IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリシダ・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図1A
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図1B
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図1C
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図2
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図3
  • 特開-経口投与用プロトン結合ポリマー 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164031
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】経口投与用プロトン結合ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/00 20060101AFI20241119BHJP
   C08F 26/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C08F8/00
C08F26/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024124273
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2023060573の分割
【原出願日】2015-12-10
(31)【優先権主張番号】62/090,287
(32)【優先日】2014-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515338461
【氏名又は名称】トリシダ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Tricida, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ゲリット・クラーナー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エフ・コナー
(72)【発明者】
【氏名】ランディ・ケイ・バー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・ケイド
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイチ・キールステッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エム・バイス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・コープ
(72)【発明者】
【氏名】カルペシュ・エヌ・ビヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・エイチ・グエン
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エム・タバックマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒトを含めた動物を治療するための医薬組成物及び方法、ならびにかかる組成物を調製する方法を提供する。
【解決手段】医薬組成物は、架橋アミンポリマーを含有し、例えば、胃腸管からのプロトン及び/または塩化物イオンの除去が生理学的利益を付与する疾患または他の代謝状態を治療する、例えば、ヒトを含めた動物において血清重炭酸塩濃度及び血液pHを正常化するのに使用され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(ii)分散溶媒、架橋剤、及び前記膨潤剤を含む反応混合物に、前記プリフォームアミンポリマーを分散させることと、(iii)前記反応混合物において、前記プリフォームアミンポリマーを架橋して、前記架橋アミンポリマーを形成することとを含む、前記プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、前記膨潤剤のための吸収能を有しており、前記反応混合物中の前記膨潤剤の量が、前記膨潤剤のための前記プリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低い、前記プロセス。
【請求項2】
前記プリフォームアミンポリマーを、前記膨潤剤によって膨潤する前に、塩基によって脱プロトン化することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記プリフォームアミンポリマーにおける架橋が、主に炭素-炭素架橋であり、窒素-窒素架橋が、架橋ステップにおいて主に形成される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プリフォームアミンポリマーが、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有し、前記架橋アミンポリマーは、SIBまたはSOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が、同じアッセイにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する前記プリフォームアミンポリマーの結合能より小さい、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記分散溶媒が、非極性溶媒を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記分散溶媒が、前記プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である溶媒を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記分散溶媒が、架橋溶媒を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記架橋剤が、前記分散溶媒である、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記膨潤剤及び前記分散溶媒が非混和性である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項14】
架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(ii)前記プリフォームアミンポリマーを架橋して、架橋剤及び前記膨潤剤を含む反応混合物において、前記架橋アミンポリマーを形成することとを含み、前記プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、前記膨潤剤のための吸収能を有しており、前記反応混合物中の前記膨潤剤の量が、前記膨潤剤のための前記プリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低く、前記反応混合物における膨潤剤対前記プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、前記プロセス。
【請求項15】
前記膨潤剤が、極性溶媒である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせである、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記膨潤剤が、水である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記架橋剤が、少なくとも2個のアミン反応性官能基を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記架橋剤が、アルキルハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及びその誘導体、スルホネート及びその誘導体、アシルハライド、アジリジン、α,β-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、及びペンタフルオロアリール基からなる群から選択される少なくとも2個のアミン反応性基を含有する化合物である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記架橋剤が、表Bから選択される架橋剤である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記架橋剤が、ジクロロアルカンである、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記架橋剤が、ジクロロエタンまたはジクロロプロパンである、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記膨潤剤及び前記架橋剤が非混和性である、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プリフォームポリマーが、前記ポリマーが前記膨潤剤によって膨潤される前に、前記架橋剤及び前記分散溶媒と合わされる、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記プリフォームアミンポリマーを溶媒系において形成することをさらに含み、前記架橋アミンポリマーが、前記プリフォームアミンポリマーを前記溶媒系から単離することなく形成される、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化1】
いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む:
【化2】
式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである;いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項32】
及びRが、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
及びRが、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである、請求項31に記載のプロセス。
【請求項34】
前記プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、前記架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、いずれかの先行請求項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、請求項38に記載のプロセス。
【請求項41】
前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、請求項38に記載のプロセス。
【請求項42】
架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、反応混合物において、プリフォームアミンポリマーを架橋して、前記架橋アミンポリマーを形成することを含み、前記反応混合物が、前記プリフォームアミンポリマー、前記プリフォームアミンポリマーを膨潤する膨潤剤、及びジクロロエタンを含んでいる、前記プロセス。
【請求項43】
前記反応混合物が、分散溶媒を含む、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記反応混合物が、前記プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である分散溶媒分散溶媒を含む、請求項42または43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記反応混合物が、分散溶媒を含み、前記分散溶媒が、ジクロロエタンである、請求項42または43に記載のプロセス。
【請求項46】
前記膨潤剤及びジクロロエタンが、非混和性である、請求項42~45のいずれかに記載のプロセス。
【請求項47】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項48】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項49】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項50】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項51】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項52】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項53】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、請求項42~46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
前記プリフォームアミンポリマーが、前記反応混合物において架橋される前に、塩基によって脱プロトン化される、請求項42~54のいずれかに記載のプロセス。
【請求項56】
前記プリフォームアミンポリマーが架橋され、該架橋が、主に炭素-炭素架橋である、請求項42~55のいずれかに記載のプロセス。
【請求項57】
前記膨潤剤が、極性溶媒である、請求項42~56のいずれかに記載のプロセス。
【請求項58】
前記膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせである、請求項42~56のいずれかに記載のプロセス。
【請求項59】
前記膨潤剤が、水である、請求項42~56のいずれかに記載のプロセス。
【請求項60】
前記プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化3】
請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項61】
前記プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む
【化4】
式中、R及びRが、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである;請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項62】
及びRが、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、請求項61に記載のプロセス。
【請求項63】
及びRが、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである、請求項61に記載のプロセス。
【請求項64】
前記プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項65】
前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項66】
前記プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項67】
前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、請求項42~59のいずれかに記載のプロセス。
【請求項68】
前記プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、前記架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、請求項42~67のいずれかに記載のプロセス。
【請求項69】
前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、請求項68に記載のプロセス。
【請求項70】
前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、請求項68に記載のプロセス。
【請求項71】
前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、請求項68に記載のプロセス。
【請求項72】
人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項73】
それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項74】
人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも1mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.4mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項75】
それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比、及び5未満の膨潤比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項76】
GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において最初に結合された塩化物の少なくとも30%の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項77】
GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項78】
GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量、及びGICTAにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%の、GICTA終了時の塩化物保持率を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項79】
人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項80】
人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーと、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において24時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
【請求項81】
少なくとも5.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項82】
(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項83】
(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項84】
(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)においてそれぞれ少なくとも2.3:1の塩化物対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項85】
(i)1時間、(ii)4時間、(iii)12時間、(iv)18時間、(v)24時間、(vi)30時間、(vii)36時間、またはさらに(viii)48時間で人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【請求項86】
請求項72~96のいずれかに記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【請求項87】
請求項1~71のいずれかに記載のプロセスによって調製される架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【請求項88】
式4に相当する構造:
【化5】
式中、各Rは、独立して、水素、または架橋アミンポリマーの2個の窒素原子間のエチレン架橋
【化6】
であり、a、b、c、及びmは、整数である;を含むポリマー。
【請求項89】
mが、拡大されたポリマーネットワークを示す大きい整数である、請求項88に記載のポリマー。
【請求項90】
a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1:1~5:1の範囲である、請求項88または89に記載のポリマー。
【請求項91】
a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.5:1~4:1の範囲である、請求項88または89に記載のポリマー。
【請求項92】
a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.75:1~3:1の範囲である、請求項88または89に記載のポリマー。
【請求項93】
a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約2:1~2.5:1の範囲である、請求項88または89に記載のポリマー。
【請求項94】
a及びbの合計が57であり、cが、24である、請求項88または89に記載のポリマー。
【請求項95】
前記R置換基の50~95%が、水素であり、5~50%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項96】
前記R置換基の55~90%が、水素であり、10~45%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項97】
前記R置換基の60~90%が水素であり、10~40%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項98】
前記R置換基の65~90%が水素であり、10~35%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項99】
前記R置換基の70~90%が水素であり、10~30%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項100】
前記R置換基の75~85%が水素であり、15~25%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項101】
前記R置換基の80~85%が水素であり、15~20%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項102】
前記R置換基の約81%が水素であり、約19%が、エチレン架橋である、請求項88~94のいずれかに記載のポリマー。
【請求項103】
薬学的に許容可能な賦形剤と、請求項88~102のいずれかに記載の架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
【請求項104】
実施形態103に記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に代謝性アシドーシスの治療に使用され得る経口投与用プロトン結合ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
代謝性アシドーシスは、種々の疾患状態において不揮発性酸が体内に蓄積してプロトン(H+)の正味の付加または重炭酸塩(HCO )の損失を引き起こす代謝及び消化過程の結果である。代謝性アシドーシスは、体が代謝及び消化過程からの酸を蓄積し、過剰の酸が腎臓によって体から完全に除去されないときに起こる。慢性腎疾患は、濾過された重炭酸塩(HCO )を回収すること、アンモニアを合成すること(アンモニア産生)、及び滴定酸を排泄することができないことに続発して、腎臓が水素イオンを排泄する能力が低下することに起因する代謝性アシドーシスをしばしば伴う。臨床実践ガイドラインは、血清重炭酸塩値が<22mEq/Lであるとき、代謝性アシドーシスの合併症を予防または治療するために、透析非依存性慢性腎疾患(CKD)を有する患者においてアルカリ療法を開始することを推奨している。(Clinical practice guidelines for nutrition in chronic renal failure,K/DOQI,National Kidney Foundation,Am.J.Kidney Dis.2000;35:S1-140;Raphael,KL,Zhang,Y,Wei,G,et al.2013,Serum bicarbonate and mortality in adults in NHANES III,Nephrol.Dial.Transplant 28:1207-1213)。これらの合併症は、小児における栄養障害及び発育遅延、骨疾患の増悪、筋肉分解の増加、アルブミン合成の減少、ならびに炎症の増加を含む。(Leman,J,Litzow,JR,Lennon,EJ.1966.The effects of chronic acid loads in normal man:further evidence for the participation of bone mineral in the defense against chronic metabolic acidosis,J.Clin.Invest.45:1608-1614;Franch HA,Mitch WE,1998,Catabolism in uremia:the impact of metabolic acidosis,J.Am.Soc.Nephrol.9:S78-81;Ballmer,PE,McNurlan,MA,Hulter,HN,et al.,1995,Chronic metabolic acidosis decreases albumin synthesis and induces negative nitrogen balance in humans,J.Clin.Invest.95:39-45;Farwell,WR,Taylor,EN,2010,Serum anion gap,bicarbonate and biomarkers of inflammation in healthy individuals in a national survey,CMAJ 182:137-141)。明白な代謝性アシドーシスは、推算糸球体濾過量が30mL/分/1.73mを下回るとき、患者の大部分において呈される。(KDOQI bone guidelines:American Journal of Kidney Diseases(2003) 42:S1-S201.(suppl);Widmer B,Gerhardt RE,Harrington JT,Cohen JJ,Serum electrolyte and acid base composition:The influence of graded degrees of chronic renal failure,Arch Intern Med139:1099-1102,1979;Dobre M,Yang,W,Chen J,et.al.,Association of serum bicarbonate with risk of renal and cardiovascular outcomes in CKD:a report from the chronic renal insufficiency cohort(CRIC) study.Am.J.Kidney Dis.62:670-678,2013;Yaqoob,MM。Acidosis and progression of chronic kidney disease.Curr.Opin.Nephrol.Hypertens.19:489-492,2010)。
【0003】
代謝性アシドーシスは、病因に関わらず、細胞外液重炭酸塩を減少させるため、細胞外pHは低下する。血清pHと血清重炭酸塩との間の関係は、ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式によって記載され
pH=pK’+log[HCO ]/[(0.03×PaCO)]
式中、0.03は、COの物理的溶解度係数であり、[HCO ]及びPaCOは、それぞれ、重炭酸塩の濃度及び二酸化炭素の分圧である。
【0004】
代謝性アシドーシスを定義するのに使用され得るいくつかの臨床検査がある。この検査は、静脈または動脈血を含めた種々の生体サンプルにおける重炭酸塩(HCO )またはプロトン(H)のいずれかの濃度を基本的には測定する。
【0005】
アシドーシスの決定に最も有用な測定は、静脈血漿重炭酸塩(または総二酸化炭素[tCO])、血清電解質Cl、K、及びNaの測定、ならびにアニオンギャップの決定に依存する。臨床検査室において、静脈血漿または血清電解質の測定は、tCO2の推定を含む。この測定は、循環COの合計[すなわち、重炭酸塩(HCO )、炭酸、(HCO)及び溶解CO(0.03×PCO)によって表される総CO]を反映する。tCO2はまた、ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式:tCO=HCO +0.03PCO:式中、PCOは、COの測定分圧である;の単純化及び標準化された形態を使用することによって、HCO とも関係し得る。HCO 濃度は、tCOの90%より高く、少量のHCOが存在するため、静脈tCOは、血中の静脈HCO 濃度の妥当な近似値としてしばしば使用される。特に慢性腎疾患の際には、異常血漿HCO 値<22mEq/Lが、代謝性アシドーシスを一般に示す。
【0006】
血清Cl濃度の変化は、特に血清Na濃度の変化に不均衡であるとき、起こり得る酸-塩基障害にさらなる考察を付与し得る。これが生じるとき、血清Cl濃度の変化は、典型的には血清重炭酸塩の相反的変化に関連する。そのため、正常アニオンギャップを有する代謝性アシドーシスでは、血清重炭酸塩が<22mEq/Lに低下するとき血清Clが>105mEq/Lに増加する。
【0007】
アニオンギャップ[血清Na-(Cl+HCO )として定義される]の計算は、代謝性アシドーシスの診断の重要な態様である。代謝性アシドーシスは、正常または高アニオンギャップを有して呈される場合がある。しかし、高アニオンギャップは、血清HCO の変化に関わらず、代謝性アシドーシスの存在を一般的に示す。20mEq/L超のアニオンギャップ(正常アニオンギャップは8~12mEq/Lである)は、代謝性アシドーシスの典型的な特徴である。
【0008】
動脈血ガスは、酸-塩基障害のタイプを同定し、混合性異常が存在するかを決定するのに使用される。一般に、動脈血ガス測定の結果は、病歴、理学的検査及び上記に列挙した常套の検査データに適合されなければならない。動脈血ガスは、動脈二酸化炭素圧(PCO)、酸性度(pH)、及び酸素圧(P)を測定する。HCO 濃度は、pH及びPaCOから計算される。代謝性アシドーシスの特徴は、pH<7.35、PCO<35mmHg及びHCO <22mEq/Lである。Pの値(正常80~95mmHg)は、代謝性アシドーシスの診断には使用されないが、原因を決定する際に助けとなり得る。酸-塩基異常は、呼吸性または代謝性としてまず分類される。呼吸性異常は、COの異常な肺排出を原因とし、細胞外液におけるCO(二酸化炭素)の過剰(アシドーシス)または欠乏(アルカローシス)を生じる。呼吸性酸-塩基障害においては、血清重炭酸塩(HCO )の変化が、Pcoの変化の最初の直接的結果であり、Pcoの大幅な増加により、結果としてHCO の増加を生じさせる。(Adrogue HJ,Madias NE,2003,Respiratory acidosis,respiratory alkalosis,and mixed disorders,in Johnson RJ,Feehally J(eds):Comprehensive Clinical Nephrology.London,CV Mosby,167-182頁)。代謝性異常は、細胞外液における揮発性酸または塩基の過剰な取り込み、または代謝性産生もしくは喪失を原因とする。これらの変化は、血中の重炭酸塩アニオン(HCO )の濃度の変化によって反映され;この場合における適応は、緩衝化(即時型)、呼吸器(数時間~数日)及び腎臓(数日)メカニズムの両方を含む。(DuBose TD、MacDonald GA:renal tubular acidosis,2002,in DuBose TD,Hamm LL(eds):Acid-base and electrolyte disorders:A companion to Brenners and Rector’s the Kidney,Philadelphia,WB Saunders,189-206頁)。
【0009】
血中の全水素イオン濃度は、2つの量:血清HCO 含量(腎臓によって調節される)及びPCO含量(肺によって調節される);の比によって定義され、以下のように表される:
【数1】
【0010】
全水素イオン濃度の増加の結果は、主な細胞外緩衝液である重炭酸塩の減少である。正常な血液pHは、7.38と7.42との間であり、42~38nmol/Lの水素イオン(H)濃度に相当する(Goldberg M:Approach to Acid-Base Disorders.2005.In Greenberg A,Cheung AK(eds) Primer on Kidney Diseases,National Kidney Foundation,Philadelphia,Elsevier-Saunders,pp.104-109)。重炭酸塩(HCO )は、体内のpH異常に対して緩衝するように作用するアニオンであり、血漿重炭酸塩の正常レベルは22~26mEq/Lの範囲である(Szerlip HM:Metabolic acidosis,2005,in Greenberg A,Cheung AK(eds) Primer on Kidney Diseases、National Kidney Foundation,Philadelphia,Elsevier-Saunders,pp.74-89)。アシドーシスは、血液pHの低下(酸血症)を引き起こし、水素イオン(H)の蓄積を反映し、重炭酸塩イオン(HCO )によるその結果的な緩衝化が血清重炭酸塩の減少を結果として生じさせる過程である。代謝性アシドーシスは、次のように表され得る:
【数2】
(Clinicalpractice guidelines for nutrition in chronic renal failure.K/DOQI,National Kidney Foundation.Am.J.Kidney Dis.2000;35:S1-140)。この平衡方程式を使用すると、1つのHCO の喪失は、1つのHの付加と等価であり、逆に、1つのHCO の獲得は、1つのHの喪失と等価である。このため、血液pHの変化、特にHの増加(pHの低下、アシドーシス)は、血清HCO の増加により、または、等価には、血清Hの減少により補正され得る。
【0011】
細胞外pHを正常範囲に維持するためには、日々産生される酸が体から排泄されなければならない。体内での酸の産生は、食物の炭水化物、脂肪及びアミノ酸の代謝の結果である。これらの代謝基質の完全な酸化は、水及びCOを生成する。この酸化によって生じる二酸化炭素(約20,000mmol/日)は、肺によって効率的に吐き出され、酸塩基平衡の揮発性酸成分を表す。
【0012】
対照的に、揮発性酸(約50~100mEq/日)は、含硫アミノ酸及びリン酸含有アミノ酸ならびに核酸の代謝によって産生される。さらなる不揮発性酸(乳酸、酪酸、酢酸、他の有機酸)は、脂肪及び炭水化物の不完全な酸化から、ならびに腸管に内在する細菌が基質を小さい有機酸に変換し、これが血流内に吸収される、結腸での炭水化物の代謝から生じる。アシドーシスに対する短鎖脂肪酸の影響は、例えば長鎖脂肪酸への同化作用、または水及びCOへの異化作用によっていくぶん最小化される。
【0013】
腎臓は、2つのメカニズム:濾過HCO を回収して全体の重炭酸塩枯渇を予防すること、及び尿中の不揮発性酸の排出;を通して血中のpH平衡を維持する。いずれのメカニズムも、重炭酸塩枯渇及びアシドーシスを予防するのに必要である。
【0014】
第1のメカニズムにおいて、腎臓は、糸球体によって濾過されるHCO を回収する。この回収は、近位尿細管で起こり、約4500mEq/日の回収HCO を占める。このメカニズムは、HCO が尿において失われることを予防することにより、代謝性アシドーシスを予防する。第2のメカニズムにおいて、腎臓は、タンパク質、脂肪及び炭水化物の代謝及び酸化を通して、日々の不揮発性酸産生に等しい十分なHを排出する。この酸負荷の排出は、Hイオンの能動分泌及びアンモニア産生を含む、腎臓における2つの異なる経路によって達成される。これらの2つの相互に連結する過程の最終結果は、正常代謝によって生じる50~100mEq/日の不揮発性酸の排出である。
【0015】
このように、酸塩基平衡を維持するのに、正常な腎機能が必要とされる。慢性腎疾患の際には、HCO の濾過及び回収が阻害され、アンモニアの生成及び分泌が阻害される。これらの欠乏は、急速に慢性代謝性アシドーシスに至り、これ自体が末期の腎疾患の強力な先行状態である。代謝由来の継続した酸産生を伴う酸排出の減少は、H/HCO 平衡を妨げ、その結果、血液pHがpH=7.38~7.42の正常値を下回るようになる。
【0016】
アルカリ療法による代謝性アシドーシスの治療は、7.20超に血漿pHを上昇させて維持するように通常指示される。重炭酸ナトリウム(NaHCO)は、代謝性アシドーシスを補正するのに最も一般的に使用される剤である。NaHCOは、静脈内投与されて、血清HCO レベルを適切に上昇させ、pHを7.20超に増加させることができる。さらなる補正は、個々の状況に依り、基礎となる過程が治療可能であるまたは患者が無症状性であるときには、示されない場合がある。このことは、ある特定の形態の代謝性アシドーシスに特に当てはまる。例えば、有機酸、乳酸、及びケトンの蓄積に続発する高アニオンギャップ(AG)アシドーシスにおいて、同起源アニオンは、HCO に最終的に代謝される。基礎疾患が治療されるとき、血清pHは補正される;そのため、これらの患者において、アルカリを付与して7.20をはるかに超えるpHに上昇させるときには、正常範囲(>26mEq/L)を超える重炭酸塩の増加を予防するように注意がなされるべきである。
【0017】
クエン酸塩は、肝臓によって代謝され、クエン酸塩各モルにつき3モルの重炭酸塩の形成を結果として生じさせるため、カリウム塩またはナトリウム塩のいずれかとして経口でまたはIVで付与される適切なアルカリ療法である。IVで投与されるクエン酸カリウムは、腎障害の存在下では注意して使用されるべきであり、高カリウム血症を回避するために密にモニタリングされるべきである。
【0018】
静脈内重炭酸ナトリウム(NaHCO)溶液は、代謝性アシドーシスが重篤であるとき、または外因性のアルカリ投与なしに補正が起こりにくいとき、投与され得る。経口アルカリ投与は、慢性代謝性アシドーシスを有する人において好ましい治療方法である。経口治療のための最も一般的なアルカリ形態として、1gのNaHCOが11.9mEqのHCO に等しいNaHCO錠剤がある。しかし、NaHCOの経口形態は、医療用途では承認されておらず、静脈内重炭酸ナトリウム溶液の添付文書には、以下の禁忌、警告及び事前注意が含まれている(NDC0409-3486-16のHospiraラベル):
禁忌:重炭酸ナトリウム注射、USPは、嘔吐によって、または継続的な胃腸吸引に起因して塩化物を失っている患者において、また、低クロール血性アルカローシスを生じることが知られている利尿剤を与えられている患者において禁忌である。
警告:ナトリウムイオンを含有する溶液は、使用するにしても、鬱血性心不全、重度の腎機能不全、及びナトリウム貯留による浮腫が存在する臨床状態の患者においては、高い注意を払って使用されるべきである。腎機能が低下した患者においては、ナトリウムイオンを含有する溶液の投与が、ナトリウム貯留を結果として生じさせる場合がある。これらの溶液の静脈内投与は、流体及び/または溶質過負荷を引き起こし、血清電解質濃度、水分過剰、鬱血状態または肺浮腫を結果として生じさせ得る。
事前注意:[・・・]重炭酸塩によって付与される潜在的に高負荷のナトリウムは、鬱血性心不全または他の浮腫性もしくはナトリウム貯留状態を有する患者において、及び乏尿または無尿の患者においての重炭酸ナトリウムの使用には注意することを必要とする。
【0019】
酸塩基障害は、慢性腎疾患及び心不全患者において一般的である。慢性腎疾患(CKD)は、健常な成人において生じるおよそ1mmol/kg体重の水素イオンの腎排泄を漸進的に阻害する(Yaqoob,MM.2010,Acidosis and progression of chronic kidney disease,Curr.Opin.Nephrol.Hyperten.19:489-492.)。体内での酸(H)の蓄積または塩基(HCO )の枯渇から結果として生じる代謝性アシドーシスは、特に、糸球体濾過量(GFR、腎機能の指標)が30mL/分/1.73m未満に降下するとき、CKDを有する患者の一般的な合併症である。代謝性アシドーシスは、タンパク質及び筋肉代謝、骨代謝回転ならびに腎性骨形成異常症の発症に対して顕著な長期作用を有する。また、代謝性アシドーシスは、種々の傍分泌及び内分泌機能に影響し、さらに長期的な転帰、例えば、炎症性メディエーターの増加、レプチンの減少、インスリン耐性、ならびに副腎皮質ステロイド及び副甲状腺ホルモン産生の増加を伴う(Mitch WE,1997,Influence of metabolic acidosis on nutrition,Am.J.Kidney Dis.29:46-48.)。CKD患者において持続する代謝性アシドーシスの正味の影響は、ホルモン及び細胞異常に起因する、骨及び筋肉量の損失、負の窒素平衡、及び慢性腎不全の加速である(De Brito-Ashurst I,Varagunam M,Raftery MJ,et al,2009,Bicarbonate supplementation slows progression of CKD and improves nutritional status,J.Am.Soc.Nephrol.20:2075-2084)。逆に、CKD患者におけるアルカリ療法による潜在的な懸念事項として、高血圧の発症または増悪、血管石灰化の促進、及び既存の心不全の代償不全を結果として生じさせるナトリウム摂取に関連する細胞外液体積の拡大がある。中程度(正常の20~25%のGFR)のCKD患者は、濾過された重炭酸塩を回収すること、ならびにプロトン及びアンモニウムカチオンを排泄することができないことに起因して、正常アニオンギャップを有する高塩素血症性アシドーシスを最初に発症する。CKDの進行期に進行するにしたがい、アニオンギャップが増加し、非排泄プロトンと結合していたアニオンを排泄する腎臓の能力の継続的な低下を反映する。これらの患者における血清重炭酸塩は、およそ20mmol/Lの最大の高アニオンギャップを有して15mmol/L未満になることは稀である。CKDにおいて蓄積する非代謝性アニオンは、骨からのアルカリ塩によって緩衝される(Lemann J Jr,Bushinsky DA,Hamm LL Bone buffering of acid and base in humans.Am.J.Physiol Renal Physiol.2003 Nov,285(5):F811-32)。
【0020】
慢性腎疾患を有する患者の大部分は、腎機能の悪化に至る、基礎となる糖尿病(糖尿病性腎症)及び高血圧を有する。高血圧を有する患者のほとんど全てにおいて、高ナトリウム摂取が高血圧を悪化させる。したがって、腎臓、心不全、糖尿病及び高血圧のガイドラインは、これらの患者においてナトリウム摂取を1.5gまたは65mEq/日未満まで厳格に制限する(HFSA 2010 guidelines,Lindenfeld 2010,J Cardiac Failure V16 No6 P475)。慢性抗高血圧治療は、多くの場合、ナトリウム排泄を誘発し(利尿剤)、または腎臓がナトリウム及び水を排泄する能力を調節する(例えば、レニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害「RAASi」薬など)。しかし、腎機能が悪化するにしたがい、利尿剤は、尿細管が応答することができないことに起因して、効果が少なくなる。RAASi薬は、腎臓カリウム排泄を阻害するため、命に関わる高カリウム血症を誘発する。さらなるナトリウム負荷を考慮すると、1日の合計推奨ナトリウム摂取をしばしば超えるナトリウム含有塩基量で代謝性アシドーシス患者を慢性的に治療することは合理的な処置ではない。結果として、経口重炭酸ナトリウムは、これらの糖尿病性腎症患者において一般的に慢性的には処方されない。重炭酸カリウムもまた、CKDを有する患者がカリウムを容易に排泄することができず重度の高カリウム血症に至るため、許容されない。
【0021】
これらの欠点にも関わらず、経口重炭酸ナトリウムの役割は、非高血圧のCKD患者の小亜集団において研究されている。Kidney Research National Dialogueの一部として、アルカリ療法は、CKDの進行を遅延し、かつ代謝性アシドーシスを補正する可能性を有するとして明らかにされた。40歳後の糸球体濾過量(GFR)の年間の加齢に伴う低下は、正常な個体において0.75~1.0mL/分/1.73mである。急速な進行のCKD患者において、年間>4mL/分/1.73mの急な低下が見られ得る。
【0022】
1つの転帰研究において、De Brito-Ashurstらは、重炭酸塩の補給がCKDにおいて腎機能を保存することを示した(De Brito-Ashurst I,Varagunam M,Raftery MJ,et al,2009,Bicarbonate supplementation slows progression of CKD and improves nutritional status,J.Am.Soc.Nephrol.20:2075-2084)。該研究は、CKD(クレアチニンクリアランス[CrCl]15~30mL/分/1.73m)及び血清重炭酸塩16~20mmol/Lを有する134の成人患者を、2年間の、経口重炭酸ナトリウムの補給または標準ケアのいずれかに、無作為に割り当てた。この研究における重炭酸塩の平均用量は、22mEqの重炭酸塩/日を付与する、1.82g/日であった。主要エンドポイントは、CrCl低下の速度、急速なCrCl低下(>3mL/分/1.73m/年)を有する患者の割合、及び末期の腎疾患(「ESRD」)(CrCl<10mL/分)であった。対照群と比較して、CrClの低下は、重炭酸塩補給によってより緩やかであった(対照群では5.93mL/分/1.73mの減少に対して重炭酸塩を受けている患者では1.88mL/分/1.73mの減少;P<0.0001)。重炭酸塩を補給された患者は、急速な進行を経験する可能性が有意に低かった(9%対45%;相対リスク0.15;95%信頼区間0.06~0.40;P<0.0001)。同様に、重炭酸塩を補給された少数の患者が、ESRDを発症した(6.5%対33%;相対リスク0.13;95%信頼区間0.04~0.40;P<0.001)。
【0023】
高リン酸塩血症は、CKDを有する患者、特に進行型または末期の腎疾患の患者において一般的な共存症である。塩酸セベラマーは、血清リン酸濃度を減少させる、一般的に使用されているイオン交換樹脂である。しかし、この剤の報告されている欠点として、小腸においてリン酸を結合させる過程におけるHClの正味の吸収に明らかに起因する代謝性アシドーシスがある。血液透析または腹膜透析を受けている、CKD及び高リン酸塩血症を伴う患者におけるいくつかの研究は、塩酸セベラマーの使用による血清重炭酸塩濃度の減少を見出した(Brezina,2004 Kidney Int.V66 S90(2004)S39-S45;Fan,2009 Nephrol Dial Transplant(2009)24:3794)。
【発明の概要】
【0024】
そのため、本発明の種々の態様の中でも、ヒトを含めた動物を治療するための組成物及び方法、ならびにかかる組成物を調製する方法が記述され得る。組成物は、架橋アミンポリマーを含み、例えば、胃腸管からのプロトン及び/または塩化物イオンの除去が生理学的利益を付与する疾患または他の代謝状態を治療するのに使用され得る。例えば、本明細書に記載のポリマーは、ヒトを含めた動物において酸塩基関連疾患を調節するのに使用され得る。1つのかかる実施形態において、本明細書に記載のポリマーは、ヒトを含めた動物において血清重炭酸塩濃度及び血液PHを正常化するのに使用され得る。さらなる例として、本明細書に記載のポリマーは、アシドーシスの治療において使用され得る。この不均衡を説明するいくつかの異なる生理的状態があり、それぞれが、HClに結合してこれを除去するポリマーによって治療され得る。
【0025】
酸の正味の増大から結果として生じる代謝性アシドーシスとして、内在性水素イオン産生を増加させる過程、例えば、ケトアシドーシス、L-乳酸アシドーシス、D-乳酸アシドーシス及びサリチル酸中毒がある。摂取された毒物、例えば、メタノール、エチレングリコール及びパラアルデヒドの代謝もまた、水素イオン濃度を増加させ得る。尿毒症性アシドーシス及び遠位(I型)腎尿細管性アシドーシスにおけるような水素イオンの腎排泄の減少は、代謝性アシドーシスを結果として生じさせる体内の酸の正味の増大の別の原因である。重炭酸塩の損失から結果として生じる代謝性アシドーシスは、近位(II型)腎尿細管性アシドーシスの特徴である。また、急性または慢性下痢における重炭酸塩の胃腸での損失もまた、代謝性アシドーシスを結果として生じさせる。原発性または二次性低アルドステロン症は、高カリウム血症及び代謝性アシドーシスを引き起こす一般的な障害であり、IV型腎尿細管性アシドーシスの分類の根底にある。低レニン性低アルドステロン症は、この障害の最も頻繁に遭遇される変種である。
【0026】
代謝性アシドーシスを説明する別の手段は、アニオンギャップの観点からである。高アニオンギャップアシドーシスの原因として、糖尿病性ケトアシドーシス、L-乳酸アシドーシス、D-乳酸アシドーシス、アルコール性ケトアシドーシス、飢餓性ケトアシドーシス、進行型腎不全(CKDステージ4~5)に関連する尿毒症性アシドーシス、サリチル酸中毒、ならびにメタノール、エチレン、プロピレングリコール及びパラアルデヒドを含めた摂取に起因する選択された毒素暴露がある。典型的なアニオンギャップアシドーシスの原因として、早期腎不全(CKDステージ1~3)、急性または慢性下痢に起因する重炭酸塩の胃腸での損失、遠位(I型)腎尿細管性アシドーシス、近位(II型)腎尿細管性アシドーシス、IV型腎尿細管性アシドーシス、多量の静脈内流体投与に関連する希釈性アシドーシス、及び尿で損失されるケトンから結果として生じる糖尿病性ケトアシドーシスの治療がある。
【0027】
乳酸アシドーシスに関して、低酸素性乳酸アシドーシスは、酸素平衡と酸素供給との間の不均衡から結果として生じ、組織虚血、発作、激しい運動、ショック、心停止、低心拍出量及び鬱血性心不全、重度の貧血、重度の低酸素症及び一酸化炭素中毒、ビタミン欠乏ならびに敗血症に関連する。他のタイプの乳酸アシドーシスにおいて、酸素送達は正常であるが、多くの場合、細胞ミトコンドリア欠損の結果、酸化性リン酸化は阻害される。このことは、代謝の先天性異常において、または薬物もしくは毒物の摂取から一般的に見られる。経管栄養に、または手術の際の洗浄薬に使用される代替の糖(例えば、フルクトース、ソルビトール)もまた、乳酸アシドーシスを誘発する代謝を結果として生じさせ得る。
【0028】
腎尿細管性アシドーシスには3つの主な分類があり、それぞれ、いくつかのサブタイプを有する別個の病因を有する。遠位(I型)腎尿細管性アシドーシスは、遺伝性及びゲノム変化、特に、HCO /Cl交換体(AE1)またはH/ATPaseにおける変異によって引き起こされ得る。後天性遠位(I型)腎尿細管性アシドーシスの例として、副甲状腺機能亢進、シェーグレン症候群、海綿腎、クリオグロブリン血症、全身性エリテマトーデス、腎臓移植片拒絶、慢性尿細管間質性疾患、ならびにアンホテリシンB、リチウム、イホスファミド、フォスカーネット、トルエン及びバナジウムを含めた種々の薬物への暴露が挙げられる。高カリウム血症を伴う遠位(IV型)腎尿細管性アシドーシスの特殊分類は、ループス腎炎、閉塞性腎症、鎌状赤血球貧血、及び電位欠損に見出される。遺伝性の例として、偽低アルドステロン症I型及び偽低アルドステロン症II型(ゴードン病)が挙げられ、ある特定の薬物(アミロライド、トリアムテレン、トリメトプリム、及びペンタミジン)への暴露もまた、高カリウム血症を伴う遠位(IV型)腎尿細管性アシドーシスを結果として生じさせ得る。近位(II型)腎尿細管性アシドーシスは、遺伝的または後天的原因によって引き起こされ得る。遺伝的原因として、ウィルソン病及びロウ症候群がある。後天的原因として、シスチン症、ガラクトース血症、多発性骨髄腫、軽鎖疾患、アミロイドーシス、ビタミンD欠乏、鉛及び水銀摂取、ならびにイホスファミド、シドフォビル、アミノグリコシド、及びアセタゾラミドを含めたある特定の薬物に対する暴露がある。重炭酸塩再吸収における単独欠損もまた、近位(II型)腎尿細管性アシドーシスの原因であり得;かかる欠損の例として、炭酸脱水酵素阻害剤、アセタゾラミド、トピラメート、スルファミロンへの暴露、及び炭酸脱水酵素欠乏が挙げられる。近位及び遠位腎尿細管性アシドーシス(III型)の合併は、一般的でなく、近位重炭酸塩再吸収及び遠位プロトン分泌の両方における欠損から結果として生じる。シストリック炭酸脱水酵素の遺伝子における変異、ならびにイホスファミドを含むある特定の薬物は、欠損を引き起こし得る。高カリウム血症を伴うIV型腎尿細管性アシドーシスは、代謝性アシドーシスの原因である。このタイプのアシドーシスの背景にある主な病因は、アルドステロン欠乏であり;低アルドステロン症は、原発性副腎不全、高齢の個体において一般的に見られる低レニン性低アルドステロン症(IV型RTA)の症候群、アジソン病、及び鉱質コルチコイド耐性に起因する偽低アルドステロン症I型から結果として生じる。鎮痛薬性腎症、慢性腎盂腎炎、閉塞性腎症及び鎌状赤血球疾患に起因する慢性間質性腎炎もまた、高カリウム血症を伴うアシドーシスを作り出し得る。最終的に、薬物、例えば、アミロライド、スピロノラクトン、トリアムテレン、トリメトプリム、ヘパリン治療、NSAID、アンギオテンシン受容体ブロッカー及びアンギオテンシン-変換酵素阻害剤は、高カリウム血症に付随する代謝性アシドーシスを誘発し得る。
【0029】
代謝性アシドーシスの上記の原因及び病因は、全てが、胃腸管においてHClに結合して除去するように設計されているポリマーによって治療可能である。
【0030】
治療の方法は、動物、例えば、ヒトの胃腸管からプロトン及び塩化物イオンを除去する能力を有する治療有効量の架橋アミンポリマーを投与することを一般に含む。一般に、かかる架橋アミンポリマーは、有利な特徴、例えば、比較的低い膨潤、比較的高いプロトン及び塩化物イオン結合、ならびに/または干渉アニオン、例えば、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、短鎖脂肪酸及び胆汁酸の比較的低い結合を有し得る。
【0031】
一般に、ポリマーは、一旦プロトン化されたら、例えば、上記に列挙されている他の「干渉」アニオンよりもむしろ対イオンとして塩化物に結合することが好ましい、なぜなら、これらの干渉アニオンは、治療の必要な患者において、重炭酸塩と代謝的に等価である場合があるからである。本開示のアミンポリマーに結合することを通して体からプロトンと併せて塩化物を除去することは、アルカリ化効果を有するが、干渉アニオンを除去することは、アルカリ化効果をほとんどまたは全く有さない場合がある。
【0032】
ある特定の実施形態において、ポリマーは、好ましくは、胃腸(GI)腔に沿って見られる生理学的状態でプロトン及びアニオンに結合し、また、これらに結合する能力を維持する。これらの状態は、食物の摂取(例えば、Fordtran J,Locklear T.Ionic constituents and osmolality of gastric and small-intestinal fluids after eating.Digest Dis Sci.1966;11(7):503-21を参照されたい)及びGI管に沿った箇所(Binder,H et al.Chapters 41-45 in“Medical Physiology”,2nd Edition,Elsevier[2011].Boron and Boulpaep[Ed.])にしたがって変化し得る。胃及び小腸におけるプロトン及び塩化物の急速な結合が望ましい。GI管より後(下部小腸及び大腸)において塩化物結合レベル及び選択性が高いこともまた望ましい。一般に、ポリマーはまた、アミンの大部分が、GI管に沿って遭遇される種々のpH及び電解質条件下でプロトン化されることにより、体から便内に、適切な対アニオン(好ましくは塩化物)と併せて、プロトンを除去することが可能であるようなpKを好ましくは有する。
【0033】
胃は豊富なHCl源であり、また、胃は、(口腔の後の)可能性のある第1のHCl結合部位であるため、さらに、胃での保持時間が、残りのGI管(およそ4時間の小腸通過時間;2~3日の全消化管通過時間;Read,NW et al.Gastroenterology[1980]79:1276)と比較して短い(およそ90分の胃保持半減期)ため、本開示のポリマーについて、この器官の腔において、ならびに胃腔を模倣するように設計されたインビトロ条件において(例えば、SGF)、プロトン及び塩化物結合の急速な反応速度を実証することが望ましい。リン酸塩は、リン酸塩が最も吸収される胃及び小腸における塩化物結合のための可能性のある干渉アニオンである(Cross,HS et al Miner Electrolyte Metab[1990]16:115-24)。そのため、リン酸塩を超える塩化物の急速かつ優先的な結合が、小腸において、及び小腸腔を模倣するように設計されたインビトロ条件において(例えば、SIB)望ましい。結腸の通過時間が小腸と比較して遅い(2~3日)ため、また、結腸の条件では、胃及び小腸条件に遭遇した後まで経口投与されたポリマーに遭遇されないため、本開示のポリマーによる塩化物結合の反応速度は、結腸においてまたは後部の小腸/結腸を模倣するように設計されたインビトロ条件において(例えば、SOB)急速であるとする必要はない。しかし、他の干渉アニオンを超える塩化物結合及び選択性は、高い、例えば、24及び/または48時間以上であることが重要である。
【0034】
一実施形態において、架橋アミンポリマーは、架橋アミンポリマーと、任意選択的に、薬学的に許容可能な担体、希釈剤もしくは賦形剤、またはインビボで架橋アミンポリマーのプロトン及び/もしくは塩化物の結合特性に有意に干渉しないこれらの組み合わせとを含む医薬組成物として投与される。任意選択的に、医薬組成物は、さらなる治療剤をも含んでいてもよい。
【0035】
本開示のさらなる態様は、医薬組成物として投与され得る架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスである。上記プロセスは、プリフォームアミンポリマーを、プリフォームアミンポリマーと、プリフォームアミンポリマーのための溶媒、架橋剤、及び膨潤剤とを含有する反応混合物において架橋することを含む。膨潤剤は、溶媒と非混和性であることが好ましく、プリフォームアミンポリマーは、膨潤剤に対する吸収能を有し、反応混合物における膨潤剤の量は、膨潤剤に対するプリフォームアミンポリマーの吸収能より少ない。
【0036】
本開示のさらなる態様は、医薬組成物として投与され得る架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスである。上記プロセスは、プリフォームアミンポリマーを、プリフォームアミンポリマー、溶媒、及び架橋剤を含有する反応混合物において架橋して、架橋アミンポリマーを形成することを含む。架橋ステップの前に、プリフォームアミンポリマーが、第1量の塩化物及び競合アニオン(例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩)に結合し、架橋ステップの後に、架橋アミンポリマーが、適切なアッセイ(例えば、SIBまたはSOB)において第2(異なる)量の塩化物及び競合アニオン(例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩)に結合する。例えば、1つのかかる実施形態において、結合している第2量の競合アニオン(例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩)は、第1量の競合アニオンよりも相対的に少ない。
【0037】
アミンモノマーは、プロトン化形態を介してラジカル重合において典型的には重合される、なぜなら、遊離アミンが、連鎖的転位反応を誘発して、多くの場合、重合の程度を低分子量に制限するからである。静電反発力の限界を超えて架橋して、架橋粒子内で架橋度を達成するために、2つの別個の重合/架橋ステップが、本開示の一態様にしたがって実施される。第1ステップにおいて、プリフォームアミンポリマーが調製される。プリフォームアミンポリマーは、脱プロトン化され、第2の重合/架橋ステップにおいてさらに架橋されて、重合後の架橋ポリマーを形成する。有利には、主な架橋反応は、第1ステップにおいて炭素原子間である(すなわち、炭素-炭素架橋)一方で、第2ステップにおいて、架橋は、主として、プリフォームアミンポリマーに含まれるアミン部位間である。
【0038】
本開示のさらなる態様は、2つの別個の重合/架橋ステップを含む、架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスである。第1ステップにおいて、人工胃液(「SGF」)における少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有するプリフォームアミンポリマーが形成される。第2ステップにおいて、プリフォームアミンポリマーは、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋されて、重合後の架橋アミンポリマーを形成する。得られる重合後の架橋アミンポリマーは、適切なアッセイ(例えば、SIBまたはSOB)における競合アニオン(例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩)に関する結合能が、同じ適切なアッセイ(例えば、SIBまたはSOB)における競合アニオン(例えば、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩)に関してのプリフォームポリマーの結合能より低い。一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、3~8の範囲の膨潤比を有する。1つのかかる実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、4~6の範囲の膨潤比を有する。
【0039】
本開示のさらなる態様は、2つの別個の架橋ステップを含む、架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスである。第1架橋ステップにおいて、プリフォームアミンポリマーが形成され、プリフォームアミンポリマーは、人工胃液(「SGF」)における少なくとも10mmol/gの塩化物結合能、2~10の範囲の膨潤比及び少なくとも80ミクロンの平均粒径を有する。プリフォームアミンポリマーは、塩基によって(少なくとも部分的に)脱プロトン化され、第2ステップにおいて、脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーは、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋されて、重合後の架橋アミンポリマーを形成する。一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、3~8の範囲の膨潤比を有する。1つのかかる実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、4~6の範囲の膨潤比を有する。
【0040】
本開示のさらなる態様は、2つの別個の重合/架橋ステップを含む、架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスである。第1ステップにおいて、人工胃液(「SGF」)における少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有するプリフォームアミンポリマーが形成される。プリフォームアミンポリマーは、塩基によって(少なくとも部分的に)脱プロトン化され、膨潤剤と接触して、脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーを膨潤する。第2ステップにおいて、膨潤化脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーは、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋されて、重合後の架橋アミンポリマーを形成する。一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、3~8の範囲の膨潤比を有する。1つのかかる実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、4~6の範囲の膨潤比を有する。
【0041】
本開示のさらなる態様は、架橋アミンポリマーと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物である。架橋アミンポリマーは、例えば、段落[0035]、[0036]、[0037]、[0038]、[0039]、または[0040]に記載されているように調製されてよい。
【0042】
本開示のさらなる態様は、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。一実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4.5、5、5.5、またはさらに少なくとも6mmol/gの塩化物イオン結合能を有する。
【0043】
本開示のさらなる態様は、それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。一実施形態において、架橋アミンポリマーは、それぞれ少なくとも2.5:1、3:1、3.5:1、またはさらに4:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比を有する。
【0044】
本開示のさらなる態様は、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも1mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.4mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも1.5mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.6mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。別のかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも2.0mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.8mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも2.5mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて1.0mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも3.0mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて1.3mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも3.5mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて1.5mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4.0mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて1.7mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4.5mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて1.9mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも5.0mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて2.1mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する。上記実施形態の各々において、架橋アミンポリマーは、それぞれ少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、またはさらに少なくとも4の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有していてよい。
【0045】
本開示のさらなる態様は、それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比、及び5未満の膨潤比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。例えば、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、それぞれ少なくとも2.3:1、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、またはさらに少なくとも4の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比、及び5未満、4未満、3未満、2未満、1.5未満、またはさらには1未満の膨潤比を有していてよい。
【0046】
本開示のさらなる態様は、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において最初に結合された(すなわち、SGF結合ステップの際に結合された)塩化物の少なくとも30%の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%の保持塩化物含量を有する。
【0047】
本開示のさらなる態様は、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する。
【0048】
本開示のさらなる態様は、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量、及びGICTAにおいて最初に結合された(すなわち、SGF結合ステップの際に結合された)塩化物の少なくとも30%の、GICTA終了時の塩化物保持率を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%の保持塩化物含量、及びGIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する。
【0049】
本開示のさらなる態様は、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、またはさらに少なくとも14mmol/gの塩化物イオン結合能を有する。
【0050】
本開示のさらなる態様は、24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する。
【0051】
本開示のさらなる態様は、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、またはさらに少なくとも14mmol/gの塩化物イオン結合能を有し、架橋アミンポリマーは、24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する。
【0052】
本開示のさらなる態様は、少なくとも2.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する。
【0053】
本開示のさらなる態様は、少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、2時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能、及び少なくとも2.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、またはさらに少なくとも3mmolの塩化物/ポリマー(g)の、2時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能、及び少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する。
【0054】
本開示のさらなる態様は、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、またはさらに少なくとも4mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する。
【0055】
本開示のさらなる態様は、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーと、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において24時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、またはさらに少なくとも4mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有し、架橋アミンポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において24時間で少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、またはさらに少なくとも4mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有している。
【0056】
本開示のさらなる態様は、少なくとも5.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、少なくとも6mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する。
【0057】
本開示のさらなる態様は、段落[0038]~[0056]のいずれかに記載されている架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、架橋アミンポリマーが、少なくとも6(100mM NaClにおいて測定、平衡において)のpKaを有する、上記医薬組成物である。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、少なくとも6.5、少なくとも7、またはさらに少なくとも7.5(100mM NaClにおいて測定、平衡において)のpKaを有する。
【0058】
本開示のさらなる態様は、(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0059】
本開示のさらなる態様は、(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0060】
本開示のさらなる態様は、(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも(i)2mmol/g、(ii)2.5mmol/g、または(iii)3mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0061】
本開示のさらなる態様は、(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)においてそれぞれ少なくとも2.3:1の塩化物対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0062】
本開示のさらなる態様は、(i)人工胃液において1時間で少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能、ならびに(ii)人工胃液において少なくとも(a)8mmol/g、(b)10mmol/g、(c)12mmol/g、または(d)14mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0063】
本開示のさらなる態様は、人工胃液における24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくともX%である、人工胃液における1時間でのプロトン結合能及び塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、X%が、少なくとも(i)50%、(ii)60%、(iii)70%、(iv)80%、またはさらに(v)90%である、上記医薬組成物である。
【0064】
本開示のさらなる態様は、(i)人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性、ならびに(ii)少なくとも4mmol/gの、SOBにおける24時間での塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0065】
本開示のさらなる態様は、(i)1時間、(ii)4時間、(iii)12時間、(iv)18時間、(v)24時間、(vi)30時間、(vii)36時間、またはさらに(viii)48時間で人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超えて塩化物に関する選択性を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0066】
本開示のさらなる態様は、(i)1時間、(ii)2時間、(iii)3時間、(iv)4時間、及び/または(v)4時間超で人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物である。
【0067】
他の態様及び特徴は、一部が明らかであり、一部が以下に挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1A】経口摂取/胃(図1A)から、上部GI管(図1B)、下部GI管/結腸(図1C)へと個体の胃腸管を通過するときのポリマーの作用のメカニズムを模式的に示すフローチャートである。
図1B】経口摂取/胃(図1A)から、上部GI管(図1B)、下部GI管/結腸(図1C)へと個体の胃腸管を通過するときのポリマーの作用のメカニズムを模式的に示すフローチャートである。
図1C】経口摂取/胃(図1A)から、上部GI管(図1B)、下部GI管/結腸(図1C)へと個体の胃腸管を通過するときのポリマーの作用のメカニズムを模式的に示すフローチャートである。
図2】実施例においてより完全に記載されている異なるpHレベルでの(例019067-A2)による平衡塩化物結合のプロットである。
図3】溶媒分散ステップ2反応における凝集の欠失を、実施例においてより完全に記載されている非分散型のステップ2反応における凝集と比較して実証している粒子状アミンポリマーの一連の写真である。
図4】本開示の一実施形態による第1重合/架橋ステップにおいて使用される架橋剤の量に対するプリフォームアミンポリマーの膨潤のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
略称及び定義
以下の定義及び方法は、本発明をより良好に定義するため、及び本発明の実施において当業者をガイドするために提供される。別途記述されていない限り、用語は、当業者による常套の用法にしたがって理解されるべきである。
【0070】
用語「吸収能」は、ポリマー及び膨潤剤(または膨潤剤の混合物の場合には、該膨潤剤の混合物)と併せて本明細書において使用されているとき、過剰量の膨潤剤(またはかかる混合物)に浸漬される所与の量の乾燥ポリマー(例えば、乾燥ビーズの形態)によって室温で少なくとも16時間の期間で吸収される膨潤剤(またはかかる混合物)の量である。
【0071】
用語「アクリルアミド」は、構造式HC=CH-C(O)NR-を有する部位;式中、は、分子の残部への部位の結合点を表し、Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである;を表す。
【0072】
用語「アクリル酸」は、構造式HC=CH-C(O)O-を有する部位;式中、は、分子の残部への部位の結合点を表す;を示す。
【0073】
用語「脂環式」、「アリシクロ」または「アリシクリル」は、3~8個の炭素原子の飽和単環式基を意味し、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。
【0074】
用語「脂肪族」は、例えば、1~約20個の炭素原子、または、具体的な実施形態において、1~約12個の炭素原子、1~約10個の炭素原子、1~約8個の炭素原子、またはさらに1~約4個の炭素原子を有する飽和及び非芳香族不飽和ヒドロカルビル部位を示す。脂肪族基として、例えば、アルキル部位、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシルなど、及び同等の鎖長のアルケニル部位が挙げられる。
【0075】
用語「アルカノール」は、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されているアルキル部位を示す。いくつかの実施形態において、アルカノール基は、1~6個の炭素原子を含み、それぞれが酸素原子に結合している、「低級アルカノール」である。他の実施形態において、低級アルカノール基は、1~3個の炭素原子を含む。
【0076】
用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖状または分岐状の炭素ラジカルを包含する。用語「アルケニル基」は、共役及び非共役炭素-炭素二重結合、またはこれらの組み合わせを包含し得る。アルケニル基は、例えば、限定されることなく、2~約20個の炭素原子、または特定の実施形態において、2~約12個の炭素原子を包含し得る。ある特定の実施形態において、アルケニル基は、2~約4個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例として、限定されないが、エチニル、プロペニル、アリル、ビニル、ブテニル及び4-メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル基」及び「低級アルケニル基」は、「シス」もしくは「トランス」配向、または代替的には、「E」もしくは「Z」配向を有する基を包含する。
【0077】
用語「アルキル基」は、単独でまたは他の用語内でのいずれかで使用されているとき、例えば、「ハロアルキル基」、「アミノアルキル基」、及び「アルキルアミノ基」は、例えば、1~約20個の炭素原子、または、具体的な実施形態において、1~約12個の炭素原子を有する飽和の直鎖状または分岐状の炭素ラジカルを包含する。他の実施形態において、アルキル基は、1~約6個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。かかる基の例として、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシルなどが挙げられる。より具体的な実施形態において、低級アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する。
【0078】
用語「アルキルアミノ基」は、アミノ基の窒素原子を介して分子の残りに直接結合しているアミノ基を称し、アルキルアミノ基の窒素原子は、1または2個のアルキル基によって置換されている。いくつかの実施形態において、アルキルアミノ基は、窒素原子に結合した、1~6個の炭素原子の1または2個のアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」基である。他の実施形態において、低級アルキルアミノ基は、1~3個の炭素原子を有する。好適な「アルキルアミノ」基は、モノまたはジアルキルアミノ、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、ペンタメチレンアミンなどであってよい。
【0079】
用語「アリル」は、構造式HC=CH-CHを有する部位:式中、は、分子の残部への部位の結合点を表し、結合点は、ヘテロ原子または芳香族部位に対するものである;を示す。
【0080】
用語「アリルアミン」は、構造式HC=CH-CHN(X)(X)を有する部位:式中、X及びXは、独立して、水素、ヒドロカルビル、もしくは置換ヒドロカルビルであり、またはX及びXは、一緒になって、置換または非置換の脂環式、アリール、もしくは複素環式部位を形成し、それぞれ、かかる用語に関連して定義されているように、環に3~8個の原子を典型的には有している;を示す。
【0081】
用語「アミン」または「アミノ」は、単独でまたは別の基の一部として使用されているとき、式-N(X)(X)の基:式中、X及びXは、独立して、水素、ヒドロカルビル、もしくは置換ヒドロカルビル、ヘテロアリール、またはヘテロ環状であり、またはX及びXは、一緒になって、置換または非置換の脂環式、アリール、もしくは複素環式部位を形成し、それぞれ、かかる用語に関連して定義されているように、環に3~8個の原子を典型的には有している;を示す。
【0082】
用語「アミノアルキル基」は、1~約10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を包含し、そのうちいずれか1つが、アミン基(複数可)の窒素原子以外の原子を介して分子の残りに直接結合している1個以上のアミノ基によって置換されていてよい。いくつかの実施形態において、アミノアルキル基は、1~6個の炭素原子及び1個以上のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。かかる基の例として、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル及びアミノヘキシルが挙げられる。
【0083】
用語「芳香族基」または「アリール基」は、1個以上の環を有する芳香族基であって、かかる環が、ペンダント状に一緒に結合していても、縮合していてもよい上記芳香族基を意味する。特定の実施形態において、芳香族基は、1、2または3個の環である。単環式芳香族基は、5~10個の炭素原子、典型的には5~7個の炭素原子、より典型的には5~6個の炭素原子を環において含有していてよい。典型的な多環式芳香族基は、2または3個の環を有する。2個の環を有する多環式芳香族基は、典型的には8~12個の炭素原子、好ましくは8~10個の炭素原子を環において有する。芳香族基の例として、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが挙げられる。
【0084】
用語「ビーズ」は、形状が実質的に球形である架橋ポリマーを記載するのに使用される。
【0085】
用語「結合」は、ポリマー及び1以上のイオン、すなわち、カチオン(例えば、「プロトン-結合」ポリマー)及びアニオンと併せて本明細書において使用されているとき、「イオン結合」ポリマーであり、かつ/または、それがイオンと会合しているとき、一般に必ずしも非共有結合方式ではないが、ポリマーが溶液または体からのイオンの除去を行うのに十分な時間にわたって使用されるインビトロまたはインビボ条件下でイオンの少なくも一部が結合したままである十分な会合強度を有している。
【0086】
用語「架橋剤」は、単独でまたは他の用語内でのいずれかで使用されているとき、上記のモノマーのいずれか、または式1に記載されている無限のポリマーネットワークと1回を超えて反応することが可能である、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル、直鎖状または分岐状の分子を包含する。架橋剤における反応性基として、限定されないが、アルキルハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及び誘導体、スルホネート及び誘導体、アシルハライド、アジリジン、アルファ、ベータ-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、ペンタフルオロアリール基、ビニル、アリル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルならびにこれらの組み合わせを挙げることができる。1つの例示的な実施形態において、架橋剤の反応性基として、アルキルハライド、エポキシド、無水物、イソシアネート、アリル、ビニル、アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。1つのかかる実施形態において、架橋剤の反応性基は、アルキルハライド、エポキシド、またはアリルである。
【0087】
用語「ジアリルアミン」は、2個のアリル基を有するアミノ部位を示す。
【0088】
用語「乾燥ビーズ」、及び「乾燥ポリマー」は、5重量%以下の非ポリマー膨潤剤または溶媒を含有するビーズまたはポリマーを称する。多くの場合、膨潤剤/溶媒は、精製の終了時に残存する水である。これは、プリフォームアミンポリマーの保存またはさらなる架橋の前に凍結乾燥またはオーブン乾燥によって一般に除去される。膨潤剤/溶媒の量は、加熱(例えば、100~200℃に加熱)及び結果として生じる重量変化によって測定され得る。これは、「乾燥減量」または「LOD」と称される。
【0089】
用語「エーテル」は、構造式-HC-O-CH;式中、は、部位の残部への結合点を表し、xは、独立して、0、1、2、または3に等しい;として示される2個の別個の炭素原子に結合した酸素を有する部位を表す。
【0090】
用語「ゲル」は、不規則な形状を有する架橋ポリマーを記載するのに使用される。
【0091】
用語「GIコンパートメント通過アッセイ」または「GICTA」は、遊離アミンセベラマー及びビキサロマー対照を含めた遊離アミン試験ポリマーを、ポリマーがヒトGI管を通過しつつ暴露される異なる条件をシミュレートする異なる緩衝液に逐次的に暴露するアッセイを表す。これらの異なる条件におけるインキュベーション時間は、GI管の特定のセクションを通るポリマーのおおよその通過時間を表すのに選択される。「GICTA」における第1ステップは、ポリマーを2.5mg/mLのポリマー濃度でSGF緩衝液においてインキュベートする「人工胃液(SGF)」アッセイを実施するためのものである。SGFの組成は、絶食中の胃における典型的なイオン濃度を反映している(いずれかに記載されている)。ポリマーを、20マイクロメータ孔サイズフリットを備えた固相抽出(SPE)チューブにおいて37℃で1時間インキュベートする。「GICTA」スクリーニング全体を通して、ポリマーを含まないSGF緩衝液を含有するブランクSPEチューブを含んでおり、同一の方法で処理する。400マイクロリットルのサンプルを除去し、濾過し、必要に応じて希釈し、イオンクロマトグラフィを使用して塩化物含量についてアッセイする。試験した各ポリマーについて、塩化物結合は、以下の式を使用して計算される。
(Cl開始-Cl平衡)×4/2.5
結合能が塩化物(mmol)/ポリマー(g)として表される:式中、Cl開始は、SGF緩衝液中の塩化物の開始濃度(mM)に相当し、Cl平衡は、試験ポリマーに1時間暴露した後の、希釈された測定濾液中の塩化物の平衡値(mM)に相当し、4は、希釈係数であり、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。SPEチューブをDI水によってさらに2回濯ぎ、過剰の液体を、底部において負圧を適用することによって除去する。次いで、人工小腸有機及び無機緩衝液(SOB)緩衝液をチューブに添加し、2.5mg/mLのポリマー濃度を達成する(SGF結合ステップにおいてイオンクロマトグラフィ分析のための上清をサンプリングするが、ポリマーの損失はないものとする)。SOB緩衝液中の可能性のある競合アニオンの濃度は、小腸に存在する流体の典型的な濃度を反映している(いずれかに記載されている)。ポリマーを37℃で2時間この緩衝液中でインキュベートする。400マイクロリットルのサンプルを除去し、濾過し、必要に応じて希釈し、イオンクロマトグラフィを使用してこの緩衝液中での結合または脱離したイオンについてアッセイする。試験した各ポリマーについて、また、SOB緩衝液に存在する各アニオンについて、結合を、ポリマーのグラム当たりの結合アニオン(mmol)として計算する。
結合イオン/脱離イオン(mmol/g)=([イオン]開始-[イオン]最終)×[希釈係数]/2.5
式中、[イオン]開始は、SOB緩衝液中のイオンの開始濃度(mM)に相当し、[イオン]最終は、試験ポリマーに暴露後の測定濾液中での当該特定のイオンの最終値(mM)に相当し、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。次いで、過剰のSOB緩衝液をチューブの底部において負圧を適用することによって除去し、チューブをDI水によってさらに2回濯ぎ、過剰の液体を、底部において負圧を適用することによって除去する。次いで、「保持緩衝液」をチューブに添加し、2.5mg/mLのポリマー濃度を達成する(SGF及びSOB結合ステップにおいてイオンクロマトグラフィ分析のための上清をサンプリングするが、ポリマーの損失はないものとする)。保持緩衝液は、pH7に調整した、50mM N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、100mM酢酸ナトリウム、2mMリン酸ナトリウム、3mM硫酸ナトリウム、17mM塩化ナトリウム及び30mM重炭酸ナトリウムを含む。保持緩衝液におけるアニオン組成は、典型的な後部腸管濃度を表す(Wrong,O et al.[1965] Clinical Science 28,357-375)。SPEチューブに蓋をし、密封し、37℃において、ヒト大腸での典型的な通過時間であるおよそ40時間インキュベートする(Metcalf,AM et al.Gastroenterology[1987] 92:40-47)。400マイクロリットルのサンプルを除去し、濾過し、必要に応じて希釈し、SOBに関する上記のアニオン含量についてアッセイする。試験した各ポリマーについて、保持マトリクス中のポリマーに結合または該ポリマーから脱離したイオンを、以下の計算を使用して計算する。
結合イオン/脱離イオン(mmol/g)=([イオン]開始-[イオン]最終)×[希釈係数]/2.5
式中、[イオン]開始は、保持緩衝液(mM)中のイオンの開始濃度に相当し、[イオン]最終は、試験ポリマー(mM)に40時間暴露後の測定濾液中での当該特定のイオンの最終値(mM)に相当し、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。過剰の保持マトリクスを、SPEチューブの底部において負圧を適用することによって除去する。チューブをDI水によってさらに2回濯ぎ、過剰の液体を、底部において負圧を適用することによって除去する。ポリマーに結合したままの状態のイオンを、0.2M NaOHをSPEチューブに添加することによって溶出し、2.5mg/mLの最終のポリマー濃度を達成し(先の3つの結合ステップにおいてポリマーの損失はないものとする)、37℃で16~20時間インキュベートする。600マイクロリットルのサンプルを除去し、濾過し、必要に応じて希釈し、SOBに関する上記のアニオン含量についてアッセイする。試験した各ポリマーについて、保持マトリクス中のポリマーから脱離したイオンを、以下の計算を使用して計算する。
脱離イオン(mmol/g)=([イオン]開始-[イオン]最終)×[希釈係数]/2.5
式中、[イオン]開始は、溶出溶液(0.2M NaOH)中のイオンの開始濃度(mM)に相当し、[イオン]最終は、0.2M NaOHに試験ポリマーを16~20時間暴露した後の測定濾液中での当該特定のイオンの最終値(mM)に相当し、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。
【0092】
用語「ハロ」は、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0093】
用語「ハロアルキル基」は、アルキル炭素原子のいずれか1個以上が上記に定義されているようにハロによって置換されている基を包含する。具体的には、モノハロアルキル、ジハロアルキル、及びパーハロアルキルを含めたポリハロアルキル基が包含される。モノハロアルキル基は、例えば、該基内にヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子のいずれかを有していてよい。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2個以上の同じハロ原子、または異なるハロ原子の組み合わせを有していてよい。「低級ハロアルキル基」は、1~6個の炭素原子を有する基を包含する。いくつかの実施形態において、低級ハロアルキル基は、1~3個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例として、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが挙げられる。
【0094】
用語「ヘテロ脂肪族」は、1~25個の炭素原子、典型的には1~12個の炭素原子、より典型的には1~10個の炭素原子、最も典型的には1~8個の炭素原子、いくつかの実施形態においては、1個以上のヘテロ原子、例えば、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、またはホウ素を含有する飽和または不飽和(しかし芳香族ではない)であり得る1~4個の炭素原子の鎖を記載する。ヘテロ原子は、原子の鎖に結合したペンダント(もしくは側鎖)基の一部であってよく(例えば、炭素原子が原子鎖のメンバーである-CH(OH)--CH(NH)-)、または鎖原子のうちの1個であってよい(例えば、各Rが脂肪族である-ROR-または-RNHR-)。ヘテロ脂肪族は、ヘテロアルキル及びヘテロ環を包含するが、ヘテロアリールを包含しない。
【0095】
用語「ヘテロアルキル」は、完全飽和ヘテロ脂肪族部位を記載するものである。
【0096】
用語「ヘテロアリール」は、別途記述されない限り、5~10個の環原子の単環式または二環式芳香族ラジカルを意味し、ここで、1個以上(一実施形態において、1、2、または3個の)環原子が、N、O、またはSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である。代表例として、限定されないが、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられる。本明細書において定義されているように、用語「ヘテロアリール」、及び「アリール」は、互いに排他的である。「ヘテロアリーレン」は、二価のヘテロアリールラジカルを意味する。
【0097】
用語「ヘテロ原子」は、炭素及び水素以外の原子を意味する。典型的には、しかし排他的ではないが、ヘテロ原子は、ハロゲン、硫黄、リン、窒素、ホウ素及び酸素原子からなる群から選択される。1個を超えるヘテロ原子を含有する基は、異なるヘテロ原子を含有していてよい。
【0098】
用語「ヘテロ環状」、「複素環式」、または「ヘテロシクリル」は、4~8個の環原子の飽和または不飽和基を意味し、ここで、1または2個の環原子が、ヘテロ原子、例えば、N、O、B、P及びS(O);nは0~2の整数である;であり、残りの環原子が炭素である。加えて、ヘテロシクリル環における1または2個の環炭素原子は、-C(O)-基によって任意選択的に置き換えられ得る。より詳細には、用語ヘテロシクリルとして、限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2-オキソピロリジニル、2-オキソピペリジニル、モルホリノ、ピペラジノ、テトラヒドロ-ピラニル、チオモルホリノなどが挙げられる。ヘテロシクリル環は、不飽和であるとき、1または2個の環二重結合を含有し得る、ただし、該環が芳香族でないものとする。ヘテロシクリル基は、少なくとも1つの窒素原子を含有するとき、本明細書においてヘテロ環状アミノとも称され、ヘテロシクリル基のサブセットである。
【0099】
用語「炭化水素基」または「ヒドロカルビル基」は、1~25個の炭素原子、典型的には1~12個の炭素原子、より典型的には1~10個の炭素原子、最も典型的には1~8個の炭素原子の鎖を意味する。炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖構造を有していてよい。典型的な炭化水素基は、1または2個の分岐、典型的には1個の分岐を有する。典型的には、炭化水素基は、飽和している。不飽和炭化水素基は、1個以上の二重結合、1個以上の三重結合、またはこれらの組み合わせを有していてよい。典型的な不飽和炭化水素基は、1もしくは2個の二重結合または1個の三重結合を有し;より典型的には、不飽和炭化水素基は、1個の二重結合を有する。
【0100】
「開始剤」は、重合を開始する試薬を記載するのに使用される用語である。
【0101】
用語「窒素当たりの分子量」または「MW/N」は、窒素原子当たりのポリマーにおける算出された分子量を表す。該用語は、平均分子量を表して、架橋ポリマー内の1個のアミン官能基を提示するものである。該用語は、ポリマーサンプルの質量を該サンプルに存在する窒素のモル数で除算することによって算出される。「MW/N」は、理論容量の逆数であり、計算は、架橋剤及びモノマーの完全な反応を仮定して、供給比に基づく。窒素当たりの分子量が低いほど、架橋ポリマーの理論容量が高くなる。
【0102】
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載されている事象または状況が必ずではないが起こり得ることを意味し、また、該記載が、該事象または状況が起こる場合及び起こらない場合を含んでいることを意味する。例えば、「アルキル基によって任意選択的に置換されているヘテロシクリル基」は、該アルキルが必ずではないが存在し得ること、ならびに、この記載が、ヘテロシクリル基がアルキル基によって置換されている実施形態及びヘテロシクリル基がアルキルによって置換されていない実施形態を含んでいることを意味する。
【0103】
「薬学的に許容可能な」は、担体、希釈剤または賦形剤と併せて使用されているとき、概して安全で、非毒性であり、かつ、生物学的にも、または他の場合にも、獣医学用途及び/もしくはヒトの薬学的用途に望ましい医薬組成物を調製するのに有用である、それぞれ、担体、希釈剤または賦形剤を意味する。
【0104】
「人工胃液」または「SGF」アッセイは、次のような胃液の内容物を模倣する定義された緩衝液を使用する試験ポリマーに関する総塩化物結合能を求めるための試験を記載する:人工胃液(SGF)は、35mM NaCl、63mM HCl、pH1.2からなる。アッセイを実施するために、試験される遊離アミンポリマーを、10mLのSGF緩衝液中2.5mg/mL(25mg乾燥質量)の濃度で調製する。混合物を、回転式ミキサーで攪拌しながら一晩、約12~16時間、37℃においてインキュベートする。別の期間が別途記述されていない限り、本明細書に列挙されているSGF結合データまたは結合能は、この持続時間の期間において求められる。インキュベーション及び混合後、ポリマーを含有するチューブを500~1000Xgで2分間遠心分離し、試験サンプルをペレット化する。およそ750マイクロリットルの上清を除去し、96ウェルの2mLの収集プレート上に適合された適切なフィルター、例えば0.45マイクロメータ孔サイズのシリンジフィルター、または800マイクロリットルの、1マイクロメータ孔サイズの96ウェルのガラスフィルタープレートを使用して濾過する。後者の配置では、SGF緩衝液において試験される複数のサンプルを、遊離アミンセベラマー、遊離アミンビキサロマーの標準対照、及び、アッセイステップの全てを通して処理されるブランク緩衝液を含有する対照チューブを含めて、分析用に調製することができる。フィルタープレート及び底部に適合された収集プレートにおいてアレイしたサンプルにより、ユニットを1000Xgで1分間遠心分離し、サンプルを濾過する。小サンプルセットの場合には、シリンジフィルターをフィルタープレートの代わりに使用して、約2~4mLの濾液を15mLの容器に回収してよい。濾過後、それぞれの濾液を水で4Xに希釈し、濾液の塩化物含量をイオンクロマトグラフィ(IC)によって測定する。IC法(例えば、Dionex ICS-2100、Thermo Scientific)は、AS11カラム及び15mM KOH移動相、5マイクロリットルの注入容量、3分のランタイム、1000マイクロリットルの洗浄/濯ぎ容積、及び1.25mL/分の流速からなる。ポリマーに結合する塩化物を決定するために、以下の計算が完成される:
(Cl開始-Cl平衡)×4/2.5
結合能が塩化物(mmol)/ポリマー(g)として表される:式中、Cl開始は、SGF緩衝液中の塩化物の開始濃度(mM)に相当し、Cl平衡は、試験ポリマーに暴露した後の、希釈された測定濾液中の塩化物の平衡値に相当し、4は、希釈係数であり、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。
【0105】
「人工小腸無機緩衝液」または「SIB」は、選択的特異的干渉緩衝液アッセイ(SIB)における遊離アミン試験ポリマーの塩化物及びリン酸塩結合能を決定するための試験である。遊離アミン試験ポリマーの塩化物及びリン酸塩結合能を、遊離アミンセベラマー及びビキサロマー対照ポリマーの塩化物及びリン酸塩結合能と併せて、次のように選択的特異的干渉緩衝液アッセイ(SIB)を使用して決定した:SIBアッセイに使用される緩衝液は、pH5.5に緩衝化された、36mM NaCl、20mM NaHPO、50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)を含む。SIB緩衝液は、ヒト十二指腸及び上部胃腸管に存在する濃度の塩化物、リン酸塩及びpHを含有し(Stevens T,Conwell DL,Zuccaro G,Van Lente F,Khandwala F,Purich E,et al.Electrolyte composition of endoscopically collected duodenal drainage fluid after synthetic porcine secretin stimulation in healthy subjects.Gastrointestinal endoscopy.2004;60(3):351-5,Fordtran J,Locklear T.Ionic constituents and osmolality of gastric and small-intestinal fluids after eating.Digest Dis Sci.1966;11(7):503-21)、ポリマーによるリン酸塩結合と比較して塩化物結合の選択性の有効な指標である。アッセイを実施するために、試験される遊離アミンポリマーを、10mLのSIB緩衝液中2.5mg/mL(25mg乾燥質量)の濃度で調製する。混合物を、回転式ミキサーで攪拌しながら37℃で1時間インキュベートする。別の期間が別途記述されていない限り、本明細書に列挙されているSIB結合データまたは結合能は、この持続時間の期間において求められる。インキュベーション及び混合後、ポリマーを含有するチューブを1000Xgで2分間遠心分離し、試験サンプルをペレット化する。750マイクロリットルの上清を除去し、96ウェルの2mLの収集プレート上に適合された800マイクロリットルの1マイクロメータ孔サイズの96ウェルのガラスフィルタープレートを使用して濾過し;この配置で、SIB緩衝液において試験される複数のサンプルを、遊離アミンセベラマー、遊離アミンビキサロマーの標準対照、及び、アッセイステップの全てを通して処理されるブランク緩衝液を含有する対照チューブを含めて、分析用に調製することができる。フィルタープレート及び底部に適合された収集プレートにおいてアレイしたサンプルにより、ユニットを1000Xgで1分間遠心分離し、サンプルを濾過する。小サンプルセットの場合には、シリンジフィルター(0.45マイクロメータ)をフィルタープレートの代わりに使用して、約2~4mLの濾液を15mLのバイアルに回収してよい。収集プレート内に濾過後、それぞれの濾液を塩化物またはリン酸塩含量に関して測定する前に希釈する。塩化物及びリン酸塩の測定のために、分析下の濾液を水で4X希釈する。濾液の塩化物及びリン酸塩含量をイオンクロマトグラフィ(IC)によって測定する。IC法(例えば、Dionex ICS-2100、Thermo Scientific)は、AS24Aカラム、45mM KOH移動相、5マイクロリットルの注入容量、約10分のランタイム、1000マイクロリットルの洗浄/濯ぎ容積、及び0.3mL/分の流速からなる。ポリマーに結合した塩化物を求めるために、以下の計算を完成する:
塩化物(mmol)で表される結合能/ポリマー(g)=(Cl開始-Cl最終)×4/2.5
式中、Cl開始は、SIB緩衝液中の塩化物の開始濃度に相当し、Cl最終は、試験ポリマーに暴露後の測定した希釈濾液中の塩化物の最終値に相当し、4は、希釈係数であり、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。ポリマーに結合したリン酸塩を求めるために、以下の計算を完成する:
リン酸塩(mmol)で表される結合能/ポリマー(g)=(P開始-P最終)×4/2.5
式中、P開始は、SIB緩衝液中のリン酸塩の開始濃度に相当し、P最終は、試験ポリマーに暴露後の測定した希釈濾液中のリン酸塩の最終値に相当し、4は、希釈係数であり、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。
【0106】
「人工小腸有機及び無機緩衝液」または「SOB」は、胃腸管において一般的に見られる特異的な有機及び無機干渉の存在下で測定される塩化物結合能を求めるための試験である。遊離アミン試験ポリマー及び遊離アミンセベラマー及びビキサロマー対照ポリマーの、塩化物結合能、ならびに他のアニオンへの結合能を、次のように胃腸管において一般的に見られる特異的な有機干渉の存在下で測定した:GI腔の条件を模倣するために、SOBスクリーニングを使用して、他の可能性のある競合アニオン、例えば、胆汁酸、脂肪酸、リン酸塩、酢酸塩及びクエン酸塩の存在下で塩化物に暴露されるときの遊離アミンポリマーの塩化物結合能を求める。SOBアッセイに使用される試験緩衝液は、pH6.2に緩衝化された、50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、50mM酢酸ナトリウム、36mM塩化ナトリウム、7mMリン酸ナトリウム、1.5mMクエン酸ナトリウム、30mMオレイン酸及び5mMタウロコール酸ナトリウムを含む。可能性のある競合アニオンの濃度は、GI管の種々の点において見られるに存在する典型的な胃腸腔濃度を反映しており、pHは、十二指腸及び大腸の両方で遭遇されるpH値を表す平均値である。使用される塩化物濃度は、SIBスクリーニングにおいて使用されるものと同じである。アッセイを実施するために、試験対象の遊離アミンポリマーを、液密スクリューキャップを備えた16×100mmのガラス管に正確に秤量する。適切な量のSOB緩衝液を試験管に添加して、2.5mg/mLの最終ポリマー濃度を達成する。混合物を回転式ミキサーで攪拌しながら37℃において2時間(異なる時間が記述されていない限り)インキュベートする。別の期間が別途記述されていない限り、この持続時間の期間において求められるSOB結合データまたは結合能は、この持続時間の期間において求められる。インキュベーション及び混合後、600マイクロリットルの上清を除去し、96ウェルのガラスフィルタープレートを使用して濾過する。フィルタープレート及び底部に適合された収集プレートにおいてアレイしたサンプルにより、ユニットを1000Xgで1分間遠心分離し、サンプルを濾過する。小サンプルセットの場合には、シリンジフィルターをフィルタープレートの代わりに使用して、約2~4mLの濾液を15mLのバイアルに回収してよい。収集プレート内に濾過後、それぞれの濾液をアニオン含量に関して測定する前に適宜希釈する。IC法(例えば、Dionex ICS-2100、Thermo Scientific)は、AS24Aカラム、20mM~100mMのKOH勾配、5マイクロリットルの注入容量、約30分のランタイム、1000マイクロリットルの洗浄/濯ぎ容積、及び0.3mL/分の流速からなる。この方法は、塩化物、リン酸塩、及びタウロコール酸塩を定量するのに好適である。他の適切な方法に置き換えられてよい。ポリマーに結合したイオンを決定するために、以下の計算を完成する:
イオン(mmol)で表される結合能/ポリマー(g)=([イオン]開始-[イオン]最終)×[希釈係数]/2.5
式中、[イオン]開始は、SOB緩衝液中のイオンの開始濃度に相当し、[イオン]最終は、試験ポリマーに暴露後の測定濾液中での当該特定のイオンの最終値に相当し、希釈係数は、希釈係数であり、2.5は、mg/mLでのポリマー濃度である。
【0107】
用語「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロ環状」、または「置換ヘテロアリール」は、本明細書において使用されているとき、炭素鎖原子がヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄、またはハロゲン原子によって置換されている部位を含めた、炭素及び水素以外の少なくとも1つの原子によって置換されているヒドロカルビル、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロ環状、またはヘテロアリール部位を表す。これらの置換基として、ハロゲン、ヘテロ環状、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルが挙げられる。
【0108】
「膨潤比」または単に「膨潤」は、ポリマーアリコートの重量によって除算された、所与の量のポリマーによって吸収された水の量を記載する。膨潤比は、膨潤=(膨潤ポリマー(g)-乾燥ポリマー(g))/乾燥ポリマー(g)として表される。いずれかの所与のポリマーの膨潤比を求めるために使用される方法は以下を含む:
a.50~100mgの乾燥(5重量%未満の含水率)ポリマーを、既知の重量(管の重量=重量A)の11mLの密封可能な試験管(スクリューキャップ付)内に入れる。
b.脱イオン水(10mL)を、ポリマーを含有する試験管に添加する。試験管を密封し、16時間(一晩)室温でタンブルする。インキュベーション後、試験管を3000xgで3分間遠心分離し、上清を真空吸引によって注意深く除去する。非常に緩い沈殿物を形成するポリマーについては、別の遠心分離ステップを実施する。
c.ステップ(b)後、膨潤ポリマー+試験管(重量B)の重量を記録する。
d.-40℃で30分間凍結する。48時間凍結乾燥する。乾燥したポリマー及び試験管の重量を測定する(重量Cとして記録する)。
e.[(重量B-重量A)-(重量C-重量A)]/(重量C-重量A)として定義される、ポリマー1g当たりの吸収された水(g)を計算する。
【0109】
「標的イオン」は、ポリマーが結合するイオンであり、ポリマーによって結合される主要イオン、または、ポリマーへの結合がポリマーの治療効果(例えば、HClの正味の除去につながるプロトン及び塩化物結合)を生じさせると考えられるイオンを通常称する。
【0110】
用語「理論容量」は、mmol/gで表される、「SGF」アッセイにおける塩酸の計算された予測される結合を表す。理論容量は、それぞれの供給比に基づき、モノマー(複数可)及び架橋剤(複数可)からのアミンの100%が架橋ポリマーに組み込まれるという仮定に基づく。理論容量は、そのため、ポリマー中のアミン官能基の濃度(mmol/g)に等しい。理論容量は、各アミンが、それぞれのアニオン及びカチオンに結合するのに利用可能であり、形成されるアミンの種類について調整されない(例えば、プロトンに結合するのに利用可能でない第4級アミンの容量を減算しない)と仮定している。
【0111】
「治療有効量」は、疾患を治療するために患者に投与されるとき、疾患のかかる処理を行うのに十分である、プロトン結合架橋アミンポリマーの量を意味する。「治療有効量」を構成する量は、ポリマー、疾患の重篤度、及び治療対象の哺乳動物の年齢、体重などに応じて変動する。
【0112】
疾患の「治療する」または「治療」は、(i)疾患を抑制すること、すなわち、疾患もしくはその臨床症状の発生を停止または低減すること;または(ii)疾患を寛解すること、すなわち、疾患もしくはその臨床症状の後退を引き起こすことを含む。疾患の阻害は、例えば、予防を含む。
【0113】
用語「トリアリルアミン」は、3個のアリル基を有するアミノ部位を示す。
【0114】
用語「ビニル」は、構造式RC=CH-;式中、は、分子の残部への部位の結合点を表し、結合点は、ヘテロ原子またはアリールであり、X及びYは、独立して、0、1または2であり、その結果、X+Y=2となっており、また、Rは、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである;を有する部位を示す。
【0115】
用語「架橋剤重量パーセント」は、架橋剤から誘導されるポリマーサンプルの質量によって計算された百分率を表す。架橋剤重量パーセントは、重合の供給比を使用して計算され、モノマー及び架橋剤(複数可)の完全な変換を仮定する。架橋剤に起因する質量は、反応後の無限のポリマーネットワークにおける分子量の予測される増加に等しい(例えば、1,3-ジクロロプロパンは113amuであるが、DCPによる架橋後にポリマーネットワークに付加されるのは42amuのみである、なぜなら、脱離基としての塩素原子が、ポリマーネットワーク内に組み込まれないからである)。
【0116】
本発明またはその好ましい実施形態(複数可)の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said(前記)」は、1個以上の要素が存在することを意味することが意図される。用語「comprising(含む)」、「including(含む)」、及び「having(有する)」は、包括的であり、かつ排他的でないことが意図される(すなわち、列挙されている要素に加えて他の要素が存在していてよい)。
【0117】
実施形態
先に記述されているように、本開示の種々の態様の中でも、遊離アミン部位を含有する非吸収の架橋ポリマーを含む組成物を使用する治療方法が記述され得る。一実施形態において、架橋アミンポリマーは、治療有効量(すなわち、有効用量)の架橋アミンポリマーの投与の際に、例えばヒトを含めた動物の胃腸管から臨床的に有意な量のプロトン及び塩化物イオンを除去して、治療的または予防的利益を達成する可能性を有する。
【0118】
本明細書に開示されている治療有効用量の架橋アミンポリマーは、治療される疾患、架橋遊離アミンポリマーの能力、及び意図される効果に少なくとも部分的に左右される。一実施形態において、架橋遊離アミンポリマーの1日用量は、長期にわたって血清重炭酸値の低減速度を遅延させるのに十分である。別の実施形態において、架橋遊離アミンポリマーの1日用量は、長期にわたって血清重炭酸値を維持するのに十分である。別の実施形態において、架橋遊離アミンポリマーの1日用量は、長期にわたって血清重炭酸値を増加させるのに十分である。例えば、一実施形態において、1日用量は、長期にわたって少なくとも約20mEq/Lの血清重炭酸値にする、または維持するのに十分である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、1日用量は、長期にわたって少なくとも約21mEq/Lの血清重炭酸値にする、または維持するのに十分である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、1日用量は、長期にわたって少なくとも約22mEq/Lの血清重炭酸値を維持するのに十分である。なお別の実施形態において、1日用量は、長期にわたって少なくとも約24mEq/Lの血清重炭酸値を維持するのに十分である。上記実施形態の各々において、長期は、少なくとも1ヶ月;例えば、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、またはさらには少なくとも数ヶ月の期間である。
【0119】
一般に、治療的及び/または予防的用途のための架橋アミンポリマーの投与量レベルは、約0.5g/日~約20g/日の範囲であってよい。患者の服薬遵守を促進するために、約1g/日~約10g/日の範囲であることが概して好ましい。例えば、1つのかかる実施形態において、用量は、約2g/日~約7g/日である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、用量は、約3g/日~約6g/日である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、用量は、約4g/日~約5g/日である。任意選択的に、1日用量は、1日にわたって、単回投与(すなわち、1日1回)として投与されても、複数回投与(例えば、2,または3回以上の投与)に分割されてもよい。一般に、治療的及び/または予防的用途のための架橋アミンポリマーは、固定された1日用量として投与されても、または治療の必要な患者の血清重炭酸塩値もしくはアシドーシスの他の指標に基づいて滴定されてもよい。滴定は、治療の開始時または全体にわたって必要に応じて行われてよく、開始及び維持の投与量レベルは、基礎となる疾患の重篤度に基づいて患者毎に異なってよい。
【0120】
図1A~1Cに模式的に示されているように、一実施形態によると、本開示の非吸収の遊離アミンポリマーは、経口で取り込まれて、胃腸(「GI」)管においてHClに結合し、便を通してHClを除去することによって、哺乳動物における代謝性アシドーシスを治療する(血清重炭酸塩を増加させ、血液pHを正常化することによるものを含む)のに使用される。遊離アミンポリマーは、十分量のHClに慢性的に結合して3mEq/Lの血清重炭酸塩の臨床的に有意な増加を可能にすることを目標とする服薬遵守が向上する用量で経口摂取される(図1A)。胃(図1B)において、遊離アミンは、Hに結合することによりプロトン化される。ポリマーにおける正電荷は、次いで、架橋及び親水性/疎水性特性を通して結合部位のアクセスを制御することによってClに結合するのに利用可能となり;他のより大きな有機アニオン(例えば、X及びYとして示される酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩など)が、仮に結合しても、より低い程度で結合される。そのため、正味の効果は、HClの結合である。下部GI管/結腸(図1C)において、Clは、完全には放出されず、HClが、規則的な便通及び便排泄を通して体から除去されて、血清における正味のアルカリ化を結果として生じさせる。このように結合されたClは、Cl/HCO 対向輸送体系を介しての交換に利用可能ではない。
【0121】
一実施形態において、ポリマーは、同時に、効能(正味のHCl結合及び排泄)を最大化し、かつ(低膨潤粒子設計及び粒度分布を通して)GI副作用を最小化するように設計される。最適化されたHCl結合は、能力(アミン結合部位数)、選択性(結腸における好ましい塩化物対他のアニオン、特に有機アニオンの結合)ならびに保持(結腸及び腸におけるCl/HCO 交換体[対向輸送体]の活性を回避するのに有意な量の塩化物を下部GI管において放出しない)の注意深い平衡を通して達成され得る;塩化物がポリマーに強く結合されていないと、Cl/HCO 交換体が、腸管腔からの塩化物イオンの摂取、及び血清からの重炭酸塩のための相反的交換を媒介して、これにより、血清重炭酸塩を効率的に低減させる可能性がある。
【0122】
塩化物を置き換える競合アニオンは、以下のメカニズムを通しての正味の重炭酸塩の減少につながる。まず、GI腔、特に腸管におけるポリマーからの塩化物の置き換えは、血清における重炭酸塩との容易な交換を提供する。結腸は、分泌された重炭酸塩との交換において腔側からの塩化物を除去するアニオン交換体(塩化物/重炭酸塩対向輸送体)を有する。遊離塩化物は、GI管においてポリマーから放出されるとき、重炭酸塩と交換され、次いで、それが排出物中に失われて、合計の細胞外重炭酸塩の低減を引き起こす(Davis,1983;D’Agostino,1953)。ポリマーにおける結合塩化物と交換での短鎖脂肪酸(SCFA)の結合は、細胞外HCO3-貯蓄の枯渇を結果として生じさせる。短鎖脂肪酸は、正常な消化プロセスによって異化されない複合炭水化物の細菌代謝の産物である(Chemlarova,2007)。結腸に到達する短鎖脂肪酸は、種々の組織に吸収及び分布され、一般的な代謝の運命はHO及びCOの発生であり、重炭酸塩等価物に変換される。このように、SCFAがポリマーに結合してプロトン電荷を中和させることは、重炭酸塩貯蓄全体及び緩衝化能に有害であり、SCFA交換を制限するポリマーにおける化学的及び物理的特徴の設計を必要とする。最終的に、ポリマーへのリン酸塩結合が、同じように制限されるべきである、なぜなら、リン酸塩は、アンモニア産生及び/または水素イオン分泌が慢性腎疾患において損なわれている状況において緩衝化能のさらなる源を表しているからである。
【0123】
プロトンの各結合について、アニオンは、正電荷が中性ポリマーとしてヒトの体から離れようとするときに好ましくは結合される。イオンの「結合」は、最小限の結合を超え、すなわち、少なくとも約0.2mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約1mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約1.5mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約3mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約5mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約10mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約12mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、少なくとも約13mmolのイオン/ポリマー(g)、いくつかの実施形態において、またはさらに少なくとも約14mmolのイオン/ポリマー(g)である。一実施形態において、ポリマーは、高いプロトン結合能を特徴とすると同時に、アニオンに関する選択性を付与する;塩化物に関する選択性は、限定されないがリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、胆汁酸及び脂肪酸が挙げられる干渉アニオンの結合の低減によって達成される。例えば、いくつかの実施形態において、本開示のポリマーは、約5mmol/g未満、約4mmol/g未満、約3mmol/g未満、約2mmol/g未満、またはさらには約1mmol/g未満の結合能を有するリン酸塩に結合する。いくつかの実施形態において、本発明のポリマーは、約5mmol/g未満、約4mmol/g未満、約3mmol/g未満、約2mmol/g未満、いくつかの実施形態において、約1mmol/g未満、いくつかの実施形態において、約0.5mmol/g未満、いくつかの実施形態において、約0.3mmol/g未満、いくつかの実施形態において、約0.1mmol/g未満の結合能を有する胆汁及び脂肪酸に結合する。
【0124】
ポリマーの有効性は、動物モデルにおいて、またはヒトボランティア及び患者において定められてよい。また、インビトロ、エキソビボ及びインビボでのアプローチは、HCl結合を定めるのに有用である。インビトロ結合溶液は、異なるpHで、プロトン、塩化物及び他のイオンに関する結合能を測定するのに使用され得る。エキソビボ抽出物、例えば、ヒトボランティアから、またはモデル動物からの胃腸腔内容物は、同様の目的で使用され得る。ある特定のイオンを他のものよりも優先的に結合及び/または保持させる選択性もまた、かかるインビトロ及びエキソビボ溶液において実証され得る。代謝性アシドーシスのインビボモデルは、酸/塩基平衡を正常化するときのポリマーの有効性を試験するために使用され得る-例えば、カゼイン含有固形飼料を与えられた5/6腎摘出ラット(Phisitkul S,Hacker C,Simoni J,Tran RM,Wesson DE.Dietary protein causes a decline in the glomerular filtration rate of the remnant kidney mediated by metabolic acidosis and endothelin receptors.Kidney international.2008;73(2):192-9において記載されている)、またはアデニン給餌ラット(Terai K,K Mizukami and M Okada.2008.Comparison of chronic renal failure rats and modification of the preparation protocol as a hyperphosphatemia model.Nephrol.13:139-146)。
【0125】
一実施形態において、本開示に記載されているポリマーは、ヒトを含めた動物に、1日1回、2回または3回投与で付与されて(最も好ましくは5g以下/日の1日用量を超えない)代謝性アシドーシスを治療し、これらの1日用量で臨床的に有意かつ持続性のおよそ3mEq/Lの血清重炭酸塩の増加を達成する。ポリマーの経口投与によって達成されるHCl結合の量は、ポリマー結合能によって決定され、一般にポリマー1g当たり5~25mEqのHClの範囲にある。加えて、ポリマーは、プロトン結合を平衡させるように結合されるアニオンについて好ましくは選択的であり、塩化物は好ましいアニオンである。プロトン正電荷を中和するように結合される塩化物以外のアニオンとして、リン酸塩、短鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸、胆汁酸または他の有機もしくは無機アニオンが挙げられる。塩化物以外のこれらのアニオンの結合は、細胞内及び細胞外区画における重炭酸塩貯蓄全体に影響する。
【0126】
一実施形態において、HClポリマー結合剤に関する作用メカニズムは、以下を含む。胃またはGI管の他の場所において、遊離アミンポリマーは、プロトン(H)の結合によりプロトン化されることになる。この結合の結果として形成される正電荷は、次いで、塩化物アニオン結合に利用可能となる。胃から出た後、ポリマーは、それぞれ異なる有機及び無機アニオンを補完する、十二指腸、空腸、回腸及び結腸の順に種々のGI管環境に順次遭遇する。ポリマーの物理的及び化学的特性は、この回集アニオンに対するプロトン化結合部位のアクセスを制御するように設計される。物理的バリアとして、リン酸塩、胆汁酸及び脂肪酸結合を制限するための、架橋(アニオン結合を予防するためのサイズ排除)、及び化学部位(結腸に一般的に存在する、より大きな有機イオン、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩または他の短鎖脂肪酸を遠ざけるため)、ならびに該2つの特性の組み合わせが挙げられる。ビーズ架橋及びアミン結合部位の化学的性質を調整することにより、塩化物が、他のアニオンとの交換及び下部GI管での放出が低減または排除されるように、密に結合され得る。理論に拘束されないが、塩化物より大きいイオン及び/または水和半径を有するアニオンは、HCl結合ポリマーにこれらの特性を組み込むことによって、排除され得、または結合が低減され得る。例えば、塩化物のイオン半径は、水和または非水和形態のいずれかにおいて、リン酸塩及びGI管腔において一般的に遭遇される他のアニオンに関する対応する値よりも小さい(Supramolecular Chemistry,Steed,JW(2009)John Wiley and Sons,page 226;Kielland,J(1937),J.Am.Chem.Soc.59:1675-1678)。より小さいイオンに選択的に結合するために、ポリマーは、ポリマー結合部位への優先的なアクセスを作り出すために、高い架橋密度を典型的には示す。高架橋密度材料は、しかし、低い膨潤比を典型的には特徴とする。膨潤比は、以下の組成及びプロセス変動により得供され得る:1)アミンモノマー(またはポリマー)及び架橋剤のモル比、2)架橋反応におけるモノマー+架橋剤対溶媒比、3)ポリマーの正味の電荷(使用される境遇の生理学的pH及び張性における)、4)骨格ポリマーの親水性/疎水性平衡、ならびに/または5)既存材料の後架橋。
【0127】
いくつかの実施形態において、本開示のポリマーの理論塩化物結合能は、約1mmol/g~約25mmol/gの範囲であってよい。一実施形態において、ポリマーの理論塩化物結合能は、約3mmol/g~約25mmol/gである。別の実施形態において、ポリマーの理論塩化物結合能は、約6mmol/g~約20mmol/gである。別の実施形態において、ポリマーの理論塩化物結合能は、約9mmol/g~約17mmol/gである。
【0128】
一実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも2mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。例えば、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも2.5mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも3mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも3.5mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも4.5mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも5.5mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SIBにおいて1時間で少なくとも6mmol/gの塩化物イオン結合能を特徴とする。この段落の上記の各実施形態の1つの例示的な実施形態において、架橋アミンポリマーは、約1.5を超えない膨潤比を有していてよい。
【0129】
一実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を特徴とする。例えば、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、SIBにおいて1時間後に少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、SIBにおいて2時間後に少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、SIBにおいて3時間後に少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、SIBにおいて4時間後に少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、SIBにおいて、それぞれ、少なくとも2.5:1の塩化物対リン酸塩イオン結合比を有する。この段落の上記の各実施形態の1つの例示的な実施形態において、架橋アミンポリマーは、約1.5を超えない膨潤比を有していてよい。
【0130】
一実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、人工胃液(「SGF」)において少なくとも8mmol/gの人工胃液におけるプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。例えば、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて少なくとも10mmol/gの人工胃液におけるプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて少なくとも12mmol/gのSGFにおけるプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて少なくとも14mmol/gのSGFにおけるプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくとも50%である、SGFにおける1時間後のプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくとも60%である、SGFにおける1時間後のプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくとも70%である、SGFにおける1時間後のプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくとも80%である、SGFにおける1時間後のプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、SGFにおいて24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくとも90%である、SGFにおける1時間後のプロトン結合能及び塩化物結合能を特徴とする。
【0131】
一実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)におけるクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性、または少なくとも4mmol/gの、SOBにおける24時間での塩化物結合能を特徴とする。
【0132】
一実施形態において、本開示の架橋ポリマーは、人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)における1時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。例えば、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーは、SOBにおける4時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける12時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける18時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける24時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける30時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける36時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける42時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマーにて、SOBにおける48時間後のクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を特徴とする。
【0133】
一般に、上記及び本明細書におけるいずれかの箇所に記載されている特徴を有する架橋ポリマーは、少なくとも6、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5のpKを有するか、または、GI管に沿って遭遇されるpH値の上端である少なくとも生理的イオン条件にあることが好ましい(Fallingborg,J Aliment.Pharmacol.Therap[1989]3:05-613)。
【0134】
いくつかの実施形態において、本開示のポリマーの窒素当たりの分子量は、約40~約1000ダルトンの範囲であってよい。一実施形態において、ポリマーの窒素当たりの分子量は、約40~約500ダルトンである。別の実施形態において、ポリマーの窒素当たりの分子量は、約50~約170ダルトンである。別の実施形態において、ポリマーの窒素当たりの分子量は、約60~約110ダルトンである。
【0135】
いくつかの実施形態において、架橋剤重量%範囲は、架橋アミンポリマーの約10~90重量%である。例えば、いくつかの実施形態において、架橋剤重量%範囲は、架橋アミンポリマーの約15~90重量%、またはさらには架橋アミンポリマーの約25~90重量%である。
【0136】
先に記述されているように、高い塩化物結合能、及び他の競合アニオン、例えば、リン酸塩を超える塩化物に関する高い選択性を有する架橋アミンポリマーは、本開示の一実施形態による2工程プロセスにおいて調製されてよい。一般に、ポリマーの選択性は、架橋密度の関数であり、ポリマーの能力は、架橋アミンポリマーの遊離アミン密度の関数である。有利には、本明細書に開示されている2ステッププロセスは、第1ステップにおいて炭素-炭素架橋に、第2ステップにおいて窒素-窒素架橋に主として依存することにより、高い塩化物結合能、及び他の競合イオンを超える塩化物に関する高い選択性の両方を提供する。
【0137】
第1ステップにおいて、架橋は、好ましくは、能力不足の、すなわち、遊離アミン不足の、炭素から炭素への架橋である。第2ステップにおいて、架橋は、アミン消費性であり、選択性についての調整を対象としている。所望の高い能力に基づいて、C-N比は、HCl結合のためのアミン官能基を最大化するように好ましくは最適化されるが、GI条件下で安定である非吸収及び許容可能な口当たりを確保するように制御された粒子サイズの球形ポリマー粒子を依然として維持する。第1ステップ後に達成される好ましい炭素-炭素架橋の程度は、得られるビーズが水中4Xと6Xとの間で膨潤する(すなわち、4~6の膨潤比)ことを可能にするのに十分である。
【0138】
一般に、架橋アミンポリマーは、遊離アミン部位を含む架橋ホモポリマーまたは架橋コポリマーであってよい。遊離アミン部位は、例えば、同じまたは変動する長さの繰り返しリンカー(もしくは介在)単位によって分離されていてよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、アミン部位及び介在リンカー単位を含有する繰り返し単位を含む。他の実施形態において、複数のアミン含有繰り返し単位は、1個以上のリンカー単位によって分離される。加えて、多官能性架橋剤は、HCl結合官能基、例えば、アミン、(「活性な架橋剤」)を含んでいてよく、またはHCl結合官能基、例えば、アミン(「能動的架橋剤」)を欠失していてよい。
【0139】
好ましい実施形態において、第1の重合(架橋)ステップは、標的サイズ及び塩化物結合能を有するプリフォームアミンポリマービーズを生じさせる。例えば、1つのかかる実施形態において、ビーズは、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び4~6の範囲の膨潤比を有する。得られるプリフォームアミンポリマーは、次いで、好ましくは、塩基によって(少なくとも部分的に)脱プロトン化され、非プロトン化膨潤剤と合わされて、アミン官能基をプロトン化することなく遊離アミンポリマーを膨潤する。さらに、非プロトン化膨潤剤の量は、次いでアミン消費の架橋ステップを介して引き起こされる、テンプレートを効果的に形成するその後の架橋の程度を調整するように選択される。第2の架橋ステップにおいて、膨潤された脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーは、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋されて、重合後の架橋アミンポリマーを形成する。
【0140】
一般に、他の競合イオンを超える塩化物に関する選択性は、高度に架橋されたアミンポリマーによって達成される。例えば、比較的高い塩化物結合能は、膨潤剤(水)の存在下、プリフォームアミンポリマービーズを純架橋剤と反応させることによって得られ得る。この「非分散型」反応は、SIB及びSOBアッセイにおいて競合イオンを超える塩化物に関する高い選択性へのアクセスを与えるが、巨視的に(かつ微視的に)凝集されたポリマービーズも結果として生じさせる。したがって、ビーズ間反応及び結果として生じる凝集を回避するように、プリフォーム架橋ポリマービーズを分散させる第2の架橋ステップにおいて溶媒(例えば、ヘプタン)を含むことが有利である。しかし、あまりに多くの溶媒(分散剤)の使用は、得られるビーズが他の競合アニオンを超える塩化物に関する所望の選択性を有するのに十分に架橋されない点まで反応溶液を希釈する可能性がある(表12を参照)。しかし、溶媒(分散剤)としても機能する架橋剤を使用することにより、十分な溶媒(分散剤)が、アミン消費性架橋の程度が不十分である点まで混合物を希釈することなくビーズ間反応及び凝集を回避するように反応混合物に含まれ得る。例えば、反応性を維持しながら(反応の間の凝集を回避するために)溶媒の分散特性を利用する試みにおいて、純DCE及びDCPが使用されることにより、溶媒(分散剤)及び架橋剤の両方として二重の目的の役割をなした。興味深いことに、DCEは、DCP及び/またはヘプタンとの同様の反応と比較したとき、溶媒として優れた分散特性を有することが発見された。加えて、DCEに最初に分散され、次いで、水を添加してビーズを膨潤する第2の操作におかれたとき、観察される凝集がより少なかった。ビーズがDCEに分散される前に水がプリフォームアミンポリマーに添加されると、凝集が起こる場合がある。
【0141】
架橋溶媒としての1,2-ジクロロエタン(「DCE」)の使用もまた、第2ステップの間にHCl分子を生じさせる。これらのHCl分子は、架橋反応のための反応部位をブロックすることにより架橋に利用可能な結合部位の数を限定する遊離アミン部位のいくつかをプロトン化する。その結果、DCEの使用は、二次的な架橋に自己制御的な効果を作り出す。
【0142】
上記実施形態の各々において、反応混合物は、広範な量の架橋剤を含有していてよい。例えば、一実施形態において、架橋剤は、反応混合物において、プリフォームアミンポリマーの量に対して大過剰で使用されてよい。別の言い方をすれば、かかる実施形態において、架橋剤は、架橋溶媒であり、すなわち、反応混合物のための溶媒及びプリフォームアミンポリマーのための架橋剤の両方である。かかる実施形態において、他の溶媒が、反応混合物に任意選択的に含まれていてよいが、必要とされるわけではない。代替的に、プリフォームアミンポリマー、膨潤剤及び架橋剤は、架橋剤と混和性であって膨潤剤と非混和性である溶媒に分散されていてよい。例えば、いくつかの実施形態において、膨潤剤は極性溶媒であってよく;いくつかのかかる実施形態において、例えば、膨潤剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、またはこれらの組み合わせを含んでいてよい。さらなる例として、膨潤剤が極性溶媒を含むとき、反応混合物のための溶媒系は、非極性溶媒、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、またはこれらの組み合わせを典型的には含む。ある特定の実施形態において、架橋剤及び溶媒は同じであってよい;すなわち、溶媒は、架橋溶媒、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,3-ジクロロプロパン、1,4-ジクロロブタンまたはこれらの組み合わせである。
【0143】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、架橋剤、プリフォームアミンポリマーのための膨潤剤、及び(分散)溶媒を含む反応混合物に分散される。1つのかかる実施形態において、例えば、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも2:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも3:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも4:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも5:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも7.5:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物における(分散)溶媒対プリフォームアミンポリマーの比は、少なくとも10:1(溶媒(ミリリットル):プリフォームアミンポリマー(グラム))である。上記実施形態の各々において、(分散)溶媒は、(プリフォームアミンポリマーに対して)不活性な溶媒、例えば、先に特定されている非極性溶媒の1種と、架橋溶媒との組み合わせを含んでいてよく、または、(分散)溶媒は、架橋溶媒(例えば、DCEまたはDCP)を排他的に含んでいてよい。
【0144】
架橋溶媒において(例えば、DCE分散型反応)、ビーズを分散するのに使用される架橋溶媒(例えば、DCE)の量に関わらず大過剰の架橋剤が存在する(例えば、1g:3mL::ビーズ:DCE、及び1g:10mL::ビーズ:DCEは、いずれも、大部分が反応の間に消費されない大過剰の架橋剤である)ことに注意されたい。これにも関わらず、相対的な架橋度、ならびにSIB及びSOBアッセイにおける性能は、反応性架橋剤対ポリマービーズの比の変化に影響されない(表6を参照)。このことは、反応が、架橋剤(例えば、DCE)の量よりもむしろポリマービーズの酸中和能によって制限されるため、可能となる。
【0145】
DCEまたは他の架橋剤とより効率的に反応するために、プリフォームポリマービーズのアミンは、(中性の、脱プロトン化された)遊離電子対を好ましくは有する。プリフォームポリマービーズの遊離アミンが架橋剤(例えば、DCE)と反応するにしたがい、HClが生成されてアミンがプロトン化されるようになることにより、反応を制限する。この理由で、プリフォームアミンポリマービーズは、第2の架橋ステップにおいて遊離アミンとして好ましくは出発する。プリフォームアミンポリマービーズが、炭素-炭素架橋の第1ステップの後にプロトン化されると、第2ステップにおけるアミン消費性架橋が制限され、これにより、他の競合イオンを超える塩化物に関する所望の選択性を低減させる。このことは、DCEによる第2ステップ架橋の直前に既知量のHClをプリフォームアミンポリマービーズに添加することによって実証されている(表7)。(プリフォームポリマーアミンビーズ中のアミンに対して)3mol%未満のHClが第2ステップ架橋の前に添加されるとき、SIB及びSOBにおける、合計塩化物能(SGF)及び塩化物選択性は、第2ステップにおいてHClで処理しないビーズと同様である。(プリフォームポリマーアミンビーズ中のアミンに対して)5mol%超のHClが第2ステップ架橋の前に添加されるとき、SIB及びSOBにおける、合計塩化物能(SGF)が増加して、塩化物選択性が減少し、これは、架橋剤の混入が少ないことを示す。
【0146】
第2ステップ架橋における脱プロトン化されたプリフォームポリマービーズの利益は、最終生成物を得るのに2つのステップを使用する利益を強調させる。アミンポリマービーズを形成する第1ステップにおいて、全てのモノマー(例えば、アリルアミン及びDAPDA)がプロトン化されて、依然として水相中にあり、非プロトン化アリルアミン(及び誘導体)の重合を厳密に制限するラジカル転位反応を回避する。一旦、ビーズが炭素-炭素架橋を通して形成されると、ビーズは、次いで、脱プロトン化されて、第2ステップにおいてアミン反応性架橋剤とさらに架橋され得る。
【0147】
大過剰の二重架橋剤/溶媒を前提として、この試薬の単一組み込みが起こり、本質的に疎水性であり、かつ本質的により疎水性であるHCl以外の望ましくない溶質との非特異的相互作用を増加させる可能性がある塩化アルキル官能基を架橋ポリマービーズにおいてもたらす可能性がある。水酸化アンモニウム溶液による洗浄は、塩化アルキルを、親水性でありかつ望ましくない溶質との非特異的相互作用を最小にするアルキル-アミン官能基に変換する。塩化アルキル以外の、より親水性の基、例えば、-OHを生じさせる他の変更は、モノ-混入した架橋剤/溶媒をクエンチするのに好適である。
【0148】
いずれの範囲の重合化学が第1の反応ステップにおいて用いられてもよいが、架橋メカニズムは、主として炭素-炭素架橋であることを条件とする。このように、1つの例示的な実施形態において、第1の反応ステップは、ラジカル重合を含む。かかる反応において、アミンモノマーは、典型的には、単官能性ビニル、アリル、またはアクリルアミド(例えば、アリルアミン)であり、架橋剤は、2以上のビニル、アリルまたはアクリルアミド官能基を有する(例えば、ジアリルアミン)。同時の重合及び架橋は、単及び多官能性アリルアミンの混合物のラジカル開始重合を通して起こる。得られるポリマーネットワークは、炭素骨格を通してこうして架橋される。各架橋反応は、(炭素-ヘテロ原子結合が架橋の間に形成される置換反応とは対照的に)炭素-炭素結合を形成する。同時の重合及び架橋の間、モノマーのアミン官能基は、架橋反応を経ず、最終ポリマーにおいて保存される(すなわち、第1級アミンは第1級のままであり、第2級アミンは第2級のままであり、第3級アミンは第3級のままである)。
【0149】
第1反応ステップがラジカル重合を含むこれらの実施形態において、カチオン及びラジカル開始剤を含めた広範な開始剤が使用されてよい。使用され得る好適な開始剤のいくつかの例として:遊離ラジカルペルオキシ及びアゾ型化合物、例えば、アゾジイソブチロニトリル、アゾジイソバレロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2’アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレン(methy1-ene)イソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、1,1’-アゾビス(l-シクロヘキサンカルボ-ニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、VAZO67、シアノペンタン酸、ペルオキシピバレート、ドデシルベンゼンペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ-t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、アセチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、ジメチルビス(ブチルペルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0150】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化1】
式中、R、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり、しかし、R、R及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする。別の言い方をすれば、R、R及びRの少なくとも1つが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R、R及びRのその他が、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。一実施形態において、例えば、R、R及びRは、独立して、水素、アリール、脂肪族、ヘテロアリール、またはヘテロ脂肪族であり、しかし、R、R及びRの各々が、水素でないこととする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R、R及びRは、独立して、水素、飽和炭化水素、不飽和脂肪族、不飽和ヘテロ脂肪族、ヘテロアルキル、複素環式、アリールまたはヘテロアリールであり、しかし、R、R及びRの各々が、水素でないこととする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリル、ビニル、アリール、アミノアルキル、アルカノール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、ヘテロアリールまたは複素環であり、しかし、R、R及びRの各々が、水素でないこととする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アミノアルキル、アルカノール、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、ヘテロアリールまたは複素環であり、しかし、R、R及びRの各々が、水素でないこととする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びR(これらが結合している窒素原子と組み合わされて)は、一緒になって、環構造の部分を構成し、その結果、式1によって記載されているモノマーが、窒素含有複素環(例えば、ピペリジン)となり、Rが水素、またはヘテロ脂肪族となる。さらなる例として、一実施形態において、R、R及びRは、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、しかし、R、R及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする。さらなる例として、一実施形態において、R、R及びRは、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである。
【0151】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1に相当するアミンの残基を含み、式中、R、R、及びRは、独立して、水素、ヘテロアリール、アリール、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、しかし、R、R、及びRの少なくとも1つが、アリールまたはヘテロアリールであることとする。例えば、この実施形態において、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、飽和または不飽和の窒素含有複素環式環を形成していてよい。さらなる例として、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、ピロリジノ、ピロール、ピラゾリジン、ピラゾール、イミダゾリジン、イミダゾール、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ジアジン、またはトリアジン環構造の部分を構成していてよい。さらなる例として、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、ピペリジン環構造の部分を構成していてよい。
【0152】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1に相当するアミンの残基を含み、式中、R、R、及びRは、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族であり、しかし、R、R、及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする。例えば、この実施形態において、R、R、及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリル、ビニル、アミノアルキル、アルカノール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、または複素環であってよく、しかし、R、R、及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、飽和または不飽和の窒素含有複素環式環を形成していてよい。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、ピロリジノ、ピロール、ピラゾリジン、ピラゾール、イミダゾリジン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、またはジアジン環構造の部分を構成していてよい。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、これらが結合している窒素原子と組み合わされて、ピペリジン環構造の部分を構成していてよい。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、式1に相当するアミンは、脂環式であり、R、R、及びRの少なくとも1つは、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R、R、及びRは、独立して、水素、アルキル、アリル、ビニル、脂環式、アミノアルキル、アルカノール、または複素環であり、ただし、R、R、及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする。
【0153】
いくつかの実施形態において、アミン含有モノマーが重合され、ポリマーが、第1の反応ステップにおける置換重合反応において同時に架橋される。同時の重合及び架橋反応におけるアミン反応体(モノマー)は、置換重合のために1を超える回で反応することができる。1つのかかる実施形態において、アミンモノマーは、置換重合反応に関与する少なくとも2個の反応性アミン部位を保有する直鎖状アミンである。別の実施形態において、アミンモノマーは、置換重合反応に関与する少なくとも2個の反応性アミン部位を保有する分岐状アミンである。同時の置換重合及び架橋のための架橋剤は、少なくとも2個のアミン反応性部位、例えば、アルキル-塩化物、及びアルキル-エポキシドを典型的には有する。ポリマー内に組み込まれるために、第1級アミンは、架橋剤と、少なくとも1回反応し、潜在的には、3回まで反応し得、第2級アミンは、架橋剤と、2回まで反応することができ、第3級アミンは、架橋剤と、1回だけ反応することができる。一般に、しかし、相当数の第4級窒素/アミンの形成は一般に好ましくない、なぜなら、第4級アミンがプロトンに結合し得ないからである。
【0154】
本明細書に記載されている置換重合反応において使用され得る例示的なアミンとして、1,3-ビス[ビス(2-アミノエチル)アミノ]プロパン、3-アミノ-1-{[2-(ビス{2-[ビス(3-アミノプロピル)アミノ]エチル}アミノ)エチル](3-アミノプロピル)アミノ}プロパン、2-[ビス(2-アミノエチル)アミノ]エタンアミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン、1,4-ビス[ビス(3-アミノプロピル)アミノ]ブタン、1,2-エタンジアミン、2-アミノ-1-(2-アミノエチルアミノ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエチルアミノ)エタン、1,3-プロパンジアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、1,3-ジアミノペンタン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,2-ジアミノプロパン、1,10-ジアミノデカン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノオクタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノペンタン、3-ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩、N,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミンテトラ塩酸塩、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、N-エチルエチレンジアミン、2,2’-ジアミノ-N-メチルジエチルアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、N,N’-ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N-ブチルエチレンジアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、1,4,7-トリアザシクロノナン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ピペラジン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N-(3-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、2-メチルピペラジン、ホモピペラジン、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン、2-(アミノメチル)ピペリジン、3-(メチルアミノ)ピロリジンが挙げられる。
【0155】
置換重合反応及び重合後架橋反応において使用され得る例示的な架橋剤として、限定されないが、1個以上の多官能性架橋剤、例えば:ジハロアルカン、ハロアルキルオキシラン、アルキルオキシランスルホネート、ジ(ハロアルキル)アミン、トリ(ハロアルキル)アミン、ジエポキシド、トリエポキシド、テトラエポキシド、ビス(ハロメチル)ベンゼン、トリ(ハロメチル)ベンゼン、テトラ(ハロメチル)ベンゼン、エピハロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリン及びエピブロモヒドリン、ポリ(エピクロロヒドリン)、(ヨードメチル)オキシラン、グリシジルトシレート、グリシジル3-ニトロベンゼンスルホネート、4-トシルオキシ-1,2-エポキシブタン、ブロモ-1,2-エポキシブタン、1,2-ジブロモエタン、1,3-ジクロロプロパン、1,2-ジクロロエタン、l-ブロモ-2-クロロエタン、1,3-ジブロモプロパン、ビス(2-クロロエチル)アミン、トリス(2-クロロエチル)アミン、及びビス(2-クロロエチル)メチルアミン、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、ジグリシジルエーテル、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,9,10-ジエポキシデカン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-エタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、1,3-ジグリシジルグリセリルエーテル、N,N-ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,3-ビス-(2,3-エポキシプロピルオキシ)-2-(2,3-ジヒドロキシプロピルオキシ)プロパン、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、2,2’-ビス(グリシジルオキシ)ジフェニルメタン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4-ビス(2’,3’エポキシプロピル)ペルフルオロ-n-ブタン、2,6-ジ(オキシラン-2-イルメチル(methy1))-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピロロ[3,4-f]イソインドール-1,3,5,7-テトラオン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチル5-ヒドロキシ-6,8-ジ(オキシラン-2-イルメチル)-4-オキソ-4-h-クロメン-2-カルボキシレート、ビス[4-(2,3-エポキシ-プロピルチオ)フェニル]-スルフィド、1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]フッ素、トリエポキシイソシアヌレート、グリセロールトリグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、イソシアヌル酸(S,S,S)-トリグリシジルエステル、イソシアヌル酸(R,R,R)-トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、3,7,14-トリス[[3-(エポキシプロポキシ)プロピル]ジメチルシリルオキシ]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7,3,3,15、11]ヘプタシロキサン、4,4’メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、ビス(ハロメチル)ベンゼン、ビス(ハロメチル)ビフェニル及びビス(ハロメチル)ナフタレン、トルエンジイソシアネート、塩化アクリロイル、メチルアクリレート、エチレンビスアクリルアミド、ピロメリット酸二無水物、二塩化スクシニル、ジメチルスクシネート、3-クロロ-1-(3-クロロプロピルアミノ-2-プロパノール、1,2-ビス(3-クロロプロピルアミノ)エタン、ビス(3-クロロプロピル)アミン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、1,3-ジクロロプロパン、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン、トリス[(2-オキシラニル)メチル]アミンが挙げられる。
【0156】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1aに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、式1aに相当するアミンのラジカル重合によって調製される:
【化2】
式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。一実施形態において、例えば、R及びRは、独立して、水素、飽和炭化水素、不飽和脂肪族、アリール、ヘテロアリール、不飽和ヘテロ脂肪族、複素環、またはヘテロアルキルである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリールである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリル、ビニル、アリール、アミノアルキル、アルカノール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、ヘテロアリールまたは複素環である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アリル、アミノアルキル、アルカノール、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、または複素環である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びR(これらが結合している窒素原子と組み合わされて)は、一緒になって、環構造の部分を構成し、その結果、式1aによって記載されているモノマーが、窒素含有複素環(例えば、ピペリジン)となる。さらなる例として、一実施形態において、R及びRは、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、一実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである。
【0157】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1bに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式1bに相当するアミンの置換重合によって調製される:
【化3】
式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり、Rは脂肪族であり、R61及びR62は、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。一実施形態において、例えば、R及びRは、独立して、水素、飽和炭化水素、不飽和脂肪族、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、または不飽和ヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリールである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリル、ビニル、アリール、アミノアルキル、アルカノール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、ヘテロアリールまたは複素環である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アミノアルキル、アルカノール、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、ヘテロアリールまたは複素環である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びR(これらが結合している窒素原子と組み合わされて)は、一緒になって、環構造の部分を構成し、その結果、式1aによって記載されているモノマーが、窒素含有複素環(例えば、ピペリジン)となる。さらなる例として、一実施形態において、R及びRは、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、一実施形態において、R及びRは、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである。さらなる例として、この段落に列挙されている実施形態の各々において、Rは、メチレン、エチレンまたはプロピレンであってよく、R61及びR62は、独立して、水素、アリルまたはアミノアルキルであってよい。
【0158】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1cに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーである:
【化4】
式中、Rは、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、Rは、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。例えば、1つのかかる実施形態において、例えば、Rは、水素であり、Rは、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、独立して、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRの少なくとも1つは、アリル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRの少なくとも1つは、アミノアルキル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、それぞれ、アリル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R及びRは、それぞれ、アミノアルキル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、Rは、アリル部位を含み、Rは、アミノアルキル部位を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーである:
【化5】
式中、
m及びnは、独立して、負でない整数であり;
10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
は、
【化6】
であり;
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
各X11は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシル、アミノ、ボロン酸、またはハロであり;
zは、負でない整数である。
【0160】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、m及びnは、独立して、0、1、2または3であり、nは、0または1である。
【0161】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、またはヘテロアリールである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、アルキル、アリル、ビニル、またはアミノアルキルである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、アルキル、アリル、ビニル、-(CHNH、-(CHN[(CHNH)]であり、ここで、d及びeは、独立して、2~4である。この段落の上記の例示的な実施形態の各々において、m及びzは、独立して、0、1、2または3であってよく、nは、0または1である。
【0162】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、Xは、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。例えば、1つのかかる実施形態において、Xは、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、Xは、アルキルまたはアミノアルキルであり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、Xは、アルキルまたはアミノアルキルであり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、アルキル、アリル、ビニル、またはアミノアルキルである。この段落の上記の例示的な実施形態の各々において、m及びzは、独立して、0、1、2または3であってよく、nは、0または1である。
【0163】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、mは、正の整数である。例えば、1つのかかる実施形態において、mは、正の整数であり、zはゼロであり、R20は、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、正の整数(例えば、1~3)であり、zは、正の整数(例えば、1~2)であり、X11は、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、R20は、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、正の整数であり、zは、ゼロ、1または2であり、X11は、水素、アルキル、アルケニル、またはアミノアルキルであり、R20は、水素、アルキル、アルケニル、またはアミノアルキルである。
【0164】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、nは、正の整数であり、R30は、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、nは0または1であり、R30は、水素、アルキル、アルケニル、またはアミノアルキルである。
【0165】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2に相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、(i)多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2に相当するアミンの置換重合または(2)式2に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、m及びnは、独立して、負でない整数であり、Xは、脂肪族またはヘテロ脂肪族である。例えば、1つのかかる実施形態において、mは、0~2であり、nは、0または1であり、Xは、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、0~2であり、nは、0または1であり、Xは、アルキルまたはアミノアルキルであり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、0~2であり、nは、0または1であり、Xは、アルキルまたはアミノアルキルであり、R10、R20、R30、及びR40は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、またはアミノアルキルである。
【0166】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2aに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2aに相当するアミンの置換重合によって調製される:
【化7】
式中、
m及びnは、独立して、負でない整数であり;
各R11は、独立して、水素、ヒドロカルビル、ヘテロ脂肪族、またはヘテロアリールであり;
21及びR31は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族であり;
41は、水素、置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルであり;
は、
【化8】
であり;
は、アルキルまたは置換ヒドロカルビルであり;
各X12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、アミノアルキル、ボロン酸またはハロであり;
zは、負でない整数である。
【0167】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2aに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式1に相当するアミンの置換重合によって調製される。例えば、1つのかかる実施形態において、m及びzは、独立して、0、1、2または3であり、nは、0または1である。
【0168】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは式2aに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、多官能性架橋剤(アミン部位も任意選択的に含む)による式2aに相当するアミンの置換重合によって調製され、各R11は、独立して、水素、脂肪族、アミノアルキル、ハロアルキル、またはヘテロアリールであり、R21及びR31は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族であり、R41は、水素、脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族、またはヘテロアリールである。例えば、1つのかかる実施形態において、各R11は、水素、脂肪族、アミノアルキル、またはハロアルキルであり、R21及びR31は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族であり、R41は、水素、アルキルアミノ、アミノアルキル、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、各R11は、水素、脂肪族、アミノアルキル、またはハロアルキルであり、R21及びR31は、水素またはアミノアルキルであり、R41は、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、各R11及びR41は、独立して、水素、アルキル、またはアミノアルキルであり、R21及びR31は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、各R11及びR41は、独立して、水素、アルキル、-CHNH、-(CHN[(CHNH)]:ここで、d及びeは、独立して、2~4である;R21及びR31は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族である。この段落の上記の例示的な実施形態の各々において、m及びzは、独立して、0、1、2または3であってよく、nは、0または1である。
【0169】
式2aに相当する繰り返し単位を含むポリマーの合成のための例示的なアミンとして、限定されないが、表Aに見られるアミンが挙げられる。
【0170】
【表1】
【表2】
【0171】
式2aに相当するアミンの残基を含むポリマーの合成のための例示的な架橋剤として、限定されないが、表Bに見られる架橋剤が挙げられる。
【表3】
【0172】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2bに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、式2bに相当するアミンのラジカル重合によって調製される:
【化9】
式中、
m及びnは、独立して、負でない整数であり;
各R12は、独立して、水素、置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルであり;
22及びR32は、独立して、水素置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルであり;
42は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
は、
【化10】
であり;
は、アルキル、アミノアルキル、またはアルカノールであり;
各X13は、独立して、水素、ヒドロキシ、脂環式、アミノ、アミノアルキル、ハロゲン、アルキル、ヘテロアリール、ボロン酸またはアリールであり;
zは、負でない整数であり、
式2bに相当するアミンは、少なくとも1つのアリル基を含む。
【0173】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2bに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、式2bに相当するアミンのラジカル重合によって調製され、m及びzは、独立して、0、1、2または3であり、nは、0または1である。
【0174】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2bに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、式1に相当するアミンのラジカル重合によって調製され、(i)R12もしくはR42は、独立して、少なくとも1つのアリルもしくはビニル部位を含み、(ii)mは、正の整数であり、R22は、少なくとも1つのアリルもしくはビニル部位を含み、及び/または(iii)nは、正の整数であり、R32は、少なくとも1つのアリル部位を含む。例えば、1つのかかる実施形態において、m及びzは、独立して、0、1、2または3であり、nは、0または1である。例えば、1つのかかる実施形態において、R12またはR42は、組み合わされて、少なくとも2つのアリルまたはビニル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、正の整数であり、R12、R22及びR42は、組み合わされて、少なくとも2つのアリルまたはビニル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、nは、正の整数であり、R12、R32及びR42は、組み合わされて、少なくとも2つのアリルまたはビニル部位を含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、mは、正の整数であり、nは、正の整数であり、R12、R22、R32及びR42は、組み合わされて、少なくとも2つのアリルまたはビニル部位を含む。
【0175】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式2bに相当するアミンの残基を含む架橋アミンポリマーであり、架橋アミンポリマーは、式2bに相当するアミンのラジカル重合によって調製され、各R12は、独立して、水素、アミノアルキル、アリル、またはビニルであり、R22及びR32は、独立して、水素、アルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルカノール、ヘテロアリール、脂環式複素環、またはアリールであり、R42は、水素または置換ヒドロカルビルである。例えば、1つのかかる実施形態において、各R12は、アミノアルキル、アリルまたはビニルであり、R22及びR32は、独立して、水素、アルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルケニル、またはアルカノールであり、R42は、水素または置換ヒドロカルビルである。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、各R12及びR42は、独立して、水素、アルキル、アリル、ビニル、-(CHNHまたは-(CHN[(CHNH:ここで、d及びeは、独立して、2~4である;R22及びR32は、独立して、水素またはヘテロ脂肪族である。
【0176】
式2bによって記載されるポリマーの合成のための例示的なアミン及び架橋剤(またはその塩、例えばその塩酸、リン酸、硫酸、または臭化水素酸塩)として、限定されないが、表Cにおけるものが挙げられる。
【0177】
【表4】
【0178】
いくつかの実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、式1、1a、1b、1c、2、2a及び2bのいずれかに記載されているモノマーを利用して得られるプリフォームポリマーまたは式3に記載されている繰り返し単位から構成される直鎖状ポリマーと、外部架橋剤、または架橋部位として機能し得る既存のポリマー官能基との反応に由来する架橋アミンポリマーである。式3は、プリフォームコポリマーまたはターポリマーの繰り返し単位であり得、ここで、X15は、ランダム、交互、またはブロックコポリマーのいずれかである。式3における繰り返し単位は、分岐状または超分岐状であるプリフォームポリマーの繰り返し単位を表すこともでき、第1級の分岐点は、ポリマーの主鎖中のいずれの原子からであることもできる:
【化11】
式中、
15、R16及びR17は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシル、アミノ、ボロン酸またはハロであり;
15は、
【化12】
であり、
は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ(-O-)、またはアミノであり
zは、負でない整数である。
【0179】
一実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、水素、アリール、またはヘテロアリールであり、Xは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ、またはアミノであり、m及びzは、負でない整数である。別の実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、脂肪族またはヘテロ脂肪族であり、Xは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ(-O-)、またはアミノであり、m及びzは、負でない整数である。別の実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、不飽和脂肪族または不飽和ヘテロ脂肪族であり、Xは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ、またはアミノであり、zは、負でない整数である。別の実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、アルキル、またはヘテロアルキルであり、Xは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ、またはアミノであり、zは、負でない整数である。別の実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、アルキルアミノ、アミノアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ボロン酸、ハロ、ハロアルキル、アルカノール、またはエーテルであり、Xは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、オキソ、またはアミノであり、zは、負でない整数である。別の実施形態において、R15、R16及びR17は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシル、アミノ、ボロン酸またはハロであり、Xは、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、エーテル、アルカノール、またはハロアルキルであり、zは、負でない整数である。
【0180】
ラジカル重合反応において使用され得る例示的な架橋剤として、限定されないが、1個以上の多官能性架橋剤、例えば:1,4-ビス(アリルアミノ)ブタン、1,2-ビス(アリルアミノ)エタン、2-(アリルアミノ)-1-[2-(アリルアミノ)エチルアミノ]エタン、1,3-ビス(アリルアミノ)プロパン、1,3-ビス(アリルアミノ)-2-プロパノール、トリアリルアミン、ジアリルアミン、ジビニルベンゼン、1,7-オクタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,4-ジビニルオキシブタン、1,6-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、N,N’-ビス(ビニルスルホニルアセチル)エチレンジアミン、1,3-ビス(ビニルスルホニル)2-プロパノール、ビニルスルホン、N,N’-メチレンビスアクリルアミドポリビニルエーテル、ポリアリルエーテル、ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルオキシブタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0181】
式1~3におけるモノマー及びポリマーから誘導される架橋ポリマーは、溶液もしくはバルク、または分散媒体のいずれかにおいて合成されてよい。本開示のポリマーの合成に好適である溶媒の例として、限定されないが、水、低沸点アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘプタン、クロロベンゼン、トルエンが挙げられる。
【0182】
先に記述されているように、第1重合ステップの生成物は、直径が5~1000ミクロンの範囲、好ましくは10~500ミクロン、最も好ましくは40~180ミクロンに制御されている好ましくはビーズの形態である。
【0183】
第1重合ステップの生成物は、水中での膨潤比が2と10との間、より好ましくは約3~約8、最も好ましくは約4~約6である好ましくはビーズの形態である。
【0184】
加えて、第1重合ステップから得られる架橋ポリマービーズは、プロトン化されると、第2の架橋ステップにおける窒素-窒素架橋の量を低減し得る。したがって、ある特定の実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、塩基、好ましくは強塩基、例えば、水酸化物塩基による処理によって少なくとも部分的に脱プロトン化される。例えば、一実施形態において、塩基は、NaOH、KOH、NHOH、NaHCO、NaCO、KCO、LiOH、LiCO、CsOHまたは他の金属水酸化物であってよい。電荷が、プリフォーム架橋アミンポリマービーズから、脱プロトン化によって除去されると、ビーズがつぶれる傾向にあり、ビーズがつぶれるのを予防しない限り、第2ステップにおいて使用される架橋剤は、ポリマーにおける結合部位にアクセスできない場合がある。架橋ポリマービーズがつぶれるのを予防する1つの手段は、膨潤剤、例えば、水の使用によりビーズを膨潤することにより、第2ステップの架橋剤が結合部位にアクセスするのを可能にすることである。
【0185】
プリフォームポリマーは、少なくとも2個のアミン反応性官能基を含有する架橋化合物の範囲のいずれかを使用して重合後の架橋ポリマーを形成するように架橋されてよい。1つのかかる実施形態において、架橋剤は、ハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及びその誘導体、スルホネート及びその誘導体、アシルハライド、アジリジン、α,β-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、ならびにペンタフルオロアリール基からなる群から選択される少なくとも2個のアミン反応性基を含有する化合物である。架橋剤は、例えば、表Bから選択される架橋剤を含めた本明細書に開示されている架橋剤のいずれかであってよい。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、架橋剤は、ジハライド、例えば、ジクロロアルカンである。
【0186】
先に記述されているように、ある特定の実施形態において、プリフォームアミンポリマーのための膨潤剤は、架橋剤と併せて第2重合ステップのための反応混合物に含まれていてよい。一般に、膨潤剤及び架橋剤は、混和性であっても非混和性であってもよく、膨潤剤は、プリフォームアミンポリマーを膨潤する能力を有するいずれの組成物または組成物の組み合わせであってもよい。例示的な膨潤剤として、極性溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。加えて、反応混合物に含まれる膨潤剤の量は、典型的には、膨潤剤のためのプリフォームアミンポリマーの吸収能より少ない。例えば、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、4未満:1であることが一般に好ましい。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、3未満:1である。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、2未満:1である。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、1未満:1である。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、0.5未満:1である。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、0.4未満:1である。さらなる例として、いくつかの実施形態において、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、0.3未満:1である。一般に、しかし、反応混合物における膨潤剤対プリフォームポリマーの重量比は、典型的には、それぞれ、少なくとも0.05:1である。
【0187】
膨潤剤が水を含むとき、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約4未満:1(水対ポリマー)である。例えば、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約3.5未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約3未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約2.5未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約2未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約1.5未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約1未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約0.75未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約0.5未満:1である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、反応混合物は、水を膨潤剤として含み、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、約0.25未満:1である。一般に、しかし、水が膨潤剤として用いられるとき、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約0.15:1(水対ポリマー)であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約0.2:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約0.25:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約0.5:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約0.75:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約1:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約1.5:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約2:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約2.5:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約3:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。さらなる例として、一実施形態において、反応混合物における水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、典型的には、少なくとも約3.5:1であるが、プリフォームアミンポリマーの水吸収能未満である。このように、ある特定の実施形態において、水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、約0.15:1~約4:1の範囲である。さらなる例として、ある特定の実施形態において、水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、約0.2:1~約3.5:1の範囲である。さらなる例として、ある特定の実施形態において、水対プリフォームアミンポリマーの重量比は、約0.2:1~約3:1の範囲である。
【0188】
上記実施形態の各々において、反応混合物は、広範な量の架橋剤を含有していてよい。例えば、一実施形態において、架橋剤は、反応混合物において、プリフォームアミンポリマーの量に対して大過剰で使用されてよい。別の言い方をすれば、かかる実施形態において、架橋剤は、架橋溶媒であり、すなわち、反応混合物のための溶媒及びプリフォームアミンポリマーのための架橋剤の両方である。かかる実施形態において、他の溶媒が、反応混合物に任意選択的に含まれていてよいが、必要とされるわけではない。代替的に、プリフォームアミンポリマー、膨潤剤及び架橋剤は、架橋剤と混和性であって膨潤剤と非混和性である溶媒に分散されていてよい。例えば、いくつかの実施形態において、膨潤剤は極性溶媒であってよく;いくつかのかかる実施形態において、例えば、膨潤剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、またはこれらの組み合わせを含んでいてよい。さらなる例として、膨潤剤が極性溶媒を含むとき、反応混合物のための溶媒系は、非極性溶媒、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、またはこれらの組み合わせを典型的には含む。ある特定の実施形態において、架橋剤及び溶媒は同じであってよい;すなわち、溶媒は、架橋溶媒、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,3-ジクロロプロパン、1,4-ジクロロブタンまたはこれらの組み合わせである。
【0189】
反応混合物が膨潤剤を含むこれらの実施形態において、プリフォームアミンポリマーが反応混合物において膨潤剤と合わされる前に、プリフォームアミンポリマーを溶媒(代替的に、分散剤と称することがある)と合わせることが好ましい場合がある。ある特定の実施形態において、得られる架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーが膨潤剤と合わされる前に、プリフォームアミンポリマーが、膨潤剤と非混和性である溶媒(分散剤)と合わされるとき、凝集されにくい傾向がある。このように、ある特定の実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の25%未満が凝集されて凝集体になる。例えば、いくつかの実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の20%未満が凝集されて凝集体になる。さらなる例として、いくつかの実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の15%未満が凝集されて凝集体になる。さらなる例として、いくつかの実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の10%未満が凝集されて凝集体になる。さらなる例として、いくつかの実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の5%未満が凝集されて凝集体になる。さらなる例として、いくつかの実施形態において、重合後の架橋アミン粒子の集団からなる代表的なサンプルにおいて粒子の1%未満が凝集されて凝集体になる。凝集は、顕微鏡または他の粒度分布測定手段を使用して評価され得る。凝集の欠失は、巨視的及び/または微視的塊を欠く概して分離された遊離の流動ビーズとして定義され得る。粒度分布(他のいずれかの箇所に定義されているように)は、例えば重合後の架橋アミンポリマーの平均サイズ(d(50))及び/またはd(90)が、先に記載されているプリフォームアミンポリマーブレッドと比較して架橋ステップ後に増加するとき、凝集が起こることを示唆することができる。
【0190】
一実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、第1ステップにおいて形成され、プリフォームアミンポリマーは、第2ステップにおいて架橋されて、プリフォームアミンポリマーを第1及び第2ステップ間で単離することなく、重合後の架橋ポリマーを形成する(「ワンポット合成」と称されることがある)。例えば、1つのかかる実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、(本明細書において先に記載されているように)第1の反応混合物において形成され、次いで、プリフォームアミンポリマーを第1の反応混合物において単離することなく、プリフォームアミンポリマーが、本明細書に開示されている架橋剤(例えば、表Bから選択される架橋剤を含む)のいずれかを使用して架橋される。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、プリフォームポリマーは、本明細書に開示されている非極性溶媒(例えば、架橋溶媒を含む)のいずれかに分散されて反応混合物を形成してよく、膨潤剤が、反応混合物に添加される。1つのかかる例示的な実施形態において、架橋剤は、表Bから選択され、溶媒は、架橋性の水非混和性溶媒、例えば、1,2-ジクロロエタン(「DCE」)または1,3-ジクロロプロパン(「DCP」)であり、膨潤剤は、水を含む。上記実施形態の各々において、プリフォームポリマーは、式1、1a、1b、1c、2、2a及び2bのいずれかに記載されているモノマーの残基を含有するアミン含有ポリマー、または式3に記載されている繰り返し単位から構成される直鎖状ポリマーであってよく;例えば、上記の実施形態の各々において、プリフォームポリマーは、2個以上の小分子アミンの残基と、表Cに開示されている架橋剤とを含有していてよい。
【0191】
1つの例示的な実施形態において、プリフォームポリアミンポリマーは、例えば懸濁条件で架橋されて、目標とする粒子サイズ及び形態の粒子を生成し得る。架橋剤は、水混和性または水混和性のいずれであってもよい。水非混和性架橋剤(例えば、DCEまたはDCP)が分散剤として使用されるとき、例えば、SIB及び/またはSOBにおいて、実証されるように、高い塩化物結合選択性が達成される。
【0192】
一実施形態において、アミンポリマーは、同じ反応フラスコにおいて1つの反応系列で形成され、次いでさらに架橋され得る。架橋アミンポリマーは、例えば懸濁条件で調製されて、目標とする粒子サイズ及び形態の粒子を生成し得る。同じ反応フラスコにおいて、単離することなく、ビーズ中の水分含有量が、ディーンスターク法または他の同様の蒸発技術によって低下され得る。水は、第2架橋反応が行われて所望の特性及び特徴を有する最終ポリマーを生成することができるような目標とする量に調整される。
【0193】
一実施形態において、架橋アミンポリマーは、架橋剤によって架橋ポリマーに導入されたいずれの残りのアミン反応性基(例えば、アミン反応性官能基)の濃度も低減するように処理される。例えば、1つのかかる実施形態において、架橋ポリマー(例えば、先に記載されている重合後の架橋ポリマー)は、クエンチ剤、例えば、塩基によって処理され、洗浄され、加熱され、または他の場合には、処理されてアミン反応性基を除去またはクエンチする。例えば、一実施形態において、架橋ポリマーは、水酸化アンモニウムによって処理される。水酸化アンモニウム処理は、反応の直後、洗浄ステップの間、またはポリマーが洗浄及び加熱された後に行われ得、この場合、ポリマーは、別のシリーズの洗浄ステップを通して処理され得る。別の実施形態において、架橋ポリマーは、常套のまたは真空オーブンにおいて室温を超える温度で、ある期間、例えば60℃で36時間超加熱される。オーブンでのインキュベーションは、酸化の可能性を低減するために不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)下で行われてよい。
【0194】
一実施形態において、SGF、SIB及び/またはSOBにおけるクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して、第1の塩化物に関する選択性を特徴とするプリフォームアミンポリマーは、重合後架橋反応において架橋されて、SGF、SIB及び/またはSOBにおけるクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して、第2の(異なる)塩化物に関する選択性を有する架橋ポリマー(すなわち、重合後の架橋ポリマー)を付与する。1つのかかる実施形態において、プリフォームアミンポリマーは、少なくとも1つがアミン部位を含む多官能性試薬の置換重合の反応生成物である。別のかかる実施形態において、プリフォームポリマーは、少なくとも1個のアミン部位または窒素含有部位を含むモノマーのラジカル重合の反応生成物である。第2の架橋ステップ(プリフォームポリマーが単離された後、またはワンポット反応における第2ステップとして任意選択的に行われてよい)において、プリフォームアミンポリマーは、アミン部位を任意選択的に含有する多官能性架橋剤によって架橋される。
【0195】
1つの例示的な実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおいて、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少する。例えば、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームポリマーと比較して、SIBにおいて、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも10%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも25%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも50%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも75%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも100%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも125%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも150%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおける塩化物に関する能力が、SIBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも200%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも10%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも20%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも30%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも40%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも50%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも60%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも70%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも80%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも90%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SIBにおけるリン酸塩に関する能力が、SIBにおけるリン酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも95%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、(i)プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し(百分率増加が、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、またはさらに少なくとも200%である)、リン酸塩に関する結合能が減少し(百分率減少が、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらに少なくとも95%である)、(ii)プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少する。
【0196】
1つの例示的な実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩、クエン酸塩またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少する。例えば、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少する。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、合わされた、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する結合能が減少する。
【0197】
さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも10%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも25%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも50%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも75%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも100%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも125%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも150%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける塩化物に関する能力が、SOBにおける塩化物に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも200%超である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも10%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも20%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも30%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも40%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも50%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも60%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも70%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも80%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも90%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、SOBにおける、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する能力が、SOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関するプリフォームポリマーの結合能の少なくとも95%未満である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、重合後の架橋ポリマーは、(i)プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し(百分率増加が、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、またはさらに少なくとも200%である)、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩に関する結合能が減少し(百分率減少が、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらに少なくとも95%である)、(ii)プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける結合能が減少する。
【0198】
式1~3に記載されている出発分子は、本発明の1以上の他のモノマー、オリゴマーまたは他の重合可能な基と共重合されてよい。かかるコポリマー構造として、限定されないが、ブロックまたはブロック様ポリマー、グラフトコポリマー、及びランダムコポリマーを挙げることができる。式1~3に記載されているモノマーの混入は、1%~99%の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、コモノマーの混入は、20%と80%との間である。
【0199】
単独または組み合わされて使用されてよいコモノマーの非限定例として:スチレン、アリルアミン塩酸塩、置換アリルアミン塩酸塩、置換スチレン、アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテート、N-ビニルアミド、マレイン酸誘導体、ビニルエーテル、アリル(allyle)、メタリルモノマーならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらのモノマーの官能化されたバージョンが使用されてもよい。この発明において使用されてよいさらなる特異的なモノマーまたはコモノマーとして、限定されないが、2-プロペン-1-イルアミン、1-(アリルアミノ)-2-アミノエタン、1-[N-アリル(2-アミノエチル)アミノ]-2-アミノエタン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全異性体)、ブチルメタクリレート(全異性体)、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、aメチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全異性体)、ブチルアクリレート(全異性体)、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(全異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(全異性体)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(全異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(全異性体)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-N-ブチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-エチロールメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-Nブチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-エチロールアクリルアミド、4-アクリロイルモルホリン、ビニル安息香酸(全異性体)、ジエチルアミノスチレン(全異性体)、a-メチルビニル安息香酸(全異性体)、ジエチルアミノa-メチルスチレン(全異性体)、p-ビニルベンゼンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、マレイン酸無水物、N-フェニルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、アリルアミン、メタリルアミン、アリルアルコール、メチル-ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニル(vinylt)エーテル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、ビニルアセテート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0200】
プリフォーム架橋ポリマーに対するさらなる修飾は、限定されないが、アミンモノマー、さらなる架橋剤、及びポリマーを含めた修飾剤の添加を通してなされ得る。修飾は、共有結合または非共有結合法を通して達成され得る。これらの修飾は、プリフォーム架橋ポリマーの表面に偏向された修飾を含めたプリフォームポリマー材料全体を通して均等または不均等に分散され得る。さらに、修飾は、限定されないが、残存する反応性基、例えば、プリフォームポリマーにおけるハロアルキル基及びアリル基との間で起こる反応を含めて、プリフォーム架橋ポリマーの物性を変更するようになされ得る。プリフォーム架橋ポリマーに対する反応及び修飾は、限定されないが、酸塩基反応、求核置換反応、マイケル反応、非共有結合静電相互作用、疎水性相互作用、物理的相互作用(架橋)及びラジカル反応を挙げることができる。
【0201】
一実施形態において、重合後の架橋アミンポリマーは、式4に相当する構造を含む架橋アミンポリマーである:
【化13】
式中、各Rは、独立して、水素、または架橋アミンポリマーの2個の窒素原子間のエチレン架橋
【化14】
であり、a、b、c、及びmは、整数である。典型的には、mは、拡大されたポリマーネットワークを示す大きい整数である。1つのかかる実施形態において、a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)は、約1:1~5:1の範囲である。例えば、1つのかかる実施形態において、a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)は、約1.5:1~4:1の範囲である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)は、約1.75:1~3:1の範囲である。例えば、1つのかかる実施形態において、a及びbの合計の比は、57であり、cは、24であり、mは、拡大されたポリマーネットワークを示す大きい整数である。上記実施形態の各々において、a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)は、約2:1~2.5:1の範囲である。上記の実施形態の各々において記述されているように、各Rは、独立して、水素、または2個の窒素原子間のエチレン架橋であってよい。典型的には、しかし、R置換基の50~95%が、水素であり、5~50%が、エチレン架橋
【化15】
である。例えば、1つのかかる実施形態において、R置換基の55~90%が、水素であり、10~45%が、エチレン架橋
【化16】
である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の60~90%が水素であり、10~40%がエチレン架橋である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の65~90%が水素であり、10~35%が、エチレン架橋
【化17】
である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の70~90%が水素であり、10~30%が、エチレン架橋である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の75~85%が水素であり、15~25%が、エチレン架橋である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の80~85%が水素であり、15~20%が、エチレン架橋である。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、R置換基の約81%が水素であり、約19%が、エチレン架橋である。
【0202】
実施例により詳細に記載されているように、架橋及び/または絡み合いが増加したポリマーは、架橋及び/または絡み合いがより少ないものよりも膨潤が少ないことが見出され、また、妨害イオン、例えば、リン酸塩の結合が有意に低減された一方で、架橋及び/または絡み合いが少ないポリマー以上の、標的イオン(例えば、塩化物)に関する結合能も有した。選択性効果が2つの異なる方法で導入された:1)能力全体が、塩化物特異性のために犠牲になった。塩化物結合部位(例えば、エピクロロヒドリン)を含まない架橋剤は、架橋の増加を可能にするが、能力全体が、ポリマーに組み込まれる架橋剤の量に比例して減少される。2)能力全体が、塩化物特異性のために保存される:塩化物結合部位(例えば、ジアリルアミン)を含む架橋剤は、架橋の増加を可能にするが、能力全体は、同じのままであるか、または少量だけ低減される。
【0203】
本明細書に記載のポリマーは、正電荷の形成、続いてのアニオン結合のためのイオン結合特性、一般に、プロトン結合を示す。好ましい実施形態において、ポリマーは、塩化物結合特性を示す。イオン(例えば、塩化物)結合能は、特定のイオンの量の指標であり、イオン結合剤は、所与の溶液において結合することができる。例えば、イオン結合ポリマーの結合能は、インビトロ、例えば、水中、もしくは食塩溶液中、または、胃腸腔条件を代表するカチオン及びアニオンを含有する溶液/マトリクス中インビトロで、あるいは、例えば、イオン(例えば、重炭酸塩またはクエン酸塩)尿排泄からインビボで、あるいは、例えば吸引液、例えば、実験動物、患者またはボランティアから得られたチャイム/胃腸腔内容物を使用してエキソビボで測定され得る。測定は、標的イオンのみを含有する、またはポリマーに対する結合のための標的イオンと競合する他の競合溶質を少なくとも含まない溶液においてなされ得る。これらの場合において、非干渉緩衝液が使用される(例えば、さらなる塩化ナトリウムを含むまたは含まない、塩酸の溶液)。代替的には、測定は、他の競合溶質、例えば、樹脂に対する結合のための標的イオンと競合する他のイオンまたは代謝物を含有する干渉緩衝液においてなされ得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、塩酸に結合する。インビボ用途では、例えば、代謝性アシドーシスの治療において、ポリマーは、高いプロトン及び塩化物結合能を有することが望ましい。結合能のインビトロ測定は、インビボでの結合能に必ずしも解釈されない。そのため、結合能をインビトロの結合能及びインビボの結合能の両方の点で定義することが有用である。
【0205】
HClにおける、本発明のポリマーのインビトロでの塩化物結合能は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15mmol/g超であり得る。いくつかの実施形態において、標的イオンに関する、本発明のポリマーのインビトロでの塩化物結合能は、約5.0mmol/g超、好ましくは約7.0mmol/g超、さらにより好ましくは約9.0mmol/g超、なおさらにより好ましくは約10.0mmol/g超である。いくつかの実施形態において、塩化物結合能は、約5.0mmol/g~約25mmol/g、好ましくは約7.5mmol/g~約20mmol/g、さらにより好ましくは約10mmol/g~約15mmol/gの範囲であり得る。塩化物結合能を決定するためのいくつかの技術が当該分野において公知である。
【0206】
インビボでの最大結合能(すなわち、ヒトのGI管において遭遇されやすい条件で結合された[プロトン及び]塩化物の最大量)は、人工胃液アッセイ(「SGF」)において12~16時間の塩化物結合によって評価され得、モノマー及び架橋剤がどれだけ良好に組み込まれたかに関する構造的指標である。SGF値は、ポリマーの理論最大結合能の実験的確認を表し、出発物質の化学量論に基づいて計算された能力と同じ範囲内にある。
【0207】
プロトン結合を平衡にするために、塩化物は、その除去が血清重炭酸塩に負の影響を及ぼさないため、結合対象のアニオン選択肢である。プロトン正電荷を中和するように結合される塩化物以外のアニオンとして、リン酸塩、短鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸、胆汁酸または他の有機もしくは無機アニオンが挙げられる。塩化物以外のこれらのアニオンの結合は、細胞内及び細胞外区画における重炭酸塩貯蔵全体に影響する。
【0208】
塩化物の結合に関するポリマーの選択性は、GI腔において遭遇される種々の条件、アニオン、及びアニオン濃度を模倣する条件を使用してインビトロで評価され得る。塩化物結合は、リン酸塩単独と比較され得る(例えば、SIB[人工腸緩衝液];またはGI管において見られる範囲のアニオン(例えば、SOB)。
【0209】
いくつかの実施形態において、37℃で試験緩衝液にポリマーを1時間暴露した後のSIBアッセイにおける塩化物結合は、約2.0mmol/ポリマー(g)を超え、好ましくは約2.5mmol/ポリマー(g)を超え、より好ましくは約3.0mmol/ポリマー(g)を超え、さらにより好ましくは約3.5mmol/ポリマー(g)を超え、最も好ましくは約4.0mmol/ポリマー(g)を超える。
【0210】
いくつかの実施形態において、37℃で試験緩衝液にポリマーを2時間暴露した後のSOBアッセイにおける塩化物結合は、約1.0mmol/ポリマー(g)を超え、好ましくは約2.0mmol/ポリマー(g)を超え、より好ましくは約3.0mmol/ポリマー(g)を超え、さらにより好ましくは約3.5mmol/ポリマー(g)を超え、最も好ましくは約4.0mmol/ポリマー(g)を超える。
【0211】
いくつかの実施形態において、37℃で試験緩衝液にポリマーを24時間暴露した後のSOBアッセイにおける塩化物結合は、約0.5mmol/ポリマー(g)を超え、好ましくは約1mmol/ポリマー(g)を超え、より好ましくは約1.5mmol/ポリマー(g)を超え、さらにより好ましくは約2.0mmol/ポリマー(g)を超え、さらにより好ましくは約2.5mmol/ポリマー(g)を超え、最も好ましくは約3.0mmol/ポリマー(g)を超える。37℃で24時間暴露後のSOBにおける塩化物結合は、ポリマーがGI管を通過するときに塩化物を保持させる能力の一指標である。
【0212】
(プロトン及び)塩化物保持を測定する別の方法は、まず、ポリマーをSGFに暴露してポリマーを単離し、次いで、ポリマーをSOBに暴露してポリマーを再び単離し、次いで、例えば「GIコンパートメント通過アッセイ」(GICTA)緩衝液を使用してポリマーを腸管の典型的である条件に暴露する。いくつかの実施形態において、SGFに1時間暴露し、次いで37℃でSOBに2時間暴露し、次いで37℃でGICTAに48時間暴露した後のポリマーに結合した残存する塩化物の量は、約0.5mmol/ポリマー(g)を超え、好ましくは約0.5mmol/ポリマー(g)を超え、より好ましくは約1.0mmol/ポリマー(g)を超え、さらにより好ましくは約2.0mmol/ポリマー(g)を超え、最も好ましくは約3.0mmol/ポリマー(g)を超える。一実施形態において、ポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において最初に結合された(すなわち、SGF結合ステップの際に結合された)塩化物の少なくとも30%の保持塩化物含量を有する。1つのかかる実施形態において、架橋アミンポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%の保持塩化物含量を有する。一実施形態において、ポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する。一実施形態において、架橋アミンポリマーは、GIコンパートメント通過アッセイにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%の保持塩化物含量及びGIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、またはさらに少なくとも5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する。
【0213】
いくつかの実施形態において、本開示のポリマーのインビボでの結合性能は、正常な腎機能を有するヒトを含めた動物に投与した後の尿酸レベルの変化を測定することによって評価され得る。投与されたポリマーの作用による体からのさらなるHCl(またはHCl等価物)の除去は、代謝平衡に達するのに十分な時間を前提として、尿重炭酸塩、滴定酸、クエン酸塩または他の尿酸排泄の指標の変化に反映される。
【0214】
プロトンに結合するために、ポリマーのアミン構成要素は、第1級、第2級または第3級アミンであり得るが、第4級アミンではない。第4級アミンは、全ての生理学的条件で実質的に帯電された状態であり、そのため、アニオンが結合される前にプロトンに結合しない。第4級アミンの百分率は、滴定及び逆滴定アプローチを含む多数の方法で測定され得る。別の簡単であるが正確な方法は、低及び高pHでアニオン(例えば、塩化物)結合を比較することである。低pH(例えば、SGF緩衝液条件;pH1.2)での塩化物結合は、第4級アミンを他のアミンと区別しないが、高pH(例えば、QAA緩衝液条件;pH11.5)での塩化物結合アッセイでは区別される。この高pHでは、第1級、第2級及び第3級アミンは、実質的にプロトン化されず、塩化物結合に貢献しない。そのため、これらの条件下で観察されるいずれの結合も、恒久的に帯電した第4級アミンの存在に帰属され得る。低pH(例えば、SGF条件)対高pH(例えば、QAA条件)での塩化物結合の比較は、第4級化の程度の指標であり、延長線上で考えて、塩化物と併せての結合したプロトンの量の指標である。本開示のポリマーは、40%、30%、20%、10%、最も好ましくは5%以下の第4級アミンを含有する。
【0215】
本開示のポリマーの膨潤比は、架橋の程度の実験的確認、ならびに延長線上で考えて、ポリマーの相対的な孔サイズ、及び塩化物より大きい(または、より大きい水和比を有する)アニオンへのアクセス性を表す。いくつかの実施形態において、膨潤は、脱イオン水中で測定され、乾燥ポリマーのグラム当たりの水のグラムで表される。本開示のポリマーは、≦5g/g、≦4g/g、≦3g/g、≦2g/gまたは≦1g/gの、脱イオン水中での膨潤比を有する。
【0216】
ポリマーがGI腔において実験される異なる条件を通過するときの塩化物を保持させる能力(及びこれを放出せず、他のアニオンとの交換を可能にする)は、相対的なインビボでの効能の予測因子となりやすい重要な特徴である。GI区画移動アッセイ(GICTA)は、塩化物保持を評価するのに使用され得る。SGF及び次いでSOB(人工腸管有機/無機緩衝液)のスクリーニングは、まず、塩化物及び他のアニオンがポリマーに結合することを可能にするように実施され、ポリマーが単離され、腸(例えば、GICTA保持アッセイマトリクス)を模倣する条件に40時間暴露される。ポリマーが再び単離され、ポリマーに結合した残存するアニオンが水酸化ナトリウムに溶出され、測定される。本開示のポリマーは、記載されているように塩化物保持アッセイを受けた後でSGFにおいて結合される塩化物の30%、40%、50%、60%、70%、80%超または最も好ましくは90%超を保持させる。
【0217】
不均一重合プロセスを使用して、ポリマー粒子が球形ビーズとして得られ、その直径は、5~1000ミクロンの範囲、好ましくは10~500ミクロン、最も好ましくは40~180ミクロンに制御される。
【0218】
一般に、本開示の医薬組成物は、本明細書に記載されている、プロトン結合性の架橋アミンポリマーを含む。好ましくは、架橋アミンポリマーを含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。ポリマーが投与される薬剤の形態として、粉剤、錠剤、ピル、トローチ剤、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁剤、シロップ、軟質または硬質ゼラチンカプセルなどが挙げられる。一実施形態において、医薬組成物は、架橋アミンポリマーのみを含む。代替的に、医薬組成物は、架橋アミンポリマーに加えて、担体、希釈剤、または賦形剤を含んでいてよい。これらの製剤ならびにその他に使用されてよい担体、賦形剤、及び希釈剤の例として、食品、飲料、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、カルシウムシリケート、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、及びタルクが挙げられる。医薬組成物において有用な薬学的賦形剤として、結合剤、例えば、微結晶セルロース、コロイダルシリカならびにこれらの組み合わせ(Prosolv90)、カーボポール、ポビドン(providone)及びキサンタンガム;香味剤、例えば、スクロース、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、またはソルビトール;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び野菜ベースの脂肪酸;ならびに、任意選択的に、崩壊剤、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ゲランガム、セルロースの低置換ヒドロキシプロピルエーテル、デンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。他の添加剤として、可塑剤、顔料、タルクなどが挙げられ得る。かかる添加剤及び他の好適な成分は、当該分野において周知であり;例えば、Gennaro A R(ed),Remington’s pharmaceutical Sciences,20th Editionを参照されたい。
【0219】
一実施形態において、本開示の架橋アミンポリマーを含む医薬組成物は、比較的低量のナトリウムを含有する。例えば、1つのかかる実施形態において、医薬組成物は、用量当たり1g未満のナトリウムを含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、医薬組成物は、用量当たり0.5g未満のナトリウムを含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、医薬組成物は、用量当たり0.1g未満のナトリウムを含む。さらなる例として、1つのかかる実施形態において、医薬組成物は、ナトリウム不含である。
【0220】
一実施形態において、新規の慢性代謝性アシドーシス治療の1日用量は、服薬遵守向上(1日当たりおよそ5g以下)であり、これらの1日用量で臨床的に有意かつ持続性のおよそ3mEq/Lの血清重炭酸塩の増加を達成する。ポリマーの非吸収の性質及びナトリウム負荷の欠失、ならびに/またはかかる経口薬物に有害な他のイオンの導入は、血圧/高血圧を悪化させることなく、ならびに/または、体液貯留及び体液過剰の増大を引き起こすことなく、代謝性アシドーシスの慢性治療を初めて可能にするものである。別の利益は、腎臓疾患の進行及び生涯の腎代替治療(週に3回の透析を含めた末期腎疾患「ESRD」)の開始または腎移植の必要性の時期のさらなる遅延である。いずれも高い死亡率、生活の質の低さ、及び世界中の健康管理システムへのかなりの負担に関連する。米国のみで、400,000人のESRD患者のおよそ20%が死亡し、100,000人の新規の患者が毎年透析を開始する。
【0221】
一実施形態において、医薬組成物は、血清重炭酸塩を増加させ、結合HClにより哺乳動物における血液pHを正常化する、代謝性アシドーシスの治療のためのナトリウム不含で非吸収の架橋アミンポリマーを含む。1つの好ましい実施形態は、胃/上部GI管におけるポリマー結合H、続いて、少なくとも1.6mEq/L、より好ましくは少なくとも2mEq/L、最も好ましくは3mEq/L以上の臨床的に有意な血清重炭酸塩増加を引き起こすのに十分な量で結合Clを含む。HCl結合の量は、ポリマーの能力(HCl結合能の目標とする範囲は5~20mEqのHCl/ポリマー1g)及び選択性によって決定される。胃において、遊離アミンは、結合Hによってプロトン化される。ポリマーにおいてインサイチュで形成された正電荷は、架橋による結合部位のアクセス(サイズ排除、メッシュサイズ)、及び化学部位(調整された親水性/疎水性により、より大きな有機イオン(例えば、結腸に一般的に存在する酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩または他の短鎖脂肪酸)、リン酸塩、胆汁及び脂肪酸を遠ざけるための)を制御することによって、次いで、Clを結合するのに利用可能となり;塩化物以外のアニオンが、仮にあったとしても、より低い程度で結合する。ビーズ架橋、及びアミン結合部位の化学的性質を調整することにより、塩化物が密に結合して、下部GI管において放出されないことを確実にすることができる。HClは、規則的な便通/糞便によって体から除去されて、正味のHCl結合を結果として生じる。別の実施形態において、ポリマーは、いくつかの第4級化/プロトン化されたアミン基によって予め形成されることになり、塩化物結合は、ポリマーにおけるカチオン結合部位の最大で90%までに対イオンとしてのクエン酸塩及び/またはカーボネートが予め投入されていることになるクエン酸塩またはカーボネートとのイオン交換を通して達成される。
【0222】
一実施形態において、血清重炭酸塩を増加させ、哺乳動物における血液pHを正常化する、代謝性アシドーシスの治療のためのナトリウム不含で非吸収性の架橋アミンポリマーの重要な特徴は、糖尿病性腎臓疾患患者において特に懸念される血圧を増加させず、または高血圧を悪化させないことである。ナトリウムを導入しないさらなる利益は、心不全患者において特に懸念される体液過剰を引き起こす関係する体液貯留量増加の欠失である。有害な対イオンを導入することなく代謝性アシドーシスを安全かつ有効に治療するポリマーの能力は、未だ透析に至っていない慢性腎疾患患者において特に懸念される腎臓疾患の進行の遅延を可能にする。透析の開始を、少なくとも3、6、9または12ヶ月遅延することができた。
【0223】
代謝性アシドーシスの治療のためのナトリウム不含の非吸収性のアミンポリマーのなお別の実施形態において、ポリマーは、(i)GI管を通しての能動的または活性な吸収を回避するのに十分に大きく、また、(ii)40~180ミクロンの平均粒子サイズを有する粉剤、サシェ及び/またはチュアブル錠剤/剤形として摂取されるときにザラザラしたまたは不快な口当たりを引き起こさないように十分に小さい好ましい粒子サイズ範囲を有する架橋ビーズである。好ましくは、所望の粒子サイズ形態は、不均一重合反応、例えば、懸濁または乳化重合を通して達成される。GI管を通しての高容量のポリマーゲルの移動にしばしば関係する患者におけるGI副作用を最小化するために、ポリマーの膨潤比が低いことが好ましい(水中の自身の重量の0.5~5倍)。なお別の実施形態において、ポリマーは、結腸及び腸においてCl/HCO 交換体(対向輸送体)をブロックするポリマーにまたはそれ自身に恒久的に/共有結合により及び/または一時的に結合される分子実体を有する。対向輸送体をブロックする正味の効果は、腸管腔からのClの摂取、及び血清からの重炭酸塩との関係する交換を低減することにより、血清重炭酸塩を効果的に増加させることである。
【0224】
一実施形態において、架橋アミンポリマーは、治療される状態に応じて他の有効な医薬品と共に投与されてよい。この共投与として、同じ剤形の2つの剤の同時投与、別々の剤形の同時投与、及び別々の投与が挙げられ得る。例えば、代謝性アシドーシスの治療のために、架橋アミンポリマーは、限定されないが、高血圧、糖尿病、肥満、心不全、及び慢性腎臓疾患の合併症を含めた基礎となる共存疾患を治療するのに必要とされる一般的な治療と共に投与されてよい。これらの薬物及び架橋アミンポリマーは、これらが、いずれの臨床的に有意な薬物-薬物-相互作用も示さない限り、同じ剤形で一緒に製剤化されても、同時に投与されてもよい。代替的に、これらの治療及び架橋アミンポリマーは、一方の投与に続く他方の投与により、別々に、逐次的に投与されてよい。
【0225】
本開示は、以下に列挙された実施形態をさらに含む。
【0226】
実施形態1.架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、反応混合物においてプリフォームアミンポリマーを架橋して架橋アミンポリマーを形成することを含み、反応混合物が、プリフォームアミンポリマー、溶媒、架橋剤、及びプリフォームアミンポリマーのための膨潤剤を含んでおり、プリフォームアミンポリマーが、膨潤剤のための吸収能を有し、反応混合物中の膨潤剤の量が、膨潤剤のためのプリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低い、プロセス。
【0227】
実施形態2.粒子状の架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)アミン含有モノマーを重合して、粒子状のプリフォームアミンポリマーを形成することと、(ii)プリフォームアミンポリマーを塩基によって脱プロトン化することと、(iii)脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(iv)プリフォームアミンポリマーを、反応混合物において、アミン反応性部位を含む架橋剤によって架橋することとを含み、炭素-炭素架橋が、重合ステップにおいて主に形成され、窒素-窒素架橋が、架橋ステップにおいて主に形成される、プロセス。
【0228】
実施形態3.粒子状の架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、粒子状の架橋アミンポリマーを重合/架橋の少なくとも2ステップにおいて形成することを含み、第1ステップが、アミン含有モノマーを重合して、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有するプリフォームアミンポリマーを形成することを含み、第2ステップが、プリフォームアミンポリマーを、反応混合物において、架橋剤によって架橋して、プリフォームアミンポリマー内に窒素-窒素架橋を生成することを含む、プロセス。
【0229】
実施形態4.粒子状の架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、重合/架橋の少なくとも2つの別々のステップを含み、第1ステップが、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有するプリフォームアミンポリマーを形成することを含み、第2ステップが、プリフォームアミンポリマーを、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋して、反応混合物において、重合後の架橋アミンポリマーを形成することを含み、得られる重合後の架橋アミンポリマーにおいて、SIBまたはSOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が、同じアッセイにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関するプリフォームアミンポリマーの結合能より小さい、プロセス。
【0230】
実施形態5.粒子状の架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能、2~10の範囲の膨潤比、及び少なくとも80ミクロンの平均粒径を有するプリフォームアミンポリマーを形成することと、(ii)プリフォームアミンポリマーを塩基によって少なくとも部分的に脱プロトン化することと、(iii)脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーを、反応混合物において、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋して、重合後の架橋アミンポリマーを形成することを含む、プロセス。
【0231】
実施形態6.粒子状の架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有するプリフォームアミンポリマーを形成することと、(ii)プリフォームアミンポリマーを塩基によって少なくとも部分的に脱プロトン化することと、(iii)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤と接触させて、脱プロトン化されたプリフォームアミンポリマーを膨潤することと、(iv)反応混合物において、膨潤された脱プロトン化プリフォームアミンポリマーを、アミン反応性部位を含有する架橋剤によって架橋し、重合後の架橋アミンポリマーを形成することを含む、プロセス。
【0232】
実施形態7.膨潤剤が極性溶媒である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0233】
実施形態8.膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせである、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0234】
実施形態9.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0235】
実施形態10.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0236】
実施形態11.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0237】
実施形態12.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0238】
実施形態13.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0239】
実施形態14.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0240】
実施形態15.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0241】
実施形態16.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0242】
実施形態17.架橋剤が、少なくとも2個のアミン反応性官能基を含む、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0243】
実施形態18.架橋剤が、アルキルハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及びその誘導体、スルホネート及びその誘導体、アシルハライド、アジリジン、α,β-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、及びペンタフルオロアリール基からなる群から選択される少なくとも2個のアミン反応性基を含有する化合物である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0244】
実施形態19.架橋剤が、表Bから選択される架橋剤である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0245】
実施形態20.架橋剤が、ジクロロアルカンである、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0246】
実施形態21.架橋剤が、ジクロロエタンまたはジクロロプロパンである、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0247】
実施形態22.反応混合物が、非極性溶媒を含む、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0248】
実施形態23.反応混合物が、架橋溶媒を含む、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0249】
実施形態24.膨潤剤及び溶媒が、非混和性である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0250】
実施形態25.膨潤剤及び架橋剤が、非混和性である、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0251】
実施形態26.プリフォームポリマーは、ポリマーが膨潤剤と合わされる前に、架橋剤及び溶媒と合わされる、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0252】
実施形態27.プリフォームアミンポリマーを溶媒系において形成することをさらに含み、架橋アミンポリマーが、プリフォームアミンポリマーを溶媒系から単離することなく形成される、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0253】
実施形態28.プリフォームアミンポリマーが、表Cから選択されるアミンの残基を含む、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0254】
実施形態29.プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化18】
式中、R、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり、しかし、R、R及びRの少なくとも1つが、水素以外であることとする;いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0255】
実施形態30.プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、いずれかの上記に列挙された実施形態に記載のプロセス。
【0256】
実施形態31.架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、実施形態30に記載のプロセス。
【0257】
実施形態32.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態30に記載のプロセス。
【0258】
実施形態33.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態30に記載のプロセス。
【0259】
実施形態34.架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、反応混合物においてプリフォームアミンポリマーを架橋して架橋アミンポリマーを形成することを含み、反応混合物が、プリフォームアミンポリマー、溶媒、及び架橋剤を含んでおり、プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、プロセス。
【0260】
実施形態35.架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、実施形態34に記載のプロセス。
【0261】
実施形態36.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態34に記載のプロセス。
【0262】
実施形態37.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態34に記載のプロセス。
【0263】
実施形態38.架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、段落[0042]~[0066]のいずれかに記載されているように、SGF、SIB及び/またはSOBにおけるクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する結合能及び/または塩化物に関する選択性を特徴とする、医薬組成物。
【0264】
実施形態39.実施形態38の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することにより、ヒトを含む動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【0265】
実施形態40.実施形態1~37のいずれかに記載のプロセスによって調製される架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することにより、ヒトを含む動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【0266】
実施形態41.架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(ii)分散溶媒、架橋剤、及び膨潤剤を含む反応混合物に、プリフォームアミンポリマーを分散させることと、(iii)反応混合物において、プリフォームアミンポリマーを架橋して、架橋アミンポリマーを形成することとを含み、プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、膨潤剤のための吸収能を有しており、反応混合物中の膨潤剤の量が、膨潤剤のためのプリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低い、プロセス。
【0267】
実施形態42.プリフォームアミンポリマーを、膨潤剤によって膨潤する前に、塩基によって脱プロトン化することをさらに含む、実施形態41に記載のプロセス。
【0268】
実施形態43.プリフォームアミンポリマーにおける架橋が、主に炭素-炭素架橋であり、窒素-窒素架橋が、架橋ステップにおいて主に形成される、実施形態41または42に記載のプロセス。
【0269】
実施形態44.プリフォームアミンポリマーが、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有し、架橋アミンポリマーは、SIBまたはSOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が、同じアッセイにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関するプリフォームアミンポリマーの結合能より小さい、実施形態41~43のいずれかに記載のプロセス。
【0270】
実施形態45.分散溶媒が、非極性溶媒を含む、実施形態41~44のいずれかに記載のプロセス。
【0271】
実施形態46.分散溶媒が、プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である溶媒を含む、実施形態41~45のいずれかに記載のプロセス。
【0272】
実施形態47.分散溶媒が、架橋溶媒を含む、実施形態41~46のいずれかに記載のプロセス。
【0273】
実施形態48.架橋剤が、分散溶媒である、請求項41~44のいずれかに記載のプロセス。
【0274】
実施形態49.膨潤剤及び分散溶媒が非混和性である、実施形態41~48のいずれかに記載のプロセス。
【0275】
実施形態50.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、実施形態41~49のいずれかに記載のプロセス。
【0276】
実施形態51.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、実施形態41~50のいずれかに記載のプロセス。
【0277】
実施形態52.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、実施形態41~51のいずれかに記載のプロセス。
【0278】
実施形態53.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、実施形態41~52のいずれかに記載のプロセス。
【0279】
実施形態54.架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤させることと、(ii)プリフォームアミンポリマーを架橋して、架橋剤及び膨潤剤を含む反応混合物において、架橋アミンポリマーを形成することとを含み、プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、膨潤剤のための吸収能を有しており、反応混合物中の膨潤剤の量が、膨潤剤のためのプリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低く、反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、プロセス。
【0280】
実施形態55.膨潤剤が極性溶媒である、実施形態41~54のいずれかに記載のプロセス。
【0281】
実施形態56.膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせである、実施形態41~55のいずれかに記載のプロセス。
【0282】
実施形態57.膨潤剤が水である、実施形態41~56のいずれかに記載のプロセス。
【0283】
実施形態58.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、実施形態41~57のいずれかに記載のプロセス。
【0284】
実施形態59.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、実施形態41~58のいずれかに記載のプロセス。
【0285】
実施形態60.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、実施形態41~59のいずれかに記載のプロセス。
【0286】
実施形態61.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、実施形態41~60のいずれかに記載のプロセス。
【0287】
実施形態62.架橋剤が、少なくとも2個のアミン反応性官能基を含む、実施形態41~61のいずれかに記載のプロセス。
【0288】
実施形態63.架橋剤が、アルキルハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及びその誘導体、スルホネート及びその誘導体、アシルハライド、アジリジン、α,β-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、及びペンタフルオロアリール基からなる群から選択される少なくとも2個のアミン反応性基を含有する化合物である、実施形態41~62のいずれかに記載のプロセス。
【0289】
実施形態64.架橋剤が、表Bから選択される架橋剤である、実施形態41~63のいずれかに記載のプロセス。
【0290】
実施形態65.架橋剤が、ジクロロアルカンである、実施形態41~64のいずれかに記載のプロセス。
【0291】
実施形態66.架橋剤が、ジクロロエタンまたはジクロロプロパンである、実施形態41~65のいずれかに記載のプロセス。
【0292】
実施形態67.膨潤剤及び架橋剤が、非混和性である、実施形態41~66のいずれかに記載のプロセス。
【0293】
実施形態68.プリフォームポリマーが、ポリマーが膨潤剤によって膨潤される前に、架橋剤及び分散溶媒と合わされる、実施形態41~67のいずれかに記載のプロセス。
【0294】
実施形態69.プリフォームアミンポリマーを溶媒系において形成することをさらに含み、架橋アミンポリマーが、プリフォームアミンポリマーを溶媒系から単離することなく形成される、実施形態41~68のいずれかに記載のプロセス。
【0295】
実施形態70.プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化19】
実施形態41~69のいずれかに記載のプロセス。
【0296】
実施形態71.プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む:
【化20】
式中、R及びRが、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである;実施形態41~69のいずれかに記載のプロセス。
【0297】
実施形態72.R及びRが、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、請求項71に記載のプロセス。
【0298】
実施形態73.R及びRが、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである、請求項71に記載のプロセス。
【0299】
実施形態74.プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、実施形態41~73のいずれかに記載のプロセス。
【0300】
実施形態75.プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、実施形態41~74のいずれかに記載のプロセス。
【0301】
実施形態76.プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、実施形態41~75のいずれかに記載のプロセス。
【0302】
実施形態77.プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、実施形態41~76のいずれかに記載のプロセス。
【0303】
実施形態78.プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、実施形態41~77のいずれかに記載のプロセス。
【0304】
実施形態79.架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、実施形態78に記載のプロセス。
【0305】
実施形態80.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態78に記載のプロセス。
【0306】
実施形態81.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態78に記載のプロセス。
【0307】
実施形態82.架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、反応混合物において、プリフォームアミンポリマーを架橋して、架橋アミンポリマーを形成することを含み、反応混合物が、プリフォームアミンポリマー、プリフォームアミンポリマーを膨潤する膨潤剤、及びジクロロエタンを含んでいる、プロセス。
【0308】
実施形態83.反応混合物が、分散溶媒を含む、実施形態82に記載のプロセス。
【0309】
実施形態84.反応混合物が、プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である分散溶媒分散溶媒を含む、実施形態82または83に記載のプロセス。
【0310】
実施形態85.反応混合物が、分散溶媒を含み、分散溶媒が、ジクロロエタンである、実施形態82または83に記載のプロセス。
【0311】
実施形態86.膨潤剤及びジクロロエタンが、非混和性である、実施形態82~85のいずれかに記載のプロセス。
【0312】
実施形態87.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0313】
実施形態88.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0314】
実施形態89.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0315】
実施形態90.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0316】
実施形態91.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0317】
実施形態92.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0318】
実施形態93.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0319】
実施形態94.反応混合物における膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、実施形態82~86のいずれかに記載のプロセス。
【0320】
実施形態95.プリフォームアミンポリマーが、反応混合物において架橋される前に、塩基によって脱プロトン化される、実施形態82~94のいずれかに記載のプロセス。
【0321】
実施形態96.プリフォームアミンポリマーが架橋され、該架橋が、主に炭素-炭素架橋である、実施形態82~95のいずれかに記載のプロセス。
【0322】
実施形態97.膨潤剤が極性溶媒である、実施形態82~96のいずれかに記載のプロセス。
【0323】
実施形態98.膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、またはこれらの組み合わせである、実施形態82~96のいずれかに記載のプロセス。
【0324】
実施形態99.膨潤剤が水である、実施形態82~96のいずれかに記載のプロセス。
【0325】
実施形態100.プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化21】
実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0326】
実施形態101.プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む:
【化22】
式中、R及びRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである;実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0327】
実施形態102.R及びRが、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、実施形態101に記載のプロセス。
【0328】
実施形態103.R及びRが、独立して、水素、アリル、またはアミノアルキルである、実施形態101に記載のプロセス。
【0329】
実施形態104.プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0330】
実施形態105.プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0331】
実施形態106.プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0332】
実施形態107.プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、実施形態82~99のいずれかに記載のプロセス。
【0333】
実施形態108.プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しており、または
(iv)架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、実施形態82~107のいずれかに記載のプロセス。
【0334】
実施形態109.架橋ポリマーは、プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、実施形態108に記載のプロセス。
【0335】
実施形態110.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態108に記載のプロセス。
【0336】
実施形態111.プリフォームアミンポリマーと比較して、重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、実施形態108に記載のプロセス。
【0337】
実施形態112.人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0338】
実施形態113.それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0339】
実施形態114.人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも1mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.4mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0340】
実施形態115.それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比、及び5未満の膨潤比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0341】
実施形態116.GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において最初に結合された塩化物の少なくとも30%の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0342】
実施形態117.GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0343】
実施形態118.架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量、及びGICTAにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%の、GICTA終了時の塩化物保持率を有する、医薬組成物。
【0344】
実施形態119.1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0345】
実施形態120.24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0346】
実施形態121.1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも5mmol/gの塩化物イオン結合能、24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおいて少なくとも8mmol/gの塩化物イオン結合能、及び24時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能の少なくとも50%である、1時間人工胃液(「SGF」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0347】
実施形態122.少なくとも2.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0348】
実施形態123.少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、2時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能、及び少なくとも2.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0349】
実施形態124.人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0350】
実施形態125.人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーと、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において24時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
【0351】
実施形態126.少なくとも5.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0352】
実施形態127.段落[0038]~[0056]のいずれかに記載されている架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、架橋アミンポリマーが、少なくとも6(100mM NaClにおいて測定、平衡において)のpKaを有する、医薬組成物。
【0353】
実施形態128.(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0354】
実施形態129.(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0355】
実施形態130.(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも2mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0356】
実施形態131.(i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)においてそれぞれ少なくとも2.3:1の塩化物対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0357】
実施形態132.(i)人工胃液において1時間で少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能、ならびに(ii)人工胃液において少なくとも8mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0358】
実施形態133.人工胃液における24時間での架橋アミンポリマーのそれぞれプロトン結合能及び塩化物結合能の少なくともX%である、人工胃液における1時間でのプロトン結合能及び塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物であって、X%が少なくとも50%である、医薬組成物。
【0359】
実施形態134.(i)人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性、ならびに(ii)少なくとも4mmol/gの、SOBにおける24時間での塩化物結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0360】
実施形態135.(i)1時間、(ii)4時間、(iii)12時間、(iv)18時間、(v)24時間、(vi)30時間、(vii)36時間、またはさらに(viii)48時間で人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0361】
実施形態136.(i)1時間、(ii)2時間、(iii)3時間、(iv)4時間、及び/または(v)4時間超で人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
【0362】
実施形態137.実施形態122~136のいずれかに記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【0363】
実施形態138.実施形態41~111のいずれかに記載のプロセスによって調製される架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【0364】
実施形態139.式4に相当する構造:
【化23】
式中、各Rは、独立して、水素、または架橋アミンポリマーの2個の窒素原子間のエチレン架橋
【化24】
であり、a、b、c、及びmは、整数である;を含むポリマー。
【0365】
実施形態140.mは、拡大されたポリマーネットワークを示す大きい整数である、実施形態139に記載のポリマー。
【0366】
実施形態141.a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1:1~5:1の範囲である、実施形態139または140に記載のポリマー。
【0367】
実施形態142.a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.5:1~4:1の範囲である、実施形態139または140に記載のポリマー。
【0368】
実施形態143.a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.75:1~3:1の範囲である、実施形態139または140に記載のポリマー。
【0369】
実施形態144.a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約2:1~2.5:1の範囲である、実施形態139または140に記載のポリマー。
【0370】
実施形態145.a及びbの合計が57であり、cが、24である、実施形態139または140に記載のポリマー。
【0371】
実施形態146.R置換基の50~95%が、水素であり、5~50%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0372】
実施形態147.R置換基の55~90%が、水素であり、10~45%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0373】
実施形態148.R置換基の60~90%が水素であり、10~40%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0374】
実施形態149.R置換基の65~90%が水素であり、10~35%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0375】
実施形態150.R置換基の70~90%が水素であり、10~30%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0376】
実施形態151.R置換基の75~85%が水素であり、15~25%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0377】
実施形態152.R置換基の80~85%が水素であり、15~205%が、架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0378】
実施形態153.R置換基の約81%が水素であり、約19%が、エチレン架橋である、実施形態139~145のいずれかに記載のポリマー。
【0379】
実施形態154.薬学的に許容可能な賦形剤と、実施形態139~153のいずれかに記載の架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
【0380】
実施形態155.実施形態154に記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【0381】
本発明を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に定義されている発明の範囲から逸脱することなく、修飾及び変更が可能であることが明らかである。さらに、本開示における全ての実施例は、非限定例として提供されていることが理解されるべきである。
実施例
【0382】
以下の非限定例を提供して本発明をさらに説明する。以下に続く例に開示されている技術は、本発明者らが本発明の実用において良好な機能を見出したアプローチを表しており、そのため、実用のための形態の例を構成すると考えられ得ることが当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示されていてかつ類似または同様の結果をなお得る具体的な実施形態において本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更がなされ得ることを理解するべきである。
【0383】
DCE分散型架橋に関する一般的手順
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズを、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた反応ベッセルに添加した。ビーズに1,2-ジクロロエタン(DCE)を添加した。ビーズを、機械的攪拌を使用してDCEに分散させた。水を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。30分後、フラスコを、選択された温度に保持された油浴中に浸漬した。反応物を油浴において保持し、窒素雰囲気下、選択された時間で機械的撹拌を使用して攪拌した。メタノールを反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0384】
DCE分散型架橋に関する具体例手順
別途記述されていない限り、以下の例示的手順は、このセクションにおける例の全ての標準製法である。具体的には、これは、1:6のビーズ対DCE(g/mL)比、0.25:1の水対ビーズ質量比、70℃のジャケット(油浴)温度、及び16時間の反応時間を示す。
【0385】
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズ(15.00g)を、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた250mLの丸底フラスコに添加した。ビーズに、1,2-ジクロロエタン(DCE)を添加した(90mL、1:6のビーズ対DCE(g/mL)比を結果として生じさせた)。ビーズを、機械的攪拌を使用して(約150rpmの撹拌)DCEに分散させた。水(3.75mL、0.25:1の水対ビーズ質量比を結果として生じさせた)を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。30分後、フラスコを、70℃で保持した油浴中に浸漬した。反応物を油浴に保持し、窒素雰囲気下、機械的撹拌を使用して16時間攪拌した。メタノール(100mL)を反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0386】
DCE分散型架橋反応に対する水の影響
例としての反応混合物に添加した水の量の影響を調査した(表1)。これらの条件下、SIB及びSOBにおける塩化物結合は増加したが、リン酸塩、クエン酸塩及びタウロコール酸塩結合は、プリフォームアミンポリマー(サンプル019069-A1)のものよりも減少した。粒子サイズは、第2ステップの架橋後に減少した。SIBにおいて測定したときに最大の選択性及び最大の合計塩化物結合を生じさせる水分含有量は、0.25~0.35の範囲の水対ビーズ比であることが見出された。
【0387】
DCE分散型架橋反応のためのソースとしての乾燥ビーズであるプリフォームアミンポリマービーズを以下のように調製した。モノマーの2つの水性原液(50%w/w)を、水に43.83gのアリルアミン塩酸塩及び45.60gのDAPDAを独立して溶解することによって調製した。オーバーヘッドスターラ(180rpmで撹拌)、ディーンスターク装置及び冷却器を備えた4つの側方バッフル、ならびに窒素注入口を有する3ッ口の2Lの丸底フラスコに、1,200gのヘプタン/クロロベンゼン溶液(26/74v/v)に溶解された12gの界面活性剤(Stepan Sulfonic100)、続いて水性原液、及びさらなる部の水(59.14g)を投入した。別個のベッセルにおいて、開始剤V-50(9.08g)の15重量%水溶液を調製した。2つの混合物を、反応ベッセルを油浴(およそ30分)において67℃にしながら、窒素で独立してスパージした。不活性雰囲気下、開始剤溶液を反応混合物に添加し、続いて67℃で16時間加熱した。開始剤溶液の第2アリコート(第1と等しい)及び反応混合物を窒素で30分間スパージし、合わせた後、温度を115℃に増大して最終の脱水ステップ(ディーンスターク)を行った。反応物を、水がディーンスタークトラップ(6時間、235mL除去、水全体の>90%、T内部>99℃)において収集が停止されるまで、115℃で保持した。反応物を室温まで冷却し、撹拌を停止してビーズを沈降させた。有機相をビーズケーキからデカントによって除去した。ビーズを洗浄(洗浄後の溶液のpHが7になるまでMeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHO)によって精製し、凍結乾燥によって乾燥した。
【表5】
【0388】
時間及び温度の影響
反応に対する温度の影響、続いて、反応の進行を時間の関数として調査した。これらの実験において、55℃と70℃との間で調査した温度の全てにおいて所望の性能を達成することができたが、反応の進行は、より低温ではより遅いことが見出された(表2、表3、表4及び表5)。
【表6】
【0389】
【表7】
【0390】
【表8】
【0391】
【表9】
【0392】
第2ステップ架橋に対するDCE対プリフォームアミンポリマー比の影響
反応混合物に添加されてビーズを分散させるDCEの量の影響を調査した(表6)。これらの条件下で、DCE対ビーズ(プリフォームアミンポリマー)の比が、SIBまたはSOBにおける塩化物結合または選択性を実質的に変化させないことが見出された。3:1の比は、ビーズの分散に十分なDCEを有するためのおよそ最小値であることに注意されたい。
【0393】
【表10】
【0394】
第2ステップ架橋に対するプリフォームアミンポリマー中のHClの影響
第2ステップ架橋に対する、プリフォームアミンポリマーに残存する塩酸(例えば、不十分な洗浄に起因する)の影響を調査した(表7)。これらの実験において、プリフォームアミンポリマー中のアミンの3%未満がプロトン化されると、塩化物選択性及び結合能が影響されないことが見出された。
【0395】
【表11】
【0396】
-2)溶媒分散型架橋-DCEに関する一般的手順
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズを、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた反応ベッセルに添加した。ビーズに、不活性(すなわち、架橋剤ではない)分散溶媒を添加した。ビーズを、機械的攪拌を使用して溶媒に分散させた。水を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。正味のジクロロエタンをフラスコに添加して、これを、次いで、選択された温度に加熱した油浴中に浸漬した。反応物を、機械的撹拌を使用して窒素雰囲気下16時間加熱した。メタノールを反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0397】
- 溶媒分散型架橋-DCE架橋剤に関する具体例手順
別途記述されていない限り、以下の例示的手順は、このセクションにおける例の全ての標準製法である。具体的には、これは、1:6のビーズ対分散溶媒(g/mL)比、1:1の水対ビーズ質量比、70℃のジャケット温度、及び16時間の反応時間を示す。
【0398】
乾燥ビーズ(3.00g)を、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた250mLの丸底フラスコに添加した。ビーズにヘプタンを添加した(18mL、1:6のビーズ対DCE(g/mL)比を結果として生じさせた)。ビーズを、機械的攪拌を使用して(約100rpmの撹拌)ヘプタンに分散させた。水(3mL、1:1の水対ビーズ比を結果として生じさせた)を分散液に直接添加し、撹拌を20分間継続した。正味のジクロロエタン(3.57g、35.9mmol)をフラスコに添加し、次いで、これを70℃に加熱した。反応物を、機械的撹拌を使用して窒素雰囲気下16時間加熱した。メタノール(100mL)を反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0399】
ヘプタン分散型反応に対するDCE架橋剤の量の影響
不活性溶媒分散型第2ステップ架橋に添加されるDCEの量の影響を調査した(表8)。これらの実験において、2当量のDCE(プリフォームアミンポリマー中の窒素に対して)により、SIB及びSOBにおいて測定される高い選択性及び高い塩化物結合の最も良好な組み合わせを有する材料を生じさせた。
【0400】
【表12】
【0401】
分散溶媒-DCE架橋剤の影響
異なる不活性分散溶媒を使用する影響を調査した(表9)。ジメチルホルムアミド(DMF、水混和性)は、SOBにおける高い塩化物結合、しかし、SIBにおいては比較的低い塩化物選択性及び塩化物結合を有する材料を付与することが見出された。DMF反応混合物への水の添加はSIB性能に影響しなかったが、SOBにおける塩化物選択性及び結合が大幅に減少した。
【0402】
【表13】
【0403】
3)溶媒分散型架橋:DCE/DCP混合架橋剤系に関する一般的手順
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズを、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた反応ベッセルに添加した。ビーズに1,3-ジクロロプロパン(DCP)及び1,2-ジクロロエタン(DCE)を逐次的に添加した。ビーズを、機械的攪拌を使用してDCE/DCP溶液に分散させた。水を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。30分後、フラスコを、選択された温度に保持された油浴中に浸漬した。反応物を油浴に保持し、窒素雰囲気下、選択された時間で機械的撹拌を使用して攪拌した。メタノールを反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0404】
溶媒分散型架橋:DCE/DCP混合架橋剤系に関する具体例手順
別途記述されていない限り、以下の例示的手順は、このセクションにおける例の全ての標準製法である。具体的には、これは、1:6のビーズ対架橋剤(g/mL)比、1:1の水対ビーズ質量比、70℃のジャケット(油浴)温度、及び16時間の反応時間を示す。
【0405】
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズ(3.00g)を、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた100mLの丸底フラスコに添加した。ビーズにDCP(4.30mL)及びDCE(13.70mL)を添加し、1:6のビーズ対DCEの質量/体積比を結果として生じさせた)。ビーズを、機械的攪拌を使用して(約150rpmの撹拌)DCEに分散させた。水(3.00mL、1:1の水対ビーズ質量比を結果として生じさせた)を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。30分後、フラスコを、70℃で保持した油浴中に浸漬した。反応物を油浴に保持し、窒素雰囲気下、機械的撹拌を使用して16時間攪拌した。メタノール(60mL)を反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製したビーズを、次いで、凍結乾燥によって乾燥によって48乾燥させた。
【0406】
DCE/DCP分散型架橋-DCE量の影響
架橋剤(複数可)も分散溶媒である混合架橋剤系において異なる比を使用する影響を調査した(表10)。DCPの量の増加により、SIBにおいてリン酸塩を超える塩化物に関する選択性の低下をもたらすことが見出された。
【0407】
【表14】
【0408】
DCE/DCP分散型架橋-水の量の影響
混合架橋剤の第2ステップ架橋に添加される水分含有量の影響を試験した(表11)。これらの条件下、理想の水分含有量は、水0.5~1.0g/プリフォームアミンポリマー(g)であることが分かった。
【0409】
【表15】
【0410】
混合架橋剤系DCE/DCPに対するヘプタンの量の影響
混合DCE/DCP架橋剤系をヘプタンで希釈する影響を調査した(表12)。ヘプタンの量が増加するに従い(例えば、80%ヘプタン)、反応混合物は、分散溶媒が不活性溶媒である(すなわち、架橋剤ではない)架橋反応にかなり酷似する。これらの条件下では、さらにヘプタンを添加するに従い、SIBにおける塩化物の選択性及び合計塩化物結合の両方。代替的に、SOBによって測定される選択性及び合計塩化物結合のいずれもが、最大40体積%のヘプタンまで実質的に影響されなかった。
【0411】
【表16】
【0412】
-4)「非分散型」反応架橋-DCP架橋剤に関する一般的手順
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズを反応ベッセルに添加した。ビーズに水を添加した。次いで、ビーズをスパチュラで穏やかに撹拌し、水によるビーズの均一な湿潤を確実にした。ビーズを20分間平衡化した。正味のジクロロプロパンをバイアルに添加し、ビーズをスパチュラによって再び撹拌した。バイアルを70℃に16時間加熱した。メタノールを反応物に添加した。ビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0413】
-「非分散型」反応架橋-DCP架橋剤に関する具体例手順
別途記述されていない限り、以下の例示的手順は、このセクションにおける例の全ての標準製法である。具体的には、これは、0.68mol当量のDCP(プリフォームアミンポリマーにおけるDCP対全窒素のモル比)比、0.25:1の水対ビーズ質量比、70℃のジャケット(加熱マントル)温度、及び16時間の反応時間を示す。
【0414】
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズ(0.40g)を20mLのシンチレーションバイアルに添加した。ビーズに水を添加した(0.10g、0.25:1の水対ビーズ質量比を結果として生じさせた)。次いで、ビーズをスパチュラで穏やかに撹拌し、水によるビーズの均一な湿潤を確実にした。ビーズを20分間平衡化した。正味の1,3-ジクロロプロパン(0.46g、4.1mmol、0.68モル当量のDCP/1molの窒素(プリフォームアミンポリマー中))を上記バイアルに添加し、ビーズをスパチュラによって再び撹拌した。バイアルを70℃に16時間加熱した。メタノール(10mL)を反応物に添加した。ビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0415】
非分散型架橋反応における水の量の影響
非分散架橋反応に添加される水の影響を調査した(表13)。これらの実験において、SIBにおいて測定される最も高い選択性及び最も高い塩化物結合を生じさせる水分含有量が0.5未満:1の水対ビーズ比であったことが分かった。
【0416】
【表17】
【0417】
「非分散型」反応架橋に対するDCP架橋剤のモル当量の影響
非分散型架橋反応に添加されるDCPの量の影響を調査した(表14)。これらの条件下、SIBにおいて測定される最も高い選択性及び最も高い合計塩化物結合を生じさせるDCPのモル当量が0.5未満:1の水対ビーズ比であったことが分かった。
【0418】
【表18】
【0419】
5)溶媒分散型架橋--DCP架橋剤に関する一般的手順
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズを、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を備えた反応ベッセルに添加した。ビーズに、不活性(すなわち、架橋剤ではない)分散溶媒を添加した。ビーズを、機械的攪拌を使用して溶媒に分散させた。水を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。正味の1,3-ジクロロプロパン(DCP)をフラスコに添加し、次いで、これを、70℃に加熱した油浴中に浸漬した。反応物を、機械的撹拌を使用して窒素雰囲気下16時間加熱した。メタノールを反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0420】
-溶媒分散型架橋--DCP架橋剤に関する具体的手順
別途記述されていない限り、以下の例示的手順は、このセクションにおける例の全ての標準製法である。具体的には、これは、1:6のビーズ対分散溶媒(g/mL)比、1:1の水対ビーズ質量比、プリフォームアミンポリマー中の窒素に対して1モル当量のDCP、70℃のジャケット(加熱マントル)温度、及び16時間の反応時間を示す。
【0421】
乾燥したプリフォームアミンポリマービーズ(3.00g)を、撹拌パドル及び窒素ガス注入口を有する100mLの丸底フラスコに添加した。ビーズに不活性(すなわち、架橋剤ではない)分散溶媒を添加した(18mL、1:6のビーズ対溶媒(g/mL)比を結果として生じさせた)。ビーズを、機械的攪拌を使用して溶媒に分散させた。水(3mL、1:1の水対ビーズ質量比を結果として生じさせた)を分散液に直接添加し、撹拌を30分間継続した。正味の1,3-ジクロロプロパン(DCP)(5.22g、46.2mmol)をフラスコに添加し、次いで、これを、70℃に加熱した油浴中に浸漬した。反応物を、機械的撹拌を使用して窒素雰囲気下16時間加熱した。メタノール(100mL)を反応物に添加し、溶媒をデカントによって除去した。次いでビーズを濾過し、次いで洗浄(MeOH2回、HO1回、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHOを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0422】
- ヘプタン分散型反応-DCP架橋剤に対する架橋剤のモル当量の影響
不活性溶媒分散型第2ステップ架橋に添加されるDCPの当量の影響を調査した(表15)。これらの実験において、プリフォームアミンポリマー中の窒素に対する1.0~1.2モル当量のDCPが、SIB及びSOBにおいて測定される高い選択性及び高い合計塩化物結合の最も良好な組み合わせを有する材料を生じさせた(表15)。塩化物選択性に対する、DCP-ヘプタン反応における水分含有量の影響。(100mLのベッセル、1gのビーズ、1:3のビーズ対ヘプタン(g/mL)比、1:1の水対ビーズ質量比、70℃、16時間、ディーンスタークなし)。上記の例示的手順を使用したが、1:3のビーズ対ヘプタン(g/mL)比であった。
【0423】
【表19】
【0424】
ヘプタン分散型反応-DCP架橋剤に対する水の影響
不活性溶媒分散型第2ステップ架橋に添加される水の量の影響を調査した(表16)。これらの条件下、0.5未満:1の水対ビーズ比の水分含有量が、SIB及びSOBにおいて測定される高い選択性及び高い合計塩化物結合の最も良好な組み合わせを有する材料を生じさせた。
【0425】
【表20】
【0426】
分散溶媒-DCP架橋剤の影響
種々の無極性分散溶媒を使用した、プリフォームアミンポリマーの第2ステップ架橋の例を表17にまとめる。1-オクタノール及び2-MeTHFとの反応を、1:10のビーズ対溶媒(g/mL)比、及びプリフォームアミンポリマー中1molの窒素に対して0.68モル当量のDCPを用いて、20mLのシンチレーションバイアルにおいて、0.4gのプリフォームアミンポリマーにて実施した。1:3のビーズ対溶媒(g/mL)比を使用して、1gのスケールで、例示的手順においてシクロヘキサンを使用した。クロロベンゼン反応は例示的手順を使用した。
【0427】
【表21】
【0428】
水混和性分散溶媒-DCP架橋剤
種々の水混和性分散溶媒を使用した、プリフォームアミンポリマーの第2ステップ架橋の例をまとめ、上記の例示的手順を使用したが、シンチレーションバイアルにおいて0.5gのプリフォームアミンポリマーにおけるものであり、いずれの反応にも水を添加しなかった。
【0429】
【表22】
【0430】
代替の膨潤剤
表17における例の大部分において(DMFは除く)、水は、ビーズを膨潤するのに添加し、使用した分散溶媒とは非混和性である。代替の非混和性の非水性膨潤剤の影響を表19にまとめる。メタノールを使用した反応を、20mLのシンチレーションバイアルにおいて、0.5gのプリフォームアミンポリマーにて実施した。上記例示的手順に続いて、DMFを使用して反応させた。試験した条件の全てで、水が膨潤剤の選択肢である類似の反応よりも低い選択性及び合計塩化物結合を有する材料を生じた。
【0431】
【表23】
【0432】
6)後架橋後の水酸化アンモニウム処理に関する一般的手順
一般的手順を、洗浄によって精製し凍結乾燥によって乾燥したビーズ、または洗浄によって部分的に精製したビーズによって実施することができる。後者の場合において、水酸化アンモニウムによる処理を、典型的には、3回のメタノール洗浄の後に実施し、洗浄による通常の精製を、1N HClによる洗浄によって再開する。
【0433】
(乾燥した、または洗浄の過程にある)後架橋したビーズに、所望の反応温度まで前加熱した水性NHOH溶液を添加した。ビーズを、機械的撹拌を使用して溶液に分散し、選択した時間で水酸化アンモニウム溶液において加熱した。処理が完了した後、ビーズを濾過し、次いで、洗浄(洗浄後の溶液のpHが7になるまで、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHO)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0434】
後架橋後の水酸化アンモニウム処理に関する具体例手順
二次的な架橋を、膨潤剤としての水の存在下でプリフォームアミンポリマー(100gの乾燥ビーズ)をDCEと反応させることによって実施した。反応後にビーズを濾過し、メタノールで3回洗浄した。湿潤ビーズを窒素注入口及びオーバーヘッドスターラを備えた2000mLの丸底フラスコに移した。ビーズに、70℃に前加熱した1000mL(10:1::1N NHOH:乾燥ビーズ(mL/g)の1N NHOH溶液に添加した。丸底フラスコを、75℃に加熱した油浴中に浸漬し、ビーズを窒素雰囲気下で4時間撹拌した。ビーズを濾過し、次いで、洗浄(洗浄後の溶液のpHが7になるまで、1N HCl2回、HO1回、1N NaOH3回、次いでHO)によって精製した。精製されたビーズを、次いで、凍結乾燥によって48時間乾燥した。
【0435】
洗浄プロトコルの部分としてのアンモニア処理
後架橋ポリマーのアンモニア処理を上記例示的手順に従って実施したが、10gのビーズを用い、0.5gのサンプルを採取し、ジャケット温度が75℃であった。アンモニア処理をメタノール洗浄後かつ1N HCl洗浄前の洗浄の部分として実施した。処理時間を0及び24時間の間で変動させた。データを表20にまとめる。
【0436】
【表24】
【0437】
後架橋された、精製及び乾燥ビーズのアンモニア処理
後架橋ポリマーのアンモニア処理を、該処理を、後架橋ポリマーを精製及び乾燥した後に実施したことを除いて、上記例示的手順に従って実施した(表21)。
【0438】
【表25】
【0439】
7)SOBにおける塩化物選択性に対する、乾燥工程の間の後架橋ポリマーの加熱の影響の例
プリフォームアミンポリマービーズを以下のように調製した。モノマーの2つの水性原液(50%w/w)を、水にアリルアミン塩酸塩(93.9g)及びDAPDA(97.7)を独立して溶解することによって調製した。オーバーヘッドスターラ(180rpmで撹拌)、添加漏斗、温度プローブ、及び窒素注入口を備えた、3LのAceガラスジャケット付き反応器に、ヘプタン/クロロベンゼン溶液(26/74v/v、2571.4g)に溶解したStepan Sulf-100(25.7g)、続いて、水性原液、及びさらなる水(126.7g)を投入した。別個のベッセルにおいて、15重量%の水溶液V-50(19.4g)を調製し、添加漏斗に添加した。2つの混合物を、反応ベッセルを67℃(約1時間、T内部>60℃)にしながら、窒素で独立してスパージした。不活性雰囲気下、開始剤溶液を反応混合物に添加し、続いて67℃で16時間加熱した。開始剤溶液の第2アリコート(第1と等しい)及び反応混合物を窒素で30分間スパージし、合わせた後、温度を115℃に増大して最終の脱水ステップ(ディーンスターク)を行った。反応物を、水がディーンスタークトラップ(6時間、除去される水全体の>90%、T内部>99℃)において収集が停止されるまで、115℃で保持した。反応物を室温まで冷却し、撹拌を停止してビーズを沈降させた。有機相をビーズケーキからサイフォン吸引し、メタノールを添加して(1L)、ビーズを再懸濁した(150rpmで撹拌しながら)。有機溶媒除去ステップを2回繰り返した。ビーズを2Lの媒体ボトルにドレインさせ、反応器をメタノール(500mL)で濯いだ。ビーズを洗浄(MeOH2回、H2O1回、1N HCl2回、H2O1回、1N NaOH3回、次いでH2Oを洗浄後の溶液のpHが7になるまで)によって精製し、凍結乾燥によって乾燥した。
【0440】
上記プリフォームアミンポリマービーズを、10gのプリフォームアミンポリマービーズにスケーリングにする上記の特定の例示的手順を使用した、溶媒分散架橋:DCEに関する一般的手順に従って架橋の第2ステップに供した。洗浄ステップの最後に、得られたポリマーを凍結乾燥機または常套のオーブンのいずれかにおいて60℃で40時間再び乾燥した。オーブンで乾燥したポリマーは、凍結乾燥したポリマーと比較して、SIBにおける結合は同様であったが、SOBにおける塩化物結合が改善された(表22)。
【0441】
【表26】
【0442】
8)結合反応速度例
選択したポリマーを、複数の時点(1、2、4、及び24時間のインキュベーション)で採取したサンプルについて、SGF、SIB及びSOBアッセイ(いずれかの箇所に記載されている)において評価し、これらのアッセイ条件下でのアニオン結合反応速度を評価した。結果を、3セットの実験を表す以下の表23、24及び25に示す。これらのポリマーを、上記のプリフォームアミンポリマーを調製するための一般的方法を使用して調製されたプリフォームアミンポリマーを上記の「溶媒分散型架橋-DCEに関する一般的手順」による架橋の第2ステップに供することによって合成した。
【0443】
【表27】
【0444】
【表28】
【0445】
【表29】
【表30】
【表31】
【0446】
アミンポリマーの平衡塩化物結合測定
選択したポリマーのpH依存性の平衡塩化物結合を、自動滴定装置を使用して測定した。ポリマーを、4mg/mLの開始濃度で100mM塩化ナトリウムを含有する溶液において室温で16時間インキュベートした。サンプルを連続して撹拌し、自動滴定装置による0.1N HCl溶液のゆっくりとした添加を介してインキュベーションの全体にわたって設定pHに維持した。インキュベーション後、400マイクロリットルのサンプルを除去し、濾過し、必要に応じて希釈し、次いで、イオンクロマトグラフィを使用して塩化物含量に関してアッセイした。試験した各ポリマーについて、塩化物結合を、以下の式を使用して計算した:
({[Cl]開始+[Cl]HCl}-[Cl]最終)/濃度(mg/mL)×希釈係数
【0447】
式中、[Cl]開始は、インキュベーション溶液(mM)における開始塩化物濃度であり、[Cl]HClは、0.1N HCl(mM)を使用した自動滴定を介して添加された塩化物であり、濃度(mg/mL)は、溶液中のポリマーの最終濃度である(添加した0.1N HClの体積を占めた後)。
【0448】
平衡塩化物結合を、1.5~12の範囲のpHで上記方法を使用して測定した。塩化物結合対pHのプロットは、滴定曲線の構成及び所与のポリマーの平均pKの決定を可能にする(図3)。以下の例は、上記手順を使用して測定された、例えば遊離アミン形態の019067-A2の、平衡塩化物結合(表26)及び塩化物結合対pHのプロットを示す(図2を参照されたい)。
【0449】
この例の平均pKaは、6.15であると決定された。データを、4次多項式適合を使用して適合した。種々のpH値における平衡塩化物結合を、曲線適合によって得られる式から計算し、最大結合の半分が観測されたpH値をポリマーの平均pKと見なした。
【0450】
【表32】
【0451】
9)GICTAデータ例
以下の表に記載されているポリマーを、上記のプリフォームアミンポリマーを調製するための一般的方法を使用して調製されたプリフォームアミンポリマーを上記の「溶媒分散型架橋-DCEに関する一般的手順」または「溶媒分散型架橋-DCE/DCP混合架橋剤系に関する一般的手順」による架橋の第2ステップに供することによって合成した。019067-A2では、水の除去を、反応後に追加のディーンスタークステップを適用することによって実施した。得られたポリマーを、GICTAアッセイを使用して評価した。結果を表27に記載する。
【0452】
【表33】
【0453】
10)ポリアリルアミンからのポリマーの調製の例
ポリアリルアミン/DCEプリフォームアミンポリマーの調製のための具体例
500mLの丸底フラスコに、ポリアリルアミン(14g、15kDa)、及び水(28mL)を添加した。溶液を窒素でパージし、220rpmで1時間オーバーヘッド撹拌し、ポリマーを完全に溶解した。次いで、30重量%水性NaOH(7mL)を添加し、5分間撹拌した。該水溶液に、DCE(175mL)、n-ヘプタン(105mL)、及びSpan80(2.8g)の予め作製した溶液を添加した。溶液を70℃に加熱し、16時間撹拌した。シクロヘキサン(100mL)を添加し、反応物を95℃に加熱してビーズから水(>90%)を除去することによって、ディーンスタークステップを開始した(表28)。
【0454】
ポリアリルアミンアミン/DCPプリフォームアミンポリマーに関する具体例
100mLの丸底フラスコに、DCP(31mL)、n-ヘプタン(19mL)、及びSpan80(0.5g)を添加した。ポリアリルアミン(2.3g、900kDa)、水性NaOH(1mL、30重量%)及び水(4mL)の別個の水性原液を調製した。水性原液を丸底フラスコ中の有機溶液に添加した。溶液を15分間窒素でパージし、70℃に加熱し、16時間撹拌した。メタノール(30mL)を反応混合物に添加し、有機溶媒をデカントによって除去した。得られたビーズを、MeOH、HCl、水酸化ナトリウム溶液、及び水を使用してビーズを洗浄するこよにより精製及び単離した。ビーズを、凍結乾燥技術を使用して乾燥した(表28)。
【0455】
ポリアリルアミン/ジクロロ-2-プロパノールプリフォームアミンポリマーに関する具体例
ポリアリルアミン15kDa(3.0g)及び水(9.05g)をコニカルフラスコに溶解した。水酸化ナトリウム(0.71g)を溶液に添加し、混合物を30分間撹拌した。サイドアーム及びオーバーヘッドスターラを備えた100mLの丸底フラスコに、0.38gのセスキオレイン酸ソルビタン及び37.9gのトルエンを添加した。オーバーヘッドスターラのスイッチをオンにし、反応溶液に攪拌を付与した。ジクロロプロパノール(0.41g)を撹拌しながらポリアリルアミン溶液に直接添加した。得られた水性ポリアリルアミン溶液を、100mLフラスコ中のトルエン溶液に添加した。反応物を50℃に16時間加熱した。この時間の後に、反応物を80℃に1時間加熱し、次いで室温に冷却した。得られたビーズを、MeOH、HCl、水性水酸化ナトリウム、及び水を使用してビーズを洗浄することによって精製及び単離した。ビーズを、凍結乾燥技術を使用して乾燥した(表28)。
【0456】
ポリアリルアミン/エピクロロヒドリンプリフォームアミンポリマーに関する具体例
ポリアリルアミン15kDa(3.1g)及び水(9.35g)をコニカルフラスコに溶解した。水酸化ナトリウム(0.73g)を溶液に添加し、混合物を30分間撹拌した。サイドアーム及びオーバーヘッドスターラを備えた100mLの丸底フラスコに、0.31gのトリオレイン酸ソルビタン及び39.25gのトルエンを添加した。オーバーヘッドスターラのスイッチをオンにし、反応溶液に攪拌を付与した。水性ポリアリルアミン溶液を、100mLフラスコ中のトルエン溶液に添加した。エピクロロヒドリン(0.30g)を、シリンジを使用して反応混合物に直接添加した。反応物を50℃に16時間加熱した。この時間の後に、反応物を80℃に1時間加熱し、次いで室温に冷却した。得られたビーズを、MeOH、HCl、水性水酸化ナトリウム、及び水を使用してビーズを洗浄することによって精製及び単離した。ビーズを、凍結乾燥技術を使用して乾燥した。
【0457】
プリフォームアミンポリマービーズは可溶性(未架橋)ポリマーと架橋剤との反応によって形成することができる。この実験において、可溶性ポリマーは、直鎖状ポリアリルアミンであり、二官能性架橋剤によって架橋した。架橋反応が水相で起こるときには、水性-可溶性架橋剤をこれらの重合に選択してよい。しかし、小さい分子量に起因してより高い能力のポリアミンビーズを生じることができる水性-非混和性架橋剤(例えば、DCE及びDCP)がある。直鎖状ポリアリルアミンを十分に架橋するために、水性-非混和性架橋剤を、ビーズ形成の間、架橋共溶媒として使用した。水性-非混和性架橋剤を用いて形成されたポリアミンビーズは、水性-混和性架橋剤を用いて作製されたものよりも(SGFによって記載されているように)高い総塩化物結合能を生じた(表28)。
【0458】
【表34】
【0459】
PAH/DCEプリフォームアミンポリマーの後架橋の具体例
100mLの丸底フラスコに、プリフォームポリアミンビーズ(0.5g)及びDCE(3mL)を添加した。溶液を窒素でパージし、5分間オーバーヘッド撹拌した。水を添加し(0.5g)、溶液を20分間撹拌した。反応混合物を、次いで、70℃に加熱し、16時間撹拌した。メタノール(5mL)を反応混合物に添加し、撹拌を停止し、溶媒をデカントにより除去した(表29)。
【0460】
ポリアリルアミン/ジクロロ-2-プロパノールプリフォームアミンポリマー後架橋の具体例
20mLのバイアルに、プリフォームポリアミンビーズ(0.4g)及びメタノール(2.8g)を添加した。DCPを添加した(002064-B4 FAでは0.5g、002064-B5 FAでは0.7g)。反応混合物を、次いで、70℃に加熱し、16時間撹拌した。温度を1時間かけて80℃に上昇させた。メタノール(5mL)を反応混合物に添加し、溶媒をデカントにより除去した。
【0461】
直鎖状ポリアリルアミン及び水性-非混和性架橋剤を用いて形成されたポリアミンビーズもまた、第2ステップ架橋の後に高い塩化物結合能(SGFによる)を有する。さらに、水性-非混和性架橋剤を用いて形成されたビーズは、第2ステップ架橋後に高いSIB-Cl値(>6mmol/g)を達成することができる(表29)。
【0462】
【表35】
【0463】
プリフォームアミンポリマーの単離なしのプリフォームアミンポリマーの後架橋の例
ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させる。水酸化ナトリウムを添加して、ポリアリルアミン塩酸塩を部分的に脱プロトン化する(好ましくは50mol%)。生成した水相は、ポリアリル(ally)アミン塩酸塩の重量の2.42倍の水分含有量(重量基準)を有する。オーバーヘッドメカニカルスターラ、窒素注入口、冷却器を有するディーンスターク装置を備えたバッフル付き3ッ口フラスコをセットアップして懸濁反応を行う。ジクロロエタンヘプタン混合物を調製し、これにより、ヘプタンに対して3重量倍のジクロロエタンとなる。このジクロロエタン、ヘプタン混合溶媒をバッフル付き3ッ口フラスコに添加する。水性溶液をフラスコに添加し、これにより、比が体積基準で6.4:1のジクロロエタン対水となる。反応混合物を撹拌し、70℃に16時間加熱する。このときにビーズが形成される。ディーンスタークステップを開始し、ジクロロメタン及びヘプタンを反応混合物に戻しながらビーズから全ての水を除去する。水がさらに除去されなくなったら、反応混合物を冷却する。水及び水酸化ナトリウムを、反応混合物に、0.25の水対ポリアリルアミンの比で添加して戻し、アリルアミンにおいて塩化物当たり最大1当量の水酸化ナトリウムを添加する(いずれも、反応の開始時に添加されたポリアリルアミン塩酸塩から計算)。反応物をさらに16時間70℃で加熱する。反応物を室温に冷却する。ビーズは、以下の洗浄溶媒;メタノール、水、HCl溶液、水、水酸化ナトリウム溶液及び3つ水洗浄液によってフィルターフリットを使用して、または濾液のpH値が7になるまで精製する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書および図面に記載する発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0463
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0463】
プリフォームアミンポリマーの単離なしのプリフォームアミンポリマーの後架橋の例
ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させる。水酸化ナトリウムを添加して、ポリアリルアミン塩酸塩を部分的に脱プロトン化する(好ましくは50mol%)。生成した水相は、ポリアリル(ally)アミン塩酸塩の重量の2.42倍の水分含有量(重量基準)を有する。オーバーヘッドメカニカルスターラ、窒素注入口、冷却器を有するディーンスターク装置を備えたバッフル付き3ッ口フラスコをセットアップして懸濁反応を行う。ジクロロエタンヘプタン混合物を調製し、これにより、ヘプタンに対して3重量倍のジクロロエタンとなる。このジクロロエタン、ヘプタン混合溶媒をバッフル付き3ッ口フラスコに添加する。水性溶液をフラスコに添加し、これにより、比が体積基準で6.4:1のジクロロエタン対水となる。反応混合物を撹拌し、70℃に16時間加熱する。このときにビーズが形成される。ディーンスタークステップを開始し、ジクロロメタン及びヘプタンを反応混合物に戻しながらビーズから全ての水を除去する。水がさらに除去されなくなったら、反応混合物を冷却する。水及び水酸化ナトリウムを、反応混合物に、0.25の水対ポリアリルアミンの比で添加して戻し、アリルアミンにおいて塩化物当たり最大1当量の水酸化ナトリウムを添加する(いずれも、反応の開始時に添加されたポリアリルアミン塩酸塩から計算)。反応物をさらに16時間70℃で加熱する。反応物を室温に冷却する。ビーズは、以下の洗浄溶媒;メタノール、水、HCl溶液、水、水酸化ナトリウム溶液及び3つ水洗浄液によってフィルターフリットを使用してまたは濾液のpH値が7になるまで精製する。
さらに、本発明は次の態様を包含する。
1. 架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(ii)分散溶媒、架橋剤、及び前記膨潤剤を含む反応混合物に、前記プリフォームアミンポリマーを分散させることと、(iii)前記反応混合物において、前記プリフォームアミンポリマーを架橋して、前記架橋アミンポリマーを形成することとを含む、前記プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、前記膨潤剤のための吸収能を有しており、前記反応混合物中の前記膨潤剤の量が、前記膨潤剤のための前記プリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低い、前記プロセス。
2. 前記プリフォームアミンポリマーを、前記膨潤剤によって膨潤する前に、塩基によって脱プロトン化することをさらに含む、項1に記載のプロセス。
3. 前記プリフォームアミンポリマーにおける架橋が、主に炭素-炭素架橋であり、窒素-窒素架橋が、架橋ステップにおいて主に形成される、項1または2に記載のプロセス。
4. 前記プリフォームアミンポリマーが、人工胃液(「SGF」)において少なくとも10mmol/gの塩化物結合能及び2~10の範囲の膨潤比を有し、前記架橋アミンポリマーは、SIBまたはSOBにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が、同じアッセイにおけるリン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する前記プリフォームアミンポリマーの結合能より小さい、先行項のいずれかに記載のプロセス。
5. 前記分散溶媒が、非極性溶媒を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
6. 前記分散溶媒が、前記プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である溶媒を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
7. 前記分散溶媒が、架橋溶媒を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
8. 前記架橋剤が、前記分散溶媒である、項1~4のいずれかに記載のプロセス。
9. 前記膨潤剤及び前記分散溶媒が非混和性である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
10. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
11. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
12. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
13. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
14. 架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、(i)プリフォームアミンポリマーを膨潤剤によって膨潤することと、(ii)前記プリフォームアミンポリマーを架橋して、架橋剤及び前記膨潤剤を含む反応混合物において、前記架橋アミンポリマーを形成することとを含み、前記プリフォームアミンポリマーが、架橋されていて、前記膨潤剤のための吸収能を有しており、前記反応混合物中の前記膨潤剤の量が、前記膨潤剤のための前記プリフォームアミンポリマーの吸収能よりも低く、前記反応混合物における膨潤剤対前記プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、前記プロセス。
15. 前記膨潤剤が、極性溶媒である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
16. 前記膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネートまたはこれらの組み合わせである、いずれかの先行項に記載のプロセス。
17. 前記膨潤剤が、水である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
18. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
19. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
20. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
21. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
22. 前記架橋剤が、少なくとも2個のアミン反応性官能基を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
23. 前記架橋剤が、アルキルハライド、エポキシド、ホスゲン、無水物、カルバメート、カーボネート、イソシアネート、チオイソシアネート、エステル、活性化エステル、カルボン酸及びその誘導体、スルホネート及びその誘導体、アシルハライド、アジリジン、α,β-不飽和カルボニル、ケトン、アルデヒド、及びペンタフルオロアリール基からなる群から選択される少なくとも2個のアミン反応性基を含有する化合物である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
24. 前記架橋剤が、表Bから選択される架橋剤である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
25. 前記架橋剤が、ジクロロアルカンである、いずれかの先行項に記載のプロセス。
26. 前記架橋剤が、ジクロロエタンまたはジクロロプロパンである、いずれかの先行項に記載のプロセス。
27. 前記膨潤剤及び前記架橋剤が非混和性である、いずれかの先行項に記載のプロセス。
28. 前記プリフォームポリマーが、前記ポリマーが前記膨潤剤によって膨潤される前に、前記架橋剤及び前記分散溶媒と合わされる、いずれかの先行項に記載のプロセス。
29. 前記プリフォームアミンポリマーを溶媒系において形成することをさらに含み、前記架橋アミンポリマーが、前記プリフォームアミンポリマーを前記溶媒系から単離することなく形成される、いずれかの先行項に記載のプロセス。
30. 前記プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化25】
いずれかの先行項に記載のプロセス。
31. 前記プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む:
【化26】
式中、R 及びR は、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである;いずれかの先行項に記載のプロセス。
32. R 及びR が、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、項31に記載のプロセス。
33. R 及びR が、独立して、水素、アリルまたはアミノアルキルである、項31に記載のプロセス。
34. 前記プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
35. 前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
36. 前記プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、いずれかの先行項に記載のプロセス。
37. 前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、いずれかの先行項に記載のプロセス。
38. 前記プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、前記架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しておりまたは
(iv)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、いずれかの先行項に記載のプロセス。
39. 前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、項38に記載のプロセス。
40. 前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、項38に記載のプロセス。
41. 前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、項38に記載のプロセス。
42. 架橋アミンポリマーの調製のためのプロセスであって、反応混合物において、プリフォームアミンポリマーを架橋して、前記架橋アミンポリマーを形成することを含み、前記反応混合物が、前記プリフォームアミンポリマー、前記プリフォームアミンポリマーを膨潤する膨潤剤、及びジクロロエタンを含んでいる、前記プロセス。
43. 前記反応混合物が、分散溶媒を含む、項42に記載のプロセス。
44. 前記反応混合物が、前記プリフォームアミンポリマーに化学的に不活性である分散溶媒分散溶媒を含む、項42または43に記載のプロセス。
45. 前記反応混合物が、分散溶媒を含み、前記分散溶媒が、ジクロロエタンである、項42または43に記載のプロセス。
46. 前記膨潤剤及びジクロロエタンが、非混和性である、項42~45のいずれかに記載のプロセス。
47. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、4未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
48. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、3未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
49. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、2未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
50. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、1未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
51. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.5未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
52. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.4未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
53. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、0.3未満:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
54. 前記反応混合物における前記膨潤剤対プリフォームアミンポリマーの重量比が、少なくとも0.15:1である、項42~46のいずれかに記載のプロセス。
55. 前記プリフォームアミンポリマーが、前記反応混合物において架橋される前に、塩基によって脱プロトン化される、項42~54のいずれかに記載のプロセス。
56. 前記プリフォームアミンポリマーが架橋され、該架橋が、主に炭素-炭素架橋である、項42~55のいずれかに記載のプロセス。
57. 前記膨潤剤が、極性溶媒である、項42~56のいずれかに記載のプロセス。
58. 前記膨潤剤が、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネートまたはこれらの組み合わせである、項42~56のいずれかに記載のプロセス。
59. 前記膨潤剤が、水である、項42~56のいずれかに記載のプロセス。
60. 前記プリフォームアミンポリマーが、式1に相当するアミンの残基を含む:
【化27】
項42~59のいずれかに記載のプロセス。
61. 前記プリフォームアミンポリマーが、式1aに相当するアミンの残基を含む
【化28】
式中、R 及びR が、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである;項42~59のいずれかに記載のプロセス。
62. R 及びR が、独立して、水素、脂肪族またはヘテロ脂肪族である、項61に記載のプロセス。
63. R 及びR が、独立して、水素、アリルまたはアミノアルキルである、項61に記載のプロセス。
64. 前記プリフォームアミンポリマーが、表Cのアミンの残基を含む、項42~59のいずれかに記載のプロセス。
65. 前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミンの残基を含む、項42~59のいずれかに記載のプロセス。
66. 前記プリフォームアミンポリマーが、ジアリルプロピルジアミンの残基を含む、項42~59のいずれかに記載のプロセス。
67. 前記プリフォームアミンポリマーが、アリルアミン及びジアリルプロピルジアミンの残基を含むコポリマーである、項42~59のいずれかに記載のプロセス。
68. 前記プリフォームアミンポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第1の選択性を特徴とし、前記架橋ポリマーが、SIB及び/またはSOBにおいてクエン酸塩、リン酸塩及び/またはタウロコール酸塩と比較して塩化物に関する第2の選択性を特徴とし:
(i)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(ii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、
(iii)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、クエン酸塩に関する結合能が減少しておりまたは
(iv)前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、タウロコール酸塩に関する結合能が減少している、項42~67のいずれかに記載のプロセス。
69. 前記架橋ポリマーは、前記プリフォームアミンポリマーと比較して、SGFにおける塩化物に関する結合能が減少している、項68に記載のプロセス。
70. 前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SIBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、リン酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、項68に記載のプロセス。
71. 前記プリフォームアミンポリマーと比較して、前記重合後の架橋ポリマーは、(i)SOBにおける、塩化物に関する結合能が増加し、組み合わせでの、リン酸塩、クエン酸塩及び/またはタウロコール酸塩に関する結合能が減少しており、(ii)SGFにおける結合能が減少している、項68に記載のプロセス。
72. 人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
73. それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
74. 人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において少なくとも1mmol/gの塩化物イオン結合能、SIBにおいて0.4mmol/g未満のリン酸イオン結合能、及びそれぞれ少なくとも2.3:1の、SIBにおける塩化物イオン対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
75. それぞれ少なくとも2.3:1の、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)における塩化物イオン結合能対リン酸イオン結合能の比、及び5未満の膨潤比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
76. GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において最初に結合された塩化物の少なくとも30%の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
77. GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
78. GIコンパートメント通過アッセイ(「GICTA」)において少なくとも0.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の保持塩化物含量、及びGICTAにおいて最初に結合された塩化物の少なくとも30%の、GICTA終了時の塩化物保持率を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
79. 人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
80. 人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において4時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーと、人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において24時間で少なくとも2mmolの塩化物/ポリマー(g)の塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
81. 少なくとも5.5mmolの塩化物/ポリマー(g)の、24時間人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)アッセイにおける塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
82. (i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において1時間で少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
83. (i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)において、少なくとも4mmol/gの塩化物イオン結合能及び2mmol/g未満のリン酸イオン結合能を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
84. (i)人工胃液において少なくとも5mmol/gのプロトン結合能及び塩化物結合能;ならびに(ii)人工小腸無機緩衝液(「SIB」)においてそれぞれ少なくとも2.3:1の塩化物対リン酸イオン結合比を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
85. (i)1時間、(ii)4時間、(iii)12時間、(iv)18時間、(v)24時間、(vi)30時間、(vii)36時間またはさらに(viii)48時間で人工小腸有機及び無機緩衝液(「SOB」)においてクエン酸塩、リン酸塩及びタウロコール酸塩を超える塩化物に関する選択性を有する架橋アミンポリマーを含む医薬組成物。
86. 項72~96のいずれかに記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
87. 項1~71のいずれかに記載のプロセスによって調製される架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
88. 式4に相当する構造:
【化29】
式中、各Rは、独立して、水素または架橋アミンポリマーの2個の窒素原子間のエチレン架橋
【化30】
であり、a、b、c、及びmは、整数である;を含むポリマー。
89. mが、拡大されたポリマーネットワークを示す大きい整数である、項88に記載のポリマー。
90. a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1:1~5:1の範囲である、項88または89に記載のポリマー。
91. a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.5:1~4:1の範囲である、項88または89に記載のポリマー。
92. a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約1.75:1~3:1の範囲である、項88または89に記載のポリマー。
93. a及びbの合計対cの比(すなわち、a+b:c)が、約2:1~2.5:1の範囲である、項88または89に記載のポリマー。
94. a及びbの合計が57であり、cが、24である、項88または89に記載のポリマー。
95. 前記R置換基の50~95%が、水素であり、5~50%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
96. 前記R置換基の55~90%が、水素であり、10~45%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
97. 前記R置換基の60~90%が水素であり、10~40%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
98. 前記R置換基の65~90%が水素であり、10~35%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
99. 前記R置換基の70~90%が水素であり、10~30%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
100. 前記R置換基の75~85%が水素であり、15~25%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
101. 前記R置換基の80~85%が水素であり、15~20%が、前記架橋アミンポリマーの2個の窒素間のエチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
102. 前記R置換基の約81%が水素であり、約19%が、エチレン架橋である、項88~94のいずれかに記載のポリマー。
103. 薬学的に許容可能な賦形剤と、項88~102のいずれかに記載の架橋アミンポリマーとを含む医薬組成物。
104. 実施形態103に記載の医薬組成物の経口投与を通してHClを除去することによって、ヒトを含めた動物における酸/塩基障害を治療する方法。
【外国語明細書】