IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴァレオジャパンの特許一覧

<>
  • 特開-スイッチ装置 図1
  • 特開-スイッチ装置 図2
  • 特開-スイッチ装置 図3
  • 特開-スイッチ装置 図4
  • 特開-スイッチ装置 図5
  • 特開-スイッチ装置 図6
  • 特開-スイッチ装置 図7
  • 特開-スイッチ装置 図8
  • 特開-スイッチ装置 図9
  • 特開-スイッチ装置 図10
  • 特開-スイッチ装置 図11
  • 特開-スイッチ装置 図12
  • 特開-スイッチ装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016427
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20240131BHJP
   H01H 13/70 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01H13/00 D
H01H13/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118539
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 安政
(72)【発明者】
【氏名】沼田 祐也
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS27K
5G206CS04K
5G206DS17J
5G206DS17K
5G206ES15H
5G206ES15J
5G206ES15K
5G206FS32K
5G206FU02
5G206GS21
5G206KS09
5G206KS15
5G206KS57
(57)【要約】
【課題】検出素子に支障が生じてもスイッチ装置の操作検出に及ぶ影響を抑える。
【解決手段】スイッチ装置1は、被操作部51の操作に連動して軸線X方向に変位する可動体6と、可動体6に設けられた磁石10と、磁石10に対向配置された複数の磁力センサ7(検出素子)と、を有する。磁力センサ7は、少なくとも3つ設けられている。複数の磁力センサ7のうちの少なくとも1つが、逆向きで配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操作部の操作に連動して軸線方向に変位する可動体と、
前記可動体に設けられた磁石と、
前記磁石に対向配置された複数の検出素子と、を有し、
前記複数の検出素子には、検知面を前記磁石に向けた検出素子と、前記検知面を前記磁石とは反対側に向けた逆向きの検出素子が含まれており、
前記複数の検出素子の総数は、少なくとも3つである、スイッチ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動体は、前記検出素子との対向部に前記磁石が取り付けられており、
前記軸線方向から見て前記磁石は、前記軸線方向に直交する第1方向に幅を持っており、
前記複数の検出素子は、前記軸線方向における位置を揃えて設けられていると共に、前記磁石の表面との距離を揃えた状態で前記第1方向に並んでいる、スイッチ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記磁石は、前記軸線方向の一方側がN極、他方側がS極となる磁極の向きで設けられており、
前記複数の検出素子の前記軸線方向における位置は、前記被操作部の非操作時に、前記複数の検出素子が前記磁石の磁極のうちの一方に対向し、前記被操作部の操作時に、前記複数の検出素子が前記磁石の磁極のうちの他方に対向する位置に設けられている、スイッチ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項において、
前記検出素子の出力信号の処理部を有しており、
前記処理部は、前記複数の検出素子において、一対の検出素子からなる検出素子組を設定し、
前記検出素子組に含まれる一対の検出素子の出力信号の比較により、設定した前記検出素子組に含まれる検出素子での支障の有無を判定する、スイッチ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記一対の検出素子からなる検出素子組には、
前記検知面を前記磁石に向けた検出素子と、前記検知面を前記磁石とは反対側に向けた逆向きの検出素子が含まれている、スイッチ装置。
【請求項6】
請求項5において、
設定した前記検出素子組に含まれる一対の検出素子に支障がある場合、
支障があると判断された前記検出素子組に含まれる検出素子と、他の検出素子とを含む別の検出素子組において、前記別の検出素子組に含まれる検出素子の異常の有無を判定して、支障のある検出素子を特定する、スイッチ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3の何れか一項において、
前記可動体は、弾性部材に載置されており、
前記弾性部材は、前記可動体が連結された前記被操作部を初期位置に配置する付勢力を、前記可動体に作用させている、スイッチ装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記可動体は、ケースで前記軸線方向に移動可能に支持されており、
前記被操作部は、前記可動体に連結されている、スイッチ装置。
【請求項9】
請求項7において
前記可動体は、ケースで前記軸線方向に移動可能に支持されており、
前記被操作部は、前記軸線に直交する軸回りに回動可能に設けられており、
前記被操作部は、前記軸の径方向外側に、前記可動体に載置される脚部を有する、スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5194860号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の車両用スイッチは、ブレーキペダルの操作に連動して進退移動する作動体を有する。作動体には、磁石が取り付けられている。磁石は、ブレーキペダルの操作に連動して作動体の進退移動方向に変位する。車両用スイッチは、磁石に対向配置した1つの検出手段を有している。
検出手段は、磁石が進退移動する際の磁気の変化に基づいて、車両用スイッチのオン/オフを検出する。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の車両用スイッチでは、検出手段に支障が生じると、スイッチのオン/オフの操作検出に影響が及ぶ。そのため、検出手段に支障が生じても、スイッチの操作検出に影響が及ばないようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
被操作部の操作に連動して軸線方向に変位する可動体と、
前記可動体に設けられた磁石と、
前記磁石に対向配置された複数の検出素子と、を有し、
前記複数の検出素子には、検知面を前記磁石に向けた検出素子と、前記検知面を前記磁石とは反対側に向けた逆向きの検出素子が含まれており、
前記複数の検出素子の総数は、少なくとも3つである構成のスイッチ装置とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一部の検出素子に支障が生じても、スイッチ装置の操作検出に及ぶ影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スイッチ装置の分解斜視図である。
図2】スイッチ装置の斜視図である。
図3】スイッチ装置の断面図である。
図4】スイッチ装置の断面図である。
図5】スイッチ装置の断面図である。
図6】磁石と、磁力センサとの位置関係を説明する図である。
図7】カバー部材をケース側から見た状態を模式的に示した図である。
図8】スイッチ装置の断面図である。
図9】スイッチ装置の断面図である。
図10】出力信号の処理装置の概略構成図である。
図11】スイッチの操作に伴う磁石と磁力センサとの位置関係の変化を説明する図である。
図12】スイッチの操作に伴う磁力センサの出力波形を説明する図である。
図13】磁気センサ組の設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るスイッチ装置1の実施形態を説明する。
図1は、スイッチ装置1の分解斜視図である。図2は、スイッチ装置1の斜視図である。図3は、スイッチ装置1の断面図である。図3は、スイッチ装置1のスイッチ5Aの部分を、図2における面Aで切断した断面を模式的に示した図である。図4は、スイッチ装置1の断面図である。図4は、スイッチ5Aを、図3におけるA-A線に沿って切断した断面を模式的に示した図である。図5は、スイッチ装置1の断面図である。図5は、スイッチ装置1を、図3におけるB-B線に沿って切断した断面を模式的に示した図である。図5では、スイッチ5Aからスイッチ5Bまでの範囲が示されている。
【0010】
図2に示すように、スイッチ装置1は、合計4つのスイッチ5(5A~5D)を備えている。
ケース2の上部には、各スイッチ5(5A~5D)の被操作部51が露出している。
スイッチ5(5A~5D)の各々には、それぞれ異なる機能が割り当てられている。
一例として、スイッチ装置1が、車両の走行モードの指定に利用されるスイッチ装置である場合には、駐車(P)、後進走行(R)、中立(N)、前進走行(D)などの機能が、これらスイッチ5A~5Dに、ひとつずつ割り当てられている。
スイッチ装置1では、スイッチ5A~5Dのうちの何れか1つのスイッチ5が押圧操作されると、押圧操作されたスイッチ5に割り当てられた機能が指定され、それまでに指定されていた機能の指定が終了するようになっている。
【0011】
図3に示すように、スイッチ5Aは、ユーザにより操作される被操作部51と、被操作部51の操作に連動して変位する可動体6と、を有する。
図4に示すように、さらにスイッチ5Aは、可動体6に取り付けられる磁石10と、可動体6の変位による磁石10の磁力の変化を検出する磁力センサ7(ホールIC:検出素子)と、を有する。
【0012】
図1に示すように、磁力センサ7は、ひとつのスイッチ5(5A~5D)に対して3つずつ用意されている。本実施形態では、同じスイッチに割り当てられた3つの磁力センサ7は、ひとつの支持体75を介して、プリント基板35に取り付けられている。プリント基板35は、4つのスイッチ5(5A~5D)で共用されている。そのため、プリント基板35上には、合計4つの支持体75が設けられている。
【0013】
プリント基板35は、ケース2の下部開口を塞ぐカバー3の内部に収容されている。図3に示すように、カバー3は、底壁部31と、底壁部31の外周を全周に亘って囲む周壁部32と、を有する。周壁部32は、底壁部31に対して略直交する向きで設けられている。周壁部32は、周方向の全周に亘って、同じ高さで形成されている。
カバー3は、ケース2の下部開口に、周壁部32を内嵌させた状態で、図示しないネジで、ケース2に取り付けられている。
【0014】
周壁部32の内側には、プリント基板35の支持台33が設けられている。支持台33は、周壁部32と同じ方向に突出している。底壁部31には、支持台33が複数設けられている。支持台33の上端にプリント基板35が載置される。プリント基板35には、弾性材料から構成されるカバー部材8が載置されている。
【0015】
図1に示すように、スイッチ5A、5C、5Dは、プッシュ式のスイッチであり、基本構成は同じである。スイッチ5Bは、揺動スイッチである。スイッチ5Bは、基本構成は、スイッチ5Aと同じであるものの、後記する可動体6の細部の形状が、スイッチ5Aの可動体6と相違する。
【0016】
以下、スイッチ5A、5C、5Dを代表して、スイッチ5Aの基本構成を説明する。
図3に示すように、スイッチ5Aの被操作部51は、被押圧部510と、被押圧部510の外周を全周に亘って囲む周壁部511と、周壁部511の内側を周壁部511と同じ方向に延びる連結部512と、を有する。
ケース2の上部には、ケース2の内部と外部を連通させる貫通孔20が設けられている。ケース2の上部では、貫通孔20を囲む周壁部21が設けられている。周壁部21は、プリント基板35とは反対側の上方に向けて直線状に延びている。ケース2では、周壁部21の外側に、被操作部51の周壁部511が外挿されている。さらに、ケース2では、周壁部21の内側を、可動体6の筒壁部61(第2壁部612)が、軸線X方向に貫通している。ここで、軸線Xは、プリント基板35の上面35aに直交する直線であると共に、可動体6の変位方向に沿う直線である。
【0017】
可動体6は、ケース2側の周壁部21で軸線X方向に移動可能に支持されている。可動体6では、筒壁部61(第2壁部612)の内側に、被操作部51の連結部512が挿入されている。連結部512の先端側の係合孔512aには、筒壁部61(第2壁部612)の内周から突出する突起615が係合している。本実施形態では、係合孔512aに、可動体6側の突起615が係合することで、被操作部51と可動体6とが連結されている。これにより、被操作部51の押圧操作に連動して、可動体6が軸線X方向に変位できるようになっている。
【0018】
図5に示すように、図中左側の筒壁部61は、一対の第1壁部611、611と、第1壁部611、611の端部同士を接続する第2壁部612、612と、から筒状に形成されている。筒壁部61は、断面視において略長方形形状を成している。筒壁部61では、幅方向(図中、上下方向)の両側に、当接部62、62が設けられている。当接部62、62は、第1壁部611、611の外周から、互いに離れる方向に膨出している。
図3に示すように、当接部62、62は、カバー部材8の載置部82に載置されている。
当接部62、62は、載置部82、82に載置される領域が、軸線X方向から見て略円形に形成されている(図5参照)。
【0019】
図5に示すように、第2壁部612、612のうちの一方には、切欠部612aが設けられている。筒壁部61では、切欠部612aが設けられた第2壁部612に、磁石10の保持部63が付設されている。
保持部63は、一対の係止腕631、631を有している。係止腕631、631は、切欠部612aを間に挟んで対称となる位置関係で設けられている。第2壁部612では、係止腕631、631から見て切欠部612a側の領域に突起612b、612bが設けられている。突起612b、612bは、係止腕631、631と同じ方向に突出している。
【0020】
係止腕631、631は、第2壁部612から離れる方向に直線状に延びている。係止腕631、631の先端には、爪部631a、631aが設けられている。爪部631a、631aは、互いに近づく方向に突出している。爪部631a、631aは、磁石10に設けた段部11に係止されている。磁石10は、爪部631a、631aから作用する付勢力で、突起612b、612bに圧接している。
【0021】
図6は、磁石10と、磁力センサ7(7A、7B、7C)との位置関係を説明する図である。
図6の(A)は、スイッチ5Aの磁石10と、磁力センサ7(7A、7B、7C)との位置関係を示している。図6の(B)は、スイッチ5Bの磁石10と、磁力センサ7(7A、7B、7C)との位置関係を示している。
【0022】
図4に示すように、磁石10は、軸線X方向における一方側(図中、上側)にN極を位置させると共に、他方側(図中、下側)にS極を位置させる向きで設けられている。
磁石10の側方では、磁力センサ7(7A、7B、7C)が磁石10に対向配置されている。
磁力センサ7は、検知部71と、検知部71から延びる脚部72と、を有する。
図6の(A)に示すように、スイッチ5Aの磁石10は、磁石10と磁力センサ7との対向方向(図中、左右方向)の直交方向(図中、上下方向)に、幅W10を有している。
【0023】
本実施形態では、1つの磁石10に対して、3つの磁力センサ7(7A、7B、7C)が用意されている。磁力センサ7(7A、7B、7C)は、共通の支持体75で支持されている。各磁力センサ7(7A、7B、7C)の脚部72は、プリント基板35を貫通しており、プリント基板35の裏面に半田付けされている(図4参照)。
この状態において、各磁力センサ7(7A、7B、7C)の検知面7aは、プリント基板35から高さh7だけ離間した位置に配置されている。
【0024】
図6の(A)に示すように、磁力センサ7(7A、7B、7C)は、検知部71の検知面7aを磁石10に向けて設けられた磁力センサ7A、7Cと、検知面7aを磁石10とは反対側に向けた逆向きの磁力センサ7Bと、を有する。各磁力センサ7(7A、7B、7C)の検知面7aは、磁石10の対向面101(表面)に平行な直線Lm上に位置している。検知面7aは、磁石10の対向面101(表面)から距離dだけ離間した位置に配置されている。
磁力センサ7(7A、7B、7C)は、直線Lmに沿って、所定間隔で並んでいる。直線Lmは、磁力センサ7(7A、7B、7C)の並び方向に沿う直線である。磁力センサ7と磁石10との対向方向から見ると、磁力センサ7(7A、7B、7C)は、磁石10とオーバラップする位置関係で配置されている。そのため、磁石10の幅W10の範囲を超えて、直線Lm方向にはみ出さないように、磁力センサ7(7A、7B、7C)が配置されている。
【0025】
図4および図5に示すように、磁力センサ7(7A、7B、7C)と支持体75は、プリント基板35の上面を覆うカバー部材8の収容部83に収容されている。
図7は、カバー部材8をケース2側から見た状態を模式的に示した図である。図7では、説明の便宜上、カバー部材8の表面の細かな凹凸の記載を省略して簡略的に示している。さらに、図7では、基部81から突出する部位(載置部82、収容部83)と、スイッチ5A~5Dとの対応関係を説明するために、スイッチ5A~5D毎に、対応する部位(載置部82、収容部83)を破線で囲って示している。
【0026】
図7に示すように、カバー部材8は、基部81と、載置部82と、収容部83と、を有する。カバー部材8は、ゴムなどの可撓性を持つ弾性材料で形成された一体部品である。カバー部材8は、プリント基板35の上面を、全面に亘って覆うことができる大きさで形成されている。
基部81は、プリント基板35上に載置される部位である(図3参照)。載置部82は、可動体6を軸線X方向(図中、上下方向)に変位可能に支持する部位である(図3参照)。収容部83は、磁力センサ7と支持体75を収容する部位である(図4参照)。
図7に示すように、カバー部材8では、1つのスイッチに対して、一対の載置部82、82と、1つの収容部83が、割り当てられている。図中、符号5Aを付した破線で囲んだ領域内の載置部82、82と収容部83が、スイッチ5A用の部位である。図中、符号5Bを付した破線で囲んだ領域内の載置部82、82と収容部83が、スイッチ5B用の部位である。
【0027】
図3に示すように、載置部82は、円柱形状の当接部821と、当接部821の外周を全周に亘って囲む支持壁部822と、当接部821の下端に接続するストッパ部823と、から構成される。
当接部821の上端には、可動体6側の当接部62が載置される。ストッパ部823は、当接部821と同芯に配置された円柱形状の部位である。ストッパ部823は、当接部821よりも小さい外径D823で形成されている。
支持壁部822は、当接部821とストッパ部823との境界部から、プリント基板35側に延びている。支持壁部822は、当接部821と、基部81とを接続している。支持壁部822は、当接部821から離れてプリント基板35側に向かうにつれて内径R822が広くなる向きで傾斜している。支持壁部822は、当接部821を、プリント基板35から離間した位置に保持している。
【0028】
可動体6にプリント基板35側に向かう操作力が入力されると、載置部82により押された当接部821が、支持壁部822を変形させながらプリント基板35に近づく方向に変位する。当接部821は、ストッパ部823がプリント基板35に接触する位置まで、プリント基板35側に変位する。
載置部82は、可動体6に作用していた操作力が解消されると、支持壁部822の復元力で、プリント基板35から離れる方向に変位する。
支持壁部822は、載置部82に載置された可動体6を、変位前の初期位置に復帰させる方向の付勢力を、可動体6に作用させている。
【0029】
本実施形態では、被操作部51の操作に連動して軸線X方向に変位する可動体6が、載置部82、82に載置されていることにより、被操作部51を押圧操作したときの操作感(反力)を、ユーザが感じられるようになっている。
【0030】
図2に示すように、スイッチ5Aの隣に位置するスイッチ5Bは、揺動スイッチである。
スイッチ5Bの基本構成は、可動体6の細部形状を除き、スイッチ5Aと略同じである。
図5に示すように、スイッチ5Bは、磁石10と磁力センサ7との対向方向が、スイッチ5Aと異なっている。スイッチ5Aにおける磁石10と磁力センサ7の対向方向が、各スイッチ5A~5Dの並び方向(図中、左右方向)であるのに対して、スイッチ5Bでは、磁石10と磁力センサ7の対向方向が、各スイッチ5A~5Dの並び方向に直交する方向(図中、上下方向)である。
ただし、図6に示した磁石10と磁力センサ7との位置関係は、スイッチ5Bにおいても保持されている。
【0031】
図5に示すように、スイッチ5Bの可動体6は、第1壁部611、611の長さが、スイッチ5Aの第1壁部611、611よりも長くなっている。そして、当接部62、62が、第2壁部612に設けられている。
第2壁部612において当接部62、62は、間隔を開けて並んでおり、カバー部材8の載置部82、82に載置されるようになっている。
【0032】
図8は、スイッチ装置1の断面図である。図8では、図5におけるA-A線に沿って、スイッチ装置1のスイッチ5Bの部分を切断した断面が、模式的に示されている。
図9は、スイッチ装置1の断面図である。図9では、図2における面Bで、スイッチ装置1のスイッチ5Bの部分を切断した断面が、模式的に示されている。図9は、被操作部51の軸線Y回りの変位と、被操作部51の操作に連動する可動体6の軸線X方向の変位を説明するための図である。
【0033】
図5に示すように、スイッチ5Bでも、1つの磁石10に対して、3つの磁力センサ7(7A、7B、7C)が用意されている。磁力センサ7(7A、7B、7C)は、共通の支持体75で支持されている。
図8に示すように、各磁力センサ7(7A、7B、7C)の脚部72は、プリント基板35を貫通しており、プリント基板35の裏面に半田付けされている。
この状態において、各磁力センサ7(7A、7B、7C)の検知面7aは、プリント基板35から高さh7だけ離間した位置に配置されている。
【0034】
図6の(B)に示すように、スイッチ5Bの磁力センサ7(7A、7B、7C)もまた、検知部71の検知面7aを磁石10に向けて設けられた磁力センサ7A、7Cと、検知面7aを磁石10の反対側に向けた逆向きの磁力センサ7Bと、を有する。
各磁力センサ7(7A、7B、7C)の検知面7aは、磁石10の対向面101(表面)に平行な直線Ln上に位置している。磁石10の対向面101(表面)から距離dだけ離間した位置に配置されている。
図6の(B)に示すように、スイッチ5Bの磁力センサ7(7A、7B、7C)は、直線Lnに沿って、所定間隔で並んでいる。直線Lnは、磁力センサ7(7A、7B、7C)の並び方向に沿う直線である。磁力センサ7と磁石10との対向方向から見ると、磁力センサ7(7A、7B、7C)は、磁石10とオーバラップする位置関係で配置されている。そのため、磁石10の幅W10の範囲を超えて、直線Ln方向にはみ出さないように、磁力センサ7(7A、7B、7C)が配置されている。
【0035】
図9に示すように、スイッチ5Bの被操作部51は、ケース2側の支持軸25で回動可能に支持されている。被押圧部510では、磁石10を支持する第2壁部612の上方に、被操作部51の回動軸である軸線Yが位置している。
被押圧部510は、プリント基板35側の下面に、脚部516を有している。脚部516は、当接部62を支持する第2壁部612の上方に位置している。脚部516は、被押圧部510からプリント基板35側の下方に突出している。脚部516の先端516aは、第2壁部612の上端612dに当接している。
【0036】
第2壁部612を持つ可動体6は、ケース2の周壁部21で、軸線X方向に移動可能に支持されている。
スイッチ5Bの被押圧部510に、プリント基板35側に向かう操作力が作用すると、被押圧部510が、軸線Y周りに回動する。そうすると、被押圧部510が備える脚部516が、可動体6をプリント基板35側の下方に移動させる。
すなわち、被押圧部510の軸線Y回りの回動が、可動体6の軸線X方向への変位に変換される。これにより、可動体6の当接部62により押された当接部821が、支持壁部822を変形させながらプリント基板35に近づく方向に変位する。当接部821は、ストッパ部823がプリント基板35に接触する位置まで、プリント基板35側に変位する。
【0037】
スイッチ5Bの被押圧部510に作用していた操作力が解消されると、カバー部材8の載置部82は、支持壁部822の復元力で、プリント基板35から離れる方向に変位する。これにより、載置部82に載置された可動体6は、プリント基板35から離れる方向に変位して、被操作部51が軸線Y回りに回動する前の初期位置に復帰して、被操作部51の姿勢が初期位置で保持されることになる。
【0038】
図10は、出力信号の処理装置15の概略構成図である。
処理装置15は、各スイッチ5(5A~5D)の磁力センサ7(7A、7B、7C)の出力信号に基づいて、各スイッチ5(5A~5D)の操作の有無を判定する処理(操作判定処理)を実施する。さらに、処理装置15は、磁力センサ7(7A、7B、7C)の出力信号に基づいて、磁力センサ7(7A、7B、7C)における支障の有無を判断する処理(支障判断処理)を実施する。
【0039】
磁力センサ7(7A、7B、7C)における「支障」とは、磁力センサ7が単純に故障している場合だけでなく、磁力センサ7が、本来あるべき位置から傾いている場合など、磁力センサ7の出力信号が、予定していた出力信号でない場合の支障も含まれる。
磁力センサ7は、脚部72の上端に検知部71が設けられているので、重心が高く傾きやすい傾向がある。そのため、支持体75を用いて磁力センサ7の傾きを抑制しているが、支持体75で支持している場合にも、傾いてしまう場合も生じ得る。磁力センサ7が傾くと、磁力センサ7の出力信号は、予定していた出力信号とは異なる出力信号を出力することになる。
本実施形態では、支障判断処理により、磁力センサ7そのものの故障だけでなく、検出に影響を及ぼし得る磁力センサ7の傾きも、「支障あり」として検出できるようにしている。
【0040】
図11の(A)、(B)は、スイッチ5がプッシュ操作されたときの磁力センサ7と磁石10との位置関係の変化を説明する図である。図12は、スイッチ5がプッシュ操作されたときの磁力センサ7の出力信号の変化を説明する図である。
【0041】
本実施形態のスイッチ装置1では、被操作部51のプッシュ操作に伴って、可動体6に取り付けられた磁石10が、軸線X方向に沿ってプリント基板35側の下方に向けて変位する。スイッチ装置1では、磁石10が軸線X方向に変位する際の磁力変化を、磁力センサ7(7A~7C)で検出し、検出結果に基づいて、スイッチの操作の有無を判断する。
前記したように、スイッチ5(5A~5D)毎に、1つの磁石10と、3つの磁力センサ7(7A、7B、7C)が用意されている。
磁力センサ7(7A~7C)は、当該磁力センサ7(7A~7C)と磁石10との対向方向(図11の(A)における左右方向)の磁力成分を検出し、検出した磁力の大きさに応じた出力信号を出力する。
具体的には、磁力センサ7(7A~7C)は、磁力の大きさに応じて決まる電圧値を、出力信号として処理装置15(MPU)に出力する。
【0042】
何れかのスイッチ5(5A~5D)(図2参照)が操作されると、処理装置15には、操作されたスイッチに割り当てられた3つの磁力センサ7(7A~7C)から、出力信号が入力される。
【0043】
図11の(A)に示すように、被操作部51のプッシュ操作に伴って可動体6が軸線X方向に変位すると、可動体6に取り付けられた磁石10もまた、軸線X方向に変位する。
具体的には、磁石10は、図11の(A)に示す初期位置から、図11の(B)に示す操作位置まで変位する。
そうすると、磁力センサ7の検知部71は、検知する磁力が磁石10の変位に伴って変化する。
【0044】
図12に示すように、磁石10が初期位置で静止しているときには、磁力センサ7は、S極に対向配置されている。この状態では、磁力センサ7の出力信号(出力電圧値)は、中央値(Center)である。
ここから、磁石10が操作位置に向けて変位すると、磁力センサ7の出力信号が変化して、検知部71の正面をS極とN極との境界が横切るタイミングで、磁力センサ7の出力信号は、中央値の一方側から他方側に変化する。これは、磁力センサ7の検知面7aの正面に、S極が位置している場合と、N極が位置している場合で、磁力の向きが反転するためである。
すなわち、S極とN極との境界が横切るタイミングCの前後で、出力波形が、中央値を基準として上下反転する(図中、太線参照)。
【0045】
ここで、図12において実線で示す波形は、検知部71の検知面7aを磁石10に向けて設けられた磁力センサ7A、7Cの出力波形である。図12において一点鎖線で示す波形は、検知面7aを磁石10とは反対側に向けた磁力センサ7Bの出力波形である。
磁力センサ7Bは、検知面7aを磁石10とは反対側に向けている。すなわち、磁力センサ7Bは、磁力センサ7A、7Cに対して逆向きに配置されている。
そうすると、磁石10の変位に伴って検知される磁力の大きさは同じであるものの、得られる出力波形は、位相が反転したものとなる。すなわち、図12に示すように、中央値を基準として上下反転した出力波形となる(図中、一点鎖線参照)。
【0046】
処理装置15には、図13に示す3つの出力波形を形成する出力信号が、磁力センサ7(7A、7B、7C)から入力される。ここで、図13の一番上は、磁力センサ7Aの出力波形であり、図13の真ん中は、磁力センサ7Bの出力波形であり、図13の一番下は、磁力センサ7Cの出力波形である。
【0047】
支障判断処理を実施する場合、処理装置15は、3つの磁力センサ7A、7B、7Cにおいて、一対の磁力センサからなる磁力センサ組P(検出素子組)を設定する。
図13の場合には、一例として、磁力センサ7Aと磁力センサ7Bから構成される第1センサ組P1(検出素子組)と、磁力センサ7Bと磁力センサ7Cから構成される第2センサ組P2(検出素子組)の2つのセンサ組が設定される。
処理装置15は、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ7Aの出力信号(図13の一番上に示す波形)と磁力センサ7Bの出力信号(図13の真中に示す波形)とを比較すると共に、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ7Bの出力信号(図13の真中に示す波形)と磁力センサ7Cの出力信号(図13の一番下に示す波形)とを比較する。
【0048】
磁力センサ7Aと、磁力センサ7Bは、検知部71の検知面7aを反対方向に向けているので、出力波形は、中央値を中心として対称となる波形となる。そのため、磁力センサ7Aと、磁力センサ7Bに支障が生じていない場合には、一方の磁力センサの出力波形を、中央値を基準として反転させると、反転後の出力波形と、他方の磁力センサの出力波形は重なる波形となる。
反転後の出力波形と、反転させていない出力波形とが一致していない場合には、磁力センサ7Aと、磁力センサ7Bのうちの一方に支障が生じていることになる。
反転後の出力波形と、反転させていない出力波形とが一致している場合には、磁力センサ7Aと、磁力センサ7Bのいずれにも支障が生じていないことになる。
【0049】
処理装置15は、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ(磁力センサ7A、7B)と、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)の何れにおいても、支障が生じていない場合には、磁力センサ7(7A~7C)に支障は生じていないと判定する。
これにより、処理装置15は、操作判定処理を実施して、磁力センサ7(7A~7C)の出力信号に基づいて、スイッチの操作の有無を判断することになる。
一例として、処理装置15は、磁力センサ7(7A~7C)の出力信号が、中央値(Center)を横断して変化した場合には、スイッチの操作がされたと判定する。
【0050】
処理装置15は、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ(磁力センサ7A、7B)と、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)の少なくとも一方において支障が生じている場合、支障が生じている磁力センサを除いた他の磁力センサの出力信号に基づいて、操作判定処理を実施して、スイッチの操作の有無を判断する。
【0051】
ここで、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ(磁力センサ7A、7B)での比較結果において「支障」が認められ、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)での比較結果において「支障」が認められなかった場合には、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ7Aに支障が生じていると判定される。
磁力センサ7Bは、第1センサ組P1と第2センサ組P2に共通に含まれているので、第2センサ組P2の判定結果から、磁力センサ7Bに支障が生じていないことが確認できるからである。
【0052】
また、第1センサ組P1に含まれる磁力センサ(磁力センサ7A、7B)での比較結果において「支障」が認められ、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)での比較結果において「支障」が認められた場合は、磁力センサ7Bに支障が生じていると判定される。
磁力センサ7Bは、第1センサ組P1と第2センサ組P2に共通に含まれているからである。
【0053】
この場合において、磁力センサ7Aと磁力センサ7Cを含む第3センサ組P3を新たに設定し、設定した第3センサ組P3に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)での比較結果において「支障」が認められないことを確認した上で、磁力センサ7Bに「支障」があると判定するようにしても良い。
【0054】
第1センサ組P1に含まれる磁力センサ(磁力センサ7A、7B)での比較結果において「支障」が認められず、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ(磁力センサ7B、7C)での比較結果において「支障」が認められた場合には、第2センサ組P2に含まれる磁力センサ7Cに支障が生じていると判定される。
【0055】
このように、処理装置15は、磁力センサ7(7A~7C)の何れにおいても支障が認められない場合には、磁力センサ7(7A~7C)の出力信号に基づいて、スイッチの操作の有無を判断する。
磁力センサ7(7A~7C)の何れかにおいて支障が認められた場合には、各磁力センサ7(7A~7C)の組み合わせを利用した判断により、支障が生じている磁力センサを特定できるので、支障の生じていない残りの磁力センサ7の出力信号に基づいて、スイッチの操作の有無を判定する。これにより、スイッチの操作の有無を適切に判定できる。
【0056】
前記した実施形態では、1つのスイッチに対して、3つの磁力センサ7が割り当てられている場合を例示した。1つのスイッチに対して割り当てられる磁力センサ7は、4つ以上であっても良い。この場合には、少なくとも1つの磁力センサ7を、検知面7aを磁石10とは反対側に向けて設置する。そして、反対側に向けた磁力センサ7を含むように、磁力センサ組を設定して、磁力センサ組毎に支障の有無の判定を行うようにしても良い。このようにすることによっても、磁力センサ7の支障の有無をより適切に判定できる。
【0057】
前記した実施形態では、支障判断処理を実施する場合に、処理装置15が、3つの磁力センサ7A、7B、7Cにおいて、一対の磁力センサからなるセンサ組P(検出素子組)を複数設定する場合を例示した。
例えば、磁力センサが複数ある場合には、始めに一対の磁力センサからなるセンサ組Paをひとつ設定し、設定したセンサ組に含まれる磁力センサに支障があると判定された場合に、センサ組Paに含まれる1つの磁力センサと、別の磁力センサとを含む新たなセンサ組Pbを設定して、新たなセンサ組Pbに含まれる磁力センサに対して、支障の有無を判断するようにしても良い。
このようにすることによっても、支障のある磁力センサを特定できるので、支障のない磁力センサの出力波形に基づいて、センサの操作の有無を判定できる。
【0058】
前記した実施形態では、一対の磁力センサの出力波形の比較により、支障の有無を判断する場合を例示したが、磁力センサ7の出力電圧と、出力電圧の中央値(Center)との差分ΔVを算出し、一対の磁力センサ組に含まれる一方の磁力センサの差分ΔVと、他方の磁力センサの差分ΔVとの比較により、支障の有無を判断するようにしても良い。
【0059】
以上の通り、本実施形態にかかるスイッチ装置1は、以下の構成を有する。
(1)スイッチ装置1は、
被操作部51の操作に連動して軸線X方向に変位する可動体6と、
可動体6に設けられた磁石10と、
磁石10に対向配置された複数の磁力センサ7(検出素子)と、を有する。
複数の磁力センサ7には、検知面7aを磁石10に向けた検出素子と、検知面7aを磁石10とは反対側に向けた逆向きの検出素子が含まれている。
複数の磁力センサ7の総数は、少なくとも3つである。
【0060】
このように構成すると、少なくとも1つの磁力センサ7Bが、磁石10とは反対側に検知面7aを向けて配置される。検知面7aを磁石10に向けて配置された磁力センサ7A、7Cと、検知面7aを磁石10とは反対に向けて配置された磁力センサ7Bでは、出力信号の位相が逆転する(図12図13参照)。
そのため、検知面7aを磁石10に向けて配置された磁力センサ7A、7Cと、検知面7aを磁石10とは反対に向けて配置された磁力センサ7Bでは、出力信号の位相が異なるものとなる。
そうすると、位相が異なる出力信号の比較により、検知面7aを磁石10に向けて配置された磁力センサ7A、7Cと、検知面7aを磁石10とは反対に向けて配置された磁力センサ7Bとのうちの一方に支障が生じていることが確認できる。磁力センサ7が少なくとも3つ設けられていることにより、出力信号を比較する組み合わせを変更することで、どの磁力センサに支障が生じているのかを特定できる。特定した磁力センサを除いた他の磁力センサの出力信号から、被操作部51の操作の有無を判定できる。
よって、磁力センサ7の何れかに支障が生じても、被操作部51の操作の有無、即ちスイッチ5の操作の検出に影響が及ばないようになる。
これにより、磁力センサ7の支障に対するロバスト性を向上できる。
【0061】
(2)可動体6は、磁力センサ7との対向部に磁石10が取り付けられている。
軸線X方向から見て磁石10は、軸線X方向に直交する第1方向(図6における並び方向)に幅W10を持っている。
複数の磁力センサ7は、軸線X方向における位置を揃えて設けられていると共に、磁石10の表面(対向面101)との距離dを揃えた状態で第1方向に並んでいる。
【0062】
このように構成すると、各磁力センサ7(7A~7C)の出力信号の強度が揃うので、各磁力センサ7の出力信号の比較が容易になる。
特に、磁石10と磁力センサ7(7A~7C)との対向方向から見て、磁石10と磁力センサ7(7A~7C)とが重なる位置関係で設けられていると、磁力センサ7(7A~7C)を、第1方向に並べて配置することで、磁力センサ7(7A~7C)と磁石10の表面(対向面101)との距離dを揃えることができる。これにより、磁力センサ7(7A~7C)の配置が容易になるので、磁力センサ7(7A~7C)の出力信号の強度を、より簡単に揃えることができるようになる。
【0063】
(3)磁石10は、軸線X方向の一方側がN極、他方側がS極となる磁極の向きで設けられている。
複数の磁力センサ7の軸線X方向における位置は、被操作部51の非操作時に、複数の検出素子が磁石10の磁極のうちの一方のS極に対向し、被操作部51の押圧された際に、複数の磁力センサ7が磁石10の磁極のうちの他方の磁極Nに対向する位置に設けられている。
【0064】
このように構成すると、被操作部51が操作された際の各磁力センサ7の出力信号の変化傾向と強度が揃うので、各磁力センサ7の出力信号の比較が容易になる。なお、磁石10は、軸線X方向の一方側がS極、他方側がN極となる磁極の向きで設けられている構成としてもよい。
【0065】
(4)磁力センサ7の出力信号の処理装置15(処理部)を有している。
処理装置15は、複数の磁力センサ7において、一対の磁力センサ7からなる磁力センサ組P1、P2(検出素子組)を設定し、
磁力センサ組P1、P2に含まれる一対の磁力センサの出力信号の比較により、設定した磁力センサ組に含まれる検出素子での支障の有無を判定する。
【0066】
このように構成すると、支障のある磁力センサ7の存在を速やかに検知できる。
【0067】
(5)一対の磁力センサ7からなる磁力センサ組には、
検知面7aを磁石10に向けた磁力センサ7Aと、検知面7aを磁石10とは反対側に向けた逆向きの磁力センサ7Bが含まれている。
【0068】
このように構成すると、磁力センサ7Aの出力波形と、磁力センサ7Bの出力波形は、位相が逆の波形となる。これにより、位相が異なる出力波形の比較により、支障のある磁力センサ7の存在を速やかに検知できる。
【0069】
(6)処理装置15は、
設定した磁力センサ組P1に含まれる一対の磁力センサに支障がある場合、
支障があると判断された磁力センサ組P1に含まれる磁力センサと、他の磁力センサを含む別の磁力センサ組P2において、当該別の磁力センサ組P2に含まれる磁力センサの異常の有無を判定して、支障のある磁力センサを特定する。
【0070】
このように構成すると、支障のある磁力センサを速やかに特定できる。
【0071】
(7)可動体6は、カバー部材8(弾性部材)に載置されている。
カバー部材8は、可動体6が連結された被操作部51を初期位置に配置する付勢力を、可動体6に作用させている。
【0072】
このように構成すると、被操作部51の操作に操作感を付与できる。
【0073】
(8)可動体6は、ケース2で軸線X方向に移動可能に支持されている。
被操作部51は、可動体6に連結されている。
【0074】
このように構成すると、被操作部51の押圧操作で、可動体6を直接変位させることができる。
【0075】
(9)可動体6は、ケース2で軸線X方向に移動可能に支持されている。
ケース2において被操作部51は、軸線Y回りに回動可能に設けられている。
軸線Y方向から見て、被操作部51は、軸線Yの径方向における外側に脚部516を有している。
脚部516は、可動体6の上端612dに載置されている。
被操作部51に作用する操作力で、被操作部51が軸線Y回りに回動すると、脚部516が、可動体6を軸線X方向に変位させる。
【0076】
このように構成すると、被操作部51が揺動するスイッチ5Bの場合であっても、スイッチ5Bの被操作部51の操作に連動して、可動体6に取り付けられた磁石10が軸線方向に変位する。
これにより、揺動式の被操作部51を持つスイッチ5Bの場合であっても、スイッチ5Bの操作を適切に検出できる。
【0077】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明は、これらのものに限定されるものではなく、発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 :スイッチ装置
10 :磁石
101 :対向面(磁石の表面)
15 :処理装置(処理部)
2 :ケース
25 :支持軸(軸線方向に直交する軸)
3 :カバー
35 :プリント基板
5(5A~5D) :スイッチ
51 :被操作部
510 :被押圧部
516 :脚部
6 :可動体
61 :筒壁部
611 :第1壁部
612 :第2壁部
612a :切欠部
612b :突起
612d :上端
62 :当接部
63 :保持部
631 :係止腕
631a :爪部
7(7A、7B、7C) :磁力センサ(検出素子)
7a :検知面
71 :検知部
72 :脚部
75 :支持体
8 :カバー部材
81 :基部
82 :載置部
821 :当接部
822 :支持壁部
823 :ストッパ部
83 :収容部
X :軸線
Y :軸線
d :距離
h7 :高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13