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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001641
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20231227BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L27/108 671A
H01L27/088 E
H01L27/088 B
H01L27/088 C
H01L27/108 671Z
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100420
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 恵子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章輔
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC10
5F048BA14
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB01
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD01
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F083AD06
5F083AD24
5F083GA06
5F083GA09
5F083GA10
5F083GA11
5F083GA25
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA44
5F083JA60
5F083KA01
5F083MA05
5F083MA06
5F083MA19
5F083PR21
5F083PR33
(57)【要約】
【課題】 特性劣化の抑制を図れる酸化物半導体層を含む半導体装置を提供すること。
【解決手段】 半導体装置1は、第1の絶縁層22と、第1の絶縁層22上に設けられたゲート電極層53と、ゲート電極層53上に設けられた第2の絶縁層23とを含む。半導体装置1は、更に、第2の絶縁層23、ゲート電極層53及び第1の絶縁層22に沿って設けられた酸化物半導体層51と、第2の絶縁層23、ゲート電極層53及び第1の絶縁層22に沿って設けられ、酸化物半導体層51の側面を囲むゲート絶縁層52とを含む。半導体装置1は、更に、第1の絶縁層22、ゲート電極層53及び第2の絶縁層23を介して、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52を囲む、第1の水素バリア膜42を含む。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に設けられたゲート電極層と、
前記ゲート電極層上に設けられた第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられた酸化物半導体層と、
前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられ、前記酸化物半導体層の側面を囲むゲート絶縁層と、
前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第2の絶縁層を介して、前記酸化物半導体層及び前記ゲート絶縁層を囲む、第1の水素バリア膜と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられ、前記酸化物半導体層とは別の酸化物半導体層と、
前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられ、前記別の前記酸化物半導体層の側面を囲む、前記ゲート絶縁層とは別のゲート絶縁層と、
を更に具備する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の水素バリア膜を介して、前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第2の絶縁層の側面に設けられた第3の絶縁層を更に具備する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3の絶縁層の下面及び上面は、水素バリア膜で覆われていない請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記酸化物半導体層の上面に設けられた電極と、
電極の側面に設けられた第2の水素バリア膜と、
を更に具備する請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電極は、水素バリア性を有する導電膜を含む請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
基板と、前記基板に設けられた回路を更に具備し、
前記酸化物半導体層は、前記基板と前記電極との間に設けられている、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記酸化物半導体層は、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、酸素とを含む請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の水素バリア膜は、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜である請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の水素バリア膜は、
二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜と、
二酸化シリコン膜よりも水素透過性が低い導電膜とを含む、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜は、シリコン窒化膜、アルミナ膜、チタン酸化膜又はクロム酸化膜である請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記二酸化シリコン膜よりも水素透過性が低い導電膜は、ルテニウム膜、窒化チタン膜又はチタンカーバイド膜である請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上にゲート電極層、第2の絶縁層を順次形成する工程と、
前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層及び第2の絶縁層を加工することにより、周囲が溝で囲まれ、前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第2の絶縁層を含む積層体を形成する工程と、
前記積層体の側面に第1の水素バリア膜を形成する工程と、
前記溝内を第3の絶縁層により埋め込む工程と、
前記積層体を加工することにより、前記積層体を貫通するスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの側壁にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記スルーホール内に酸化物半導体層を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記酸化物半導体層を形成する工程の後に、水素を含む雰囲気中でアニール処理を行う工程を更に具備する請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、酸化物半導体層を含む半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一つとして、酸化物半導体層を含むトランジスタを用いたものが知られている。このトランジスタでは、酸化物半導体層にチャネルが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-134077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、特性劣化の抑制を図れる酸化物半導体層を含む半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に設けられたゲート電極層と、前記ゲート電極層上に設けられた第2の絶縁層とを含む。実施形態の半導体装置は、更に、前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられた酸化物半導体層と、前記第2の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第1の絶縁層に沿って設けられ、前記酸化物半導体層の側面を囲むゲート絶縁層とを含む。実施形態の半導体装置は、更に、前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層及び前記第2の絶縁層を介して、前記酸化物半導体層及び前記ゲート絶縁層を囲む、第1の水素バリア膜を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す上面図。
図2A図1のA-A線に沿う断面図。
図2B図1のB-B線に沿う断面図。
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の下部電極の構造の一例を示す断面図。
図4】第1の実施形態に係る半導体装置の上部電極の構造の一例を示す断面図。
図5】第1の実施形態に係る半導体装置の絶縁層、水素バリア膜、ゲート絶縁層及び酸化物半導体層のレイアウトを示す平面図。
図6】第1の実施形態に係る半導体装置の絶縁層、水素バリア膜、ゲート電極層、酸化物半導体層及びゲート絶縁層のレイアウトを示す平面図。
図7】第1の実施形態に係る半導体装置の絶縁層、水素バリア膜及び上部電極のレイアウトレイアウトを示す平面図。
図8A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図8B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図9A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図9B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図10A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図10B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図11A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図11B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図12A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図12B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図13A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図13B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図14A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図14B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図15A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図15B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図16A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図16B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図17A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図17B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図18A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図18B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図19A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図19B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図20】DRAMのメモリセルアレイ部の一部を示す等価回路。
図21】メモリセルのキャパシタの一例を示す上面図。
図22図21のF-F線に沿う断面図。
図23】閉ループ状のパターンを有する配線を示す平面図。
図24】ループカットされた配線を示す平面図。
図25】ループカットされた配線及びそれに設けられた水素バリア膜を示す平面図。
図26】第2の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図。
図27】第2の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図28】第2の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図29】第2の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
図30】第2の実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、図面は、模式的又は概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は、必ずしも現実のものと同一であるとは限らない。図面において、同一符号は同一又は相当部分を付してあり、重複した説明は必要に応じて行う。また、簡略化のために、同一又は相当部分があっても符号を付さない場合もある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置1の上面図である。図2Aは、図1のA-A線に沿う断面図である。図2Bは、図1のB-B線に沿う断面図である。図1図2A及び図2Bには、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。図2Aの断面は、Y軸及びZ軸で規定されるY-Z面に平行である。図2Bの断面は、X軸及びZ軸で規定されるX-Z面に平行である。
【0009】
半導体装置1は、基板10、絶縁層21~25、下部電極31、上部電極32、水素バリア膜41~43、酸化物半導体層51、ゲート絶縁層52、及びゲート電極層53を含む。
【0010】
基板10は、シリコン基板等の半導体基板を含む。半導体基板には、回路11が設けられている。回路11は、例えば、CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)回路である。
【0011】
基板10上に絶縁層21が設けられている。絶縁層21は、例えば、SiOを含むシリコン酸化物層又はSiを含むシリコン窒化物層である。
【0012】
絶縁層21内には下部電極31が設けられている。下部電極31は、例えば、円柱状の構造を有する。図3は、下部電極31の構造の一例を示す断面図である。下部電極31は、電極31aと、バリアメタル膜31bと、電極31cと、バリアメタル膜31dとを含む。バリアメタル膜31bは、電極31aの底面及び側面に設けられている。バリアメタル膜31dは、電極31cの側面及びバリアメタル膜31bの側面に設けられている。電極31aは、ITO(indium tin oxide)を含む。バリアメタル膜31b,31dは、窒化チタンを含む。バリアメタル膜31b,31d中の窒化チタンは、水素の透過を抑制する性質を有する。
【0013】
絶縁層21上には、絶縁層(第1の絶縁層)22、ゲート電極層53及び絶縁層(第2の絶縁層)23が順次設けられている。絶縁層22及び絶縁層23は、例えば、SiOを含むシリコン酸化物層又はSiを含むシリコン窒化物層である。ゲート電極層53は、例えば、タングステン(W)を含む。
【0014】
酸化物半導体層51は、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23を貫通する。その結果、半導体装置1は、酸化物半導体層51が絶縁層23、ゲート電極層53及び絶縁層22に沿って設けられた構造を含む。酸化物半導体層51の形状は、Z軸方向に延伸した円柱状である。酸化物半導体層51の下面は、下部電極31の上面に接続されている。酸化物半導体層51は、例えば、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、酸素とを含む。インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、酸素とを含む物質は、IGZO(indium gallium zinc oxide)と呼ばれている。
【0015】
ゲート絶縁層52は、酸化物半導体層51の側面を囲むように、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23を貫通する。その結果、半導体装置1は、ゲート絶縁層52が絶縁層23、ゲート電極層53及び絶縁層22に沿って設けられた構造を含む。ゲート絶縁層52の形状は、Z軸方向に延伸した円筒状である。ゲート絶縁層52の側面の下部は、絶縁層22により囲まれる。ゲート絶縁層52の側面の上部は、絶縁層23により囲まれる。ゲート絶縁層52の側面の下部と上部との間の部分(中央部)は、ゲート電極層53により囲まれる。ゲート絶縁層52の下面は、下部電極31の上面に接続されている。ゲート絶縁層52は、例えば、SiOなどのシリコン酸化物を含む。
【0016】
酸化物半導体層51、ゲート絶縁層52及びゲート電極層53は、縦型トランジスタTrを構成する。縦型トランジスタTrのチャネルは、酸化物半導体層51に形成される。チャネルの方向は、基板10の上面に対して垂直な方向(Z軸方向)である。チャネルの方向は、Z軸方向からある程度ずれる場合もある。縦型トランジスタTrは、SGT(Surrounding Gate Transistor)とも称される。
【0017】
酸化物半導体層51を用いた縦型トランジスタTrは、pn接合が不要なジャンクションレストランジスタである。ジャンクションレストランジスタでは、ソース領域、ドレイン領域およびチャネル領域の導電型は同一である。酸化物半導体51は、n型ドーパント又はp型ドーパントを含む。
【0018】
水素バリア膜41は、下部電極31の上面と絶縁層22の下面との間に設けられている。水素バリア膜41は、水素の透過を抑制する役割を果たす。そのため、水素バリア膜41は、下部電極31の上面と絶縁層22の下面との界面から、酸化物半導体層51中に水素が拡散するのを抑制する。水素バリア膜41は、例えば、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜である。具体的には、水素バリア膜41は、シリコン窒化膜、アルミナ膜、チタン酸化膜又はクロム酸化膜である。
【0019】
水素バリア膜(第1の水素バリア膜)42は、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23を介して、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52を囲む。絶縁層22の側面、ゲート電極層53の側面及び絶縁層23の側面は、水素バリア膜42で覆われる。水素バリア膜42は、水素の透過を抑制する役割を果たす。そのため、水素バリア膜42は、絶縁層22の側面、ゲート電極層53の側面及び絶縁層23の側面から、酸化物半導体層51中に水素が拡散するのを抑制する。水素バリア膜42は、例えば、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜であり、具体的には、シリコン窒化膜、アルミナ膜、チタン酸化膜又はクロム酸化膜である。
【0020】
絶縁層(第3の絶縁層)24は、水素バリア膜42を介して、絶縁層22の側面、ゲート電極層53の側面、絶縁層23の側面及びに設けられている。絶縁層24の下面は、水素バリア膜41,42等の水素バリア膜で覆われていない。絶縁層24の下面は、絶縁層21の上面の一部及び下部電極31の上面の一部に接している。絶縁層24の下面は、下部電極31の上面と同じ位置にあってもよいし、又は、下部電極31の上面よりも低い位置にあってもよい。絶縁層24の上面は、水素バリア膜41,42等の水素バリア膜で覆われていない。絶縁層24の上面は、後述する絶縁層25の下面に接している。絶縁層24は、例えば、例えば、SiOを含むシリコン酸化物層又はSiを含むシリコン窒化物層である。
【0021】
上部電極32は、酸化物半導体層51の上面上に設けられている。本実施形態では、上部電極32は、ゲート絶縁層52の上面及び絶縁層23の上面に設けられている。
【0022】
図4は、上部電極32の構造の一例を示す断面図である。上部電極32は、電極32aと、バリアメタル膜32bと、電極32cと、バリアメタル膜32dとを含む。バリアメタル膜32bは、電極32aと電極32cとの間に設けられている。バリアメタル膜32dは、電極32aの側面、バリアメタル膜32bの側面及び電極32cの側面に設けられている。電極32aは、ITOを含む。バリアメタル膜32b,32dは、窒化チタンを含む。バリアメタル膜32b,32d中の窒化チタンは、水素の透過を抑制する性質を有する。
【0023】
水素バリア膜(第2の水素バリア膜)43は、上部電極32の側面を囲む。絶縁層25は、水素バリア膜43を介して、上部電極32の側壁を囲む。水素バリア膜43は、水素の透過を抑制する役割を果たす。そのため、水素バリア膜43は、絶縁層25を透過する水素が、上部電極32の側面から酸化物半導体層51中に拡散するのを抑制する。水素バリア膜43は、例えば、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜であり、具体的には、シリコン窒化膜、アルミナ膜、チタン酸化膜又はクロム酸化膜である。絶縁層25は、例えば、シリコン酸化物層又はシリコン窒化物層である。
【0024】
本実施形態では、上部電極32の上面は、水素バリア膜43によって覆われていない。しかし、上部電極32中のバリアメタル膜32b(図4)は、水素の透過を抑制する性質を有する窒化チタンを含んでいる。そのため、上部電極32の上面から水素バリア膜43中への水素の拡散は、バリアメタル膜31bによって抑制される。
【0025】
本実施形態によれば、酸化物半導体層51中に水素が拡散することは、水素バリア膜41,42,43によって抑制されるので、酸化物半導体層51の水素による特性劣化は抑制される。そのため、特性劣化の抑制を図れる縦型トランジスタTrを含む半導体装置1が得られる。酸化物半導体層51中に水素が拡散する原因の一つとして、半導体装置1の製造過程中に行われる、水素を含む雰囲気中でのアニールがあげられる。このアニールについては、半導体装置1の製造方法を説明するときに再度とりあげる。
【0026】
酸化物半導体層51の水素による特性劣化の一例としては、縦型トランジスタTrの閾値電圧がシフトすることがあげられる。閾値電圧がシフトすると、例えば、ゲート電極層53にゲート電圧を印加したときに、酸化物半導体層51のチャネル領域に形成される空乏層が小さくなる。縦型トランジスタTrのオフは、チャネル領域に空乏層が形成されることによって行われる。そのため、空乏層が小さくなると、縦型トランジスタTrをオフ特性は劣化する。しかし、本実施形態では、酸化物半導体層51の水素による特性劣化を抑制できるので、閾値電圧のシフト等の縦型トランジスタTrの特性劣化を抑制できる。
【0027】
なお、水素バリア膜41、水素バリア膜42及び水素バリア膜43の全てを用いる必要は必ずしもない。
【0028】
また、水素バリア膜41、水素バリア膜42及び水素バリア膜43は、酸化物半導体層51中の酸素を閉じ込める役割も果たす。これにより、酸化物半導体層51の酸素濃度の低下による、酸化物半導体層51の特性劣化を抑制できる。
【0029】
本実施形態に係る半導体装置1は、複数の縦型トランジスタTrを含む。図1の1行目には4個の上部電極32が示されているので、1行目の縦型トランジスタTrの数は4である。同様に、2行目の縦型トランジスタTrの数は4であり、3行目の縦型トランジスタTrの数は4である。したがって、縦型トランジスタTrの総数は、12である。しかし、行数は3には限定されず、そして、1行当たりの縦型トランジスタTrの数も4には限定されない。以下、1行目、2行目及び3行目を区別する必要がない場合、i行目と表記する。
【0030】
図5は、水素バリア膜41、絶縁層24、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51のレイアウトを示す平面図である。
【0031】
図5中の一点鎖線に沿う断面図は、図2Aの絶縁層24、水素バリア膜41、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51の断面図に相当する。また、図5中の二点鎖線に沿う断面図は、図2Bの水素バリア膜41、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51の断面図に相当する。
【0032】
別の言い方をすれば、図5は、図2Aに示される、水素バリア膜41、絶縁層24、ゲート絶縁層52及び化物半導体層51を、X-Y面で切断し、矢視C-C方向から見た平面図に相当する。
【0033】
図5には、メモリセルの面積が4F(Fはフィーチャーサイズ)であるレイアウトが示されているが、メモリセルの面積は、4Fには限定されない。
【0034】
図5において、水素バリア膜41のうち、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52が設けられていない部分のY軸方向の寸法L1は、例えば、約32~36nmである。また、ゲート絶縁層52の外形L2は、例えば、約24.2nmである。また、i行目の4個の酸化物半導体層51の中心を通る破線g1と、(i+1)行目の4個の酸化物半導体層51の中心を通る破線g2との間のY軸方向の寸法L3は、例えば、約54nmである。また、i行目の隣接する2個の酸化物半導体層51の中心間の距離L4は、約63nmである。また、i行目の左からj番目(i=1~4)の酸化物半導体層51の中心と、(i+1)行目の左からj番目の酸化物半導体層51の中心とを結ぶ破線g3と、破線g2とのなす角度θ1は、約59.7度である。
【0035】
また、図5に示すように、i行目の4個の縦型トランジスタの4個の酸化物半導体層51及び4個のゲート絶縁層52は、一つの水素バリア膜41で囲まれている。つまり、本実施形態の半導体装置は、i行目の4個の酸化物半導体層51及び4個のゲート絶縁層52をそれぞれ別の水素バリア膜41で囲む構造は、採用していない。
【0036】
図6は、絶縁層24、水素バリア膜42、ゲート電極層53、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51のレイアウトを示す平面図である。
【0037】
図6中の一点鎖線に沿って断面図は、図2Aの絶縁層24、水素バリア膜42、ゲート電極層53、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51の断面図に相当する。また、図5中の二点鎖線に沿って断面図は、図2Bのゲート電極層53、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51の断面図に相当する。
【0038】
別の言い方をすれば、図6は、図2Aに示される、絶縁層24、水素バリア膜42、ゲート電極層53、ゲート絶縁層52及び酸化物半導体層51を、X-Y面で切断し、矢視D-D方向から見た平面図に相当する。
【0039】
図6において、ゲート電極層53のうち、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52が設けられていない部分のY軸方向の寸法L11は、例えば、約32~36nmである。また、ゲート絶縁層52の外形L12は、例えば、約29.4nmである。ゲート絶縁層52の外形L12は、ゲート絶縁層52の外形L2(約24.2nm)よりも大きいので、縦型トランジスタは、上部電極から下部電極に向かって、細くなる円柱状の構造を有する。また、i行目の4個の酸化物半導体層51の中心を通る破線g11と、(i+1)行目の4個の酸化物半導体層51の中心を通る破線g12との間のY軸方向の寸法L13は、例えば、約54nmである。また、i行目の隣接する2個の酸化物半導体層51の中心間の距離L14は、約63nmである。また、i行目の左からj番目(i=1~4)の酸化物半導体層51の中心と、(i+1)行目の左からj番目の酸化物半導体層51の中心とを結ぶ破線g13と、破線g12とのなす角度θ11は、約59.7度である。
【0040】
また、i行目の4個の酸化物半導体層51及び4個のゲート絶縁層52は、一つのゲート電極層53を貫通しているので、図6に示すように、i行目の4個の縦型トランジスタは、一つのゲート電極層53を共有する。この一つのゲート電極層53は、一つの水素バリア膜42で囲まれている。
【0041】
図7は、絶縁層25,水素バリア膜43及び上部電極32のレイアウトを示す平面図である。
【0042】
図7中の一点鎖線に沿って断面図は、図2Aの絶縁層25,水素バリア膜43及び上部電極32の断面図に相当する。また、図5中の二点鎖線に沿って断面図は、図2Bの絶縁層25,水素バリア膜43及び上部電極32の断面図に相当する。
【0043】
別の言い方をすれば、図7は、図2Aに示される、絶縁層25,水素バリア膜43及び上部電極32を、X-Y面で切断し、矢視E-E方向から見た平面図に相当する。
【0044】
図7において、水素バリア膜43のうち、上部電極32が設けられていない部分のY軸方向の寸法L21は、例えば、約32~36nmである。また、上部電極32の直径L22は、例えば、約31.5nmである。また、i行目の4個の上部電極32の中心を通る破線g21と、(i+1)行目の4個の上部電極32の中心を通る破線g22との間のY軸方向の寸法L23は、例えば、約54nmである。また、i行目の隣接する2個の上部電極32の中心間の距離L24は、約63nmである。また、i行目の左からj番目(i=1~4)の上部電極32の中心と、(i+1)行目の左からj番目の上部電極32の中心とを結ぶ破線g23と、破線g22とのなす角度θ21は、約59.7度である。
【0045】
また、図7に示すように、i行目の4個の上部電極32は、一つの水素バリア膜43で囲まれている。
【0046】
次に、図8A及び8B乃至図19A及び19Bを参酌して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する。図8A及び8B乃至図17A及び17Bは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造過程を示す断面図である。図8A乃至図19Aは、図1の矢視A-Aに沿う断面図に相当する。また、図8B乃至図19Bは、図1の矢視B-Bに沿う断面図に相当する。
【0047】
まず、図8A及び図8Bに示すように、回路11が設けられた基板10を形成し、基板10上に絶縁層21を形成する。次に、ダマシンプロセスを用いて、絶縁層21中に下部電極31を形成する。次に、絶縁層21及び下部電極31上に水素バリア膜41を形成し、この水素バリア膜41上に絶縁層22、ゲート電極層53、絶縁層23を順次形成する。絶縁層22及び絶縁層23は、例えば、シリコン酸化膜である。このシリコン酸化膜は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vacuum Deposition)プロセスを用いて形成する。シリコンの原料としては、例えば、シラン(SiH)を用いる。この段階では、絶縁層22、ゲート電極層53、絶縁層23は、図2A及び図2Bに示した形状にはなっていない。続いて、絶縁層23上に絶縁層61を形成し、この絶縁層61上にレジストパターン62を形成する。
【0048】
次に、図9A及び図9Bに示すように、レジストパターン62をマスクに用いて絶縁層61をエッチングし、レジストパターン62のパターンを絶縁層61に転写する。次に、レジストパターン62と、レジストパターン62のパターンが転写された絶縁層(以下、ハードマスクという)61とをマスクに用いて、絶縁層23、ゲート電極層53、絶縁層22及び水素バリア膜41をエッチングして溝63を形成し、溝63で囲まれた積層体64を形成する。この積層体64は、エッチングされた絶縁層23、ゲート電極層53、絶縁層22及び水素バリア膜41を含む。溝63の底には、絶縁層21の上面の一部及び下部電極31の上面の一部が露出する。なお、上記エッチングの最中にレジストパターン62は消滅することもあるが、ハードマスク61は消滅しないので、積層体64は形成される。
【0049】
その後、レジストパターン62、ハードマスク61を除去する。レジストパターン62の除去は、例えば、アッシングを用いて行う。ハードマスク61の除去は、例えば、ウエットエッチングを用いて行う。
【0050】
次に、図10A及び図10Bに示すように、溝63の側壁に、水素バリア膜42を形成する。水素バリア膜42は、例えば、以下のプロセスを用いて形成する。まず、溝63を埋め込まないように、全面に水素バリア膜42となる絶縁膜を形成する。その後、この絶縁層のうち、溝63の側壁以外に形成されたものをエッチバックを用いて除去する。
【0051】
次に、図11A及び図11Bに示すように、図10Aに示した溝63を埋め込む、絶縁層24を形成する。絶縁層24は、例えば、以下のプロセスを用いて形成される。溝63を埋め込むように、全面に絶縁層24となる絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えば、シリコン酸化膜である。このシリコン酸化膜は、例えば、DTEOS(Densified Tetra Ethyl Ortho Silicate)又はシランを含むソースガスを用いたプラズマCVDプロセスにより形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスを用いて、溝63外の絶縁層を除去する。
【0052】
次に、図12A及び図12Bに示すように、下部電極31上の水素バリア膜41、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23中にスルーホール65を形成する。スルーホール65の底には、下部電極31の上面の一部が露出する。スルーホール65は、例えば、周知のリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスを用いて形成する。
【0053】
次に、図13A及び図13Bに示すように、図12A及び図12Bに示したスルーホール65内に、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52を形成する。その結果、酸化物半導体層51、ゲート絶縁層52、ゲート電極層53を含む縦型トランジスタが得られる。なお、酸化物半導体層51を形成した後に、イオン注入やイオンドーピングなどの技術を用いて、酸化物半導体層51に酸素を添加してもよい。
【0054】
酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52は、例えば、以下のプロセスを用いて形成される。まず、スルーホール65を埋め込まないように、全面にゲート絶縁層52を形成する。次に、エッチバックを用いて、スルーホール65の側面以外のゲート絶縁層52を除去する。次に、ゲート絶縁層52で側面が覆われたスルーホール65を埋め込むように、全面に酸化物半導体層51を形成する。次に、CMPプロセスを用いて、スルーホール65の外部の酸化物半導体層51を除去する。
【0055】
次に、図14A及び図14Bに示すように、上部電極32を形成し、その後、上部電極32の側面及び上面を覆うように、全面にコンフォーマルな水素バリア膜43を形成する。
【0056】
次に、図15A及び図15Bに示すように、上部電極32及び水素バリア膜43を覆う、表面が平坦な絶縁層66を形成する。このような絶縁層66は、例えば、CVDプロセス及びCMPプロセスを用いて形成することができる。次に、絶縁層66上に絶縁層67を形成し、この絶縁層67上にレジストパターン68を形成する。
【0057】
次に、図16A及び図16Bに示すように、レジストパターン68をマスクに用いて絶縁層67をエッチングし、レジストパターン68のパターンを絶縁層67に転写する。次に、レジストパターン68と、レジストパターン68のパターンが転写された絶縁層(以下、ハードマスクという)67とをマスクに用いて、絶縁層66、水素バリア膜43をエッチングし、絶縁層24の上面を露出させる。ここでのエッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)プロセス、又は、RIEプロセス及びウエットプロセスを用い行う。
【0058】
その後、レジストパターン68、ハードマスク67及び絶縁層66を除去する。レジストパターン68の除去は、例えば、アッシングを用いて行う。また、ハードマスク67及び絶縁層66の除去は、例えば、ウエットエッチングを用いて行う。
【0059】
次に、図17A及び図17Bに示すように、絶縁層24及び水素バリア膜43上に表面が平坦な絶縁層25を形成する。
【0060】
次に、図18A及び図18Bに示すように、CMPプロセスを用いて、上部電極32の上面が露出するまで、絶縁層25及び水素バリア膜43を研磨する。
【0061】
次に、図19A及び図19Bに示すように、水素を含む雰囲気(水素雰囲気)71中でのアニール処理(水素アニール)によって、基板10内の回路11を構成するシリコン等の原子のダングリングボンドを水素によって終端する。水素雰囲気71は、例えば、フォーミングガス(水素及び窒素を含む混合ガス)である。
【0062】
水素アニール処理における、水素の酸化物半導体層51中への拡散は、水素バリア膜41~43によって抑制される。したがって、水素雰囲気71中でのアニール処理による、縦型トランジスタの特性劣化は、抑制される。
【0063】
なお、水素バリア膜41~43は、例えば、エネルギー分散型X線分光法 (TEM-EDX: Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いた物理解析で検出できる。
【0064】
以上の説明では、半導体装置1の種類については特に言及しなかったが、半導体装置1は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。DRAMの場合、縦型トランジスタTrは、メモリセルアレイ部のメモリセルを構成し、回路11は、周辺回路のCMOS回路を構成する。
【0065】
図20は、DRAMのメモリセルアレイ部MCAの一部を示す等価回路である。メモリセルアレイ部MCAは、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WLと、複数のビット線BLとを含む。
【0066】
複数のメモリセルMCは、マトリクス状に配置されている。各メモリセルMCは、縦型トランジスタTrと、キャパシタCPとを含む。各ワード線WLには、複数の縦型トランジスタTrのゲートが接続されている。各ワード線WLには、複数の縦型トランジスタTrのドレイン(又はソース)が接続されている。キャパシタCPの一方の電極は、例えば、縦型トランジスタTrのソース(又はドレイン)に接続されている。キャパシタCPの他方の電極は、特定の電位を供給する電源線(不図示)に接続される。
【0067】
メモリセルアレイ部MCAは、複数の単位メモリアレイ部を含む。同じワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、一つの単位メモリアレイ部を構成する。本実施形態の水素バリア膜は、単位メモリアレイ部毎に設けられる。つまり、単位メモリアレイ部を構成する複数の縦型トランジスタのそれぞれに別の水素バリア膜を設けるのではない。
【0068】
図21は、メモリセルMCのキャパシタCPの一例を示す上面図である。図22は、図21のF-F線に沿う断面図である。
【0069】
キャパシタCPは、シリコン酸化膜86及びシリコン窒化膜87の積層絶縁膜中に設けられた、トレンチ型キャパシタである。キャパシタCPは、縦型トランジスタ(不図示)の下方に配置される。
【0070】
キャパシタCPは、アモルファスシリコン膜81と、窒化チタン膜82と、ITO電極83と、high-k膜84と、窒化チタン膜85とを含む。
【0071】
窒化チタン膜82は、アモルファスシリコン膜81の上面、側面及び底面を覆う。ITO電極83は、窒化チタン膜82を介して、アモルファスシリコン膜81上に設けられている。ITO電極83は、縦型トランジスタ(不図示)に接続される。アモルファスシリコン膜81、窒化チタン膜82及びITO電極83は、キャパシタCPの一方の電極を構成する。
【0072】
high-k膜84は、窒化チタン膜82の側面及び底面を覆う。high-k膜84は、SiOよりも誘電率が高い誘電体膜である。high-k膜84は、キャパシタCPの誘電体膜を構成する。
【0073】
窒化チタン膜85は、high-k膜84の底面と、high-k膜84の上部側面を除く側面とを覆う。窒化チタン膜85は、キャパシタCPの他方の電極を構成する。high-k膜84の底面は、電極又は配線88に接続されている。
ITO電極88は、縦型トランジスタ(不図示)に接続される。
【0074】
なお、キャパシタCPの代わりに、縦型トランジスタの上方に設けられるキャパシタを用いてもよい。
【0075】
DRAMの製造過程は、例えば、図23の平面図に示すように、閉ループ状のパターンを有する配線90を形成する工程を含む。配線90は、ワード線と、ワード線に接続されたゲート電極層とから構成される。破線91で囲まれた領域は、ゲート電極層が存在する領域を示している。
【0076】
配線90は、図24の平面図に示すように、ループカットされる。その結果、配線90は二つに分断される。図23の破線で囲まれた領域92は、ループカットによって露出された、配線90の端部を示している。この状態で、水素アニール処理を行うと、配線90の端部から侵入した水素によって、縦型トランジスタの酸化物半導体層の特性が劣化する可能性がある。そこで、本実施形態では、水素アニール処理を行う前に、図25に示すように、配線90の端部92に水素バリア膜44を形成する
なお、本実施形態の酸化物半導体層を用いた縦型トランジスタは、DRAM以外の半導体装置に適用することも可能である。
【0077】
(第2の実施形態)
図26は、第2の実施形態に係る半導体装置2の断面図である。この断面図は、図1のA-A線に沿う断面図に相当する。半導体装置2の図1のB-B線に沿う断面図は、図2Bと同じである。また、半導体装置2の上面図は、図1と同じである。
【0078】
本実施形態に係る半導体装置2が第1の実施形態に係る半導体装置1と異なる点は、水素バリア膜42が、二つの水素バリア膜42a及び水素バリア膜42bから構成されていることにある。
【0079】
水素バリア膜42aは、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23の側面を取り囲む。水素バリア膜42bは、水素バリア膜42aの側面を取り囲む。水素バリア膜42bは、絶縁層22、ゲート電極層53及び絶縁層23の側面に対して、水素バリア膜42aよりも外側に配置されている。
【0080】
水素バリア膜42aは、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い絶縁膜(絶縁性水素バリア膜)であり、具体的には、シリコン窒化膜、アルミナ膜、チタン酸化膜又はクロム酸化膜である。
【0081】
水素バリア膜42bは、二酸化シリコン膜よりも水素透過性の低い導電膜(導電性水素バリア膜)であり、具体的には、ルテニウム膜、窒化チタン膜又はチタンカーバイド膜である。なお、水素バリア性は、水素バリア膜42a又は水素バリア膜42bのいずれか一方でもよい。
【0082】
図26には、水素バリア膜42aのY軸方向の寸法(第1の寸法)が、水素バリア膜42bのY軸方向の寸法(第2の寸法)よりも大きい例が示されているが、第1の寸法と第2の寸法は同じでもよいし、又は、第1の寸法は第2の寸法よりも小さくてもよい。
【0083】
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、酸化物半導体層51中に水素が拡散することは、水素バリア膜41,42(42a,42b),43によって抑制されるので、酸化物半導体層51の水素による特性劣化は抑制される。そのため、特性劣化の抑制を図れる縦型トランジスタTrを含む半導体装置2が得られる。
【0084】
なお、水素バリア膜41を、絶縁性水素バリア膜と導電性水素バリア膜との積層構造にすることも可能であり、そして、水素バリア膜43を、絶縁性水素バリア膜と導電性水素バリア膜との積層構造にすることも可能である。また、半導体装置2は、第1の実施形態と同様に、例えば、DRAMである。
【0085】
次に、本実施形態に係る半導体装置2の製造方法の一例について説明する。まず、第1の実施形態で説明した方法に従って、図9Aに示した構造を形成し、その後、レジストパターン62及びハードマスク61を除去する。
【0086】
次に、図27に示すように、溝63の側壁に、水素バリア膜42a及び水素バリア膜42bを形成する。
【0087】
水素バリア膜42a膜及び水素バリア膜42bは、例えば、以下のプロセスを用いて形成する。まず、溝63を埋め込まないように、かつ、溝63の側壁及び溝63の底を覆うように、全面に水素バリア膜42aとなる第1の膜、水素バリア膜42bとなる第2の膜を順次形成する。次に、エッチバックを用いて、溝63の側壁以外の第1の膜及び第2の膜を除去することで、水素バリア膜42a及び水素バリア膜42bが得られる。
【0088】
次に、図28に示すように、図27に示した溝63を埋め込む絶縁層24を形成し、その後、絶縁層23、ゲート電極層53、絶縁層22及び水素バリア膜41中にスルーホール65を形成する。
【0089】
次に、図29に示すように、図23に示したスルーホール65内に、酸化物半導体層51及びゲート絶縁層52を形成する。その結果、酸化物半導体層51、ゲート絶縁層52、ゲート電極層53を含む縦型トランジスタが得られる。
【0090】
次に、図30に示すように、上部電極32を形成し、その後、図30に示すように、上部電極32の側面及び上面を覆うように、全面にコンフォーマルな水素バリア膜43を形成する。
【0091】
この後、図13A及び13B~図19A及び19Bを参照して説明した第1の実施形態の製造方法を用いることにより、本実施形態の半導体装置2が得られる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
BL…ビット線、CP…キャパシタ、MC…メモリセル、MCA…メモリセルアレイ部、Tr…縦型トランジスタ、WL…ワード線、1,2…半導体装置、10…基板、21,22,23,24,25…絶縁層、31…下部電極、31a…電極、31b…バリアメタル膜、31c…電極、31d…バリアメタル膜、32…上部電極、32a…電極、32b…バリアメタル膜、32c…電極、33d…バリアメタル膜、41,42,42a,42b,43,44…水素バリア膜、51…酸化物半導体層、52…ゲート絶縁層、53…ゲート電極層、61…ハードマスク、62…レジストパターン、63…溝、64…積層体、65…スルーホール、65…ハードマスク、66…絶縁層、71…水素雰囲気、81…アモルファスシリコン膜、82…窒化チタン膜、83…ITO電極、84…high-k膜、85…窒化チタン膜、86…シリコン酸化膜、87…シリコン窒化膜、88…電極又は配線、90…配線、89…ゲート電極層が存在する領域、92…配線の端部。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30