(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164371
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】組立式建造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20241120BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
E04B1/343 C
E04H1/12 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079793
(22)【出願日】2023-05-15
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391033115
【氏名又は名称】株式会社カナモト
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】植木 良
(72)【発明者】
【氏名】藤原 信義
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 朝子
(72)【発明者】
【氏名】守屋 遼太
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025CA02
2E025CC01
2E025CC02
2E025CC04
(57)【要約】
【課題】分解して運搬する際の作業容易性及び安全性を考慮した組み立て式建造物を提供する。
【解決手段】底板1の上面には第一の突起部3が設けられ、天板9の下面には第二の突起部11が設けられ、柱部21は、第一の突起部3と第二の突起部11との間にわたって架設され、第一の突起部3と第二の突起部11は、組立時においては柱部21にそれぞれ連結され、分解運搬時にはそれぞれの突起部3,11同士が連結可能な構造を有しており、第一の突起部3と第二の突起部11とは、分解運搬時において、それぞれの突起部3,11同士を連結した時に、底板1と天板9との間に、所定間隔の部品収容空間19を形成する空間形成構造として機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、天板と、前記底板と前記天板との間に組み込まれる側板と、前記底板と前記天板との間にわたって架設される柱部と、からなり、前記底板、前記天板、前記側板及び前記柱部の全てが分離組立可能に構成されている組立式建造物であって、
前記底板の上面と前記天板の下面との相対向する領域のいずれか一方には第一の突起部が設けられ、いずれか他方には第二の突起部が設けられ、
前記柱部は、前記第一の突起部と前記第二の突起部との間にわたって架設され、
前記第一の突起部と前記第二の突起部とは、組立時においては前記柱部にそれぞれ連結され、かつ、分解運搬時にはそれぞれの突起部同士が連結可能な構造を有しており、
前記第一の突起部と前記第二の突起部とは、前記分解運搬時において、それぞれの突起部同士を連結した時に、前記底板と前記天板との間に、所定間隔の部品収容空間を形成する空間形成構造として機能することを特徴とする組立式建造物。
【請求項2】
前記第一の突起部は、中空に形成されると共に前記第二の突起部と対向する対向面側には中空内部と連通する開口部が設けられており、
前記第二の突起部は、第一の突起部と対向する対向面側に、前記第一の突起部の前記開口部を介して中空内部に挿入可能な挿入部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の組立式建造物。
【請求項3】
前記柱部には、前記第一の突起部の中空内部に挿入連結可能な挿入連結部を一方の端部に備えると共に、前記第二の突起部の挿入部を挿入連結可能な中空内部を他方の端部に備えていることを特徴とする請求項2に記載の組立式建造物。
【請求項4】
前記部品収容空間は、前記天板と前記底板以外の組立式建造物の構成部品が収容可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の組立式建造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険物倉庫や備蓄倉庫等として使用され、分離・組立可能な組立式建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、底板と、天板と、底板と天板との間に組み込まれる4枚の側壁と、隣り合う側壁間に立設される4本の柱部と、からなる様々な組立式の簡易倉庫(組立式家屋)が種々市場に提供されている。
これらの組立式の簡易倉庫は、組み立ても容易で、簡易かつ安価であることから種々の用途に使われている。例えば、仮設家屋や危険物倉庫などとして用いられている。
【0003】
組立式建造物として特許文献1に開示の技術が開示されている。
特許文献1に開示の先行技術にあっては、運搬及び設置現場での組み立てが容易な構造を提供している。
特許文献1に開示の組立式建造物では、組立前の状態、すなわち設置現場への運搬時には、底板と天板と4枚の側壁とがそれぞれバラバラになった状態であるが、4本の柱部は、底板の四隅にて起伏可能に備えられている。このように構成することにより、コンパクトに折り畳んで積み重ねて運搬することが出来る。また、設置現場では、底板の四隅に備えられた柱部を起立させて天板などのその他の構成部材を組付けていけば容易に組み立てることが出来るものとしている。
【0004】
この種の組立式建造物の場合、4枚の壁面部と底板と天板とがそれぞれバラバラになった状態で台車(カート)上に積み重ねて設置現場まで運搬する。
なお、この時、積み重ねた各構成部材が崩れないように締結ロープなどで一つにまとめて運搬時の作業性及び安全性を確保することもある。
【0005】
しかし、単に、台車上にバラバラになった状態で積み上げて運搬すると、運搬途中で崩れ落ちたりすることもあり、運搬作業効率が悪いばかりか安全性にも課題を有していた。
また、締結ロープなどでまとめて運搬すれば安全性を確保し得るかもしれないが多数の構成部材をそれぞれ締結する作業は困難であると共に作業時間のロスを招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の有する課題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、分解して運搬する際の作業容易性及び安全性を考慮した組立式建造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになした第1の本発明は、底板と、天板と、前記底板と前記天板との間に組み込まれる側板と、前記底板と前記天板との間にわたって架設される柱部と、からなり、前記底板、前記天板、前記側板及び前記柱部の全てが分離組立可能に構成されている組立式建造物であって、
前記底板の上面と前記天板の下面との相対向する領域のいずれか一方には第一の突起部が設けられ、いずれか他方には第二の突起部が設けられ、
前記柱部は、前記第一の突起部と前記第二の突起部との間にわたって架設され、
前記第一の突起部と前記第二の突起部とは、組立時においては前記柱部にそれぞれ連結され、かつ、分解運搬時にはそれぞれの突起部同士が連結可能な構造を有しており、
前記第一の突起部と前記第二の突起部とは、前記分解運搬時において、それぞれの突起部同士を連結した時に、前記底板と前記天板との間に、所定間隔の部品収容空間を形成する空間形成構造として機能することを特徴とする組立式建造物としたことである。
【0009】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記第一の突起部は、中空に形成されると共に前記第二の突起部と対向する対向面側には中空内部と連通する開口部が設けられており、
前記第二の突起部は、第一の突起部と対向する対向面側に、前記第一の突起部の前記開口部を介して中空内部に挿入可能な挿入部が設けられていることを特徴とする組立式建造物としたことである。
【0010】
第3の本発明は、第2の本発明において、前記柱部には、前記第一の突起部の中空内部に挿入連結可能な挿入連結部を一方の端部に備えると共に、前記第二の突起部の挿入部を挿入連結可能な中空内部を他方の端部に備えていることを特徴とする組立式建造物としたことである。
【0011】
第4の本発明は、第1の本発明乃至第3の本発明のいずれかにおいて、前記部品収容空間は、前記底板と前記天板以外の組立式建造物の構成部品が収容可能に形成されていることを特徴とする組立式建造物としたことである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分解して運搬する際の作業容易性及び安全性を考慮した組立式建造物を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態における組立式建造物を構成する天板と底板とを連結して部品収容空間を形成し、部品収容空間に組立式建造物の構成部品を収容し、かつ台車上に格納した状態を示す概略斜視図である。
【
図2】底板と天板とを連結して部品収容空間を形成している状態の概略斜視図である。
【
図3】第一の突起部と第二の突起部との連結状態を拡大して示す概略断面図である。
【
図4A】(a)は底板と天板とを連結した状態を示し、(b)は天板と底板とを分離した状態を示す概略図である。
【
図4B】(c)は底板の四隅に備えた第一の突起部と、それぞれの第一の突起部に連結される柱部を分離した状態を示し、(d)は底板の四隅に備えた第一の突起部に柱部を連結した状態を示す概略図である。
【
図4C】(e)は第一の突起部と第二の突起部との間に柱部を連結した状態を示し、(f)は隣り合う各柱部間に側板を連結している状態を示す概略図である。
【
図5】組立完成状態の本実施形態の組立式建造物の一実施形態を示す概略斜視図である。
【
図6】本実施形態の組立式建造物の概略背面図である。
【
図7】本実施形態の組立式建造物を分解して示す概略斜視図である。
【
図8】本発明の第二実施形態における組立式建造物の要部を示し、(a)は本実施形態における組立式建造物を構成する底板と天板とを連結して部品収容空間を形成している状態の概略斜視図を示し、(b)は(a)の分解斜視図を示す。
【
図9】第二実施形態において第一の突起部と第二の突起部とを連結部を介して連結している状態を拡大して示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施形態にすぎず、何等これに限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
「第一実施形態」
【0015】
本実施形態では、本発明組立式建造物の一実施形態として、組立式の危険物倉庫を想定している。
【0016】
本実施形態の危険物倉庫は、所定大きさの矩形状に形成された底板(土台)1と、底板1と同一の大きさに形成された天板(屋根)9と、底板1と天板9との間に組み込まれる四面の各側板23と、隣り合う側板23間に組み込まれ、底板1と天板9との間にわたって架設される柱部21と、からなる中空立方体形状(箱形状)の倉庫であって、底板1、天板9、側板23及び柱部21の全てが分離組立可能に構成されている。
本実施形態では、底板1に第一の突起部3が備えられ、天板9に第二の突起部11が備えられている一実施の形態を示す。
なお、天板9に第一の突起部3、底板1に第二の突起部11を備える形態であってもよく本発明の一実施形態である。
【0017】
底板1は、平面視で所定大きさの四角形状に形成されており、上面の四隅には、
図3乃至
図4Cにおいて鉛直方向で上方に向けて所定長さにて第一の突起部3が一体に立設(突設)されている。また、本実施形態では、底板1の下面の四隅には、
図3乃至
図4Cにおいて鉛直方向で下方に向けて所定長さの角柱状脚部5が垂設されている。
なお、図中7は、底板1の上面に配設されるアルミ縞鋼板製の床板である(
図2及び
図4A乃至
図4C参照。)。
【0018】
天板9は、平面視で底板1と同一大きさの四角形状に形成されており、下面の四隅には、
図3において鉛直方向で下方に向けて所定長さにて第二の突起部11が一体に垂設(突設)されている(
図3参照。)。なお、図中13は、天板9を吊り下げて柱部の上方に移動させるときに、吊り上げ装置(揚重機)のフック(不図示)を係止するための係止部であって、天板9の外面において、四隅部分に一体に取り付けられている。
【0019】
第一の突起部3は、中空の角柱状(角筒状)に形成されると共に第二の突起部11と対向する先端側(遊端側)には中空内部3aと連通する開口部3bが設けられている。本実施形態では、開口部3bと中空内部3aは同一の内面大きさとしている(
図3参照。)。
【0020】
第二の突起部11は、中空の角柱状(角筒状)に形成されると共に第一の突起部3と対向する先端側(遊端側)に、第一の突起部3の中空内部3aに開口部3bを介して挿入可能な挿入部11aが設けられている。なお、本実施形態では、第二の突起部11の全体長さが第一の突起部3よりも短尺に形成されている(
図3参照。)。
本実施形態では、第二の突起部11全体が、第一の突起部3の開口部3b及び中空内部3aに摺接可能な外面大きさを有し、第二の突起部11の全域(突起部長さ方向の全域)が第一の突起部3の中空内部3aに収容可能な挿入部11aとして機能する構造を採用している(
図3参照。)。
なお図示は省略するが、第二の突起部11の外面を第一の突起部3の外面大きさと同じく形成し、その先端側(遊端側)に第一の突起部3の外面の大きさよりも小さな外面で、第一の突起部3の中空内部3aに挿入可能な挿入部を一体に突設してなる形態でもよい。
【0021】
第一の突起部3と第二の突起部11は、着脱可能に連結されており、本実施形態の組み立て式危険物倉庫を分離して収容又は運搬するときに、第二の突起部11の挿入部11aを第一の突起部3の中空内部3aに挿入して連結し得る構造を採用している(
図1乃至
図3参照。)。
【0022】
例えば本実施形態を一例にその構成を説明する。
第一の突起部3の先端側領域に連通孔3cを設けるとともに、第二の突起部11の基端側領域に連通孔11cを設ける。そして、第一の突起部3の中空内部3aに第二の突起部11を挿入し、それぞれの連通孔3c,11c同士を同一線上に位置させた後、ボルト15を挿入しナット17を介して締結固定する(
図3参照。)。
本実施形態における第一の突起部3と第二の突起部11との着脱可能な連結構造は一実施形態であってこれに何ら限定解釈されるものではなく、第一の突起部3と第二の突起部11が着脱可能に連結され得る構造であれば本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0023】
第一の突起部3と第二の突起部11は、本実施形態の組み立て式危険物倉庫を分離して収容又は運搬するときに、第二の突起部11の挿入部11aを第一の突起部3の中空内部3aに挿入して連結すると、底板1と天板9との間に、所定間隔の部品収容空間19を形成する空間形成構造として機能している(
図2及び
図3参照。)。
【0024】
部品収容空間19は、本実施形態の組立式危険物倉庫を構成している底板1と天板9以外の構成部品、すなわち、各側板23と各柱部21、およびその他の必要部品(棚板30など)を収容する空間であって、本実施形態によれば、第二の突起部11全域が第一の突起部3の中空内部3aに収容される形態を採用しているため、第一の突起部3の立設長さによってその収容領域の大きさ(空間広さ)が決定される。
したがって、部品収容空間19に収容される部品点数が多い場合、あるいはその収容厚みが大きい場合には第一の突起部3の長さを長尺状に形成すればその空間広さを大きくすることができる。
【0025】
柱部21は、それぞれ所定長さで、第一の突起部3と同じ大きさの外面を有する角柱状に形成されている(
図4B参照。)。
柱部21には、外面大きさよりも小さく形成され、第一の突起部3の中空内部3aに挿入連結可能な短尺な角柱状の挿入連結部21aを一方の端部(下端部)に一体に備えると共に、第二の突起部11の全域を挿入して連結可能な開口部21b及び中空内部21cを他方の端部(上端部)に備えて構成されている(
図4B参照。)。
各柱部21の挿入連結部21cには、同一水平軸上に連結孔部(不図示)が設けられており、また、上端部にも同一水平軸上に連結孔部(不図示)が設けられている。
なお、図示は省略するが、第一の突起部3と柱部21の挿入連結部21aとの連結構造、および第二の突起部11と柱部21との連結構造は、第一の突起部3と第二の突起部11との連結構造と同様に、ボルト15・ナット17を介して着脱可能に連結固定する構成を採用する。
また、柱部21は、円柱状など他の形態であってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0026】
側壁23は、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dの四枚の側壁からなり、前面壁23aには出入り口用の開閉扉23eが設けられている。また、背面壁23bには防火ダクト23fと排気ダクト23gが備えられている(
図4C乃至
図6参照。)。
前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dは、本実施形態によればそれぞれが一枚の板にて形成されているが、これに限定されず、それぞれが複数枚の板の組み合わせからなるものであってもよく、それぞれの側板の形態は任意であって本発明の範囲内で設計変更可能である。また、それぞれの側壁に備えられる部材は任意である。
【0027】
本実施形態の組立式危険物倉庫の組立工程及び分解して収容する工程(運搬工程含む)の一例について説明する。
【0028】
「組立工程」
本実施形態の組立式危険物倉庫を分解収容した状態で台車40上に乗せて設置場所まで運搬した後、部品収容空間19に収容されている構成部品(柱部21、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dなど)の全てを取り出し、そして第一の突起部3と第二の突起部11を連結しているボルト15及びナット17を外し、底板1と天板9とを分解する(
図4A)。
そして、所定の設置位置に底板1を設置する。このとき第一の突起部3が鉛直方向で上方に向くように設置する。
次にそれぞれの第一の突起部3に柱部21をそれぞれ連結する。このとき、第一の突起部3の中空内部3aに開口部3bを介して柱部21の挿入連結部21aを挿入して連結固定する(
図4B)。
次に天板9を設置する。天板9は、各柱部21の中空内部21cに、天板9の第二の突起部11を挿入し、ボルト・ナット(不図示)で締結して配設する(
図4C)。
そして次に、隣り合う各柱部21間に側板(前面壁23a、背面壁23b、左右の側壁23c,23d)を配設して危険物倉庫が完成すする(
図4C、
図5及び
図6)。
なお、すべての構成部品を組み立てた後に危険物倉庫を吊り上げて所定の設置位置まで移動させた後に設置することも可能で本発明の範囲内である。
【0029】
「分解収容工程」
次に、本発明危険物倉庫の分解運搬工程の一例について説明する。
【0030】
まず、四枚の側板(前面壁23a、背面壁23b、左右の側壁23c,23d)を取り外す。
次に第一の突起部3と第二の突起部11との間に配設されたそれぞれの柱部21の締結状態を解除(ボルト15・ナット17を取り外す。)し、底板1と天板9を分解する。
【0031】
次に、分解した底板1と天板9を連結し、底板1と天板9との間に所定領域の部品収容空間19を形成する。
まず、天板9の第二の突起部11の挿入部11aを、底板1の第一の突起部3の中空内部3aに挿入するとともに、それぞれの連通孔3c,11c同士を同一線上に位置させた後、ボルト15を挿入しナット17を介して締結固定すると、底板1の内面と天板9の内面との間に所定領域(大きさ)の部品収容空間19が形成される。(
図2及び
図3参照。)。
そして、第一の突起部3と第二の突起部11を連結固定した状態の底板1と天板9を台車40上に乗せる。この時、底板1と天板9の側面(縁部)が台車40の載置面に当接するように(
図1に示す縦がけ状に)台車40上に乗せる。
そして、底板1と天板9との間に形成されている部品収容空間19に、棚板30や柱部21その他の構成部品を収容する。なお、本実施形態では、部品収容空間19外に側板23を一枚収容した実施の一形態を図示しているが、部品収容空間19にすべての側板23を収容することももちろん可能である(
図1参照。)。構成部品以外のもの、例えば、危険物倉庫内に配される収容箱や組立に使用される工具など様々なものを収容することも可能である。
本実施形態のように、連結した状態の底板1と天板9を、上述した通り縦がけ状に台車40上に載置することにより、台車40の進行方向で横長状及び鉛直方向で縦長状となる物品収容空間19が台車40上にて形成され、コンパクトに収容及び運搬が可能となる(
図1参照。)。従って、狭い空間しかないエレベータ等であっても容易に乗せることができ大変使用勝手に優れる。
【0032】
本実施形態によれば、空間形成構造として機能する第一の突起部3と第二の突起部11を底板1と天板9とに設け、連結固定した底板1と天板9との間に所定大きさの部品収容空間19を形成し、その部品収容空間19に危険物倉庫の構成部品(柱部21、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dなど)を収容することができるため、危険物倉庫の不使用時において収納するにあたり、構成部品が散らばることもなく煩雑さを解消し得るとともに、コンパクトに収納することができる。
また、危険物倉庫を倉庫や建物の屋上などの所定位置に設置するにあたり、ばらばらに分解して収納している危険物倉庫の構成部品(柱部21、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dなど)をその設置場所まで運搬する必要があるが、本実施形態によれば、危険物倉庫の構成部品は、底板1と天板9との間に形成される部品収容空間19にてコンパクトかつまとまりよく収容されているため、さらなる安全性のため締結ロープ(不図示)などでまとめる必要性があったとしても、その締結作業も容易であり、作業時間のロスも解消され得る。また、コンパクトに収容可能であるため、エレベータに乗せる際にも容易に行うことができ作業性・取り扱い性もよい。
さらに、従来のように、単に台車40上に構成部品(柱部21、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dなど)を積み上げて運搬する状況に比べて、収容した構成部品(柱部21、前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23dなど)が運搬時に崩れ落ちる心配も少なくなるため、運搬作業効率もよく安全性にも優れている。
「第二実施形態」
【0033】
図8及び
図9は本発明組立式建造物の第二実施形態を示し、本実施形態では、分解運搬時において、底板1と天板9との間に形成される物品収容空間19を広げるために、第一の突起部3と第二の突起部11との間に組み込まれるジョイント部25を備えた点に特徴を有している。その他の構成及び作用効果は第一実施形態と同じであるためその説明は省略する。
【0034】
ジョイント部25は、第一の突起部3及び第二の突起部11と同一外面大きさを有する短尺の角柱状(角筒状)に形成されている。
また、ジョイント部25は、第一の突起部3の中空内部3aに差込連結可能な突部25aを下端部に備えると共に、第二の突起部11の挿入部11aを差込連結可能な中空内部25b及びその中空内部25bと連通する開口部25cを上端部に備えている。
ジョイント部25の外面形態及びその筒長さは特に限定解釈されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
ジョイント部25は、上端側領域に連通孔25dを設けるとともに、下端側の突部25a領域にそれぞれ連通孔25dを設けている。そして、第一の突起部3の中空内部3aに下端側の突部25aを挿入するとともに、第二の突起部11を、開口部25cを介して中空内部25bに挿入する。そして、下端側の連通孔25dと第一の突起部3の連通孔3c同士、および上端の側の連通孔25dと第二の突起部11の連通孔11c同士を、それぞれ同一線上に位置させた後、ボルト15を挿入しナット17を介して締結固定する(
図3参照。)。
【0035】
このような構成を有するジョイント部25を、それぞれ相対向して配されている第一の突起部3と第二の突起部11との間に組み込んで連結することにより、分解して運搬する際に、底板1と天板9との間で形成される物品収容空間19を第一実施形態よりも広くすることができるため、部品点数の多い組立式建造物の場合に有効である。
【0036】
上述した第一実施形態及び第二実施形態では、四枚の側板23(前面壁23a、背面壁23b、および左右の側面壁23c,23d)からなる立方体形状の危険物倉庫の一実施形態で説明したが、これに何等限定されるものではなく、他の形状の危険物倉庫であっても本発明の範囲内である。
例えば、三角形状の底板と天板及び三枚の側板からなる三角筒状の危険物倉庫、五角形状の底板と天板及び五枚の側板からなる五角筒状の危険物倉庫、あるいは円板状の底板と天板及び円筒状の側板からなる円筒状危険物倉庫などが想定され、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、本実施形態の組立式の危険物倉庫に限らず、組立式の物品収納倉庫や組立式の簡易家屋など様々な用途にて使用される組立式の建造物全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 底板
3 第一の突起部
3a 中空内部
3b 開口部
9 天板
11 第二の突起部
11a 挿入部
19 部品収容空間
21 柱部
21a 挿入連結部
21c 中空内部
23 側板