(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164062
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】HVACシステムを用いる電気化学的発電装置を伴う電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器
(51)【国際特許分類】
B60L 58/24 20190101AFI20241119BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B60L58/24
B60H1/22 651A
B60H1/22 611C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024134187
(22)【出願日】2024-08-09
(62)【分割の表示】P 2022547249の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】20155848.3
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510010894
【氏名又は名称】ベレノス・クリーン・パワー・ホールディング・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ガシ,レジェプ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、流体が循環する電気化学的発電装置を伴う電気車両の熱エネルギー
を回収および調整するための機器を提供する。
【解決手段】車内を加熱/冷却する空調回路と、電気化学的発電装置、電気モータ、電子回路、および制動回路を加熱するための第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路、ならびに電気化学的発電装置、電気モータ、電子回路、および制動回路を冷却するための第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路を備える調整機器を備え、複数の弁を制御するための手段は、電気化学的発電装置、電気モータ、電子回路、および制動回路の温度に従って、加熱動作のために第1の加熱回路の中で空調回路から得られる流体の循環だけではなく、冷却動作のために第2の冷却回路の中で空調回路から得られる流体の循環も可能にするように配列される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的発電装置(1)を伴う電気車両の熱エネルギー回収および調整機器であって
、前記電気化学的発電装置(1)は、電池および燃料電池またはハイブリッドを備えるグ
ループから選ばれ、前記調整機器は、流体が循環する、前記車両の車内のHVACシステ
ムの空調回路を備え、前記空調回路は、少なくとも1つの外部凝縮器/蒸発器(2)と、
圧縮器(4)と、前記車内を加熱することを意図した内部凝縮器(6)と、前記内部凝縮
器(6)と前記外部凝縮器/蒸発器(2)の間に前記内部凝縮器(6)の下流に提供され
た第1の膨張開口部(8)と、前記車内を冷却することを意図した内部蒸発器(14)と
、前記外部凝縮器/蒸発器(2)と前記内部蒸発器(14)の間に前記内部蒸発器(14
)の上流に提供された第2の膨張開口部(12)とを備え、
前記熱エネルギー回収および調整機器は、前記流体が循環する、前記電気化学的発電装
置(1)の第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路と、前記電気化学的発電装置(1
)の第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路とを備え、前記電気化学的発電装置(1
)の第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路は、前記電気化学的発電装置(1)に関
連する熱伝達要素に前記流体を供給するための第1の導管(22)を備え、前記供給する
ための第1の導管(22)は、前記圧縮器(4)と前記内部凝縮器(6)の間に提供され
た第1の流出口、および前記内部凝縮器(6)と前記第1の膨張開口部(8)の間に提供
された第1の注入口に接続された、前記熱伝達要素から前記流体を放出するための第1の
導管(26)に接続され、前記電気化学的発電装置(1)の前記第2の冷却回路または熱
エネルギー回収回路は、前記電気化学的発電装置(1)に関連する前記熱伝達要素に前記
流体を供給するための第2の導管(30)を備え、前記流体を供給するための前記第2の
導管(30)は、前記第2の膨張開口部(12)と前記内部蒸発器(14)の間に提供さ
れた第2の流出口、および前記内部蒸発器(14)と前記圧縮器(4)の間に前記内部蒸
発器(14)の下流に提供された第2の注入口に接続された、前記熱伝達要素の第2の流
体放出導管(34)に接続され、複数の弁(24、28、32、20、36、38)は、
前記電気化学的発電装置(1)の前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路および
前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路のうち一方または他方と前記空調回路を
連通状態にすることができるように配列され、前記弁(24、28、32、20、36、
38)を制御するための手段は、前記電気化学的発電装置(1)の温度に従って前記電気
化学的発電装置(1)を加熱するために、または前記電気化学的発電装置(1)から加熱
熱エネルギーを回収するために、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路の中で
前記空調回路から得られる前記流体の循環を可能にするだけではなく、前記電気化学的発
電装置(1)を冷却するために、または前記電気化学的発電装置(1)から冷却熱エネル
ギーを回収するために、前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路の中で前記空調
回路から得られる前記流体の循環を可能にするように配列された熱エネルギー回収および
調整機器において、
前記電気化学的発電装置(1)に接続された前記第1の加熱回路または熱エネルギー回
収回路および前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路に両方とも接続された少な
くとも1つの電気モータ(5)および少なくとも1つの電子回路(7)、ならびに前記加
熱熱エネルギーまたは前記冷却熱エネルギーを回収するように適合された少なくとも前記
電気モータ(5)および少なくとも前記電子回路(7)をさらに備えることを特徴とする
熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項2】
少なくとも前記電気モータ(5)および少なくとも前記電子回路(7)は、前記第1の
加熱回路または熱エネルギー回収回路、または前記第2の冷却回路または熱エネルギー回
収回路に接続された前記電気化学的発電装置(1)と並列に回路の中に配列されることを
特徴とする、請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項3】
少なくとも前記電気モータ(5)および少なくとも前記電子回路(7)は、前記第1の
加熱回路または熱エネルギー回収回路、または前記第2の冷却回路または熱エネルギー回
収回路に接続された前記電気化学的発電装置(1)と直列に回路の中に配列されることを
特徴とする、請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項4】
少なくとも前記電気モータ(5)および少なくとも前記電子回路(7)は、流体などの
液体が循環する導管により接続されながら前記電気化学的発電装置(1)と直列に回路の
中に配列されること、前記熱エネルギー回収および調整機器は、前記液体を循環させるた
めのポンプ(13)と、前記電気化学的発電装置(1)、前記電気モータ(5)、および
前記電子回路(7)を備える組立体の注入口で前記液体を受け取るガス-液体熱交換器(
11)とをさらに備えること、ならびにガス状流体を受け取る前記交換器の前記外部注入
口で、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路、または前記第2の冷却回路また
は熱エネルギー回収回路への接続が行われることを特徴とする、請求項1に記載の熱エネ
ルギー回収および調整機器。
【請求項5】
制動中にだんだん熱くなることができる抵抗器を伴う、前記車両の制動回路(9)を備
え、前記抵抗器は、前記熱エネルギーを回収するために前記第1の加熱回路または熱エネ
ルギー回収回路、または前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路と接続した状態
で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項6】
少なくとも前記電気モータ(5)、少なくとも前記電子回路(7)、および前記制動回
路(9)は、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路、または前記第2の冷却回
路または熱エネルギー回収回路に接続された前記電気化学的発電装置(1)と並列に回路
の中に配列されることを特徴とする、請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器
。
【請求項7】
少なくとも前記電気モータ(5)、少なくとも前記電子回路(7)、および前記制動回
路(9)は、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路、または前記第2の冷却回
路または熱エネルギー回収回路に接続された前記電気化学的発電装置(1)と直列に回路
の中に配列されることを特徴とする、請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器
。
【請求項8】
少なくとも前記電気モータ(5)、少なくとも前記電子回路(7)、および前記制動回
路(9)は、流体などの液体が循環する導管により接続されながら前記電気化学的発電装
置(1)と直列に回路の中に配列されること、前記熱エネルギー回収および調整機器は、
前記液体を循環させるためのポンプ(13)と、前記電気化学的発電装置(1)、前記電
気モータ(5)、および前記電子回路(7)を備える組立体の注入口で前記液体を受け取
るガス-液体熱交換器(11)とをさらに備えること、ならびにガス状流体を受け取る前
記交換器の前記外部注入口で、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路、または
前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路への接続が行われることを特徴とする、
請求項1に記載の熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項9】
前記制動回路(9)は事実上、前記車両の制動のトリガに続いて電流が通過する抵抗器
を備え、前記抵抗器は、前記制動中にだんだん熱くなり、前記車内または前記電気化学的
発電装置(1)を加熱するための熱エネルギーを提供するために、前記抵抗器を取り囲む
ガス状または液状の流体を加熱することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記
載の熱エネルギー回収および調整機器。
【請求項10】
4つの牽引電気モータ(5)を、前記車両の各車輪の中に1つの前記モータを備え、よ
り正確な熱エネルギーを前記制動回路から回収しながら前記車輪ごとに安全で独立した制
動を達成できるようにすることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の熱エ
ネルギー回収および調整機器。
【請求項11】
前記制動回路(9)は、各前記電気モータ(5)と共に前記車両の各前記車輪に搭載さ
れることを特徴とする、請求項10に記載の熱エネルギー回収および調整機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HVACシステムを用いる、電池、燃料電池、またはハイブリッドなどの電
気化学的発電装置を伴う電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器に関す
る。熱エネルギーを回収および調整するための機器は、流体が循環する、車両の車内用H
VAC(heating-ventilation-air-conditioning
-cooling、暖房、換気、空調、冷房)システムの空調回路を備え、上記空調回路
は、少なくとも1つの外部凝縮器-蒸発器、圧縮器、車内を加熱することを意図した内部
凝縮器、内部凝縮器と外部凝縮器/蒸発器の間に内部凝縮器の下流に提供された第1の膨
張開口部、車内を冷却することを意図した内部蒸発器、および外部凝縮器/蒸発器と内部
蒸発器の間に内部蒸発器の上流に提供された第2の膨張開口部を備える。
【背景技術】
【0002】
そのような機器は当業者に公知であり、詳細には大量の電気を消費する加熱要素を伴う
電気加熱システムを置換するために電気車両またはハイブリッド車両で使用される。HV
ACシステムはまた、夏に空調に変わるという有利な点を有する。HVACシステムは、
車両の電気エネルギー消費を最適化しながら車両の車内の温度を調整するのに最も効果的
である。その結果、HVACシステムは、自身の到達範囲を拡大できるようにする。
【0003】
さらに電気車両またはハイブリッド車両の到達範囲を拡大するために、電気化学的発電
装置の温度を調整することにより電気化学的発電装置のエネルギー効率を最適化すること
もまた求められる。これは、温度が電気化学的発電装置の機能性に大きく影響を及ぼすた
めであり、電気化学的発電装置は、その温度が高すぎるときに冷却しなければならず、そ
の温度が低すぎるときに加熱しなければならない。詳細には、冬には、電気化学的発電装
置の温度が過度に低いことにより、車両の到達範囲が半分だけ低減されることがあるよう
に非常に大きな効率低下が生じる。さらには、電気化学的発電装置が電池であるとき、電
池の充電時間の関数としての充電状態の曲線は、充電時間が温度と共に増大することを示
す。その上、充電中に温度が上昇するので、充電時間は、80%の充電に到達するのに比
較的短時間であるが、次いで100%の充電に到達するのに非常に時間がかかる。
【0004】
これに関して、特許であるスイス国特許発明第711726(B1)号明細書は、以下
で従来技術として詳細に説明するように、
図1~
図5に示すように電気車両の電池もしく
は燃料電池またはイブリッドなどの電気化学的発電装置の温度を調整するための機器につ
いて記述している。
【0005】
たとえば
図1を参照すると、電気車両またはハイブリッド車両の電気化学的発電装置の
温度を調整するための機器は、車両の車内のためにHVACシステムの空調回路を備える
。この
図1は、たとえば車両が停止した状態で充電中の電池を加熱するための方法を示す
。
【0006】
より詳細には、空調回路は、第1のループの中で流体が循環する方向に、一般に車両の
前面に位置する外部凝縮器/蒸発器2、アキュムレータ3、好ましくは高速の圧縮器4、
車内を加熱することを意図した凝縮器6、および内部凝縮器6と外部凝縮器/蒸発器2の
間に内部凝縮器の下流に提供された第1の膨張開口部8を備える。第1の膨張開口部8の
所に内部凝縮器6と外部凝縮器/蒸発器2の間にバイパス10を提供する。第2のループ
は、外部凝縮器/蒸発器2と内部蒸発器14の間に内部蒸発器14の下流に提供された、
車内を冷却することを意図した第2の膨張開口部12を備える。空調ユニットの送風器1
6は、内部蒸発器14の所に提供される。冷媒ガスなどの冷却する流体が循環する導管に
よりさまざまな要素を一緒に接続する。第1のループ内の、または第2のループおよびバ
イパス内の循環は、一組の弁18、20、21、28、32、36、38を用いて制御さ
れる。弁18および20は、第1のループと第2のループの交点に提供され、弁21は、
第1の膨張開口部8の上流にある第1のループとバイパス10の交点に提供される。これ
らの弁は、たとえば少なくとも4方向を有する弁20を除き、たとえば少なくとも3方向
を有するソレノイド弁である。
【0007】
この実施形態では、導管内のガス状流体の循環は、車両が停止した状態で充電中の電池
を加熱するこの方法に関してより太い線により
図1に示されていることに留意されたい。
同じことは、次の
図2~
図5に当てはまる。
【0008】
調整機器は、空調回路内と同じ流体が循環できる、電気化学的発電装置1を加熱するた
めの第1の回路をさらに備える。電気化学的発電装置を加熱するための第1の回路は、流
体が循環する方向に、電気化学的発電装置1に関連する熱伝達要素に流体を供給するため
の第1の導管22を備える。第1の供給導管22は、3方向弁24を用いて圧縮器4と内
部凝縮器6の間に提供された第1の流出口、および熱伝達要素から流体を放出するための
第1の導管26に接続される。第1の放出導管26は、3方向弁28を用いて内部凝縮器
6と第1の膨張開口部8の間に提供された第1の注入口に接続される。
【0009】
調整機器は、空調回路内と同じ流体が循環できる、電気化学的発電装置1を冷却するた
めの第2の回路をさらに備える。電気化学的発電装置1を冷却するための第2の回路は、
流体が循環する方向に、電気化学的発電装置1に関連する熱伝達要素に流体を供給するた
めの第2の導管30を備える。第2の供給導管30は、3方向弁32を用いて第2の膨張
開口部12と内部蒸発器14の間に提供された第2の流出口、および熱伝達要素から流体
を放出するための第2の導管34に接続される。第2の放出導管34は、4方向弁から構
成される弁20を用いて、内部蒸発器14と圧縮器4の間に内部蒸発器14の下流に提供
された第2の注入口に接続される。
【0010】
この明細書では、一般に空調に関して主として第2の膨張開口部12(減圧弁)をガス
が通過することに関係することがある場合でさえ、空調回路は第1の加熱回路および第2
の冷却回路を備えることを理解しなければならないことに留意されたい。第1の加熱回路
および第2の冷却回路は、一方を他方の中にはめ込み、これらの回路の機能を果たすため
の制御手段によりさまざまな弁を制御することに依存する。
【0011】
電気化学的発電装置1の熱伝達要素に流体を供給する第1の導管22および第2の導管
30は、3方向弁36だけにより上記熱伝達要素に接続される。同様に、熱伝達要素から
流体を放出する第1の導管26および第2の導管34は、3方向弁38だけにより上記熱
伝達要素に接続される。熱伝達要素への別個の独立した接続を提供することもまた可能で
ある。熱交換を容易にするために弁36、38と電気化学的発電装置1の間に交換器を提
供することもまた可能である。
【0012】
弁24、28、32、および20は、電気化学的発電装置1の第1の加熱回路および第
2の冷却回路のうち一方または他方と空調回路を連通状態にすることができるように配列
された弁を構成する。
【0013】
調整機器は、電気化学的発電装置1の温度に従って電気化学的発電装置1の温度を調整
するように、電気化学的発電装置1を加熱するために第1の加熱回路の中で空調回路の流
体の循環を、および/または電気化学的発電装置1を冷却するために第2の冷却回路の中
で空調回路の流体の循環を可能にするように配列された弁24、28、32、20、36
、および38を制御するための手段を備える。
【0014】
空調回路の弁を制御するための他の手段は、電気化学的発電装置の温度の調整に加えて
車内の温度を調整するために、上記弁18、20、および21を機能させるために提供さ
れる。
【0015】
制御手段は、車両が停止しているか移動しているかどうかに応じて求められる効果に従
って、ならびに電池または燃料電池があることに従って弁を作動させるために、電気化学
的発電装置1の温度センサに関連づけられる。
図1~
図5によれば、本実施形態での導管
内のガス状流体の循環をより太い線により示す。
図1は、車両が停止している状態で充電
中の電池1に関する加熱モードを示す。
図2は、車両が停止している状態で充電中の電池
1に関する冷却モードを示す。
図3は、車両が移動している状態で車内の加熱モードおよ
び電池1の加熱を示す。
図4は、車内を空調し、かつ電池1を冷却するためのモードを示
し、車両は移動している。最後に
図5は、車内を加熱し、かつ電池1を冷却するためのモ
ードを示し、車両は移動している。
【0016】
より詳細には、車両が停止したとき、弁を制御するための手段、圧縮器4、およびすべ
ての電子構成要素は、主管上で機能するように配列され、車両は主管に接続される、また
は接続されない。
【0017】
弁を制御する手段は、車両が停止したときに車内の温度調整に関して内部凝縮器6およ
び内部蒸発器14を非動作状体にするように配列され、その結果、電池の加熱モードまた
は冷却モードだけが動作状態にある。
【0018】
外部温度が低いとき、車両の始動を容易にするために電池または燃料電池を加熱する必
要があるだけではなく、電池の充電の効率を改善するために電池を加熱する必要もある。
車両が停止した、電気化学的発電装置1に関する加熱モードの場合、および電池が充電中
の可能性がある場合、
図1によれば、冷気Aと接触している外部凝縮器/蒸発器2を通過
する流体は、弁18および20を介してアキュムレータ3に向けて、次いで流体が圧縮さ
れ、したがって加熱される圧縮器4の中に、次いで弁24を介して電気化学的発電装置の
加熱回路に供給する第1の導管22の中に送られ、弁36を介して電気化学的発電装置1
の熱伝達要素まで流れるように、弁を制御する手段を配列する。流体は、通過する間に熱
伝達要素を再加熱し、それにより電気化学的発電装置1を加熱する。次いで流体は、弁3
8を介して電気化学的発電装置1の加熱回路の第1の放出導管26の中を循環し、弁28
、21を介して空調回路を連結し、第1の膨張開口部8を通過することにより外部凝縮器
/蒸発器2に復帰する。このモードでは、内部凝縮器6および蒸発器14は活動していな
い。
【0019】
電気化学的発電装置を冷却しなければならないほど外気が過度に熱いことが原因で始動
時に電気化学的発電装置が熱すぎる場合、または充電時に電池が熱すぎる場合、弁を制御
するための手段は、電気化学的発電装置冷却モードに入るように配列され、車両は停止し
ている。電池の場合、上記電池は、
図2によれば充電中であってよい。弁を制御する手段
はこの場合、暖気Bと接触している外部凝縮器/蒸発器2を通過している流体が弁18を
介して電気化学的発電装置の冷却回路に供給する第2の導管30、流体が冷却される第2
の膨張開口部12、および弁32に向けて弁36を介して電池1の熱伝達要素まで循環す
るように配列される。流体は、通過するときに熱伝達要素を冷却し、それにより電気化学
的発電装置1を冷却する。次いで流体は、弁38を介して冷却回路の第2の放出導管34
の中を流れ、流体が圧縮されるアキュムレータ3および圧縮器4を通過するために、弁2
0を介して空調回路を、弁24を介して内部凝縮器6を連結し、上記内部凝縮器は、密閉
装置40を用いて車内の調整に関して非動作状態になる。次いで流体は、弁21および2
8を介してバイパス10の中を流れ、次いで第1の膨張開口部8を通過することなく外部
凝縮器/蒸発器2に復帰する。このモードでは、内部凝縮器6および蒸発器14は、車内
の温度の調整に関して活動状態にない。
【0020】
電気化学的発電装置が電池であるとき、弁を制御する手段は、できるだけ短い時間で電
池を充電するために、電池が最適充電温度に到達するまで電池を加熱するために第1の加
熱回路の中で流体を循環できるようにするように、ならびに最適充電温度に復帰するよう
に電池を冷却するために第2の冷却回路の中で空調回路の流体を循環できるようにするよ
うに配列される。この場合、弁を制御するための手段は、できるだけ短い時間で電池を充
電するために、維持すべき電池の最適温度に従って自動的に、
図1に従って、車両が停止
し、かつ電池が充電中の電池加熱モードから、
図2に従って、車両が停止し、かつ電池が
充電中の電池冷却モードに進むように配列され、逆も同様である。電池に関する最適充電
温度は、5℃~25℃の間であってよい。
【0021】
上記で記述するさまざまな事例では、弁を制御する手段は、人間がまったく活動するこ
となく自動的に管理される。この手段は、詳細には電池の温度を理想的充電温度に維持す
るために使用される。
【0022】
車両が停止しているとき、車内の温度を調整するために電気化学的発電装置1により供
給される熱エネルギーを使用することが可能である。その結果、電池を十分に加熱して、
車内を加熱するために電池の充電中に電池が発する熱から利益を得るために、または電池
を十分に冷却して、車内を冷やすために電池の充電中に電池が発する冷気から利益を得る
ために、電池充電時間をプログラムすることが可能である。この場合、弁を制御する手段
は、車両が停止しているときに内部凝縮器6および内部蒸発器14の機能性を可能にする
ように、かつ電気化学的発電装置1の温度に加えて車内の温度を調整するように配列され
る。その結果、車内の温度は、ユーザが車両を始動するために車両の中に座るときに快適
である。
【0023】
車両が移動しているとき、弁を制御する手段および圧縮器4は、電気化学的発電装置に
対して機能するように配列される。
【0024】
別の変形形態によれば、弁を制御する手段は、車両が移動しているときに内部凝縮器6
および内部蒸発器14の機能性を可能にするように、かつ電気化学的発電装置の温度に加
えて車内の温度を調整するように配列される。
【0025】
より具体的には、外の温度が低いとき、弁を制御する手段は、
図3に示すように、HV
ACシステムを車内加熱モードに変更するように、かつ車両が移動しているときに車内お
よび電気化学的発電装置を加熱するために電気化学的発電装置の第1の加熱回路の中で空
調回路の流体の循環を可能にするよう配列される。車内および電気化学的発電装置を加熱
するためのモードのこの事例では、弁を制御する手段は、冷気Aと接触している凝縮器/
蒸発器2を通過している流体が、弁18および20を介してアキュムレータ3に向けて、
次いで圧縮器4の中を流れるように配列され、圧縮器4で流体は圧縮され、したがって加
熱され、次いで弁24を介して最初に電気化学的発電装置の加熱回路に供給する第1の導
管22の中に、弁36を介して電気化学的発電装置1の熱伝達要素まで、次に凝縮器6の
中に送られる。空調ユニットの送風器16は、Cに入る冷気が、車内を加熱するために車
内の中に送られる前に内部凝縮器6を通過することにより加熱されるように利用できるよ
うに配列される。次いで流体は、外部凝縮器/蒸発器2の方向に再度出発し、第1の膨張
開口部8を通過する。電気化学的発電装置の加熱回路で流体は、熱伝達要素を再加熱し、
それにより電気化学的発電装置1を加熱する。次いで流体は、弁38を介して電気化学的
発電装置の加熱回路の第1の放出導管26の中を流れ、弁28および21を介して空調回
路に連結し、第1の膨張開口部8を通過することにより外部凝縮器/蒸発器2に復帰する
。このモードでは、内部凝縮器6は、車内の温度の調整に関して活動状態にある。このモ
ードでは、調整機器は、一方では車内を暖めるために、他方ではより良好な有効性を確実
にするように車内を最適温度に維持するために電気化学的発電装置を加熱するために、熱
を作り出すことができるようにする。
【0026】
車両が移動しているとき、たとえば牽引動力荷重が非常に高い、または外気が熱すぎる
ことが原因で電気化学的発電装置が熱くなりすぎるようになり、その結果、電気化学的発
電装置を冷却しなければならない場合、弁を制御する手段は、HVACシステムを車内空
調モードに移行させるように配列される。さらにはこれにより、
図4に従って、車内およ
び電気化学的発電装置を冷却するために電気化学的発電装置の第2の冷却回路の中で空調
回路の流体が循環できるようにすることが可能になる。弁を制御する手段は次いで、熱気
Bと接触している外部凝縮器/蒸発器2を通過する流体が、弁18を介して、流体が冷却
される第2の膨張開口部12に、次いで弁32に向けられるように配列され、弁32で流
体は、最初に電気化学的発電装置の冷却回路に供給する第2の導管30に向けて弁36を
介して電気化学的発電装置1の熱伝達要素まで、次に内部蒸発器14に向けて分割される
。空調ユニットの送風器16は、Dに入る熱気が、車内を冷却するために車内の中に送ら
れる前に内部蒸発器14を通過することにより冷却されるように利用できるように配列さ
れる。次いで流体は再度、弁20を介して空調回路の中に動く。電気化学的発電装置1の
冷却回路と共に、流体は、電気化学的発電装置1を冷却した後、弁38を介して冷却回路
の第2の放出導管34の中を流れ、内部蒸発器14から得られる流体を用いてアキュムレ
ータ3、流体が圧縮される圧縮器4、および弁24を介して内部凝縮器6を通過するため
に弁20を介して空調回路に再結合し、上記内部凝縮器は、密閉装置40を用いて車内の
調整に関して非動作状態になる。次いで流体は、弁21および28を介してバイパス10
の中を流れ、次いで第1の膨張開口部8を通過することなく外部凝縮器/蒸発器2に復帰
する。このモードでは調整機器は、一方では車内を冷却するために、他方ではより良好な
有効性を確実にするために車内を最適温度に維持するために電気化学的発電装置を冷却す
るために、冷気を作り出すことができるようにする。
【0027】
車両が移動しているときに、たとえば集中的に機能することが原因で電気化学的発電装
置が熱くなりすぎるようになり、その結果、電気化学的発電装置を冷却しなければならな
いが、外気は冷たく、車内を暖めなければならない場合、弁を制御する手段は、HVAC
システムを車内加熱モードに移行させ、
図5に従って、車内を加熱して電気化学的発電装
置を冷却するために電気化学的発電装置の第2の冷却回路の中で空調回路の流体を循環さ
せることができるようにするように配列される。弁を制御する手段は次いで、冷気Aと接
触している外部凝縮器/蒸発器2を通過する流体が、弁18を介して、最初に直接に弁2
0に、次に流体が冷却される第2の膨張開口部12に、次いで弁32を介して電気化学的
発電装置の冷却回路に供給する第2の導管30の中に、弁36を介して電気化学的発電装
置1の熱伝達要素まで向けられるように配列される。流体は、電気化学的発電装置1を冷
却した後、弁38を介して冷却回路の第2の放出導管34の中を流れ、弁18から直接得
られる流体を用いて、弁24を介してアキュムレータ3、流体が圧縮される圧縮器4、お
よび内部凝縮器6を通過するために、弁20を介して空調回路に再結合する。空調ユニッ
トの送風器16は、Eに入る冷気が、車内を暖めるために車内の中に送られる前に、内部
凝縮器6を通過する間に加熱されるように利用できるように配列される。次いで流体は、
弁21を介して第1の膨張開口部8を通過し、外部凝縮器/蒸発器2に復帰する。このモ
ードでは、調整機器は、一方では車内を加熱するために熱を作り出すことを、他方では最
高の有効性を確実にするために電気化学的発電装置を最適温度に維持するように電気化学
的発電装置を冷却するために冷気を作り出すことを可能にし、電気化学的発電装置により
作り出された熱は、車内を加熱するために使用される。
【0028】
自動車が移動している場合に温度を調整するためのこれら3つのモードでは、弁を制御
する手段は半自動的に管理され、ユーザは、車内の温度を調整するためにHVACシステ
ムを加熱モードまたは車内空調モードに移行させるために活動し、電気化学的発電装置の
温度は、温度センサを用いて自動的に制御される。
【0029】
特許である米国特許第10,168,079(B2)号明細書は、詳細には電池用の冷
凍サイクルを伴う機器について記述している。しかしながら、たとえば電池を加熱もしく
は冷却するために車両要素から熱エネルギーを回収するための備えも、車両の車内のため
の備えもない。さらには非常に酷似したガス-空気交換器だけを空調回路で使用し、電池
の温度を正確に調整する可能性はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】スイス国特許発明第711726(B1)号明細書
【特許文献2】米国特許第10,168,079(B2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明の目的は、詳細には公知の電気車両またはハイブリッド車両に装備する電気化学
的発電装置のさまざまな欠点を克服すること、ならびにそのような車両の全体効率を最適
化し、熱損失を車内の中の温度を調整するための実際的なエネルギーに変換するために、
熱エネルギーを回収および調整するために加熱回路または冷却回路の中で車両の少なくと
も1つの電気モータおよび少なくとも1つの電子制御回路ならびに電気化学的発電装置を
さらにまた接続するために備えることである。
【0032】
より詳細には、本発明の目的は、電池もしくは燃料電池またはハイブリッドなどの電気
化学的発電装置を伴う電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器を提供す
ることであり、HVACシステムは、詳細には電気化学的発電装置のエネルギー効率を最
適化するために電気化学的発電装置に関する熱エネルギーの回収を可能にする。車両の到
達範囲を拡大するために、電気化学的発電装置、またはさらに制動エネルギーに関連して
少なくとも電気モータおよび少なくとも電子制御回路のために、加熱または冷却の熱エネ
ルギーの回収もまた提供される。
【0033】
電気化学的発電装置が電池であるとき、本発明の別の目的は、充電時間を最適化するた
めに、かつ充電時間をできるだけ短くするために、電池を充電するときに、熱エネルギー
を回収するための機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
このために、本発明は、独立請求項1の特徴を備える、電気化学的発電装置を伴う電気
車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器に関する。
【0035】
熱エネルギー回収および調整機器の特定の実施形態は、従属請求項2~11で規定され
る。
【0036】
その結果、本発明の熱エネルギー回収および調整機器は、車両の到達範囲を拡大するた
めに、電気牽引モータおよび電気制御回路に関連して電気化学的発電装置のエネルギー効
率を最適化可能にする。さらには電気化学的発電装置が電池であるとき、本発明の熱エネ
ルギー回収および調整機器は、電池充電時間をできるだけ短くすることにより電池充電時
間を最適化可能にする。
【0037】
熱エネルギー回収および調整機器の1つの有利な点は、電池を伴う加熱回路または冷却
回路に電子制御牽引モータを接続し、それによりどんな熱エネルギーの損失も回避して、
電池をもう一回充電する前に車両の到達範囲が拡大することを提供することを保証すると
いう事実にある。
【0038】
本発明の他の特徴および有利な点は、例証する限定しない簡単な例として示す本発明の
さまざまな実施形態、および添付図面に関する以下の記述を読むと、より明確に明らかに
なるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】車両が静止し電池が充電中の電気車両の電気化学的発電装置の温度を調整するための、従来技術の機器の概略図を示す。
【
図2】車両が静止し電池が充電中の電気車両の電気化学的発電装置の温度を調整するための、従来技術の機器の概略図を示す。
【
図3】車両が移動中の電気車両の電気化学的発電装置の温度を調整するための、従来技術の機器の概略図を示す。
【
図4】車両が移動中の電気車両の電気化学的発電装置の温度を調整するための、従来技術の機器の概略図を示す。
【
図5】車両が移動中の電気車両の電気化学的発電装置の温度を調整するための、従来技術の機器の概略図を示す。
【
図6】本発明による、電気化学的発電装置を備える電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器の第1の実施形態の概略図を示す。
【
図7】本発明による、電気化学的発電装置を備える電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器の第2の実施形態の概略図を示す。
【
図8】本発明による、電気化学的発電装置を備える電気車両の熱エネルギーを回収および調整するための機器の第3の実施形態の概略図を示す。
【
図9】本発明による、制動回路のモータが熱エネルギーを回収し、電気化学的発電装置を直接充電するための、電気モータ、電子機器、電気化学的発電装置、および制動回路の配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書では、電気化学的発電装置という用語は、電気ハイブリッド車両で使用する電
池および燃料電池を指し、図では電池または燃料電池について区別せずに参照番号1によ
り示す。さらには熱エネルギー回収および調整機器は、従来技術の
図1~
図5を参照して
記述するように電気化学的発電装置用の温度調整機器の代わりに規定される。
【0041】
本発明の電気化学的発電装置を伴う車両の熱エネルギー回収および調整機器は、従来技
術で前述の
図1~
図5を参照して記述したものと同一の空調回路を備える。このため、上
記機器および前述の
図1~
図5により例示するさまざまな実施形態の構成要素すべてにつ
いて全体を繰り返すわけではない。空調回路に関する機器のさまざまな構成要素の機能性
に関係するあらゆることは同一であり、繰り返さない。空調回路の機器の加熱回路または
冷却回路に関係する新規の構成要素だけについて詳細に記述し、機器の別の構成要素にエ
ネルギーを供給するためにエネルギーを回収する新規の構成要素の能力について詳細に記
述する。本発明の重要性は、動作中に、容易に認識できるほど熱エネルギーを損失するこ
となく、たとえば電気車両の車内を加熱または冷却するために加熱回路または冷却回路に
接続された、ある種の構成要素の加熱または冷却の熱エネルギーを使用できることである
。
【0042】
図6は、車両の車内のHVACシステムの空調回路を備える、電気化学的発電装置1を
伴う車両の新規の熱エネルギー回収および調整機器の第1の実施形態を示す。たとえば、
図6の実施形態、原理上は
図5と同等の第1の実施形態によれば、車内を加熱して電気化
学的発電装置1を冷却するための方法が提示され、少なくとも1つの電気モータ5および
少なくとも1つの電子回路7または電子設備を伴う。しかしながら、
図6ではすべての構
成要素について、電気化学的発電装置1と併せて少なくとも電気モータ5および少なくと
も電子回路7の新規な配列で記述する。1つまたは複数の電気モータ5は、車両の牽引用
であるのに対して、電子回路7は、1つまたは複数の電気モータ5を制御するように働く
。
【0043】
したがって、
図1~
図5を参照して記述するように、上記空調回路は、流体が循環する
、車両の車内のHVACシステムの空調回路を備える。流体、たとえば冷却ガスなどの冷
却剤は、詳細にはさまざまな導管の中を循環する。この空調回路は、一般に車両の前面に
位置する少なくとも1つの外部凝縮器/蒸発器2と、好ましくは高速の圧縮機4と、車内
を加熱するための内部凝縮器6と、内部凝縮器6と外部凝縮器/蒸発器2の間に内部凝縮
器6の下流に提供された第1の膨張開口部8と、車内を冷却するための内部蒸発器14と
、外部凝縮器/蒸発器2と内部蒸発器14の間に内部蒸発器14の上流に提供された第2
の膨張開口部12とを備える。
【0044】
熱エネルギー回収および調整機器はまた、上記流体が循環する、詳細には電気化学的発
電装置1を加熱するための第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路および詳細には電
気化学的発電装置1を冷却するための第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路を備え
る。本発明によれば、
図6のこの第1の実施形態では、空調回路および電気化学的発電装
置1と併せて少なくとも1つの電気モータ5、たとえば車両用牽引モータもまた提供され
、たとえば1つまたは複数の電気モータを制御するための少なくとも1つの電子回路7が
提供される。電子回路7または電子設備は、1つまたは複数のモータ5を制御する電子機
器だけではなく、制動回路または他の構成要素と併せて、弁を制御する手段、1つまたは
複数の温度センサの制御手段、DC-DC変換手段、電池を充電するための制御手段にも
関係する。
【0045】
1つまたは複数の電気モータ5および少なくとも電子回路7もまた、電気化学的発電装
置1のように熱の加熱または冷却エネルギーを回収するために使用される。1つまたは複
数の電気モータ5および少なくとも電子回路7は、以下で説明するように、第1の加熱回
路または第2の冷却回路と併せて電気化学的発電装置1と並列に回路の中に配列される。
これは、各要素の温度を別個に測定することが可能なため理想的な構成であり、それによ
り1つまたは複数のモータ5、電子回路7、または電気化学的発電装置1から熱エネルギ
ーを回収することにより、加熱動作または冷却動作のために明確に区別して適応できるよ
うになる。
【0046】
さらにまた制動回路9も提供でき、1つまたは複数の電気モータ5、電子回路または汎
用電子機器7,および電気化学的発電装置1と並列に接続される。この制動回路9は事実
上、ディスクブレーキにより、または電気モータ5による制動により車両の制動をトリガ
することに従って電流が通過する抵抗器を備える。
図6で記号的に示す電線により接続さ
れた抵抗器は、制動中にだんだん熱くなり、抵抗器を取り囲むガスまたは液体を加熱する
。このガスおよび液体は、第1の加熱回路または第2の冷却回路の導管の中を運ばれ、電
池1を通り1つまたは複数の電気モータ5およびすべての電子機器7の所を流れる。熱エ
ネルギーが事実上供給され、車内に実際的な加熱エネルギーを提供するために加熱回路ま
たは冷却回路の一方で熱エネルギーを運ぶことが可能になる。この熱エネルギーはまた、
電気化学的発電装置1を加熱するように働くことができる。
【0047】
高速の電気車両が存在するとき、1つまたは複数の電気モータ5に伴う緊急制動により
モータの中を過度に強い電流が通過するので、電気化学的発電装置1を直接に充電できな
くなる。
図9に概略的に示すように、なによりもまず電子機器7を通過することにより電
気抵抗器9の中にエネルギーを移すことが可能である。2本の電力電線は、1つまたは複
数のモータ5の出力および電子回路7の入力の所で接続され、それにより2本の電線によ
り制動回路9の抵抗器の2本の電線を出力として接続する。熱エネルギーは、HVACシ
ステムおよび第1の加熱回路または第2の冷却回路に接続された制動回路9の出力で回収
される。1つまたは複数のモータ5で出力が低下するとき、その瞬間、電子機器7を通過
する、1つまたは複数のモータ5からの電力出力で電気化学的発電装置1の充電を開始で
きる。その結果、熱または電気の制動エネルギーの100%を回収して電気化学的発電装
置1を充電可能にする、油圧ブレーキなしの車両を想像できる。したがって、電気エネル
ギーまたは熱エネルギーは失われず、電気化学的発電装置1を充電または加熱するための
実際的なエネルギーを構成する。
【0048】
4つの電気モータ5を想像でき、すなわち車両の各車輪に1つのモータがあり、車輪ご
とに非常に安全で独立した制動を実現させる。制動回路9は、各電気モータ5を備える、
車両の各車輪に搭載されてよい。
【0049】
図6~
図8での導管の中のガス状流体などの流体の循環については、
図5については第
2の冷却導管に関してだけ例示されていることに留意されたい。流体の循環をより太い線
で示す。しかしながら、第1の加熱回路または加熱熱エネルギー回収回路の一部について
以下でさらにまた記述する。
【0050】
電気化学的発電装置1、および電子回路7またはさらには制動回路9の少なくとも電気
モータ5を加熱するための第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路は、第1の流体供
給導管22を備える。第1の流体供給導管22は、電気化学的発電装置1に関連する熱伝
達要素に、ならびに少なくともモータ5および少なくとも電子回路7の、さらには制動回
路9の導管の一部分に流体をもたらす。第1の加熱回路または加熱熱エネルギー回収回路
はまた、熱伝達要素から、および少なくともモータ5および電子回路7の導管部分から流
体を放出するための第1の導管26を備える。第1の流体放出導管26は、熱凝縮器6と
第1の膨張開口部8の間で3方向戻し弁28の第1の注入口に接続される。
【0051】
第1の供給導管22は、圧縮器4と熱凝縮器6の間に提供される第1の3方向弁24の
第1の流出口に、および第2の4方向弁36の第1の注入口に接続される。流体は、第2
の弁36の第1の流出口から電気化学的発電装置1に関連する熱伝達要素に、ならびに第
2の弁36の第2の流出口から第1の相補的4方向弁37の注入口に運ばれる。この第1
の相補的弁37の第1の流出口は、少なくとも電気モータ5の導管部分に接続されるのに
対して、第1の相補的弁37の第2の流出口は、少なくとも電子回路7の導管部分に接続
され、第1の相補的弁37の第3の流出口は、電気化学的発電装置1、1つまたは複数の
電気モータ5、および電子回路7と並列に置かれた制動回路9に接続される。少なくとも
電気モータ5の出力、少なくとも電子回路7の出力、および制動回路9の出力は、第2の
相補的4方向弁39の注入口に接続され、第2の相補的4方向弁39の流出口は、接続弁
41の注入口に接続され、第2の相補的4方向弁39のその他の注入口は、電気化学的発
電装置1の熱伝達要素に接続される。この接続弁41の流出口は、第3の3方向弁38の
第1の注入口に接続され、第3の弁38の第1の流出口は、弁28および21を介して空
調回路を連結し、第1の膨張開口部8を通過することにより外部凝縮器/蒸発器2に復帰
する。
【0052】
図6に示すように、電気化学的発電装置1および少なくとも電気モータ5および少なく
とも電子回路7および制動回路9を冷却するための第2の冷却回路または熱エネルギー回
収回路は、第2の流体供給導管30を備える。この第2の流体供給導管30は、電気化学
的発電装置1に関連する熱伝達要素に、ならびに少なくとも電気モータ5および少なくと
も電子回路7および制動回路9の導管部分に流体をもたらす。第2の冷却回路または冷却
熱エネルギー回収回路は、電気化学的発電装置1に関連する熱伝達要素から少なくとも電
気モータ5および少なくとも電子回路7および制動回路9の導管部分に流体を放出するた
めの第2の導管34を備える。
【0053】
第2の冷却回路または冷却熱エネルギー回収回路によれば、外部凝縮器/蒸発器2を通
過する流体は、制御手段により制御された弁18および20を介してアキュムレータ3に
、次いで流体が圧縮され、したがって加熱される圧縮器4の中に流れ、次いで弁24に送
られる。流体はまた、弁18を通り第2の膨張開口部12の方向に流れる。第2の流体供
給導管30は、第2の膨張開口部12と内部蒸発器14の間に提供された第4の3方向弁
32の第2の流出口に、ならびに第2の4方向弁36の第2の注入口に接続されるのに対
して、熱伝達要素の第2の流体放出導管34は、第3の弁38の第2の流出口を通過し、
内部蒸発器14と圧縮器4の間に内部蒸発器14の下流に提供された第5の4方向弁20
の第2の注入口に接続される。外部凝縮器/蒸発器2によるエネルギーAは圧縮機4の中
で、電気化学的発電装置1および少なくとも電気モータ5および少なくとも電子回路7お
よび制動回路9から構成された組立体から得られるエネルギーに追加される。熱い流体は
、弁24を通り内部凝縮器6に入り、弁21を介して第1の膨張開口部8を通過して外部
凝縮器/蒸発器2に復帰するために、より冷たくなって内部凝縮器6から出てくる。
【0054】
上記ですでに述べたように、複数の弁18、20、21、24、28、32、36、3
7、38,39、および41は、電気化学的発電装置1および少なくとも1つの電気モー
タ5および少なくとも1つの電子回路7および制動回路9のための第1の加熱回路および
第2の冷却回路のうち一方または他方と空調回路を連通状態にすることができるように配
列される。さらには空調回路からの流体を第1の加熱回路または第2の冷却回路の中で循
環できるようにするように配列された上記弁18、20、21、24、28、32、36
、37、38,39、および41を制御するための手段が提供される。
【0055】
電気化学的発電装置1および少なくとも電気モータ5および少なくとも電子回路7を一
緒にもしくは別個に、またはさらには制動回路9も制御する手段に関連した少なくとも1
つの温度センサにより測定した温度に従って、流体の循環は、電気化学的発電装置1およ
び電気モータ5および電子回路7および制動回路9を加熱するために、または電気化学的
発電装置1、電気モータ5、および電子回路7、ならびに任意選択で制動回路9を加熱す
るために熱エネルギーを回収するために、第1の加熱回路の中に進むことができる。流体
の循環はまた、電気化学的発電装置1および電気モータ5および電子回路7、もしくはさ
らには制動回路9を冷却するために、または電気化学的発電装置1、電気モータ5、およ
び電子回路7、もしくはさらにまた制動回路9を冷却するために熱エネルギーを回収する
ために、第2の冷却回路の中に進むことができる。これは最初に、電気化学的発電装置1
および/または電気モータ5および/または電子回路7の温度を調整するように働くがさ
らにまた、詳細には車両の車内を加熱または冷却するために電気化学的発電装置1、電気
モータ5、および電子回路7から得られる熱または冷気を使用するように働いてよい。
【0056】
図1~
図5を参照してこれまでに示したように、空調回路はまた、第1のループの中に
、第1の膨張開口部8の所に内部凝縮器6と外部凝縮器/蒸発器2の間に提供されたバイ
パス10を備えてよい。内部蒸発器14の所に空調ユニット用送風器16を提供してよい
。第1のループの中の循環、または第2のループおよびバイパスの中の循環は、第1のル
ープおよび第2のループの交点に提供された弁18および20、ならびに第1の膨張開口
部8の上流に第1のループとバイパス10の交点に提供された弁21を用いて管理される
。これらの弁は、たとえば少なくとも3方向またはさらには少なくとも4方向を有するソ
レノイド弁である。
【0057】
図7は、車両の車内のHVACシステムの空調回路を備える、電気化学的発電装置1を
伴う車両の新規の熱エネルギー回収および調整機器の第2の実施形態を示す。前述のよう
に、
図7に見えるこの第2の実施形態に従って電気化学的発電装置1の車内加熱および冷
却モードを提示し、少なくとも1つの電気モータ5および少なくとも1つの電子回路7を
伴う。制動回路9を有することもまた想定されてよい。この
図7は、
図6の構成要素およ
び機能と等価の同一の構成要素および機能の主要な部分を備えるので、第1の実施形態に
関して差分だけについて記述する。
【0058】
少なくとも1つの電気モータ5および少なくとも1つの電子回路7は、電気化学的発電
装置1と直列に接続された状態で配列され、第1の加熱回路および第2の冷却回路に接続
される。制動回路9はまた、電気化学的発電装置1、1つまたは複数のモータ5、および
電子回路7と直列に接続されてよい。この構成では、各要素、すなわち電気化学的発電装
置1、牽引電気モータ5,電子制御回路7、および制動回路9の温度の測定は、共通温度
を供給するために、かつ車両の車内を加熱または冷却するために使用する要素の各々から
熱または冷気を回収可能にするために、またはさらにまたこれまで説明したように電気化
学的発電装置1を充電するために、温度センサにより行われる。
【0059】
第1の加熱回路および第2の冷却回路への接続は、電気化学的発電装置1、制動電気モ
ータ5、電子制御回路7、および制動回路9が直列に接続されているので第2の3方向弁
36および第3の3方向弁38だけにより行われる。
【0060】
図8は、車両の車内のHVACシステムの空調回路を備える、電気化学的発電装置1を
伴う車両の新規の熱エネルギー回収および調整機器の第3の実施形態を示す。前述のよう
に、
図8に見えるこの第3の実施形態によれば、電気化学的発電装置1の車内加熱および
冷却モードが提示され、少なくとも1つの電気モータ5および少なくとも1つの電子回路
7および制動回路9を伴う。この
図8は、
図6の構成要素および機能と等価の同一の構成
要素および機能の主要な部分を備えるので、第1の実施形態に関して差分だけについて記
述する。
【0061】
少なくとも1つの電気モータ5、少なくとも1つの電子回路7,およびたとえば制動回
路9は、電気化学的発電装置1と直列に接続された状態で配列され、流体または別の液体
(グリコール)のように水が循環する導管により接続される。こうするために、液体を循
環させるためのポンプ13および組立体の注入口で液体を受け取る交換器11が提供され
、組立体は、電気化学的発電装置1、電気モータ5、電子回路7、および制動回路9を備
える。ガス状流体を受け取る交換器の外部注入口の所で第1の加熱回路または第2の冷却
回路への接続が行われる。有利にはガス-空気交換器ではなくガス-液体交換器11を使
用する。
【0062】
前述のように、各要素、すなわち電気化学的発電装置1、牽引電気モータ5、電子制御
回路7、および制動回路9の温度の測定は、共通温度を供給するために、かつ車両の車内
を加熱または冷却するために使用するために、またはさらにはこれまで説明したように電
気化学的発電装置1を充電するために使用するために要素の各々から熱または冷気を回収
可能にするために、単一温度センサにより行われる。
【0063】
当然ながら、詳細には熱エネルギー回収のために空調回路の閉回路内に配置された、電
気車両の他の要素を想定できる。詳細には車両の制動回路との接続について言及でき、そ
こでは制動中にだんだん熱くなる可能性がある抵抗器を使用できる。この抵抗器は、第1
の加熱回路または第2の冷却回路と接続されるように配置されてよい。そしてこれらの条
件下で、車内を加熱するために車両の中に運ぶために熱を取り出すまたは回収することが
可能である。制動回路に接続された回路は、抵抗器を通して第1の加熱回路または第2の
冷却回路と直接に接続された状態であってよい。その結果、電気車両を加熱または冷却で
きるどの要素も、詳細には車両の車内に送られる熱または冷気を回収するために空調回路
に接続された状態で使用されてよい。
【0064】
当然ながら、本発明は、例示する例に限定されず、当業者に自明な多様な変形形態およ
び修正形態が可能である。当然のことながら、電気化学的発電装置、1つまたは複数の牽
引電気モータ、および1つまたは複数のモータを制御する電子回路を用いるすでに公知の
ものとの他の組合せが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的発電装置(1)を伴う電気車両の熱エネルギー回収および調整機器であって、前記電気化学的発電装置(1)は、電池および燃料電池またはハイブリッドを備えるグループから選ばれ、前記調整機器は、流体が循環する、前記車両の車内のHVACシステムの空調回路を備え、前記空調回路は、少なくとも1つの外部凝縮器/蒸発器(2)と、圧縮器(4)と、前記車内を加熱することを意図した内部凝縮器(6)と、前記内部凝縮器(6)と前記外部凝縮器/蒸発器(2)の間に前記内部凝縮器(6)の下流に提供された第1の膨張開口部(8)と、前記車内を冷却することを意図した内部蒸発器(14)と、前記外部凝縮器/蒸発器(2)と前記内部蒸発器(14)の間に前記内部蒸発器(14)の上流に提供された第2の膨張開口部(12)とを備え、
前記熱エネルギー回収および調整機器は、前記流体が循環する、前記電気化学的発電装置(1)の第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路と、前記電気化学的発電装置(1)の第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路とを備え、前記電気化学的発電装置(1)の第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路は、前記電気化学的発電装置(1)に関連する熱伝達要素に前記流体を供給するための第1の導管(22)を備え、前記供給するための第1の導管(22)は、前記圧縮器(4)と前記内部凝縮器(6)の間に提供された第1の流出口、および前記内部凝縮器(6)と前記第1の膨張開口部(8)の間に提供された第1の注入口に接続された、前記熱伝達要素から前記流体を放出するための第1の導管(26)に接続され、前記電気化学的発電装置(1)の前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路は、前記電気化学的発電装置(1)に関連する前記熱伝達要素に前記流体を供給するための第2の導管(30)を備え、前記流体を供給するための前記第2の導管(30)は、前記第2の膨張開口部(12)と前記内部蒸発器(14)の間に提供された第2の流出口、および前記内部蒸発器(14)と前記圧縮器(4)の間に前記内部蒸発器(14)の下流に提供された第2の注入口に接続された、前記熱伝達要素の第2の流体放出導管(34)に接続され、複数の弁(24、28、32、20、36、38)は、前記電気化学的発電装置(1)の前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路および前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路のうち一方または他方と前記空調回路を連通状態にすることができるように配列され、前記弁(24、28、32、20、36、38)を制御するための手段は、前記電気化学的発電装置(1)の温度に従って前記電気化学的発電装置(1)を加熱するために、または前記電気化学的発電装置(1)から加熱熱エネルギーを回収するために、前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路の中で前記空調回路から得られる前記流体の循環を可能にするだけではなく、前記電気化学的発電装置(1)を冷却するために、または前記電気化学的発電装置(1)から冷却熱エネルギーを回収するために、前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路の中で前記空調回路から得られる前記流体の循環を可能にするように配列された熱エネルギー回収および調整機器において、
前記電気化学的発電装置(1)に接続された前記第1の加熱回路または熱エネルギー回収回路および前記第2の冷却回路または熱エネルギー回収回路に両方とも接続された少なくとも1つの電気モータ(5)および少なくとも1つの電子回路(7)、ならびに前記加熱熱エネルギーまたは前記冷却熱エネルギーを回収するように適合された少なくとも前記電気モータ(5)および少なくとも前記電子回路(7)をさらに備えることを特徴とする熱エネルギー回収および調整機器。
【外国語明細書】