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特開2024-164037BCMA-CD3二重特異性抗体のための投与レジメン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164037
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】BCMA-CD3二重特異性抗体のための投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241119BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241119BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241119BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241119BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A61K39/395 T
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024125698
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2020572963の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】62/712,357
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513105328
【氏名又は名称】アムジェン リサーチ (ミュニック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザグマイヤー,ゲーアハルト
(72)【発明者】
【氏名】トップ,マックス
(72)【発明者】
【氏名】ミュンツェルト,ゲルト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】陽性の有効性シグナルをもたらしながら、好ましい安全性及び忍容性プロファイルを提供する抗BCMA×抗CD3抗体コンストラクトを提供する。
【解決手段】BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の前記抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクトとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の前記抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクト。
【請求項2】
2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクルにわたって投与される、請求項1に記載の抗体コンストラクト。
【請求項3】
1つのサイクルは、前記抗体コンストラクトの投与期間、それに続く前記抗体コンストラクトの投与なしの期間を含む、請求項1又は2に記載の抗体コンストラクト。
【請求項4】
前記抗体コンストラクトの前記投与期間は、1~8週間、好ましくは2~6週間、より好ましくは25~30日である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項5】
前記抗体コンストラクトの前記投与なしの期間は、少なくとも連続した7日である、請求項3又は4に記載の抗体コンストラクト。
【請求項6】
前記抗体コンストラクトの前記投与なしの期間は、1週間~3カ月、好ましくは1週間~2カ月、より好ましくは1週間~1カ月である、請求項3~6のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項7】
前記抗体コンストラクトの前記用量は、各サイクル中に一定である、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項8】
前記抗体コンストラクトの前記用量は、各サイクル中及び1つのサイクルから後続のサイクルまで一定である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項9】
非経口的に、好ましくは静脈内に、より好ましくは持続静脈内投与を介して投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項10】
前記BCMA陽性新生物は、多発性骨髄腫、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症並びにくすぶり型骨髄腫からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項11】
a)単鎖ポリペプチドであり、
b)前記第1のドメインは、scFvのフォーマットであり、
c)前記第2のドメインは、scFvのフォーマットであり、及び/又は
d)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインは、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項12】
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号173に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号179に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合に関して競合するか、又はそれと同じBCMAのエピトープに結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項13】
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号639に示されるとおりのVH領域及び配列番号641に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号642に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合に関して競合するか、又はそれを同じCD3のエピトープに結合する、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項14】
BCMAに結合する前記第1のドメインは、
(1)配列番号1に示されるとおりのCDR-H1、配列番号2に示されるとおりのCDR-H2、配列番号3に示されるとおりのCDR-H3、配列番号4に示されるとおりのCDR-L1、配列番号5に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号6に示されるとおりのCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるとおりのCDR-H1、配列番号12に示されるとおりのCDR-H2、配列番号13に示されるとおりのCDR-H3、配列番号14に示されるとおりのCDR-L1、配列番号15に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号16に示されるとおりのCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるとおりのCDR-H1、配列番号22に示されるとおりのCDR-H2、配列番号23に示されるとおりのCDR-H3、配列番号24に示されるとおりのCDR-L1、配列番号25に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号26に示されるとおりのCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるとおりのCDR-H1、配列番号32に示されるとおりのCDR-H2、配列番号33に示されるとおりのCDR-H3、配列番号34に示されるとおりのCDR-L1、配列番号35に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号36に示されるとおりのCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるとおりのCDR-H1、配列番号42に示されるとおりのCDR-H2、配列番号43に示されるとおりのCDR-H3、配列番号44に示されるとおりのCDR-L1、配列番号45に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号46に示されるとおりのCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるとおりのCDR-H1、配列番号52に示されるとおりのCDR-H2、配列番号53に示されるとおりのCDR-H3、配列番号54に示されるとおりのCDR-L1、配列番号55に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号56に示されるとおりのCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるとおりのCDR-H1、配列番号62に示されるとおりのCDR-H2、配列番号63に示されるとおりのCDR-H3、配列番号64に示されるとおりのCDR-L1、配列番号65に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号66に示されるとおりのCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるとおりのCDR-H1、配列番号72に示されるとおりのCDR-H2、配列番号73に示されるとおりのCDR-H3、配列番号74に示されるとおりのCDR-L1、配列番号75に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号76に示されるとおりのCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるとおりのCDR-H1、配列番号82に示されるとおりのCDR-H2、配列番号83に示されるとおりのCDR-H3、配列番号84に示されるとおりのCDR-L1、配列番号85に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号86に示されるとおりのCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるとおりのCDR-H1、配列番号92に示されるとおりのCDR-H2、配列番号93に示されるとおりのCDR-H3、配列番号94に示されるとおりのCDR-L1、配列番号95に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号96に示されるとおりのCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるとおりのCDR-H1、配列番号102に示されるとおりのCDR-H2、配列番号103に示されるとおりのCDR-H3、配列番号104に示されるとおりのCDR-L1、配列番号105に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号106に示されるとおりのCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるとおりのCDR-H1、配列番号112に示されるとおりのCDR-H2、配列番号113に示されるとおりのCDR-H3、配列番号114に示されるとおりのCDR-L1、配列番号115に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号116に示されるとおりのCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるとおりのCDR-H1、配列番号122に示されるとおりのCDR-H2、配列番号123に示されるとおりのCDR-H3、配列番号124に示されるとおりのCDR-L1、配列番号125に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号126に示されるとおりのCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるとおりのCDR-H1、配列番号132に示されるとおりのCDR-H2、配列番号133に示されるとおりのCDR-H3、配列番号134に示されるとおりのCDR-L1、配列番号135に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号136に示されるとおりのCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるとおりのCDR-H1、配列番号142に示されるとおりのCDR-H2、配列番号143に示されるとおりのCDR-H3、配列番号144に示されるとおりのCDR-L1、配列番号145に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号146に示されるとおりのCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるとおりのCDR-H1、配列番号152に示されるとおりのCDR-H2、配列番号153に示されるとおりのCDR-H3、配列番号154に示されるとおりのCDR-L1、配列番号155に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号156に示されるとおりのCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるとおりのCDR-H1、配列番号162に示されるとおりのCDR-H2、配列番号163に示されるとおりのCDR-H3、配列番号164に示されるとおりのCDR-L1、配列番号165に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号166に示されるとおりのCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2、配列番号173に示されるとおりのCDR-H3、配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるとおりのCDR-H1、配列番号182に示されるとおりのCDR-H2、配列番号183に示されるとおりのCDR-H3、配列番号184に示されるとおりのCDR-L1、配列番号185に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号186に示されるとおりのCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるとおりのCDR-H1、配列番号192に示されるとおりのCDR-H2、配列番号193に示されるとおりのCDR-H3、配列番号194に示されるとおりのCDR-L1、配列番号195に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号196に示されるとおりのCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるとおりのCDR-H1、配列番号202に示されるとおりのCDR-H2、配列番号203に示されるとおりのCDR-H3、配列番号204に示されるとおりのCDR-L1、配列番号205に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号206に示されるとおりのCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるとおりのCDR-H1、配列番号212に示されるとおりのCDR-H2、配列番号213に示されるとおりのCDR-H3、配列番号214に示されるとおりのCDR-L1、配列番号215に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号216に示されるとおりのCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるとおりのCDR-H1、配列番号222に示されるとおりのCDR-H2、配列番号223に示されるとおりのCDR-H3、配列番号224に示されるとおりのCDR-L1、配列番号225に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号226に示されるとおりのCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるとおりのCDR-H1、配列番号232に示されるとおりのCDR-H2、配列番号233に示されるとおりのCDR-H3、配列番号234に示されるとおりのCDR-L1、配列番号235に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号236に示されるとおりのCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるとおりのCDR-H1、配列番号242に示されるとおりのCDR-H2、配列番号243に示されるとおりのCDR-H3、配列番号244に示されるとおりのCDR-L1、配列番号245に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号246に示されるとおりのCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるとおりのCDR-H1、配列番号252に示されるとおりのCDR-H2、配列番号253に示されるとおりのCDR-H3、配列番号254に示されるとおりのCDR-L1、配列番号255に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号256に示されるとおりのCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるとおりのCDR-H1、配列番号262に示されるとおりのCDR-H2、配列番号263に示されるとおりのCDR-H3、配列番号264に示されるとおりのCDR-L1、配列番号265に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号266に示されるとおりのCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるとおりのCDR-H1、配列番号272に示されるとおりのCDR-H2、配列番号273に示されるとおりのCDR-H3、配列番号274に示されるとおりのCDR-L1、配列番号275に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号276に示されるとおりのCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるとおりのCDR-H1、配列番号282に示されるとおりのCDR-H2、配列番号283に示されるとおりのCDR-H3、配列番号284に示されるとおりのCDR-L1、配列番号285に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号286に示されるとおりのCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるとおりのCDR-H1、配列番号292に示されるとおりのCDR-H2、配列番号293に示されるとおりのCDR-H3、配列番号294に示されるとおりのCDR-L1、配列番号295に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号296に示されるとおりのCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるとおりのCDR-H1、配列番号302に示されるとおりのCDR-H2、配列番号303に示されるとおりのCDR-H3、配列番号304に示されるとおりのCDR-L1、配列番号305に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号306に示されるとおりのCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるとおりのCDR-H1、配列番号312に示されるとおりのCDR-H2、配列番号313に示されるとおりのCDR-H3、配列番号314に示されるとおりのCDR-L1、配列番号315に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号316に示されるとおりのCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるとおりのCDR-H1、配列番号322に示されるとおりのCDR-H2、配列番号323に示されるとおりのCDR-H3、配列番号324に示されるとおりのCDR-L1、配列番号325に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号326に示されるとおりのCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるとおりのCDR-H1、配列番号332に示されるとおりのCDR-H2、配列番号333に示されるとおりのCDR-H3、配列番号334に示されるとおりのCDR-L1、配列番号335に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号336に示されるとおりのCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるとおりのCDR-H1、配列番号342に示されるとおりのCDR-H2、配列番号343に示されるとおりのCDR-H3、配列番号344に示されるとおりのCDR-L1、配列番号345に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号346に示されるとおりのCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるとおりのCDR-H1、配列番号352に示されるとおりのCDR-H2、配列番号353に示されるとおりのCDR-H3、配列番号354に示されるとおりのCDR-L1、配列番号355に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号356に示されるとおりのCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるとおりのCDR-H1、配列番号362に示されるとおりのCDR-H2、配列番号363に示されるとおりのCDR-H3、配列番号364に示されるとおりのCDR-L1、配列番号365に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号366に示されるとおりのCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるとおりのCDR-H1、配列番号372に示されるとおりのCDR-H2、配列番号373に示されるとおりのCDR-H3、配列番号374に示されるとおりのCDR-L1、配列番号375に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号376に示されるとおりのCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるとおりのCDR-H1、配列番号382に示されるとおりのCDR-H2、配列番号383に示されるとおりのCDR-H3、配列番号384に示されるとおりのCDR-L1、配列番号385に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号386に示されるとおりのCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるとおりのCDR-H1、配列番号392に示されるとおりのCDR-H2、配列番号393に示されるとおりのCDR-H3、配列番号394に示されるとおりのCDR-L1、配列番号395に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号396に示されるとおりのCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるとおりのCDR-H1、配列番号402に示されるとおりのCDR-H2、配列番号403に示されるとおりのCDR-H3、配列番号404に示されるとおりのCDR-L1、配列番号405に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号406に示されるとおりのCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるとおりのCDR-H1、配列番号412に示されるとおりのCDR-H2、配列番号413に示されるとおりのCDR-H3、配列番号414に示されるとおりのCDR-L1、配列番号415に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号416に示されるとおりのCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるとおりのCDR-H1、配列番号422に示されるとおりのCDR-H2、配列番号423に示されるとおりのCDR-H3、配列番号424に示されるとおりのCDR-L1、配列番号425に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号426に示されるとおりのCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるとおりのCDR-H1、配列番号432に示されるとおりのCDR-H2、配列番号433に示されるとおりのCDR-H3、配列番号434に示されるとおりのCDR-L1、配列番号435に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号436に示されるとおりのCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるとおりのCDR-H1、配列番号442に示されるとおりのCDR-H2、配列番号443に示されるとおりのCDR-H3、配列番号444に示されるとおりのCDR-L1、配列番号445に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号446に示されるとおりのCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるとおりのCDR-H1、配列番号452に示されるとおりのCDR-H2、配列番号453に示されるとおりのCDR-H3、配列番号454に示されるとおりのCDR-L1、配列番号455に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号456に示されるとおりのCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるとおりのCDR-H1、配列番号462に示されるとおりのCDR-H2、配列番号463に示されるとおりのCDR-H3、配列番号464に示されるとおりのCDR-L1、配列番号465に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号466に示されるとおりのCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるとおりのCDR-H1、配列番号472に示されるとおりのCDR-H2、配列番号473に示されるとおりのCDR-H3、配列番号474に示されるとおりのCDR-L1、配列番号475に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号476に示されるとおりのCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるとおりのCDR-H1、配列番号482に示されるとおりのCDR-H2、配列番号483に示されるとおりのCDR-H3、配列番号484に示されるとおりのCDR-L1、配列番号485に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号486に示されるとおりのCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるとおりのCDR-H1、配列番号492に示されるとおりのCDR-H2、配列番号493に示されるとおりのCDR-H3、配列番号494に示されるとおりのCDR-L1、配列番号495に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号496に示されるとおりのCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるとおりのCDR-H1、配列番号502に示されるとおりのCDR-H2、配列番号503に示されるとおりのCDR-H3、配列番号504に示されるとおりのCDR-L1、配列番号505に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号506に示されるとおりのCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるとおりのCDR-H1、配列番号512に示されるとおりのCDR-H2、配列番号513に示されるとおりのCDR-H3、配列番号514に示されるとおりのCDR-L1、配列番号515に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号516に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(53)配列番号521に示されるとおりのCDR-H1、配列番号522に示されるとおりのCDR-H2、配列番号523に示されるとおりのCDR-H3、配列番号524に示されるとおりのCDR-L1、配列番号525に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号526に示されるとおりのCDR-L3
から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項15】
BCMAに結合する前記第1のドメインは、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項16】
BCMAに結合する前記第1のドメインは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項17】
BCMAに結合する前記第1のドメインは、
(1)配列番号7に示されるとおりのVH領域及び配列番号8に示されるとおりのVL領域;
(2)配列番号17に示されるとおりのVH領域及び配列番号18に示されるとおりのVL領域;
(3)配列番号27に示されるとおりのVH領域及び配列番号28に示されるとおりのVL領域;
(4)配列番号37に示されるとおりのVH領域及び配列番号38に示されるとおりのVL領域;
(5)配列番号47に示されるとおりのVH領域及び配列番号48に示されるとおりのVL領域;
(6)配列番号57に示されるとおりのVH領域及び配列番号58に示されるとおりのVL領域;
(7)配列番号67に示されるとおりのVH領域及び配列番号68に示されるとおりのVL領域;
(8)配列番号77に示されるとおりのVH領域及び配列番号78に示されるとおりのVL領域;
(9)配列番号87に示されるとおりのVH領域及び配列番号88に示されるとおりのVL領域;
(10)配列番号97に示されるとおりのVH領域及び配列番号98に示されるとおりのVL領域;
(11)配列番号107に示されるとおりのVH領域及び配列番号108に示されるとおりのVL領域;
(12)配列番号117に示されるとおりのVH領域及び配列番号118に示されるとおりのVL領域;
(13)配列番号127に示されるとおりのVH領域及び配列番号128に示されるとおりのVL領域;
(14)配列番号137に示されるとおりのVH領域及び配列番号138に示されるとおりのVL領域;
(15)配列番号147に示されるとおりのVH領域及び配列番号148に示されるとおりのVL領域;
(16)配列番号157に示されるとおりのVH領域及び配列番号158に示されるとおりのVL領域;
(17)配列番号167に示されるとおりのVH領域及び配列番号168に示されるとおりのVL領域;
(18)配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域;
(19)配列番号187に示されるとおりのVH領域及び配列番号188に示されるとおりのVL領域;
(20)配列番号197に示されるとおりのVH領域及び配列番号198に示されるとおりのVL領域;
(21)配列番号207に示されるとおりのVH領域及び配列番号208に示されるとおりのVL領域;
(22)配列番号217に示されるとおりのVH領域及び配列番号218に示されるとおりのVL領域;
(23)配列番号227に示されるとおりのVH領域及び配列番号228に示されるとおりのVL領域;
(24)配列番号237に示されるとおりのVH領域及び配列番号238に示されるとおりのVL領域;
(25)配列番号247に示されるとおりのVH領域及び配列番号248に示されるとおりのVL領域;
(26)配列番号257に示されるとおりのVH領域及び配列番号258に示されるとおりのVL領域;
(27)配列番号267に示されるとおりのVH領域及び配列番号268に示されるとおりのVL領域;
(28)配列番号277に示されるとおりのVH領域及び配列番号278に示されるとおりのVL領域;
(29)配列番号287に示されるとおりのVH領域及び配列番号288に示されるとおりのVL領域;
(30)配列番号297に示されるとおりのVH領域及び配列番号298に示されるとおりのVL領域;
(31)配列番号307に示されるとおりのVH領域及び配列番号308に示されるとおりのVL領域;
(32)配列番号317に示されるとおりのVH領域及び配列番号318に示されるとおりのVL領域;
(33)配列番号327に示されるとおりのVH領域及び配列番号328に示されるとおりのVL領域;
(34)配列番号337に示されるとおりのVH領域及び配列番号338に示されるとおりのVL領域;
(35)配列番号347に示されるとおりのVH領域及び配列番号348に示されるとおりのVL領域;
(36)配列番号357に示されるとおりのVH領域及び配列番号358に示されるとおりのVL領域;
(37)配列番号367に示されるとおりのVH領域及び配列番号368に示されるとおりのVL領域;
(38)配列番号377に示されるとおりのVH領域及び配列番号378に示されるとおりのVL領域;
(39)配列番号387に示されるとおりのVH領域及び配列番号388に示されるとおりのVL領域;
(40)配列番号397に示されるとおりのVH領域及び配列番号398に示されるとおりのVL領域;
(41)配列番号407に示されるとおりのVH領域及び配列番号408に示されるとおりのVL領域;
(42)配列番号417に示されるとおりのVH領域及び配列番号418に示されるとおりのVL領域;
(43)配列番号427に示されるとおりのVH領域及び配列番号428に示されるとおりのVL領域;
(44)配列番号437に示されるとおりのVH領域及び配列番号438に示されるとおりのVL領域;
(45)配列番号447に示されるとおりのVH領域及び配列番号448に示されるとおりのVL領域;
(46)配列番号457に示されるとおりのVH領域及び配列番号458に示されるとおりのVL領域;
(47)配列番号467に示されるとおりのVH領域及び配列番号468に示されるとおりのVL領域;
(48)配列番号477に示されるとおりのVH領域及び配列番号478に示されるとおりのVL領域;
(49)配列番号487に示されるとおりのVH領域及び配列番号488に示されるとおりのVL領域;
(50)配列番号497に示されるとおりのVH領域及び配列番号498に示されるとおりのVL領域;
(51)配列番号507に示されるとおりのVH領域及び配列番号508に示されるとおりのVL領域;
(52)配列番号517に示されるとおりのVH領域及び配列番号518に示されるとおりのVL領域;並びに
(53)配列番号527に示されるとおりのVH領域及び配列番号528に示されるとおりのVL領域
からなる群から選択されるVH領域及びVL領域を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項18】
BCMAに結合する前記第1のドメインは、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項19】
CD3に結合する前記第2のドメインは、
(a)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号544に示されるとおりのCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号601に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(c)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号623に示されるとおりのCDR-L3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項20】
CD3に結合する前記第2のドメインは、
(a)配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項21】
CD3に結合する前記第2のドメインは、
(a)配列番号531に示されるとおりのCDR-L1、配列番号532に示されるとおりのCDR-L2、配列番号533に示されるとおりのCDR-L3、配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2、配列番号544に示されるとおりのCDR-L3、配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるとおりのCDR-L1、配列番号555に示されるとおりのCDR-L2、配列番号556に示されるとおりのCDR-L3、配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるとおりのCDR-L1、配列番号566に示されるとおりのCDR-L2、配列番号567に示されるとおりのCDR-L3、配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるとおりのCDR-L1、配列番号577に示されるとおりのCDR-L2、配列番号578に示されるとおりのCDR-L3、配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるとおりのCDR-L1、配列番号589に示されるとおりのCDR-L2、配列番号590に示されるとおりのCDR-L3、配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2、配列番号601に示されるとおりのCDR-L3、配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるとおりのCDR-L1、配列番号611に示されるとおりのCDR-L2、配列番号612に示されるとおりのCDR-L3、配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2、配列番号623に示されるとおりのCDR-L3、配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域並びにCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項22】
CD3に結合する前記第2のドメインは、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項23】
CD3に結合する前記第2のドメインは、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項24】
CD3に結合する前記第2のドメインは、
(a)配列番号539又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号537又は538に示されるとおりのVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号548又は549に示されるとおりのVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号560又は561に示されるとおりのVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号571又は572に示されるとおりのVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号582又は583に示されるとおりのVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号594又は595に示されるとおりのVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号605又は606に示されるとおりのVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号616又は617に示されるとおりのVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号627又は628に示されるとおりのVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号639又は640に示されるとおりのVH領域;並びに
(k)配列番号645に示されるとおりのVL領域及び配列番号644に示されるとおりのVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項25】
CD3に結合する前記第2のドメインは、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項26】
配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530及び661に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、指定された用量で投与され、1つのサイクルは、抗体コンストラクトの指定された投与期間を含む、抗体コンストラクトに関する。更に、本発明は、BCMA陽性新生物の治療の方法であって、指定された量のこのような抗体コンストラクトを投与することを含む方法及びBCMA陽性新生物の治療のための薬剤の製造のためのこのような抗体コンストラクトの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄で増殖し、且つパラプロテインを放出する形質細胞の悪性腫瘍である。得られる臨床検査の状況としては、感染症、骨破壊、骨髄不全、腎不全及び高カルシウム血症が挙げられる。年齢調整された年間発生率は、増加しており、100,000人あたりおよそ6人の新規症例がある。発生率は、米国の黒人人口で白人人口よりも2倍高くなる。MMに関する5年生存率は、1975年の新たに診断された患者の約25%から2006年の約45%に増加した。この改善は、主にプロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤などの新薬によるものである。しかし、MMは、現在のアプローチでは治癒可能と見なされていない。プロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤に無反応である患者は、全生存期間の中央値が9か月と好ましくない転帰を示す。
【0003】
del17p13陽性MMの亜群など、リスクの高い集団では転帰が特に悪い。多くの薬剤がMM用に臨床開発中であるが、新しい治療選択肢が依然として必要とされている。症候性疾患を示す患者は、最初に一次導入療法で治療され、その後、適格な患者で自家幹細胞サポートを伴う高用量化学療法が行われる。集中治療の対象となる患者は、年齢(上限として65~75歳)、併存症なし及びインタクトな腎機能によって決定される。このレジメンは若くて健康な患者の生存率を改善したが、奏効期間の中央値は、3年を超えず、10年を超えて病気にかからない患者は、ほとんどいなかった。
【0004】
寛解の深さ及び期間を増加させるために、コンソリデーション及びメンテナンスのアプローチが試験された。有効性又は忍容性がないためにメンテナンス療法が困難であるため、インダクション、コンソリデーション又はメンテナンスレジメンに新しい治療法を追加することにより、移植環境での生存転帰を改善する選択肢が依然としてある。高用量療法の対象とならない患者は、通常、移植候補者と同様のインダクションレジメンを受ける。これらのレジメンには、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ又はメルファランベースのサリドマイドとの組み合わせが含まれる。高齢患者におけるメルファラン-サリドマイド-プレドニゾン(MPT)全生存期間(OS)の中央値は、40カ月である。デキサメタゾンと組み合わせたレナリドマイドは、再発/難治性MMのための標準的なレジメンであるが、移植不適格患者ではファーストラインの状況に移行し得る。
【0005】
再発した状況で確立された他のレジメンは、反復誘導レジメン又はボルテゾミブ若しくはアルキル化剤との免疫調節剤ベースのサルベージの組み合わせである。再発疾患の患者には、転帰の改善(無進行生存率(PFS)及びOS)が必要である。確立された治療に応答せず、治療が進行している患者は、治療時にOSが9か月、治療なしで3か月という悲惨な転帰をもたらす。依然として対処されていないニーズは、これらの患者で最も高くなる。
【0006】
BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体コンストラクトなどの二重特異性分子は、標的細胞上の選択された腫瘍関連表面抗原に特異的である1つの結合ドメイン及びT細胞上のT細胞受容体複合体のサブユニットであるCD3に特異的である第2の結合ドメインを有する組換えタンパク質コンストラクトである。それらの特別な設計により、BiTE(登録商標)抗体コンストラクトは、T細胞を標的細胞と一過的に結び付け、同時に標的細胞に対するT細胞の固有の細胞溶解能を強力に活性化するのに独特に適している。第一世代のBiTE(登録商標)抗体コンストラクト(国際公開第99/54440号パンフレット及び同第2005/040220号パンフレットを参照されたい)は、AMG103(ブリナツモマブ、抗CD19×抗CD3)及びAMG110(ソリトマブ、抗EpCAMx抗CD3)として臨床に用いられるようになった。ALLを有する患者に承認されているブリナツモマブは、持続静脈内注射によって投与され、最初の投与期間では初期用量が低く、残りの治療において、最初のサイクル及びその後の全てのサイクル中に用量が高くなる。ブリナツモマブの目標用量に到達するための手段としての段階的投与と一定(フラット)投与との比較において、段階的投与は、有害事象を軽減するのにより効果的であることが見出された。従って、陽性の有効性シグナル及び好ましい安全性プロファイルを考慮して、同様の投与スキームは、各サイクルで用量を増加させて投与されたソリトマブにも使用されてきた。第一世代のBiTE(登録商標)抗体コンストラクトの重要な更なる開発は、ヒト及びコモンマーモセット(Callithrix jacchus)、ワタボウシタマリン(Saguinus oedipus)又はコモンリスザル(Saimiri sciureus)のCD3ε鎖のN末端のコンテクスト非依存的なエピトープに結合する二重特異性抗体コンストラクトを提供した(国際公開第2008/119567号パンフレット)。臨床試験されたこの新しいCD3ε結合ドメインを含む第1のBiTE(登録商標)分子は、AMG330であった。以前に使用された投与スキームに沿って、目標用量まで段階的に増加する前に低用量で治療を開始すると、サイトカイン上昇の大きさが減少し、AMG330も段階的投与レジメンで投与された。最初の投与ステップでの低用量の抗標的×抗CD3抗体コンストラクトの投与は、患者の抗体コンストラクトとの最初の接触に起因する副作用を回避又は制限すべき前観察フェーズ又は適応フェーズとして理解される。
【0007】
B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17、CD269)は、TNF受容体スーパーファミリーに属する膜貫通型タンパク質である。BCMAの発現は、後期の形質細胞分化中に選択的に誘導され、ナイーブ及びメモリーB細胞に存在しない。BCMAがそのリガンド、B細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)に結合すると、骨髄形質細胞及び形質芽細胞の生存が促進される。BCMAは、正常なB細胞の恒常性を維持しないが、長寿命の形質細胞の生存に必要である。BCMA-/-マウスでの研究では、長寿命の骨髄形質細胞の生存が損なわれていることが示されたが、B細胞の発達及び初期の体液性免疫反応は、野生型マウスと区別がつかなかった。BCMAのmRNA発現は、悪性形質細胞障害で高く上昇している。対照的に、正常組織でのmRNA発現は、非常に低く、正常な長寿命の形質細胞が存在するリンパ組織に限定されている。BCMAタンパク質の発現は、形質細胞のみに制限されることが報告されている。BCMAの発現は、形質芽球及び長寿命の形質細胞に限定されており、他の正常なヒト組織で検出できない。BCMAは、MM細胞の細胞表面に普遍的に発現し、悪性形質細胞では、正常な形質細胞で観察されるレベルよりも比較的高いレベルで発現する。BCMAの発現とMMの病期、最後の治療への奏効及び診断からの時間との間に相関関係はない。T細胞も骨髄細胞もCD34+造血幹細胞もBCMAを発現しない。BCMAの選択的発現は、抗体ベース及びキメラ抗原受容体(CAR)ベースの治療法の非常に魅力的な標的になる。
【0008】
AMG420(以前のBI836909)は、標的細胞上のBCMA及びT細胞上のCD3εに結合する二重特異性T細胞エンゲージャーである。これは、CTLの細胞溶解活性をMM細胞に向けることにより、MM細胞と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)との間の橋渡しとして機能する。AMG420は、2つの単鎖可変断片(scFv)からなり、一方は、BCMAに向けられ、他方は、CD3に向けられている。scFv断片の各々は、グリシン/セリンリンカーで接続されたVH及びVLドメインからなる。2つのscFv断片は、グリシン/セリンリンカーでも接続される。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、抗BCMA×抗CD3抗体コンストラクトの場合、MM患者にとって、患者の血清中の目標用量に遅滞なく到達することが最も有益であることを見出した。患者の目標用量がより早く達成されるほど、奏効の開始がより速くなると考えられる。これは、骨髄中の腫瘍であるALLのCRの迅速な発症によって示され、これがT細胞により容易に到達することができる(Stackelberg et al.JCO 2016)。他方では、抗体コンストラクトが患者の体内で治療上有効な用量に達するのに時間がかかる場合(例えば、段階的投与のため)、抗体コンストラクトの効率は、悪いようである。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、この現象がT細胞の増殖及びT細胞の再分布に関連していると考えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第99/54440号
【特許文献2】国際公開第2005/040220号
【特許文献3】国際公開第2008/119567号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Stackelberg et al.JCO 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、陽性の有効性シグナルをもたらしながら、好ましい安全性及び忍容性プロファイルを提供する抗BCMA×抗CD3抗体コンストラクトのための投与スキームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクトに関する。
【0014】
更に、本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善のための方法であって、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトを、それを必要としている対象に投与することを含み、抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の抗体コンストラクトの投与期間を含む、方法に関する。
【0015】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療のための薬剤の製造のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトの使用であって、抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の抗体コンストラクトの投与期間を含む、使用に更に関する。
【0016】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善のための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトの使用であって、抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の抗体コンストラクトの投与期間を含む、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「新生物」は、必ずというわけではないが、通常、腫瘤を形成する組織の異常な成長である。腫瘤も形成する場合、それは、一般に「腫瘍」と称される。脳腫瘍では、細胞の無制御な分裂は、新生物の腫瘤のサイズが増加することを意味し、頭蓋内腔などの閉鎖空間では、腫瘤が脳の空間に浸潤してそれを押しのけ、脳組織の圧迫及び頭蓋内圧の上昇及び実質の破壊につながるため、これは、急速に問題化する。本発明によると、用語「新生物」又は「腫瘍」は、本明細書に記載の抗体コンストラクトによる治療から利益を得るであろう状態も指す。これには、哺乳類において対象の状態(新生物又は腫瘍)の素因になる病理学的状態を含めた慢性及び急性障害又は疾患が含まれる。
【0018】
新生物又は腫瘍は、良性、潜在的に悪性(前癌性)又は悪性(癌性)であり得る。悪性新生物/腫瘍は、一般に癌と呼ばれる。これは、通常、周囲組織に浸潤してそれを破壊し、且つ転移を形成することもあり、即ち体の他の部分、組織又は器官に広がり得る。「原発腫瘍」は、腫瘍進行が始まり、進行して癌性腫瘤をもたらした解剖学的部位で成長する腫瘍である。例えば、脳腫瘍は、脳内で異常細胞が形成されると起こる。多くの癌は、その原発部位で発達するが、次に体の他の部分(例えば、組織及び器官)に転移を形成するか又は広がる。これらの更なる腫瘍は、「二次性腫瘍」である。多くの癌は、体の他の部分に広がった後でもその原発部位にちなんで呼ばれ続ける。
【0019】
リンパ腫及び白血病は、造血性又はリンパ系新生物である。本発明の目的において、リンパ腫及び白血病は、用語「腫瘍」、「癌」又は「新生物」にも包含される。リンパ腫は、リンパ球から発生する血液癌のグループである(白血球のタイプ)。白血病は、通常、骨髄で始まり、多数の異常な白血球をもたらす癌のグループである。これらの白血球は、完全には発達しておらず、芽球又は白血病細胞と呼ばれている。リンパ腫及び白血病は、造血及びリンパ組織の腫瘍のより広範なグループの一部である。
【0020】
本発明の目的において、用語「新生物」、「腫瘍」及び「癌」は、同義的に使用され得、これらは、原発腫瘍/癌及び二次性腫瘍/癌(又は「転移」)の両方並びに腫瘤形成新生物(腫瘍)及びリンパ系新生物(リンパ腫及び白血病など)及びまたMRDも含む。
【0021】
用語「微小残存病変」(MRD)は、癌治療後、例えば患者が寛解状態(患者は、疾患の症状又は徴候を有さない)にあるときの患者に残る少数の残存癌細胞の存在のエビデンスを指す。残っている癌細胞が極めて少数であれば、癌の評価又は検出に用いられる標準検査は、MRDを検出するのに感度が不十分であるため、通常、常法手段によって検出できない。最近では、フローサイトメトリー、PCR及び次世代シーケンシングなど、極めて高感度の分子生物学的MRD検査が利用可能である。これらの検査では、ときに百万個の正常細胞中のわずか1個の癌細胞ほどの組織試料中の最小限レベルの癌細胞を測定することができる。本発明との関連において、新生物の「予防」、「治療」又は「改善」という用語は、MRDが検出されたか否かに関わらず、「MRDの予防、治療又は改善」も包含することが想定される。
【0022】
BCMA陽性新生物は、B細胞新生物又は形質細胞新生物であることが想定される。Bリンパ球とも呼ばれるB細胞は、リンパ球サブタイプの白血球の一種である。それらは、抗体を分泌することにより、適応免疫系の体液性免疫成分で機能する。更に、B細胞は、抗原を提示し(プロフェッショナルな抗原提示細胞としても分類される)、サイトカインを分泌する。哺乳類では、B細胞は、ほとんどの骨の中心にある骨髄で成熟する。B細胞は、他の2つのクラスのリンパ球 - T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞 - と異なり、細胞膜上にB細胞受容体(BCR)を発現する。BCRは、B細胞が特定の抗原に結合することを可能にし、それに対して抗体反応を開始する。形質細胞は、形質B細胞、形質細胞又はエフェクターB細胞とも呼ばれ、大量の抗体を分泌する白血球である。それらは、通常、血漿及びリンパ系によって輸送される。形質細胞は、骨髄に由来する。B細胞は、前駆B細胞の受容体を厳密にモデル化した抗体分子を産生する形質細胞に分化する。血液及びリンパ液に放出されると、これらの抗体分子は、標的抗原に結合し、その中和又は破壊を開始する。
【0023】
細胞表面でのBCMAの発現レベルは、例えば、フローサイトメトリー分析により決定することができる。BCMA発現の分析のために選択される細胞の亜集団(例えば、B細胞、形質細胞、MM細胞、CD138+細胞)は、例えば、抗BCMA抗体、続いて二次抗体で染色し、次いでFACSアッセイで分析され得る。BCMA陰性細胞株(K562、A549、TC71、CCRF-CEMなど)は、対照として使用することができる。FACSアッセイのシフト(BCMA陰性細胞株が0%BCMA発現を定義している)は、分析対象の細胞がBCMA陽性であることを示す。低発現、中発現又は高発現など、異なるレベルのBCMA発現が表面細胞に存在し得る。Quinn et al.,Blood(2011)117:890-901及びSanchez et al,Br J Heamatol 2012 Jul 18も参照されたい。
【0024】
「BCMA陽性新生物」又は「(BCMA陽性)B細胞新生物若しくは形質細胞新生物」は、限定されるものではないが、多発性骨髄腫、再発性及び/若しくは難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫(髄外形質細胞腫、髄外多発性骨髄腫)、形質細胞腫、形質細胞性白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)並びにくすぶり型骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫)を含む群から選択され得る。従って、本開示は、本明細書に記載された多発性骨髄腫(MM)、形質細胞腫、形質細胞白血病及びワルデンストローム大グロブリン血症の治療又は改善において使用するための抗体コンストラクトにも関する。MMは、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外多発性骨髄腫並びにくすぶり型多発性骨髄腫からなる又はそれらを含む群から選択され得る。
【0025】
本発明の抗体コンストラクト(及びこのような抗体コンストラクトを含む医薬組成物)は、それを必要としている対象における、本明細書に記載されるとおりのBCMA陽性新生物の治療、改善及び/又は予防において有用である。用語「治療」は、療法的治療及び予防的又は防御的手段の両方を指す。治療には、BCMA陽性新生物の1つ以上の症状又は疾患に罹りやすい素因を根治し、治癒し、軽減し、緩和し、改変し、修復し、改善し、向上させるか、又はBCMA陽性新生物に作用することを目的とした、本明細書に記載されるとおりのBCMA陽性新生物、このような新生物の症状又はこのような新生物に罹りやすい素因を有する、必要としている患者の身体又は患者若しくは対象からの摘出組織若しくは細胞への抗体コンストラクト(又はこのような抗体コンストラクトを含む医薬組成物)の投与が含まれる。
【0026】
用語「必要としている対象」、「患者」又は「治療を必要としている」それらの者には、すでにBCMA陽性新生物を有するそれらの者並びにMRDの状況にある者及び新生物を予防すべきそれらの者が含まれる。これらの用語には、予防的治療又は療法的治療のいずれを受けるヒト及び他の哺乳類対象も含まれる。
【0027】
用語「改善」は、本明細書で使用されるとき、患者の疾患状態(BCMA陽性新生物である疾患)の、それを必要としているこのような患者又は対象への本発明に係る抗体コンストラクトの投与による何らかの改善を指す。このような改善は、患者の疾患の進行の減速若しくは停止として、及び/或いは疾患症状の重症度の低下、無疾患症状期間の頻度若しくは持続時間の増加又は疾患に起因する機能障害若しくは能力障害の予防として見られ得る。
【0028】
用語「予防」は、本明細書で使用する場合、それを必要としている対象への本発明に係る抗体コンストラクトの投与によって本明細書に指定されるとおりの疾患の発生又は再発が回避されることを意味する。
【0029】
多発性骨髄腫の場合、多くの臓器がこの疾患の影響を受ける可能性があるため、症状及び徴候は、大きく異なる。多発性骨髄腫の一般的な症状としては、高カルシウム濃度、腎不全、貧血及び骨病変(ともに「CRAB」の特徴)が挙げられる。進行したMMでは、骨痛、出血及び頻繁な感染症が発生する可能性がある。厄介な問題としては、アミロイド症も挙げられる。国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)は、典型的なCRABの特徴に加えて、3つの「骨髄腫診断事象」(MDE)を教示するMMの診断基準を確立した。
・骨髄検査で60%以上のクローン形質細胞
・血清関与/非関与遊離軽鎖比は、関与軽鎖の絶対レベルが少なくとも100mg/Lである場合、100以上である(患者の「関与」遊離軽鎖(カッパ又はラムダのいずれか)は、通常の基準範囲を上回り;「非関与」遊離軽鎖は、典型的には、通常の範囲内又はそれを下回る軽鎖である)
・サイズが少なくとも5mm以上のMRI上の2つ以上の限局性病変
これらのマーカーの少なくとも1つの存在は、症状又はCRABの特徴の有無に関係なく、多発性骨髄腫の診断に十分であると見なされる。また、Palumbo A.J Clin Oncol.2014 Feb 20;32(6):587-600を参照されたい。
【0030】
骨痛は、患者のほぼ70%に影響を及ぼし、最も一般的な症状である。それは、通常、脊椎及び肋骨と関連する。椎骨の関与は、脊髄圧迫又は後弯症につながる可能性がある。骨髄腫骨疾患は、骨髄間質による核因子κBリガンド(RANKL)の受容体活性化因子の過剰発現によるものである。RANKLは、骨を再吸収する破骨細胞を活性化する。結果として生じる骨病変は、本質的に融解性であり(即ち、それらは、破壊を引き起こす)、単純なX線写真で最もよく見られる。骨の破壊は、血中へのカルシウムの放出も引き起こし、高カルシウム血症及びそれに関連する症状を引き起こす。
【0031】
骨髄腫で見られる貧血は、通常、正球性及び正色素性である。これは、腫瘍細胞の浸潤による正常な骨髄の置換及びサイトカインによる正常な赤血球産生(造血)の阻害に起因する。
【0032】
骨髄生検を実施して、形質細胞が占める骨髄のパーセンテージを推定することができる。このパーセンテージは、MMのための診断基準で使用される。通常、MM患者は、10%以上のクローン骨髄形質細胞を有する。免疫組織化学(表面タンパク質に対する抗体を使用して特定の細胞型を染色する)は、細胞質、ときに細胞表面で免疫グロブリンを発現する形質細胞を検出し得る。例えば、骨髄腫細胞は、典型的には、マーカーCD56、CD38、CD138、CD319に陽性であるが、MMを定義又は識別するために他のマーカーも含まれ得る。
【0033】
いわゆる「パラプロテイン」(骨髄腫タンパク質、モノクローナルタンパク質又はMタンパクとも呼ばれる)は、典型的にはMMにおいて、形質細胞の異常なモノクローナル増殖によって過剰に産生される異常な免疫グロブリン断片である。理論的には、MM患者は、全てのクラスの免疫グロブリンを産生できるが、IgGパラプロテインが最も一般的であり、IgA及びIgMがそれに続き、IgD及びIgE骨髄腫は、非常にまれである。加えて、抗体軽鎖及び/又は重鎖は、単独:カッパ若しくはラムダ軽鎖又は5種類の重鎖(アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン又はミュー(μ)-重鎖)のいずれかで分泌され得る。このパラプロテインの増殖は、免疫機能の障害、異常に高い血液粘度及び腎臓の損傷を含む、身体に対するいくつかの有害な影響を及ぼす。パラプロテインのエビデンスがない患者は、「非分泌性」骨髄腫(免疫グロブリンを産生しない)を有することがある。それらは、全てのMM患者の約3%を占める。真の非分泌性MMを有する患者を除いて、血清及び/又は尿のパラプロテインの存在は、MMの指標である。患者の尿及び/又は血清中のパラプロテインの定量的測定は、診断を確立するため及び/又は疾患を監視するために使用することができる。
【0034】
腎不全は、急性及び慢性の両方で発症する可能性がある。MMの腎不全の最も一般的な原因は、悪性細胞から分泌されるタンパク質によるものである。骨髄腫細胞は、様々な種類のモノクローナルタンパク質、最も一般的には免疫グロブリン(抗体)及び遊離軽鎖を産生し、血中に異常に高いレベルのこれらのタンパク質(パラプロテイン)をもたらす。これらのタンパク質のサイズに応じて、それらは、腎臓により排出され得るが、腎臓もそれらの影響によって損傷を受ける可能性がある。更に、骨吸収の増加は、高カルシウム血症をもたらし、腎石灰化症を引き起こし、それにより腎不全の一因となる。
【0035】
MMで発生する最も一般的な感染症は、肺炎及び腎盂腎炎である。感染のリスクの増加は、免疫不全によるものである。総免疫グロブリンレベルは、典型的には、MMで上昇するが、抗体の大部分は、クローン形質細胞からの効果のないモノクローナル抗体である。
【0036】
本発明によるBCMA陽性新生物の治療又は改善における抗体コンストラクトの投与は、
・尿及び/若しくは血清中のパラプロテイン又は遊離軽鎖のレベルを、それぞれ治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の尿及び/若しくは血清中のパラプロテイン又は遊離軽鎖レベルと比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%低下させ(この特定の文脈において、「~の前」は、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4か月前以内を意味する);
・骨髄中の形質細胞のパーセンテージを、治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の骨髄中の形質細胞のパーセンテージと比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%を低下させ(この特定の文脈において、「~の前」は、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4か月前以内を意味する);
・上記の症状のいずれかを、治療開始前、即ち抗体コンストラクトの最初の投与前の症状と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%軽減させることを誘発し(この特定の文脈において、「~の前」は、症状に応じて、1、2、4、6、8若しくは12時間前以内、1、2、3、4、5若しくは6日前以内、1、2、3若しくは4週間前以内又は1、2、3若しくは4か月前以内を意味する);
・腫瘍の成長又は腫瘍細胞の増殖を、未治療の患者又は未治療の細胞と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%阻害し;及び/又は
・未治療の患者又は未治療の細胞と比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%のBCMA陽性新生物の細胞の融解を誘発することが想定される。
【0037】
腫瘍成長/腫瘍細胞増殖を阻害するか又は細胞融解を誘発する本発明の抗体コンストラクトの能力は、ヒト腫瘍での有効性を予測する動物モデル又はインビトロ若しくはエクスビボ研究(抗体コンストラクトによって誘発された多発性骨髄腫患者のBM吸引物からの自己T細胞によるBCMA陽性細胞の枯渇など)で評価され得る。抗体コンストラクトの有効性評価は、更に以下のように実施され得る:腫瘍の評価は、骨髄腫の関与率の分析、FISH(蛍光インサイチューハイブリダイゼーション)並びに骨髄(BM)の核型分析によって行うことができる。BM核型分析及びFISHのデータは、BMサンプルから取得され得る。血清タンパク電気泳動(SPEP)及び尿タンパク電気泳動(UPEP)は、血清/尿のMタンパクの測定を可能にする。免疫固定は、血清及び/又は尿のMタンパクを検出する別の手段である。血清遊離軽鎖アッセイ及び比率分析を実施できることも想定される。遊離軽鎖(FLC)多発性骨髄腫の場合、FLCは、血清及び尿で分析することができる(sFLC及びuFLC)。関与/非関与FLCのレベル、モノクローナルラムダ-FLC/カッパ-FLCの比率及びモノクローナルカッパ-FLC/ラムダ-FLCの比率を決定することができる。更に、定量的及び定性的な免疫グロブリン(Ig)も分析でき、血清中のベータ-2ミクログロブリンを評価できる。骨格調査及び形質細胞腫の評価が実施可能であることも想定される。全身MRI又はPET/CTを使用した髄外再発を評価するためのスクリーニング画像を実施可能である。骨病変の評価に適した画像として、CTスキャン、MRI、PET、PET-CT又は他の標準治療法が挙げられるが、これらに限定されない。最小の残存疾患は、次世代シーケンシング(NGS)ベースのアッセイによって測定されることも想定される。この目的のために、完全な奏効者であると思われる対象から骨髄吸引液を収集することができる。血漿サンプルは、BM MRDサンプルが収集されるのと同時に対象から更に収集され、ctDNA(循環腫瘍DNA)でのMRD検出の実現可能性を評価することができる。MRD奏効は、必要に応じて、cytIgλ、cytIgκ、CD19、CD56又はCD138、CD38及びCD45に対する抗体を使用して、FACSあたり骨髄内の<1腫瘍細胞/10正常細胞として定義され得る。本発明の一実施形態では、これらのマーカーは、本発明に関連して、腫瘍細胞を定義するための十分条件である。
【0038】
本発明による抗体コンストラクトの投与に対する患者又は対象の応答は、以下の方法の1つで測定されることが想定される:
・尿及び/若しくは結晶中のパラプロテイン(Mタンパク)若しくは遊離軽鎖の定量的測定;
・骨髄中の形質細胞のパーセンテージの決定;及び/又は
・髄外症状の画像診断(CT、MRI)。
【0039】
本発明の抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにわたって投与されるが、2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクルなどのより多くの投与サイクルも想定される。例えば、1~5の投与サイクルは、必要としている患者にとって有益であると考えられる。
【0040】
本発明によれば、「1つのサイクル」は、少なくとも連続した7日(1週間)の抗体コンストラクトの投与期間を含む。更に、1つのサイクルは、抗体コンストラクトの投与期間、それに続く抗体コンストラクトの投与なしの期間(「治療休日」、「休止」又は「中断」)を含むことが想定される。患者が1つのみの単一サイクルを受ける場合、このサイクルは、抗体コンストラクトの投与の最終日で終了する。他方では、患者が2つ以上のサイクルを受ける場合、各サイクルは、投与期間、それに続く投与なしの期間を含む。抗体コンストラクトの投与なしの期間(「休止」)は、その長さで定義され、以下を参照されたい。患者が2つ以上のサイクル(例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクル)を受ける場合、最終投与サイクルは、抗体コンストラクトの投与なしの期間を含まない(即ち、最終サイクルは、投与の最終日で終了する)ことが想定される。
【0041】
抗体コンストラクトの投与期間は、少なくとも連続した7日(1週間)である。この期間は、最大8日であると想定される。2週間、3週間、4週間、5週間、6週間若しくは7週間など、1週間~8週間の期間又は特定の週数及び特定の日数(1、2、3、4、5又は6日など)で構成される1週間~8週間の任意の他の期間も想定される。従って、投与期間は、連続した7、10、14、15、20、21、25、28、30、35、40、42、45、48、50、55又56日でもあり得る。投与期間は、例えば、1~8週間、1~7週間、2~6週間、3~5週間又は25~30日間であり得る。例えば、1つのサイクル内で4週間の投与(即ち連続した28日)が、必要としている患者にとって有益であると考えられる。その特定の期間に依存せず、投与期間は、抗体コンストラクトの毎日の投与によって特徴付けられることが想定される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、抗体コンストラクトの投与なしの期間は、少なくとも連続した7日(1週間)であり、最大3カ月であり得る。2週間、3週間、4週間、1カ月、5週間、6週間、7週間、8週間、2カ月、9週間、10週間、11週間、12週間若しくは13週間など、1週間~8週間の期間又は特定の月数、及び/若しくは週数、及び/若しくは特定の日数(1、2、3、4、5若しくは6日など)で構成される1週間~3カ月の任意の他の期間も想定される。抗体コンストラクトの投与なしの期間は、例えば、1週間~3カ月、1週間~2カ月、1週間~1カ月、1週間~4週間、1週間~3週間、10日~20日又は10~15日であり得る。例えば、1つのサイクル内で投与なしが2又は3週間は、必要としている患者にとって特に有益であると考えられる。4番目のサイクル後に開始して、抗体コンストラクトの投与なしをより長い期間、例えば3~5週間又は4週間の期間実施し得る。
【0043】
一実施形態によれば、抗体コンストラクトは、1~5サイクル、好ましくは4又は5サイクルで投与され、1つのサイクルは、2~5週間(即ち連続した14~35日)、好ましくは4週間(即ち連続した28日)の投与期間、それに続く1~4週間、好ましくは2又は3週間の投与なしの期間を含むか又はそれからなる。
【0044】
患者が受けることができる異なる投与サイクルは、抗体コンストラクトの投与期間の長さ及びその投与なしの期間の長さに関して完全に同一である必要はない。結果として、異なるサイクルの全体の長さは、必ずしも同一ではない。例えば、投与期間の長さは、異なるサイクル間で異なる可能性があり;それは、例えば、サイクルごとに又はあるサイクルから次のサイクルへと長くなったり短くなったりし得る。代わりに又は更に、投与なしの期間の長さは、異なるサイクル間で異なる可能性があり;それは、例えば、サイクルごとに又はあるサイクルから次のサイクルへと長くなったり短くなったりし得る。本明細書中で以下において述べられるような抗体コンストラクトの用量についても同様である。
【0045】
本発明によれば、抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日(1週間)の抗体コンストラクトの投与期間を含む。これは、抗体コンストラクトが、6.5μg/日~650μg/日及びそれを含む用量で少なくとも連続した7日間にわたって投与されることを意味する。抗体コンストラクトの用量は、6.5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600又は650μg/日であり得る。一実施形態によれば、用量は、約400μg/日である。本発明の抗体コンストラクトの好ましい用量又は用量範囲は、6.5~650μg/日、10~600μg/日、20~600μg/日、30~600μg/日、40~600μg/日、50~600μg/日、60~600μg/日、70~600μg/日、80~600μg/日、90~600μg/日、100~600μg/日、150~650μg/日、200~600μg/日、300~600μg/日、250~550μg/日、300~550μg/日、300~500μg/日、350~450μg/日、350~650μg/日又は400~600μg/日でもあり得る。これらの用量は、約20~約90kDa、約30~約80kDa、約40~約70kDa、約50~約60kDa、約52~約58kDa、好ましくは約54~約56kDaの分子量を有する抗体コンストラクトに適用され得ることが想定される。抗体コンストラクトが異なる(より低い又はより高い)分子量を有する場合、それぞれの等モル用量を容易に決定することができる。例えば、本発明による好ましい1つの抗体コンストラクトが55kDaの分子量を有すると仮定すると、その場合、この抗体コンストラクトの650μgは、1.18×10-8molに対応する。同様に、この抗体コンストラクトの6.5μgは、1.18×10-10molに対応する。
【0046】
本発明の抗体コンストラクトは、約20~約90kDa、約30~約80kDa、約40~約70kDa、約50~約60kDa、約52~約58kDa、好ましくは約54~約56kDaの分子量を有することが想定される。本発明の抗体コンストラクトは、約3~36時間、約6~30時間又は約12~24時間の終末消失半減期又は消失半減期(T1/2)を有することが更に想定される。「半減期」とは、数量が初期値の半分に減少するのに必要な時間である。医科学では、人体における物質又は薬物の半減期を参照する。医学的に関連して、半減期とは、物質/薬物がその活性、例えば薬理学的、生理学的又は放射線学的活性の2分の1を失うまでのこのような時間を指し得る。半減期は、薬物又は物質の血漿中/血清中濃度がその定常状態値の2分の1に達するまでにこのような時間も表し得る(「消失半減期」)。典型的には、投与された物質/薬物の排出又は除去は、代謝、排泄などの生物学的過程を通した、また腎臓及び肝臓の機能も関わる体の清浄化作用を指す。「初回通過代謝」は、薬物が循環に達する前にその濃度が低下する薬物代謝現象である。これは、吸収過程で失われた薬物の割合である。従って、「肝臓初回通過代謝」とは、薬物が肝臓との最初の接触で、即ち肝臓を通るその初回通過時に代謝される傾向を意味する。
【0047】
抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日(1週間)の投与期間を含み、用量は、各サイクル中に一定であることが想定される。「一定」用量は、1つのサイクル内の投与期間中、同一の用量が患者に毎日投与されることを意味する。抗体コンストラクトは、2サイクル以上(例えば、1~最大10サイクル)において、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日(1週間)の投与期間を含み、用量は、各サイクル中及び1つのサイクルから後続のサイクルまで一定であることが更に想定される。これは、例えば、抗体コンストラクトが、サイクル1及び2、サイクル2及び3、サイクル3及び4、サイクル4及び5、サイクル1~3、サイクル2~4、サイクル3~5、サイクル1~4、サイクル2~5又はサイクル1~5などにおいて、同一の用量で投与されることを意味し得る。抗体コンストラクトは、2サイクル以上(例えば、1~最大10サイクル)において、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日(1週間)の投与期間を含み、用量は、各サイクル中に一定であるが、サイクル間で異なることが更に想定される。例えば、抗体コンストラクトの用量は、1つのサイクルから後続のサイクルへと増加し得るか、又は1つのサイクルから後続のサイクルへと減少し得る。抗体コンストラクトは、例えば、1つのサイクル以上(最初のサイクル又は最初及び2番目のサイクルなど)中に400μg/日の用量で、その後の1つ以上のサイクル(2番目、3番目、4番目又は5番目のサイクルなど)において500μg/日又は600μg/日の用量で投与され得る。抗体コンストラクトは、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日(1週間)の投与期間を含み、用量は、少なくとも1つのサイクル中に増加することも想定される。用量の増加は、最初のサイクル中又は最初及び2番目のサイクル中であり得るが、最初の2サイクルより多いものの間でもあり得る。低用量が1~7日、1~5日、2~4日又は3日間投与され、その後、サイクルが終了するまで高用量が投与され得る。例として、低用量が100~300μg/日若しくは200μg/日であり、その後、350~450μg/日若しくは400μg/日の高用量であり得るか;又は低用量が例えば300~500μg/日若しくは400μg/日であり、その後、550~650μg/日若しくは600μg/日の高用量であり得るか;又は低用量が例えば3日間、例えば最初のサイクル中に200μg/日であり、その後、最初のサイクルが終了するまで400若しくは600若しくは650μg/日の高用量が投与され得る。後者の場合、2番目のサイクル以降、それぞれのより高い用量が投与されることが想定される。より高い用量は、650μg/日を超えないことが想定される。
【0048】
本発明の抗体コンストラクトは、一般的に、特定の経路及び投与方法のために設計される。薬理学における投与経路は、物質が体内に取り込まれる経路である。投与経路は、一般に、物質が適用される場所によって分類され、これらは、局所的(局部的)、経腸(物質のシステムワイドな効果であるが、胃腸管を介して送達される)又は非経口(物質の全体作用であるが、胃腸管以外の経路で送達される)であり得る。本発明に関連して、投与経路としては、局所、経腸及び非経口経路が挙げられる。薬物投与経路を選択する理由は、次のような様々な要因によって左右される:
・薬物の物理的及び化学的性質。物理的性質は、固体、液体及び気体である。化学的性質は、溶解性、安定性、pH、刺激性などである。
・所望の作用部位:作用は、局所性且つ近づきやすい場合もあれば又は全身性且つ近づきにくい場合もある。
・異なる経路からの薬物の吸収の程度の割合。
・患者の状態。
【0049】
本発明の抗体コンストラクト(及びこの抗体コンストラクトを含む医薬組成物)は、非経口的投与に対して特に有用である。非経口投与は、一般に、局所投与又は経腸投与よりも迅速に作用し、多くの場合、最大100%の非常に高いバイオアベイラビリティを伴う(特にIV投与の場合)。一般に、非経口投与としては、限定されるものではないが、静脈内、大脳内、動脈内、腹腔内、骨内及び膀胱内送達が挙げられる。
【0050】
本発明による投与は、好ましくは、静脈内である。非経口又は静脈内投与は、注射(例えば、針及びシリンジを使用)又は注入(例えば、カテーテル及びポンプシステムを介して)によって実施することができる。従って、本発明による投与は、静脈内注射又は静脈内注入によるものであることが想定される。通常、IV注入は、ライン、ポート若しくは中心静脈アクセス又は大静脈に留置されるカテーテルである中心静脈カテーテル(CVC)などのカテーテル(小さくて柔軟なチューブ)或いは末梢静脈に留置されるカテーテルである末梢静脈カテーテル(PVC)を介して投与される。一般に、カテーテル又はラインは、首の静脈(内頸静脈)、胸部の静脈(鎖骨下静脈又は腋窩静脈)、股間の静脈(大腿静脈)又は腕の静脈(PICCライン又は末梢静脈挿入式中心カテーテルとも呼ばれる)内に配置することができる。中心IVラインは、静脈を通して進められ、大きい中心静脈、通常、上大静脈、下大静脈又は更に心臓の右心房に空になるカテーテルを有する。末梢静脈(PIV)ラインは、末梢静脈(腕、手、脚及び足の静脈)に使用される。ポートは、外部コネクタを有さない中心静脈ラインであり;代わりに、それは、シリコーンゴムで覆われ、皮膚の下に埋め込まれた小さいリザーバを有する。薬剤は、皮膚に小さい針を刺し、シリコーンを突き刺してリザーバに入れることにより、断続的に投与される。針が引き抜かれると、リザーバカバーは、それ自体を再封止する。カバーは、その寿命中に何百もの針刺しを許容できる。
【0051】
本発明は、本発明の抗体コンストラクトのボーラス投与を提供する。ボーラスとは、特定の無視できる時間内、通常、1~30分以内に個別の量の薬剤、薬物又は他の化合物を投与することである。多くの場合、ボーラス投与は、静脈内でなされる。ボーラスは、通常、注射(例えば、静脈内ボーラス注射)により投与されるが、ボーラス注入(例えば、静脈内ボーラス注入)も可能である。短時間の注入とは、少量(20mL~100mLなど)の注入(通常、IV注入)であり、これは、最大3時間、通常、30~60分の期間にわたって投与される。
【0052】
静脈内「断続的注入」とは、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24時間ごとなど、所定の間隔において、20~120分又は30~60分などの設定された期間にわたって一定量の薬剤を注入することである。目的は、定期的に少量の薬を投与することである。断続的投薬は、任意の他の形態の輸液と同様に、重力によって又は輸液ポンプとしても知られる電子輸液装置(EID)を介して投与することができる。
【0053】
注入の場合、輸液ポンプを使用して、薬剤(抗体コンストラクト)を患者の循環器系に注入することができる。ポンプは、一般的に静脈内で使用されるが、ポンプによる動脈及び硬膜外注入も可能である。注入のための溶液は、IV注入のためのバッグで調製され、注入ラインを介して送達され得る。輸液ポンプは、手動で実施した場合に信頼できない方法で液体を投与する可能性がある。例えば、1時間あたりわずか0.1mLの注射、1分ごとの注射、1時間あたりの最大数までの繰り返しボーラスによる注射又は時間帯によって量が変化する液体を投与することができる。重力によって供給される圧力のみを使用して注入を行うことも可能である。本発明による注入の異なるタイプとしては、限定されるものではないが、持続注入、ボーラス注入、短時間注入及び断続的注入が挙げられる。持続静脈内(cIV)投与又は注入は、本発明による抗体コンストラクトの投与の好ましい一実施形態である。例えば、抗体コンストラクトは、一定流速でcIV注入として投与されることが想定される。
【0054】
本発明は、持続投与、即ち本発明の抗体コンストラクトを含む抗体コンストラクト/組成物の中断のない又は実質的に中断のない投与を提供する。非限定的な例として、これは、患者体内への治療薬の流入を調整するための、患者が装着した小型ポンプシステムによって実現され得る。本発明の抗体コンストラクト(又は抗体コンストラクトを含む医薬組成物)は、前記ポンプシステムを使用して投与することができる。このようなポンプシステムは、一般に当技術分野で知られており、通常、注入する治療薬を含有するカートリッジの定期交換に依拠する。このようなポンプシステムでカートリッジを交換する際、交換時以外に中断しない患者体内への治療薬の流入に一時的な中断が結果として生じる場合がある。このような場合、カートリッジ交換前の投与段階及びカートリッジ交換後の投与段階は、依然として、ともにこのような治療薬の「中断のない投与」を構成する本発明の医薬的手段及び方法の意味の範囲内と見なされるであろう。バッグの交換についても同様であり、即ち、持続投与が、抗体コンストラクト溶液を入れたバッグ(小さいカートリッジの代わりに)又は持続投与のための本発明の抗体コンストラクトを含む他のレシピエント若しくはリザーバによって実現される場合である。本発明の抗体コンストラクトは、注入バッグで提供されることが想定される。これらのバッグは、配合滅菌製品の注入に関する国の規制及び地域の薬局基準に従って変わり、通常、米国では最大48時間、オーストラリア及びヨーロッパでは最大96時間である。
【0055】
本発明の抗体コンストラクトの持続投与又は中断のない投与は、流体をリザーバから送り出すための流体送出機構及び送出機構を駆動するための駆動機構を含む流体送達デバイス又は小型ポンプシステムにより実施され得る。このような投与のためのポンプシステムは、患者の皮膚に穿通し、好適な組成物を患者体内に送達するための針又はカニューレを含み得る。このポンプシステムは、患者の皮膚に24時間~最大数日間にわたって装着することができる。リザーバの容積が小さい小型のポンプシステムの場合もある。非限定的な例として、投与される好適な医薬組成物のためのリザーバの容積は、0.1~50mlであり得る。
【0056】
抗体コンストラクトの(毎日の)用量は、例えば、ボーラス投与(ボーラス注射又はボーラス注入)、注射、持続投与、持続注入は短時間注入として投与され得る。持続投与が好ましく、持続IV(cIV)投与/持続IV注入が最も好ましい。
【0057】
医薬組成物は、医療装置を使用して投与され得る。医薬組成物の投与用医療装置の例については、米国特許第4,475,196号明細書;同第4,439,196号明細書;同第4,447,224号明細書;同第4,447,233号明細書;同第4,486,194号明細書;同第4,487,603号明細書;同第4,596,556号明細書;同第4,790,824号明細書;同第4,941,880号明細書;同第5,064,413号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,383,851号明細書;及び同第5,399,163号明細書に記載されている。
【0058】
本発明に関連して、プレメディケーションは、最初のサイクルでの抗体コンストラクトの投与開始前且つ任意選択的に2番目、3番目、4番目及び/又は5番目などのそれに続くサイクルの1つ以上での抗体コンストラクトの投与開始前にも投与されることが想定される。この特定の文脈において、「~の前」とは、抗体コンストラクトの投与開始前の24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間又は3時間以内及び好ましくは120、90、60又は30分以内を意味することが想定される。プレメディケーションは、例えば、抗体コンストラクトの投与開始前の30~120分又は30~60分投与され得る。また、コメディケーションは、最初のサイクルでの抗体コンストラクトの投与開始と同時に又はその後且つ任意選択的に2番目、3番目、4番目及び/又は5番目などのそれに続くサイクルの1つ以上での抗体コンストラクトの投与開始と同時に又はその後にも投与されることが想定される。この特定の文脈において、「~の後」とは、抗体コンストラクトの投与開始後の24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間又は3時間以内及び好ましくは120、90、60、30、20、15又は10分以内を意味することが想定される。コメディケーションは、例えば、抗体コンストラクトの投与開始後の10~120分、10~60分、10~30分又は15~20分で投与され得る。プレメディケーション又はコメディケーションの目的は、例えば、注入関連反応の重症度を予防又は軽減することであり得る。プレメディケーションは、コメディケーションよりも好ましい。
【0059】
プレメディケーション又はコメディケーションには、次のいずれか1つ又は組み合わせが含まれ得る:
・パラセタモール(アセトアミノフェン、APAP)又は均等物;好ましくは経口(p.o.)又は静脈内投与され;好ましくは100~4000mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg又は500~1500mg、好ましくは600~1400mg、700~1300mg、800~1200mg、900~1100mg又は約1000mgの用量でパラセタモール(又は均等な投薬及び/若しくは別の投与経路のための均等な用量)は、p.o.投与される。当業者であれば、パラセタモール均等物を特定する方法を知っている。これらには、限定されないが、イブプロフェン(例えば、100~3200mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg、好ましくは500~1500mg、600~1200mg、700~1000mg、750~900mg又は約800mgの用量で投与される)及びメタミゾール(例えば、100~4000mg、好ましくは200~3000mg又は300~2500mg又は400~2000mg又は約500~1000mgの用量で投与される)が挙げられる。
・メペリジン、ジピロン、ヒドロモルフォン、フェンタニル及びトラマドールから選択される1つ以上の鎮痛剤
・抗ヒスタミン薬。好ましくは経口又は静脈内投与され、好ましくはジフェンヒドラミン50mgをi.v.投与するのと均等な用量で投与される。当業者であれば、抗ヒスタミン剤を特定する方法を知っている。これらには、限定されないが、アザタジン(最大用量、例えば4mg/日)、ブロムフェニルアミン(最大用量、例えば30mg/日)、セチリジン(最大用量、例えば15mg/日)、クロルフェニラミン(最大用量、例えば30mg/日)、クレマスチン(最大用量、例えば10mg/日)、シプロヘプタジン(最大用量、例えば15mg/日)、デスロラタジン(最大用量、例えば7mg/日)、デキスクロルフェニルアミン(最大用量、例えば15mg/日)、ジフェンヒドラミン(最大用量、例えば350/日)、ドキシルアミン(最大用量、例えば180mg/日)、フェキソフェナジン(最大用量、例えば200mg/日)、ロラタジン(最大用量、例えば15mg/日)、フェニンダミン(最大用量、例えば180mg/日)などの経口、非経口又は直腸経路の抗ヒスタミン剤が挙げられる。
・グルココルチコイド。好ましくは経口又は静脈内投与され、好ましくは4~20mg、又は6~18mg、又は8~16mg、又は16mgのデキサメタゾンをi.v.投与するのと均等な用量で投与される(グルココルチコイドの効力を参照する均等性)。
【0060】
上記の4つの物質又は物質グループの全ては、プレメディケーション若しくはコメディケーション或いは2つのみ若しくは3つの物質の組み合わせ又は4つの物質の1つのみとして投与され得る。2番目のサイクルの開始前に投与されるグルココルチコイド(GC)の用量は、最初のサイクルの開始前に投与されるGCの用量と同一であり得るか、又は最初のサイクルの開始前に投与される用量の約50%に減少され得るか、又は2番目の(及び場合によっては任意の後続の)サイクルで省略され得ることが想定される。例えば、本発明による抗体コンストラクトが最初のサイクル中に注入関連反応の有意な兆候なしに十分に許容される場合、GC用量の低減が適用される場合がある。3番目及び任意の後続のサイクルを開始する前に用量を更に減少させ得ることが更に想定される。代わりに、GCは、最初のサイクルの開始前にプレメディケーション(及び潜在的にコメディケーション)として投与されるが、GCのプレメディケーション又はコメディケーションは、2番目、3番目、4番目及び/又は5番目のサイクルで投与されない。一般に、本発明の実施形態に従って用いられるプレメディケーション又はコメディケーションの用量は、個々の患者の状況に依存するであろう。
【0061】
グルココルチコイドは、ステロイドホルモンの部類であるコルチコステロイドの部類である。グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体に結合するコルチコステロイドである。あまり一般的でない同義語は、グルココルチコステロイドである。コルチゾール(薬剤として使用される場合、ヒドロコルチゾンとして知られている)は、最も重量なヒトグルココルチコイドである。様々な合成グルココルチコイドは、コルチゾールよりもはるかに強力であり、治療上の使用のために作られている。それらは、薬物動態学(例えば、吸収係数、半減期、分布量、クリアランス)及び薬力学(例えば、グルココルチコイドの効力又は鉱質コルチコイドの効力)の両方で異なる。コルチゾールは、グルココルチコイドの効力の比較基準である。一般的に処方されている代替ステロイド均等物の一例は、プレドニゾン(5mg)=コルチゾン(25mg)=デキサメタゾン(0.75mg)=ヒドロコルチゾン(20mg)=メチルプレドニゾロン(4mg)であり得る。これらの用量は、グルココルチコイドの全身投与と均等な薬理学的用量を示す。様々な物質の半減期を示す別のコルチコステロイド比較チャートは、例えば、www.nadf.us/downloads/adrenalhormone.pdf.中に見出すことができる。
【0062】
本実施形態においてプレメディケーション又はコメディケーションとして使用されるGCの例としては、限定されるものではないが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、クロプレドノール、デフラザコート、フルオコルトロン、コルチバゾール、パラメタゾン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド並びにそれらの組み合わせ及び/又は薬学的に許容される誘導体が挙げられる。本発明に関連して、異なるGCを単独で又は組み合わせて使用し得る。デキサメタゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロンは、GCの好ましい実施形態である。
【0063】
すでに「グルココルチコイド」として分類されているか又は分類される予定の全ての物質は、本発明に関連しても同様に使用され得ることが想定される。そのような将来のグルココルチコイドには、グルココルチコイド受容体に特異的に結合して活性化する化合物が含まれる。用語「GC受容体に特異的に結合する」は、本発明によれば、GC(又はGCのように作用すると想定される化合物)が、一般的にタンパク質/受容体(即ち非特異的結合)との会合と比較して、統計的に有意な程度までGC受容体(NR3C1としても知られる)と会合する(例えば、相互作用する)ことを意味する。GC受容体がグルココルチコイドと結合する場合、その主な作用メカニズムは、遺伝子転写の調節である。GCの不存在下において、グルココルチコイド受容体(GR)は、熱ショックタンパク質90(hsp90)、熱ショックタンパク質70(hsp70)及びタンパク質FKBP52(FK506-結合タンパク質52)を含む様々なタンパク質と複合体を形成した細胞基質に存在する。GCのグルココルチコイド受容体との結合により、熱ショックタンパク質の放出がもたらされる。従って、将来のGC又はGCの薬学的に許容される誘導体若しくは塩は、GC受容体に結合し、上記の熱ショックタンパク質を放出できることが想定される。次いで、活性化されたGR複合体は、核内の抗炎症タンパク質の発現を上方制御するか、又は細胞基質から核への他の転写因子の移行を防ぐことにより、細胞基質内の炎症誘発性タンパク質の発現を抑制する。
【0064】
本発明の抗体コンストラクトは、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む。
【0065】
用語「抗体コンストラクト」は、その構造及び/又は機能が抗体、例えば完全長免疫グロブリン分子の構造及び/又は機能に基づく分子を指す。従って、抗体コンストラクトは、その標的又は抗原に免疫特異的に結合し、且つ/又は抗体の重鎖可変領域(VH)及び/若しくは軽鎖可変領域(VL)に由来するか若しくはそれらであるドメインを含む。更に、本発明による抗体コンストラクトは、免疫特異的標的結合を可能にする抗体の最小限の構造要件を含む。この最小限の要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRの存在によって定義され得る。
【0066】
本発明による「抗体」の定義内において、ラクダ科動物抗体及びバイオテクノロジー又はプロテインエンジニアリングの方法又はプロセスによって作成される他の免疫グロブリンも含め、完全長抗体である。こうした完全長抗体は、例えば、モノクローナル、組換え、キメラ、脱免疫化、ヒト化及びヒト抗体並びにマウス、ハムスター、ウサギ、ラット、ヤギ又は非ヒト霊長類などの他の種からの抗体であり得る。
【0067】
本発明の「抗体コンストラクト」は、それが天然に存在するとおりの完全長免疫グロブリンの一般的な構造を有し得る。例えば、抗体コンストラクトは、(少なくとも)2つの完全長抗体重鎖及び2つの完全長抗体軽鎖を含み得る。しかしながら、本発明に係る抗体コンストラクトが、BCMAに結合する1つのドメインと、CD3に結合する別のドメインとを含むことを考えれば、これは、天然に存在せず、天然に存在する産物とその機能が著しく異なる。従って、本発明の抗体コンストラクトは、特異性が異なる少なくとも2つの個別の結合ドメインを含む人工「ハイブリッド」分子である。
【0068】
本発明の「抗体コンストラクト」は、VH、VHH、VL、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)又は「r IgG」(重鎖と軽鎖とからなる「半抗体」)など、完全長抗体の断片も含み得る。本発明に係る抗体コンストラクトは、抗体バリアント又は抗体誘導体とも称される抗体の修飾断片も含み得る。例としては、scFv、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab、Fab、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab’s)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、以下のとおりの構造:(VH-VL-CH3)、(scFv-CH3)、((scFv)-CH3+CH3)、((scFv)-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)によって例示される「ミニボディ」、トリアボディ又はテトラボディなどのマルチボディ及び他の可変領域又はドメインと無関係に抗原又は標的に特異的に結合する、VHH、VH又はVLであり得る1つのみの可変領域を含むナノボディ又はシングル可変ドメイン抗体などのシングルドメイン抗体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明による抗体コンストラクトの更なる可能なフォーマットは、クロスボディ、マキシボディ、ヘテロFcコンストラクト、モノFcコンストラクト及びscFcコンストラクトである。
【0069】
更に、用語「抗体コンストラクト」の定義には、2、3つ又はそれを超える抗原構造に異なる結合ドメインを介して特異的に結合する二価及び多価/多原子価コンストラクトが含まれる。従って、抗体コンストラクトは、特異性よりも大きい結合価を有することもあり、例えばそれが第1の標的(BCMA)に対して2つの結合ドメインを有し、第2の標的(CD3)に対して1つの結合ドメインを有する場合又はその逆の場合であり、この場合、コンストラクトは、三価であり且つ二重特異性である。更に、用語「抗体コンストラクト」の定義には、1つのポリペプチド鎖のみからなる分子が含まれるとともに、2、3、4つ又はそれを超えるポリペプチド鎖からなる分子も含まれ、これらの鎖は、同じであるか(ホモ二量体、ホモ三量体又はホモオリゴマー)又は異なり得る(ヘテロ二量体、ヘテロ三量体又はヘテロオリゴマー)。上記に特定した抗体及びその断片、バリアント、誘導体並びにそれに由来する抗体コンストラクトの例は、とりわけ、Harlow and Lane,Antibodies:A laboratory manual,CSHL Press(1988); Kontermann and Duebel,Antibody Engineering,Springer,2nd ed.2010;及びLittle,Recombinant Antibodies for Immunotherapy,Cambridge University Press 2009に記載されている。抗体コンストラクトは、単鎖抗体コンストラクト/単鎖ポリペプチドであることが想定される。
【0070】
用語「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」は、本発明に関連して、標的又は抗原(ここでは、第1のドメインの場合にBCMA及び第2のドメインの場合にCD3)上の所与のエピトープに免疫特異的に結合する/それと相互作用する/それを認識する抗体コンストラクトのドメインを特徴付ける。第1のドメインの構造及び機能(BCMAへの結合)並びにまた好ましくは第2のドメインの構造及び/又は機能(CD3への結合)は、抗体、例えば完全長免疫グロブリン分子の構造及び/又は機能をベースとする。従って、「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」は、免疫特異的標的結合を可能にする抗体の最小限の構造要件を含み得る。第1のドメインのこの最小限の構造要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRの存在によって定義され得る。第2のドメインも、免疫特異的標的結合を可能にする抗体のこの最小限の構造要件を含むことが想定される。より好ましくは、第2のドメインも少なくとも3つの軽鎖CDR(即ちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(即ちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つ全てのCDRを含む。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)は、典型的には、抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)とを含み得る。しかしながら、それが両方を含む必要はなく、VH又はVLの一方のみを含み得る。Fd断片は、例えば、インタクトな抗原結合ドメインの一部の抗原結合機能を保持していることが多い。
【0071】
「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)のフォーマットの例としては、限定されないが、完全長抗体、完全長抗体の断片(VH、VHH、VLなど)、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)又は「r IgG」(「半抗体」)、抗体バリアント又は誘導体、例えばscFv、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab、Fab、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、(VH-VL-CH3)、(scFv-CH3)、((scFv)-CH3+CH3))、((scFv)-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)などのフォーマットから選択される「ミニボディ」、トリアボディ又はテトラボディなどのマルチボディ及びVHH、VH又はVLであり得る1つのみの可変領域を含むナノボディ又はシングル可変ドメイン抗体などのシングルドメイン抗体が挙げられる。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)のフォーマットの更なる例としては、(1)VL、VH、CL及びCH1を含む抗体断片又はバリアント(Fabなど);(2)2つの連結したFab断片を含む抗体断片又はバリアント(F(ab’)など);(3)VH及びCHを含む抗体断片又はバリアント(Fdなど);(4)VL及びCLを含む抗体断片又はバリアント(軽鎖など);(5)VL及びVHを含む抗体断片又はバリアント(Fvなど);(6)dAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546)、これは、VHドメインを有する;(7)重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも3つの単離されたCDRを含む抗体バリアント;並びに(8)単鎖Fv(scFv)が挙げられる。本発明による抗体コンストラクト又は結合ドメインの実施形態の例は、例えば、国際公開第00/006605号パンフレット、同第2005/040220号パンフレット、同第2008/119567号パンフレット、同第2010/037838号パンフレット、同第2013/026837号パンフレット、同第2013/026833号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0308285号明細書、同第2014/0302037号明細書、国際公開第2014/144722号パンフレット、同第2014/151910号パンフレット及び同第2015/048272号パンフレットに記載されている。
【0072】
本発明による抗体コンストラクトは、約20~約90kDa、約30~約80kDa、約40~約70kDa、約50~約60kDa、約52~約58kDa、好ましくは約54~約56kDaの分子量を有し得ることが想定される。
【0073】
用語「~に(特異的又は免疫特異的に)結合する」、「~を(特異的又は免疫特異的に)認識する」又は「~と(特異的又は免疫特異的に)反応する」は、本発明によれば、抗体コンストラクト又は結合ドメインが、標的分子(抗原)、ここではそれぞれBCMA及びCD3上の所与のエピトープと相互作用するか又は(免疫)特異的に相互作用することを意味する。この相互作用又は会合は、代替的物質(非標的分子)と比べて特定の標的上のエピトープに対してより高頻度に、より迅速に、より長い持続期間で、より高い親和性で又は前述の何らかの組み合わせで起こる。しかしながら、異なる種における相同タンパク質間の配列類似性のため、その標的(ヒト標的など)に免疫特異的に結合する抗体コンストラクト又は結合ドメインは、異なる種(非ヒト霊長類など、例えばマカク)からの相同標的分子と交差反応し得る。従って、用語「特異的/免疫特異的結合」は、抗体コンストラクト又は結合ドメインによる2つ以上の種におけるエピトープ又は構造的に関連性のあるエピトープへの結合を含み得る。
【0074】
本発明に関連して、用語「エピトープ」は、結合ドメインによって認識される/免疫特異的に認識される抗原の一部又は領域を指す。「エピトープ」は、抗原性であり、従って、用語のエピトープは、ときに「抗原構造」又は「抗原決定基」とも称される。結合ドメインのうち、エピトープに結合する部分は、パラトープと呼ばれる。特異的結合は、結合ドメイン及び抗原のアミノ酸配列における特異的モチーフによって達成されると考えられる。従って、結合は、その一次、二次及び/又は三次構造の結果として且つ前記構造の潜在的な二次修飾の結果として実現する。パラトープがその抗原決定基と特異的に相互作用すると、前記部位が抗原に単純に結合し得る。いくつかの場合、代わりに又は加えて、特異的相互作用により、例えば抗原のコンホメーション変化の誘導、抗原のオリゴマー形成等に起因してシグナルが惹起され得る。
【0075】
タンパク質抗原のエピトープは、その構造及びパラトープとの相互作用に基づいて2つのカテゴリー、立体エピトープ及び線状エピトープに分類される。立体エピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続なセクションで構成される。こうしたエピトープは、抗原の三次元表面特徴及び形状又は三次構造(折り畳み)に基づいてパラトープと相互作用する。エピトープのコンホメーションの決定方法としては、限定されないが、X線結晶学、二次元核磁気共鳴(2D-NMR)分光法及び部位特異的スピン標識及び電子常磁性共鳴(EPR)分光法が挙げられる。対照的に、線状エピトープは、その一次構造に基づいてパラトープと相互作用する。線状エピトープは、抗原からの連続アミノ酸配列によって形成され、典型的にはユニーク配列に少なくとも3又は少なくとも4及びより通常には少なくとも5、又は少なくとも6、又は少なくとも7、例えば約8~約10アミノ酸を含む。
【0076】
結合ドメインと標的抗原のエピトープとの間の相互作用は、結合ドメインがエピトープ/標的抗原(ここでは、それぞれBCMA及びCD3)に対して認識可能な又は有意な親和性を呈することを示す。一般的には、それは、標的抗原(ここでは、BCMA/CD3)以外のタンパク質又は抗原に対して - 上記で考察した、例えば他の種由来の相同標的との交差反応性があったとしても - 有意な親和性を更に呈しない。「有意な親和性」としては、≦10-6Mの親和性(解離定数、KD)での結合が挙げられる。好ましくは、結合は、結合親和性が≦10-7M、≦10-8M、≦10-9M、≦10-10M又は更に≦10-11M若しくは≦10-12Mのとき、特異的と見なされる。結合ドメイン(免疫)が標的と特異的に反応又は結合するかどうかは、例えば、その所望の標的タンパク質又は抗原に対する前記結合ドメインの親和性を非標的タンパク質又は抗原(ここでは、それぞれBCMA又はCD3以外のタンパク質)に対する前記結合ドメインの親和性と比較することにより、容易に試験することができる。好ましくは、本発明の抗体コンストラクトは、それぞれBCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に有意に結合しない(即ち、第1のドメインは、BCMA以外のタンパク質に結合せず、第2のドメインは、CD3以外のタンパク質に結合しない)。例えば、本発明の抗体コンストラクト(より具体的にはその第1のドメイン)は、ヒトBAFF-R及び/若しくはヒトTACIに有意に結合、相互作用、認識又は交差反応しないことが想定される。
【0077】
BCMAに対する本発明の抗体コンストラクトの平衡解離定数(KD)は、例えば、国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されているように、スキャッチャード又はビアコア分析によって決定することができる。CD3のKD値は、例えば、国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されているように、例えば表面プラズモン共鳴分析によって決定することができる。本発明の抗体コンストラクトは、2桁若しくは1桁のナノモル範囲又は3桁若しくは更に2桁のピコモル範囲でBCMA及び/又はCD3のKD値を有することが想定される。
【0078】
用語「有意に結合しない」は、本発明の抗体コンストラクト又は結合ドメインがBCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に結合せず、即ちBCMA又はCD3のそれぞれに対する結合を100%とした場合、BCMA又はCD3以外のタンパク質又は抗原に対して30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは9%、8%、7%、6%又は5%以下の反応性を示すことを意味する。
【0079】
本発明の抗体コンストラクトの一実施形態によれば、第1及び/又は第2のドメインは、scFvのフォーマットである。scFvでは、VH領域及びVL領域は、VH-VL又はVL-VHの順序(N末端からC末端に)で配置される。第1及び/又は第2の結合ドメインのVH領域及びVL領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して接続されることが想定される。第1及び/又は第2のドメインの一実施形態によれば、VH領域がリンカーのN末端側に位置し、VL領域がリンカーのC末端側に位置する。抗体コンストラクトの第1のドメイン及び第2のドメインがリンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して接続されることが更に想定される。リンカーは、好ましくは、ペプチドリンカー、より好ましくは短鎖ペプチドリンカーである。配列番号686~699に例を示す。これに関連して、「短鎖」リンカーは、2~50アミノ酸、好ましくは3~35、4~30、5~25、6~20又は6~17アミノ酸を有する。1つの結合ドメインの2つの可変領域間のリンカーは、2つの結合ドメイン間のリンカーと異なる長さを有し得る(例えば、それより長いものであり得る)。例えば、1つの結合ドメインの2つの可変領域間のリンカーは、7~15アミノ酸、好ましくは9~13の長さを有し得、2つの結合ドメイン間のリンカーは、3~10アミノ酸、好ましくは4~8の長さを有し得る。ペプチドリンカーは、配列番号687、689~699に示されるものなど、グリシン/セリンリンカーであることが更に想定される。
【0080】
本発明の抗体コンストラクトについて、
a)抗体コンストラクトは、単鎖ポリペプチドであり、
b)第1のドメインは、scFvのフォーマットであり、
c)第2のドメインは、scFvのフォーマットであり、及び/又は
d)第1のドメイン及び第2のドメインは、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して接続されていることが想定される。
【0081】
本発明の抗体コンストラクトの第1のドメインは、BCMA(B細胞成熟抗原、TNFRSF17、CD269)に結合する。より好ましくは、これは、標的細胞の表面上のBCMAに結合する。「標的細胞」は、その表面上にBCMAを発現する任意の原核細胞又は真核細胞であり得る。好ましくは、標的細胞は、特定のBCMA発現癌若しくは腫瘍細胞又はBCMA陽性新生物の細胞など、ヒト又は動物の体の一部の細胞である。第1のドメインは、ヒトBCMA、好ましくは標的細胞の表面上のヒトBCMAに結合することが更に想定される。また、第1のドメインは、マカクBCMA、好ましくは標的細胞の表面上のマカクBCMAに結合することが想定される。好ましいアミノ酸配列は、ヒトBCMAについて配列番号647で、マカクBCMAについて配列番号648で、ヒトBCMAの細胞外ドメインについて配列番号649で、マカクBCMAの細胞外ドメインについて配列番号650で示されている。
【0082】
本発明の一実施形態では、抗体コンストラクトの第1のドメインは、BCMAのエピトープクラスター3に結合する。より好ましくは、抗体コンストラクトの第1のドメインは、ヒトBCMAのエピトープクラスター3に結合する。ヒトBCMAのエピトープクラスター3についての好ましいアミノ酸配列は、配列番号651に示される。BCMAの前記エピトープクラスター3に結合するドメインを有する抗体コンストラクトは、国際公開第2013/072406号パンフレットに詳細に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの抗体コンストラクトは、国際公開第2013/072406号パンフレットにおいて、非常に有益なエピトープ/活性の関係があることが示されている。
【0083】
BCMAエピトープマッピングの方法は、国際公開第2013/072406号パンフレットで使用されており、以下で説明される:ヒトBCMAの細胞外ドメイン内の1つ以上の事前定義された領域(各々が連続アミノ酸ストレッチの形態で)は、げっ歯類BCMA分子(ネズミBCMAなどであるが、他のげっ歯類種も、結合ドメインが使用されるげっ歯類種と交差反応性でない限り考えられる)の対応する領域と交換/置換される。これらのヒトBCMA/げっ歯類(ネズミ)BCMAキメラを宿主細胞(CHO細胞など)の表面上に発現させる。抗体又は抗体コンストラクトの結合をFACS分析で試験することができる。抗体又は抗体コンストラクトによるキメラ分子への結合が完全になくなったとき又は大幅な結合の低下が観察されたとき、このキメラ分子から取り除かれたヒトBCMAの領域が免疫特異的エピトープ-パラトープ認識に関連すると結論付けることができる。前記結合の低下は、ヒト(野生型)BCMAへの結合と比較して好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%;より好ましくは少なくとも60%、70%又は80%及び最も好ましくは90%、95%又は更に100%(ここで、ヒトBCMAへの結合を100%とする)である。代わりに又は更に、上述のエピトープマッピング分析は、BCMAの細胞外ドメインの配列に1つ以上の点突然変異を導入することにより修正され得る。
【0084】
更に、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、
(1)配列番号1に示されるとおりのCDR-H1、配列番号2に示されるとおりのCDR-H2、配列番号3に示されるとおりのCDR-H3、配列番号4に示されるとおりのCDR-L1、配列番号5に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号6に示されるとおりのCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるとおりのCDR-H1、配列番号12に示されるとおりのCDR-H2、配列番号13に示されるとおりのCDR-H3、配列番号14に示されるとおりのCDR-L1、配列番号15に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号16に示されるとおりのCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるとおりのCDR-H1、配列番号22に示されるとおりのCDR-H2、配列番号23に示されるとおりのCDR-H3、配列番号24に示されるとおりのCDR-L1、配列番号25に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号26に示されるとおりのCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるとおりのCDR-H1、配列番号32に示されるとおりのCDR-H2、配列番号33に示されるとおりのCDR-H3、配列番号34に示されるとおりのCDR-L1、配列番号35に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号36に示されるとおりのCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるとおりのCDR-H1、配列番号42に示されるとおりのCDR-H2、配列番号43に示されるとおりのCDR-H3、配列番号44に示されるとおりのCDR-L1、配列番号45に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号46に示されるとおりのCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるとおりのCDR-H1、配列番号52に示されるとおりのCDR-H2、配列番号53に示されるとおりのCDR-H3、配列番号54に示されるとおりのCDR-L1、配列番号55に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号56に示されるとおりのCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるとおりのCDR-H1、配列番号62に示されるとおりのCDR-H2、配列番号63に示されるとおりのCDR-H3、配列番号64に示されるとおりのCDR-L1、配列番号65に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号66に示されるとおりのCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるとおりのCDR-H1、配列番号72に示されるとおりのCDR-H2、配列番号73に示されるとおりのCDR-H3、配列番号74に示されるとおりのCDR-L1、配列番号75に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号76に示されるとおりのCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるとおりのCDR-H1、配列番号82に示されるとおりのCDR-H2、配列番号83に示されるとおりのCDR-H3、配列番号84に示されるとおりのCDR-L1、配列番号85に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号86に示されるとおりのCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるとおりのCDR-H1、配列番号92に示されるとおりのCDR-H2、配列番号93に示されるとおりのCDR-H3、配列番号94に示されるとおりのCDR-L1、配列番号95に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号96に示されるとおりのCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるとおりのCDR-H1、配列番号102に示されるとおりのCDR-H2、配列番号103に示されるとおりのCDR-H3、配列番号104に示されるとおりのCDR-L1、配列番号105に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号106に示されるとおりのCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるとおりのCDR-H1、配列番号112に示されるとおりのCDR-H2、配列番号113に示されるとおりのCDR-H3、配列番号114に示されるとおりのCDR-L1、配列番号115に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号116に示されるとおりのCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるとおりのCDR-H1、配列番号122に示されるとおりのCDR-H2、配列番号123に示されるとおりのCDR-H3、配列番号124に示されるとおりのCDR-L1、配列番号125に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号126に示されるとおりのCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるとおりのCDR-H1、配列番号132に示されるとおりのCDR-H2、配列番号133に示されるとおりのCDR-H3、配列番号134に示されるとおりのCDR-L1、配列番号135に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号136に示されるとおりのCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるとおりのCDR-H1、配列番号142に示されるとおりのCDR-H2、配列番号143に示されるとおりのCDR-H3、配列番号144に示されるとおりのCDR-L1、配列番号145に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号146に示されるとおりのCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるとおりのCDR-H1、配列番号152に示されるとおりのCDR-H2、配列番号153に示されるとおりのCDR-H3、配列番号154に示されるとおりのCDR-L1、配列番号155に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号156に示されるとおりのCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるとおりのCDR-H1、配列番号162に示されるとおりのCDR-H2、配列番号163に示されるとおりのCDR-H3、配列番号164に示されるとおりのCDR-L1、配列番号165に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号166に示されるとおりのCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2、配列番号173に示されるとおりのCDR-H3、配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるとおりのCDR-H1、配列番号182に示されるとおりのCDR-H2、配列番号183に示されるとおりのCDR-H3、配列番号184に示されるとおりのCDR-L1、配列番号185に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号186に示されるとおりのCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるとおりのCDR-H1、配列番号192に示されるとおりのCDR-H2、配列番号193に示されるとおりのCDR-H3、配列番号194に示されるとおりのCDR-L1、配列番号195に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号196に示されるとおりのCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるとおりのCDR-H1、配列番号202に示されるとおりのCDR-H2、配列番号203に示されるとおりのCDR-H3、配列番号204に示されるとおりのCDR-L1、配列番号205に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号206に示されるとおりのCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるとおりのCDR-H1、配列番号212に示されるとおりのCDR-H2、配列番号213に示されるとおりのCDR-H3、配列番号214に示されるとおりのCDR-L1、配列番号215に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号216に示されるとおりのCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるとおりのCDR-H1、配列番号222に示されるとおりのCDR-H2、配列番号223に示されるとおりのCDR-H3、配列番号224に示されるとおりのCDR-L1、配列番号225に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号226に示されるとおりのCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるとおりのCDR-H1、配列番号232に示されるとおりのCDR-H2、配列番号233に示されるとおりのCDR-H3、配列番号234に示されるとおりのCDR-L1、配列番号235に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号236に示されるとおりのCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるとおりのCDR-H1、配列番号242に示されるとおりのCDR-H2、配列番号243に示されるとおりのCDR-H3、配列番号244に示されるとおりのCDR-L1、配列番号245に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号246に示されるとおりのCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるとおりのCDR-H1、配列番号252に示されるとおりのCDR-H2、配列番号253に示されるとおりのCDR-H3、配列番号254に示されるとおりのCDR-L1、配列番号255に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号256に示されるとおりのCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるとおりのCDR-H1、配列番号262に示されるとおりのCDR-H2、配列番号263に示されるとおりのCDR-H3、配列番号264に示されるとおりのCDR-L1、配列番号265に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号266に示されるとおりのCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるとおりのCDR-H1、配列番号272に示されるとおりのCDR-H2、配列番号273に示されるとおりのCDR-H3、配列番号274に示されるとおりのCDR-L1、配列番号275に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号276に示されるとおりのCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるとおりのCDR-H1、配列番号282に示されるとおりのCDR-H2、配列番号283に示されるとおりのCDR-H3、配列番号284に示されるとおりのCDR-L1、配列番号285に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号286に示されるとおりのCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるとおりのCDR-H1、配列番号292に示されるとおりのCDR-H2、配列番号293に示されるとおりのCDR-H3、配列番号294に示されるとおりのCDR-L1、配列番号295に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号296に示されるとおりのCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるとおりのCDR-H1、配列番号302に示されるとおりのCDR-H2、配列番号303に示されるとおりのCDR-H3、配列番号304に示されるとおりのCDR-L1、配列番号305に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号306に示されるとおりのCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるとおりのCDR-H1、配列番号312に示されるとおりのCDR-H2、配列番号313に示されるとおりのCDR-H3、配列番号314に示されるとおりのCDR-L1、配列番号315に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号316に示されるとおりのCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるとおりのCDR-H1、配列番号322に示されるとおりのCDR-H2、配列番号323に示されるとおりのCDR-H3、配列番号324に示されるとおりのCDR-L1、配列番号325に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号326に示されるとおりのCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるとおりのCDR-H1、配列番号332に示されるとおりのCDR-H2、配列番号333に示されるとおりのCDR-H3、配列番号334に示されるとおりのCDR-L1、配列番号335に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号336に示されるとおりのCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるとおりのCDR-H1、配列番号342に示されるとおりのCDR-H2、配列番号343に示されるとおりのCDR-H3、配列番号344に示されるとおりのCDR-L1、配列番号345に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号346に示されるとおりのCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるとおりのCDR-H1、配列番号352に示されるとおりのCDR-H2、配列番号353に示されるとおりのCDR-H3、配列番号354に示されるとおりのCDR-L1、配列番号355に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号356に示されるとおりのCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるとおりのCDR-H1、配列番号362に示されるとおりのCDR-H2、配列番号363に示されるとおりのCDR-H3、配列番号364に示されるとおりのCDR-L1、配列番号365に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号366に示されるとおりのCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるとおりのCDR-H1、配列番号372に示されるとおりのCDR-H2、配列番号373に示されるとおりのCDR-H3、配列番号374に示されるとおりのCDR-L1、配列番号375に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号376に示されるとおりのCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるとおりのCDR-H1、配列番号382に示されるとおりのCDR-H2、配列番号383に示されるとおりのCDR-H3、配列番号384に示されるとおりのCDR-L1、配列番号385に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号386に示されるとおりのCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるとおりのCDR-H1、配列番号392に示されるとおりのCDR-H2、配列番号393に示されるとおりのCDR-H3、配列番号394に示されるとおりのCDR-L1、配列番号395に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号396に示されるとおりのCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるとおりのCDR-H1、配列番号402に示されるとおりのCDR-H2、配列番号403に示されるとおりのCDR-H3、配列番号404に示されるとおりのCDR-L1、配列番号405に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号406に示されるとおりのCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるとおりのCDR-H1、配列番号412に示されるとおりのCDR-H2、配列番号413に示されるとおりのCDR-H3、配列番号414に示されるとおりのCDR-L1、配列番号415に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号416に示されるとおりのCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるとおりのCDR-H1、配列番号422に示されるとおりのCDR-H2、配列番号423に示されるとおりのCDR-H3、配列番号424に示されるとおりのCDR-L1、配列番号425に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号426に示されるとおりのCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるとおりのCDR-H1、配列番号432に示されるとおりのCDR-H2、配列番号433に示されるとおりのCDR-H3、配列番号434に示されるとおりのCDR-L1、配列番号435に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号436に示されるとおりのCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるとおりのCDR-H1、配列番号442に示されるとおりのCDR-H2、配列番号443に示されるとおりのCDR-H3、配列番号444に示されるとおりのCDR-L1、配列番号445に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号446に示されるとおりのCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるとおりのCDR-H1、配列番号452に示されるとおりのCDR-H2、配列番号453に示されるとおりのCDR-H3、配列番号454に示されるとおりのCDR-L1、配列番号455に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号456に示されるとおりのCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるとおりのCDR-H1、配列番号462に示されるとおりのCDR-H2、配列番号463に示されるとおりのCDR-H3、配列番号464に示されるとおりのCDR-L1、配列番号465に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号466に示されるとおりのCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるとおりのCDR-H1、配列番号472に示されるとおりのCDR-H2、配列番号473に示されるとおりのCDR-H3、配列番号474に示されるとおりのCDR-L1、配列番号475に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号476に示されるとおりのCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるとおりのCDR-H1、配列番号482に示されるとおりのCDR-H2、配列番号483に示されるとおりのCDR-H3、配列番号484に示されるとおりのCDR-L1、配列番号485に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号486に示されるとおりのCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるとおりのCDR-H1、配列番号492に示されるとおりのCDR-H2、配列番号493に示されるとおりのCDR-H3、配列番号494に示されるとおりのCDR-L1、配列番号495に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号496に示されるとおりのCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるとおりのCDR-H1、配列番号502に示されるとおりのCDR-H2、配列番号503に示されるとおりのCDR-H3、配列番号504に示されるとおりのCDR-L1、配列番号505に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号506に示されるとおりのCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるとおりのCDR-H1、配列番号512に示されるとおりのCDR-H2、配列番号513に示されるとおりのCDR-H3、配列番号514に示されるとおりのCDR-L1、配列番号515に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号516に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(53)配列番号521に示されるとおりのCDR-H1、配列番号522に示されるとおりのCDR-H2、配列番号523に示されるとおりのCDR-H3、配列番号524に示されるとおりのCDR-L1、配列番号525に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号526に示されるとおりのCDR-L3
から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含むことが想定される。
【0085】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。第1のドメインは、配列番号178に示されるとおりのアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。
【0086】
更に、BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含むことが想定される。第1のドメインは、配列番号177に示されるとおりのアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。
【0087】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、
(1)配列番号7に示されるとおりのVH領域及び配列番号8に示されるとおりのVL領域;
(2)配列番号17に示されるとおりのVH領域及び配列番号18に示されるとおりのVL領域;
(3)配列番号27に示されるとおりのVH領域及び配列番号28に示されるとおりのVL領域;
(4)配列番号37に示されるとおりのVH領域及び配列番号38に示されるとおりのVL領域;
(5)配列番号47に示されるとおりのVH領域及び配列番号48に示されるとおりのVL領域;
(6)配列番号57に示されるとおりのVH領域及び配列番号58に示されるとおりのVL領域;
(7)配列番号67に示されるとおりのVH領域及び配列番号68に示されるとおりのVL領域;
(8)配列番号77に示されるとおりのVH領域及び配列番号78に示されるとおりのVL領域;
(9)配列番号87に示されるとおりのVH領域及び配列番号88に示されるとおりのVL領域;
(10)配列番号97に示されるとおりのVH領域及び配列番号98に示されるとおりのVL領域;
(11)配列番号107に示されるとおりのVH領域及び配列番号108に示されるとおりのVL領域;
(12)配列番号117に示されるとおりのVH領域及び配列番号118に示されるとおりのVL領域;
(13)配列番号127に示されるとおりのVH領域及び配列番号128に示されるとおりのVL領域;
(14)配列番号137に示されるとおりのVH領域及び配列番号138に示されるとおりのVL領域;
(15)配列番号147に示されるとおりのVH領域及び配列番号148に示されるとおりのVL領域;
(16)配列番号157に示されるとおりのVH領域及び配列番号158に示されるとおりのVL領域;
(17)配列番号167に示されるとおりのVH領域及び配列番号168に示されるとおりのVL領域;
(18)配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域;
(19)配列番号187に示されるとおりのVH領域及び配列番号188に示されるとおりのVL領域;
(20)配列番号197に示されるとおりのVH領域及び配列番号198に示されるとおりのVL領域;
(21)配列番号207に示されるとおりのVH領域及び配列番号208に示されるとおりのVL領域;
(22)配列番号217に示されるとおりのVH領域及び配列番号218に示されるとおりのVL領域;
(23)配列番号227に示されるとおりのVH領域及び配列番号228に示されるとおりのVL領域;
(24)配列番号237に示されるとおりのVH領域及び配列番号238に示されるとおりのVL領域;
(25)配列番号247に示されるとおりのVH領域及び配列番号248に示されるとおりのVL領域;
(26)配列番号257に示されるとおりのVH領域及び配列番号258に示されるとおりのVL領域;
(27)配列番号267に示されるとおりのVH領域及び配列番号268に示されるとおりのVL領域;
(28)配列番号277に示されるとおりのVH領域及び配列番号278に示されるとおりのVL領域;
(29)配列番号287に示されるとおりのVH領域及び配列番号288に示されるとおりのVL領域;
(30)配列番号297に示されるとおりのVH領域及び配列番号298に示されるとおりのVL領域;
(31)配列番号307に示されるとおりのVH領域及び配列番号308に示されるとおりのVL領域;
(32)配列番号317に示されるとおりのVH領域及び配列番号318に示されるとおりのVL領域;
(33)配列番号327に示されるとおりのVH領域及び配列番号328に示されるとおりのVL領域;
(34)配列番号337に示されるとおりのVH領域及び配列番号338に示されるとおりのVL領域;
(35)配列番号347に示されるとおりのVH領域及び配列番号348に示されるとおりのVL領域;
(36)配列番号357に示されるとおりのVH領域及び配列番号358に示されるとおりのVL領域;
(37)配列番号367に示されるとおりのVH領域及び配列番号368に示されるとおりのVL領域;
(38)配列番号377に示されるとおりのVH領域及び配列番号378に示されるとおりのVL領域;
(39)配列番号387に示されるとおりのVH領域及び配列番号388に示されるとおりのVL領域;
(40)配列番号397に示されるとおりのVH領域及び配列番号398に示されるとおりのVL領域;
(41)配列番号407に示されるとおりのVH領域及び配列番号408に示されるとおりのVL領域;
(42)配列番号417に示されるとおりのVH領域及び配列番号418に示されるとおりのVL領域;
(43)配列番号427に示されるとおりのVH領域及び配列番号428に示されるとおりのVL領域;
(44)配列番号437に示されるとおりのVH領域及び配列番号438に示されるとおりのVL領域;
(45)配列番号447に示されるとおりのVH領域及び配列番号448に示されるとおりのVL領域;
(46)配列番号457に示されるとおりのVH領域及び配列番号458に示されるとおりのVL領域;
(47)配列番号467に示されるとおりのVH領域及び配列番号468に示されるとおりのVL領域;
(48)配列番号477に示されるとおりのVH領域及び配列番号478に示されるとおりのVL領域;
(49)配列番号487に示されるとおりのVH領域及び配列番号488に示されるとおりのVL領域;
(50)配列番号497に示されるとおりのVH領域及び配列番号498に示されるとおりのVL領域;
(51)配列番号507に示されるとおりのVH領域及び配列番号508に示されるとおりのVL領域;
(52)配列番号517に示されるとおりのVH領域及び配列番号518に示されるとおりのVL領域;並びに
(53)配列番号527に示されるとおりのVH領域及び配列番号528に示されるとおりのVL領域
からなる群から選択されるVH領域及びVL領域を含むことが想定される。
【0088】
第1のドメインは、配列番号177に示されるとおりのアミノ酸配列を有するVH領域及び配列番号178に示されるとおりのアミノ酸配列を有するVL領域を含むことが想定される。
【0089】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなることが想定される。第1のドメインは、配列番号179に示されるとおりのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなることが想定される。
【0090】
「T細胞」又はTリンパ球は、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の一種(それ自体白血球細胞の一種)である。T細胞のサブセットが幾つかあり、各々が異なる機能を有する。T細胞は、細胞表面上のT細胞受容体(TCR)の存在によってB細胞及びNK細胞などの他のリンパ球と区別することができる。TCRは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与し、2つの異なるタンパク質鎖で構成される。T細胞の95%において、TCRは、アルファ(α)鎖とベータ(β)鎖とからなる。TCRが抗原ペプチド及びMHC(ペプチド/MHC複合体)と会合すると、関連する酵素、共受容体、特殊化したアダプター分子及び活性化した又は放出された転写因子によって媒介される一連の生化学的イベントを通してTリンパ球が活性化される。
【0091】
「CD3」(分化クラスター3)は、4つの鎖で構成されるT細胞共受容体である。哺乳類では、CD3タンパク質複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖、CD3δ(デルタ)鎖及び2つのCD3ε(イプシロン)鎖を含有する。これらの4つの鎖がT細胞受容体(TCR)及びいわゆるζ(ゼータ)鎖と結び付いて「T細胞受容体複合体」を形成し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。CD3γ(ガンマ)、CD3δ(デルタ)及びCD3ε(イプシロン)鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連性のある細胞表面タンパク質であり、各々が単一の細胞外免疫グロブリンドメインを含有する。CD3分子の細胞内テールは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られる単一の保存モチーフを含有し、これは、TCRのシグナル伝達能に必須である。CD3イプシロン分子は、ヒトの第11染色体に存在するCD3E遺伝子によってコードされるポリペプチドである。
【0092】
T細胞上のCD3及び標的細胞上の標的タンパク質に結合する抗体コンストラクトによるT細胞の動員を介してリダイレクトされた標的細胞の溶解には、概して、細胞溶解性シナプス形成並びにパーフォリン及びグランザイムの送達が関わる。結合したT細胞は、連続的な標的細胞の溶解が可能であり、ペプチド抗原のプロセシング及び提示又はクローナルなT細胞分化を妨げる免疫回避機構による影響を受けない(例えば、国際公開第2007/042261号パンフレットを参照されたい)。
【0093】
BCMA×CD3抗体コンストラクトによって媒介される細胞傷害性は、様々な方法で測定することができる。「最大半量有効濃度」(EC50)は、本発明の抗体コンストラクトなど、生物学的に活性な分子の効力の尺度として一般的に使用される。これは、モル濃度単位で表される。この場合の細胞傷害性の測定では、EC50値は、ベースラインと最大値との中間の細胞傷害性応答(標的細胞の溶解)を生じさせる抗体コンストラクトの濃度を指す。細胞傷害性アッセイにおけるエフェクター細胞は、例えば、刺激されたエンリッチ(ヒト)CD8陽性T細胞又は刺激されていない(ヒト)末梢血単核球(PBMC)であり得る。標的細胞は、細胞の表面上にBCMAを発現しなければならない。好ましくは、標的細胞は、細胞の表面上に(少なくとも)BCMAの細胞外ドメインを発現する。標的細胞は、BCMA、例えばヒトBCMAを安定に又は一過性にトランスフェクトされている細胞株(CHOなど)であり得る。代わりに、標的細胞は、ヒト多発性骨髄腫細胞株L363又はNCI-H929など、BCMA陽性の天然発現体である細胞株であり得る。
【0094】
細胞傷害性アッセイにおけるエフェクター対標的細胞(E:T)比は、通常、約10:1であり、しかし、これはまた、異なり得る。BCMA×CD3抗体コンストラクトの細胞傷害活性は、51-クロム遊離アッセイ(例えば、約18時間のインキュベーション時間を伴う)又はFACSベースの細胞傷害性アッセイ(例えば、約48時間のインキュベーション時間を伴う)において測定することができる。インキュベーション時間(細胞傷害性反応)の修正も想定される。他の細胞傷害性測定方法は、周知であり、MTT又はMTSアッセイ、生物発光アッセイを含めたATPベースのアッセイ、スルホローダミンB(SRB)アッセイ、WSTアッセイ、クローン形成アッセイ及びECIS技術を含む。
【0095】
一実施形態によれば、本発明のBCMA×CD3抗体コンストラクトによって媒介される細胞傷害活性は、FACSベースの細胞傷害性アッセイにおいて測定される。BCMA×CD3抗体コンストラクトのEC50値は、≦5000pM又は≦4000pM、より好ましくは≦3000pM又は≦2000pM、更により好ましくは≦1000pM又は≦500pM、更により好ましくは≦400pM又は≦300pM、更により好ましくは≦200pM、更により好ましくは≦100pM、更により好ましくは≦50pM、更により好ましくは≦20pM又は≦10pM、最も好ましくは≦5pMであることが想定される。本発明の抗体コンストラクトは、FACSベースの細胞傷害性アッセイにおいて測定された場合、3桁、2桁又は1桁のpg/ml範囲のEC50値を有することも想定される。アッセイは、標的細胞として、L363若しくはNCI-H929細胞株又はBCMAトランスフェクトCHO細胞及びエフェクター細胞として、刺激されたエンリッチ(ヒト)CD8陽性T細胞又は刺激されていない(ヒト)(PBMC)を用いて実施され得る。国際公開第2013/072406号パンフレットも参照されたい。
【0096】
本発明の抗体コンストラクトの第2のドメインは、CD3に結合する。より好ましくは、これは、T細胞の表面上のCD3に結合する。更に、第2のドメインは、ヒトCD3、好ましくはT細胞の表面上のヒトCD3に結合することが想定される。また、第2のドメインは、CD3εに結合することも想定される。より好ましくは、これは、ヒトCD3ε、例えばT細胞の表面上のヒトCD3εに結合する。ヒトCD3εの細胞外ドメインについて好ましいアミノ酸配列は、配列番号653に示される。
【0097】
本発明の一実施形態において、抗体コンストラクトの第2のドメインは、ヒトCD3ε(又はT細胞の表面上のヒトCD3ε)及びコモンマーモセット(Callithrix jacchus)又はリスザル(Saimiri sciureus)CD3εに結合する。また、第2のドメインは、CD3εの細胞外エピトープ、好ましくはヒトCD3εの細胞外エピトープに結合することも想定される。また、第2のドメインは、ヒト及びマカク属(Macaca)CD3ε鎖の細胞外エピトープに結合することも想定される。CD3εの1つの好ましいエピトープは、ヒトCD3ε細胞外ドメインのアミノ酸残基1~27の範囲内に含まれる(配列番号654を参照されたい)。更により具体的には、エピトープは、少なくともアミノ酸配列Gln-Asp-Gly-Asn-Gluを含む。コモンマーモセット(Callithrix jacchus)は、マーモセット科(Callitrichidae)に属する新世界霊長類である一方、リスザル(Saimiri sciureus)は、オマキザル科(Cebidae)に属する新世界霊長類である。このような特徴を有する結合体が国際公開第2008/119567号パンフレットに詳細に記載されている。
【0098】
(ヒト)CD3に対する又は具体的にはCD3εに対する抗体又は二重特異性抗体コンストラクトは、当技術分野において公知であり、そのCDR、VH及びVL配列は、本発明の抗体コンストラクトの第2の結合ドメインのベースとしての役割を果たし得る。例えば、Kung et al.は、1979年、ヒトT細胞上のCD3(具体的にはCD3のε鎖)を認識する最初のmAbであるOKT3(Ortho Kung T3)の開発を報告した。OKT3(ムロモナブ)は、ヒトにおける治療に利用可能になった最初のマウス由来モノクローナル抗体であった。最近の抗CD3モノクローナル抗体には、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、フォラルマブ及びビジリズマブが含まれ、いずれもCD3のε鎖を標的とする。(癌)標的及びCD3に対する二重特異性抗体コンストラクトも開発及び(前)臨床試験が行われており、そのCD3結合ドメイン(CDR、VH、VL)は、本発明の抗体コンストラクトの第2の結合ドメインのベースとしての役割を果たし得る。例としては、限定されないが、ブリナツモマブ、ソリトマブ(MT110、AMG110)、カツマキソマブ、デュボルツキシズマブ、エルツマキソマブ、モスネツズマブ、FBTA05(Bi20、TPBs05)、CEA-TCB(RG7802、RO6958688)、AFM11及びMGD006(S80880)が挙げられる。CD3結合ドメインの他の例は、例えば、米国特許第7,994,289 B2号明細書、同第7,728,114 B2号明細書、同第7,381,803 B1号明細書、同第6,706,265 B1号明細書に開示されている。
【0099】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号544に示されるとおりのCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号601に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(c)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号623に示されるとおりのCDR-L3から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3
を含むVL領域を含むことが想定される。
【0100】
また、本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含むことも想定される。
【0101】
更に、本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号531に示されるとおりのCDR-L1、配列番号532に示されるとおりのCDR-L2、配列番号533に示されるとおりのCDR-L3、配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2、配列番号544に示されるとおりのCDR-L3、配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるとおりのCDR-L1、配列番号555に示されるとおりのCDR-L2、配列番号556に示されるとおりのCDR-L3、配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるとおりのCDR-L1、配列番号566に示されるとおりのCDR-L2、配列番号567に示されるとおりのCDR-L3、配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるとおりのCDR-L1、配列番号577に示されるとおりのCDR-L2、配列番号578に示されるとおりのCDR-L3、配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるとおりのCDR-L1、配列番号589に示されるとおりのCDR-L2、配列番号590に示されるとおりのCDR-L3、配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2、配列番号601に示されるとおりのCDR-L3、配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるとおりのCDR-L1、配列番号611に示されるとおりのCDR-L2、配列番号612に示されるとおりのCDR-L3、配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2、配列番号623に示されるとおりのCDR-L3、配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域並びにCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含むことが想定される。
【0102】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含むことも想定される。
【0103】
更に、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含むことが想定される。
【0104】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号539又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号537又は538に示されるとおりのVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号548又は549に示されるとおりのVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号560又は561に示されるとおりのVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号571又は572に示されるとおりのVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号582又は583に示されるとおりのVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号594又は595に示されるとおりのVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号605又は606に示されるとおりのVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号616又は617に示されるとおりのVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号627又は628に示されるとおりのVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号639又は640に示されるとおりのVH領域;並びに
(k)配列番号645に示されるとおりのVL領域及び配列番号644に示されるとおりのVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含むことも想定される。
【0105】
本発明の抗体コンストラクトについて、CD3に結合する第2のドメインは、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなることも想定される。
【0106】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるとおりのVH領域及び配列番号641に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合に関して競合することも想定される。
【0107】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号639に示されるとおりのVH領域及び配列番号641に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号642に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
と同じCD3のエピトープに結合することも想定される。
【0108】
更に、本発明の抗体コンストラクトは、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことが想定される。本発明の抗体コンストラクトは、配列番号180に示されるとおりのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことが想定される。
【0109】
本発明の抗体コンストラクトは、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、そのN末端又はそのC末端で、好ましくはペプチド結合(アミド結合)を介してタンパク質精製タグで連結されているポリペプチドを含むか又はそれからなることも想定される。ポリペプチドのC末端におけるタンパク質精製タグの連結が好ましい。タンパク質精製タグは、短鎖ペプチドであることが想定される。例えば、短鎖ペプチドの長さは、2~30アミノ酸、4~25アミノ酸、5~20アミノ酸又は6~19アミノ酸であり得る。タンパク質精製タグの例としては、限定されないが、AU1エピトープ(例えば、配列番号666に示されるとおり)、AU5エピトープ(例えば、配列番号667に示されるとおり)、T7タグ(例えば、配列番号668に示されるとおり)、V5タグ(例えば、配列番号669に示されるとおり)、Bタグ(例えば、配列番号670に示されるとおり)、E2エピトープ(例えば、配列番号671に示されるとおり)、FLAGエピトープ/FLAGタグ(例えば、配列番号672に示されるとおり)、Glu-Gluタグ(例えば、配列番号673又は674に示されるとおり)、HAタグ、ヒスチジンアフィニティータグ(例えば、配列番号675に示されるとおり)、HSVエピトープ(例えば、配列番号676に示されるとおり)、KT3エピトープ(例えば、配列番号677に示されるとおり)、Mycエピトープ(例えば、配列番号678に示されるとおり)、ポリアルギニンタグ(5~6個のArg残基)、ポリアスパルテートタグ(5~16個のAsp残基)、ポリヒスチジンタグ(2~10個のHis残基、通常6個のHis残基、例えば配列番号662~665を参照されたい)、ポリフェニルアラニンタグ(通常11個のPhe残基)、S1タグ(例えば、配列番号679に示されるとおり)、Sタグ(例えば、配列番号680に示されるとおり)、Strepタグ(例えば、配列番号681又は682に示されるとおり)、ユニバーサルタグ(例えば、配列番号683に示されるとおり)、VSV-G(例えば、配列番号684に示されるとおり)、プロテインC(例えば、配列番号685に示されるとおり)及びプロテインAが挙げられる。ヒスチジンタグ、特に6×Hisタグ(配列番号663)が好ましい。従って、本発明の抗体コンストラクトは、配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520及び530に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、そのC末端で、ペプチド結合を介して6xHisタグで連結されているポリペプチドからなることも更に想定される。本発明の抗体コンストラクトの一実施形態は、配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する。
【0110】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号173に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
と同じBCMAのエピトープに結合することも想定される。
【0111】
抗体、抗体コンストラクト又は結合ドメインが別の所与の抗体、抗体コンストラクト又は結合ドメインと標的細胞の表面上のBCMA/BCMAの同じエピトープに結合するか否かは、種々の分析、例えば国際公開第2013/072406号パンフレットに記載されるとおり、キメラ又は突然変異BCMA分子でのエピトープマッピングにより測定することができる。標的内のエピトープを特定する別の可能性は、分析される標的(本明細書では、BCMA)内の各残基を例えば部位特異的突然変異誘発によってアラニンで置換するアラニンスキャニングアアッセイ(例えば、Morrison KL&Weiss GA.Curr Opin Chem Biol.2001 Jun;5(3):302-7を参照されたい)である。アラニンが使用される理由は、嵩高くなく、化学的に不活性であり、それでも多くの他のアミノ酸が有している二次構造基準を模倣するメチル官能基を有しているためである。変異される残基のサイズを保存することが望ましい場合、ときにバリン又はロイシンなどの嵩高いアミノ酸を使用し得る。アラニンスキャニングは、通常、部位特異的突然変異誘発又はランダムにPCRライブラリの作成によって達成される。更に、理論的アラニン置換に基づいて熱力学的パラメータを推定する計算的方法が開発されている。データは、IR、NMR分光法、数学的方法、バイオアッセイなどにより試験することができる。当然ながら、CD3などの他の標的についても同じ分析を適用することができる。
【0112】
本発明の抗体コンストラクトは、
a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号173に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインが、配列番号179に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合に関して競合することも想定される。
【0113】
抗体又は抗体コンストラクトが別の所与の抗体又は抗体コンストラクトと標的細胞の表面上のBCMA/BCMAへの結合に関して競合するか否かは、競合ELISAなどの競合アッセイ又は細胞ベースの競合アッセイ(BCMAを自然に発現する細胞又はBCMAで安定的若しくは一時的に形質転換された細胞のいずれかを使用する)で測定することができる。アビジンを結合したマイクロ粒子(ビーズ)を使用することもできる。アビジンでコートされたELISAプレートと同様に、ビオチン化タンパク質と反応すると、これらのビーズの各々は、そこでアッセイを実施し得る基質として使用することができる。抗原をビーズにコーティングし、次に第1の抗体でプレコーティングする。二次抗体を加え、任意の更なる結合を決定する。フローサイトメトリーで読み取りを行う。用語「結合に関して競合する」は、これに関連して、上記に開示されるアッセイのいずれか1つによって決定したとき、2つの試験抗体間に少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の競合が起こることを意味する。当然ながら、CD3などの他の標的についても同じ分析を適用することができる。
【0114】
本発明の抗体コンストラクト又はその結合ドメインの1つ又は両方は、「ヒト化」又は「ヒト」であり得る。「ヒト化」抗体、そのバリアント又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、主としてヒト配列の免疫グロブリンをベースとし、これは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する。ほとんどの場合、ヒト化抗体、そのバリアント又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)をベースとし、超可変領域又はCDRからの残基は、所望の特異性、親和性、能力及び/又は生物学的活性を有するげっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラット又はウサギ)などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域又はCDR残基に置き換えられている。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、本明細書で使用されるとおりの「ヒト化」抗体、そのバリアント又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基も含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に改良し、最適化するために行われる。ヒト化抗体、そのバリアント又は断片、抗体コンストラクト及び結合ドメインは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分(Fcなど)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含み得る。更なる詳細については、Jones et al.,Nature,321:522-525(1986);Reichmann et al.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)を参照されたい。
【0115】
ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応のため、この業界では、キメラ又は他のヒト化抗体/抗体コンストラクトが調製されるようになった。しかしながら、特に抗体又は抗体コンストラクトの慢性又は多用量利用において、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)反応が観察されるであろうことが予想される。従って、HAMA又はHACA反応の懸念及び/又は効果を払拭するため、BCMAに対するヒト結合ドメイン及び/又はCD3に対するヒト結合ドメインを含む抗体コンストラクトを提供することが望ましいであろう。
【0116】
従って、一実施形態によれば、抗体コンストラクト、第1の結合ドメイン及び/又は第2の結合ドメインは、「ヒト」である。用語「ヒト抗体」、「ヒト抗体コンストラクト」及び「ヒト結合ドメイン」には、例えば、Kabat et al.(1991)(前掲)により記載されるものを含め、当技術分野において公知のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に実質的に対応する可変及び定常領域又はドメインなどの抗体由来領域を有するそれぞれ抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインが含まれる。本発明のヒト抗体コンストラクト又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダム又は部位特異的突然変異誘発により導入されるか、又はインビボで体細胞突然変異により導入された突然変異)を例えばCDR、詳細にはCDR3に含み得る。ヒト抗体コンストラクト又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基に置き換えられた少なくとも1、2、3、4、5つ又はそれを超える位置を有し得る。本明細書で使用されるとおりのヒト抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインの定義は、Xenomouseなどの技術又はシステムを用いて誘導し得るもののように、抗体の人工的及び/又は遺伝的に改変されていないヒト配列のみを含む完全ヒト抗体、抗体コンストラクト及び結合ドメインも企図する。
【0117】
少なくとも1つのヒト結合ドメインを含む抗体コンストラクトは、非ヒト、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター又はウサギ)可変及び/又は定常領域を有する抗体又は抗体コンストラクトに関連する問題の一部を回避する。このようなげっ歯類由来のタンパク質の存在は、抗体若しくは抗体コンストラクトの急速なクリアランスにつながることもあるか、又は患者による抗体若しくは抗体コンストラクトに対する免疫応答の発生につながることもある。げっ歯類由来の抗体コンストラクトの使用を回避するため、げっ歯類が完全ヒト抗体を産生するようにげっ歯類にヒト抗体機能を導入してヒト化又は完全ヒト抗体コンストラクトを作成することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体コンストラクトは、「単離された」又は「実質的に純粋な」抗体コンストラクトである。「単離された」又は「実質的に純粋な」は、本明細書に開示される抗体コンストラクトの記載に使用されるとき、その産生環境の成分から同定、分離及び/又は回収されている抗体コンストラクトを意味する。好ましくは、抗体コンストラクトは、その産生環境からの他の全ての成分との関連を含まないか又は実質的に含まない。組換えトランスフェクト細胞から生じるものなど、その産生環境の夾雑成分は、抗体コンストラクトの診断又は治療使用を妨げ得る材料であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性化合物を挙げることができる。単離された又は実質的に純粋な抗体コンストラクトは、状況に応じて、所与の試料における全タンパク質/ポリペプチド含量の5重量%~99.9重量%を占め得ることが理解される。所望の抗体コンストラクトは、誘導性プロモーター又は高発現プロモーターを使用することにより大幅に高い濃度で産生され得る。この定義には、当技術分野において公知の多様な生物及び/又は宿主細胞における抗体コンストラクトの産生が含まれる。特定の実施形態において、抗体コンストラクトは、(1)スピニングカップシークエネーターを用いることによりN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー又は好ましくは銀染色法を用いた非還元又は還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製されることになる。しかしながら、通常、単離された抗体コンストラクトは、少なくとも1つの精製工程によって調製されることになる。
【0119】
一実施形態によれば、抗体コンストラクト全体及び/又は結合ドメインは、1つ以上のポリペプチドの形態又はタンパク質の形態である。タンパク質性の部分に加えて、このようなポリペプチド又はタンパク質は、非タンパク質性の部分(例えば、化学的リンカー又は化学的架橋剤、例えばグルタルアルデヒド)を含み得る。
【0120】
ペプチドは、共有結合性ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸モノマーの短鎖である。従って、ペプチドは、広範な化学的クラスの生物学的オリゴマー及びポリマーに分類される。ペプチド又はポリペプチド鎖の一部であるアミノ酸は、「残基」と称され、連続番号が付され得る。環状ペプチドを除く全てのペプチドは、ペプチドの一端にN末端残基を有し、他端にC末端残基を有する。オリゴペプチドは、ごく少数のアミノ酸からなる(通常、2~20個)。ポリペプチドは、より長い連続した非分岐ペプチド鎖である。ペプチドは、タンパク質とサイズを基準として区別され、独断的な基準として約50アミノ酸以下を含むものと理解され得る。タンパク質は、通常、生物学的に機能的な方法で配置された1つ以上のポリペプチドからなる。ペプチドとポリペプチド及びタンパク質とに適用される実験技法の態様(例えば、電気泳動法、クロマトグラフィー等の詳細)が異なるが、ペプチドをポリペプチド及びタンパク質と区別するサイズ境界は、絶対的ではない。従って、本発明との関連において、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義的に使用され得、用語「ポリペプチド」が好ましいことが多い。
【0121】
ポリペプチドは、二量体、三量体及び更に高次のオリゴマーなど、2つ以上のポリペプチド分子からなる多量体を更に形成し得る。このような二量体、三量体などを形成するポリペプチド分子は、同一であっても又は同一でなくてもよい。このため、高次のこのような多量体の対応する構造は、ホモ二量体又はヘテロ二量体、ホモ三量体又はヘテロ三量体等と称される。ヘテロ多量体の例は、その天然に存在する形態で2つの同一の軽鎖ポリペプチド鎖と2つの同一の重鎖ポリペプチド鎖とからなる抗体又は免疫グロブリン分子である。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、天然の修飾ペプチド/ポリペプチド/タンパク質も指し、ここで、修飾は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などの翻訳後修飾により達成される。「ペプチド」、「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、本明細書において言及されるとき、ペグ化など、化学的にも修飾され得る。このような修飾は、当技術分野で周知である。
【0122】
本発明の抗体コンストラクトは、典型的には、医薬組成物又は製剤で製剤化される。医薬組成物の材料は、通常、投与部位に許容可能な濃度で製剤化される。従って、製剤及び組成物は、本発明に従って任意の好適な投与経路による送達のために設計され得る。
【0123】
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、患者、好ましくはヒト患者への投与に好適な組成物に関する。本発明の特に好ましい医薬組成物は、通常、治療有効量である、1つ又は複数の本発明の抗体コンストラクトを含む。医薬組成物は、1つ以上の(薬学的に有効な)担体、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤の好適な製剤を更に含み得る。本組成物の許容可能な構成成分は、典型的には、用いられる投薬量及び濃度で被投与者にとって非毒性である。本発明の医薬組成物としては、以下に限定はされないが、液体、凍結及び凍結乾燥組成物が挙げられる。医薬組成物が凍結乾燥されている場合、凍結乾燥された材料は、投与前に適切な液体で再構成される。凍結乾燥された材料は、例えば、注射用静菌水(BWFI)、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)又はタンパク質が凍結乾燥前にあったのと同じ製剤で再構成され得る。
【0124】
本組成物は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。一般に、本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容可能な担体」は、製剤投与、詳細には非経口投与と適合性のあるあらゆる水性及び非水性溶液、滅菌溶液、溶媒、緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液、水、懸濁液、油/水エマルションなどのエマルション、各種湿潤剤、リポソーム、分散媒及びコーティングを意味する。医薬組成物におけるこのような培地及び薬剤の使用は、当技術分野において周知であり、このような担体を含む組成物は、周知の従来方法によって製剤化することができる。
【0125】
特定の実施形態は、本発明の抗体コンストラクトと、更なる1つ以上の賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。賦形剤は、本発明の方法及び/又は粘度の調整など、製剤の物理的、化学的又は生物学的特性の調整など、多様な目的で使用して有効性を向上させ、且つ/又は例えば製造、出荷、貯蔵、使用前準備、投与中及びその後に起こるストレスに起因する分解及び変質に対してこのような製剤及びプロセスを安定化させることができる。賦形剤は、一般に、その最低有効濃度で使用されるべきである。
【0126】
特定の実施形態において、医薬組成物は、pH、オスモル濃度、粘度、清澄性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解又は放出速度、吸着又は透過など、組成物の特定の特徴を修正、維持又は保存する目的で製剤化材料/物質も含有し得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18”Edition,1990,Mack Publishing Companyを参照されたい)。
【0127】
本発明は、以下の項目に関する。
【0128】
項目1.BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクト。
【0129】
項目2.2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクルにわたって投与される、項目1に記載の抗体コンストラクト。
【0130】
項目3.1つのサイクルは、抗体コンストラクトの投与期間、それに続く抗体コンストラクトの投与なしの期間を含む、項目1又は2のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0131】
項目4.抗体コンストラクトの投与期間は、1~8週間、好ましくは2~6週間、より好ましくは25~30日である、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0132】
項目5.抗体コンストラクトの投与なしの期間は、少なくとも連続した7日である、項目3又は4に記載の抗体コンストラクト。
【0133】
項目6.抗体コンストラクトの投与なしの期間は、1週間~3カ月、好ましくは1週間~2カ月、より好ましくは1週間~1カ月である、項目3~6のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0134】
項目7.抗体コンストラクトの用量は、各サイクル中に一定である、項目1~6のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0135】
項目8.抗体コンストラクトの用量は、各サイクル中及び1つのサイクルから後続のサイクルまで一定である、項目1~7のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0136】
項目9.非経口的に、好ましくは静脈内に、より好ましくは持続静脈内投与を介して投与される、項目1~8のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0137】
項目10.BCMA陽性新生物は、多発性骨髄腫、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症並びにくすぶり型骨髄腫からなる群から選択される、項目1~9のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0138】
項目11.
a)単鎖ポリペプチドであり、
b)第1のドメインは、scFvのフォーマットであり、
c)第2のドメインは、scFvのフォーマットであり、及び/又は
d)第1のドメイン及び第2のドメインは、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリンリンカーを介して接続されている、項目1~10のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0139】
項目12.a)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号173に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)標的細胞の表面上のBCMAに結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号179に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とBCMAへの結合に関して競合するか、又はそれと同じBCMAのエピトープに結合する、項目1~11のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0140】
項目13.a)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3を含むVH領域並びに配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3を含むVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
b)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体若しくは抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号639に示されるとおりのVH領域及び配列番号641に示されるとおりのVL領域を含む、抗体若しくは抗体コンストラクト;
c)T細胞の表面上のCD3に結合するドメインを含む抗体コンストラクトであって、前記ドメインは、配列番号642に示されるとおりのアミノ酸配列を含む、抗体コンストラクト;又は
d)配列番号661に示されるとおりのアミノ酸配列を有する抗体コンストラクト
とCD3への結合に関して競合するか、又はそれと同じCD3のエピトープに結合する、項目1~12のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0141】
項目14.BCMAに結合する第1のドメインは、
(1)配列番号1に示されるとおりのCDR-H1、配列番号2に示されるとおりのCDR-H2、配列番号3に示されるとおりのCDR-H3、配列番号4に示されるとおりのCDR-L1、配列番号5に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号6に示されるとおりのCDR-L3;
(2)配列番号11に示されるとおりのCDR-H1、配列番号12に示されるとおりのCDR-H2、配列番号13に示されるとおりのCDR-H3、配列番号14に示されるとおりのCDR-L1、配列番号15に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号16に示されるとおりのCDR-L3;
(3)配列番号21に示されるとおりのCDR-H1、配列番号22に示されるとおりのCDR-H2、配列番号23に示されるとおりのCDR-H3、配列番号24に示されるとおりのCDR-L1、配列番号25に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号26に示されるとおりのCDR-L3;
(4)配列番号31に示されるとおりのCDR-H1、配列番号32に示されるとおりのCDR-H2、配列番号33に示されるとおりのCDR-H3、配列番号34に示されるとおりのCDR-L1、配列番号35に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号36に示されるとおりのCDR-L3;
(5)配列番号41に示されるとおりのCDR-H1、配列番号42に示されるとおりのCDR-H2、配列番号43に示されるとおりのCDR-H3、配列番号44に示されるとおりのCDR-L1、配列番号45に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号46に示されるとおりのCDR-L3;
(6)配列番号51に示されるとおりのCDR-H1、配列番号52に示されるとおりのCDR-H2、配列番号53に示されるとおりのCDR-H3、配列番号54に示されるとおりのCDR-L1、配列番号55に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号56に示されるとおりのCDR-L3;
(7)配列番号61に示されるとおりのCDR-H1、配列番号62に示されるとおりのCDR-H2、配列番号63に示されるとおりのCDR-H3、配列番号64に示されるとおりのCDR-L1、配列番号65に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号66に示されるとおりのCDR-L3;
(8)配列番号71に示されるとおりのCDR-H1、配列番号72に示されるとおりのCDR-H2、配列番号73に示されるとおりのCDR-H3、配列番号74に示されるとおりのCDR-L1、配列番号75に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号76に示されるとおりのCDR-L3;
(9)配列番号81に示されるとおりのCDR-H1、配列番号82に示されるとおりのCDR-H2、配列番号83に示されるとおりのCDR-H3、配列番号84に示されるとおりのCDR-L1、配列番号85に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号86に示されるとおりのCDR-L3;
(10)配列番号91に示されるとおりのCDR-H1、配列番号92に示されるとおりのCDR-H2、配列番号93に示されるとおりのCDR-H3、配列番号94に示されるとおりのCDR-L1、配列番号95に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号96に示されるとおりのCDR-L3;
(11)配列番号101に示されるとおりのCDR-H1、配列番号102に示されるとおりのCDR-H2、配列番号103に示されるとおりのCDR-H3、配列番号104に示されるとおりのCDR-L1、配列番号105に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号106に示されるとおりのCDR-L3;
(12)配列番号111に示されるとおりのCDR-H1、配列番号112に示されるとおりのCDR-H2、配列番号113に示されるとおりのCDR-H3、配列番号114に示されるとおりのCDR-L1、配列番号115に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号116に示されるとおりのCDR-L3;
(13)配列番号121に示されるとおりのCDR-H1、配列番号122に示されるとおりのCDR-H2、配列番号123に示されるとおりのCDR-H3、配列番号124に示されるとおりのCDR-L1、配列番号125に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号126に示されるとおりのCDR-L3;
(14)配列番号131に示されるとおりのCDR-H1、配列番号132に示されるとおりのCDR-H2、配列番号133に示されるとおりのCDR-H3、配列番号134に示されるとおりのCDR-L1、配列番号135に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号136に示されるとおりのCDR-L3;
(15)配列番号141に示されるとおりのCDR-H1、配列番号142に示されるとおりのCDR-H2、配列番号143に示されるとおりのCDR-H3、配列番号144に示されるとおりのCDR-L1、配列番号145に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号146に示されるとおりのCDR-L3;
(16)配列番号151に示されるとおりのCDR-H1、配列番号152に示されるとおりのCDR-H2、配列番号153に示されるとおりのCDR-H3、配列番号154に示されるとおりのCDR-L1、配列番号155に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号156に示されるとおりのCDR-L3;
(17)配列番号161に示されるとおりのCDR-H1、配列番号162に示されるとおりのCDR-H2、配列番号163に示されるとおりのCDR-H3、配列番号164に示されるとおりのCDR-L1、配列番号165に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号166に示されるとおりのCDR-L3;
(18)配列番号171に示されるとおりのCDR-H1、配列番号172に示されるとおりのCDR-H2、配列番号173に示されるとおりのCDR-H3、配列番号174に示されるとおりのCDR-L1、配列番号175に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号176に示されるとおりのCDR-L3;
(19)配列番号181に示されるとおりのCDR-H1、配列番号182に示されるとおりのCDR-H2、配列番号183に示されるとおりのCDR-H3、配列番号184に示されるとおりのCDR-L1、配列番号185に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号186に示されるとおりのCDR-L3;
(20)配列番号191に示されるとおりのCDR-H1、配列番号192に示されるとおりのCDR-H2、配列番号193に示されるとおりのCDR-H3、配列番号194に示されるとおりのCDR-L1、配列番号195に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号196に示されるとおりのCDR-L3;
(21)配列番号201に示されるとおりのCDR-H1、配列番号202に示されるとおりのCDR-H2、配列番号203に示されるとおりのCDR-H3、配列番号204に示されるとおりのCDR-L1、配列番号205に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号206に示されるとおりのCDR-L3;
(22)配列番号211に示されるとおりのCDR-H1、配列番号212に示されるとおりのCDR-H2、配列番号213に示されるとおりのCDR-H3、配列番号214に示されるとおりのCDR-L1、配列番号215に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号216に示されるとおりのCDR-L3;
(23)配列番号221に示されるとおりのCDR-H1、配列番号222に示されるとおりのCDR-H2、配列番号223に示されるとおりのCDR-H3、配列番号224に示されるとおりのCDR-L1、配列番号225に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号226に示されるとおりのCDR-L3;
(24)配列番号231に示されるとおりのCDR-H1、配列番号232に示されるとおりのCDR-H2、配列番号233に示されるとおりのCDR-H3、配列番号234に示されるとおりのCDR-L1、配列番号235に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号236に示されるとおりのCDR-L3;
(25)配列番号241に示されるとおりのCDR-H1、配列番号242に示されるとおりのCDR-H2、配列番号243に示されるとおりのCDR-H3、配列番号244に示されるとおりのCDR-L1、配列番号245に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号246に示されるとおりのCDR-L3;
(26)配列番号251に示されるとおりのCDR-H1、配列番号252に示されるとおりのCDR-H2、配列番号253に示されるとおりのCDR-H3、配列番号254に示されるとおりのCDR-L1、配列番号255に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号256に示されるとおりのCDR-L3;
(27)配列番号261に示されるとおりのCDR-H1、配列番号262に示されるとおりのCDR-H2、配列番号263に示されるとおりのCDR-H3、配列番号264に示されるとおりのCDR-L1、配列番号265に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号266に示されるとおりのCDR-L3;
(28)配列番号271に示されるとおりのCDR-H1、配列番号272に示されるとおりのCDR-H2、配列番号273に示されるとおりのCDR-H3、配列番号274に示されるとおりのCDR-L1、配列番号275に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号276に示されるとおりのCDR-L3;
(29)配列番号281に示されるとおりのCDR-H1、配列番号282に示されるとおりのCDR-H2、配列番号283に示されるとおりのCDR-H3、配列番号284に示されるとおりのCDR-L1、配列番号285に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号286に示されるとおりのCDR-L3;
(30)配列番号291に示されるとおりのCDR-H1、配列番号292に示されるとおりのCDR-H2、配列番号293に示されるとおりのCDR-H3、配列番号294に示されるとおりのCDR-L1、配列番号295に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号296に示されるとおりのCDR-L3;
(31)配列番号301に示されるとおりのCDR-H1、配列番号302に示されるとおりのCDR-H2、配列番号303に示されるとおりのCDR-H3、配列番号304に示されるとおりのCDR-L1、配列番号305に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号306に示されるとおりのCDR-L3;
(32)配列番号311に示されるとおりのCDR-H1、配列番号312に示されるとおりのCDR-H2、配列番号313に示されるとおりのCDR-H3、配列番号314に示されるとおりのCDR-L1、配列番号315に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号316に示されるとおりのCDR-L3;
(33)配列番号321に示されるとおりのCDR-H1、配列番号322に示されるとおりのCDR-H2、配列番号323に示されるとおりのCDR-H3、配列番号324に示されるとおりのCDR-L1、配列番号325に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号326に示されるとおりのCDR-L3;
(34)配列番号331に示されるとおりのCDR-H1、配列番号332に示されるとおりのCDR-H2、配列番号333に示されるとおりのCDR-H3、配列番号334に示されるとおりのCDR-L1、配列番号335に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号336に示されるとおりのCDR-L3;
(35)配列番号341に示されるとおりのCDR-H1、配列番号342に示されるとおりのCDR-H2、配列番号343に示されるとおりのCDR-H3、配列番号344に示されるとおりのCDR-L1、配列番号345に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号346に示されるとおりのCDR-L3;
(36)配列番号351に示されるとおりのCDR-H1、配列番号352に示されるとおりのCDR-H2、配列番号353に示されるとおりのCDR-H3、配列番号354に示されるとおりのCDR-L1、配列番号355に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号356に示されるとおりのCDR-L3;
(37)配列番号361に示されるとおりのCDR-H1、配列番号362に示されるとおりのCDR-H2、配列番号363に示されるとおりのCDR-H3、配列番号364に示されるとおりのCDR-L1、配列番号365に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号366に示されるとおりのCDR-L3;
(38)配列番号371に示されるとおりのCDR-H1、配列番号372に示されるとおりのCDR-H2、配列番号373に示されるとおりのCDR-H3、配列番号374に示されるとおりのCDR-L1、配列番号375に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号376に示されるとおりのCDR-L3;
(39)配列番号381に示されるとおりのCDR-H1、配列番号382に示されるとおりのCDR-H2、配列番号383に示されるとおりのCDR-H3、配列番号384に示されるとおりのCDR-L1、配列番号385に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号386に示されるとおりのCDR-L3;
(40)配列番号391に示されるとおりのCDR-H1、配列番号392に示されるとおりのCDR-H2、配列番号393に示されるとおりのCDR-H3、配列番号394に示されるとおりのCDR-L1、配列番号395に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号396に示されるとおりのCDR-L3;
(41)配列番号401に示されるとおりのCDR-H1、配列番号402に示されるとおりのCDR-H2、配列番号403に示されるとおりのCDR-H3、配列番号404に示されるとおりのCDR-L1、配列番号405に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号406に示されるとおりのCDR-L3;
(42)配列番号411に示されるとおりのCDR-H1、配列番号412に示されるとおりのCDR-H2、配列番号413に示されるとおりのCDR-H3、配列番号414に示されるとおりのCDR-L1、配列番号415に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号416に示されるとおりのCDR-L3;
(43)配列番号421に示されるとおりのCDR-H1、配列番号422に示されるとおりのCDR-H2、配列番号423に示されるとおりのCDR-H3、配列番号424に示されるとおりのCDR-L1、配列番号425に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号426に示されるとおりのCDR-L3;
(44)配列番号431に示されるとおりのCDR-H1、配列番号432に示されるとおりのCDR-H2、配列番号433に示されるとおりのCDR-H3、配列番号434に示されるとおりのCDR-L1、配列番号435に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号436に示されるとおりのCDR-L3;
(45)配列番号441に示されるとおりのCDR-H1、配列番号442に示されるとおりのCDR-H2、配列番号443に示されるとおりのCDR-H3、配列番号444に示されるとおりのCDR-L1、配列番号445に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号446に示されるとおりのCDR-L3;
(46)配列番号451に示されるとおりのCDR-H1、配列番号452に示されるとおりのCDR-H2、配列番号453に示されるとおりのCDR-H3、配列番号454に示されるとおりのCDR-L1、配列番号455に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号456に示されるとおりのCDR-L3;
(47)配列番号461に示されるとおりのCDR-H1、配列番号462に示されるとおりのCDR-H2、配列番号463に示されるとおりのCDR-H3、配列番号464に示されるとおりのCDR-L1、配列番号465に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号466に示されるとおりのCDR-L3;
(48)配列番号471に示されるとおりのCDR-H1、配列番号472に示されるとおりのCDR-H2、配列番号473に示されるとおりのCDR-H3、配列番号474に示されるとおりのCDR-L1、配列番号475に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号476に示されるとおりのCDR-L3;
(49)配列番号481に示されるとおりのCDR-H1、配列番号482に示されるとおりのCDR-H2、配列番号483に示されるとおりのCDR-H3、配列番号484に示されるとおりのCDR-L1、配列番号485に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号486に示されるとおりのCDR-L3;
(50)配列番号491に示されるとおりのCDR-H1、配列番号492に示されるとおりのCDR-H2、配列番号493に示されるとおりのCDR-H3、配列番号494に示されるとおりのCDR-L1、配列番号495に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号496に示されるとおりのCDR-L3;
(51)配列番号501に示されるとおりのCDR-H1、配列番号502に示されるとおりのCDR-H2、配列番号503に示されるとおりのCDR-H3、配列番号504に示されるとおりのCDR-L1、配列番号505に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号506に示されるとおりのCDR-L3;
(52)配列番号511に示されるとおりのCDR-H1、配列番号512に示されるとおりのCDR-H2、配列番号513に示されるとおりのCDR-H3、配列番号514に示されるとおりのCDR-L1、配列番号515に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号516に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(53)配列番号521に示されるとおりのCDR-H1、配列番号522に示されるとおりのCDR-H2、配列番号523に示されるとおりのCDR-H3、配列番号524に示されるとおりのCDR-L1、配列番号525に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号526に示されるとおりのCDR-L3
から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、項目1~13のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0142】
項目15.BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437、447、457、467、477、487、497、507、517及び527に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、項目1~14のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0143】
項目16.BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、178、188、198、208、218、228、238、248、258、268、278、288、298、308、318、328、338、348、358、368、378、388、398、408、418、428、438、448、458、468、478、488、498、508、518及び528に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、項目1~15のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0144】
項目17.BCMAに結合する第1のドメインは、
(1)配列番号7に示されるとおりのVH領域及び配列番号8に示されるとおりのVL領域;
(2)配列番号17に示されるとおりのVH領域及び配列番号18に示されるとおりのVL領域;
(3)配列番号27に示されるとおりのVH領域及び配列番号28に示されるとおりのVL領域;
(4)配列番号37に示されるとおりのVH領域及び配列番号38に示されるとおりのVL領域;
(5)配列番号47に示されるとおりのVH領域及び配列番号48に示されるとおりのVL領域;
(6)配列番号57に示されるとおりのVH領域及び配列番号58に示されるとおりのVL領域;
(7)配列番号67に示されるとおりのVH領域及び配列番号68に示されるとおりのVL領域;
(8)配列番号77に示されるとおりのVH領域及び配列番号78に示されるとおりのVL領域;
(9)配列番号87に示されるとおりのVH領域及び配列番号88に示されるとおりのVL領域;
(10)配列番号97に示されるとおりのVH領域及び配列番号98に示されるとおりのVL領域;
(11)配列番号107に示されるとおりのVH領域及び配列番号108に示されるとおりのVL領域;
(12)配列番号117に示されるとおりのVH領域及び配列番号118に示されるとおりのVL領域;
(13)配列番号127に示されるとおりのVH領域及び配列番号128に示されるとおりのVL領域;
(14)配列番号137に示されるとおりのVH領域及び配列番号138に示されるとおりのVL領域;
(15)配列番号147に示されるとおりのVH領域及び配列番号148に示されるとおりのVL領域;
(16)配列番号157に示されるとおりのVH領域及び配列番号158に示されるとおりのVL領域;
(17)配列番号167に示されるとおりのVH領域及び配列番号168に示されるとおりのVL領域;
(18)配列番号177に示されるとおりのVH領域及び配列番号178に示されるとおりのVL領域;
(19)配列番号187に示されるとおりのVH領域及び配列番号188に示されるとおりのVL領域;
(20)配列番号197に示されるとおりのVH領域及び配列番号198に示されるとおりのVL領域;
(21)配列番号207に示されるとおりのVH領域及び配列番号208に示されるとおりのVL領域;
(22)配列番号217に示されるとおりのVH領域及び配列番号218に示されるとおりのVL領域;
(23)配列番号227に示されるとおりのVH領域及び配列番号228に示されるとおりのVL領域;
(24)配列番号237に示されるとおりのVH領域及び配列番号238に示されるとおりのVL領域;
(25)配列番号247に示されるとおりのVH領域及び配列番号248に示されるとおりのVL領域;
(26)配列番号257に示されるとおりのVH領域及び配列番号258に示されるとおりのVL領域;
(27)配列番号267に示されるとおりのVH領域及び配列番号268に示されるとおりのVL領域;
(28)配列番号277に示されるとおりのVH領域及び配列番号278に示されるとおりのVL領域;
(29)配列番号287に示されるとおりのVH領域及び配列番号288に示されるとおりのVL領域;
(30)配列番号297に示されるとおりのVH領域及び配列番号298に示されるとおりのVL領域;
(31)配列番号307に示されるとおりのVH領域及び配列番号308に示されるとおりのVL領域;
(32)配列番号317に示されるとおりのVH領域及び配列番号318に示されるとおりのVL領域;
(33)配列番号327に示されるとおりのVH領域及び配列番号328に示されるとおりのVL領域;
(34)配列番号337に示されるとおりのVH領域及び配列番号338に示されるとおりのVL領域;
(35)配列番号347に示されるとおりのVH領域及び配列番号348に示されるとおりのVL領域;
(36)配列番号357に示されるとおりのVH領域及び配列番号358に示されるとおりのVL領域;
(37)配列番号367に示されるとおりのVH領域及び配列番号368に示されるとおりのVL領域;
(38)配列番号377に示されるとおりのVH領域及び配列番号378に示されるとおりのVL領域;
(39)配列番号387に示されるとおりのVH領域及び配列番号388に示されるとおりのVL領域;
(40)配列番号397に示されるとおりのVH領域及び配列番号398に示されるとおりのVL領域;
(41)配列番号407に示されるとおりのVH領域及び配列番号408に示されるとおりのVL領域;
(42)配列番号417に示されるとおりのVH領域及び配列番号418に示されるとおりのVL領域;
(43)配列番号427に示されるとおりのVH領域及び配列番号428に示されるとおりのVL領域;
(44)配列番号437に示されるとおりのVH領域及び配列番号438に示されるとおりのVL領域;
(45)配列番号447に示されるとおりのVH領域及び配列番号448に示されるとおりのVL領域;
(46)配列番号457に示されるとおりのVH領域及び配列番号458に示されるとおりのVL領域;
(47)配列番号467に示されるとおりのVH領域及び配列番号468に示されるとおりのVL領域;
(48)配列番号477に示されるとおりのVH領域及び配列番号478に示されるとおりのVL領域;
(49)配列番号487に示されるとおりのVH領域及び配列番号488に示されるとおりのVL領域;
(50)配列番号497に示されるとおりのVH領域及び配列番号498に示されるとおりのVL領域;
(51)配列番号507に示されるとおりのVH領域及び配列番号508に示されるとおりのVL領域;
(52)配列番号517に示されるとおりのVH領域及び配列番号518に示されるとおりのVL領域;並びに
(53)配列番号527に示されるとおりのVH領域及び配列番号528に示されるとおりのVL領域
からなる群から選択されるVH領域並びにVL領域を含む、項目1~16のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0145】
項目18.BCMAに結合する第1のドメインは、配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、109、129、139、149、159、169、179、189、199、209、219、229、239、249、259、269、279、289、299、309、319、329、339、349、359、369、379、389、399、409、419、429、439、449、459、469、479、489、499、519及び529からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、項目1~17のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0146】
項目19.CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号544に示されるとおりのCDR-L3;
(b)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号601に示されるとおりのCDR-L3;並びに
(c)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2及び配列番号623に示されるとおりのCDR-L3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域を含む、項目1~18のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0147】
項目20.CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、項目1~19のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0148】
項目21.CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号531に示されるとおりのCDR-L1、配列番号532に示されるとおりのCDR-L2、配列番号533に示されるとおりのCDR-L3、配列番号534に示されるとおりのCDR-H1、配列番号535に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号536に示されるとおりのCDR-H3;
(b)配列番号542に示されるとおりのCDR-L1、配列番号543に示されるとおりのCDR-L2、配列番号544に示されるとおりのCDR-L3、配列番号545に示されるとおりのCDR-H1、配列番号546に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号547に示されるとおりのCDR-H3;
(c)配列番号554に示されるとおりのCDR-L1、配列番号555に示されるとおりのCDR-L2、配列番号556に示されるとおりのCDR-L3、配列番号557に示されるとおりのCDR-H1、配列番号558に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号559に示されるとおりのCDR-H3;
(d)配列番号565に示されるとおりのCDR-L1、配列番号566に示されるとおりのCDR-L2、配列番号567に示されるとおりのCDR-L3、配列番号568に示されるとおりのCDR-H1、配列番号569に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号570に示されるとおりのCDR-H3;
(e)配列番号576に示されるとおりのCDR-L1、配列番号577に示されるとおりのCDR-L2、配列番号578に示されるとおりのCDR-L3、配列番号579に示されるとおりのCDR-H1、配列番号580に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号581に示されるとおりのCDR-H3;
(f)配列番号588に示されるとおりのCDR-L1、配列番号589に示されるとおりのCDR-L2、配列番号590に示されるとおりのCDR-L3、配列番号591に示されるとおりのCDR-H1、配列番号592に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号593に示されるとおりのCDR-H3;
(g)配列番号599に示されるとおりのCDR-L1、配列番号600に示されるとおりのCDR-L2、配列番号601に示されるとおりのCDR-L3、配列番号602に示されるとおりのCDR-H1、配列番号603に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号604に示されるとおりのCDR-H3;
(h)配列番号610に示されるとおりのCDR-L1、配列番号611に示されるとおりのCDR-L2、配列番号612に示されるとおりのCDR-L3、配列番号613に示されるとおりのCDR-H1、配列番号614に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号615に示されるとおりのCDR-H3;
(i)配列番号621に示されるとおりのCDR-L1、配列番号622に示されるとおりのCDR-L2、配列番号623に示されるとおりのCDR-L3、配列番号624に示されるとおりのCDR-H1、配列番号625に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号626に示されるとおりのCDR-H3;並びに
(j)配列番号633に示されるとおりのCDR-L1、配列番号634に示されるとおりのCDR-L2、配列番号635に示されるとおりのCDR-L3、配列番号636に示されるとおりのCDR-H1、配列番号637に示されるとおりのCDR-H2及び配列番号638に示されるとおりのCDR-H3
からなる群から選択されるCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含むVL領域並びにCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含むVH領域を含む、項目1~20のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0149】
項目22.CD3に結合する第2のドメインは、配列番号550、配列番号551、配列番号584、配列番号585、配列番号629及び配列番号630に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL領域を含む、項目1~21のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0150】
項目23.CD3に結合する第2のドメインは、配列番号537、配列番号538、配列番号548、配列番号549、配列番号560、配列番号561、配列番号571、配列番号572、配列番号582、配列番号583、配列番号594、配列番号595、配列番号605、配列番号606、配列番号616、配列番号617、配列番号627、配列番号628、配列番号639、配列番号640及び配列番号644に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH領域を含む、項目1~22のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0151】
項目24.CD3に結合する第2のドメインは、
(a)配列番号539又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号537又は538に示されるとおりのVH領域;
(b)配列番号550又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号548又は549に示されるとおりのVH領域;
(c)配列番号562又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号560又は561に示されるとおりのVH領域;
(d)配列番号573又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号571又は572に示されるとおりのVH領域;
(e)配列番号584又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号582又は583に示されるとおりのVH領域;
(f)配列番号596又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号594又は595に示されるとおりのVH領域;
(g)配列番号607又は585に示されるとおりのVL領域及び配列番号605又は606に示されるとおりのVH領域;
(h)配列番号618又は521に示されるとおりのVL領域及び配列番号616又は617に示されるとおりのVH領域;
(i)配列番号629又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号627又は628に示されるとおりのVH領域;
(j)配列番号641又は630に示されるとおりのVL領域及び配列番号639又は640に示されるとおりのVH領域;並びに
(k)配列番号645に示されるとおりのVL領域及び配列番号644に示されるとおりのVH領域
からなる群から選択されるVL領域及びVH領域を含む、項目1~23のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0152】
項目25.CD3に結合する第2のドメインは、配列番号540、541、552、553、563、564、574、575、586、587、597、598、608、609、619、620、631、632、642、643及び646に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか又はそれからなる、項目1~24のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0153】
項目26.配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530及び661に示されるものからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目1~25のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0154】
項目27.約20~約90kDa、約30~約80kDa、約40~約70kDa、約50~約60kDa、約52~約58kDa、好ましくは約54~約56kDaの分子量を有する、項目1~26のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0155】
項目28.約3~36時間、約6~30時間又は約12~24時間の消失半減期(T1/2)を有する、項目1~27のいずれか1つに記載の抗体コンストラクト。
【0156】
本明細書で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」には、文脈上特に明確に指示されない限り複数形の言及が含まれる。従って、例えば、「試薬」への言及には、このような種々の試薬の1つ以上が含まれ、「方法」への言及には、本明細書に記載される方法に修正又は置換され得る、当業者に公知の均等なステップ及び方法への言及が含まれる。
【0157】
特に指示されない限り、一連の要素の前にある用語「少なくとも」は、その一連の中にある全ての要素に言及しているものと理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識するか、又はルーチンに過ぎない実験を用いてそれを確認することができるであろう。このような均等物は、本発明に包含されることが意図される。
【0158】
用語「及び/又は」は、本明細書のいずれの箇所で使用されるにしても、「及び」、「又は」及び「前記用語によって接続される要素のあらゆる他の組み合わせ」の意味を含む。
【0159】
用語「約」又は「およそ」は、本明細書で使用されるとき、所与の値又は範囲の±20%以内、好ましくは±15%以内、より好ましくは±10%以内及び最も好ましくは±5%以内を意味する。これには、具体的な値も含まれ、例えば「約50」は、値「50」を含む。
【0160】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、文脈上特に要求されない限り、語句「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる」などの変化形は、記載されている完全体若しくはステップ又は完全体若しくはステップ群を含むが、任意の他の完全体若しくはステップ又は完全体若しくはステップ群を除外しないことを含意するものと理解されるであろう。本明細書において使用されるとき、用語「含んでいる」は、用語「含有している」若しくは「包含している」又はときに本明細書において使用されるときに用語「有している」を代わりに用いることができる。
【0161】
本明細書において使用されるとき、「~からなる」は、請求項の構成要素に指定されていないいかなる要素、ステップ又は成分も除外する。本明細書において使用されるとき、「~から本質的になる」は、請求項の基本的な新規の特徴に事実上影響を与えない材料又はステップを除外しない。
【0162】
本明細書における各例において、用語「含む」、「~から本質的になる」及び「~からなる」のいずれも他の2つの用語の一方に置き換えられ得る。
【0163】
上述の説明及び以下の例は、例示的構成を提供するが、しかし、本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、技法、プロトコル、材料、試薬、物質等に限定されず、従って異なり得ることが理解されなければならない。本明細書で使用される用語は、詳細な実施形態を説明することを目的としているに過ぎず、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図されない。本発明の態様は、独立請求項に提供される。本発明の一部の任意選択的な特徴は、従属請求項に提供される。
【0164】
本明細書の本文全体において引用されている全ての刊行物及び特許(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、説明書などを含む)は、上記であっても下記であっても、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が先発明によってこのような開示に先行する権利を有しないことを承認するものとして解釈すべきではない。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾又は一致しない限り、本明細書は、いかなるこのような資料よりも優先される。
【0165】
本発明及びその利点のより適切な理解が以下の実施例から得られることになるが、本実施例は、例示目的でのみ提供される。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図されず、且つそのように解釈されてはならない。
【実施例0166】
1.臨床試験研究プロトコル
AMG420を持続IV(cIV)注入として4週間投与し、続いて2週間の治療休日があり、0.2μg/日~800μg/日の範囲で用量を段階的に増加させた。単一の患者コホート(0.2μg/日-0.4μg/日-0.8μg/日-1.6μg/日)後に3~6の患者のコホート(3.2μg/日-6.5μg/日-13μg/日-25μg/日-50μg/日-100μg/日-200μg/日-400μg/日-800μg/日)が続いた。全体で13の用量コホートが完了した。治療は、最大5回の4週間オン/2週間オフのサイクルで継続された。臨床的利益が認められた場合、更に5サイクルが与えられた。適格な患者は、18歳以上であり、3つ以上の前治療ライン(1つ以上のプロテアソーム阻害剤及び1つ以上の免疫調節薬=IMiDの両方を含む)後に再発/難治性のMM及び進行があった。この研究に関して、MRD奏効は、cytIgλ、cytIgκ、CD19、CD56又はCD138、CD38及びCD45に対する抗体を使用して、FACSあたり骨髄内の<1腫瘍細胞/10正常細胞として定義された。
【0167】
2.結果
35人の患者がAMG420を受けた(0.2~800μg/日)。平均(SD)年齢は、63.8(8.7)歳であり、中央値年齢は、65歳であり、最小最大年齢は、39-79歳であった。患者の22人(63%)は、男性であった。2人の患者は、10サイクルを完了した。35人の患者は、平均(SD)2.3(2.3)のサイクル及び中央値(最小-最大)1(1-10)サイクルで治療された。治療奏効者(n=8)は、平均(SD)6.8(4.5)のサイクル及び中央値(最小-最大)3.5(2-10)のサイクルで治療された。
【0168】
800μg/日を含むまで、抗AMG420抗体は、検出されず、400μg/日まで、用量制限毒性(DLT)は、観察されなかった。800μg/日のAMG420を受けた患者の3人のうちの2人がDLTを経験した:発熱、高血圧、頻脈及び逆行性健忘症の治療を開始してから1日以内にグレード3のサイトカイン放出症候群(CRS)を患っている1人の患者(薬物を止めた後に症状が解消した);並びに入院とその後の完全な回復を必要とするグレード3の多発性神経障害(PPN)を患っている1人の患者。後者の場合、Mタンパクは、15日間の治療後に60%減少した。
【0169】
IMWG奏効基準を使用して評価した場合、6人の患者が完全奏効(CR)を有した:1人の患者各々が6.5μg/日、100μg/日及び200μg/日並びに3人の患者が400μg/日;これらの最後の3人の患者の奏効は、継続していた(4.6か月以上)。2つの部分的な寛解もあった:50μg/日で1つの部分奏効(PR)及び800μg/日で非常に良好な部分奏効(VGPR)。奏効時間は、最大8サイクルであった:1人の患者は、サイクル3~10で部分奏効を示した。CRの6人の対象のうちの4人は、MRD陰性であった:1人の患者は、200μg/日で、且つ3人の患者は、全て400μg/日であった。追加の用量確認コホート(400μg/日)では、3人の患者のうちの2人がサイクル1の時点でPRを有した。従って、400μg/日の用量では、客観的奏効率(ORR)は、5/6であり;及び5人の患者全員が少なくとも2か月間(治療継続)~最大7カ月以上(治療継続)の治療で奏効していた。
【0170】
AMG420のcIV注入後、およそ2日で遊離定常状態濃度(Css)に達し、注入期間中安定したままであった。平均遊離AMG420Css値は、概ねAMG420の用量の増加とともに増加した。
【0171】
3.更新された結果
次の結果の更新には、上記の結果(項目2)が含まれ、臨床試験研究プロトコル(項目1)に記載されているようにAMG420で治療された更なる患者に関する情報が追加される。42人の患者がAMG420を0.2~800μg/日で受けた。年齢の中央値は、65歳であり、疾患期間の中央値は、5.2年であった。64%の患者は、男性であった。患者は、中央値(範囲)1(1-10)のサイクルで治療された。奏効者は、中央値(範囲)7(1-10)のサイクルで治療された。8人の患者は、5サイクルを完了し、その後、10サイクルを完了した(n=3)か、中止した(n=3)か、又は依然として治療中(n=2)であるかのいずれかである。いずれの患者からも抗AMG420抗体は検出されなかった。
【0172】
CR、PR及びVGPRは、IMWG奏効基準を使用して評価した。用量を段階的に増やす際、奏効は、6.5μg/日で始まることが明らかであった(この用量レベルで1つのCR)。50μg/日で1つのPR、100μg/日でCR及び200μg/日でMRD陰性CRがあった。400μg/日で、奏効率は、70%(7/10)であり、5つのMRD陰性CR(50%)、1つのVGPR及び1つのPRが含まれていた。従って、400μg/日の用量で、客観的奏効率(ORR)は、7/10(70%)であった。7人の患者全員が最初のサイクルで奏効し、一部の反応は、1年以上続いた。この用量での奏効は、少なくとも中央値9.0カ月(範囲、5.8~13.6+カ月)続き、2人の患者が治療を続けた。全体として、データカットオフ時、6人の患者がMRD陰性CR(1人は、200μg/日、5人は400μg/日)を有し、更に3人のCR(6.5、100及び800μg/日)、2人のVGPR(400及び800μg/日)及び2つのPR(50及び400μg/日)があった。任意の奏効までの時間の中央値は、1カ月であり、奏効患者13人のうちの11人(即ち100μg/日以上を受けている全ての奏効者)が最初のサイクルで応答した。最良の奏効は、サイクル1(n=4)、サイクル2(n=2)、サイクル3(n=5)又はフォローアップ(n=2)中に発生した。奏効は、少なくとも中央値8.4カ月(範囲、2.5~15.5カ月)続き、3人の患者で1年以上続いた:奏効は、7/13人の患者の最後の観察で続いていた。治療後のデータを有する3人の患者に関して、その奏効持続は、最後の観察時点で治療後最大11カ月間続いた。ある場合には、多発性神経障害の2週間後に治療を中止した患者は、ほぼ9カ月後にCRを発症した。MRD陰性奏効は、中央値9.6カ月(範囲、2.8~12.8カ月)続いた。奏効は、高リスクの細胞遺伝学を有する5/13の奏効者を含む全ての細胞遺伝学的リスクカテゴリーの患者で見られた。
【0173】
この研究において、800μg/日は、グレード3のサイトカイン放出症候群及びグレード3の多発性神経障害のため、許容できないと見なされたが、いずれも解決した。これらのDLTは、800μg/日で3人のうちの2人の患者に見られた。
【0174】
ベースラインの細胞表面のBCMA発現を調べると、BCMAは、全ての患者の骨髄腫細胞で発現しており、奏効状態による発現レベルの違いは見られなかった。また、ベースラインでBCMA陽性であった骨髄の形質細胞のパーセンテージ又は骨髄の骨髄腫細胞のパーセンテージについて、奏効者と非奏効者との間に差はなかった。
【0175】
完全奏効のためのIMWG奏効基準(http://imwg.myeloma.org/international-myeloma-working-group-imwg-uniform-response-criteria-for-multiple-myeloma/も参照されたい)は、
・血清及び尿に対する陰性Mタンパク免疫固定、
・軟部組織形質細胞腫の消失、及び
・骨髄中の5%未満の形質細胞
である。
【0176】
部分奏効についてのIMWG奏効基準は、以下である:
・Mタンパク電気泳動:血清Mタンパクが50%以上減少し、24時間で尿中Mタンパクが90%以上又は200mg/24時間未満まで減少する
・遊離軽鎖(FLC):血清及び尿Mタンパクが測定できない場合、Mタンパク基準の代わりに、関与するFLCレベル及び関与しないFLCレベルの差を50%以上減少させる必要がある
・血清及び尿Mタンパクが測定できず、無血清光アッセイも測定できない場合:ベースラインの骨髄形質細胞の割合が30%以上であった場合、Mタンパクの代わりに形質細胞を50%以上減少させる必要がある
・上記の基準に加えて、ベースラインに存在する場合、軟部組織の形質細胞腫のサイズを50%以上減少させることも必要である。
【0177】
非常に良好な部分奏効についてのIMWG奏効基準は、
・血清及び尿Mタンパクが免疫固定で検出できるが、電気泳動で検出できないか、又は血清Mタンパク+尿Mタンパクレベルの90%以上の減少が<100mg/24時間
である。
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の前記抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクト。
【外国語明細書】