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特開2024-16422ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体、その製造方法、および、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子
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  • 特開-ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体、その製造方法、および、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016422
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体、その製造方法、および、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/07 20060101AFI20240131BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20240131BHJP
   B01J 2/10 20060101ALI20240131BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240131BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08J3/07 CFD
C08J3/16
B01J2/10 A
C08L67/02
C08L29/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118532
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】前山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 美穂
【テーマコード(参考)】
4F070
4G004
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA47
4F070AB09
4F070AC12
4F070AC43
4F070AC80
4F070AE14
4F070AE28
4F070CA03
4F070CB03
4F070CB12
4F070DA33
4F070DA39
4F070DC07
4F070DC13
4F070DC16
4G004AA01
4G004GA00
4J002BE022
4J002BE023
4J002CF031
4J002FD312
4J002FD313
4J002GH00
4J002HA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水への分散安定性に優れた、粒子径が小さく、粒度分布が狭い生分解性ポリマー樹脂粒子の水分散体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の水分散体であって、該樹脂粒子の体積平均粒子径が0.1μm~10μmであり、該水分散体が、ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)を含み、該ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子100重量部に対する該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の合計量の割合が3.5重量部~18重量部であり、該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重量比(A)/(B)が0.01~0.8であり、該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重合度が1000~3000である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体であって、
該ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の体積平均粒子径が0.1μm~10μmであり、
該水分散体が、ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)を含み、
該ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子100重量部に対する該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の合計量の割合が3.5重量部~18重量部であり、
該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重量比(A)/(B)が0.01~0.8であり、
該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重合度が1000~3000である、
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体。
【請求項2】
前記ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の粒度分布のばらつき度を示すRSF(Rerative Span Factor)が1.3未満である、請求項1に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体。
【請求項3】
前記変性ポリビニルアルコール(A)が、ポリオキシアルキレン構造を側鎖に有する、請求項1に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体。
【請求項4】
前記変性ポリビニルアルコール(A)のけん化度が35mol%~60mol%である、請求項1に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体。
【請求項5】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ia)とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIa)とを混合して攪拌することによって乳化を行う、
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法。
【請求項6】
前記乳化は、前記樹脂溶液(Ia)に前記水溶液(IIa)を添加した後に転相させる転相乳化である、請求項5に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法。
【請求項7】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ib)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIb)とを混合して攪拌することによって乳化を行う、
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法。
【請求項8】
前記乳化は、前記樹脂溶液(Ib)に前記水溶液(IIb)を添加した後に転相させる転相乳化である、請求項7に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法。
【請求項9】
請求項1から4までのいずれかに記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体から固液分離して得られる、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法、および、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー樹脂粒子は、コーティング材料、外用剤、光学部材、プラスチック改質剤、各種スペーサー、アンチブロッキング剤、各種充填剤など、多くの分野で用いられている。ポリマー樹脂粒子は、通常、水に分散させた水分散体として得られる。
【0003】
ポリマー樹脂粒子には、その用途に応じて、様々な特性が要求される。多くの用途に求められる特性の代表的なものとして、粒子径が小さいこと、粒度分布が狭いこと、水への分散安定性に優れること、などが挙げられる。また、工業的な生産性を考慮すると、ポリマー樹脂粒子は、容易に製造できることも重要である。
【0004】
最近、世界的な環境問題への取り組みを背景に、生分解性ポリマー樹脂粒子の検討が行われている。
【0005】
D体の含有率が10%以上であるポリ乳酸を溶媒に溶解させたポリ乳酸溶液と、けん化度が68~85%であるポリビニルアルコール水溶液とを混合して攪拌することによって液滴を形成する工程と、減圧によって液滴から溶媒を除去してポリ乳酸微粒子水分散液を得る工程と、ポリ乳酸微粒子水分散液から水を除去してポリ乳酸微粒子を得る工程と、を含むことを特徴とするポリ乳酸微粒子の製造方法が報告されている(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載のポリ乳酸微粒子水分散液の製造方法によれば、得られるポリ乳酸微粒子の粒度分布が広くなってしまうという問題がある。
【0006】
生分解性樹脂を水に分散させた水系分散体であって、鹸化度85.0モル%以上のポリビニルアルコールを分散剤として含有することを特徴とする生分解性樹脂水系分散体が報告されている(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載の生分解性樹脂水系分散体の製造方法によれば、得られる生分解性樹脂粒子の粒度分布が広くなってしまうという問題がある。また、特許文献2に記載の生分解性樹脂水系分散体の製造方法によれば、ポリビニルアルコールの使用量が多く、製造コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-164240号公報
【特許文献2】特開2004-99883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、水への分散安定性に優れた、粒子径が小さく、粒度分布が狭い生分解性ポリマー樹脂粒子の水分散体を容易に提供すること、そのような生分解性ポリマー樹脂粒子の水分散体を効率よく製造する方法を提供すること、および、粒子径が小さく、粒度分布が狭い生分解性ポリマー樹脂粒子を容易に提供すること、にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体であって、該ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の体積平均粒子径が0.1μm~10μmであり、該水分散体が、ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)を含み、該ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子100重量部に対する該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の合計量の割合が3.5重量部~18重量部であり、該変性ポリビニルアルコール(A)と該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重量比(A)/(B)が0.01~0.8であり、該部分けん化型ポリビニルアルコール(B)の重合度が1000~3000である。
[2]上記[1]に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体において、上記ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の粒度分布のばらつき度を示すRSF(Rerative Span Factor)が1.3未満であってもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体において、上記変性ポリビニルアルコール(A)が、ポリオキシアルキレン構造を側鎖に有していてもよい。
[4]上記[1]から[3]までのいずれかに記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体において、上記変性ポリビニルアルコール(A)のけん化度が35mol%~60mol%であってもよい。
[5]本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ia)とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIa)とを混合して攪拌することによって乳化を行う。
[6]上記[5]に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法において、上記乳化は、上記樹脂溶液(Ia)に上記水溶液(IIa)を添加した後に転相させる転相乳化であってもよい。
[7]本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ib)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIb)とを混合して攪拌することによって乳化を行う。
[8]上記[7]に記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法において、上記乳化は、上記樹脂溶液(Ib)に上記水溶液(IIb)を添加した後に転相させる転相乳化であってもよい。
[9]本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子は、上記[1]から[4]までのいずれかに記載のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体から固液分離して得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水への分散安定性に優れた、粒子径が小さく、粒度分布が狭い生分解性ポリマー樹脂粒子の水分散体を容易に提供することができる。また、そのような生分解性ポリマー樹脂粒子の水分散体を効率よく製造する方法を提供することができる。さらに、粒子径が小さく、粒度分布が狭い生分解性ポリマー樹脂粒子を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1で得られた、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(1)をマイクロスコープで撮影した写真図である。
図2】実施例2で得られた、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(2)をマイクロスコープで撮影した写真図である。
図3】実施例8で得られた、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(8)をマイクロスコープで撮影した写真図である。
図4】比較例1で得られた、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C1)をマイクロスコープで撮影した写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0013】
本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
【0014】
以下、本明細書においては、便宜上、「ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体」「水分散体」と、「ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子」を「樹脂粒子」と、「ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ia)」を「樹脂溶液(Ia)」、「ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)」を「AO変性PVA(A)」と、「部分けん化型ポリビニルアルコール(B)」を「部分けん化型PVA(B)」と、「ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIa)」を「水溶液(IIa)」と、「ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ib)」を「樹脂溶液(Ib)」と、「部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIb)」を「水溶液(IIb)」と、称することがある。
【0015】
≪ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体≫
本発明の実施形態による水分散体は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散された水分散体である。
【0016】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を構成する樹脂の組成は、該樹脂全体に対して、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)が、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは80重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を構成する樹脂の組成が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
【0017】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を構成する樹脂中に含まれ得る、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)以外の樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリ乳酸;乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の二塩基酸ポリエステル;ポリカプロラクトン;カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。
【0018】
樹脂粒子は、体積平均粒子径が、好ましくは0.1μm~10μmであり、より好ましくは0.1μm~9.0μmであり、さらに好ましくは0.1μm~8.0μmであり、特に好ましくは0.1μm~7.0μmであり、最も好ましくは0.1μm~6.5μmである。本発明の実施形態による水分散体に含まれる樹脂粒子は、上記のように、体積平均粒子径が非常に小さい。樹脂粒子の体積平均粒子径が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現できる。
【0019】
樹脂粒子は、粒度分布のばらつき度を示すRSF(Rerative Span Factor)が、好ましくは1.3未満であり、より好ましくは1.25未満であり、さらに好ましくは1.2未満であり、特に好ましくは1.15未満であり、最も好ましくは1.1未満である。樹脂粒子のRSFが上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒度分布が狭い樹脂粒子となり得る。なお、RSFの算出方法については後述する。
【0020】
樹脂粒子は、中実構造を有する中実粒子であってもよいし、中空構造を有する中空粒子であってもよい。本明細書において、中実構造を有する中実粒子とは、中空構造を有していない粒子または多孔質構造を有していない粒子を意味する。ここで、中空構造とは、殻で囲まれた内部が中空(完全な空洞状態)である構造、または粒子内部に空隙を少なくとも1個有する構造を意味する。ここでいう空隙とは、粒子の断面をSEM等で観察した際に確認することができる粒子内部の孔となった部分を意味する。
【0021】
本発明の実施形態による水分散体は、好ましくは、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)を含む。AO変性PVA(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。部分けん化型PVA(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。本発明の実施形態による水分散体がAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)を含むことにより、本発明の効果をより発現でき、特に、水への分散安定性に優れた樹脂粒子の水分散体を提供し得る。
【0022】
AO変性PVA(A)としては、ポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコールであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な変性ポリビニルアルコールを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、AO変性PVA(A)としては、好ましくは、ポリオキシアルキレン構造を、主鎖および側鎖から選ばれる少なくとも1種に有する、変性ポリビニルアルコールが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシアルキレン構造を側鎖に有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0023】
ポリオキシアルキレン構造は、オキシアルキレン単位(-AO-)を繰り返し単位として含む構造である。Aはアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。オキシアルキレン単位(-AO-)としては、例えば、オキシエチレン単位(-CO-)、オキシプロピレン単位(-CO-)、オキシブチレン単位(-CO-)が挙げられる。ポリオキシアルキレン構造に含まれるオキシアルキレン単位は全てが同種のオキシアルキレン単位であってもよいし、少なくとも一部が異種のオキシアルキレン単位であってもよい。
【0024】
ポリオキシアルキレン構造におけるオキシアルキレン単位(-AO-)の繰り返し数nとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な数を採用し得る。このような繰り返し数nとしては、例えば、好ましくは1~500であり、より好ましくは1~300であり、さらに好ましくは1~100であり、特に好ましくは1~50であり、最も好ましくは1~30である。
【0025】
ポリオキシアルキレン構造を側鎖に有する変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ポリビニルアルコールが有する水酸基(-OH)の一部にアルキレンオキシドが付加した構造を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。このような「水酸基(-OH)の一部にアルキレンオキシドが繰り返し数nで付加した構造」は、代表的には、「-(AO)-H」で表される構造である。この繰り返し数nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数と称されることもある。
【0026】
AO変性PVA(A)は、そのけん化度が、好ましくは35mol%~60mol%である。AO変性PVA(A)のけん化度が上記範囲内にあれば、乳化能力が向上しやすくなると推察され、本発明の効果をより発現させ得る。
【0027】
AO変性PVA(A)としては、市販品を採用してもよい。このような市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の製品名「ゴーセネックス(登録商標)LW-100」(けん化度=39.0mol%~46.0mol%)、三菱ケミカル株式会社製の製品名「ゴーセネックス(登録商標)LW-200」(けん化度=46.0mol%~53.0mol%)が挙げられる。
【0028】
部分けん化型PVA(B)としては、部分けん化されたポリビニルアルコールであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリビニルアルコールを採用し得る。部分けん化型PVA(B)は、その重合度が、好ましくは1000~3000である。部分けん化型PVA(B)の重合度が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得、特に、水への分散安定性により優れた樹脂粒子の水分散体を提供し得る。
【0029】
部分けん化型PVA(B)は、そのけん化度が、好ましくは60mol%~98mol%であり、より好ましくは62mol%~95mol%であり、さらに好ましくは65mol%~92mol%であり、特に好ましくは68mol%~89mol%であり、最も好ましくは70mol%~86mol%である。部分けん化型PVA(B)のけん化度が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、水への分散安定性により優れた樹脂粒子の水分散体を提供し得る。
【0030】
部分けん化型PVA(B)は、その粘度が、好ましくは10.0mPa・s~70.0mPa・sであり、より好ましくは15.0mPa・s~65.0mPa・sであり、さらに好ましくは20.0mPa・s~60.0mPa・sであり、特に好ましくは25.0mPa・s~55.0mPa・sである。部分けん化型PVA(B)の粘度が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、水への分散安定性により優れた樹脂粒子の水分散体を提供し得る。なお、部分けん化型PVA(B)の粘度は、JIS K 6726:1994に基づいて測定するものとする。
【0031】
樹脂粒子100重量部に対するAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の割合は、好ましくは3.5重量部~18重量部であり、より好ましくは3.5重量部~15重量部であり、さらに好ましくは3.5重量部~12重量部であり、特に好ましくは3.5重量部~9重量部である。樹脂粒子100重量部に対するAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径がより小さく、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を提供し得る。
【0032】
AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)は、好ましくは0.01~0.8であり、より好ましくは0.01~0.75であり、さらに好ましくは0.01~0.5であり、特に好ましくは0.01~0.4である。AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を提供し得る。
【0033】
樹脂粒子100重量部に対するAO変性PVA(A)の含有量の割合は、好ましくは0.01重量部~3重量部であり、より好ましくは0.05重量部~2.5重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~2重量部であり、特に好ましくは0.15重量部~1.5重量部である。樹脂粒子100重量部に対するAO変性PVA(A)の含有量の割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径の小さい粒子が得られやすくなる。
【0034】
樹脂粒子100重量部に対する部分けん化型PVA(B)の含有量の割合は、好ましくは2.5重量部~15重量部であり、より好ましくは2.5重量部~12.5重量部であり、さらに好ましくは2.5重量部~10重量部であり、特に好ましくは2.5重量部~7.5重量部である。樹脂粒子100重量部に対する部分けん化型PVA(B)の含有量の割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径が小さく、水分散安定性に優れた粒子が得られやすくなる。
【0035】
本発明の実施形態による水分散体に含まれ得るAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)と上記他の樹脂の合計量に対する、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の含有量の割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは80重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。
【0036】
本発明の実施形態による水分散体は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0037】
本発明の実施形態による水分散体中の、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子100質量部に対する、界面活性剤の割合は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下であり、特に好ましくは1質量部以下であり、最も好ましくは0.5質量部以下である。本発明の実施形態による水分散体中の、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子100質量部に対する、界面活性剤の割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、水への分散安定性により優れたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の水分散体を提供することができる。
【0038】
界面活性剤は、好ましくは、イオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
【0039】
イオン性界面活性剤としては、好ましくは、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である。イオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアニオン性界面活性剤を採用し得る。このようなアニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0041】
カチオン性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なカチオン性界面活性剤を採用し得る。このようなカチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられ、具体的には、例えば、ステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが挙げられる。カチオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0042】
両性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。このような両性界面活性剤としては、例えば、アミノカルボン酸塩、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、ラウリル酸アミドプロピルベタインが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0043】
ノニオン性活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なノニオン性界面活性剤を採用し得る。このようなノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルが挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0044】
本発明の実施形態による水分散体は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、流動性調整剤、粘度調整剤、表面平滑剤、撥水剤、離型剤、防錆剤、ワックス類が挙げられる。
【0045】
≪ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法≫
本発明の実施形態による水分散体は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造し得る。本発明の効果をより発現し得る点で、本発明の実施形態による水分散体の製造方法としては、代表的には、2つの実施形態が好ましく挙げられる。
【0046】
<本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法>
本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ia)とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIa)とを混合して攪拌することによって乳化を行う。
【0047】
本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法においては、代表的には、用いるAO変性PVA(A)の全量の50重量%以下を樹脂溶液(Ia)に配合し、用いるAO変性PVA(A)の全量の50重量%以上を水溶液(IIa)中に配合する。
【0048】
本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法において用いるAO変性PVA(A)の全量に対する樹脂溶液(Ia)中のAO変性PVA(A)の配合割合は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、最も好ましくは5重量%以下である。
【0049】
本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法において用いるAO変性PVA(A)の全量に対する水溶液(IIa)中のAO変性PVA(A)の配合割合は、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上であり、最も好ましくは95重量%以上である。
【0050】
樹脂溶液(Ia)は、少なくとも、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂と有機溶媒を混合して調製する。
【0051】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂の組成は、該樹脂全体に対して、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)が、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは80重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂の組成が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
【0052】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂中に含まれ得る、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)以外の樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリ乳酸;乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の二塩基酸ポリエステル;ポリカプロラクトン;カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。
【0053】
有機溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な溶媒を採用し得る。このような溶媒としては、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒;クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;が挙げられる。有機溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂に対する有機溶媒の使用割合としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用割合を採用し得る。このような有機溶媒の使用割合としては、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100質量部に対して、好ましくは110質量部~400質量部であり、より好ましくは130質量部~350質量部であり、さらに好ましくは150質量部~320質量部であり、特に好ましくは170質量部~290質量部であり、最も好ましくは190質量部~260質量部である。
【0055】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂と有機溶媒の混合液は、通常、室温では固化し流動性を示さない。このため、樹脂溶液(Ia)を調製する際は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂と有機溶媒を混合する際、および/または、混合した後に、室温より高い温度に加熱することが好ましい。このような加熱温度としては、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃~100℃であり、さらに好ましくは50℃~90℃であり、特に好ましくは52℃~80℃であり、最も好ましくは55℃~75℃である。
【0056】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂と有機溶媒の混合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な攪拌装置を用いて行うことができる。このような攪拌装置としては、通常の分散や混合攪拌に使用し得る回転式攪拌機、ホモミキサー、高圧乳化機などの攪拌装置を採用し得る。このような攪拌装置を用いる場合の攪拌速度等の攪拌条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な攪拌条件を採用し得る。このような攪拌条件としては、通常の分散や混合攪拌に使用し得る攪拌条件を採用し得る。
【0057】
本発明の第1の実施形態による水分散体の製造方法においては、本発明の効果をより発現させ得る点で、樹脂溶液(Ia)は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂および上記の任意成分として含有し得るAO変性PVA(A)以外の樹脂を含まないことが好ましい。樹脂溶液(Ia)中の、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂および上記の任意成分として含有し得るAO変性PVA(A)以外の樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%未満であり、より好ましくは20重量%未満であり、さらに好ましくは10重量%未満であり、特に好ましくは5重量%未満であり、最も好ましくは1重量%未満である。
【0058】
水溶液(IIa)は、少なくとも、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)と水を混合して調製する。
【0059】
樹脂溶液(Ia)中のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100重量部に対する、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の配合割合は、好ましくは3.5重量部~18重量部であり、より好ましくは3.5重量部~15重量部であり、さらに好ましくは3.5重量部~12重量部であり、特に好ましくは3.5重量部~9重量部である。樹脂溶液(Ia)中のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100重量部に対する、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の配合割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径がより小さく、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を製造し得る。
【0060】
AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)は、好ましくは0.01~0.8であり、より好ましくは0.01~0.75であり、さらに好ましくは0.01~0.5であり、特に好ましくは0.01~0.4である。AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を製造し得る。
【0061】
水溶液(IIa)中の水の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量を採用し得る。このような水の含有量としては、水溶液(IIa)中のAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは200重量部~5000重量部であり、より好ましくは300重量部~4200重量部であり、さらに好ましくは400重量部~3900重量部であり、特に好ましくは500重量部~3600重量部であり、最も好ましくは600重量部~3300重量部である。
【0062】
水溶液(IIa)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)以外の水溶性高分子を含んでいてもよい。このような水溶性高分子としては、例えば、不飽和変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースが挙げられる。このような水溶性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0063】
乳化は、樹脂溶液(Ia)と水溶液(IIa)とを混合して攪拌することによって行う。
【0064】
樹脂溶液(Ia)と水溶液(IIa)との重量比率は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量比率を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、このような重量比率としては、樹脂溶液(Ia):水溶液(IIa)として、好ましくは90:10~50:50であり、より好ましくは86:14~55:45であり、さらに好ましくは84:16~60:40であり、特に好ましくは82:18~65:35であり、最も好ましくは80:20~70:30である。樹脂溶液(Ia)と水溶液(IIa)との重量比率が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径が小さく、粒度分布が狭いポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を提供し得る液滴を効果的に形成し得る。
【0065】
乳化は、好ましくは、樹脂溶液(Ia)の液温を40℃以上として行う。この液温は、より好ましくは40℃~100℃であり、さらに好ましくは50℃~90℃であり、特に好ましくは50℃~80℃であり、最も好ましくは55℃~75℃である。このような温度条件で乳化を行うことにより、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径が小さく、粒度分布が狭いポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を提供し得る液滴を効果的に形成し得る。
【0066】
乳化の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乳化方法を採用し得る。このような乳化方法としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、樹脂溶液(Ia)に水溶液(IIa)を添加した後に転相させる転相乳化が好ましい。転相乳化の方法としては、具体的には、樹脂溶液(Ia)に水溶液(IIa)を添加して、油相から水相へ転相させる方法が挙げられる。転相乳化を採用することにより、本発明の効果をより発現できる。また、転相乳化を採用することにより、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等の特別な乳化機を必要とせず、一般的な撹拌装置で小粒子を得ることが可能となり。簡便でエネルギー消費量が少なくなって、経済的である。
【0067】
乳化の後、好ましくは、乳化で得られた乳化液を水系溶媒(代表的には水)によって希釈し、その後、有機溶媒を除去し、水分散体を得る。有機溶媒を除去は、必要に応じて減圧状態で除去する。また、有機溶媒を除去する際に、樹脂粒子の凝集を抑制するため、アニオン性界面活性剤を添加してもよい。
【0068】
本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体を製造する際には、ポリエステル末端基を、カルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール、またはカルボン酸によって封止してもよい。この封止は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なタイミングで行い得る。例えば、樹脂溶液(Ia)を調製するタイミングや水分散体が得られた後のタイミングなどが挙げられる。ポリエステル末端基を封止することにより、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の耐加水分解性の向上が期待できる。
【0069】
得られた水分散体を固液分離することにより、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が得られる。
【0070】
<本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法>
本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が水に分散されたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体の製造方法であって、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(A)を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液(Ib)と部分けん化型ポリビニルアルコール(B)と水を含む水溶液(IIb)とを混合して攪拌することによって乳化を行う。
【0071】
本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法において用いるAO変性PVA(A)の全量に対する樹脂溶液(Ib)中のAO変性PVA(A)の配合割合は、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上であり、最も好ましくは95重量%以上である。
【0072】
本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法において用いるAO変性PVA(A)の全量に対する水溶液(IIb)中のAO変性PVA(A)の配合割合は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、最も好ましくは5重量%以下である。
【0073】
樹脂溶液(Ib)は、少なくとも、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とAO変性PVA(A)と有機溶媒を混合して調製する。
【0074】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂の組成は、該樹脂全体に対して、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)が、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは80重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂の組成が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
【0075】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を構成する樹脂中に含まれ得る、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)以外の樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリ乳酸;乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の二塩基酸ポリエステル;ポリカプロラクトン;カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。
【0076】
有機溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な溶媒を採用し得る。このような溶媒としては、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒;クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;が挙げられる。有機溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂に対する有機溶媒の使用割合としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用割合を採用し得る。このような有機溶媒の使用割合としては、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100質量部に対して、好ましくは110質量部~400質量部であり、より好ましくは130質量部~350質量部であり、さらに好ましくは150質量部~320質量部であり、特に好ましくは170質量部~290質量部であり、最も好ましくは190質量部~260質量部である。
【0078】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とAO変性PVA(A)と有機溶媒の混合液は、通常、室温では固化し流動性を示さない。このため、樹脂溶液(Ib)を調製する際は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とAO変性PVA(A)と有機溶媒を混合する際、および/または、混合した後に、室温より高い温度に加熱することが好ましい。このような加熱温度としては、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃~100℃であり、さらに好ましくは50℃~90℃であり、特に好ましくは52℃~80℃であり、最も好ましくは55℃~75℃である。
【0079】
ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂とAO変性PVA(A)と有機溶媒の混合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な攪拌装置を用いて行うことができる。このような攪拌装置としては、通常の分散や混合攪拌に使用し得る回転式攪拌機、ホモミキサー、高圧乳化機などの攪拌装置を採用し得る。このような攪拌装置を用いる場合の攪拌速度等の攪拌条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な攪拌条件を採用し得る。このような攪拌条件としては、通常の分散や混合攪拌に使用し得る攪拌条件を採用し得る。
【0080】
本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法においては、本発明の効果をより発現させ得る点で、樹脂溶液(Ib)は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂およびAO変性PVA(A)以外の樹脂を含まないことが好ましい。樹脂溶液(Ib)中の、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂およびAO変性PVA(A)以外の樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%未満であり、より好ましくは20重量%未満であり、さらに好ましくは10重量%未満であり、特に好ましくは5重量%未満であり、最も好ましくは1重量%未満である。
【0081】
水溶液(IIb)は、少なくとも、部分けん化型PVA(B)と水を混合して調製する。
【0082】
本発明の第2の実施形態による水分散体の製造方法においては、本発明の効果をより発現させ得る点で、水溶液(IIb)は、部分けん化型PVA(B)および上記の任意成分として含有し得るAO変性PVA(A)以外の樹脂を含まないことが好ましい。水溶液(IIb)中の、部分けん化型PVA(B)および上記の任意成分として含有し得るAO変性PVA(A)以外の樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%未満であり、より好ましくは20重量%未満であり、さらに好ましくは10重量%未満であり、特に好ましくは5重量%未満であり、最も好ましくは1重量%未満である。
【0083】
樹脂溶液(Ib)中のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100重量部に対する、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の配合割合は、好ましくは3.5重量部~18重量部であり、より好ましくは3.5重量部~15重量部であり、さらに好ましくは3.5重量部~12重量部であり、特に好ましくは3.5重量部~9重量部である。樹脂溶液(Ib)中のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂100重量部に対する、AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の合計量の配合割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径がより小さく、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を製造し得る。
【0084】
AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)は、好ましくは0.01~0.8であり、より好ましくは0.01~0.75であり、さらに好ましくは0.01~0.5であり、特に好ましくは0.01~0.4である。AO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)の重量比(A)/(B)が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒度分布がより狭い樹脂粒子の水分散体を製造し得る。
【0085】
水溶液(IIb)中の水の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量を採用し得る。このような水の含有量としては、水溶液(IIb)中の部分けん化型PVA(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは200重量部~5000重量部であり、より好ましくは300重量部~4200重量部であり、さらに好ましくは400重量部~3900重量部であり、特に好ましくは500重量部~3600重量部であり、最も好ましくは600重量部~3300重量部である。
【0086】
水溶液(IIb)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なAO変性PVA(A)と部分けん化型PVA(B)以外の水溶性高分子を含んでいてもよい。このような水溶性高分子としては、例えば、不飽和変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースが挙げられる。このような水溶性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0087】
乳化は、樹脂溶液(Ib)と水溶液(IIb)とを混合して攪拌することによって行う。
【0088】
樹脂溶液(Ib)と水溶液(IIb)との重量比率は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量比率を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、このような重量比率としては、樹脂溶液(Ib):水溶液(IIb)として、好ましくは90:10~50:50であり、より好ましくは86:14~55:45であり、さらに好ましくは84:16~60:40であり、特に好ましくは82:18~65:35であり、最も好ましくは80:20~70:30である。樹脂溶液(Ib)と水溶液(IIb)との重量比率が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径が小さく、粒度分布が狭いポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を提供し得る液滴を効果的に形成し得る。
【0089】
乳化は、好ましくは、樹脂溶液(Ib)の液温を40℃以上として行う。この液温は、より好ましくは40℃~100℃であり、さらに好ましくは50℃~90℃であり、特に好ましくは50℃~80℃であり、最も好ましくは55℃~75℃である。このような温度条件で乳化を行うことにより、本発明の効果をより発現でき、特に、粒子径が小さく、粒度分布が狭いポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を提供し得る液滴を効果的に形成し得る。
【0090】
乳化の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乳化方法を採用し得る。このような乳化方法としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、樹脂溶液(Ib)に水溶液(IIb)を添加した後に転相させる転相乳化が好ましい。転相乳化の方法としては、具体的には、樹脂溶液(Ib)に水溶液(IIb)を添加して、油相から水相へ転相させる方法が挙げられる。転相乳化を採用することにより、本発明の効果をより発現できる。また、転相乳化を採用することにより、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等の特別な乳化機を必要とせず、一般的な撹拌装置で小粒子を得ることが可能となり。簡便でエネルギー消費量が少なくなって、経済的である。
【0091】
乳化の後、好ましくは、乳化で得られた乳化液を水系溶媒(代表的には水)によって希釈し、その後、有機溶媒を除去し、水分散体を得る。有機溶媒を除去は、必要に応じて減圧状態で除去する。また、有機溶媒を除去する際に、樹脂粒子の凝集を抑制するため、アニオン性界面活性剤を添加してもよい。
【0092】
本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体を製造する際には、ポリエステル末端基を、カルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール、またはカルボン酸によって封止してもよい。この封止は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なタイミングで行い得る。例えば、樹脂溶液(Ib)を調製するタイミングや水分散体が得られた後のタイミングなどが挙げられる。ポリエステル末端基を封止することにより、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子の耐加水分解性の向上が期待できる。
【0093】
得られた水分散体を固液分離することにより、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子が得られる。
【0094】
≪ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子≫
本発明の実施形態による製造方法で得られるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子は、体積平均粒子径が、好ましくは0.1μm~10μmであり、より好ましくは0.1μm~9.0μmであり、さらに好ましくは0.1μm~8.0μmであり、特に好ましくは0.1μm~7.0μmであり、最も好ましくは0.1μm~6.5μmである。得られる樹脂粒子は、上記のように、体積平均粒子径が非常に小さい。
【0095】
本発明の実施形態による製造方法で得られるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子は、粒度分布のばらつき度を示すRSF(Rerative Span Factor)が、好ましくは1.3未満であり、より好ましくは1.25未満であり、さらに好ましくは1.2未満であり、特に好ましくは1.15未満であり、最も好ましくは1.1未満である。得られる樹脂粒子のRSFが上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現でき、特に、粒度分布が狭い樹脂粒子となり得る。なお、RSFの算出方法については後述する。
【0096】
本発明の実施形態による製造方法で得られるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子は、中実構造を有する中実粒子であってもよいし、中空構造を有する中空粒子であってもよい。本明細書において、中実構造を有する中実粒子とは、中空構造を有していない粒子または多孔質構造を有していない粒子を意味する。ここで、中空構造とは、殻で囲まれた内部が中空(完全な空洞状態)である構造、または粒子内部に空隙を少なくとも1個有する構造を意味する。ここでいう空隙とは、粒子の断面をSEM等で観察した際に確認することができる粒子内部の孔となった部分を意味する。
【実施例0097】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0098】
<体積平均粒子径の測定>
樹脂粒子の体積平均粒子径は、MultisizerTM3(ベックマン・コールター社製測定装置)を用い、コールターカウンター法を用いて測定した。測定は、ベックマン・コールター社発行のMultisizerTM3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施した。
測定に用いるアパチャーは、測定する樹脂粒子の大きさによって、適宜選択した。測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズのアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択する等、適宜行った。測定後の体積平均粒子径が想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、再度測定を行った。
Current(アパチャー電流)およびGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定した。例えば、50μmサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は-800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は-1600、Gain(ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は-3200、Gain(ゲイン)は1と設定した。
測定用試料としては、溶媒除去後のポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体0.1gをイオン交換水30mLにタッチミキサー(ヤマト科学社製、「TOUCHMIXER MT-31」)および超音波洗浄器(ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS-150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用した。測定中は、ビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了した。樹脂粒子の体積平均粒子径は、10万個の樹脂粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
【0099】
<樹脂粒子の粒度分布のばらつき度(RSF)の測定>
樹脂粒子の粒度分布のばらつき度を示すRSF(Rerative Span Factor)は、以下の数式によって算出した。
RSF=(D90-D10)/D50
ここで、D90は累積粒度分布の小粒子側からの累積90体積%に相当する粒子径(μm)を表し、D50は累積粒度分布の小粒子側からの累積50体積%に相当する粒子径(μm)を表し、D10は累積粒度分布の小粒子側からの累積10体積%に相当する粒子径(μm)を表す。
樹脂粒子の粒度分布のばらつき度を示すRSFの評価基準は下記の通りとした。
◎:1.10未満
〇:1.10以上1.20未満
△:1.20以上1.30未満
×:1.30以上
【0100】
<水分散体の分散安定性の評価>
水分散体の安定性は、目視により次の基準で評価した。なお、粒子の合一とは、粒子が融合した状態のことである。
◎:凝集は認められない。
○:一部凝集が認められる。
△:あきらかに凝集が認められる。
×:分離または粒子の合一が認められる。
【0101】
〔実施例1〕
攪拌機、温度計を備えた内容積2Lのオートクレーブに、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)(三菱ケミカル株式会社製、製品名「FD-92PM」):100g、酢酸エチル(富士フイルム和光純薬株式会社製):233gを入れ、撹拌混合し、加熱溶解して70℃の樹脂溶液(1A)を調製した。
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):2.46gと、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、製品名「クラレポバール32-80」、けん化度=79.0mol%~81.0mol%、重合度=2000):4gと水113gを混合し、水溶液(1B)を調製した。
撹拌を維持したまま、70℃に加熱した水溶液(1B)を70℃の樹脂溶液(1A)に徐々に加えながら、両成分を混合し、転相により乳化した。
次に、得られた乳化液と同量のイオン交換水を添加して系を希釈したのち、減圧することで酢酸エチルを除去し、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(1)を得た。
得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(1)を濾過し、得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子を真空乾燥機にかけて水を除去することにより、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(1)を得た。
結果を表1に示した。
また、得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(1)をマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、製品名「VHX-1000」)で撮影した写真図を図1に示した。
【0102】
〔実施例2〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を3gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(2)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(2)を得た。
結果を表1に示した。
また、得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(1)をマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、製品名「VHX-1000」)で撮影した写真図を図2に示した。
【0103】
〔実施例3〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を10gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(3)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(3)を得た。
結果を表1に示した。
【0104】
〔実施例4〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を1.23gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(4)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(4)を得た。
結果を表1に示した。
【0105】
〔実施例5〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を0.615gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(5)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(5)を得た。
結果を表1に示した。
【0106】
〔実施例6〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を1.23gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコールの量を4.5gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(6)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(6)を得た。
結果を表1に示した。
【0107】
〔実施例7〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」:4gに代えて、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、製品名「クラレポバール48-80」、けん化度=78.5mol%~81.0mol%、重合度=2400):4gを用いた以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(7)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(7)を得た。
結果を表1に示した。
【0108】
〔実施例8〕
樹脂溶液(1A)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):2.46gを加え、水溶液(1B)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%)を加えなかった以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(8)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(8)を得た。
結果を表1に示した。
また、得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(8)をマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、製品名「VHX-1000」)で撮影した写真図を図3に示した。
【0109】
〔実施例9〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を3gに変更した以外は、実施例8と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(9)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(9)を得た。
結果を表1に示した。
【0110】
〔実施例10〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を1.23gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を4.5gに変更した以外は、実施例8と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(10)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(10)を得た。
結果を表1に示した。
【0111】
〔実施例11〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」:4gに代えて、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、製品名「クラレポバール48-80」、けん化度=78.5mol%~81.0mol%、重合度=2400):4gを用いた以外は、実施例8と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(11)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(11)を得た。
結果を表1に示した。
【0112】
〔比較例1〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」を用いなかった以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C1)、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子(C1)を得た。
結果を表1に示した。
また、得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C1)をマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、製品名「VHX-1000」)で撮影した写真図を図4に示した。
【0113】
〔比較例2〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」を用いなかった以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0114】
〔比較例3〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を2gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C3)を得た。
得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C3)の水分散体の分散安定性を評価したところ、明らかに凝集していたため、体積平均粒子径およびRSFの測定は実施しなかった。
結果を表1に示した。
【0115】
〔比較例4〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を1.23gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を2gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C4)を得た。
得られたポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体(C4)の水分散体の分散安定性を評価したところ、明らかに凝集していたため、体積平均粒子径およびRSFの測定は実施しなかった。
結果を表1に示した。
【0116】
〔比較例5〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を5.43gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を2.5gに変更した以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0117】
〔比較例6〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を9.85gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を1gに変更した以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0118】
〔比較例7〕
側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール「LW-100」の量を11.08gに変更し、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を0.5gに変更した以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0119】
〔比較例8〕
部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」:4gに代えて、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、製品名「クラレポバール3-80」、けん化度=78.5mol%~81.0mol%、重合度=300):4gを用いた以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0120】
〔比較例9〕
樹脂溶液(1A)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):2.46gを加え、水溶液(1B)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%)を加えず、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」:4gに代えて、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、製品名「クラレポバール3-80」、けん化度=78.5mol%~81.0mol%、重合度=300):4gを用いた以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0121】
〔比較例10〕
樹脂溶液(1A)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):5.43gを加え、水溶液(1B)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%)を加えず、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を2.5gに代えた以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0122】
〔比較例11〕
樹脂溶液(1A)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):9.85gを加え、水溶液(1B)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%)を加えず、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を1gに代えた以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0123】
〔比較例12〕
樹脂溶液(1A)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%):11.08gを加え、水溶液(1B)中に側鎖にポリオキシアルキレン構造を有する変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、製品名「LW-100」、けん化度=39.0mol%~46.0mol%、固形分濃度=40.6%)を加えず、部分けん化ポリビニルアルコール「クラレポバール32-80」の量を0.5gに代えた以外は、実施例1と同様に行ったが、乳化工程で凝集塊が発生したため水分散体を得ることができなかった。
結果を表1に示した。
【0124】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の実施形態によるポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子水分散体、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂粒子は、コーティング材料、外用剤、光学部材、プラスチック改質剤、各種スペーサー、アンチブロッキング剤、各種充填剤など、多くの分野で利用可能である。
図1
図2
図3
図4