前記岩石穿孔ツール(7)を穿孔軸(DA)へと移動させるためのロッドハンドラ(23)の一部であり、固定された相手方(12b)に対して可動である1つの可動把持顎部(12a)を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の把持具。
【請求項11】
岩石表面の穿孔のための岩石穿孔ユニット(4)であって、
送りビーム(5)と、
前記送りビーム(5)上に可動に取り付けられた岩石穿孔機(6)と、
前記送りビーム(5)の前端部に位置し、前記岩石穿孔機(6)に取り付けることができる穿孔ツール(7)を選択的に把持することができるリテーナ(8)と
を備えた岩石穿孔ユニット(4)において、
前記リテーナ(8)は、請求項1から9のいずれか1項に記載の把持具(9)を備える
ことを特徴とする、
岩石穿孔ユニット(4)。
【請求項12】
岩石表面の穿孔のための岩石穿孔ユニット(4)であって、
前記岩石穿孔ユニット(4)は、
送りビーム(5)と、
前記送りビーム(5)上に可動に取り付けられた岩石穿孔機(6)と、
穿孔ツール(7)をツールマガジン(24)と穿孔軸(DA)との間で移動させるためのロッドハンドラ(23)と
を備えており、
前記ロッドハンドラ(23)には、前記岩石穿孔機(6)に取り付けることができる前記穿孔ツール(7)を選択的に把持することができる把持具(9)が提供され、
前記ロッドハンドラ(23)の前記把持具(9)は、請求項1から7および10のいずれか1項に記載の把持具である
ことを特徴とする、
岩石穿孔ユニット(4)。
【請求項13】
岩石穿孔ユニット(4)上で穿孔ツール(7)を取り扱う方法であって、
岩石穿孔ユニット(4)によって岩石表面に穿孔を穿孔することと、
前記穿孔ユニット(4)に取り付けられた把持具(9)の少なくとも1つの把持顎部(12)によって前記穿孔ツール(7)を把持することと、
前記把持具(9)の少なくとも1つの油圧シリンダ(10)によって前記少なくとも1つの把持顎部(12)を前記穿孔ツール(7)に対して移動させることと
を含む方法において、
請求項1から10のいずれか1項に記載の把持具(9)を使用し、前記把持具(9)に前記少なくとも1つの把持顎部(12)の相対位置が異なる少なくとも3つの動作モード(M1~M3)を用意すること
を特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、岩石の穿孔に使用される岩石穿孔ツールを取り扱うための把持具に関する。把持具は、少なくとも1つの油圧シリンダによって可動である少なくとも1つの把持顎部を備える。
【0002】
さらに、本発明は、把持具を備えた岩石穿孔ユニット、および岩石穿孔ツールを取り扱う方法に関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の冒頭部分においてより具体的に定義される。
【0004】
鉱山、建設現場、および他の作業領域において、穿孔が、送りビーム上に移動可能に配置された岩石穿孔機を備える岩石穿孔ユニットによって穿孔される。穿孔ツールを、ねじ継手によって穿孔機に接続することができる。穿孔ツールは、1つ以上の穿孔ロッドまたはチューブと、穿孔ビットとを備えることができる。送りビームは、穿孔ツールの結合および分離時に穿孔ツールを不動に保持するためのリテーナを備える。典型的には、リテーナは、油圧シリンダによって動かされる把持顎部を備える。いくつかの異なるリテーナの設計が存在する。しかしながら、現在の解決策は、いくつかの欠点を含むことが示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、岩石穿孔ツールを取り扱うための新規かつ改良された把持具および方法を提供することである。さらに、本発明は、リテーナを備え、本開示の把持具を利用する穿孔ユニットに関する。
【0006】
本発明による把持具は、装置についての第1の独立請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による岩石穿孔ユニットは、装置についての第2の独立請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、方法についての独立請求項の特徴的な特徴およびステップによって特徴付けられる。
【0009】
本開示の解決策の考え方は、岩石穿孔ツールを取り扱うための把持具が、少なくとも1つの油圧シリンダと、油圧シリンダによって、把持具を通過するように配置された穿孔ツールに向かって移動可能かつ把持具を通過するように配置された穿孔ツールから遠ざかるように移動可能である少なくとも1つの把持顎部とを備えることである。油圧シリンダは、第1の固定されたストッパによる第1の動作位置と、固定された第2のストッパによる第2の動作位置とを有する少なくとも1つの調整ピストンを備える。調整ピストンは、第1および第2の動作位置の一方においてピストンロッドの移動長さを制限して、少なくとも1つの把持顎部に少なくとも1つの把持顎部の極限移動位置間の中間位置を設けるように構成される。
【0010】
換言すると、調整ピストンは、油圧シリンダに従来からの2つの位置の代わりに3つの正確なピストンロッド位置をもたらす圧力作動要素である。
【0011】
調整ピストンは、2つの固定のストッパ面の間を移動することにより、その極限移動方向に2つの動作位置を有するように構成される。したがって、調整ピストンは、極限固定位置の間の中間位置を有さない。固定動作位置において、調整ピストンは、移動範囲を制限する物理的なストッパ面に押し付けられる。ストッパ面の位置は、調整ピストンの2つの動作位置を定め、したがってピストンロッドの2つの突出長さも定める。
【0012】
本開示の解決策の利点は、調整ピストンによって、油圧シリンダをより汎用的なやり方で制御することができ、把持具をより良好に利用できることである。さらに、固定位置は、正確なピストンロッド突出長さを定める。ピストンの動きを簡単に制御することができる。
【0013】
把持具は、異なる寸法を有する穿孔ツールの取り扱いにも適用可能であり、既存の穿孔ユニットへの後付けが可能である。
【0014】
一実施形態によれば、把持具は、3つの動作モードを備え、各々のモードは、ピストンロッドの突出長さが異なり、ピストンロッドの突出長さの大きさが、取り扱われている岩石穿孔ツールに対する少なくとも1つの把持顎部の位置を定めるように構成されている。換言すれば、ピストンは、完全に後退した位置または短縮位置と、2つの異なる伸長位置または延長位置とを有し、これらの位置が動作モードを定める。
【0015】
一実施形態によれば、把持具は、開放モード、案内モード、および把持モードを有する。ピストンロッドは、開放モードの選択に応答して第1の極限突出長さへと移動し、把持モードの選択に応答して反対の第2の極限突出長さへと移動する。さらに、ピストンロッドは、案内モードの選択に応答して第1および第2の極限突出長さの間の中間位置に移動する。換言すれば、開放モードは、岩石穿孔ツールに対していかなる把持も接触もない把持具を提供するために利用される。案内モードにおいては、少なくとも1つの把持顎部が穿孔ツールの外面に近接しているが、穿孔ツールの外面に押し付けられてはいない一種のソフトな把持が存在する。把持モードにおいては、岩石穿孔ツールに対する強い把持がもたらされる。把持モードにおける穿孔ツールの移動は、強い把持によって防止される。
【0016】
一実施形態によれば、把持具の構造および機構を、ピストンロッドの最大突出長さを開放モードまたは把持モードのいずれかを生成するために実現することができるいくつかの代替的なやり方で設計することができる。同じことが、把持具の構造に応じて開放モードまたは把持モードのいずれかを生成するために利用することができるピストンロッドの最小突出長さについても当てはまる。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも案内モードは、調整ピストンによって定められる。
【0018】
一実施形態によれば、ピストンロッドは、開放モードの選択に応答して最小突出長さを有し、ピストンロッドは、把持モードの選択に応じて最大突出長さを有する。
【0019】
一実施形態によれば、把持具は、油圧シリンダのすべての圧力空間が少なくとも1つのタンク圧力ラインに接続されるアイドルモードを有する。換言すると、ピストンロッドは、外力の影響下でその移動方向のいずれかに自由に移動することができる。したがって、シリンダに圧力が存在しない。
【0020】
一実施形態によれば、調整ピストンは、ピストンロッド上に移動可能に取り付けられたスリーブ状の部品である。換言すると、調整ピストンは、ピストンロッド上を摺動して、2つの極限制御位置に向かって移動することができる一種の浮動ピストンである。この解決策の利点は、ピストンロッドに支持されているときに調整ピストンの動きが良好に制御されることである。調整ピストンの構造が、単純かつ堅牢であり得る。
【0021】
一実施形態によれば、調整ピストンは、ピストンの方を向いた第1のフェース面を有し、第1のフェース面は、ピストンの方を向いたリング状の軸方向突出部を備え、軸方向突出部の直径が調整ピストンの外径よりも小さいことにより、軸方向突出部は、調整ピストンがピストンに向かって極限位置へと移動したときに、ピストンのための軸方向ストッパ面として機能するように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、調整ピストンの第1の軸方向突出部に代え、あるいは加えて、ピストンが、調整ピストンの方を向いた第2の軸方向突出部を備える。
【0023】
一実施形態によれば、油圧シリンダは、3つの作動圧力空間を含み、存在する圧力は、ピストンを移動させるため、かつピストンと調整ピストンとの相対位置を移動させるために調整可能である。換言すると、油圧シリンダは、ピストン側の第1の作動圧力空間、ならびに両方ともロッド側の第2の作動圧力空間および第3の作動圧力空間を備える。第2の作動圧力空間が、ピストンと調整ピストンとの間に位置する一方で、第3の作動圧力空間は、第2の作動圧力空間と比べて調整ピストンの反対側に位置する。作動圧力空間は、制御弁を制御することによって圧力ラインおよび排出ラインに接続可能である。
【0024】
一実施形態によれば、把持具は、リテーナの一部であり、リテーナは、リテーナを通過するように配置された穿孔ツールに対して両側に取り付けられた2つの油圧シリンダを備える。油圧シリンダのピストンロッドが互いに対向し、リテーナは、ピストンロッドの遠位端に取り付けられた2つの把持顎部を備える。
【0025】
一実施形態によれば、2つの油圧シリンダは、それらのピストンロッドが同様の様相で移動するように同時かつ同期した様相で制御される。
【0026】
一実施形態によれば、2つの油圧シリンダは、互いに独立して制御される。その場合、第1の油圧シリンダを制御して、第1の把持顎部を取り扱い中の穿孔ツールの近くに移動させることができ、すなわちベース位置に移動させることができ、第2の油圧シリンダを制御して、第2の把持顎部を開放モード、案内モード、および把持モードの原理に従った位置に移動させることができる。
【0027】
一実施形態によれば、把持具は、関節レバー機構を備えるリテーナの一部であり、レバー機構は、レバー機構のレバーアームに取り付けられた把持顎部に油圧シリンダの動きを伝達するように構成されている。換言すると、1つの油圧シリンダが、レバー機構を移動させ、把持顎部に本開示の動きおよびモードを提供することができる。
【0028】
一実施形態によれば、把持具は、岩石穿孔ツールを穿孔軸へと移動させるためのロッドハンドラの一部であり、固定された相手方に対して可動である1つの可動把持顎部を備える。
【0029】
さらに、一実施形態によれば、本開示の解決策は、岩石表面に孔を穿孔するための岩石穿孔ユニットに関する。岩石穿孔ユニットは、送りビームと、送りビーム上に可動に取り付けられた岩石穿孔機と、送りビームの前端部に位置し、岩石穿孔機に取り付けることができる穿孔ツールを選択的に把持することができるリテーナとを備える。さらに、リテーナは、本明細書に開示の特徴および実施形態による把持具を備える。
【0030】
さらに、一実施形態によれば、本開示の解決策は、岩石表面に孔を穿孔するための岩石穿孔ユニットに関する。岩石穿孔ユニットは、送りビームと、送りビーム上に可動に取り付けられた岩石穿孔機と、穿孔ツールをツールマガジンと穿孔軸との間で移動させるためのロッドハンドラとを備え、ロッドハンドラには、岩石穿孔機に取り付けることができる穿孔ツールを選択的に把持することができる把持具が提供される。さらに、ロッドハンドラの把持具は、本明細書に開示の特徴および実施形態による把持具である。
【0031】
さらに、一実施形態によれば、本開示の解決策は、岩石穿孔ユニット上で穿孔ツールを取り扱う方法に関する。本方法は、岩石穿孔ユニットによって岩石表面に穿孔を穿孔することと、穿孔ユニットに取り付けられた把持具の少なくとも1つの把持顎部によって穿孔ツールを把持することと、把持具の少なくとも1つの油圧シリンダによって少なくとも1つの把持顎部を穿孔ツールに対して移動させることとを含む。本方法は、本明細書に開示の把持具を使用すること、および把持具に少なくとも1つの把持顎部の相対位置が異なる少なくとも3つの動作モードを用意することをさらに含む。
【0032】
上記開示の実施形態を、上記の特徴のうちの必要とされる特徴を有する適切な解決策を形成するために、組み合わせることができる。
【0033】
いくつかの実施形態が、添付の図面において、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】穿孔ユニットを備えた岩石穿孔リグの概略の側面図である。
【
図2】リテーナを備えた穿孔ユニットの概略の上面図である。
【
図3】把持具の3つの動作モードを示す概略図である。
【
図4】固定された把持顎部に対向する1つの油圧シリンダを有する把持具を備えたリテーナを示す概略の上面図である。
【
図5】油圧シリンダから把持顎部に力を伝達するための機構を示す概略図である。
【
図6】油圧シリンダから把持顎部に力を伝達するための機構を示す概略図である。
【
図7】1つの固定された把持顎部と1つの可動な把持顎部とを備える把持具の一部分の概略図である。
【
図8】調整シリンダを備えた油圧シリンダの動作モードを示す概略図である。
【
図9】開放モードにある把持具の油圧シリンダおよび油圧回路の概略図である。
【
図10】案内モードにある把持具の油圧シリンダおよび油圧回路の概略図である。
【
図11】フリーモードにある把持具の油圧シリンダおよび油圧回路の概略図である。
【
図12】把持モードにある把持具の油圧シリンダおよび油圧回路の概略図である。
【
図13】送りビームの方向に見たロッドハンドラの概略図である。
【
図14】ロッドハンドラの把持具の概略の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
分かりやすくするために、図は、開示される解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示している。図において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0036】
図1が、キャリア2と、少なくとも1つの穿孔ブーム3と、ブーム3の遠位端部分の穿孔ユニット4とを備える岩石穿孔リグ1を開示している。穿孔ユニット4は、送りビーム5と、送りビーム5に支持され、送り装置によって穿孔軸DAに沿って長手方向に移動するように構成された岩石穿孔機6とを備える。穿孔ロッド7aおよび穿孔ビット7bなどの穿孔ツール7を、穿孔中の岩石表面へと衝撃パルスおよび回転を導くために、穿孔機6に取り付けることができる。穿孔ツール7の着脱時に穿孔ツール7を穿孔軸DA上に不動に支持するために、リテーナ8が、送りビームの前端部にあってよい。リテーナ8は、本明細書による把持具9を備える。
【0037】
図2が、送りビーム5の一端部にあるリテーナ8を開示している。岩石穿孔機6を、送りビーム5上で移動させることができ、穿孔機6に接続された穿孔ツール7は、穿孔軸DA上にあり、リテーナ8の一部である把持具9を通過している。把持具9は、穿孔ツール7に対して両側に取り付けられた2つの油圧シリンダ10a、10bを備える。油圧シリンダ10a、10bのピストンロッド11a、11bが、互いに対向しており、2つの把持顎部12a、12bを備えている。油圧シリンダ10a、10bは、本明細書に開示される特徴および機能を備える。
【0038】
図3が、把持具9が少なくとも3つのモードを備えることができることを開示している。モードは、開放モードM1、把持モードM2、および案内モードM3であってよい。
図3において、把持顎部12、12bを通過する穿孔ツール7は、穿孔ロッド7aである。開放モードM1において、把持具9は、把持顎部12a、12bと穿孔ロッド7aとの間に把持および接触が生じないように制御される。案内モードM3において、把持顎部12a、12bが穿孔ツールの外面に近接しているが、穿孔ツールの外面を押さえてはいない一種のソフトな把持が存在する。換言すると、開放モードM1において、すき間C1は、案内モードM3におけるすき間C2よりも大きい。把持モードM2においては、穿孔ロッド7aに対する強い把持が存在する。把持モードM2における穿孔ツール7の移動は、強い把持によって防止される。把持モードM2においては、当然ながら、把持顎部12a、12bと穿孔ロッド7aとの間に接触Ctが存在し、すき間は存在しない。
【0039】
図4が、1つの可動把持顎部12aを移動させるための1つの油圧シリンダ10aを有する把持具9を備えたリテーナ8を開示している。把持顎部12aは、動作モードを提供するために本明細書に開示されるやり方で、不動に配置された把持顎部12bに対して移動可能である。
【0040】
図5および
図6が、2つの把持顎部12、12bを穿孔ツール7に向かって移動させたり、穿孔ツール7から離れるように移動させたりするために、把持具9について可能な機構を開示している。これらの解決策においては、ジョイント14を中心にして回転可能に互いに接続された機械アーム13a、13bの間に油圧シリンダ10が配置されるため、把持顎部12a、12bに必要な動きを生成するために、1つの専用の油圧シリンダ10で充分である。
【0041】
図7が、把持具9が1つの固定把持顎部12aと1つの可動把持顎部12bとを備えてもよいことをさらに示している。把持顎部12bの動きは、本明細書に開示される油圧シリンダによって直接的または間接的に生成される。1つの可動把持顎部を有する本開示の把持具9を、穿孔プロセスにおいて使用されるさまざまなツールおよび部品を取り扱うために汎用的に利用することができる。
【0042】
図8が、把持具9の油圧シリンダ10の例示的な構造を開示している。把持具9は、ピストン15によって移動可能なピストンロッド11について、3つの異なる突出長さ位置Lp1を備える。ピストンロッド11の突出長さの大きさは、把持顎部(図示されていない)の位置を規定する。ピストンロッド11は、完全に後退した位置(左側、Lp1)、部分的に伸長した中間位置(右側、Lp3)、および完全に伸長した位置(中央、Lp2)を有することができ、これらの位置が、把持具9の動作モードM1~M3を規定する。ピストン15およびピストンロッド11の動きを達成するための調整ピストン16が存在する。少なくとも右側の中間長さ位置Lp3は、調整ピストン16によって定められる。調整ピストン16は、ピストンロッド11上に移動可能に取り付けられたスリーブ状の部品である。したがって、調整ピストン16は、ピストンロッド11上を摺動して、2つの極限制御位置に向かって移動することができる一種の浮動ピストンであってよい。調整ピストン16は、ピストン15の方を向いた第1のフェース面17を有し、第1のフェース面17は、ピストン15の方を向いたリング状の軸方向突出部18を備える。軸方向突出部18の直径は、調整ピストン16の外径よりも小さく、したがって、軸方向突出部18は、調整ピストン16がピストン15に向かって極限位置まで移動すると、ピストン15のための軸方向ストッパ面として機能することができる。さらに、油圧シリンダ10は、3つの作動圧力空間Wp1、Wp2、およびWp3を備え、存在する圧力を、ピストン15を移動させるため、およびピストン15と調整ピストン16との相対位置を移動させるために調整可能である。第1の作動圧力空間Wp1は、ピストン側にあり、第2の作動圧力空間Wp2は、ピストン15と調整ピストン16との間に位置し、第3の作動圧力空間Wp3は、第2の作動圧力空間Wp2と比べて調整ピストンの反対側に位置する。作動圧力空間Wp1~Wp3は、1つ以上の圧力流体ライン19、20、および21に接続される。
【0043】
図8に見られるように、ピストン11は、長さ位置Lp1において、その最も上方の極限位置に移動し、長さ位置Lp2において、ピストン15は、その最も下方の極限位置に移動し、やはり最も下方の極限位置にある調整ピストン16に当接する。長さ位置Lp3において、調整ピストン16は、その最も上方の極限位置に移動し、ピストン15が、軸方向突出部18に対して設定されることで、中間位置が達成される。
図8は、調整ピストン16が中間位置を持つことなく、本体22の固定面に当接する極限軸方向位置の間を移動することを明確に開示している。
【0044】
図9~
図12が、油圧ピストン10、および油圧ピストン10を動作させて、ピストンロッド11に異なる長さ位置Lp1~Lp3をもたらすための油圧回路の構造を開示している。油圧回路は、ピストン15および調整ピストン16を所望の位置に移動させるために、圧力流体を作動圧力空間Wp1~Wp3に供給するため、および作動圧力空間Wp1~Wp3から排出するための2つの制御弁、すなわち第1の制御弁Cv1および第2の制御弁Cv2を備えることができる。制御弁Cv1およびCv2は、圧力流体ライン19、20、および21に接続される。
【0045】
図9において、第1の制御弁Cv1は、第1の作動圧力空間Wp1をタンクTに接続し、これにより、ピストン15は、第2の制御弁Cv2が圧力流体を第2の作動圧力空間Wp2へと導くがゆえに、最も左側の位置に移動することができる。第3の作動圧力空間Wp3からタンクTへの流体の流れは防止される。したがって、ピストンロッド11は後退し、その可能な最短位置を有する。
図9において、第1の移動方向はAとして記され、反対の第2の移動方向はBとして記されている。
【0046】
図10において、ピストンロッド11は、調整ピストン16がピストン15の右方への移動を制限する中間位置を有する。第2の制御弁Cv2が、自身の位置を変化させており、圧力流体の流れを第3の作動圧力空間Wp3へと導き、第2の作動圧力空間Wp2をタンクTに接続する。
【0047】
図11において、ピストンロッド11は、
図9と同じ長さ位置Lp1にあるが、第2の制御弁Cv2がその中央位置に移動しているため、いずれかの移動方向に自由に移動できる。すべての作動圧力空間Wp1~Wp3が、制御弁Cv1およびCv2によってタンクTに接続されている。
【0048】
図12において、ピストンロッド11は完全に押し出され、その可能な限り最長の位置を有する。調整ピストン16は、第3の作動圧力空間Wp3が第2の制御弁Cv2によってタンクTに接続されているため、最も右側の位置に移動している。第2の作業圧力空間Wp2は、第1の制御弁Cv1によってタンクTに接続されている。第1の制御弁Cv1が、自身の位置を変化させており、圧力流体の流れを第1の作動圧力空間Wp1に導くことによって、ピストン15をその最も右側の極限位置に向かって移動させる。
【0049】
図9~
図12において、制御圧力ラインが破線で示されている。
【0050】
図13が、ロッドハンドリング装置23に関連して配置された把持具9を開示している。装置23は、いくつかの穿孔ロッド7aを格納するためのマガジン24を備えることができる。マガジン24は、回転可能に取り付けられてよく、あるいは他のインデキシング手段を備えてもよい。さらに、把持具9を備えた可動アームまたはマニピュレータ25が存在する。マニピュレータ25は、マガジン24と岩石穿孔装置6の穿孔軸DAとの間で穿孔ロッド7aを移動させることができる。把持具9は、
図14にさらに詳細に開示されており、把持具9が、1つの可動な把持顎部12aと、マニピュレータ25の構造部分であってよく、マニピュレータ25に取り付けられた別個の部分であってもよい1つの不動な把持顎部12bとを備えてよいことが示されている。可動な把持顎部12aを移動させるための油圧シリンダ10は、本明細書に開示された特徴および実施形態によるものであり、把持具9に把持モード、案内モード、および開放モードを提供するように構成されてよい。
【0051】
穿孔ビットなどの他の穿孔ツールを取り扱うために同じ種類の装置23を使用することも可能であってよい。
【0052】
図面および関連の説明は、本発明の考え方を例示することのみを意図している。その詳細において、本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲内でさまざまであってよい。
【外国語明細書】