(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164017
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】埋め込み可能な閉ループ神経調節装置、システム、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20241119BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20241119BHJP
A61N 1/378 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/36
A61N1/378
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024120284
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2021510168の分割
【原出願日】2019-08-28
(31)【優先権主張番号】62/724,253
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520404344
【氏名又は名称】イオタ バイオサイエンシズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IOTA BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルメナ, ジョセ エム.
(72)【発明者】
【氏名】マハービズ, マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニーリイ, ライアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】埋め込み可能な閉ループ神経調節装置、及び装置に電力を供給する超音波を放出するよう構成されるインテロゲータを含むシステムと、そのような装置及びシステムを使用する方法と、神経活動を調節する方法を提供する。
【解決手段】埋め込み可能な装置200は、本体202から延びる1つ以上の湾曲部材204、206を含むことができる。湾曲部材は、神経を少なくとも部分的に囲むように構成され、1つ以上の電極パッドを含む。本体は、超音波を受信し、超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器と、検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し、検出信号に基づいて刺激信号を生成し、刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するように電極パッドを動作させるよう構成された計算回路と、を含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、神経を少なくとも部分的に囲むように構成され、前記湾曲部材が1つ以上の電極パッドを備える、湾曲部材と、
超音波を受信して、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器、及び
検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受け取り、
前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記刺激信号に基づいて前記神経へと電気パルスを放出するよう、前記1つ以上の湾曲部材の前記1つ以上の電極パッドを動作させる
よう構成される、前記1つ以上の電極パッドと電気的に接続される計算回路、
を備える本体と、を備える埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【請求項2】
前記1つ以上の湾曲部材は、前記湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の湾曲部材は、前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の湾曲部材の少なくとも1つは、それぞれ同じ湾曲部材上で前記神経を少なくとも部分的に囲む2つ以上の湾曲電極パッドを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、湾曲部材それぞれが、神経の長さに平行する軸の周りに放射状に配置されるように構成された複数の電極パッドを備える、湾曲部材と、
超音波を受信して、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器、及び
検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し、
前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記刺激信号に基づいて前記神経へ電気パルスを放出するよう、前記1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの前記複数の電極パッドを動作させる
よう構成される、前記複数の電極パッドと電気的に接続される計算回路、
を備える本体と、を備える埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【請求項6】
1つ以上の電極パッド又は複数の電極パッドは、3つ以上の電極パッドを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維から、前記電気生理学的信号を検出するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束から前記電気生理学的信号を検出するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維に、前記電気パルスを放出するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束に前記電気パルスを放出するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記神経内の神経線維の第1の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出し、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに電気パルスを放出するように構成され、前記神経線維の第1の標的サブセットと前記神経線維の第2の標的サブセットとが同じであるか又は異なっている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記本体は、前記超音波変換器から前記電気エネルギーを受信し、前記計算回路に電力を供給するように構成された電池をさらに備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が非一時的メモリを含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記非一時的メモリは、前記検出された電気生理学的信号に基づくデータ、前記放出された電気パルスに基づくデータ、又は検出若しくは測定された生理学的状態に基づくデータを含むデータを格納するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記非一時的メモリは、インテロゲータから受信したデータを格納するように構成される、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記超音波変換器は、前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放出するように構成される、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記データは、前記検出された電気生理学的信号若しくは前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、速度、向き、振幅、周波数、又は波形を含む、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記非一時的メモリは、ある期間にわたって取得されたデータを格納するように構成される、請求項15乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記非一時的メモリは、1つ以上のテンプレート検出信号又は1つ以上のテンプレートパルスを格納する、請求項15乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記計算回路は、前記検出信号を前記1つ以上のテンプレート検出信号と比較することによって、前記刺激信号を生成するように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記刺激信号を生成することは、前記非一時的メモリからテンプレートパルスを取り出すことと、前記取り出されたテンプレートパルスに基づいて前記刺激信号を生成することとを含む、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記刺激信号は、前記検出信号と前記刺激信号との間の数学的関係を使用して生成される、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記装置は、生理学的状態を検出又は測定するように構成されたセンサをさらに備える、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記生理学的状態は、検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、又は存在若しくは量である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記検出信号は、検出された電気生理学的パルス成分と、追加の検出された生理学的状態成分とを含む、請求項25又は26に記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、1つ以上の電極パッドの第1のセットを備える第1の湾曲部材と、1つ以上の電極パッドの第2のセットを備える第2の湾曲部材とを備え、前記第1の湾曲部材及び前記第2の湾曲部材はそれぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で前記神経を少なくとも部分的に囲むように構成される、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記1つ以上の電極パッドの第1のセットは前記第1の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含むか、前記1つ以上の電極パッドの第2のセットは、前記第2の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含むか、又はその両方である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ以上の電極パッドの第1のセットは前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含むか、前記1つ以上の電極パッドの第2のセットは前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含むか、又はその両方である、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記1つ以上の電極パッドの第1のセット及び前記1つ以上の電極パッドの第2のセットは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される、請求項28乃至30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記装置は、1つ以上の電極パッドの第3のセットを含む第3の湾曲部材をさらに備え、前記第3の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間の位置で前記神経を少なくとも部分的に囲むように構成される、請求項28乃至31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記電極パッドの第3のセットは、前記第3の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記電極パッドの第3のセットは、前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記計算回路は、前記1つ以上の電極パッドの第1のセット、前記1つ以上の電極パッドの第2のセット、又は前記1つ以上の電極パッドの第3のセットのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される、請求項28乃至34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記1つ以上の電極パッドの第1のセット、前記1つ以上の電極パッドの第2のセット、又は前記1つ以上の電極パッドの第3のセットは、前記神経に前記電気パルスを放出するように構成される、請求項28乃至36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記1つ以上の電極パッドの第1のセット、前記1つ以上の電極パッドの第2のセット、又は前記1つ以上の電極パッドの第3のセット内の前記電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記計算回路は、前記電気生理学的信号の方向又は速度を決定するように構成される、請求項1乃至38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記1つ以上の電極パッドは、前記神経の外部に配置され、前記神経と電気的に連絡するように構成される、請求項1乃至39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記1つ以上の電極パッドは、前記神経の神経上膜と接するように構成される、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記1つ以上の電極パッドは、1つ以上の位置で前記神経の神経上膜を貫通するように構成される、請求項1乃至39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記計算回路は、前記検出信号又は前記検出信号の成分をダウンサンプリングするように構成される、請求項1乃至42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記計算回路は、前記神経又は前記神経内の神経線維のサブセットによって伝達される複合活動電位又は前記複合活動電位のサブセットの向き、速度、周波数、振幅、若しくは波形に基づいて、前記刺激信号を生成するように構成される、請求項1乃至43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記刺激信号は、前記装置によって放出される前記電気パルスのタイミング、振幅、周波数、又は波形を含む、請求項1乃至44のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
請求項1乃至45のいずれか1項に記載の装置と、前記装置に電力を供給する超音波を放出するように構成されたインテロゲータとを備える、システム。
【請求項47】
前記インテロゲータが外部装置である、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記装置は、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づいてデータを格納するように構成された非一時的メモリを備え、
前記超音波変換器は、前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放出し、
前記インテロゲータは、前記超音波後方散乱波を受信するように構成される、請求項46又は47に記載のシステム。
【請求項49】
前記インテロゲータが前記データを復号するようにさらに構成される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、
前記装置に電力を供給する電気エネルギーに前記超音波を変換することと、
前記装置を用いて、神経内の神経線維の標的サブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出することと、
前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて前記神経に電気パルスを放出することと、
を含む、神経活動を調節する方法。
【請求項51】
前記電気パルスが、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに放出される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、
前記装置に電力を供給する電気エネルギーに前記超音波を変換することと、
前記装置を用いて、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出することと、
前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて、前記神経内の神経線維の標的サブセットに電気パルスを放出することと、
を含む、神経活動を調節する方法。
【請求項53】
前記装置内の電池に前記電気エネルギーを蓄積することを含む、請求項50乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づくデータを、前記装置内の非一時的メモリに格納することを含む、請求項50乃至53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記データは、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、周波数、振幅、波形、速度、又は方向を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
インテロゲータからデータを受信することを含む、請求項50乃至55の何れか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記データは、前記インテロゲータによって伝達される超音波で符号化される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記インテロゲータから受信された前記データは、前記装置内の非一時的なメモリに格納される、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
非一時的媒体上に格納されたデータの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱を放出することを含む、請求項50乃至58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記検出された電気生理学的信号の方向又は速度を決定することを含む、請求項50乃至59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
生理学的状態を検出又は測定することを含む、請求項50乃至60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記生理学的状態が検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、及び/又は存在若しくは量を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記刺激信号を生成する前に、前記検出された電気生理学的信号をダウンサンプリングすることを含む、請求項50乃至62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記刺激信号は、前記検出された電気生理学的信号の周波数、振幅、又は波形に基づいて生成される、請求項50乃至63のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する相互参照]
本出願は2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,253号に対する優先権の利益を主張し、この全体の記載は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、埋め込み可能な閉ループ神経調節装置、及び埋め込み可能な装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
個体の末梢神経系は、生命維持に必要な器官の活動、及び生理的恒常性を、厳密な制御でもって動作させている。神経を通して送信される電気パルスは例えば、心拍数、炎症、及び膀胱又は腸の制御を変化させることができる。ある種の医学的状態は、これらの神経信号が、標的器官への過剰刺激又は過少刺激のいずれかによって、本体を適切に制御できない場合に生じ得る。
【0004】
末梢神経系の電気信号を制御することにより、異常な生理活性を治療するための侵襲的方法が開発されている。そのような方法は、電極の先端が標的神経に接触する状態で、患者の体内に電極を移植することを含むことができる。これらの電極は一般に、外部装置又は埋め込まれたかさばる装置に取り付けられる長いリード線を有し、これにより、患者は電極の感染又は変位の相当な危険にさらされる。さらに、その方法の多くは非常に侵襲的であるため、ある種の治療は臨床現場に限定され、在宅での療法として使用することはできない。完全埋め込み可能な装置はより侵襲性の低い治療のために開発されてきたが、このような装置は体の多くの位置において配置するには大きすぎる。したがって、埋め込まれた装置は、変位又は破損する可能性のある長いリード線の使用を必要とする。
【0005】
閉ループ神経調節装置は、神経によって伝達される活動電位などの信号の受信に応じて神経調節電気パルスを放出することができる。しかしながら、神経によって伝達される信号は複合され(すなわち、複合活動電位)、神経束内に位置するいくつかの繊維束のうちの1つによって伝達され得る。したがって、神経からの多くの閉ループ装置検出信号は、良性活動電位と標的下流神経から生じる活動電位とを区別するのに十分に正確ではない。さらに、多くの神経調節装置の神経刺激は神経に広い電気パルスを放出し、これは、オフターゲットの下流神経の刺激をもたらす。制御された手法で、限定された危険性及び副作用を伴って特定の神経を刺激することができる埋め込み可能な閉ループ装置が必要とされ続けている。
【0006】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願の開示は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる任意の参照が本開示と矛盾する場合、本開示が優先するものとする。
【発明の概要】
【0007】
埋め込み可能な閉ループ神経調節装置、及び埋め込み可能な装置を使用する方法が、本明細書に記載される。
【0008】
例えば、1つの実施形態では、本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、神経を少なくとも部分的に囲むように構成され、前記湾曲部材が1つ以上の電極パッドを備える、湾曲部材と、超音波を受け取って、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器、及び検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受け取り、前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、前記刺激信号に基づいて前記神経へと電気パルスを放射するよう、前記1つ以上の湾曲部材の前記1つ以上の電極パッドを動作させるよう構成される、前記1つ以上の電極パッドと電気的に接続される計算回路、を備える本体と、を埋め込み可能な閉ループ神経調節装置が備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の湾曲部材は、前記湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の湾曲部材は、前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを備える。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の湾曲部材の少なくとも1つは、それぞれ同じ湾曲部材上で前記神経を少なくとも部分的に囲む2つ以上の湾曲電極パッドを備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、3つ以上の電極パッドを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、湾曲部材それぞれが、神経の長さに平行する軸の周りに放射状に配置されるように構成された複数の電極パッドを備える、湾曲部材と、超音波を受信して、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器、及び検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、前記刺激信号に基づいて前記神経へ電気パルスを放出するよう、前記1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの前記複数の電極パッドを動作させるよう構成される、前記複数の電極パッドと電気的に接続される計算回路、を備える本体と、を埋め込み可能な閉ループ神経調節装置が備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記複数の電極パッドは、3つ以上の電極パッドを備える。いくつかの実施形態では、前記複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記神経の共通平面内に放射状に配置される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維から、前記電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束から前記電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維に、前記電気パルスを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束に前記電気パルスを放出するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経内の神経線維の第1の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出し、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに電気パルスを放出するように構成され、前記神経線維の第1の標的サブセットと前記神経線維の第2の標的サブセットとが同じであるか又は異なっている。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記本体は、前記超音波変換器から前記電気エネルギーを受信し、前記計算回路に電力を供給するように構成された電池をさらに備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記装置が非一時的メモリを備える。いくつかの実施形態では、前記非一時的メモリは、前記検出された電気生理学的信号に基づくデータ、前記放射された電気パルスに基づくデータ、又は検出若しくは測定された生理学的状態に基づくデータを含むデータを格納するように構成される。いくつかの実施形態では、前記非一時的メモリは、インテロゲータから受信したデータを格納するように構成される。いくつかの実施形態では、超音波変換器がデータの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、前記データは、前記検出された電気生理学的信号若しくは前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、速度、向き、振幅、周波数、又は波形を含む。いくつかの実施形態では、前記非一時的メモリは、ある期間にわたって取得されたデータを格納するように構成される。いくつかの実施形態では、前記非一時的メモリは、1つ以上のテンプレート検出信号又は1つ以上のテンプレートパルスを格納する。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記検出信号を前記1つ以上のテンプレート検出信号と比較することによって、前記刺激信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、前記刺激信号を生成することは、前記非一時的メモリからテンプレートパルスを取り出すことと、前記取り出されたテンプレートパルスに基づいて前記刺激信号を生成することとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記刺激信号は、前記検出信号と前記刺激信号との間の数学的関係を使用して生成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記装置が、生理学的状態を検出又は測定するように構成されたセンサをさらに備える。いくつかの実施形態では、前記生理学的条件は、検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、又は存在若しくは量である。いくつかの実施形態では、前記検出信号は、検出された電気生理学的パルス成分と、追加の検出された生理学的状態成分とを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記装置は、1つ以上の電極パッドの第1のセットを備える第1の湾曲部材と、1つ以上の電極パッドの第2のセットを備える第2の湾曲部材とを備え、前記第1の湾曲部材及び前記第2の湾曲部材はそれぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で前記神経を少なくとも部分的に囲むように構成される。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッドの第1のセットが前記第1の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含むか、前記1つ以上の電極パッドの第2のセットが前記第2の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含むか、又はその両方である。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッドの第1のセットは前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含むか、前記1つ以上の電極パッドの第2のセットは前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含むか、又はその両方である。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、第3の複数の電極パッドを含む第3の湾曲部材をさらに備え、前記第3の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間の位置で前記神経を少なくとも部分的に囲むように構成される。いくつかの実施形態では、前記湾曲部材の第3のセットは、前記第3の湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを備える。いくつかの実施形態では、前記湾曲部材の第3のセットは、前記神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを備える。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される。いくつかの実施形態では、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッドは、前記神経に前記電気パルスを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記装置が、第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを備え、前記第1の複数の電極パッド及び前記第2の複数の電極パッドは前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成され、第3の複数の電極パッドを備える第3の湾曲部材と、第4の複数の電極パッドを備える第4の湾曲部材とを備え、前記第3の複数の電極パッド及び前記第4の複数の電極パッドは前記電気パルスを放出するように構成され、前記第1の複数の電極、前記第2の複数の電極、前記第3の複数の電極、及び前記第4の複数の電極はそれぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で前記神経に平行な前記軸の周りに放射状に配置されるように構成される。いくつかの実施形態では、前記第3の湾曲部材及び前記第4の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間に配置される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記電気生理学的信号を検出するか、又は前記電気パルスを放出するように構成された第5の複数の電極パッドを含む第5の湾曲部材をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記第5の湾曲部材が、前記神経の長さに沿って前記第3の湾曲部材と前記第4の湾曲部材との間に配置される。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第5の複数の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、前記電気生理学的信号を伝送する神経線維の前記サブセットが、質問器から受信したデータに基づいてさらに決定される。いくつかの実施形態では、前記第3の複数の電極パッド、又は前記第5の複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記装置は、第1の電極パッド及び第2の湾曲部材を含む第1の湾曲部材を備え、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、それぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で、前記神経の長さに並行する前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。いくつかの実施形態では、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドが前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間の位置において、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成された第3の電極パッドを含む第3の湾曲部材をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される。いくつかの実施形態では、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドは、前記神経に前記電気パルスを放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記装置が、第1の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを備え、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成され、第3の電極パッドを備える第3の湾曲部材と、第4の電極パッドを備える第4の湾曲部材とを備え、前記第3の電極パッド及び前記第4の電極パッドは前記電気パルスを放出するように構成され、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第3の電極、及び前記第4の電極はそれぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で前記神経に平行な前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。いくつかの実施形態では、前記第3の湾曲部材及び前記第4の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間に配置される。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記電気生理学的信号を検出するか、又は前記電気パルスを放出するように構成された第5の電極パッドを含む第5の湾曲部材をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記第5の湾曲部材が、前記神経の長さに沿って前記第3の湾曲部材と前記第4の湾曲部材との間に配置される。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第5の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される。いくつかの実施形態では、前記第3の電極パッド、又は前記第5の電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記計算回路が、前記電気生理学的信号の方向又は速度を決定するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、前記神経の外側に配置され、前記神経と電気的に連絡するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、前記神経上膜に接するように構成される。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、1つ以上の位置で前記神経上膜を貫通するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記検出信号又は前記検出信号の成分をダウンサンプリングするように構成される。いくつかの実施形態では、前記計算回路は、前記神経又は前記神経内の神経線維のサブセットによって伝達される複合活動電位又は前記複合活動電位のサブセットの向き、速度、周波数、大きさ、若しくは波形に基づいて、前記刺激信号を生成するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記刺激信号は、前記装置によって放出される前記電気パルスのタイミング、大きさ、周波数、又は波形を含む。
【0028】
さらに、本明細書では、上記装置のいずれか1つと、装置に電力を供給する超音波を放出するように構成されたインテロゲータとを備えるシステムが説明される。いくつかの実施形態では、前記インテロゲータは外部装置である。いくつかの実施形態では、前記装置は、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づいてデータを格納するように構成された非一時的メモリを備え、前記超音波変換器は、前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放出し、前記インテロゲータは、前記超音波後方散乱波を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、前記インテロゲータがデータを復号するようにさらに構成される。
【0029】
また、完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、前記装置に電力を供給する電気エネルギーに前記超音波を変換することと、前記装置を用いて、神経内の神経線維の標的サブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出することと、前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて前記神経に電気パルスを放出することと、を含む、神経活動を調節する方法が、本明細書で説明される。いくつかの実施形態では、前記電気パルスが、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに放出される。
【0030】
さらに、完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、前記装置に電力を供給する電力エネルギーに前記超音波を変換することと、前記装置を用いて、神経によって伝送される電気生理学的信号を検出することと、前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて、前記神経内の神経線維の標的サブセットに電気パルスを放出することと、を含む、神経活動を調節する方法が、本明細書で説明される。
【0031】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、前記装置内の電池に電気エネルギーを蓄積することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気的パルスに基づくデータを前記装置内の非一時的メモリに格納することを含む。いくつかの実施形態では、前記データは、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、周波数、振幅、波形、速度、又は方向を含む。
【0032】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、インテロゲータからデータを受信することを含む。いくつかの実施形態では、前記データは、前記インテロゲータによって伝達される超音波で符号化される。いくつかの実施形態では、前記インテロゲータから受信した前記データが前記装置内の非一時的メモリに格納される。
【0033】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、非一時的媒体上に格納された前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱を放出することを含む。
【0034】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、前記検出された電気生理学的信号の向き又は速度を決定することを含む。
【0035】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、生理学的状態を検出又は測定することを含む。いくつかの実施形態では、前記生理学的状態は、検体の体温、pH、圧、心拍数、歪み、及び/又は存在もしくは量を含む。
【0036】
記載された方法のいくつかの実施形態では、前記方法は、前記刺激信号を生成する前に、前記検出された電気生理学的信号をダウンサンプリングすることを含む。
【0037】
記載されたいくつかの実施形態では、前記刺激信号は、前記検出された電気生理学的信号の周波数、振幅、又は波形に基づいて生成される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本明細書に記載される埋め込み可能な閉ループ神経調節装置のための例示的な本体の概略図を示す。
【0039】
【
図2A】本体から延在し、神経上に埋め込まれる2つの湾曲部材(断面として示される)を有する例示的な埋め込み可能な神経調節装置を示す。この湾曲部材は神経を部分的に囲み、湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを含む。
【0040】
【
図2B】神経を実質的に囲む湾曲部材(断面として示される)を有する例示的な埋め込み可能な神経調節装置を示す。この湾曲部材は、神経を、湾曲部材と同程度ではないが部分的に囲む電極パッドを含む。
【0041】
【
図3A】本体から延び、神経上に埋め込まれた5つの湾曲部材を有する例示的な埋め込み可能な閉ループ神経調節装置の正面図を示す。
【0042】
【
図4】超音波変換器を介して埋め込み可能な装置と通信するインテロゲータを示す。このインテロゲータは搬送波を放出し、この搬送波は埋め込み可能な装置によって受信される。次に、この埋め込み可能な装置は超音波後方散乱を発し、これをインテロゲータが受信することができる。任意選択で、超音波後方散乱は、埋め込み可能な装置に関するデータ又は情報を符号化する。
【0043】
【
図5】本明細書に記載される埋め込み可能な装置を含むシステムにおいて使用され得る例示的なインテロゲータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
神経又は他の糸状組織を少なくとも部分的に囲む1つ以上の湾曲部材を含み、1つ以上の電極パッドを含む、埋め込み可能な閉ループ神経調節装置が、本明細書に記載される。この1つ以上の電極パッドは例えば、湾曲部材に沿って配置された複数の電極であってもよく、又は神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドであってもよい。この1つ以上の湾曲部材は、1つ以上の超音波変換器と、電気生理学的信号を検出する装置に応じて刺激パルスをオンボードで計算するための計算回路とを収容する装置本体から延びる。この1つ以上の超音波変換器は、超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給することができる電気エネルギーに変換することができる。この装置のいくつかの実施形態では、電気エネルギーは電池に蓄積され、その電池は装置の本体に収容される。この電気エネルギーは、電極パッドに電気的に接続されている計算回路に電力を供給する。
【0045】
この計算回路は、装置によって検出された電気生理学的信号に応じて電気パルスを装置が放出することができるように、オンボード計算を可能にする。例えば、神経によって伝達される電気生理学的信号は装置の1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの上の1つ以上(例えば、複数)の電極パッドによって検出され得る。電気生理学的信号からの(フィルタリングされ、デジタル化され、圧縮され、そうでなければ他の方法で処理されてもよい)検出信号は、計算回路によって受信され、この計算回路は、その検出信号を使用して刺激信号を生成する。この計算回路はさらに、生成された刺激信号に基づいて電気パルスを放出するために、1つ以上の湾曲部材(電気生理学的信号を検出した1つ以上の電極及び/又は湾曲部材と同じであっても異なっていてもよい)のうちの少なくとも1つの上の1つ以上の電極パッドを動作させることができる。
【0046】
この湾曲部材は1つ以上の電極パッドを含み、神経を少なくとも部分的に囲むように構成される。例えば、いくつかの実施形態では1つ以上の湾曲部材が、この湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを備えるか、又は1つ以上の湾曲部材は神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを備える。この構成は、神経活動の標的化された検出又は刺激を可能にする。例えば、電極パッドのサブセットは、神経線維のサブセットに電気パルスを標的化するために活性化され得る。さらに、この装置は、複数の電極パッドを使用して電気生理学的信号を検出し、伝達サブセットを決定するために電極パッドによって検出された信号を解読することによって、神経線維のサブセットによって伝達された電気生理学的信号を検出することができる。したがって、この装置は、神経内の標的繊維束からの電気生理学的信号を検出するか、又は神経内の標的繊維束に電気パルスを放出するように構成することができる。
【0047】
検出された電気生理学的信号又は放出された電気的パルスに関連するデータは、装置の本体内の非一時的なメモリに格納され得る。このデータは、例えば、1つ以上の超音波変換器によって放出された超音波後方散乱波でデータをエンコードすることによって、外部装置に伝達されることができる。インテロゲータは超音波を装置に送信することができ、例えば、この装置の1つ以上の超音波変換器によって電気エネルギに変換される超音波と、超音波後方散乱波とが放出される。データを符号化するために1つ以上の超音波変換器を流れる電流を変調することができ、これにより、1つ以上の超音波変換器によって放出される超音波後方散乱波がそのデータを符号化する。
【0048】
神経活動を調節する方法が、本明細書にさらに記載される。この方法は、埋め込まれた閉ループ神経変調装置の1つ以上の超音波変換器で超音波を受信することと、超音波を、装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することとを含むことができる。この装置は、神経内の標的シグナリング繊維束によって伝達される電気生理学的信号を検出するために使用される。次いで、この装置は、検出された電気生理学的信号を使用して刺激信号を自動的に生成し、生成された刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するために使用される。この電気パルスは神経内の標的受信繊維束に標的化され得るが、これは標的化されたシグナリング繊維束と同じであってもよいし、又は異なるものであってもよい。
【0049】
別の実施形態では、神経活動を変調する方法が、完全に埋め込まれた閉ループ神経変調装置上の1つ以上の超音波変換器で超音波を受信することと、超音波を、装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することとを含む。この装置は、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するために使用される。次いで、この装置は、検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成し、生成された刺激信号に基づいて神経内の標的受信繊維束に電気パルスを放出するために使用される。
【0050】
[定義]
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は文脈が明らかにそわないことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0051】
本明細書では、「約」若しくは「おおよそ」の値又はパラメータへの参照は、その値又はパラメータそれ自体に向けられた変動を含む(及び記載する)。例えば、「約X」を指す記載は「X」の記載を含む。
【0052】
本明細書に記載される本発明の態様及び変形は、「それからなる」及び/又は「本質的にそれからなる」態様及び変形を含むことが理解される。
【0053】
「埋め込み可能」及び「埋め込まれた」という用語はオブジェクトの一部が被験者の体表を破ることがないように、被験者に完全に埋め込み可能な、又は完全に埋め込まれたオブジェクトを指す。
【0054】
「実質的に」という用語は、90%以上を指す。例えば、神経の交差セクションを実質的に取り囲む湾曲部材は、神経の交差セクションの90%以上を取り囲む湾曲部材を指す。
【0055】
本明細書では、用語「被験者」及び「患者」は、脊椎動物を指すために互換的に使用される。
【0056】
本明細書では、用語「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、少なくとも1つの症状の軽減、阻害、抑制、若しくは排除を介した異常の改善、疾患若しくは異常の進行の遅延、疾患若しくは異常の再発の遅延、又は疾患若しくは異常の阻害を含む、病状又は異常に苦しむ被験者に利益を提供する任意の行為を同義に指す。
【0057】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその明言された範囲内の任意の他の明言された値又は介在値は、本開示の範囲内に包含されることが理解されるべきである。明言された範囲が上限又は下限を含む場合、それらの何れかを除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0058】
本明細書で記載される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつか、又はすべては、本発明の他の実施形態を形成するために組み合わせられてもよいことは理解されるべきである。本明細書で使用される項目見出しは、構成的な目的のためでしかなく、記載される主題を制限すると解釈すべきではない。
【0059】
「実施形態」に関連して上述した特徴及び選好は別個の選好であり、その特定の実施形態のみに限定されるものではなく、技術的に実現可能な他の実施形態からの特徴と自由に組み合わせられてもよく、特徴の好ましい組み合わせを形成してもよい。この記載は当業者が本発明を作成及び使用することを可能にするために提示され、特許出願及びその要件の文脈で提供される。記載された実施形態に対する種々の変形は当業者に容易に明らかであり、本明細書での一般的な原理は他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0060】
[埋め込み可能な閉ループ神経調節装置 ]
埋め込み可能な神経調節装置は、神経又は神経線維のサブセットからの電気生理学的信号を検出し、検出された電気生理学的信号に応じて、神経又はその神経の神経線維のサブセット(これは、電気生理学的信号が検出されたのと同じ又は異なる神経線維のサブセットであってもよい)に電気パルスを放出することができる閉ループ装置である。いくつかの実施形態では、この埋め込み可能な装置が複合活動電位(若しくは複合活動電位のサブセット)、又は電気生理学的信号の他の調節を検出し、その電気パルスは、検出された複合活動電位(若しくはそのサブセット)、又は電気生理学的信号の他の調節に応じて放出される。検出された電気生理学的信号に応じた刺激信号の生成のための処理は、計算回路を用いたオンボード計算によって行われる。したがって、検出された電気生理学的信号に応じて電気パルスを放出するために、外部通信は必要とされない。
【0061】
埋め込み可能な閉ループ神経調節装置は、神経を取り囲むように構成された1つ以上の湾曲部材を含み、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出し、及び/又は電気パルスを放出することによって神経を刺激することができる1つ以上の(例えば、複数の)電極パッドを含む。この装置は、電気生理学的信号を検出するように構成された第1の部分と、電気パルスを放出するように構成された第2の部分とを有する複数の湾曲部材を含むことができる。この湾曲部材は、電極パッドが、埋め込まれたときに神経と電気的に連通して配置することができるように、湾曲部材の内面上に1つ以上(例えば、複数)の電極パッドを含むことができる。例えばこの湾曲部材は、湾曲部材に沿って配置され、神経を少なくとも部分的に包囲する複数の電極パッドを含んでいてもよく、この湾曲部材は、神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを含んでいてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、この湾曲部材が神経の交差セクションを実質的に取り囲み、電極パッドが、湾曲部材の内面上に、神経の長さに沿った軸の周りに放射状に配置される。この構成では、電極パッドが神経の交差セクションと円形に整列される。
【0063】
いくつかの実施形態では、湾曲部材が複数の電極パッドを含み、この電極パッドは神経の長さに並行する軸の周りに放射状に配置され、埋め込み可能な装置が埋め込まれるときに神経と電気的に連絡する。この湾曲部材は、超音波を受信し、超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された1つ以上の超音波変換器と、複数の電極パッドに電気的に接続された計算回路とを含む本体から延びる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の超音波変換器を含む。
【0064】
この装置の本体は、計算回路、変調回路、検出回路、及び刺激回路を含む集積回路を収容することができる。この計算回路は、1つ以上の湾曲部材上の複数の電極パッドに電気的に接続され、電極パッドを介して電気パルスを放出するか又は電気生理学的信号を検出するために、電極パッドを動作させるように構成される。例えば、計算回路は、検出信号を受信し、検出信号を用いて刺激信号を生成し、1つ以上の湾曲部材の少なくとも1つの複数の電極パッドを動作させて、刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するように構成される。この検出信号は、検出された電気生理学的信号に基づく。任意で、検出信号は追加の生理学的状態、例えば、体温、圧力、心拍数、pH、又は検体の検出若しくは濃縮にさらに基づくことができる。すなわち、検出信号は、任意で、検出された電気生理学的信号成分及び検出された生理学的状態成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、この生理学的状態が、本明細書でさらに説明されるように、装置上にあってもよいセンサを使用して検出又は測定される。
【0065】
計算回路は、デジタル回路、アナログ回路、又は混合信号集積回路とすることができる。例示的な計算回路は、マイクロプロセッサ、有限状態機械(FSM)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びマイクロコントローラを含む。いくつかの実施形態では、集積回路は、計算回路によってアクセスされ得る揮発性メモリを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、計算回路は、本明細書でさらに記載されるように、電気パルスの標的放出のために、複数の電極パッド内の電極パッドを選択的に活性化するように構成される。
【0067】
電極パッド信号が神経と電気的に連絡しているとき、神経によって伝達される電気生理学的信号は、電極パッドによって検出される。電気生理学的信号は基準信号を含むことができ、神経によって伝達される活動電位又は複合活動電位は、電気生理学的信号の変調をもたらす。装置の電極パッドで検出した電気生理学的信号に基づく検出信号を計算回路で受信する。計算回路によって受信される検出信号は、装置によって検知される未加工の電気生理学的信号であってもよく、又は電気生理学的信号は、計算回路によって受信される前に処理(例えば、増幅、デジタル化、及び/又はフィルタリング)されてもよい。いくつかの実施形態では、検出信号は検知された電気生理学的信号成分及び生理学的状態成分を含み、これらは刺激信号を生成するために、計算回路によって一緒に解析されることができる。いくつかの実施形態では、検出信号(又は検出信号の検出された電気生理学的信号成分)は、計算回路又は装置内の他の適切な回路によって圧縮される。この検出信号の圧縮は、計算回路によるより高速でよりエネルギー効率的な処理を可能にし、これはより効率的な閉ループ装置を可能にする。例えば、オンボード電池の電池寿命はデータ処理が少ないほど長くなり、検出信号の受信と刺激信号の生成との間の遅延時間が減少する。例として、検出信号の圧縮は、検出信号内のデータ点の一部を保持することによって、検出信号をダウンサンプリングすることを含むことができる。別の実施形態では、いくつかの実施形態ではデジタル信号が基準閾値を超える電気生理学的信号スパイクを識別し、電気生理学的信号スパイクに関連付けられたタイムスタンプを計算回路へのインプットとして使用することによって圧縮される。いくつかの実施形態では、検出信号がある期間にわたって検出された平均信号(電気生理学的信号、生理学的状態、又はその両方)である可能性のある基準信号と比較され得る。この時間は例えば、約1分以上(例えば、約2分以上、約5分以上、約10分以上、約15分以上、約30分以上、又は約45分以上)であり得る。いくつかの実施形態では、約1時間以下(例えば、約45分以下、約30分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、又は約2分以下)である。基準信号からの検出信号の検出された逸脱は、刺激信号の生成をトリガするために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、変調された電気生理学的信号の振幅が基準電気生理学的信号を上回るか、又は所定の振幅閾値を上回る場合、検出された変調は信号入力であり、これは時間次元における1つ以上の追加の検出された変調に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、計算信号は、非圧縮(例えば未加工の)信号を解析する。
【0068】
いくつかの実施形態では、検出信号の検出された電気生理学的信号成分は、例えば、神経又は神経内の神経線維のサブセットによって伝達される、速度、向き、周波数、振幅、複合活動電位の波形、又は複合活動電位のサブセット(1つ以上の活動電位など)を含む。検出された電気生理学的信号成分は、電気生理学的信号が検出された神経線維のサブセット(すなわち、神経内の神経線維のサブセットの位置)に関連する情報を追加的又は代替的に含んでもよい。この情報は、例えばテンプレート検出信号を選択する、及び/又は刺激信号を生成するために、計算回路によって使用されることができる。
【0069】
検出回路は、集積回路に含めることができ、電気生理学的信号を検知するように構成された複数の電極パッドに電気的に接続することができる。この検出回路は、任意で、アナログデジタルコンバータ(ADC)、1つ以上のフィルタ、及び/又は1つ以上の増幅器を含むこともできる。
【0070】
任意で、埋め込み可能な装置は、検体、pH、温度、緊張、脈拍数、又は圧力(例えば、血圧)などの生理学的状態を測定又は検出するように構成された1つ以上のセンサをさらに含む。埋め込み可能な装置によって検出された生理学的状態は、任意で、検出された電気生理学的信号に加えて、計算回路によって受信された検出信号の成分とすることができる。従って、検出された電気生理学的信号成分と、追加的に検出された生理学的状態成分とを含む検出信号は、シミュレート信号を生成するために計算回路によって使用される。
【0071】
この検出信号は、様々な時点で検出され得る1つ以上の検出された信号(電気生理学的信号及び/又は生理学的状態)を含むことができる。この信号のためのタイムスタンプは、検出信号に関連付けることができ、計算回路による解析のための検出信号に含めることができる。例えば、ある期間内に所定の数の検出された電気生理学的信号スパイクを含む検出信号は、計算回路による刺激信号の生成をもたらすことができる。
【0072】
この計算回路は、検出信号を用いて刺激信号を生成するために、その検出信号を解析することができる。この解析は、例えば、刺激信号の生成のためのトリガとして作用することができる検出信号の変調(検出された電気生理学的信号、検出された生理学的状態、又はその両方の変調など)を識別することを含むことができる。この電気生理学的信号の変調は、例えば、神経によって伝達されている複合活動電位又は複合活動電位の成分(例えば、1つ以上の活動電位)を表すことができる。刺激信号は、検出信号と刺激信号との間の数学的関連性を使用して生成することができる。このように、計算回路は、刺激信号を生成するために、検出信号を数学的関係に入力することができる。この数学的関係は例えば、機械学習を用いて決定することができ、又は事前に選択された数学的関係とすることができる。いくつかの実施形態では、演算回路がデジタルロジック、アナログロジック、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、又はニューロモルフィック演算を用いて、基準信号からの検出信号の逸脱を検出する。
【0073】
いくつかの実施形態では、刺激信号を生成することは検出信号(検出された電気生理学的信号成分及び/又は検出された生理学的信号成分を含み得る)をテンプレート検出信号と比較することを含み得、この刺激信号は検出信号とテンプレート検出信号との間の分散又は類似性に基づいて生成される。1つ以上のテンプレート検出信号は、例えば、装置の本体内の非一時的なメモリ上に格納され得る。計算回路は例えば、検出された電気生理学的信号とテンプレート電気生理学的信号との間の分散又は類似性を検出するために、デジタルロジック、アナログロジック、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、又はニューロモルフィック演算を使用することができる。
【0074】
計算回路によって生成される刺激信号は、装置によって放出されるべき電気パルスについての情報、例えば、大きさ、周波数、波形、又は神経内の標的位置(すなわち、神経線維のサブセット)を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のテンプレートパルスが装置内(例えば、装置の本体内)の非一時的なメモリに格納される。計算回路は、検出信号を使用して非一時的メモリからテンプレートを検索することによって、刺激信号を生成することができる。例えば、刺激信号を生成することは、検出信号を分析することと、分析された検出信号に基づいて非一時的メモリからテンプレートパルスを取り出すことと、取り出されたテンプレートパルスに基づいて刺激信号を生成することとを含むことができる。検出信号が基線から変調されるかどうか、又はどのように変調されるか、又はテンプレート検出信号と比較されるかによることで、検出信号は、どのテンプレートパルスが取り出されるか、又は刺激信号が生成されるかを決定することができる。
【0075】
集積回路は刺激回路を含むことができ、この刺激回路は、計算回路によって動作され、電気生理学的パルスを放出する電極パッドに電気的に接続される。この刺激回路は、電池によって充電され得るか、又は1つ以上の超音波変換器によって超音波から変換された電気エネルギーであり得る刺激コンデンサを含み得る。刺激コンデンサの状態、例えばコンデンサ電荷は、計算回路によって決定することができる。任意で、刺激コンデンサの状態は、非一時的メモリ上に記録されるか、又は計算回路によって動作される変調回路を介して超音波後方散乱波で符号化される。
【0076】
この計算回路は、刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するために、1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの電極パッドを動作させる。例えば、この刺激信号は、パルスの大きさ、周波数、及び/又は波形を含むことができ、計算回路は、刺激信号に従ってパルスを放出するように電極パッドを制御する。この装置は、装置の本体内などに、電荷を蓄積し、計算回路によって制御されるコンデンサ(すなわち、刺激コンデンサ)を含むことができる。この計算回路は、電極パッドを通して電気パルスを放出するようにコンデンサを制御する。いくつかの実施形態では、計算回路は、コンデンサの充電のような刺激コンデンサの状態を決定するように構成される。このコンデンサの状態は、非一時的なメモリに記憶される、及び/又は超音波後方散乱波で符号化されることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、1つ以上の超音波変換器から電気エネルギーを受け取り、計算回路に電力を供給するように構成された電池をさらに含む。この電池の包含は、計算回路に、外部電源なしで、電気生理学的信号を検出すること、又は神経に電気パルスを放出することを含むを機能を可能にする。この電池は、埋め込み可能装置の本体内に収納することができる。この電池は例えば、再充電可能な電気化学電池であってもよい。この電池によって蓄積されたエネルギーは、例えば、1つ以上の超音波変換器が超音波を受信していない場合に、装置に電力を供給することができる。この電池は、1つ以上の超音波変換器によって受信されるインテロゲータを使用して超音波を装置に送信することによって充電することができる。この1つ以上の超音波変換器は、超音波を電気エネルギーに変換し、電池に電気的に接続される。このようにして、電気エネルギーは、装置の電池を充電する。
【0078】
埋め込み可能な閉ループ神経調節装置は、この装置によって検出された電気生理学的信号に、又はこの装置によって放出された電気パルスに基づいてデータを格納するように構成された非一時的メモリを含むこともできる。このデータは例えば、検出された活動電位又は複合活動電位のタイムスタンプ、速度、向き、振幅、周波数、若しくは波形、及び/又は埋め込み可能な装置によって放出された電気パルスのタイムスタンプ、振幅、周波数、若しくは波形を含むことができる。いくつかの実施形態では、非一時的メモリが検出された生理学的状態(例えば、検体の体温、pH、気圧、心拍数、緊張、及び/又は存在もしくは量)に関連するデータを格納することができる。非一時的メモリに記憶されたデータはある期間(約1分以上、約5分以上、約10分以上、約15分以上、約30分以上、約45分以上、約1時間以上、約2時間以上、約4時間以上、約6時間以上、約8時間以上、約12時間以上、又は約24時間以上など)にわたって取得されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、この装置は、超音波後方散乱波で非一時的メモリに格納されたデータの少なくとも一部を符号化するように構成される。これにより、データを無線でインテロゲータに送信することが可能になり、このインテロゲータは被験者に埋め込まれていてもよく、被験者の外部にあってもよい。超音波後方散乱波で符号化したデータは圧縮できる。圧縮は例えば、埋め込み可能な装置とインテロゲータとの間の帯域幅の限界に起因して、データの効率的な伝達のために使用されてもよい。例えば、データ圧縮は、検出信号からのダウンサンプリングされたデータ、処理されたデータ、又は信号内の1つ以上の特徴(検出された電気生理学的信号スパイクのタイムスタンプなど)を送信することを含むことができる。この埋め込み可能な装置は、1つ以上の超音波変換器に電気的に接続された変調回路を含むことができる。インテロゲータから超音波を受信すると、1つ以上の超音波変換器及び変調回路を通って流れる電流が生成される。この計算回路は、非一時的メモリ上に格納されたデータを電流上に符号化するために、変調回路を動作させることができる。この装置の1つ以上の超音波変換器は、超音波後方散乱波を放出し、これは、電流に符号化されたデータを符号化することができる。超音波後方散乱波は、埋め込み可能な装置に超音波を送信するインテロゲータと同じであっても異なっていてもよいインテロゲータによって受信することができ、超音波後方散乱波に符号化されたデータが解読され得る。
【0080】
この非一時的メモリは、インテロゲータから装置に伝達されたデータを格納するために使用することもできる。このインテロゲータは、埋め込み可能な装置によって受信され、非一時的メモリ上に格納され得るデータ(体温データ、又は被験者の血中又は間質液中の検体濃度などの他の何らかの生理学的状態に関連するデータなど)を伝達することができる。このデータは例えば、データをエンコードする超音波を介して伝達することができる。インテロゲータは超音波を送信することができ、この超音波は、この装置の超音波変換器によって受信され、計算回路によって解読される。
【0081】
非一時的メモリは、この装置を動作させるための1つ以上の命令を格納することができ、これは、計算回路を使用して実行することができる。例えば、非一時的メモリは、検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し、検出信号を使用して刺激信号を生成し、刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するために、1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの複数の電極パッドを動作させるための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、非一時的メモリは、電気パルスの標的放出のために、複数の電極を用いて1つ以上の電極を選択的に活性化させるための命令を含む。いくつかの実施形態では、非一時的メモリは、例えば、基線電気生理学的信号(及び/又は生理学的状態)と比較された検出された電気生理学的信号(及び/又は生理学的状態)の分散値を決定することによって、検出された電気生理学的信号(及び任意で、測定された生理学的状態)を解析するための命令を含む。いくつかの実施形態では、非一時的メモリは、検出された電気生理学的信号(及び/又は生理学的状態)をテンプレート電気生理学的信号(及び/又は生理学的状態)と比較するための命令を含む。
【0082】
図1は、本明細書に記載される埋め込み可能な閉ループ神経調節装置のための例示的な本体の概略図を示す。この本体は、電池と変調回路に電気的に接続された超音波変換器を含む。この電池は、非一時的メモリ及び変調回路に電気的に接続された計算回路に電気的に接続され、電力を供給する。この計算回路はまた、電気的に接続され、刺激回路又は検出回路を介して装置の湾曲部材又は湾曲部材上の電極を動作させるように構成される。この超音波は超音波変換器で受信され、超音波からのエネルギーを、電池を充電する電気エネルギーに変換する。この装置上の電極は、電気生理学的信号を検出するように構成され、電気生理学的信号に基づく検出信号は計算回路によって受信される。計算回路によって受信された検出信号は、計算回路によって受信される前に、検出回路によって処理(例えば、増幅、デジタル化、及び/又はフィルタリング)されてもよい。任意で、この計算回路は、検出された電気生理学的信号に関連するデータを格納するために非一時的メモリにアクセスする。この計算回路は、検出信号に基づいて刺激信号を生成し、刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するよう電極を動作させることができる。任意で、この計算回路は、神経に放出された刺激信号又はパルスに関連する情報を格納するために、非一時的メモリにアクセスする。非一時的メモリに格納されたデータは、超音波変換器によって放出された超音波後方散乱波を介して無線で伝達することができる。超音波変換器は超音波を受信し、変調回路を流れる電流を生成する。計算回路はメモリにアクセスし、データを符号化するために変調回路を流れる電流を変調するよう、変調回路を動作させる。超音波変換器によって放出される超音波後方散乱波は、それによってデータを符号化する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本体がハウジングを含み、このハウジングは基部、1つ以上の側壁、及び頂部を含むことができる。このハウジングはは、1つ以上の超音波変換器及び集積回路(計算回路、非一時的メモリ、電池、変調回路、検出回路、及び/又は刺激回路(刺激コンデンサを含むことができる)を含む)を囲むことができる。間質液が超音波変換器及び/又は集積回路と接触するのを防止するために、ハウジングは(例えば、はんだ付け又はレーザ溶接によって)密閉されてもよい。ハウジングは好ましくは生体不活性金属(例えば、鋼又はチタン)又は生体不活性セラミック(例えば、チタニア又はアルミナ)などの生体不活性材料から作成される。ハウジング(又はハウジングの頂部)は、超音波がハウジングを貫通することを可能にするように薄くてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングの厚さは約75マイクロメートル(μm)以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約10μm以下など、約100μm以下の厚さである。いくつかの実施形態では、ハウジングの厚さは約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約25μm~約50μm、約50μm~約75μm、又は約75μm~約100μmの厚さである。
【0084】
埋め込み可能な装置の本体は比較的小さく、これは、埋め込み可能な装置にしばしば関連付けられる組織炎症を制限する一方で、快適かつ長期間の埋め込みを可能にする。いくつかの実施形態では、装置の本体の最長寸法は約5mm~約9mm、又は約6mm~約8mmなど、約10mm以下である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本体がハウジング内にポリマーなどの素材を含む。この素材はハウジングの外部の組織とハウジング内の組織との間の音響インピーダンス不整合を低減するために、ハウジング内の空きスペースを埋めることができる。したがって、装置の本体は、好ましくは空気が全くない又は真空である。
【0086】
埋め込み可能な装置の1つ以上の超音波変換器は、容量型微細加工超音波変換器(CMUT)若しくは圧電微細加工超音波変換器(PMUT)などの微細加工超音波変換器とすることができ、又はバルク圧電変換器とすることができる。バルク圧電変換器は、結晶、セラミック、又はポリマーなどの任意の天然又は合成材料とすることができる。例示的なバルク圧電変換器データは、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、ベルリナイト(AlPO4)、トパズ、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、オルトリン酸ガリウム(GaPO4)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、タングステン酸ナトリウム(Na2Wo3)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びニオブ酸鉛マグネシウム-チタン酸鉛(PMN-PT)を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器はほぼ立方体(すなわち、約1:1:1(長さ:幅:高さ)のアスペクト比)である。いくつかの実施形態では、圧電変換器は、長さ又は幅アスペクトの何れかにおいて、約7:5:1以上、又は約10:10:1以上など、約5:5:1以上のアスペクト比を有する板状である。いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器は、約3:1:1以上のアスペクト比で長く狭く、その最長寸法は超音波後方散乱波の方向(すなわち、分極軸)に整列される。いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器の1寸法は、変換器の駆動周波数又は共振周波数に対応する波長(λ)の1/2に等しい。この共振周波数において、変換器の何れかの面に衝突する超音波は、逆位相に達するために180°の位相シフトを受け、2つの面の間で最大の変位を引き起こすだろう。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約40μm~約400μm、約100μm~約250μm、約250μm~約500μm、又は約500μm~約1000μmなど)約10μm~約1000μmである。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下である。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは、長さが(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上である。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つ以上の超音波変換器は、最長寸法において(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下の長さを有する。いくつかの実施形態では、超音波変換器は、最長寸法において(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上の長さを有する。
【0089】
この超音波変換器は、計算回路との電気通信を可能にするために、2つの電極と接続される。第1の電極は変換器の第1の面に取り付けられ、第2の電極は変換器の第2の面に取り付けられ、ここで第1の面及び第2の面は、1つの寸法に沿って変換器の対向する側面である。いくつかの実施形態では、電極は、銀、金、白金、白金黒、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、導電性ポリマー(導電性PDMS又はポリイミドなど)、又はニッケルを含む。いくつかの実施形態では、変換器の電極間の軸が変換器の動きと直交する。
【0090】
この装置の湾曲部材は、装置の本体から伸びて、神経を少なくとも部分的に取り囲み、1つ以上の電極パッドがこの湾曲部材上に含まれる。電極パッドは例えば、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するために、及び/又は神経に1つ以上の電気パルスを放出するために、その神経と電気的に連絡するように構成され得る。例えば、その1つ以上の電極パッドは、湾曲部材の内面上にあってもよく、1つ以上の湾曲部材は、装置を神経又は他の糸状組織に固定し、電極パッドを配置するために、神経を含む神経又は糸状組織(神経に接続された血管など)に係合してもよい。
【0091】
湾曲部材は可撓性であってもよく、これは装置の移植中に湾曲部材の変形を可能にする。例えば、硬化した部材は、装置が神経上に配置されている間に、外側に曲げられてもよい。湾曲部材の解放は、湾曲部材が神経又は神経を包含する糸状組織の周りに巻き付くことを可能にする。任意で、湾曲部材は、装置の本体によって架橋される2つの部分を含む。
【0092】
電極パッドは例えば、神経の長さに平行な軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成されてもよく、又は複数の電極パッドは、神経の長さに平行な軸の周りに放射状に配置されるように構成されてもよい。この装置は、異なった電極パッド構成を有する湾曲部材を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、装置は、湾曲部材に沿って配置された複数の電極パッドを有する1つ以上の湾曲部材と、神経を少なくとも部分的に囲む湾曲電極パッドを有する1つ以上の湾曲部材とを含んでもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、装置の本体から延びる湾曲部材がそれぞれ、神経の周りに(すなわち、神経の中心を通り、神経の長さに沿って延びる軸の周りに)放射状に配置され、神経と電気的に連絡するように構成された複数の電極パッドを含む。湾曲部材は、湾曲部材が本体の下に延びるにつれて本体に向かって湾曲する前に本体から離れるように延び、その結果、湾曲部材が、神経(神経に接続された血管など)を含む神経又は糸状組織の交差セクションを持続的に囲むことになるリング状構造をもたらす。いくつかの実施形態では、湾曲部材が神経の交差セクションの周りに単一のループを形成する。所定位置に配置されると、所与の湾曲部材の電極パッドは、神経に対して同じ断面位置内にある。湾曲部材内の空間は、装置が神経上に移植されることを可能にするために含まれ得る。湾曲部材は可撓性であることができ、これは装置の移植中に湾曲部材の変形を可能にする。硬化した部材は、装置が神経上に配置されている間に、外側に曲げられることができる。湾曲部材の解放は、湾曲部材が神経又は神経を包含する糸状組織の周りに巻き付くことを可能にする。任意で、湾曲部材は、装置の本体によって架橋される2つの部分を含む。
【0094】
図2Aは、神経と係合するためにその神経を部分的にそれぞれ囲む、第1の湾曲部材及び第2の湾曲部材を有する装置の例示的な実施形態を示す。装置200は、第1の湾曲部材204及び第2の湾曲部材206に取り付けられた本体202を含む。第1の湾曲部材204の内面上の複数の電極208は第1の湾曲部材204に沿って配置され、複数の電極212は第2の湾曲部材206に沿って配置される。図示の例では、第1の湾曲部材204及び第2の湾曲部材206は、ギャップ(すなわち、分離)214によって分離された可撓性部材である。この構成では、第1の湾曲部材204及び第2の湾曲部材206は、神経208が湾曲部材間の空間内に配置されることを可能にするために、外側に曲げることができ(それによって、ギャップ214を広げ)、その湾曲部材は、湾曲部材が神経の周りを包むように解放されることができる。
【0095】
図2Bは、神経に係合する湾曲部材を有する装置の別の例示的な実施形態を示す。装置216は、神経222を実質的に囲む、本体218と湾曲部材220とを含む。湾曲部材220の内面は、神経222を囲む湾曲電極パッド224を含む。湾曲部材220は可撓性であってもよく、本体218と湾曲部材220の端部228との間(又は第1の湾曲部材と第2の湾曲部材との間)にスペース226が存在してもよい。この湾曲部材は、神経222が湾曲部材によって形成される空間内に配置されることを可能にするために外側に曲げられてもよく、湾曲部材は、その湾曲部材が神経222の周りを包むように解放されてもよい。
【0096】
図2A及び
図2Bに示す湾曲部材及び電極パッドの構成が組み合わされてもよい。例えば、装置は、
図2Aに示すような湾曲部材と、
図2Bに示すような湾曲部材とを含むことができる。別の実施形態では、この装置が、(
図2Aに示されるように)第1及び第2の湾曲部材、並びに(
図2Bに示されるように)湾曲電極を含んでもよい。別の実施形態では、この装置が、複数の電極が(例えば、
図2Aに示されるように)湾曲部材に沿って配置され、(例えば、
図2Bに示されるように)神経を実質的に取り囲む湾曲部材を含んでもよい。
【0097】
装置上の1つ以上の湾曲部材のサイズ、形、及び間隔は、装置が係合する組織のタイプ及びサイズに依存し得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の湾曲部材が約0.25mm以上(約0.5mm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約4mm以上、約5mm以上、約6mm以上、又は約7mm以上など)離間される。いくつかの実施形態では、2つ以上の湾曲部材が約8mm以下(約7mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、又は約0.5mm以下など)の間隔である。例として、2つ以上の湾曲部材が約0.25mm~約0.5mm、約0.5mm~約1mm、約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mm、約4mm~約5mm、約5mm~約6mm、約5mm~約7mm、又は約7mm~約8mm離間され得る。湾曲部材の幅は、装置の用途又は装置が係合する組織に応じて変えることもできる。いくつかの実施形態では、湾曲部材の幅が約100μm以上(約150μm以上、約250μm以上、約500μm以上、約1mm以上、又は約1.5mm以上など)である。いくつかの実施形態では、湾曲部材の幅が約2mm以下(約1.5mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約250μm以下、又は約150μm以下など)である。いくつかの実施形態では、湾曲部材の幅が約100μm~約2mm(約100μm~約150μm、約150μm~約250μm、約250μm~約500μm、約500μm~約1mm、約1mm~約1.5mm、又は約1.5mm~約2mmなど)である。湾曲部材の内面は、神経及び/又は糸状組織が通過する円筒状空間を形成する。湾曲部材によって形成される円筒形空間の直径は、埋め込み可能な装置が係合する標的神経及び/又は糸状組織に依存する。いくつかの実施形態では、装置の1つ以上の湾曲部材は、直径約50μm~約15mm(例えば、約50μm~約100μm、約100μm~約250μm、約250μm~約500μm、約500μm~約1mm、約1mm~約1.5mm、約1.5mm~約2.5mm、約2.5mm~約5mm、約5mm~約10mm、又は約10mm~約15mm)の円筒形空間を形成する。
【0098】
この1つ以上の湾曲部材は、神経又は他の糸状組織を少なくとも部分的に囲むように構成されてもよい。例えば、湾曲部材は、神経又は糸状組織の少なくとも25%、少なくとも33%、少なくとも50%、少なくとも66%、少なくとも75%、少なくとも90%、又は少なくとも100%を取り囲むように構成されてもよい(例えば、湾曲部材は、神経又は糸状組織を完全に取り囲んでもよく、又は神経又は糸状組織の周りに2つ以上の完全なループを含んでもよい)。同様に、1つ以上の湾曲電極パッドは、神経の少なくとも25%、少なくとも33%、少なくとも50%、少なくとも66%、少なくとも75%、少なくとも90%、又は少なくとも100%を囲むことができ、湾曲電極パッドによって囲まれた神経の部分は、湾曲部材によって囲まれた神経の部分と同じであってもよく、又はそれ未満であってもよい。湾曲部材上に配置される複数の電極パッドは、湾曲部材の全長又は湾曲部材の長さの一部に沿って配置されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、この埋め込み可能な装置は、埋め込み可能な装置を糸状組織に固定するように構成された1つ以上の追加の固定部材を含む。このような固定部材は、例えば、埋め込み可能な装置を解剖学的構造(糸状組織若しくは神経、又は糸状組織若しくは神経を取り囲む他の組織など)、ピン、又はクランプに縫合するためのループを含み得る。例えば、埋め込み可能な装置は、一旦埋め込まれると、その埋め込み可能な装置の動きを制限するために、糸状組織若しくは神経、又は糸状組織若しくは神経を取り囲む組織に縫合され得る。
【0100】
埋め込み可能な装置の湾曲部材は、金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を含むことができる。湾曲部材は可撓性であってもよく、好ましくは、湾曲部材が神経及び/又は糸状組織の周りに配置され得るように、弾力性である。いくつかの実施形態では、1つ以上の湾曲部材又は1つ以上の湾曲部材の一部は、ポリジメチルシオロキサン(PDMS)、シリコン、ウレタンポリマー、ポリ(p-キシリレン)ポリマー(PARYLENE(登録商標)の商品名で販売されているポリ(p-キシリレン)ポリマーなど)、又はポリイミドなど、好ましくは生体不活性であるエラストマーコーティング又は非エラストマーコーティングでコーティングされる。この1つ以上の湾曲部材は、それぞれ、湾曲部材の内面上に複数の電極パッドを含む。いくつかの実施形態では、湾曲部材の内面上の電極パッドは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされないが、導電性材料でコーティングされてもよい(例えば、電極パッドの電気的特性を改善するためにPEDOTポリマー又は金属で電気メッキされてもよい)。したがって、いくつかの実施形態では、湾曲部材の外面のみが被覆でコーティングされる。任意に、この被覆は、本体のハウジングをさらにコーティングする。
【0101】
この1つ以上の湾曲部材は、埋め込み可能な装置を神経及び/又は糸状組織上の所定の位置に保持することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の湾曲部材は、神経及び/又は糸状組織上での埋め込み可能な装置の何らかの回転運動を可能にする。いくつかの実施形態では、1つ以上の湾曲部材は、神経及び/又は糸状組織に内向きの圧力を働かせることによって、神経及び/又は糸状組織を把持する。1つ以上の湾曲部材によって働く内向きの圧力の量は、湾曲部材のばね定数に加えて、湾曲部材のサイズ及び曲率に基づいて決定することができる。この内向きの圧力は、挿入後に組織が治癒する間、埋め込み可能な装置を所定の位置に保持するのに十分であるべきであるが、湾曲部材に接触する神経上膜又は血管壁が損傷されるほど高くはないべきである。いくつかの実施形態では、神経又は糸状組織への内向きの圧力は、(約0.7MPa以下、約0.5MPa以下、又は約0.3MPa以下など、)約1MPa以下である。いくつかの実施形態では、神経又は糸状組織への内向きの圧力は、(約0.1MPaから約0.3MPa、約0.3MPaから約0.5MPa、約0.5MPaから約0.7MPa、又は約0.7MPaから約1MPaなど、)約0.1MPaから約1MPaである。
【0102】
各湾曲部材上の複数の電極パッドは、湾曲部材の内面(すなわち、神経及び/又は糸状組織とインターフェースで接続するように構成された湾曲面の表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、複数の電極パッドが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の電極パッド、例えば、約3~約50個の電極パッド、約3~約5個の電極パッド、約5~約10個の電極パッド、約10~約25個の電極パッド、又は約25~約50個の電極パッドを含む。いくつかの実施形態では、複数の電極パッド内の電極パッドは、計算回路によって選択的に活性化させることができ、これにより、本明細書でさらに説明するように、標的電気パルス放出が可能になる。
【0103】
電極パッドは、タングステン、プラチナ、パラジウム、金、イリジウム、ニオブ、タンタル、又はチタンのうちの1つ以上(又はそれらのうちの1つ以上の合金)などの任意の適切な導電性材料を含むことができる。検出用電極パッドと刺激用電極パッドとの材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、電極パッドの大きさや形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、所与の湾曲部材上の電極パッドは同じ又は異なるサイズであってもよく、異なる湾曲部材上の電極パッドは同じ又は異なるサイズであってもよい。
【0104】
埋め込み可能な装置の電極パッドは、神経と電気的に連絡するように湾曲部材によって配置される。いくつかの実施形態では、電極パッドは、神経と直接接触していない(例えば、神経の外部で、間接的に接触していない)が、神経と電気的に連絡している。いくつかの実施形態では、電極パッドが神経の約2mm以内(約1.8mm以内、約1.6mm以内、約1.4mm以内、約1.2mm以内、約1.0mm以内、約0.8mm以内、約0.6mm以内、約0.4mm以内、又は約0.2mm以内)に配置される。いくつかの実施形態では、複数の電極パッドが1つ以上の位置で神経の神経上膜を貫通するように構成される。例えば、電極パッドは、神経上膜の貫通を可能にする針状であり得る。いくつかの実施形態では、電極パッドが神経、例えば神経の神経上膜に直接的に接する。
【0105】
いくつかの実施形態では、装置上の1つ以上の湾曲部材が神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、装置上の1つ以上の湾曲部材が電気パルスを放出するように構成される。神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成された1つ以上の湾曲部材は、電気パルスを放出するように構成された1つ以上の湾曲部材と同じであっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、この装置は、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成された第1の複数の電極パッドを含む第1の湾曲部材と、神経に電気パルスを放出するように構成された第2の複数の電極パッドを含む第2の湾曲部材とを含む。いくつかの実施形態では、装置が2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の湾曲部材を含む。いくつかの実施形態では、装置は、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の湾曲部材と、電気パルスを放出するように構成された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の湾曲部材とを含む。いくつかの実施形態では、電気生理学的信号を検出するように構成された電極パッドを有する湾曲部材と、電気パルスを放出するように構成された電極パッドを有する湾曲部材とは、電気生理学的信号の同時検出及び電気パルスの放出を可能にするために、別個の湾曲部材となる。
【0106】
複数の湾曲部材は、神経の長さに沿って配置されることができる。この構成は、神経の長さに沿った異なる点において、神経内の神経線維のサブセットにターゲットであり得る電気生理学的信号検出及び/又は電気的パルスの放出を可能にする。神経の長さに沿った2つ以上の位置で電気生理学的信号を検出することによって、計算回路は、神経によって伝達される電気生理学的信号の方向及び/又は速度を決定することができる。電気生理学的信号(例えば、遠心性信号又は求心性信号)の方向を決定するために、計算回路は、第1の湾曲部材によって検出された電気生理学的信号の第1のタイムスタンプと、第2の湾曲部材によって検出された電気生理学的信号の第2のタイムスタンプとに使用することができる。電気生理学的信号の速度を決定するために、計算回路は、第1の湾曲部材と第2の湾曲部との間の既知の距離をさらに使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の湾曲部材及び第2の湾曲部材の電極パッドによって検出された電気生理学的信号の同一性が、第1の湾曲部材上の電極パッド及び第2の湾曲部材の電極パッドによって検出された1つ以上の電気生理学的信号特徴(例えば、大きさ、周波数、又は波形)を比較することによって確認される。
【0107】
埋め込み可能な装置はまた、電気パルス又は電気パルス列を放出するように構成された複数の電極を備える2つ以上の湾曲部材を備えることができる。この2つ以上の湾曲部材は、神経の長さに沿って異なる位置に配置することができ、異なる位置で電気パルスを放出するように構成される。2つ以上の異なる湾曲部材によって放出される電気パルスは、同じであっても異なっていてもよく、神経内の同じ又は異なるサブセットの湾曲部材を標的としてもよい。例えば、第1の湾曲部材上の第1の電極パッド(又は第1の複数の電極パッド)は神経線維の神経サブセットの第1のサブセットによる電気生理学的信号の伝達を遮断するように構成された電気パルスを放出することができ、第2の湾曲部材上の第2の電極パッド(又は第2の複数の電極パッド)は、神経線維の第2のサブセットを刺激する電気パルスを放出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、神経線維の第1のサブセットが例えば、遠心性神経線維であり得、一方、神経線維の第2のサブセットは求心性神経線維である。他の実施形態では、神経線維の第1のサブセットは求心性神経線維であり、神経線維の第2のサブセットは遠心性神経線維である。第一のサブセットの神経線維における電気生理学的信号の伝達を遮断し、第二のサブセットの神経線維を刺激することにより、この刺激のオフターゲット作用が最小限になる。別の例では、第1の湾曲部材上の第1の複数の電極パッド内の1つ以上の電極パッド、及び第2の湾曲部材上の第2の複数の電極パッド内の1つ以上の電極パッドは、神経の長さに沿った双極刺激のために動作させることができる。さらなる例では、第1の湾曲部材上の複数の電極及び第2の湾曲部材上の複数の電極は、特定の焦点刺激のために使用することができる、整合された電気パルスをそれぞれ放出することができる(すなわち、別個の複数の電極によって放出される電気パルスは互いに整合される)。
【0108】
例として、いくつかの実施形態で装置は、第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを備え、第1の複数の電極及び第2の複数の電極はそれぞれ、神経の長さに沿った異なる位置で、神経の長さに並行する軸の周りに放射状に配置されるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の複数の電極パッド及び第2の複数の電極パッドは、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は任意で、第3の複数の電極パッドを備える第3の湾曲部材をさらに備え、第3の複数の電極パッドは神経の長さに沿って第1の湾曲部材と第2の湾曲部材との間の位置で、神経の長さに並行する軸の周りに放射状に配置されるように構成される。
【0109】
別の例として、いくつかの実施形態で装置は、第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを含み、第1の複数の電極及び第2の複数の電極はそれぞれ、神経の長さに沿った異なる位置で神経の長さに並行する軸の周りに放射状に配置されるように構成され、第1の複数の電極パッド又は第2の複数の電極パッドは神経に電気パルスを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の複数の電極パッド及び/又は第2の複数の電極パッド内の電極パッドは、例えば神経内の神経線維のサブセットを標的とすることによって、神経に電気パルスを放出するために選択的に活性化されるように構成される。
【0110】
別の例では、いくつかの実施形態で装置が、第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを含み、第1の複数の電極パッド及び第2の複数の電極パッドは神経によって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成され、第3の湾曲部材は第3の複数の電極パッドを備え、第4の湾曲部材は第4の複数の電極パッドを備え、第3の複数の電極パッド及び第4の複数の電極パッドは電気パルスを放出するように構成され、第1の複数の電極、第2の複数の電極、第3の複数の電極、及び第4の複数の電極はそれぞれ、神経の長さに沿った異なる位置で神経に平行な軸の周りに放射状に配置されるように構成される。任意で、第3の湾曲部材及び第4の湾曲部材は、神経の長さに沿って第1の湾曲部材と第2の湾曲部材との間に配置される。いくつかの実施形態では、装置は、電気生理学的信号を検出するか、又は電気パルスを放出するように構成された第5の複数の電極パッドを備える第5の湾曲部材をさらに含む。この第5の湾曲部材は、神経の長さに沿って第3の湾曲部材と第4の湾曲部材との間に任意に配置される。いくつかの実施形態では、第1の複数の電極パッド、第2の複数の電極パッド、第3の複数の電極パッド、若しくは第4の複数の電極パッド及び/又は第5の複数の電極パッドは電気パルスを放出するために選択的に活性化されるように構成される。
【0111】
図3A~3Cは、神経314上に埋め込まれた本体312から延びる5つの湾曲部材(302、304、306、308、及び310)を有する例示的な埋め込み可能な閉ループ神経調節装置の正面図(3A)、側面図(3B)、及び上面図(3C)を示す。この装置の本体は、集積回路324、非一時的メモリ326、電池328、及び超音波変換器330(圧電変換器など)を含む。
図3Aに見られるように、湾曲部材は、点316で本体312によって架橋された第1の部分302a及び第2の部分302bを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の部分302aと第2の部分302bとが直接的に接続され、湾曲部材が接続部材を介して本体に取り付けられる。湾曲部材は、湾曲部材の内面上に複数の電極パッド318を含み、この電極パッド318は、神経の長さに平行な軸の周りに放射状に配置される。第1の部分302aと302bとの間の間隔320は、湾曲部材に沿って存在する(装置の他の湾曲部材に同様に存在し得る)。この埋め込み可能な装置は、湾曲部材の第1の部分及び第2の部分を外側に曲げることによって埋め込まれることができ、それによって、間隔の大きさを拡張し、そして神経又は他の糸状組織がその間隔を通過し、そして湾曲部材によって形成される円筒形空間内に適合することを可能にする。湾曲部材の第1の部分及び第2の部分は解放され得、これは、湾曲部材が神経又は他の糸状組織の周りを包むことを可能にする。
【0112】
図3Aに示される例示的な装置の複数の電極パッドは神経の外部にあるが、神経の神経上膜と直接接している。この神経は、神経内にいくつかの繊維束322を含む。湾曲部材内の電極パッド318は、1つ以上の繊維束322又は他のサブセットの神経線維への電気パルスの標的放出のために動作され得、及び/又は1つ以上の繊維束322又は他のサブセットの神経線維によって伝達される電気生理学的信号の標的検出のために動作され得る。例えば、電極パッド318は、1つ以上の繊維束322を標的とする電気パルスを放出するために、本体212内に収容された集積回路324内の計算回路によって選択的に活性化されることができる。別の実施形態では、電極パッド218は、神経314内の1つ以上の繊維束322によって伝達される電気生理学的信号を検出するために、計算回路によって動作される。湾曲部材は、神経又は神経線維のサブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出するように、神経に電気パルスを放出する、若しくは神経線維のサブセットを標的とするように、又は神経又は神経線維のサブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出するのみならず神経に電気パルスを放出する、若しくは神経線維のサブセットに標的とするように構成することができる。例として、湾曲部材302、306、及び310は、神経又は神経線維のサブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出するように構成され得、湾曲部材304及び308は、神経に電気パルスを放出するか、又は神経線維のサブセットを標的とするように構成され得る。
【0113】
埋め込み可能な装置の1つ以上の湾曲部材は、選択された神経又は神経を包含する線維組織に係合するような大きさである。この神経は脊髄又は末梢神経であり得る。いくつかの実施形態では、この神経は自律神経又は体性神経である。いくつかの実施形態では、この神経は交感神経又は副交感神経である。いくつかの実施形態では、この神経は迷走神経、腸間膜神経、脾神経、坐骨神経、脛骨神経、外陰神経、腹腔神経節、仙骨神経、又はそれらの任意の枝である。
【0114】
[電気生理学的信号の標的検出]
埋め込み可能な装置の湾曲部材のうちの1つ以上は、神経内の神経線維の標的サブセットから電気生理学的信号を検出するように構成され得る。この繊維のサブセットは、例えば、神経内の1つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の繊維束、又は1つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の繊維束の一部であり得る。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは、神経内の求心性神経線維、又は神経内の求心性神経線維のサブセットを備えるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは神経内の遠心性神経線維、又は神経内の遠心性神経線維のサブセットを備えるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは、神経内の2つ以上の繊維束内の遠心性神経線維、又は神経内の2つ以上の束内の求心性神経線維を備えるか、又はそれらからなる。
【0115】
神経線維のサブセットを選択的に標的化するために、計算モデル化(例えば、有限要素モデル)、逆音源推定、多重極(例えば、三重極)神経記録、速度選択記録、又はビームフォーミングなどの1つ以上の技法が使用され得る。例えば、Taylorらの、Multiple-electrode nerve cuffs for low-velocity and velocity selective neural recording(Medical & Biological Engineering & Computing, vol42, pp. 634643 2004年)と、WodlingerらのLocalization and Recovery of Peripheral Neural Sources with Beamforming Algorithms(IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering, vol.17, no. 5, pp. 461-468 2009年)とを参照されたい。
【0116】
埋め込み可能な装置の計算回路は、電気生理学的信号の標的検出のために、装置の1つ以上の湾曲部材上の複数の電極を動作させる。計算回路は、電気生理学的信号を伝達している神経内の神経線維のサブセットを決定するために、電極パッドの全て又はサブセットによって検出された電気生理学的信号を分析することができる。ある神経は、2つ以上の異なったサブセットの神経線維によって同時に伝達される電気生理学的信号(又は活動電位)の合計である複合電気生理学的信号(又は複合活動電位)を伝達してもよい。計算回路は、複数の電極パッドによって検出された電気生理学的信号に基づいて、どのサブセットの神経線維がどの電気生理学的信号を伝達するかを決定することができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータから受信されたデータ(体温データ、又は検体濃度又は他の生理学的状態に関連するデータなど)は、神経線維のどのサブセットが電気生理学的信号を伝達するかを決定するためにさらに使用される。
【0117】
例えば、いくつかの実施形態で計算回路は、速度選択記録を使用して神経線維の標的サブセットから電気生理学的信号を選択的に検出するように構成され、これは多極(例えば、三極)記録(これは1つ以上の湾曲部材上の複数の電極内の任意の数の三極を含み得る)と組み合わせられてもよい。
【0118】
ビームフォーミングは、神経線維の標的サブセットからの電気生理学的信号を検出するために、追加的又は代替的に使用され得る。1つ以上の湾曲部材の電極パッドの一部又は全部は、神経からの電気生理学的信号を検出することができ、計算回路は、1つ以上の湾曲部材の電極パッドの一部又は全部によって検出された電気生理学的信号の差分に基づいて、神経内の伝達信号の断面位置を決定することができる。
【0119】
埋め込まれた装置の位置とは別個の位置での1つ以上の神経の刺激は、埋め込まれた装置の位置での電気生理学的信号の変調をもたらし得る。装置の電極パッドと電気的に連絡している神経内の神経線維の異なるサブセットで検出される電気生理学的信号の変調は、異なる遠隔神経における刺激の結果であり得る。例えば、脾神経の刺激は、迷走神経内の神経線維の第一のサブセットから検出される電気生理学的信号の変調をもたらし得るし、腎神経の刺激は、迷走神経内の神経線維の第二のサブセットから検出される電気生理学的信号の変調をもたらし得る。したがって、迷走神経上に配置された埋め込み可能な装置は、脾神経の刺激をモニターするために神経線維の第1のサブセットから電気生理学的信号を検出し、腎神経の刺激をモニターするために神経線維の第2のサブセットを検出することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、第1の神経位置に配置され、第2の神経位置に関連付けられた第1の神経位置内の神経線維のサブセットから電気生理学的信号を選択的に検出することによって、第2の神経位置の刺激を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の神経位置及び第2の神経位置が、1つ以上の神経分岐点又は1つ以上のシナプスによって分離される。いくつかの実施形態では、第2の神経位置は第1の神経位置に対して脳の近位にあり、いくつかの実施形態では第2の神経位置は第1の神経位置に対して脳から遠位にある。いくつかの実施形態では、神経線維の標的サブセットが求心性神経線維を備えるか、又は求心性神経線維からなる。いくつかの実施形態では、神経線維の標的サブセットが遠心性神経線維を備えるか、又は遠心性神経線維からなる。
【0121】
[神経の標的刺激]
本装置の湾曲部材のうちの1つ以上は、湾曲部材上の複数の電極パッド内の1つ以上の電極パッドを選択的に活性化することによって、神経内の神経線維のサブセットに標的電気パルスを放出するように構成され得る。本装置の計算回路は、電極パッドを選択的に活性化させるよう電極パッドを動作させることができる。選択的活性化は、例えば、1つ以上の湾曲部材の複数の電極パッド内の電極パッドの一部を活性化すること、及び/又は1つ以上の湾曲部材の複数の電極パッド内の電極パッドの全て又は一部を差動的に活性化することを含むことができる。したがって、この複数の電極は、複数の電極パッドによって放出された電気パルスを神経線維の標的サブセットに進めるように動作させることができる。電場妨害及び/又は多極刺激(例えば、三極刺激)のような技術は、神経内の神経線維のサブセットに電気パルスを標的化するために使用され得る。例えば、Grossmanらの、Noninvasive Deep Brain Stimulation via Temporally Interfering Electrical Fields、Cell、vol169, pp. 1029-1041(2017)を参照のこと。1つ以上の湾曲部材を有する電極パッドは、計算回路によって選択的に活性化されて、放出された電気パルスを神経線維のサブセットに標的化することができる。
【0122】
放出された電気パルスによって標的化される神経線維のサブセットは、電気生理学的信号が検出される神経線維のサブセットと同じであっても異なっていてもよい。標的電気パルスを放出するように構成された1つ以上の湾曲部材は、電気生理学的信号を検出するように構成された装置上の1つ以上の湾曲部材と同じであっても異なっていてもよい。放出された標的電気パルスは、埋め込み可能な装置の位置で神経を刺激することができる。電気パルスによって標的化される神経線維のサブセットは、電気生理学的信号が選択的に検出される神経線維と同じ又は異なったサブセットであり得る。
【0123】
この装置によって放出される電気パルスによって標的化される神経線維のサブセットは、例えば、神経内の1つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の線維束、又は1つ以上(例えば、2、3、4、又はそれ以上)の線維束の一部であり得る。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは、神経内の求心性神経線維、又は神経内の求心性神経線維のサブセットを備えるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは神経内の遠心性神経線維、又は神経内の遠心性神経線維のサブセットを備えるか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、神経線維のサブセットは、神経内の2つ以上の繊維束内の遠心性神経線維、又は神経内の2つ以上の束内の求心性神経線維を備えるか、又はそれらからなる。
【0124】
神経線維のサブセットに標的電気パルスを放出することによる神経線維のサブセットの標的刺激は、その神経の位置から離れた位置の神経の刺激をもたらし得る。埋め込み可能な装置によって刺激される遠隔神経は、この装置によって放出される電気パルスによって標的とされる埋め込み可能な装置の位置における神経のサブセットに依存する。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、第1の神経位置に配置され、第2の神経位置に関連付けられた第1の神経位置内の神経線維のサブセットに標的電気パルスを放出することによって、第2の神経位置を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の神経位置及び第2の神経位置が、1つ以上の神経分岐点又は1つ以上のシナプスによって分離される。いくつかの実施形態では、第2の神経位置は第1の神経位置に対して脳の近位にあり、いくつかの実施形態では第2の神経位置は第1の神経位置に対して脳から遠位にある。いくつかの実施形態では、神経線維の標的サブセットが求心性神経線維を備えるか、又は求心性神経線維からなる。いくつかの実施形態では、神経線維の標的サブセットが遠心性神経線維を備えるか、又は遠心性神経線維からなる。
【0125】
[無線通信]
埋め込み可能な装置は、閉ループのオンボード計算回路を介して、検出された電気生理学的信号に応じて電気パルスを放出することができるが、いくつかの実施形態では、本明細書に記載された閉ループ埋め込み可能装置と、この装置に電力を供給する超音波を放出するように構成されたインテロゲータとを含むシステムがある。このインテロゲータは外部(すなわち、埋め込まれていない)装置であってもよいし、別個であるが完全に埋め込まれた装置であってもよい。埋め込まれている場合、インテロゲータは、例えば超音波通信又は高周波(RF)を使用して、外部装置と無線で通信することができる。埋め込み可能な装置内の超音波変換器は、超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するインテロゲータによって放出された超音波を受信するように構成される。電気エネルギーは、存在する場合には装置内の電池に蓄積することができ、計算回路等の装置成分に電力を供給するために使用することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、インテロゲータが超音波通信を介して閉ループ埋め込み可能装置と無線で通信するように構成される。埋め込み可能な装置は、埋め込み可能な装置の超音波変換器を介してインテロゲータから超音波を受信する。任意で、インテロゲータによって埋め込み可能な装置に伝達される超音波は、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化することができ、この命令は、計算回路によって受信することができる。超音波によって生じる埋め込み可能な装置上の超音波変換器の振動は、この変換器の電気端子間に電圧を生成し、集積回路を含む装置を通して電流が流れる。インテロゲータによって放出された情報又は命令を符号化する超音波は、埋め込み可能な装置内の超音波変換器によって受信される。次いで、この情報又は命令は、超音波を受信することから生じる、超音波変換器を通って流れる電流で符号化され、符号化された情報又は命令は計算回路によって解読され得る。いくつかの実施形態では、計算回路が装置の非一時的メモリ上の命令を格納する。
【0127】
インテロゲータによって放出され、閉ループ埋め込み可能装置によって受信される超音波に符号化された情報は、例えば、閉ループ神経変調を開始又は停止するための命令、1つ以上の校正命令、動作ソフトウェアに対する1つ以上の更新、及び/又は1つ以上のテンプレート(テンプレート電気生理学的信号、1つ以上のテンプレート電気生理学的信号、及び/又は1つ以上のテンプレート刺激信号など)を含むことができる。超音波で符号化された情報は、計算回路によって処理され、及び/又は存在する場合には非一時的メモリに格納される。この装置のための校正命令は、例えば、被験者内の別の神経位置における、(1)神経内の神経線維のサブセットと、(2)神経又は神経線維のサブセットとの間の関連付けを含むことができる。いくつかの実施形態では、この関連付けは、装置と電気的に連絡している第1の神経位置内の神経線維のサブセットに標的電気パルスを放出することによって、第2の神経位置を刺激するための命令を含む。いくつかの実施形態では、この関連付けは、装置と電気的に連絡している第1の神経位置における神経線維のサブセットから電気生理学的信号を選択的に検出することによって、第2の神経位置の刺激を検出するための命令を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、閉ループ埋め込み可能装置は、超音波後方散乱を介してインテロゲータに情報を伝達する。
図4は、超音波変換器を介して埋め込み可能な装置と通信するインテロゲータを示す。外部の超音波トランシーバは、組織を通過することができる超音波(「搬送波」)を放出する。搬送波は、超音波変換器(例えば、バルク圧電変換器、PUMT、又はCMUT)に機械的振動を生じさせる。超音波変換器の両端に電圧が生成され、これは、埋め込み可能な装置上の集積回路を通して流れる電流を付与する。超音波変換器を通して流れる電流は、埋め込み可能な装置上の変換器に、後方散乱超音波を放出させる。いくつかの実施形態では、集積回路は、情報を符号化するために超音波変換器を通して流れる電流を変調し、結果としてもたらされた超音波後方散乱波が情報を符号化する。後方散乱波は、インテロゲータによって検出することができ、超音波後方散乱に符号化された情報を解釈するために分析することができる。
【0129】
埋め込み可能な装置から放出される超音波後方散乱は、埋め込み可能な装置に関する情報を符号化することができる。超音波後方散乱は、超音波後方散乱波内に符号化された情報を決定するために、(埋め込み可能な装置内の超音波変換器によって受信された超音波を伝達したインテロゲータと同じであっても異なっていてもよい)インテロゲータ装置によって受信され、解読されることができる。この情報は、埋め込み可能な装置の集積回路内の変調回路を使用して符号化することができる。この変調回路は、情報を符号化するために。超音波変換器を流れる電流を変調することができる。変調された電流は、超音波後方散乱を調整するために超音波変換器を通して流れ、それによって超音波後方散乱波中の情報を符号化する。変調回路は、オン/オフスイッチ又は電界効果トランジスタ(FET)などの1つ以上のスイッチを含む。埋め込み可能な装置のいくつかの実施形態と共に使用することができる例示的なFETは、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。変調回路は、超音波変換器を流れる電流のインピーダンスを変更することができ、この変換器を通して流れる電流の変動は、その情報を符号化する。
【0130】
この装置から放出された超音波後方散乱で符号化された情報は、検出された電気生理学的信号に関連する情報、検出された生理学的状態(例えば、温度、pH、酸素レベル、圧力など)、装置状態に関連する情報(例えば、装置が動作状態にあるかどうか、又は刺激コンデンサ充電などの刺激コンデンサ状態)、又は放出された電気パルスに関連する情報を含むことができる。例えば、検出された電気生理学的信号に関連する情報は、電気生理学的信号が検出される神経線維のサブセットに関連する情報(例えば、位置情報)、検出された電気生理学的信号の大きさ又は周波数、テンプレート電気生理学的パルスとの類似性、及び/又は検出された電気生理学的信号のタイムスタンプを含むことができる。検出された生理学的状態に関連する情報は、例えば、温度、pH、酸素レベル、若しくは圧力、及び/又は検出された生理学的状態のタイムスタンプを含むことができる。放出された電気パルスに関連する情報は、例えば、神経線維のサブセットに関連する情報(例えば、放出された電気パルスの標的位置)、放出された電気パルスの大きさ、周波数、若しくは波形、及び/又は放出された電気パルスのタイムスタンプを含むことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、超音波後方散乱で符号化された情報は、埋め込み可能な装置に対する一意の識別子を含み、これは任意にデジタル化された一意の識別子である。これは、例えば、複数の埋め込み可能な装置が被験者に埋め込まれたときに、インテロゲータが正しい埋め込み可能な装置と連絡することを確実にするために有用であり得る。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、埋め込み可能な装置によって放出された電気パルスを検証する検証信号を含む。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、エネルギー蓄積回路(又はエネルギー蓄積回路内の1つ以上のコンデンサ)に格納されたエネルギー量又は電圧を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、後方散乱超音波は、埋め込み可能な装置によってデジタル化される。例えば埋め込み可能な装置は、オシロスコープ又はアナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はメモリを含むことができ、これらは、電流(又はインピーダンス)変動における情報をデジタル的に符号化することができる。情報を符号化することができるデジタル化された電流変動は、超音波変換器によって受信され、これは、次いでデジタル化された音波を送信する。デジタル化されたデータは、例えば特異値分解(SVD)と最小二乗法に基づく圧縮とを使用することによって、アナログデータを圧縮することができる。いくつかの実施形態では、この圧縮は相関器又はパターン検出アルゴリズムによって行われる。後方散乱信号は、単一の時点で再構成データポイントを生成するために、後方散乱領域の第4順のバターワースバンドパスフィルタ整流積分などの、一連の非線形変換を経てもよい。このような変換は、ハードウェア(すなわち、ハードコーディングされた)又はソフトウェアの何れかで行うことができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、デジタル化された信号はアナログ信号のサイズを圧縮する。デジタル化された信号の減少したサイズは、超音波後方散乱で符号化された情報のより効率的な報告を可能にすることができる。デジタル化を通じて送信される情報のサイズを圧縮することによって、潜在的に重複する信号を正確に送信することができる。
【0134】
インテロゲータと埋め込み可能な装置との間の通信は、超音波を送受信するパルスエコー法を使用することができる。パルスエコー法では、インテロゲータが所定の周波数で一連のインテロゲーションパルスを送信し、次いで、埋め込まれた装置から後方散乱エコーを受信する。いくつかの実施形態では、このパルスは、正方形、長方形、三角形、鋸歯状、又は正弦波である。いくつかの実施形態では、出力されるパルスは、2レベル(GND及びPOS)、3レベル(GND、NEG、POS)、5レベル、又は任意の他の複数レベル(例えば、24ビットDACを使用する場合)とすることができる。いくつかの実施形態では、パルスは、動作中にインテロゲータによって連続的に送信される。いくつかの実施形態では、パルスがインテロゲータによって連続的に送信されるとき、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を受信するように構成され、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を送信するように構成される。超音波を受信するように構成される変換器と、超音波を送信するように構成される変換器とは、インテロゲータの同じ変換器アレイ上にあることができ、異なる変換器アレイ上にあることもできる。いくつかの実施形態では、インテロゲータ上の変換器が超音波を代替的に送信又は受信するように構成することができる。例えば、変換器は、1つ以上のパルスを送信することと、休止期間との間をサイクルすることができる。この変換器は、1つ以上のパルスを送信するときに超音波を送信するように構成され、次いで、休止期間中に受信モードに切り替えることができる。
【0135】
インテロゲータは、超音波送信機及び/又は超音波受信機として(又は超音波を代替的に送信又は受信するように構成され得るトランシーバとして)動作することができる1つ以上の超音波変換器を含む。1つ以上のこの変換器は変換器アレイとして配置することができ、インテロゲータは1つ以上の変換器アレイを任意に含むことができる。いくつかの実施形態では、超音波送信機能は、別個の装置上の超音波受信機能から分離される。すなわち、任意に、インテロゲータは、超音波を埋め込み可能な装置に送信する第1の装置と、埋め込み可能な装置から超音波後方散乱を受信する第2の装置とを備える。いくつかの実施形態では、アレイ内の変換器は、規則的な間隔、不規則な間隔を有する、又は疎に位置づけることができる。いくつかの実施形態では、アレイは可撓性である。いくつかの実施形態では、アレイは平面であり、いくつかの実施形態ではアレイは非平面である。
【0136】
例示的なインテロゲータが
図5に示されている。図示されたインテロゲータは、複数の超音波変換器を有する変換器アレイを示す。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、1個以上、2個以上、3個以上、5個以上、7個以上、10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、50個以上、100個以上、250個以上、500個以上、1000個以上、2500個以上、5000個以上、又は10000個以上の変換器を含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、100,000個以下、50,000個以下、25,000個以下、10,000個以下、5000個以下、2500個以下、1000個以下、500個以下、200個以下、150個以下、100個以下、90個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、7個以下、又は5個以下の変換器を含む。変換器アレイは、例えば50個以上の超音波変換器画素を備えるチップとすることができる。
【0137】
図5に示されるインテロゲータは単一の変換器アレイを図示するが、このインテロゲータは1つ以上、2つ以上、又は3つ以上の別個のアレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、(9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の変換器アレイなど、)10個以下の変換器アレイを含む。この別個のアレイは例えば、被験者の異なる地点に位置づけることができ、同じ又は異なる埋め込み可能な装置と通信することができる。いくつかの実施形態では、アレイが埋め込み可能な装置の対向側に設置される。インテロゲータは、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができ、ASICは、変換器アレイ内の各変換器のためのチャネルを含む。いくつかの実施形態では、チャネルが(「T/Rx」によって
図5に示される)スイッチを含む。このスイッチは、代替的に、超音波を送信するか又は超音波を受信するように、チャネルに接続された変換器を構成することができる。このスイッチは、超音波受信回路を、より高電圧の超音波送信回路から分離することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、チャネルに接続された変換器は、超音波を受信するためだけに、又は超音波を送信するためだけに構成され、スイッチはチャネルから任意に省略される。チャネルは、送信された超音波を制御するように動作する遅延制御部を含むことができる。遅延制御部は例えば、位相シフト、時間遅延、パルス周波数及び/又は波形(振幅及び波長を含む)を制御することができる。遅延制御部は、超音波を送信するために変換器によって使用されるより高い電圧に遅延制御からの入力パルスをシフトする、レベルシフタに接続することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルの波形及び周波数を表すデータが、「波テーブル」に格納され得る。これは、各チャネルの送信波形を異ならせることを可能にする。次いで、このデータを変換器アレイへの実際の送信信号へと流れださせるために、遅延制御及びレベルシフタを使用することができる。いくつかの実施形態では、チャネルごとの送信波形がマイクロコントローラ又は他のディジタルシステムの高速度シリアル出力によって直接的に生成され、レベルシフタ又は高電圧増幅器を介して変換器要素に送られることができる。いくつかの実施形態では、ASICは、ASICに供給される第1の電圧を、チャネルに印加されるより高い第2の電圧に変換するために、チャージポンプ(
図5に図示)を含む。チャネルは、遅延制御部を動作させるデジタルコントローラなどのコントローラによって制御することができる。
【0139】
超音波受信回路では、受信された超音波は、変換器(受信モードに設定)によって電流に変換され、データ取り込み回路に送信される。いくつかの実施形態では、増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)、可変利得増幅器、若しくは組織損失を補償する時間利得制御可変利得増幅器、及び/又は帯域通過フィルタが受信回路に含まれる。ASICは、(インテロゲータの着用可能な実施形態に好ましい)電池などの電源から電力を引き出すことができる。
図5に図示される実施形態では、ASICに1.8Vの電源が供給され、これはチャージポンプによって32Vに増加されるが、任意の適切な電圧を使用することができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、プロセッサと非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。いくつかの実施形態では、上述のチャネルがT/Rxスイッチを含まず、代わりに、良好な飽和回復を有する低ノイズ増幅器の形態の高電圧Rx(受信器回路)を有する独立したTx(送信)及びRx(受信)を包含する。いくつかの実施形態では、T/Rx回路はサーキュレーターを含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイがインテロゲータ送信/受信回路内の処理チャネルよりも多くの変換器素子を含み、マルチプレクサはパルスごとに送信素子の異なるセットを選択する。例えば、3:1マルチプレクサを介して192個の物理変換器素子に接続された64個の送信受信チャネルであって、64個の変換器素子のみが所与のパルス上でアクティブである。
【0140】
例として、いくつかの実施形態では、インテロゲータ、又はインテロゲータの変換器は着用可能である。例えば、インテロゲータ、又はインテロゲータの変換器は、紐又は接着剤によって本体に固定されてもよい。別の例では、インテロゲータは、ワンドであり得、(医療専門家などの)ユーザに保持されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、縫合糸、単純な表面張力や、布ラップ、スリーブ、弾性バンドなどの衣類ベースの固定装置を介して、又は皮下固定によって本体に保持することができる。インテロゲータの変換器又は変換器アレイは、変換器の残りの部分とは別個に配置されてもよい。例えば、変換器アレイは、第1の位置(例えば、1つ以上の埋め込まれた装置の近位)で被験者の皮膚に固定され得、インテロゲータの残りは、第2の位置に配置されてよく、ワイヤは変換器又は変換器アレイをインテロゲータの残りに繋ぐ。
【0141】
インテロゲータの変換器アレイの具体的な設計は、アレイ内の個々の変換器の所望の貫通深さ、開口サイズ、及びサイズに依存する。変換器アレイのレイリー距離Rは、次のように計算される。
ここで、Dは開口部のサイズであり、λは伝播媒体(すなわち組織)内の超音波の波長である。当技術分野で理解されるように、レイリー距離は、アレイによって放射されるビームが完全に形成される距離である。すなわち、受信電力を最大にするために、その圧力場は、レイリー距離での自然焦点に収束する。したがって、いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、変換器アレイからレイリー距離とほぼ同じ距離にある。
【0142】
変換器アレイ内の個々の変換器は、ビームフォーミング又はビームステアリングのプロセスを通して、レイリー距離と、変換器アレイによって放出される超音波のビームの位置とを制御するように調整することができる。線形拘束最小分散(LCMV)ビームフォーミングなどの技術は、複数の埋め込み可能な装置を外部の超音波トランシーバと通信させるために使用することができる。例えば、Bertrandらの、Beamforming Approaches for Untethered、Ultrasonic Neural Dust Motes for Cortical Recording(a Simulation Study、IEEE EMBC,2014年8月)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ビームステアリングは、アレイ内の変換器によって放射される超音波の電力又は位相を調節することによって行われる。
【0143】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは、1つ以上の変換器を使用して超音波をビームステアリングするための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対位置を決定するための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対移動をモニターするための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対移動を記録するための命令、及び複数の埋め込み可能な装置からの後方散乱を逆畳み込みするための命令のうちの1つ以上を含む。
【0144】
任意に、インテロゲータは、モバイル装置(例えば、スマートフォン又はテーブル)などの別個のコンピュータシステムを使用して制御される。コンピュータシステムは、例えばネットワーク接続、無線(RF)接続、又はBluetooth(登録商標)を介して、インテロゲータに無線通信することができる。コンピュータシステムは例えば、インテロゲータをオン又はオフしてもよく、又はインテロゲータによって受信された超音波に符号化された情報を分析してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは複数の埋め込み可能な装置と通信する。これは、例えば、多入力多出力(MIMO)システム理論を使用して行うことができる。例えば、時分割多重化、空間多重化、又は周波数多重化を使用した、インテロゲータと複数の埋め込み可能な装置との間の通信。インテロゲータは、逆畳み込みされ得る複数の埋め込み可能な装置からの結合された後方散乱を受信することができ、それによって、各埋め込み可能な装置から情報を抽出する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、変換器アレイからの送信された超音波を、ビームステアリングを介して特定の埋め込み可能な装置へと集束させる。このインテロゲータは、送信された超音波を第1の埋め込み可能な装置に集束させ、第1の埋め込み可能な装置からの後方散乱を受信し、送信された超音波を第2の埋め込み可能な装置に集束させ、第2の埋め込み可能な装置からの後方散乱を受信する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは超音波を複数の埋め込み可能な装置に送信し、次いで、複数の埋め込み可能な装置から超音波を受信する。
【0146】
[例示的な実施形態]
前述の説明は、特定の実施形態を参照して説明されてきた。追加の例示的な実施形態が以下に提供される。しかしながら、上記の例示的な議論及び例示的な実施形態は、網羅的であること、又は開示を開示された厳密な形態に限定することを意図していない。上記の教示に鑑みて、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、技術の原理及びそれらの実際の応用を最も良く説明するために選択、及び説明された。これにより、当業者であれば、想定される特定の用途に適した様々な修正を加えて、本技術及び様々な実施形態を最良に利用することができる。
【0147】
本開示は添付の図面を参照して十分に説明されてきたが、様々な変更及び修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される開示及び実施例の範囲内に含まれているものとして理解されるべきである。
【0148】
以下の実施形態は例示的なものであり、クレームされた本発明を限定することを意図するものではない。
【0149】
[実施形態1]
本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、神経の長さに平行な軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成された1つ以上の電極パッド、又は神経の長さに平行な軸の周りに放射状に配置されるように構成された複数の電極パッドを含む、湾曲部材と、
超音波を受信し、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される、超音波変換器と、
前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドに電気的に接続された計算回路であって、
検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し
前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、
刺激信号に基づいて神経に電気パルスを放出するように、前記1つ以上の湾曲部材の少なくとも1つのうちの、前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドを動作させる、よう構成される、計算回路と、
を備える本体と、を備える、埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【0150】
[実施形態2]
前記湾曲部材は、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成された前記1つ以上の電極パッドを備える、実施形態1に記載の装置。
【0151】
[実施形態3]
前記1つ以上の電極パッドが、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも50%取り囲む、実施形態2に記載の装置。
【0152】
[実施形態4]
前記1つ以上の電極パッドが、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも100%取り囲む、実施形態2に記載の装置。
【0153】
[実施形態5]
神経の長さに平行な軸を少なくとも部分的に囲むように構成された前記1つ以上の電極パッドが、同じ湾曲部材上の2つ以上の電極パッドを含む、実施形態1乃至4のいずれか1つに記載の装置。
【0154】
[実施形態6]
前記神経の断面平面において、前記神経の長さに平行な軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成された前記電極パッドが、前記神経の長さに平行な前記軸を部分的に囲む、実施形態1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【0155】
[実施形態7]
前記湾曲部材は、前記神経の長さに平行な前記軸の周りに放射状に配置されるように構成された前記複数の電極パッドを含む、実施形態1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【0156】
[実施形態8]
本体から延びる1つ以上の湾曲部材であって、湾曲部材それぞれが、神経の長さに平行する軸の周りに放射状に配置されるように構成された複数の電極パッドを備える、湾曲部材と、
超音波を受信して、前記超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された超音波変換器、及び
検出された電気生理学的信号に基づいて検出信号を受信し、
前記検出信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記刺激信号に基づいて前記神経に電気パルスを放出させるよう、前記1つ以上の湾曲部材のうちの少なくとも1つの複数の電極パッドを動作させるよう構成される、前記複数の電極パッドに電気的に接続された計算回路と、
を備える本体と、を備える、埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【0157】
[実施形態9]
前記複数の電極パッドは、3つ以上の電極パッドを含む、実施形態1乃至8のいずれか1つに記載の装置。
【0158】
[実施形態10]
前記複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記神経の共通平面内に放射状に配置される、実施形態1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【0159】
[実施形態11]
前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出するように構成される、実施形態1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【0160】
[実施形態12]
前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維から、前記電気生理学的信号を検出するように構成される、実施形態11に記載の装置。
【0161】
[実施形態13]
前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束から前記電気生理学的信号を検出するように構成される、実施形態11に記載の装置。
【0162】
[実施形態14]
前記装置は、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように構成される、実施形態1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【0163】
[実施形態15]
前記装置は、前記神経内の1つ以上の標的繊維束、前記神経内の1つ以上の標的求心性神経線維、又は前記神経内の1つ以上の標的遠心性神経線維に、前記電気パルスを放出するように構成される、実施形態14に記載の装置。
【0164】
[実施形態16]
前記装置は、前記神経内の2つ以上の異なった標的繊維束に前記電気パルスを放出するように構成される、実施形態14に記載の装置。
【0165】
[実施形態17]
前記装置は、前記神経内の神経線維の第1の標的サブセットから前記電気生理学的信号を検出し、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに電気パルスを放出するように構成され、前記神経線維の第1の標的サブセットと前記神経線維の第2の標的サブセットとが同じであるか又は異なっている、実施形態1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【0166】
[実施形態18]
前記本体は、前記超音波変換器から前記電気エネルギーを受信し、前記計算回路に電力を供給するように構成された電池をさらに備える、実施形態1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【0167】
[実施形態19]
前記装置が非一時的メモリを含む、実施形態1乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【0168】
[実施形態20]
前記非一時的メモリは、前記検出された電気生理学的信号に基づくデータ、前記放出された電気パルスに基づくデータ、又は検出若しくは測定された生理学的状態に基づくデータを含むデータを格納するように構成される、実施形態19に記載の装置。
【0169】
[実施形態21]
前記非一時的メモリは、インテロゲータから受信したデータを格納するように構成される、実施形態19又は20に記載の装置。
【0170】
[実施形態22]
前記超音波変換器は、前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放出するように構成される、実施形態20又は21に記載の装置。
【0171】
[実施形態23]
前記データは、前記検出された電気生理学的信号若しくは前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、速度、向き、振幅、周波数、又は波形を含む、実施形態20乃至22のいずれか1項に記載の装置。
【0172】
[実施形態24]
前記非一時的メモリは、ある期間にわたって取得されたデータを格納するように構成される、実施形態19乃至23のいずれか1項に記載の装置。
【0173】
[実施形態25]
前記非一時的メモリは、1つ以上のテンプレート検出信号又は1つ以上のテンプレートパルスを格納する、実施形態19乃至24のいずれか1項に記載の装置。
【0174】
[実施形態26]
前記計算回路は、前記検出信号を前記1つ以上のテンプレート検出信号と比較することによって、前記刺激信号を生成するように構成される、実施形態25に記載の装置。
【0175】
[実施形態27]
前記刺激信号を生成することは、前記非一時的メモリからテンプレートパルスを取り出すことと、前記取り出されたテンプレートパルスに基づいて前記刺激信号を生成することとを含む、実施形態25又は26に記載の装置。
【0176】
[実施形態28]
前記刺激信号は、前記検出信号と前記刺激信号との間の数学的関係を使用して生成される、実施形態1乃至24のいずれか1項に記載の装置。
【0177】
[実施形態29]
前記装置は、生理学的状態を検出又は測定するように構成されたセンサをさらに備える、実施形態1乃至28のいずれか1項に記載の装置。
【0178】
[実施形態30]
前記生理学的状態は、検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、又は存在若しくは量である、実施形態29に記載の装置。
【0179】
[実施形態31]
前記検出信号は、検出された電気生理学的パルス成分と、追加の検出された生理学的状態成分とを含む、実施形態29又は30に記載の装置。
【0180】
[実施形態32]
第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とを備え、前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極はそれぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で、前記神経の長さに並行する軸の周りに放射状に配置されるように構成される、実施形態1乃至31の何れか1つに記載の装置。
【0181】
[実施形態33]
前記第1の複数の電極パッド及び前記第2の複数の電極パッドは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される、実施形態32に記載の装置。
【0182】
[実施形態34]
第3の複数の電極パッドを備える第3の湾曲部材をさらに備え、前記第3の複数の電極パッドは、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間の位置で、前記神経の長さに並行する前記軸の周りに放射状に配置されるように構成される、実施形態32又は33に記載の装置。
【0183】
[実施形態35]
前記計算回路は、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される、実施形態32乃至34のいずれか1つに記載の装置。
【0184】
[実施形態36]
前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される、実施形態35に記載の装置。
【0185】
[実施形態37]
前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッドは、前記神経に前記電気パルスを放出するように構成される、実施形態32乃至36のいずれか1つに記載の装置。
【0186】
[実施形態38]
前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第3の複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される、実施形態37に記載の装置。
【0187】
[実施形態39]
第1の複数の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の複数の電極パッドを備える第2の湾曲部材とであって、前記第1の複数の電極パッド及び前記第2の複数の電極パッドは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される、第1の湾曲部材及び第2の湾曲部材と、
第3の複数の電極パッドを備える第3の湾曲部材と、第4の複数の電極パッドを備える第4の湾曲部材とであって、前記第3の複数の電極パッド及び前記第4の複数の電極パッドは、前記電気パルスを放出するように構成される、第3の湾曲部材及び第4の湾曲部材と、であって、
前記第1の複数の電極パッドと、前記第2の複数の電極パッドと、前記第3の複数の電極パッドと、前記第4の複数の電極パッドとは、それぞれ、前記神経に平行な軸の周りに、前記神経の長さに沿って異なる位置に放射状に配置されるように構成される、実施形態1乃至38のいずれか1つに記載の装置。
【0188】
[実施形態40]
前記第3の湾曲部材及び前記第4の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間に配置される、実施形態39に記載の装置。
【0189】
[実施形態41]
前記電気生理学的信号を検出するように構成された第5の複数の電極パッドを含む第5の湾曲部材をさらに備える、実施形態39又は40に記載の装置。
【0190】
[実施形態42]
前記第5の湾曲部材が、前記神経の長さに沿って前記第3の湾曲部材と前記第4の湾曲部材との間に配置される、実施形態41に記載の装置。
【0191】
[実施形態43]
前記計算回路は、前記第1の複数の電極パッド、前記第2の複数の電極パッド、又は前記第5の複数の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される、実施形態41乃至42のいずれか1つに記載の装置。
【0192】
[実施形態44]
前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される、実施形態43に記載の装置。
【0193】
[実施形態45]
前記第3の複数の電極パッド又は前記第4の複数の電極パッド内の前記電極パッドは、前記電気パルスを前記神経内の神経線維の標的サブセットに放出するように選択的に活性化されるように構成される、実施形態39乃至44のいずれか1つに記載の装置。
【0194】
[実施形態46]
第1の電極パッド及び第2の湾曲部材を含む第1の湾曲部材を備える装置であって、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、それぞれ、前記神経の長さに沿った異なる位置で、前記神経の長さに並行する前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、実施形態1乃至31のいずれか1つに記載の装置。
【0195】
[実施形態47]
前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される、実施形態46に記載の装置。
【0196】
[実施形態48]
前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間の位置において、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成された第3の電極パッドを含む第3の湾曲部材をさらに備える、実施形態46又は47に記載の装置。
【0197】
[実施形態49]
前記計算回路は、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される、実施形態46乃至48のいずれか一項に記載の装置。
【0198】
[実施形態50]
前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される、実施形態49に記載の装置。
【0199】
[実施形態51]
前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドは、前記電気パルスを前記神経に放出するように構成される、実施形態46乃至50のいずれか1つに記載の装置。
【0200】
[実施形態52]
前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第3の電極パッドは、前記神経内の神経線維の標的サブセットに前記電気パルスを放出するように選択的に活性化されるように構成される、実施形態51に記載の装置。
【0201】
[実施形態53]
第1の電極パッドを備える第1の湾曲部材と、第2の電極パッドを備える第2の湾曲部材とであって、前記第1の複数の電極パッド及び前記第2の複数の電極パッドは、前記神経によって伝達される前記電気生理学的信号を検出するように構成される、第1の湾曲部材及び第2の湾曲部材と、
第3の電極パッドを備える第3の湾曲部材と、第4の電極パッドを備える第4の湾曲部材とであって、前記第3の複数の電極パッド及び前記第4の複数の電極パッドは、前記電気パルスを放出するように構成される、第3の湾曲部材及び第4の湾曲部材と、であって、
前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、前記第3の電極パッド、及び前記第4の電極パッドは、前記神経の長さに沿った異なる位置において、前記神経の長さに平行な前記軸を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、実施形態1乃至31のいずれか1つに記載の装置。
【0202】
[実施形態54]
前記第3の湾曲部材及び前記第4の湾曲部材は、前記神経の長さに沿って前記第1の湾曲部材と前記第2の湾曲部材との間に配置される、実施形態53に記載の装置。
【0203】
[実施形態55]
前記電気生理学的信号を検出するように構成された第5の電極パッドを含む第5の湾曲部材をさらに備える、実施形態53又は54に記載の装置。
【0204】
[実施形態56]
前記第5の湾曲部材が、前記神経の長さに沿って前記第3の湾曲部材と前記第4の湾曲部材との間に配置される、実施形態55に記載の装置。
【0205】
[実施形態57]
前記計算回路は、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、又は前記第5の複数の電極パッドのうちの1つ以上によって検出された前記電気生理学的信号に基づいて、前記電気生理学的信号を伝達する神経線維のサブセットを決定するように構成される、実施形態55乃至56のいずれか1つに記載の装置。
【0206】
[実施形態58]
前記電気生理学的信号を伝達する神経線維の前記サブセットが、インテロゲータから受信したデータに基づいてさらに決定される、実施形態57に記載の装置。
【0207】
[実施形態59]
前記第3の電極パッド又は前記第4の電極パッドは、前記電気パルスを前記神経内の神経線維の標的サブセットに放出するように選択的に活性化されるように構成される、実施形態53乃至58のいずれか一項に記載の装置。
【0208】
[実施形態60]
前記計算回路は、前記電気生理学的信号の方向又は速度を決定するように構成される、実施形態1乃至59のいずれか1つに記載の装置。
【0209】
[実施形態61]
前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、前記神経の外側に配置され、前記神経と電気的に連絡するように構成される、実施形態1乃至60のいずれか一項に記載の装置。
【0210】
[実施形態62]
前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、前記神経上膜に接するように構成される、実施形態61に記載の装置。
【0211】
[実施形態63]
前記1つ以上の電極パッド又は前記複数の電極パッドは、1つ以上の位置で前記神経上膜を貫通するように構成される、実施形態1乃至62のいずれか1つに記載の装置。
【0212】
[実施形態64]
前記計算回路は、前記検出信号又は前記検出信号の成分をダウンサンプリングするように構成される、実施形態1乃至63のいずれか1つに記載の装置。
【0213】
[実施形態65]
前記計算回路は、前記神経又は前記神経内の神経線維のサブセットによって伝達される複合活動電位又は前記複合活動電位のサブセットの向き、速度、周波数、振幅、若しくは波形に基づいて、前記刺激信号を生成するように構成される、実施形態1乃至64のいずれか1つに記載の装置。
【0214】
[実施形態66]
前記刺激信号は、前記装置によって放出される前記電気パルスのタイミング、振幅、周波数、又は波形を含む、実施形態1乃至65のいずれか1つに記載の装置。
【0215】
[実施形態67]
実施形態1乃至66のいずれか1つに記載の装置と、前記装置に電力を供給する超音波を放出するように構成されたインテロゲータとを備える、システム。
【0216】
[実施形態68]
前記インテロゲータが外部装置である、実施形態67に記載のシステム。
【0217】
[実施形態69]
前記装置が、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づいてデータを格納するように構成された非一時的メモリを備え、
前記超音波変換器が、前記データの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱波を放出するように構成され、
前記インテロゲータが、前記超音波後方散乱波を受信するように構成される、実施形態67又は68に記載のシステム。
【0218】
[実施形態70]
前記インテロゲータが前記データを復号するようにさらに構成される、実施形態69に記載のシステム。
【0219】
[実施形態71]
完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、
前記超音波を、前記装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することと、
前記装置を用いて、神経内の神経線維の標的サブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出することと、
前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて前記神経に電気パルスを放出することと、を含む、神経活動を調整する方法。
【0220】
[実施形態72]
前記電気パルスが、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに放出される、実施形態71に記載の方法。
【0221】
[実施形態73]
完全に埋め込まれた閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信することと、
前記超音波を、前記装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することと、
前記装置を用いて、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出することと、
前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成することと、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて前記神経内の神経線維の標的サブセットに電気パルスを放出することと、を含む、神経活動を調整する方法。
【0222】
[実施形態74]
前記装置内の電池に前記電気エネルギーを蓄積することを含む、実施形態71乃至73のいずれか一つに記載の方法。
【0223】
[実施形態75]
前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づくデータを、前記装置内の非一時的メモリに格納することを含む、実施形態71乃至74のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
[実施形態76]
前記データは、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、周波数、振幅、波形、速度、又は方向を含む、実施形態75に記載の方法。
【0225】
[実施形態77]
インテロゲータからデータを受信することを含む、実施形態71乃至76の何れか一つに記載の方法。
【0226】
[実施形態78]
前記データは、前記インテロゲータによって伝達される超音波で符号化される、実施形態77に記載の方法。
【0227】
[実施形態79]
前記インテロゲータから受信された前記データは、前記装置内の非一時的なメモリに格納される、実施形態77又は78に記載の方法。
【0228】
[実施形態80]
非一時的媒体上に格納されたデータの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱を放出することを含む、実施形態71乃至79のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
[実施形態81]
前記検出された電気生理学的信号の方向又は速度を決定することを含む、実施形態71乃至79のいずれか1項に記載の方法。
【0230】
[実施形態82]
生理学的状態を検出又は測定することを含む、実施形態71乃至81のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
[実施形態83]
前記生理学的状態が検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、及び/又は存在若しくは量を含む、実施形態82に記載の方法。
【0232】
[実施形態84]
前記刺激信号を生成する前に、前記検出された電気生理学的信号をダウンサンプリングすることを含む、実施形態71乃至83のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
[実施形態85]
前記刺激信号が、前記検出された電気生理学的信号の周波数、振幅、又は波形に基づいて生成される、実施形態71乃至84のいずれか1つに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置であって、
完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信し、
前記装置に電力を供給する電気エネルギーに前記超音波を変換し、
前記装置を用いて、神経内の神経線維の標的サブセットによって伝達される電気生理学的信号を検出し、
前記装置を用いて、前記検出された電気生理学的信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて前記神経に電気パルスを放出する
よう構成される、完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【請求項2】
前記電気パルスが、前記神経内の神経線維の第2の標的サブセットに放出される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置であって、
完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置上の超音波変換器で超音波を受信し、
前記装置に電力を供給する電気エネルギーに前記超音波を変換し、
前記装置を用いて、神経によって伝達される電気生理学的信号を検出し、
前記装置を用いて、前記検出された生理学的信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記装置を用いて、前記生成された刺激信号に基づいて、前記神経内の神経線維の標的サブセットへと電気パルスを放出する
よう構成される、完全に埋め込み可能な閉ループ神経調節装置。
【請求項4】
前記装置内の電池に前記電気エネルギーを蓄積することをさらに含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスに基づくデータを、前記装置内の非一時的メモリに格納するよう構成される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記データは、前記検出された電気生理学的信号又は前記放出された電気パルスのタイムスタンプ、周波数、振幅、波形、速度、又は方向を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
インテロゲータからデータを受信するよう構成される、請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記データは、前記インテロゲータによって伝達される超音波で符号化される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記インテロゲータから受信された前記データは、前記装置内の非一時的メモリに格納される、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
非一時的媒体上に格納されたデータの少なくとも一部を符号化する超音波後方散乱を放出するよう構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記検出された電気生理学的信号の方向又は速度を決定するよう構成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
生理学的状態を検出又は測定するよう構成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記生理学的状態が検体の体温、pH、圧力、心拍数、緊張、及び/又は存在若しくは量を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記刺激信号を生成する前に、前記検出された電気生理学的信号をダウンサンプリングするよう構成される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記刺激信号は、前記検出された電気生理学的信号の周波数、振幅、又は波形に基づいて生成される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【外国語明細書】