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特開2024-163989階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法
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  • 特開-階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法 図1
  • 特開-階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法 図2
  • 特開-階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163989
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078526
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】202310537237.2
(32)【優先日】2023-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】523054492
【氏名又は名称】中国長江電力股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】郭 樂
(72)【発明者】
【氏名】王 祥
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 李東
(72)【発明者】
【氏名】王 小君
(72)【発明者】
【氏名】舒 衛民
(72)【発明者】
【氏名】阮 燕雲
(72)【発明者】
【氏名】李 樂
(72)【発明者】
【氏名】梁 志明
(72)【発明者】
【氏名】劉 曉陽
(72)【発明者】
【氏名】毛 玉▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 艶
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA09
5G066AE09
5G066KB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】合理的な階段式水力発電所の複数の電力網への年度の月毎の電力量分解曲線を得ることができ、さまざまな受端電力網における異なるピーク調整需要に効果的に応答することができ、負荷に対する応答能力を向上できる階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法を提供する。
【解決手段】方法は、複数の受端電力網の差別化負荷調整需要を考慮し、電力量曲線分解のピーク調整基準モデルを構築し、ピーク調整基準モデルにおける各受端電力網の典型的な負荷曲線を確定し、big-M法を用い、0-1変数bsc,d,k,m、大きな数M及び二つの連続変数xsc,d,k,m、osc,d,k,mを導入し、このとき、正負偏差の数学説明は、電力市場の契約履行問題の一般的な規則に抽象化され、そして混合整数計画モデルを用いて求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
【請求項3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電システムのスケジューリング分野に関し、具体的には階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国西南の巨大水力発電所群の多くは、省と区を跨ぐ送電任務を担当しており、電力市場改革の背景の下では通常、複数の受端市場、複数の時間スケール間の電力量の取引と履行に関わり、スケジューリングはより複雑になっている。電力量の規模が大きいため、現在の巨大水力発電所の主な電力量は計画電力量を主とし、発電量増加においては通常電力市場取引に参加する必要がある。このような状況下で、計画電力量はどのように分解・実行するのは、発電所全体の運行、及び受端電力網に対する影響は非常に巨大で、どのように合理的に計画電力量の実行曲線を手配するかは特に重要である。
【0003】
年度計画電力量の曲線分解問題については、毎年10月前後に、計画電力量をどのように発電所、各月の間で正確に分配するかを確定する必要があり、また各送電対象省ごとに各月の典型曲線の分解基準を構築し、一定の基準に基づいて各発電所の各月の各省の典型的な電力量曲線を確定する必要がある。市場が自由化された後は、異なる省の市場条件に基づいて、市場化電力量を各月、各省間で合理的に分配する必要がある。この問題は、水力発電所、貯水池、電力網の各種のスケジューリング・運行制約を同時に考慮する必要があり、例えば水量平衡方程式、貯水池水位制限、出庫流量制限、発電流量制限などの水力制約と、出力制限、電力量平衡制限、電力平衡制限などの出力制約と、省を跨ぐ送電比例、異なる負荷需要などのシステム類制約とを含む。これは非常に複雑な高次元、非線形多時空結合制約のある最適化問題である。現在の電力量分解及び契約履行問題の多くは、契約電力量の執行進度又は発電収益に注目しており、電力網のピーク調整需要に対する考慮が少なく、どのように複数の受端電力網のピーク調整需要を考慮し、どのように複雑なモデルの効率的な解決を実現するかは、大きな挑戦に直面している。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法を提供し、階段式水力発電所群が複数の電力網間、複数の品目間の電力量曲線分解結果を確定する。該方法は、合理的な階段式水力発電所の複数の電力網への年度の月ごとの電力量分解曲線を得ることができ、且つさまざまな受端電力網における異なるピーク調整需要に効果的に応答することができ、階段式水力発電システムが受端電力網における異なる負荷に対する応答能力を向上させる。
【0005】
本発明が採用する技術方案は次のとおりである。
階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法であって、以下のステップを含む。
【0006】
【0007】
【0008】
ステップ三であって、ピーク調整基準モデルを解き、年度計画電力量の分解曲線を得る。
big-M法を用い、0-1変数bsc,d,k,m、大きな数M、及び二つの連続変数xsc,d,k,m、osc,d,k,mを導入し、この時正負偏差の数学説明は、電力市場の契約履行問題の一般的な規則に抽象化され、そして混合整数計画モデルを用いて求め、具体的には以下のとおりである。
pclsc,d,k,mはpclsc,d,k,mがscシーンd発電所k省m月の計画電力量負偏差であることを示す。xsc,d,k,m、osc,d,k,mはそれぞれ2つの連続変数を表す。pcasc,d,k,mはscシーンd発電所k省m月の計画を示す。pcusc,d,k,mはscシーンd発電所k省m月の計画電力量正偏差を示す。pcdd,k,mはd発電所k省m月の決定分配計画電力量を示す。Mは発電所の数である。
【0009】
本発明のAGC制御ポリシーにおいて割合に応じて負荷を分配する方法であって、技術的効果は以下のとおりである。
1)、本発明は合理的な階段式水力発電所の複数の電力網への年度の月ごとの電力量分解曲線を得ることができ、且つさまざまな受端電力網における異なるピーク調整需要に応答することができる。
2)、単一電力網の電力量の実行進度又は発電利益に重点を置いていた従来の方法に比べ、本発明の方法は、階段式水力発電所が複数の電力網に送電する実際の状況に同時に適応することができ、且つ複数の電力網に適応するピーク調整基準を構築することにより、各電力網で異なる負荷調整需要を両立することができる。
3)、本発明は異なる電力網に適応する典型的な負荷曲線の抽出方法を提供し、履歴負荷データを基礎とし、各電力網の典型的な負荷曲線過程を迅速に生成することができる。
4)、本発明はbig-M法と変数等価変換ポリシーを結合し、元の非線形モデルを混合整数計画モデルに変換し、モデルの効率的な求解を実現し、それにより合理的な階段式水力発電所の複数の電力網への年度の月ごとの電力量分解曲線を得て、さまざまな受端電力網における異なるピーク調整需要に効果的に応答する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る方法の全体的な求解のフレームを示す図である。
図2】階段式水力発電所が広東電力網に対する独立ピーク調整の結果を示す図である。
図3】階段式水力発電所が広東電力網の共有情報に対するピーク調整の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解方法である。本発明は、主に年度計画電力量の曲線分解問題に対し、複数の受端電力網向けのピーク調整モデルを構築し、且つ水力制約、電力制約、及びシステム運転制約を考慮することにより、合理的な階段式水力発電所の毎月の典型的な日の発電曲線を得る。技術方案は以下のとおりである。複数の受端電力網の差別化負荷調整需要を考慮し、複数の電力網ピーク調整基準を構築する。異なる電力網に適応する典型的な負荷曲線の抽出方法を提供し、歴史負荷データを基礎とし、各電力網の典型的な負荷曲線過程を生成する。big-M法と変数等価変換ポリシーを結合し、元の非線形モデルを混合整数計画モデルに変換し、モデルの効率的な求解を実現する。
【0012】
式中、Cd,k,mはd発電所k省m月差別化ピーク調整係数である。lsxd,k,mはd発電所k省m月の残余負荷最大値である。lsmd,k,mはd発電所k省m月の残余負荷最小値である。dは発電所番号である。kは省の番号である。mは月番号である。Dは発電所の数である。Kは発電所dの送電対象省の個数である。Mは月数である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
(二):第二部分は、ピーク調整基準モデルにおける各受端電力網の典型的な負荷曲線を確定し、以下のステップを含む。
ステップ(1):ある電力網のある月の日負荷データを選択し、データをコンピュータに伝送し、コンピュータjava言語によって日ごとに負荷特徴パラメータを抽出し、統計計算を行い、毎日負荷特徴指標ベクトルC=[Ct1,Ct2,Ct3,Ct4,Ct5]を構成する。ここでCt1,Ct2,Ct3,Ct4,Ct5は、それぞれt日の1日あたりの負荷率、1日あたりのピークとボトムの比率、ピーク期負荷率、フラット期負荷率、ボトム期負荷率を表す。
ステップ(2):核密度推定を用いて各負荷特徴指標ベクトルに対して密度関数フィッティングを行い、(1)における指標結果をコンピュータに伝送し、python言語scipy.statsモジュールにおけるgaussian_kde関数を利用して確率密度関数の推定を行い、典型的な日負荷特性指標ベクトルCTP=[CTP,CTP,CTP,CTP,CTP]を得る。ここでCTP,CTP,CTP,CTP,CTPは、それぞれ典型的な日の1日あたりの負荷率、1日あたりのピークとボトムの比率、ピーク期負荷率、フラット期負荷率、ボトム期負荷率を表す。
【0017】
(三):第三部分は、ピーク調整基準モデルを解き、年度計画電力量の分解曲線を得る。
big-M法を用い、0-1変数bsc,d,k,m、大きな数M、及び二つの連続変数xsc,d,k,m、osc,d,k,mを導入し、この時正負偏差の数学説明は、電力市場の契約履行問題の一般的な規則に抽象化され、そして混合整数計画モデルを用いて求め、モデルはコンピュータpython言語、pyomoモデリングツールによってモデリングし、Gurobiを利用して解き、具体的には以下のとおりである。
pclsc,d,k,mはpclsc,d,k,mがscシーンd発電所k省m月の計画電力量負偏差であることを示す。xsc,d,k,m、osc,d,k,mは、それぞれ2つの連続変数を表す。pcasc,d,k,mはscシーンd発電所k省m月の計画を示す。pcusc,d,k,mは、scシーンd発電所k省m月の計画電力量正偏差を示す。pcdd,k,mは、d発電所k省m月の決定分配計画電力量を示す。Mは発電所の数である。
【実施例0018】
金沙江下流の「烏東徳」、「白鶴灘」、「渓洛渡」、「向家堰」水力発電所を研究対象とし、設備容量はそれぞれ10200MW、16000MW、12600MW、6000MWで、中国の「西電東送」の「主力軍」であり、7つの送電対象省(市)に関連し、広東、広西、雲南、江蘇、浙江、四川、浙江、上海を含む。その中、「渓洛渡」発電所は「2つの貯水池、2つの工場、2つの電力網システムのスケジューリング」の特徴があり、洪水、枯れ期は異なる送電比率があり、スケジューリング関係は非常に複雑である。複数の省レベル電力網間での計画電力量の配分割合を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明の方法を採用して金沙江下流の階段式水力発電所群の年度計画電力量曲線の分解を行い、まず典型的な負荷を確定し、本発明のステップ二を利用して金沙江下流の階段式発電所の各受端省、各月の典型的な負荷84本を抽出することができ、これによってステップ一のピーク基準を目標とするピーク調整モデルを構築する。
【0021】
表2、図2図3は一部の計算結果を提供し、1月の広東、四川の原始負荷のピークとボトムの比率はそれぞれ25.6%、23.7%であり、ピーク調整情報の目標を共有して計算した後、広東、四川のピークとボトムの比率は12.3%、15.6%になった。各発電所の独自ピーク調整計算後、広東省、四川省のピークとボトムの比率は16.3%、21.9%になった。階段式異なる水力発電所が同じ省に電力を送る状況(烏東徳、渓洛渡右岸は共に広東に送り、白鶴灘、渓洛渡左岸、向家堰、は共に四川に送る)に対して、共有ピーク調整情報を使ったピーク調整効果は、各発電所の独立ピーク調整効果より明らかに良い。計算結果に基づき、本発明で提案した方法は、広東省、四川省などの各省ごとに異なるピーク調整需要に効果的に配慮した。
【0022】
【表2-1】
【0023】
【表2-2】
【0024】
【表2-3】
図1
図2
図3
【外国語明細書】