(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016402
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 11/08 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F16K11/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118479
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】瓦井 博幸
(72)【発明者】
【氏名】杤木 安弘
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 俊明
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA23
3H067CC04
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA05
3H067FF17
(57)【要約】
【課題】一方の流出口の流量を変えずに他方の流出口の流量を絞る弁装置を提供する。
【解決手段】流入口11d,軸線Sを中心とする内周面11aにおいて周方向Cdに離れて開口しかつ周方向において第1開口幅をなす第1流出口11b及び第2開口幅をなす第2流出口11c,収容室Cを画定するハウジングHと、収容室に配置され軸線回りに回動して第1流出口及び第2流出口を開閉し得る筒状の弁体30を備えた弁装置において、弁体30は、流入口に連通する内部通路Ipと、内部通路と第1流出口とを連通させるべく第1流出口に臨む領域に連続して周方向の一方向に向けて拡開し第1開口幅よりも大きい開口幅をなす第1流出連通口31aと、内部通路と第2流出口とを連通させるべく第2流出口に臨む領域に連続して周方向の他方向に向けて拡開し第2開口幅よりも大きい開口幅をなす第2流出連通口31bを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を通す主流通口,所定の軸線を中心とする内周面において周方向に離れて開口して流体を通すと共に前記周方向において第1開口幅をなす第1流通口及び第2開口幅をなす第2流通口,収容室を画定するハウジングと、
前記収容室に配置され前記軸線回りに回動して前記第1流通口及び前記第2流通口を開閉し得る筒状の弁体と、を備え、
前記弁体は、前記主流通口に連通する内部通路と、前記内部通路と前記第1流通口とを連通させるべく前記第1流通口に臨む領域に連続して前記周方向の一方向に向けて拡開し前記第1開口幅よりも大きい開口幅をなす第1連通口と、前記内部通路と前記第2流通口とを連通させるべく前記第2流通口に臨む領域に連続して前記周方向の他方向に向けて拡開し前記第2開口幅よりも大きい開口幅をなす第2連通口を含む、
ことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記第1連通口の開口幅をVw1、前記第2連通口の開口幅をVw2、前記第1開口幅をHw1、前記第2開口幅をHw2とするとき、
Vw1≧Hw1+Hw2
Vw2≧Hw2+Hw1
を満たすように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、
前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記中心平面に対して面対称に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線回りにおいて、180度離れた位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項5】
前記主流通口は、前記内周面に開口するように配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項6】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線方向において同一の位置に配置され、
前記主流通口は、前記軸線方向において、前記第1流通口及び前記第2流通口と同一の位置に配置され、
前記弁体は、前記主流通口と前記内部通路とを連通させるべく前記第1連通口及び前記第2連通口の開口幅よりも大きい開口幅をなす主連通口を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記弁体は、前記内周面と隙間をおいて配置され、
前記第1流通口及び前記第2流通口の周りにおいて、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項8】
前記主流通口の周りにおいて、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の弁装置。
【請求項9】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線方向において同一の位置に配置され、
前記主流通口は、前記軸線方向において前記弁体から外れた位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の弁装置。
【請求項10】
前記弁体は、前記内周面と隙間をおいて配置され、
前記第1流通口及び前記第2流通口の周りにおいて、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の弁装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記主流通口,前記第1流通口,前記第2流通口,及び前記収容室を画定するハウジング本体と、前記収容室を閉塞するべく前記ハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含む、
ことを特徴とする請求項5ないし10いずれか一つに記載の弁装置。
【請求項12】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、
前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記中心平面に対して面対称に形成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の弁装置。
【請求項13】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線回りにおいて、180度離れた位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の弁装置。
【請求項14】
前記ハウジング本体は、前記主流通口に通じる主通路を画定する主接続パイプと、前記第1流通口に通じる第1通路を画定する第1接続パイプと、前記第2流通口に通じる第2通路を画定する第2接続パイプを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の弁装置。
【請求項15】
前記弁体を前記軸線回りに回転駆動する駆動源を含み、
前記弁体は、前記駆動源のロータに連結される回転軸を含み、
前記ハウジング本体は、前記駆動源を固定する固定部と、前記回転軸を通す挿通孔を含み、
前記ハウジングカバーは、前記弁体を回動自在に支持する支持部を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の弁装置。
【請求項16】
前記主流通口は、流体を流入させる流入口であり、
前記第1流通口は、流体を流出させる第1流出口であり、
前記第2流通口は、流体を流出させる第2流出口である、
ことを特徴とする請求項11に記載の弁装置。
【請求項17】
前記主流通口は、前記軸線を含む中央領域に開口するように配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項18】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、
前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記中心平面に対して面対称に形成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載の弁装置。
【請求項19】
前記第1流通口及び前記第2流通口は、前記軸線回りにおいて、180度離れた位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項17に記載の弁装置。
【請求項20】
前記弁体は、前記内周面と隙間をおいて配置され、
前記第1流通口及び前記第2流通口の周りにおいて、前記弁体の外周面と前記ハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の弁装置。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記第1流通口,前記第2流通口,及び前記収容室を画定するハウジング本体と、前記主流通口を画定すると共に前記収容室を閉塞するべく前記ハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含む、
ことを特徴とする請求項17ないし20いずれか一つに記載の弁装置。
【請求項22】
前記ハウジング本体は、前記第1流通口に通じる第1通路を画定する第1接続パイプと、前記第2流通口に通じる第2通路を画定する第2接続パイプを含み、
前記ハウジングカバーは、前記主流通口に通じる主通路を画定する主接続パイプを含む、
ことを特徴とする請求項21に記載の弁装置。
【請求項23】
前記弁体を前記軸線回りに回転駆動する駆動源を含み、
前記弁体は、前記駆動源のロータに連結される回転軸を含み、
前記ハウジング本体は、前記駆動源を固定する固定部と、前記回転軸を通す挿通孔を含み、
前記ハウジングカバーは、前記弁体を回動自在に支持する支持部を含む、
ことを特徴とする請求項21に記載の弁装置。
【請求項24】
前記主流通口は、流体を流入させる流入口であり、
前記第1流通口は、流体を流出させる第1流出口であり、
前記第2流通口は、流体を流出させる第2流出口である、
ことを特徴とする請求項21に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を調整し得る弁装置に関し、特に、一つの流入口と二つの流出口を備え、回転する弁体により二つの流出口から流出する流体の流量を調整し得る弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弁装置としては、一つの流入口及び二つの流出口を有する弁本体と、弁本体の上方に配置されたモータと、弁本体の弁室内に配置されたシール部材と、シール部材により囲まれる領域に収容され外周面において開口する二つの連通口を有しモータにより回転駆動される円筒状の弁体とを備えた三方切換弁としての流路切換弁が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この流路切換弁においては、弁本体に形成された流入口が弁室に常時連通する状態で、二つの流出口が弁室に連通する開-開モードと、二つの流出口が弁室から遮断される閉-閉モードと、一方の流出口が弁室に連通しかつ他方の流出口が弁室から遮断される開-閉モードと、一方の流出口が弁室から遮断されかつ他方の流出口が弁室に連通する閉-開モードを備え、四つの開閉モードのいずれかの動作モードが選択されるようになっている。
【0004】
すなわち、上記流路切換弁においては、二つの流出口のうち、両方を開放し、又は、両方を閉鎖し、あるいは、両方のいずれか一方を開放しかつ他方を閉鎖するモードでの動作を行うだけである。したがって、二つの流体供給先において、一方の流体供給先の供給量を一定に維持した状態で、他方の流体供給先の供給量を減らしたい場合に、一方の流出口の流量を変えることなく、他方の流出口の流量を絞る動作を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、周方向に配列された二つの流通口(例えば流出口)を備える構成において、一方の流通口の流量を変えることなく他方の流通口の流量を絞ることのできる弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の弁装置は、流体を通す主流通口,所定の軸線を中心とする内周面において周方向に離れて開口して流体を通すと共に周方向において第1開口幅をなす第1流通口及び第2開口幅をなす第2流通口,収容室を画定するハウジングと、収容室に配置され軸線回りに回動して第1流通口及び第2流通口を開閉し得る筒状の弁体とを備え、弁体は、主流通口に連通する内部通路と、内部通路と第1流通口とを連通させるべく第1流通口に臨む領域に連続して周方向の一方向に向けて拡開し第1開口幅よりも大きい開口幅をなす第1連通口と、内部通路と第2流通口とを連通させるべく第2流通口に臨む領域に連続して周方向の他方向に向けて拡開し第2開口幅よりも大きい開口幅をなす第2連通口を含む、構成となっている。
【0008】
上記弁装置において、第1連通口の開口幅をVw1、第2連通口の開口幅をVw2、第1流通口の第1開口幅をHw1、第2流通口の第2開口幅をHw2とするとき、
Vw1≧Hw1+Hw2
Vw2≧Hw2+Hw1
を満たすように形成されている、構成を採用してもよい。
【0009】
上記弁装置において、第1流通口及び第2流通口は、軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、第1連通口及び第2連通口は、軸線を含む中心平面に対して面対称に形成されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記弁装置において、第1流通口及び第2流通口は、軸線回りにおいて180度離れた位置に配置されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記弁装置において、主流通口は、ハウジングの軸線を中心とする内周面に開口するように配置されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記弁装置において、第1流通口及び第2流通口は、軸線方向において同一の位置に配置され、主流通口は、内周面に開口すると共に軸線方向において第1流通口及び第2流通口と同一の位置に配置され、弁体は、主流通口と内部通路とを連通させるべく第1連通口及び第2連通口の開口幅よりも大きい開口幅をなす主連通口を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口すると共に軸線方向において第1流通口及び第2流通口と同一の位置に配置され、弁体は、内周面と隙間をおいて配置され、第1流通口及び第2流通口の周りにおいて、弁体の外周面とハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、構成を採用してもよい。
【0014】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口すると共に軸線方向において第1流通口及び第2流通口と同一の位置に配置され、弁体は、内周面と隙間をおいて配置され、第1流通口及び第2流通口の周りにおいて弁体の外周面とハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材と、主流通口の周りにおいて弁体の外周面とハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記弁装置において、第1流通口及び第2流通口は、軸線方向において同一の位置に配置され、主流通口は、内周面に開口すると共に軸線方向において弁体から外れた位置に配置されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口すると共に弁体から外れた位置に配置され、弁体は、内周面と隙間をおいて配置され、第1流通口及び第2流通口の周りにおいて、弁体の外周面とハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含む、構成を採用してもよい。
【0018】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、第1流通口及び第2流通口は、軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、第1連通口及び第2連通口は、中心平面に対して面対称に形成されている、構成を採用してもよい。
【0019】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、第1流通口及び第2流通口は、軸線回りにおいて、180度離れた位置に配置されている、構成を採用してもよい。
【0020】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、ハウジング本体は、主流通口に通じる主通路を画定する主接続パイプと、第1流通口に通じる第1通路を画定する第1接続パイプと、第2流通口に通じる第2通路を画定する第2接続パイプを含む、構成を採用してもよい。
【0021】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、弁体を軸線回りに回転駆動する駆動源を含み、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、弁体は、駆動源のロータに連結される回転軸を含み、ハウジング本体は、駆動源を固定する固定部と、回転軸を通す挿通孔を含み、ハウジングカバーは、弁体を回動自在に支持する支持部を含む、構成を採用してもよい。
【0022】
上記弁装置において、主流通口は、内周面に開口するように配置され、弁体を軸線回りに回転駆動する駆動源を含み、ハウジングは、主流通口,第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、主流通口は、流体を流入させる流入口であり、第1流通口は、流体を流出させる第1流出口であり、第2流通口は、流体を流出させる第2流出口である、構成を採用してもよい。
【0023】
上記弁装置において、主流通口は、ハウジングの軸線を含む中央領域に開口するように配置されている、構成を採用してもよい。
【0024】
上記弁装置において、主流通口は、ハウジングの軸線を含む中央領域に開口するように配置され、第1流通口及び第2流通口は、軸線を含む中心平面に対して面対称に形成され、第1連通口及び第2連通口は、中心平面に対して面対称に形成されている、構成を採用してもよい。
【0025】
上記弁装置において、主流通口は、ハウジングの軸線を含む中央領域に開口するように配置され、第1流通口及び第2流通口は、軸線回りにおいて、180度離れた位置に配置されている、構成を採用してもよい。
【0026】
上記弁装置において、主流通口は、軸線を含む中央領域に開口するように配置され、弁体は、内周面と隙間をおいて配置され、第1流通口及び第2流通口の周りにおいて、弁体の外周面とハウジングの内周面との間に配置された環状のシール部材を含む、構成を採用してもよい。
【0027】
上記弁装置において、主流通口は、軸線を含む中央領域に開口するように配置され、ハウジングは、第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、主流通口を画定すると共に収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含む、構成を採用してもよい。
【0028】
上記弁装置において、主流通口は、軸線を含む中央領域に開口するように配置され、ハウジングは、第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、主流通口を画定すると共に収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、ハウジング本体は、第1流通口に通じる第1通路を画定する第1接続パイプと、第2流通口に通じる第2通路を画定する第2接続パイプを含み、ハウジングカバーは、主流通口に通じる主通路を画定する主接続パイプを含む、構成を採用してもよい。
【0029】
上記弁装置において、主流通口は、軸線を含む中央領域に開口するように配置され、弁体を軸線回りに回転駆動する駆動源を含み、弁体は、駆動源のロータに連結される回転軸を含み、ハウジングは、第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、主流通口を画定すると共に収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、ハウジング本体は、駆動源を固定する固定部と、回転軸を通す挿通孔を含み、ハウジングカバーは、弁体を回動自在に支持する支持部を含む、構成を採用してもよい。
【0030】
上記弁装置において、主流通口は、軸線を含む中央領域に開口するように配置され、ハウジングは、第1流通口,第2流通口,及び収容室を画定するハウジング本体と、主流通口を画定すると共に収容室を閉塞するべくハウジング本体に結合されるハウジングカバーを含み、主流通口は、流体を流入させる流入口であり、第1流通口は、流体を流出させる第1流出口であり、第2流通口は、流体を流出させる第2流出口である、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0031】
上記構成をなす弁装置によれば、軸線方向における薄型化又は軸線に垂直な径方向における小径化、それ故の小型化を達成しつつ、周方向に配列された二つの流通口(例えば、流出口)を備える構成において、一方の流通口の流量を変えることなく他方の流通口の流量を絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る弁装置を示すものであり、弁体の回転中心である軸線方向におけるハウジングの一方側から視た外観斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る弁装置を示すものであり、軸線方向におけるハウジングの他方側から視た外観斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る弁装置において、弁体の回転中心である軸線を含む面で切断した断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の一方側から視た分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の他方側から視た分解斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る弁装置において、軸線に垂直でかつ第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)の中心線を通る面で切断し、第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)が全開の全開-全開状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す全開-全開状態から、弁体が時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が絞られかつ第2流通口(第2流出口)が全開に維持された、絞り-全開状態を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す絞り-全開状態から、弁体が時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が閉鎖されかつ第2流通口(第2流出口)が全開に維持された、全閉-全開状態を示す断面図である。
【
図9】
図6に示す全開-全開状態から、弁体が反時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が全開に維持されかつ第2流通口(第2流出口)が絞られた、全開-絞り状態を示す断面図である。
【
図10】
図9に示す全開-絞り状態から、弁体が反時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が全開に維持されかつ第2流通口(第2流出口)が閉鎖された、全開-全閉状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の一方側から視た分解斜視図である。
【
図12】第2実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の他方側から視た分解斜視図である。
【
図13】第2実施形態に係る弁装置において、軸線に垂直でかつ第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)の中心線を通る面で切断し、第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)が全開でかつ主流通口(流入口)が閉鎖された、実質的に全閉-全閉状態に相当する状態を示す断面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る弁装置を示すものであり、弁体の回転中心である軸線方向におけるハウジングの一方側から視た外観斜視図である。
【
図15】第3実施形態に係る弁装置を示すものであり、軸線方向におけるハウジングの他方側から視た外観斜視図である。
【
図16】第3実施形態に係る弁装置において、弁体の回転中心である軸線を含む面で切断した断面図である。
【
図17】第3実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の一方側から視た分解斜視図である。
【
図18】第3実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の他方側から視た分解斜視図である。
【
図19】第3実施形態に係る弁装置において、軸線に垂直でかつ第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)の中心線を通る面で切断し、第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)が全開の全開-全開状態を示す断面図である。
【
図20】
図19に示す全開-全開状態から、弁体が時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が絞られかつ第2流通口(第2流出口)が全開に維持された、絞り-全開状態を示す断面図である。
【
図21】
図20に示す絞り-全開状態から、弁体が時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が閉鎖されかつ第2流通口(第2流出口)が全開に維持された、全閉-全開状態を示す断面図である。
【
図22】
図21に示す全閉-全開状態から、弁体が時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が閉鎖されかつ第2流通口(第2流出口)が閉鎖された、全閉-全閉状態を示す断面図である。
【
図23】
図19に示す全開-全開状態から、弁体が反時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が全開に維持されかつ第2流通口(第2流出口)が絞られた、全開-絞り状態を示す断面図である。
【
図24】
図23に示す全開-絞り状態から、弁体が反時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が全開に維持されかつ第2流通口(第2流出口)が閉鎖された、全開-全閉状態を示す断面図である。
【
図25】
図23に示す全開-全閉状態から、弁体が反時計回り(矢印方向)に所定角度だけ回転して、第1流通口(第1流出口)が閉鎖されかつ第2流通口(第2流出口)が閉鎖された、全閉-全閉状態を示す断面図である。
【
図26】本発明の第4実施形態に係る弁装置を示すものであり、弁体の回転中心である軸線方向におけるハウジングの一方側から視た外観斜視図である。
【
図27】第4実施形態に係る弁装置を示すものであり、軸線方向におけるハウジングの他方側から視た外観斜視図である。
【
図28】第4実施形態に係る弁装置において、弁体の回転中心である軸線及び第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)の中心線を含む面で切断した断面図である。
【
図29】第4実施形態に係る弁装置において、弁体の回転中心である軸線及び主流通口(流入口)の中心線を含む面で切断した断面図である。
【
図30】第4実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の一方側から視た分解斜視図である。
【
図31】第4実施形態に係る弁装置を分解して軸線方向の他方側から視た分解斜視図である。
【
図32】第4実施形態に係る弁装置において、軸線に垂直でかつ第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)の中心線を通る面で切断し、第1流通口(第1流出口)及び第2流通口(第2流出口)が全開の全開-全開状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る弁装置は、例えば、車両等の冷却水供給システムにおいて、二箇所の供給先に対する冷却水の流量を調整するために適用されるものである。
【0034】
第1実施形態に係る弁装置M1は、
図1ないし
図5に示すように、ハウジングHとしてのハウジング本体10及びハウジングカバー20、弁体30、二つのシール部材41,42、駆動源としての駆動ユニット50、環状シール部材60、三つのネジbを備えている。
【0035】
ハウジング本体10は、樹脂材料又は金属、合金等の材料により形成され、軸線Sを中心とする円筒部11、天板部12、二つの装着部13、主接続パイプとしての流入接続パイプ14、第1接続パイプとしての第1流出接続パイプ15、第2接続パイプとしての第2流出接続パイプ16、固定部17、三つのボス部18を備えている。
【0036】
円筒部11は、
図3及び
図6に示すように、弁体30を収容する収容室C、内周面11aにおいて周方向Cdに離れて開口する第1流通口としての第1流出口11b及び第2流通口としての第2流出口11c、内周面11aにおいて第1流出口11b及び第2流出口11cから離れて開口する主流通口としての流入口11d、結合部11eを備えている。
【0037】
内周面11aは、軸線Sを中心とする円筒面として形成され、所定の隙間をおいて弁体30の外周面30aと対向する。
第1流出口11bは、流体が流出する領域であり、周方向Cdにおける第1開口幅がHw1をなす楕円形状の開口をなし、第1流出接続パイプ15により画定される第1通路としての第1流出通路15aに通じる。
第2流出口11cは、流体が流出する領域であり、周方向Cdにおける第2開口幅がHw2をなす楕円形状の開口をなし、第2流出接続パイプ16により画定される第2通路としての第2流出通路16aに通じる。
【0038】
ここで、第1流出口11b及び第2流出口11cは、
図3及び
図6に示すように、軸線Sに直交する直線L1上に配列されており、すなわち、軸線S方向において同一の位置に配置されると共に軸線S回りにおいて180度離れた位置に配置され、又、軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に形成されている。
したがって、第1流出口11b及び第2流出口11cは、同一の開口形状をなし、第1流出口11bの第1開口幅Hw
1と第2流出口11cの第2開口幅Hw
2とは、同一の寸法に形成されている。
【0039】
流入口11dは、流体が流入する領域であり、周方向Cdにおける開口幅がHw3をなすと共に、直線L1に垂直でかつ軸線Sを含む中心平面Cf上に位置する直線L2を中心とする楕円形状の開口をなし、流入接続パイプ14により画定される主通路としての流入通路14aに通じる。尚、流入口11dの開口幅Hw3は、第1流出口11bの第1開口幅Hw1及び第2流出口11cの第2開口幅Hw2と同一の寸法に形成されている。
結合部11eは、ハウジングカバー20を結合する領域であり、軸線Sを中心とする凹段付きの円環状に形成されている。
【0040】
天板部12は、軸線S方向において円筒部11の一端側を閉塞する領域であり、軸線Sを中心とする挿通孔12a、挿通孔12aの周りに形成された環状凹部12b、軸線S方向の内側に突出すると共に径方向に伸長するストッパ部12cを備えている。
挿通孔12aは、弁体30の回転軸34を回動自在に通すように形成されている。
環状凹部12bは、弁体30の回転軸34とハウジング本体10の間をシールする環状シール部材60を受け入れるように形成されている。
ストッパ部12cは、弁体30の突出部32aを当接させることで、弁体30の所定範囲を超える回転を規制する役割をなす。
【0041】
二つの装着部13は、第1流出口11b及び第2流出口11cに対応する領域においてシール部材41,42を装着するためのものであり、内周面11aから内側に突出すると共に周方向Cdにおいて互いに向かい合う嵌合溝を画定し軸線S方向に伸長する突条部として形成されている。
そして、装着部13は、円筒部11の結合部11eの内側に画定される開口部から挿入されたシール部材41,42を、それぞれ第1流出口11b及び第2流出口11cの周りに位置決めして保持する。
【0042】
流入接続パイプ14は、適用対象物の流体導入配管を接続するものであり、軸線Sに垂直な径方向において直線L2を中心として伸長すると共に流入口11dに通じる流入通路14aを画定する。
第1流出接続パイプ15は、適用対象物の第1流体導出配管を接続するものであり、軸線Sに垂直な径方向において直線L1を中心として伸長すると共に第1流出口11bに通じる第1流出通路15aを画定する。
第2流出接続パイプ16は、適用対象物の第2流体導出配管を接続するものであり、軸線Sに垂直な径方向において直線L1を中心として伸長すると共に第2流出口11cに通じる第2流出通路16aを画定する。
【0043】
固定部17は、駆動ユニット50を固定する領域であり、天板部12の外側において軸線S方向に突出する直立壁17a、直立壁17aに形成された三つの雌ネジ穴17bを備えている。そして、駆動ユニット50が、直立壁17aに沿うように接合されて、ネジbが駆動ユニット50の円孔51cを通して雌ネジ穴17bに捩じ込まれることにより、駆動ユニット50が固定部17に固定される。
【0044】
三つのボス部18は、軸線S方向において適用対象物に接合され、ネジ又はボルトを通して適用対象物の雌ネジ穴に捩じ込まれることにより、弁装置M1が適用対象物に固定されるように形成されている。
【0045】
ハウジングカバー20は、ハウジング本体10と同一の材料により円板状に形成されており、ハウジング本体10の結合部11eに嵌合される嵌合部21、弁体30を軸線S方向において支持する支持部22を備えている。
嵌合部21は、ハウジング本体10の結合部11eに嵌合される円環状凸部として形成され、結合部11eに対して嵌合された後に、必要に応じて溶着又は溶接等により固定されるようになっている。
支持部22は、軸線Sを中心とする円環状凸部として形成され、ハウジング本体10の収容室Cに収容された弁体30を軸線S方向において支持するようになっている。
そして、ハウジングカバー20は、弁体30が収容室Cに収容された状態で、収容室Cを閉塞するべくハウジング本体10に結合される。
【0046】
弁体30は、樹脂材料又は金属、合金等の材料を用いて筒状に形成されており、
図3ないし
図6に示すように、軸線Sを中心とする外周面30a及び内部通路Ipを画定する円筒部31、円筒部31の軸線S方向における一端部を閉塞する天板部32、天板部32に連続して形成された軸線Sを中心とする凸状円板部33、凸状円板部33に連続して形成された軸線Sを中心とする回転軸34を備えている。
【0047】
円筒部31は、
図6に示すように、第1連通口としての第1流出連通口31a、第2連通口としての第2流出連通口31b、主連通口としての流入連通口31cを備えている。
第1流出連通口31aは、内部通路Ipと第1流出口11bとを連通させるべく、軸線S方向において第1流出口11bと同一の位置に配置され、第1流出口11bの周方向Cdにおける一端側から他端側を通り過ぎて、周方向Cdの一方向に向けて伸長する略矩形状の湾曲開口として形成されている。
すなわち、第1流出連通口31aは、第1流出口11bに臨む領域に連続して周方向Cdの一方向(
図6中の時計回り)に拡開し、第1流出口11bの第1開口幅Hw
1よりも大きい開口幅Vw
1をなす長尺開口として形成されている。
【0048】
第2流出連通口31bは、内部通路Ipと第2流出口11cとを連通させるべく、軸線S方向において第2流出口11cと同一の位置に配置され、第2流出口11cの周方向Cdにおける一端側から他端側を通り過ぎて、周方向Cdの他方向に向けて伸長する略矩形状の湾曲開口として形成されている。
すなわち、第2流出連通口31bは、第2流出口11cに臨む領域に連続して周方向Cdの他方向(
図6中の反時計回り)に拡開し、第2流出口11cの第2開口幅Hw
2よりも大きい開口幅Vw
2をなす長尺開口として形成されている。
【0049】
流入連通口31cは、流入口11dと内部通路Ipとを連通させるべく、軸線S方向において流入口11dと同一の位置に配置され、第1流出連通口31aの開口幅Vw1及び第2流出連通口31bの開口幅Vw2よりも大きい開口幅Vw3をなす、略矩形状の湾曲開口すなわち長尺開口として形成されている。
【0050】
ここで、周方向Cdにおける各々の開口幅を、軸線Sを中心とする中心角(挟角)に換算すると、第1流出口11bの第1開口幅Hw
1は約25度~27度、第2流出口11cの第2開口幅Hw
2は約25度~27度、流入口11dの開口幅Hw
3は約25度~27度、第1流出連通口31aの開口幅Vw
1は約55度~57度、第2流出連通口31bの開口幅Vw
2は約55度~57度、流入連通口31cの開口幅Vw
3は約84度~86度に設定されている。
また、第1流出連通口31a及び第2流出連通口31bは、軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に形成されている。流入連通口31cは、
図6に示す状態において、周方向Cdにおけるその中心が中心平面Cf上に位置するように配置されている。
【0051】
天板部32は、ハウジング本体10の天板部12と隙間をおいて平行に配置されるように円板状に形成され、天板部12に対向する面において径方向に伸長する突出部32aを備えている。突出部32aは、ハウジング本体10のストッパ部12cに当接することで、弁体30の所定範囲を超える回転が規制される。
凸状円板部33は、軸線Sを中心として天板部32から軸線S方向に突出して、ハウジング本体10の天板部12に摺動自在に当接する。
回転軸34は、円柱部34aと、円柱部34aに連続して形成された連結部34bを備えている。円柱部34aは、ハウジング本体10の挿通孔12aに通されると共に、ハウジング本体10の環状凹部12bの領域において外周面に環状シール部材60が密接する。連結部34bは、駆動ユニット50のロータ52と一体的に回転するようにロータ52に連結されるように形成されている。
【0052】
上記構成をなす弁体30は、外周面30aがハウジング本体10の内周面11aと所定の隙間をおいて収容室C内に回動自在に配置され、外周面30aがハウジング本体10の内周面11aに取り付けられたシール部材41,42と摺動自在に密接する。
そして、弁体30は、駆動ユニット50により軸線S回りに適宜回転駆動されて、第1流出口11b及び第2流出口11cを開閉し得るようになっている。
【0053】
シール部材41は、ゴム又は樹脂材料等を用いて、略矩形環状に形成されており、
図4ないし
図6に示すように、ハウジング本体10の装着部13に装着される取付け部41a、四角形の開口部41b、接合面41c、シール部41dを備えている。
開口部41bは、周方向Cdにおける開口幅が第1流出口11bの開口幅(第1開口幅Hw
1)と同等に形成されている。
接合面41cは、軸線Sを中心とする曲率半径をなす凸状湾曲面として形成され、ハウジング本体10の内周面11aと密接する。
シール部41dは、軸線Sに垂直な半径方向において弁体30の外周面30aと摺動自在に密接するように形成されている。
そして、シール部材41は、第1流出口11bの周りにおいて、弁体30の外周面30aとハウジングHの内周面11aとの間に配置され、外周面30aと内周面11aの間をシールする。
【0054】
シール部材42は、ゴム又は樹脂材料等を用いて、略矩形環状に形成されており、
図4ないし
図6に示すように、ハウジング本体10の装着部13に装着される取付け部42a、四角形の開口部42b、接合面42c、シール部42dを備えている。
開口部42bは、周方向Cdにおける開口幅が第2流出口11cの開口幅(第2開口幅Hw
2)と同等に形成されている。
接合面42cは、軸線Sを中心とする曲率半径をなす凸状湾曲面として形成され、ハウジング本体10の内周面11aと密接する。
シール部42dは、軸線Sに垂直な半径方向において弁体30の外周面30aと摺動自在に密接するように形成されている。
そして、シール部材42は、第2流出口11cの周りにおいて、弁体30の外周面30aとハウジングHの内周面11aとの間に配置され、外周面30aと内周面11aの間をシールする。
【0055】
ここでは、第1流出口11bと第2流出口11cが同一形状をなし、第1流出連通口31aと第2流出連通口31bが同一形状をなすため、シール部材41とシール部材42は同一形状をなすシール部材として提供される。
【0056】
駆動ユニット50は、例えば、減速歯車等を備えたDCモータ、ステッピングモータ等であり、
図1、
図3、
図4、
図5に示すように、本体ケース51、本体ケース51内に配置されたロータ52、本体ケース51内に配置されたヨーク(不図示)及びコイル(不図示)を備えている。ここで、ロータ52は、永久磁石を有する回転子、あるいは、減速歯車列の一つの歯車等である。
本体ケース51は、弁体30の回転軸34を挿入し得る開口部51a、電気接続用のコネクタ51b、ハウジング本体10の固定部17(雌ネジ穴17b)に締結するネジbを通す円孔51cを含む三つのボス部51dを備えている。
【0057】
環状シール部材60は、ゴム又は樹脂材料等により形成され、ハウジング本体10の環状凹部12bに嵌め込まれて、弁体30の回転軸34(円柱部34a)の周りをシールする役割をなす。尚、環状シール部材60としては、O形状、X形状、V形状をなす種々のリングシール等を使用することができる。
【0058】
次に、第1実施形態に係る弁装置M1の動作について、
図6ないし
図10を参照しつつ説明する。
先ず、
図6に示す状態を初期位置とすると、初期位置において、流入口11dは全開し、第1流出口11bは全開し、第2流出口11cも全開している。この状態は、全開-全開モードである。
したがって、流入通路14aを通して導かれた流体は、流入口11dから流入連通口31cを通して内部通路Ipに流れ込む。そして、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口31aを通して第1流出口11bから流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口31bを通して第2流出口11cから流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0059】
続いて、弁体30が、
図6に示す状態から時計回りに角度θ1(例えば、約20度)回転すると、
図7に示すように、流入口11dは全開に維持され、第1流出口11bは絞られ、第2流出口11cは全開に維持される。この状態は、絞り-全開モードである。
したがって、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口31aを通して開口量が絞られた第1流出口11bから少ない流量で流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口31bを通して第2流出口11cからほぼ同一の流量で流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0060】
続いて、弁体30が、
図7に示す状態から時計回りに(
図6に示す状態から角度θ2、例えば、約30度)回転すると、
図8に示すように、流入口11dは全開に維持され、第1流出口11bは全閉し、第2流出口11cは全開に維持される。この状態は、全閉-全開モードである。
したがって、内部通路Ip内の流体は、第1流出口11bから流れ出ることなく、第2流出連通口31bを通して第2流出口11cから流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
すなわち、
図6に示す状態から
図8に示す状態に至るまでの過程において、第2流出口11cの流量を変えることなく、第1流出口11bの流量を変えることができる。
【0061】
一方、弁体30が、
図6に示す状態から反時計回りに角度θ3(例えば、約20度)回転すると、
図9に示すように、流入口11dは全開に維持され、第1流出口11bは全開に維持され、第2流出口11cは絞られる。この状態は、全開-絞りモードである。
したがって、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口31aを通して第1流出口11bからほぼ同一の流量で流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口31bを通して開口量が絞られた第2流出口11cから少ない流量で流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0062】
続いて、弁体30が、
図9に示す状態から反時計回りに(
図6に示す状態から反時計回りに角度θ4、例えば、約30度)回転すると、
図10に示すように、流入口11dは全開に維持され、第1流出口11bは全開に維持され、第2流出口11cは全閉する。この状態は、全開-全閉モードである。
したがって、内部通路Ip内の流体は、第2流出口11cから流れ出ることなく、第1流出連通口31aを通して第1流出口11bから流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給される。
すなわち、
図6に示す状態から、
図9及び
図10に示す状態に至るまでの過程において、第1流出口11bの流量を変えることなく、第2流出口11cの流量を変えることができる。
【0063】
上記構成をなす第1実施形態に係る弁装置M1によれば、弁体30が、流入口11dに連通する内部通路Ipと、内部通路Ipと第1流出口11bとを連通させるべく第1流出口11bに臨む領域に連続して周方向Cdの一方向に向けて拡開し第1開口幅Hw1よりも大きい開口幅Vw1をなす第1流出連通口31aと、内部通路Ipと第2流出口11cとを連通させるべく第2流出口11cに臨む領域に連続して周方向Cdの他方向に向けて拡開し第2開口幅Hw2よりも大きい開口幅Vw2をなす第2流出連通口31bを含む。
これにより、二つの流出口11b,11cを備える構成において、一方の流出口11b(11c)の流量を変えることなく、他方の流出口11c(11b)の流量を絞ることができる。
また、第1流出連通口31aの開口幅Vw1、第2流出連通口31bの開口幅Vw2、第1流出口11bの第1開口幅Hw1、第2流出口11cの第2開口幅Hw2との関係が、Vw1≧Hw1+Hw2、Vw2≧Hw2+Hw1を満たすように形成されることにより、全開-全開モード、全閉-全開モード、及び全開-全閉モードに加えて、絞り-全開モード及び全開-絞りモードを設定することができる。
【0064】
また、第1流出口11b及び第2流出口11cが軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に形成され、第1流出連通口31a及び第2流出連通口31bが中心平面Cfに対して面対称に形成されることにより、弁体30を一方向(時計回り)又は他方向(反時計回り)に回転させるだけで、上記のような動作モードを容易に設定することができる。
また、第1流出口11b及び第2流出口11cが軸線S回りにおいて180度離れた位置に配置されていることにより、上記のような動作モードを設定し得る第1流出連通口31a及び第2流出連通口31bを容易に配置することができる。
【0065】
また、流入口11dがハウジングHの内周面11aに開口するように配置され、特に、第1流出口11b及び第2流出口11cが軸線S方向において同一の位置に配置され、流入口11dが軸線S方向において第1流出口11b及び第2流出口11cと同一の位置に配置され、弁体30が流入口11dと内部通路Ipとを連通させるべく第1流出連通口31a及び第2流出連通口31bの開口幅Vw1,Vw2よりも大きい開口幅Vw3をなす流入連通口31cを含むことにより、上記のような動作モードを設定し得ると共に、ハウジングHを軸線S方向において薄型化することができ、それ故に、弁装置M1を全体的に小型化することができる。
【0066】
また、弁体30がハウジングHの内周面11aと隙間をおいて配置され、第1流出口11b及び第2流出口11cの周りにおいて、弁体30の外周面30aとハウジングHの内周面11aとの間に配置された環状のシール部材41,42を含むことにより、流体が第1流出口11b及び第2流出口11cの領域から漏れるのをより確実に防止することができ、より正確に流量の調整を行うことができる。
【0067】
図11ないし
図13は、本発明の第2実施形態に係る弁装置M2を示すものであり、ハウジング本体10をハウジング本体110に変更し、シール部材43を追加した以外は、第1実施形態に係る弁装置M1と同一であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る弁装置M2は、ハウジングHとしてのハウジング本体110及びハウジングカバー20、弁体30、三つのシール部材41,42,43、駆動源としての駆動ユニット50、環状シール部材60、三つのネジbを備えている。
【0068】
ハウジング本体110は、樹脂材料又は金属、合金等の材料により形成され、軸線Sを中心とする円筒部11、天板部12、二つの装着部13、一つの装着部113、流入接続パイプ14、第1流出接続パイプ15、第2流出接続パイプ16、固定部17、三つのボス部18を備えている。
一つの装着部113は、流入口11dに対応する領域においてシール部材43を装着するためのものであり、内周面11aから内側に突出すると共に周方向Cdにおいて互いに向かい合う嵌合溝を画定し軸線S方向に伸長する突条部として形成されている。
そして、装着部113は、円筒部11の結合部11eの内側に画定される開口部から挿入されたシール部材43を、流入口11dの周りに位置決めして保持する。
【0069】
シール部材43は、ゴム又は樹脂材料等を用いて、略矩形環状に形成されており、ハウジング本体10の装着部113に装着される取付け部43a、四角形の開口部43b、接合面43c、シール部43dを備えている。
開口部43bは、周方向Cdにおける開口幅が流入口11dの開口幅Hw3と同等に形成されている。
接合面43cは、軸線Sを中心とする曲率半径をなす凸状湾曲面として形成され、ハウジング本体110の内周面11aと密接する。
シール部43dは、軸線Sに垂直な半径方向において弁体30の外周面30aと摺動自在に密接するように形成されている。
そして、シール部材43は、流入口11dの周りにおいて、弁体30の外周面30aとハウジングHの内周面11aとの間に配置され、外周面30aと内周面11aの間をシールする。
【0070】
次に、第2実施形態に係る弁装置M2の動作について、
図13を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る弁装置M1の動作は、
図6ないし
図10で説明した通り、全開-全開モード、絞り-全開モード、全閉-全開モード、全開―絞りモード、及び全開-全閉モードの五つの動作モードを行う。
第2実施形態に係る弁装置M2は、上記五つの動作モードに加えて、
図13に示すように、
図6に示す初期位置から弁体30が時計回り又は反時計回りに約180度(約147度~213度)回転すると、第1流出口11bが全開しかつ第2流出口11cが全開した状態で、流入口11dが全閉となる。
この状態は、弁体30の上流側に位置する流入口11dが全閉となって流体が流れ込まないため、第1流出口11b及び第2流出口11cから流体を流出させることができない。すなわち、実質的に、第1流出口11b及び第2流出口11cが全閉となる全閉-全閉モードに相当する。
【0071】
上記第2実施形態に係る弁装置M2によれば、第1実施形態に係る弁装置M1の作用及び効果に加えて、全閉-全閉モードに相当する動作モードを追加することができる。したがって、適用対象物において、第1流体供給先への流体の供給及び第2流体供給先への流体の供給を、同時に完全に停止することができる。
【0072】
図14ないし
図25は、本発明の第3実施形態に係る弁装置M3を示すものであり、ハウジング本体10、ハウジングカバー20、及び弁体30に変えて、ハウジング本体210、ハウジングカバー220、及び弁体230を採用した以外は、第1実施形態に係る弁装置M1と同一であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態に係る弁装置M3は、ハウジングHとしてのハウジング本体210及びハウジングカバー220、弁体230、二つのシール部材41,42、駆動源としての駆動ユニット50、環状シール部材60、三つのネジbを備えている。
【0073】
ハウジング本体210は、樹脂材料又は金属、合金等の材料により形成され、軸線Sを中心とする円筒部11、天板部12、二つの装着部13、第1流出接続パイプ15、第2流出接続パイプ16、固定部17、三つのボス部18を備えている。
円筒部11は、
図3及び
図6に示すように、内周面11aにおいて周方向Cdに離れて開口する第1流出口11b及び第2流出口11c、結合部11eを備えている。
【0074】
ハウジングカバー220は、ハウジング本体210と同一の材料により円板状に形成されており、ハウジング本体210の結合部11eに嵌合される嵌合部21、弁体230を軸線S方向において支持する支持部22、主流通口としての流入口223、主接続パイプとしての流入接続パイプ224を備えている。
流入口223は、流体が流入する領域であり、軸線Sを含む中央領域において軸線Sを中心としかつ第1流出口11b及び第2流出口11cと同等の通路面積をなす円形状の開口をなし、流入接続パイプ224により画定される主通路としての流入通路224aに通じる。
流入接続パイプ224は、適用対象物の流体導入配管を接続するものであり、軸線S方向に伸長すると共に流入口223に通じる流入通路224aを画定する。
そして、ハウジングカバー220は、弁体230が収容室Cに収容された状態で、収容室Cを閉塞するべくハウジング本体210に結合される。
【0075】
弁体230は、樹脂材料又は金属、合金等の材料を用いて筒状に形成されており、
図17ないし
図19に示すように、軸線Sを中心とする外周面30a及び内部通路Ipを画定する円筒部231、円筒部231の軸線S方向における一端部を閉塞する天板部32、天板部32に連続して形成された軸線Sを中心とする凸状円板部33、凸状円板部33に連続して形成された軸線Sを中心とする回転軸34を備えている。
【0076】
円筒部231は、
図19に示すように、第1連通口としての第1流出連通口231a、第2連通口としての第2流出連通口231bを備えている。
第1流出連通口231aは、内部通路Ipと第1流出口11bとを連通させるべく、軸線S方向において第1流出口11bと同一の位置に配置され、第1流出口11bの周方向Cdにおける一端側から他端側を通り過ぎて、周方向Cdの一方向に向けて伸長する略矩形状の湾曲開口として形成されている。
すなわち、第1流出連通口231aは、第1流出口11bに臨む領域に連続して周方向Cdの一方向(
図19中の時計回り)に拡開し、第1流出口11bの第1開口幅Hw
1よりも大きい開口幅Vw
1をなす長尺開口として形成されている。
【0077】
第2流出連通口231bは、内部通路Ipと第2流出口11cとを連通させるべく、軸線S方向において第2流出口11cと同一の位置に配置され、第2流出口11cの周方向Cdにおける一端側から他端側を通り過ぎて、周方向Cdの他方向に向けて伸長する略矩形状の湾曲開口として形成されている。
すなわち、第2流出連通口231bは、第2流出口11cに臨む領域に連続して周方向Cdの他方向(
図19中の反時計回り)に拡開し、第2流出口11cの第2開口幅Hw
2よりも大きい開口幅Vw
2をなす長尺開口として形成されている。
【0078】
ここで、周方向Cdにおける各々の開口幅を、軸線Sを中心とする中心角(挟角)に換算すると、第1流出口11bの第1開口幅Hw1は約30度~32度、第2流出口11cの第2開口幅Hw2は約30度~32度、第1流出連通口231aの開口幅Vw1は約76度~78度、第2流出連通口231bの開口幅Vw2は約76度~78度に設定されている。また、第1流出連通口231a及び第2流出連通口231bは、軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に形成されている。
【0079】
次に、第3実施形態に係る弁装置M3の動作について、
図19ないし
図25を参照しつつ説明する。尚、弁装置M3において、流入口223は、常時全開した状態にある。
先ず、
図19に示す状態を初期位置とすると、初期位置において、第1流出口11bは全開し、第2流出口11cも全開している。この状態は、全開-全開モードである。
したがって、流入通路224aを通して導かれた流体は、流入口223から弁体30の内部通路Ipに流れ込む。そして、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口231aを通して第1流出口11bから流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口231bを通して第2流出口11cから流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0080】
続いて、弁体230が、
図19に示す状態から時計回りに角度θ5(例えば、約16度)回転すると、
図20に示すように、第1流出口11bは絞られ、第2流出口11cは全開に維持される。この状態は、絞り-全開モードである。
したがって、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口231aを通して開口量が絞られた第1流出口11bから少ない流量で流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口231bを通して第2流出口11cからほぼ同一の流量で流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0081】
続いて、弁体230が、
図20に示す状態から時計回りに(
図19に示す状態から角度θ6、例えば、約40度)回転すると、
図21に示すように、第1流出口11bは全閉し、第2流出口11cは全開に維持される。この状態は、全閉-全開モードである。
したがって、内部通路Ip内の流体は、第1流出口11bから流れ出ることなく、第2流出連通口231bを通して第2流出口11cから流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
すなわち、
図19に示す状態から
図21に示す状態に至るまでの過程において、第2流出口11cの流量を変えることなく、第1流出口11bの流量を変えることができる。
【0082】
続いて、弁体230が、
図21に示す状態から時計回りに(
図19に示す状態から角度θ7、例えば、約90度)回転すると、
図22に示すように、第1流出口11bは全閉し、第2流出口11cは全閉する。この状態は、全閉-全閉モードである。
したがって、第1流出口11bから第1流体供給先への流体の供給及び第2流出口11cから第2流体供給先への流体の供給が同時に停止される。
【0083】
一方、弁体230が、
図19に示す状態から反時計回りに角度θ8(例えば、約16度)回転すると、
図23に示すように、第1流出口11bは全開に維持され、第2流出口11cは絞られる。この状態は、全開-絞りモードである。
したがって、内部通路Ip内の流体の一部は、第1流出連通口231aを通して第1流出口11bからほぼ同一の流量で流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給され、内部通路Ip内の流体の他の一部は、第2流出連通口231bを通して開口量が絞られた第2流出口11cから少ない流量で流れ出て第2流出通路16aを経て第2流体供給先に供給される。
【0084】
続いて、弁体230が、
図23に示す状態から反時計回りに(
図19に示す状態から反時計回りに角度θ9、例えば、約40度)回転すると、
図24に示すように、第1流出口11bは全開に維持され、第2流出口11cは全閉する。この状態は、全開-全閉モードである。したがって、内部通路Ip内の流体は、第2流出口11cから流れ出ることなく、第1流出連通口231aを通して第1流出口11bから流れ出て第1流出通路15aを経て第1流体供給先に供給される。
すなわち、
図19に示す状態から、
図23及び
図24に示す状態に至るまでの過程において、第1流出口11bの流量を変えることなく、第2流出口11cの流量を変えることができる。
【0085】
続いて、弁体230が、
図24に示す状態から反時計回りに(
図19に示す状態から角度θ10、例えば、約90度)回転すると、
図25に示すように、第1流出口11bは全閉し、第2流出口11cも全閉に維持される。この状態は、全閉-全閉モードである。
したがって、第1流出口11bから第1流体供給先への流体の供給及び第2流出口11cから第2流体供給先への流体の供給が同時に停止される。
【0086】
上記構成をなす第3実施形態に係る弁装置M3によれば、弁体230が、流入口223に連通する内部通路Ipと、内部通路Ipと第1流出口11bとを連通させるべく第1流出口11bに臨む領域に連続して周方向Cdの一方向に向けて拡開し第1開口幅Hw1よりも大きい開口幅Vw1をなす第1流出連通口231aと、内部通路Ipと第2流出口11cとを連通させるべく第2流出口11cに臨む領域に連続して周方向Cdの他方向に向けて拡開し第2開口幅Hw2よりも大きい開口幅Vw2をなす第2流出連通口231bを含む。
これにより、二つの流出口11b,11cを備える構成において、一方の流出口11b(11c)の流量を変えることなく、他方の流出口11c(11b)の流量を絞ることができる。
また、第1流出連通口231aの開口幅Vw1、第2流出連通口231bの開口幅Vw2、第1流出口11bの第1開口幅Hw1、第2流出口11cの第2開口幅Hw2との関係が、Vw1≧Hw1+Hw2、Vw2≧Hw2+Hw1を満たすように形成されることにより、全開-全開モード、全閉-全開モード、及び全開-全閉モードに加えて、絞り-全開モード及び全開-絞りモードを設定することができる。
【0087】
また、流入口223は、軸線Sを含む中央領域に開口するように配置され、ハウジング本体210は、第1流出口11bに通じる第1流出通路15aを画定する第1流出接続パイプ15と、第2流出口11cに通じる第2流出通路16aを画定する第2流出接続パイプ16を含み、ハウジングカバー220は、流入口223に通じる流入通路224aを画定する流入接続パイプ224を含む。
これにより、ハウジング本体210には、第1流出口11b及び第2流出口11cを配置するだけで流入口を配置するスペースが不要になる。したがって、ハウジングHを軸線Sに垂直な方向において小径化することができ、それ故に、弁装置M3の小型化を達成することができる。
【0088】
図26ないし
図32は、本発明の第4実施形態に係る弁装置M4を示すものであり、ハウジング本体210及びハウジングカバー220に変えて、ハウジング本体310及びハウジングカバー320を採用した以外は、第3実施形態に係る弁装置M3と同一であり、第3実施形態に係る同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第4実施形態に係る弁装置M4は、ハウジングHとしてのハウジング本体310及びハウジングカバー320、弁体230、二つのシール部材41,42、駆動源としての駆動ユニット50、環状シール部材60、三つのネジbを備えている。
【0089】
ハウジング本体310は、樹脂材料又は金属、合金等の材料により形成され、軸線Sを中心とする円筒部311、天板部12、二つの装着部13、主接続パイプとしての流入接続パイプ314、第1接続パイプとしての第1流出接続パイプ15、第2接続パイプとしての第2流出接続パイプ16、固定部17、三つのボス部18を備えている。
円筒部311は、前述の円筒部11よりも軸線S方向に長尺に形成され、内周面11aにおいて周方向Cdに離れて開口する第1流通口としての第1流出口11b及び第2流通口としての第2流出口11c、内周面11aにおいて第1流出口11b及び第2流出口11cから離れて開口する主流通口としての流入口311d、結合部311eを備えている。
【0090】
流入口311dは、流体が流入する領域であり、周方向Cdにおける開口幅がHw
3をなすと共に、直線L1に垂直でかつ軸線Sを含む中心平面Cf上に位置すると共に直線L1から軸線S方向に外れた直線L3を中心とする楕円形状の開口をなし、流入接続パイプ314により画定される主通路としての流入通路314aに通じる。
すなわち、流入口311dは、
図29に示すように、軸線S方向において、弁体230から外れた位置に配置されている。したがって、流入口311dは、第1流出口11b及び第2流出口11cの配置位置に関係なく、艤装上において許容される範囲で周方向Cdのいずれの位置に配置されてもよい。
結合部311eは、ハウジングカバー320を結合する領域であり、軸線Sを中心とする凹段付きの円環状に形成されている。
【0091】
流入接続パイプ314は、適用対象物の流体導入配管を接続するものであり、軸線Sに垂直な径方向において直線L3を中心として伸長すると共に流入口311dに通じる流入通路314aを画定する。
流入接続パイプ314は、流入口311dと対応して配置されるため、前述同様に、他の部品との関係で許容される範囲において、周方向Cdのいずれの位置に配置されてもよく、艤装上の配置の自由度が増す。
【0092】
ハウジングカバー320は、ハウジング本体310と同一の材料により有底円筒状に形成されており、ハウジング本体310の結合部311eに嵌合される嵌合部321、弁体230を軸線S方向において支持する支持部322、切欠き部323を備えている。
嵌合部321は、ハウジング本体310の結合部311eに嵌合される円環状凸部として形成され、結合部311eに対して嵌合された後に、必要に応じて溶着又は溶接等により固定されるようになっている。
支持部322は、軸線Sを中心とする円筒状凸部として形成され、ハウジング本体310の収容室Cに収容された弁体230を軸線S方向において支持するようになっている。
切欠き部323は、流入口311dが弁体230の内部通路Ipに連通するように、流入口311dに臨む領域に形成されている。
そして、ハウジングカバー320は、弁体230が収容室Cに収容された状態で、収容室Cを閉塞するべくハウジング本体310に結合される。
【0093】
第4実施形態に係る弁装置M4の動作は、
図32に示す状態を初期位置とした場合、前述の第3実施形態に係る弁装置M3と同様であり、全開-全開モード、絞り-全開モード、全閉-全開モード、全開-絞りモード、全開-全閉モード、全閉-全閉モードの動作モードを行うことができる。
【0094】
上記構成をなす第4実施形態に係る弁装置M4によれば、二つの流出口11b,11cを備える構成において、一方の流出口11b(11c)の流量を変えることなく、他方の流出口11c(11b)の流量を絞ることができる。
また、第1流出連通口231aの開口幅Vw1、第2流出連通口231bの開口幅Vw2、第1流出口11bの第1開口幅Hw1、第2流出口11cの第2開口幅Hw2との関係が、Vw1≧Hw1+Hw2、Vw2≧Hw2+Hw1を満たすように形成されることにより、全閉-全開モード及び全開-全閉モード並びに全閉-全閉モードに加えて、絞り-全開モード及び全開-絞りモードを設定することができる。
【0095】
また、第1流出口11b及び第2流出口11cが、軸線S方向において同一の位置に配置され、流入口311dが、軸線S方向において弁体230から外れた位置に配置されることにより、第1流出口11b及び第2流出口11cの配置位置に関係なく、艤装上において許容される範囲で周方向Cdのいずれの位置に配置されてもよく、流入接続パイプ314も、他の部品との関係で許容される範囲において周方向Cdのいずれの位置に配置されてもよく、艤装上の配置の自由度が増す。
また、前述の第3実施形態と同様に、ハウジングHを軸線Sに垂直な方向において小径化することができ、それ故に、弁装置M4の小型化を達成することができる。
【0096】
上記実施形態においては、第1流出口11b及び第2流出口11cが軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に配置され、第1流出連通口31a,231a及び第2流出連通口31b,231bが軸線Sを含む中心平面Cfに対して面対称に配置された構成を示したが、これに限定されるものではなく、一方の流出口の流量を変えずに他方の流出口の流量を絞ることができる構成であれば、その他の配置関係又は形態を採用してもよい。
【0097】
上記実施形態においては、第1流出口11b及び第2流出口11cが、軸線S回りにおいて180度離れた位置に配置された構成を示したが、これに限定されるものではなく、第1流出連通口31a,231a及び第2流出連通口31b,231bとの関係で成立する範囲において、他の位置に配置されてもよい。
【0098】
上記実施形態においては、第1流出口11b及び第2流出口11cと第1流出連通口31a,231a及び第2流出連通口31b,231bとが、軸線S方向において同一の位置に配置された構成を示したが、これに限定されるものではなく、第1流出口及び第1流出連通口の位置と第2流出口及び第2流出連通口の位置とが、軸線S方向において異なる位置に設定されてもよい。
【0099】
上記実施形態においては、ハウジングとして、ハウジング本体10,110,210,310及びハウジングカバー20,220,320から成るハウジングHを示したが、これに限定されるものではなく、弁体30,230を収容できる構造であれば、その他の形態をなすハウジングを採用してもよい。
【0100】
上記実施形態においては、弁体30,230を駆動する駆動源としての駆動ユニット50を含む構成を示したが、これに限定されるものではなく、弁体の回転軸をハウジングの外部に突出させて、手動操作等により回転駆動する構成を採用してもよい。
【0101】
上記実施形態においては、弁体として、軸線Sを中心とする外周面30aを画定する円筒状の弁体30,230を示したが、これに限定されるものではなく、外周面が球面をなす弁体と、弁体の外周面に対向する球面状の内周面を画定するハウジングを採用してもよい。
【0102】
上記実施形態においては、ハウジングHの内周面11aと弁体30,230の外周面30aの間にシール部材41,42,43を配置した構成を示したが、これに限定されるものではなく、ハウジングの内周面と弁体の外周面が密接して摺動する構成を採用し、接触界面からの流体の漏れが僅かで流量に関係無いか又は流量の調整が高精度に要求されない場合は、シール部材を廃止した構成を採用してもよい。
【0103】
上記実施形態においては、流体を通す主流通口として流体を流入させる流入口11c,223,311dを示し、流体を通す第1流通口として流体を流出させる第1流出口11bを示し、流体を通す第2流通口として流体を流出させる第2流出口11cを示したが、これに限定されるものではない。逆に、流体を通す主流通口として流体を流出させる一つの流出口を採用し、流体を通す第1流通口及び第2流通口として流体を流入させる二つの第1流入口及び第2流入口を採用してもよい。
【0104】
以上述べたように、本発明の弁装置は、薄型化又は小径化による小型化を達成しつつ、周方向に配列された二つの流通口を備える構成において一方の流通口の流量を変えることなく他方の流通口の流量を絞ることができるため、車両等の冷却水供給システムに適用できるのは勿論のこと、その他の分野における流体の制御システム、又は、その他の流体を送給する機器においても有用である。
【符号の説明】
【0105】
S 軸線
Cf 中心平面
H ハウジング
10 ハウジング本体(ハウジング)
11a 内周面
Cd 周方向
C 収容室
11b 第1流出口(第1流通口)
Hw1 第1開口幅
11c 第2流出口(第2流通口)
Hw2 第2開口幅
11c 流入口(主流通口)
12a 挿通孔
14 流入接続パイプ(主接続パイプ)
14a 流入通路(主通路)
15 第1流出接続パイプ(第1接続パイプ)
15a 第1流出通路(第1通路)
16 第2流出接続パイプ(第2接続パイプ)
16a 第2流出通路(第2通路)
17 固定部
20 ハウジングカバー(ハウジング)
22 支持部
30 弁体
Ip 内部通路
30a 外周面
31a 第1流出連通口(第1連通口)
Vw1 第1流出連通口の開口幅
31b 第2流出連通口(第2連通口)
Vw2 第2流出連通口の開口幅
31c 流入連通口(主連通口)
Vw3 流入連通口の開口幅
41,42,43 シール部材
50 駆動ユニット(駆動源)
52 ロータ
110 ハウジング本体(ハウジング)
210 ハウジング本体(ハウジング)
220 ハウジングカバー(ハウジング)
223 流入口(主流通口)
224 流入接続パイプ(主接続パイプ)
224a 流入通路(主通路)
230 弁体
231a 第1流出連通口(第1連通口)
231b 第2流出連通口(第2連通口)
310 ハウジング本体(ハウジング)
311d 流入口(主流通口)
314 流入接続パイプ(主接続パイプ)
314a 流入通路(主通路)
320 ハウジングカバー(ハウジング)
322 支持部