(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016431
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】自動車用エンジン
(51)【国際特許分類】
F02D 19/12 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F02D19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118546
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】522130117
【氏名又は名称】株式会社HSE研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】種田 繁
(72)【発明者】
【氏名】奥山 正己
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA06
3G092AB02
3G092AB17
3G092FA24
3G092HC03X
3G092HC05Z
3G092HD05Z
3G092HE01Z
3G092HF08Z
3G092HF26Z
(57)【要約】
【課題】ガソリンの燃焼エネルギーとともに、蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを動力に変換することができ、燃焼エネルギーと蒸気エネルギーとから所定のエンジン出力を得ることができる自動車用エンジンを提供する。
【解決手段】自動車用エンジン10では、フューエルインジェクター40から噴射されたガソリンがシリンダー46の燃焼室46aに供給され、略均一の平均粒子径を有するミスト状の霧状水がミスト給水機構20からシリンダー46の燃焼室46aに給水され、ピストン47によって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室46aのガソリンを含む混合気を点火プラグ48によって点火し、燃焼室46aの燃焼ガスの燃焼熱でミスト状の霧状水を蒸気化させ、燃焼ガスの燃焼エネルギーと蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーとを動力に変換する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンを噴射するインジェクターと、所定容積のシリンダーと、前記シリンダーの燃焼室を往復動するピストンと、前記シリンダーの燃焼室に空気又は前記ガソリンと前記空気との混合気を給気する吸気バルブと、前記シリンダーの燃焼室から燃焼ガスを排気する排気バルブと、前記シリンダーの燃焼室のガソリンを含む混合気に点火する点火プラグとを有する自動車用エンジンにおいて、
前記自動車用エンジンが、前記シリンダーの燃焼室にミスト状の霧状水を給水するミスト給水機構を備え、
前記自動車用エンジンでは、前記インジェクターから噴射されたガソリンが前記シリンダーの燃焼室に供給され、略均一の平均粒子径を有するミスト状の霧状水が前記ミスト給水機構から前記シリンダーの燃焼室に給水され、前記ピストンによって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室のガソリンを含む混合気を前記点火プラグによって点火し、前記燃焼室の燃焼ガスの燃焼熱で前記ミスト状の霧状水を蒸気化させ、前記燃焼ガスの燃焼エネルギーと前記蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーとを動力に変換することを特徴とする自動車用エンジン。
【請求項2】
前記自動車用エンジンでは、前記空気又は前記ガソリンと該空気との混合気が前記吸気バルブから前記シリンダーの燃焼室に給気されると同時に前記ミスト給水機構から霧状水が前記シリンダーの燃焼室に給水される請求項1に記載の自動車用エンジン。
【請求項3】
前記自動車用エンジンでは、そのエンジン回転数(rpm)が1000(rpm)以上になったときに前記ミスト給水機構から霧状水が前記シリンダーの燃焼室に給水される請求項1又は請求項2に記載の自動車用エンジン。
【請求項4】
前記自動車用エンジンが、前記自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例して前記ミスト給水機構から前記燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、前記自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいて前記エンジン回転数(rpm)の減少に比例して前記ミスト給水機構から前記燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を減少させる請求項1ないし請求項3いずれかに記載の自動車用エンジン。
【請求項5】
前記自動車用エンジンでは、前記自動車の下り坂走行時において前記アクセルの開度を基準として前記燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を決定する請求項4に記載の自動車用エンジン。
【請求項6】
前記自動車用エンジンが、前記自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例して前記ミスト給水機構から前記燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させ、前記自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいて前記エンジン回転数(rpm)の減少に比例して前記ミスト給水機構から前記燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させる請求項5に記載の自動車用エンジン。
【請求項7】
前記自動車用エンジンが、前記自動車の下り坂走行時とブレーキをかけた制動時とのいずれかにおいて前記ミスト給水機構から前記燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする請求項6に記載の自動車用エンジン。
【請求項8】
前記自動車用エンジンが、前記シリンダーに設置されて前記燃焼室の燃焼温度を計測する温度センサを含み、前記自動車用エンジンでは、前記温度センサが計測した前記燃焼室の燃焼温度が上限温度に達したときに前記シリンダーの燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、前記燃焼室の燃焼温度を上限温度以下に保持する請求項7に記載の自動車用エンジン。
【請求項9】
前記ミスト給水機構が、前記ミスト状の霧状水を生成する霧状水生成管と、前記霧状水生成管に流入するエアーに含まれる不純物を除去するエアーフィルターと、前記エアーフィルターの下流に設置されて前記エアーの流量を調節する電子制御スロットルと、前記霧状水生成管における前記電子制御スロットルの下流に設置されて該霧状水生成管の管内に前記ミスト状の霧状水を噴射する水噴射ノズルとから形成されている請求項1ないし請求項8いずれかに記載の自動車用エンジン。
【請求項10】
前記水噴射ノズルが、前記霧状水生成管の管内に向かって半円の円弧を画く噴射面を有し、前記ミスト状の霧状水を噴射する複数の噴射口が、前記噴射面に穿孔されている請求項9に記載の自動車用エンジン。
【請求項11】
前記ミスト給水機構が、前記シリンダーの燃焼室に前記ミスト状の霧状水を直接噴射する水噴射インジェクターである請求項1ないし請求項8いずれかに記載の自動車用エンジン。
【請求項12】
前記水噴射ノズルの噴射面のそれら噴射口又は前記水噴射インジェクターから噴射される霧状水の平均粒子径が、30~75μmの範囲にある請求項10又は請求項11に記載の自動車用エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される自動車用エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
水素エンジンと、水素エンジンの各気筒について設けられ、対応する気筒の燃焼室内又は燃焼室と連通する吸気ポート内に水を噴射する第1の水噴射手段と、水素エンジンの各吸気ポートにインテークマニホールドを介して接続された吸気通路と、吸気通路又はインテークマニホールドに配設された吸気通路内又はインテークマニホールド内に水を噴射する第2の水噴射手段と、水素エンジンの各気筒の吸気経路におけるバックファイアーの発生を検知する検知手段と、検知手段によってある気筒の吸気経路におけるバックファイアーの発生が検知された場合、バックファイアーの発生により変化する1種以上の物理量に基づき、気筒について設けられた第1の水噴射手段に噴射させる水の量と第2の水噴射手段に噴射させる水の量とを決定し、決定した量の水を噴射するように、気筒について設けられた第1の水噴射手段と第2の水噴射手段とを制御する制御手段とを備えた水素エンジンシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の水素エンジンシステムは、気筒の燃焼室内又は燃焼室と連通する吸気ポート内に水を噴射するとともに、吸気通路又はインテークマニホールドに配設された吸気通路内又はインテークマニホールド内に水を噴射することで、バックファイアーによってインテークマニホールドが過度に加熱されることを抑止することができる。しかし、この水素エンジンシステムは、気筒の燃焼室内や燃焼室と連通する吸気ポート、吸気通路、インテークマニホールドに配設された吸気通路内、インテークマニホールド内に水を噴射するが、その水を動力に変換することはない。
【0005】
本発明の目的は、ガソリンの燃焼エネルギーとともに、蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを動力に変換することができ、燃焼エネルギーと蒸気エネルギーとから所定のエンジン出力を得ることができるとともに、ガソリンの燃焼エネルギーと霧状水の蒸気エネルギーとによって自動車を走行させることができる自動車用エンジンを提供することにある。本発明の他の目的は、エンジン回転数(rpm)の増加又はアクセルの開度の増加に比例して蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の減少又はアクセルの開度の減少に比例して蒸気エネルギーを減少させることできる自動車用エンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、ガソリンを噴射するインジェクターと、所定容積のシリンダーと、シリンダーの燃焼室を往復動するピストンと、シリンダーの燃焼室に空気又はガソリンと空気との混合気を給気する吸気バルブと、シリンダーの燃焼室から燃焼ガスを排気する排気バルブと、シリンダーの燃焼室のガソリンを含む混合気に点火する点火プラグとを有する自動車用エンジンである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、自動車用エンジンが、シリンダーの燃焼室にミスト状の霧状水を給水するミスト給水機構を備え、自動車用エンジンでは、インジェクターから噴射されたガソリンがシリンダーの燃焼室に供給され、略均一の平均粒子径を有するミスト状の霧状水がミスト給水機構からシリンダーの燃焼室に給水され、ピストンによって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室のガソリンを含む混合気を点火プラグによって点火し、燃焼室の燃焼ガスの燃焼熱でミスト状の霧状水を蒸気化させ、燃焼ガスの燃焼エネルギーと蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーとを動力に変換することにある。
【0008】
本発明の一例として、自動車用エンジンでは、空気又はガソリンと空気との混合気が吸気バルブからシリンダーの燃焼室に給気されると同時にミスト給水機構から霧状水がシリンダーの燃焼室に給水される。
【0009】
本発明の他の一例として、自動車用エンジンでは、そのエンジン回転数(rpm)が1000(rpm)以上になったときにミスト給水機構から霧状水がシリンダーの燃焼室に給水される。
【0010】
本発明の他の一例としては、自動車用エンジンが、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を減少させる。
【0011】
本発明の他の一例として、自動車用エンジンでは、自動車の下り坂走行時においてアクセルの開度を基準として燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を決定する。
【0012】
本発明の他の一例としては、自動車用エンジンが、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させ、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させる。
【0013】
本発明の他の一例としては、自動車用エンジンが、自動車の下り坂走行時とブレーキをかけた制動時とのいずれかにおいてミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする。
【0014】
本発明の他の一例としては、自動車用エンジンが、シリンダーに設置されて燃焼室の燃焼温度を計測する温度センサを含み、自動車用エンジンでは、温度センサが計測した燃焼室の燃焼温度が上限温度に達したときにシリンダーの燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、燃焼室の燃焼温度を上限温度以下に保持する。
【0015】
本発明の他の一例としては、ミスト給水機構が、ミスト状の霧状水を生成する霧状水生成管と、霧状水生成管に流入するエアーに含まれる不純物を除去するエアーフィルターと、エアーフィルターの下流に設置されてエアーの流量を調節する電子制御スロットルと、霧状水生成管における電子制御スロットルの下流に設置されて霧状水生成管の管内にミスト状の霧状水を噴射する水噴射ノズルとから形成されている。
【0016】
本発明の他の一例としては、水噴射ノズルが、霧状水生成管の管内に向かって半円の円弧を画く噴射面を有し、ミスト状の霧状水を噴射する複数の噴射口が、噴射面に穿孔されている。
【0017】
本発明の他の一例としては、ミスト給水機構が、シリンダーの燃焼室にミスト状の霧状水を直接噴射する水噴射インジェクターである。
【0018】
本発明の他の一例としては、水噴射ノズルの噴射面のそれら噴射口又は水噴射インジェクターから噴射される霧状水の平均粒子径が、30~75μmの範囲にある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自動車用エンジンによれば、インジェクターから噴射されたガソリンがシリンダーの燃焼室に供給され、略均一の平均粒子径を有するミスト状の霧状水がミスト給水機構からシリンダーの燃焼室に給水され、ピストンによって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室のガソリンを含む混合気を点火プラグによって点火し、燃焼室の燃焼ガスの燃焼熱でミスト状の霧状水を瞬時に蒸気化させ、燃焼ガスの燃焼エネルギーと蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーとを動力に変換するから、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに、蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジンの動力に変換することができ、燃焼エネルギーと蒸気エネルギーとから所定のエンジン出力を得ることができるとともに、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーと霧状水の蒸気エネルギーとによって自動車を走行させることができる。
【0020】
空気又はガソリンと空気との混合気が吸気バルブからシリンダーの燃焼室に給気されると同時にミスト給水機構から霧状水がシリンダーの燃焼室に給水される自動車用エンジンは、ガソリンを含む混合気の燃焼と略同時にミスト状の霧状水を瞬時に蒸気化させることができ、燃焼ガスの燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを動力に変換することができるとともに、燃焼エネルギーと蒸気エネルギーとから所定のエンジン出力を得ることができる。
【0021】
エンジン回転数(rpm)が1000(rpm)以上になったときにミスト給水機構から霧状水がシリンダーの燃焼室に給水される自動車用エンジンは、エンジン回転数(rpm)が1000(rpm)未満のアイドリング時や下り坂走行時、減速走行時に霧状水をシリンダーの燃焼室に給水したとしても、蒸気エネルギーを自動車の走行に利用することができないが、エンジン回転数(rpm)が1000(rpm)以上になる平坦路走行時や上り坂走行時、加速走行時にミスト給水機構から霧状水が燃焼室に給水されるから、蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを自動車の走行に有効に利用することができる。自動車用エンジンは、エンジン回転数(rpm)が1000(rpm)未満の場合、霧状水をシリンダーの燃焼室に給水しないことで、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができる。
【0022】
自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を減少させる自動車用エンジンは、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例して燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc)を増加させることで、エンジン回転数(rpm)の増加に伴って蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってエンジン出力(kW)を増加させることができるとともに、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジンをスムースに低速回転から高速回転に移行させることができる。自動車用エンジンは、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例して燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc)を減少させることで、エンジン回転数(rpm)の減少に伴って蒸気エネルギーを減少せることでき、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってエンジン出力(kW)を減少させることができる。
【0023】
自動車の下り坂走行時においてアクセルの開度を基準として燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を決定する自動車用エンジンは、下り坂走行時ではエンジン回転数(rpm)が高いがアクセルを踏み込んで加速をする必要がないため、エンジン回転数(rpm)の増減によって蒸気エネルギーを増減させる必要がなく、アクセルの開度によって霧状水の給水量(cc/分)を決定することで、下り坂走行時においてアクセルの開度に応じて最適な量の霧状水を燃焼室に給水することができ、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができる。
【0024】
自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させ、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させる自動車用エンジンは、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の増加に比例して燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させることで、エンジン回転数(rpm)の増加に伴って蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってエンジン出力(kW)を増加させることができるとともに、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいてエンジンをスムースに低速回転から高速回転に移行させることができる。自動車用エンジンは、自動車の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかにおいてエンジン回転数(rpm)の減少に比例して燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させることで、エンジン回転数(rpm)の減少に伴って蒸気エネルギーを減少せることでき、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってエンジン出力(kW)を減少させることができる。
【0025】
自動車の下り坂走行時とブレーキをかけた制動時とのいずれかにおいてミスト給水機構から燃焼室に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする自動車用エンジンは、下り坂走行時ではエンジン回転数(rpm)が高いがアクセルを踏み込んで加速をする必要がないため、エンジン回転数(rpm)の増減によって蒸気エネルギーを増減させる必要がなく、下り坂走行時に霧状水の平均粒子径(μm)を最小にすることで、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができるとともに、自動車用エンジンにかかる負荷を減少させることができる。自動車用エンジンは、自動車のブレーキをかけた制動時ではエンジン回転数(rpm)が低い状態となっているため、エンジン回転数(rpm)の増減によって霧状水の平均粒子径(μm)を増減させる必要がなく、ブレーキをかけた制動時に霧状水の平均粒子径(μm)を最小にすることで、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができ、自動車用エンジンにかかる負荷を減少させることができる。
【0026】
シリンダーに設置されて前記燃焼室の燃焼温度を計測する温度センサを含み、温度センサが計測した燃焼室の燃焼温度が上限温度に達したときにシリンダーの燃焼室に給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ、燃焼室の燃焼温度を上限温度以下に保持する自動車用エンジンは、上限温度に達したときにシリンダーの燃焼室に給水する霧状水の給水量を増加させることで、増加させた霧状水によって燃焼室を冷却することができ、燃焼室の温度を上限温度以下に下げることができるとともに、エンジンの不用意なオーバーヒートを防ぐことができる。
【0027】
ミスト給水機構がミスト状の霧状水を生成する霧状水生成管と霧状水生成管に流入するエアーに含まれる不純物を除去するエアーフィルターとエアーフィルターの下流に設置されてエアーの流量を調節する電子制御スロットルと霧状水生成管における電子制御スロットルの下流に設置されて霧状水生成管の管内にミスト状の霧状水を噴射する水噴射ノズルとから形成されている自動車用エンジンは、ミストノズルから霧状水生成管にミスト状の霧状水が噴射され、霧状水が霧状水生成管からすべてのシリンダーの燃焼室に給水されるから、すべてのシリンダーの燃焼室に霧状水を満遍なく給水することができ、すべてのシリンダーの燃焼室において霧状水を蒸気化することで、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジンの動力に確実に変換することができる。
【0028】
ミストノズルが霧状水生成管の管内に向かって半円の円弧を画く噴射面を有し、ミスト状の霧状水を噴射する複数の噴射口が噴射面に穿孔されている自動車用エンジンは、半円の円弧を画く噴射面の複数の噴射口からミスト状の霧状水を霧状水生成管に噴射するから、霧状水生成管の管内に満遍なくミスト状の霧状水を噴射することができ、すべてのシリンダーの燃焼室に霧状水を満遍なく給水することができるとともに、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジンの動力に確実に変換することができる。
【0029】
ミスト給水機構がシリンダーの燃焼室にミスト状の霧状水を直接噴射する水噴射インジェクターである自動車用エンジンは、霧状水が水噴射インジェクターからすべてのシリンダーの燃焼室に直接噴射されるから、水噴射インジェクターからすべてのシリンダーの燃焼室に霧状水を満遍なく給水することができ、すべてのシリンダーの燃焼室において霧状水を蒸気化することで、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジンの動力に確実に変換することができる。
【0030】
水噴射ノズルの噴射面のそれら噴射口又は水噴射インジェクターから噴射される霧状水の平均粒子径が30~75μmの範囲にある自動車用エンジンは、前記平均粒子径の霧状水を水噴射ノズルから霧状水生成管の管内に噴射し、又は、前記平均粒子径の霧状水を水噴射インジェクターからシリンダーの燃焼室に直接噴射することで、その平均粒子径の霧状水がすべてのシリンダーの燃焼室に給水されるから、それらシリンダーの燃焼室において霧状水を確実に蒸気化することができ、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジンの動力として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】自動車用エンジンを搭載した自動車の一例を示す上面図。
【
図2】自動車用エンジンを搭載した自動車の側面図。
【
図3】自動車用エンジンを搭載した自動車の背面図。
【
図4】自動車用エンジンとミスト給水機構と電気系統との一例を示す配置図。
【
図9】自動車用エンジンのエンジン回転数と霧状水の給水量との相関関係の一例を示す図。
【
図10】自動車用エンジンのエンジン回転数と霧状水の給水量との相関関係の他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の自動車用エンジン10を搭載した自動車11の一例を示す上面図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る自動車用エンジンの詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、自動車用エンジン10を搭載した自動車11の側面図であり、
図3は、自動車用エンジン10を搭載した自動車11の背面図である。
【0033】
自動車用エンジン10は、自動車11に搭載され、その燃料としてガソリンを使用する。尚、自動車用エンジン10を搭載する自動車11の車種に特に限定はない。一例として示す自動車11は、フロントエリア12(エンジンルーム)に自動車用エンジン10が搭載され、リアエリア14(タンクルーム)にガソリンタンク15(高圧タンク)及び給水ポンプユニット16(
図4参照)が設置されているとともに、中間エリア13に水タンク17が配置されている。
【0034】
ガソリンタンク15(燃料タンク)には、給油されたガソリンが収容されている。水タンク17には、水道水又は純水が収容されている。水タンク17には、注水口18(水充填口)が設置されている。水タンク17には、注水口18から水(水道水又は純水)が補給される。自動車11では、ガソリンタンク15からガソリンが自動車用エンジン10に供給され、水タンク17から給水された水(水道水又は純水)から霧状水が生成され、その霧状水がエンジン10に給水(噴射)される。
【0035】
自動車用エンジン10の各制御は、ECU26(エレクトロニック・コントロール・ユニット)(
図6参照)によって行われる。ECU26は、中央処理部(CPU又はMPU)とメモリ(メインメモリ及びキャッシュメモリ)と大容量記憶領域とを備えた物理的なコンピュータである。
【0036】
ECU26は、エンジン10のエンジン回転数(rpm)を計測するエンジン回転数計測ユニットの回転数センサ19(
図4参照)からエンジン回転数(rpm)を受信する。ECU26は、自動車11の走行時の角度を計測する角度センサ(図示せず)から角度信号を受信し、受信した角度信号に基づいて自動車11の平坦路走行を判断し、自動車11の上り坂走行を判断するとともに、自動車11の下り坂走行を判断する。
【0037】
ECU26は、自動車11の走行中の加速度を計測する加速度センサ(図示せず)から加速度信号を受信するととともに、自動車11の走行中の速度を計測する速度センサ(図示せず)から速度信号を受信し、受信した加速度信号及び速度信号に基づいて自動車11の加速走行を判断し、自動車11の減速走行を判断する。ECU26は、自動車11のブレーキペダル(図示せず)に設置されたブレーキセンサ(図示せず)から自動車11の走行中にブレーキがかけられたことを示すブレーキ信号を受信し、受信したブレーキ信号に基づいて自動車11の制動動作の有無を判断する。
【0038】
ECU26は、自動車11の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構20(
図4参照)からシリンダー46(
図6参照)の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させる給水量第1増加手段を実施する。ECU26は、自動車11の平坦路走行時と減速速走行時とのいずれかの走行時にエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構20からシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を減少させる給水量減少手段を実施する。ECU26のキャッシュメモリ又は大容量記憶領域には、エンジン回転数(rpm)の増加と霧状水の給水量(cc/分)の増加との相関関係が記憶(格納)され、エンジン回転数(rpm)の減少と霧状水の給水量(cc/分)の減少との相関関係が記憶(格納)されている。
【0039】
ECU26は、シリンダー46の燃焼室46aの燃焼温度を計測する温度センサ53から燃焼温度を受信し、受信した燃焼室46aの燃焼温度が上限温度に達したときに燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させる給水量第2増加手段を実施する。ECU26のキャッシュメモリ又は大容量記憶領域には、燃焼室46aの燃焼温度の上限温度と上限温度に達したときの霧状水の給水量(cc/分)とが記憶(格納)されている。
【0040】
ECU26は、自動車11の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にエンジン回転数(rpm)の増加に比例してミスト給水機構20からシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させる平均粒子径増加手段を実施する。ECU26は、自動車11の平坦路走行時と減速走行時とのいずれかの走行時にエンジン回転数(rpm)の減少に比例してミスト給水機構20から燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させる平均粒子径減少手段を実施する。ECU26のキャッシュメモリ又は大容量記憶領域には、エンジン回転数(rpm)の増加と霧状水の平均粒子径(μm)の増加との相関関係が記憶(格納)され、エンジン回転数(rpm)の減少と霧状水の平均粒子径(μm)の減少との相関関係が記憶(格納)されている。
【0041】
ECU26は、自動車11の下り坂走行時にアクセルペダル35(
図7参照)の開度(°)(アクセルペダルの踏み込み量)を基準としてシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を決定する給水量決定手段を実施する。ECU26のキャッシュメモリ又は大容量記憶領域には、アクセルペダル35の開度(°)と霧状水の給水量(cc/分)との相関関係が記憶(格納)されている。ECU26は、自動車11の下り坂走行時にミスト給水機構20から燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする平均粒子径最小手段を実施する。
【0042】
ECU26は、自動車11のブレーキをかけた制動時(制動中)に、ミスト給水機構20からシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を最小にする給水量最小手段を実施するとともに、ミスト給水機構20から燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする平均粒子径最小手段を実施する。ECU26のキャッシュメモリ又は大容量記憶領域には、霧状水の給水量(cc/分)を最小値が記憶(格納)され、霧状水の平均粒子径(μm)の最小値が記憶(格納)されている。尚、霧状水の給水量(cc/分)を最小値は、32.5(cc/分)以上33.5以下の範囲であり、霧状水の平均粒子径(μm)の最小値は、30~32μmの範囲である。
【0043】
図4は、自動車用エンジン10とミスト給水機構20と電気系統との一例を示す配置図であり、
図5は、水噴射ノズル23(23a~23c)の一例を示す図である。
図6は、一例として示す自動車用エンジン10の構成図であり、
図7は、一例として示すアクセルワークユニット26の側面図である。
図8は、アクセルワークユニット26の正面図である。
【0044】
自動車11には、自動車用エンジン10の他に、ミスト給水機構20とガソリン給油機構とが搭載されている。ミスト給水機構20は、水タンク17、水位センサ21、給水ポンプユニット16、給水量コントロールユニット22、水噴射ノズル23(ミストノズル)、エンジン回転数計測ユニット(図示せず)、アクセルワークユニット24から形成されている。
【0045】
水位センサ21は、水タンク17の内部に設置され、信号線45(インターフェイス)を介してECU26(エレクトロニック・コントロール・ユニット)に接続されている。水位センサ21は、水タンク17の内部の水の水位を計測し、計測した水位をECU26に送信する。水位センサ21によって計測された水タンク17の水の水位は、メーターパネル27に設置された水位計(図示せず)に表示される。水位計を見ることで、水の残量を知ることができる。
【0046】
給水ポンプユニット16は、給水ポンプ28とプレッシャーレギュレータ29(調圧器)とストレーナ30とを備えている。水ポンプユニット16は、給水ポンプ28によって水タンク17の水(水道水又は純水)を給水量コントロールユニット22(給水用電磁弁32)に給水する。給水ポンプ28は、水タンク17の下流側に配置され、給水管25(給水ゴムホース又は銅パイプ)を介して水タンク17に連結されている。給水ポンプ28の制御部は、信号線45(インターフェイス)を介してECU26に接続され、給水ポンプ28の発停やポンプ出力がECU26によって制御される。給水ポンプ28の制御部は、自動車用エンジン10の駆動中にECU26からの制御信号に従って給水ポンプ28のポンプ出力を調節する。
【0047】
給水ポンプ28の制御部は、ECU26からの給水指令(給水信号)に従って水タンク17に収容された水(水道水又は純水)を給水量コントロールユニット22(水噴射電磁弁32)に給水する。給水ポンプ28の制御部は、ECU26からのポンプ出力指令(ポンプ出力信号)に従ってポンプ出力を調節する。給水ポンプ28の制御部は、ECU26からの給水停止指令(給水停止信号)に従って給水量コントロールユニット22(給水用電磁弁32)への給水を停止する。
【0048】
レギュレータ29は、給水ポンプ28の下流側に配置され、給水管25(給水ゴムホース又は銅パイプ)を介して給水ポンプ28に連結されているとともに、バイパス管を介して水タンク17に連結されている。レギュレータ29は、給水ポンプ28によって給水される水の水圧を一定の圧力に下げ、水圧を一定に保持する。レギュレータ29は、余剰の水をバイパス管31によって水タンク17に還流させる。
【0049】
ストレーナ30は、レギュレータ29の下流側に配置され、給水管25(給水ゴムホース又は銅パイプ)を介してレギュレータ29に接続されている。ストレーナ30は、レギュレータ29によって水圧が一定の保持された水に含まれる固形異物をスクリーン等によってろ過し、固形異物を除去する。
【0050】
給水量コントロールユニット22は、自動車11のフロントエリア12(エンジンルーム)に設置されている。給水量コントロールユニット22は、水ポンプユニット16の下流側に配置され、給水管25(給水ゴムホース又は銅パイプ)を介して水ポンプユニット16に連結されているとともに、給水管25(給水ゴムホース又は銅パイプ)を介してミスト給気機構20に連結されている。給水量コントロールユニット22には、複数の給水用電磁弁32が設置されている。給水量コントロールユニット22は、信号線45(インターフェイス)を介してECU26に接続されている。
【0051】
給水量コントロールユニット22では、給水用電磁弁32の開閉や開度がECU26によって制御される。給水量コントロールユニット22は、自動車用エンジン10の駆動中にECU26からの制御信号に従って給水用電磁弁32の開度を調節し、水噴射ノズル23(ミストノズル)又は水噴射インジェクター(図示せず)に給水する水の給水量を調節する。
【0052】
水噴射ノズル23(ミストノズル)は、第1水噴射ノズル23aと第2水噴射ノズル23bと第3水噴射ノズル23cとから形成され、後記する電子制御スロットル60の下流側に配置されている。第1~第3水噴射ノズル23a~23cは、
図5に示すように、半円の円弧を画く噴霧面33を有する。噴霧面33は、後記する霧状水生成管57の管内に向かっている。噴霧面33には、周り方向へ直状に並ぶ複数の噴霧口34が穿孔(形成)されている。
【0053】
第1~第3水噴射ノズル23a~23cは、噴霧面33の噴霧口34から霧状水生成管57の管内にミスト状の霧状水を噴霧する。尚、水噴射ノズル23(ミストノズル)が1つであってもよい。水噴射ノズル23が1つの場合、その水噴射ノズル23から噴霧される霧状水の平均粒子径は、30~75μmの範囲にある。又、図示はしていないが、第1~第3水噴射ノズル23a~23cに替わって水噴射インジェクターを使用することができる。水噴射インジェクターは、エンジン10のシリンダー46に設置され、ミスト状の霧状水をシリンダー46の燃焼室46aに直接給水する。
【0054】
エンジン回転数計測ユニットは、フロントエリア12(エンジンルーム)に設置されている。エンジン回転数計測ユニットは、信号線45(インターフェイス)を介してECU26に接続されている。エンジン回転数計測ユニットは、駆動中のエンジン10のエンジン回転数を計測する回転数センサ19と、回転数センサ19が計測したエンジン回転数を表示するタコメータ(図示せず)とを有する。
【0055】
エンジン回転数計測ユニットは、回転数センサ19が計測したエンジン回転数をECU26に送信する。回転数センサ19によって計測されたエンジン回転数は、メーターパネル27に設置されたタコメータに表示される。タコメータを見ることで、エンジン回転数を知ることができる。
【0056】
アクセルワークユニット24は、アクセルペダル35と、アクセルペダルホルダ36と、アクセルペダル35に連結されたアクセル開度センサ37とから形成されている。アクセル開度センサ37は、信号線45を介してECU26に接続されている。アクセルペダル開度センサ37は、自動車用エンジン10の駆動中にアクセルペダル35の開度を連続的に測定し、測定したアクセル開度(°)をECU26に送信する。ECU26は、アクセル開度センサ37から受信したアクセル開度に基づいてシリンダー46の燃焼室46aに噴射するガソリンの給油量(噴射量)及び燃焼室46aに給水(噴霧)する霧状水の給水量を調節する。
【0057】
アクセルペダルホルダ36を利用してアクセルペダル35とアクセル開度センサ37とを連結するには、アクセル開度センサステー(図示せず)の位置決めをし、位置決めした位置において他の装置との干渉がないかを確認し、干渉の無を確認後、アクセル開度センサステーの取り付け位置(床面)に孔を穿孔する。位置決めした位置にアクセル開度センサ37を仮止めした後、アクセルペダルにアクセルペダルホルダ36取り付ける。
【0058】
次に、アクセルペダル35を床面に向かって床面まで押し下げ、アクセル開度センサ37の回転軸が45°以上回転することを確認するとともに、回転軸がスムースに動作することを確認する。それらを確認した後、アクセル開度センサステーを固定する。アクセル開度センサ37を取り付けた後、電気配線を行う。電気配線を行った後、セッティングを行う。セッティングでは、アクセルペダル35を踏み込み、エンジン回転数を1500(rpm)にする。エンジン回転数を1500(rpm)に保持しつつ、0点調整ボタン(図示せず)を押し、0点調整ボタンに隣接するLED(図示せず)が点灯することでセッティング(校正)が終了する。セッティングを行った後、アクセル開度センサ37の開度0~100%の設定を行う。アクセルペダル35を最高出力時の回転数の95%まで踏み込み、LEDが点灯することで設定が終了する。
【0059】
ガソリン給油機構は、エキゾーストマニホールド38及びマフラー39、冷却系統(ウォーター・ジャケット、ラジエーター、ウォーター・ポンプ、サーモスタット、クーリング・ファン又は電動ファン、ラジエーター・ホース等)(図示せず)、アイドリング調整バルブ(図示せず)、圧力計(図示せず)、燃料ポンプモジュール(図示せず)、フューエルインジェクター40、ミスト給水機構を形成する既述のエンジン回転数計測ユニット、ミスト給水機構20を形成する既述のアクセルワークユニット24を有する。尚、自動車11は、自動車用エンジン10、ミスト給水機構20、ガソリン給油機構の他に、図示はしていないが、電気系統(バッテリー41、発電機42、ヒューズBOX43、リレーコイル44)、駆動系統、各種装備を備えている。電気系統(バッテリー41、発電機42、ヒューズBOX43、リレーコイル44)は、信号線45を介してECU26に接続されている。
【0060】
冷却系統、アイドリング調整バルブ、圧力計は、フロントエリア12(エンジンルーム)に設置されている。リアエリア14(タンクルーム)には、ガソリンタンク15が設置されている。ガソリンタンク15には、図示はしていないが、逆止弁及び減圧弁、ガソリン充填口が設置されている。
【0061】
アイドリング調整バルブは、リアエリア14(タンクルーム)のガソリンタンク15とエンジン10との間に延びる配管(銅パイプ)に設置されている。アイドリング調整バルブは、自動車用エンジン10の駆動中に配管を通流するガソリンの流量を調整してアイドリング回転数を調節する。アイドリング調整バルブは、信号線(図示せず)を介してECU26に接続され、その開閉や開度がECU26によって制御される。
【0062】
ECU26がアイドリング調整バルブを利用してアイドリング回転数制御を行い、エンジン10のアイドリング状態におけるアイドル回転数低下による燃費向上や安定したアイドル状態の維持、エンストの防止を図る。アイドリング回転数制御では、始動時における始動補正、エンジン水温補正、エアコン作動時の補正、AT車のDレンジ補正等が行われる。
【0063】
圧力計は、アイドリング調整バルブの下流側に配置され、ガソリンタンク15とエンジン10との間に延びる配管に設置されている。圧力計は、配管を通流するガソリンの給油圧を計測する。圧力計は、信号線(図示せず)を介してECU26に接続され、自動車用エンジン10の駆動中に計測したガソリンの給油圧をECU26に送信する。
【0064】
燃料ポンプモジュールは、ガソリンタンク15(燃料タンク)の内部に設置されている。燃料ポンプモジュールは、燃料ポンプ、燃料フィルター、燃料計のセンダーゲージ、プレッシャーレギュレータ、チャコールキャニスター等を備えている。燃料ポンプモジュールは、信号線(図示せず)を介してECU26に接続され、その発停や出力がECU26によって制御される。燃料ポンプモジュールでは、燃料ポンプで吸い上げられたガソリン(燃料)がプレッシャーレギュレータ、燃料フィルターを経由してフューエルインジェクター40へ圧送される。
【0065】
フューエルインジェクター40は、自動車用エンジン10の駆動中にECU26からの制御信号に従ってシリンダー46の燃焼室46aに噴射するガソリン(燃料)の噴射量(各シリンダー46の燃焼室46aに供給するガソリンの供給量)調節する。燃料ポンプから高圧で給油されたガソリンがフィルターを通流してフューエルインジェクター40の噴射部まで送られ、ガソリンがインジェクター40の先端のバルブ部分で微粒子化され、微粒子化されたガソリンがシリンダー46の燃焼室46aに噴射される。
【0066】
フューエルインジェクター40の燃料噴射量は、ECU26によってコントロールされている。自動車11に設置された各種のセンサから送信された計測情報をECU26が解析し、噴射信号をフューエルインジェクター40に送り、その信号に応じてインジェクター40がガソリン(燃料)を噴射する。バルブタイミングや点火時期、水温、スロットル開度、空気の温度・吸入量など各種情報から、走行状況に応じた最適な燃料噴射量が決められている。
【0067】
給水ポンプユニット16が起動すると、水タンク17に収容された水(水道水又は純水)が給水管25を通って水タンク17から給水ポンプ28に流入し、給水ポンプ28によって給水管25を流動し、給水管25を通って給水量コントロールユニット22(給水用電磁弁32)に流入し、給水量コントロールユニット22から霧状水生成管57に設置された水噴射ノズル23(ミストノズル)に給水される。水は水噴射ノズル23によって霧状水に変わり、霧状水が水噴射ノズル23から霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)される。
【0068】
自動車用エンジン10には、6気筒V型エンジンが使用されているが、4気筒V型エンジンや8気筒V型エンジン、12気筒V型エンジン、4気筒直列エンジン、6気筒直列エンジン、4気筒水平対向エンジン、6気筒水平対向エンジンを使用することもできる。自動車用エンジン10は、
図6に示すように、所定容積のシリンダー46(気筒)と、ピストン47と、点火プラグ48(スパークプラグ)とを備えている。
【0069】
自動車用エンジン10には、吸気系を最適化するCVTCバルブ49(Continuous Valve Timing Control)と、点火プラグ48に高電圧(20000~30000ボルト)を加えるイグニッションコイル50とが設置されている。CVTCバルブ49は、信号線45を介してECU26に接続されている。自動車用エンジン10の駆動中にECU26から制御信号がCVTCバルブ49に送信され、その制御信号に従ってCVTCバルブ49が吸気系を最適化する。イグニッションコイル50は、信号線45を介してECU26に接続されている。イグニッションコイル50には、自動車用エンジン10の駆動中にECU26から点火時期制御信号が送信され、その制御信号に従って点火時期に点火プラグ48へ高電圧を加える。
【0070】
自動車用エンジン10には、クランク角センサ51と、POSセンサ52と、温度センサ53と、ノックセンサ54とが設置されている。自動車用エンジン10の排気ポート55には、フロントO2センサ56及びリアO2センサ56が設置されている。排気ポート55は、エキゾーストマニホールド38を介してマフラー39に連結されている。
【0071】
クランク角センサ51は、信号線45を介してECU26に接続されている。クランク角センサ51は、自動車用エンジン10の駆動中にクランクシャフトの基準位置と回転角及びエンジン10の回転数とを連続的に検出し、検出したクランクシャフトの基準位置と回転角及びエンジン10の回転数とをECU26に送信する。ECU26は、クランク角センサ51から受信したクランクシャフトの基準位置と回転角及びエンジン10の回転数とに基づいて回転角及びエンジン10の回転数を最適に保持する。
【0072】
POSセンサ52は、信号線45を介してECU26に接続されている。POSセンサ52は、自動車用エンジン10の駆動中にクランク位置(角)(クランクシャフト位置)を連続的に検出し、検出したクランク位置(角)をECU26に送信する。ECU26は、POSセンサ52から受信したクランク位置(角)に基づいてクランク位置(角)を最適に保持する。
【0073】
温度センサ53は、信号線45を介してECU26に接続されている。温度センサ53は、自動車用エンジン10の駆動中にシリンダー46の燃焼室46aの温度を連続的に検出し、検出した燃焼室46aの温度をECU26に送信する。ECU26は、温度センサ53から受信した燃焼室46aの温度に基づいて燃焼室温度を最適に保持する。
【0074】
フロントO2センサ56及びリアO2センサ56は、信号線45を介してECU26に接続されている。フロントO2センサ56及びリアO2センサ56は、自動車用エンジン10の駆動中に排気ポート55を通流する排ガスの酸素濃度を連続的に計測し、計測した排ガスの酸素濃度をECU26に送信する。ECU26は、フロントO2センサ56及びリアO2センサ56から受信した排ガスの酸素濃度に基づいて触媒ユニット(図示せず)に制御信号を送信し、触媒ユニットを利用して排ガスの酸素濃度を最適に保持する。
【0075】
ノックセンサ54は、信号線45を介してECU26に接続されている。ノックセンサ54は、自動車用エンジン10の駆動中にノッキングの発生を連続的に検出し、検出したノッキングの発生信号をECU26に送信する。ECU26は、ノックセンサ54から受信したノッキングの発生信号に基づいてノッキングを停止させる(防止する)。
【0076】
シリンダー46のシリンダーヘッドには、点火プラグ48とフューエルインジェクター40と排気バルブ(図示せず)とが取り付けられている。シリンダー46のシリンダーヘッドには、燃焼室46aが形成されている。点火プラグ48は、信号線45を介してバッテリー41に接続されているとともに、信号線45を介してECU26に接続され、ECU26からの点火信号に従って火花を発生する。フューエルインジェクター40は、信号線45を介してECU26に接続されている。フューエルインジェクター40には、自動車用エンジン10の駆動中にECU26から空熱比制御信号が送信される。
【0077】
ピストン47には、ピストンピン(図示せず)を介してコンロッド(図示せず)が連結されている。ピストン47は、シリンダー46の燃焼室46aを往復動し、シリンダー46の燃焼室46aを下死点から上死点に向かって上昇し、上死点に達した後、上死点から下死点に向かって下降し、下死点に達する。ピストン47がシリンダー46の燃焼室46aの上死点に達したタイミングにおいて点火プラグ48が燃焼室46aの混合気(ガソリン)に点火する。
【0078】
尚、
図6に示す自動車用エンジン10は、ガソリンを直接シリンダー46の燃焼室46aに噴射する直噴式燃料噴射を図示しているが、ガソリンをフューエルインジェクター40からインテークマニホールドに噴射し、空気及びガソリンを混合した混合気をシリンダー46の燃焼室46aに給気するインジェクション式燃料噴射であってもよい。この場合、フューエルインジェクター40は、自動車用エンジン10の駆動中にECU26からの制御信号に従ってインテークマニホールドに噴射するガソリン(燃料)の噴射量(各シリンダー46の燃焼室46aに供給するガソリンの供給量)調節する。燃料ポンプから高圧で給油されたガソリンがフィルターを通流してインジェクター40の噴射部まで送られ、ガソリンがインジェクター40の先端のバルブ部分で微粒子化され、微粒子化されたガソリンがインテークマニホールド内に噴射される。
【0079】
霧状水生成管57には、エアーフィルター58と、エアーフローメーター59と、電子制御スロットル60と、水噴射ノズル23(23a~23c)とが設置されている。エアーフィルター58は、霧状水生成管57の最上流側に配置され、霧状水生成管57に流入する(霧状水生成管57を通流する)空気に含まれる不純物を除去する。エアーフローメーター59は、エアーフィルター58の下流側に配置され、信号線45を介してECU26に接続されている。エアーフローメーター59は、自動車用エンジン10の駆動中に霧状水生成管57を通流する空気の空気流量を連続的に計測し、計測した空気流量をECU26に送信する。
【0080】
エアーフローメーター59は、吸気温度センサ(図示せず)を内蔵している。吸気温度センサは、信号線45を介してECU26に接続されている。吸気温度センサは、自動車用エンジン10の駆動中に霧状水生成管57を通流するエアー(空気)の吸気温度を連続的に計測し、計測した吸気温度をECU26に送信する。ECU26は、エアーフローメーター59から受信した空気流量及び吸気温度センサから受信した吸気温度に基づいて電子制御スロットル60(スロットルモーター)を調節し、霧状水生成管57を通流するエアーの空気流量を最適に保持する。
【0081】
電子制御スロットル60は、エアーフローメーター59の下流側に配置され、スロットル61(絞り弁)とスロットルセンサー(図示せず)とスロットルモーター(図示せず)とを備えている。電子制御スロットル60は、アクセルペダル35の踏み込み量(アクセル開度)による出力要求を電気信号として受信してスロットル61を制御する。スロットル61は、霧状水生成管57の管内に設置され、霧状水生成管57の流路断面積を変化させ、霧状水生成管57を通流する空気の給気流量を変化させる。
【0082】
スロットルセンサーは、信号線45を介してECU26に接続され、自動車用エンジン10の駆動中にスロットル60の開度を計測し、計測したスロットル開度をECU26に送信する。スロットルモーターには、DCモーター又はステッピングモーターが使用される。スロットルモーターは、信号線45を介してECU26に接続され、ECU26からの制御信号に従ってスロットル60の開度を調節し、霧状水生成管57を通流するエアーの流量を調節する。
【0083】
尚、ECU26は、アクセルワークユニット24のアクセル開度センサ37の情報からスロットル60の目標開度を演算し、それをスロットル60の実開度と比較して開度偏差を求め、スロットルモーターへの制御量を決定する。又、ECU26は、アクセルペダル35を離した状態で、一定走行で走行するようにエンジン出力を制御するクルーズコントロールを行う。クルーズコントロールでは、駆動輪のスリップを抑えるようにエンジン出力を下げる。更に、ECU26は、定車速に達するとスロットル弁を閉じてエンジン出力を下げて車速を抑える最高速度制限制御を行う。
【0084】
霧状水生成管57に流入したエアー(空気)は、エアーフィルター58を通流することで不純物が除去され、スロットル60によってその給気量が調節された後、霧状水生成管57の下流に向かって流動する。霧状水生成管57の下流に設置された水噴射ノズル23(第1~第3水噴射ノズル23a~23c)から霧状水が霧状水生成管57の管内に噴霧され、霧状水と空気との混合気が各シリンダー46の燃焼室46aに給水(供給)される。
【0085】
第1ミストノズル23aや第2ミストノズル23b、第3ミストノズル23cには、図示はしていないが、電磁弁が設置され、電磁弁が開のときにミストノズル23a~23cから霧状水が噴霧され、電磁弁が閉のときには霧状水は噴霧されない。それら電磁弁は、信号線45を介してECU26に接続されている。第1ミストノズル23aの電磁弁が開のときは、第2及び第3ミストノズル23b,23cの電磁弁が閉になり、第2ミストノズル23bの電磁弁が開のときは、第1及び第3ミストノズル23a,23cの電磁弁が閉になる。第3ミストノズル23cの電磁弁が開のときは、第1及び第2ミストノズル23a,23bの電磁弁が閉になる。
【0086】
第1ミストノズル23aから噴霧される霧状水の平均粒子径は、30~45μmの範囲にあり、第2ミストノズル23bから噴霧される霧状水の平均粒子径は、46~60μmの範囲にある。第3ミストノズル23cから噴霧される霧状水の平均粒子径は、61~75μmの範囲にある。自動車用エンジン10では、そのエンジン回転数(rpm)が増加するにつれて霧状水生成管57の管内に噴霧する霧状水の平均粒子径(μm)を増加させ、エンジン回転数(rpm)が減少するにつれて霧状水生成管57の管内に噴霧する霧状水の平均粒子径(μm)を減少させる。
【0087】
自動車用エンジン10の回転数1000rpm以上2400rpm未満では、第1水噴射ノズル23aの電磁弁が開になるとともに、第2及び第3水噴射ノズル23b,23cの電磁弁が閉になり、第1水噴射ノズル23aから平均粒子径30~45μmの霧状水が噴霧される。自動車用エンジン10の回転数2400rpm以上4400rpm未満では、第2水噴射ノズル23bの電磁弁が開になるとともに、第1及び第3水噴射ノズル23a,23cの電磁弁が閉になり、第2水噴射ノズル23bから平均粒子径は46~60μmの霧状水が噴霧される。自動車用エンジン10の回転数4400rpm以上6400rpm未満では、第3水噴射ノズル23cの電磁弁が開になるとともに、第1及び第2水噴射ノズル23a,23bの電磁弁が閉になり、第3水噴射ノズル23cから平均粒子径は61~75μmの霧状水が噴霧される。
【0088】
自動車用エンジン10では、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいて、エンジン回転数(rpm)が増加するにつれて燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)(第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内に噴霧される噴霧量(cc/分))が増加し、エンジン回転数(rpm)が減少するにつれて燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)(第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内に噴霧される噴霧量(cc/分))が減少する。
【0089】
自動車用エンジン10では、自動車の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかにおいて、エンジン回転数(rpm)が増加するにつれてミスト給水機構20から燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)(第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内に噴霧される霧状水の平均粒子径(μm))が増加し、エンジン回転数(rpm)が減少するにつれてミスト給水機構20から燃焼室霧状水生成管57に給水する霧状水の平均粒子径(μm)(第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内に噴霧される霧状水の平均粒子径(μm))が減少する。
【0090】
自動車用エンジン10の回転数1000rpm以上1300rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、22.4(cc/分)以上28.0(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、30~45μmの範囲である。自動車用エンジン10の回転数1300rpm以上1500rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、28.0(cc/分)以上32.5(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、30~45μmの範囲である。
【0091】
自動車用エンジン10の回転数1500rpm以上2400rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、30~45μmの範囲である。自動車用エンジン10の回転数2400rpm以上3200rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、46~60μmの範囲である。自動車用エンジン10の回転数3200rpm以上4000rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、72.8(cc/分)以上89.6(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、46~60μmの範囲である。
【0092】
自動車用エンジン10の回転数4000rpm以上4400rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、89.6(cc/分)以上98.6(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、46~60μmの範囲である。自動車用エンジン10の回転数4400rpm以上4800rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、98.6(cc/分)以上109.8(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、61~75μmの範囲である。
【0093】
自動車用エンジン10の回転数4800rpm以上5200rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、61~75μmの範囲である。自動車用エンジン10の回転数5200rpm以上5600rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、113.1(cc/分)以上117.1(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、61~75μmの範囲である。
【0094】
自動車用エンジン10の回転数5600rpm以上6400rpm未満における1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(噴霧量)は、117.1(cc/分)以上120.0(cc/分)未満の範囲であり、その時の霧状水の平均粒子径(μm)は、61~75μmの範囲である。尚、自動車用エンジン10では、その回転数(rpm)が1000(rpm)以上になったときにミスト給水機構20から霧状水がシリンダー46の燃焼室46aに給水され、回転数(rpm)が1000(rpm)未満では霧状水がシリンダー46の燃焼室46aに給水されない。
【0095】
自動車用エンジン10が稼働してエンジン10のアイドリング中において、ピストン47がシリンダー46の上死点から下死点に向かって下降を開始してピストン47がシリンダー46の上死点から下死点に達するまでの間の吸気工程では、ECU26から送信されたガソリンの給油量信号(アクセル開度に対応したガソリンの給油量信号)に従って燃料ポンプモジュールが給油量信号に対応した給油量のガソリンをフューエルインジェクター40へ圧送する。
【0096】
自動車用エンジン10が駆動してエンジン10のアイドリング中において、エンジン10の回転数が400rpm以上1000rpm未満の場合、ECU26は、第1~第3水噴射ノズル23a~23cの電磁弁を閉にし、それら水噴射ノズル23a~23cから霧状水の給水を停止する。自動車11が走行を開始し、自動車用エンジン10の回転数が1000rpm以上になると、ECU26は、第1~第3水噴射ノズル23a~23cのうちのいずれかの電磁弁を開にし、水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水の給水を開始する。
【0097】
ピストン47がシリンダー46の上死点から下死点に向かって下降を開始してピストン47がシリンダー46の上死点から下死点に達するまでの間の吸気工程では、ECU26から送信された水の給水量信号(エンジン10の回転数に対応した水の給水量)に従って給水量コントロールユニット16が水噴射用電磁弁32の開度を調節し、給水量信号に対応した給水量の水が給水量コントロールユニット16から第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかに給水され、設定給水量の水が水噴射ノズル23a~23cのいずれかによってミスト状の霧状水になり、霧状水(エアーを含む混合物)が第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)され、霧状水(エアーを含む混合物)が各シリンダー46の燃焼室46aに給水される。
【0098】
吸気工程では、ECU26から送信されたガソリンの給油量信号(アクセル開度に対応したガソリンの給油量信号)に従って燃料ポンプモジュールが給油量信号に対応した給油量のガソリンをフューエルインジェクター40へ圧送し、給油量信号に対応した給油量のガソリンがフューエルインジェクター40からシリンダー46の燃焼室46aに直接噴射される。吸気工程では、空気(又はガソリンと空気との混合気)が吸気バルブからシリンダー46の燃焼室46aに給気されると同時(ガソリンがフューエルインジェクター14からシリンダー46の燃焼室46aに給気されると同時)にミスト給水機構20から霧状水が霧状水生成管57(シリンダー46の燃焼室46a)に給水される。
【0099】
ミスト状の霧状水(エアーを含む混合物)は、半円の円弧を画く噴霧面33のそれら噴霧口34から霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)される。自動車用エンジン10は、第1~第3水噴射ノズル23a~23cが霧状水生成管57の管内に向かって半円の円弧を画く噴霧面33を有し、ミスト状の霧状水を噴霧する複数の噴霧口34が噴霧面33に穿孔され、半円の円弧を画く噴霧面33の複数の噴霧口34からミスト状の霧状水が噴霧されるから、霧状水生成管57の管内に満遍なくミスト状の霧状水を噴霧することができ、すべてのシリンダー46の燃焼室46aに霧状水を満遍なく給水することができる。
【0100】
所定の給油量のガソリンが各シリンダー46の燃焼室46aに給油(供給)され、所定の給水量の霧状水が各シリンダー46の燃焼室46aに給水(供給)された後、ピストン47がシリンダー46の下死点から上死点に向かって上昇する圧縮工程では、シリンダー46の燃焼室46aに給油されたガソリン(空気を含む)及びシリンダー46の燃焼室46aに給水された霧状水(空気を含む混合物)が圧縮される。圧縮されたガソリンを含む混合気及び霧状水(空気を含む混合物)の圧力及び温度が増加する。
【0101】
ピストン47がシリンダー46の上死点に上昇して圧縮が完了した爆発膨張工程では、ECU26がイグニッションコイル58を利用して点火プラグ48に高電圧を加え、点火プラグ48に火花を発生させる。爆発膨張工程では、ピストン47によって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室46aのガソリンを含む混合気が点火プラグ48の火花によって点火される。
【0102】
ガソリンを含む混合気が点火されると、混合気が高温に燃焼し、混合気の燃焼熱によってミスト状の霧状水が瞬時に蒸気化し、霧状水が蒸気爆発を起こし、混合気の燃焼と霧状水の蒸気化(蒸気爆発)とによってピストン47が押し下げられてクランクシャフトが回転する。自動車用エンジンで10は、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーと蒸気化(蒸気爆発)した霧状水の蒸気エネルギーとが動力(回転力)に変換される。
【0103】
ピストン47がシリンダー46の下死点から上死点に向かって再び上昇を開始し、ピストン47がシリンダー46の下死点から上死点に達するまでの間の排気工程では、排気バルブが開き、排気ポート55へ燃焼ガス(排気ガス)が流入し、燃焼ガスがシリンダー46の外へ排気される。燃焼ガス(排気ガス)は、排気ポート55からマフラー39を通って外部に排気される。排気工程が終了すると、再びピストン47が上死点から下死点に下降して吸気工程(4サイクル)に戻る。
【0104】
自動車用エンジン10は、フューエルインジェクター40からガソリンがシリンダー46の燃焼室46aに給油されるとともに、第1~第3水噴射ノズル23a~23cのいずれかからミスト状の霧状水がシリンダー46の燃焼室46aに給水(噴霧)され、ピストン47によって所定の圧縮比に圧縮された燃焼室46aのガソリンを含む混合気を点火プラグ48によって点火し、混合気を燃焼させつつ混合気の燃焼熱でミスト状の霧状水を瞬時に蒸気化させ、混合気の燃焼エネルギーと蒸気化(蒸気爆発)した霧状水の蒸気エネルギーとを動力(回転力)に変換するから、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーとともに、蒸気化(蒸気爆発)した霧状水の蒸気エネルギーをエンジン10の動力(回転力)に変換することができ、燃焼エネルギーと蒸気エネルギーとから所定のエンジン出力を得ることができるとともに、ガソリンを含む混合気の燃焼エネルギーと霧状水の蒸気エネルギーとによって自動車11を走行させることができる。
【0105】
図9は、自動車用エンジン10のエンジン回転数と霧状水の給水量との相関関係の一例を示す図である。
図9は、自動車11の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時におけるエンジン回転数と給水量との相関関係を示す。
【0106】
ECU26は、例えば、自動車11の平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にアクセルペダル35を踏み込むことによってエンジン回転数(rpm)が1500rpm以上2400rpm未満に増加(上昇)した場合、32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満の範囲の給水量(噴霧量)であって30~45μmの範囲の平均粒子径の霧状水を第1水噴射ノズル23aから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満の範囲の給水量(噴霧量)であって30~45μmの範囲の平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量第1増加手段)、(平均粒子径増加手段)。
【0107】
ECU26は、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にアクセルペダル35を更に踏み込むことによってエンジン回転数(rpm)が1500rpm以上2400rpm未満から2400rpm以上3200rpm未満に増加(上昇)した場合、53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満の範囲であって46~60μmの平均粒子径の霧状水を第2水噴射ノズル23bから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満の範囲であって46~60μmの平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量第1増加手段)、(平均粒子径増加手段)。
【0108】
ECU26は、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にアクセルぺペダル35を更に踏み込むことによってエンジン回転数(rpm)が2400rpm以上3200rpm未満から4800rpm以上5200rpm未満に増加(上昇)した場合、109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満の範囲であって61~75μmの平均粒子径の霧状水を第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満の範囲であって61~75μmの平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量第1増加手段)、(平均粒子径増加手段)。
【0109】
自動車用エンジン10では、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時に、エンジン回転数(rpm)が増加するにつれて霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)が増加するとともに、エンジン回転数(rpm)が増加するにつれて霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に噴霧する霧状水の平均粒子径(μm)が増加するから、自動車11がその速度を維持し又はエンジン10の出力が増加して自動車11が加速する。
【0110】
自動車用エンジン10は、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc)を増加させることで、エンジン回転数(rpm)の増加に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってエンジン出力(kW)を増加させることができるとともに、エンジン10をスムースに低速回転域から中速回転域へ移行させ、中速回転域から高速回転域に移行させることができる。
【0111】
例えば、エンジン回転数が1500rpm以上2400rpm未満に増加することに伴って霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量を32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満に増加させ、霧状水の平均粒子径を30~45μmの範囲にすることで、エンジン回転数(rpm)の増加に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってエンジン出力(kW)を増加させることができるとともに、エンジン10をスムースに低速回転域から中速回転域(1500rpm以上2400rpm未満)に移行させることができる。
【0112】
又、エンジン回転数が2400rpm以上3200rpm未満から4800rpm以上5200rpm未満に増加することに伴って霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量を109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満に増加させ、霧状水の平均粒子径を61~75μmの範囲にすることで、エンジン回転数(rpm)の増加に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを増加させることでき、エンジン回転数(rpm)の増加に伴ってエンジン出力(kW)を増加させることができるとともに、エンジン10をスムースに中速回転域から高速回転域(4800rpm以上5200rpm未満)に移行させることができる。
【0113】
ECU26は、平坦路走行時と上り坂走行時と減速走行時とのいずれかの走行時にアクセルペダル35を緩める(クルーズコントロールや定車速に達してエンジン出力を下げた場合)ことによってエンジン回転数(rpm)が5600rpm以上6400rpm未満から4800rpm以上5200rpm未満に減少(下降)した場合、109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満の範囲であって61~75μmの平均粒子径の霧状水を第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、109.8(cc/分)以上113.1(cc/分)未満の範囲であって61~75μmの平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量減少手段)、(平均粒子径減少手段)。
【0114】
ECU26は、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にアクセルペダル35を更に緩めることによってエンジン回転数(rpm)が4800rpm以上5200rpm未満から2400rpm以上3200rpm未満に減少(下降)した場合、53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満の範囲であって46~60μmの平均粒子径の霧状水を第2水噴射ノズル23bから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満の範囲であって46~60μmの平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量減少増加手段)、(平均粒子径減少手段)。
【0115】
ECU26は、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時にアクセルペダル35を更に緩めることによってエンジン回転数(rpm)が2400rpm以上3200rpm未満から1500rpm以上2400rpm未満に減少(下降)した場合、32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満の範囲の給水量(噴霧量)であって30~45μmの範囲の平均粒子径の霧状水を第1水噴射ノズル23aから霧状水生成管57の管内に噴霧(給水)し、32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満の範囲であって30~45μmの平均粒子径の霧状水を1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する(給水量減少増加手段)、(平均粒子径減少手段)。
【0116】
自動車用エンジン10では、平坦路走行時と上り坂走行時と加速走行時とのいずれかの走行時に、エンジン回転数(rpm)が減少するにつれて霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)が減少するとともに、エンジン回転数(rpm)が減少するにつれて霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に噴霧する霧状水の平均粒子径(μm)が減少するから、エンジン10の出力が減少して自動車11の速度が次第に低下する。
【0117】
自動車用エンジン10は、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc)を減少させることで、エンジン回転数(rpm)の減少に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを減少させることでき、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってエンジン出力(kW)を減少させることができるとともに、エンジン10をスムースに高速回転域から中速回転域へ移行させ、中速回転域から低速回転域に移行させることができる。
【0118】
例えば、エンジン回転数が4800rpm以上5200rpm未満から2400rpm以上3200rpm未満に減少することに伴って霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量を53.8(cc/分)以上72.8(cc/分)未満に減少させ、霧状水の平均粒子径を46~60μmの範囲にすることで、エンジン回転数(rpm)の減少に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを減少させることでき、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってエンジン出力(kW)を減少させることができるとともに、エンジン10をスムースに高速回転域から中速回転域(2400rpm以上3200rpm未満)に移行させることができる。
【0119】
又、エンジン回転数が2400rpm以上3200rpm未満から1500rpm以上2400rpm未満に減少することに伴って霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量を32.5(cc/分)以上53.8(cc/分)未満に減少させ、霧状水の平均粒子径を30~45μmの範囲にすることで、エンジン回転数(rpm)の減少に伴うように蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーを減少させることでき、エンジン回転数(rpm)の減少に伴ってエンジン出力(kW)を減少させることができるとともに、エンジン10をスムースに中速回転域から低速回転域(1500rpm以上2400rpm未満)に移行させることができる。
【0120】
ECU26は、ブレーキをかけた自動車11の制動時(制動中)に、ミスト給水機構20からシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を最小にするとともに(給水量最小手段)、ミスト給水機構20から燃焼室46aに給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小にする(平均粒子径最小手段)。例えば、自動車11が平坦路走行時にブレーキをかけた場合、ブレーキセンサから自動車11の走行中にブレーキがかけられたことを示すブレーキ信号がECU26に送信され、ブレーキ信号を受信したECU26は、自動車11の平坦路走行時にブレーキがかけられた制動中であると判断する。自動車11が制動中であると判断したECU26は、ミスト給水機構20(第1水噴射ノズル23a)から霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)を最小の32.5(cc/分)以上33.5以下の範囲にするとともに、ミスト給水機構20(第1水噴射ノズル23a)から霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の平均粒子径(μm)を最小の30~32μmの範囲にする。
【0121】
自動車用エンジン10は、自動車11のブレーキをかけた制動時ではエンジン回転数(rpm)が低い状態となっているため、エンジン回転数(rpm)の増減によって霧状水の平均粒子径(μm)を増減させる必要がなく、ブレーキをかけた制動時に霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)を最小するとともに、霧状水の平均粒子径(μm)を最小にすることで、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができ、自動車用エンジン10にかかる負荷を減少させることができる。
【0122】
自動車用エンジン10の駆動中に、温度センサ53から送信された燃焼室温度が400℃に達した場合、ECU26は、燃焼室46aの燃焼温度が上限温度に達したと判断し、1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量(cc/分)を増加させ(給水量第2増加手段)、すべてのシリンダー46の燃焼室46aの燃焼温度を上限温度(400℃)以下に保持する。ECU26は、エンジン回転数に応じた給水量に1~4(cc/分)を加えた給水量の霧状水を水噴射ノズル23a~23cいずれかから霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する。
【0123】
例えば、自動車用エンジン10のエンジン回転数が5200rpm以上5600rpm未満のときに温度センサ53から送信された燃焼室温度が400℃に達した場合、ECU26は、第3水噴射ノズル23cの電磁弁を開に維持し、第1及び第2水噴射ノズ23a,23bの電磁弁を閉に維持するとともに、給水量コントロールユニット22に水噴射用電磁弁32の開度を増加させ、113.1(cc/分)以上117.1(cc/分)未満の給水量に1~4(cc/分)の給水量を加えた113.1(cc/分)以上117.1(cc/分)未満+1~4(cc/分)の給水量の霧状水が1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水(噴霧)されるように、第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)の管内に霧状水を噴霧させる。尚、第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内に61~75μmの範囲の平均粒子径の霧状水が噴霧される。
【0124】
又、自動車用エンジン10のエンジン回転数が5600rpm以上6400rpm未満のときに温度センサ53から送信された燃焼室温度が400℃に達した場合、ECU26は、第3水噴射ノズル23cの電磁弁を開に維持し、第1及び第2水噴射ノズル23a,23bの電磁弁を閉に維持するとともに、給水量コントロールユニット22に水噴射用電磁弁32の開度を増加させ、117.1(cc/分)以上120.0(cc/分)未満の給水量に1~4(cc/分)の給水量を加えた117.1(cc/分)以上120.0(cc/分)未満+1~4(cc/分)の給水量の霧状水が1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水(噴霧)されるように、第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に霧状水を噴霧させる。尚、第3水噴射ノズル23cから霧状水生成管57の管内に61~75μmの範囲の平均粒子径の霧状水が噴霧される。
【0125】
自動車用エンジン10は、シリンダー46の燃焼室46aの温度が400℃(上限温度)に達したときに1つのシリンダー46の燃焼室46aに給水する霧状水の給水量を1~4(cc/分)増加させることで、増加させた霧状水によって燃焼室46aを冷却することができ、燃焼室46aの温度を上限温度以下に下げることができるとともに、エンジン10の不用意なオーバーヒートを防ぐことができる。
【0126】
自動車用エンジン10は、シリンダー46の燃焼室46aの温度が400℃(上限温度)を超過すると、燃焼室46aに給水された霧状水が給水された瞬間に蒸発し、ガソリン及び空気の混合気の燃焼と霧状水の蒸気化とのタイミングが合わず、蒸気エネルギーを動力に変換することができないが、燃焼室46aの上限燃焼温度が400℃に保持されるから、混合気を燃焼させると同時にミスト状の霧状水を蒸気化させることができ、混合気(ガソリン)の燃焼エネルギーとともに蒸気化した霧状水の蒸気エネルギーをエンジン10の動力(回転力)に確実に変換することができる。
【0127】
図10は、自動車用エンジン10のエンジン回転数と霧状水の給水量との相関関係の他の一例を示す図である。
図10は、自動車11の下り坂走行時におけるエンジン回転数と給水量との相関関係を示す。
【0128】
自動車用エンジン10の出力は、エンジン回転数に比例するとともに、燃料消費量に比例する。従って、燃料噴射量(エンジン回転数)に対して霧状水の給水量を設定することで、エンジン出力に対応した給水量をシリンダー46の燃焼室46aに給水することができる。しかし、自動車11の下り坂走行時(負荷がかかっていない状態)では、エンジン回転数は高いがアクセルペダル35は踏み込まれておらず、燃料消費量が少ない状態になっている。従って、エンジン回転数の増減によって霧状水の給水量を増減させる必要はなく、アクセル開度センサ37が計測したアクセルペダル35の開度(°)(アクセルペダル35の踏み込み量)を基準としてECU26が霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)を決定する(給水量決定手段)。
【0129】
例えば、
図10に示すように、下り坂走行時においてアクセルペダル35の開度(°)が
図10の(1)にあり、エンジン回転数が40%の状態からアクセルペダル35の開度(°)が
図9の(2)になった場合、ECU26は、アクセル開度センサ37から受信したアクセルペダル35の開度(
図9の(2))(エンジン回転数が20%)に対応する給水量(cc/分)の霧状水を水噴射ノズル23a~23cのいずれかから霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に噴霧(給水)する。
【0130】
自動車用エンジン10は、下り坂走行時ではエンジン回転数(rpm)が高いがアクセルペダル35を踏み込んで加速をする必要がないため、エンジン回転数(rpm)の増減によって蒸気エネルギーを増減させる必要がなく、アクセルペダル35の開度によって霧状水の給水量(cc/分)を決定することで、下り坂走行時においてアクセルペダル35の開度に応じて最適な量の霧状水を霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水することができ、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができる。
【0131】
ECU26は、自動車11の下り坂走行時に、ミスト給水機構20(第1水噴射ノズル23a)から霧状水生成管57の管内(燃焼室46a)に給水する霧状水の給水量(cc/分)を最小の30~32μmの範囲にする(給水量最小手段)。自動車用エンジン10は、下り坂走行時ではエンジン回転数(rpm)が高いがアクセルペダル35を踏み込んで加速をする必要がないため、エンジン回転数(rpm)の増減によって蒸気エネルギーを増減させる必要がなく、下り坂走行時に霧状水の平均粒子径(μm)を最小にすることで、無駄な蒸気エネルギーの消費を防ぐことができるとともに、自動車用エンジン10にかかる負荷を減少させることができる。
【符号の説明】
【0132】
10 自動車用エンジン
11 自動車
12 フロントエリア(エンジンルーム)
13 中間エリア
14 リアエリア(タンクルーム)
15 ガソリンタンク
16 給水ポンプユニット
17 水タンク
18 注水口
19 回転数センサ
20 ミスト給気機構
21 水位センサ
22 給水量コントロールユニット
23 水噴射ノズル
23a 第1水噴射ノズル
23b 第2水噴射ノズル
23c 第3水噴射ノズル
24 アクセルワークユニット
25 給水管
26 ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)
27 メーターパネル
28 給水ポンプ
29 プレッシャーレギュレータ(調圧器)
30 ストレーナ
31 バイパス管
32 給水用電磁弁
33 噴射面
34 噴射口
35 アクセルペダル
36 アクセルペダルホルダ
37 アクセル開度センサ
38 エキゾーストマニホールド
39 マフラー
40 フューエルインジェクター(インジェクター)
41 バッテリー
42 発電機
43 ヒューズBOX
44 リレーコイル
45 信号線
46 シリンダー(気筒
47 ピストン
48 点火プラグ(スパークプラグ)
49 CVTCバルブ49
50 イグニッションコイル
51 クランク角センサ
52 POSセンサ
53 温度センサ
54 ノックセンサ
55 排気ポート
56 フロントO2センサ、リアO2センサ
57 霧状水生成管
58 エアーフィルター
59 エアーフローメーター
60 電子制御スロットル
61 スロットル