(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164367
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】接合修復方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241120BHJP
B23K 26/57 20140101ALI20241120BHJP
H01L 21/268 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L21/02 B
B23K26/57
H01L21/268 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079786
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108753
【氏名又は名称】タツモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十川 良則
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AE05
4E168CB07
4E168CB11
(57)【要約】
【課題】半導体ウェハなどの接合対象どうしを接合する接合プロセスにおいて未接合部が生じ得る場合であっても、当該接合対象の間に良好な接合状態を形成することを可能にする技術を提供する。
【解決手段】接合修復方法は、2つの接合対象を、それらの対向面内に設定された接合目標部にて接合する接合プロセスにおいて、当該接合目標部の少なくとも一部に未接合部が生じた場合に、その未接合部へのレーザ光の照射によって当該未接合部での接合状態を修復する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの接合対象を、それらの対向面内に設定された接合目標部にて接合する接合プロセスにおいて、当該接合目標部の少なくとも一部に未接合部が生じた場合に、その未接合部へのレーザ光の照射によって当該未接合部での接合状態を修復する、接合修復方法。
【請求項2】
前記2つの接合対象を、それらの背面側から第1支持部及び第2支持部で挟み込んで支持し、このとき前記第1支持部として、レーザ光を通過させるための窓から前記未接合部の少なくとも一部を覗かせることが可能な支持部、を用いる支持ステップと、
前記支持ステップの後、前記窓を通じて前記未接合部にレーザ光を照射することにより、当該未接合部での接合状態を修復する修復ステップと、
を含む、請求項1に記載の接合修復方法。
【請求項3】
前記未接合部が前記2つの接合対象の周縁部に生じる場合、前記第1支持部として、前記背面のうちの前記周縁部より内側の中央領域に接触する本体部と、前記背面のうちの外周縁に沿った環状領域に接触する環状部と、当該環状部を前記本体部に連結する梁部と、を含み、これらで囲まれた領域が前記窓になっている支持部を用いる、請求項2に記載の接合修復方法。
【請求項4】
前記修復ステップの実行後、前記2つの接合対象を前記第1支持部に対して相対的に周方向へ回転させることにより、前記未接合部のうちの前記梁部で隠れていた部分を前記窓から覗かせた後、その部分に対して前記修復ステップを再び実行する、請求項3に記載の接合修復方法。
【請求項5】
前記2つの接合対象のうちの一方の接合対象の背面に、圧力伝達媒体である気体又は液体を直接接触させた状態で圧力を加えると共に、その圧力を、他方の接合対象の背面側で支持部によって受け止めることにより、前記2つの接合対象を挟圧する加圧ステップと、
前記加圧ステップによって前記2つの接合対象を挟圧しつつ、前記一方の接合対象の背面側から前記未接合部にレーザ光を照射することにより、当該未接合部での接合状態を修復する修復ステップと、
を含む、請求項1に記載の接合修復方法。
【請求項6】
前記加圧ステップは、前記接合プロセスにも用いられ、
前記未接合部の修復時に実行する前記加圧ステップでは、前記一方の接合対象の背面に、修復前に実行した前記加圧ステップで加えた圧力よりも大きい圧力を、圧力伝達媒体である気体又は液体によって加える、請求項5に記載の接合修復方法。
【請求項7】
前記接合プロセス後における前記接合目標部での接合状態を検査することにより、当該接合目標部に生じた前記未接合部を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定した前記未接合部にレーザ光を照射することにより、当該未接合部での接合状態を修復する修復ステップと、
を含む、請求項1~6の何れかに記載の接合修復方法。
【請求項8】
前記特定ステップでは、前記未接合部を特定すると共に、その未接合部の発生原因が介在物である場合には当該介在物の位置を特定し、
前記修復ステップでは、前記特定ステップで特定した前記介在物の位置を避けてレーザ光を照射することにより、前記未接合部での接合状態を修復する、請求項7に記載の接合修復方法。
【請求項9】
前記接合プロセス後における前記接合目標部での接合状態を検査することにより、当該接合目標部に生じた前記未接合部を特定すると共に、その未接合部の発生原因が介在物である場合には当該介在物の位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定した前記位置にある介在物にレーザ光を照射することにより、当該介在物を変形又は昇華させる前処理ステップと、
前記前処理ステップの後、前記特定ステップで特定した前記未接合部にレーザ光を照射することにより、当該未接合部での接合状態を修復する修復ステップと、
を含む、請求項1~6の何れかに記載の接合修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いた接合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造技術として、2つの半導体ウェハを接合するプロセス(以下、「接合プロセス」と称す)を備えたものが存在する。例えば特許文献1には、2つの半導体ウェハを重ね合わせた状態で、一方の背面側から気体又は液体で圧力を加えると共に他方の背面側で受圧することによって当該2つの半導体ウェハを挟圧し、その状態でそれらの対向面にレーザ光を照射して半導体ウェハどうしを接合する、といった技術が記載されている。
【0003】
近年、このような接合プロセスは、半導体デバイスの製造技術において、センサ(加速度センサやジャイロセンサ等)や微小機械(アクチュエータ等)などをデバイス内に封止する場合や、チップが積層された3次元構造の半導体デバイスを製造する場合に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記の接合プロセスにおいては、特許文献1に記載されているように、半導体ウェハを重ね合わせた状態で挟圧する際に、当該半導体ウェハを保持しておくための保持部が必要になることがある。その場合、半導体ウェハのうちの保持部で保持された部分には、その部分での接合が必要な場合でもレーザ光を照射することができず、当該部分が未接合部になってしまう。そのような未接合部が生じると、その部分が無駄になるといった問題や、その後の工程(切断プロセスなど)において加工や装置に悪影響(半導体ウェハのバタツキや剥がれなどによる悪影響)を及ぼすといった問題が生じ得る。
【0006】
また、保持部で保持された部分に何らかの方法でレーザ光を照射できたとしても、その前の工程(半導体ウェハを挟圧する工程)において、保持部で保持された部分には適切な圧力を加えることができず、結果的にその部分が接合不良になって未接合部になってしまうといった問題が生じ得る。この問題は、半導体ウェハを挟圧した状態で全体を加熱して接合する場合にも同様に生じ得る。具体的には、上記のような保持部が必要である場合には、当該保持部で保持される部分では、その部分での接合が必要な場合でも挟圧に必要な圧力が不足することにより、同様の問題が生じ得る。
【0007】
そこで本発明の目的は、半導体ウェハなどの接合対象どうしを接合する接合プロセスにおいて未接合部が生じ得る場合であっても、当該接合対象の間に良好な接合状態を形成することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る接合修復方法は、2つの接合対象を、それらの対向面内に設定された接合目標部にて接合する接合プロセスにおいて、当該接合目標部の少なくとも一部に未接合部が生じた場合に、その未接合部へのレーザ光の照射によって当該未接合部での接合状態を修復する。
【0009】
上記接合修復方法によれば、レーザ光を用いることによって加熱箇所を未接合部に限定することができ、その結果として、未接合部の接合状態を修復しつつ、当該未接合部以外の部分に熱や光による悪影響が及ぶことを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接合プロセスにおいて未接合部が生じ得る場合であっても、当該接合対象の間に良好な接合状態を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)接合プロセスで接合される2つの接合対象の一例を概念的に示した断面図、及び(B)当該2つの接合対象のうちの一方の接合対象を除いて示した平面図である。
【
図2】接合プロセスに用いられる接合装置の一例を示した概念図であり、(A)第2ステージを上昇させた状態、及び(B)第2ステージを降下させた状態をそれぞれ示す。
【
図3】接合目標部に未接合部が生じた状態を示した概念図である。
【
図4】(A)実施形態に係る接合修復方法に用いられる接合修復装置の一例を示した概念図、(B)実施形態で用いられる第1支持部の一例を示した平面図である。
【
図5】(A)接合修復装置が備える支持機構への接合対象の配置状態、及び(B)接合対象を周方向へ回転させたときの当該接合対象の配置状態、をそれぞれ概念的に示した平面図である。
【
図6】介在物を避けるために接合目標部として再設定された(A)迂回部及び(B)線状部をそれぞれ示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1]接合プロセス
[1-1]接合対象
図1(A)及び
図1(B)は、接合プロセスで接合される2つの接合対象101及び102の一例を概念的に示した断面図及び平面図である。接合対象101及び102は、半導体ウェハなどの基板で構成された基材である。尚、
図1(A)は、
図1(B)に示されたIA-IA線での断面図である。また、
図1(B)は、2つの接合対象101及び102のうちの一方の接合対象102を除いて示した平面である。
【0013】
図1(A)及び
図1(B)の例では、接合対象101は、切断線Ctでの切断によって個片化されるデバイス領域Rdを複数含んでいる。各デバイス領域Rdは、個片化されることでデバイスのベース部になる。また、各デバイス領域Rdには、デバイス内のキャビティを構成するための窪み103が設けられている。ここで、キャビティは、デバイスの機能を担う要素104を封止するための密閉空間である。要素104は、センサ(加速度センサやジャイロセンサ等)、微小機械(アクチュエータ等)、電子回路などである。
【0014】
接合対象102は、接合対象101において各デバイス領域Rdの窪み103内に要素104が設置された後に、全ての窪み103を塞いだ状態で接合対象101に接合される。これにより、各デバイス領域Rdにおいてキャビティが形成されると共に、そのキャビティ内に要素104が封止されることになる。また、接合対象102は、切断線Ctでの接合対象101の切断によって当該接合対象101と共に個片化されることでデバイスの蓋部になる。
【0015】
そして、このときの接合対象101及び102の接合は、
図1(A)に示されるように、それらの対向面101a及び102a内に設定された接合目標部Ptにて行われる。
図1(B)の例では、各デバイス領域Rdにて窪み103の周りを全周に亘って接合するべく、接合目標部Ptとして、窪み103の周りを切断線Ctに沿って接合するための四角形状の線状部Pt1が設定されている。この線状部Pt1での接合は、切断線Ctでの切断による個片化後であっても、その個片化で得られる各デバイスにてキャビティを密閉空間として維持するために必要な接合である。
【0016】
更に、
図1(B)の例では、接合目標部Ptとして、接合対象101及び102の周縁部Reにも、接合対象101及び102を全周に亘って接合するための環状の線状部Pt2が設定されている。この線状部Pt2での接合は、切断プロセス(切断線Ctでの切断)にて生じ得る接合対象101及び102の周縁部Reでのバタツキを抑止するために必要な接合である。
【0017】
そして、接合プロセスでは、上記のようなパターン形状を持った接合目標部Ptにて2つの接合対象101及び102を接合するべく、当該接合目標部Ptへのレーザ光の照射が実行される。具体的には、以下で説明するような接合装置を用いて、接合プロセスが実行される。
【0018】
尚、接合対象101及び102の形状、並びに接合目標部Ptのパターン形状は、上述したものに限らず、製造するデバイスの形状やサイズ、接合する位置、線、領域などに応じて、適宜変更することができる。また、接合対象101及び102の接合は、接合目標部Ptへのレーザ光の照射によって実行されるものに限らず、接合対象101及び102に対する加圧領域を接合目標部Ptとして、当該接合対象101及び102全体を加熱することによって実行されるものに適宜変更されてもよい。
【0019】
[1-2]接合装置
図2(A)は、接合プロセスに用いられる接合装置の一例を示した概念図である。
図2(A)の例では、接合装置は、チャンバ機構1と、シール機構2と、加圧機構3と、レーザ光源4と、制御部5と、を備える。以下、各部の構成について具体的に説明する。
【0020】
<チャンバ機構1>
チャンバ機構1は、第1チャンバ構成部11と、第2チャンバ構成部12と、これらの少なくとも何れか一方を駆動する駆動部13と、を有する。
【0021】
第1チャンバ構成部11及び第2チャンバ構成部12は、接合プロセスを行うための密閉空間(以下、「チャンバ10」と称す)を構成する部分であり、鉛直方向において相対的に近接離間することでチャンバ10の形成と開放とを選択的に実現できるように構成されている。より具体的には、以下のとおりである。
【0022】
第1チャンバ構成部11は、第1円筒部111と、当該第1円筒部111の内側に隙間なく支持された第1ステージ112と、で構成されている。そして、第1円筒部111は、その中心軸方向の向きを鉛直方向の向きに一致させた状態で配置されており、第1ステージ112は、第1円筒部111によって水平に支持されている。ここで、第1ステージ112は、レーザ光に対する透過性を持ったステージであり、例えば石英で形成されたものである。
【0023】
第2チャンバ構成部12は、第1円筒部111の上方にて当該第1円筒部111と同軸に配された第2円筒部121と、当該第2円筒部121の内側に隙間なく且つ上下動可能に支持された第2ステージ122と、当該第2ステージ122を上下動させる駆動部123と、で構成されている。そして、第1円筒部111の上端と第2円筒部121の下端とが隙間なく接触することで、
図2(A)及び
図2(B)に示されるように第1ステージ112と第2ステージ122との間にチャンバ10が形成される。尚、
図2(A)では、第2ステージ122を上昇させた状態が示され、
図2(B)では、第2ステージ122を降下させた状態が示されている。
【0024】
そして、
図2(B)に示されるように、第2ステージ122を降下させて接合対象102の背面102bに面接触させることにより、後述する加圧機構3によって接合対象101の背面101bに第1ステージ112側(
図2(B)の例では下側)から圧力が加えられたときに、その圧力を、接合対象102の背面102b側(
図2(B)の例では上側)で受け止めることができる。このように、この接合装置では、第2ステージ122を、接合対象102の背面102b側で圧力を受け止める支持部として機能させることができる。
【0025】
駆動部13は、第1チャンバ構成部11及び第2チャンバ構成部12の少なくとも何れか一方を鉛直方向において移動させることにより、それらの構成部を相対的に近接離間させる部分である。
【0026】
<シール機構2>
シール機構2は、チャンバ10内の空間を複数の領域(以下、「チャンバ領域」と称す)に仕切ると共に隣接するチャンバ領域間をシールする機構である(
図2(B)参照)。具体的には、シール機構2は、チャンバ10内の空間を、接合対象101の背面101bと対向する第1チャンバ領域R1と、当該第1チャンバ領域R1に隣接する第2チャンバ領域R2とに仕切ると共に、これらのチャンバ領域間をシールする。より具体的には、以下のとおりである。
【0027】
シール機構2は、鍔部21と、保持部22と、で構成されている。ここで、鍔部21は、第1円筒部111の内面のうちの第1ステージ112よりも上側の位置(即ち、第2円筒部121に近い位置)から第1円筒部111の中心軸の方へ向けて突出した環状の部分であり、チャンバ10内に接合対象101及び102が配置されたときに当該接合対象101及び102の周縁部Reと対向できる位置まで延びている。そして、保持部22は、環状を呈したシール部材(Oリングなど)で構成されており、チャンバ10内に接合対象101及び102が配置されたときに当該接合対象101及び102の周縁部Reを全周に亘って支持できるように、鍔部21の先端部の上面に設置されている。
【0028】
このようなシール機構2によれば、第2ステージ122が降下して接合対象102の背面102bに接触したときに、接合対象101及び102の周縁部Reが、全周に亘って、第2ステージ122と保持部22との間に挟まれることになる。その結果として、
図2(B)に示されるように、チャンバ10内の空間が第1チャンバ領域R1と第2チャンバ領域R2とに仕切られると共に、それらのチャンバ領域間がシールされることになる。
【0029】
<加圧機構3>
加圧機構3は、第1チャンバ領域R1の内圧を高めることにより、接合対象101の背面101bに圧力を加える機構である。具体的には、加圧機構3は、圧力伝達媒体30として気体又は液体を用いた機構であり、その圧力伝達媒体30を接合対象101の背面101bに接触させた状態で当該背面101bに圧力を加える。より具体的には、以下のとおりである。
【0030】
加圧機構3は、シール機構2でチャンバ10内を仕切ることによって形成されたチャンバ領域ごとに内圧を調整することが可能であり、各チャンバ領域内を減圧することができ、更に第1チャンバ領域R1に対しては圧力伝達媒体30によって加圧することが可能である。第1チャンバ領域R1に対する加圧は、例えば圧縮ポンプによって第1チャンバ領域R1へ圧力伝達媒体30(気体又は液体)を供給することにより実現される。そして、加圧機構3は、第1チャンバ領域R1の内圧を第2チャンバ領域R2の内圧より高くすることにより、それらの差を利用して接合対象101の背面101bに圧力を加える。
【0031】
<レーザ光源4>
レーザ光源4は、レーザ光を発する部分であり、レーザ光に対する透過性を持った第1ステージ112の下方に配されている。また、レーザ光源4は、第1ステージ112を介して接合対象101及び102にレーザ光を照射しつつ、そのレーザ光を、接合目標部Ptのパターン形状に沿って水平面内で走査することが可能である。更に、レーザ光源4は、接合対象101と接合対象102との接合箇所(接合目標部Ptの位置)にレーザ光の焦点を合わせることができる。
【0032】
<制御部5>
制御部5は、CPUやマイクロコンピュータなどの処理装置で構成されており、接合装置が備える様々な動作部(チャンバ機構1、加圧機構3、レーザ光源4など)を制御する。具体的には、以下の流れに沿って制御部5が制御を行うことにより、接合プロセスが遂行される。
【0033】
制御部5は、先ず、第1チャンバ構成部11及び第2チャンバ構成部12を近接させて合体させることでチャンバ10を形成する(
図2(A)参照)。ここで、接合対象101及び102は、チャンバ10の形成前に保持部22上に配置される。
【0034】
次に、制御部5は、加圧機構3を制御することにより、チャンバ10内が真空状態となるまで当該チャンバ10全体の内圧を低下させる。このとき、接合対象101及び102の周縁部Reは、第2ステージ122と保持部22との間に挟まれる前であるため、シールから開放された状態にある。このため、接合対象101及び102の間に存在する気体を、当該接合対象101及び102の間を通して外部(チャンバ10内)へ流し出すことができる。従って、接合対象101及び102の間の内圧をも低下させることができる。
【0035】
その後、制御部5は、第2ステージ122を降下させて接合対象102の背面102bに接触させることにより、当該第2ステージ122と保持部22との間に、接合対象101及び102の周縁部Reを全周に亘って挟み込む(
図2(B)参照)。これにより、第1チャンバ領域R1と第2チャンバ領域R2とが形成されると共に、それらの間がシールされる。
【0036】
この状態で、制御部5は、加圧機構3を制御することにより、第2チャンバ領域R2を真空状態に保ったまま、第1チャンバ領域R1の内圧を上昇させる。これにより、第1チャンバ領域R1の内圧が第2チャンバ領域R2の内圧より高くなり、それらの差に応じた圧力が接合対象101の背面101bに加わる。これにより、接合対象101及び102が、圧力伝達媒体30と第2ステージ122とによって挟圧されることになる(加圧ステップ)。このとき、第1チャンバ領域R1の内圧を変化させることで、接合対象101の背面101bに加える圧力を所望の値へ変化させることができる。尚、第1チャンバ領域R1の内圧は、第2チャンバ領域R2の内圧より高い値であれば、大気圧より低い値に設定されてもよいし、大気圧と同程度の値に設定されてもよいし、大気圧より高い値に設定されてもよい。
【0037】
加圧機構3による接合対象101の背面101bへの加圧の後、制御部5は、その状態を維持しつつ、レーザ光源4を制御することにより、接合対象101及び102の接合目標部Ptにレーザ光を照射する。このとき、制御部5は、接合目標部Ptのパターン形状に沿ってレーザ光を水平面内で走査する。このようにして、2つの接合対象101及び102を接合する接合プロセスが、接合装置によって実行される。
【0038】
尚、上述した接合装置は、パターン形状を持った接合目標部Ptにレーザ光を照射して接合対象101及び102を接合するものに限らず、接合対象101及び102に対する加圧領域を接合目標部Ptとして、当該接合対象101及び102全体を加熱することによって接合対象101及び102を接合するものに適宜変更されてもよい。
【0039】
[1-3]未接合部の発生
上述した接合装置では、接合プロセスの実行時に、接合対象101及び102の周縁部Reが、全周に亘って、第2ステージ122と保持部22との間に挟まれることになる(
図1(B)、
図2(B)参照)。このため、
図3に示されるように、接合目標部Ptへのレーザ光の照射時には、保持部22を含むシール機構2の存在により、当該接合目標部Ptのうちの周縁部Reに設定されている部分(環状の線状部Pt2)にレーザ光を照射できず、その結果として、その部分が未接合部Puになってしまう。そのような未接合部Puが生じると、切断プロセス(切断線Ctでの切断)にて生じ得る接合対象101及び102の周縁部Reでのバタツキを抑止できなくなってしまう。
【0040】
また、上述した接合装置を用いて接合プロセスを実行する場合に限らず、2つの接合対象101及び102を重ね合わせた状態で挟圧する際に、当該接合対象101及び102を保持しておくための保持部が必要になる場合には、当該保持部(及びそれを含む機構)によって接合目標部Ptの一部が隠れてしまうことがある。その場合、接合目標部Ptのうちの保持部で隠れたしまった部分にはレーザ光を照射することができず、その部分が未接合部Puになってしまう。そのような未接合部Puが生じると、上記のバタツキの問題に限らず、未接合部Puが生じた部分が無駄になるといった問題や、その後の工程において加工や装置に悪影響(剥がれなど)を及ぼすといった問題が生じ得る。
【0041】
更に、接合目標部Ptのうちの保持部(及びそれを含む機構)で隠れてしまった部分に何らかの方法でレーザ光を照射できたとしても、その前の工程(接合対象101及び102を挟圧する工程)において、保持部で保持された部分には適切な圧力を加えることができず、結果的にはその部分が接合不良になって未接合部Puになってしまうといった問題が生じ得る。この問題は、接合対象101及び102を挟圧した状態で全体を加熱して接合する場合にも、上記のような保持部が必要である場合には、当該保持部で保持される部分において挟圧に必要な圧力が不足することになるため、同様に生じ得る。
【0042】
そこで、このように接合プロセスにて未接合部Puが生じ得る場合であっても、接合対象101及び102の間に良好な接合状態を形成することを可能にするべく、本発明者は、未接合部Puへのレーザ光の照射によって当該未接合部Puでの接合状態を修復する接合修復方法を提案する。以下、接合修復方法について具体的に説明する。
【0043】
尚、未接合部Puの発生理由として、上述した理由の他に、2つの接合対象101及び102の間に異物が挟まってしまい、その異物によって接合対象101及び102の密着が妨げられているといった理由や、一時的なレーザ光源4の出力不足により、接合に必要なレーザ光のパワーが不足したといった理由も考えられる。これらの理由で生じた未接合部Puの接合状態を修復する接合修復方法については、後述の第2変形例にて説明する。
【0044】
[2]接合修復方法
実施形態に係る接合修復方法は、以下のような接合修復装置を用いて実行できる。
【0045】
図4(A)は、接合修復装置の一例を示した概念図である。接合修復装置は、支持機構6と、レーザ光源7と、制御部8と、を備える。
【0046】
支持機構6は、第1支持部61、第2支持部62、を含んだ機構であり、上述した接合ステップの実行後の接合対象101及び102を、それらの背面101b及び102b側から第1支持部61及び第2支持部62で挟み込んで支持する。支持機構6は、第1支持部61及び第2支持部62によって接合対象101及び102を支持しつつ、更にそれらを挟圧する加圧機能を備えていてもよい。
【0047】
本実施形態では、第1支持部61が、接合対象101及び102に対してレーザ光の入射側(
図4(A)の例では接合対象101の背面101b側)に位置するように配置されている。そして、第1支持部61として、レーザ光源7からのレーザ光を通過させるための窓61wが開設された支持部が用いられている。具体的に、第1支持部61には、第2支持部62との間に接合対象101及び102を挟み込んだときに、窓61wから未接合部Puの少なくとも一部を覗かせることが可能となるように、当該窓61wが形成されている。
【0048】
図4(B)は、実施形態で用いられる第1支持部61の一例を示した平面図である。ここで
図4(B)には、第1支持部61として、
図1(B)に示された接合目標部Ptのうちの環状の線状部Pt2が未接合部Puになった場合(換言すれば、未接合部Puが2つの接合対象101及び102の周縁部Reに生じる場合)を対象として、その未接合部Puの接合状態の修復に使用できるものが示されている。
【0049】
具体的には、第1支持部61は、本体部611と、環状部612と、梁部613と、で構成されている。ここで、本体部611は、接合対象101の背面101bのうちの周縁部Reより内側の中央領域に接触する部分である(
図4(A)参照)。環状部612は、接合対象101の背面101bのうちの外周縁を含んだ環状領域であって周縁部Reよりも幅が狭い環状領域に接触する部分である(
図4(A)参照)。梁部613は、環状部612を本体部611に少なくとも1箇所で連結する部分である(
図4(B)参照)。そして、本体部611と、環状部612と、梁部613とで囲まれた領域が、第1支持部61の窓61wになっている。
図4(B)の例では、第1支持部61として、その中心点周りにおいて等間隔に配置された4つの梁部613により、環状部612が本体部611に4箇所で連結され、その結果として4つの窓61wが形成されているものが示されている。尚、第1支持部61の構成(窓61wの形状や数など)は、
図4(B)に示されたものに限らず、接合目標部Ptに生じる未接合部Puの形状などに応じたものへ適宜変更することができる。
【0050】
レーザ光源7は、レーザ光を発する部分であり、支持機構6で支持された接合対象101及び102へ向けて、第1支持部61の窓61wを通じてレーザ光を照射することが可能である。具体的には、レーザ光源7は、第1支持部61の窓61wを通じて、当該窓61wから覗く未接合部Puにレーザ光を照射することが可能である。また、レーザ光源7は、未接合部Puが持つパターン形状(ここでは、環状の線状部Pt2のパターン形状)に沿ってレーザ光を水平面内で走査することが可能である。更に、レーザ光源4は、接合対象101と接合対象102との接合箇所(未接合部Puの位置)にレーザ光の焦点を合わせることができる。
【0051】
制御部8は、CPUやマイクロコンピュータなどの処理装置で構成されており、接合修復装置が備える様々な動作部(支持機構6、レーザ光源7など)を制御する。具体的には、以下の流れに沿って制御部8が制御を行うことにより、接合修復方法が遂行される。
【0052】
制御部8は、先ず、支持機構6で接合対象101及び102を支持する(支持ステップ。
図4(A)参照)。このとき、接合対象101及び102は、
図5(A)に示されるように、第1支持部61の窓61wから未接合部Puの少なくとも一部が覗いた状態となるように配置される。このとき、制御部8は、支持機構6を制御することにより、第1支持部61及び第2支持部62によって接合対象101及び102を挟圧してもよい。
【0053】
その後、制御部8は、レーザ光源7を制御することにより、第1支持部61の窓61wを通じて、当該窓61wから覗く未接合部Puにレーザ光を照射する(修復ステップ)。このとき、制御部8は、当該未接合部Puが持つパターン形状(ここでは、環状の線状部Pt2のパターン形状)に沿ってレーザ光を水平面内で走査する。これにより、未接合部Puのうちの第1支持部61の窓61wから覗いた部分の接合状態が修復されることになる。このようにして、未接合部Puの接合状態を修復する接合修復方法が、接合修復装置によって実行される。
【0054】
このような接合修復方法によれば、レーザ光を用いることによって加熱箇所を未接合部Puに限定することができ、その結果として、未接合部Puの接合状態を修復しつつ、当該未接合部Pu以外の部分に熱や光による悪影響が及ぶことを防止することができる。
【0055】
また、第1支持部61によれば、窓61wから覗いた未接合部Puの周囲を、当該窓61wの縁(本体部611、環状部612、梁部613)によって支持することができるため、未接合部Puでの2つの接合対象101及び102の密着度を高めることができる。よって、窓61wから覗いた未接合部Puへのレーザ光の照射により、当該未接合部Puの接合状態を良好なものへ修復することが可能になる。
【0056】
[3]変形例
[3-1]第1変形例
上述した接合修復方法の修復ステップでは、未接合部Puのうちの第1支持部61の窓61wから覗いた部分にはレーザ光を照射できるが、その一方で、未接合部Puのうちの梁部613で隠れた部分にはレーザ光を照射することができず、その部分については接合状態を修復することができない(
図5(A)参照)。
【0057】
そこで修復ステップの実行後、
図5(B)に示されるように、未接合部Puのうちの梁部613で隠れていた部分が窓61wから覗いた状態となるように、接合対象101及び102を周方向へ回転させることによって接合対象101及び102が配置し直されてもよい。尚、
図5(B)では、未接合部Puのうちの修復済みの部分が太い実線で示されている。そして、未接合部Puのうちの梁部613で隠れていた部分に対して、上述した修復ステップが再び実行されてもよい。
【0058】
このような接合修復方法によれば、1回の修復ステップでは未接合部Puの全ての部分において接合状態を修復できない場合であっても、接合対象101及び102を配置し直して修復ステップを再び実行することにより、未接合部Puの全ての部分において接合状態を修復することが可能になる。また、そのような修復ステップの再実行は、未接合部Puの全ての部分において接合状態を修復できるまで、その都度、接合対象101及び102を配置し直して、繰り返すことができる。
【0059】
尚、本変形例の接合修復方法は、接合対象101及び102を周方向へ回転させて配置し直すことに代えて、接合修復装置の第1支持部61を周方向へ回転させることにより(換言すれば、接合対象101及び102を、第1支持部61に対して相対的に周方向へ回転させることにより)、未接合部Puのうちの梁部613で隠れていた部分を窓61wから覗かせることができるものへ適宜変更されてもよい。
【0060】
[3-2]第2変形例
上述したように、未接合部Puの発生理由として、2つの接合対象101及び102の間に異物が挟まってしまい、その異物によって接合対象101及び102の密着が妨げられているといった理由や、一時的なレーザ光源4の出力不足により、接合に必要なレーザ光のパワーが不足したといった理由も考えられる。一方、これらの理由で発生し得る未接合部Puについては、上述した実施形態の場合(即ち、接合目標部Ptのうちの保持部で保持された部分が未接合部Puになることが明らかな場合)とは異なり、接合プロセスの完了時点では、実際に未接合部Puが発生しているのかどうかが不明であり、しかも、未接合部Puが発生していたとしても当該未接合部Puがどの位置に発生しているのかが不明である。
【0061】
そこで、これらの理由で未接合部Puが生じ得る場合であっても、接合対象101及び102の間に良好な接合状態を形成することを可能にするべく、本発明者は、以下のような接合修復方法を更に提案する。
【0062】
先ず、接合プロセス後における接合目標部Ptでの接合状態を検査することにより、当該接合目標部Ptに生じた未接合部Puを特定する(特定ステップ)。次に、特定ステップで特定した未接合部Puにレーザ光を照射することにより、当該未接合部Puでの接合状態を修復する(修復ステップ)。
【0063】
具体例として、
図2(A)に示された接合装置を用いて接合プロセスを行った場合において、圧力伝達媒体30による加圧が可能な領域(レーザ光の照射が可能な領域。換言すれば、保持部22を含むシール機構2の存在によってレーザ光の照射が妨げられた部分以外の領域)に未接合部Puが生じた場合について考える。
【0064】
先ず、未接合部Puの発生原因がレーザ光のパワー不足であった場合を考える。この場合、特定ステップで未接合部Puを特定した後、接合プロセスで使用した接合装置(
図2(A)参照)を再び用いて接合対象101及び102を挟圧し(加圧ステップ)、それから修復ステップにおいて、レーザ光のパワー不足を解消した状態で未接合部Puにレーザ光を照射することにより、当該未接合部Puの接合状態を修復することができる。
【0065】
次に、未接合部Puの発生原因が接合対象101及び102の間に挟まった異物(介在物)である場合を考える。この場合、接合プロセスの実行後における接合対象101及び102においては、その介在物の位置を頂点とする膨らみが接合対象102の背面102bに生じることになる。そして、接合対象102の背面102bをカメラで観察することにより、そのような膨らみを干渉縞として観察することができる。従って、特定ステップでは、接合対象102の背面102bをカメラで観察することにより、接合目標部Ptのうちの、カメラによって観察できた干渉縞と重なる部分を、未接合部Puとして特定することができる。また、干渉縞の中心位置を、介在物の位置として特定することができる。
【0066】
この場合も、接合プロセスで使用した接合装置(
図2(A)参照)を再び用いて、未接合部Puでの接合状態を修復することができる。一方で、未接合部Puの発生原因が介在物であるため、それを取り除くことはできず、従って当該介在物を頂点とする膨らみを消滅させることはできない。また、未接合部Pu上に介在物が位置している場合には、その介在物が原因で生じた未接合部Puに直接レーザ光を照射したとしても、当該未接合部Puの接合状態を改善することは難しい。
【0067】
そこで修復ステップを実行する前に、接合プロセスでの接合対象101及び102の挟圧時に接合対象101の背面101bに加えた圧力よりも大きい圧力を圧力伝達媒体30によって加える(加圧ステップ)。これにより、上記膨らみをできるだけ収縮させ、介在物の周囲での接合対象101及び102の密着領域を増やすことができる。
【0068】
そして、修復ステップでは、加圧ステップによって上記膨らみをできるだけ収縮させた状態を維持しつつ、特定ステップで特定した介在物の位置を避けてレーザ光を照射することにより、未接合部Puでの接合状態を修復する。
【0069】
ここで、介在物が、未接合部Puからずれた位置にある場合には、上記加圧ステップで膨らみをできるだけ小さくして介在物の影響を小さくした上で、当該未接合部Puに直接レーザ光を照射することにより、その未接合部Puの接合状態を修復することができる。
【0070】
一方、介在物が未接合部Pu上に位置している場合には、介在物の位置を避けて未接合部Puからずれた位置にレーザ光を照射することにより、当該ずれた位置での接合によって未接合部Puでの接合状態の修復を補完する。一例として、
図6(A)に示されるように、介在物の位置を迂回した迂回部Pt3を接合目標部Ptとして再設定し、その迂回部Pt3にレーザ光を照射することにより、未接合部Puでの接合状態の修復を補完することができる。尚、
図6(A)では、接合目標部Ptのうちの接合が完了した部分が太い実線で示されている(
図6(B)でも同様)。他の例として、
図6(B)に示されるように、接合目標部Ptのうちの未接合部Puを含んだ一部(既に接合が完了している部分を含む)に沿って別の線状部Pt4を接合目標部Ptとして再設定し、その線状部Pt4にレーザ光を照射することにより、未接合部Puでの接合状態の修復を補完することができる(
図6(B)参照)。
【0071】
そして、修復ステップで実行する未接合部Puへのレーザ光の照射には、未接合部Puに直接レーザ光を照射して当該未接合部Puの接合状態を修復する場合だけでなく、未接合部Puに直接レーザ光を照射する場合でなくても、介在物を避ける必要があり、当該介在物を避けて未接合部Puからずれた位置にレーザ光を照射することにより、未接合部Puでの接合状態の修復を補完できる場合も含まれるものとする。
【0072】
[3-3]第3変形例
未接合部Puの発生原因が接合対象101及び102の間に挟まった異物(介在物)である場合、当該未接合部Puでの接合状態を修復する方法として、上記第2変形例では、修復ステップを実行する前に加圧ステップを実行することで、介在物が原因で生じた膨らみをできるだけ収縮させ、当該介在物の周囲での接合対象101及び102の密着領域を増やしたが、加圧ステップに代えて、或いは、加圧ステップと並行して、以下のような前処理ステップを実行してもよい。
【0073】
具体的には、修復ステップを実行する前に、特定ステップで特定した位置にある介在物に、前処理用のレーザ光を照射することにより、当該介在物を加熱して変形させ、或いは、当該介在物をアブレーションなどの現象によって昇華させる(前処理ステップ)。これにより、膨らみの高さを小さくすることができ、その結果として、介在物の周囲での接合対象101及び102の密着領域を増やすことができる。
【0074】
更に、前処理ステップにて介在物をレーザ光で加熱して変形させる場合には、加圧ステップを並行して行うことにより、加熱された介在物を圧力で押し付けて効率良く変形させることができ、その結果として、膨らみの高さを小さくすることができる。
【0075】
また、前処理ステップにて介在物をレーザ光で昇華させる場合には、加圧ステップを並行して行うことにより、昇華で生じたガスを圧力でキャビティ内へ押し出すことができ、その結果として、膨らみを消滅させることが可能になる。膨らみを消滅させることができれば、修復ステップでは、介在物を避けることなく未接合部Puに直接レーザ光を照射することが可能になる。
【0076】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0077】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、接合修復方法を構成する各ステップが個々に抽出されてもよいし、接合修復方法に用いられる接合修復装置や、当該接合修復装置の各部(第1支持部61など)が個々に抽出されてもよい。また、それらに接合プロセスや接合装置の一部を組み合わせたものが、発明の対象として抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 チャンバ機構
2 シール機構
3 加圧機構
4 レーザ光源
5 制御部
6 支持機構
7 レーザ光源
8 制御部
10 チャンバ
11 第1チャンバ構成部
12 第2チャンバ構成部
13 駆動部
21 鍔部
22 保持部
30 圧力伝達媒体
61 第1支持部
61w 窓
62 第2支持部
Ct 切断線
Pt 接合目標部
Pu 未接合部
R1 第1チャンバ領域
R2 第2チャンバ領域
Rd デバイス領域
Re 周縁部
101、102 接合対象
101a、102a 対向面
101b、102b 背面
103 窪み
104 要素
111 第1円筒部
112 第1ステージ
121 第2円筒部
122 第2ステージ
123 駆動部
611 本体部
612 環状部
613 梁部
Pt1、Pt2、Pt4 線状部
Pt3 迂回部