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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164351
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H02M3/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079764
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 定治
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB81
5H730BB86
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】電力を適正に供給することができる電源システムを提供する。
【解決手段】電源システム1において、電圧モニタ41は、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を検出する。降圧部42は、出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧に基づいて降圧部42を制御する。上記構成において、分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、降圧部42を制御し、出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。一方で、分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧が閾値電圧未満である電力不足状態の場合、降圧部42を制御し、出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力の電圧を変圧可能なDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータから出力される直流電力である出力電力を負荷部に分配する電源分配器と、を備え、
前記電源分配器は、前記出力電力の電圧を検出する電圧検出部と、
前記出力電力の電圧を降圧して負荷部に供給可能な降圧部と、
前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて前記降圧部を制御する分配器制御部と、を含んで構成され、
前記分配器制御部は、前記電圧検出部により検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、前記降圧部を制御し、前記出力電力の電圧を降圧して前記負荷部に供給し、
前記電圧検出部により検出された電圧が前記閾値電圧未満である電力不足状態の場合、前記降圧部を制御し、前記出力電力の電圧を降圧せずに前記負荷部に供給する電源システム。
【請求項2】
前記DC/DCコンバータを制御するコンバータ制御部をさらに備え、
前記コンバータ制御部は、前記電力不足状態の場合、前記DC/DCコンバータを制御し、前記出力電力の電圧を、前記電力充足状態で前記DC/DCコンバータから出力される前記出力電力の電圧以上の電圧に昇圧し、
前記分配器制御部は、前記降圧部を制御し、前記DC/DCコンバータにより昇圧された前記出力電力の電圧を降圧せずに前記負荷部に供給する請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記電源分配器は、前記DC/DCコンバータに接続される第1電源分配器、及び、前記第1電源分配器に接続される第2電源分配器を含んで構成され、
前記第1電源分配器は、前記DC/DCコンバータから出力され当該第1電源分配器に入力された前記出力電力の電圧を検出する第1電圧検出部と、
前記DC/DCコンバータから出力され当該第1電源分配器に入力された前記出力電力の電圧を降圧して第1負荷部に供給可能な第1降圧部と、
前記第1電圧検出部により検出された電圧に基づいて前記第1降圧部を制御する第1分配器制御部と、を含んで構成され、
前記第2電源分配器は、前記第1電源分配器から出力され当該第2電源分配器に入力された前記出力電力の電圧を検出する第2電圧検出部と、
前記第1電源分配器から出力され当該第2電源分配器に入力された前記出力電力の電圧を降圧して第2負荷部に供給可能な第2降圧部と、
前記第2電圧検出部により検出された電圧に基づいて前記第2降圧部を制御する第2分配器制御部と、を含んで構成され、
前記コンバータ制御部は、前記第1電源分配器が前記電力充足状態であり且つ前記第2電源分配器が前記電力不足状態である場合、前記DC/DCコンバータを制御し、前記出力電力の電圧を、前記電力充足状態で前記DC/DCコンバータから出力される前記出力電力の電圧以上である第1電圧に昇圧し、
前記第1分配器制御部は、前記第1降圧部を制御し、前記DC/DCコンバータにより前記第1電圧に昇圧された前記出力電力の電圧を降圧して前記第1負荷部に供給し、
前記第2分配器制御部は、前記第2降圧部を制御し、前記DC/DCコンバータにより前記第1電圧に昇圧された前記出力電力の電圧を降圧せずに前記第2負荷部に供給し、
さらに、前記コンバータ制御部は、前記第1電源分配器及び前記第2電源分配器が前記電力不足状態である場合、前記DC/DCコンバータを制御し、前記出力電力の電圧を前記第1電圧以上である第2電圧に昇圧し、
前記第1分配器制御部は、前記第1降圧部を制御し、前記DC/DCコンバータにより前記第2電圧に昇圧された前記出力電力の電圧を降圧せずに前記第1負荷部に供給し、
前記第2分配器制御部は、前記第2降圧部を制御し、前記DC/DCコンバータにより前記第2電圧に昇圧された前記出力電力の電圧を降圧せずに前記第2負荷部に供給する請求項2に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源システムとして、例えば、特許文献1には、電源から供給される電力を分配して複数の車載負荷に供給する電力車載システムが記載されている。この電力車載システムは、例えば、電力の電圧を降圧するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータに接続される主電源分配箱と、主電源分配箱に接続される電気配線箱とを備える。主電源分配箱は、DC/DCコンバータにより降圧された電力を電気配線箱に供給し、電気配線箱は、主電源分配箱から供給された電力を車載負荷に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-057564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の電力車載システムは、例えば、車載負荷による電力消費によって電力が逼迫した際に、DC/DCコンバータにより電力の電圧を昇圧することが考えられるが、この場合に、電力が足りている車載負荷に対しても、昇圧された電力が供給され、これにより電力の供給過剰になる車載負荷が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力を適正に供給することができる電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電源システムは、直流電力の電圧を変圧可能なDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータから出力される直流電力である出力電力を負荷部に分配する電源分配器と、を備え、前記電源分配器は、前記出力電力の電圧を検出する電圧検出部と、前記出力電力の電圧を降圧して負荷部に供給可能な降圧部と、前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて前記降圧部を制御する分配器制御部と、を含んで構成され、前記分配器制御部は、前記電圧検出部により検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、前記降圧部を制御し、前記出力電力の電圧を降圧して前記負荷部に供給し、前記電圧検出部により検出された電圧が前記閾値電圧未満である電力不足状態の場合、前記降圧部を制御し、前記出力電力の電圧を降圧せずに前記負荷部に供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電源システムは、電源分配器側で負荷部に供給する直流電力の電圧を制御するので、DC/DCコンバータ側で直流電力の電圧を制御する場合と比較して、複数の負荷部に対して個別に電圧を制御することができ、この結果、電力を負荷部に適正に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電源システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る降圧部の構成例を示す回路図である。
図3図3は、実施形態に係る電源システムの動作パターン例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る電源システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
図面を参照しながら実施形態に係る電源システム1について説明する。電源システム1は、車両に搭載され、当該車両の負荷部LDに電力を供給するものである。電源システム1は、図1に示すように、DC/DCコンバータ10と、コンバータ制御部20と、12Vバッテリ30と、複数の電源分配器40(40A~40D)とを備える。なお、図1では、電源分配器40C、40Dは、電源分配器40Bと同様の構成であり、簡略化して図示している。
【0011】
DC/DCコンバータ10は、直流電力の電圧を変圧可能な変換器である。DC/DCコンバータ10は、例えば、外部の電源(図示省略)に接続され、コンバータ制御部20の制御に応じて、電源から供給される直流電力の電圧を変圧(昇圧又は降圧)し、変圧後の直流電力である出力電力を電源分配器40Aに出力する。
【0012】
コンバータ制御部20は、DC/DCコンバータ10を制御するものである。コンバータ制御部20は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。コンバータ制御部20は、例えば、電源分配器40が電力充足状態の場合、DC/DCコンバータ10を制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(通常電圧:例えば、13V)に変圧する。一方で、コンバータ制御部20は、電源分配器40が電力不足状態の場合、すなわち電力が逼迫している場合、DC/DCコンバータ10を制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(13V)以上の電圧(例えば、14V~15V)に昇圧する。
【0013】
12Vバッテリ30は、電力を充放電する蓄電部である。12Vバッテリ30は、DC/DCコンバータ10に接続され、当該DC/DCコンバータ10から供給される電力を充電すると共に、充電した電力を複数の電源分配器40に供給する。
【0014】
複数の電源分配器40は、電力を負荷部LDに分配するものである。複数の電源分配器40は、例えば、電源分配器40A~40Dを含んで構成される。電源分配器40Aは、DC/DCコンバータ10に接続され、電源分配器40B~40Cは、電源分配器40Aに接続される。すなわち、複数の電源分配器40は、電源分配器40Aが上層側に設けられ、電源分配器40B~40Cが電源分配器40Aの下層側に設けられ、2階層に構成されている。
【0015】
電源分配器40Aは、電圧検出部としての電圧モニタ41aと、降圧部42aと、分配器制御部43aとを含んで構成される。電圧モニタ41a、降圧部42a、及び、分配器制御部43aは、相互に通信可能に接続されている。
【0016】
電圧モニタ41aは、直流電力の電圧を検出するものである。電圧モニタ41aは、例えば、DC/DCコンバータ10に接続され、当該DC/DCコンバータ10から出力される直流電力である出力電力の電圧を検出する。電圧モニタ41aは、検出した電圧を分配器制御部43aに出力する。
【0017】
降圧部42aは、直流電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給するものである。降圧部42aは、例えば、DC/DCコンバータ10に接続され、当該DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。降圧部42aは、例えば、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(13V)を予め定められた電圧(例えば、11V)に降圧して負荷部LDに供給する。ここで、降圧部42aは、図2に示すように、小電流出力回路P1と、中電流出力回路P2と、ECU421とを含んで構成される。
【0018】
小電流出力回路P1は、中電流出力回路P2よりも小さい電流を出力する回路であり、スイッチ回路SW1と、コイルL1と、ダイオードD1と、コンデンサC1とを有する。スイッチ回路SW1は、一端がDC/DCコンバータ10に接続され、他端が負荷部LDに接続されている。コイルL1は、スイッチ回路SW1と負荷部LDとの間の電力線上に設けられている。ダイオードD1は、カソード端子がスイッチ回路SW1とコイルL1との間の電力線に接続され、アノード端子がグランドに接続されている。コンデンサC1は、一端がコイルL1と負荷部LDとの間の電力線に接続され、他端がグランドに接続されている。小電流出力回路P1は、小電流が流れる場合に使用され、ECU421によりスイッチ回路SW1をPWM制御することでDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を降圧する。
【0019】
中電流出力回路P2は、小電流出力回路P1よりも大きい電流を出力する回路であり、スイッチ回路SW2、SW3と、ダイオードD2と、コイルL2と、コンデンサC2とを有する。スイッチ回路SW2は、一端がDC/DCコンバータ10に接続され、他端が負荷部LDに接続されている。スイッチ回路SW3は、一端がスイッチ回路SW2と負荷部LDとの間の電力線に接続され、他端がグランドに接続されている。コイルL2は、スイッチ回路SW2と負荷部LDとの間の電力線上に設けられている。ダイオードD2は、カソード端子がスイッチ回路SW2、SW3とコイルL2との間の電力線に接続され、アノード端子がグランドに接続されている。コンデンサC2は、一端がコイルL2と負荷部LDとの間の電力線に接続され、他端がグランドに接続されている。中電流出力回路P2は、中電流が流れる場合に使用され、ECU421によりスイッチ回路SW2、SW3をPWM制御することでDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を降圧する。
【0020】
図1に示す分配器制御部43aは、電圧モニタ41aにより検出された電圧に基づいて降圧部42aを制御するものである。分配器制御部43aは、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。分配器制御部43aは、電圧モニタ41aにより検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(例えば、13V)を予め定められた電圧(例えば、11V)に降圧して負荷部LDに供給する。一方で、分配器制御部43aは、電圧モニタ41aにより検出された電圧が閾値電圧未満である電力不足状態の場合、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(例えば、14V~15V)を降圧せずに負荷部LDに供給する。
【0021】
次に、上述の電源分配器40Aの下層側に設けられる電源分配器40Bについて説明する。電源分配器40Bは、電圧検出部としての電圧モニタ41bと、複数の降圧部42bと、分配器制御部43bとを含んで構成される。電圧モニタ41b、降圧部42b、及び、分配器制御部43bは、相互に通信可能に接続されている。
【0022】
電圧モニタ41bは、直流電力の電圧を検出するものである。電圧モニタ41bは、例えば、電源分配器40Aに接続され、当該電源分配器40Aから出力される出力電力の電圧を検出する。電圧モニタ41bは、検出した電圧を分配器制御部43bに出力する。
【0023】
降圧部42bは、直流電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給するものである。降圧部42bは、例えば、電源分配器40Aに接続され、当該電源分配器40Aから出力される出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。降圧部42bは、例えば、電源分配器40Aから出力される出力電力の電圧(例えば、13V)を予め定められた電圧(例えば、11V)に降圧して負荷部LDに供給する。なお、降圧部42bは、例えば、図2に示すように、小電流出力回路P1と、中電流出力回路P2と、ECU421とを含んで構成される。
【0024】
分配器制御部43bは、電圧モニタ41bにより検出された電圧に基づいて降圧部42bを制御するものである。分配器制御部43bは、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。分配器制御部43bは、電圧モニタ41bにより検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、降圧部42bを制御し、電源分配器40Aから出力される出力電力の電圧(例えば、13V)を予め定められた電圧(例えば、11V)に降圧して負荷部LDに供給する。一方で、分配器制御部43bは、電圧モニタ41bにより検出された電圧が閾値電圧未満である電力不足状態の場合、降圧部42bを制御し、電源分配器40Aから出力される出力電力の電圧(例えば、14V~15V)を降圧せずに負荷部LDに供給する。なお、電源分配器40C、40Dについては、電源分配器40Bと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0025】
次に、電源システム1の動作パターンについて説明する。図3は、実施形態に係る電源システム1の動作パターン例を示す図である。
【0026】
電源システム1は、図1図3に示すように、電源分配器40A~40Dにおいて、それぞれ検出される電圧V1~V4が通常電圧(例えば、13V)である場合(パターン1)、電源分配器40A~40Dが電力充足状態であると判定する。この場合、コンバータ制御部20は、DC/DCコンバータ10を制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(例えば、13V)とする。電源分配器40Aの分配器制御部43aは、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。電源分配器40Bの分配器制御部43bは、全ての降圧部42bを制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。なお、電源分配器40C、40Dは、電源分配器40A、40Bと同様に、DC/DCコンバータ10にから出力される出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。
【0027】
電源システム1は、電源分配器40A、40C、40Dにおいて、それぞれ検出される電圧V1、V3、V4が閾値電圧以上(通常電圧)であり、かつ、電源分配器40Bで検出される電圧V2が閾値電圧未満(低電圧)である場合(パターン2)、電源分配器40Bが電力不足状態であると判定する。この場合、コンバータ制御部20は、DC/DCコンバータ10を制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧(例えば、13V)以上である第1電圧(例えば、14V)に昇圧する。電源分配器40Aの分配器制御部43aは、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10により第1電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。電源分配器40Bの分配器制御部43bは、全ての降圧部42bを制御し、DC/DCコンバータ10により第1電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する(変換OFF)。なお、電源分配器40C、40Dは、電源分配器40Aと同様に、DC/DCコンバータ10により第1電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。
【0028】
電源システム1は、電源分配器40A~40Dにおいて、それぞれ検出される電圧V1~V4が閾値電圧未満(低電圧)である場合(パターン3)、全ての電源分配器40A~40Dが電力不足状態であると判定する。この場合、コンバータ制御部20は、DC/DCコンバータ10を制御し、出力電力の電圧を第1電圧(例えば、14V)以上である第2電圧(例えば、15V)に昇圧する。電源分配器40Aの分配器制御部43aは、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10により第2電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する(変換OFF)。電源分配器40Bの分配器制御部43bは、全ての降圧部42bを制御し、DC/DCコンバータ10により第2電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する(変換OFF)。なお、電源分配器40C、40Dは、電源分配器40Bと同様に、DC/DCコンバータ10により第2電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する(変換OFF)。
【0029】
次に、電源システム1の動作例について説明する。電源分配器40は、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を検出する(ステップS1)。電源分配器40は、検出した出力電力の電圧が閾値電圧以上である電力充足状態の場合(ステップS2;Yes)、当該出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給し(ステップS3)、処理を終了する。一方で、電源分配器40は、検出した出力電力の電圧が閾値電圧未満である電力不足状態の場合(ステップS2;No)、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を昇圧する(ステップS4)。そして、電源分配器40は、昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給し(ステップS5)、処理を終了する。
【0030】
以上のように、実施形態に係る電源システム1は、DC/DCコンバータ10と、電源分配器40とを備える。DC/DCコンバータ10は、直流電力の電圧を変圧可能な変換器である。電源分配器40は、DC/DCコンバータ10から出力される直流電力である出力電力を負荷部LDに分配する。この電源分配器40は、電圧モニタ41と、降圧部42と、分配器制御部43とを含んで構成される。電圧モニタ41は、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を検出する。降圧部42は、出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧に基づいて降圧部42を制御する。上記構成において、分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧が予め定められた閾値電圧以上である電力充足状態の場合、降圧部42を制御し、出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。一方で、分配器制御部43は、電圧モニタ41により検出された電圧が閾値電圧未満である電力不足状態の場合、降圧部42を制御し、出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。
【0031】
この構成により、電源システム1は、電源分配器40側で負荷部LDに供給する直流電力の電圧を制御するので、DC/DCコンバータ10側で直流電力の電圧を制御する場合と比較して、複数の負荷部LDに対して個別に電圧を制御することができ、この結果、電力を負荷部LDに適正に供給することができる。
【0032】
電源システム1は、DC/DCコンバータ10を制御するコンバータ制御部20をさらに備える。コンバータ制御部20は、電力不足状態の場合、DC/DCコンバータ10を制御し、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧以上の電圧に昇圧する。分配器制御部43は、降圧部42を制御し、DC/DCコンバータ10により昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。この構成により、電源システム1は、電源分配器40の降圧部42とDC/DCコンバータ10とを協調制御することにより、電力を負荷部LDに適正に供給することができる。
【0033】
電源システム1において、電源分配器40は、DC/DCコンバータ10に接続される電源分配器40A、及び、電源分配器40Aに接続される電源分配器40Bを含んで構成される。電源分配器40Aは、DC/DCコンバータ10から出力され当該電源分配器40Aに入力された出力電力の電圧を検出する電圧モニタ41aと、DC/DCコンバータ10から出力され当該電源分配器40Aに入力された出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給可能な降圧部42aと、電圧モニタ41aにより検出された電圧に基づいて降圧部42aを制御する分配器制御部43aとを含んで構成される。電源分配器40Bは、電源分配器40Aから出力され当該電源分配器40Bに入力された出力電力の電圧を検出する電圧モニタ41bと、電源分配器40Aから出力され当該電源分配器40Bに入力された出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給可能な降圧部42bと、電圧モニタ41bにより検出された電圧に基づいて降圧部42bを制御する分配器制御部43bとを含んで構成される。コンバータ制御部20は、電源分配器40Aが電力充足状態であり且つ電源分配器40Bが電力不足状態である場合、DC/DCコンバータ10を制御し、出力電力の電圧を、電力充足状態でDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧以上である第1電圧に昇圧する。分配器制御部43aは、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10により第1電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧して負荷部LDに供給する。分配器制御部43bは、降圧部42bを制御し、DC/DCコンバータ10により第1電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。さらに、コンバータ制御部20は、電源分配器40A及び電源分配器40Bが電力不足状態である場合、DC/DCコンバータ10を制御し、出力電力の電圧を第1電圧以上である第2電圧に昇圧する。分配器制御部43aは、降圧部42aを制御し、DC/DCコンバータ10により第2電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。分配器制御部43bは、降圧部42bを制御し、DC/DCコンバータ10により第2電圧に昇圧された出力電力の電圧を降圧せずに負荷部LDに供給する。この構成により、電源システム1は、電源分配器40の降圧部42とDC/DCコンバータ10とを協調制御することにより、電源分配器40A、40Bのそれぞれの電力供給状態に応じて、電力を負荷部LDに個別に調整して供給することができる。
【0034】
電源システム1は、DC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を13V~15V程度とし、電源分配器40が昇圧部を備えずに降圧部42を備えることで、システム全体を低電圧化して節電効果を図ることができる。
【0035】
なお、上記説明では、電源システム1は、電源分配器40とDC/DCコンバータ10とを協調制御する例について説明したが、これに限定されず、例えば、逼迫等の電力供給状況に応じてDC/DCコンバータ10から出力される出力電力の電圧を変圧せずに、電源分配器40を単独で制御して負荷部LDに供給される電力を制御してもよい。
【0036】
電源システム1は、電源分配器40A~40Dが2階層に構成される例について説明したが、これに限定されず、例えば、電源分配器40Aだけを備える1階層の構成としてもよいし、また、3階層以上の構成としてもよい。
【0037】
電源システム1は、コンバータ制御部20及び各分配器制御部43を統合した統合制御部としてもよいし、また、コンバータ制御部20の機能を電源分配器40Aの分配器制御部43aが担うようにしてもよいし、また、コンバータ制御部20の機能をDC/DCコンバータ10に内蔵してコンバータ制御部20の機能をDC/DCコンバータ10が担うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 電源システム
10 DC/DCコンバータ
20 コンバータ制御部
LD 負荷部
40 電源分配器
40A 電源分配器(第1電源分配器)
40B 電源分配器(第2電源分配器)
41 電圧モニタ(電圧検出部)
41a 電圧モニタ(第1電圧検出部)
41b 電圧モニタ(第2電圧検出部)
42 降圧部
42a 降圧部(第1降圧部)
42b 降圧部(第2降圧部)
43 分配器制御部
43a 分配器制御部(第1分配器制御部)
43b 分配器制御部(第2分配器制御部)
図1
図2
図3
図4