(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163995
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】加飾積層体、転写シート、加飾部材、及び移動体
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20241119BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20241119BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241119BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20241119BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241119BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20241119BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G02B5/18
B44C1/17 L
G02B5/20
G02B3/00 Z
B32B7/023
G02B5/26
G02B5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】54
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111992
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2024005704の分割
【原出願日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2022093267
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022106566
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022138774
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】與田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】小山 慶祐
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加飾積層体又は加飾部材の意匠性を向上させる。
【解決手段】加飾積層体10は、単位光学要素を有している。単位光学要素の外側領域において加飾積層体10の表面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(R
SCI(O))及び外側拡散光線反射率(R
SCE(O))とした場合、外側全光線反射率(R
SCI(O))、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))に対する外側全光線反射率(R
SCI(O))の比(R
SCI(O)/R
SCE(O))が、それぞれ、
R
SCI(O)≦45%、
R
SCE(O)≦40%、
1.1≦R
SCI(O)/R
SCE(O)≦18、
を満たす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備え、
前記輝度調整層は、反射層である、加飾積層体。
【請求項2】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記賦形層の前記賦形面を覆い、前記賦形層に対面する面とは反対側の面が前記賦形面の凹凸構造に対応した凹凸を有する輝度調整層と、
前記輝度調整層の前記凹凸を充填する充填層と、
を更に備え、
前記輝度調整層は、前記充填層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である、加飾積層体。
【請求項3】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備え、
前記輝度調整層の前記賦形層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に対応した凹凸を有する、加飾積層体。
【請求項4】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備え、
前記賦形層の前記賦形面は、前記輝度調整層の面と対面している、加飾積層体。
【請求項5】
前記輝度調整層は、前記賦形層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である、請求項3又は4に記載の加飾積層体。
【請求項6】
前記輝度調整層は、高屈折率材料を含む、請求項3又は4に記載の加飾積層体。
【請求項7】
前記高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなる、請求項6に記載の加飾積層体。
【請求項8】
前記輝度調整層は、顔料及び/又は染料を含む、請求項3又は4に記載の加飾積層体。
【請求項9】
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である、請求項8に記載の加飾積層体。
【請求項10】
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる、請求項8に記載の加飾積層体。
【請求項11】
前記賦形層はレンズ構造を有し、
前記傾倒面はレンズ面であり、前記接続面はライズ面である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項12】
前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たす、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項13】
前記中央領域において前記加飾積層体の前記一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項14】
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす、請求項13に記載の加飾積層体。
【請求項15】
前記中央領域において前記一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項16】
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす、請求項15に記載の加飾積層体。
【請求項17】
前記加飾積層体の平面視において前記単位光学要素の少なくとも40%を含む領域で前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とした場合、前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項18】
前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たす、請求項17に記載の加飾積層体。
【請求項19】
前記賦形層よりも前記加飾積層体の前記一方の面側に配置され、可視光の透過率を調整する透過率調整層を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項20】
前記賦形層は、顔料及び/又は染料を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項21】
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である、請求項20に記載の加飾積層体。
【請求項22】
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる、請求項20に記載の加飾積層体。
【請求項23】
前記輝度調整層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項24】
前記輝度調整層及び前記賦形層よりも前記加飾積層体の他方の面の側に配置された、追加の輝度調整層
を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
【請求項25】
基材と、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体と、
を備えた転写シート。
【請求項26】
前記加飾積層体は、前記加飾積層体の前記基材に接触する面を形成する剥離層を有する、請求項25に記載の転写シート。
【請求項27】
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う請求項1乃至24のいずれか一項に記載の加飾積層体と、
を備えた加飾部材。
【請求項28】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加飾積層体を備えた移動体。
【請求項29】
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含み、
前記輝度調整層は、反射層である、加飾部材。
【請求項30】
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記加飾積層体は、
前記賦形層の賦形面を覆い、前記賦形層に対面する面とは反対側の面が前記賦形面の凹凸構造に対応した凹凸を有する輝度調整層と、
前記輝度調整層の前記凹凸を充填する充填層と、
を更に含み、
前記輝度調整層は、前記充填層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である、加飾部材。
【請求項31】
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含み、
前記輝度調整層の前記賦形層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に応じた凹凸を有する、加飾部材。
【請求項32】
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たし、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含み、
前記賦形層の前記賦形面は、前記輝度調整層の面と対面している、加飾部材。
【請求項33】
前記輝度調整層は、前記賦形層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である、請求項31又は32に記載の加飾部材。
【請求項34】
前記輝度調整層は、高屈折率材料を含む、請求項31又は32に記載の加飾部材。
【請求項35】
前記高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなる、請求項34に記載の加飾部材。
【請求項36】
前記輝度調整層は、顔料及び/又は染料を含む、請求項31又は32に記載の加飾部材。
【請求項37】
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である、請求項36に記載の加飾部材。
【請求項38】
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる、請求項36に記載の加飾部材。
【請求項39】
前記賦形層はレンズ構造を有し、
前記傾倒面はレンズ面であり、前記接続面はライズ面である、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項40】
前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たす、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項41】
前記加飾積層体の平面視で前記単位光学要素の中央領域と重なる領域において前記加飾部材の前記表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項42】
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす、請求項41に記載の加飾部材。
【請求項43】
前記加飾積層体の平面視で前記中央領域と重なる領域において前記表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項44】
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす、請求項43に記載の加飾部材。
【請求項45】
前記加飾積層体の平面視において前記単位光学要素の少なくとも40%を含む領域で前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とした場合、前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項46】
前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たす、請求項45に記載の加飾部材。
【請求項47】
前記加飾積層体よりも前記加飾部材の表側面の側に配置された成形部を更に備え、
前記成形部は、可視光の透過率を調整する、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項48】
前記加飾積層体は、前記賦形層よりも前記加飾部材の表側面の側に配置され且つ可視光の透過率を調整する透過率調整層を更に含む、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項49】
前記賦形層は、顔料及び/又は染料を含む、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項50】
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である、請求項49に記載の加飾部材。
【請求項51】
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる、請求項49に記載の加飾部材。
【請求項52】
前記輝度調整層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下である、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項53】
前記加飾積層体は、前記輝度調整層及び前記賦形層よりも前記加飾積層体の他方の面の側に配置された、追加の輝度調整層
を更に備える、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材。
【請求項54】
請求項29乃至32のいずれか一項に記載の加飾部材を備えた移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加飾積層体、転写シート、加飾部材、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内外装製品(インストルメントパネル等)、家電製品、住宅等を加飾するための加飾部材や加飾積層体が知られている(例えば、JP6774387B2参照)。特許文献1には、一方面の少なくとも一部が曲面であるガラス基材と、ガラス基材の一方面の上に形成された加飾積層体と、を備えた加飾ガラスパネルが開示されている。この加飾積層体は、上面に凹凸パターンを有する凹凸パターン層と、凹凸パターン層の上面に形成された金属蒸着層とを有している。
【0003】
ところで、このような加飾部材や加飾積層体には、優れた意匠性、とりわけ立体感を有する優れた意匠性が要望される。立体感を有する加飾部材によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0004】
また、JP2011-056675Aに開示されているように、金属蒸着層を含む加飾シートが知られている。金属蒸着層を含む加飾シートは、加飾シートの表面側から入射した光を金属蒸着層において高い強度で反射させ、これにより加飾シートの意匠性を向上させている。
【0005】
その一方で、金属蒸着層を含む加飾シートは、成形する際、加飾シートの延伸に伴って金属蒸着層が割れて白化したり、剥がれたりすることがある。金属蒸着層は、白化したり剥がれたりすると、光を所望のように反射できない。言い換えると、金属蒸着層を含む加飾シートは、成形性の点で問題がある。
【0006】
第1の開示は、以上の点を考慮してなされ、以上の点を考慮してなされたものであって、加飾積層体又は加飾部材の意匠性を向上させることを目的とする。
【0007】
また、第2の開示は、以上の点を考慮してなされ、加飾積層体の成形性を改善することを目的とする。
【発明の開示】
【0008】
<第1の開示>
第1の開示は、加飾積層体又は加飾部材の意匠性を向上させることを目的とする。
【0009】
第1の開示の加飾積層体は、
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たす。
【0010】
第1の開示の加飾積層体において、
前記賦形層はレンズ構造を有してよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、前記接続面はライズ面であってよい。
【0011】
第1の開示の加飾積層体において、
前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たしてよい。
【0012】
第1の開示の加飾積層体において、
前記中央領域において前記加飾積層体の前記一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たしてよい。
【0013】
第1の開示の加飾積層体において、
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たしてよい。
【0014】
第1の開示の加飾積層体は、
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記外側領域において前記加飾積層体の一方の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を外側拡散光線反射率(RSCE(O))とし、前記中央領域において前記一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす、加飾積層体。
【0015】
第1の開示の加飾積層体において、
前記賦形層はレンズ構造を有してよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、前記接続面はライズ面であってよい。
【0016】
第1の開示の加飾積層体において、
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たしてよい。
【0017】
第1の開示の加飾積層体は、
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記加飾積層体の平面視において前記単位光学要素の少なくとも40%を含む領域で前記加飾積層体の一方の面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とした場合、前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす。
【0018】
第1の開示の加飾積層体において、
前記賦形層はレンズ構造を有してよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、前記接続面はライズ面であってよい。
【0019】
第1の開示の加飾積層体において、
前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たしてよい。
【0020】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層よりも前記加飾積層体の前記一方の面側に配置され、可視光の透過率を調整する透過率調整層を更に備えてよい。
【0021】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えてよく、
前記輝度調整層は、反射層であってよい。
【0022】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えてよく、
前記輝度調整層は、前記賦形面の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層であってよい。
【0023】
第1の開示の加飾積層体は、
前記賦形層の前記賦形面を覆い、前記賦形層に対面する面とは反対側の面が前記賦形面の凹凸構造に対応した凹凸を有する輝度調整層と、
前記輝度調整層の前記凹凸を充填する充填層と、
を更に備えてよく、
前記輝度調整層は、前記充填層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層であってよい。
【0024】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えてよく、
前記輝度調整層は、高屈折率材料を含んでよい。
【0025】
第1の開示の加飾積層体において、
前記高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなってよい。
【0026】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えてよく、
前記輝度調整層は、顔料及び/又は染料を含んでよい。
【0027】
第1の開示の加飾積層体において、
前記賦形層は、顔料及び/又は染料を含んでよい。
【0028】
第1の開示の加飾積層体において、
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料であってよい。
【0029】
第1の開示の加飾積層体において、
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなってよい。
【0030】
第1の開示の加飾積層体は、前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えてよく、
前記輝度調整層の前記賦形層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に対応した凹凸を有してよい。
【0031】
第1の開示の加飾積層体において、
前記輝度調整層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下であってよい。
【0032】
第1の開示の加飾積層体は、
前記賦形層の前記賦形面を覆う輝度調整層と、
前記輝度調整層及び前記賦形層よりも前記加飾積層体の他方の面の側に配置された、追加の輝度調整層と、
を更に備えてよい。
【0033】
第1の開示の転写シートは、
基材と、
上述した加飾積層体と、
を備える。
【0034】
第1の開示の転写シートにおいて、
前記加飾積層体は、前記加飾積層体の前記基材に接触する面を形成する剥離層を有してよい。
【0035】
第1の開示の加飾部材は、
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う上述した加飾積層体と、
を備えてよい。
【0036】
第1の開示の移動体は、上述した加飾積層体を備える。
【0037】
第1の開示の加飾部材は、
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とした場合、前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たす。
【0038】
第1の開示の加飾部材において、
前記賦形層はレンズ構造を有してよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、前記接続面はライズ面であってよい。
【0039】
第1の開示の加飾部材において、
前記外側全光線反射率(RSCI(O))、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たしてよい。
【0040】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体の平面視で前記単位光学要素の中央領域と重なる領域において前記加飾部材の前記表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たしてよい。
【0041】
第1の開示の加飾部材において、
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たしてよい。
【0042】
第1の開示の加飾部材は、
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
各単位光学要素は、前記基準線を含む領域である中央領域と、前記傾倒面及び前記接続面が並ぶ方向に沿って前記中央領域と当該単位光学要素の縁部との間に位置する外側領域と、を含み、
前記加飾積層体の平面視で前記外側領域と重なる領域において前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を外側拡散光線反射率(RSCE(O))とし、前記加飾積層体の平面視で前記中央領域と重なる領域において前記表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす。
【0043】
第1の開示の加飾部材において、
前記賦形層はレンズ構造を有してよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、前記接続面はライズ面であってよい。
【0044】
第1の開示の加飾部材において、
前記外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する前記中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たしてよい。
【0045】
第1の開示の加飾部材は、
賦形層を有する加飾積層体を備えた加飾部材であって、
前記賦形層は、凹凸構造が形成された賦形面を有し、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記加飾積層体の平面視において前記単位光学要素の少なくとも40%を含む領域で前記加飾部材の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とした場合、前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす。
【0046】
第1の開示の加飾部材において、
前記全体全光線反射率(RSCI(E))、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、前記全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する前記全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たしてよい。
【0047】
第1の開示の加飾部材は、前記加飾積層体よりも前記加飾部材の表側面の側に配置された成形部を更に備えてよく、
前記成形部は、可視光の透過率を調整してよい。
【0048】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層よりも前記加飾部材の表側面の側に配置され且つ可視光の透過率を調整する透過率調整層を更に含んでよい。
【0049】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含んでよく、
前記輝度調整層は、反射層であってよい。
【0050】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含んでよく、
前記輝度調整層は、前記賦形層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層であってよい。
【0051】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、
前記賦形層の賦形面を覆い、前記賦形層に対面する面とは反対側の面が前記賦形面の凹凸構造に対応した凹凸を有する輝度調整層と、
前記輝度調整層の前記凹凸を充填する充填層と、
を更に含んでよく、
前記輝度調整層は、前記充填層の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層であってよい。
【0052】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含んでよく、
前記輝度調整層は、高屈折率材料を含んでよい。
【0053】
第1の開示の加飾部材において、
前記高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなってよい。
【0054】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含んでよく、
前記輝度調整層は、顔料及び/又は染料を含んでよい。
【0055】
第1の開示の加飾部材において、
前記賦形層は、顔料及び/又は染料を含んでもよい。
【0056】
第1の開示の加飾部材において、
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料であってよい。
【0057】
第1の開示の加飾部材において、
前記顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなってよい。
【0058】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層を更に含んでよく、
前記輝度調整層の前記賦形層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に対応した凹凸を有してもよい。
【0059】
第1の開示の加飾部材において、
前記輝度調整層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下であってよい。
【0060】
第1の開示の加飾部材において、
前記加飾積層体は、
前記賦形層の賦形面を覆う輝度調整層と、
前記輝度調整層及び前記賦形層よりも前記加飾積層体の他方の面の側に配置された追加の輝度調整層と、
を更に含んでよい。
【0061】
第1の開示の移動体は、上述した加飾部材を備える。
【0062】
第1の開示によれば、加飾積層体又は加飾部材の意匠性を向上できる。
【0063】
<第2の開示>
第2の開示は、加飾積層体の成形性を改善することを目的とする。
【0064】
第2の開示による加飾積層体は、
凹凸構造を有する第1層と、
前記凹凸構造の凹凸面を覆う第2層と、
を備え、
前記凹凸構造は、複数の凸部と、前記複数の凸部の間に形成される凹部と、を有し、
前記凹部の深さが10μm以下であり、
前記凸部の頂部の高さ位置における前記凹部の幅が20μm以下であり、
前記第2層は、複数の粒子を含み、
前記粒子の平均粒径が300nm以下である。
【0065】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹部の深さが5μm以下であってよく、
前記粒子の平均粒径が100nm以下であってよい。
【0066】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹部の半分の深さでの前記凹部の幅を前記粒子の平均粒径で除した値が15以上であってよい。
【0067】
第2の開示による加飾積層体において、
前記第2層は、バインダー樹脂を更に含んでもよい。
【0068】
第2の開示による加飾積層体において、
前記第2層の前記第1層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に対応した凹凸を有してもよい。
【0069】
第2の開示による加飾積層体において、
前記第2層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下であってよい。
【0070】
第2の開示による加飾積層体において、
前記第2層は、輝度調整層であってよく、
前記加飾積層体は、追加の輝度調整層を更に備えてもよい。
【0071】
第2の開示による加飾積層体において、
凹凸構造を有する層を備え、
前記凹凸構造は、複数の凸部と、前記複数の凸部の間に形成される複数の凹部と、を有し、
前記凸部の高さが10μm以下であり、
各凸部は、前記凹部の底部の高さ位置における当該凸部の幅である基部幅を有し、
前記複数の凸部のうち、前記基部幅が最も小さい凸部の前記基部幅が20μm以下であり、
前記層は、複数の粒子を含み、
前記粒子の平均粒径が300nm以下である。
【0072】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凸部の高さが5μm以下であってよく、
前記粒子の平均粒径が100nm以下であってよい。
【0073】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凸部の半分の高さでの前記凸部の幅を前記粒子の平均粒径で除した値が15以上であってよい。
【0074】
第2の開示による加飾積層体において、
前記層は、バインダー樹脂を更に含んでよい。
【0075】
第2の開示による加飾積層体において、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記凹凸構造の凹凸面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きくてよい。
【0076】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹凸構造は、レンズ構造をなしてよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、
前記接続面はライズ面であってよい。
【0077】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹凸構造は、前記加飾積層体の平面視において平行直線群又は平行曲線群を形成してよい。
【0078】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹凸構造は、エンボス型ホログラムを構成してよい。
【0079】
第2の開示による加飾積層体において、
前記粒子は、高屈折率材料からなってよい。
【0080】
第2の開示による加飾積層体において、
前記高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなってよい。
【0081】
第2の開示による加飾積層体において、
前記粒子は、顔料及び/又は染料からなってよい。
【0082】
第2の開示による加飾積層体において、
前記顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料であってよい。
【0083】
第2の開示による加飾積層体において、
前記粒子は、カーボンブラック、無機顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなってよい。
【0084】
第2の開示による転写シートは、
基材と、
上述した加飾積層体と、
を備える。
【0085】
第2の開示による加飾部材は、
加飾積層体と、
前記加飾積層体の一方の面に対向する成形部と、
を備える加飾部材。
【0086】
第2の開示による移動体は、上述した加飾積層体を備える。
【0087】
第2の開示による加飾積層体は、
凹凸構造を有する賦形層と、
前記凹凸構造の凹凸面を覆う輝度調整層と、
を備え、
前記凹凸構造は、複数の凸部と、前記複数の凸部の間に形成される凹部と、を有し、
前記輝度調整層の厚みが、前記凹部の深さよりも小さく、
前記輝度調整層の厚みは不均一である。
【0088】
第2の開示による加飾積層体において、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有してよく、
前記単位光学要素において前記凹凸構造の凹凸面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含んでよく、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きくてよく、
ある一つの傾倒面上の前記輝度調整層が第1の厚みを有してよく、
他の一つの傾倒面上の前記輝度調整層が第2の厚みを有してよく、
前記第1の厚みと前記第2の厚みとが異なってよい。
【0089】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹凸構造は、レンズ構造をなしてよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、
前記接続面はライズ面であってよい。
【0090】
第2の開示による加飾積層体において、
前記第1の厚みと前記第2の厚みとの差の絶対値が、100nm以上であってよい。
【0091】
第2の開示による加飾積層体において、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折及び/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有してよく、
前記単位光学要素において前記凹凸構造の凹凸面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
ある一つの傾倒面上の前記輝度調整層の厚みが不均一であってよい。
【0092】
第2の開示による加飾積層体において、
前記凹凸構造は、レンズ構造をなしてよく、
前記傾倒面はレンズ面であってよく、
前記接続面はライズ面であってよい。
【0093】
第2の開示による加飾積層体において、
前記ある一つの傾倒面上の前記輝度調整層の厚みの最大値と最小値との差の絶対値が、100nm以上であってよい。
【0094】
第2の開示による加飾積層体において、
前記輝度調整層の前記賦形層に対面する面とは反対側の面が、前記凹凸構造に対応した凹凸を有してよい。
【0095】
第2の開示による加飾積層体において、
前記輝度調整層の厚みの平均が、前記凹凸構造の高さの50%以下であってよい。
【0096】
第2の開示による加飾積層体は、追加の輝度調整層を更に備えてよい。
【0097】
第2の開示による転写シートは、
基材と、
上述した加飾積層体と、
を備える。
【0098】
第2の開示による加飾部材は、
加飾積層体と、
前記加飾積層体の一方の面に対向する成形部と、
を備える。
【0099】
第2の開示による移動体は、上述した加飾積層体を備える。
【0100】
第2の開示によれば、加飾積層体の成形性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、第1及び第2の実施形態を説明する図であって、加飾部材を含む移動体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図であって、
図1の加飾部材をセンサとともに示している。
【
図3】
図3は、第1及び第2の実施形態による加飾部材の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1及び第2の実施形態による加飾積層体を示す部分拡大平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す断面のうち二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す加飾積層体の反射層を拡大して示す平面図である。
【
図8】
図8は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の作用を説明するための図である。
【
図13A】
図13Aは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図13B】
図13Bは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図13C】
図13Cは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図13D】
図13Dは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図13E】
図13Eは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図13F】
図13Fは、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの製造方法の一例を説明する図である。
【
図14】
図14は、第1及び第2の実施形態による加飾積層体及び転写シートの変形例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の他の変形例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の変形例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の他の変形例を示す断面図である。
【
図21】
図21は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図23】
図23は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図25】
図25は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図29】
図29は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図30】
図30は、
図3に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図32】
図32は、
図2に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾部材及び加飾積層体の形状の変形例を示す図である。
【
図33】
図33は、
図5に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す図である。
【
図35】
図35は、
図5に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す図である。
【
図37】
図37は、
図5に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す図である。
【
図38】
図38は、
図5に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す図である。
【
図40】
図40は、輝度調整層の厚みの違いによる反射率の違いを説明するための図である。
【
図41】
図41は、賦形層の形状の変形例を説明するための断面図である。
【
図42】
図42は、
図4に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図43】
図43は、
図42に示す加飾積層体の、F43-F43線に沿った断面を示す図である。
【
図44】
図44は、
図42に示す加飾積層体の、F44-F44線に沿った断面を示す図である。
【
図45】
図45は、
図4に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図46】
図46は、
図4に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図47】
図47は、
図4に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【
図48】
図48は、
図4に対応する図であって、第1及び第2の実施形態による加飾積層体の更に他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
<<<第1の実施形態>>>
以下、図面を参照して本開示の第1の実施形態について説明する。
【0103】
なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0104】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0105】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する方向が、共通する符号を付した矢印により示されている。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印は、例えば
図2に示すように、円の中に×を設けた記号により示されている。更に、図面の紙面に垂直な方向に沿って手前に向かう矢印は、例えば
図4に示すように、円の中に点を設けた記号により示されている。
【0106】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られず、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0107】
本明細書において、「フィルム」、「シート」及び「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「転写シート」は、転写フィルムと呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0108】
図1乃至
図13Fは第1の実施形態を説明する図である。このうち
図1及び
図2は、加飾積層体10を備えた加飾部材3の適用例を示す図である。加飾積層体10は、シート状に形成され、加飾シートとも呼ばれる。加飾積層体10は、意匠を表示し、加飾積層体10が適用された物品(
図1に示す例では加飾部材3)等に意匠性を付与する。
【0109】
以下に説明する第1の実施形態による加飾部材3及び/又は加飾積層体10は、立体感を表現して意匠性を向上させる工夫がなされている。より具体的には、加飾部材3及び/又は加飾積層体10は、加飾積層体10の厚み以上の立体感を表現することによって、意匠性を向上できる。
【0110】
なお、
図1乃至
図3に示された例において、加飾部材3は、移動体1に用いられている。図示された例において、加飾部材3は、移動体1のフロントパネル2に設置されている。フロントパネル2は、エンジン車においてフロントグリルとして形成されている。一方、電気自動車においては、ラジエータ等の空冷されるべき熱交換器が設置されないこともある。したがって、フロントパネル2は、多数の孔が形成されたグリルとして、形成されなくてもよい。
【0111】
以下、図面に示された具体的な適用例を参照しながら、一実施の形態を説明していく。
図1に示された移動体1は自動車である。ただし、加飾部材3が適用される移動体1は自動車に限られない。加飾部材3は、移動可能な装置としてのその他の移動体1にも適用可能である。自動車以外の移動体1として、鉄道車両、台車、船、飛行機、ヘリコプター、ドローン、ロボットが例示される。また、加飾部材3及び加飾積層体10は、移動体の内装体に用いられてもよい。また、加飾部材3及び加飾積層体10は、例えば、内装材、外装材、天井材、床材等の建材や、家電のケース、通信機器筐体、化粧品容器等にも適用可能である。
【0112】
<<加飾部材>>
まず、
図2を参照して加飾部材3の全体構成について説明する。
図2に示すように、加飾部材3は、表側面3aと、表側面3aに対向する裏側面3bと、を有している。表側面3a及び裏側面3bは、それぞれ、後述する成形部65の表側面66及び裏側面67に沿って拡がっている。図示された例では、表側面3a及び裏側面3bは、それぞれ、X方向Dx及びX方向Dxに直交するY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面3a及び裏側面3bは、X方向Dx及びY方向Dyの両方向に直交するZ方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、
図32に示すように、表側面3a及び/又は裏側面3bは、曲面状でもよい。
【0113】
図2に示す例では、加飾部材3は、加飾積層体10と成形部65とを有している。
図2に示す例では、成形部65と加飾積層体10とは、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向(Z方向Dz)に、この順で積層されている。
図2に示す例では、加飾部材3は、センサ5に対面して配置されている。
図2に示す例では、成形部65がセンサ5に対面し、加飾積層体10が観察者6に対面する。
【0114】
加飾積層体10は、表側面11と裏側面12とを有している。
図2に示す例では、表側面11は、加飾部材3の表側面3aを形成する。裏側面12は、加飾部材3の裏側面3b側(成形部65側)を向く。表側面11及び裏側面12は、後述する成形部65の表側面66に沿って拡がっている。図示された例では、表側面11及び裏側面12は、それぞれ、X方向Dx及びY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面11及び裏側面12は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、
図32に示すように、表側面11及び/又は裏側面12は、曲面状でもよい。
【0115】
成形部65は、表側面66と裏側面67とを有している。裏側面67は、加飾部材3の裏側面3bを形成する。表側面66は、加飾部材3の表側面3a側(加飾積層体10側)を向く。図示された例では、表側面66及び裏側面67は、それぞれ、X方向Dx及びY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面66及び裏側面67は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、
図32に示すように、表側面66及び/又は裏側面67は、曲面状でもよい。
【0116】
成形部65は、樹脂材料やガラス等、種々の材料により形成されてよい。成形部65をなす樹脂材料は特に限定されない。成形部65をなす樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA)が例示される。
【0117】
成形部65は、着色されていてもよい。この場合、加飾部材3に所望の色を付与することができる。成形部65は、透明でもよく、不透明でもよい。成形部65が不透明である場合、成形部65によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図2に示す例では、成形部65が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。
【0118】
なお、本明細書で用いる「透明」とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。
【0119】
ところで、
図2に示すように、加飾部材3は、可視光よりも長波長の電磁波を用いたセンサ5に対面して配置され得る。センサ5は、一例として、移動体1の周囲の状況を監視してもよい。センサ5の検出結果は、移動体1の制御装置4に送信され得る。制御装置4は、センサ5の検出結果に基づき、警報を発してもよく、又は移動体1の移動を制御してもよい。例えば、センサ5は、移動体1の前方の障害物等を検出してもよい。このセンサ5は、電磁波を発信可能かつ電磁波を受信可能であってもよい。センサ5が、障害物等で反射した反射波を受信することによって、障害物の有無や障害物までの距離を検出できる。センサ5は、ミリ波レーダ装置としてもよい。ミリ波レーダ装置は、波長が1mm以上10mm以下のミリ波を電磁波として用いてもよい。あるいは、センサ5は、ライダー装置としてもよい。ライダー装置は、赤外線を電磁波として用いてもよい。
【0120】
センサ5は、加飾部材3の裏側面3bに対面している。
図2に示す例では、センサ5で用いられる電磁波は、Z方向Dzに沿って、加飾部材3を透過する。
図2に示す例において、表側面3a及び裏側面3bは、電磁波の出射面及び入射面となる。表側面3a及び裏側面3bは、少なくともZ方向Dzにセンサ5と対面する領域において、平坦面となっていることが好ましい。表側面3a及び裏側面3bを平坦面とすることによって、電磁波の拡散によるセンサ5の感度低下を抑制できる。
【0121】
<<加飾積層体>>
次に、加飾積層体10について、より詳細に説明する。
図3及び
図5に示すように、加飾積層体10は、賦形層20、輝度調整層30及び透過率調整層40を備えている。
図5に示すように、賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆っている。
図4に示すように、加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。各単位光学要素13は、表側面3aに入射した光を、賦形面20aの凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。これにより、加飾積層体10の厚み以上の立体感を表現できる。この結果、加飾積層体10の意匠性が向上する。図示された例では、加飾積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。これにより、複数の単位光学要素13の組み合わせによる複雑な意匠を、加飾積層体10に付与できる。
【0122】
加飾積層体10は他の層を備えていてもよい。例えば、
図3及び
図5に示す例では、加飾積層体10は充填層50及び機能層55を備えている。この例では、充填層50、輝度調整層30、賦形層20、透過率調整層40及び機能層55が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。この例では、機能層55が加飾積層体10の表側面11を形成し、充填層50が加飾積層体10の裏側面12を形成している。透過率調整層40は、加飾積層体10の表側面11と賦形層20との間に配置されている。賦形層20は、透過率調整層40と輝度調整層30との間に配置されている。輝度調整層30は、加飾積層体10の裏側面12と賦形層20との間に配置されている。もちろん、透過率調整層40が加飾積層体10の表側面11を形成してもよい。また、輝度調整層30が加飾積層体10の裏側面12を形成してもよい。
【0123】
<賦形層>
まず、賦形層20について説明する。
図4に示す例では、賦形層20は、少なくとも1つの単位賦形要素23を有している。図示された例では、賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。1つの単位賦形要素23が1つの単位光学要素13に対応する。賦形面20aにおいて、各単位賦形要素23には、凹凸構造25が形成されている。凹凸構造25は、賦形層20を後述する賦形型100を用いて賦形することで、形成され得る。
【0124】
賦形面20aが凹凸構造25を有することにより、単位光学要素13に入射した光に、凹凸構造25に応じた光学作用(反射、屈折及び/又は回折)がもたらされる。図示された例では、凹凸構造25は、加飾積層体10の表側面11に入射した平行光を集束及び/又は発散させるように、決定される。賦形層20が凹凸構造25を有する単位賦形要素23を含むことにより、加飾積層体10は、その厚み以上の豊かな立体感を表現できる。また、賦形層20が複数の単位賦形要素23を含むことにより、加飾積層体10に複数の単位光学要素13を形成できる。図示された例では、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、単位光学要素13に入射した光に凸レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されている。凸レンズと同様の光学作用に対応する光学作用とは、例えば凸面鏡と同様の光学作用を意味する。これにより、単位光学要素13は、凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。この結果、加飾積層体10は、加飾積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現することができ、立体感を表現することができる。そして、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。もちろん、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、加飾積層体10の表側面11に入射した光に凹レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されていてもよい。この場合も、加飾積層体10は、加飾積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現することができ、立体感を表現することができる。この結果、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0125】
加飾積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法(したがって、各単位光学要素13の寸法)は、特に限定されず、加飾積層体10が表現する意匠に応じて適宜設定可能である。ただし、単位光学要素13による視覚効果を有効にする観点から、各単位賦形要素23は、各々を肉眼で識別可能な程度の大きさを有していることが好ましい。具体的には、単位賦形要素23の最も短い長さを、1.0mm以上としてもよく、10mm以上としてもよく、20mm以上としてもよい。また、複数の単位賦形要素23の配列によって所望のパターンを形成し、当該パターンによる意匠表現を可能にするためには、各単位賦形要素23は大き過ぎないほうがよい。各単位賦形要素23が大き過ぎると、賦形層20における複数の単位賦形要素23の配置の自由度が低下して、複数の単位賦形要素23を所望のように配列することができないことがあるからである。具体的には、単位賦形要素23の最も長い長さを、200mm以下としてもよく、100mm以下としてもよい。加飾積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法は、1.0mm以上200mm以下であってよい。
【0126】
図4に示された例において、複数の単位賦形要素23(複数の単位光学要素13)は、平面視において同一形状を有している。複数の単位賦形要素23は、平面視において四角形状である。また、複数の単位賦形要素23は、規則的に配列されている。また、複数の単位賦形要素23は正方配列されている。ただし、この例に限られない。複数の単位賦形要素23は、互いに異なる形状を有していてもよい。各単位賦形要素23は、四角形状以外の形状を有していてもよい。例えば、各単位賦形要素23は、三角形状、五角形状、六角形状又は八角形状等の多角形状であってもよい。また、複数の単位賦形要素23は、多角形状以外の形状を有していてもよい。すなわち、単位賦形要素23は、曲線部や円弧状に延びる部分を含んでいてもよい。単位賦形要素23は、例えば、円形状、半円形状、楕円形状、扇形、三日月形、ハート形、文字の形状等、任意の形状であってよい。複数の単位賦形要素23は、不規則的な配列で配置されていてもよい。更に、図示はしないが、各単位賦形要素23は、上述した形状が互いに重なり合った形状であってもよい。
【0127】
図4及び
図5に示す例では、賦形面20aは、加飾積層体10の法線方向Dnに対して傾倒する複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含んでいる。各単位光学要素13に含まれる傾倒面26Aの数は、10以上でもよく、50以上でもよく、100以上でもよく、200以上でもよい。
【0128】
図4及び
図5に示す例では、複数の傾倒面26Aは、連続した凸レンズ面をその厚み方向に垂直な面に沿って分割した複数のレンズ面に対応する。接続面26Bは、隣り合うレンズ面を接続するライズ面に対応する。このような凹凸構造25によれば、単位光学要素13を凸レンズとして機能させることによる加飾積層体10の厚みの増大を、効果的に抑制できる。例えば、図示された例のように、加飾部材3が車両のフロントグリルに用いられる場合、加飾部材3は軽量化の観点から薄肉化が要望されることがある。また、加飾部材3がセンサ5に対面して配置される場合、加飾積層体10はセンサ5から発せられる電磁波が加飾部材3を高透過率で透過することが求められる。この場合、加飾積層体10の厚みを小さくすることが好ましい。
【0129】
図5に示す例では、各単位光学要素13の賦形面20aの凹凸構造25は、フレネルレンズ構造である。この場合、複数の傾倒面26Aは、球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズのレンズ面を、当該曲面レンズの厚み方向(光軸方向)に垂直な面に沿って複数に分割することにより得られる複数のレンズ面に対応する。
【0130】
図4において実線で示す例では、凹凸構造25はサーキュラーフレネルレンズ構造である。この場合、複数の傾倒面26Aは同心円状に配置されているが、これに限られない。例えば、
図4に一点鎖線で示すように、複数の傾倒面26Aの輪郭が楕円形であってもよい。また、複数の単位賦形要素23の間で、当該楕円形の長軸が延びる方向(以下、単に長軸方向と記す)が異なっていてもよい。例えば、ある一つの単位賦形要素23における長軸方向が、他の一つの単位賦形要素23における長軸方向と、非平行であってもよいし、垂直であってもよい。
【0131】
また、
図4に二点鎖線で示すように、凹凸構造25は、リニアフレネルレンズ構造であってもよい。この場合、複数の単位賦形要素23の間で、傾倒面26A及び接続面26Bの配列方向が異なっていてもよい。例えば、ある一つのリニアフレネルレンズ構造の傾倒面26A及び接続面26Bの配列方向が、他の一つのリニアフレネルレンズ構造の傾倒面26A及び接続面26Bの配列方向と、非平行であってもよいし、垂直であってもよい。
【0132】
図4に示す例では、複数の傾倒面26Aは、基準線Lを取り囲むように延びる。このため、
図5に示すように、複数の傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線Lの両側に複数の傾倒面26Aが存在する。図示された例では、基準線Lは、上記曲面レンズの光軸に一致する。また、図示された例では、加飾積層体10の平面視において、基準線Lは、単位光学要素13の幾何中心を通る。
【0133】
単位光学要素13が球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。
図5に示す例では、上記断面において、傾倒面26Aは、基準線Lの一側(例えば
図5の左側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1に傾倒し、基準線Lの他側(例えば
図5の右側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1とは反対の第2方向D2に傾倒する。
【0134】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、
図5及び
図6に示すように、上記断面において、傾倒面26Aの、基準線Lの一側(例えば
図5の左側)におけるピッチW26の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の傾倒面26Aの、基準線Lの一側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。更に、
図5に示すように、上記断面において、基準線Lの他側(例えば
図5の右側)にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、基準線Lの他側におけるピッチW26の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の傾倒面26Aの、基準線Lの他側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。
図5及び
図6に示す例では、ピッチW26は、それぞれ、基準線Lから離れるにつれて小さくなる。
【0135】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、上記断面において、傾倒面26Aの、基準線Lの一側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。更に、
図5に示すように、上記断面において、基準線Lの他側にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、基準線Lの他側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。
図5及び
図6に示す例では、傾倒面角θAは、基準線Lの一側及び他側のそれぞれにおいて、基準線Lから離れるにつれて小さくなる。
【0136】
なお、本明細書において「傾倒面角θA」とは、加飾積層体10の法線方向Dnに対する傾倒面26Aの角度である。図示された例では、傾倒面26Bは、基準線Lに沿って第Z方向Dzに延びている。
【0137】
凹凸構造25は、加飾積層体10に求められる機能又は加飾積層体10が表現する意匠に応じて、適宜設計可能である。図示された例のように、加飾部材3がセンサ5に対面して配置される場合、加飾積層体10はセンサ5から発せられる電磁波が加飾部材3を高透過率で透過することが求められる。この場合、加飾積層体10の厚みを小さくすることが好ましい。また、加飾積層体10が表現する意匠は、加飾積層体10の用途により異なり得る。例えば、加飾積層体10を移動体1の外装材に用いる場合、加飾積層体10の表側面11に虹光が発生するのを防止することが好ましい。その一方で、加飾積層体10は、その表側面11に虹光が発生するように設計されることが好ましい場合もある。
【0138】
加飾積層体10の厚み以上の立体感を表現しつつ、加飾積層体10の厚みを小さくする場合、凹凸構造25の高さH25は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることが更に好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。また、凹凸構造25の高さH25は、50μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、0.5μm以上50μm以下であってよい。凹凸構造25の高さH25が1μm以上であることにより、光学作用によって表示される意匠の視認性を更に向上できる。なお、本明細書中、「凹凸構造の高さH25」とは、当該凹凸構造を形成する傾倒面26A又は接続面26Bの高さ(Z方向Dzの寸法)H26(
図6参照)の最大値を意味する。
【0139】
加飾積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、凹凸構造25の高さH25は1.0μmより大きいことが好ましい。
【0140】
加飾積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、傾倒面26AのピッチW26(
図6参照)は、5μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。また、単位光学要素13の小サイズ化を実現する観点から、傾倒面26AのピッチW26は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。したがって、傾倒面26AのピッチW26は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0141】
一方、加飾積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましい。この場合、凹凸構造25の高さH25は、10.0μm以下であることが好ましく、6.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
【0142】
加飾積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、傾倒面26AのピッチW26は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることが好ましい。傾倒面26AのピッチW26は、10μm未満であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。したがって、加飾積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、傾倒面26AのピッチW26は、0.5μm以上10μm未満であることが好ましい。
【0143】
凹凸構造25を精度良く形成する観点から、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、凹凸構造25のピッチW26は、0.5μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることが更に好ましく、8μm以上であることが特に好ましい。
【0144】
なお、
図6に示すように、ピッチW26は、単位光学要素13の光軸(すなわち、基準線L)からの距離によって異なってよい。具体的には、ピッチW26は、基準線Lから離れるにつれて小さくなってよい。
【0145】
図9に示すように、各単位光学要素13は、中央領域13aと外側領域13bとを含む。中央領域13aは、単位光学要素13の基準線Lが通る領域である。外側領域13bは、傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って中央領域13aと単位光学要素13の縁部13cとの間に位置する領域である。上述したように、加飾積層体10の平面視において、基準線Lは、単位光学要素13の幾何中心を通る。したがって、加飾積層体10の平面視において、中央領域13aは、単位光学要素13の幾何中心を含む領域である。
【0146】
凹凸構造25がサーキュラーフレネルレンズ構造として構成されている場合、
図9に示すように、外側領域13bは、中央領域13aを周状に囲む。フレネルレンズ構造25がリニアフレネルレンズ構造として構成されている場合、単位光学要素13の中央領域13aは、単位光学要素13内を、加飾積層体10の平面視において傾倒面26A及び接続面Bが延びる方向に沿って、縁部13cまで延びている。また、フレネルレンズ構造25がリニアフレネルレンズ構造として構成されている場合、単位光学要素13の外側領域13bは、複数の傾倒面26A及び複数の接続面26Bの配列方向において、中央領域13aと当該単位光学要素13の縁部13cとの間に位置する。
【0147】
フレネルレンズ構造25のピッチW26が中央領域13aと外側領域13bとで異なる場合、一般に、中央領域13aにおけるピッチW26は、外側領域13bにおけるピッチW26よりも大きい。この場合、中央領域13aにおけるピッチW26は、例えば20.0μm以上100.0μm以下であり、外側領域13bにおけるピッチW26は、例えば5.0μm以上20.0μm以下である。
【0148】
なお、傾倒面角θAや、高さH25、ピッチW26は、次のようにして観察及び測定される。すなわち、まず、加飾積層体10又は加飾部材3を、加飾積層体10を構成する層の積層方向に沿って切断する。次に、得られた加飾積層体10の断面を、デジタルマイクロスコープ(製品名:VHX-8000シリーズ,株式会社キーエンス製)を使用して観察し、傾倒面角θAや、高さH25、ピッチW26を測定する。
【0149】
図示された例では、賦形層20を構成する材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)にウレタンアクリレートを混合したものが採用される。また、図示された例では、賦形層20を構成する材料は、シリコーンを含んでいる。このような賦形層20は、その液状の前駆材料を後述する基材72等の上に塗布した後、これを賦形型で賦形し紫外線照射して硬化させることにより、形成できる。賦形層20の前駆材料は、例えば、重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂と、(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーと、を含む紫外線硬化性樹脂であってよい。本明細書において、(メタ)アクリルという表現は、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味する。紫外線硬化性樹脂における重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂/(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーの質量比率は、35/65以上95/5以下であることが好ましく、70/30以上90/10以下であることが更に好ましい。このようにして形成された賦形層20は、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、加飾積層体10を成形部65の面に沿って湾曲又は延伸させる際に、賦形層20を所望のように湾曲又は延伸させることができる。言い換えると、賦形層20によって、加飾積層体10の湾曲又は延伸が妨げられる虞が少ない。
【0150】
賦形層20を構成する材料は、紫外線硬化性樹脂以外にも、熱可塑性樹脂(例えばアクリル、アクリロニトリル(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂)、電子線(EB)硬化性樹脂等を採用可能である。
【0151】
図示された例では、輝度調整層30を表側面11から視認できるよう、賦形層20は透明である。また、図示された例では、賦形層20に含まれる複数の単位賦形要素23の複数の凹凸構造25は、継ぎ目無しで一体的に成形される(
図5参照)。
【0152】
<輝度調整層>
次に、輝度調整層30について説明する。輝度調整層30は、加飾積層体10で反射される光の輝度を調整する層である。加飾積層体10で反射される光の輝度が調整されることで、高級感をともなった豊かな意匠を、更に効果的に加飾積層体10に付与できる。
【0153】
図示された例では、輝度調整層30は、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率を調整するために設けられている。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを被覆している。これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整され、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率が調整される。輝度調整層30の賦形層20に対面する面は、賦形面20aに対応する凹凸が形成されている。言い換えると、輝度調整層30には、賦形層20の凹凸構造25に対応する凹凸構造が形成されている。
【0154】
図示された例では、輝度調整層30は反射層である。
図3に示す例では、反射層30は、賦形層20の賦形面20aを被覆することにより、賦形面20aと反射層30との間に反射界面を形成する。反射層30によって、賦形面20aと反射層30との間の反射界面における可視光の反射率が向上し、これにより加飾積層体10で反射される光の輝度が調整される。この反射層30は、金属材料の蒸着や、スパッタリング、コーティング等により形成される金属反射層である。反射層30は、薄い膜状の層として形成される。反射層30の厚みは、傾倒面26Aや接続面26Bの高さH26よりも薄くてもよい。反射層30の厚みの平均は、凹凸構造25の高さH25の50%以下でもよく、凹凸構造25の高さH25の25%以下でもよく、凹凸構造25の高さH25の10%以下でもよい。このような厚みの反射層30は、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。本明細書中、「輝度調整層30の厚み」とは、輝度調整層30のZ方向Dz(加飾積層体10の法線方向Dn)の寸法を意味する。
【0155】
図5に示す例では、反射層30の凹凸は充填層50によって埋められている。しかしながら、反射層30は、賦形面20aの凹凸を埋めるように形成されてもよい。
【0156】
反射層30の材料としては、反射層30が形成する反射界面の反射率が向上する材料を用いることが好ましく、さらに電波透過性をもつ材料を用いることがより好ましい。この場合、反射層30を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、インジウム、錫、銀等の金属材料を用いることができる。反射層30を蒸着やスパッタリングによって形成する場合、反射層30は、上記金属材料のみによって形成されてよい。反射層30をコーティングによって形成する場合、上記金属材料のみで反射層30を形成してもよいし、必要に応じて上記金属材料とバインダー樹脂との混合物によって反射層30を形成してもよい。
【0157】
また、上述したように、センサ5で用いられる電磁波が、加飾積層体10を透過する。反射層30が、賦形面20aの全面に連続的に広がる層として形成されると、電磁波が遮断又は減衰される。そこで、
図7に示すように、反射層30は、複数の金属粒部31を含んでもよい。金属粒部31は、金属光沢を有し、可視光を反射可能となっている。反射層30は、いわゆる海島構造の島を形成している。島状の金属粒部31が、互いに離間している。複数の金属粒部31の間には、海島構造の海を形成するすき間が設けられている。センサ5で用いられる電磁波、例えばミリ波は、このすき間を通過することによって、反射層30を透過する。このような金属層は、例えばインジウム材料として、スパッタリングや真空蒸着等の蒸着により形成され得る。反射層30は、複数の単位賦形要素23にまたがって、継ぎ目無しで一体的に形成してもよい。
【0158】
反射層30の厚みは、反射層30が形成する反射界面の反射率を向上させることができる厚みであることが好ましい。反射層30の厚みは、例えば、0.005μm以上であってよい。また、反射層30の厚みは、20μm以下であってよい。したがって、反射層30の厚みは、0.005μm以上20μm以下であってよい。反射層30及び加飾積層体10に含まれるその他の層の厚みも、加飾積層体10の断面を、デジタルマイクロスコープ(製品名:VHX-8000シリーズ,株式会社キーエンス製)を使用して観察することによって測定できる。
【0159】
<透過率調整層>
次に、透過率調整層40について説明する。この透過率調整層40は、加飾積層体10における可視光の透過率を調整することにより、加飾積層体10の表側面11の側(したがって、
図2に示す例では加飾部材3の表側面3aの側)で測定した可視光の反射率を調整する役割を果たす。上記反射率を後述する所定の反射率に調整することにより、加飾積層体10の意匠性をより向上させることができる。より具体的には、上記反射率を後述する所定の反射率に調整することにより、加飾積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。更に、上記反射率を後述する所定の反射率に調整することにより、賦形層20と輝度調整層30との間の反射界面が当該反射界面の実際の位置よりも奥深くに位置しているように感じることができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性をより向上させることができる。
【0160】
透過率調整層40の全光線透過率は、加飾積層体10の表側面11の側で測定した可視光の反射率が後述する所定の反射率になるように、適宜設定される。したがって、透過率調整層40の全光線透過率は、100%未満であればよく、90%以下であってもよいし、50%以下であってもよいし、10%以下であってもよい。当然のことながら、透過率調整層40の全光線透過率は、0%より大きい。ここで、全光線透過率とは、透過率調整層40に入射する光の全入射光量に対する、透過率調整層40を通過した全透過光量の割合である。全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠した方法により、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM-150)を用いて測定することができる。なお、透過率調整層40の全光線透過率を部分的に変更してもよい。例えば、透過率調整層40の一部における全光線透過率が30%であり、他の一部における全光線透過率が10%であってもよい。
【0161】
透過率調整層40は、典型的には顔料を含んでいる。透過率調整層40は、顔料に代えて染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40は加飾積層体10に入射した光の一部を吸収し、これにより、加飾積層体10の可視光の反射率が調整される。また、透過率調整層40により、加飾積層体10に所望の色彩を付与できる。透過率調整層40を構成する材料としては、樹脂に顔料や染料を混合したものを採用可能である。透過率調整層40は、更に、紫外線吸収剤や光安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0162】
透過率調整層40に含まれる樹脂は、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の樹脂組成物を含んでいてよい。
【0163】
透過率調整層40に含まれる樹脂は、例えば、非紫外線硬化系のアクリル樹脂でもよい。
アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリレート化合物の重合体である。重合体は、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体でもよく、共重合体でもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ならびにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリレート化合物という表現は、「アクリレート化合物」及び「メタクリレート化合物」の一方又は両方を意味する。
【0164】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐熱性及び耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、25000以上でもよく、50000以上でもよい。アクリル樹脂のMwは、層間密着性の観点から、例えば、100000以下でもよく、80000以下でもよい。本明細書において、Mwは、ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS K 7252-3:2016に準拠した方法で測定する。
【0165】
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性及び耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、70℃以上でもよく、85℃以上でもよい。アクリル樹脂のTgは、層間密着性の観点から、例えば、110℃以下でもよく、100℃以下でもよい。したがって、アクリル樹脂のTgは、70℃以上110℃以下であってよい。本明細書において、Tgは、JIS K 7121:2012に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られるガラス転移温度である。
【0166】
透過率調整層40に含まれる樹脂は、アクリル系熱硬化性樹脂の硬化物でもよい。該硬化物は、例えば、アクリル系熱硬化性樹脂と硬化剤とから形成される。アクリル系熱硬化性樹脂としては、例えば、一分子中に水酸基を2つ以上有するアクリルポリオールが挙げられる。アクリルポリオールとしては、例えば、原料モノマーとしてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーを少なくとも用いた、(メタ)アクリレート化合物の重合体が挙げられる。硬化剤としては、例えば、イソシアネート化合物が挙げられる。
【0167】
透過率調整層40が黒色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には黒色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、黒色顔料に代えて黒色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックやチタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、複合金属酸化物、ペリレン有機ブラック、セラミックブラック、ボーンブラックを採用可能である。黒色染料としては、また、透過率調整層40が含む黒色染料としては、例えば、アゾ系ブラック染料、ニグロシンブラック染料を例示できる。
【0168】
透過率調整層40が青色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には青色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、青色顔料に代えて青色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む青色顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、コバルトブルー、コバルト系顔料、複合金属酸化物、フタロシアニン系顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含む青色染料としては、例えば、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0169】
透過率調整層40が赤色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には赤色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、赤色顔料に代えて赤色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む赤色顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、チタン系複合金属酸化物、酸化鉄顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含む赤色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ペリノン系染料を採用可能である。
【0170】
透過率調整層40が黄色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には黄色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、黄色顔料に代えて黄色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む黄色顔料としては、例えば、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、複合金属酸化物、酸化鉄顔料、チタンイエロー、縮合アゾ系顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含む黄色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、メチン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロン系染料を採用可能である。
【0171】
透過率調整層40が緑色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には緑色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、緑色顔料に代えて緑色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む緑色顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、コバルトブルー、コバルト系顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含む緑色染料としては、例えば、トリフェニルメタン系塩基性染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0172】
透過率調整層40が紫色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的には紫色顔料を含んでいる。透過率調整層40は、紫色顔料に代えて紫色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含む紫色顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含む紫色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料を採用可能である。
【0173】
透過率調整層40が紅紫色に着色されている場合、透過率調整層40は典型的にはマゼンタ顔料を含んでいる。透過率調整層40は、マゼンタ顔料に代えてマゼンタ染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。透過率調整層40が含むマゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料を採用可能である。また、透過率調整層40が含むマゼンタ染料としては、例えば、唐紅、アントラキノン系染料を採用可能である。
【0174】
また、透過率調整層40は、上述した顔料や染料だけでなく調色顔料や調色染料を含んでもよい。例えば透過率調整層40を黒色に着色する場合であって、黒色顔料や黒色染料が赤みがかっている場合、透過率調整層40は調色顔料又は調色染料として上述した青色顔料や青色染料を更に含んでもよい。この場合の調色顔料としては、例えば、青色顔料の他、上述した赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、マゼンタ顔料、紫色顔料など、種々の着色顔料を採用可能である。また、この場合の調色染料としては、青色染料の他、上述した赤色染料、緑色染料、マゼンタ染料、黄色染料、紫色染料など、種々の染料を採用可能である。
【0175】
あるいは、透過率調整層40は、黒色顔料及び黒色染料以外の上述した各色の顔料、染料を含んで黒色となっていてもよい。
【0176】
このような透過率調整層40は、その液状の前駆材料を硬化させることにより、作製される。透過率調整層40の前駆材料は、上述した透過率調整層40に含まれる樹脂と顔料又は染料とを含む。
【0177】
透過率調整層40に含まれる顔料や染料は、平均粒径が300nm以下であることが好ましい。本明細書において、透過率調整層40に含まれる顔料や染料の平均粒径は、後述する粒子Pの平均粒径と同じ方法で求められる。
【0178】
透過率調整層40は、例えば、印刷インキをベタ印刷することにより形成されてもよい。あるいは、
図4及び
図5に示すように、透過率調整層40は、可視光の透過率を調整する複数の単位調整要素41を有するように構成されていてもよい。
図4に示された例において、複数の単位調整要素41は、平面視において同一形状を有している。複数の単位調整要素41は、平面視において四角形状である。また、複数の単位調整要素41は、規則的に配列されている。
図4に示された例において、複数の単位調整要素41は正方配列されている。また、
図4に示された例において、各々の単位調整要素41は、平面視において、上述した単位賦形要素23と同一形状を有しており、各々の単位調整要素41が、それぞれ上述した単位賦形要素23に重なるように配列されている。ただし、この例に限られない。複数の単位賦形要素23は、互いに異なる形状を有していてもよい。複数の単位調整要素41は、四角形状以外の多角形状を有していてもよい。複数の単位賦形要素23は、不規則的な配列で配置されていてもよい。また、各々の単位調整要素41は、平面視において、上述した単位賦形要素23と異なる形状を有していてもよい。更に、図示はしないが、各々の単位調整要素41が、互いに重なって配置されていてもよい。
【0179】
なお、加飾積層体10の平面視における各単位調整要素41の寸法は、特に限定されず、加飾積層体10が表現する意匠に応じて適宜設定可能である。ただし、単位調整要素41による視覚効果を有効にする観点から、各単位調整要素41は、各々を肉眼で識別可能な程度の大きさを有していることが好ましい。具体的には、単位調整要素41の最も短い長さを、1.0mm以上としてもよく、10mm以上としてもよく、20mm以上としてもよい。また、複数の単位調整要素41の配列によって所望のパターンを形成し、当該パターンによる意匠表現を可能にするためには、各単位調整要素41は大き過ぎないほうがよい。各単位調整要素41が大き過ぎると、透過率調整層40における複数の単位調整要素41の配置の自由度が低下して、複数の単位調整要素41を所望のように配列することができないことがあるからである。具体的には、単位調整要素41の最も長い長さを、200mm以下としてもよく、100mm以下としてもよい。加飾積層体10の平面視における各単位調整要素41の寸法は、1.0mm以上200mm以下であってよい。
【0180】
複数の単位調整要素41のうちの少なくとも一部における全光線透過率は、他の単位調整要素41における全光線透過率とは異なっていてもよい。これにより、観察者は、各々の単位調整要素41に重なる単位賦形要素23のZ方向Dzにおける位置を、互いに異なるように感知する。これにより、立体感によって意匠性を更に効果的に向上できる。
【0181】
また、透過率調整層40の厚みは、0.1μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0182】
<充填層>
充填層50は、輝度調整層30の凹凸を埋める平坦化層である。充填層50は、輝度調整層30の凹凸に対応する凹凸を有している。図示された例では、輝度調整層30の充填層50に対面する面は、賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有している。したがって、充填層50は、賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有している。
【0183】
充填層50は、透明又は不透明な樹脂層とすることができる。充填層50が不透明である場合、充填層50によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図2に示す例では、充填層50が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。充填層50が不透明である場合、充填層50は顔料又は染料を含んでよい。充填層50に含まれる顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒顔料や、酸化チタン等の白顔料、アルミ系顔料が好ましい。このような顔料が充填層50に含まれることにより、充填層50の隠蔽性が向上する。あるいは、充填層50は、アルミニウムやインジウム、錫などの金属を、加飾積層体10の他の層に蒸着させることにより、形成されてもよい。
【0184】
図3に示す例では、充填層50は接合層としても機能する。
図3に示す例では、接合層50は、加飾積層体10の他の層と成形部65とを接合(接着、粘着又は熱融着)させる。接合層50を形成する材料としては、熱可塑性樹脂や(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などを採用可能である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等を採用可能である。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0185】
<機能層>
機能層55は、種々の機能を期待されて設けられる層である。種々の機能としては、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等が例示される。図示された例では、機能層55は剥離層である。剥離層55は、後述する基材72からの加飾積層体10の剥離を容易にする剥離性を有する。剥離層55を形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を採用可能である。図示された例では、機能層55は加飾積層体10の表側面11を形成する。加飾積層体10の他の層は、機能層55を透過して観察される。したがって、機能層55は、透明となっている。
【0186】
以上の構成を有する加飾積層体10の厚みは、0.005mm以上としてもよく、0.025mm以上としてもよく、0.05mm以上としてもよく、0.1mm以上としてもよく、0.15mm以上としてもよい。また、加飾積層体10の厚みは、2mm以下としてもよく、1.0mm以下としてもよく、1mm以下としてもよく、0.75mm以下としてもよく、0.5mm以下としてもよい。したがって、加飾積層体10の厚みは、0.005mm以上2mm以下であってよい。
【0187】
また、各単位光学要素13の焦点距離は、0.5mm以上350mm以下であることが好ましく、2mm以上250mm以下であることがより好ましく、5mm以上150mm以下であることが更に好ましい。各単位光学要素13の焦点距離が0.5mm以上350mm以下であることにより、加飾積層体10の厚み以上の立体感を効果的に表現することができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性をより向上できる。
【0188】
複数の単位光学要素13のうちの一部の単位光学要素13の焦点距離は、他の単位光学要素13の焦点距離とは異なっていてもよい。これにより、観察者は、各々の単位光学要素13のZ方向Dzにおける位置を、互いに異なるように感知する。これにより、立体感によって意匠性を更に効果的に向上できる。
【0189】
<<加飾積層体の反射率>>
次に、加飾積層体10の反射率について説明する。本発明者らが得た知見によれば、加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を調節することにより、加飾積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。上述した例では、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面の位置が当該反射界面の実際の位置よりも奥深くに位置しているように感じることができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠を、更に効果的に加飾積層体10に付与できる。
【0190】
ここで、本実施の形態における加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して幾何条件cで測定される。本明細書における全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して、分光測色計を用いて、SCI方式及びSCE方式で測定した反射率Y値(三刺激値XYZのY)である。全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型番CM-700d)を用いて行う。測定する際、測定条件、観察条件、及び、測定径/照明径を以下のように設定する。また、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、平らな台の上に置いた加飾積層体10の表側面11に分光測色計を垂直に押し当てて行う。この分光測色計の測定波長範囲は400nm~700nmであり、測定波長間隔は10nmである。
<測定条件>
・モード(正反射光処理モード):I+E(SCI+SCE)
<観察条件>
・表色系:L*a*b*
・色差式:ΔE*ab
・視野角:10°視野
・主光源:D65
<測定径/照明径>
ターゲットマスクの交換及びレンズ位置切替えにより、Φ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれかに設定。
【0191】
測定径/照明径は、単位光学要素13の寸法に応じて選択する。ここで、照明径は、分光測色計の照射領域の直径であり、測定径は、分光測色計の測定領域Sの直径である(
図8参照)。
【0192】
また、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を測定する際の単位光学要素13に対する測定領域Sの位置は、単位光学要素13の寸法と分光測色計の測定径との関係に応じて、適宜設定する。
【0193】
図8に一点鎖線で示す例では、単位光学要素13の幾何中心に測定領域Sの中心を合わせた場合に、当該測定領域Sに当該単位光学要素13の少なくとも40%が収まるように測定径/照明径を選択し、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を設定する。測定径は、選択可能な測定径の中から最も小さい測定径を選択する。例えば、単位光学要素13の少なくとも40%が直径3mmの仮想円内に収まる場合には、測定径/照明径がΦ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれの場合であっても単位光学要素13の少なくとも40%が測定領域S内に収まるが、測定径/照明径をΦ3mm/Φ6mmに設定する。また、単位光学要素13の少なくとも40%が直径8mmの仮想円内に収まるが直径3mmの仮想円内に収まらない場合には、測定径/照明径をΦ8mm/Φ11mmに設定する。
【0194】
次に、
図8に一点鎖線又は二点鎖線で示すように、加飾積層体10の平面視において、分光測色計の測定領域Sの中心が上記単位光学要素13の幾何中心と一致するように、単位光学要素13に対する測定領域Sの位置を決定して、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する。このように、単位光学要素13の少なくとも40%を含む領域において測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、以下では、それぞれ、「全体全光線反射率(R
SCI(E))」及び「全体拡散光線反射率(R
SCE(E))」とも称する。
【0195】
なお、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び「全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定する場合、
図8に二点鎖線で示すように、測定径/照明径は、測定領域Sに1つの単位光学要素13が収まってもよい。
【0196】
また、加飾積層体10の平面視において、単位光学要素13の少なくとも40%が直径8mmの仮想円内に収まらない寸法である場合には、最も小さい測定径/照明径(すなわち、Φ3mm/Φ6mm)に設定する。この場合、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を、単位光学要素13の上記外側領域13b及び上記中央領域13aのそれぞれにおいて測定する。
【0197】
より具体的には、
図9に示すように、単位光学要素13に対する測定領域Sの位置を、加飾積層体10の平面視において、測定領域Sが外側領域13b内に配置されるように決定して、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する。このように、単位光学要素13の外側領域13bにおいて測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、以下では、それぞれ、「外側全光線反射率(R
SCI(O))」及び「外側拡散光線反射率(R
SCE(O))」とも称する。
【0198】
また、
図9に示すように、単位光学要素13に対する測定領域Sの位置を、加飾積層体10の平面視において、測定領域Sが中央領域13a内に配置されるように決定して、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する。このように、単位光学要素13の中央領域13aにおいて測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、以下では、それぞれ、「中央全光線反射率(R
SCI(C))」及び「中央拡散光線反射率(R
SCE(C))」とも称する。
【0199】
なお、単位光学要素13の上記外側領域13bにおいて全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する場合は、
図10に示すように、測定領域Sの外縁と当該測定領域Sに最も近い単位光学要素13の縁部13cとの距離Tが1mmになるように、単位光学要素13に対する測定領域Sの位置を決める。これにより、単位光学要素13の縁部13cの近傍に凹凸構造25の乱れが存在しても、当該凹凸構造25の乱れに起因する反射光の乱れが測定値に与える影響を低減させることができる。
【0200】
また、単位光学要素13の上記外側領域13bにおいて全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する場合は、
図9及び
図11に矢印で示すように、分光測色計から加飾積層体10に入射する光Qが、(傾倒面26A又は接続面26Bに入射するように、分光測色計を加飾積層体10に対して配置する。より具体的には、加飾積層体10に対する分光測色計の向きを次のように決定する。すなわち、分光測色計からの光が入射する領域における加飾積層体10の法線方向と、当該領域における傾倒面26A及び接続面26Bの配列方向と、によって規定される面内で、当該法線方向に対して分光測色計からの光Qの光軸が上記視野角と同じ角度で傾くように、加飾積層体10に対する分光測色計の向きを決定する。
【0201】
本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0202】
また、本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【0203】
あるいは、本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0204】
また、本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12、
RSCE(O)≦8.5、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【0205】
あるいは、本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0206】
また、本発明者らは、加飾積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たすように、加飾積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【0207】
なお、加飾積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、輝度調整層30に含まれる樹脂(V)に対する顔料(P)の重量比(P/V)を調整することにより、調整可能である。より具体的には、輝度調整層30が、無色透明な樹脂と顔料とから形成される場合、P/Vは0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましい。また、輝度調整層30の耐久性や他の層との密着性の観点から、P/Vは2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。したがって、P/Vは、0.2以上2以下であってよい。
【0208】
<<加飾積層体の作用>>
次に、加飾積層体10の作用について説明する。加飾積層体10は、意匠を表示し、加飾積層体10が適用された物品等に意匠性を付与する。ところで、加飾積層体10が立体感を表現できれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。加飾積層体10による立体感は、物理的な凹凸構造を形成することによって、表現できる。その一方で、加飾積層体10の用途等に依存して、加飾積層体10の厚みを十分に厚くすることができない場合がある。このような制約によって、意匠性を十分に改善できないこともある。例えば、車両のフロントグリルに用いられる加飾部材のように、多くの加飾部材は軽量化の観点から薄肉化が要望される。また、ミリ波等の電磁波の透過を予定された加飾部材の厚みは、ミリ波の波長に応じて設定され、制約を受ける。加えて、電磁波の透過率を改善する観点から、加飾積層体の厚みを低減することが好ましい。
【0209】
これに対して、第1の実施形態によれば、
図5に示すように、加飾積層体10が、上述した凹凸構造25を有する賦形層20を備え、単位光学要素13は、球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。
図12は、単位光学要素13の光学作用を説明するための図である。第1の実施形態では、賦形層20と輝度調整層30との間に形成される反射界面は、凸面鏡として機能するように構成されている。この場合、
図12に示すように、凸面鏡M1に映り込む範囲A1は、凸面鏡M1と同一位置に配置された鏡面反射面よりも広くなる。すなわち、凸面鏡M1に映り込む範囲A1は、Z方向Dzにおいて、観察者からより遠くに離間して配置された鏡面反射面M3に映り込む範囲A1と同一となる。結果として、上記反射界面への映り込みを観察した観察者は、凸面鏡M1として機能する上記反射界面が当該反射界面の実際の位置よりも奥深くに位置しているように感じる。すなわち、単位光学要素13は、単位光学要素13の実際の厚みよりも深い奥行き感のある意匠を表示できる。このようにして、単位光学要素13は、その厚みよりも奥行き感のある意匠を表示できる。したがって、単位光学要素13の厚みを薄くしながら、単位光学要素13の厚み以上の立体感を表現することができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性を向上できる。
【0210】
更に、第1の実施形態によれば、加飾積層体10の表側面11における反射率が、上述のように調整されている。これにより、上記反射界面への映り込みを観察した観察者は、凸面鏡M1として機能する賦形層20と輝度調整層30との間の反射界面が、当該反射界面の実際の位置よりも、更に奥深くに位置しているように感じる。
【0211】
<<加飾部材の製造方法>>
次に、
図13A乃至
図13Fを参照して、第1の実施形態による加飾部材3(すなわち、
図2に示す加飾部材3)の製造方法について説明する。
図13A乃至
図13Fは、加飾積層体10を成形部65に転写するための転写シート70の製造方法を示す断面図である。
【0212】
まず、
図13Aに示すように、平板な基材72を準備する。基材72は、加飾積層体10を成形部65に転写する際に、加飾積層体10から剥離される部材である。基材72としては、例えばポリエステル樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム等、一般的な転写シートの基材として用いられるものを採用可能である。基材72の一方の面には、離型層が形成されていてもよい。離型層は、加飾積層体10からの基材72の剥離を容易にする剥離性を有する。離型層を形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂を採用可能である。なお、基材72上に離型層を形成する代わりに、基材72の表面に公知の離型処理を施してもよい。この場合も、基材72を加飾積層体10から容易に剥離できる。
【0213】
次に、基材72上に剥離層55を形成する。基材72に離型層が形成されている場合には、離型層の上に剥離層55を形成する。基材72上に剥離層55が形成されることにより、基材72を加飾積層体10から容易に剥離できる。
【0214】
次に、
図13Bに示すように、剥離層55上に、透過率調整層40を形成する。透過率調整層40は、透過率調整層40を形成するための塗工液を塗布し、これを硬化させることにより、形成されてよい。例えば、透過率調整層40は、上述した顔料及び/又は染料を含むインキ(例えば、カーボンブラックを含有する黒インキ)をグラビア印刷にて塗布することにより、形成される。
【0215】
次に、
図13Cに示すように、透過率調整層40の上に、上述した賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、
図13Dに示すように、層29に賦形型100を押し当てて、これを賦形する。賦形型100は、凹凸構造25に対応した凹凸を有する。次に、層29に紫外線を照射し、これを硬化させる。これにより、賦形面20aに凹凸構造25が形成された賦形層20が、作製される。その後、賦形型100を賦形層20から取り外す。賦形型100は、層29に紫外線を照射する前に層29から取り外されてもよい。
【0216】
次に、
図13Eに示すように、賦形層20の賦形面20a上に、スパッタリングや真空蒸着等の蒸着やコーティング等により、反射層30を形成する。次に、
図13Fに示すように、反射層30上に充填層50を形成する。充填層50は、反射層30の凹凸を埋める平坦化層として機能する。これにより、転写シート70が作製される。
【0217】
次に、転写シート70を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、充填層50)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、転写シート70に接合された成形部65が、上記成形型内で成形される。その後、基材72を加飾積層体10から剥離する。これにより、成形部65に加飾積層体10が転写された加飾部材3(
図2参照)が完成する。このような加飾部材3の成形方法は、インモールド成形として知られる。
【0218】
<<第1の実施形態の変形例1>>
上述した具体例において、加飾積層体10が透過率調整層40を備えている例を示したが、この例に限られない。また、加飾積層体10の表側面11の側で測定した可視光の反射率が後述する所定の反射率になるのであれば、加飾積層体10は透過率調整層40を含まなくてもよい。
【0219】
<<第1の実施形態の変形例2>>
上述した例において、輝度調整層30が反射層である例を示したが、これに限られない。輝度調整層30は、屈折率変調層であってもよい。屈折率変調層30は、その屈折率が隣接する層の屈折率と異なり、当該隣接する層との間に反射界面を形成する層である。上述した例では、屈折率変調層30は、その屈折率が賦形層20の屈折率と異なり、賦形層20との間に反射界面を形成する。上述した例では、屈折率変調層30は、賦形層20の凹凸構造25を覆い、賦形面20aとの間に反射界面を形成する。この結果、賦形面20aにおける光の反射率を向上させることができる。これにより、加飾積層体10で反射される光の輝度を調整できる。
【0220】
屈折率変調層30は、高屈折率材料を含む。屈折率変調層30を形成する高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、中空シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム等を採用可能である。屈折率変調層30がこのような材料で形成されることにより、屈折率変調層30の電磁波透過性を向上させることができる。輝度調整層30が屈折率変調層である場合については、後で詳述する。
【0221】
<<第1の実施形態の変形例3>>
また、輝度調整層30は、着色層であってもよい。着色層30は加飾積層体10に入射した光の一部を吸収し、これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整される。また、着色層30により、加飾積層体10に所望の色彩を付与できる。この場合、輝度調整層30には、顔料及び/又は染料で形成された粒子が分散されていてよい。輝度調整層30が着色層である場合については、後で詳述する。
【0222】
<<第1の実施形態の変形例4>>
また、上述した具体例において、透過率調整層40が、顔料及び/又は染料を含有するインキをグラビア印刷にて機能層55上に塗布することにより作製される例を示したが、この例に限られない。例えば、予めシート状に作製された透過率調整層40を、
図14に示すように、接合層56を介して機能層55の上に積層してもよい。シート状の透過率調整層40は、例えば着色剤を混合した樹脂材料(例えば、ポリカーボネート(PC)やアクリル)により作製することができる。接合層56は、例えば接着インクを用いて作製することができる。接合層56は、着色剤を含有していてもよい。
【0223】
<<第1の実施形態の変形例5>>
また、加飾積層体10が透過率調整層40を含む代わりに、賦形層20の全光線透過率が調整されてもよい。この場合、賦形層20は、上述した透過率調整層40と同様に、顔料及び/又は染料で形成された粒子を有していてよい。例えば
図15に示すように、賦形層20が、賦形面20aを形成する加飾層と、加飾層22よりも加飾積層体10の表側面11の側に位置する透過率調整層24と、を有していてもよい。この場合、賦形層20の透過率調整層24は、上述した透過率調整層40と同様の構成を有していてもよい。
【0224】
<<第1の実施形態の変形例6>>
あるいは、賦形層20全体が透過率調整層として機能してもよい。この場合、賦形層20全体に(したがって、凹凸構造25内にも)顔料及び/又は染料で形成された粒子が分散されていてよい。この場合、賦形層20が、上述した透過率調整層40と同様の全光線透過率を有していてもよい。この場合も、加飾積層体10の厚み以上の立体感をより効果的に表現できる。このため、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性を更に向上できる。この変形例については、後で詳述する。
【0225】
<<第1の実施形態の変形例7>>
あるいは、
図16に示すように、機能層55が、可視光の透過率を調整する機能を有していてもよい。この場合、機能層55が、上述した透過率調整層40と同様の全光線透過率を有していてもよい。この場合も、加飾積層体10の厚み以上の立体感をより効果的に表現できる。このため、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性を更に向上できる。
【0226】
<<第1の実施形態の変形例8>>
また、
図17に示すように、加飾積層体10は基材層57を含んでいてもよい。この場合、基材層57に加飾積層体10の他の層を順次積層していくことにより、加飾積層体10を作製することができる。
【0227】
基材層57は、フィルム状の部材で形成されていてよい。基材層57を構成する材料としては、適切な支持性を有するものであればいかなる材料でもよいが、例えば、アクリル酸エステル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリプロピレンなどを採用可能である。加飾積層体10を三次元曲面に適合するよう成形する場合、基材層57を構成する材料としては、アクリル酸エステルやABS、ポリ塩化ビニルが好ましい。アクリル酸エステルやABS、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンは熱を加えて延伸させることができるため、加飾積層体10を三次元曲面へ適用するよう成形する場合、加飾積層体10の成形を阻害する虞が少ない。また、加飾積層体10を成形する場合、基材層57内に亀裂が生じて基材層57が白化する、という虞が抑制される。
【0228】
基材層57の厚みは、加飾積層体10の他の層を適切に支持することができる厚みであれば特に限定されないが、例えば50μm以上であることが好ましい。なお、加飾積層体10を三次元曲面に適合するように成形する場合、基材層57の厚みは100μm以下であることが好ましい。
【0229】
【0230】
まず、基材層57として平板な基材を準備する。次に、
図18Aに示すように、基材層57上に、透過率調整層40を形成する。透過率調整層40は、
図13Bに示す方法と同様の方法により形成される。
【0231】
次に、
図18Bにい示すように、透過率調整層40上に、賦形層20を形成する。賦形層20は、
図13C及び
図13Dに示す方法と同様の方法により形成される。すなわち、まず基材層57上に賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、層29に賦形型100を押し当て、その後、層29を硬化させる。これにより、賦形層20が形成される。
【0232】
次に、
図18Cに示すように、賦形層20の賦形面20aに輝度調整層30を形成する。次に、
図18Dに示すように、輝度調整層30上に充填層50を形成する。このようにして、
図17に示す加飾積層体10が作製される。
【0233】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、充填層50)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図17に示す加飾部材3が完成する。
【0234】
<<第1の実施形態の変形例9>>
また、上述した例では賦形層20の賦形面20aが加飾積層体10の裏側面12側を向いているが、これに限られない。
図19及び
図20に示すように、賦形面20aは、加飾積層体10の表側面11側を向いていてもよい。
図19及び
図20に示す例では、充填層50と輝度調整層30との間に反射界面が形成され、輝度調整層30によって当該反射界面における可視光の反射率が調整されてよい。輝度調整層30が屈折率変調層である場合、輝度調整層30の屈折率と充填層50の屈折率が異なっていてよい。
【0235】
もちろん、
図19及び
図20に示す例において、輝度調整層30と賦形層20との間に反射界面が形成されてもよい。この場合、輝度調整層30が屈折率変調層であり、輝度調整層30の屈折率と賦形層20の屈折率とが異なっていてもよい。
【0236】
図19及び
図20に示す例では、上記反射界面は、充填層50を透過して観察される。したがって、充填層50は透明となっている。この場合も、輝度調整層30によって、加飾積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率を調整できる。
図19及び
図20に示す例では、賦形層20は不透明であってもよい。賦形層20が不透明である場合、賦形層20によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽できる。例えば
図19及び
図20に示す例では、賦形層20が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。
【0237】
<<第1の実施形態の変形例10>>
図21に示すように、加飾積層体10は、バッカー層58を有していてもよい。バッカー層58は、加飾積層体10を補強し、加飾積層体10の一体化物としての形態を保持するための層である。加飾積層体10がバッカー層58を有することにより、加飾積層体10の強度が向上する。この結果、後述するように、加飾積層体10を、成形部65に接合する前に予備成形することができる。
図21に示す例では、バッカー層58、接合層59、輝度調整層30、賦形層20、透過率調整層40及び機能層55が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層58は、加飾積層体10の裏側面12を形成している。
【0238】
バッカー層形成用の材料としては、例えば、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂を採用可能である。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂のうち、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、成形部65を形成する材料がABS樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはABS樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリプロピレン樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリプロピレン樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリカーボネート樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリカーボネート樹脂が好ましい。バッカー層58は、上記バッカー層形成用の材料で作製されたフィルム状の部材であってよい。バッカー層58の厚みは、例えば0.1mm以上1.0mm以下である。
【0239】
バッカー層58は、透明でもよく、不透明でもよい。バッカー層58が不透明である場合、バッカー層58によって、加飾部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽することができる。例えば
図21に示す例では、バッカー層58が不透明であることにより、加飾部材3はセンサ5を隠蔽することができる。
【0240】
接合層59は、バッカー層58と加飾積層体10の他の層とを接合させる。接合層59を形成する材料としては、接合層としての充填層50と同様の材料を採用可能である。
【0241】
【0242】
まず、
図13A乃至
図13Eに示す方法と同様の方法により、基材72上に、剥離層としての機能層55、透過率調整層40、賦形層20及び輝度調整層30を形成する。その後、
図22Aに示すように、輝度調整層30上に接合層59を形成する。次に、
図22Bに示すように、接合層59にバッカー層58を接合させる。最後に、基材72を加飾積層体10から剥離する。このようにして、
図21に示す加飾積層体10が作製される。
【0243】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、バッカー層58)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図21に示す加飾部材3が完成する。このような加飾部材3の成形方法は、インサート成形として知られる。
【0244】
<<第1の実施形態の変形例11>>
加飾積層体10が基材層57を含む場合は、加飾積層体10はバッカー層58を含まなくてもよい。また、輝度調整層30が賦形層20の凹凸を埋めている場合、加飾積層体10は充填層50を含まなくてよい。
図23に示す例では、輝度調整層30、賦形層20、透過率調整層40及び基材層57が、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。基材層57が加飾積層体10の表側面11を形成し、輝度調整層30が加飾積層体10の裏側面12を形成している。
【0245】
【0246】
まず、
図18A乃至
図18Cに示す方法と同様の方法により、基材層57上に、透過率調整層40及び賦形層20を形成する。次に
図24に示すように、賦形層20の賦形面20aの凹凸を埋めるように輝度調整層30を形成する。このようにして、
図23に示す加飾積層体10が作製される。
【0247】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10上の裏側面12(すなわち、輝度調整層30)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図23に示す加飾部材3が完成する。
【0248】
<<第1の実施形態の変形例12>>
加飾積層体10は、後述するように、不透明な隠蔽層60を有していてもよい。隠蔽層60は、加飾部材3が適用される物品や成形部65の少なくとも一部を隠蔽する。隠蔽層60は、例えば顔料及び/又は染料とバインダー樹脂とから構成されてよい。隠蔽層60に含まれる顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒顔料や、酸化チタン等の白顔料、アルミ系顔料が好ましい。このような顔料が隠蔽層60に含まれることにより、隠蔽層60の隠蔽性が向上する。あるいは、隠蔽層60は、アルミニウムやインジウム、錫などの金属を、加飾積層体10の他の層に蒸着させることにより、形成されてもよい。隠蔽層60によって、加飾積層体10の全体全光線反射率(RSCI(E))や、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、中央全光線反射率(RSCI(C))、中央拡散光線反射率(RSCE(C))を調整することができる。例えば、隠蔽層60が黒顔料を含む場合と、白顔料を含む場合とでは、加飾積層体10の上記反射率は異なる。
【0249】
<<第1の実施形態の変形例13>>
加飾積層体10は、後述するように、接合層61を有していてもよい。接合層61は、加飾積層体10の他の層と成形部65とを接合(接着、粘着又は熱融着)させる。
【0250】
<<第1の実施形態の変形例14>>
加飾積層体10は、拡散層を含んでいてもよい。拡散層は、加飾積層体10の表側面11を形成する、又は、拡散層は、表側面11と賦形層20及び輝度調整層30との間に位置する。拡散層は、賦形層20又は輝度調整層30で反射された可視光を拡散させる。賦形層20又は輝度調整層30で反射された光が拡散層で拡散されることにより、加飾積層体10の表側面11から賦形層20又は輝度調整層30を視認可能な視野角を広げることができる。また、拡散層によって光が拡散されることにより、均一化された光が加飾積層体10の表側面11から出射される。
【0251】
拡散層は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した光拡散材とを含有してよい。この場合、拡散層は、バインダー樹脂と光拡散材との間の屈折率差を利用して、又は、光拡散材が有する反射性を利用して、光を等方的に拡散することができる。
【0252】
拡散層に含有されるバインダー樹脂としては、例えば、塩素系樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等、公知の材料を採用可能である。
【0253】
拡散層に含有される光拡散材は、拡散層に求められる光拡散性等に応じて適宜選択されてよい。光拡散材としては、例えば、プラスチックビーズ等の有機粒子、シリカなどの無機粒子等が挙げられる。プラスチックビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル-スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が挙げられるが、これらのうちアクリルビーズが好ましい。光拡散材は、気泡であってもよい。
【0254】
なお、機能層55や透過率調整層40が光拡散材を含むことにより、拡散層として機能してもよい。
【0255】
また、拡散層が加飾積層体10の表側面11を形成する場合、拡散層の表側面11を形成する面に凹凸が形成されていてもよい。この場合、拡散層は光拡散材を含んでいなくてもよい。加飾積層体10の表側面11の凹凸によっても、賦形層20又は輝度調整層30で反射された光を拡散層で拡散できる。
【0256】
<<第1の実施形態の変形例15>>
また、加飾積層体10は、紫外線吸収層を含んでいてもよい。紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含有する層である。紫外線吸収層は、例えば、加飾積層体10の表側面を形成する。又は、紫外線吸収層は、表側面11と透過率調整層40との間に位置する。又は、紫外線吸収層は、表側面11と賦形層20及び輝度調整層30との間に位置する。これにより、加飾積層体10に入射した紫外線によって、透過率調整層40や、賦形層20、輝度調整層30が変色することを抑制できる。
【0257】
紫外線吸収層は、可視光を透過させる。紫外線吸収層を形成する材料としては、公知の材料を採用可能である。紫外線吸収層は、例えば、紫外線吸収剤とバインダー樹脂とから形成することができる。紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化チタンなどを採用可能である。また、紫外線吸収層を形成するバインダー樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。
【0258】
なお、機能層55や透過率調整層40が紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線吸収層として機能してもよい。
【0259】
<<第1の実施形態の変形例16>>
また、加飾積層体10は、絵柄層を含んでいてもよい。絵柄層には、図形、デザイン、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄が形成されていてよい。この場合、加飾積層体10に、背景を表示する意匠表現を行うこともできる。例えば、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様が設けられていてもよい。加飾積層体10に設けられる絵柄は、印刷によって形成された印刷層でもよいし、転写によって形成された転写層であってもよい。
【0260】
<<第1の実施形態の変形例17>>
また、加飾積層体10は、互いに隣接する層の間の密着性や接着性を改善するための密着改善層や接着層を含んでいてもよい。
【0261】
<<第1の実施形態の変形例18>>
上述した例では、加飾積層体10が加飾部材3の表側面3aを形成するが、これに限られない。
図25に示すように、加飾積層体10は、加飾部材3の裏側面3bを形成してもよい。この場合、
図17及び
図18に示すように、賦形層20と輝度調整層30とは、加飾積層体10の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されてもよい。
【0262】
図25に示す例でも、
図19に示す例と同様に、充填層50と輝度調整層30との間に反射界面が形成され、輝度調整層30によって当該反射界面における可視光の反射率が調整されてよい。輝度調整層30が屈折率変調層である場合、輝度調整層30の屈折率と充填層50の屈折率が異なっていてよい。
【0263】
もちろん、
図25に示す例において、輝度調整層30と賦形層20との間に反射界面が形成されてもよい。この場合、輝度調整層30が屈折率変調層であり、輝度調整層30の屈折率と賦形層20の屈折率とが異なっていてもよい。
【0264】
図25に示す例では、加飾積層体10は、基材層57と、賦形層20と、輝度調整層30と、充填層50と、透過率調整層40とを含む。基材層57、賦形層20、輝度調整層30、充填層50及び透過率調整層40は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。透過率調整層40が加飾積層体10の表側面11を形成し、基材層57が加飾積層体10の裏側面12を形成している。透過率調整層40は、成形部65の裏側面67と接合している。もちろん、透過率調整層40と成形部65との間に接合層が配置されていてもよい。この場合、当該接合層が加飾積層体10の表側面11を形成してもよい。
【0265】
図25に示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65及び充填層50を透過して観察される。したがって、成形部65及び充填層50は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0266】
図25に示す加飾部材3は、例えば、次のようにして作製できる。まず、
図26Aに示すように、基材層57の一方の面上に賦形層20を形成する。次に、
図26Bに示すように、賦形層20の賦形面20a上に、輝度調整層30を形成する。次に、
図26Cに示すように、輝度調整層30上に充填層50を形成する。次に、
図26Dに示すように、充填層50上に、透過率調整層40を形成する。これにより、
図25に示す加飾積層体10が作製される。
【0267】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10の表側面11(すなわち、透過率調整層40)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図25に示す加飾部材3が完成する。
【0268】
<<第1の実施形態の変形例19>>
図27に示す例でも、加飾積層体10は、加飾部材3の裏側面3bを形成する。
図27に示す例では、加飾積層体10は、機能層55と、賦形層20と、輝度調整層30と、充填層50と、透過率調整層40と、接合層59と、バッカー層58とを含む。機能層55、賦形層20、輝度調整層30、充填層50、透過率調整層40、接合層59及びバッカー層58は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層58が加飾積層体10の表側面11を形成し、機能層55が加飾積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層58は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0269】
図27に示す例でも、
図19に示す例と同様に、充填層50と輝度調整層30との間に反射界面が形成され、輝度調整層30によって当該反射界面における可視光の反射率が調整されてよい。輝度調整層30が屈折率変調層である場合、輝度調整層30の屈折率と充填層50の屈折率が異なっていてよい。
【0270】
もちろん、
図27に示す例において、輝度調整層30と賦形層20との間に反射界面が形成されてもよい。この場合、輝度調整層30が屈折率変調層であり、輝度調整層30の屈折率と賦形層20の屈折率とが異なっていてもよい。
【0271】
図27に示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層58、接合層59及び充填層50を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層58、接合層59及び充填層50は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0272】
透明な接合層59を形成する材料としては、熱可塑性樹脂や(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などを採用可能である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等を採用可能である。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、透明な接合層59は、OCA(Optical Clear Adhesive)によって形成されてよい。
【0273】
図27に示す加飾部材3は、例えば、次のようにして作製できる。まず、
図13Aに示す方法と同様の方法により、基材72上に剥離層としての機能層55を形成する。次に、
図28Aに示すように、機能層55上に賦形層20を形成する。次に、賦形層20の賦形面20a上に、輝度調整層30を形成する。次に、
図28Bに示すように、賦形層20の賦形面20a上に、輝度調整層30を形成する。次に、
図28Cに示すように、輝度調整層30上に充填層50を形成する。次に、
図28Dに示すように、充填層50上に、透過率調整層40を形成する。次に、
図28Eに示すように、透過率調整層40上に接合層59を形成する。次に、
図28Fに示すように、接合層59にバッカー層58を接合させる。最後に、基材72を加飾積層体10から剥離する。このようにして、
図27に示す加飾積層体10が作製される。
【0274】
次に、加飾部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて加飾積層体10を予備成形する。その後、予備成形した加飾積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、加飾積層体10の表側面11(すなわち、バッカー層58)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、加飾積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、
図27に示す加飾部材3が完成する。
【0275】
<<第1の実施形態の変形例20>>
図29に示す例でも、加飾積層体10は、加飾部材3の裏側面3bを形成する。
図29に示す例では、加飾積層体10は、基材層57と、賦形層20と、輝度調整層30と、充填層50と、透過率調整層40と、接合層59と、バッカー層58とを含む。基材層57、賦形層20、輝度調整層30、充填層50、透過率調整層40、接合層59及びバッカー層58は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層58が加飾積層体10の表側面11を形成し、基材層57が加飾積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層58は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0276】
図29に示す例でも、
図19に示す例と同様に、充填層50と輝度調整層30との間に反射界面が形成され、輝度調整層30によって当該反射界面における可視光の反射率が調整されてよい。輝度調整層30が屈折率変調層である場合、輝度調整層30の屈折率と充填層50の屈折率が異なっていてよい。
【0277】
もちろん、
図29に示す例において、輝度調整層30と賦形層20との間に反射界面が形成されてもよい。この場合、輝度調整層30が屈折率変調層であり、輝度調整層30の屈折率と賦形層20の屈折率とが異なっていてもよい。
【0278】
図29に示す例でも、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層58及び充填層50を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層58、接合層59及び充填層50は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。賦形層20は透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0279】
図29に示す加飾部材3は、例えば、次のようにして作製できる。まず、
図26A乃至
図26Dに示す方法と同様の方法により、基材層57上に、賦形層20、輝度調整層30、充填層50及び透過率調整層40を積層する。次に、透過率調整層40上に接合層59を形成し、接合層59にバッカー層58を接合させる。このようにして、
図29に示す加飾積層体10が作製される。
【0280】
<<第1の実施形態の変形例21>>
図30に示す例でも、加飾積層体10は、加飾部材3の裏側面3bを形成する。
図30に示す例では、加飾積層体10は、隠蔽層60と、輝度調整層30と、賦形層20と、透過率調整層40と、基材層57と、接合層61とを含む。隠蔽層60、輝度調整層30、賦形層20、透過率調整層40、基材層57及び接合層61は、加飾部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。接合層61が加飾積層体10の表側面11を形成し、隠蔽層60が加飾積層体10の裏側面12を形成している。接合層61は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0281】
図30に示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、接合層61及び基材層57を透過して観察される。したがって、成形部65、接合層61及び基材層57は透明である。また、賦形層20も透明であってよい。透明な接合層61を形成する材料としては、上述した透明な接合層59を形成する材料と同じ材料を採用可能である。
【0282】
図30に示す加飾部材3は、次のようにして作製できる。まず、
図18A乃至
図18Cに示す方法と同様の方法により、基材層57の一方の面上に賦形層20及び輝度調整層30を積層する。次に、
図31Aに示すように、輝度調整層30上に隠蔽層60を形成する。次に、
図31Bに示すように、機能層55の他方の面上に接合層61を形成する。
図31Bに示す工程の後、接合層61を成形部65の裏側面67に接合させる。これにより、
図30に示す加飾部材3が作製される。
【0283】
<<第1の実施形態の変形例22>>
成形部65が加飾部材3の表側面3aを形成する例において、成形部65は機能層55及び/又は透過率調整層40を兼ねていてもよい。この場合、加飾積層体10は、機能層55及び/又は透過率調整層40を有していなくてもよい。
【0284】
<成形部65が加飾部材3の表側面3aを形成する加飾部材3の反射率>
次に、
図25乃至
図31Bに示す加飾部材3の反射率について説明する。本件発明者らは、
図25乃至
図31Bに示すように加飾積層体10が成形部65や他の追加の層(図示せず)を透過して観察される場合も、加飾部材3の表側面3aの全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。更に、上記反射率を所定の反射率に調整することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。この場合、加飾積層体10内の反射界面が当該反射界面の実際の位置よりも奥深くに位置しているように感じることができる。
【0285】
ここで、第1の実施形態における加飾部材3の表側面3aの全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)は、
図1乃至
図13Fに示す例で加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定した場合と同様に、JIS Z 8722:2009に準拠して、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型番CM-700d)を用いて、幾何条件cで測定される。測定する際の、測定条件、観察条件、及び、測定径/照明径、並びに、分光測色計の測定波長範囲及び測定波長間隔も、
図1乃至
図13Fに示す例で加飾積層体10の表側面11の全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定した場合と同じである。また、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)の測定は、加飾積層体10の表側面11に対して分光測色計が垂直になるように分光測色計を成形部65の表側面66上に配置して行われる。
【0286】
図1乃至
図13Fに示す例と同じく、測定径/照明径は、単位光学要素13の寸法に応じて選択する。また、
図1乃至
図13Fに示す例と同じく、全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する際の単位光学要素13に対する測定領域Sの位置は、単位光学要素13の寸法と分光測色計の測定径との関係に応じて、適宜設定する。
【0287】
図25乃至
図31Bに示す例においても、加飾積層体10の平面視で
図8に示すように単位光学要素13の少なくとも40%を含む領域(加飾部材3の表側面3a上の領域)において測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、それぞれ、「全体全光線反射率(R
SCI(E))」及び「全体拡散光線反射率(R
SCE(E))」と称する。
【0288】
また、
図25乃至
図31Bに示す例においても、加飾積層体10の平面視で
図9に示すように単位光学要素13の外側領域13bと重なる領域において測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、それぞれ、「外側全光線反射率(R
SCI(O))」及び「外側拡散光線反射率(R
SCE(O))」と称する。
【0289】
また、
図25乃至
図31Bに示す例においても、加飾積層体10の平面視で
図9に示すように単位光学要素13の中央領域13aと重なる領域において測定された全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を、それぞれ、「中央全光線反射率(R
SCI(C))」及び「中央拡散光線反射率(R
SCE(C))」と称する。
【0290】
また、
図25乃至
図31Bに示す例においても、単位光学要素13の上記外側領域13bと重なる領域において全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を測定する場合は、
図9及び
図11に矢印で示すように、分光測色計から加飾積層体10に入射する光Qが、傾倒面26A又は接続面26Bに入射するように、分光測色計を加飾積層体10に対して配置する。
【0291】
本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0292】
また、本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【0293】
あるいは、本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0294】
また、本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12、
RSCE(O)≦8.5、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【0295】
あるいは、本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができることを見出した。
【0296】
また、本発明者らは、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を次のように調節することにより、すなわち、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たすように、加飾部材3の表側面3aにおける反射率を調節することにより、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができることを見出した。
【実施例0297】
次に、第1の実施形態における具体的実施例について説明する。以下では、加飾積層体10の表側面11における反射率と加飾積層体10の外観評価との関係について説明するが、同様の関係が、
図3に示す加飾部材3の表側面3aにおける反射率と加飾部材3の外観評価との間だけでなく、上述したその他の加飾部材3の表側面3aにおける反射率と加飾部材3の外観評価との間にも成り立ち、更に、後述する加飾部材3の表側面3aにおける反射率と加飾部材3の外観評価との間にも成り立つことに、留意されたい。
【0298】
まず、単位光学要素13の少なくとも40%が分光測色計の測定径と同じ直径の仮想円内に収まる場合の実施例について説明する。
【0299】
(比較例1-1)
加飾積層体10に透過率調整層40を設けなかったこと以外は、
図5と同様に加飾積層体10を作製した。加飾積層体10の平面視における単位光学要素13の形状は正方形であり、その一辺の長さは4mmであった。また、輝度調整層30を構成する材料としてアルミニウムを採用した。
【0300】
また、分光測色計の測定径/照明径をΦ8mm/Φ11mmに設定して、加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。比較例1-1の加飾積層体10のRSCI(E)は79.4%であり、RSCE(E)は68.2%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は1.2であった。
【0301】
(比較例1-2)
図4と同様に加飾積層体10に透過率調整層40を設けたこと以外は、比較例1-1と同様に加飾積層体10を作製した。つまり、比較例1-2の加飾積層体10は、
図5に示す加飾積層体と同じ構成を有している。透過率調整層40の全光線透過率は、80%であった。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))を算出した。比較例1-2の加飾積層体10のR
SCI(E)は43.2%であり、R
SCE(E)は35.7%であり、R
SCI(E)/R
SCE(E)は1.2であった。
【0302】
(実施例1-1)
透過率調整層40の全光線透過率が50%であったこと以外は、比較例1-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-1の加飾積層体10のRSCI(E)は25.0%であり、RSCE(E)は15.1%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は1.7であった。
【0303】
(実施例1-2)
透過率調整層40の全光線透過率が30%であったこと以外は、比較例1-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-2の加飾積層体10のRSCI(E)は9.2%であり、RSCE(E)は4.9%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は1.9であった。
【0304】
(実施例1-3)
透過率調整層40の全光線透過率が10%であったこと以外は、比較例1-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-3の加飾積層体10のRSCI(E)は5.1%であり、RSCE(E)は1.0%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は5.1であった。
【0305】
(実施例1-4)
透過率調整層40の全光線透過率が5%であったこと以外は、比較例1-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-4の加飾積層体10のRSCI(E)は4.4%であり、RSCE(E)は0.5%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は8.8であった。
【0306】
(実施例1-5)
輝度調整層30を構成する材料として酸化チタンを採用したこと以外は、比較例1-1と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-5の加飾積層体10のRSCI(E)は33.4%であり、RSCE(E)は24.2%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は1.4であった。
【0307】
(実施例1-6)
図5と同様に加飾積層体に透過率調整層40を設けたこと以外は、実施例1-5と同様に加飾積層体10を作製した。つまり、実施例1-6の加飾積層体10は、
図5に示す加飾積層体と同じ構成を有している。透過率調整層40の全光線透過率は80%であった。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))を算出した。実施例1-6の加飾積層体10のR
SCI(E)は19.0%であり、R
SCE(E)は12.7%であり、R
SCI(E)/R
SCE(E)は1.5であった。
【0308】
(実施例1-7)
透過率調整層40の全光線透過率が50%であったこと以外は、実施例1-6と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-7の加飾積層体10のRSCI(E)は10.2%であり、RSCE(E)は5.4%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は1.9であった。
【0309】
(実施例1-8)
透過率調整層40の全光線透過率が30%であったこと以外は、実施例1-6と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-8の加飾積層体10のRSCI(E)は6.2%であり、RSCE(E)は1.9%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は3.3であった。
【0310】
(実施例1-9)
透過率調整層40の全光線透過率が10%であったこと以外は、実施例1-6と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-9の加飾積層体10のRSCI(E)は4.5%であり、RSCE(E)は0.4%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は11.3であった。
【0311】
(実施例1-10)
透過率調整層40の全光線透過率が5%であったこと以外は、実施例1-6と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-5の加飾積層体10のRSCI(E)は4.2%であり、RSCE(E)は0.3%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は14.0であった。
【0312】
(実施例1-11)
加飾積層体10に反射層30を設けなかったこと、及び、賦形層20に粒子を分散させたこと以外は、比較例1-1と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例1-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))を測定し、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))を算出した。実施例1-11の加飾積層体10のRSCI(E)は4.6%であり、RSCE(E)は0.9%であり、RSCI(E)/RSCE(E)は5.1であった。
【0313】
以上のようにして得られた比較例1-1~1-2及び実施例1-1~1-11の加飾積層体10の外観評価を行った。外観評価は、比較例1-1の加飾積層体10を基準として、加飾積層体10の表側面11側のぎらつきがどの程度抑制されているか、及び、表側面11側から見た加飾積層体10の奥行き感を評価することにより行った。
【0314】
表1は、比較例1-1~1-1及び実施例1-1~1-11の加飾積層体10の外観評価の結果を示す。表1の「ぎらつき抑制」の欄において「C」はぎらつきが比較例1-1と同程度であることを意味し、「「A」は比較例1-1と比較してぎらつきが顕著に抑制されていることを意味する。また、表1の「奥行き感」の欄において「C」は奥行き感が比較例1-1と同程度であることを意味し、「B」は比較例1-1よりも深い奥行き感があることを意味し、「A」は比較例1-1よりも遙かに深い奥行き感があることを意味する。また、表1には、上記実施例及び比較例の結果と共に、表面に黒印刷が施されて全光線透過率が0%であるシート状基材の表面の全光線反射率(RSCI)、拡散光線反射率(RSCE)、及び、拡散光線反射率(RSCE)に対する全光線反射率(RSCI)の比(RSCI/RSCE)が示されている。
【0315】
【0316】
上記表1から理解されるように、全体全光線反射率(RSCI(E))が35%以下であり、全体拡散光線反射率(RSCE(E))が25%以下であり、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が1.3以上15以下の加飾積層体10は、比較例1-1よりも深い奥行き感を有していた。更に、全体全光線反射率(RSCI(E))が12%以下であり、全体拡散光線反射率(RSCE(E))が6%以下であり、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が1.5以上6.0以下の加飾積層体10は、比較例1-1よりも顕著に深い奥行き感を有していた。
【0317】
次に、単位光学要素13の少なくとも40%が分光測色計の測定径と同じ直径の仮想円内に収まらない場合の実施例について説明する。
【0318】
(比較例2-1)
加飾積層体10に透過率調整層40を設けなかったこと以外は、
図5と同様に加飾積層体10を作製した。加飾積層体10の平面視における単位光学要素13の形状は菱形であり、その一方の対角線の長さが50mmであり、他方の対角線の長さが80mmであった。また、輝度調整層30を構成する材料としてアルミニウムを採用した。
【0319】
また、分光測色計の測定径/照明径をΦ3mm/Φ6mmに設定して、加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。比較例2-1の加飾積層体10のRSCI(O)は97.4%であり、RSCE(O)は100.4%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は1.0であり、RSCE(C)は4.3%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.04であった。
【0320】
(比較例2-2)
図5と同様に加飾積層体に透過率調整層40を設けたこと以外は、比較例2-1と同様に加飾積層体10を作製した。つまり、比較例2-2の加飾積層体10は、
図5に示す加飾積層体と同じ構成を有している。透過率調整層40の全光線透過率は、80%であった。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(R
SCI(O))及び外側拡散光線反射率(R
SCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))に対する外側全光線反射率(R
SCI(O))の比(R
SCI(O)/R
SCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(R
SCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))に対する中央拡散光線反射率(R
SCE(C))の比(R
SCE(C)/R
SCE(O))を算出した。比較例2-2の加飾積層体10のR
SCI(O)は50.8%であり、R
SCE(O)は49.6%であり、R
SCI(O)/R
SCE(O)は1.0であり、R
SCE(C)は2.8%であり、R
SCE(C)/R
SCE(O)は0.06であった。
【0321】
(比較例2-3)
透過率調整層40の全光線透過率が50%であったこと以外は、比較例2-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。比較例2-3の加飾積層体10のRSCI(O)は27.2%であり、RSCE(O)は27.3%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は1.0であり、RSCE(C)は1.1%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.04であった。
【0322】
(実施例2-1)
透過率調整層40の全光線透過率が30%であったこと以外は、比較例2-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-1の加飾積層体10のRSCI(O)は10.7%であり、RSCE(O)は7.5%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は1.4であり、RSCE(C)は0.5%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.07であった。
【0323】
(実施例2-2)
透過率調整層40の全光線透過率が10%であったこと以外は、比較例2-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-2の加飾積層体10のRSCI(O)は5.4%であり、RSCE(O)は1.7%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は3.2であり、RSCE(C)は0.3%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.18であった。
【0324】
(実施例2-3)
透過率調整層40の全光線透過率が5%であったこと以外は、比較例2-2と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-3の加飾積層体10のRSCI(O)は4.4%であり、RSCE(O)は0.5%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は8.8であり、RSCE(C)は0.3%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.60であった。
【0325】
(実施例2-4)
輝度調整層30を構成する材料として酸化チタンを採用したこと以外は、比較例2-1と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-4の加飾積層体10のRSCI(O)は40.8%であり、RSCE(O)は37.8%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は1.1であり、RSCE(C)は2.7%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.07であった。
【0326】
(実施例2-5)
図4と同様に加飾積層体に透過率調整層40を設けたこと以外は、実施例2-4と同様に加飾積層体10を作製した。つまり、実施例2-5の加飾積層体10は、
図5に示す加飾積層体と同じ構成を有している。透過率調整層40の全光線透過率は80%であった。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(R
SCI(O))及び外側拡散光線反射率(R
SCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))に対する外側全光線反射率(R
SCI(O))の比(R
SCI(O)/R
SCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(R
SCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(R
SCE(O))に対する中央拡散光線反射率(R
SCE(C))の比(R
SCE(C)/R
SCE(O))を算出した。実施例2-5の加飾積層体10のR
SCI(O)は22.6%であり、R
SCE(O)は19.0%であり、R
SCI(O)/R
SCE(O)は1.2であり、R
SCE(C)は1.6%であり、R
SCE(C)/R
SCE(O)は0.08であった。
【0327】
(実施例2-6)
透過率調整層40の全光線透過率が50%であったこと以外は、実施例2-5と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-6の加飾積層体10のRSCI(O)は11.5%であり、RSCE(O)は8.2%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は1.4であり、RSCE(C)は0.9%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.11であった。
【0328】
(実施例2-7)
透過率調整層40の全光線透過率が30%であったこと以外は、実施例2-5と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-7の加飾積層体10のRSCI(O)は6.4%であり、RSCE(O)は2.6%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は2.5であり、RSCE(C)は0.4%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.15であった。
【0329】
(実施例2-8)
透過率調整層40の全光線透過率が10%であったこと以外は、実施例2-5と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-8の加飾積層体10のRSCI(O)は4.6%であり、RSCE(O)は0.6%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は7.7であり、RSCE(C)は0.3%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.50であった。
【0330】
(実施例2-9)
透過率調整層40の全光線透過率が5%であったこと以外は、実施例2-5と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-9の加飾積層体10のRSCI(O)は4.2%であり、RSCE(O)は0.3%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は16.6であり、RSCE(C)は0.2%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.84であった。
【0331】
(実施例2-10)
加飾積層体10に反射層30を設けなかったこと、及び、賦形層20に粒子を分散させたこと以外は、比較例2-1と同様にして加飾積層体10を作製した。また、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))を算出した。更に、比較例2-1と同様にして加飾積層体10の表側面11の中央拡散光線反射率(RSCE(C))を測定し、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))を算出した。実施例2-10の加飾積層体10のRSCI(O)は4.9%であり、RSCE(O)は1.0%であり、RSCI(O)/RSCE(O)は4.7であり、RSCE(C)は0.7%であり、RSCE(C)/RSCE(O)は0.67であった。
【0332】
以上のようにして得られた比較例2-1~2-3及び実施例2-1~2-10の加飾積層体10の外観評価を行った。外観評価は、比較例2-1の加飾積層体10を基準として、加飾積層体10の表側面11側のぎらつきがどの程度抑制されているか、及び、表側面11側から見た加飾積層体10の奥行き感を評価することにより行った。
【0333】
表2は、比較例2-1~2-3及び実施例2-1~2-10の加飾積層体10の外観評価の結果を示す。表2の「ぎらつき抑制」の欄において「C」はぎらつきが比較例2-1と同程度であることを意味し、「「A」は比較例2-1と比較してぎらつきが顕著に抑制されていることを意味する。また、表2の「奥行き感」の欄において「C」は奥行き感が比較例2-1と同程度であることを意味し、「B」は比較例2-1よりも深い奥行き感があることを意味し、「A」は比較例2-1よりも遙かに深い奥行き感があることを意味する。また、表2には、上記実施例及び比較例の結果と共に、表面に黒印刷が施されて全光線透過率が0%であるシート状基材の表面の全光線反射率(RSCI)、拡散光線反射率(RSCE)、及び、拡散光線反射率(RSCE)に対する全光線反射率(RSCI)の比(RSCI/RSCE)が示されている。
【0334】
【0335】
上記表2から理解されるように、外側全光線反射率(RSCI(O))が45%以下であり、外側拡散光線反射率(RSCE(O))が40%以下であり、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が1.1以上18以下の加飾積層体10は、比較例2-1よりも深い奥行き感を有していた。また、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、0.1以上0.9以下の加飾積層体10も、比較例2-1よりも深い奥行き感を有していた。更に、外側全光線反射率(RSCI(O))が12以下であり、外側拡散光線反射率(RSCE(O))が8.5%以下であり、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が1.4以上8以下の加飾積層体10は、比較例2-1よりも顕著に深い奥行き感を有していた。また、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が0.1以上0.7以下の加飾積層体10も、比較例2-1よりも顕著に深い奥行き感を有していた。
【0336】
<<<第2の実施形態>>>
以下、図面を参照して本開示の第2の実施形態について説明する。
【0337】
図32に示す加飾部材3及び加飾積層体10は、主に、上述した加飾部材3及び加飾積層体10と比較して、その表側面の反射率が、上述した全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を満たしていなくてもよい点で異なる。その他の構成は、
図17に示す加飾部材3及び加飾積層体10と略同一である。もちろん、以下で説明する実施形態及びその変形例においても、加飾部材3及び加飾積層体10は、その表側面の反射率が、上述した全光線反射率(R
SCI)及び拡散光線反射率(R
SCE)を満たしていてもよい。
【0338】
以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0339】
図32に示す例でも、加飾部材3は、加飾積層体10と成形部65とを含んでいる。
図32に示す例では、加飾積層体10は賦形されており、加飾積層体10の各層は、平坦部10cと湾曲部10dとを有する。湾曲部10dは、平坦部10cの周縁部に周状に接続する。平坦部10cは、X方向Dx及びY方向Dyに平面状に広がっている。平坦部10cと湾曲部10dとによって、成形部65の一部を受容する凹部が形成されている。しかしながら、加飾部材3における加飾積層体10の形状はこれに限られない。
図2に示すように、加飾積層体10は平板状であってもよい。
【0340】
<<加飾積層体>>
図33に示す例でも、加飾積層体10は、賦形層20と輝度調整層30とを含んでいる。図示された例では、加飾積層体10は、隠蔽層60、充填層50、透過率調整層40、基材層57を更に含む。隠蔽層60、充填層50、輝度調整層、賦形層20、透過率調整層40及び基材層57は、加飾積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向にこの順で積層されている。図示された例では、隠蔽層60が加飾積層体10の裏側面12を形成し、基材層57が加飾積層体10の表側面11を形成する。
【0341】
次に、
図33乃至
図35を参照して、賦形層20及び輝度調整層30について詳述する。
図34は、
図33に示す加飾積層体10の断面のうち二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図34では、図示の明確化のため、後述する粒子Pの図示を省略している。
【0342】
<賦形層>
上述したように、賦形層20には、微細な凹凸構造25が形成されている。上述したように、賦形層20は、凹凸構造25により形成される凹凸面を有する。凹凸構造25は、複数の凸部27と、複数の凸部27の間に形成される複数の凹部28と、を有している。隣り合う凸部27の頂部271が、凹部28の入り口282を画成する。
【0343】
図34によく示されているように、各凹部28は、互いに向かい合う傾倒面26Aと接続面26Bとによって画成される。このような凹部28の幅は、凹部28の底部281に近づくにつれて狭くなる。言い換えると、凸部27の幅は、凸部27の頂部271に近づくにつれて狭くなる。
【0344】
凹部28の深さ(すなわち、凸部27の高さ)は、傾倒面26A又は接続面26Bの高さH26に等しいである。第2の実施形態において、H26は、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよく、0.25μm以下であってよい。
【0345】
上述したように、各凹部28は、隣り合う凸部27の頂部271によって画成される入り口282を有する。本明細書において、凹部28の入り口282の幅W30(以下、単に「入口幅W30」とも呼ぶ)は、凸部27の頂部271の高さ位置における凹部28の幅のことである。図示された例では、凹部28の入口幅W30は、傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って測定される。入口幅W30は、0.5μm以上20μm以下である。
【0346】
図33から理解されるように、凹部28の入口幅W30は、基準線Lからの距離によって異なってよい。具体的には、入口幅W30は、基準線Lから単位光学要素13の外側に向かうにつれて小さくなってよい。ここで、単位光学要素13の外側とは、基準線Lから傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って離れる側である。以下では、凹凸構造25が有する複数の凹部28の中で、入口幅W30が最も小さい凹部28mを「最小凹部28m」とも称する。
【0347】
なお、複数の凹部28の入口幅W30が等しい凹凸構造25においては、全ての凹部28が、最小凹部28mとなる。したがって、この場合、最小凹部28m(複数の凹部28のうち入口幅W30が最も小さい凹部28)の入口幅W30が0.5μm以上20μm以下であるとは、全ての凹部28の入口幅W30が0.5μm以上20μm以下であることと、同義である。
【0348】
<輝度調整層>
第2の実施形態において、輝度調整層30は屈折率変調層である。輝度調整層30は光を反射させる粒子Pを含む。より具体的には、
図33に示すように、輝度調整層30は、複数の粒子Pを含む。
図33に示す例では、粒子Pは、高屈折率材料により形成されている。粒子Pを形成する高屈折率材料としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物を採用可能である。より具体的には、粒子Pを形成する高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、中空シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム等を採用可能である。
【0349】
粒子Pの平均粒径は、凹部28の半分の高さでの凹部28の幅W31(
図34参照、以下では、「凹部中央幅W31」とも呼ぶ)と比較して十分に小さい。このため、粒子Pは、凹部28の幅狭の部分にも分布できる。この結果、粒子Pを、凹凸構造25上に高密度で分布できる。粒子Pを凹凸構造25上に高密度で分布させることにより、輝度調整層30の粒子Pは、賦形層20との間に、凹凸構造25を反映した反射界面を形成する。これにより、各単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に、凹凸構造25を反映した光学作用をもたらす。
【0350】
図示された例では、粒子Pの平均粒径は100nm以下である。また、図示された例では、凹部中央幅W31を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20の凹部28の底部281まで、高密度で分布させることができる。これにより、各単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に、凹凸構造25を精密に反映した光学作用をもたらし得る。
【0351】
なお、図示された例では、賦形層20は、様々な幅の凹部28を含む。図示された例では、最も幅狭の凹部28の凹部中央幅W31を平均粒径で除した値が15以上である。これにより、粒子Pを、賦形層20のいずれの凹部28にも、その底部281まで高密度で分布させることができる。この結果、各単位光学要素13は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に、凹凸構造25を精密に反映した光学作用をもたらし得る。
【0352】
なお、本明細書において粒子Pの平均粒径は、加飾積層体10の厚さ方向に沿った断面における粒子Pの最大幅、すなわち最大長とする。粒子Pの粒子径(nm)は、加飾積層体10の法線方向Dnに沿った断面における、粒子Pの最大幅、すなわち最大長とする。粒子Pの平均粒子径(nm)は、加飾積層体10の法線方向に直交する方向に沿って500μm以上1500μm以下の長さを有する三十の断面領域を拡大観察し、各断面領域において最も大きい一つの粒子の粒子径を測定し、測定された三十の粒子の粒子径の平均値(nm)として特定される。
【0353】
また、本明細書において、凹凸構造25の凸部27や凹部28の形状及び寸法は、次のようにして観察及び測定される。すなわち、まず、加飾積層体10又は加飾部材3を、加飾積層体10を構成する層の積層方向に沿って切断する。次に、得られた加飾積層体10の断面を、デジタルマイクロスコープ(製品名:VHX-8000シリーズ,株式会社キーエンス製)を使用して観察し、凹凸構造25の各部の寸法を測定する。
【0354】
図示された例では、加飾積層体10は、加飾積層体10に入射した光を反射するための金属層を含んでいない。加飾積層体10が金属層を含んでいなくても、輝度調整層30の粒子Pが反射する光によって、賦形層20の凹凸構造25に応じた意匠を表示できる。なお、加飾積層体10が金属層を含まないことにより、加飾積層体10の作製が容易になる。とりわけ、金属層を蒸着法によって形成する場合に生じる金属層の形成不良の問題を回避できる。また、加飾積層体10を賦形して
図32に示すような湾曲部10dを形成する際に、金属層が割れて白化したり剥がれたりすることがない。更に、上述した粒子Pは、輝度調整層30に入射した光の一部を吸収又は透過する。このため、金属層で光を反射させる場合と比較して、加飾積層体10のぎらつきを抑制できる。
【0355】
輝度調整層30は、例えばコーティングにより形成される。この場合、輝度調整層30は、例えば次のような方法により形成することができる。すなわち、粒子Pを含む輝度調整層形成用インキを準備し、これを賦形面20aにコーティングする。これにより、輝度調整層30を形成することができる。このような輝度調整層形成用インキとしては、例えば、粒子Pとバインダー樹脂とを混合したものであってもよい。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。熱可塑性樹脂をバインダー樹脂として含む輝度調整層30は、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、加飾積層体10を成形部65の面に沿って湾曲又は延伸させる際に、輝度調整層30を所望のように湾曲又は延伸させることができる。言い換えると、輝度調整層30によって、加飾積層体10の湾曲又は延伸が妨げられる虞が少ない。あるいは、輝度調整層形成用インキとして、粒子Pを酸化ジルコニウム分散液(堺化学工業社製、SZR series(製品名))に分散させたものを採用可能である。この場合、単位光学要素13に入射した光を、粒子Pによって効果的に反射させることができる。この結果、加飾積層体10の反射率を効果的に向上させることができる。
【0356】
輝度調整層形成用インキは、更に、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいてもよい。
【0357】
図33に示す例では、輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aの凹凸を埋めていない。言い換えると、輝度調整層30の厚みは、凹部28の深さH26よりも小さい。輝度調整層30の厚みは、接続面26Bの高さH26よりも薄くてもよい。輝度調整層30の厚みは、接続面26Bの高さH26の半分以下でもよく、接続面26Bの高さH26の25%以下でもよく、接続面26Bの高さH26の10%以下でもよい。このような厚みの輝度調整層30は、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。
【0358】
図35に示すように、輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aの凹凸を埋めていてもよい。言い換えると、輝度調整層30の厚みは、凹部28の深さH26以上であってもよい。この場合、加飾積層体10は充填層50を含まなくてよい。
【0359】
<<加飾積層体の製造方法>>
次に、主として
図36A~
図36Dを参照して、加飾積層体10の製造方法について説明する。
【0360】
まず、
図36Aに示すように、基材層57を準備し、基材層57上に透過率調整層40を形成する。次に、
図36Bに示すように、透過率調整層40上に賦形層20を形成する。次に、
図36Cに示すように、賦形層20の賦形面20a上に輝度調整層30を形成する。具体的には、賦形面20a上に輝度調整層形成用インキを塗布してインキ層を形成した後、インキ層を硬化させる。次に、
図36Dに示すように、輝度調整層30上に充填層50を形成する。次に、充填層50上に隠蔽層60を形成する。このようにして、
図33に示す加飾積層体10が作製される。
【0361】
図33に示す例では、輝度調整層30の厚みは均一であるが、これに限られない。輝度調整層30の厚みは不均一であってもよい。
【0362】
輝度調整層30によっても、加飾積層体10の反射率を調整することができる。したがって、加飾積層体10は、透過率調整層40を含まなくてもよい。
【0363】
輝度調整層30が賦形層20の凹凸を埋めている場合、上述したように粒子Pの寸法が小さいので、粒子Pを、賦形層20の賦形面20aと輝度調整層30との界面に至るまで、高密度で分布させることができる。これにより、輝度調整層30の厚みが、凹凸構造25を反映した不均一な厚みになる。この結果、輝度調整層30は、単位光学要素13に入射した光を、凹凸構造25を精密に反映した反射率又は吸収率で反射又は吸収でき、各単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現できる。この結果、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した意匠を提示することができる。また、このような加飾積層体10は、加飾積層体10を観察する方向によって異なる意匠を提示することができる。
【0364】
なお、図示された例では、最小凹部28mの凹部中央幅W31を粒子Pの平均粒径で除した値が15以上である。これにより、粒子Pを、賦形層20のいずれの凹部28内にも高密度で分布させることができる。この結果、各単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現できる。
【0365】
図33及び
図35に示す例では、賦形層20の賦形面20aが加飾積層体10の裏側面12側を向いているが、これに限られない。
図19、
図25及び
図27に示す加飾積層体10のように、賦形面20aは、加飾積層体10の表側面11側を向いていてもよい。
【0366】
また、
図33に示す例では、輝度調整層30の厚みは均一であるが、これに限られない。輝度調整層30の厚みは不均一であってもよい。
【0367】
さらに、
図33及び
図35に示す例では、加飾積層体10は基材層57を含むが、これに限られない。加飾積層体10は基材層57を含まなくてもよい。この場合、加飾積層体は、例えば、
図13A乃至
図13Fに示すように、基材72を用いて作製されてよい。
【0368】
<<第2の実施形態の変形例1>>
図33乃至
図36Dに示す例では、粒子Pは高屈折率材料で形成されているが、これに限られない。粒子Pは、顔料又は染料により形成されていてもよい。
【0369】
輝度調整層30に含まれる粒子Pを形成する染料又は顔料としては、次のようなものを採用可能である。
【0370】
<染料>
粒子Pを形成する染料としては、青色染料や赤色染料、緑色染料、マゼンタ染料、黄色染料、紫色染料、黒色染料など、種々の染料を採用可能である。
【0371】
青色染料としては、例えば、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
赤色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ペリノン系染料を採用可能である。
緑色染料としては、例えば、トリフェニルメタン系塩基性染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
マゼンタ染料としては、例えば、唐紅、アントラキノン系染料を採用可能である。
黄色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、メチン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロン系染料を採用可能である。
紫色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料を採用可能である。
黒色染料としては、例えば、ジスアゾ染料、金属含有アゾ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ヒドロオキシケトン染料、硫化染料を採用可能である。
【0372】
<顔料>
粒子Pを形成する顔料としては、光吸収性顔料や光反射性顔料など、種々の顔料を採用可能である。
【0373】
光吸収性顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料、黒色顔料など、種々の着色顔料を採用可能である。着色顔料としては、有機顔料、無機顔料、複合金属酸化物顔料などを採用可能である。
【0374】
赤色顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、酸化鉄顔料、チタン系複合酸化物顔料、キナクリドンを採用可能である。
黄色顔料としては、例えば、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、酸化鉄顔料、チタンイエロー、縮合アゾ系顔料を採用可能である。
青色顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、コバルトブルー、コバルト系顔料、フタロシアニンを採用可能である。
緑色顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、コバルトブルー、コバルト系顔料を採用可能である。
紫色顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料を採用可能である。
黒色顔料としては、例えば、チタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、カーボンブラック、セラミックブラック、ボーンブラック、ペリレンブラックを採用可能である。
【0375】
光反射性顔料としては、白色顔料や光輝性顔料など、種々の顔料を採用可能である。
【0376】
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、シリカ、タルク、カオリン、クレイ、マイカ、硫化亜鉛、亜鉛華、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムを採用可能である。
【0377】
光輝性顔料としては、例えば、金属鱗片やパール顔料を採用可能である。
金属鱗片を形成する材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金を採用可能である。
パール顔料は、雲母、アルミニウム、ガラス等の鱗片状の母体を、二酸化チタン等の無色高屈折率材料や酸化第二点鉄などの有色高屈折率材料、その他の顔料等で被覆したものである。パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料を採用可能である。
【0378】
また、輝度調整層30は、上述した顔料や染料だけでなく調色顔料や調色染料を含んでもよい。例えば輝度調整層30を黒色に着色する場合であって、黒色顔料や黒色染料が赤みがかっている場合、輝度調整層30は調色顔料又は調色染料として上述した青色顔料や青色染料、緑色顔料や緑色染料を更に含んでもよい。この場合の調色顔料としては、例えば、青色顔料や緑色顔料の他、上述した赤色顔料、黄色顔料、マゼンタ顔料、紫色顔料など、種々の着色顔料を採用可能である。また、この場合の調色染料としては、青色染料や緑色染料の他、上述した赤色染料、マゼンタ染料、黄色染料、紫色染料など、種々の染料を採用可能である。例えば、輝度調整層30は、カーボンブラックとフタロシアニン系顔料とを含んでいてもよい。
【0379】
あるいは、輝度調整層30は、黒色顔料及び黒色染料以外の上述した各色の顔料、染料を含んで黒色となっていてもよい。
【0380】
輝度調整層30が顔料又は染料で形成された粒子Pを含む場合も、輝度調整層30は、例えばコーティングにより形成される。この場合、輝度調整層30は、例えば次のような方法により形成することができる。すなわち、粒子Pを含む輝度調整層形成用インキを準備し、これを賦形面20aにコーティングする。これにより、輝度調整層30を形成することができる。このような輝度調整層形成用インキとしては、例えば、粒子Pとバインダー樹脂とを混合したものであってもよい。バインダー樹脂としては、透明な紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を採用可能である。あるいは、輝度調整層形成用インキとして、粒子Pを酸化ジルコニウム分散液(堺化学工業社製、SZR series(製品名))に分散させたものを採用可能である。この場合、単位光学要素13に入射した光を、粒子Pによって効果的に反射させることができる。この結果、加飾積層体10の反射率を効果的に向上させることができる。
【0381】
輝度調整層30が顔料又は染料で形成された粒子Pを含む場合も、輝度調整層形成用インキは、更に、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいてもよい。
【0382】
この変形例において、H26は、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよく、0.25μm以下であってよい。
【0383】
また、この変形例において、入口幅W30は、0.5μm以上20μm以下である。
【0384】
また、この変形例において、粒子Pの平均粒径は300nm以下である。また、凹部中央幅W31を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20の凹部28の底部281まで、高密度で分布させることができる。これにより、各単位光学要素13は、加飾積層体10に入射した光に、凹凸構造25を精密に反映した光学作用をもたらし得る。
【0385】
また、この変形例において、最小凹部28mの凹部中央幅W31を平均粒径で除した値が15以上である。これにより、粒子Pを、賦形層20のいずれの凹部28においても、底部281まで高密度で分布させることができる。この結果、各単位光学要素13は、加飾積層体10に入射した光に、凹凸構造25を精密に反映した光学作用をもたらし得る。
【0386】
また、この変形例において、加飾積層体10は、輝度調整層30に加えて追加の輝度調整層62を含んでいてもよい。
図37に示すように、追加の輝度調整層62は、賦形層20よりも加飾積層体10の裏側面12側に配置されてよい。追加の輝度調整層62は、上述した反射層や屈折率変調層としての輝度調整層30と同様の材料を用いて、同様の方法により形成されてよい。追加の輝度調整層62は、上述した光反射性顔料を含んでよい。
【0387】
また、この変形例において、輝度調整層30の厚み(特に、傾倒面26A上における厚み)を変更することにより、加飾積層体10の反射率を調整できる。
【0388】
例えば、輝度調整層30及び隠蔽層60が、共にカーボンブラック等の黒顔料を含む場合を例に挙げて説明する。
【0389】
この場合、輝度調整層30の厚みを100nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=9.1%、
R
SCE(E)=3.4%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.7。
【0390】
次に、輝度調整層30の厚みを200nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=7.1%、
R
SCE(E)=2.0%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=3.5。
【0391】
次に、輝度調整層30の厚みを1μmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=5.5%、
R
SCE(E)=0.94%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=5.9。
【0392】
次に、輝度調整層30の厚みを2μm~3μmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=4.5%、
R
SCE(E)=0.6%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=7.6。
【0393】
また、例えば、輝度調整層30がカーボンブラック等の黒顔料を含み、隠蔽層60がアルミ顔料、金属蒸着等の高輝度顔料を含む場合を例に挙げて説明する。
【0394】
この場合、輝度調整層30の厚みを100nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=28.0%、
R
SCE(E)=13.1%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.1。
【0395】
次に、輝度調整層30の厚みを200nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=17.5%、
R
SCE(E)=3.4%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=5.2。
【0396】
次に、輝度調整層30の厚みを1μmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=9.6%、
R
SCE(E)=1.6%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=5.8。
【0397】
次に、輝度調整層30の厚みを2μm~3μmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=4.6%、
R
SCE(E)=0.6%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=7.6。
【0398】
また、例えば、輝度調整層30がチタンイエロー等の黄色顔料を含み、隠蔽層60がカーボンブラック等の黒顔料を含む場合を例に挙げて説明する。
【0399】
この場合、輝度調整層30の厚みを200nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=13.2%、
R
SCE(E)=6.4%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.1。
【0400】
次に、輝度調整層30の厚みを400nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=12.7%、
R
SCE(E)=6.3%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.0。
【0401】
次に、輝度調整層30の厚みを1nmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=12.7%、
R
SCE(E)=6.4%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.0。
【0402】
次に、輝度調整層30の厚みを3μm~4μmとして、
図33に示す加飾積層体10を作製し、全体全光線反射率(R
SCI(E))及び全体拡散光線反射率(R
SCE(E))を測定したところ、全体全光線反射率(R
SCI(E))、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(R
SCE(E))に対する全体全光線反射率(R
SCI(E))の比(R
SCI(E)/R
SCE(E))が、それぞれ以下の値となった。
R
SCI(E)=13.4%、
R
SCE(E)=8.2%、
R
SCI(E)/R
SCE(E)=2.0。
【0403】
この変形例においても、賦形層20の賦形面20aは、加飾積層体10の裏側面12側を向いてもよいし、表側面11側を向いていてもよい。
【0404】
この変形例においても、輝度調整層30の厚みは不均一であってもよい。
【0405】
この変形例においても、加飾積層体10は基材層57を含まなくてもよい。この場合、加飾積層体は、例えば、
図13A乃至
図13Fに示すように、基材72を用いて作製されてよい。
【0406】
<<第2の実施形態の変形例2>>
図38に示すように、賦形層20が顔料及び/又は染料で形成された粒子Pを含んでいてもよい。この場合、加飾積層体10は、輝度調整層30を含まなくてもよい。
図41に示す例では、賦形層20は、染料又は顔料で形成された複数の粒子Pを含む。
【0407】
この変形例において、凸部27の高さH26は、10μm以下である。高さH26は、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよく、0.25μm以下であってよい。
【0408】
この例において、各凸部27の基部272の幅は、凹部28の底部281の高さ位置における凸部27の幅である。本明細書において、基部272の幅W32(以下、単に「基部幅W32」とも呼ぶ)は、傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って測定される。
図41から理解されるように、凸部27の基部幅W32は、基準線Lからの距離によって異なってよい。具体的には、基部幅W32は、基準線Lから単位光学要素13の外側に向かうにつれて小さくなってよい。以下では、凹凸構造25が有する複数の凸部27の中で、基部幅W32が最も小さい凸部27mを「最小凸部27m」とも称する。
【0409】
最小凸部27mの基部幅W32は、0.5μm以上20μm以下である。なお、複数の凸部27の基部幅W32が等しい凹凸構造25においては、全ての凸部27が、最小凸部27mとなる。したがって、この場合、最小凸部27m(複数の凸部27のうち基部幅W32が最も小さい凸部27)の基部幅W32が0.5μm以上20μm以下であるとは、全ての凸部27の基部272の幅W26が0.5μm以上20μm以下であることと、同義である。
【0410】
粒子Pの平均粒径は、凸部27の半分の高さでの凸部27の幅W33(以下では、「凸部中央幅W33」とも呼ぶ)と比較して十分に小さい。このため、粒子Pは、凸部27の幅狭の部分にも分布することができる。この結果、粒子Pを、凹凸構造25内に(言い換えると、凸部27内に)高密度で分布させることができる。粒子Pを凹凸構造25内に高密度で分布させることにより、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した濃淡又は明暗を表現することができる。より具体的には、加飾積層体10は、単位光学要素13に入射した光を、賦形層20の粒子Pによって、凹凸構造25を反映した強度で反射することができる。この結果、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した意匠を提示することができる。また、このような加飾積層体10は、加飾積層体10を観察する方向によって異なる意匠を提示することができる。
【0411】
図示された例では、粒子Pの平均粒径は300nm以下である。更に、図示された例では、凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20と充填層50との間の界面に至るまで、高密度で分布させることができる。これにより、各単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現することができる。
【0412】
なお、図示された例では、最小凸部27mの凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上である。これにより、粒子Pを、賦形層20のいずれの凸部27内にも高密度で分布させることができる。この結果、単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現することができる。
【0413】
なお、複数の凸部27の凸部中央幅W33が等しい凹凸構造25においては、全ての凸部27が、最小凸部27mとなる。したがって、この場合、最小凸部27mの凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上であるとは、全ての凸部27の凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上であることと、同義である。
【0414】
図41に示す例においても、加飾積層体10は、加飾積層体10に入射した光を反射するための金属層を含んでいない。加飾積層体10が金属層を含んでいなくても、賦形層20の粒子Pが反射する光によって、賦形層20の凹凸構造25に応じた意匠を表示することができる。また、
図41に示す例においても、加飾積層体10が金属層を含まないことにより、加飾積層体10の作製が容易になる。とりわけ、金属層を蒸着法によって形成する場合に生じる金属層の形成不良の問題を回避することができる。また、加飾積層体10を賦形して
図32に示すような湾曲部10dを形成する際に、金属層が割れて白化したり剥がれたりすることがない。また、上述した粒子Pは、加飾積層体10に入射した光の一部を吸収又は透過する。このため、金属層で光を反射させる場合と比較して、加飾積層体10のぎらつきを抑制することができる。
【0415】
図41に示す賦形層20は、賦形層20の前駆材料として、バインダー樹脂に上述した粒子Pを混合したものを採用することにより、形成可能である。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂をバインダー樹脂として含む賦形層20は、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、加飾積層体10を成形部65の面に沿って湾曲又は延伸させる際に、賦形層20を所望のように湾曲又は延伸させることができる。言い換えると、賦形層20によって、加飾積層体10の湾曲又は延伸が妨げられる虞が少ない。
【0416】
賦形層20の前駆材料は、更に、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいてもよい。
【0417】
この変形例においても、賦形層20の賦形面20aは、加飾積層体10の裏側面12側を向いてもよいし、表側面11側を向いていてもよい。
【0418】
この変形例においても、加飾積層体10は、追加の輝度調整層62を含んでいてもよい。
図37に示す例と同様に、追加の輝度調整層62は、賦形層20よりも加飾積層体10の裏側面12側に配置されてよい。
【0419】
この変形例においても、加飾積層体10は基材層57を含まなくてもよい。この場合、加飾積層体は、例えば、
図13A乃至
図13Fに示すように、基材72を用いて作製されてよい。
【0420】
<<第2の実施形態の変形例3>>
図38に示す例では、賦形層20は顔料及び/又は染料で形成された粒子Pを含んでいるが、これに限られない。賦形層20は、光を反射させる粒子Pを含んでよい。より具体的には、賦形層20は、複数の粒子Pを含んでよい。粒子Pは、高屈折率材料により形成されていてよい。粒子Pを形成する高屈折率材料としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物を採用可能である。より具体的には、粒子Pを形成する高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、中空シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム等を採用可能である。
【0421】
この変形例において、凸部27の高さH26は、5μm以下である。高さH26は、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよく、0.25μm以下であってよい。また、凸部27の基部幅W32は、0.5μm以上20μm以下であってよい。この変形例においても、最小凸部27mの基部幅W32は、0.5μm以上20μm以下である。
【0422】
この変形例においても、粒子Pの平均粒径は、凸部中央幅W33と比較して十分に小さい。このため、粒子Pは、凸部27の幅狭の部分にも分布することができる。この結果、粒子Pを、凹凸構造25内に(言い換えると、凸部27内に)高密度で分布させることができる。粒子Pを凹凸構造25内に高密度で分布させることにより、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した濃淡又は明暗を表現することができる。より具体的には、加飾積層体10は、単位光学要素13に入射した光を、賦形層20の粒子Pによって、凹凸構造25を反映した強度で反射することができる。この結果、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した意匠を提示することができる。また、このような加飾積層体10は、加飾積層体10を観察する方向によって異なる意匠を提示することができる。
【0423】
この変形例では、粒子Pの平均粒径は100nm以下である。更に、図示された例では、凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20と充填層50との間の界面に至るまで、高密度で分布させることができる。これにより、各単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現することができる。
【0424】
この変形例でも、最小凸部27mの凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上であってよい。これにより、粒子Pを、賦形層20のいずれの凸部27内にも高密度で分布させることができる。この結果、単位光学要素13は、凹凸構造25を精密に反映した濃淡又は明暗を表現することができる。
【0425】
この変形例においても、加飾積層体10は、加飾積層体10に入射した光を反射するための金属層を含んでいない。加飾積層体10が金属層を含んでいなくても、賦形層20の粒子Pが反射する光によって、賦形層20の凹凸構造25に応じた意匠を表示することができる。また、この変形例においても、加飾積層体10が金属層を含まないことにより、加飾積層体10の作製が容易になる。とりわけ、金属層を蒸着法によって形成する場合に生じる金属層の形成不良の問題を回避することができる。また、加飾積層体10を賦形して
図32に示すような湾曲部10dを形成する際に、金属層が割れて白化したり剥がれたりすることがない。また、上述した粒子Pは、加飾積層体10に入射した光の一部を吸収又は透過する。このため、金属層で光を反射させる場合と比較して、加飾積層体10のぎらつきを抑制することができる。
【0426】
この変形例においても、賦形層20は、賦形層20の前駆材料として、バインダー樹脂に上述した粒子Pを混合したものを採用することにより、形成可能である。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。
【0427】
この変形例においても、賦形層20の賦形面20aは、加飾積層体10の裏側面12側を向いてもよいし、表側面11側を向いていてもよい。
【0428】
この変形例においても、加飾積層体10は基材層57を含まなくてもよい。この場合、加飾積層体は、例えば、
図13A乃至
図13Fに示すように、基材72を用いて作製されてよい。
【0429】
<<<更なる変形例>>>
次に、
図39A乃至
図48を参照して、上述した第1及び第2の実施形態の更なる変形例について説明する。
図39A乃至
図48において、
図1乃至
図41に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0430】
図39A及び
図39Bに示すように、傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みが不均一であってもよい。これにより、加飾積層体10の反射率を抑制できる。これは、次の理由による。
【0431】
図40に示すように、加飾積層体10に入射した可視光は、輝度調整層30の厚みに応じて異なる反射率で反射される。
図40は、輝度調整層30が金属材料で形成された場合の、輝度調整層30の厚み別の可視光の反射率を示す。
図40において、横軸は可視光の波長を示し、縦軸は反射率を示す。また、
図40において、実線は輝度調整層30が30nmの均一な厚さを有する場合の反射率を示し、破線は輝度調整層30が80nmの均一な厚さを有する場合の反射率を示し、一点鎖線は輝度調整層30が400nmの均一な厚さを有する場合の反射率を示す。輝度調整層30が金属材料の蒸着により形成される場合、輝度調整層30の厚みは80nm前後である。この場合、
図40に示すように、約450nm以上の波長域において、輝度調整層30は加飾積層体10に入射した光を高い反射率で反射する。これに対し、
図39A及び
図39Bに示すように、傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みが不均一である場合、例えば当該厚みが約30nm~約400nmの範囲で変化する場合、約450nm以上の波長域においては輝度調整層30の上記厚みが約30nm及び約400nmの部分の反射率が高くなるものの、約450nm以上の波長域においては、輝度調整層30の上記厚みが約30nm及び/又は約400nmの部分の反射率が低くなる。この結果、可視光の波長域全体としては、輝度調整層30の反射率が低下する。特に、輝度調整層30が金属材料の蒸着により形成されている場合、加飾積層体10のぎらつきを抑制することができる。
【0432】
また、傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みが不均一であることにより、輝度調整層30の光の透過率を調整できる。これにより、輝度調整層30を透過して観察される層や成形部65の色によって付与される加飾積層体10の色味を調整できる。とりわけ、輝度調整層30よりも加飾積層体10の裏側面12側に位置する層や成形部65が黒色に着色されている場合、加飾積層体10の漆黒性を効果的に高めることができる。また、第2の実施形態のように輝度調整層30が着色されている場合、輝度調整層30の全体の色味を調整することができ、この結果、加飾積層体10の色味を調整できる。
【0433】
このように、傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みを不均一にすることで、加飾積層体10の反射率を調整しつつ、加飾積層体10の色味を調整することができる。
【0434】
図39Aに示すように、輝度調整層30の厚みは、各傾倒面26Aにおいて不均一であってもよい。より具体的には、ある傾倒面26A上の輝度調整層30が、厚みの小さい部分と大きい部分とを有していてもよい。あるいは、
図39Bに示すように、輝度調整層30の厚みは、複数の傾倒面26Aにおいて異なっていてもうよい。より具体的には、ある傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みと、他の傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みとが異なっていてもよい。
【0435】
輝度調整層30の反射率を効果的に抑制するため、輝度調整層30の上記厚みが最も大きい部分の上記厚みt1と、輝度調整層30の上記厚みが最も小さい部分の上記厚みt2との差t1-t2が、100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、300nm以上であることが更に好ましい。
【0436】
上述したように、輝度調整層30の厚みは、加飾積層体10をその厚み方向に切断し、走査型電子顕微鏡を用いて加飾積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0437】
<凹凸構造の変形例>
図5に示す例では、傾倒面26Aは、曲面レンズのレンズ面を、当該曲面レンズの厚み方向(光軸方向)に垂直な面に沿って同じ厚みで複数に分割することにより得られる複数のレンズ面に対応する。このため、傾倒面26Aの、基準線Lの少なくとも一側(例えば
図5の左側)におけるピッチW26の標準偏差は、5μmより大きい。また、複数の傾倒面26Aの、基準線Lの少なくとも一側における高さH26の標準偏差が、1μm以下である。しかしながら、これに限られない。
【0438】
図41に示すように、傾倒面26Aは、曲面レンズのレンズ面を、当該曲面レンズの厚み方向(光軸方向)に垂直な面に沿って異なる厚みで複数に分割することにより得られる複数のレンズ面に対応してもよい。この場合も、各単位光学要素13は、曲面レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。また、この場合も、複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向かう方向に並んでいる。
【0439】
図41に示す例では、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、複数の傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、傾倒面26Aの、基準線Lの少なくとも一側(例えば
図41の左側)におけるピッチW26の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチW26は互いに等しくてもよい。また、傾倒面26Aの、基準線Lの少なくとも一側における高さH26の標準偏差が、1μmより大きい。更に、
図41に示すように、上記断面において、基準線Lの他側(例えば
図41の右側)にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、基準線Lの他側におけるピッチW26の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチW26は互いに等しくてもよい。また、傾倒面26Aの、基準線Lの他側における高さH26の標準偏差が、1μmより大きい。
図41に示す例では、高さH26は、基準線Lの一側及び他側のそれぞれにおいて、基準線Lから離れるにつれて高くなる。
【0440】
また、
図41に示す例では、上記特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、上記断面において、傾倒面26Aの、基準線Lの少なくとも一側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。更に、
図41に示すように、上記断面において、基準線Lの他側にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、基準線Lの他側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。
図41に示す例では、傾倒面角θAは、基準線Lの一側及び他側のそれぞれにおいて、基準線Lから離れるにつれて小さくなる。
【0441】
また、上述した例では、傾倒面26Aは、曲面レンズのレンズ面を分割することにより得られる複数のレンズ面に対応するが、これに限られない。
【0442】
また、
図42乃至
図48に示すように、賦形層20の凹凸構造25は、賦形層20の平面視において平行直線群又は平行曲線群を成す凹凸構造であってもよい。
図42乃至
図48のうち
図42は、賦形層20の平面視において凹凸構造25が平行直線群をなす加飾積層体10の平面図である。また、
図43及び
図44は、それぞれ、
図42のF43-F43線及びF44-F44線に沿った断面を示す図である。
【0443】
図42に示す例では、賦形層20は、平面視において平行直線群を成す微細な凹凸構造25が形成された複数の単位賦形要素23を含む。このような賦形層20を含む加飾積層体10によって反射される光は、凹凸構造25によって形成される平行直線群を反映した意匠を提示することができる。また、加飾積層体10は、加飾積層体10を観察する方向によって異なる意匠を表現することができる。図示された例では、互いに隣接する単位賦形要素23は、平面視において平行直線群の延びる方向が異なる。このような賦形層20を含む加飾積層体10は、隣り合う単位光学要素13が異なる態様で光を反射させるため、複雑な意匠を表現することができる。また、互いに異なる方向に延びる平行直線群によって、立体感を表現することができる。
【0444】
また、図示された例では、凹部28の幅は、賦形層20の厚み方向において一定である。言い換えると、凸部27の幅は、賦形層20の厚み方向において一定である。
【0445】
図43及び
図42に示すように、平行直線群における凹部28の入口幅W30及び凸部27の頂部271の幅W271は、加飾積層体10が表現する意匠に応じて適宜設定可能である。また、平行直線群における凹部28の入口幅W30は、その単位賦形要素23の面内において互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。同様に、平行直線群における凸部27の頂部271の幅W271は、その単位賦形要素23の面内において互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。図示された例では、複数の凹部28の入口幅W30は等しく、また、複数の凸部27の頂部271の幅W271も等しい。したがって、図示された例では、全ての凹部28が上述した最小凹部28mであり、全ての凸部27が上述した最小凸部27mである。
【0446】
本変形例の賦形層20が上述した第2の実施形態又は第2の実施形態の変形例1若しくは2に適用される場合、凹部28の深さH26は上述した数値範囲であることが好ましい。また、本変形例の賦形層20が上述した第2の実施形態又は第2の実施形態の変形例1に適用される場合、最小凹部28mの入口幅W30は、上述した数値範囲であることが好ましい。また、本変形例の賦形層20が上述した第2の実施形態の変形例2に適用される場合、最小凸部27mの基部幅W32は、上述した数値範囲であることが好ましい。
【0447】
なお、加飾積層体10の厚みを薄くしながら立体感をより効果的に表現する観点から、最小凹部28mの入口幅W30及び最小凸部27mの頂部271の幅W271は、好ましくは20μm以下0.5μm以上であり、より好ましくは15μm以下5μm以上であり、さらに好ましくは12.5μm以下8μm以上である。
【0448】
また、本変形例の賦形層20が上述した第2の実施形態又は第2の実施形態の変形例1に適用される場合、凹部28の凹部中央幅W31を平均粒径で除した値は、15以上であることが好ましい。この場合、さらに好ましくは、最小凹部28mの凹部中央幅W31を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20の賦形面20aと賦形面20aに対面する層との界面に至るまで、高密度で分布させることができる。なお、図示された例では、凹部28の幅は賦形層20の厚み方向において一定であるため、凹部28の凹部中央幅W31は、当該凹部28の入口幅W30に等しい。
【0449】
また、本変形例の賦形層20が上述した第2の実施形態の変形例2に適用される場合、凸部27の凸部中央幅W33を平均粒径で除した値は、15以上であることが好ましい。この場合、さらに好ましくは、最小凸部27mの凸部中央幅W33を平均粒径で除した値が15以上である。このように粒子Pの寸法が小さいことにより、粒子Pを、賦形層20の賦形面20aに至るまで、高密度で分布させることができる。なお、図示された例では、凸部27の幅は賦形層20の厚み方向において一定であるため、凸部27の凸部中央幅W33は、当該凸部27の基部幅W32に等しい。
【0450】
なお、加飾部材3をセンサ5に対面して配置する場合に加飾部材3にセンサ5から発せられる電磁波を高透過率で透過させる観点では、凹部28の入口幅W30及び凸部27の頂部271の幅W271は100μm以下であることが好ましい。更に、加飾積層体10の表面に虹光が発生するのを防止する観点では、凹部28の入口幅W30及び凸部27の頂部271の幅W271は、10μm以上であることが好ましい。
【0451】
なお、図示された例では、凹部28の入口幅W30及び凹部中央幅W31、並びに、凸部27の頂部271の幅W271及び凸部中央幅W33は、平行直線群を構成する複数の凹部28及び凸部27が並ぶ方向に沿って測定される。
【0452】
なお、
図42に示す例では、賦形層20の平面視において、各単位賦形要素23の形状は四角形であり、平行直線群の延びる方向は単位賦形要素23のいずれかの辺に沿った方向であるが、これに限られない。
図51に示すように、賦形層20の平面視において、平行直線群の延びる方向は単位賦形要素23の各辺と交差する方向であってもよい。また、単位賦形要素23の平面形状としては、
図42及び
図51に示す四角形形状に限られない。単位賦形要素23の平面形状としては、三角形形状、五角形形状、六角形形状、八角形形状等の他の多角形形状や、多角形形状の角を面取りした形状、円形状、楕円形状等の曲線輪郭を含んだ形状等を採用可能である。
【0453】
また、
図46に示すように、複数の単位賦形要素23の形状は、互いに異なっていてもよい。更に、
図47に示すように、単位賦形要素23には、平面視において平行曲線群を成す凹凸構造25が形成されていてもよい。とりわけ、
図48に示すように、単位賦形要素23に形成された凹凸構造25が平面視において同心円群を形成する場合、単位光学要素13は、
図4に実線で示す単位光学要素13と同様の意匠を表示することができる。また、賦形層20は、平面視において平行直線群を成す凹凸が形成された単位賦形要素23と、平面視において平行曲線群を成す凹凸が形成された単位賦形要素23とを含んでいてもよい。
【0454】
更に、賦形層20の凹凸構造25は、エンボス型ホログラムを構成していてもよい。この場合、加飾積層体10は、賦形層20のエンボス型ホログラムが表現する意匠に対応した意匠を提示することができる。
【0455】
以上説明したように、第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。各単位光学要素13は、基準線Lを含む領域である中央領域13aを有する。各単位光学要素13は、外側領域13bを有する。傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って、単位光学要素13の外側領域13bは、当該単位光学要素13の中央領域13aと縁部13cとの間に位置する。
外側領域13bにおいて、加飾積層体10の一方の面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とする。この場合、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たす。
【0456】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0457】
第1の実施形態の加飾積層体10において、賦形層20はレンズ構造を有する。この場合、傾倒面26Aはレンズ面であり、接続面26Bはライズ面である。
【0458】
第1の実施形態の加飾積層体10では、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たす。
【0459】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0460】
第1の実施形態の加飾積層体10では、中央領域13aにおいて加飾積層体10の一方の面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とした場合、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす。
【0461】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0462】
第1の実施形態の加飾積層体10では、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす。
【0463】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0464】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20を備えている。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。各単位光学要素13は、基準線Lを含む中央領域13aを有する。各単位光学要素13は、外側領域13bを有する。傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って、単位光学要素13の外側領域13bは、当該単位光学要素13の中央領域13aと縁部13cとの間に位置する。
外側領域13bにおいて加飾積層体10の一方の面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、外側拡散光線反射率(RSCE(O))とする、中央領域13aにおいて一方の面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とする。この場合、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす。
【0465】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0466】
第1の実施形態の加飾積層体10では、賦形層20はレンズ構造を有する。傾倒面26Aは、レンズ面である。接続面26Bは、ライズ面である。
【0467】
第1の実施形態の加飾積層体10では、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす。
【0468】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0469】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。
加飾積層体10の平面視において単位光学要素13の少なくとも40%を含む領域で加飾積層体10の一方の面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とする。この場合、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす。
【0470】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0471】
第1の実施形態の加飾積層体10において、賦形層20はレンズ構造を有する。傾倒面26Aはレンズ面である。接続面26Bはライズ面である。
【0472】
第1の実施形態の加飾積層体10において、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たす。
【0473】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0474】
第1の実施形態の加飾積層体10は、可視光の透過率を調整する透過率調整層40を更に備える。透過率調整層40は、賦形層20よりも加飾積層体10の一方の面11の側に配置される。
【0475】
この場合、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0476】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30は、反射層である。
【0477】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0478】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30は、賦形面20aの屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である。
【0479】
この場合、賦形層20と輝度調整層30との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0480】
第1の実施形態の加飾積層体10は、輝度調整層30と充填層50とを更に備える。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを覆う。輝度調整層30の賦形層20に対面する面とは反対側の面が、賦形面20aの凹凸構造25に対応した凹凸を有する。充填層50は、輝度調整層30の凹凸を充填する。輝度調整層30は、充填層50の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である。
【0481】
この場合、賦形層20と充填層50との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0482】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30は、高屈折率材料を含む。
【0483】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0484】
第1の実施形態の加飾積層体10において、高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなる。
【0485】
この場合、輝度調整層30の屈折率と、輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)の屈折率との差を十分に得ることができる。このため、より豊かな意匠表現を実現できる。
【0486】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30は、顔料及び/又は染料を含む。
【0487】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。また、加飾積層体10に、顔料及び/又は染料の色に応じた色を付与することができる。
【0488】
第1の実施形態の加飾積層体10において、賦形層20は、顔料及び/又は染料を含む。
【0489】
この場合、賦形層20と賦形層20に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。また、加飾積層体10に、顔料及び/又は染料の色に応じた色を付与することができる。
【0490】
第1の実施形態の加飾積層体10において、顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である。
【0491】
第1の実施形態の加飾積層体10において、顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる。
【0492】
第1の実施形態の加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30の賦形層20に対面する面とは反対側の面が、賦形面20aの凹凸構造25に対応した凹凸を有する。
【0493】
この場合、輝度調整層30と上記反対側の面に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0494】
この場合、輝度調整層30の厚みの平均が、凹凸構造25の高さH25の50%以下であってよい。
【0495】
第1の実施形態の加飾積層体10は、輝度調整層30と追加の輝度調整層62とを更に備える。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを覆う。追加の輝度調整層62は、輝度調整層30及び賦形層20と加飾積層体10の他方の面12との間に配置される。
【0496】
この場合、輝度調整層30だけでなく追加の輝度調整層62によっても、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することができる。
【0497】
第1の実施形態の転写シート70は、基材72と加飾積層体10とを備える。このような転写シート70を用いることにより、加飾積層体10を備えた加飾部材3を製造することが容易である。
【0498】
第1の実施形態の転写シート70において、加飾積層体10は、基材72に接触する加飾積層体10の面(
図13Fに示す例では、表側面11)を形成する剥離層55を有する。この場合、加飾積層体10を基材72から剥離することが容易である。
【0499】
第1の実施形態の加飾部材3は、成形部65と加飾積層体10とを備える。加飾積層体10は、成形部65の少なくとも一部を覆う。このような加飾部材3によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0500】
第1の実施形態の移動体1は、加飾積層体10を備えている。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0501】
第1の実施形態の加飾部材3は、加飾積層体10を備える。加飾積層体10は、賦形層20を有する。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。各単位光学要素13は、基準線Lを含む領域である中央領域13aを有する。各単位光学要素13は、外側領域13bを有する。傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って、単位光学要素13の外側領域13bは、当該単位光学要素13の中央領域13aと縁部13cとの間に位置する。
加飾積層体10の平面視で外側領域13bと重なる領域において、加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ外側全光線反射率(RSCI(O))及び外側拡散光線反射率(RSCE(O))とする。この場合、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦45%、
RSCE(O)≦40%、
1.1≦RSCI(O)/RSCE(O)≦18、
を満たす。
【0502】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0503】
第1の実施形態の加飾部材3において、賦形層20はレンズ構造を有する。この場合、傾倒面26Aはレンズ面であり、接続面26Bはライズ面である。
【0504】
第1の実施形態の加飾部材3において、外側全光線反射率(RSCI(O))、外側拡散光線反射率(RSCE(O))、及び、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する外側全光線反射率(RSCI(O))の比(RSCI(O)/RSCE(O))が、それぞれ以下の式:
RSCI(O)≦12%、
RSCE(O)≦8.5%、
1.4≦RSCI(O)/RSCE(O)≦8、
を満たす。
【0505】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0506】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10の平面視で、単位光学要素13の中央領域13aと重なる領域において、加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とする。この場合、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす。
【0507】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0508】
第1の実施形態の加飾部材3では、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす。
【0509】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0510】
第1の実施形態の加飾部材3は、加飾積層体10を備えている。加飾積層体10は、賦形層20を有する。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。各単位光学要素13は、基準線Lを含む中央領域13aを有する。各単位光学要素13は、外側領域13bを有する。傾倒面26A及び接続面26Bが並ぶ方向に沿って、単位光学要素13の外側領域13bは、当該単位光学要素13の中央領域13aと縁部13cとの間に位置する。
加飾積層体10の平面視で外側領域13bと重なる領域において、加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、外側拡散光線反射率(RSCE(O))とする。加飾積層体10の平面視で中央領域13aと重なる領域において、表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した拡散光線反射率を、中央拡散光線反射率(RSCE(C))とする。この場合、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.9、
を満たす。
【0511】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0512】
第1の実施形態の加飾部材3では、賦形層20はレンズ構造を有する。傾倒面26Aは、レンズ面である。接続面26Bは、ライズ面である。
【0513】
第1の実施形態の加飾部材3では、外側拡散光線反射率(RSCE(O))に対する中央拡散光線反射率(RSCE(C))の比(RSCE(C)/RSCE(O))が、以下の式:
0.1≦RSCE(C)/RSCE(O)≦0.7、
を満たす。
【0514】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0515】
第1の実施形態の加飾部材3は、加飾積層体10を備える。加飾積層体10は、賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。
加飾積層体10の平面視において単位光学要素13の少なくとも40%を含む領域で加飾部材3の表側面3aの側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率及び拡散光線反射率を、それぞれ全体全光線反射率(RSCI(E))及び全体拡散光線反射率(RSCE(E))とする。この場合、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦35%、
RSCE(E)≦25%、
1.3≦RSCI(E)/RSCE(E)≦15、
を満たす。
【0516】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0517】
第1の実施形態の加飾部材3において、全体全光線反射率(RSCI(E))、全体拡散光線反射率(RSCE(E))、及び、全体拡散光線反射率(RSCE(E))に対する全体全光線反射率(RSCI(E))の比(RSCI(E)/RSCE(E))が、それぞれ以下の式:
RSCI(E)≦12%、
RSCE(E)≦6%、
1.5≦RSCI(E)/RSCE(E)≦6、
を満たす。
【0518】
この場合、加飾積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができ、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0519】
第1の実施形態の加飾部材3は、成形部65を備える。成形部65は、加飾積層体10よりも加飾部材3の表側面3aの側に配置される。成形部65は、可視光の透過率を調整する。
【0520】
この場合、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0521】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、可視光の透過率を調整する透過率調整層40を更に含む。透過率調整層40は、賦形層20よりも加飾部材3の表側面3aの側に配置される。
【0522】
この場合、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0523】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に含む。輝度調整層30は、反射層である。
【0524】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0525】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に含む。輝度調整層30は、賦形面20aの屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である。
【0526】
この場合、賦形層20と輝度調整層30との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0527】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、輝度調整層30と充填層50とを更に含む。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを覆う。輝度調整層30の賦形層20に対面する面とは反対側の面が、賦形面20aの凹凸構造25に対応した凹凸を有する。充填層50は、輝度調整層30の凹凸を充填する。輝度調整層30は、充填層50の屈折率と異なる屈折率を有する屈折率変調層である。
【0528】
この場合、賦形層20と充填層50との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0529】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に備える。輝度調整層30は、高屈折率材料を含む。
【0530】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0531】
第1の実施形態の加飾部材3において、高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなる。
【0532】
この場合、輝度調整層30の屈折率と、輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)の屈折率との差を十分に得ることができる。このため、より豊かな意匠表現を実現できる。
【0533】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に含む。輝度調整層30は、顔料及び/又は染料を含む。
【0534】
この場合、輝度調整層30と輝度調整層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。また、加飾積層体10に、顔料及び/又は染料の色に応じた色を付与することができる。
【0535】
第1の実施形態の加飾部材3において、賦形層20は、顔料及び/又は染料を含む。
【0536】
この場合、賦形層20と賦形層20に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。また、加飾積層体10に、顔料及び/又は染料の色に応じた色を付与することができる。
【0537】
第1の実施形態の加飾部材3において、顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である。
【0538】
第1の実施形態の加飾部材3において、顔料は、カーボンブラック、無機顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる。
【0539】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、賦形層20の賦形面20aを覆う輝度調整層30を更に含む。輝度調整層30の賦形層20に対面する面とは反対側の面が、賦形面20aの凹凸構造25に対応した凹凸を有する。
【0540】
この場合、輝度調整層30と上記反対側の面に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0541】
この場合、輝度調整層30の厚みの平均が、凹凸構造25の高さH25の50%以下であってよい。
【0542】
第1の実施形態の加飾部材3において、加飾積層体10は、輝度調整層30と追加の輝度調整層62とを更に備える。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを覆う。追加の輝度調整層62は、輝度調整層30及び賦形層20よりも加飾積層体10の他方の面12の側に配置される。
【0543】
この場合、輝度調整層30だけでなく追加の輝度調整層62によっても、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することができる。
【0544】
第1の実施形態の移動体1は、加飾部材3を備える。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0545】
以上説明したように、第2の実施形態の加飾積層体10は、第1層20と第2層30とを備える。第1層20は、凹凸構造25を有する。第2層30は、凹凸構造25の凹凸面20aを覆う。凹凸構造25は、複数の凸部27と、複数の凸部27の間に形成される凹部28と、を有する。凹部28の深さが10μm以下である。凸部27の頂部271の高さ位置における凹部28の幅W30が20μm以下である。第2層30は、複数の粒子Pを含む。粒子Pの平均粒径が300nm以下である。
【0546】
このような加飾積層体10によれば、第2層30の粒子Pが反射する光によって、加飾積層体10の意匠性を向上させることができる。したがって、このような加飾積層体10は、金属層を含まなくてもよい。このため、加飾積層体10の成形性を改善することができる。また、このような加飾積層体10によれば、凹凸構造25の凹凸の寸法と比較して粒子Pの寸法が十分に小さい。これにより、第2層30の粒子Pを、凹凸構造25上に高密度で分布させることができる。この結果、第2層30の粒子Pは、第2層30に隣接する層(例えば、賦形層20又は充填層50)との間に、凹凸構造25を反映した反射界面を形成する。これにより、加飾積層体10は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に、凹凸構造25を反映した光学作用をもたらす。また、凹凸構造25の凹凸の寸法が十分に小さいことにより、第1層20の(したがって加飾積層体10の)厚みを小さくしつつ、第1層20の凹凸構造25の凹部28の深さ(凸部27の高さ)H26以上の立体感を、効果的に表現することができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を効果的に実現することができる。
【0547】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凹部28の深さH26が5μm以下であり、粒子Pの平均粒径が100nm以下である。この場合も、凹凸構造25の凹凸の寸法と比較して粒子Pの寸法が十分に小さい。したがって、第2層30の粒子Pを、凹凸構造25上に高密度で分布させることができる。
【0548】
凹部28の半分の深さでの凹部28の幅W31を粒子Pの平均粒径で除した値が15以上である。
【0549】
この場合、粒子Pを、第1層20の凹部28の底部281上に、あるいは凹部28内に、高密度で分布させることができる。このような加飾積層体10によれば、凹凸構造25を精密に反映した意匠表現が可能である。
【0550】
第2の実施形態の加飾積層体10において、第2層30は、バインダー樹脂を更に含む。
【0551】
第2の実施形態の加飾積層体10において、第2層30の第1層20に対面する面とは反対側の面が、凹凸構造25に対応した凹凸を有する。
【0552】
この場合、第2層30と上記反対側の面に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0553】
この場合、第2層30の厚みの平均が、凹凸構造25の高さH25の50%以下であってよい。
【0554】
第2の実施形態の加飾積層体10において、第2層30は、輝度調整層である。加飾積層体10は、追加の輝度調整層62を更に備える。
【0555】
この場合、輝度調整層30だけでなく追加の輝度調整層62によっても、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することができる。
【0556】
第2の実施形態の加飾積層体10は、凹凸構造25を有する層20を備える。凹凸構造25は、複数の凸部27と、複数の凸部27の間に形成される複数の凹部28と、を有する。凸部27の高さH27が10μm以下である。各凸部27は、凹部28の底部281の高さ位置における当該凸部27の幅である基部幅W32を有する。複数の凸部27のうち、基部幅W32が最も小さい凸部27の基部幅W32が、20μm以下である。層20は、複数の粒子Pを含む。粒子Pの平均粒径が300nm以下である。
【0557】
このような加飾積層体10によれば、層20の粒子Pが反射する光によって、加飾積層体10の意匠性を向上させることができる。したがって、このような加飾積層体10は、金属層を含まなくてもよい。このため、加飾積層体10の成形性を改善することができる。また、このような加飾積層体10によれば、凹凸構造25の凹凸の寸法と比較して粒子Pの寸法が十分に小さい。このため、粒子Pは、層20の凸部27の幅狭の部分にも分布することができる。この結果、粒子Pを、凹凸構造25内に(言い換えると、凸部27内に)高密度で分布させることができる。粒子Pを凹凸構造25内に高密度で分布させることにより、加飾積層体10は、凹凸構造25を反映した濃淡又は明暗を表現することができる。より具体的には、加飾積層体10は、単位光学要素13に入射した光を、賦形層20の粒子Pによって、凹凸構造25を反映した強度で反射することができる。この結果、加飾積層体10は、加飾積層体10の表側面11から入射した光に、凹凸構造25を反映した光学作用をもたらす。また、凹凸構造25の凹凸の寸法が十分に小さい。このため、層20の(したがって加飾積層体10の)厚みを小さくしつつ、層20の凹凸構造25の高さH25以上の立体感を、効果的に表現することができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を効果的に実現することができる。更に、このような加飾積層体10は、加飾積層体10を観察する方向によって異なる意匠を提示することができる。
【0558】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凸部27の高さが5μm以下である。粒子Pの平均粒径が100nm以下である。
【0559】
この場合も、凹凸構造25の凹凸の寸法と比較して粒子Pの寸法が十分に小さい。したがって、第2層30の粒子Pを、凹凸構造25上に高密度で分布させることができる。
【0560】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凸部27の半分の高さでの前記凸部の幅を前記粒子の平均粒径で除した値が15以上である。
【0561】
この場合、粒子Pを、凸部27の頂部271に至るまで、高密度で分布させることができる。このような加飾積層体10によれば、凹凸構造25を精密に反映した意匠表現が可能で或る。
【0562】
第2の実施形態の加飾積層体10は、層20は、バインダー樹脂を更に含む。
【0563】
第2の実施形態の加飾積層体10において、加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において凹凸構造の凹凸面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。
【0564】
このような加飾積層体10によれば、凹凸構造25の高さH25以上の立体感(奥行き感)を表現することができる。これにより、層20の厚みを薄くしながら、層20の厚み以上の立体感を表現することができ、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現することができる。
【0565】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凹凸構造25はレンズ構造をなす。この場合、傾倒面26Aはレンズ面であり、接続面26Bはライズ面である。
【0566】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凹凸構造25は、加飾積層体10の平面視において平行直線群又は平行曲線群を形成する。
【0567】
このような加飾積層体10によっても、凹凸構造25の高さH25以上の立体感(奥行き感)を表現することができる。これにより、層20の厚みを薄くしながら、層20の厚み以上の立体感を表現することができ、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現することができる。
【0568】
第2の実施形態の加飾積層体10において、凹凸構造25は、エンボス型ホログラムを構成する。
【0569】
このような加飾積層体10によっても、凹凸構造25の高さH25以上の立体感(奥行き感)を表現することができる。これにより、層20の厚みを薄くしながら、層20の厚み以上の立体感を表現することができ、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現することができる。
【0570】
第2の実施形態の加飾積層体10において、粒子Pは、高屈折率材料からなる。
【0571】
この場合、粒子Pを含む層20又は30と、当該層20又は30に隣接する層との間に(例えば、層20と層50の間、層30と層20又は50との間に)、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0572】
第2の実施形態の加飾積層体10において、高屈折率材料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素からなる。
【0573】
この場合、粒子Pを含む層20又は30の屈折率と、当該層20又は30に隣接する層の屈折率との差を十分に得ることができる。このため、より豊かな意匠表現を実現できる。
【0574】
第2の実施形態の加飾積層体10において、粒子Pは、顔料及び/又は染料からなる。
【0575】
この場合、粒子Pを含む層20又は30と、当該層20又は30に隣接する層との間に(例えば、層20と層50の間、層30と層20又は50との間に)、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。また、粒子Pを含む層20又は30に、顔料及び/又は染料の色に応じた色を付与することができる。
【0576】
第2の実施形態の加飾積層体10において、顔料は、光反射性顔料又は光吸収性顔料である。
【0577】
第2の実施形態の加飾積層体10において、粒子Pは、カーボンブラック、無機顔料、酸化鉄顔料又は複合金属酸化物顔料からなる。
【0578】
第2の実施形態の転写シート7は、基材72と加飾積層体10とを備える。このような転写シート70を用いることにより、加飾積層体10を備えた加飾部材3を製造することが容易である。
【0579】
第2の実施形態の加飾部材3は、成形部65と加飾積層体10とを備える。加飾積層体10は、成形部65の少なくとも一部を覆う。このような加飾部材3によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0580】
第2の実施形態の移動体1は、加飾積層体10を備えている。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0581】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10は、凹凸構造25を有する賦形層20と、凹凸構造25の凹凸面20aを覆う輝度調整層30と、を備える。凹凸構造25は、複数の凸部27と、複数の凸部27の間に形成される凹部28と、を有する。輝度調整層30の厚みが、凹部28の深さH26よりも小さい。輝度調整層30の厚みは不均一である。
【0582】
この場合、加飾積層体10の反射率を抑制できる。
【0583】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において凹凸構造25の凹凸面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。ある一つの傾倒面26A上の輝度調整層30が第1の厚みt1を有する。他の一つの傾倒面26A上の輝度調整層30が第2の厚みt2を有する。第1の厚みt1と第2の厚みt2とが異なる。
【0584】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10において、凹凸構造25は、レンズ構造をなす。この場合、傾倒面26Aはレンズ面である。接続面26Bはライズ面である。
【0585】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10において、第1の厚みt1と第2の厚みt2との差の絶対値が、100nm以上である。この場合、輝度調整層30の反射率を効果的に抑制することができる。
【0586】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折及び/又は回折させる。単位光学要素13において凹凸構造25の凹凸面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、加飾積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Lに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、基準線Lに向けて傾倒する。角度θAは、傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度である。角度θBは、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度である。傾倒面26Aの角度θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの角度θBよりも大きい。ある一つの傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みが不均一である。
【0587】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10において、凹凸構造25は、レンズ構造をなす。この場合、傾倒面26Aはレンズ面である。接続面26Bはライズ面である。
【0588】
第1及びある一つの傾倒面26A上の輝度調整層30の厚みの最大値と最小値との差の絶対値が、100nm以上である。この場合、輝度調整層30の反射率を効果的に抑制することができる。
【0589】
第1及び第2の実施形態の加飾積層体10において、輝度調整層30の賦形層20に対面する面とは反対側の面が、凹凸構造25に対応した凹凸を有する。
【0590】
この場合、輝度調整層30と上記反対側の面に隣接する層(例えば、充填層50)との間に、凹凸構造25に応じた反射界面を形成することが容易である。また、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することが容易である。
【0591】
この場合、輝度調整層30の厚みの平均が、凹凸構造25の高さH25の50%以下であってよい。
【0592】
第2の実施形態の加飾積層体10において、加飾積層体10は、追加の輝度調整層62を更に備える。
【0593】
この場合、輝度調整層30だけでなく追加の輝度調整層62によっても、上記全光線反射率及び上記拡散光線反射率を調節することができる。
【0594】
第2の実施形態の転写シート70は、基材72と加飾積層体10とを備える。このような転写シート70を用いることにより、加飾積層体10を備えた加飾部材3を製造することが容易である。
【0595】
第2の実施形態の加飾部材3は、成形部65と加飾積層体10とを備える。加飾積層体10は、成形部65の少なくとも一部を覆う。このような加飾部材3によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0596】
第2の実施形態の移動体1は、加飾積層体10を備えている。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0597】
なお、以上において上述した第1の実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、第1の実施形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、第1の実施形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0598】
また、以上において上述した第2の実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、第2の実施形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、第2の実施形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0599】
更に、上述した第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて適用することも可能である。また、第1の実施形態及び各変形例並びに第2の実施形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、第1の実施形態及び各変形例並びに第2の実施形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
3:加飾部材、10:加飾積層体、13:単位光学要素、20:賦形層、23:単位賦形要素、25:凹凸構造、26A:傾倒面、26B:接続面、27:凸部、28:凹部、30:輝度調整層、40:透過率調整層、41:単位調整要素、50:充填層、55:機能層、57:基材層、58:バッカー層、60:隠蔽層、62:追加の輝度調整層、65:成形部、P:粒子