(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163996
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】紐破損張力補償装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F16G 11/00 20060101AFI20241119BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20241119BHJP
A43C 11/24 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F16G11/00 H
F16H19/02 D
A43C11/24
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024113061
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023033147の分割
【原出願日】2014-09-15
(31)【優先権主張番号】61/877,628
(32)【優先日】2013-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/937,372
(32)【優先日】2014-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】トルーデル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホエーウェル,エリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物品を迅速に閉鎖して固定できるようにする。
【解決手段】リール式閉鎖装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置されたスプールを含む。回転制御構成要素は、スプールと動作可能に結合され、スプールが第1の方向に回転することを可能にする一方で、スプールの第2の方向への回転を防止する。ノブは、ハウジングに対するノブの回転が、スプールを第1の方向に回転させて引張部材をスプールの周りに集めるように、回転制御構成要素と動作可能に結合される。ハウジングは、回転制御構成要素と係合してスプールの第2の方向への回転を防止する1つまたは複数のアームを含む。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部領域を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部領域内に回転可能に配置されたスプールであって、前記スプールは、周囲に引張部材を集めるように構成されている、スプールと、
前記スプールと動作可能に結合され、前記スプールが第1の方向に回転することを可能にする一方で、前記スプールの第2の方向への回転を防止する回転制御構成要素と、
前記ハウジングに対するノブの回転が、前記スプールを前記第1の方向に回転させて前記引張部材を前記スプールの周りに集めるように、前記回転制御構成要素と動作可能に結合される、ノブと
を備え、
前記ハウジングは、前記回転制御構成要素と係合して前記スプールの前記第2の方向への回転を防止する1つまたは複数のアームを含む、リール式閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]この出願は、“紐破損張力補償装置及び方法”と題される2013年9月13日に出願された米国特許出願公開第61/877,628号明細書及び“紐破損張力補償装置及び方法”と題される2014年2月7日に出願された米国特許出願公開第61/937,372号明細書の優先権を主張し、これらの出願の全体の開示は、全ての目的のため、あたかも本明細書中に完全に記載されるかのように参照により本願に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]本明細書中に記載される実施形態は、ブレース、医療装置、靴、衣類、衣服などの様々な物品のための閉鎖装置に関する。そのような物品は、一般に、物品を身体部分の周囲に配置して閉鎖できるようにする閉鎖装置を含む。閉鎖装置は、一般に、物品を身体部分に保持する或いは固定するために使用される。例えば、靴は、一般に、個人の足上にわたって配置され、また、足の周囲で靴を閉鎖して靴を足に固定するために、紐に張力が付与されて紐が縛られる。従来の閉鎖装置は、身体部分の周囲の物品の嵌め合い及び/又は快適さを高めるために努力して改変されてきた。例えば、靴レーシング形態及び/又はパターンは、着用する靴の嵌め合い及び/又は快適さを高めようとして改変されてきた。また、従来の閉鎖装置は、物品を閉鎖して身体部分の周囲に固定できる時間を減らすべく努力して改変されてきた。これらの改変は、物品を迅速に閉鎖して足に固定できるようにする様々なプルコード、ストラップ、及び、張力付与装置の使用をもたらしてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本明細書中に記載される実施形態は、閉鎖システム及びそのための構成要素を提供する。
1つの態様によれば、物品を締め付けるためのリールは、物品と結合できるベース部材と、ベース部材の上に位置されるとともにベース部材と取り外し可能に結合できるハウジングとを含む。ハウジングは、スプールが内部に位置される内部領域を含む。スプールは、ハウジング内で回転できるとともに、中心ポストを含み、該中心ポストの周りに引張部材が巻回される。ノブ部材がスプールと結合され、ノブ部材は、引張部材をスプールの中心ポストの周りに巻回するためにスプールをハウジングの内部領域内で第1の方向に回転させるように構成される。また、リールは、スプール及びハウジングと結合される荷重保持機構も含む。荷重保持機構は、スプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを防止するべく第1の方向とは反対の第2の方向でのスプールの回転を防止するために摩擦係合可能な第1の摩擦要素/構成要素及び第2の摩擦要素/構成要素を含む。ノブ部材の第1の方向の回転は、第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を低下させて、スプールの第1の方向の回転を可能にし、また、引張部材の張力は、スプールを第2の方向に回転させるように付勢して、第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を高める。
【0004】
[0004]幾つかの実施形態において、ノブ部材は、引張部材に結び目を結ぶことができるようにする或いは結合要素を引張部材と結合できるようにするために引張部材が挿通可能なテーパ状ルーメンを含む。そのような実施形態において、結び目又は結合要素は、リールの分解を伴うことなく引張部材とスプールとの取り付けを可能にするために引張部材がルーメン内に引き込まれるときにテーパ状ルーメンと係合する。そのような実施形態において、ハウジングは、引張部材が挿通可能なルーメンを含んでもよい。ハウジングのルーメンがノブ部材のルーメンと位置合わせしてもよく、それにより、位置合わせ時に、ハウジングのルーメンが引張部材をノブ部材のルーメンを通じて方向付ける。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、ベース部材がスプリング部材を含み、該スプリング部材は、環状溝内に位置されるとともに、ハウジングを物品と取り外し可能に結合するためにハウジングの下端と解放可能に係合する。幾つかの実施形態において、リールは、ハウジングと回転可能に結合されるとともに、第2の摩擦要素の先端に取り付けられる解放機構を含む。解放機構は、スプールを第2の方向に回転させることができるようにすることによりスプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを可能にするべくハウジングに対して回転できる。幾つかの実施形態では、解放機構がロック位置とロック解除位置との間で回転できてもよく、ロック位置では、スプールの第2の方向の回転が防止され、ロック解除位置では、スプールの第2の方向の回転が可能にされる。他の実施形態において、解放機構の第2の方向の連続的な回転は、スプールの中心ポストから引張部材を繰り出すためにスプールの第2の方向の対応する回転を引き起こす。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態において、スプールは、スプールと該スプールのポストの周りに巻回される引張部材の一部とがユーザに見えるようにハウジングの1又は複数の壁によって完全に収容されない。そのような実施形態において、ハウジングの1又は複数の壁は、スプール及び/又はノブとハウジング及び/又はベース部材との結合を補強するためにベース部材又はスプールの下部からスプールの上部及び/又はノブの下面まで延びてもよい。
【0007】
[0007]幾つかの実施形態において、第1の摩擦要素は、スプールのルーメンと同軸に位置合わせされてルーメン内に位置されるハブであり、第2の摩擦要素は、ハブの周囲に巻回されるとともにスプールの第2の方向の回転を防止するべくハブの外面の周囲で収縮するように構成されるスプリングである。幾つかの実施形態では、第1の摩擦要素が一対のハブであり、前記ハブのうちの第1のハブがハウジングと結合固定されるとともに、前記ハブのうちの第2のハブがノブと結合固定される。そのような実施形態において、前記ハブのうちの第2のハブは、スプリングと前記ハブの対との摩擦係合が低下されるときに前記ハブのうちの第1のハブに対して回転するように構成される。前記ハブのうちの第2のハブは、スプリングと前記ハブの対との摩擦係合が高められるときに前記ハブのうちの第1のハブに対して回転可能にロックされる。
【0008】
[0008]他の態様によれば、物品を締め付けるためのリールは、内部領域と、物品に取り付け可能なベースとを有するハウジングと、ハウジングの内部領域内に位置されるとともにハウジングに対して回転できるスプールとを含む。スプールは中心ポストを含み、該中心ポストの周りに引張部材が巻回される。ノブ部材がスプールと結合され、ノブ部材は、引張部材をスプールの中心ポストの周りに巻回するためにスプールをハウジングの内部領域内で第1の方向に回転させるように構成される。荷重保持機構がスプール及びハウジングと結合される。荷重保持機構は、スプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを防止するべく第1の方向とは反対の第2の方向でのスプールの回転を防止するために摩擦係合可能な第1の摩擦要素及び第2の摩擦要素を含む。ノブ部材の第1の方向の回転は、第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を低下させて、スプールの第1の方向の回転を可能にし、また、引張部材の張力は、荷重保持機構を第2の方向に回転させるように付勢して、第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を高める。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態において、リールは、ハウジングと回転可能に結合されるとともに、第2の摩擦要素の先端に取り付けられる解放機構を含む。解放機構は、スプールを第2の方向に回転させることができるようにすることによりスプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを可能にするべくハウジングに対して回転できる。幾つかの実施形態では、解放機構がロック位置とロック解除位置との間で回転でき、ロック位置では、スプールの第2の方向の回転が防止され、ロック解除位置では、スプールの第2の方向の回転が可能にされる。他の実施形態において、解放機構の第2の方向の回転は、スプールの中心ポストから引張部材を繰り出すためにスプールの第2の方向の対応する回転を引き起こす。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態において、第1の摩擦要素は、スプールのルーメンと同軸に位置合わせされてルーメン内に位置されるハブであり、第2の摩擦要素は、ハブの周囲に巻回されるとともにスプールの第2の方向の回転を防止するべくハブの外面の周囲で収縮するように構成されるスプリングである。幾つかの実施形態では、第1の摩擦要素が一対のハブであり、前記ハブのうちの第1のハブがハウジングと結合固定されるとともに、前記ハブのうちの第2のハブがノブと結合固定される。そのような実施形態において、前記ハブのうちの第2のハブは、スプリングと前記ハブの対との摩擦係合が低下されるときに前記ハブのうちの第1のハブに対して回転するように構成され、前記ハブのうちの第2のハブは、スプリングと前記ハブの対との摩擦係合が高められるときに前記ハブのうちの第1のハブに対して回転可能にロックされる。
【0011】
[0011]他の態様によれば、リール式機構を用いて靴を組み付けるための方法は、リールを用意するステップであって、リールが、ベース部材と、内部領域を有するハウジングと、ハウジングの内部領域内に位置されるとともにハウジングに対して回転できるスプールと、スプールと結合されるノブ部材と、スプール及びハウジングと結合される荷重保持機構とを含む、ステップを含む。スプールは中心ポストを含み、該中心ポストの周りに引張部材が巻回され、また、ノブ部材は、引張部材をスプールの中心ポストの周りに巻回するためにスプールをハウジングの内部領域内で第1の方向に回転させるように構成される。荷重保持機構は、スプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを防止するべく第1の方向とは反対の第2の方向でのスプールの回転を防止するために摩擦係合可能な第1の摩擦要素及び第2の摩擦要素を含む。荷重保持機構は、ノブ部材の第1の方向の回転が第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を低下させてスプールの第1の方向の回転を可能にするとともに、引張部材の張力が荷重保持機構を第2の方向に回転させるように付勢して第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を高めるように構成される。また、方法は、ベース部材を物品と結合するステップも含む。
【0012】
[0012]幾つかの実施形態では、ハウジングがベース部材と一体に形成される。幾つかの実施形態では、ハウジングがベース部材と取り外し可能に結合できる。幾つかの実施形態では、ベース部材がスプリング部材を含み、該スプリング部材は、環状溝内に位置されるとともに、ハウジングを物品と取り外し可能に結合するためにハウジングの下端と解放可能に係合する。
【0013】
[0013]他の態様によれば、構成要素を物品に解放可能に取り付けるための機構は、物品に取り付け可能なベース部材を含む。ベース部材は、内側キャビティ又は開口と、内側キャビティ又は開口内に配置されるチャネルと、チャネル内に位置されるスプリング構成要素とを含む。スプリング構成要素は、構成要素の下端をベース部材の内側キャビティ又は開口内にロックすることにより構成要素をベース部材と解放可能に結合するべく構成要素が内側キャビティ又は開口内に挿入されるときに構成要素の下端の周りで径方向に撓むように構成される。
【0014】
[0014]幾つかの実施形態では、内側キャビティ又は開口のチャネルが環状チャネルであり、また、スプリング構成要素は、構成要素の下端が内側キャビティ又は開口内に挿入されるときに環状チャネル内で径方向に撓む。そのような実施形態において、スプリング構成要素は、径方向の撓み時に拡大する内径を有するスプリットリングスプリングであってもよい。そのような実施形態では、内径の拡大が環状チャネルによって抑制されてもよく、構成要素の下端の外径は、環状チャネルによって許容されるスプリットリングの最大内径より大きくてもよく、それにより、ベース部材の内側キャビティ又は開口内への構成要素の下端の挿入を可能にするべく構成要素の下端の挿入がベース部材又は構成要素の下端を屈曲させる。
【0015】
[0015]幾つかの実施形態において、構成要素の下端は、スプリング構成要素が内部に位置される環状チャネルを含み、又は、構成要素の下端が複数のロックタブを含み、構成要素の下端を内側キャビティ又は開口内にロックするためにスプリング構成要素がロックタブの周囲で屈曲する。幾つかの実施形態において、スプリング構成要素は、スプリットリング、馬蹄形スプリング、又は、クローバスプリングである。幾つかの実施形態において、ベース部材は、該ベース部材の下端の外周全体又はその一部から径方向に延びるフランジを更に含む。フランジは物品と結合可能であってもよい。
【0016】
[0016]他の態様によれば、構成要素を物品に対して解放可能に取り付けるための方法は、内側キャビティ又は開口と、内側キャビティ又は開口内に配置されるチャネルと、チャネル内に位置されるスプリング構成要素とを含むベース部材を用意するステップを含む。また、方法は、ベース部材を物品に取り付けるステップと、スプリング構成要素が構成要素の下端の周囲で径方向に撓むことにより構成要素の下端をベース部材の内側キャビティ又は開口内にロックするように構成要素の下端を内側キャビティ又は開口内に挿入するステップとを含む。幾つかの実施形態において、ベース部材を物品に取り付けるステップは、ベース部材のフランジを物品に結合するステップを含む。
【0017】
[0017]他の態様によれば、物品を締め付けるための紐締めシステムは、引張部材と、引張部材を物品の周囲の経路に沿って案内するために物品の周りに位置されるとともに引張部材と動作可能に結合される複数のガイド部材とを含む。また、紐締めシステムは、物品の締め付けを行うために引張部材と動作可能に結合されるとともに第1の張力レベルまで引張部材に張力を付与するように構成される締め付け機構も含む。紐締めシステムは、引張部材と結合されるストッパ部材を更に含む。ストッパ部材は、引張部材の破断時に、引張部材において第2の張力レベルを維持し、それにより、物品の締め付けを維持するために、複数のガイド部材のうちの少なくとも1つと係合するように構成される。第2の張力レベルは、第1の張力レベルよりも小さいとともに、公称張力レベルよりも大きい。
【0018】
[0018]幾つかの実施形態において、ストッパ構成要素は、引張部材と物品との結合の後に引張部材と結合するように構成される。幾つかの実施形態において、ストッパ構成要素は、引張部材の一部が挿通して位置されるルーメンと、引張部材の一部が周囲に巻回されるチャネルとを含む。ストッパ構成要素は、ストッパ構成要素が複数のガイド部材のうちの少なくとも1つに引き通されることを防止するために複数のガイド部材のうちの少なくとも1つの開口よりも大きい。
【0019】
[0019]他の態様によれば、引張部材における張力を引張部材の破断時に維持するための方法が提供される。方法では、引張部材が物品を締め付けるために使用され、物品は、引張部材と、引張部材を物品の周囲の経路に沿って案内するために、物品の周りに位置されるとともに、引張部材と動作可能に結合される複数のガイド部材と、物品の締め付けを行うために、引張部材と動作可能に結合されるとともに、第1の張力レベルまで引張部材に張力を付与するように構成される締め付け機構とを含む。方法は、ストッパ部材を引張部材と結合させるステップを含む。ストッパ部材は、引張部材の破断時に、引張部材において第2の張力レベルを維持し、それにより、物品の締め付けを維持するために、複数のガイド部材のうちの少なくとも1つと係合するように構成される。第2の張力レベルは、第1の張力レベルよりも小さいとともに、公称張力レベルよりも大きい。
【0020】
[0020]本発明は、添付の図と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】足又は四肢の周りで靴又は他の衣服又は装置を締め付けるために使用されてもよい一般的な閉鎖システム又は紐締めシステムを示す。
【
図2】足又は四肢の周りで靴又は他の衣服又は装置を締め付けるために使用されてもよい一般的な閉鎖システム又は紐締めシステムを示す。
【
図3】足又は四肢の周りで靴又は他の衣服又は装置を締め付けるために使用されてもよい一般的な閉鎖システム又は紐締めシステムを示す。
【
図4】足又は四肢の周りで靴又は他の衣服又は装置を締め付けるために使用されてもよい一般的な閉鎖システム又は紐締めシステムを示す。
【
図5A】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5B】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5C】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5D】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5E】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5F】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図5G】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図6A】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図6B】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図6C】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図6D】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図7A】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図7B】紐の破損又は破断の後に紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態を示す。
【
図8A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図8B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図8C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図8D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図8E】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図8F】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの一実施形態を示す。
【
図9A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9E】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9F】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9G】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9H】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9I】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9J】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9K】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9L】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9M】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9N】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9O】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9P】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9Q】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9R】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図9S】スプリング-ハブ機構の別の実施形態を示す。
【
図9T】スプリング-ハブ機構の別の実施形態を示す。
【
図9U】スプリング-ハブ機構の別の実施形態を示す。
【
図10A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10E】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10F】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10G】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図11A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図11B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図11C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図11D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図11E】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図12A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図12B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図12C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図12D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13A】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13B】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13C】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13D】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13E】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図13F】物品を閉鎖する及び/又は締め付けるために使用されてもよいリールアセンブリの他の実施形態を示す。
【
図14A】構成要素を物品に解放可能に取り付けるための機構を示す。
【
図14B】構成要素を物品に解放可能に取り付けるための機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0032]添付の図では、同様の構成要素及び特徴が同じ数値参照ラベルを有する場合がある。また、同じタイプの様々な構成要素が、同様の構成要素及び/又は特徴の間を区別する文字を参照ラベルの後に続けることによって区別される場合がある。最初の数値参照ラベルのみが明細書中で使用される場合、記述は、添え字にかかわらず同じ最初の数値参照ラベルを有する同様の構成要素及び/又は特徴のうちの任意の1つに適用できる。
【0023】
[0033]以下の説明は、典型的な実施形態を与えるにすぎず、本開示の範囲、適用性、又は、形態を限定しようとするものではない。むしろ、典型的な実施形態の以下の説明は、1つ以上の典型的な実施形態を実施できるようにする説明を当業者に与える。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置において様々な変更がなされてもよいことが理解されるべきである。
【0024】
[0034]本明細書中に記載される実施形態は、靴の構成要素の破損を補償するために使用されてもよい様々な装置及び方法を提供する。例えば、靴の紐は、絶え間ない疲労により及び/又は過酷な条件及び/又は紐応力に晒されることにより破断する場合がある。例えば、ロッククライミング、競技、及び、同様のもの等の幾つかの活動では、靴の紐が鋭利な及び/又は粗い物体と接触して擦り付く場合がある。物体により、靴の紐が僅かに擦り切れる、裂ける、或いはさもなければ、破断する場合がある。そのような厳しい状態に繰り返し晒されると、及び/又は、足の突然の動きに起因して紐の張力が突然に増大すると、紐が破損する場合がある。同様に、軍事的な状況では、兵士により着用される靴が極端な厳しい条件に晒される場合があり、それにより、紐の寿命が大きく低下する及び/又は紐の突然の破損を引き起こす場合がある。同様の厳しい状態を、警察官、消防士、建設作業員、他の専門の作業者等によって着用される靴が受ける場合もある。
【0025】
[0035]紐の破損により、結果的に、靴が緩くなりすぎて足に密着しなくなる場合がある。したがって、靴は、適切な或いは望ましい支持及び/又は保護をもたらすことができない場合がある。極端なケースでは、靴が足から完全に抜け落ちる場合があり、或いは、非常に緩くなって靴の着用に弊害をもたらす場合がある。例えば、ロッククライミング活動において、靴の紐の破損は、ユーザの足を荒い岩肌に晒す場合があり、及び/又は、ユーザが岩を登ろうと試みるときに滑る場合がある。これは、足の損傷或いは出血をもたらす場合があり、登山状態を危険ならしめる場合がある。スポーツの状況では、靴の損失により、結果として参加者がプレーを終える或いは完了することができなくなる場合があり、及び/又は、参加者が倒れる或いはつまずく場合がある。軍事的用途において、靴の損失又は靴の締め付けの損失により、結果として、兵士が軍事行動に参加できなくなる或いは危険な状況から逃れることができなくなる場合がある。極端なケースでは、例えば兵士が危険な状況から逃れることができない或いは結果として敵により捕らえられる或いは撃たれるときには、靴の喪失が個人の死をもたらす場合がある。
【0026】
[0036]本明細書中に記載される他の実施形態は、構成要素の使用中に可聴ノイズを殆どもたらさない靴構成要素を提供する。例えば、本明細書中に記載されるように、一部の靴は、靴の紐を締め付ける及び/又は緩めるために回転されてもよいノブ・リールアセンブリを使用して張力が付与される或いは締め付けられる。従来のリールアセンブリは、しばしば、それらがユーザによって回転されるときに、可聴ノイズ、例えば1つ以上の内部構成要素からのクリック音などをもたらす。幾つかの状況では、そのような可聴ノイズをもたらすことなく靴に張力を付与する或いは靴を締め付けることが望ましい場合がある。例えば、ユーザは、靴が締め付けられているときに公共の場にいる場合があり或いは自分自身に注意を引き付けたくない場合がある。同様に、ハンター又は野外活動家は、しばしば、自分達の場所に標的が警戒するのを避けるために可能な限り静かなままでいたい。軍事的な状況において、兵士は、自分達の場所に敵が警戒するのを避けるために及び/又は兵士が敵に気付かれずにこっそり近づくことができるようにするために可聴ノイズを引き起こしたくない場合がある。
【0027】
[0037]実施形態のこれらの態様及び他の態様は、以下で与えられる幾つかの図の説明に関連して実現される。しかしながら、特定の実施形態を説明する前に、
図1-
図4は、足又は四肢の周りで靴又は他の衣服又は装置を締め付けるために使用されてもよい閉鎖システム又は紐締めシステムの一般的な描写として与えられる。また、実施形態が主に靴に向けられるが、物体に張力を付与する必要があるほぼ任意の用途に対して本明細書中に記載される実施形態が適用されてもよいことも理解されるべきである。例えば、実施形態は、様々な医療用途で、サスペンダーで、スポーツ器具、室外着、バックパック、帽子等で使用されてもよい。
【0028】
[0038]ここで、
図1を参照すると、靴102を締め付けるために使用される紐締めシステム100の一実施形態の斜視図が示される。靴は、着用者の足の周囲で締め付けられ得る任意の適した履物であってもよい。紐締めシステム100は、例えばベルト、帽子、手袋、スノーボードバインディング、医療用ブレース、又は、バッグなどの本明細書中に記載される様々な他の物品を閉鎖する或いは締め付けるために使用され得る。紐締めシステムは、リールアセンブリ104、紐106、及び、1つ以上の紐ガイド108を含むことができる。図示の実施形態では、リールアセンブリ104を靴の舌110に取り付けることができる。様々な他の形態も想定し得る。例えば、リールアセンブリ104を靴102の側面に取り付けることができ、これは、舌110のごく一部だけを露出させたままにして締め付けられるときに靴側面112a,112bが互いに引き寄せられて近づくようになっている靴にとって有利となり得る。リールアセンブリ104を靴102の背面に取り付けることもでき、また、紐106の一部は、背面装着されたときのリールアセンブリ104と紐106が係合され得るように、着用者の足首の両側で、時として紐が挿通して移動するためのチューブを使用して、靴102を通り抜けることができる。幾つかの実施形態では、リールアセンブリ104がレーシングスロートの上端又は上端付近の側面に取り付けられてもよい。
【0029】
[0039]
図2は、紐締めシステム100又は本明細書中に記載される任意の他の紐締めシステムに類似し得る紐締めシステム200の一実施形態の斜視図である。紐締めシステムは、リールアセンブリ104又は本明細書中に記載される任意の他のリール/ノブアセンブリに類似し得るリールアセンブリ204を含むことができる。
図3は、リールアセンブリ204の分解斜視図である。
図4は、リールアセンブリ204の他の分解斜視図である。
【0030】
[0040]
図2-
図4を参照すると、リールアセンブリ204は、ベース部材214、スプール部材216、及び、ノブ部材218を含むことができる。ベース部材は、ハウジング220と装着フランジ222とを含むことができる。スプールハウジング220は、径方向内側に延びることができる複数のラチェット歯224を含むことができる。ベース部材214は、紐206がスプールハウジング220に入ることができるようにする紐穴(例えば226a)を含むことができる。
【0031】
[0041]スプール部材216は、スプール部材216が軸228の周りでスプールハウジング220に対して回転できるようにスプールハウジング220内に配置され得る。紐206は、スプール部材216が(矢印Aにより示される)締め付け方向に回転するときに紐206がスプールハウジング220内に引き込まれてスプール部材216に形成されるチャネル230の周囲に巻回されるとともにスプール部材216が(矢印Bにより示される)緩め方向に回転するときに紐206がスプール部材216のチャネル230から繰り出してスプールハウジング220から紐穴(例えば226a)を介して抜け出るようにスプール部材216に固定され得る。また、スプール部材216は、該スプール部材に形成されるスプール歯232を含むこともできる。矢印Bにより示される方向の回転が紐を締め付けるように本明細書中に開示される実施形態を変更できることが理解され得る。この特定の実施形態において、ノブ部材218は、スプールが方向Bに惰性で回って紐を解放できるようにするべくスプール230から離れるように軸方向で隆起してもよい。他の実施形態では、矢印Aにより示される方向でのノブ部材218の回転が紐締めシステムを緩めてもよい。特定の実施形態では、紐締めシステムを緩めるためにノブ部材218が(例えば、矢印Aにより示される)緩め方向に特定の量(例えば1/4回転~1/2回転)だけ回転されてもよい。紐を締め付ける、紐を解放する、又は、紐張力を調整するために他のユーザインタフェースが想定し得る。
【0032】
[0042]ノブ部材218は、ノブ部材218が軸228の周りでスプールハウジング220に対して回転できるようにスプールハウジング220に取り付けられ得る。ノブ部材218は、締め付け方向でのノブ部材218の回転によりスプール部材216も締め付け方向に回転するようにノブ部材218をスプール部材216に結合するためにスプール歯232と噛み合うべく構成され得るノブ歯234を含むことができる。幾つかの実施形態において、緩め方向でのノブ部材218の回転は、スプール部材216を緩め方向に回転させることもできる。ノブ部材218は、ラチェット歯224と噛み合うように径方向外側に付勢され得る1つ以上の爪236を含むこともできる。爪236及びラチェット歯224は、ノブ部材218が締め付け方向に回転されるときにラチェット歯224が爪236を径方向内側に移動させることができ、それにより、ノブ部材218が締め付け方向に回転できるように構成され得る。他の実施形態において、爪236及びラチェット歯224の形態は、爪236が内側に付勢するように逆にされてもよい。爪236及びラチェット歯224は、ノブ部材218を緩め方向にねじるべく力が印加されるときにそれらが互いに係合し、それにより、ノブ部材218が緩め方向に回転することを防止するように構成することもできる。他の構成において、ラチェット歯224は、軸方向で噛み合うように対応して配置されるノブ爪部材(図示せず)と係合するように軸方向に向けられてもよい。
【0033】
[0043]したがって、リールアセンブリ204などのリールアセンブリは、ユーザがノブ部材218を締め付け方向に回転させることができるようにし、それにより、スプール部材216が締め付け方向に回転し、その結果、紐206が紐穴(例えば226a)を介してスプールハウジング220に引き込まれるように構成される一方向締め付けシステムをもたらすことができる。紐206がスプールハウジング220内に引き込まれるにつれて、紐締めシステム200は締まることができ、それにより、紐ガイド208がリールアセンブリ204へ向かう(
図2に矢印Cにより示される)方向に引き寄せられる。紐締めシステム200は単一の紐ガイド208と共に示されるが、任意の他の適した数の紐ガイドを使用できる。リール・紐締めシステムの他の特徴は、”リール式紐締めシステム”と題される2011年4月29日に出願された米国特許出願公開第2011/0266384号明細書に記載され、その全体の開示は参照により本願に組み入れられる。
【0034】
[0044]ここで、
図5A-
図7Bを参照すると、紐の破損又は破断の後に閉鎖システム又は紐締めシステムの紐に張力を付与したままにすることができる実施形態が示される。
図5A-
図7Bに示される実施形態は、前述したようなリールアセンブリ及びノブ装置を含む紐締めシステムを示す。しかしながら、実施形態がそのような紐締めシステムに限定されないこと、及び、実施形態がほぼ任意の従来の紐締めシステム、例えば標準的な靴紐又はプルコードシステム等と共に使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0035】
[0045]
図5A及び
図5Bは、前述したような複数のガイド506の周りに位置される紐502を含む紐締めシステム500を示す。ストッパ部材504が一対のガイド506間の紐経路の先端に位置される。ストッパ部材504は、紐502と結合されるとともに、紐502の破断時又は破損時に靴が完全に緩くなるのを防止するべく及び/又は紐締めシステム500のリールアセンブリをその後に操作して紐502に張力を付与できるようにするべく紐の半分がガイドと結合されて張力を付与されたままとなるように紐502をほぼ半分に分ける。例えば、位置508で示されるような紐の破断時又は破損時に、ストッパ部材504は、紐502と結合されたままであるとともに、ストッパ部材504がガイド506と接触する又は係合するまでガイド506の方へ引かれる。ストッパ部材504とガイド506との係合は、紐締めシステムの紐502の半分に張力が付与されたままであるように紐502の更なる滑りを防止する。
【0036】
[0046]張力は、ストッパ部材504が対向するガイド間のほぼ中央位置からガイド506と係合する状態へと移動するため、ある程度まで減少し得るが、靴における全体の張力は、さもなければ紐502の全面的な破損に伴って得られる張力よりもかなり大きい。また、ストッパ部材504がガイド506と係合された状態で紐締めシステム500のリールアセンブリを操作して紐502に更に張力を付与してもよい。したがって、紐張力及び靴の締め付けの僅かな減少でさえ、紐締めシステムのリールアセンブリを使用して紐502に再び張力を付与することによって是正され得る。
図5Aに示されるように、幾つかの実施形態において、ストッパ部材504は、紐502上にわたって位置されて紐の周りでクランプされてもよいクランプ構成要素を含んでもよい。そのようなクランプ構成要素は、フェイルセーフモードを与えるために従来の紐又は紐締めシステムと共にクランプされてもよい。他の実施形態において、ストッパ部材504は、組み込み構成要素であってもよく、或いはさもなければ、紐502に事前に嵌め付いてもよい。クランプ構成要素に加えて、ストッパ部材504は、ロック可能なフェルール、捩じ込み紐ロック等であってもよい。
【0037】
[0047]
図5Eは、紐の破損時に紐張力及び靴の締め付けを維持することができるストッパ部材を含む紐締めシステム510の他の実施形態を示す。具体的には、
図5Eは、第1の紐512及び第2の紐514とそれぞれ結合される一対のストッパ部材513,515を示す。前述したように、例えばポイント516での第1の紐512の破損時、第1の紐512の更なる滑りを防止して靴の幾らかの張力又は締め付けを維持するために第1のストッパ部材513が紐締めシステム510のガイドと係合する状態へと引かれる。同様に、例えばポイント517での第2の紐514の破損時、第2の紐514の更なる滑りを防止して靴の幾らかの張力又は締め付けを維持するために第2のストッパ部材515が紐締めシステム510のガイドと係合する状態へと引かれる。その後、第1及び/又は第2の紐512,514にそれぞれ張力を更に付与するために紐締めシステム510のリールアセンブリが操作されてもよい。
【0038】
[0048]
図5Eの実施形態は、紐締めシステム510の耐破損において冗長性を与える。つまり、紐締めシステムの紐の全体的な或いは破滅的な破損をもたらすためには、紐締めシステムの紐が約4回破損しなければならない。例えば、第1の紐512(すなわち、ポイント516)の破損時、第1の紐512の半分は張力が付与されたままである一方、第2の紐514の全体は張力が付与されたままであり、或いは、逆もまた同様である。同様に、第2の紐514(すなわち、ポイント517)の破損時、第1の紐512の半分は張力が付与されたままであるとともに、第2の紐514の半分は張力が付与されたままである。紐の一方の更なる破損時(例えば、ポイント518での第2の紐514の破損)、紐締めシステムの紐(例えば、図示のような紐512)の半分は、該紐も同様に破損又は破断を受けるまで張力が付与されたままである。紐締めシステム510の冗長性は、全体的な或いは破滅的な破損を受ける前に長期にわたって靴を極端な厳しい状態に晒すことができるようにする。
【0039】
[0049]
図5C及び
図5Dは、引張部材又は紐と結合されてもよいストッパ構成要素520を示し、この場合、引張部材の破断時にストッパ構成要素がガイド部材(例えば、ガイド506等)と係合して紐の張力を維持するようになっている。本明細書中で説明されるように、紐張力は、初期の張力又は第1の張力レベルよりも小さい第2の張力レベルまで僅かに減少する場合があるが、減少された張力又は第2の張力レベルは、紐張力がない等の公称張力レベルよりも大きい。減少された又は第2の張力レベルは、物品が十分な締め付けレベルを維持するようにするために十分である。例えば、張力は、靴又は履物がユーザの足にとどまり続けてユーザが靴又は履物を使用できるようにするのに十分である。本明細書中に記載されるように、紐は、それ以降、第1の張力レベル付近まで又はそれよりも大きくなるまで紐張力を増大させるべく破断後に再び張力が付与されてもよい。
【0040】
[0050]ストッパ構成要素520は本体522を含んでもよく、本体522は、該本体を貫通して延びるルーメン526を有する。ルーメン526は、紐が物品と結合されてから或いは結合された後にストッパ構成要素520が紐と結合できるようにする。例えば、靴紐が靴の周囲に位置されてもよく、また、その後、靴紐の一部がストッパ構成要素520と結合されてもよい。紐は、紐にループを形成してループをストッパ構成要素520のルーメン526に挿通することによってストッパ構成要素と結合されてもよい。紐のループは、その後、ストッパ構成要素本体522の上部と下部との間に形成されるチャネル524内に位置されてもよい。ループは、紐をストッパ構成要素520と結合させるためにチャネル524内に1回又は複数回位置されてもよい。本明細書中に記載されるように、ストッパ構成要素520は、ストッパ構成要素520がガイドを通り抜けて引かれないようにするために隣接するガイドの開口よりも大きく寸法付けられる。
【0041】
[0051]1つの実施形態によれば、紐又は引張部材の張力を紐の破断時に維持するための方法は、ストッパ部材を物品の紐と結合することを含み、物品は、紐と、物品の周囲の経路に沿って引張部材を案内するために物品の周囲に位置されるとともに引張部材と動作可能に結合される複数のガイド部材と、物品の締め付けを行うために引張部材と動作可能に結合されるとともに引張部材に第1の張力レベルまで張力を付与するように構成される締め付け機構とを含む。ストッパ部材は、引張部材の破断時に、引張部材において第2の張力レベルを維持し、それにより、物品の締め付けを維持するために、複数のガイド部材のうちの少なくとも1つと係合するように構成される。第2の張力レベルは、第1の張力レベルよりも小さいとともに、公称張力レベルよりも大きい。
【0042】
[0052]
図5Gは、紐締めシステムの紐の破損時又は破断時に張力が付与されたままであり続けることができる紐締めシステム520の他の実施形態を示す。紐締めシステム520は、基端がリールアセンブリと結合されるとともに先端が終端され或いはガイド526と結合固定される第1の紐522を含む。また、紐締めシステム520は、基端がリールアセンブリと結合されるとともに先端が終端され或いはガイド524と結合固定される第2の紐523を含む。紐のうちの一方の破損時、例えば第1の紐522の破断528時、他方の紐(例えば紐523)は、リールアセンブリと結合されてそれぞれのガイド(例えばガイド524)と結合固定されたままである。このようにすると、紐締めシステムの紐の約1/2は、靴の周囲で張力が付与されたままであり、リールアセンブリを介して依然として張力を付与できる。第1及び/又は第2の紐522,523の先端は、紐を終端させる或いは紐と結合固定するように特別に形成されるガイドを使用することによって終端され或いはそれぞれのガイドと結合固定されてもよい。他の実施形態において、紐に結び目がつけられてもよく、或いは、システムは、バレル留め具、ネジ切り留め具、クラムシェルスナップ留め具、カムロック、スクリーンロック、及び/又は、当該技術分野において知られる任意の他の機械的締結具又は他の締結具を使用してもよい。
【0043】
[0053]
図6Aは紐締めシステム600の他の実施形態を示し、この実施形態では、耐破損冗長性が紐締めシステム600に組み込まれる。例えば、紐締めシステム600は第1の紐602及び第2の紐604を含み、これらの紐はいずれも、リールアセンブリと結合するとともに、紐経路に沿って複数の紐ガイドにわたって巻き付く。ストッパ部材606が紐経路の先端で且つ2つの紐ガイド間で第1の紐602及び第2の紐604の両方と結合される。ストッパ部材606及び2つの紐602,604の使用により、紐締めシステムは、ストッパ部材606が紐ガイドのうちの1つと接触する状態へと引かれる前に、少なくとも1つの紐破損、一般的には2つの紐破損に耐えることができる。
【0044】
[0054]例えば、第1の紐602が第1の破損又は破断を受ける場合には、第1の紐602と同じ紐経路にわたって巻回される第2の紐604の使用に起因して、ストッパ部材606は靴に対して所定位置にとどまり、また、靴の嵌め合い又は締め付けは比較的不変のままである。また、ストッパ部材606の使用に起因して、第1の紐602の半分も張力を受けたままである。第1の紐602が張力を付与されたままである第1の紐602の部分で第2の破損又は破断を受ける場合にも、第2の紐604により、先と同様、ストッパ部材606は、靴に対して所定位置にとどまり、靴の嵌め合い又は締め付けをほぼ維持する。そのようなシナリオにおいて、ストッパ部材606は、第2の紐604の破損時にのみ紐ガイドと接触する状態へと引かれる。張力を受けたままである第2の紐604の部分には、その後に、望み通りにリールアセンブリを介して張力を更に付与することができる。第2の紐604の更なる破損は、紐締めシステム600の紐の全体的な或いは破滅的な破損をもたらす。
【0045】
[0055]他のシナリオでは、ストッパ部材606が紐ガイドと接触する状態へと引かれる前に、第1の紐602及び第2の紐604がそれぞれ少なくとも1回破損する。例えば、第1の紐602がストッパ部材606の第1の側603で破損するとともに、第2の紐604が第1の側603と反対側のストッパ部材606の第2の側605で破損する場合には、ストッパ部材606が靴に対して所定位置にとどまり、また、靴の嵌め合い又は締め付けはほぼ影響されないままである。これは、ストッパ部材606が第1の側603で第2の紐604と結合されたままであるとともに第2の側605で第1の紐602と結合されたままだからである。いずれか一方の紐602,604の更なる破損により、結果的に、ストッパ部材606が前述したように紐ガイドと接触する状態へと引かれる。
【0046】
[0056]第1の紐602及び第2の紐604がいずれもストッパ部材606の同じ側(例えば、側603又は側605)で破損するシナリオでは、ストッパ部材606が紐ガイドと接触する状態へと引かれる。
【0047】
[0057]紐締めシステム600は、例えば靴の嵌め合い又は締め付けを維持することが紐の破損時に決定的に重要な意味を持つときなど、ある場合に好ましいかもしれない。また、紐締めシステム600は、紐締めシステム600の紐の一方の破損時に紐経路が保たれて靴を締め付けるために使用できるため、好ましいかもしれない。つまり、紐締めシステム600では、紐の破損により、結果的に、紐の半分だけを使用して靴に張力を付与する或いは靴を締め付けることができない。
【0048】
[0058]
図6Bは、紐締めシステム600に類似する紐締めシステム610を示し、この場合、紐締めシステム610は第1の紐612及び第2の紐614を含む。紐締めシステム610は、第1のストッパ部材618が第1の紐612と結合されるとともに第2のストッパ部材616が第2の紐614と結合されるという点において僅かに異なる。第1の紐612又は第2の紐614のいずれか一方の破損時に、他方の紐は、前述したように靴の嵌め合い又は締め付けを維持する。第1の紐612及び第2の紐614の両方が破損するシナリオでは、第1のストッパガイド618及び第2のストッパガイド616が図示のように引かれて紐ガイドのうちの1つに当て付く。第1の紐612及び第2の紐614が紐経路の反対側で破損する場合、第1のストッパ部材618及び第2のストッパ部材616は反対側の紐ガイドと係合する状態へと引かれ、それにより、紐締めシステム610の紐経路は比較的不変のままであり、また、第1及び第2の紐612,614に張力を付与して靴を締め付けるためにリールアセンブリを使用できる。本明細書中に記載される他の実施形態の幾つかと同様に、紐締めシステム610は、紐締めシステム610が全体的な或いは破滅的な破損を受ける前に少なくとも4つの紐破損を必要とする。
【0049】
[0059]
図6Cは、荷重釣り合わせ構成要素630と結合される第1の紐622及び第2の紐624を含む紐締めシステム620の一実施形態を示す。図示のように、第1の紐622が構成要素630の第1のプーリ634の周囲に巻回され、一方、第2の紐624が構成要素630の第2のプーリ632の周囲に巻回される。ストッパ部材635,633が第1の紐622及び第2の紐624とそれぞれ結合される。紐の一方の破損時に、ストッパ部材は、紐の更なる滑りを阻む或いは防止するストッパピンと係合する状態へとプーリの周りで回動する。例えば、
図6Cは、第2の紐624の破損と、ストッパピン637と係合する状態へと引かれる第2のストッパ部材633とを示す。ストッパ部材633は、紐をプーリ632とストッパピン637との間に位置させることによってストッパピン637と係合する状態へと引かれる。荷重釣り合わせ構成要素630は、第1の紐622及び第2の紐624の張力を紐経路の両側で釣り合わせるために対向する紐ガイド間で横方向に変位する或いは移動することができる。幾つかの実施形態において、構成要素630は、構成要素630が紐張力荷重を釣り合わせることができるようにするためにストッパ636とスライド可能に結合されてもよい。紐のうちの一方の第2の破損時、構成要素630は、残りの紐の更なる滑りを防止するためにストッパ636及び/又は紐ガイドのうちの一方と係合させられてもよい。先の実施形態の幾つかと同様に、紐締めシステム620は、全体的な或いは破滅的な破損が受けられる前に4つの紐破損を必要とする。
【0050】
[0060]
図6Dは、紐張力釣り合わせ構成要素640の一実施形態を示す。紐張力釣り合わせ構成要素640は、第1の紐654が内部に位置される第1の下側チャネル644と、第2の紐652が内部に位置される第2の上側チャネル648とを有する本体642を含む。第1のチャネル644は一対の下側紐ポート646を含み、上側紐チャネル648も同様に一対の上側紐ポート650を含む。下側及び上側紐ポート646,650はストッパ構成要素520などのストッパ構成要素よりも小さいサイズを成し、それにより、紐の破断時に、ストッパ構成要素又は紐が上側及び/又は下側紐ポート646,650と係合し、ストッパ構成要素又は紐を上側及び/又は下側紐ポート646,650に引き通すことができない。紐張力釣り合わせ構成要素640は、第1及び第2の紐652,654の紐張力を釣り合わせるために物品又は靴の周囲で移動してもよい。
【0051】
[0061]
図7A及び
図7Bは、紐の破損時又は破断時に更なる紐経路が形成され得る実施形態を示す。例えば、
図7Aは、先に説明されたように紐702及びストッパ部材706を含む紐締めシステム700を示す。紐702は、最初に、第1の紐経路705aを形成するために複数のガイドにわたって巻回されてもよい。例えば、
図7Aは、第1の紐経路705a形態を成して6つのガイドにわたって巻回される紐702を示す。ガイドの少なくとも一部、ある場合にはガイドの全ては、好ましくは、”オープンバック”ガイド、或いは、言い換えると、紐702を内部に位置させることができる開放チャネルを有するガイドである。オープンバックガイドの使用は、そのようなガイドにより、紐702をガイド内に封じ込める後壁をガイドが含まないことから、紐702をガイドから容易に取り外す或いは解くことができるため、好ましい場合がある。
【0052】
[0062]また、紐締めシステム700は、リールアセンブリに隣接して位置される結合構成要素708も含む。紐702の破断704時、紐702は、再び経路付けられて紐ガイドにわたって再巻回されるとともに、第2の紐経路705bを形成するべく結合構成要素708と結合されてもよい。結合構成要素708はチャネルを含んでもよく、該チャネルは、ストッパ部材706がチャネルを通り抜けて引かれるのを防止しつつ紐702をチャネル内に挿入できるようにするべく寸法付けられる。
【0053】
[0063]第2の紐経路705bは第1の紐経路705aよりも小さいが、第2の紐経路705bの形成は先の実施形態よりも好ましい場合がある。これは、第2の紐経路705bが十字に交差して荷重を比較的等しく靴の舌の両側で分配するからである。靴に張力を付与するために紐の半分だけが使用される先の実施形態は、靴の一方側の僅かに不均一な張力又は荷重をもたらす場合がある。
【0054】
[0064]
図7Bは、代わりの紐経路を形成できる他の実施形態を示す。
図7Bの紐締めシステム710は、初期の或いは第1の紐経路形態717aを有する第1の紐712及び第2の紐714を含む。第1のストッパ部材718が第1の紐712と結合されるとともに第2のストッパ部材716が第2の紐714と結合される。紐締めシステム710は、
図7Aの結合構成要素708と同様であってもよい第1の結合構成要素713を含む。紐締めシステム710は、レーシングガイドのうちの1つ以上の構成要素又は特徴であってもよい第2の結合構成要素715も含む。例えば、第2の結合構成要素715は、紐ガイドの突出部又はボスであってもよい。
【0055】
[0065]第1の紐712の破損時又は破断時、第1の紐712は、第1の紐712に張力を付与することにより第1のストッパ部材718が第2の結合構成要素715及び紐ガイドと係合してそれにより第1の紐712の更なる移動又は滑りが防止されるように第2の結合構成要素715(例えば、紐ガイドの突出部/ボス)と紐ガイドのチャネルとの間に位置されてもよい。同様に、第2の紐714の破断時又は破損時、第2の紐714は、再び経路付けられて1つ以上の紐ガイドにわたって再巻回されるとともに、第2の紐714の更なる移動又は滑りを防止するべく第1の結合構成要素713と結合されてもよい。このようにして、紐の一方の破損時又は破断時に代わりの紐経路717bが形成されてもよい。幾つかの実施形態では、
図7Aの場合と同様に、第1の結合構成要素713又は第2の結合構成要素715のいずれか一方又は両方がリールアセンブリよりも上側に位置されてもよい。
【0056】
[0066]前述したように、ある場合には、動作が比較的静かなリールアセンブリを設けることが有益な場合がある。そのようなリールアセンブリは、人により検知可能な可聴ノイズを本質的に生み出すことなく或いは生み出される可聴ノイズの大きさを最小限に抑えつつ紐締めシステムの紐に張力を付与できるようにしてもよい。本明細書中で使用される検知不可能/検知できない可聴ノイズの記述は、その全体の開示が参照により本願に組み入れられるMIL-STD-1474D,Req.2,20-32頁に概説されるノイズレベルを下回る任意のノイズレベルに言及している。この文献は、米国国防総省により発行される設計基準規格を与える。以下で説明される実施形態は、先の組み入れられた文献で与えられるノイズレベル標準規格を満たして勝ることができる装置である。
【0057】
[0067]また、リールアセンブリが開放に対する安全装置を有するように形成されることが望ましい場合もある。例えば、リールアセンブリは、比較的複雑な開放されるべき操作を伴ってもよく、及び/又は、2つの手の使用を伴ってもよい。そのような形態は、リールアセンブリが独りでに或いは偶然に解放するのを防止できる。例えば、ユーザがロッククライミングをしていて足の周りで靴に張力を保ってもらう必要があるときに、本明細書中に記載される安全装置は、岩又は他の物体に擦るように触れる或いはぶつかる際にリールアセンブリが開放することを防止できる。他の実施形態において、安全装置は、兵士が危険な状況から逃れているときにリールアセンブリが開放することを防止してもよく、さもなければ、リールアセンブリの開放及び履物の緩みが兵士の命を脅かす場合がある。
【0058】
[0068]ここで
図8A-
図8Fを参照すると、比較的動作が静かであるとともに偶発的な開放に対する安全装置を備えるリールアセンブリ800の一実施形態が示される。
図8A及び
図8Bに示されるように、リールアセンブリ800は、下側ノブ810及び上側ノブ802を含む。上側ノブ802は、紐(図示せず)に張力を付与することにより靴を締め付けるべくユーザにより握られてもよい。リールアセンブリ800は、リールアセンブリ800の構成要素を収容する或いは包含するハウジング840を含む。下側ノブ810は、その外表面がハウジング840の外表面上にその周囲にわたって位置されるように構成される。
【0059】
[0069]ハウジング840内にはスプール850が位置され、上側ノブ802がユーザにより回転されるとスプール850の周囲に紐が巻回される。スプール850は中心ボス852を含み、該中心ボスは、上側ノブ802のボス816の開口内にキー止めされ或いは挿入されるように構成される。キー止めされるボス852は、紐をスプール850の周囲に巻回するために上側ノブ802がユーザにより回転される際にスプール850が回転できるようにする。摩擦構成要素830もハウジング840内に位置される。摩擦構成要素830は、回転制御構成要素846の内面844と係合して相互に作用する複数の片持ちアーム832を含む。片持ちアーム832は、上側ノブ802が締め付け方向(例えば時計回り方向)に回転されるときに回転制御構成要素846の内面844に沿ってスライドする。摩擦構成要素830は、複数の爪又は爪アーム820と結合する複数の開口834を含む。具体的には、爪820の軸方向下方に延びる突出部又はボス826が摩擦構成要素830の開口834内に挿入される。
【0060】
[0070]爪820は、摩擦構成要素830と下側ノブ810の底面との間に位置される。各爪820は、複数の爪歯822がその先端に位置されて成る片持ちアームを含む。爪歯822は、回転制御構成要素846の一組の歯842とロック係合して、スプール850の逆回転を防止し、それにより、紐締めシステムの紐の緩みを防止する。
図8A及び
図8Bに示されるように、リールアセンブリ800は、複数の分かれた別個の爪820を含むが、他の実施形態では、爪の全てが一緒に取り付けられ或いは結合されるように各爪820が基端で中央リングと結合されてもよい。
【0061】
[0071]
図8Bに示されるように、上側ノブ802の底面は、爪歯822を回転制御構成要素846の歯842の組から離脱させるために使用される複数のスイーパーアーム814を含む。以下に更に詳しく説明されるように、歯842の組からの爪歯822の離脱は、人により検知できる可聴ノイズを生み出すことなくリールアセンブリ800を操作できるようにする。
図8Bにも示されるように、下側ノブ810の底面は、紐を容易に且つ完全に緩めることができる”開放”形態にリールアセンブリを位置させるためにハウジング840の片持ちアーム841と連動する複数の傾斜面又はカム面804を含む。下側ノブ810の緩め方向(例えば反時計周り方向)の回転は、ハウジングの片持ちアーム841をカム面804に沿ってスライドさせ、それにより、片持ちアームを径方向外側に押し出して回転制御構成要素846の周方向に位置されるストッパ構成要素845との係合から離脱させる。ハウジング840の片持ちアーム841及び回転制御構成要素846のストッパ構成要素845は、リールアセンブリを所定位置に保持して或いはロックしてスプール850の緩め方向の回転を防止するべく係合する。これらの構成要素の離脱は、紐をスプールから繰り出すために回転制御構成要素846及びスプール850がハウジング840内で自由に回転できるようにする。
【0062】
[0072]ハウジング840は、スプライン歯843,862の噛合によってベース部材860と結合固定される。スプライン歯843,862の噛合は、ベース部材860に対するハウジング840の回転を防止する。スプライン歯843,862の噛合は、片持ちアーム841がストッパ構成要素845と係合されるときに回転制御構成要素846及びスプール850の回転を更に防止する。リールアセンブリ800を一括して結合するために締結構成要素866が中心ボス864と結合される。
【0063】
[0073]
図8C-
図8Fは、リールアセンブリ800の動作を示す。
図8Cに示されるように、ロック形態では、爪歯822が回転制御構成要素846の歯842の組と噛合されてロックされる。爪歯822と歯842の組との噛合は、上側ノブ802が逆回転されるのを防止することによってスプール850の逆回転を防止する。上側ノブ802の逆回転は、図示のようにスイーパーアーム814の先端と各爪822の基端との係合によって防止される。図示のように、スイーパーアーム814の先端が爪822の基端と一致して2つの構成要素の係合を容易にしてもよい。ボス852とボス816の開口とのキー止め形態は、スプール850の逆回転を防止する。
【0064】
[0074]
図8Cに更に示されるように、スイーパーアーム814の先端又は表面は、(例えば、上側ノブ802の逆回転及び/又は紐張力によって)スイーパーアーム814が爪歯822の前面と係合するときに爪歯822が回転制御構成要素846の歯842の組と係合させられるように曲がっていてもよい。比較的高い紐張力レベルでは、上側ノブ802の逆回転が自動的に起こる場合がある。これは、紐張力によって、スプール850が逆回転して、キー止めされたボス852とボス816の開口とによって回転力がノブ810へ伝えられるからである。比較的低い紐張力レベルでは、上側ノブ802の逆回転がユーザによって行われる場合がある。
【0065】
[0075]
図8Dに示されるように、上側ノブ802の締め付け方向(例えば時計回り方向)の回転は、スイーパーアーム814を爪歯822に対して回転させる。ある時点で、スイーパーアーム814は、爪歯822と係合して、爪歯822を回転制御構成要素846の歯842の組との係合が外れるように回動させる。爪822は別個の構成要素又は部品であるため、爪歯822がスイーパーアーム814によって歯842の組との係合が外れるように回動されると、各爪820が僅かに回動でき、それにより、爪歯822の基端面又は基端が回動してスイーパーアーム814の先端又は先端面と接触する。ユーザ相互作用又は紐張力による反対方向のその後の回転によって、スイーパーアーム814の先端は、爪歯822を回転制御構成要素846の歯842と再び係合させる。スプール850の回転中に爪歯822が歯842の組から離脱されるため、可聴クリックノイズは、さもなければ歯842の組と接触する爪歯822が歯842の組を飛び越えることによって生み出されない。
【0066】
[0076]
図8E-
図8Fは、開放形態又はロック解除形態にリールアセンブリを位置させるために下側ノブ810が使用されていることを示し、この開放形態又はロック解除形態において、スプール850は、第2の方向又は緩め方向に自由に回転でき、それにより、スプール850の周囲から紐を繰り出すことによって紐張力を緩めることができる。具体的には、
図8Eは、回転制御構成要素846のストッパ構成要素845と係合されるハウジング840の片持ちアーム841を示す。この形態において、スプール850は、ハウジング840及びベース部材860に対してロックされ、第2の方向に回転することが防止される。
図8Fは、片持ちアーム841の先端の軸方向上方に延びる部材を下側ノブ810のカム面804と係合させるために下側ノブ810がグリップ部材805によって第2の方向に回転されていることを示す。カム面804がハウジング840に対して回転するため、片持ちアーム841は、径方向外側に押し出されて、回転制御構成要素846のストッパ構成要素845から離脱され、それにより、回転制御構成要素846、スプール850、爪822、摩擦構成要素830、及び、上側ノブ802は、ハウジング840及びベース部材860に対して自由に回転できる。
【0067】
[0077]ここで
図9A-
図9Lを参照すると、比較的動作が静かであるとともに偶発的な開放に対する安全装置を備えるリールアセンブリ900の他の実施形態が示される。
図9A-
図9Cはリールアセンブリ900の組み付け形態を示し、一方、
図9D及び
図9Eはリールアセンブリ900の分解図を示す。
図9F-
図9Lは、リールアセンブリ900の断面図及び詳細図を示す。
図9A-
図9Eに示されるように、リールアセンブリ900は、紐(図示せず)に張力を付与するとともに紐を緩めるためにユーザにより握持されて回転されてもよいグリップ面904を有するノブ902を含む。荷重保持機構908がノブ902の開口905内に位置され及び/又は開口905と同軸に位置合わせされる。図示の実施形態において、荷重保持機構908は、第1のハブ907aと第2のハブ907bとを含む第1の摩擦要素907を有するスプラインドライブである。第1及び第2のハブ907a,907bはそれぞれ、ノブの対応するスプライン歯(すなわち、スプライン歯905)及びハウジングの対応するスプライン歯(すなわち、スプライン歯932)と係合するスプライン歯906a,906bを含む。各ハブ907a,907bは、それぞれのスプライン歯906a,906bから軸方向に延びる突出部を含む。各ハブ907a,907bの中心突出部は、ハブ907a,907bの両端がしばしば互いに接触する状態でリールアセンブリ900の中心へ向けて延びる。
【0068】
[0078]スプール構成要素910がノブ902よりも軸方向下方に位置されてクラッチ機構を介してノブと結合される。幾つかの実施形態において、クラッチ機構は、スプール910の軸方向に向けられる歯916を含んでもよく、これらの歯916は、ノブ902の対応する軸方向に向けられる歯901と噛み合う。軸方向に向けられる歯916,901の噛合は、トルク又は回転力をノブ902からスプール910へ伝えることにより、ユーザがノブ902を回転させて、それにより、スプール910の環状チャネル又は中心ポスト918の周囲に紐(図示せず)を巻回できるようにする。幾つかの実施形態において、ノブ902とスプール910との間のクラッチ機構(例えば、歯916,901)は、スプール910がノブ902に対して及び/又はリールアセンブリのハウジング950内で自由に回転でき、それにより、スプールの中心ポスト又は環状チャネル918の周囲から紐を繰り出すことができるようにするために離脱されてもよい。クラッチ機構の離脱は、ノブ902を軸方向上方へ引くことによって、ノブ902を逆回転させる(すなわち、ノブを緩め方向に回転させる)ことによって、或いは、ボタン構成要素、レバー機構、又は、解放機構を動作させる或いは押圧することよって達成されてもよい。
ノブ902の突出部909内。ハウジング構成要素910は、構成要素910を貫通して軸方向に延びるルーメン912を含む。スプリング構成要素980がハウジング構成要素910のルーメン912内に位置される。スロット914がルーメン912から接線方向に延びる。スプリング構成要素980のアームがスロット914内に位置されてもよい。また、ハウジング構成要素910は、突出部と909の底面と接触するフランジ状下面918も含む。フランジ状下面918は、さもなければハウジング構成要素910を突出部909と結合することによって形成される隙間内に紐が巻回されることを防止するためにノブ902の突出部909の直径と等しい又は該直径よりも大きい直径を有する。また、ハウジング構成要素910は、フランジ状下面918から径方向に延びるアーム916も含む。また、ノブ902は、以下で更に詳しく説明されるような紐をスプールと結合する際に使用されるルーメン903も含む。
【0069】
[0079]また、リールアセンブリ900は、リールアセンブリ900の他の構成要素よりも軸方向下方に位置されるハウジング950も含む。ハウジング950は、ハウジング950の下端に位置されてハウジング950の外周の全体にわたって或いはハウジングの一部の周囲にわたって延びるベース部材又はフランジ930(以下、フランジ930)を含む。フランジ930は、裁縫、接着結合、機械的な締結、熱溶着、RF又は音波溶着等によってハウジング950を靴などの物品と結合できるようにする。ハウジング950は、リールアセンブリ900のスプール910及び/又は他の構成要素が中に位置される内部領域又は内部を含む。スプール910は、ハウジングの内部領域内に位置されて該領域内で回転できる。
【0070】
[0080]
図9A及び
図9Bに示されるように、幾つかの実施形態において、ハウジング950の壁は、スプール910の一部及び/又はスプールの周囲に巻回される紐(図示せず)の一部がユーザに見えるようにスプール910を完全に収容しない。例えば、ハウジング950は、スプール910の両側に位置される一対の壁を含んでもよい。そのような実施形態では、ハウジング壁がフランジ930からノブ902の下面に隣接するまで延びてもよい。このようにすると、ハウジング壁950は、ハウジング950をスプール910及びノブ902を連結することができ、それにより、スプール910及びノブ902を支持して、側方からの衝撃又は他の力に起因する構成要素の偶発的な分離又は分解を防止又は制限できる。例えば、ノブ902及び/又はスプール910がぶつけられ或いは接触される場合、ハウジング壁950は、構成要素を補強して、構成要素の分離又は破壊を防止する。
【0071】
[0081]ハウジング950の底面は、前述した第2のハブ907bのスプライン歯906bと噛み合うスプライン歯932を更に含む。ハウジング950のスプライン歯932と第2のハブ907bのスプライン歯906bとの噛合は、第2のハブ907bをハウジング950及び該ハウジングと結合される任意の物品に固定し、ハウジング950に対する第2のハブ907bの回転を防止する。第2のハブ907bがハウジング950及び該ハウジングと結合される任意の物品に固定されるため、第2のハブ907bは、荷重保持機構908の荷重保持構成要素として機能する。
図9Sの単一ハブ形態又は
図9T及び
図9Uの他のハブ形態などの他の実施形態において、荷重保持構成要素は、スプリング構成要素のタング(tang)又は内側円筒壁などの内側ハブ以外の何かであってもよい。
【0072】
[0082]ハウジング950は、以下で更に詳しく説明されるスプリング構成要素980の解放を可能にするようにスプリング構成要素980を所定位置に維持するべく機能する軸方向に延びる内壁960を更に含む。内壁960は切り欠き914を含み、該切り欠き内にはスプリング構成要素の上側タング981が位置される。ハウジング950は、フランジ930の上面から軸方向上方に延びる環状リング935を更に含む。環状リング935は、塵埃及び他の残骸がリールアセンブリ900の内部に入って、それにより、リールアセンブリの内部構成要素を劣化させる又は汚染するのを防止するために解放機構920の環状チャネル927内に位置される。環状リング935は、以下で更に詳しく説明されるように荷重保持機構を係合状態と離脱状態とに位置させるために解放機構920の戻り止め926と係合する戻り止め切り欠き937,936を含む。
【0073】
[0083]解放機構920は、ハウジング950よりも軸方向上側に位置されてハウジングと同軸に位置合わせされる。解放機構920は、ハウジング950の環状リング935上にわたって環状チャネル927を位置させることによってハウジングと結合される。解放機構920がハウジング950と結合されると、内壁960が解放機構920の中心開口内に径方向に位置される。解放機構920は、以下で更に詳しく説明されるように第1の位置又は係合位置と第2の位置又は離脱位置との間で回転できるようにハウジング950と結合される。一対の径方向の延びる突出部などのタング係合機能部928が解放機構920の内側円筒壁上に位置される。タング係合機能部928は、スプリング構成要素980の下側タング982と係合して下側タング982を係合位置と離脱位置との間で回転させるようになっている。
【0074】
[0084]解放構成要素920の係合位置と離脱位置との間での回転を可能にするために、解放構成要素920は、解放機構920を係合位置と離脱位置との間で回転させるためにユーザの親指及び人差し指によって握られてもよい一対のグリップタブ924を含む。また、解放機構920は、スプール910のクラッチ機構912と相互作用するクラッチ機構922も含む。
図9D及び
図9Eに示されるように、幾つかの実施形態において、クラッチ機は、解放機構920の上面に位置される軸方向に向けられる歯922を含み、これらの歯922は、スプール910の底面上に位置される対応する軸方向に向けられる歯912と係合する。スプール910のクラッチ機構及び解放機構920は、スプールの環状チャネル又は中心ポスト918の周りでの紐の意図される方向とは反対の方向の巻回である紐の”逆巻回”を防止する。逆巻回を防止するために、スプール910のクラッチ機構及び解放機構920は、紐の張力が所定のレベル又は公称レベル(例えば、ゼロ紐張力)を下回って減少する又は下がるときにのみ係合してもよい。スプールの歯912は、紐張力が所定のレベル(例えば、ゼロ紐張力付近)を上回るときにスプール910が解放機構920に対して自由に回転できるようにするべく解放機構の歯922よりも軸方向上側に位置されて歯922から離脱されてもよい。紐張力が所定の紐張力を下回って下がる又は減少すると、スプール910が解放機構920に対して軸方向下方へ移動してもよく、それにより、スプールの歯912は、解放機構の歯922と噛み合い、したがって、解放機構920及びハウジング950に対するスプール910の回転を防止する。解放機構920に対するスプール910の軸方向移動は、スプールの上歯916とノブの歯901との噛み合いによって達成されてもよい。例えば、低い紐張力レベルは、スプールの上歯916とノブの歯901とが離脱できるようにしてもよく、それにより、スプール910は、スプール910のクラッチ機構と解放機構920とを係合させるために軸方向下方へ移動できる。紐に張力を付与するためのノブ902の回転及び/又は所定のレベルを上回る紐張力は、スプール910を軸方向上方へ移動させて、スプール910のクラッチ機構と解放機構920とを離脱させてもよい。逆巻回を防止するために使用されてもよいクラッチ機構の更なる詳細は、その開示の全体が参照により本願に組み入れられる”漸増的解放機構を含む閉鎖装置及びそのための方法”と題される2014年7月10日に出願された米国出願公開第14/328,521号明細書で与えられる。
【0075】
[0085]リールアセンブリ900は、ハウジング950、解放機構920、スプール910、ノブ902、及び、荷重保持機構908(例えば、第1及び第2のハブ907a,907b)と同軸に位置合わせされる第2の摩擦要素又はスプリング構成要素980を更に含む。スプリング構成要素980は、リールアセンブリ900内の中心に位置されるとともに、第1及び第2のハブ907a,907bの周囲にある。スプリング構成要素980の下側タング982が解放機構920のタング係合機能部928内に位置され、一方、スプリング構成要素980の上側タング981が内壁960の切り欠き914内に位置される。
【0076】
[0086]本明細書中の以下で更に詳しく説明されるように、スプリング構成要素980は、第1及び第2のハブ907a,907bの周囲で収縮又は開放するように構成され、それにより、スプール910の周りに紐を巻回するべくノブ902及びスプール910が第1の方向に回転できるとともに、紐をスプール910から繰り出すことができるようにする第2の方向にスプール910及び/又はノブ902が回転することが防止される。具体的には、ノブ902が第1の方向又は締め付け方向(例えば時計回り方向)に回転されると、第1のハブ907aは、スプリング構成要素980の直径を僅か拡張させる方向に回転され、それにより、スプリング構成要素980と第1の摩擦要素(すなわち、第1及び/又は第2のハブ907a,907b)との摩擦係合が低下される。スプリング構成要素980と第1のハブ907aとの摩擦係合の低下により、ノブ902、第1のハブ907a、及び、スプール910が第1の方向又は締め付け方向に回転できる。スプール910の第1の方向又は締め付け方向の回転は、紐をスプールの中心ポスト又は環状チャネル918の周りに巻回させ、それにより、紐に張力を付与して、ユーザの足の周りの靴などの物品を締め付ける。スプリング構成要素980と第1のハブ907aとの摩擦係合の低下は、第1のハブ907aのロックを解除し或いは第1のハブ907aを第2のハブ907bから回転方向で切り離し、それにより、第1のハブ907aが第2のハブ907bに対して回転できる。
【0077】
[0087]ノブ902が解放されると、紐の張力は、スプール910を第2の方向又は緩め方向(例えば反時計回り方向)に回転させように付勢する。つまり、紐がスプールの中心ポスト又は環状チャネル918の周りに巻回されるため、紐張力は、トルク又はモーメントを生じさせて、第2の方向又は緩め方向でのスプール910の回転をもたらす。このトルク又はモーメントは、スプリング構成要素980を第1及び/又は第2のハブ907a,907bの周りで収縮させることによりスプリング構成要素980と第1及び/又は第2のハブ907a,907bとの摩擦係合を増大させ、それにより、第2の方向又は緩め方向でのスプール910、第1のハブ907a、及び/又は、ノブ902の回転を防止する。また、スプリング構成要素980と第1のハブ907aとの摩擦係合の増大は、第1のハブ907aと第2のハブ907bとをロックし或いは回転方向で結合し、それにより、第1のハブ907aが第2のハブ907bに対して回転することを防止する。このように、スプリング構成要素980と第1及び第2のハブ907a,907bとの係合は、紐に張力を付与して物品を締め付けることができるようにするスプール910の一方向回転を可能にする。
【0078】
[0088]
図9A-
図9Eは、スプラインドライブを介してノブ902に取り付けられる第1のハブ907aを示すが、他の実施形態では第1のハブ907aがスプール910に直接に取り付けられ或いは結合されてもよいことが理解されるべきである。そのような実施形態において、ノブ902は、第2の方向又は緩め方向で、前記方向でのスプール910の回転をもたらすことなく回転されてもよい。
【0079】
[0089]ここで
図9Fを参照すると、組み付けられたリールアセンブリの平面図及び断面図が示される。図示のように、スプリング構成要素980は、第1及び第2のハブ907a,907bの周囲に位置され或いは巻き付けられるとともに、組み付けられたリールアセンブリ900内の中心に位置される。スプリング構成要素980と第1及び第2のハブ907a,907bとの間の摩擦接触又は摩擦係合は、ハブ及びリールアセンブリ構成要素を所定位置にロックする。解放機構920は、環状チャネル927が環状リング935上にわたって位置された状態でハウジング950と結合される。環状チャネル927及び環状リング935は、リールアセンブリ900の内部領域に入る場合があり、それにより、スプリング構成要素980、第1及び第2のハブ907a,907b、及び/又は、他のリールアセンブリ構成要素を劣化させる又は汚染する場合がある塵埃又は他の残骸を制限する。
図9H及び
図9Iは、スプリング構成要素980が第1のハブ907a及び第2のハブ907bの周囲に巻き付けられてこれらのハブと係合された状態の荷重保持機構908の詳細図を示す。
【0080】
[0090]ここで
図9G及び
図9Lを参照すると、前述したように第2の方向又は緩め方向でのスプール910の回転が防止されるロック/係合状態にリールアセンブリを位置させるため、或いは、第2の方向又は緩め方向でのスプール910の回転が可能にされるロック解除/離脱状態にリールアセンブリを位置させるために解放機構920を使用する動作が示される。リールアセンブリ900をロック解除/離脱状態に位置させることにより、紐をスプールの中心ポスト又は環状チャネルから繰り出して、紐の張力を緩め、それにより、物品を緩めることができる。
【0081】
[0091]
図9Gに示されるように、ハウジング950に対する第2の方向(例えば反時計回り方向)でのグリップタブ924の回転は、スプリング構成要素980の直径をDからD+Xまで増大させ、それにより、前述したようにスプリング構成要素980と第1及び第2のハブ907a,907bとの摩擦係合を低下させる。スプリング構成要素980の直径は、上側スプリングタング981が内壁960の切り欠き914を介して所定位置に保持され或いは維持される一方で下側スプリングタング982がタング係合機能部928を介して緩め方向に回転されるため、増大される。これらの構成要素の摩擦係合の低下により、スプール910が第2の方向又は緩め方向に回転でき、それにより、紐がスプールの中心ポスト又は環状チャネルから繰り出すことができる。
【0082】
[0092]
図9Lに示されるように、グリップタブ924及び解放機構920の第2の方向での回転により、戻り止め926は、一方の戻り止め切り欠き937との係合が外れて他方の戻り止め切り欠き936と係合する状態へと移動する。戻り止め切り欠き937は、第1及び第2のハブ907a,907bの周囲でスプリング構成要素980が収縮されて(すなわち、スプリング構成要素が直径Dを有する)第2の方向又は緩め方向でのスプール910の回転が防止されるロック/係合状態に解放機構920及びスプリング構成要素980を保持する或いは維持する。戻り止め切り欠き936は、スプリング構成要素980と第1及び第2のハブ907a,907bとの摩擦係合が低下されて(すなわち、スプリング構成要素が直径D+Xを有する)第2の方向又は緩め方向でのスプール910の回転が可能にされるロック解除/離脱状態に解放機構920及びスプリング構成要素980を保持する或いは維持する。解放機構920及びスプリング構成要素980がロック解除/離脱状態にあると、スプール910は、スプールの中心ポスト又は環状チャネル918の周囲から紐を繰り出すためにハウジングの内部領域内で自由に回転できる。
【0083】
[0093]
図9J及び
図9Kは、紐又は引張部材がリールアセンブリ、具体的にはリールアセンブリのノブ902及びスプール910と結合されていることを示している。
図9Jの断面図に示されるように、ノブのルーメン903は、軸方向上方に延びる第1のルーメン903bと、ノブ902を貫いて斜め下方に延びる第2のテーパ状ルーメン903aとを含む。
図9Kに示されるように、ハウジングのルーメン952がノブのルーメン903、具体的には第1のルーメン903bと位置合わせされてもよい。位置合わせされると、ハウジングのルーメン952は、紐990を上方に方向付けて第1のルーメン903bに通す。ルーメンは、その後、軸方向上方へとノブ902の上面よりも上側に引き出されて、第2のテーパ状ルーメン903aに挿通されてもよい。その後、紐990の端部に結び目991が結ばれるとともに、紐が第2のテーパ状ルーメン903aに引き込んで通されてもよい。紐990を第2のテーパ状ルーメン903aに引き込んで通すことにより、結び目991が第2のテーパ状ルーメン903aのテーパ部と係合し、それにより、ルーメン903aを通じた紐990の完全な引き込みが防止されてもよい。結び目991と第2のテーパ状ルーメン903aとの係合は、紐990とノブ902とスプール910との結合をもたらす。
図9Kに示されるように、前述の紐取り付けプロセスは、リールアセンブリの構成要素の分解を伴うことなく行われる。むしろ、紐990の挿入及び結び目991を結ぶ以外の必要とされるかもしれない唯一のステップは、ハウジングのルーメン952とノブのルーメン903との位置合わせである。
【0084】
[0094]ここで
図9M-
図9Rを参照すると、リールアセンブリ機構900bの他の実施形態が示される。リールアセンブリ900bは、該リールアセンブリ900bが紐張力の漸増的な解放又は弛緩を可能にすること、及び、ハウジング950aがスプール910及び/又は他の構成要素を完全に或いは殆ど収容することを除いて既に説明されたリールアセンブリ900と類似する。紐張力の漸増的な解放又は弛緩は、先の実施形態の解放機構920に取って代わる解放機構970によって達成される。
図9M、9N、及び、
図9Qに示されるように、解放機構970は、リールアセンブリ内でスプリング構成要素980と第1及び第2のハブ907a,907bとの周囲に位置される円筒状のボス974を含む。解放機構970の底面はタング開口976を含み、該タング開口976内にスプリング構成要素980の下側タング982が位置される。第1の方向又は締め付け方向でのノブ902の回転は、既に説明したようにスプリング構成要素980と第1のハブ907a及び/又は第2のハブ907bとの摩擦係合を低下させて、スプール910が第1の方向に回転して紐に張力を付与できるようにする。
【0085】
[0095]解放機構970は、解放機構970を第2の方向又は緩め方向に回転させるためにユーザによって握られてもよい回転可能な表面又はリング972を含む。第2の方向での解放機構970の回転は、下側タング982とタング開口976との係合によってスプリング構成要素980の下部を第2の方向に回転させ、それにより、既に説明したようにスプリング構成要素980の直径を増大させることでスプリング構成要素980と第2のハブ907b及び/又は第1のハブ907aとの摩擦係合を低下させる。スプリング構成要素980と第2のハブ907bとの摩擦係合の低下は、第1のハブ907aのロックを解除し或いは第1のハブ907aを第2のハブ907bから回転方向で分離し、それにより、第1のハブ907a及びスプール910が紐張力によって第2のハブ907bに対して回転できるようにする。解放機構970の回転が止められると、スプリング構成要素980と第2のハブ907bとの摩擦係合が直ちに増大され、それにより、第1のハブ907a及び第2のハブ907bがロックされ或いは回転方向で結合され、第1のハブ907a及びスプール910の第2の方向又は緩め方向での更なる回転が防止される。このようにすると、紐の張力を非常に僅かな量だけ漸増的に緩める或いは解放することができる。幾つかの実施形態において、紐張力は、スプール910とノブ902との間に、スプール910とハウジング950との間に、或いは、リールアセンブリ900bの他の構成要素間にクラッチ機構を離脱させる完全解放機構を設けることによって完全に緩められ或いは解放されてもよい。クラッチ機構の離脱は、ノブ902の軸方向上方への移動、第2の方向でのノブ902の回転、ボタン構成要素又はレバー機構の動作、解放機構の径方向移動等によって達成されてもよい。
【0086】
[0096]ここで
図9Sを参照すると、単一ハブ995と摩擦係合されるスプリング構成要素980の一実施形態が示される。
図9Sの単一ハブ形態は、前述した第1及び第2のハブ907a,907bの代わりに使用されてもよい。そのような実施形態において、下側タング982は、リールアセンブリ、例えばフランジ930又はハウジング950/950aなどと結合固定される。そのような実施形態において、下側タング982は、スプリングハブの主荷重保持構成要素又は荷重保持機構として機能する。スプリングハブ機構の動作は、前述の態様と同様の態様で機能する。
図9T及び
図9Uは、スプリング構成要素980が円筒状の外側ハブ996の内壁の中に位置される一実施形態を示す。
図9T及び
図9Uの実施形態も同様に前述の第1及び第2のハブ形態に取って代わるべく使用されてもよい スプリング構成要素980は、内側構成要素997及び取り付けられたスプール997の回転を防止するために径方向外側に屈曲して内側円筒壁996と係合する。
図9Uに示されるように、内側構成要素997の締め付け方向の回転は、スプリング構成要素980を内側円筒壁996との係合から外れるように収縮させ、これは、内側構成要素997及び取り付けられたスプール(図示せず)の回転を可能にする。内側構成要素997の第2の反対方向の回転、又は、内側構成要素997の第1の方向の回転の中断は、スプリング構成要素980を円筒ハブ996の内壁と再び摩擦係合させる。
【0087】
[0097]
図9A-
図9Rのリールアセンブリ900,900bはベース部材又はフランジ930に取り付けられ或いは一体化されたハウジング950/950aを示すが、他の実施形態ではハウジング950/950aがフランジを含む別個のベース部材と取り外し可能に結合されてもよいことが理解されるべきである。例えば、
図14A及び
図14Bに示されるベース部材又はバヨネット及び解放機構は、ハウジング950/950aをフランジ930と取り外し可能に結合させるために使用され得る。
【0088】
[0098]一実施形態において、リール式機構を用いて靴を組み付けるための方法は、ベース部材と、内部領域を有するハウジングと、ハウジングの内部領域内に位置されるスプールと、ノブ部材と、荷重保持機構とを含むリールを用意することを含む。本明細書中で前述したように、スプールは中心ポストを含み、該中心ポストの周囲に引張部材が巻回され、また、スプールは、ハウジング及び/又はベース部材に対して回転できる。ノブ部材は、スプールと結合されるとともに、引張部材をスプールの中心ポストの周囲に巻回するためにスプールをハウジングの内部領域内で第1の方向に回転させるように構成される。荷重保持機構は、スプール及びハウジングと結合されるとともに、第1の方向とは反対の第2の方向でのスプールの回転を防止してスプールの中心ポストからの引張部材の繰り出しを防止するべく摩擦係合可能な第1の摩擦要素及び第2の摩擦要素を含む。ノブ部材の第1の方向の回転は、第1の摩擦要素と第2の摩擦要素との摩擦係合を低下させて、スプールの第1の方向の回転を可能にし、また、引張部材又は紐の張力は、荷重保持機構を第2の方向に回転させるように付勢し、それにより、第1の摩擦構成要素と第2の摩擦構成要素との摩擦係合を増大させる。また、方法は、ベース部材を物品と結合するステップも含む。
【0089】
[0099]ここで
図10A-
図10Gを参照すると、比較的動作が静かであるとともに偶発的な開放に対する安全装置を備えるリールアセンブリ1000の他の実施形態が示される。リールアセンブリ1000の静かな動作をもたらすために、複数のロック構成要素1010がノブ1002と上側ハウジング1030との間に位置される。各ロック構成要素1010は、本体1012と、結合構成要素1020の開口1022内に位置される突出部1016とを含む。突出部1016は、ロック構成要素1010が結合構成要素1020のカム壁1024間で回動できるようにする。各ロック構成要素1010の本体1012は、本体1012の両側に位置される一対のカム面1013及び一対の半径面1015を含む。
【0090】
[0100]また、各ロック構成要素1010は、本体1012から軸方向上方に延びる突出部1014も含む。スプリング構成要素1004がロック構成要素1010とノブ1002との間に位置される。スプリング構成要素1004は複数の片持ちアームを含み、片持ちアームはそれぞれ、突出部1014が片持ちアームとスプリング構成要素1004の中心リング部との間に位置されるようにロック構成要素1010の突出部1014を越えて向こう側に位置される。スプリング構成要素1004の片持ちアームは、ロック構成要素1010を後述するロック位置へ向けて内側に付勢する。
【0091】
[0101]上側ハウジング1030は、内面1033と、複数の内側に延びる壁1036とを含む。結合構成要素1020は、内側に延びる壁1036とほぼ同じ面上に各本体1012が位置されるように上側ハウジング1030の中心凹部内に位置される。ベース構成要素1040の中心ボス1042は、該中心ボス1042が複数のロック構成要素1010間の中心に位置されるように上側ハウジング1030及び結合構成要素1020の開口を貫通して軸方向上方に延びる。また、上側ハウジング1030は、上側ハウジング1030の本体から軸方向外側に延びる複数のフランジ状部材1034を含んでもよい。
図10Bに示されるように、ノブ1002は、ノブ1002の底面から軸方向下方に延びる複数の楔状部材又はカム部材1008を含む。以下で更に詳しく説明されるように、楔状部材1008は、ロック位置とロック解除位置との間でロック構成要素1010を回動させるようにロック構成要素1010と接触する。また、ノブ1002は、ノブ1002の底面から軸方向下方に延びる複数のハンギングボス1006も含む。ハンギングボス1006は、上側ハウジング1030の対応するスロット1038に挿通されるように構成される。上側ハウジング1030の軸方向下方にはスプール1032が位置され、該スプールの周りにはリールアセンブリ1000の動作によって紐が巻回される。
【0092】
[0102}]
図10Cは、ノブ1002の上部が除去された状態の組み付け形態でリールアセンブリ1000の構成要素を示す。
図10Cに示されるように、組み付け形態において、各本体1012は、内側に延びる壁1036及びベース構成要素1040の中心ボス1042とほぼ同じ面上に或いはそれに隣接して位置される。各本体1012は一対のカム壁1024間に位置され、また、楔状部材1008は各本体1012に隣接して位置される。
【0093】
[0103]
図10D及び
図10Eに示されるように、リールアセンブリ1000の動作時、ロック構成要素1010、具体的には、各本体1012は、上側ハウジング1030内においてカム壁1024間で回動して、内面1033又は内側に延びる壁1036と係合し、それにより、スプール1032を駆動させ或いはスプール1032及び紐の逆巻回を防止するべくリールアセンブリ1000をロックする。
図10Dに示されるように、スプール1032を駆動させて紐を締め付ける或いは紐に張力を付与するために、ノブ1002がユーザによって締め付け方向に回転される。この方向でのノブ1002の回転は、楔状部材1008を本体1012と接触させ、それにより、外側半径面1015aが内側ハウジング1033と接触するまで半径面1015a-1015bを上側ハウジング1030内で回動させる(例えば時計回り方向)。外側半径面1015aと内側ハウジング1033との間の接触は、上側ハウジング1030をノブ1002と共にロックして、上側ハウジング1030をノブ1002と共に回転させ、それにより、スプール1032を駆動させて、紐をスプール1032の周囲に巻回する。
図10Dに示されるように、内側半径面1015bは中心ボス1042と接触せず、したがって、上側ハウジング1030及びスプール1032は、中心ボス1042及びベース構成要素1040の周りで回転できる。他の実施形態では、内側半径面1015bが中心ボス1042と接触するが、面1015bの半径は、上側ハウジング1030及びスプール1032を拘束する又はロックすることなく面1015bが中心ボス1042の表面に沿ってスライドできるようにしてもよい。図示しないが、多くの実施形態において、ベース構成要素1040は、スプール1032と該スプールに巻回される任意の紐とを収容するように機能する軸方向上方に延びる壁を含む。
【0094】
[0104]
図10Eに示されるように、ノブ1002が緩め方向に解放される或いは回転されるにつれて、本体1012は、カム面1013a-1013bが内側に延びる壁1036とベース構成要素1040の中心ボス1042とに接触してこれらの間に挟まれるまで上側ハウジング1030内で反対方向(例えば反時計回り方向)に回動する。具体的には、外側カム面1013aが内側に延びる壁1036と接触し、一方、内側カム面1013bが中心ボス1042と接触する。カム面1013a-1013bが内側に延びる壁1036と中心ボス1042との間に挟まれた状態で、リールアセンブリ1000は、靴又は他の衣服と結合固定されるベース構成要素1040の周りでロックされる。簡単に前述したように、スプリング構成要素1004は、本体1012を
図10Eに示されるロック形態へ向けて付勢する或いは回動するために使用されてもよい。また、紐に作用する張力により、スプール1032が上側ハウジング1030の緩め方向の回転をもたらし、それにより、カム面1013a-1013bが内側に延びる壁1036と中心ボス1042との間に挟まる。
【0095】
[0105]リールアセンブリ1000を開放形態に配置するために、(例えば、フランジ状部材1034を握ることによって)上側ハウジング1030が締め付け方向に回転されてもよく、それにより、内側に延びる壁1036が本体1012を離脱位置へと回転させる。例えば、内側に延びる壁1036は、内側カム面1013bを中心ボス1042との接触状態へと回転させることなく外側半径面1015aを内壁1033との離脱状態から回転させてもよい。同時に、ノブ1002を緩め方向に回転して、楔状部材1008を本体1012の反対側の側面に接触させ、それにより、本体1012を固定された離脱位置において内側に延びる壁1036と楔状部材1008との間で挟む或いは保持してもよい。ノブ1002の外周縁に位置されるハンギングボス1006は、ノブ1002及び上側ハウジング1030を反対方向に回転させることによって上側ハウジング1030の凹部1037内にキー止めしてもよく、それにより、更なるユーザ入力を伴うことなく本体を離脱位置に保持する又は維持することができる。本体1012を再び係合させるために、ハンギングボス1006を凹部1037から離脱させるべくノブ1002及び上側ハウジング1030が締め付け方向及び緩め方向にそれぞれ回転される。リールアセンブリ1000は、該リールアセンブリ1000を開放形態に配置するためにこれらの2つの構成要素(すなわち、ノブ1002及び上側ハウジング1030)の反対方向の回転を必要とすることによって偶発的な開放に対する安全装置を与える。
【0096】
[0106]
図10F及び
図10Gは、リールアセンブリ1000の構成要素の組み付けの僅かな変形を示す。
図10Fに示されるように、駆動動作モード又は張力付与動作モードにおいて、内側に延びる壁1036は、外側カム面1013aと接触して、本体1012、具体的には内側カム面1013bを楔状部材1008との係合状態へと回動させる。これにより、本体1012は、内側に延びる壁1036と楔状部材1008との間に挟まれ、それにより、上側ハウジング1030をノブ1002に対してロックするとともに、ノブ1002を介した上側ハウジング1030及びスプール1032の回転を可能にする。ノブ1002が解放される或いは逆回転されると、楔状部材1008は、本体1012、具体的には外側半径面1015aを上側ハウジング1030の内面1033との係合状態へと回動させ、その間に、内側半径面1015bは、ベース構成要素1040の中心ボス1042との接触状態へと回動する。これは、本体1012を内側ハウジング1033と中心ボス1042との間に挟むとともに、リールアセンブリ構成要素を、靴又は衣服に結合固定されるベース構成要素1040に対してロックする或いは固定する。
【0097】
[0107]ここで
図11A-
図11Eを参照すると、比較的動作が静かであるリールアセンブリ1100の他の実施形態が示される。
図11A及び
図11Bは、リールアセンブリ1100の分解斜視図を示す。リールアセンブリ1100は、駆動構成要素1110を駆動させるために使用される幾何学的開口1104を有するノブ1102を含む。駆動構成要素1110は、ノブ1102の回転が駆動構成要素1110の回転を引き起こすようにノブ1102の幾何学的開口1104に対応する幾何学的形状を有する上端部材を含む。駆動構成要素1110の軸方向下方には、偏心して位置される入力シャフト1114が位置される。つまり、入力シャフト1114は、駆動構成要素1110及びノブ1102の軸からオフセットされる軸を有する。
【0098】
[0108]入力シャフト1112は、下側ノブ1120の内部領域内へと軸方向に延びて、サイクロイドギア又はサイクロイドディスク1130の入力開口1135と係合する。サイクロイドディスク又はサイクロイドギア1130は、下側ノブ1120の内部領域内及び回転制御構成要素1150内に位置される。サイクロイドギア1130は、ピニオンギア面1133(以下、ピニオンギア1133)が環状ギア1152と係合されるように回転制御構成要素1150内に位置される。
図11Cに示されるように、ノブ1102の回転により、入力シャフト1114は、回転制御構成要素1150の環状ギア1152内で入力開口1135を介してピニオンギア1133を回転させる。
【0099】
[0109]また、サイクロイドギア1130は、ピニオンギア1133よりも軸方向下方に位置されるディスク1132も含む。ディスク1132は複数の開口1134を含み、該開口内にはスプール1140のボス1142が挿入される。ボス1142は、ピニオンギア1133が回転制御構成要素1150の環状ギア1152内で移動するにつれてディスク1132の開口1134内でスライドし、それにより、回転力をスプール1140に伝えてスプール1140の回転をもたらす或いは引き起こす。スプール1140はチャネル1144を含み、リールアセンブリ1100が動作される際にチャネル1144内に紐が巻回される。スプール1140の逆回転(すなわち、緩め方向の回転)を防止するために、回転制御構成要素1150が前述したようなハウジング1160と結合される。具体的には、ハウジング1160の片持ちアーム1162は、回転制御構成要素1150のストッパ構成要素1154と接触して係合するように構成される。また、ハウジング1160は、例えばハウジング1160の軸方向に延びる脚1164をベース部材1170の装着開口1172内に位置させることによってベース部材1170と結合固定される。ベース部材1170は、ベース部材を物品又は靴と結合させることができるようにするフランジ1174を含む。
【0100】
[0110]
図11Eに示されるように、紐を緩めるために、下側ノブ1120は、グリップ部材1124を介して第2の方向又は緩め方向に回転され、それにより、下側ノブ1120のカム面1122は、片持ちアーム1162の先端と係合して、アーム1162を径方向外側に移動させ、アーム1162とストッパ構成要素1154とを図示のように離脱させる。これにより、回転制御構成要素1150、スプール1140、サイクロイドギア1130、及び、ノブ1102は、ハウジング1160及びベース部材1170に対して回転でき、それにより、スプール1140のチャネル1144から紐が繰り出される。サイクロイドギア1130の形態は約4:1のギア比を与えてもよいが、他のギア比が望み通りに得られてもよい。
【0101】
[0111]
図11Cは、ピニオンギア1133が環状ギア1152内で回転するにつれてディスク1132の開口1134のうちの1つ(すなわち、斜線を施した開口)、がスプール1140のボス1142のうちの1つ(すなわち、斜線を施したボス)を駆動することを示す。スプール1140は、ピニオンギア1133の方向とは反対の方向に回転する。
図11Dは、リールアセンブリ1100の組み付けられた構成要素の断面図を示す。
【0102】
[0112]ここで
図12A-
図12Dを参照すると、比較的動作が静かであるとともに偶発的な開放に対する安全装置を備えるリールアセンブリ1200の他の実施形態が示される。
図12A及び
図12Bは、リールアセンブリ1200の構成要素の分解斜視図を示す。リールアセンブリ1200は、紐に張力を付与する及び/又は紐を緩める、及び/又は、リールアセンブリ1200を開放形態でロックするためにユーザによって回転されてもよい上側ノブ1202及び下側ノブ1210を含む。上側ノブ1202は、下側ノブ1210の長方形開口1216内に挿入される複数のシャフト1204を含む。下側ノブ1210は、それぞれが開口1214を有する一対のカム1212を含み、開口1214内にはスプール1250のボス1252が挿入される。
【0103】
[0113]リールアセンブリ1200は、スプリング部材1226を介して互いに結合される一対の周方向に延びるアーム1222を有するブレーキシュー1220を含む。下側ノブ1210のカム1212は、それぞれの周方向に延びるアーム1222の内側領域内に位置される。また、ブレーキシュー1220はハブ1230内に挿入され、このハブ1230はハウジング1240内に位置される。
図12Cに示されるように、下側ノブ1210が締め付け方向又は張力付与方向に回転されるにつれて、カム1212の荷重支持面が周方向に延びるアーム1222の切り欠き1224内に位置される。カム1212の形状は、下側ノブ1210の張力付与方向の回転がカム1212の荷重支持面をアーム1222の切り欠き1224内に保持するように周方向に延びるアーム1222の内面に適合する。下側ノブ1210の回転力は、ボス1252と開口1214との間の接触を介してスプール1250へ伝えられる。
【0104】
[0114]
図12Dに示されるように、下側ノブ1210が緩め方向に解放される及び/又は回転されるにつれて、カム1212の荷重支持面は、アーム1222の切り欠き1224から移動して、アーム1222の内面を押圧する。これは、アーム1222の外面をハブ1230と摩擦係合させ、それにより、スプール1250及びリールアセンブリ1200の他の構成要素の回転動作を防止する又は阻む。下側ノブ1210及び/又はスプール1250が緩め方向に引き続き回転すると、アーム1222の外面とハブ1230との摩擦係合が増大する。ブレーキシュー1220のスプリング部材1226がアーム1222を軸方向内側に付勢し、それにより、下側ノブ1210のその後の締め付け方向又は張力付与方向の回転は、カム1212の荷重支持面を切り欠き1224内に再配置させるとともに、アーム1222を軸方向内側に撓ませてハブ1230との摩擦係合から外す。
【0105】
[0115]リールアセンブリ1200を開放形態でロックするために、下側ノブ1210が締め付け方向に回転される一方で、上側ノブ1202が同時に緩め方向(すなわち、反対方向)に回転される。この作用により、上側ノブ1202のシャフト1204がアーム1222の傾斜部1228を上方へスライドさせ、それにより、アーム1222が径方向内側に押圧されてハブ1230との摩擦係合から外れる。シャフト1204は、アーム1222をハブ1230からの離脱形態に保ち、それにより、紐張力を完全に解放できるようにするために、ブレーキシュー1220の周りでロックされてもよい。したがって、リールアセンブリ1200は、紐を完全に緩めるために下側ノブ1210及び上側ノブ1202の反対方向の回転を必要とすることによって偶発的な開放に対する安全装置を与える。
【0106】
[0116]ここで
図13A-
図13Fを参照すると、比較的動作が静かであるとともに偶発的な開放に対する安全装置を備えるリールアセンブリ1300の他の実施形態が示される。
図13A及び
図13Bは、リールアセンブリ1300の分解斜視図を示す。図示のように、リールアセンブリ1300は上側ノブ1302と下側ノブ1310とを含む。上側ノブ1302は、軸方向下方に延びるとともにスプール1340の回転をもたらす或いは引き起こすために使用される一対のボス1304を含む。下側ディスク1310は、カム又は傾斜面1312と、紐を完全に緩めることができるようにするべくリールアセンブリ1300を開放形態でロックするように機能する切り欠き1314とを有する幾何学的開口を含む。
【0107】
[0117]また、リールアセンブリ1300は、リールアセンブリ1300を所定位置でロックして、スプール1340の逆回転を防止する、つまり、スプール1340の緩め方向の回転を防止するために使用されるギア機構1320も含む。ギア機構1320は、スプール1340のボス1346と結合する開口を基端に有するとともに、ギア機構1320のギア1322のうちの1つ(すなわち、フローティングギア1322b)の開口内に挿入されるピンを先端に有する一対の回動アーム1324を含む。ギア機構1320のギア1322は、ハウジング1330の歯1332と接触するようにハウジング1330内に位置される。以下で更に詳しく説明するように、ギア機構1320のギア1322は、フローティングギア1322bと固定ギア1322aとを含む。スプール1340は、一対の弓形面を有する中心突出部1344を含み、リールアセンブリ1300が紐に張力を付与する或いは紐を締め付けるように動作されるにつれてギア機構1320のフローティングギアが中心突出部1344の周りに置かれる。また、スプール1340は本体又はチャネル1342も含み、リールアセンブリ1300の動作中にチャネル1342内に或いはチャネル1342の周囲に紐が巻回される。
【0108】
[0118]
図13Cは、リールアセンブリ1300が紐に張力を付与する或いは紐を締め付けるように動作されているときのリールアセンブリ1300の構成要素の組み付けを示す。図示のように、上側ノブ1302が締め付け方向に回転されるにつれて、一対のボス1304は、スプール1340を駆動させるべく中心突出部1344の後面と接触して該後面を押圧する。ボス1304が中心突出部1344及びスプール1340を駆動させるにつれて、ギア機構1320のフローティングギア1322bが中心突出部1344の弓形面に当接する。ギア機構1320のフローティングギア1322b及び固定ギア1322aの歯間の相互作用は、アーム1324を介してフローティングギア1322bを回動させて中心突出部1344の弓形面と接触させる。固定ギア1322aの回転は、固定ギア1322aの歯とハウジング1330の歯1332との間の相互作用によって引き起こされる。この形態では、紐に張力を付与するべく上側ノブ1302が望み通りに回転されてもよい。
【0109】
[0119]
図13Dは、上側ノブ1302が解放された後又は上側ノブ1302が緩め方向に回転される際のリールアセンブリ1300の構成要素の組み付けを示す。図示のように、上側ノブ1302の緩め方向の回転により、フローティングギア1322bは、中心突出部1344の弓形面との係合又は接触から外れるように回動し、ハウジング1330の歯1332と噛み合う。締め付け方向とは反対の方向での固定ギア1322aの回転と、フローティングギア1322b及び固定ギア1322aの歯間の相互作用とにより、フローティングギア1322bは、アーム1324を介して回動して、中心突出部1344の弓形面との接触から外れ、ハウジング1330の歯1332と噛み合う。前述したように、固定ギア1322aの回転は、固定ギア1322aとハウジング1330の歯1332との間の相互作用によって引き起こされる。固定ギア1322a及びフローティングギア1322bが反対方向に回転するため、固定ギア1322a及びフローティングギア1322bとハウジング1330の歯1332との噛み合いがギア1322a,1322bをハウジング1330の歯1332と結合させ、それにより、上側ノブ1302及びスプール1340の更なる回転を防止する。前述のギア結合プロセスは、上側ノブ1302が解放されて紐張力がスプール1340の緩め方向の回転をもたらす或いは引き起こすときにも起こる。このようにして、リールアセンブリ1300は、紐の更なる緩みを防止するためにロックされる。
【0110】
[0120]簡単に前述したように、下側ノブ1310は、紐張力を完全に解放できる開放形態でリールアセンブリ1300をロックし且つ開放形態からロック解除するように動作されてもよい。
図13Eは、紐に張力を付与するべく上側ノブ1302が回転できるとともにギア機構1320の結合によってリールアセンブリ1300をロック可能であるロック解除形態にある下側ノブ1310を示す。
図13Eに示されるように、下側ノブ1310は、アーム1324の軸方向上方に延びるピン1326が下側ノブ1310の幾何学的開口の切り欠き1314から離間して位置されるように回転される。ピン1326が切り欠き1314から離間して位置された状態では、フローティングギア1322bは、リールアセンブリ1300の張力付与及びロックを可能にするために前述したように中心突出部1344の弓形面と係合する状態及び弓形面との係合が外れる状態へと回動できる。
【0111】
[0121]
図13Fに示されるように、下側ノブ1310は、アーム1324のピン1326が幾何学的開口のカム面又は傾斜面1312に沿って切り欠き1314内へとスライドするようにギア機構1320に対して回転されてもよい。ピン1326が切り欠き1314内に位置された状態では、フローティングギア1322bは、上側ノブ1302が緩め方向に解放される又は回転される際に中心突出部1344の弓形面との係合が外れるように回動することが防止される。この形態では、フローティングギア1322bがハウジング1330の歯1332と係合することができず、したがって、ギア機構1320は、前述したようにスプール1340及びリールアセンブリ1300を結合してロックすることができない。この形態では、紐張力を完全に解放できる。下側ノブ1310は、ピン1326を切り欠き1314から離間させるようにスライドさせ、それにより、リールアセンブリ1300を”ロック解除する”べく反対方向に回転されてもよい。
【0112】
[0122]下側ノブ1310を用いてリールアセンブリ1300をロックするために、下側ノブ1310は、一般に、上側ノブ1302の方向とは反対の方向に回転される。例えば、上側ノブ1302が一般に締め付け方向に回転される一方で、下側ノブ1310は緩め方向に回転される。したがって、リールアセンブリ1300は、紐を完全に緩めるために下側ノブ1310及び上側ノブ1302の反対方向の回転を必要とすることによって偶発的な開放に対する安全装置を与える。
【0113】
[0123]ここで
図14A及び
図14Bを参照すると、構成要素を靴などの物品に解放可能に取り付けるための機構1400が示される。機構1400は、物品に取り付け可能なベース部材1402を含む。ベース部材1402は、ベース部材1402の外周全体にわたって或いはその一部にわたってベース部材1402の下端から径方向に延びるフランジ1404を含む。また、ベース部材1402は、構成要素1430(例えば、リールアセンブリハウジング)の下端を内部に挿入できる内側キャビティ又は開口1406も含む。ベース部材1402の内側キャビティ又は開口1406内にはチャネル1408が形成され或いは配置され、また、スプリング構成要素1410がチャネル1408内に位置される。スプリング構成要素1410は、構成要素1430が内側キャビティ又は開口1406内に挿入されるときに構成要素1430の下端の周囲で径方向に撓むように構成される。具体的には、スプリング構成要素1410は、構成要素1430の下端が内側キャビティ又は開口1406内に挿入されるときに径方向外側に撓み、その後、スプリング構成要素1410は、
図14Bの断面図に示されるようにベース部材1402の内側キャビティ又は開口1406内に構成要素1430の下端をロックするべく所定位置へと跳ね戻る或いは曲げ戻る。スプリング構成要素1410は、構成要素1430が軸方向に引き上げられるときに径方向外側に曲がることによって構成要素1430の下端を内側キャビティ又は開口1406から取り外すことができるようにする。したがって、スプリング構成要素1410は、構成要素1430をベース部材1402と解放可能に結合させることができるようにする。
【0114】
[0124]幾つかの実施形態では、内側キャビティ又は開口1406のチャネル1408が環状チャネルであり、該環状チャネル内で、スプリング構成要素1410は、構成要素1430の下端が内側キャビティ又は開口1406内に挿入されるときに径方向に撓む。そのような実施形態において、スプリング構成要素1410は、径方向の撓み時に拡大する内径を有するスプリットリングスプリングであってもよい。幾つかの実施形態において、スプリットリングスプリング1410の内径の拡大は、内側キャビティ又は開口1406の環状チャネル1408によって抑制されてもよい。そのような実施形態において、構成要素1430の下端の外径Dは、環状チャネル1408によって許容されるスプリットリングスプリング1410の最大内径Wより大きくてもよく、そのため、ベース部材1402又は構成要素1430の下端は、ベース部材の内側キャビティ又は開口1406内への構成要素1430の下端の挿入を可能にするべく径方向外側に屈曲してもよい。具体的には、構成要素1430の拡大した下端がベース部材の内側キャビティ又は開口1406内に挿入されるときにベース部材1402の環状突出部1407が弾性的に屈曲し或いは撓んでもよい。内側キャビティ又は開口1406内への構成要素1430の挿入中にベース部材1402(例えば、環状突出部1407)及び/又は構成要素1430の下端が屈曲するため、2つの構成要素の結合が大きく高められ、それにより、前記構成要素を分離するためにかなり大きな力を要する。したがって、構成要素1430は、ベース部材1402から外れることなく外部物体から大きな力を受けることができる。
【0115】
[0125]幾つかの実施形態において、構成要素1430の下端は、スプリング構成要素1410が内部に位置される環状チャネル1432を含む。他の実施形態では、構成要素1430の下端が複数のロックタブ又は径方向に延びる部材を含み、該部材の周囲で、スプリング構成要素1410は、構成要素1430の下端を内側キャビティ又は開口1406内にロックするべく屈曲する。幾つかの実施形態において、スプリング構成要素1410は、スプリットリングスプリングではなく、馬蹄形スプリング、クローバスプリング、閉ループスプリング等であってもよい。
【0116】
[0126]1つの実施形態によれば、構成要素を物品に対して解放可能に取り付けるための方法は、内側キャビティ又は開口と、内側キャビティ又は開口内に配置されるチャネルと、チャネル内に位置されるスプリング構成要素とを含むベース部材を用意することを含む。また、方法は、ベース部材を物品に取り付けるステップと、スプリング構成要素が構成要素の下端の周囲で径方向に撓むことにより構成要素の下端をベース部材の内側キャビティ又は開口内にロックするように構成要素の下端を内側キャビティ又は開口内に挿入するステップとを含む。幾つかの実施形態において、ベース部材を物品に取り付けるステップは、ベース部材のフランジを物品に結合するステップを含む。
【0117】
[0127]幾つかの実施形態を説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の思想から逸脱することなく様々な変更、代わりの構成、及び、等価物が使用されてもよい。また、本発明を不必要に曖昧にするのを避けるために、多くの良く知られたプロセス及び要素については説明しなかった。したがって、先の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0118】
[0128]値の範囲が与えられる場合、文脈が別段に明確に指示しなければ、その範囲の上限と下限との間に介在するそれぞれの値も、下限の単位の1/10まで、具体的に開示される。述べられた任意の値又は述べられた範囲内に介在する値と任意の他の述べられた或いはその述べられた範囲内に介在する値との間の更に小さいそれぞれの範囲も含まれる。これらの更に小さい範囲の上限及び下限は、その範囲内に独立して含まれ或いは排除されてもよく、また、この更に小さい範囲内にあって限界値のいずれかが含まれる、いずれも含まれない、或いは、いずれも含まれるそれぞれの範囲も、述べられた範囲内の任意の特に排除された限界値の制約下で、本発明の範囲内に包含される。述べられた範囲が限界値の一方又は両方を含む場合には、それらの含まれた限界値のいずれか一方又は両方を排除する範囲も含まれる。
【0119】
[0129]本明細書中及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形“1つの(a)”、“1つの(an)”、及び、“その(the)”は、文脈が別段に明確に指示しなければ、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、“1つのプロセス”への言及は、複数のそのようなプロセスを含み、また、”その装置”への言及は、1つ以上の装置及び当業者に知られるその等価物等への言及を含む。
【0120】
[0130]また、用語“備える”、“備えている”、“含む(include)”、“含んでいる”、及び、“含む(includes)”は、この明細書中及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、述べられた特徴、整数、構成要素、又は、ステップの存在を特定するように意図されるが、それらは、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、又は、グループの存在又は付加を排除しない。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付け可能なベース部材であって、
前記物品に取り付け可能な下端と、
前記下端に隣接して前記ベース部材内に画定されたチャネルと、を含む、ベース部材と、
前記ベース部材と結合可能なハウジングであって、前記ハウジングは、その中に画定されたチャネルを備えた下端を有し、前記ハウジングの前記チャネルは、前記ハウジングが前記ベース部材と結合されるときに前記ハウジングの前記チャネルが前記ベース部材の前記チャネルと位置合わせされるように形作られ、向けられる、ハウンジングと、
前記ハウジングの前記チャネル内に配置可能なスプリング構成要素であって、前記スプリング構成要素を前記ベース部材の前記チャネル内に挿入して、前記ハウジングを前記ベース部材に解放可能に結合することを可能にするために、前記スプリング構成要素は、前記ハウジングが前記ベース部材と結合されるときに、径方向に撓むように構成される、スプリング構成要素と、を備える、リール式閉鎖装置。
【請求項2】
前記ベース部材の前記チャネルが、環状の形状および方向性を有する、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項3】
前記スプリング構成要素は、径方向に撓むと拡大または収縮する内径を有するスプリットリングである、請求項2に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項4】
前記ハウジングの前記下端の外形は、前記スプリットリングの最大径より大きい、請求項3に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記スプリング構成要素が前記ベース部材の前記チャネル内に挿入されるとき、および前記スプリング構成要素がそこから取り外されるときに、前記スプリング構成要素が前記ハウジングに結合されたままになるように構成される、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項6】
前記スプリング構成要素は、スプリットリング、馬蹄形スプリング、またはクローバスプリングである、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項7】
前記ベース部材は、前記ベース部材の前記下端の外周から径方向に延びるフランジをさらに備え、前記フランジは前記物品と結合可能である、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項8】
構成要素を物品に解放可能に取り付けるためのシステムであって、
前記物品に取り付け可能なベース部材であって、
前記ベース部材が前記物品に取り付けられるときに、前記物品に対して配置される下端と、
前記下端に隣接して前記ベース部材内に画定されたチャネルと、を含む、ベース部材と、
前記構成要素の下端に結合可能であり、前記ベース部材の前記チャネル内に配置可能なスプリング構成要素と、を備え、
前記スプリング構成要素は、前記ベース部材の前記チャネル内に挿入されるときに、前記ベース部材に対して径方向に撓むように構成されており、
前記ベース部材の前記チャネル内への前記スプリング構成要素の挿入が、前記構成要素を前記ベース部材に解放可能に結合し、それによって前記構成要素が前記物品に解放可能に取り付けられる、システム。
【請求項9】
前記ベース部材内に画定された前記チャネルが、環状の形状および方向性を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スプリング構成要素は、径方向に撓むと拡大または収縮する内径を有するスプリットリングである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記構成要素の前記下端の外形は、前記スプリットリングの最大径より大きい、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
環状チャネルが、前記構成要素の前記下端に画定され、前記スプリング構成要素は、前記構成要素の前記下端に画定された前記環状チャネル内に配置可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記構成要素は、前記スプリング構成要素が前記ベース部材の前記チャネル内に挿入されるとき、および前記スプリング構成要素がそこから取り外されるときに、前記スプリング構成要素が前記構成要素に結合されたままになるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スプリング構成要素は、スプリットリング、馬蹄形スプリング、またはクローバスプリングである、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記ベース部材は、前記ベース部材の前記下端の外周から径方向に延びるフランジをさらに備え、前記フランジは前記物品と結合可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
ハウジングを、物品に取り付けられたベース部材に解放可能に結合する方法であって、
前記ベース部材を用意するステップであって、前記ベース部材は、
前記物品に取り付けらける下端と、
前記下端に隣接して前記ベース部材内に画定されたチャネルと、を含む、ステップと、
前記ハウジングを用意するステップであって、前記ハウジングは、その中に画定されたチャネルを備えた下端を有する、ステップと、
前記ハウジングの前記チャネル内にスプリング構成要素を配置するステップと、
前記ハウジングを前記ベース部材と位置合わせするステップと、
前記ハウジングを前記ベース部材に押し付けて前記ハウジングを前記ベース部材に結合するステップと、を含み、
前記スプリング構成要素を前記ベース部材の前記チャネル内に挿入して、前記ハウジングを前記ベース部材に解放可能に結合することを可能にするために、前記スプリング構成要素は、前記ハウジングが前記ベース部材に押し付けられるときに、径方向に撓む、方法。
【請求項17】
前記ハウジングの前記チャネルは、前記ハウジングが前記ベース部材と結合されるときに前記ハウジングの前記チャネルが前記ベース部材の前記チャネルと位置合わせされるように形作られ、向けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スプリング構成要素は、スプリットリングスプリングである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ハウジングは、前記スプリング構成要素が前記ベース部材の前記チャネル内に挿入されるとき、および前記スプリング構成要素がそこから取り外されるときに、前記スプリング構成要素が前記ハウジングに結合されたままになるように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ベース部材を前記物品に取り付けるために、前記ベース部材のフランジを前記物品に結合するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【外国語明細書】