(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164401
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】光伝送システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/071 20130101AFI20241120BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H04B10/071
H04J14/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079849
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】石田 宏
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA15
5K102AD00
5K102LA06
5K102LA13
5K102LA21
5K102LA52
5K102MH02
5K102MH15
5K102MH22
5K102PA01
5K102PB01
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】光ファイバを介して通信信号を伝送しつつ、光ファイバの状態をセンシングすることが可能な光伝送システムを提供する。
【解決手段】光伝送システム10は、光ファイバを介して光通信を行い、光ファイバの状態をセンシングする光伝送システム10である。光伝送システム10は、発光素子210で発光された光を伝送する第1光ファイバ200と、第1光ファイバ200から出力された光を屈折させる第1レンズ120と、を備える。また、光伝送システム10は、通信信号310及びセンシング信号311として出力する音響光学素子100と、通信信号310及びセンシング信号311を屈折させて出力する第2レンズ130と、を備える。さらに、光伝送システム10は、通信信号310及びセンシング信号311を伝送する第2光ファイバ300と、第2光ファイバ300におけるセンシング信号311の後方散乱光312を受光する受光素子220と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを介して光通信を行い、前記光ファイバの状態をセンシングする光伝送システムであって、
光を出力する発光素子と、
前記発光素子で出力された前記光を伝送する第1光ファイバと、
前記第1光ファイバから出力された前記光を所定の方向に屈折させる第1レンズと、
前記第1レンズを介して屈折された光信号を回折し、通信信号及びセンシング信号として出力する音響光学素子と、
前記通信信号及び前記センシング信号を屈折させて出力する第2レンズと、
前記第2レンズから出力された前記通信信号及び前記センシング信号を伝送する第2光ファイバと、
前記第2光ファイバにおける前記センシング信号の後方散乱光を、前記第2レンズ、前記音響光学素子、及び前記第1レンズを介して受光する受光素子と、
を備える光伝送システム。
【請求項2】
前記音響光学素子は、所定の信号に基づいて生成されるタイミングに応じて、前記センシング信号を出力する、請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記音響光学素子を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記音響光学素子の光路を切り替えることで、前記第2光ファイバに設けられた複数のコアに対して、前記センシング信号を入射する、請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記第1光ファイバは、シングルコアファイババンドルで構成され、
前記第2光ファイバは、マルチコアファイバで構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記第1光ファイバ及び前記第2光ファイバは、マルチコアファイバで構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を伝搬するマルチコアファイバの特性を測定する装置が提案されている。特許文献1には、マルチコアファイバの光強度分布測定装置が開示されている。特許文献1に開示された光強度分布測定装置は、光の量を変化させ、コアの一端に光を複数回入射させ、コアの他端から出射される光の画像データを生成し、光の強度分布を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコアファイバにかかった応力や伝搬損失等の光ファイバの特性を検出するために、特許文献1で開示された光強度分布測定装置を用いる場合、マルチコアファイバのそれぞれのコアに同時に光を入射させる必要がある。そのため、当該光強度分布測定装置では、コアの応力検出のために複数の光源が必要となり、また、同一のパワーになるように入射させる光を正確に分岐させる必要があるため、装置の規模や装置の構成の複雑さが増大する。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、光ファイバを介して通信信号を伝送しつつ、光ファイバの状態をセンシングすることが可能な光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る光伝送システムは、光ファイバを介して光通信を行い、光ファイバの状態をセンシングする光伝送システムであって、光を出力する発光素子と、発光素子で出力された光を伝送する第1光ファイバと、第1光ファイバから出力された光を所定の方向に屈折させる第1レンズと、第1レンズを介して屈折された光信号を回折し、通信信号及びセンシング信号として出力する音響光学素子と、通信信号及びセンシング信号を屈折させて出力する第2レンズと、第2レンズから出力された通信信号及びセンシング信号を伝送する第2光ファイバと、第2光ファイバにおけるセンシング信号の後方散乱光を、第2レンズ、音響光学素子、及び第1レンズを介して受光する受光素子と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光ファイバを介して通信信号を伝送しつつ、光ファイバの状態をセンシングすることが可能な光伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る光伝送システムによるセンシングの対象となるマルチコアファイバの構成について説明するための図である。
【
図3A】音響光学素子を用いたFIFOデバイスについて説明するための図である。
【
図3B】音響光学素子を用いた接続コネクタについて説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る光伝送システムで適用される音響光学素子について説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る光伝送システムで適用される音響光学素子の制御について説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係る光伝送システムで適用される音響光学素子から入射される光信号について説明するための図である。
【
図7】光ファイバにおける後方散乱光について説明するための図である。
【
図8】他の実施形態に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る光伝送システム10について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
図1は、本実施形態に係る光伝送システム10の構成を示す図である。
図1に示すように、光伝送システム10は、発光素子210と、受光素子220と、第1光ファイバ200と、第2光ファイバ300と、を含んで構成される。また、光伝送システム10は、第1レンズ120と、音響光学素子100(AOM:Acousto-Optic Modulator)と、第2レンズ130と、を含んで構成される。また、光伝送システム10は、制御部110を含んで構成されてもよい。
【0011】
本実施形態において、光伝送システム10は、第1光ファイバ200及び第2光ファイバ300を介して光通信を行い、第2光ファイバ300に係る応力や伝搬損失等の光ファイバの状態をセンシングする通信システムである。すなわち光伝送システム10は、一つの光源である発光素子210から発光された信号光を、音響光学素子100で分岐させることで、一般的な光ファイバを用いて、簡易な構成で光通信及びセンシングの実施を可能とする。本実施形態におけるセンシングは、光が光ファイバに沿って移動する際の物理特性を利用した各種パラメータの変化を、後方散乱光312として検出することにより実現する。
【0012】
図2は、本実施形態に係る光伝送システム10によるセンシングの対象となる第2光ファイバ300の構成について説明するための図である。本実施形態において、第2光ファイバ300は、例えば、一般的なマルチコアファイバに相当する。
図2に示すように第2光ファイバ300は、コア径125μmの中に複数のコア302a~302dを有し、当該複数のコア302を介して光信号を伝搬する。以降、コア302a~302dのそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「コア302」と表記する。
【0013】
なお、
図2に示す交点301は、後述の音響光学素子100による光軸の交点(回折する位置)を示すものである。また、
図2に示す例においては、コア302cに通信信号310が入射され、コア302aにセンシング信号311が入射される場合の例を示している。本実施形態においては、第2光ファイバ300の対角線上に配置された各コア302に対して、通信信号310及びセンシング信号311が入射される。この通信信号310及びセンシング信号311の詳細については、後述する。
【0014】
発光素子210は、光源であり、光を出力する素子である。本実施形態において発光素子210は、一般的なレーザーダイオード(Laser Diode)で構成される。
【0015】
第1光ファイバ200は、発光素子210で出力された光を伝送する光ファイバケーブルである。本実施形態において、第1光ファイバ200は、複数のシングルコアファイバ(SCF)をバンドルした(束ねた)ものである。本実施形態において、シングルコアファイババンドルは、例えば、マルチコアファイバ(MCF)の4つのコア(コアピッチ40μm)に接続するために、コア径125μmを40μmまで細径化したものをバンドルしたものである。また、第1光ファイバ200は、センシング信号311の第2光ファイバ300における後方散乱光312を第2光ファイバ300及び音響光学素子100を介して受信し、後述の受光素子220に伝搬する。
【0016】
音響光学素子100は、第1光ファイバ200を介して伝搬された光信号(入力信号)を回折し、通信信号310及びセンシング信号311として第2光ファイバ300に出力する。本実施形態において適用される音響光学素子100は、一般的な音響光学素子と同様に、結晶の下端の圧電素子で超音波(音響波)を生成し、周期的な屈折率変化を形成するものである。音響光学素子100は、この周期的な屈折率変化が回折格子として機能し、メカニカルなシャッターよりも高速に0次回折光と、1次回折光とを同じタイミングで発生させることが可能となる。
【0017】
また、
図1に示すように、光伝送システム10は、シングルコアファイババンドルである第1光ファイバ200と、音響光学素子100と、の間に、第1光ファイバ200から出力された光を所定の方向に屈折させる第1レンズ120を備える。また、光伝送システム10は、音響光学素子100と、マルチコアファイバである第2光ファイバ300と、の間に、通信信号310及びセンシング信号311を屈折させて出力する第2レンズ130を備える。この構成により、光伝送システム10は、FIFO(Fan-in Fan-out)デバイスとして構成される。また、第1光ファイバ200及び第2光ファイバ300は、
図1に示すように、ファイバ端面が斜め研磨されており、通信信号310である0次回折光、センシング信号311である1次回折光、及び後方散乱光312が
図1に示すような光線イメージとなる。
【0018】
FIFOデバイスは、SCFバンドルとMCFを接続するために使用し、制御信号に基づいて、MCFの各コアに個々の光を入射させること、又は個々の光を取り出す役割を有するデバイスである。このFIFOデバイスの代表的な方式としては、例えば、空間結合型やPC(physical contact)接続型(ファイババンドル型)、3D導波路型、溶融延伸型等がある。
図3Aは、空間結合型のFIFOデバイスの構成例を示す。また、
図3Bは、接続コネクタとして、音響光学素子100を用いた場合の構成例を示す。
【0019】
通信信号310は、第2光ファイバ300の後段に設けられた光受光器(図示なし)に到達することで、光通信システムにおける通信が成立する。また、センシング信号311は、第2光ファイバ300にかかる応力や伝搬損失を検出するための信号である。具体的には、センシング信号311は、音響光学素子100で回折された信号が第2光ファイバ300の内部で後方散乱光312として戻り、再び第1光ファイバ200を介して、後述の受光素子220に到達するものである。この受光素子220に到達した信号を、信号処理部(図示なし)で解析することで、第2光ファイバ300にかかる応力や伝搬損失を検出することが可能となる。
【0020】
図4は、本実施形態に係る光伝送システム10で適用される音響光学素子100について説明するための図である。音響光学素子100は、
図4における左側から入射された入力信号を透過させ、0次回折光を出力する。また、音響光学素子100は、0次回折光の入射角θの2倍の角度である2θ離れた角度方向に対して1次回折光を出力する。
【0021】
本実施形態において、音響光学素子100から出力される0次回折光を通信信号310に割り当て、1次回折光を、第2光ファイバ300の応力や伝搬損失の検出に用いるセンシング信号311に割り当てる。
【0022】
また、音響光学素子100は、制御部110からの所定の信号に基づいて生成されるタイミングに応じて、センシング信号311を出力する。
【0023】
図5は、本実施形態に係る光伝送システム10で適用される音響光学素子100の制御について説明するための図である。
図5に示すように、入力信号に対して、制御部110が所定のタイミングでゲート信号を送ることで、センシング信号311を生成することが可能となる。すなわち所定の信号は、音響光学素子100において、所定のタイミングでセンシング信号311を生成させるための信号であり、ゲート信号に相当する。
【0024】
また、上述の発光素子210において、強度が強いパルスを一つ含む入力信号を生成する。
図5に示すように、制御部110は、この入力信号の強度が強いパルスが通過するタイミングで、1次回折光が有効になるように、音響光学素子100に制御信号(ゲート信号)を送る。
【0025】
すなわち、本実施形態においては、制御部110が音響光学素子100に対して、所定の信号であるゲート信号を送り、音響光学素子100は、そのゲート信号に基づいて、センシング信号311を生成する。これにより、音響光学素子100は、余計なノイズ等が含まれないセンシング信号311を生成することが可能となる。また、光伝送システム10は、強度が高いパルス信号であるセンシング信号311の後方散乱光312のみを戻り光として取得するため、受光素子220で受光した光に対し、ダイナミックレンジ(消光比)が広い測定が可能となる。
【0026】
図6は、本実施形態に係る光伝送システム10で適用される音響光学素子100から入射される光信号について説明するための図である。
図6に示すように、音響光学素子100に入力される入力信号は、音響光学素子100によって、通信用の0次回折光と、センシング用の1次回折光と、が生成される。
【0027】
また、制御部110は、音響光学素子100の光路を切り替えることで、第2光ファイバ300の複数のコア302に対して、センシング信号311を入射する。例えば
図2に示す例において、音響光学素子100は、コア302dに通信信号310を入射し、コア302dの対角線上に位置するコア302bに対して、センシング信号311を入射してもよい。これにより、光伝送システム10は、複数のコア302に対するセンシングが可能となり、第2光ファイバ300にかかる応力や伝搬損失をより適切に検出することが可能となる。
【0028】
受光素子220は、第2光ファイバ300におけるセンシング信号311の後方散乱光312を、第2レンズ130、音響光学素子100、及び第1光ファイバ200を介して受信する。なお、受光素子220で受信する後方散乱光312は、第1光ファイバ200において発光素子210を伝搬したコアとは異なるコアを介して伝搬される。
【0029】
図7は、一般的な、光ファイバにおける後方散乱光312について説明するための図である。光ファイバの伝搬損失や距離測定、断線箇所の検出、応力の位置測定、コネクタ接続などの接続損失や反射量を評価する測定器として、一般的に光パルス試験器(OTDR)が知られている。
【0030】
図7に示すように、例えば、光パルス試験器は、入射光(測定パルス光)を入射し、光ファイバ内の曲げやコネクタ接続部、開放端等での散乱や反射された光を後方散乱光として、その波形を取得する。また、その後方散乱光の波形を解析することで、光ファイバの長手方向における応力による不具合や損失等を検知することが可能となる。本実施形態においては、発光素子210や受光素子220は、光パルス試験器に設けられてもよい。
【0031】
上述の通り、光伝送システム10は、光ファイバを介して光通信を行い、光ファイバの状態をセンシングする光伝送システム10である。光伝送システム10は、光を出力する発光素子210と、発光素子210で出力された光を伝送する第1光ファイバ200と、第1光ファイバ200から出力された光を所定の方向に屈折させる第1レンズ120と、を備える。また、光伝送システム10は、第1レンズ120を介して屈折された光信号を回折し、通信信号310及びセンシング信号311として出力する音響光学素子100と、通信信号310及びセンシング信号311を屈折させて出力する第2レンズ130と、を備える。また、光伝送システム10は、第2レンズ130から出力された通信信号310及びセンシング信号311を伝送する第2光ファイバ300を備える。さらに、光伝送システム10は、第2光ファイバ300におけるセンシング信号311の後方散乱光312を、第2レンズ130、音響光学素子100、及び第1レンズ120を介して受光する受光素子220と、を備える。
【0032】
これにより、光伝送システム10は、通信信号310を伝送しつつ、複数の光源や入射させる光を正確に分岐させたり、同一のパワーにしたりする装置を必要とせず、簡易な構成で光ファイバケーブルにかかる応力や伝搬損失を検出することが可能となる。
【0033】
また、光伝送システム10の音響光学素子100は、所定の信号に基づいて生成されるタイミングに応じて、センシング信号311を出力してもよい。これにより、光伝送システム10の音響光学素子100は、余計なノイズ等が含まれないセンシング信号311を生成することが可能となる。また、光伝送システム10は、強度が高いパルス信号であるセンシング信号311の後方散乱光のみを戻り光として取得できるため、受光素子220で受光した光に対し、ダイナミックレンジ(消光比)が広い測定が可能となる。
【0034】
さらに、光伝送システム10は、音響光学素子100を制御する制御部110をさらに備えてもよい。また、制御部110は、音響光学素子100の光路を切り替えることで、第2光ファイバ300の複数のコア302に対して、センシング信号311を入射してもよい。これにより、光伝送システム10は、複数のコア302に対するセンシングが可能となり、第2光ファイバ300にかかる応力や伝搬損失をより適切に検出することが可能となる。
【0035】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0036】
上述の実施形態においては、光伝送システム10は、第1光ファイバ200がシングルコアファイバ(SCF)バンドルであり、第2光ファイバ300がマルチコアファイバである例を示した。実施形態の構成はこの構成に限定されるものではなく、光伝送システム10は、
図8に示すように、第1光ファイバ200及び第2光ファイバ300がマルチコアファイバで構成されてもよい。
図8に示す構成のように、マルチコアファイバで構成される第2光ファイバ300の後段にSMF(Single Mode Fiber)を接続させることで、センシング範囲や距離を増やすことが可能となる。
【0037】
以下に、光伝送システム10の特徴について記載する。
【0038】
第1の態様に係る光伝送システム10は、光ファイバを介して光通信を行い、光ファイバの状態をセンシングする光伝送システム10である。光伝送システム10は、光を出力する発光素子210と、発光素子210で出力された光を伝送する第1光ファイバ200と、第1光ファイバ200から出力された光を所定の方向に屈折させる第1レンズ120と、を備える。また、光伝送システム10は、第1レンズ120を介して屈折された光信号を回折し、通信信号310及びセンシング信号311として出力する音響光学素子100と、通信信号310及びセンシング信号311を屈折させて出力する第2レンズ130と、を備える。また、光伝送システム10は、第2レンズ130から出力された通信信号310及びセンシング信号311を伝送する第2光ファイバ300を備える。さらに、光伝送システム10は、第2光ファイバ300におけるセンシング信号311の後方散乱光312を、第2レンズ130、音響光学素子100、及び第1レンズ120を介して受光する受光素子220と、を備える。
【0039】
上記構成によれば、光伝送システム10は、通信信号310を伝送しつつ、複数の光源や入射させる光を正確に分岐させたり、同一のパワーにしたりする装置を必要とせず、簡易な構成で光ファイバケーブルにかかる応力や伝搬損失を検出することが可能となる。
【0040】
第2の態様に係る光伝送システム10の音響光学素子100は、所定の信号に基づいて生成されるタイミングに応じて、センシング信号311を出力してもよい。
【0041】
上記構成によれば、光伝送システム10の音響光学素子100は、余計なノイズ等が含まれないセンシング信号311を生成することが可能となる。また、光伝送システム10は、強度が高いパルス信号であるセンシング信号311の後方散乱光のみを戻り光として取得できるため、受光素子220で受光した光に対し、ダイナミックレンジ(消光比)が広い測定が可能となる。
【0042】
第3の態様に係る光伝送システム10は、音響光学素子100を制御する制御部110をさらに備えてもよい。また、制御部110は、音響光学素子100の光路を切り替えることで、第2光ファイバ300の複数のコア302に対して、センシング信号311を入射してもよい。
【0043】
上記構成によれば、光伝送システム10は、複数のコア302に対するセンシングが可能となり、第2光ファイバ300にかかる応力や伝搬損失をより適切に検出することが可能となる。
【0044】
第4の態様に係る光伝送システム10の第1光ファイバ200は、シングルコアファイババンドルで構成され、第2光ファイバ300は、マルチコアファイバで構成されてもよい。
【0045】
上記構成によれば、光伝送システム10は、FIFOデバイスで構成され、通信信号310を伝送しつつ、簡易な構成で光ファイバケーブルにかかる応力や伝搬損失を検出することが可能となる。
【0046】
第5の態様に係る光伝送システム10の第1光ファイバ200及び第2光ファイバ300は、マルチコアファイバで構成されてもよい。
【0047】
上記構成によれば、光伝送システム10は、例えば、マルチコアファイバで構成される第2光ファイバ300の後段にSMFを接続させることで、センシング範囲や距離を増やすことが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
10 光伝送システム
100 音響光学素子
110 制御部
120 第1レンズ
130 第2レンズ
200 第1光ファイバ
210 発光素子
220 受光素子
300 第2光ファイバ
302、302a~302d コア
310 通信信号
311 センシング信号
312 後方散乱光