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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164365
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】コロニー計数システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
C12M1/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079784
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平田 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】三橋 則登
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB02
4B029FA09
4B029FA11
4B029GA01
4B029GB06
(57)【要約】
【課題】コロニーを正確に計数することが可能なコロニー計数システムを提供する。
【解決手段】シャーレSが載置される計数ステージ2と、計数ステージ2に載置されたシャーレSのなかの微生物のコロニーを撮像する撮像部3と、撮像部3が撮像した画像のなかの領域である計数領域内のコロニーを計数する計数部11Aを有する制御装置10と、を備え、撮像部3が撮像した画像において、計数ステージ2が計数領域の外側に位置するように、計数ステージ2が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーレを支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記シャーレのなかの微生物のコロニーを撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像の計数領域における前記コロニーを計数する計数部と、を備え、
前記支持部は、前記画像において前記計数領域の外側に位置するように配置される
ことを特徴とするコロニー計数システム。
【請求項2】
前記支持部は、貫通孔を備える計数ステージであり、
前記計数ステージには、前記貫通孔と重なるように前記シャーレが載置され、
前記画像において、前記計数領域が前記貫通孔の内側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のコロニー計数システム。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記シャーレの下方に位置し、前記画像において前記計数領域を囲う第1部分と、前記第1部分と前記計数ステージの縁部とを繋ぎ、前記シャーレを搬送する搬送部が通過可能な第2部分と、を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のコロニー計数システム。
【請求項4】
前記第1部分は、前記シャーレにおいて前記計数ステージと接する面の直径よりも小さい直径を有する円形状を有し、
前記貫通孔は、前記第1部分の直径よりも狭い幅で前記第1部分と前記第2部分とが接続される
ことを特徴とする請求項3に記載のコロニー計数システム。
【請求項5】
前記第1部分の直径は、30mm以上150mm以下である
ことを特徴とする請求項3または4に記載のコロニー計数システム。
【請求項6】
前記支持部は、前記画像において前記計数領域の外側に位置するように、互いに離間して配置される複数の支持体である
ことを特徴とする請求項1に記載のコロニー計数システム。
【請求項7】
各支持体は、前記シャーレを支持する支持面と、前記支持面上での前記シャーレの移動を規制する保持部と、を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のコロニー計数システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コロニー計数システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の表面における細菌に対する抗菌性の試験方法の一例として、JIS Z 2801に規定される抗菌加工を施した製品の表面における細菌に対する抗菌性試験方法が知られている(非特許文献1を参照)。抗菌性の試験では、シャーレ中の培地にて検体を所定時間培養した後に、シャーレ内に形成された細菌のコロニーを計数する方法が採用されている。コロニーを計数する技術の一例として、シャーレ内に形成されたコロニーを撮像することによって得られた画像から、コロニーを計数する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-270840号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JIS Z 2801:2012「抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載されるコロニー計数装置では、透明なシャーレが平坦なステージ上に載置された状態でコロニーの撮像が行われる。このようなステージでは、シャーレをステージに載置する際にステージ上に異物が存在すると、ステージとシャーレとの間に異物が挟み込まれる場合がある。ステージとシャーレとの間に異物が挟み込まれた状態では、コロニーを撮像した画像中に異物が写り込むことで、コロニーを正確に計数できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのコロニー計数システムは、シャーレを支持する支持部と、前記支持部に支持された前記シャーレのなかの微生物のコロニーを撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像の計数領域における前記コロニーを計数する計数部と、を備え、前記支持部は、前記画像において前記計数領域の外側に位置するように配置される。
【0007】
上記構成によれば、計数領域の外側にシャーレを支持する支持部を配置することで、計数領域内には支持部が写らない状態となる。これにより、計数領域内において支持部上の異物が写り込むことを防止できる。したがって、計数領域に写り込んだ異物によってコロニーの正確な計数が妨げられることを防止できる。結果として、支持部上の異物の有無の確認作業や異物の除去作業をせずとも、正確にコロニーの計数を行うことができる。
【0008】
上記コロニー計数システムにおいて、前記支持部は、貫通孔を備える計数ステージであり、前記計数ステージには、前記貫通孔と重なるように前記シャーレが載置され、前記画像において、前記計数領域が前記貫通孔の内側に位置する構成としてもよい。上記構成によれば、計数ステージが貫通孔を備え、かつ、貫通孔の内側の計数領域においてコロニーを計数することで、計数領域内には計数ステージが写らない状態となるため、計数領域内において計数ステージ上の異物が写り込むことを防止できる。
【0009】
上記コロニー計数システムにおいて、前記貫通孔は、前記シャーレの下方に位置し、前記画像において前記計数領域を囲う第1部分と、前記第1部分と前記計数ステージの縁部とを繋ぎ、前記シャーレを搬送する搬送部が通過可能な第2部分と、を備える構成としてもよい。上記構成によれば、シャーレを上下に挟み込んだ状態で搬送する搬送部を用いて計数ステージにシャーレを載置する場合であっても、計数ステージに設けられた第2部分によって、搬送部と計数ステージとが干渉することを防ぐことができる。
【0010】
上記コロニー計数システムにおいて、前記第1部分は、前記シャーレにおいて前記計数ステージと接する面の直径よりも小さい直径を有する円形状を有し、前記貫通孔は、前記第1部分の直径よりも狭い幅で前記第1部分と前記第2部分とが接続される構成としてもよい。上記構成によれば、第1部分と第2部分との接続部分からシャーレが脱落することを防止できる。
【0011】
上記コロニー計数システムにおいて、前記第1部分の直径は、30mm以上150mm以下であってもよい。上記構成によれば、微生物の培養に用いられるシャーレを計数ステージ上に好適に載置でき、また、シャーレに形成されたコロニーの計数を好適に行うことができる。
【0012】
上記コロニー計数システムにおいて、前記支持部は、前記画像において前記計数領域の外側に位置するように、互いに離間して配置される複数の支持体であってもよい。計数領域の外側に位置する複数の支持体でシャーレを支持する構成によっても、計数領域内において支持部上の異物が写り込むことを防止できる。
【0013】
上記コロニー計数システムにおいて、各支持体は、前記シャーレを支持する支持面と、前記支持面上での前記シャーレの移動を規制する保持部と、を備える構成としてもよい。上記構成によれば、シャーレが複数の支持体から脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示のコロニー計数システムによれば、コロニーを正確に計数できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態のコロニー計数システムの模式図である。
図2図2は、第1実施形態の計数ステージの斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う計数ステージ及びシャーレの断面図である。
図4図4は、第1実施形態の計数ステージ及びシャーレの上面図である。
図5図5は、搬送部によってシャーレが搬送された状態の第1実施形態のコロニー計数システムの斜視図である。
図6図6は、第2実施形態のコロニー計数システムが備える複数の支持体及びシャーレの斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の複数の支持体及びシャーレの上面図である。
図8図8は、参考例及び比較例のコロニー計数システムの斜視図である。
図9図9は、実施例1、参考例1、及び、比較例1の評価結果を表すグラフである。
図10図10は、実施例2、参考例2、及び、比較例2の評価結果を表すグラフである。
図11図11は、実施例3、参考例3、及び、比較例3の評価結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態のコロニー計数システム]
コロニー計数システムの第1実施形態について図1図5を参照して説明する。
図1に示すように、第1実施形態のコロニー計数システム1は、一例として、JIS Z 2801:2012に規定される抗菌性試験方法において、シャーレS内に形成された細菌のコロニーの計数のために用いられる。シャーレSのなかには、例えば、寒天培地で培養された細菌等の微生物のコロニーが形成されている。
【0017】
第1実施形態のコロニー計数システム1は、計数ステージ2と、撮像部3と、照明部4と、筐体5と、制御装置10と、を備える。計数ステージ2、撮像部3、及び、照明部4は、筐体5の内部に収容される。
【0018】
計数ステージ2は、シャーレSを支持する支持部の一例である。計数ステージ2は、一例として、透明な板状部材である。計数ステージ2は、上方に面する載置面2Sを備える。載置面2Sには、シャーレSが載置される。シャーレSは、円形の透明な下皿S1及び蓋S2を備える。蓋S2は、下皿S1よりも径が大きく、かつ、下皿S1よりも浅い上皿である。
【0019】
抗菌性試験方法等の菌類培養時には、蓋S2が下皿S1の下方に位置するようにシャーレSを倒置した状態で培養が行われることがある。そのため、図1では、一例として、シャーレSが倒置された培養時の状態から反転動作等を行わずに、蓋S2が下皿S1の下方に位置する状態を維持したまま、シャーレSを計数ステージ2に載置した状態を図示している。したがって、計数ステージ2の載置面2SにはシャーレSの蓋S2が接している。
【0020】
載置面2Sには、案内部6が配置される。案内部6は、シャーレSを載置面2S上の所定の位置に案内する。一例として、案内部6は、V字状または円弧状の押し当て面6Sを備える。載置面2S上のシャーレSが押し当て面6Sに押し当てられると、押し当て面6SがシャーレSを載置面2S上の所定の位置に案内する。押し当て面6Sは、所定の位置に配置されるシャーレSの外周面のなかの2つの部分に当接してもよい。
【0021】
撮像部3は、計数ステージ2の上方に配置される。撮像部3は、一例として、画像データを生成するカメラである。撮像部3は、シャーレSに形成されたコロニーを撮像する。撮像部3は、例えば、シャーレSの上方から、シャーレSの全体を含む画像データであって、コロニーの数を識別可能な画像データを生成する。
【0022】
照明部4は、一例として、計数ステージ2の下方において、計数ステージ2と離間して配置される。照明部4は、面光源でもよい。照明部4は、計数ステージ2に載置されたシャーレSを下方から照らす。なお、照明部4は、計数ステージ2に載置されたシャーレSを下方から照らす構成に代えて、もしくは、当該構成に加えて、計数ステージ2に載置されたシャーレSを上方から照らしてもよい。
【0023】
筐体5は、計数ステージ2、撮像部3、及び、照明部4を支持する支持構造の一例である。筐体5は、計数ステージ2にシャーレSを搬入可能、かつ、計数ステージ2からシャーレSを搬出可能な開口を備える。筐体5は、任意の形状を採用することができる。なお、コロニー計数システム1は、筐体5に代わる支持構造として、計数ステージ2、撮像部3、及び、照明部4を支持する支持フレームを備えてもよい。
【0024】
制御装置10は、一例として、筐体5の外部から有線または無線で筐体5内の撮像部3及び照明部4に接続される。なお、制御装置10は、筐体5と一体に構成されてもよい。制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、通信部15とを備える。
【0025】
制御部11は、コロニー計数システム1が備える撮像部3及び照明部4、並びに、制御装置10が備える各部の動作を制御する。制御部11は、例えば、CPUやMPU等、ソフトウェアによって各種の処理を実行するプロセッサを含む。記憶部12は、一時メモリと、不揮発性メモリとを備える。一時メモリは、制御装置10が処理するデータを一時的に記憶する。一時メモリは、一例として、RAMである。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD、またはSSDである。不揮発性メモリには、シャーレSに形成されたコロニーを計数するためのコロニー計数プログラムが記憶されている。
【0026】
表示部13は、各種情報を表示するディスプレイである。操作部14は、作業者が制御装置10を操作するための入力デバイスである。制御装置10は、一例として、表示部13及び操作部14が一体となったタッチパネルを備えてもよい。通信部15は、有線または無線通信を介して筐体5に収容された撮像部3及び照明部4との通信を担う。
【0027】
制御部11は、コロニー計数プログラムを実行することで計数部11Aとして機能する。計数部11Aは、撮像部3が生成した画像データから、シャーレSに形成されたコロニーを計数する処理を実行する。
【0028】
[計数ステージ]
図2に示すように、計数ステージ2は、計数ステージ2の厚さ方向に貫通する貫通孔2Hを備える。貫通孔2Hは、第1部分2H1と、第2部分2H2とを備える。第1部分2H1は、計数ステージ2の略中央に位置する。第1部分2H1は、一例として円形状を有する。第1部分2H1は、所定の直径D1を有する。第1部分2H1の直径D1は、一例として、30mm以上150mm以下である。
【0029】
第2部分2H2は、第1部分2H1と計数ステージ2の縁部2Eとを繋ぐ。縁部2Eは、計数ステージ2において、筐体5が有する開口の側に位置する。第2部分2H2は、一例として矩形状を有する。貫通孔2Hでは、第1部分2H1の直径D1よりも狭い幅Wで第1部分2H1と第2部分2H2とが接続される(D1>W)。第2部分2H2は、一例として、第1部分2H1と接続される部分から計数ステージ2の縁部2Eまで一定の幅Wを有する長方形状もしくは正方形状を有する。なお、幅Wは、第2部分2H2が第1部分2H1から計数ステージ2の縁部2Eまで延びる方向と直交する方向の大きさである。
【0030】
図3に示すように、シャーレSは、第1部分2H1がシャーレSの下方に位置するように、すなわち、シャーレSが第1部分2H1に重なるように計数ステージ2に配置される。シャーレSの下皿S1は、収容面S1Sを備える。収容面S1Sは、下皿S1の側壁に囲われる内底面である。収容面S1Sには、コロニーが形成された培地Mが配置されている。培地Mは、一例として、寒天培地である。
【0031】
シャーレSの蓋S2は、外面S2Sを備える。外面S2Sは、計数ステージ2の載置面2Sと接する。蓋S2の外面S2Sは、所定の直径D2を有する。外面S2Sの直径D2は、第1部分2H1の直径D1よりも大きい(D2>D1)。
【0032】
図4は、シャーレSが載置された計数ステージ2を、計数ステージ2の載置面2Sと対向する視点から見た上面図である。なお、図4では、図示の便宜上、シャーレSの下皿S1及び蓋S2の外形線を太線で示す。図4では、計数ステージ2の貫通孔2Hの外形線のうちシャーレSと重なる部分を破線で示す。また、シャーレSに形成されたコロニーCにドットを付して示す。
【0033】
図4に示すように、シャーレSは、貫通孔2Hの第1部分2H1の全体がシャーレSの下方に位置するように、計数ステージ2に載置される。また、シャーレSは、シャーレSに形成されたコロニーCの全数が貫通孔2Hの第1部分2H1の内側に位置するように、計数ステージ2に載置される。例えば、蓋S2の円形状の中心が貫通孔2Hの第1部分2H1の中心と一致するように、シャーレSが計数ステージ2に載置される。貫通孔2Hの第1部分2H1の直径D1は、シャーレSの外径である蓋S2の外面S2Sの直径D2よりも小さく、かつ、シャーレSにおいてコロニーCが形成される領域よりも大きい。
【0034】
貫通孔2Hの第1部分2H1の直径D1が蓋S2の外面S2Sの直径D2よりも小さい(D2>D1)ため、第1部分2H1からシャーレSが脱落することを防止している。換言すると、D2>D1とすることで、シャーレSが第1部分2H1に重なるようにシャーレSを計数ステージ2に載置できる。また、貫通孔2Hにおいて、第1部分2H1と第2部分2H2とが接続される部分の幅Wが第1部分2H1の直径D1よりも狭い(D1>W)ため、第1部分2H1と第2部分2H2との接続部分からシャーレSが脱落することを防止している。
【0035】
[第1実施形態の画像]
以下、第1実施形態において、撮像部3が生成する画像データについて、図4を参照して説明する。
【0036】
撮像部3は、計数ステージ2の載置面2Sと対向する位置からシャーレSに形成されたコロニーCを撮像する。撮像部3が撮像したコロニーCの画像は、図4の上面図のようにコロニーCを上方から撮像した画像である。以下では、図4に示す状態のように、コロニーCを上方から撮像した画像を撮像部3が撮像した画像であるものとして説明する。シャーレS内に形成されたコロニーCは、シャーレSの下皿S1を介した状態で撮像される。なお、撮像部3が撮像するコロニーCの画像は、少なくともシャーレSに形成されたコロニーCの全数が識別可能な状態で含まれればよく、シャーレSの全体が含まれなくてもよく、計数ステージ2の全体が含まれなくてもよい。
【0037】
計数部11Aは、撮像部3が生成した画像データに画像処理を適用することで、シャーレSの外形よりも内側に位置する計数領域CAに含まれるコロニーCを計数する。計数領域CAは、画像データによって再現される画像の一部分であって、貫通孔2Hにおける第1部分2H1の縁の内側に位置する領域である。撮像部3が撮像した画像の計数領域CAでは、計数ステージ2とシャーレSとが重なっていない。換言すると、撮像部3が撮像した画像では、貫通孔2Hの第1部分2H1の内側の空間と、計数領域CAとが重なっている。撮像部3が撮像した画像では、計数ステージ2が計数領域CAの外側に位置するため、計数領域CA内には計数ステージ2が写らない。
【0038】
計数領域CAは、一例として、図4中に二点鎖線で示す円形の領域である。計数領域CAは、第1部分2H1に囲まれる。計数領域CAの直径D3は、貫通孔2Hの第1部分2H1の直径D1と同じか、直径D1よりも小さい(D1≧D3)。例えば、計数領域CAの円形状の中心は、貫通孔2Hの第1部分2H1の円形状の中心と一致する。
【0039】
撮像部3が撮像した画像における計数領域CAの大きさは、シャーレSに形成されたコロニーCの全数が含まれる大きさである。例えば、計数領域CAの大きさは、貫通孔2Hにおける第1部分2H1の直径D1、シャーレSの大きさ、及び、シャーレSにおける培地Mの広がり具合に応じて予め定められていてもよい。計数領域CAの大きさは、撮像部3が撮像した画像から貫通孔2Hの第1部分2H1の外形を抽出するとともに、抽出した第1部分2H1の外形に応じて画像ごとに設定されてもよい。
【0040】
なお、撮像部3が撮像した画像において、貫通孔2Hの外側に相当する計数ステージ2の載置面2Sに異物が存在しても、当該異物がコロニーCの計数に影響を及ぼさない。また、仮に計数ステージ2の下方に位置する照明部4において、上面視で計数領域CAと重なる位置に異物が存在しても、計数ステージ2と照明部4との距離や撮像部3の焦点距離などを調整することで、当該異物が計数領域CAに写り込むことを防止できる。
【0041】
[シャーレの載置方法]
図5に示すように、シャーレSが計数ステージ2に載置されるとき、搬送部20が用いられてもよい。搬送部20は、シャーレSの保持と、保持したシャーレSの移動と、保持したシャーレSの回転(上下反転)と、を行う。搬送部20は、制御装置10によって制御されてもよいし、制御装置10以外の他の装置によって制御されてもよい。
【0042】
搬送部20は、把持部21と、移動部22とを備える。把持部21は、シャーレSの保持と、当該保持の解除とを切り換え可能な構成を有する。把持部21は、一例として、シャーレSの下皿S1と蓋S2とを上下に挟み込むロボットフィンガーである。移動部22は、把持部21を移動及び回転させる。移動部22は、一例として、把持部21を三次元方向に移動させ、かつ、把持部21を上下方向に反転させるロボットアームである。シャーレSにコロニーCを形成するための菌類の培養時には、搬送部20を用いてシャーレSの反転動作を行うことができる。
【0043】
把持部21は、貫通孔2Hの第2部分2H2を通過可能に構成されている。換言すると、貫通孔2Hの第2部分2H2の幅Wは、把持部21の幅よりも大きい。これにより、搬送部20がシャーレSの下皿S1と蓋S2とを挟持する把持部21を備える場合でも、計数ステージ2と把持部21とを干渉させずにシャーレSを計数ステージ2に載置できる。
【0044】
[第1実施形態の作用]
シャーレSを支持する支持部の一例である計数ステージ2が貫通孔2Hを備えるとともに、計数部11Aが貫通孔2Hの第1部分2H1の内側に位置する計数領域CA内のコロニーCを計数する。これにより、コロニーCの計数が行われる計数領域CAの外側に計数ステージ2が位置するため、計数領域CAには計数ステージ2が写らない状態となる。これにより、計数領域CA内に計数ステージ2上の異物が写り込むことを防いでいる。
【0045】
[第1実施形態の効果]
上記第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)計数ステージ2が計数領域CAの外側に位置することで、計数ステージ2上の異物がコロニーCとして誤認識されるなど、計数ステージ2上の異物によってコロニーCの正確な計数が妨げられることを防止できる。したがって、計数ステージ2上の異物の有無の確認作業や異物の除去作業をせずとも、正確にコロニーCの計数を行うことができる。また、計数領域CA内に貫通孔2Hの境界が写り込むことを防止できる。
【0046】
(1-2)貫通孔2Hの第1部分2H1の直径D1が、シャーレSにおいて計数ステージ2と接する面である蓋S2の外面S2Sの直径D2よりも小さいことで、第1部分2H1からシャーレSが脱落することを防止できる。
【0047】
(1-3)貫通孔2Hが第2部分2H2を備えることで、シャーレSを上下に挟み込んだ状態で搬送する搬送部20を用いて計数ステージ2にシャーレSを載置する場合であっても、計数ステージ2と搬送部20とが干渉することを防止できる。
【0048】
(1-4)貫通孔2Hにおいて、第1部分2H1と第2部分2H2とが第1部分2H1の直径D1よりも狭い幅Wで接続されることで、第1部分2H1と第2部分2H2との接続部分からシャーレSが脱落することを防止できる。
【0049】
(1-5)第1部分2H1の直径D1がD2>D1≧D3を満たし、かつ、直径D1を30mm以上150mm以下の範囲内とすることで、微生物の培養に用いられるシャーレSを計数ステージ2上に好適に載置でき、また、コロニーCを好適に計数できる。
【0050】
[第1実施形態の変更例]
なお、上記第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0051】
・第1部分2H1の直径D1は、シャーレSにおいて計数ステージ2と接する面である蓋S2の外面S2Sの直径D2よりも小さく、かつ、計数領域CAが第1部分2H1の内側に位置する大きさであればよい。したがって、第1部分2H1の直径D1は、30mm未満でもよいし、150mm超でもよい。
【0052】
・貫通孔2Hにおいて、第1部分2H1と第2部分2H2とが第1部分2H1の直径D1よりも狭い幅Wで接続される構成を例示した。これに限定されず、例えば、第1部分2H1と第2部分2H2とが直径D1と同じ幅W(W=D1)で接続されてもよい。また、第2部分2H2が一定の幅Wを有する構成を例示したが、これに代えて、第2部分2H2は、第1部分2H1と接続される部分で幅Wを有するとともに、計数ステージ2の縁部2Eに近づくにつれて幅が大きくなるような台形状を有してもよい。また、第2部分2H2の形状は、上記の例に限定されず、例えば、搬送部20が備える把持部21の形状に応じて適宜決定されてもよい。
【0053】
・貫通孔2Hは、少なくとも計数領域CAを囲む第1部分2H1を備えていればよく、第2部分2H2が省略されてもよい。この場合、把持部21がシャーレSの側壁(例えば蓋S2の側壁)を保持する構成とすれば、計数ステージ2と搬送部20との干渉を避けつつ計数ステージ2にシャーレSを載置できる。また、作業者が計数ステージ2にシャーレSを載置してもよい。
【0054】
・貫通孔2Hの第1部分2H1は、シャーレSを第1部分2H1と重なるように載置したときに、シャーレSを安定して支持でき、かつ、計数領域CAが第1部分2H1の内側に位置する形状であればよい。第1部分2H1の形状は、円形状に限定されず、例えば多角形状でもよいし、不定形状でもよい。
【0055】
・案内部6は、上述の構成に限定されず、シャーレSを計数ステージ2の載置面2S上の適切な位置に案内できる構成であればよい。また、例えば、搬送部20によってシャーレSを載置面2S上の適切な位置に案内できるのであれば、案内部6を省略してもよい。
【0056】
・計数ステージ2の下方に照明部4を配置する構成に代えて、もしくは、当該構成に加えて、計数ステージ2の側方や上方に照明部4を配置してもよい。
・シャーレSの蓋S2が下方に位置する状態で計数ステージ2に載置される構成、すなわち、蓋S2の外面S2Sが計数ステージ2と接する構成を例示した。これに限定されず、シャーレSの下皿S1が下方に位置する状態で計数ステージ2に載置されてもよい。この場合、シャーレSにおいて計数ステージ2と接する面は、下皿S1の収容面S1Sと反対の外面である。したがって、この場合の第1部分2H1の直径D1は、下皿S1の収容面S1Sと反対の外面の直径よりも小さければよい。なお、この場合、蓋S2が外されていてもよい。
【0057】
[第2実施形態のコロニー計数システム]
コロニー計数システムの第2実施形態について図6及び図7を参照して説明する。
図6に示すように、第2実施形態のコロニー計数システム31は、計数ステージ2を割愛し、かつ、複数の支持体32を備える。複数の支持体32は、シャーレSを支持する支持部の一例である。なお、第2実施形態のコロニー計数システム31は、計数ステージ2を割愛し、かつ複数の支持体32を備える点を除き、第1実施形態のコロニー計数システム1と同様の構成を備える。また、図6では、複数の支持体32とシャーレSとを図示するが、他の構成についての図示を省略している。
【0058】
各支持体32は、支持片33と、保持部34とを備える。支持片33は、一例として、上下方向に延びる円柱状を有するが、多角柱状等の任意の形状を採用できる。支持片33は、シャーレSを支持する支持面33Sを備える。保持部34は、一例として、支持面33Sから上方に向かって突き出る突起である。
【0059】
複数の支持体32は、各支持体32の支持面33SにシャーレSの縁が載置されるように、シャーレSの外径に応じて互いに離間して配置される。複数の支持体32には、シャーレSの蓋S2が下方に位置する状態、すなわち蓋S2の外面S2Sが支持面33Sと接する状態でシャーレSが載置されている。
【0060】
保持部34は、複数の支持体32に支持されたシャーレSの外周面(例えば、蓋S2が備える側壁)に当接する、もしくは、シャーレSの外周面からわずかに離間して配置される。保持部34は、複数の支持体32の支持面33Sに支持されたシャーレSの支持面33S上での水平方向の移動を規制する。これにより、保持部34は、シャーレSが各支持体32の支持面33Sから脱落しないようにシャーレSを保持する。
【0061】
図7は、シャーレSが載置された複数の支持体32を上方から見た上面図である。なお、図7では、図示の便宜上、シャーレSの下皿S1及び蓋S2の外形線を太線で示す。7また、シャーレSに形成されたコロニーCにドットを付して示す。
【0062】
図7に示すように、複数の支持体32は、各支持体32の支持面33Sと、シャーレSの縁とが上面視で重なるように、互いに離間して配置される。各支持体32の保持部34は、上面視で複数の支持体32に支持されたシャーレSよりも外側に位置する。
【0063】
なお、隣り合う2つの支持体32同士の間隔について、複数の支持体32は、少なくとも1か所以上の間隔が、搬送部20の把持部21が通過可能な大きさで配置されることが好ましい。この場合、シャーレSを複数の支持体32に載置する際に、第1実施形態と同様に搬送部20を用いることができる。
【0064】
[第2実施形態の画像]
以下、第2実施形態において、撮像部3が生成する画像データについて、図7を参照して説明する。
【0065】
図7に示すように、第2実施形態のコロニー計数システム31においても第1実施形態と同様に、撮像部3は、複数の支持体32に支持されたシャーレSの上方からシャーレSに形成されたコロニーCを撮像する。以下では、図7に示す状態のように、コロニーCを上方から撮像した画像を撮像部3が撮像した画像であるものとして説明する。なお、撮像部3が撮像するコロニーCの画像は、少なくともシャーレSに形成されたコロニーCの全数が識別可能な状態で含まれればよく、シャーレSの全体が含まれなくてもよく、複数の支持体32の全体が含まれなくてもよい。
【0066】
第2実施形態のコロニー計数システム31においても第1実施形態と同様に、計数部11Aは、撮像部3が撮像した画像において、シャーレSの外形よりも内側に位置する計数領域CAに含まれるコロニーCを計数する。計数領域CAは、一例として、図7中に二点鎖線で示す円形の領域である。例えば、計数領域CAの円形状の中心は、シャーレSの円形状の中心と一致する。
【0067】
撮像部3が撮像した画像において、複数の支持体32は、計数領域CAの外側に位置する。撮像部3が撮像した画像の計数領域CAでは、支持体32とシャーレSとが重なっていない。したがって、撮像部3が撮像した画像の計数領域CA内では、支持体32が写り込まない。このため、支持体32の支持面33S上の異物が計数領域CA内に写り込むことが防止される。
【0068】
第2実施形態において、撮像部3が撮像した画像における計数領域CAの大きさは、シャーレSに形成されたコロニーCの全数が含まれる大きさである。例えば、計数領域CAの大きさは、複数の支持体32の大きさ、シャーレSの大きさ、及び、シャーレSにおける培地Mの広がり具合に応じて予め定められていてもよい。計数領域CAの大きさは、撮像部3が撮像した画像から複数の支持体32の外形を抽出するとともに、抽出した複数の支持体32の外形に外接する任意の形状(例えば円形状)を計数領域CAとして設定してもよい。
【0069】
[第2実施形態の作用]
計数領域CAの外側にシャーレSを支持する支持体32を配置することで、計数領域CAでは支持体32が写らない。これにより、計数領域CA内において支持体32上の異物が写り込むことを防止できる。
【0070】
[第2実施形態の効果]
上記第2実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(2-1)計数領域CAの外側にシャーレSを支持する支持部の一例である複数の支持体32を配置することで、計数領域CAでは支持体32が写らない状態となるため、計数領域CA内に支持体32上の異物が写り込むことを防止できる。結果として、支持体32上の異物がコロニーCとして誤認識されるなど、支持体32上の異物によってコロニーCの正確な計数が妨げられることを防止できる。したがって、支持体32上の異物の有無の確認作業や異物の除去作業をせずとも、正確にコロニーCの計数を行うことができる。
【0071】
(2-2)支持体32が保持部34を備えることで、複数の支持体32に支持されたシャーレSが、支持体32から脱落することを防止できる。
(2-3)搬送部20の把持部21が通過可能な間隔で複数の支持体32を配置することで、搬送部20を用いて複数の支持体32にシャーレSを載置する場合であっても、複数の支持体32と搬送部20とが干渉することを防止できる。
【0072】
[第2実施形態の変更例]
なお、上記第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0073】
・保持部34の形態は、支持面33Sから突き出る突起に限定されず、例えば、支持面33Sの摩擦力を高めるゴムシートなどでもよい。複数の支持体32の一部にのみ保持部34が設けられてもよいし、複数の支持体32の何れにも保持部34が設けられなくてもよい。
【0074】
・シャーレSは、シャーレSの下皿S1が下方に位置する状態で計数ステージ2に載置されてもよい。この場合、蓋S2が外されていてもよい。
図6及び図7では、3つの支持体32によってシャーレSを支持する構成を例示したが、複数の支持部によって支持体32の数は2つでもよいし、4つ以上でもよい。支持体32の支持面33SによってシャーレSを安定して支持できればよい。
【0075】
[第1実施形態及び第2実施形態の変更例]
上記第1実施形態及び第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、以下に示す各変更例や上述した各実施形態の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0076】
・計数領域CAの形状は、円形状に限定されず、例えば多角形状でもよいし、不定形状でもよい。
・コロニー計数システム1は、JIS Z 2801:2012に規定される抗菌性試験方法以外にも、シャーレSに形成されたコロニーCを計数する他の試験や評価においても適用可能である。
【0077】
[実施例]
以下、図8図11を参照して、実施例、参考例、及び、比較例について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例である。
【0078】
[実施例1]
実施例1では、第1実施形態のように、計数ステージ2を備えるコロニー計数システム1を用いてシャーレSに形成されたコロニーCの計数を行った。実施例1では、計数ステージ2として、第1部分2H1と第2部分2H2とを備えるものを使用した。実施例1では、菌の希釈倍率が10倍の検体を寒天培地に混合させた状態で培養を行うことでシャーレSにコロニーCを形成させた。実施例1では、試料数n=3とした。
【0079】
培養後には、搬送部20を用いてシャーレSを培養器から計数ステージ2に搬送した。搬送部20には、ロボットアーム(Universal Robots社製、製品名:UR10e)と、ロボットハンド(Robotiq社製、製品名:Hand-E)と、ロボットフィンガーとを組み合わせた装置を用いた。実施例1では、搬送部20によってシャーレSの下皿S1と蓋S2とを上下に挟持した状態で、案内部6を用いてシャーレSの中心が貫通孔2Hの第1部分2H1の中心と重なるように、シャーレSを計数ステージ2に載置した。
【0080】
[実施例2]
実施例2では、菌の希釈倍率が100倍の検体を用いた点を除き、実施例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0081】
[実施例3]
実施例3では、菌の希釈倍率が1000倍の検体を用いた点を除き、実施例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0082】
[参考例1]
図8に示すように、参考例1では、貫通孔2Hが設けられていない板状のステージ42を備えるコロニー計数システム41を用いてシャーレSに形成されたコロニーCの計数を行った。参考例1では、シャーレSをステージ42に載置する前に予めステージ42上の異物を除去したうえで、シャーレSをステージ42に載置した。参考例1では、実施例1同様の条件(菌の希釈倍率:10倍)で培養を行うことでシャーレSにコロニーCを形成させた。培養後には、作業者がシャーレSを培養器からステージ42に搬送した。参考例1では、試料数n=3とした。
【0083】
[参考例2]
参考例2では、菌の希釈倍率が100倍の検体を用いた点を除き、参考例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0084】
[参考例3]
参考例3では、菌の希釈倍率が1000倍の検体を用いた点を除き、参考例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0085】
[比較例1]
比較例1では、シャーレSをステージ42に載置する前に予めステージ42上に意図的に異物を付着させた状態としたうえでシャーレSをステージ42に載置した点を除き、参考例1と同様にコロニーCの計数を行った。ステージ42上に付着させた異物の直径(メジアン径D50)は、0.5mm以上1.0mm以下とした。ステージ42上には、計数領域CAに数十個の異物が付着するように異物を付着させた。
【0086】
[比較例2]
比較例2では、菌の希釈倍率が100倍の検体を用いた点を除き、比較例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0087】
[比較例3]
比較例3では、菌の希釈倍率が1000倍の検体を用いた点を除き、比較例1と同様にコロニーCの計数を行った。
【0088】
[評価]
菌の希釈倍率が10倍の検体を培養した際のコロニーCを計数した実施例1、参考例1、比較例1の結果を図9に示す。菌の希釈倍率が100倍の検体を培養した際のコロニーCを計数した実施例2、参考例2、比較例2の結果を図10に示す。菌の希釈倍率が1000倍の検体を培養した際のコロニーCを計数した実施例3、参考例3、比較例3の結果を図11に示す。なお、図9図11に示す計数結果は、試料数n=3での平均値を用いている。
【0089】
図9に示すように、実施例1および参考例1では、何れも計数結果が1930個程度であった。これに対して、比較例1では計数結果が1950個程度であることから、比較例1ではステージ42上に付着した異物がコロニーCとして誤検出されていた。
【0090】
図10に示すように、実施例2および参考例2では、何れも計数結果が250個程度であった。これに対して、比較例2では計数結果が270個程度であることから、比較例2ではステージ42上に付着した異物がコロニーCとして誤検出されていた。
【0091】
図11に示すように、実施例3および参考例3では、何れも計数結果が35個程度であった。これに対して、比較例3では計数結果が65個程度であることから、比較例3ではステージ42上に付着した異物がコロニーCとして誤検出されていた。
【0092】
以上より、貫通孔2Hを設けることで計数ステージ2上の異物の有無の確認作業や異物の除去作業をせずとも、コロニーCの正確な計数ができることが確認された。また、貫通孔2Hが第2部分2H2を備えることで、計数ステージ2と搬送部20との干渉を防止できることが確認された。
【符号の説明】
【0093】
C…コロニー
CA…計数領域
D1,D2,D3…直径
S…シャーレ
W…幅
1,31,41…コロニー計数システム
2…計数ステージ
2E…縁部
2H…貫通孔
2H1…第1部分
2H2…第2部分
3…撮像部
10…制御装置
11A…計数部
20…搬送部
32…支持体
33S…支持面
34…保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11