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特開2024-16432中古品売買システム、中古品売買方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016432
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】中古品売買システム、中古品売買方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/30 20230101AFI20240131BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240131BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118547
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】青山 綾七
(72)【発明者】
【氏名】下平 真武
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
5L049BB22
(57)【要約】
【課題】中古品売買において中古品の使用履歴に基づいて売買を行うことができること。
【解決手段】中古品売買システムは、販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得部と、購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得部と、使用履歴情報と購入者情報との適合度に基づいて中古品についての売買情報を算出する売買情報算出部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得部と、
購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得部と、
前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出部と、
を備える中古品売買システム。
【請求項2】
前記購入者情報とは、前記購入者の嗜好及び価値観のうち1以上を示す情報であって、定期的に 請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項3】
前記購入者情報取得部は、前記購入者のウェブサイトにおける行動履歴、または前記購入者のアプリケーションにおける使用履歴から前記購入者情報を取得する
請求項2に記載の中古品売買システム。
【請求項4】
前記使用履歴情報取得部は、前記販売者のウェブサイトにおける行動履歴から前記使用履歴情報を取得する
請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項5】
前記売買情報は、前記中古品を販売するための価格を指定する情報である
請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項6】
前記売買情報は、購入順序を指定する情報である
請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項7】
前記中古品についての関心度を示す外部データを取得する外部データ取得部をさらに備え、
前記売買情報算出部は、前記適合度と、前記外部データとに基づいて前記中古品についての売買情報を算出する
請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項8】
前記使用履歴情報と売買の履歴とが所有者をまたいで継続して登録され続ける
請求項1に記載の中古品売買システム。
【請求項9】
販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得ステップと、
購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得ステップと、
前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出ステップと、
を有する中古品売買方法。
【請求項10】
コンピュータに、
販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得ステップと、
購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得ステップと、
前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中古品売買システム、中古品売買方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクルショップなどで中古品の売買が行われている。近年では、中古品の売買のためのフリーマーケット、またはオークションのサービスを提供するウェブサービス、またはアプリケーションが盛んに利用されている。
【0003】
例えば、中古品として電子機器を売買する電子商取引システムが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の電子商取引システムでは、電子機器の最新の状態を示す状態情報に基づき、電子機器の最新価格が更新される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-154379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
販売者のなかには、使用しなくなった思い入れのある物を、当該物をより必要とする人、大事に使ってくれそうな人に譲りたいという価値観をもっている人がいる場合がある。そのような価値観は、物自体の価値だけではなく、物がどのように使用されてきたかに価値を見出すものであり、物をより大事にでき、サステナブルな世界に貢献し得るものである。
中古品売買において中古品の使用履歴に基づいて売買を行うことが求められている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、中古品売買において中古品の使用履歴に基づいて売買を行うことができる中古品売買システム、中古品売買方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得部と、購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得部と、前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出部と、を備える中古品売買システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得ステップと、購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得ステップと、前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出ステップと、を有する中古品売買方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報を取得する使用履歴情報取得ステップと、購入者の情報である購入者情報を取得する購入者情報取得ステップと、前記使用履歴情報と前記購入者情報との適合度に基づいて前記中古品についての売買情報を算出する売買情報算出ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中古品売買において中古品の使用履歴に基づいて売買を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る中古品売買システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る売買履歴管理画面の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るサービスサーバの機能構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る中古品売買処理の流れの一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の変形例に係る中古品売買システムの構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態の変形例に係るサービスサーバの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る中古品売買システム1の構成の一例を示す図である。中古品売買システム1は、販売者が、使用しなくなった思い入れのある物を、より必要とする購入者、または大事(大切)に使うと予測される購入者に販売するためのシステムである。
【0013】
中古品売買システム1は、サービスサーバ2と、中古品情報データベース3と、購入者情報データベース4とを備える。中古品売買システム1では、使用履歴情報B1と、購入者情報C1とに基づいてサービスサーバ2によって売買情報D1が算出される。
【0014】
販売者は、中古品売買システム1の使用を開始すると、以降定期的に、販売予備商品を使用したときに中古品情報A1を中古品情報データベース3に登録する。販売予備商品は、販売者が中古品売買システム1において将来販売を検討している物品である。販売者は、例えば、物品を使用したときに当該物品を、販売者端末5を用いて撮影する。販売者端末5は、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末装置である。販売者端末5は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)とカメラとの組であってもよい。
【0015】
販売者は、撮影した物品の画像を、当該物品の使用シーンとともに、中古品情報データベース3に登録する。物品の画像、及び使用シーンを示すテキストのいずれか1以上が、画像の撮影日時、及び使用日時とともに中古品情報A1として中古品情報データベース3に登録される。中古品情報A1には、中古品の画像、購入日(または入手日)、使用日時、及び使用シーンが含まれる。
【0016】
例えば、物品が着物である場合、着物が撮影された画像(写真)には、着物の状態の変化、色味、及び柄などの情報が含まれる。使用シーンを示すテキストとしては、例えば、「親から譲り受けた」、「入学式に着用した」、「卒業式に着用した」、「親友の結婚式に着用した」、または「着後はクリーニングに出した」などである。
【0017】
サービスサーバ2は、中古品情報データベース3に登録された中古品情報A1から使用履歴情報B1を抽出することによって使用履歴情報B1を取得する。使用履歴情報B1は、販売者の中古品の使用履歴を示す情報である。中古品の画像からは、当該中古品の劣化の程度が抽出される。例えば、画像処理によって傷、または汚れなどが検出されることによって、中古品の劣化の程度が抽出される。
【0018】
使用シーンを示すテキストからは、使用シーンを示す情報が抽出される。使用シーンを示す情報は、例えば、使用シーンを示す所定のキーワードである。所定のキーワードは、例えば、「入学式」、及び「結婚式」などの具体的な使用シーンの名称である。なお、中古品の画像に風景が撮影されている場合には、当該風景から使用シーンを示す情報が抽出されてもよい。
【0019】
使用履歴情報B1は、中古品の劣化の程度、及び使用シーンを示す情報のうち1以上についての時系列によって、中古品の使用履歴を示す。使用履歴情報B1は、販売者が物品を大事に使用してきたことの程度、及び販売者の物品への思い入れの程度が反映されたデータである。中古品売買システム1では、「物を大事に使う」という漠然とした定義に対して、蓄積された使用履歴情報B1に基づいて具体的な定義付けがなされる。
【0020】
販売者の物品への思い入れの程度は、例えば、使用シーンから予め作成されたスコアマップに基づいて評価される。例えば、使用シーンが人生における大事なシーンであるほど、物品への思い入れの程度は高くなるとして評価される。
【0021】
販売者が物品を大事に使用してきたことの程度は、例えば、中古品の劣化の程度の時系列に基づいて評価される。例えば、年月または使用回数に対して劣化の程度が小さいほど、物品を大事に使用してきたとして評価される。また、物の外側または表面など目立つ部分についての状態の変化よりも、物の内側または内部などの目立たない部分についての状態の変化に大きいウェイトが乗ぜられて、販売者が物品を大事に使用してきたことの程度が評価されてもよい。
【0022】
また、従来の中古品売買においては、中古品の使用状況は、販売者の自己申告によって購入者に知らされていた。中古品売買システム1では、中古品の使用状況が販売前から定期的に取得されることによって、使用状況を自己申告の場合に比べて正確に評価できる。
【0023】
なお、使用履歴情報B1は、販売者のソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service:SNS)への中古品に関する投稿内容から取得されてもよい。SNSには、中古品の写真、及び使用シーンを示すテキストの情報が投稿される。なお、販売者のSNSへの中古品に関する投稿内容は、販売者がSNSを通常に使用する過程においてなされるものであり、中古品売買システム1を通じて当該中古品の販売を意図する投稿内容ではない。また、販売者は、中古品売買システム1によって自身のSNSの投稿内容から使用履歴情報B1が抽出されることに同意しているものとする。
【0024】
使用履歴情報B1が中古品情報データベース3に登録される時期を使用履歴管理フェーズともいう。使用履歴管理フェーズにおいては、物品は、販売者が販売することは決定されておらず、販売される可能性のある販売予備商品である。また、中古品が販売される時期を販売フェーズともいう。
【0025】
購入者は、中古品売買システム1の使用を開始すると、以降定期的に、購入者情報C1を購入者情報データベース4に登録する。購入者は、例えば、具体的な欲しい物、及び嗜好または価値観が分かる質問への回答のいずれか1以上を、購入者端末6を用いて登録する。本実施形態において、嗜好は、趣味、または興味などの概念も含む。購入者端末6は、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末装置である。購入者端末6は、PCであってもよい。
【0026】
具体的な欲しい物、及び嗜好が分かる質問への回答のいずれか1以上は、購入者情報C1として購入者情報データベース4に登録される。購入者情報C1は、購入者の情報である。本実施形態では、購入者情報C1は、一例として、購入者の嗜好及び価値観のうち1以上を示す情報であって、定期的に登録される情報である。なお、購入者情報C1は、嗜好及び価値観以外に購入者の属性を示す情報であってもよい。
【0027】
嗜好または価値観が分かる質問とは、例えば、好きなブランド、芸能人またはモデルなどの有名人、雑誌、本または音楽などの趣味、もしくは興味のあるニュースなどの項目についての質問である。例えば、サステナブルな活動(リサイクルなど)についてのニュースに興味がある場合、またはサステナブルな活動についての本に興味がある場合など、物を大事に使うという価値観をもっていると考えられる。
【0028】
嗜好または価値観が分かる質問は、物を大事にする人から購入したいか、物を大事に使用したいか、またはサステナブルな取り組みをしたいか、などという直接的な質問が含まれてもよい。また、嗜好または価値観が分かる質問には、例えば、今欲しい物の情報についての質問が含まれてもよい。今欲しい物の情報には、例えば、当該物の名前、使用シーン、及びほしい時期(数日以内、数週間以内など)などが含まれる。
【0029】
例えば、購入者端末6には、購入者情報C1の登録を促す通知が定期的に送信される。当該通知には、具体的な欲しい物に関する質問、及び嗜好または価値観が分かる質問が含まれる。例えば、購入者は、欲しい物として、「着物」を登録し、好きな色または柄として「ピンク、花柄」を登録し、欲しい物の想定使用シーンとして「入学式」を登録する。購入者の欲しい物、嗜好または価値観が定期的に登録された結果、購入者情報C1は、それらの欲しい物、嗜好または価値観を示す情報についての時系列となる。
【0030】
なお、購入者情報C1は、購入者のSNSへの投稿内容、各種のアプリケーションの使用履歴などから取得されてもよい。当該投稿内容、または当該使用履歴から、購入者の欲しい物、嗜好または価値観の情報が推定される。各種のアプリケーションは、例えば、ニュース配信のアプリケーション、音楽配信のアプリケーション、または電子書籍閲覧のアプリケーションなどである。
【0031】
なお、購入者のSNSへの投稿内容は、購入者がSNSを通常に使用する過程においてなされるものであり、中古品売買システム1を通じて当該中古品の購入することを意図した投稿内容ではない。購入者の各種のアプリケーションの使用履歴は、購入者が各種のアプリケーションを通常に使用する過程において記録されるものであり、中古品売買システム1を通じて当該中古品の購入することを意図した使用履歴ではない。また、購入者は、中古品売買システム1によって自身のSNSの投稿内容、または各種のアプリケーションの使用履歴から購入者情報C1が抽出されることに同意しているものとする。
【0032】
サービスサーバ2は、中古品情報データベース3に定期的に登録された使用履歴情報B1を取得する。サービスサーバ2は、購入者情報データベース4に定期的に登録された購入者情報C1を取得する。サービスサーバ2は、使用履歴情報B1と購入者情報C1との適合度に基づいて中古品についての売買情報D1を算出する。
【0033】
売買情報D1は、中古品を販売するための価格(販売価格という)を指定する情報、及び購入順序を指定する情報(購入順序情報という)のうちいずれか1以上である。購入順序は、ある中古品を購入するための複数の購入者についての優先度の順位である。購入順序として、1人の購入者が指定されてもよい。
【0034】
本実施形態において、適合度は、嗜好適合度と、価値観適合度との2つの因子を含む。嗜好適合度は、販売者が販売しようとしている中古品が購入者の嗜好に適合する程度を示す。価値観適合度は、販売者の中古品の使用の仕方が購入者の物についての価値観に適合する程度を示す。購入者の物についての価値観とは、例えば、物を大事にしたい、物を大事にする人から中古品を購入したい、またはサステナブルな取り組みをしたいなどの価値観である。
【0035】
購入者は自身の嗜好に合う物ほど大事に使用すると考えられる。そのため、嗜好適合度が高いほど中古品は購入者に大事に使用されると考えられる。例えば、購入者がピンク色を好む場合、当該購入者にはピンク色の着物の方が他の色の着物に比べて大事に使用されると考えられる。
【0036】
また、購入者が、物を大事にしたい、物を大事にする人から中古品を購入したい、またはサステナブルな取り組みをしたいなどの価値観をもっている場合、中古品がより大事に使用されてきた物である方が、または中古品がより思い入れのあった物である方が、当該中古品は購入者に大事に使用されると考えられる。そのため、価値観適合度が高いほど中古品は購入者に大事に使用されると考えられる。例えば、購入者が物を大事にする人から中古品を購入したいという価値観をもっている場合、使用回数に対して中古品の劣化の程度が小さいほど当該中古品は大事に使用されてきたと考えられ、価値観適合度は高く評価される。
【0037】
上述したように、嗜好または価値観が分かる質問に、物を大事にする人から購入したいか、物を大事に使用したいか、またはサステナブルな取り組みをしたいか、などという直接的な質問が含まれている場合がある。購入者が当該質問に肯定的な回答をしなかった場合、または回答自体をしなかった場合には、価値観適合度は低く評価される。なお、物が大事に使用されていたか否かを気にしない購入者は、物を大事に使用しない傾向があると本実施形態に係る中古品売買システム1では仮定する。
【0038】
したがって、嗜好適合度が高いほど、または価値観適合度が高いほど、中古品は購入者に大事に使用されると考えられる。つまり、適合度が高いほど、中古品は購入者に大事に使用されると考えられる。なお、適合度は、嗜好適合度と、価値観適合度とのうち一方の因子のみを含んでもよい。
【0039】
サービスサーバ2が使用履歴情報B1と購入者情報C1との適合度を算出するためのアルゴリズムは、例えば、人工知能(Artificial Intelligence:AI)、スコアリング、またはマッチングなどである。AIにおいて使用される学習済みモデルには、使用履歴情報B1及び購入者情報C1と、適合度との関係が予め学習されている。スコアリングでは、使用履歴情報B1及び購入者情報C1と、適合度との相関関係に基づく所定の計算式に基づいて適合度が算出される。
【0040】
適合度を算出するためのアルゴリズムは、例えば、1以上の項目毎のスコアの差分が少ないほど適合度を高く算出するアルゴリズムである。1以上の項目は、例えば、ブランド、色、形、購入場所(または購入サイト)、及び使用頻度から構成される。各項目のスコアは、予め作成されたスコアマップに基づいて算出される。スコアマップでは、例えば、「Aブランド」なら「10点」、「Bブランド」なら「4点」などと、項目の種類とスコアとが対応づけられている。
【0041】
学習済みモデルは、中古品売買システム1の稼働前の学習フェーズにおいて作成される。学習フェーズでは、例えば、購入者に中古品を提示したときに購入した場合と、購入しなかった場合とで、使用履歴情報、及び購入者情報を比較し因子分析を行った結果に基づいて適合度が算出される。学習済みモデルは、使用履歴情報及び購入者情報と、算出された適合度との関係が予め学習されて作成される。なお、学習済みモデルは、中古品売買システム1の稼働後に、中古品売買システム1による売買実績に基づいて更新されてもよい。
【0042】
適合度を算出するために、物への思い入れの程度を定量化してもよい。定量化の方法は、例えば、物への思い入れの程度を、使用シーンを示すテキストの文字数によって示すものである。物への思い入れの程度と、使用シーンを示すテキストの文字数との関係は、予め収集したデータに基づいて算出される。例えば、販売者に思い入れのある物を登録してもらう場合と、思い入れのない物(例えば、新品の渡された物)を登録してもらう場合とで、使用シーンを示すテキストの文字数を比較することによって、物への思い入れの程度と、使用シーンを示すテキストの文字数との関係が算出される。例えば、思い入れのある物についての使用シーンを示すテキストは、50文字以上などであり、思い入れのない物についての使用シーンを示すテキストは、10文字未満などである。
【0043】
物への思い入れの程度を定量化する方法の別の一例は、中古品情報A1が登録されるときに、使用シーン、または使用日時などの項目が埋められているかによって示すものである。物への思い入れが強い場合の方が物への思い入れが弱い場合に比べて、使用シーン、または使用日時などの項目が埋められる頻度、または割合は高いと考えられる。
【0044】
物への思い入れの程度を定量化する方法の別の一例は、物への思い入れの程度を、SNSに当該物が撮影された写真が投稿された回数によって示すものである。物への思い入れが強い場合の方が物への思い入れが弱い場合に比べて、当該物が撮影された写真が投稿される回数は多くなると考えられる。
【0045】
物への思い入れの程度を定量化する方法は、販売者の物への思い入れの程度だけでなく、購入者がどのような種類の物を嗜好するのか、またはどのような種類の物に思い入れを持つ傾向があるのかという価値観を定量化するために用いられてもよい。
【0046】
販売価格は、例えば、適合度からAIまたは所定のモデルに基づいて算出される。一例として、販売価格は、適合度が高いほどが高くなるように算出される。AIでは、適合度と販売価格との関係が学習される。例えば、AIでは、適合度が高いほど、販売価格は基準となる価格(基準価格)よりも高くなるように学習が行われる。ここで基準価格は、例えば、従来の中古品売買のように、使用年数が多いほど新品の価格から安くなるように設定される。所定のモデルは、例えば、販売価格を適合度の関数として表す式である。
【0047】
例えば、中古品売買システム1では、ある中古品について適合度が高いと評価された購入者の数が多いほど、当該中古品の価格は下がりにくい。当該中古品の販売価格は、基準価格から適合度に応じた価格だけ割高となるよう算出される。適合度は購入者毎に異なるため、販売価格は購入者毎に異なる。なお、適合度が高いとは、所定の適合度以上となることである。
【0048】
例えば、ある中古品について、従来の中古品売買では、中古品の劣化の程度が大きいほど販売価格は下がる。一方、中古品売買システム1では、中古品の劣化の程度が大きい場合であっても、使用回数が多い場合には、販売価格は下がりにくい。劣化の程度が大きい場合であっても、使用回数が多い場合、使用回数が少ない場合に比べて、当該中古品は大事に使用されてきたと考えられる。
【0049】
購入順序情報は、例えば、AIまたは所定のモデルに基づいて算出される。例えば、AIでは、適合度と購入順序との関係が学習される。所定のモデルは、例えば、購入順序を適合度の関数として表す式である。
【0050】
購入順序情報では、AIまたは所定のモデルに基づいて適合度が高い購入者ほど高い順位が付与される。つまり、適合度に基づいて中古品を最も大事に使用してくれると判定された購入者の購入順序が1位となる。
【0051】
適合度に基づいて算出された購入順序では、購入者情報C1として登録された具体的な欲しい物の種類(カテゴリ)と、中古品の種類との一致の程度が大きいほど、購入順序は上位となる。種類の一致の程度は、例えば、種類(カテゴリ)が複数のより詳細な種類(カテゴリ、属性)を示すタグにより表され、当該タグが一致している数によって評価される。
【0052】
適合度に基づいて算出された購入順序では、ある販売者から購入したことのある回数(購入実績回数)が多い購入者ほど、購入順序は上位となる。中古品売買システム1では、適合度に基づいて購入順序が算出されるため、適合度と購入実績回数との間には正の相関があると考えられる。
【0053】
なお、使用履歴管理がしっかりとなされている販売者について、当該販売者が購入者になったときに当該購入者の購入順序が上位となるように設定されてもよい。
【0054】
購入順序が1位の購入者には、サービスサーバ2から通知が行われる。購入順序が1位である購入者が購入を決定した場合、中古品は当該購入者に販売される。一方、購入順序が1位である購入者が購入を見送った場合、次に購入順序が高い購入者にサービスサーバ2から通知が行われる。購入順序に基づいて、複数の購入者に順番に通知が行われ、購入するか否かの確認が行われる。したがって、中古品売買システム1では、ある中古品について常に1人の購入者を単位として購入するか否かの確認が行われる。
【0055】
従来の中古品売買では、ある中古品に対して不特定多数の購入者が想定され、販売者と購入者とは1対複数の関係で売買が行われていた。これに対して、中古品売買システム1では、ある中古品について常に1人の購入者を単位として購入するか否かの確認が行われ、販売者と購入者とは1対1の関係で売買が行われる。販売者と購入者との関係が1対1の関係である方が、購入者は購入した中古品を大事に使用しようという気持ちを抱きやすいと考えられる。
【0056】
なお、中古品売買システム1において、オークションの形式で売買が行われてもよい。オークションの形式で売買が行われる場合、開始価格としての販売価格が適合度に基づいて算出される。以降は、通常のオークションと同様に、複数の購入者のうち最も高い購入価格を提示した購入者の購入順序が1位となる。
【0057】
中古品売買システム1では、一度登録された物について、売買の履歴が、使用履歴情報とともに所有者をまたいで継続して登録され続ける。販売者、または購入者は、売買履歴管理画面から売買履歴を確認できる。売買履歴によって、一度登録された物については、使用不可能となる程度にまで破損するか、または廃棄されるまで追跡ができる。中古品売買システム1では、物の使用履歴を、使用不可能となるか廃棄されるまで追跡できるため、販売者及び購入者に物を大事にするという意識をより喚起できる。
【0058】
また、中古品売買システム1では、物の使用履歴を廃棄されるまで追跡できるため、物の廃棄に伴う二酸化炭素(CO2)排出量等を計算して数字として明示することに利用可能である。そのため、中古品売買システム1は、サステナブルな取組みを定量化することに好適である。
【0059】
例えば、「Aさん」が所有していた「物品a1」が廃棄されずに中古品として売買されて、「Aさん」、「Bさん」、「Cさん」とこの順に売買されたとする(第1のケースという)。一方、「Aさん」が「物品a1」を中古品として販売せずに廃棄して、「Bさん」、及び「Cさん」それぞれが、「物品a1」と同じ種類(製品)の新しい「物品b1」、「物品c1」を購入したとする(第2のケースという)。「Aさん」が「物品a1」を焼却するときの二酸化炭素、「Bさん」が購入した「物品b1」を生産するために排出された二酸化炭素、及び「Cさん」が購入した「物品c1」を生産するために出た二酸化炭素の合計を、第1のケースと第2のケースとで比較することによって、二酸化炭素排出量が削減された割合を計算できる。計算された二酸化炭素排出量の削減割合は、当該物品を新たに「Dさん」が購入を検討するときの参考情報にもなり得る。
【0060】
売買履歴管理画面は、販売者端末5または購入者端末6に表示される。図2は、本実施形態に係る売買履歴管理画面P1の一例を示す図である。売買履歴管理画面P1では、中古品として着物についての売買履歴が示されている。売買履歴管理画面P1では、過去または現在の所有者毎に、購入日(または入手日)、使用履歴情報、販売価格などの情報が示されている。また、売買履歴管理画面P1では、中古品の最新の状態を示す画像である画像P10が示されている。過去または現在の所有者毎に出品時の中古品の状態を示す画像は、「出品時の写真」ボタンが押下(タップ、またはクリック)されることによって表示される。
【0061】
図3は、本実施形態に係るサービスサーバ2の機能構成の一例を示す図である。サービスサーバ2は、制御部20と、記憶部21とを備える。
【0062】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(field-programmable gate array)などを備えており、種々の演算や情報の授受を行う。制御部20が備える各機能部は、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現される。
制御部20は、使用履歴情報取得部200と、購入者情報取得部201と、売買情報算出部202と、通知部203と、売買管理部204とを備える。
【0063】
使用履歴情報取得部200は、使用履歴情報B1を取得する。使用履歴情報取得部200は、例えば、中古品情報データベース3に登録(記憶)されている中古品情報A1から使用履歴情報B1を抽出することによって使用履歴情報B1を取得する。
【0064】
なお、使用履歴情報取得部200は、販売者のウェブサイト(SNSなど)における行動履歴から使用履歴情報B1を取得(抽出)してもよい。その場合、使用履歴情報取得部200は、販売者のウェブサイトにおける行動履歴が記憶されるデータベースから使用履歴情報B1を取得する。また、使用履歴情報取得部200は、中古品情報データベース3に記憶される中古品情報A1と、販売者のウェブサイト(SNSなど)における行動履歴との両方から使用履歴情報B1を取得してもよい。
【0065】
購入者情報取得部201は、購入者情報C1を取得する。購入者情報取得部201は、購入者情報データベース4に登録(記憶)されている購入者情報C1を取得する。
【0066】
なお、購入者情報取得部201は、購入者のウェブサイト(SNSなど)における行動履歴、または購入者のアプリケーションにおける使用履歴から購入者情報C1を取得してもよい。その場合、購入者情報取得部201は、購入者のウェブサイトにおける行動履歴、または購入者のアプリケーションにおける使用履歴が記憶されるデータベースから購入者情報C1を取得する。また、購入者情報取得部201は、購入者情報データベース4と、購入者のウェブサイトにおける行動履歴または購入者のアプリケーションにおける使用履歴との両方から購入者情報C1を取得してもよい。
【0067】
売買情報算出部202は、使用履歴情報B1と購入者情報C1との適合度に基づいて中古品についての売買情報D1を算出する。例えば、売買情報算出部202は、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から学習済みモデルE1に基づいて適合度を算出する。ここで学習済みモデルE1は、例えば、中古品の劣化の程度、使用シーンを示す情報、並びに購入者の嗜好及び価値観が入力されると適合度を出力する。なお、売買情報算出部202は、AI以外のアルゴリズムに基づいて適合度を算出してもよい。売買情報算出部202は、算出した適合度に基づいて売買情報D1を算出する。適合度に基づく売買情報D1の算出においても学習済みモデルが用いられてよい。
【0068】
通知部203は、売買情報D1を通知する。例えば、通知部203は、売買情報D1が示す販売価格を販売者端末5に表示させることによって販売者に通知する。また通知部203は、売買情報D1が示す購入順序に基づいて、現在の購入者の購入者端末6に売買情報D1が示す販売価格、及び中古品の情報などを表示させる。
【0069】
売買管理部204は、使用履歴情報B1と売買履歴とを所有者をまたいで継続して登録する。売買管理部204は、例えば、使用履歴情報B1と売買履歴とを中古品情報データベース3に記憶させる。
【0070】
記憶部21は、各種の情報を記憶する。各種の情報には、学習済みモデルE1が含まれる。なお、学習済みモデルE1は、サービスサーバ2とは別体の外部のデータベースに記憶されてもよい。記憶部21は、磁気ハードディスク装置、または半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。
【0071】
なお、中古品情報データベース3、または購入者情報データベース4の1以上は記憶部21としてサービスサーバ2と一体となって備えられてもよい。
また、サービスサーバ2は、仮想サーバとして実現されてもよい。サービスサーバ2が備える各機能部は、複数のサーバに分散されて備えられてもよい。サービスサーバ2は、クラウドサーバとして実現されてもよい。サービスサーバ2は、PCであってもよい。
【0072】
次に図4を参照し、中古品売買システム1における売買の処理である中古品売買処理の流れについて説明する。図4は、本実施形態に係る中古品売買処理の流れの一例を示す図である。中古品売買処理は、使用履歴管理フェーズと、販売フェーズとから構成される。ステップS10からステップS50までの各処理は、使用履歴管理フェーズにおいて行われる処理である。ステップS60からステップS110までの各処理は、販売フェーズにおいて行われる処理である。
【0073】
ステップS10:販売者は、販売予備商品について中古品情報A1を中古品情報データベース3に登録する。販売者は、販売予備商品を使用したときに、販売者端末5を用いて当該販売予備商品を撮影する。また、販売者は、販売予備商品を使用したときの使用シーンを、販売者端末5を用いてテキストとして入力する。販売者端末5には、中古品の撮影、及び使用シーンの入力を行うためのアプリケーションが予めインストールされている。
【0074】
販売者端末5は、撮影された販売予備商品の画像、入力された使用シーンを示すテキストを、撮影日時とともに中古品情報A1として中古品情報データベース3に登録する。なお、販売予備商品の使用が初回の場合は、購入日(または入手日)が中古品情報A1に含まれて中古品情報データベース3に登録される。
【0075】
ステップS20:サービスサーバ2の使用履歴情報取得部200は、中古品情報A1から使用履歴情報B1を抽出する。使用履歴情報取得部200は、中古品情報データベース3から中古品情報A1を取得する。
【0076】
ステップS30:購入者は、購入者情報C1を購入者情報データベース4に登録する。購入者は、具体的な欲しい物、及び嗜好または価値観が分かる質問への回答のいずれか1以上を、購入者端末6を用いて登録する。購入者端末6には、購入者が回答を登録するためのアプリケーションが予め登録されている。
【0077】
ステップS40:サービスサーバ2の売買情報算出部202は、販売予備商品について販売推奨価格を算出する。売買情報算出部202は、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から学習済みモデルE1に基づいて販売推奨価格を算出する。
【0078】
ステップS50:販売者端末5は、売買履歴管理画面を表示する。サービスサーバ2の通知部203は、売買情報算出部202によって販売推奨価格が算出されると、算出された販売推奨価格を販売者端末5に通知する。販売者端末5は、通知された販売推奨価格を含めて売買履歴管理画面を表示する。
【0079】
以上のステップS10からステップS50までの各処理が、使用履歴管理フェーズにおいて行われる処理である。ステップS10からステップS50までの各処理は、販売予備商品毎に、当該販売予備商品が販売登録されるまで定期的に繰り返し行われる。
【0080】
なお、使用履歴管理フェーズにおいては、販売予備商品は、購入者に開示されない。使用履歴管理フェーズにおいて、販売予備商品を購入者に開示するか否かが販売者によって選択されてもよい。
【0081】
ステップS60:販売者は、販売予備商品を販売商品として登録する。販売者は、販売予備商品のなかから販売することを決定した販売予備商品を販売者端末5にインストールされたアプリケーションから選択する。
【0082】
また、販売者は、販売条件を設定してもよい。販売条件が設定された場合、販売条件が満たされていない場合には、サービスサーバ2は、後述するステップS100の処理において売買を成立させない。販売条件は、例えば、購入者についての条件、または販売価格についての条件、販売期間についての条件などである。購入者についての条件は、例えば、物を大事に使用したいか、またはサステナブルな取り組みをしたいかという質問に、肯定的な回答をしていることである。販売価格についての条件は、販売価格の上限または下限を示す条件である。
【0083】
ステップS70:サービスサーバ2の売買情報算出部202は、売買情報D1を算出する。売買情報算出部202は、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から学習済みモデルE1に基づいて売買情報D1を算出する。
【0084】
ステップS80:サービスサーバ2の通知部203は、購入順序が1位の購入者に通知を行う。通知部203は、当該購入者の購入者端末6に販売商品の情報を通知する。販売商品の情報には、販売商品の最新の画像、及び販売価格などが含まれる。通知部203は、販売商品の情報として、売買履歴管理画面を購入者端末6に表示させてもよい。
【0085】
ステップS90:購入者は、通知された販売商品について購入可否の判断を行う。購入者は、通知された販売商品を購入するか否かを、購入者端末6を用いて回答する。購入者端末6は、販売商品を購入するか否かを示す回答情報をサービスサーバ2に送信する。
【0086】
ステップS100:サービスサーバ2の売買管理部204は、売買が成立したか否かを判定する。売買管理部204は、購入者端末6から送信される回答情報に基づいて判定を行う。売買管理部204は、回答情報が販売商品を購入することを示す場合、売買が成立したと判定する。売買管理部204は、回答情報が販売商品を購入しないことを示す場合、売買が成立しなかったと判定する。
【0087】
売買管理部204によって売買が成立したと判定された場合(ステップS100;YES)、通知部203は、売買が成立したことを販売者端末5に通知する。その後、ステップS110の処理が行われる。一方、売買管理部204によって売買が成立しなかったと判定された場合(ステップS100;NO)、売買管理部204は売買が成立しなかった購入者を購入順序から除外して、他の購入者の購入順序を1つずつ繰り上げる。その後、ステップS80の処理が再度行われる。したがって、売買が成立するまで、ステップS80、ステップS90、及びステップS100の各処理と同様の処理が繰り返される。
【0088】
ステップS110:販売者は、購入の許可、配送準備、及び配送を行う。販売者は、販売者端末5を用いて購入の許可を行う。また、販売者端末5にインストールされたアプリケーションから配送準備を行うことができる。配送準備は、配送業者への依頼、または必要な場合には梱包材の依頼などが含まれる。購入の許可、配送準備、及び配送それぞれが完了した時点において、販売者端末5からサービスサーバ2を介して購入者端末6に通知が行われてもよい。
以上で、中古品売買システム1は、中古品売買処理を終了する。
【0089】
なお、本実施形態では、売買情報D1として販売価格と、購入順序とが算出される場合の一例について説明したが、これに限られない。売買情報D1として販売価格と、購入順序とのうち一方のみが算出されてもよい。
【0090】
売買情報D1として販売価格のみが算出される場合、購入順序は指定されなくてよい。購入順序が指定されない場合、サービスサーバ2から購入者端末6に中古品の情報が通知される代わりに、購入者は購入者端末6から中古品を検索する。売買情報D1として販売価格のみが算出される場合であっても、当該販売価格は適合度に基づいて算出されているため、当該中古品が大事に使用されてきたか、または大事に使用されるかという価値観を販売価格に反映させて当該中古品を販売できる。
【0091】
売買情報D1として購入順序のみが算出される場合、販売価格としては、例えば、上述した基準価格が設定される。売買情報D1として購入順序のみが算出される場合であっても、当該購入順序は適合度に基づいて算出されているため、中古品を大事に使用すると予測された購入者に優先的に当該中古品が販売されやすくなる。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態に係る中古品売買システム1は、使用履歴情報取得部200と、購入者情報取得部201と、売買情報算出部202と、を備える。
使用履歴情報取得部200は、販売者の中古品の使用履歴を示す使用履歴情報B1を取得する。
購入者情報取得部201は、購入者の情報である購入者情報C1を取得する。
売買情報算出部202は、使用履歴情報B1と購入者情報C1との適合度に基づいて中古品についての売買情報D1を算出する。
【0093】
この構成により、本実施形態に係る中古品売買システム1では、販売者の中古品の使用履歴と購入者の嗜好及び価値観のうち1以上との適合度に基づいて売買情報D1が算出されるため、中古品売買において中古品の使用履歴に基づいて売買を行うことができる。
【0094】
また、本実施形態に係る中古品売買システム1は、購入者情報C1は、購入者の嗜好及び価値観のうち1以上を示す情報であって、定期的に登録される情報である。
中古品の販売者は、必ずしも高く販売したいのではなく、当該中古品をより必要とする購入者、または当該中古品をより大事に使用してくれると予測される購入者に販売に譲りたい場合がある。購入者は、物を大事にする販売者から購入したい、サステナブルな取り組みをしたいという価値観をもっている場合がある。従来、中古品売買のシステムでは、外観、または性能の劣化の程度などの中古品の状態に基づいて販売価格が決定されていた。従来の中古品売買のシステムでは、物がどのように使用されてきたかに価値をつけることができなかった。一方、中古品売買システム1では、中古品売買において中古品を大事に使用することに価値を付与することができる。そのため、中古品売買システム1では、物自体の価値だけではなく、物がどう使用されてきたかに価値を付与することによって、物をより大事にでき、サステナブルな世界に貢献できる。
【0095】
(変形例)
以下、図面を参照しながら本実施形態の変形例について詳しく説明する。
上記実施形態では、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から売買情報D1が算出される場合について説明をした。本変形例では、売買情報D1が、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1だけでなく、さらに外部データから算出される場合について説明をする。
本実施形態に係る中古品売買システムを中古品売買システム1aという。
なお、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、同一の構成及び動作についてはその説明を省略する場合がある。
【0096】
図5は、本実施形態に係る中古品売買システム1aの構成の一例を示す図である。中古品売買システム1aは、サービスサーバ2aと、中古品情報データベース3と、購入者情報データベース4と、外部データデータベース7aとを備える。
【0097】
外部データデータベース7aには、外部データF1が記憶される。外部データF1は、中古品についての関心度を示す情報である。外部データF1は、例えば、中古品について当該中古品が中古品売買システム1のアプリケーションにおけるウォッチリストへの登録数、当該中古品の新品が販売されているネットショップにおけるお気に入り登録数、及び当該中古品のインターネットにおける検索数などのうち1以上が含まれる。外部データF1が示す関心度は、当該中古品についてウォッチリストへの登録数、お気に入り登録数、または検索数が多いほど大きい。
【0098】
サービスサーバ2aは、使用履歴情報B1と、購入者情報C1と、外部データF1とに基づいて売買情報D1を算出する。サービスサーバ2aは、外部データデータベース7aに記憶される外部データF1を取得する。上述したように売買情報D1には、中古品の販売価格が含まれる。中古品売買システム1aでは、販売価格の算出に外部データF1が用いられることによって、中古品の推奨販売価格に客観性をもたせることができる。
【0099】
販売価格は、例えば、適合度及び関心度からAIまたは所定のモデルに基づいて算出される。一例として、販売価格は、適合度が高いほど、また関心度が高いほど、高くなるように算出される。AIでは、適合度及び関心度と販売価格との関係が学習される。所定のモデルは、例えば、販売価格を適合度及び関心度の関数として表す式である。
【0100】
例えば、サービスサーバ2aは、まず、使用履歴情報B1と、購入者情報C1とに基づいて販売価格を算出する。サービスサーバ2aは、算出した販売価格を、外部データF1が示す関心度に応じて補正する。サービスサーバ2aは、AIに基づいて外部データF1が示す関心度が大きいほど、販売価格を高く設定する。
【0101】
図6は、本変形例に係るサービスサーバ2aの機能構成の一例を示す図である。サービスサーバ2aは、制御部20aと、記憶部21とを備える。
【0102】
制御部20aは、使用履歴情報取得部200と、購入者情報取得部201と、売買情報算出部202aと、通知部203と、売買管理部204と、外部データ取得部205aとを備える。本変形例に係るサービスサーバ2a(図6)と上述した実施形態に係るサービスサーバ2(図3)とを比較すると、売買情報算出部202a、及び外部データ取得部205aが異なる。ここで、他の構成要素(使用履歴情報取得部200、購入者情報取得部201、通知部203、及び売買管理部204)が持つ機能は上述した実施形態と同じである。
【0103】
外部データ取得部205aは、中古品についての外部データF1を取得する。外部データ取得部205aは、外部データデータベース7aに記憶される外部データF1を取得する。
【0104】
売買情報算出部202aは、使用履歴情報B1と購入者情報C1との適合度と、外部データF1とに基づいて中古品についての売買情報D1を算出する。例えば、売買情報算出部202aは、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から学習済みモデルE1に基づいて適合度を算出する。売買情報算出部202aは、算出した適合度に基づいて販売価格を算出する。売買情報算出部202aは、算出した販売価格を外部データF1が示す関心度に基づいて補正する。なお、関心度に基づいて販売価格を補正する処理においても学習済みモデルが用いられてよい。
【0105】
なお、中古品売買システム1aにおける中古品売買処理の流れは、上述した実施形態における中古品売買処理(図4)に含まれるステップS40の処理と、ステップS270の処理とが、上述した実施形態における中古品売買処理(図4)とは異なる。中古品売買システム1aでは、ステップS40、及びステップS270の処理において、売買情報算出部202aは、使用履歴情報B1、及び購入者情報C1から学習済みモデルE1に基づいて算出した販売推奨価格または販売価格を外部データF1が示す関心度に基づいて補正する。
【0106】
なお、上述した実施形態におけるサービスサーバ2、2aの一部、例えば、使用履歴情報取得部200、購入者情報取得部201、売買情報算出部202、202a、通知部203、売買管理部204、及び外部データ取得部205aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、サービスサーバ2、2aに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態におけるサービスサーバ2、2aの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。サービスサーバ2、2aの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0107】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1、1a…中古品売買システム、200…使用履歴情報取得部、201…購入者情報取得部、202…売買情報算出部、B1…使用履歴情報、C1…購入者情報、D1…売買情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6