(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163985
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電気セル及びこれを含む電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20241119BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241119BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M4/13
H01M50/533
H01M50/548
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/179
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024077087
(22)【出願日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】112117721
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112204699
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524176959
【氏名又は名称】能元科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100113398
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 直
(72)【発明者】
【氏名】翁 偉倫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電池の安定性を大幅に向上させることができる構造的に安定な電気セルを提供する。
【解決手段】電気セルは、正極シート160、負極シート120、セパレータ140、正極タブ170a、170b及び負極タブ130a、130b、130cを備える積層体を巻回して形成された巻回体である。負極シートの表面には、巻回開始端A1から所定長までの間、負極被膜122が形成されておらず、負極シートの長さに対する所定長の比が0.015から0.100の範囲である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を巻回することにより形成された巻回体である電気セルであって、前記積層体は、
正極上面と、前記正極上面の反対側である正極下面とを有する正極基板である正極シートであって、前記正極上面及び前記正極下面の少なくとも一方が正極被膜を有する、当該正極シートと、
負極上面と、前記負極上面の反対側である負極下面とを有する負極基板である負極シートであって、前記負極上面及び前記負極下面の少なくとも一方が負極被膜を有し、前記負極上面及び前記負極下面の少なくとも一方が、前記負極シートの巻回開始端から所定長までの間、前記負極被膜を備えておらず、前記負極シートの長さに対する前記所定長の比が0.015~0.100の範囲である、当該負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に配置されたセパレータと、
前記正極上面又は前記正極下面に接続された正極タブと、
前記負極上面又は前記負極下面に接続された負極タブとを備える、電気セル。
【請求項2】
前記負極上面及び前記負極下面の少なくとも一方は、前記巻回開始端から前記所定長までの間に支持部材を備えていない、請求項1に記載の電気セル。
【請求項3】
前記負極上面及び前記負極下面のいずれにも、前記巻回開始端から前記所定長までの間に前記支持部材が設けられていない、請求項2に記載の電気セル。
【請求項4】
前記負極シートの長さに対する前記所定長の比が、0.017から0.093の範囲である、請求項1に記載の電気セル。
【請求項5】
前記負極上面及び前記負極下面のいずれにも、前記巻回開始端から前記所定長までの間に前記負極被膜が設けられていない、請求項1に記載の電気セル。
【請求項6】
前記正極タブは、第1の正極タブと第2の正極タブとを備え、前記第1の正極タブと前記第2の正極タブの両方が前記正極上面に接続されている、請求項1に記載の電気セル。
【請求項7】
前記負極タブは、第1の負極タブ、第2の負極タブ、及び第3の負極タブを備え、前記第1の負極タブ、前記第2の負極タブ、及び前記第3の負極タブの全てが、前記負極上面に接続されている、請求項1に記載の電気セル。
【請求項8】
蓋体と、缶と、前記蓋体と前記缶とが互いに密封されて接合されることにより形成される収容空間と、を備える筐体と、
前記蓋体に埋設された正極端子と
前記缶に埋設された負極端子と、
前記収容空間内に配置され、前記正極タブを介して前記正極端子に接続され、前記負極タブを介して前記負極端子に接続される請求項1に記載の電気セルとを備える、電池。
【請求項9】
更に、前記収容空間内に配置された電解質を備える、請求項8に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[技術分野]
本出願は、2023年5月12日に出願された台湾特許出願第112117721号及び2023年5月12日に出願された台湾特許出願第112204699号の米国特許法第119条に基づく優先権出願であり、これらの文献の全体は、参照により本書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、電気セル(electric cell)及びこれを含む電池(battery)に関し、より詳しくは、充放電時の高温での熱応力による構造変形を防止できる電気セル及びこれを含む電池に関する。
【背景技術】
【0003】
将来に向けて開発されているエレクトロニクス製品は、徐々に大容量化、高電圧化する傾向があり、電源としてのリチウム電池の仕様要求も益々高くなっている。他方において、電池内の電気セルの容量が大きくなるにつれて、その安全要求も高まる。
【0004】
従来の技術では、電池の充放電中に電解液が分解酸化反応を起こし、大量の熱が発生する。この熱エネルギーが適時に抑制されなければ、蓄積された熱エネルギーは更なる温度上昇を引き起こす。温度があるレベルに達すると、ある種の熱応力が発生し、電池の正極シートと負極シートが変形する。この変形により、電池内の電極スラリーによって形成された電極被膜が剥離し、電池の出力効率が大幅に低下したり、欠陥が発生して電池が故障したりすることがある。更に、このような不良電池の充放電が続くと、構造が不安定になり、爆発及び発火の危険性もある。従って、高温の熱応力による電池の変形をいかに抑制するかは、現在のリチウム電池の関連産業において解決すべき主要な課題である。
【0005】
上記の課題に加えて、現在のリチウム電池の製造方法は、以下の通りである。まず、正極シート、負極シート、及びセパレータを積層し、円筒体(例えば、鉄の棒)を巻回の支持体として用いて積層体を巻回して電気セルを形成し、この電気セルを電池缶に入れ、正極と負極を電気的に接続し、最終的にリチウム電池を形成する。しかしながら、円筒体は、電池内の一定のスペースと重量を占めるため、電池の軽量化及びコンパクト化の流れに沿った開発が望めない。従って、電池の性能(例えば、電気容量)に影響を与えることなく、電池の重量及びスペースをいかに削減するかも、現在のリチウム電池の関連産業において解決すべき課題の1つである。
【発明の概要】
【0006】
上記に鑑み、本発明の目的は、上記課題を解決する電池を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、積層体を巻回して形成された巻回体である電気セルを提供する。当該積層体は、正極上面と、正極上面の反対側である正極下面とを有する正極基板である正極シートであって、正極上面及び正極下面の少なくとも一方が正極被膜を有する、正極シートと;負極上面と、負極上面の反対側である負極下面とを有する負極基板である負極シートであって、負極上面及び負極下面の少なくとも一方が負極被膜を有し、負極上面及び負極下面の少なくとも一方が、負極シートの巻回開始端から所定長までの間、負極被膜を備えておらず、負極シートの長さに対する所定長の比が0.015~0.100の範囲である、負極シートと;正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータと;正極上面又は正極下面に接続された正極タブと;負極上面又は負極下面に接続された負極タブと、を備える。
【0008】
好ましくは、負極上面及び負極下面の少なくとも一方は、巻回開始端から所定長までの間、支持部材を備えていない。より好ましくは、負極上面及び負極下面のいずれにも、巻回開始端から所定長までの間に支持部材が設けられていない。
【0009】
好ましくは、負極シートの長さに対する所定長の比が0.017~0.093の範囲である。
【0010】
好ましくは、負極上面及び負極下面のいずれにも、巻回開始端から所定長までの間に負極被膜が設けられていない。
【0011】
好ましくは、正極タブは、第1の正極タブ及び第2の正極タブを備え、第1の正極タブと第2の正極タブの両方が正極上面に接続される。
【0012】
好ましくは、負極タブは、第1の負極タブ、第2の負極タブ、及び第3の負極タブを含み、第1の負極タブ、第2の負極タブ、及び第3の負極タブの全てが負極上面に接続される。
【0013】
更に、本発明は、電池を提供し、当該電池は、蓋体と、缶と、蓋体と缶とが互いに密封されて接合されることによって形成される収容空間と、を備える筐体と;蓋体に埋設された正極端子と;缶に埋設された負極端子と;上述の電気セルであって、収容空間内に配置され、正極タブを介して正極端子に接続され、負極タブを介して負極端子に接続される、電気セルと、を備える。
【0014】
好ましくは、電池は、収容空間内に配置された電解質を更に備える。
【0015】
本発明は、負極シートにおける負極シートの巻回開始端の空箔領域(すなわち、負極スラリーにより形成された負極被膜が被覆されていない領域)の割合を増加させることにより、電気セルの内部コイルにおける熱による応力集中の発生を緩和し、負極シート及び正極シートにおける電極スラリーにより形成された電極被膜の剥離、ひいては、電池の故障を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気セル100の巻回前の積層体を示す側面図である。
【0017】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る電気セルの複数の異なる断面線I-Iに沿って撮影した断面のX線コンピュータ断層撮影図である。
【0018】
【
図3】
図3は、比較例の電気セルの複数の異なる断面線I-Iに沿って撮影した断面のX線コンピュータ断層撮影図である。
【0019】
【
図4】
図4は、(a)電気セルにおける所定長Dが16mm;(b)電気セルにおける所定長Dが25mm;及び(c)電気セルにおける所定長Dが35mm、である個々の電気セルの中心温度の値の分析結果を示す図である。
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、積層体を巻回して形成された巻回体である電気セルを提供する。積層体は、正極上面と、正極上面の反対側である正極下面とを有する正極基板である正極シートであって、正極上面及び正極下面の少なくとも一方が正極被膜を有する、正極シートと;負極上面と、負極上面の反対側である負極下面とを有する負極基板である負極シートであって、負極上面及び負極下面の少なくとも一方が負極被膜を有し、負極上面及び負極下面の少なくとも一方が、負極シートの巻回開始端から所定長までの間、負極被膜を備えておらず、負極シートの長さに対する所定長の比が0.015~0.100の範囲である、負極シートと;正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータと;正極上面又は正極下面に接続された正極タブと;負極上面又は負極下面に接続された負極タブと、を備える。
【0022】
本発明の電気セルは、高温時の熱応力による変形を抑制し、電池の安定性を高めることができ、電池として極めて好適である。したがって、本発明は、更に電池を提供する。電池は、蓋体と、缶と、蓋体と缶とが互いに密封されて接合されることによって形成される収容空間と、を備える筐体と;蓋体に埋設された正極端子と;缶に埋設された負極端子と;上述の電気セルであって、収容空間内に配置され、正極タブを介して正極端子に接続され、負極タブを介して負極端子に接続される、電気セルと、を備える。
【0023】
本発明を説明するための例として以下に好ましい実施形態を示すが、これら実施形態は、本発明の法的保護の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気セル100の巻回前の積層体の側面図を示している。本実施形態において、積層体は、正極シート160と、負極シート120と、セパレータ140と、複数の正極タブ170と、複数の負極タブ130とを備える。セパレータ140は、正極シート160と負極シート120との間に配置されており、すなわち、正極シート160と負極シート120とは、セパレータ140を挟んで対向している。
【0025】
正極シート160は、正極基板161である。正極基板161は、正極上面160aと、正極上面160aの反対側である正極下面160bとを有し、正極上面160a及び正極下面160bの少なくとも一方は、正極被膜162を有する。本実施形態では、正極上面160a及び正極下面160bの両方が、その上に形成された正極被膜162を有し、正極被膜162は、正極スラリーによって形成される。
【0026】
本発明において、負極シート120は、負極基板121である。負極基板121は、負極上面120aと、負極上面120aの反対側である負極下面120bとを有し、負極上面120a及び負極下面120bの少なくとも一方は、負極被膜122を有する。本実施形態では、負極上面120a及び負極下面120bの両方が、その上に形成された負極被膜122を有し、負極被膜122は、負極スラリーによって形成される。
【0027】
負極上面120a及び負極下面120bの少なくとも一方は、巻回開始端A1から所定長Dに至るまでの間、負極被膜が設けられていない。本実施形態では、負極シートの巻回開始端A1と、巻回開始端A1から所定長Dとの間には、負極上面120a及び負極下面120bのいずれにも負極被膜が設けられていない。すなわち、負極上面120a及び負極下面120bにおいて、負極シートの巻回開始端A1から所定長Dに至るまでの間には、(負極シートが矩形であるため)負極被膜が被覆されていない帯状の領域が存在する。より具体的には、負極被膜によって被覆されていない帯状ゾーンの両辺の長さは、巻回開始端の辺の長さに相当し、他の両辺の長さは、共にDである。本発明において、負極シートの長さに対する所定長Dの比は、好ましくは、0.015~0.100の範囲であり、例えば、0.017、0.024、0.045、0.055、0.065、0.070、0.085、又は0.095である。負極シートの長さに対する所定長Dの比は、より好ましくは、0.017~0.093の範囲であり、例えば0.022~0.090、又は0.023~0.070、更に好ましくは、0.024~0.069の範囲である。本実施形態では、負極シートの長さに対する所定長Dの比は、0.024(すなわち、35mm/1455mm)である。また、別の実施形態では、負極シートの長さに対する所定長Dの比は、0.017(すなわち、25mm/1455mm)である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態では、巻回開始端A1から35mmまでの間には、負極シートの負極上面120a及び負極下面120bのいずれにも支持部材(例えば、円筒体)が設けられていない。この長さ部分により、支持部材を設けることなく、本発明の積層体を巻回して電気セルとして機能する巻回体にでき、本発明の電池をより軽量に提供できる。本発明において、円筒体は、例えば、鉄の棒のような、中空の円筒体とすることができる。
【0029】
本実施形態の積層体は、複数の正極タブ170と、複数の負極タブ130とを備える。複数の正極タブ170は、正極シートの表面に接続され、複数の負極タブ130は、負極シートの表面に接続される。本実施形態では、電気セルは、2つの正極タブと3つの負極タブを備える。説明のために、2つの正極タブをそれぞれ第1の正極タブ170a及び第2の正極タブ170bと呼び、3つの負極タブをそれぞれ第1の負極タブ130a、第2の負極タブ130b、及び第3の負極タブ130cと呼ぶ。本実施形態において、第1の正極タブ170a及び第2の正極タブ170bは、正極上面160a上に配置され、正極被膜が被覆されていない領域に設けられており、第1の負極タブ130a、第2の負極タブ130b、及び第3の負極タブ130cは、負極上面120a上に配置され、負極被膜が被覆されていない領域に設けられている。本実施形態において、第1の正極タブ170a及び第2の正極タブ170bの各々の一端は、正極上面160aに接続され、その他端は、巻回体の一端から外側に延びて突出し、後に正極に電気的に接続される。第1の負極タブ130a、第2の負極タブ130b及び第3の負極タブ130c各々の一端は、負極上面120aに接続され、その他端は、外側に延びて巻回体の他端から突出し、後に負極に電気的に接続される。幾つかの実施形態では、積層体は、2つの正極タブと2つの負極タブを備える。本発明において、正極タブ及び負極タブは、電池要件又は電池設計に従って異なることができ、異なる数又は構成を有することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、負極タブ及び正極タブはそれぞれ、溶着によって負極シート及び正極シートに接続される。溶着は、好ましくは、超音波溶着である。本発明において、負極タブは、銅箔、ニッケル箔又は銅-ニッケル合金の金属箔を挙げることができ、正極タブは、アルミニウム箔を挙げることができる。本実施形態では、負極タブは、銅箔であり、正極タブは、アルミニウム箔である。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に基づく電気セル100の異なる断面線I-Iに沿って撮影した断面のX線コンピュータ断層撮影図を示す。電気セル100における所定長Dと負極シートの長さとの比は、0.024(すなわち、35mm/1455mm)であり、各図の右下には、巻回体に対する断面線I-Iの位置を示している。
図2は、充放電速度(Cレート)1C/100W、電圧2.65V~4.2V、終止状態でのカットオフ温度95℃の試験条件により試験して得られたものである。
図3は、比較例の電気セルの異なる断面線I-Iに沿って撮影した断面のX線コンピュータ断層撮影図である。電気セル内の所定長Dと負極シートの長さとの比は、0.011(すなわち、16mm/1455mm)であり、各図の右下には、巻回体に対する断面線I-Iの位置を示している。
図3は、
図2と同じ試験条件、すなわち、充放電速度(Cレート)1C/100W、電圧2.65V~4.2V、終止状態でのカットオフ温度95℃の条件で試験して得られたものである。
図2及び
図3の結果からわかるように、巻回開始端を始端として、負極シートの非被覆領域を大きくする(すなわち、負極シートの巻回端とほぼ同じ程度になるように非被覆領域の比率を大きくする)ことで、放熱によって巻回体の中心温度をより速やかに下げることができ、熱による電気セル内コイルへの応力集中の問題を解決し、電気セルの変形や皺の発生を防止でき、これにより、電池の安定性が高まり、電池の寿命が長くなることがわかった。
【0032】
図4は、(a)負極シートの長さに対する所定長Dの比が0.011(比較例)、(b)負極シートの長さに対する所定長Dの比が0.017、及び(c)負極シートの長さに対する所定長Dの比が0.024である場合の電気セルの中心温度を示す数値の分析結果である。
図4に示すように、本発明の電気セルの巻回開始端において、負極スラリーによって被覆されていない負極塗布領域の割合を大きくすることにより、放熱によって巻回中心温度をより速やかに下げることができ、応力集中を低減でき、電池の安定性を著しく向上させることができる。
【0033】
本発明は更に電池を提供する。
図5は、本発明の電池の概略図である。本実施形態において、電池は、円筒型リチウム電池10である。円筒型リチウム電池10は、筐体20と、正極端子30と、負極端子40と、電気セル110とを備える。筐体20は、蓋体22と、缶26と、蓋体22と缶26とが互いに密封されて接合されることにより形成され上から下に連通する収容空間28と、を備える。正極端子30は、蓋体22に埋設され、負極端子40は、缶26に埋設され、電気セル110は、巻回開始端A1を始点として上述した積層体を巻回することにより得られ、収容空間28に配置される。電気セル110は、正極タブ170を介して正極端子30に電気的に接続され(図示せず)、電気セル110は、負極タブ130を介して負極端子40に電気的に接続される(図示せず)。
【0034】
以上のように、負極シートにおける巻回開始端側の非被覆領域の割合を所定の範囲内になるように構成することにより、電気容量を損なうことなく、電気セルの熱応力の集中の問題を効果的に解決でき、電池の安定性を更に大幅に向上させることができる。更に、本発明の電気セルは、従来技術のように支持部材として円筒体を追加的に設ける必要がない。このため、電池の性能(例えば、電気容量)に影響を与えることなく、電池の重量及びスペースを低減でき、したがって、軽量化及び薄型化という目的を達成できる。
【0035】
以上、本発明を明瞭にするために、特定の詳細を用いて本発明を説明したが、特許請求の範囲内で様々な変更及び修正を行行いうると理解されるべきである。したがって、上記の実施形態は、例を示して説明することを目的としたものであり、限定として解釈されるものではない。更に、本発明は、ここに記載された詳細によって拘束されるものではなく、特許請求の範囲又はこの均等物から逸脱することなく、変更を加えることができる。
【外国語明細書】