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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164064
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】注射器スタンド
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20241119BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/145 500
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024134765
(22)【出願日】2024-08-13
(62)【分割の表示】P 2021552890の分割
【原出願日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】62/814,989
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/686,002
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517408184
【氏名又は名称】ケイピーアール ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ブライトワイザー、 ケネス エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、 クルト
(72)【発明者】
【氏名】ゲインズ、 ロバート ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、 トマス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バックルズ、 エマ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ドーシー、 マイケル シー.
(72)【発明者】
【氏名】クナウパー、 クリストファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント、 アシャンティ
(72)【発明者】
【氏名】フォックス、 メーガン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、 ジェシカ ワッツ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流量制御装置のポンプ装置を用いて注射器から対象に流体を送達するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、流量制御装置を水平支持面に配置することを含む。好ましい栄養分の総量とある量の好ましくない栄養液とを含むある量の流体を注射器に提供する。流量制御装置に対して注射器を取り付け、それにより注射器の出口が上を向くように注射器が概ね垂直方向に方向付けられる。流体中の好ましい栄養分の総量の少なくとも一部分を対象に優先的に送達するために、一定時間、注射器から流体を引き出すためにポンプ装置の動作を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御装置のポンプ装置を用いて注射器から対象に流体を送達する方法であって、
前記流量制御装置を水平支持面に配置することと、
好ましい栄養分の総量とある量の好ましくない栄養液とを含むある量の流体を前記注射
器に提供することと、
前記流量制御装置に対して前記注射器を取り付けることであって、それにより前記注射
器の出口が上を向くように前記注射器が概ね垂直方向に方向付けられることと、
一定時間、前記注射器から前記流体を引き出すために前記ポンプ装置の動作を開始する
ことと、
前記流体中の前記好ましい栄養分の総量の少なくとも40%が、前記ポンプ装置が前記
注射器から前記流体を引き出すように動作する時間の最初の3分の1以内に前記注射器か
ら送達されるように、前記注射器から前記対象に前記流体の量の少なくとも一部分を送達
することと
を含む方法。
【請求項2】
前記流体中の前記好ましい栄養分の総量の少なくとも60%が、前記ポンプ装置が前記
注射器から前記流体を引き出すように動作する時間の前半のうちに前記注射器から送達さ
れる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体中の前記好ましい栄養分の総量の少なくとも65%が、前記ポンプ装置が前記
注射器から前記流体を引き出すように動作する時間の最初の3分の2以内に前記注射器か
ら送達される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体中の前記好ましい栄養分の総量の少なくとも80%が、前記ポンプ装置が前記
注射器から前記流体を引き出すように動作する時間の最初の6分の5以内に前記注射器か
ら送達される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記注射器の出口は前記注射器のバレルの中心にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象は乳児であり、前記流体は前記好ましい栄養分が脂肪であるように母乳を含む
、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流体の量の少なくとも一部分を送達することは、前記流量制御装置を用いて前記注
射器の出口に真空圧を加えることによって前記注射器から流体を引き出すことを含む、請
求項1に記載の方法。
【請求項8】
出口を有するバレルと、前記出口と反対側の前記バレルの端部に受容されたプランジャ
ーとを含む注射器を支持するための注射器スタンドであって、
前記注射器スタンドを水平支持面で指示するためのベースと、
前記注射器を前記注射器スタンドに固定するためのホルダーであって、前記ベースに取
り付け可能であり、前記注射器を少なくとも2つの異なる位置に方向付けるために前記ベ
ースに対して選択的に位置決め可能であるホルダーと
を備える注射器スタンド。
【請求項9】
前記ホルダーは、前記注射器の長手方向軸が垂直軸に概ね平行であり、前記注射器の出
口が上を向くように、前記注射器が概ね垂直方向に方向付けられる第1の位置と、前記注
射器の長手方向軸が水平軸に概ね平行であるように、前記注射器が概ね水平方向に方向付
けられる第2の位置とに位置決め可能である、請求項8に記載の注射器スタンド。
【請求項10】
前記ホルダーは、前記注射器の長手方向軸が垂直軸及び水平軸に対して斜めに方向付け
られる第3の位置に位置決め可能である、請求項9に記載の注射器スタンド。
【請求項11】
前記ホルダーは、前記注射器のバレル及びプランジャーの少なくとも一部分を受容する
ように構成されたレセプタクルと、前記レセプタクル内の前記プランジャーの移動をガイ
ドするように構成されたガイドアセンブリとを備える、請求項8に記載の注射器スタンド
【請求項12】
前記ガイドアセンブリは、少なくとも1つのレールと、前記レールに沿って移動可能な
スライドとを備え、前記スライドは、前記レセプタクル内の前記プランジャーの移動を案
内するために前記レールに沿って移動するように前記プランジャーにより係合可能である
、請求項11に記載の注射器スタンド。
【請求項13】
前記ホルダーは、前記注射器のバレルを前記スタンドに対して定位置に保持するように
構成される、請求項8に記載の注射器スタンド。
【請求項14】
前記ホルダーに取り付けられ、前記バレルから送達される流体を示す、前記ホルダーに
対する前記プランジャーの移動を検出するように構成された位置センサーをさらに備える
、請求項8に記載の注射器スタンド。
【請求項15】
前記位置センサーは、ポテンショメータ、カメラ、磁気箔センサー、及び非磁気誘導セ
ンサーのうちの1つを含む、請求項14に記載の注射器スタンド。
【請求項16】
前記ベースは、前記装置を前記ベースに取り付けるように構成される、請求項8に記載
の注射器スタンド。
【請求項17】
前記ベース上に貫通コネクタをさらに備え、前記コネクタは、ポートと、前記ポートと
連通するプラグとを含み、前記プラグは、前記流量制御装置のポートと接続するように構
成され、前記ベースのポートは、プラグを受容して前記コネクタを介して前記プラグを前
記流量制御装置のポートと接続するように構成される、請求項16に記載の注射器スタン
ド。
【請求項18】
前記ベースは、前記注射器スタンドを垂直支持体に取り付けるためにクランプに取り付
けるためのマウントを含む、請求項8に記載の注射器スタンド。
【請求項19】
供給源からポンプセットを通して対象に流体を送達するためにポンプセットと共に使用
される流量制御装置であって、
供給サイクル中に前記ポンプセット内に流体の流れを生成するように前記ポンプセット
に作用することができるポンプ装置と、
前記ポンプセット内で流体の流れを生成するための供給配置において前記ポンプ装置の
動作を制御するために前記ポンプ装置と通信するコントローラであって、前記コントロー
ラはプロセッサ及びメモリを含み、前記コントローラは、選択された流量及び流体の所望
の流体量をメモリに記憶するように構成され、前記コントローラは、前記選択された流量
からの、前記供給源からの実際の流量の検出された偏差を考慮に入れるために、前記供給
サイクル中に前記ポンプセットを通して前記流体を送達する前記ポンプ装置を動作させる
ための供給時間を調整する供給時間補正器を前記プロセッサ内で実行するように構成され
るコントローラと
を備える流量制御装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記選択された流量からの実際の流量の検出された偏差を補正す
るために前記ポンプ装置の動作を一時停止する、請求項19に記載の流量制御装置。
【請求項21】
前記コントローラは、実際に供給された前記流体の総量を前記流体の所望の量と比較し
、その差が所定の閾値内である場合に前記供給サイクルを終了する、請求項19に記載の
流量制御装置。
【請求項22】
前記供給時間補正器は、式X=(Y+Yl)/(Z+Zn)に基づいて補正された供給
時間を計算し、式中、Xは前記流体に対する前記選択された流量であり、Yは前記供給サ
イクル中に前記供給源から既に供給された流体の量であり、Ylは前回の補正計算以降に
前記供給源から供給された供給流体の量であり、Zは前記供給サイクル中に経過した合計
時間であり、Znは供給時間の調整である、請求項19に記載の流量制御装置。
【請求項23】
前記コントローラは、閾値量の流体が前記供給源から供給された後にのみ前記供給時間
補正器を実行するようにプログラムされる、請求項19に記載の流量制御装置。
【請求項24】
ポンプシステムを含む流量制御装置用の、前記装置に取り付けられたポンプセットと係
合するための支持体であって、
前記流量制御装置の少なくとも一部分を受容するベースであって、前記ベースは、前記
流量制御装置を水平支持面で支持するように構成され、それにより前記流量制御装置は概
ね水平方向に方向付けられるベースと、
前記ベースが前記水平支持面に支持されたときに水平軸に対する前記ベースの角度方向
を変え、それにより前記流量制御装置が前記ベースに受容されたときに前記流量制御装置
の角度方向を変えるように構成された前記ベース上の少なくとも1つの調節可能な脚部と

を備える支持体。
【請求項25】
前記少なくとも1つの調節可能な脚部は、前記ベースに旋回可能に取り付けられ、前記
脚部は、前記ベースの角度方向を変えるために前記支持面と係合するように旋回可能であ
る、請求項24に記載の支持体。
【請求項26】
前記少なくとも1つの調節可能な脚部は、前記ベースの角度方向を最大約40度まで変
えるように構成される、請求項24に記載の支持体。
【請求項27】
一対の調節可能な脚部をさらに備え、各脚部は独立して調節可能である、請求項24に
記載の支持体。
【請求項28】
第1の調節可能な脚部は、前記ベースの角度方向を第1の方向に変えるように構成され
、第2の調節可能な脚部は、前記ベースの角度方向を第2の方向に変えるように構成され
る、請求項27に記載の支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して注射器から流体を送達することに関し、より具体的には、ポンプセッ
ト、注射器スタンド、注射器アセンブリ、流量制御装置、及び注射器から流体を送達する
ための関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、現在係属中の2019年11月15日に出願された米国非仮特許出願第16
/686,002号に対する優先権を主張し、また現在係属中の2019年3月7日に出
願された米国仮特許出願第62/814,989号に対する優先権を主張し、それらの両
方の明細書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
薬又は栄養を経口摂取することができない患者への薬又は栄養の投与は、蠕動流制御シ
ステムを用いることによって行うことができる。一般にこのようなシステムでは、流体は
、制御された送達速度で患者に流体を送達する蠕動ポンプなどの流量制御装置に載置され
た可撓性エラストマーチューブを含むポンプセットによって患者に送達される。蠕動ポン
プは通常、ギアボックスを介してモーターに動作可能に係合するローターを含むハウジン
グを有する。ローターは、ローター上の1つ以上のローラーによる衝突、例えば、締め付
けによって生じる可逆的な圧縮によってもたらされる蠕動作用によって、ポンプセットの
可撓性チューブを通して流体を駆動する。ローターの回転は、制御された速度で流体を駆
動するエラストマーチューブを徐々に圧縮する。ポンプセットは、ポンプセットを通る流
体の流れの連通を可能にするか又は防止するためのバルブ機構を有することができる。流
量制御システムはまた、流体の流れを効果的に制御する1つ以上のモーターを動作可能に
調節するコントローラを有することができる。
【0004】
蠕動ポンプは、「アリコート」と呼ばれる小さい分量で流体を送達することによって動
作する。ローターは、ポンプセットのエラストマーチューブに係合し、エラストマーチュ
ーブの一部分を摘み取り、例えば、患者に向かう流体源よりも患者に近い、摘み位置の前
方に流体を押し出す。一般に、患者に投与される流体の容量は、各アリコートが実質的に
同じ容量であるアリコートの数をカウントし、その数が送達される流体の所望の総容量に
対応する量に達したときに停止することによって、ポンプ内で制御される。蠕動ポンプは
衛生的でありかつ概ね正確であるため、患者への薬剤及び治療液の投与に非常に有用であ
る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、流量制御装置のポンプ装置を用いて注射器から対象に流体を送達する方法
が、一般に、流量制御装置を水平支持面に配置することを含む。好ましい栄養分の総量と
ある量の好ましくない栄養液とを含むある量の流体を注射器に提供する。流量制御装置に
対して注射器を取り付け、それにより注射器の出口が上を向くように注射器が概ね垂直方
向に方向付けられる。一定時間、注射器から流体を引き出すためにポンプ装置の動作を開
始する。流体中の好ましい栄養分の総量の少なくとも40%が、ポンプ装置が注射器から
流体を引き出すように動作する時間の最初の3分の1以内に注射器から送達されるように
、注射器から対象に流体の量の少なくとも一部分を送達する。
【0006】
別の態様では、出口を有するバレルと、出口と反対側のバレルの端部に受容されたプラ
ンジャーとを含む注射器を支持するための注射器スタンドが、一般に、注射器スタンドを
水平支持面で支持するためのベースを備える。ホルダーが注射器を注射器スタンドに固定
する。ホルダーは、ベースに取り付け可能であり、注射器を少なくとも2つの異なる配置
に方向付けるためにベースに対して選択的に位置決め可能である。
【0007】
さらに別の態様では、供給源からポンプセットを通して対象に流体を送達するためにポ
ンプセットと共に使用する流量制御装置が、一般に、供給サイクル中にポンプセット内で
流体の流れを生成するようにポンプセットに作用することができるポンプ装置を備える。
コントローラが、ポンプセット内で流体の流れを生成するための供給配置においてポンプ
装置の動作を制御するためにポンプ装置と連通している。コントローラは、プロセッサ及
びメモリを含む。コントローラは、選択された流量及び流体の所望の流体量をメモリに記
憶するように構成される。コントローラは、選択された流量からの、供給源からの実際の
流量の検出された偏差を考慮に入れるために、供給サイクル中にポンプセットを通して流
体を送達するポンプ装置を動作させるための供給時間を調整する供給時間補正器をプロセ
ッサ内で実行するように構成される。
【0008】
さらに別の態様では、ポンプシステムを含む流量制御装置用の、装置に取り付けられた
ポンプセットと係合するための支持体が、一般に、流量制御装置の少なくとも一部分を受
容するためのベースを備える。ベースは、水平支持面で流量制御装置を支持するように構
成され、それにより流量制御装置は概ね水平方向に方向付けられる。ベースの少なくとも
1つの調節可能な脚は、ベースが水平支持面に支持されたときに水平軸に対するベースの
角度方向を変え、それにより流量制御装置がベースに受容されたときに流量制御装置の角
度方向を変えるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】経腸栄養ポンプ、ポンプ支持体、供給セットアセンブリ及び注射器を含む供給システムの斜視図である。
【0010】
図2】経腸栄養ポンプ及び供給セットアセンブリの一部を含む供給システムの断片的な斜視図である。
【0011】
図3図2の斜視図であるが、カセットの一部分が取り除かれている。
【0012】
図4】経腸栄養ポンプの正面斜視図である。
【0013】
図4A】経腸栄養ポンプの背面斜視図である。
【0014】
図5】カセットの斜視図である。
【0015】
図6】カセットのフィッティングの斜視図である。
【0016】
図7】供給セットアセンブリのポンプ支持体及び注射器の正面斜視図である。
【0017】
図8】ポンプ支持体及び注射器の背面斜視図である。
【0018】
図9】供給セットアセンブリの注射器コネクタの斜視図である。
【0019】
図10】注射器コネクタの別の斜視図である。
【0020】
図11】注射器コネクタの断面図である。
【0021】
図12】ポンプ支持体の正面斜視図である。
【0022】
図13】ポンプ支持体のベースの正面斜視図である。
【0023】
図14】ポンプ支持体の注射器ホルダーの正面斜視図である。
【0024】
図15】注射器ホルダーが水平方向にあるポンプ支持体の正面図である。
【0025】
図16】注射器ホルダーが垂直方向にあるポンプ支持体の正面図である。
【0026】
図17】注射器が注射器ホルダーに装填され、注射器内の母乳を概略的に示す図16の正面図である。
【0027】
図18】注射器ホルダーが斜め方向にある注射器スタンドの正面図である。
【0028】
図19】本明細書に開示された1つ以上の態様を実施するために利用することができる経腸栄養ポンプの構成要素を示すブロック図である。
【0029】
図20】様々な注射器の方向について母乳の送達サイクルにわたって所与の時間に送達された脂肪のパーセンテージを示すグラフである。
【0030】
図21】様々な注射器の方向について母乳の送達サイクルの間に送達された総蓄積脂肪のパーセンテージを示すグラフである。
【0031】
図22】ポンプ支持体の別の実施形態の正面図である。
【0032】
図23図22のポンプ支持体の背面図である。
【0033】
図24図22のポンプ支持体の分解図である。及び
【0034】
図25】ポンプ支持体の脚部が旋回して支持面と係合し、ポンプ支持体を斜め方向に方向付けたポンプ支持体の正面図である。
【0035】
対応する符号は、図面全体にわたって対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の1つ以上の態様は、回転蠕動ポンプなどの蠕動ポンプに、特に患者(例えば、
乳児)に送達される流体の量を正確に検出及び制御し、患者への栄養分送達を最大化する
流体送達装置を提供するための、回転蠕動ポンプに取り付け可能な供給セットアセンブリ
に関する。このような特徴のいずれか1つ以上を提供又は促進するあらゆる1つ以上の有
利な特徴又は構造は、様々な商業的及び工業的用途に使用される蠕動ポンプで実施するこ
とができる。したがって、詳細な説明は、カセットを含む供給セットアセンブリを備えた
経腸栄養ポンプを対象とするが、本発明のあらゆる1つ以上の特徴は、他の蠕動ポンプで
具現化又は実施され得る。例えば、例示的に議論されているポンプは回転蠕動経腸栄養ポ
ンプであるが、本発明は、医療用輸液ポンプを含む他のタイプの蠕動ポンプ(図示せず)
にも適用される。また、本発明の様々な特徴及び態様のうちの1つ以上は、本発明の範囲
から逸脱することなく、線形蠕動ポンプなどの、ローラー以外の機構を使用する蠕動ポン
プで実施され得る。さらに、カセットを含まない供給セットアセンブリ(図示せず)も、
本発明の範囲内で使用され得る。
【0037】
ここで図面、特に図1~6を参照すると、本発明の原理のいずれか1つ以上に従って構
成された例示的な経腸栄養ポンプ(広義には「流量制御装置」)が、全体として1で示さ
れている。供給ポンプは、全体として符号7で示す供給セットアセンブリ(広義には「ポ
ンプセット」)の、全体として符号5で示すカセットを取り付けるように構成された、全
体として符号3で示すハウジングを備えることができる。供給セットアセンブリ7は、チ
ューブ77を介してカセット5に接続された注射器アセンブリ12を含むことができる。
供給セットアセンブリ7のカセット5は、ハウジング3に取り外し可能に取り付けること
ができる。図示の実施形態では、カセットのカセットシェル9は、ハウジング3のカセッ
ト凹部6(図4)内に取り外し可能に受容される。当然のことながら、本明細書で使用さ
れる「ハウジング」は、多部品構造及びポンプ1の作動コンポーネントを包囲又は収容し
ない構造を含むがこれらに限定されない、多くの形態の支持構造(図示せず)を含むこと
ができる。ポンプ1はまた、ハウジング3上に、ポンプの状態及び動作に関する情報を表
示することができる表示画面10を有することができる。また、本発明の様々な態様及び
特徴は、凹部6なしで実施することができる。ポンプ1を制御し、ポンプ1から情報を得
る際に使用するために、表示画面10に近接することができる1つ以上のボタン11を設
けることができ、1つ以上の発光ダイオード13がポンプの状態情報を提供することがで
きる。
【0038】
表示画面10は、ハウジング3の前面パネル(全体として19で示す)の一部であり得
、ハウジングに取り外し可能に取り付けられ得る。経腸栄養ポンプは、ローターシャフト
(図示せず)に接続されたポンプモーター27(図19)を備える、全体として23で示
すポンプユニット(図3及び4)をさらに含み得る。ポンプモーターに電力を供給するた
めに、ハウジング3内にバッテリ(図示せず)を受容することができる。バッテリ以外に
又はバッテリに加えて電源を使用して、ローターシャフトを介してポンプユニットを駆動
する1つ以上のプライムモーターを含むポンプに通電することができる。
【0039】
ポンプユニット23は、ローターシャフトに連結することができるローター(全体とし
て37で示す)を有する。ローター37は、内側ディスク39と、外側ディスク41と、
それらの長手方向軸を中心にディスクに対して回転するために内側ディスクと外側ディス
クとの間に取り付けられた4つのローラー43(そのうちの3つのみが示されている)と
を含むことができる。ローラー43は、カセット5がハウジング3に取り付けられたとき
に、カセット5の一部を形成する供給セットアセンブリ7のチューブ45(図3)と係合
して、供給セットアセンブリ7を通して対象に流体を送達する。例えば、栄養液(例えば
、母乳及び/又は強化剤)が、ポンプ1、カセット5、及び供給セットアセンブリ7を用
いて乳児に供給され得る。他の流体も、本開示の範囲から逸脱することなく、ポンプ1を
用いて送達され得る。図示の実施形態では、注射器14内の流体は、ポンプユニット23
によって加えられる真空圧によって、注射器から引き出される。しかしながら、本発明の
いくつかの態様は、注射器14からの流体が、例えば注射器のバレルにプランジャーを押
し込むことなどの他の方法で注射器から送達される場合、同等の用途を有する。
【0040】
図5及び図6を参照すると、カセットシェル9は、前部53、後部55、上部57、及
び下部59を有するカセット本体51を備える。側壁61及び上壁63は、カセット本体
51の後部55から延びて、フィッティング65を受容するように構成された後部キャビ
ティを形成することができる。チューブ45は、フィッティング65に取り外し可能に取
り付けることができる。フィッティング65は、フィッティング65をカセットに固定又
はスナップ留めすることを可能にするタブ88を有することができる。場合によっては、
フィッティングをカセットに取り外し可能に固定することができる。
【0041】
図6を参照すると、フィッティング65は、ベース67と、入口ポート69と、及び出
口ポート71とを備える。入口ポート69は、チューブ45の入口端への挿入のための第
1取り付け部分73と、入口チューブ77(図3)を受容するための1対の第2取り付け
部分75A、75Bとを含むことができる。出口ポート71は、チューブ45の出口端へ
の挿入などによる係合又は取り付けのための第1取り付け部分79と、出口チューブ83
を受容することなどによる出口チューブ83への取り付けのための第2取り付け部分81
とを含むことができる。第2取り付け部分75Aは、供給源(例えば、注射器14)と流
体連通させることができ、第2取り付け部分75Bは、入口チューブ77を介して洗浄源
(例えば、洗浄流体バッグ)と流体連通させることができる。代替的に、第2取り付け部
分75Bを供給源に取り付け、第2取り付け部分75Aを洗浄源に取り付けることもでき
る。代替的に、フィッティング65は、カセット本体51と一体的に形成され又は省略さ
れ得る。また、第2取り付け部分75Aを通して栄養液(例えば、母乳)の供給が完了す
ると、第2取り付け部分75Bを使用して、母乳のラインを通して空気を吸引することに
よりラインをきれいにすることができるように、第2取り付け部分75Bは大気に開放さ
れ得る。これにより、母乳がチューブに残って無駄になることが防止される。第2取り付
け部分75A及び75Bを入れ替えることができ、それにより母乳が第2取り付け部分7
5Bを通して供給され、洗浄動作が本開示の範囲から逸脱することなく第2取り付け部分
75Aを通して行われることが理解されるであろう。
【0042】
入口チューブ77、チューブ45、フィッティング65、及び出口チューブ83は、供
給セットアセンブリ7の一部と見なされる。カセット5は、この説明のために、供給セッ
トアセンブリ7の一部と見なされる。注射器14も、供給セットアセンブリ7の一部と見
なされ得る。しかしながら、本明細書に記載されるよりも多いか又は少ない構成要素を含
む供給セットアセンブリは本発明の範囲内にある。
【0043】
好ましい実施形態では、カセットシェル9は、ポリカーボネートなどのポリマー材料か
ら作られる。図3及び図4を参照すると、カセットシェル9及びチューブ45をカセット
凹部内に固定するのに役立つように、インサート105がハウジング3内のカセット凹部
6に受容され得る。インサート105は、カセットがハウジング3に取り付けられたとき
にインサート105がカセットシェル9の後部キャビティに受容されるように、凹部6に
配置され得る。インサート105は、チューブ45の入口部分を受容するためにインサー
トの入口側に配置された1対の対向する第1突起107と、チューブの出口部分を受容す
るためにインサートの出口側に配置された1対の対向する第2突起109とを備えること
ができる。チューブ45内の流体の流れの方向を示すしるし112が、第2突起109の
少なくとも1つに配置され得る。図示の実施形態では、しるし112は矢印の形である。
【0044】
図1及び図7~11を参照すると、ポンプ支持体が全体として16で示されている。ポ
ンプ支持体16は、卓上などの水平支持面でポンプ支持体を支持するためのベース60と
、注射器14をベースに固定するためのベースに取り付けられた注射器ホルダー62とを
備える。注射器14及び注射器ホルダー62は、注射器アセンブリ12を構成する。ポン
プ支持体16は、ポンプがポンプ支持体に取り付けられたとき、注射器14をポンプ1に
対して支持する。より具体的には、以下でより詳細に説明するように、ポンプ支持体16
は、注射器を複数の角度方向に方向付けるように構成される。代替的に、ポンプ支持体1
6は、ホルダーが注射器14を受容して支持するが、ポンプ1を取り付けかつ/又は支持
しないように、注射器スタンドとして構成され得る。
【0045】
注射器14は、目盛り付きであり得るバレル18と、バレル内にスライド可能に受容さ
れたプランジャー20とを含む従来の注射器であり得る。図示の実施形態では、注射器1
4は、雄ねじ26を含み、バレル18の内部と連通する出口28及び先端通路を画定する
雌型先端部24を含む。雌型先端部24は、注射器14の長手方向軸LAを中心とする。
注射器14は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の構成であり得る。例えば、注射
器は、雌型先端部が注射器の長手方向軸の中心から外れて配置されるように、偏心した先
端を有し得る。本開示の範囲内でさらに他の注射器の構成が想定される。
【0046】
図1及び9~11を参照すると、注射器コネクタ30は、注射器14を入口チューブ7
7に取り付け、注射器を入口チューブに流体接続する。注射器コネクタ30は、全体とし
て34で示す、一部品の一体的に形成された成形コネクタ本体を備える。コネクタ本体3
4は、注射器14の雌型先端部24に取り外し可能に接続するように適合された注射器接
続部分38と、入口チューブ77の端部を受容して注射器の出力をカセット5の入口ポー
ト69の第2取り付け部分75Aと流体接続するチューブ接続部分40と、バルブ又はプ
ラグ47を受容して送達後の注射器から供給流体を取り除くように構成されたバルブ部分
41とを含む。注射器接続部分38は、先端通路に挿入されたときに注射器14の雌型先
端部24と液密シールを形成するように構成された雄型コンポーネント42を含む。注射
器接続部分38の外側スカート44が、雄型コンポーネント42を取り囲み、雌型先端部
24の雄ねじ26と螺合するように構成された雌ねじ46を含む。
【0047】
注射器コネクタ30は、空気通路50及び経腸流体通路52をそれぞれ画定する。経腸
流体通路52は、バレル20の内部を入口チューブ77と流体接続する。空気通路50は
、以下でより詳細に説明するように、入口チューブ77を大気と流体接続して入口チュー
ブから流体を取り除くように構成される。経腸流体通路52は、注射器接続部分38の雄
型コンポーネント42を通って、概ねコネクタ本体34の軸A1に沿って延びる第1部分
52aを有する。入口チューブ77に通じる経腸流体通路52の第2部分52bは、第1
部分52a及びコネクタ本体の軸A1に対して概ね直交するチューブ接続部分40を通っ
て延びる。空気通路50は、バルブ部分41を通ってコネクタ本体34の軸A1に沿って
延びる第1部分50aを有する。入口チューブ77に通じる空気通路50の第2部分50
bは、第1部分50a及びコネクタ本体の軸A1に対して概ね直交するチューブ接続部分
40を通って延びる。空気通路50の第2部分50bは、コネクタ30を通る同じ通路を
占めるように経腸流体通路52の第2部分52bと一致する。
【0048】
バルブ47は、注射器コネクタ30のバルブ部分41に受容され、空気通路50を大気
から密閉する。バルブ47がバルブ部分41に受容された状態で、ポンプ1の通常の作動
が行われ、それによりローター37の回転が注射器から流体を引き出すために注射器14
のバレル20内に真空を作り出す。しかしながら、すべての流体が注射器14から送達さ
れた後でも、対象にポンプで送られなかった流体が入口チューブ77内に残っている可能
性がある。流体のこの部分を送達するために、バルブ47を開き、それにより空気通路5
0を大気と連通させることができる。次いで、大気が空気通路50及び入口チューブ77
に流入させられ、ラインを通してチューブ内の流体を対象に押しやる。これにより、注射
器14内のすべての経腸流体が対象に送達されることが確実になる。その後、バルブ47
は、後続の供給のために閉じることができる。一実施形態では、バルブ47は、コネクタ
の内部と大気との圧力差が少なくとも8psiに達するとコネクタ30内に空気を入れる
、ダックビル弁などの一方向逆止弁を含む。一例では、圧力差が約8psiから約10p
siの間に達するとバルブ47が開くことができる。一実施形態では、ローター37は、
チューブ45が閉塞されない位置まで回転され、空気により流体がローターを通り過ぎて
対象に押しやられることを可能にする。注射器コネクタ30の本体34は、広義には、入
口チューブ77から流体を取り除くためのバルブ47を含むバルブハウジングと見なすこ
とができる。
【0049】
図12及び13を参照すると、ポンプ支持体16は、卓上などの水平支持面でポンプ支
持体を支持するためのベース60と、注射器14をポンプ支持体に固定するための注射器
ホルダー62とを備える。ホルダー62は、ベース60に取り付け可能であり、注射器1
4をポンプ支持体16上で複数の異なる配置に方向付けるためにベースに対して選択的に
位置決め可能である。例えば、ポンプ支持体16は、注射器が概ね水平方向に方向付けら
れる第1の配置(図15)と、注射器が概ね垂直方向に方向付けられる第2の配置(図1
6)とに注射器14を方向付けるように構成される。ポンプ支持体16は、注射器14が
水平方向と垂直方向との間の角度に方向付けられる第3の配置(図18)に注射器14を
方向付けるように構成可能であり得る。ポンプ支持体16はまた、水平方向と垂直方向と
の間の更なる方向に注射器を方向付けるように構成可能であり得る。
【0050】
ベース60は、水平支持面上にベースを置くための平坦な底面64を有する。したがっ
て、ベース60自体は、水平支持面上にあるときに水平軸に対するその角度位置を変える
ように構成されていない。後壁66が底面64から上方に延び、ポンプ1をベース60に
取り付ける。一対の側壁68が後壁66から横方向に延び、ポンプがベース60に取り付
けられたときにポンプ1の両側面に対向する。後壁66及び側壁68は、共にポンプ1の
ための受容空間70を画定する。マウント101が後壁66上に配置され得る。図示の実
施形態では、マウント101は、丸みを帯びた三角形又はアーチ形の形状を有し、マウン
トの両側に分岐する取り付けフランジ103を含む。マウント101の取り付けフランジ
103は、ポンプ1の背面に形成された溝136(図4A)にスライドして係合し、ポン
プをベース60に取り付けるように構成することができる。ポスト111は、マウント1
01の周囲内で後壁66上に配置することができ、ポンプ1をベース60にロックするた
めのリテーナ(図示せず)を受容するレセプタクルを有することができる。後壁66の切
り欠き120が、ポンプ支持体16を運ぶためのハンドルをベース60上に形成する。後
壁66は、ホルダー62に取り付けられ、ベース60に対してホルダーを位置決めする。
図示の実施形態では、複数の穴117が後壁66に形成され、ホルダー62をベース60
に取り付けるための留め具74を受容するように構成される。ホルダー62をベース60
に取り付けるための他の手段を本開示の範囲から逸脱することなく利用し得ることが理解
されるであろう。
【0051】
貫通コネクタ76が、切り欠き120内の後壁66上に形成され、後壁66を通って延
びている。貫通コネクタ76は、コネクタ76上で前方に延びて受容空間70内に入るプ
ラグ78を含む。ポート80が、コネクタ76の後方側に形成され、少なくとも部分的に
コネクタを貫通して延びる。ポート80は、電力及びデータをポートからプラグに、した
がってコネクタ76を介して転送することができるように、プラグ78と電気的に通信し
ている。プラグ78は、ポンプ1の背面のポート82に接続するように構成される(図4
A)。ベース60上のポート80は、ポンプ支持体のプラグ78がポンプ1上のポート8
2に受容されると電源コードからの電力がポンプ支持体16とポンプ1の両方に伝達され
るように、電源コードのプラグ(図示せず)を受容するように構成される。図示の実施形
態では、貫通コネクタ76は、ベースと一体的に形成されている。しかしながら、貫通コ
ネクタ76は、ベース60とは別に形成され、ベースに適切に取り付けられ得る。また、
USB又は他の好適なコネクタ(図示せず)がベース60上に設けられ得る。USBコネ
クタは、ポンプ支持体16及びポンプ1にデータを転送するように構成される。例えば、
ソフトウェア更新は、USBコネクタを介してポンプ支持体16及びポンプ1に伝達され
得る。一実施形態では、USBコネクタは、貫通コネクタ76の一部として形成される。
【0052】
図12及び図14を参照すると、注射器ホルダー62は、床86と、床から延びる後壁
88と、後壁から横方向に床から離れて延びる対向する側壁90とを含む。床86、後壁
88、及び側壁90は、共に注射器14の少なくとも一部のための受容空間92を画定す
る。第1のフランジ対94が、ホルダーの頂部付近でホルダー62のそれぞれの側壁90
から延びている。それぞれの側壁90は、フランジ94の上方に、第1のフランジ対94
から縦方向に離間した第2のフランジ対96を形成する凹部99を有する。注射器14の
バレル18の一部が、第1のフランジ対94の間及び第2のフランジ対96の間に受容さ
れる。フランジ94、96は、後壁88に平行な軸に沿ったホルダー62内のバレル18
の横方向の移動を防止する。一対のレール98が、床86と第1のフランジ対94との間
に延びている。レール98の上端にはU字形プレート100が固定的に配置され、レール
の下端の周りにはU字形スライド102が配置され、レールに沿って移動又はスライドす
るように構成される。第1のフランジ対94とU字型プレート100との間にはギャップ
104が形成されている。ギャップ104は、注射器14のバレル18のフランジ58を
受容するように構成される(図7)。ギャップ104の長さは、フランジ58の厚さより
もわずかに大きい。これにより、フランジ58がフランジ94とプレート100との間に
固定された状態に保持され、それによりホルダー62内での縦方向の移動に抗してバレル
18を固定する。また、注射器14がホルダー62に受容されると、プランジャー20の
フランジ44がレバー121とスライド102との間に保持される。例えば、レバー12
1は、図14に示すようにレバーを左に回転させ、レール98の下方にスライドさせてプ
ランジャーフランジ44にクリアランスを与えるように作動可能である。て」スライド1
02及びプレート100のU字形状は、プランジャー20のロッドをその中に受容するよ
うな大きさ及び形状である。次いで、レバー121を右に回転させて戻し、レバーをレー
ル98の上方にスライドさせてプランジャーフランジ44をスライド102に固定するこ
とができる。以下でより詳細に説明するように、注射器14のバレル18から引き出され
る流体は、プランジャー20を床86から離れさせる。プランジャー20の移動は、プラ
ンジャーが実質的に直線の軸に沿って移動するように、レール98上のスライド102に
よってガイドされる。代替的に、注射器ホルダーは、プランジャー20の長手方向位置を
固定し、流体がバレルから引き出されるときに、バレル18がプランジャーに対して移動
することを可能にするように構成され得る。
【0053】
ドア又はゲート106が、第1のフランジ対94の一方と第2のフランジ対96の一方
との間に旋回可能に取り付けられ、注射器14が受容空間92に受容されることを可能に
する開位置と、注射器を受容空間に保持するための閉位置との間で移動可能である。ドア
106が閉位置に移動した後にドア106の位置を検出するために、センサー108(図
14)がホルダー62に設けられ得る。ドア106の位置に基づいて、注射器14のサイ
ズの測定を行うことができる。例えば、メモリ93に記憶された予めプログラムされたサ
イズとして注射器14のサイズを示す所定の位置にドア106が配置されることに応答し
て、ポンプ1内のコントローラ72(図19)が使用者による確認を必要とするプロンプ
トを開始することができる。代替的に、コントローラ72は、ドア106の位置に基づい
て注射器14のサイズを自動的に測定することができる。連結アーム110が側壁90の
一方から延び、ホルダー62をベース60に取り付けるように構成される。具体的には、
連結アーム110は、ホルダー62をベースに取り付けるために留め具74が穴を通して
受容され得るように、ベース60の後壁66の穴117に対応する複数の穴113を含む
【0054】
図1及び14を参照すると、プランジャー20の移動を検出するために後壁88に位置
センサー115を取り付けることができる。図示の実施形態では、位置センサー115は
、線形抵抗ポテンショメータを備える。ポテンショメータ115の接点114が、スライ
ド102などのホルダー62の可動部分に配置され、スライドの移動により接点がポテン
ショメータ115に沿って移動するようになっている。バレル18がホルダー62内に固
定された状態に保持されるので、流体がバレルから引き出されると、プランジャー20は
バレル内に移動する。プランジャー20のフランジ44は、プランジャーがバレル18内
に移動するときにスライド102と係合し、スライドをレール98に沿って移動させる。
したがって、この実施形態では、接点114の移動は、供給流体が注射器14から引き出
されることによって引き起こされる、バレル18及びホルダー62に対するプランジャー
20の移動を表す。別の言い方をすれば、接点114の移動は、プランジャー20がバレ
ル18内に進入した距離に対応する。バレル18の内部空洞の断面積は、注射器のサイズ
の検出から知られているので、ポテンショメータ115は、接点114の移動が注射器1
4から放出される流体の量を示すように較正することができる。詳細には、注射器14の
バレル18の内径を知ることにより、スライド102/プランジャー20が移動した距離
と組み合わせて、注射器14から送達される流体の量を測定することができる。ポテンシ
ョメータ115は、スライド102の移動を示すポテンショメータ115からの位置信号
を受信するために、コントローラ72に電気的に接続され得る。コントローラ72は、ポ
ンプ1内に配置されてもよく、又はポンプ1から離れて配置されてポンプ1と通信してい
てもよい。例えば、コントローラ72は、ポンプ支持体16内に配置され得る。プランジ
ャー20が固定された状態に保持され、バレル18がプランジャーに対して移動する実施
形態では、接点の移動はバレル18の移動を表す。
【0055】
本開示の範囲から逸脱することなく、他の位置センサーも想定される。例えば、線形磁
気抵抗ポテンショメータ(図示せず)を使用することができる。この実施形態では、電磁
接触器が、スライド102に取り付けられ又は代わりにプランジャー20に取り付けられ
た構造に取り付けられてスライド/プランジャーの移動を測定することができる。プラン
ジャーに取り付けられる電磁接触器は、ポンプシステムと共に使用される電磁接触器を有
する注射器を必要とする。さらに、誘導位置センサー(図示せず)を使用することができ
る。さらに別の実施形態では、カメラ(図示せず)を使用して、プランジャー20の移動
を監視することができる。この実施形態では、注射器14上の任意の点(例えば、プラン
ジャー20)の移動を、カメラと通信する画像解析ソフトウェアを使用して追跡すること
ができる。注射器14のサイズは、カメラ及び画像ソフトウェアを用いて自動的に検出す
ることもできる。さらに別の実施形態では、箔センサー又は非磁性センサーを使用するこ
とができる。更なる実施形態では、流体送達量は、重量検出によって測定され得る。位置
検出装置の例は、本発明の範囲に含まれるものを網羅するものではない。
【0056】
例示的な供給セットアセンブリ7は、経腸栄養ポンプ1を使用して計量された流体送達
を達成するために新生児の経腸栄養補給に使用され得る。このような方法では、経腸液は
、プランジャー20を引き戻すことにより注射器14内に引き込まれる。経腸液の量は、
注射器14のバレル18上の目盛りマークを用いて測定することができる。注射器14に
適当な量の経腸液を充填した後、注射器コネクタ30は、注射器接続部分38を注射器先
端部24にねじ込むことなどによって、注射器先端部24に取り付けることができる。チ
ューブ接続部分40も、入口チューブ77に接続することができる。カセット5をポンプ
ハウジング3に取り付ける前に、入口チューブ77は出口ポート69に接続することがで
き、出口チューブ83はカセット5の出口ポート71に取り付けることができる。
【0057】
カセット5をポンプハウジング3に取り付けるために、カセットシェル9のカセット本
体51の下部59にある1つ以上のピン又は隆起した突起119(図5)を、ハウジング
3の凹部6の下部にあるスロット124(図3及び図4)に挿入することができる。隆起
した突起119とスロット124との間の係合により、概ねカセットシェル9がハウジン
グ3上に配置される。カセット本体51は、その後、カセット本体の上部57にあるタブ
125の棚状部123が凹部6の上部にあるキャッチ127によって捕捉されるまで、上
方に回転させることができる(図2及び図4)。カセット5をポンプハウジング3から取
り外すために、タブ125を押し下げて、棚状部123をキャッチ127から外すことが
できる。カセット5がポンプハウジング3に取り付けられると、チューブ45は、ポンプ
1のローラー43が係合するように配置される。
【0058】
ポンプ支持体16は、注射器ホルダー62を複数の異なる角度方向に配置するように構
成可能であり、一方、ポンプ1及びポンプ支持体のベース60は、注射器ホルダー内に受
容された注射器14を対応する角度方向に配置するために支持面S上で水平方向に支持さ
れる。注射器14を特定の方向に方向付けることは、供給サイクルの初期に注射器内のあ
る量の流体中にある好ましい栄養分を送達するのに有利であり得る。一実施形態では、注
射器14は、水平方向に選択的に位置決め可能であり(図15)、それにより注射器の長
手方向軸LAは、注射器がホルダー62に受容されたときに水平軸に概ね平行に方向付け
られる。これは、ホルダー62の連結アーム110をベース60の後壁66に第1の取り
付け位置で取り付け、連結アームの穴113を後壁の穴117に第1の整列方向に整列さ
せることによって行われる。一実施形態では、注射器14は、垂直方向に選択的に位置決
め可能であり(図16)、それにより注射器の長手方向軸LAは、注射器がホルダー62
に受容されたときに注射器の先端部24が上を向くように垂直軸に概ね平行に方向付けら
れる(図17)。これは、ホルダー62の連結アーム110をベース60の後壁66に第
1の取り付け位置とは異なる第2の取り付け位置で取り付け、連結アームの穴113を後
壁の穴117に第2の整列方向に整列させることによって行われる。注射器14内に保持
されている栄養液が例えば母乳Mである場合、注射器の先端部24を上に向けることによ
り、母乳Mの内容物が自然に分離されることによって、母乳M内の脂肪Fが混合物の上部
に上昇し、それにより、母乳の無脂肪の液体部分に対して注射器14の出口28の最も近
くに脂肪Fが配置される。したがって、乳児にとって母乳Mの最も重要な部分である脂肪
Fが最初に乳児に送達される。これは、バレル18が水平に方向付けられるように注射器
14が配置されている場合には起こらない。この向きでは、母乳Mの脂肪Fは、先端部2
4から離れてバレル18の上部にたまる傾向があるので、水平の向きでは、母乳Mの水様
性内容物が最初に送達される。多くの場合、新生児は1回の授乳でごく少量の母乳しか許
容できない。したがって、新生児が授乳中にできるだけ早くできるだけ多くの脂肪を摂取
することが重要である。脂肪以外の好ましい栄養分は、先端が上向きの垂直な角度方向に
配置された注射器14で優先的に送達され得ると予想される。例えば、栄養液中のビタミ
ン及び/又はミネラルは、この角度方向で優先的に送達され得る。
【0059】
ポンプ支持体16はまた、注射器14を他の角度方向に方向付けるように構成される。
一実施形態では、注射器14は、斜め方向に選択的に位置決め可能であり(図18)、そ
れにより注射器の長手方向軸LAは、ホルダー62内に受容されたときに注射器の先端部
24が傾斜して上方を向くように垂直軸及び水平軸に対して斜めに配置される。これは、
ホルダー62の連結アーム110をベース60の後壁66に第1及び第2の取り付け位置
とは異なる第3の取り付け位置に取り付け、連結アームの穴113を後壁の穴117に第
3の整列方向に整列させることによって行われる。注射器14をこのように方向付けるこ
とにより、注射器内の母乳の内容物の自然な分離も可能になる。図示の実施形態では、注
射器は、水平軸に対して約40度の角度に方向付けられている。しかしながら、注射器1
4は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の角度に配置することができる。一実施形
態では、注射器14は、水平軸に対して約20度から約60度の間の角度に方向付けるこ
とができる。一実施形態では、注射器14は、水平軸に対して約20度から約40度の間
の角度に方向付けることができる。
【0060】
一実施形態では、ポンプ支持体16は、IVポールなどの垂直支持体に取り付けられて
注射器14を第2の垂直方向に方向付けることができ、それにより注射器の長手方向軸L
Aは、注射器の先端部24が下方を向くように概ね垂直軸に平行である。例えば、ポンプ
支持体16は、図15図16、及び図18の角度方向のいずれかに設定することができ
、ポンプ支持体の背面のマウント129によってIVポールに取り付けることができる。
次いで、ポンプ支持体16を操作して(例えば、回転させ又は方向を変えて)、注射器1
4を先端部24が下を向いた状態で垂直に延びるように方向付けることができる。注射器
14をこのように方向付けることにより、注射器14内の強化剤の幼児への送達が容易に
なる。これは、強化剤内の栄養分が注射器14のバレル20の下部に沈むためである。し
たがって、注射器14の先端部24が注射器14の下部に位置する場合、強化剤からの栄
養分が最初に送達される。また、ポンプ支持体16が図15図16、及び図18の角度
方向のいずれかに設定され、垂直支持体に取り付けられた状態で、ポンプ支持体を操作し
て、注射器14を任意の所望の角度方向に方向付けることができる。
【0061】
一実施形態では、ポンプ支持体16は、ポンプ1がポンプ支持体に受容されている間、
注射器ホルダー62の向きを変えることができないように構成される。したがって、注射
器ホルダー62は、ポンプ1の動作が開始された後、選択された向きのままでなければな
らない。したがって、注射器ホルダー62の向きを変えるには、ポンプ1をポンプ支持体
16から取り外すことと、注射器ホルダー62をベース60から取り外して注射器ホルダ
ーを所望のように再配置するためのツールが必要である。一実施形態では、ポンプ支持体
16は、注射器ホルダー62の位置を変えるために、病院のバイオテクノロジー部門又は
製造業者に戻されなければならない。
【0062】
図20及び21を参照すると、乳児に母乳を送達するときに注射器の先端部24を上方
に向けることにより、送達の初期段階中に脂肪の送達が大幅に増加することが見出されて
いる。比較研究では、母乳で満たされたセンターチップ注射器を、授乳サイクル中に異な
る角度位置に方向付け、脂肪送達の量及び時間を送達プロセス全体にわたって監視した。
特に、この研究では、水平な角度方向で、注射器の先端が上を向く状態で水平面に対して
25度の角度で、注射器の先端が上を向く状態で水平面に対して45度の角度で、注射器
の先端が上を向く状態で注射器が水平面に対して90度の角度で配置される垂直方向で、
及び注射器の先端が下を向く状態で注射器が水平面に対して90度の角度で配置される垂
直方向で保持された注射器で母乳が送達されるのを監視した。一般的に言えば、注射器の
先端が上を向くように方向付けられた注射器は、送達サイクルの初期に母乳の脂肪部分の
より大きい割合を送達した。逆に、注射器の先端が下を向く状態で方向付けられた注射器
は、送達サイクルの初期段階に母乳の脂肪部分の最も低い割合を送達した。
【0063】
それぞれの注射器方向の授乳サイクルは60分間続いた。5つの注射器方向のうち、注
射器の先端が上を向く垂直方向が、授乳サイクルの初期段階中に母乳の脂肪含有量を送達
するのに最も効果的であった。図21を参照すると、授乳サイクルの最初の20分以内に
、母乳中の総脂肪量の40%を超える量が送達された。一実施形態では、総脂肪量の44
%を超える量が最初の20分以内に送達された。また、その時間の一部以内に、送達され
る母乳の各量が10%を超える脂肪を含んでいた(図20)。一実施形態では、送達の最
初の20分以内の少なくとも5分間、送達される母乳の各量が10%を超える脂肪を含ん
でいた。他のどの向きも、送達サイクルの最初の20分以内にこれらの脂肪送達能力を再
現することができなかった。
【0064】
図21を参照すると、授乳サイクルの最初の30分以内に、母乳中の総脂肪量の60%
を超える量が送達された。一実施形態では、総脂肪量の63%を超える量が最初の30分
以内に送達された。また、その時間の一部以内に、送達される母乳の各量が10%を超え
る脂肪を含んでいた(図20)。一実施形態では、送達の最初の30分以内の少なくとも
10分間、送達される母乳の各量が10%を超える脂肪を含んでいた。他のどの向きも、
送達サイクルの最初の30分以内にこれらの脂肪送達能力を再現できなかった。
【0065】
図21を参照すると、授乳サイクルの最初の40分以内に、母乳中の総脂肪量の65%
を超える量が送達された。一実施形態では、総脂肪量の70%を超える量が最初の40分
以内に送達された。一実施形態では、総脂肪量の71%を超える量が最初の40分以内に
送達された。授乳サイクルの最初の50分以内に、母乳中の総脂肪量の80%を超える量
が送達された。一実施形態では、総脂肪量の84%を超える量が最初の50分以内に送達
された。最終的に、授乳サイクルの終了までに、総脂肪量の90%を超える量が送達され
た。一実施形態では、総脂肪量の94%を超える量が、授乳サイクルの終わりまでに送達
された。
【0066】
注射器14がポンプ支持体16のホルダー62に装填され、チューブ77に取り付けら
れた状態で、ポンプ1は注射器内の供給液を対象に送達するように構成される。ポンプ1
の動作により、ローラー43がカセットシェル9内のチューブ45に係合して、注射器1
4から対象に供給液が送り込まれる。ローラー43によるチューブ45の係合により、ロ
ーラー43がチューブ45を閉塞する。先端部24が上を向く状態で注射器が垂直方向に
方向付けられるようにポンプ支持体16が構成される場合、重力は注射器から供給流体を
引き出すのを補助しない。また、流体をバレル18から上方に押し出すプランジャー20
の直接作動はない。したがって、ローター37が回転してローラー34でチューブ45を
閉塞すると、液体ではなく空気が最初に注射器14の入口チューブ77及びバレル18か
ら引き出され、注射器内の真空圧が上昇する。十分な数のローター回転の後、入口チュー
ブ77及び注射器14内に真空が生成される。ローター37の継続的な回転により、ポン
プ1によって対象への出口チューブ83に送り込まれる供給流体がバレル18からカセッ
トシェル9の入口ポート69及びチューブ45を通って入口チューブ77内に引き込まれ
る。しかしながら、ローター37の回転は、重力が供給流体を注射器から下方に排出する
のを助けるように注射器の出口が方向付けられている従来のポンプ装置の場合のように、
供給セット7を通る供給流体の連続的で均一な流れを生じない。反対に、流体は、量が不
規則で時間が不連続な部分又は増分で注射器14から引き出される。例えば、ローター回
転の第1の期間中、注射器14から流体は引き出されない。この期間中、プランジャー2
0はバレル18に対して静止したままである。最終的に、流体ライン内の真空を生じるロ
ーター37の回転は、対象に送り込まれる注射器14からの流体の第1の量を引き出す。
プランジャー20は、第1の増分量が供給されるとさらにバレル18内へと揺れながら進
むが、その後、真空圧が低下すると再び停止する。ローターの回転を駆動するポンプモー
ターの動作は、十分な量のプランジャー20の移動(例えば、これに限定されるものでは
ないが、少なくとも約0.1mlの液体が送達されることに関連する移動)の後、一時的
に停止され得る。移動が検出されると、プランジャーの停止位置が読み取られる前に遅延
時間があり、動作を停止できるようになる。ローター37の回転を一時的に停止すること
により、供給ライン内の真空圧の上昇が停止し、気泡の形成を防止するのに役立つ。以下
でより完全に説明するように、ローターの回転が一定期間停止された後、回転が再開され
る。しかしながら、ローター37の継続的な回転は、注射器14からの流体の一定流量を
生じない。それどころか、ローター37が回転している間に、注射器14から流体が引き
出されない第2の期間が経過する。最終的に、ローター37のこの更なる回転により、プ
ランジャー20は再びバレル18内で前方に揺れながら進み、注射器14から流体の第2
の増分量が引き出される。このプロセスは授乳サイクル全体にわたって継続する。各セグ
メント内の注射器14から引き出される流体の量は、流体が引き出される間の期間と同様
に変化し得る。したがって、所定量の栄養液を対象に送達するために、ポンプ1によって
生成される非線形の流体送達を考慮した供給時間の計算が行われる。
【0067】
ポンプ1は、所望の方法で動作するようにプログラムされ又は別の方法で制御され得る
。例えば、ポンプ1は、注射器14から対象に供給流体を供給するための動作を開始する
ことができる。介護者などの使用者は、送達される流体の量、流体の流量、及び流体送達
の頻度を(例えば)選択することができる。ポンプ1は、マイクロプロセッサ89などの
プロセッサを含むコントローラ72(図19)を有することができ、プロセッサは、ポン
プ1がプログラミングを受け入れること、及び/又は、使用者によって開始され得る予め
プログラムされた動作ルーチン、例えば、アルゴリズムを含むことを可能にする。コント
ローラ72はまた、その動作を制御してローター37を作動させるためにポンプモーター
27に接続され得る。
【0068】
対象に送達される供給流体の量は、典型的には、(図3に見られるように反時計回り方
向の)ローター37の回転数によって制御される。例示的に示された実施形態では、ロー
ター37は、回転の1/3ごとに1アリコートの流体を対象に供給されるように、3つの
ローラー43を含む。各ローラー43が最初にチューブ45に係合するときに、ローラー
43がチューブを摘み、それにより供給源から来る流体から前方に(すなわち、対象に向
かって)ある量の流体を隔離する。ローラー43は、反時計回りの回転を続け、それによ
りローラーの前方の流体の摘み取られた量、例えば、アリコートを対象に向かって押し出
す。最後に、流体の次のアリコートを送達するために後続ローラーがチューブを摘むため
にチューブに係合するのとほぼ同時に、先行ローラー43はチューブ45との係合を解除
する。したがって、マイクロプロセッサ89は、選択された流体流量を送達するコマンド
を受け取ると、典型的には、所望の流量を生成する複数のアリコートを送達する所定の期
間内の回転数を計算する。選択された流量は、医師、看護師又は他の介護者によって入力
又は選択された速度であるか又はポンプ1に予めプログラムされたデフォルトの供給速度
であることができる。
【0069】
しかしながら、上記のように、ローター37が動作し、先端部24が上を向く状態で注
射器14が垂直方向に方向付けられているとき、ポンプ1は流体の一定流量を生じない。
それどころか、栄養液は、量及び時間がほとんど常に不均一である複数の部分又は増分で
注射器14から引き出される。したがって、コントローラ72は、タイマー91と、供給
サイクル中に一定時間が経過した後に注射器から引き出される流体の部分がプログラムさ
れた流量から逸脱する場合に供給時間を調整する供給時間補正器85を含むメモリ領域9
3とを備えることができる。図示の実施形態では、供給時間補正器85は、供給時間補正
命令95と、供給時間補正機能97とを含むことができる。供給時間補正命令95は、メ
モリ領域93として広く認識される任意の好適な媒体上の機械可読命令である。これらの
命令は、マイクロプロセッサ89によって実行され得る。タイマー91は、注射器14か
ら対象に供給流体を送達するために供給サイクル(広義には「動作サイクル」)が開始又
は実行されるときに、適切な方法で開始され得る。供給時間補正器85は、供給サイクル
の追加パラメータと共にこの情報を使用して、供給サイクル中に供給される供給流体の潜
在的に不均一な量を補正することができる。
【0070】
供給時間補正器85は、ポンプ1が供給段階で作動している間に注射器14用に引き出
されて対象に送達される供給流体量の偏差を考慮に入れるために、供給セット7を通して
供給流体を送達するための継続時間を調整するように動作することができる。この調整係
数は、供給流体に対する選択された又は予めプログラムされた流量、対象に送達される供
給流体の量、及びポンプ1が供給サイクル中に作動していた時間によって決まり得る。よ
り具体的には、コントローラ72は、以下の関数を使用して、調整又は補正された供給時
間を決定することができる。
X=(Y+Yl)/(Z+Zn)
Xは、供給サイクル中の供給流体に対する選択された流量である。Yは、注射器14から
引き出され、供給サイクルにおける以前のすべての補正計算で考慮された供給流体の量で
ある。Ylは、前回の補正計算以降に注射器14から引き出された供給流体の量である。
Zは、供給サイクルの開始から供給補正動作の開始までに経過した合計時間である。Zn
は、総供給サイクル時間に加算される調整又は補正供給サイクル時間である。関数は、因
数の1つ以上が介護者によってポンプ1に入力されたとき(又は予めプログラムされた供
給設定に含まれたとき)、マイクロプロセッサ79が式Zn=(Y+Y1-XZ)/Xに
従って供給時間の調整Znを計算することができるように、コントローラ72に格納する
ことができる。供給時間補正器85は、Zn=(Y+Y1-XZ)/Xを計算する際に用
いるコンピュータ実行可能命令86を提供する。一実施形態では、供給時間の計算は、ロ
ーター37の回転が停止されている間に流体の各部分又は増分が注射器14から引き出さ
れた後に行われる。次いで、供給補正機能97は、実際の流体流量を選択された流体流量
に近づけるために時間Znだけポンプ1に動作を一時停止させる。
【0071】
実際には、かなりの量の流体がより大きい移動で送達される前に、バレル18に対する
プランジャー20のいくつかの非常に小さい移動があり得る。一実施形態では、これらの
より小さい移動は無視される。言い換えれば、供給時間補正器85は、閾値量の供給流体
が注射器14から引き出されるまで、供給時間補正計算を開始しないことができる。例え
ば、供給時間補正計算は、少なくとも約0.05mlの流体に関連する移動が検出される
まで行われないことができる。供給時間補正計算の開始のための閾値は、記載されるもの
以外であることができ、例えば、これらに限定されるものではないが、閾値は、本発明の
範囲内で1ml、2ml又はそれ以上であってもよいが。
【0072】
さらに、「揺れながら進む」流体送達アプローチを使用することにより、注射器を動か
すのに必要な最小量の真空のみが形成するシステムが作られる。可能な限り最小の真空を
使用することにより、液体中の気泡の形成が大幅に減少し、場合によってはなくなる。液
体中に気泡を浮遊させると、全体的な測定精度の誤差が生じ、望ましくない。
【0073】
追加的又は代替的に、供給時間補正器85は、Y+Y1の値(注射器14から以前に引
き出された供給流体の量に最新の増分を加えたもの)を、対象に送達される供給流体の所
望の総量と比較することができる。Yが所望の総量の所定の範囲内にある場合、供給サイ
クルは停止される。例えば、Yが所望の総量の0.1ml以内である場合、授乳サイクル
は停止される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の範囲(例えば、0.05ml、
0.15ml、0.2ml、0.25ml、0.3mlなど)が使用され得る。
【0074】
スタンド16及びバレル18に対する注射器14のプランジャー20の位置を検出する
ためにカメラが使用される実施形態では、カメラはプランジャー上の任意の基準点を選択
し、選択された基準点の変化する位置を監視することによって移動の長さを特定すること
ができる。本明細書で先に述べたように、カメラは、送達される流体量で直線運動を較正
するために内部容積の適切な断面積(又は直径)がわかるように、注射器のタイプ(例え
ば、ブランド又はサイズ)を検出するためにも使用され得る。しかしながら、特定の注射
器バレルの内径がわからない場合、コントローラ72の較正は、バレル18及びスタンド
16に対するプランジャー20の直線運動を、供給される流体の実際の量と比較すること
によって行うことができる。例えば、ポンプ1の較正モードでは、液体で満たされた注射
器14をスタンド16に設置し、ポンプに接続することができる。ポンプ1を始動して、
注射器14から液体を送達させることができる。使用者は量を入力するように求められ、
コントローラ72は、測定された量についてバレル18内のプランジャー20の位置を記
録する。この動作は、ポンプのディスプレイに表示される命令に従って繰り返され、プラ
ンジャー位置及び供給量のいくつかのデータ点を生成する。これらの点は、特定の注射器
で動作するようにコントローラ72を較正するために直線当てはめ計算で使用することが
できる。情報は、較正された特定のタイプの注射器14を使用するときはいつでも使用す
ることができるように、コントローラ72に保存することができる。
【0075】
代替的に、ポンプ1のコントローラ72は、プランジャー20をバレル18内に前進さ
せる一連の注射器操作を行うように使用者に指示するようにプログラムすることができ、
マイクロプロセッサ89は、注射器の動きを記録して、供給された液体の量で動きを較正
することができる。例えば、コントローラ72は、注射器14のバレル18内のプランジ
ャー20を0mlマークまで移動させ、次いでその動作が行われたことを確認するように
使用者に指示することができる。次いで、マイクロプロセッサ89は測定値を記録する。
このプロセスは、注射器の中心部で再び繰り返すことができ、そこでは注射器を別の容量
マーカー(例えば、30ml)に移動させる指示を与えることができる。次いで、マイク
ロプロセッサ89は、注射器(すなわち、バレル18)が移動した距離を記録する。最後
に、注射器14内のプランジャー20をバレル18の端部又はその近くなどの別の容量マ
ーカーに移動させるための指示を提供することができる。マイクロプロセッサ89は、注
射器が移動した距離を再び記録する。これらの3つのデータ点を用いて、注射器に対する
直線曲線キャリブレーションを作成することができる。
【0076】
したがって、様々な目的及び特徴が、本明細書に開示された様々な実施形態によって達
成されることが分かるであろう。ポンプのコントローラ72は供給時間補正器85を有し
、供給時間補正器85は、マイクロプロセッサ89がローター37を作動させて供給セッ
ト7を介して供給流体を送達する時間の長さを調整して、ポンプ1が供給段階で作動して
いる間に注射器14用に引き出されて対象に送達される量の偏差を考慮に入れることを可
能にする。したがって、対象は、所与の供給サイクルに対してより正確な量の供給流体を
受け取ることができる。
【0077】
図22~25を参照すると、別の実施形態のポンプ支持体が全体として116で示され
ている。ポンプ支持体116は、ポンプ1を受けて、卓上などの水平支持面S上でポンプ
を支持するように構成される。ホルダー116は、ポンプ1をその中に受容するためのポ
ケット124を画定するベース122を備える。ベース122は、後壁126と、後壁か
ら前方に突出する底壁128と、後壁の両側で底壁から上方にかつ後壁から前方に突出す
る一対の側壁130とを含む。マウント132が後壁126に配置され得る。図示の実施
形態では、マウント132は、丸みを帯びた三角形又はアーチ形の形状を有し、概ねベー
スの頂部から底壁128に向かってマウントの両側に分岐する取り付けフランジ134を
含む。マウント132の取り付けフランジ134は、ポンプ1の背面に形成された溝13
6(図4A)にスライドして係合し、ポンプを支持体116に取り付けるように構成する
ことができる。ポスト138は、マウント132の周囲内の後壁126上に配置すること
ができ、ポンプ1をベース122にロックするためのリテーナ(図示せず)を受容するレ
セプタクルを有することができる。
【0078】
脚部142は、ベース122の底部に配置されたそれぞれの取り付けアーム144に旋
回可能に取り付けられる。各取り付けアーム144は、ベース122の正反対のそれぞれ
の側から、概ね底壁128とそれぞれの側壁130との間に延びる。各取り付けアーム1
44は、延長部分146と、延長部分の端部にある旋回部分148とを含む。脚部142
は、取り付けアーム144の旋回部分148を中心に旋回する。各脚部142は、平坦な
上面150と、平坦な底面152と、上面と底面とを接続する端面154とを含む。脚部
142は、対応する側壁130にそれらが係合するまで上向きに旋回し、それらが取り付
けられた取り付けアーム144の延長部分146にそれらが係合するまで下向きに旋回す
る。一実施形態では、各脚部142は、約180度の範囲にわたって旋回するように構成
される。しかしながら、他の旋回範囲も想定される。
【0079】
支持体116が水平支持面S上に支持されるとき、各脚部142は独立して旋回可能で
あり、旋回部分148によって画定される軸を中心に旋回するように構成される。したが
って、脚部142は、支持面と係合するために支持面に向かって旋回し、脚部の少なくと
も一部を支持面から解放するために支持面から離れるように旋回するように構成される。
例えば、脚部142の一方を旋回させて、(例えば、図25に示すように)脚部の底面1
52及び/又は端面154を支持面Sに係合させ、支持体116(及び支持体上のポンプ
1)の一方の側を他方の側より上に持ち上げ又は傾斜させて、ポンプの角度方向を変える
ことができる。注射器が水平方向に取り付けられたポンプ1の場合、これにより、先端が
向いている方向と、支持面に係合するように旋回された脚とに応じて、注射器の先端は上
向き又は下向きに傾くことができる。注射器の先端が上向きに傾いている場合、これは、
注射器が水平軸及び垂直軸に対して斜めに方向付けられたポンプ支持体16と同様の機能
を提供する。上述のように、この向きは、母乳が注射器から送達されるときに利点がある
。脚部142は、ホルダーが水平支持面上に位置するときに、水平軸に対して約1度から
約40度の間の角度に支持体116を傾けるように構成される。脚部142はまた、本開
示の範囲から逸脱することなく、ポンプ1に取り付けられた注射器を他の方向に方向付け
るように操作され得る。ポンプ支持体116はまた、ポンプ支持体をIVポールなどの支
持体に取り付けるためのクランプ装置(図示せず)に取り付けるように構成される。
【0080】
実施形態は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラ
ムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的な状況で説明することができる。
コンピュータ実行可能命令は、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装
するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及びデータ構造を含むが、
これらに限定されない、1つ以上のコンピュータ実行可能コンポーネント又はモジュール
に編成され得る。態様は、このようなコンポーネント又はモジュールの任意の数及び編成
で実装することができる。例えば、様々な特徴又は態様は、特定のコンピュータ実行可能
命令又は図に示され、本明細書に記載されている特定のコンポーネント又はモジュールに
限定されない。他の実施形態は、図示されかつ本明細書に記載されているものよりも多い
か又は少ない機能を有する、異なるコンピュータ実行可能命令又はコンポーネントを含む
ことができる。
【0081】
また、図示されかつ本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおける動作の遂行
又は実行の順序は、別段の指定がない限り、重要ではない。すなわち、特に明記されてい
ない限り、動作は任意の順序で行うことができ、実施形態は、本明細書に開示されたもの
に比べて追加の動作又は少ない動作を含むことができる。例えば、別の動作の前に、同時
に、又は後に特定の動作を遂行又は実行することは、1つ以上の態様の範囲内であると考
えられる。
【0082】
動作において、コントローラ72のマイクロプロセッサ89は、本明細書に開示されて
いる1つ以上の態様を実施するために、図に示されるようなコンピュータ実行可能命令を
実行する。様々な態様のいずれも、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理
デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施することができ
る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを
含むローカル及びリモートコンピュータ記憶媒体の両方に配置することができる。
【0083】
本発明の要素又はその好ましい実施形態を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「t
he」及び「said(前記)」は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意
図している。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、包括的であることを意
図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。
【0084】
上記を踏まえると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が達成される
ことがわかるであろう。
【0085】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構造に様々な変更を加えることができるの
で、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく
、例示として解釈されることが意図されている。
【0086】
開示の他の態様
【0087】
A1. ポンプ軸を中心に回転するためのローターと、ポンプセットに係合するためのロ
ーターに取り付けられた少なくとも1つのローラーとを含むポンプシステムを有する流量
制御装置と共に使用するポンプセットであって、
【0088】
チューブを通して流体を送り込むために流量制御装置のポンプシステムが係合するよう
に構成されたチューブと、
【0089】
チューブに接続された注射器アセンブリであって、注射器と、注射器を概ね垂直方向に
支持するように構成されたスタンドとを備え、スタンドによって支持された注射器は、注
射器がスタンドに支持されたときにチューブと流体連通する注射器の出口が概ね上向きに
なるように方向付けられる、注射器アセンブリと
を備えるポンプセット。
【0090】
A2. スタンドは、プランジャーをスタンドに対して定位置に保持するように構成され
る、A1に記載のポンプセット。
【0091】
A3. スタンドは、ベースと、ベースから上方に突出するガイド壁とを備え、ベースは
プランジャーの端部を捕捉するように形成される、A2に記載のポンプセット。
【0092】
A4. スタンドは、ガイド壁に沿って移動するように取り付けられたグリッパーをさら
に備え、グリッパーは、スタンドのベースの周りに注射器のバレルを保持するように構成
される、A3に記載のポンプセット。
【0093】
A5. ベースは支持面に載るように構成され、ガイド壁は支持面から上方に延び、注射
器はベースから上方に延びる、A2又はA3に記載のポンプセット。
【0094】
B1. 流量制御装置と共に使用する注射器アセンブリであって、注射器アセンブリは、
【0095】
ある量の供給流体を保持するための注射器であって、ある量の供給流体を保持するため
のバレルと、流体をバレルに引き込み、流体をバレルから押し出すためにバレル内で移動
可能なプランジャーとを備える注射器と、
【0096】
注射器を供給位置で支持するように構成された支持体を備えるスタンドと、
【0097】
スタンドに取り付けられ、供給流体がバレルから送達されることを示す、スタンドに対
する注射器のバレルの移動を検出するように構成された位置センサーと
を備える、注射器アセンブリ。
【0098】
B2. 位置センサーは、ポテンショメータ、カメラ、磁気箔センサー、及び非磁気誘導
センサーのうちの1つを含む、B1に記載の注射器アセンブリ。
【0099】
B3. スタンドは注射器のバレルに接続するように構成されたグリッパーを含み、グリ
ッパーはスタンドに対して移動可能である、B1又はB2に記載の注射器アセンブリ。
【0100】
B4. グリッパーは位置センサーに接続される、B3に記載の注射器アセンブリ。
【0101】
B5. 位置センサーはカメラを含み、注射器アセンブリは、スタンドに取り付けられた
注射器のタイプを検出するように構成されたコントローラをさらに含む、B1に記載の注
射器アセンブリ。
【0102】
C1. 供給源からポンプセットを通して対象に流体を送達するためのポンプセットと
共に使用する流量制御装置であって、
【0103】
供給サイクル中にポンプセット内で流体の流れを生成するようにポンプセットに作用す
ることができるポンプ装置と、
【0104】
ポンプセット内で流体の流れを生成するための供給配置においてポンプ装置の動作を制
御するためにポンプ装置と通信するコントローラであって、コントローラはプロセッサ及
びメモリを含み、コントローラは、選択された流量及び流体の所望の流体量をメモリに記
憶するように適合され、コントローラは、選択された流量からの、供給源からの実際の流
量の検出された偏差を考慮に入れるために、供給サイクル中にポンプセットを通して流体
を送達するポンプ装置を動作させるための供給時間を調整する供給時間補正器をプロセッ
サ内で実行するように構成されるコントローラと
を備える流量制御装置。
【0105】
C2. コントローラは、選択された流量からの実際の流量の検出された偏差を補正す
るためにポンプ装置の動作を一時停止する、C1に記載の流量制御装置。
【0106】
C3. コントローラは、実際に送達された流体の総量を流体の所望の量と比較し、そ
の差が所定の閾値内である場合に供給サイクルを終了する、C1又はC2に記載の流量制
御装置。
【0107】
C4. 供給時間補正器は、式X=(Y+Yl)/(Z+Zn)に基づいて補正された
供給時間を計算し、式中、Xは流体に対する選択された流量であり、Yは供給サイクル中
に供給源から既に供給された流体の量であり、Ylは前回の補正計算以降に供給源から供
給された供給流体の量であり、Zは供給サイクル中に経過した合計時間であり、Znは供
給時間の調整である、C1~C3のいずれかに記載の流量制御装置。
【0108】
C5. コントローラは、閾値量の流体が供給源から供給された後にのみ供給時間補正
器を実行するようにプログラムされている、C1~C4のいずれかに記載の流量制御装置
【0109】
D1. 流量制御装置に取り付けられたポンプセットに作用してポンプセットを通る流
体の流れを生成する流量制御装置のポンプ装置を用いて、バレル及びバレル内に受容され
たプランジャーを有する注射器から流体を送達する方法であって、
【0110】
ポンプ装置のコントローラに、選択された流量と動作サイクル中に注射器から送達され
る流体の総量のうちの少なくとも1つを入力することと、
【0111】
注射器から流体を引き出すためにコントローラを用いてポンプ装置の動作を開始するこ
とと、
【0112】
プランジャーと注射器との相対移動を検出し、検出された相対移動を表す信号をコント
ローラに送信することと、
【0113】
コントローラ内のコンピュータ実行可能命令を用いて、流体が実際に注射器から送達さ
れる速度と選択された流量における偏差を補正するために、動作サイクル中にポンプ装置
を作動してポンプセットを通して流体を送達するための補正供給時間を計算することと、
【0114】
補正供給時間でポンプセットを通して流体を送達するように流量制御装置を作動させる
ことと
を含む方法。
【0115】
D2. コントローラは、計算された補正供給時間だけポンプ装置の動作の開始を遅ら
せる、D1に記載の方法。
【0116】
D3. プランジャーと注射器との相対移動を検出すると、コントローラがポンプ装置
の動作を停止する、D1又はD2に記載の方法。
【0117】
D4. 所定の閾値の移動を超えるプランジャーと注射器との相対移動を検出すると、
コントローラがポンプ装置の動作を停止する、D3に記載の方法。
【0118】
D5. 補正供給時間は、ポンプ装置がポンプセットを通して流体を送り込むように動
作していないときに計算される、D1~D4のいずれかに記載の方法。
【0119】
E1. 母乳を乳児に送達する方法であって、
【0120】
バレル及びバレル内に受容されたプランジャーを有する注射器に保存された母乳を回収
することと、
【0121】
注射器の長手方向軸が概ね垂直であり、注射器の出口が上部に位置するように、注射器
をスタンドに取り付けることと、
【0122】
スタンドにある間に注射器から乳児に母乳を送達することと
を含む方法。
【0123】
E2. 母乳を送達することは、注射器の出口に真空圧を加えることによって注射器か
ら母乳を引き出すことを含む、E 1に記載の方法。
【0124】
E3. 母乳を送達することは、注射器のバレルをスタンド及びプランジャーに対して
動かすことを含む、A1又はE 2に記載の方法。
【0125】
F1. 注射器から対象に流体を送達するために使用される流量制御装置を較正する方
法であって、
【0126】
流量制御装置のディスプレイに命令を表示させて、流量制御装置によって記憶された較
正ルーチンを開始することと、
【0127】
注射器のバレルに対する注射器のプランジャーの最初の位置を保存することと、
【0128】
注射器から第1の量の流体を送達することと、
【0129】
送達された第1量の流体の流量制御装置への流入を促すことと、
【0130】
プランジャーの第2の位置を保存することと、
【0131】
流量制御装置を作動させて第2の量の流体を送達することと、
【0132】
送達された第2の量の流体の流量制御装置への流入を促すことと、
【0133】
プランジャーの第3の位置を保存することと、
【0134】
流量制御装置内で、注射器のバレルに対するプランジャーの移動と送達される流体の量
との間の移動/量の関係を特定することと、
【0135】
移動/量の関係を流量制御装置のメモリに保存することと、
【0136】
注射器用の注射器識別子を記憶することであって、それにより流量制御装置が後の流体
の送達で注射器を使用するために移動/量の関係を呼び出すことができることと
を含む方法。
【0137】
G1. 注射器から対象に流体を送達するために使用される流量制御装置を較正する方
法であって、
【0138】
流量制御装置のディスプレイに命令を表示させて、流量制御装置によって記憶された較
正ルーチンを開始することと、
【0139】
流量制御装置に注射器のバレルに対する注射器のプランジャーの最初の位置を保存する
ことと、
【0140】
プランジャーをバレルに対して第1の既知の容量マーカーにある第2の位置に移動させ
るように命令を表示させることと、
【0141】
初期位置から第2位置へのバレルに対するプランジャーの移動を流量制御装置に記録す
ることと、
【0142】
プランジャーをバレルに対して第2の既知の容量マーカーにある第3の位置に移動させ
るような命令を表示させることと
【0143】
第2位置から第3の位置へのバレルに対するプランジャーの移動を流量制御装置に記録
することと、
【0144】
流量制御装置内で、注射器のバレルに対するプランジャーの移動と送達される流体の量
との間の移動/量の関係を特定することと、
【0145】
移動/量の関係を流量制御装置のメモリに記憶することと
を含む方法。
【0146】
G2. 注射器用の注射器識別子を記憶することをさらに含み、それにより流量制御装
置が後の流体の送達で注射器を使用するために移動/量の関係を呼び出すことができる、
G 1に記載の方法。
【0147】
H1. 流量制御装置に取り付けられたポンプセットに作用してポンプセットを通る流
体の流れを生成する流量制御装置のポンプ装置を用いて、バレル及びバレル内に受容され
たプランジャーを有する注射器から流体を送達する方法であって、
【0148】
ポンプ装置のコントローラに、選択された流量と動作サイクル中に注射器から送達され
る流体の総量のうちの少なくとも1つを入力することと、
【0149】
注射器から流体を引き出すためにコントローラを用いてポンプ装置の動作を開始するこ
とと、
【0150】
プランジャーと注射器との相対移動を検出し、検出された相対移動を表す信号をコント
ローラに送信することと、
【0151】
注射器内の真空圧を制限するためにポンプ装置の動作を停止することと、
【0152】
ポンプ装置を再始動することと
を含む方法。
【0153】
I1. 供給源からポンプセットを通して対象に流体を送達するためのポンプセットと
共に使用する流量制御装置であって、
【0154】
供給サイクル中にポンプセット内で流体の流れを生成するようにポンプセットに作用す
ることができるポンプ装置と、
【0155】
ポンプセット内で流体の流れを生成するための供給配置においてポンプ装置の動作を制
御するためにポンプ装置と通信するコントローラであって、コントローラはプロセッサ及
びメモリを含み、コントローラは、選択された流量及び流体の所望の流体量をメモリに記
憶するように適合され、コントローラは、供給源に送達される真空圧を制限するようにポ
ンプ装置を作動させるように構成されるコントローラと
を備える流量制御装置。
【0156】
J1. 供給源からポンプセットを通して対象に流体を送達するためにポンプセットと
共に使用される流量制御装置であって、
【0157】
供給サイクル中にポンプセット内で流体の流れを生成するようにポンプセットに作用す
ることができるポンプ装置と、
【0158】
ポンプセット内で流体の流れを生成するための供給配置においてポンプ装置の動作を制
御するためにポンプ装置と通信するコントローラであって、供給源からの所定量の供給溶
液の送達が検出されるとポンプ装置の動作を停止するように構成されるコントローラと
を備える流量制御装置。
【0159】
J2. 供給源は、バレルと、バレル内に受容されたプランジャーとを含む注射器であ
り、コントローラは、プランジャーの所定の移動が検出されるとポンプ装置を停止させる
、J1に記載の流量制御装置。
【0160】
K1. 対象に流体を送達するための経腸栄養システムであって、
【0161】
カセットと、カセットに取り付けられたチューブとを含む供給セットアセンブリと、
【0162】
チューブに接続された注射器と、注射器を支持するように構成されたスタンドとを含む
注射器アセンブリであって、スタンドは、水平支持面上でスタンドを支持するためのベー
スと、注射器をスタンドに固定するためのホルダーとを含み、ホルダーはベースに取り付
け可能であり、注射器を少なくとも2つの異なる位置に方向付けるためにベースに対して
選択的に位置決め可能である注射器アセンブリと、
【0163】
送給セット内に流体流を生成するために注射器から流体を引き出すようにチューブに作
用することができるポンプ装置を含む流量制御装置と
を備える経腸栄養システム。
【0164】
L1. 流量制御装置と共に使用する供給セットアセンブリであって、
【0165】
流量制御装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたカセットであって、入
口ポートを含むカセットと、
【0166】
入口ポートに接続されたチューブと、
【0167】
チューブに接続されたバルブアセンブリであって、バルブハウジングと、周囲空気がチ
ューブに入るのを防ぐ閉位置と、周囲空気がチューブに入り、チューブからチューブ内の
流体を取り除くことを可能にする開位置との間で作動可能なバルブとを含むバルブアセン
ブリと
を備える供給セットアセンブリ。
【0168】
M1. 流量制御装置のポンプ装置を用いて注射器から対象に強化剤を送達する方法で
あって、
【0169】
好ましい栄養分の総量とある量の好ましくない栄養液とを含むある量の強化剤を注射器
に提供することと、
【0170】
流量制御装置に対して注射器の取り付けることと、
【0171】
注射器の出口が下を向くように注射器を概ね垂直に方向付けることと、
【0172】
注射器から強化剤を引き出すためにポンプ装置の動作を開始することと、
【0173】
強化剤中の好ましい栄養分が注射器から優先的に送達されるように、注射器から対象に
強化剤の少なくとも一部の量を送達することと
を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出口を有するバレルと、前記出口の反対側の前記バレルの端部に受容されたプランジャーとを含む注射器を支持するための注射器スタンドであって、
前記注射器スタンドを水平支持面で支持するためのベースと、
前記注射器を前記注射器スタンドに固定するためのホルダーであって、前記ホルダーは、前記ベースに取り付け可能であり、前記注射器を少なくとも2つの異なる位置に方向付けるために前記ベースに対して選択的に位置決め可能であり、前記ホルダーは、前記注射器のバレル及びプランジャーの少なくとも一部を受容するように構成されたレセプタクルを備える、ホルダーと
前記レセプタクル内の前記プランジャーの移動をガイドするように構成されたガイドアセンブリであって、前記ガイドアセンブリは、少なくとも1つのレールと、前記レールに沿って移動可能なスライドとを備え、前記プランジャーの移動により、前記スライドが前記レールに沿って移動し、前記レセプタクル内の前記プランジャーの移動をガイドする、ガイドアセンブリと
を備える注射器スタンド。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記注射器の長手方向軸が垂直軸に概ね平行でありかつ前記注射器の出口が上を向くように前記注射器が概ね垂直方向に方向付けられる第1の位置と、前記注射器の長手方向軸が水平軸に概ね平行であるように前記注射器が概ね水平方向に方向付けられる第2の位置とに位置決め可能である、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項3】
前記ホルダーは、前記注射器の長手方向軸が垂直軸及び水平軸に対して斜めに方向付けられる第3の位置に位置決め可能である、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項4】
前記ホルダーは、前記注射器のバレルを前記スタンドに対して定位置に保持するように構成される、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項5】
前記ホルダーに取り付けられ、前記バレルから流体が送り出されていることを示す、前記ホルダーに対する前記プランジャーの移動を検出するように構成された位置センサーをさらに備える、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項6】
前記位置センサーは、前記少なくとも1つのレールに沿った前記スライドの移動に基づいて前記プランジャーの移動を検出するように構成される、請求項5に記載の注射器スタンド。
【請求項7】
前記位置センサーは、ポテンショメータ、カメラ、磁気箔センサー、及び非磁気誘導センサーのうちの1つを含む、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項8】
前記ベースは、流量制御装置を前記ベースに取り付けるように構成される、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項9】
前記ベース上に貫通コネクタをさらに備え、前記コネクタは、ポートと、前記ポートと連通するプラグとを含み、前記プラグは、前記流量制御装置のポートと接続するように構成され、前記ベースのポートは、前記プラグを受容して前記コネクタを介して前記プラグを前記流量制御装置のポートと接続するように構成される、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項10】
前記ベースは、前記注射器スタンドを垂直支持体に取り付けるためにクランプに取り付けるためのマウントを含む、請求項に記載の注射器スタンド。
【請求項11】
前記少なくとも1つのレールは、第1のレールと第2のレールを含む、請求項1に記載の注射器スタンド。
【外国語明細書】