(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016401
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】除菌液製品
(51)【国際特許分類】
B65D 77/00 20060101AFI20240131BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20240131BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20240131BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240131BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20240131BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B65D77/00 C
B65D75/58
B65D30/16 C
B65D33/00 A
B65D33/38
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118478
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000182236
【氏名又は名称】エネックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】中川 えみ
【テーマコード(参考)】
3E014
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB03
3E014PB04
3E014PC03
3E014PD11
3E014PF10
3E064AB25
3E064BA22
3E064BC18
3E064FA04
3E064HA02
3E064HA06
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS10
3E067AA03
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067CA24
3E067EA23
3E067EB32
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】保管し易く且つ使用時の取り扱いが容易な除菌液製品を提供する。
【解決手段】除菌液製品は、第一体積の除菌原液と、収容袋とを含む。収容袋は、除菌原液を収容する収容室を内部に有する。収容袋は、正面側壁と、背面側壁と、底壁とを含み、水の注入口と、栓具とを備える。底壁は、深さ方向の底側となる正面側壁の第一縁部と繋がり、深さ方向の底側となる背面側壁の第二縁部と繋がる。底壁は、水が注入口から収容室に注入されていない未希釈状態では、第一形状及び第二形状を有する。第一形状の底壁は深さ方向の天側に折り込まれ、第二形状の底壁は幅方向に沿った折り目を含む。収容室は、未希釈状態で底壁が第一形状及び第二形状を有する収容袋で、正面側壁と背面側壁との間に、第一形状及び第二形状の底壁によって隔てられた、第一容積の第一隙間及び第二容積の第二隙間を含む。第一体積は、第一隙間及び第二隙間の合計容積以下とされる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水で希釈されて除菌液となる、第一体積の除菌原液と、
前記除菌原液を収容する収容室を内部に有する、収容袋と、を含み、
前記収容袋は、
前記収容袋の表裏方向の表側に設けられる、正面側壁と、
前記表裏方向の表側とは反対の裏側に設けられる、背面側壁と、
前記収容袋の深さ方向の底側に設けられ、前記深さ方向の底側となる前記正面側壁の第一縁部と前記表裏方向の表側で繋がり、前記深さ方向の底側となる前記背面側壁の第二縁部と前記表裏方向の裏側で繋がる、底壁と、を含み、更に、
前記収容室に通じる、前記水の注入口と、
前記注入口に設けられる、栓具と、を備え、
前記底壁は、前記水が前記注入口から前記収容室に注入されていない未希釈状態では、前記深さ方向の底側とは反対の天側に折り込まれた第一形状、及び前記深さ方向の天側への折り込みに伴う前記収容袋の幅方向に沿った折り目を含む第二形状を有し、
前記収容室は、
前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記正面側壁と前記背面側壁との間に、前記第一形状及び前記第二形状の前記底壁によって隔てられた、第一容積の第一隙間及び第二容積の第二隙間を含み、更に、
前記除菌原液を前記水で希釈させた希釈状態では、前記除菌液を収容し、
前記第一体積は、前記第一隙間及び前記第二隙間の合計容積以下とされる、除菌液製品。
【請求項2】
前記第一体積は、前記第一容積以下とされる、請求項1に記載の除菌液製品。
【請求項3】
前記収容袋は、
前記除菌液を吐出する、吐出器と、
前記収容室に設けられ、第一端が前記吐出器に接続され、前記第一端とは反対側の第二端が開放され、前記除菌液を前記吐出器に流入させる、チューブと、を備え、
前記チューブは、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記折り目より前記深さ方向の天側に設けられ、前記第一隙間及び前記第二隙間には設けられない、請求項1又は請求項2に記載の除菌液製品。
【請求項4】
前記栓具は、前記吐出器を含む、請求項3に記載の除菌液製品。
【請求項5】
前記収容袋は、前記正面側壁に不透明フィルム製のラベルを備え、
前記正面側壁は、透明フィルム製であり、
前記ラベルには、前記除菌液の第二体積を示す目盛りが記録され、
前記目盛りは、前記幅方向の第一側となる前記ラベルの第三縁部に記録され、
前記ラベルは、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記第三縁部が前記幅方向の第一側となる前記収容室の端部より前記幅方向の第一側とは反対の第二側に配置された状態で前記正面側壁に貼り付けられる、請求項1又は請求項2に記載の除菌液製品。
【請求項6】
前記収容袋は、
前記除菌液を吐出する、吐出器と、
前記収容室に設けられ、第一端が前記吐出器に接続され、前記第一端とは反対側の第二端が開放され、前記除菌液を前記吐出器に流入させる、チューブと、を備え、
前記チューブは、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記折り目より前記深さ方向の天側に設けられ、前記第一隙間及び前記第二隙間には設けられない、請求項5に記載の除菌液製品。
【請求項7】
前記栓具は、前記吐出器を含む、請求項6に記載の除菌液製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水で希釈されて除菌液となる除菌原液を収容袋の収容室に収容する除菌液製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パウチ容器を開示する。パウチ容器では、正面の側壁フィルムと背面の側壁フィルムのそれぞれの底縁部に底面フィルムの縁部がシールされ、正面及び背面の側壁フィルムの両側縁部同士及び上端部同士がシールされることによって、内部空間が形成される。正面の側壁フィルムには目盛りが設けられている。上部には、スパウト部が設けられている。スパウト部は、蓋部と嵌合する。内容物が充填されていない状態では、パウチ容器の底面フィルムは中央の折り線に沿ってV字形に折り畳まれている。スパウト部から水等の内容物が充填されると、底面フィルムが開き、パウチ容器は自立可能となる。パウチ容器に種々の内容物を充填することにより、パウチ包装製品とすることができる。パウチ容器に充填される内容物としては、飲食品又は医薬品であることが好ましい。飲食品又は医薬品は、使用時に加水して、液体状又は半固形状にした後に摂取される。パウチ容器に水等の液体を充填することによって、医薬品等の調製を、簡便且つ衛生的に実施できる。液体状態や半固形状態で提供する場合と比較し、流通保管コストの減少が期待される。
【0003】
特許文献2は、薬液生成用容器を開示する。薬液生成用容器は、遮光性パウチ容器と、薬液噴霧部又はキャップと、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末とからなる。薬液噴霧部は、薬液収納容器から吸引した薬液を噴霧する。キャップは、開口部に着脱可能に取り付けられる。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末は、パウチ容器に封入される。パウチ容器は、遮光性に優れたシートにより作られる。シートには、ALが利用される。パウチ容器は、表裏シート並びに底部シートの部材よりなり、ヒートシール部で接合されている。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末を入れただけの状態では、底部が内側に曲がり込められ、平らや略シート状となる。パウチ容器に適正水道水を入れることで全体が広がり自立できるようになる。パウチ容器の側辺部には、側部形状保持部が設けられている。側部形状保持部は、プラスチックで成型される。側部形状保持部は、使用により内容量が減っていく過程で上部が折れ曲がるのを防ぐ。パウチ容器上部には、開口部スプレー取付部が設けられている。次亜塩素水は、開口部スプレー取付部を通して外部に排出される。開口部スプレー取付部には、キャップ又は噴霧機構部材が着脱可能に取り付けられる。パウチ容器表面に目安線を入れておくことで、より簡単に正確に近い容量の水を入れることができる。目安線は、入れる容量の目安となる。スプレーヘッドが噴霧機構部材として使用される。スプレーヘッドは、トリガータイプで開口部スプレー取付部に着脱可能に取り付けられる。容器内部の溶液は、内部の吸引チューブにより吸引される。噴霧機構部材は、ノズルスプレーであってもよく、又はプッシュ式スプレーであってもよい。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末は、パウチ容器に水道水を入れることで次亜塩素酸水を生成する。薬液生成用容器は、流通時は軽量でコンパクトになるため効率的な流通と品質維持を実現する。消費者は、パウチ容器容量にそって水を入れることで、計量等の手間をかけず適切濃度の次亜塩素酸水を生成可能である。
【0004】
非特許文献1は、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法として次の方法を開示する。前述の方法は、水及び石鹸による洗浄、熱水、アルコール消毒液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素系漂白剤)、手指用以外の界面活性剤(洗剤)、次亜塩素酸水(一定条件を満たすもの)及び亜塩素酸水を用いる。塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、洗剤(界面活性剤)、次亜塩素酸水及び亜塩素酸水は、モノに付着したウイルス対策とされる。
【0005】
塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)による方法では、市販の家庭用漂白剤が次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%になるように薄められる。
【0006】
洗剤(界面活性剤)による方法では、次の9種類の界面活性剤が新型コロナウイルスに有効であることが確認されている。前述の9種類の界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)、アルキルグリコシド(0.1%以上)、アルキルアミンオキシド(0.05%以上)、塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)、塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)、純石けん分(脂肪酸カリウム)(0.24%以上)及び純石けん分(脂肪酸ナトリウム)(0.22%以上)である。
【0007】
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を主成分とする。次亜塩素酸水による方法では、有効塩素濃度80ppm以上(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は100ppm以上)の次亜塩素酸水が用いられる。
【0008】
亜塩素酸水は、製品の用法・用量に従って必要に応じて希釈される。清拭する場合、亜塩素酸水は遊離塩素濃度25ppm(25mg/L)以上とされる。浸漬する場合、亜塩素酸水は遊離塩素濃度25ppm(25mg/L)以上とされる。汚物がある場合、亜塩素酸水は遊離塩素濃度100ppm(100mg/L)以上とされる。汚物の例としては、排泄物及びおう吐物が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013-124135号公報
【特許文献2】実用新案登録第3230825号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】厚生労働省、“新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)”、[online]、[令和4年5月17日検索]、インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
感染症対策として除菌が有効であると考えられ、除菌液製品が使用されている。除菌液製品は、容器に除菌液を収容する。発明者は、次の観点で除菌液製品の態様について検討を行った。前述の観点は、保管し易いこと、及び使用時の取り扱いが容易であることである。「保管し易い」は、多くの除菌液製品をまとめて保管する場合、大きな空間を必要としないことを意味する。換言すれば、「保管し易い」は、多くの除菌液製品をコンパクトに保管できることを意味する。更に、発明者は、除菌液製品を保管し易い態様とすることは、災害対策として除菌液製品を備蓄しておく場合にも有効であると考えた。
【0012】
本発明は、保管し易く且つ使用時の取り扱いが容易な除菌液製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面は、水で希釈されて除菌液となる、第一体積の除菌原液と、前記除菌原液を収容する収容室を内部に有する、収容袋と、を含み、前記収容袋は、前記収容袋の表裏方向の表側に設けられる、正面側壁と、前記表裏方向の表側とは反対の裏側に設けられる、背面側壁と、前記収容袋の深さ方向の底側に設けられ、前記深さ方向の底側となる前記正面側壁の第一縁部と前記表裏方向の表側で繋がり、前記深さ方向の底側となる前記背面側壁の第二縁部と前記表裏方向の裏側で繋がる、底壁と、を含み、更に、前記収容室に通じる、前記水の注入口と、前記注入口に設けられる、栓具と、を備え、前記底壁は、前記水が前記注入口から前記収容室に注入されていない未希釈状態では、前記深さ方向の底側とは反対の天側に折り込まれた第一形状、及び前記深さ方向の天側への折り込みに伴う前記収容袋の幅方向に沿った折り目を含む第二形状を有し、前記収容室は、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記正面側壁と前記背面側壁との間に、前記第一形状及び前記第二形状の前記底壁によって隔てられた、第一容積の第一隙間及び第二容積の第二隙間を含み、更に、前記除菌原液を前記水で希釈させた希釈状態では、前記除菌液を収容し、前記第一体積は、前記第一隙間及び前記第二隙間の合計容積以下とされる、除菌液製品である。前記第一体積は、前記第一容積以下とされる、ようにしてもよい。
【0014】
このような除菌液製品によれば、未希釈状態で底壁が第一形状及び第二形状を有する収容袋で、除菌原液を第一隙間及び第二隙間の一方又は両方に留め置くことができる。例えば、使用者は、除菌液製品の使用時、注入口から収容室に水を注入し、除菌原液を希釈する。使用者は、注入口から栓具を取り外し、開状態の注入口を鉛直上向きとする。水の注入前、使用者の意図に反して収容袋が傾けられ又は倒れることが想定される。収容袋が鉛直下向き又は横向きとなったとしても、除菌原液が全て注入口の側に流れて開状態の注入口から漏れ出すことを抑制することができる。仮に、除菌原液が注入口から漏れ出たとしても、漏れ出る除菌原液を少なくすることができる。収容室内の除菌原液を除菌液とすることができる。
【0015】
前記収容袋は、前記除菌液を吐出する、吐出器と、前記収容室に設けられ、第一端が前記吐出器に接続され、前記第一端とは反対側の第二端が開放され、前記除菌液を前記吐出器に流入させる、チューブと、を備え、前記チューブは、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記折り目より前記深さ方向の天側に設けられ、前記第一隙間及び前記第二隙間には設けられない、ようにしてもよい。前記栓具は、前記吐出器を含む、ようにしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、未希釈状態で第一形状及び第二形状の底壁を正面側壁及び背面側壁の両側壁に表裏方向に接近させ又は部分的に接させることができる。第一隙間の表裏方向の間隔及び第二隙間の表裏方向の間隔を小さくすることができる。
【0017】
前記収容袋は、前記正面側壁に不透明フィルム製のラベルを備え、前記正面側壁は、透明フィルム製であり、前記ラベルには、前記除菌液の第二体積を示す目盛りが記録され、前記目盛りは、前記幅方向の第一側となる前記ラベルの第三縁部に記録され、前記ラベルは、前記未希釈状態で前記底壁が前記第一形状及び前記第二形状を有する前記収容袋で、前記第三縁部が前記幅方向の第一側となる前記収容室の端部より前記幅方向の第一側とは反対の第二側に配置された状態で前記正面側壁に貼り付けられる、ようにしてもよい。
【0018】
このような構成によれば、収容室に注入された水の液面の位置を目盛りで確認しつつ、水の注入作業を実施することができる。目盛りを見易くすることができる。除菌原液を適切な濃度へと希釈することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、保管し易く且つ使用時の取り扱いが容易な除菌液製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】除菌液製品の一例を示す正面図である。水による希釈前の除菌原液を含む状態を示す。第一例のラベルを示す。
【
図3】除菌液製品の一例を示す正面図である。
図1の除菌液製品に水を注入し、除菌原液を450mLの除菌液に希釈した状態を示す。
【
図4】除菌液製品の一例を示す正面図である。
図1の除菌液製品に水を注入し、除菌原液を400mLの除菌液に希釈した状態を示す。
【
図5】収容袋の一部の概略構成の一例を示す断面図である。図示範囲は、深さ方向の底側となる収容袋の一部である。
図1の除菌液製品で収容袋を
図1,2のX方向から見た状態に対応する。切断位置は幅方向の中央である。
【
図6】収容袋の一部の概略構成の一例を示す断面図である。図示範囲は、深さ方向の底側となる収容袋の一部である。
図3,4の除菌液製品で収容袋を
図3,4のX方向から見た状態に対応する。切断位置は幅方向の中央である。
【
図7】
図1の除菌液製品で栓具を取り外した状態の収容袋の一例を示す正面図である。
図1の除菌液製品に水を注入する状態を示す。
【
図8】
図1の第一例のラベルとは異なる第二例のラベルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。各図面は、他の図面との対応、又は図面中の構成を特定する後述の数値との対応が正確ではない場合もある。ハッチングは、切断面を示す。
【0022】
<除菌液製品10>
除菌液製品10について
図1~7を参照して説明する。除菌液製品10は、処理対象の除菌に用いられる。処理対象の例としては、物品が挙げられる。この場合、除菌液製品10は、物品の表面を除菌する際に用いられる。除菌液製品10は、除菌原液20と、収容袋30とを含む(
図1,2参照)。除菌液製品10は、「パウチ容器」と称されるタイプの収容具を収容袋30として応用することができる。
【0023】
実施形態では、収容袋30の表裏方向を「表裏方向」といい、収容袋30の深さ方向を「深さ方向」といい、収容袋30の幅方向を「幅方向」という。表裏方向の各側を「表側」及び「裏側」という。表裏方向の裏側は、表裏方向の表側とは反対となる。深さ方向の各側を「底側」及び「天側」という。深さ方向の天側は、深さ方向の底側とは反対となる。幅方向の各側を「第一側」及び「第二側」という。幅方向の第二側は、幅方向の第一側とは反対となる。
【0024】
除菌原液20は、水で希釈されて除菌液22となる(
図3,4参照)。実施形態では、除菌は広く解釈される。即ち、除菌は、消毒、殺菌又は滅菌を含む。この場合、除菌原液20は、消毒原液であってもよく、殺菌原液であってもよく、又は滅菌原液であってもよい。除菌液22は、消毒液であってもよく、殺菌液であってもよく、又は滅菌液であってもよい。消毒原液は、水で希釈されて消毒液となる。殺菌原液は、水で希釈されて殺菌液となる。滅菌原液は、水で希釈されて滅菌液となる。実施形態では、除菌原液20及び除菌液22に対して網点模様を付し、これらを明示する(
図1~7参照)。除菌原液20の網点模様は、除菌液22の網点模様より網点密度を高くしている。除菌液22の網点模様は、後述する除菌液22の濃度に関係なく一定としている。
【0025】
除菌原液20の例としては、界面活性剤が挙げられる。除菌液製品10は、除菌原液20として界面活性剤を採用する(
図1及び後述する
図8参照)。界面活性剤である除菌原液20の例としては、非特許文献1に開示された9種類の界面活性剤が挙げられる。但し、除菌原液20は、界面活性剤とは異なっていてもよい。除菌原液20は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、この決定には、除菌効果及び除菌用途の一方又は両方が考慮される。除菌原液20は、次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液であってもよく、又は次亜塩素酸を含む溶液であってもよい。即ち、除菌原液20の例としては、非特許文献1に開示された主成分を含む溶液が挙げられる。
【0026】
除菌効果を有する主成分の濃度に関し、除菌原液20は除菌液22より高い濃度を有する。実施形態では、除菌原液20における主成分の濃度を「除菌原液20の濃度」といい、除菌液22における主成分の濃度を「除菌液22の濃度」という。主成分は、除菌効果を有し、溶媒に溶解する。溶媒の例としては、水が挙げられる。
【0027】
除菌原液20の第一体積VAを0.45mLとし、除菌液22の第二体積VBを450mLとする(
図1,3参照)。この場合、第一体積VA及び第二体積VBの関係は「VB/VA=1000」となる。つまり、除菌液22は、除菌原液20に対して1000倍希釈される。換言すれば、除菌液22の濃度は、除菌原液20の濃度の1/1000倍となる。これとは異なり、除菌原液20の第一体積VAを0.45mLとし、除菌液22の第二体積VBを400mLとする(
図1,4参照)。この場合、第一体積VA及び第二体積VBの関係は「VB/VA=400/0.45」となる。つまり、除菌液22は、除菌原液20に対して400/0.45倍希釈される。換言すれば、除菌液22の濃度は、除菌原液20の濃度の0.45/400倍となる。
【0028】
除菌液22の濃度は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、除菌液22の濃度は、公的機関が公表する情報を考慮して決定することができる。公的機関が公表する情報の例としては、上述した非特許文献1が挙げられる。除菌原液20の濃度は、除菌液22の濃度及び次に記載の収容室31の収容容積V0に応じて適宜決定される。
【0029】
収容袋30は、収容室31を内部に有する(
図1~6参照)。収容袋30は、収容室31に除菌原液20を収容する(
図1,2,5参照)。収容袋30は、収容室31に除菌液22を収容する(
図3,4,6参照)。収容室31は、収容袋30内部の空間である。収容室31の収容容積V0は、50~4000mLの範囲の所定値としてもよい。収容室31の収容容積V0は、450mLとしてもよく、又は500mLとしてもよい。但し、収容室31の収容容積V0は、前述の範囲とは異なっていてもよい。収容室31の収容容積V0は、諸条件を考慮して適宜決定される。実施形態では、収容室31の収容容積V0は収容袋30が収容可能な液量の上限値である。収容室31の収容容積V0は、除菌液22の第二体積VB以上に設定される(V0≧VB)。例えば、除菌液22の第二体積VBを450mLとする場合、収容室31の収容容積V0は500mLとしてもよい。
【0030】
収容袋30は、正面側壁40と、背面側壁41と、底壁42とを含み、更に、注入口50と、栓具51と、吐出器52と、チューブ53と、ラベル54とを備える(
図1~4参照)。正面側壁40は、透明フィルム製とされる。更に、収容袋30では、背面側壁41及び底壁42は、正面側壁40と同様、透明フィルム製とされる。吐出器52は、栓具51に設けられる。換言すれば、栓具51は、吐出器52を含む。
【0031】
正面側壁40は、表裏方向の表側に設けられる(
図1,3~6参照)。背面側壁41は、表裏方向の裏側に設けられる(
図2,5,6参照)。底壁42は、深さ方向の底側に設けられる(
図1~6参照)。底壁42は、正面側壁40の第一縁部と表裏方向の表側で繋がり、背面側壁41の第二縁部と表裏方向の裏側で繋がる(
図5,6参照)。正面側壁40の第一縁部は、深さ方向の底側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第二縁部は、深さ方向の底側となる背面側壁41の部分である。
【0032】
正面側壁40の第四縁部は、背面側壁41の第五縁部と繋がり、正面側壁40の第六縁部は、背面側壁41の第七縁部と繋がる(
図1~4参照)。正面側壁40の第四縁部は、幅方向の第一側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第五縁部は、幅方向の第一側となる背面側壁41の部分である。正面側壁40の第六縁部は、幅方向の第二側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第七縁部は、幅方向の第二側となる背面側壁41の部分である。
【0033】
正面側壁40の第八縁部は、背面側壁41の第九縁部と繋がる(
図1~4参照)。正面側壁40の第八縁部は、深さ方向の天側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第九縁部は、深さ方向の天側となる背面側壁41の部分である。
【0034】
収容袋30は、深さ方向の天側に注入口50を備える(
図1~4,7参照)。注入口50は、収容室31に通じる。栓具51は、注入口50に設けられる(
図1~4参照)。栓具51は、注入口50にねじ止めされる。
図1~4,7では、このねじ止め構造に関する図示は省略されている。但し、注入口50に対する栓具51の固定方法は、ねじ止めとは異なっていてもよい。この固定方法は、諸条件を考慮して適宜決定される。栓具51は、注入口50を閉じる。使用者は、除菌液製品10の使用時、注入口50から栓具51を取り外す(
図7参照)。例えば、使用者は、除菌液製品10を次の姿勢とする。前述の姿勢では、深さ方向が鉛直方向となり、深さ方向の天側が鉛直方向の上側となる。これに伴い、注入口50は鉛直上向きとなる。続けて、使用者は、注入口50から収容室31に水を注入する。除菌原液20は希釈され、除菌液22が生成される。その後、使用者は、注入口50に栓具51を取り付ける(
図3,4参照)。除菌液製品10で収容袋30は、収容室31に除菌液22を封入する。
【0035】
底壁42は、未希釈状態では、第一形状及び第二形状を有する(
図1,2,5参照)。未希釈状態では、水は注入口50から収容室31に注入されていない。未希釈状態では、収容袋30は、収容室31に除菌原液20を収容する。第一形状の底壁42は、深さ方向の天側に折り込まれた態様を有する。第二形状の底壁42は、幅方向に沿った折り目43を有する。折り目43は、底壁42が深さ方向の天側に折り込まれることで形成される。
【0036】
底壁42で折り目43は、表裏方向の中央に形成される。折り目43は、底壁42を表裏方向に2分割する。実施形態では、この2分割された底壁42の領域を「第一領域R1」及び「第二領域R2」という(
図5参照)。第一領域R1は、折り目43を基準として表裏方向の表側に位置する。第二領域R2は、折り目43を基準として表裏方向の裏側に位置する。第二領域R2は、折り目43を対称軸として第一領域R1と線対称の形状を有する。
【0037】
収容室31は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、正面側壁40と背面側壁41との間に、第一隙間32及び第二隙間33を含む(
図1,2,5参照)。第一隙間32及び第二隙間33は、第一形状及び第二形状の底壁42によって隔てられる(
図5参照)。第一隙間32及び第二隙間33は、深さ方向の底側で表裏方向に並んで形成される。第一隙間32は、第一形状及び第二形状の底壁42に対して表裏方向の表側に位置する。第二隙間33は、第一形状及び第二形状の底壁42に対して表裏方向の裏側に位置する。第一隙間32は、第一容積V1を有する。第二隙間33は、第二容積V2を有する。底壁42が第一形状及び第二形状を有し、且つ第二領域R2が折り目43を対称軸として第一領域R1と線対称の形状を有するとする。この場合、第一隙間32の第一容積V1は、第二隙間33の第二容積V2と同じとなる(V1=V2,
図5参照)。
【0038】
除菌液製品10の姿勢を、深さ方向を鉛直方向とし、深さ方向の天側を鉛直方向の上側とした状態で、鉛直上向きの注入口50から水を注入するとする(
図7参照)。注入口50からの水の注入時、収容室31内に生成されていく除菌液22は、底壁42を深さ方向の底側に押圧する。第一隙間32及び第二隙間33は、次第に形状を変化させる。即ち、底壁42は、水の注入に応じて次第に表裏方向に広がり、第一隙間32及び第二隙間33は、希釈状態では消滅する(
図3,4,6参照)。底壁42は、希釈状態では折り目43を有さない。希釈状態では、除菌原液20は水で希釈される。除菌液22は、希釈状態では除菌効果を考慮した濃度を有する。除菌液22の濃度については更に後述する。
【0039】
除菌液製品10では、除菌原液20の第一体積VAは、第一隙間32及び第二隙間33の合計容積V3以下とされる(VA≦V3
図5参照)。第一隙間32及び第二隙間33で第一容積V1、第二容積V2及び合計容積V3は、「V3=V1+V2」の関係を有する。除菌原液20の第一体積VA及び合計容積V3が「VA≦V3」の関係を有する場合、合計容積V3は、第一体積VAの除菌原液20を収容可能な大きさであるということができる。更に、除菌液製品10では、除菌原液20の第一体積VAは、第一隙間32の第一容積V1以下とされる(VA≦V1
図5参照)。除菌原液20の第一体積VA及び第一隙間32の第一容積V1が「VA≦V1」の関係を有する場合、第一隙間32の第一容積V1は、第一体積VAの除菌原液20を収容可能な大きさであるということができる。
図5では、全ての除菌原液20が第一隙間32に収容されている。但し、このような
図5の態様は、「VA≦V1」との関係を明らかにするための例示にすぎない。
【0040】
上述した通り、第一隙間32の第一容積V1が第二隙間33の第二容積V2と同じであるとする(V1=V2,
図5参照)。この場合、除菌液製品10では、前述した「VA≦V1」の関係が成立すると共に、「VA≦V2」の関係も成立する。除菌液製品10が未希釈状態である場合、第一隙間32及び第二隙間33の何れか一方に全ての除菌原液20を収容することが可能となる。
【0041】
除菌原液20をN倍希釈し、除菌原液20の濃度に対して1/N倍の濃度の除菌液22を生成するとする。「N」は、任意の値であり、除菌原液20の濃度及び除菌液22の濃度の一方又は両方を考慮して適宜決定される。除菌原液20の第一体積VAは、「VB/N」によって求められる。この場合、除菌液製品10では、合計容積V3は、「VB/N」以上とされる。更に、除菌液製品10では、第一隙間32の第一容積V1は、「VB/N」以上とされる。
【0042】
除菌原液20の希釈倍率をNA~NB倍の範囲で任意に選択可能とし、除菌原液20の濃度に対して1/NA~1/NB倍の濃度の除菌液22を除菌効果に応じて適宜生成するとする。「NA」及び「NB」は、「NA<NB」の関係を有する任意の値であり、除菌原液20の濃度及び除菌液22の濃度の一方又は両方を考慮して適宜決定される。希釈倍率がNA倍である場合、除菌原液20の第一体積VAは「VB/NA」である。希釈倍率がNB倍である場合、除菌原液20の第一体積VAは「VB/NB」である。このような想定では、合計容積V3は、「VB/NA」以上とされる。更に、第一隙間32の第一容積V1は、「VB/NA」以上とされる。第一隙間32の第一容積V1及び第二隙間33の第二容積V2が「V1=V2」の関係を有する場合、第一隙間32の第一容積V1が「VB/NA」以上である場合、合計容積V3は「2×(VB/NA)」に等しくなる。
【0043】
例えば、除菌原液20の希釈倍率を100~1000倍の範囲で任意に選択可能とし、除菌原液20の濃度に対して1/100~1/1000倍の濃度の除菌液22を生成することができる場合を想定する。除菌液22の第二体積VBを450mLとする。希釈倍率が100倍である場合、除菌原液20の第一体積VAは4.5mLである。希釈倍率が1000倍である場合、除菌原液20の第一体積VAは0.45mLである。このような想定では、合計容積V3は、4.5mL以上とされる。更に、第一隙間32の第一容積V1は、4.5mL以上とすることが好ましい。第一隙間32の第一容積V1が4.5mL以上であり、且つ第一隙間32の第一容積V1及び第二隙間33の第二容積V2が「V1=V2」の関係を有する場合、合計容積V3は9.0mL以上となる。
【0044】
除菌液製品10は、次のような態様としてもよい。即ち、前述の態様では、除菌液製品10は、除菌液22の第二体積VBを使用者が所望する除菌効果に応じて適宜設定する。実施形態では、除菌液22の第二体積VBは、2種類の体積値M1,M2とする(
図3,4参照)。体積値M1,M2は、「M1>M2」の関係を有する。実施形態では、除菌液22の第二体積VBとして「M1=450mL」及び「M2=400mL」を例示する(
図1,3,4参照)。
【0045】
除菌液22の濃度は、「VB=M2」とすることで「VB=M1」の場合より高くなる。「VB=M1」を標準とした場合、「VB=M2」とすることで標準時より除菌効果を高めることができる。換言すれば、「VB=M2」とすることでしっかりした除菌が可能となる。これに対して、「VB=M1」とすることで除菌効果を確保しつつ、より多くの物品を除菌することができる。
【0046】
除菌原液20が上述した非特許文献1に開示された9種類の界面活性剤の何れかであるとする。更に、これら9種類の界面活性剤のうちの何れかである除菌原液20を希釈させた希釈状態で除菌液22の濃度の下限値を非特許文献1の開示に準じて次の通りとする。この場合、非特許文献1に開示された9種類の界面活性剤では、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M1及び除菌原液20の第一体積VAの関係は次の通りとなる。体積値M1は、除菌液22の第二体積VBの上限値となる。
[希釈状態での除菌液22の濃度の下限値]
(1)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.1%
(2)アルキルグリコシド:0.1%
(3)アルキルアミンオキシド:0.05%
(4)塩化ベンザルコニウム:0.05%
(5)塩化ベンゼトニウム:0.05%
(6)塩化ジアルキルジメチルアンモニウム:0.01%
(7)ポリオキシエチレンアルキルエーテル:0.2%
(8)純石けん分(脂肪酸カリウム):0.24%
(9)純石けん分(脂肪酸ナトリウム):0.22%
[体積値M1及び第一体積VAの関係]
(1)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
M1=VA/(0.1/100),VA=M1×(0.1/100)
(2)アルキルグリコシド
M1=VA/(0.1/100),VA=M1×(0.1/100)
(3)アルキルアミンオキシド
M1=VA/(0.05/100),VA=M1×(0.05/100)
(4)塩化ベンザルコニウム
M1=VA/(0.05/100),VA=M1×(0.05/100)
(5)塩化ベンゼトニウム
M1=VA/(0.05/100),VA=M1×(0.05/100)
(6)塩化ジアルキルジメチルアンモニウム
M1=VA/(0.01/100),VA=M1×(0.01/100)
(7)ポリオキシエチレンアルキルエーテル
M1=VA/(0.2/100),VA=M1×(0.2/100)
(8)純石けん分(脂肪酸カリウム)
M1=VA/(0.24/100),VA=M1×(0.24/100)
(9)純石けん分(脂肪酸ナトリウム)
M1=VA/(0.22/100),VA=M1×(0.22/100)
吐出器52は、注入口50への栓具51の取り付けに伴い栓具51の一部として注入口50に設けられる(
図1~4参照)。吐出器52は、除菌液22を吐出する。
【0047】
除菌液製品10は、吐出器52としてトリガースプレーを採用する。但し、吐出器52は、トリガースプレーとは異なっていてもよい。例えば、吐出器52は、フィンガースプレー又はポンプ式スプレーであってもよい。この他、吐出器52は、吐出時、除菌液22を噴霧する形式でなくてもよい。吐出器52は、除菌液22を液状のまま吐出してもよく、又は除菌液22を泡状にして吐出してもよい。即ち、除菌液製品10では、公知の吐出器を吐出器52として採用することができる。吐出器52の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0048】
チューブ53は、収容室31に設けられる(
図1~6参照)。チューブ53の第一端は吐出器52に接続され、チューブ53の第二端は開放される。チューブ53の第二端は、チューブ53の第一端とは反対側である。チューブ53は、除菌液22を吐出器52に流入させる。チューブ53は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、折り目43より深さ方向の天側に設けられ、第一隙間32及び第二隙間33には設けられない(
図1,2,5参照)。
【0049】
ラベル54は、不透明フィルム製であり、正面側壁40に設けられる(
図1~4,7参照)。不透明フィルム製のラベル54は、遮光性を有していてもよい。ラベル54は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、ラベル54の第三縁部が収容室31の端部Eより幅方向の第二側に配置された状態で正面側壁40に貼り付けられる。収容室31の端部Eは、幅方向の第一側となる収容室31の部分である。
【0050】
ラベル54には、目盛り55が記録される(
図1,3,4,7参照)。目盛り55は、ラベル54の第三縁部に記録される。ラベル54の第三縁部は、幅方向の第一側となるラベル54の部分である。この他、ラベル54には、除菌液製品10に関する情報が記録される。この情報は、「記入欄(設置場所及び希釈日)」、「除菌水(除菌液22参照)の作り方」、「使い方」、「特長」、「使えないもの」、「使用状の注意」及び「応急処置」を含む。但し、このような情報は例示である。目盛り55と共にラベル54に記録する情報は、諸条件を考慮して適宜決定される。使用者は、表裏方向の表側から除菌液製品10を見て、ラベル54に記録された目盛り55を含む複数の情報を確認することができる。
【0051】
目盛り55は、除菌液22の第二体積VBを示す(
図3,4参照)。実施形態では、目盛り55は、目盛り線56,57を含む(
図1,3,4,7参照)。目盛り線56は、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M1に対応する。目盛り線56は、目盛り55の最高値とすることが好ましい。これにより、目盛り線56を除菌液22の第二体積VBの上限値として設定する体積値M1に対応させることができる。除菌液22の濃度低下を抑制することができる。目盛り線57は、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M2に対応する。実施形態では、目盛り線56は450mLに設定され、目盛り線57は400mLに設定される。
【0052】
上述した通り、底壁42は、未希釈状態では第一形状及び第二形状を有する。このような底壁42を含む収容袋30の例としては「スタンディングパウチ」が挙げられる。収容袋30としてパウチ容器を応用したとする。この場合、収容袋30となるパウチ容器は、「スパウト」と称される公知の部材を備えていてもよい(
図1~4,7参照)。スパウトは、注入口50を形成する。栓具51は、注入口50を形成するスパウトに装着される。これに伴い、吐出器52は、上述した通り、栓具51の一部として注入口50を形成するスパウトに設けられる。
【0053】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0054】
(1)除菌液製品10は、除菌原液20と、収容袋30とを含む(
図1,2参照)。除菌原液20は、水で希釈されて除菌液22となる(
図3,4参照)。収容袋30は、収容室31を内部に有する(
図1~6参照)。収容室31は、除菌原液20を収容する(
図1,2,5参照)。
【0055】
収容袋30は、正面側壁40と、背面側壁41と、底壁42とを含み、更に、注入口50と、栓具51とを備える(
図1~4参照)。正面側壁40は、表裏方向の表側に設けられる(
図1,3~6参照)。背面側壁41は、表裏方向の裏側に設けられる(
図2,5,6参照)。底壁42は、深さ方向の底側に設けられる(
図1~6参照)。底壁42は、正面側壁40の第一縁部と表裏方向の表側で繋がり、背面側壁41の第二縁部と表裏方向の裏側で繋がる(
図5,6参照)。正面側壁40の第一縁部は、深さ方向の底側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第二縁部は、深さ方向の底側となる背面側壁41の部分である。注入口50は、収容室31に通じる。水は、注入口50から注入される(
図7参照)。栓具51は、注入口50に設けられる(
図1~4参照)。
【0056】
底壁42は、未希釈状態では、第一形状及び第二形状を有する(
図1,2,5参照)。第一形状の底壁42は、深さ方向の天側に折り込まれた態様を有する。第二形状の底壁42は、幅方向に沿った折り目43を有する。折り目43は、底壁42が深さ方向の天側に折り込まれることで形成される。収容室31は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、正面側壁40と背面側壁41との間に、第一隙間32及び第二隙間33を含む。第一隙間32及び第二隙間33は、第一形状及び第二形状の底壁42によって隔てられる(
図5参照)。第一隙間32は、第一容積V1を有する。第二隙間33は、第二容積V2を有する。収容室31は、希釈状態では、除菌液22を収容する(
図3,4,6参照)。
【0057】
除菌液製品10では、除菌原液20の第一体積VAは、第一隙間32及び第二隙間33の合計容積V3以下とされる(VA≦V3
図5参照)。更に、除菌液製品10では、除菌原液20の第一体積VAは、第一隙間32の第一容積V1以下とされる(VA≦V1
図5参照)。
【0058】
除菌液製品10によれば、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、除菌原液20を第一隙間32及び第二隙間33の一方又は両方に留め置くことができる。例えば、使用者は、除菌液製品10の使用時、注入口50から収容室31に水を注入し、除菌原液20を希釈する(
図7参照)。使用者は、注入口50から栓具51を取り外し、開状態の注入口50を鉛直上向きとする。水の注入前、使用者の意図に反して収容袋30が傾けられ又は倒れることが想定される。収容袋30が鉛直下向き又は横向きとなったとしても、除菌原液20が全て注入口50の側に流れて開状態の注入口50から漏れ出すことを抑制することができる。仮に、除菌原液20が注入口50から漏れ出たとしても、漏れ出る除菌原液20を少なくすることができる。収容室31内の除菌原液20を除菌液22とすることができる。除菌液製品10は、保管し易く且つ使用時の取り扱いが容易である。
【0059】
(2)収容袋30は、吐出器52と、チューブ53とを備える(
図1~4参照)。吐出器52は、除菌液22を吐出する。チューブ53は、収容室31に設けられる。チューブ53の第一端は吐出器52に接続され、チューブ53の第二端は開放される。チューブ53は、除菌液22を吐出器52に流入させる。チューブ53は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、折り目43より深さ方向の天側に設けられ、第一隙間32及び第二隙間33には設けられない(
図1,2,5参照)。栓具51は、吐出器52を含む(
図1~4参照)。
【0060】
このような構成によれば、未希釈状態で第一形状及び第二形状の底壁42を正面側壁40及び背面側壁41の両側壁に表裏方向に接近させ又は部分的に接させることができる(
図5参照)。第一隙間32の表裏方向の間隔及び第二隙間33の表裏方向の間隔を小さくすることができる。
【0061】
(3)収容袋30は、正面側壁40にラベル54を備える(
図1~4,7参照)。正面側壁40は透明フィルム製であり、ラベル54は不透明フィルム製である。ラベル54には、目盛り55が記録される(
図1,3,4,7参照)。目盛り55は、希釈状態で除菌液22の第二体積VBを示す。目盛り55は、ラベル54の第三縁部に記録される。ラベル54の第三縁部は、幅方向の第一側となるラベル54の部分である。ラベル54は、未希釈状態で底壁42が第一形状及び第二形状を有する収容袋30で、ラベル54の第三縁部が幅方向の第一側となる収容室31の端部Eより幅方向の第二側に配置された状態で正面側壁40に貼り付けられる(
図1~4,7参照)。
【0062】
この構成によれば、収容室31に注入された水の液面の位置を目盛り55で確認しつつ、水の注入作業を実施することができる。目盛り55を見易くすることができる。除菌原液20を適切な濃度へと希釈することができる。
【0063】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0064】
(1)除菌液製品10は、次の第一構成及び第二構成を有する。第一構成は、除菌原液20の第一体積VAと第一隙間32及び第二隙間33の合計容積V3との関係を「VA≦V3」とする。第二構成は、除菌原液20の第一体積VAと第一隙間32の第一容積V1との関係を「VA≦V1」とする。除菌液製品10の処理対象として物品を例示した。この他、人体用の除菌液製品が実用化されている。人体用の除菌液製品は、皮膚を除菌する際に用いられる。除菌の対象となる部位の例としては、手及び指が挙げられる。第一構成は、人体用の除菌液製品に採用することもでき、又は第一構成及び第二構成は、人体用の除菌液製品に採用することもできる。
【0065】
(2)栓具51は、吐出器52を含む(
図1~4参照)。吐出器は、栓具とは別体としてもよい。この場合、栓具は、注入口を閉状態とするキャップであってもよい。収容袋における注入口及び吐出器の深さ方向及び幅方向の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。但し、注入口及び吐出器は、次の除菌液製品で除菌液22の液面より深さ方向の天側に配置させることが好ましい。前述の除菌液製品は、深さ方向を鉛直方向とし、深さ方向の天側を鉛直方向の上側とする。更に、前述の除菌液製品は、第二体積VBの上限値として設定する体積値M1の除菌液22を収容室に収容する。
【0066】
(3)ラベル54は、目盛り55として目盛り線56,57を含む(
図1,3,4,7参照)。目盛り線56は、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M1に対応する。目盛り線57は、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M2に対応する。ラベルに設ける目盛りの態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、目盛り55は、
図8に示す態様としてもよい。
図8に基づく説明では、
図1~7に基づく実施形態の構成と同じ又はこの構成に対応する構成に対して上記と同じ符号を用いることとし、上述した実施形態と異なる点を説明する。
【0067】
図8のラベル54には、次の態様の目盛り55が幅方向の第一側となるラベル54の第三縁部に記録される。前述の態様は、一定間隔で設けられた複数の目盛り線58を含む。
図8のラベル54では、複数の目盛り線58は、目盛り線56,57を含む。目盛り線56は、上述した目盛り線56と同様(
図3参照)、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M1に対応する。目盛り線57は、上述した目盛り線57と同様(
図4参照)、除菌液22の第二体積VBとして設定する体積値M2に対応する。但し、複数の目盛り線58で目盛り線56,57の一方又は両方は、
図8とは異なる態様としてもよい。複数の目盛り線58で目盛り線56,57の一方又は両方は、他の目盛り線58と同じ態様としてもよい。
【0068】
(4)収容袋30では、正面側壁40の第四縁部は、背面側壁41の第五縁部と繋がり、正面側壁40の第六縁部は、背面側壁41の第七縁部と繋がる(
図1~4参照)。正面側壁40の第四縁部は、幅方向の第一側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第五縁部は、幅方向の第一側となる背面側壁41の部分である。正面側壁40の第六縁部は、幅方向の第二側となる正面側壁40の部分である。背面側壁41の第七縁部は、幅方向の第二側となる背面側壁41の部分である。収容袋は、未希釈状態で底辺が上述した第一形状及び第二形状を有するタイプであればよく、前述した形状でなくてもよい。例えば、収容袋は、ガゼット袋であってもよい。ガゼット袋は、幅方向の第一側及び第二側に側壁を含む。幅方向の第一側及び第二側の側壁は、「マチ」と称されることがある。幅方向の第一側及び第二側の側壁は、透明フィルム製としてもよい。但し、収容袋で収容室を形成する複数の壁のうちの正面側壁を除く壁の一部又は全部は、不透明フィルム製としてもよい。不透明フィルムは、遮光性を有していてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 除菌液製品、 20 除菌原液、 22 除菌液、 30 収容袋
31 収容室、 32 第一隙間、 33 第二隙間、 40 正面側壁
41 背面側壁、 42 底壁、 43 折り目、 50 注入口、 51 栓具
52 吐出器、 53 チューブ、 54 ラベル、 55 目盛り
56,57,58 目盛り線、E 端部(収容室31の幅方向の第一側)
M1,M2 体積値、 R1 第一領域(底壁42)、 R2 第二領域(底壁42)
V0 収容容積(収容室31)、 V1 第一容積(第一隙間32)
V2 第二容積(第二隙間33)
V3 合計容積(第一隙間32及び第二隙間33)
VA 第一体積(除菌原液20)、 VB 第二体積(除菌液22)