(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164403
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電子装置及び電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241120BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20241120BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20241120BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241120BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20241120BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241120BHJP
B23K 20/16 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L25/08 B
C09J7/30
C09J201/00
C09J5/00
H01L21/02 B
B23K20/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079851
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志水 誠
(72)【発明者】
【氏名】志保 浩司
【テーマコード(参考)】
4E167
4J004
4J040
5F044
【Fターム(参考)】
4E167AA03
4E167AA06
4E167AA08
4E167AA09
4E167AA10
4E167AB00
4E167CA05
4E167DA05
4J004AA17
4J004BA02
4J004FA05
4J004FA08
4J040HD30
4J040HD32
4J040JA09
4J040KA14
4J040KA23
4J040LA09
4J040NA20
4J040PA00
5F044KK05
5F044KK07
5F044KK16
5F044LL07
5F044LL13
5F044QQ01
5F044RR03
(57)【要約】
【課題】電子部品群の導体部同士が低プロセス負荷で接合される電子装置を実現する。
【解決手段】電子装置1は、導体部12を有する電子部品10と、導体部12と対向する導体部22を有する電子部品20とを含む。電子装置1は更に、導体部12と導体部22との間に設けられ、導体部12と導体部22とを接合する有機化合物から形成される接合層30を含む。接合層30は、例えば、nmオーダーといった薄い膜厚で、導体部12と導体部22との間に設けられる。接合層30は、例えば、導体部12及び導体部22に化学結合される官能基31及び官能基32を有するオリゴマーを含む。導体部12と導体部22とは、接合層30を介して電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体部を有する第1電子部品と、
前記第1導体部と対向する第2導体部を有する第2電子部品と、
前記第1導体部と前記第2導体部との間に設けられ、前記第1導体部と前記第2導体部とを接合する有機化合物から形成された接合層と、
を含み、
前記第1導体部と前記第2導体部とは、前記接合層を介して電気的に接続される、
電子装置。
【請求項2】
前記第1導体部と前記第2導体部との間の前記接合層の膜厚が0.1nm以上30.0nm以下の範囲である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記接合層は接合材により形成され、前記接合材は化合物αを含み、前記化合物αは前記第1導体部及び前記第2導体部に化学結合される複数の官能基を有する化合物である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記化合物αの前記複数の官能基において、第1の官能基が、アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドロキシ基、チオール基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシ基、アジリジニル基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基から選ばれる少なくとも一種であり、第2の官能基がカテコール基、ホスホン酸基、シラノール基、アルコキシシリル基から選ばれる少なくとも一種である、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1導体部と前記第2導体部とは、前記接合層によって互いに隔離される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1導体部と前記第2導体部とは、互いの一部同士が接触する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
第1導体部を有する第1電子部品を準備する工程と、
第2導体部を有する第2電子部品を準備する工程と、
前記第1導体部と前記第2導体部とを、有機化合物から形成された接合層を介して対向させ、前記接合層を用いて接合する工程と、
を含み、
前記第1導体部と前記第2導体部とは、前記接合層を介して電気的に接続される、
電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1導体部と前記第2導体部とを前記接合層を用いて接合する工程において、前記第1導体部と前記第2導体部との間の前記接合層の膜厚が0.1nm以上30.0nm以下の範囲である、請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
前記接合層は接合材により形成され、前記接合材は化合物αを含み、前記化合物αは前記第1導体部及び前記第2導体部に化学結合される複数の官能基を有する化合物である、請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1導体部と前記第2導体部とを前記接合層を用いて接合する工程前に、前記第1導体部及び前記第2導体部の前記接合層が設けられる表面を平坦化する工程を含む、請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1導体部と前記第2導体部とを前記接合層を用いて接合する工程前に、前記第1導体部及び前記第2導体部の前記接合層が設けられる表面を活性化する工程を含む、請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1導体部と前記第2導体部とを前記接合層を用いて接合する工程前に、前記接合層を加熱する工程、加圧する工程、紫外線照射する工程、プラズマ照射する工程から選ばれる少なくとも一種の工程を含む、請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品を含み、それらの端子等の導体部同士を接合した構成を有する電子装置が知られている。例えば、複数の半導体基板(チップ)をそれらの金属層同士を半田で接合することによって積層した積層型半導体装置が知られている(特許文献1)。このほか、絶縁基板とその両面に設けられた導体層とを有する基板の、その一方の面側に、焼結体等を用いて接合された半導体チップや導電部材を備えたパワー半導体モジュールが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-174134号公報
【特許文献2】特開2021-114537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子装置に含まれる電子部品群の導体部同士を接合する手法の1つとして、半田や焼結体等の導電性の接合材を用いる手法がある。しかし、この手法では、用いる接合材の種類によっては、接合温度が比較的高くなったり、含有される有機成分のアウトガスが比較的多く発生したり、金属間化合物等の異相の形成によって接合信頼性が低下したりすることが起こり得る。
【0005】
近年、このような半田や焼結体等の接合材を用いて電子部品群の導体部同士を接合する手法に代えて、電子部品群の導体部同士を直接接合する手法を用いることが提案されている。しかし、この手法では、導体部の接合面を予め十分に平坦化しておくことを要したり、導体部の接合面の活性化及び接合のために、高温下、高真空下又は高圧力下での処理を要したりする等、プロセス負荷が比較的大きくなる場合がある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、電子部品群の導体部同士が低プロセス負荷で接合される電子装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、第1導体部を有する第1電子部品と、前記第1導体部と対向する第2導体部を有する第2電子部品と、前記第1導体部と前記第2導体部との間に設けられ、前記第1導体部と前記第2導体部とを接合する有機化合物から形成された接合層と、を含み、前記第1導体部と前記第2導体部とは、前記接合層を介して電気的に接続される、電子装置が提供される。
【0008】
また、1つの態様では、第1導体部を有する第1電子部品を準備する工程と、第2導体部を有する第2電子部品を準備する工程と、前記第1導体部と前記第2導体部とを、有機化合物から形成された接合層を介して対向させ、前記接合層を用いて接合する工程と、を含み、前記第1導体部と前記第2導体部とは、前記接合層を介して電気的に接続される、電子装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、電子部品群の導体部同士が低プロセス負荷で接合される電子装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図2】第1実施形態に係る電子装置の接合形態の例について説明する図である。
【
図3】第1実施形態に係る電子装置における電子部品導体部の表面形状の例について説明する図である。
【
図4】第1実施形態に係る電子装置の製造方法の例について説明する図である。
【
図5】第2実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図6】第3実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図7】第4実施形態に係る電子装置製造の例について説明する図である。
【
図8】第5実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図9】第6実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図10】第7実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図11】第8実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【
図12】第9実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図1(A)には、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1(B)には、
図1(A)のP1部を拡大して模式的に示している。
【0012】
図1(A)に示す電子装置1は、電子部品10及び電子部品20を含む。電子部品10は、本体11と、本体11に設けられた導体部12とを有する。電子部品20は、本体21と、本体21に設けられた導体部22とを有する。電子部品10と電子部品20とは、互いの導体部12と導体部22とが対向するように設けられる。電子装置1は更に、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22との間に設けられる接合層30を含む。
【0013】
電子部品10及び電子部品20にはそれぞれ、各種電子部品を用いることができる。例えば、電子部品10及び電子部品20にはそれぞれ、半導体チップ、半導体パッケージ、回路基板、チップ部品、リードフレーム等、各種電子部品が用いられる。電子部品10及び電子部品20には、互いに同種の電子部品が用いられてもよいし、互いに異種の電子部品が用いられてもよい。電子部品10の導体部12及び電子部品20の導体部22は、各種電子部品(その本体)に設けられる電極、或いは、各種電子部品の一部(他部が本体)である。導体部12及び導体部22にはそれぞれ、各種導体材料、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ステンレス等の金属材料、合金材料が用いられる。このほか、導体部12及び導体部22にはそれぞれ、導電性の炭素材料、導電性の樹脂材料等が用いられてもよい。導体部12及び導体部22には、互いに同種の導体材料が用いられてもよいし、互いに異種の導体材料が用いられてもよい。
【0014】
接合層30は、有機化合物から形成される。接合層30は、接合材により形成される。例えば、接合層30を形成する接合材には、全体が有機物である化合物、或いは、少なくとも官能基として有機基を有する化合物を含む材料が用いられる。接合層30は、絶縁性を有してもよい。電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とは、接合層30を用いて接合される。電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とは、それらを接合する接合層30を介して電気的に接続される。接合層30は、接合層30によって導体部12と導体部22とが隔離されている状態であっても、接合層30を介して導体部12と導体部22とが電気的に接続されるような膜厚T1で、導体部12と導体部22との間に設けられる。例えば、接合層30は、nmオーダーといった極めて薄い膜厚T1で、導体部12と導体部22との間に設けられる。一例として、接合層30は、導体部12と導体部22との間の膜厚T1が0.1nm以上30.0nm以下の範囲となるように、導体部12と導体部22との間に設けられる。導体部12と導体部22とが極めて薄い膜厚T1の接合層30で接合されることで、導体部12と導体部22との電気的な接続が実現される。
【0015】
尚、電子部品10を「第1電子部品」とも言い、その導体部12を「第1導体部」とも言う。電子部品20を「第2電子部品」とも言い、その導体部22を「第2導体部」とも言う。
【0016】
導体部12と導体部22とを接合する接合層30は、次のように形成される。まず、導体部12と導体部22の両方、若しくは一方の上に、化合物αを含む接合材を塗布することにより、接合材の塗膜を形成する。これを乾燥することで接合層30を形成する。以下、接合材及び接合材に含まれる化合物αについて詳述する。
【0017】
(化合物α)
接合層30を形成する接合材に含まれる化合物αについて説明する。化合物αは、導体部12の表面の金属等と反応して結合することが可能な第1官能基と、導体部22の表面の金属等と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する。
【0018】
化合物αは、2つの物質の接合体(結合体)を界面分子結合により形成させるための材料であると考えられる。界面分子結合は、2つの物質の界面に、ある化合物を介在させ、化学反応により各物質と上記化合物とをそれぞれ化学結合させて上記2つの物質を結合させること、又はその結果生じる結合を意味する。
【0019】
化合物αは、界面分子結合材(Interface Molecular Bonding;IMB)とも称される。
第1官能基は、金属等と反応して結合する基であることが好ましい。第1官能基としては、アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドロキシ基、チオール基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシ基、アジリジニル基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基等が挙げられ、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基(以下、「アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基」をアジド基等とも称する。)が好ましい。アジド基等は、化学反応により、主に、樹脂等の有機物と「-N-C-タイプ」等の化学結合を形成することができる。第1官能基がアジド基等である場合、導体部とより強固な結合が可能となる。
【0020】
化合物αは、芳香環を有することが好ましい。更には、化合物αは芳香環を有し、第1官能基が、この芳香環に直接結合したアジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基であることがより好ましい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭素環、及びチオフェン環、フラン環、トリアジン環等の芳香族複素環等が挙げられる。芳香環としては、これらの中でも、芳香族炭素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。アジド基等がベンゼン環に直接結合している場合、そうでない場合と比べて、紫外線照射又は加熱により、アジド基等から窒素分子(N2)が脱離する反応の反応速度が大きくなる。従って、ベンゼン環にアジド基等が直接結合した化合物αを用いることで、比較的低温度及び短時間の加熱処理で且つ紫外線照射を行わなくても、良好な密着性が発現される。このためこのような化合物αを用いることで、効率的な処理が可能となる。また、ベンゼン環にアジド基等が直接結合した化合物αを用いることで、導体部の劣化が生じ難い長波長の紫外線を照射した場合でも、良好な密着性が発現される。
【0021】
第2官能基は、金属等と反応して結合する基である。第2官能基は、導体部の金属、及び導体部がめっきされた場合は、めっき触媒に含まれる金属の少なくとも一方の金属と反応して結合する基であることが好ましく、形成される金属パターンを構成する金属と反応して結合する基であることがより好ましい。第2官能基としては、アミノ基、チオール基、カテコール基、カルボキシ基、ホスホン酸基、シラノール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、シラノール基又はアルコキシシリル基が好ましい。シラノール基及びアルコキシシリル基は、化学反応により、主に、金属等の無機物Mと「-Si-O-M-タイプ」の化学結合を形成することができる。第2官能基がこれらの基である場合、導体部とより強固な結合が可能となる。
【0022】
アルコキシシリル基とは、ケイ素原子にアルコキシ基(オキシ炭化水素基)が結合した基をいう。アルコキシ基とは、酸素原子に炭化水素基が結合した基をいい、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ビニルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。ケイ素原子に結合しているアルコキシ基の数は、1、2又は3であってよく、3が好ましい。アルコキシシリル基においては、ケイ素原子にアルコキシ基以外の基が結合していてもよく、このような基としては、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、水素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基がより好ましい。アルコキシシリル基の例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリベンジルオキシシリル基等が挙げられる。また、通常、アルコキシシリル基が加水分解することで、シラノール基が生じる。
【0023】
化合物αの好適な一形態としては、下記式(1)又は(2)で表される化合物α1、及び、化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2、が挙げられる。化合物αが、化合物α1及び化合物α2のうちの少なくとも一方である場合、比較的低温度及び短時間の加熱処理で且つ紫外線照射を行わなくても、良好な密着性が発現される。このためこれらの化合物を用いることで、効率的な処理が可能となる。
【0024】
(化合物α1)
化合物α1は、下記式(1)又は(2)で表される化合物である。即ち、化合物α1は、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
【0025】
【0026】
上記式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基、炭素数1から12のアルコキシ基、又はヒドロキシ基である。複数のR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。X1は、アジド基、アジドスルホニル基、又はジアゾメチル基である。Y1は、単結合、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、-NHR3-で表される基、又は下記式(3a)若しくは(3b)で表される基である。R3は、炭素数1から6のアルキル基である。Z1は、単結合、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の末端若しくは炭素-炭素結合間に-NH-、-O-、-S-及び-S(O)-のうちの1つ以上の基を含む基である。mは、1から3の整数である。R1、X1、Y1及びZ1が、それぞれ複数の場合、これらはそれぞれ独立して上記定義を満たす。但し、1又は複数のR1の少なくとも1つは、炭素数1から12のアルコキシ基である。
【0027】
上記式(2)中、複数のR4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基、炭素数1から12のアルコキシ基、又はヒドロキシ基であり、複数のR4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素数1から12のアルコキシ基である。複数のR7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。X2は、アジド基、アジドスルホニル基、又はジアゾメチル基である。複数のZ2は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の末端若しくは炭素-炭素結合間に-NH-、-O-、-S-及び-S(O)-のうちの1つ以上の基を含む基である。
【0028】
【0029】
上記式(3a)中、R8は、水素原子又はメチル基である。
R1、R4、R5及びR6で表される炭素数1から12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0030】
R1、R4、R5及びR6で表される炭素数1から12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
R2及びR7で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0031】
R2及びR7で表される1価の有機基としては、1価の炭化水素基、アルコキシ基、-Y1-Z1-Si-R1
3(Y1、Z1及びR1は、式(1)中のY1、Z1及びR1とそれぞれ同義である。)で表される基、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2(Z2、R4、R5及びR6は、式(2)中のZ2、R4、R5及びR6とそれぞれ同義である。)、後述する式(14)で表される基等が挙げられる。
【0032】
R3で表される炭素数1から6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
式(1)で表される化合物の好適な形態は以下の通りである。
【0033】
R1としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基が更に好ましい。
R2としては、水素原子が好ましい。
【0034】
X1としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X1は、Y1等を含む基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
Y1としては、アミド基が好ましく、*-CONH-(*は、ベンゼン環との結合部位を示す。)で表されるアミド基がより好ましい。
【0035】
Z1としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
mは、3が好ましい。
【0036】
式(2)で表される化合物の好適な形態は以下の通りである。
R4、R5及びR6としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基が更に好ましい。
【0037】
R7としては、水素原子が好ましい。
X2としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X2は、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2で表される基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
【0038】
Z2としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
化合物α1は、下記式(11)、(12)又は(13)で表される化合物であってもよい。
【0039】
【0040】
上記式(11)から(14)中、X10、X11及びX12は、それぞれ独立して、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基である。E11及びE12は、それぞれ独立して、カルボニル基、メチレン基又は炭素数2から12のアルキレン基である。Y11、Y12、Y13及びY14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、又は-J13-Si(OA10)3-k(R10)kで表される基である。J11、J12及びJ13は、それぞれ独立して、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の炭素-炭素結合間に酸素原子(-O-)を含む基である。Y15は、-R15又は-OA15で表される基である。Y16は、-R16又は-OA16で表される基である。A10、A15及びA16は、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基、ベンジル基又は水素原子である。R10、R15及びR16は、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基又はベンジル基である。kは、0から2の整数である。Q10は、水素原子又は式(14)で表される有機基である。式(11)及び(12)において、Y11とY12との少なくとも一方は、酸素原子を含む。式(13)において、Y15とY16との少なくとも一方は酸素原子を含む。式(13)において、ベンゼン環に結合している基X11及びX12は、それぞれ独立して、パラ位又はメタ位に結合している。
【0041】
(化合物α1の合成方法)
化合物α1の合成方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシリル基と、アルコキシシリル基以外の反応性基aとを有するシランカップリング剤Aと、上記反応性基aと結合反応可能な反応性基bと、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物Bとを公知の方法により反応させることにより得ることができる。反応性基aと反応性基bとの組み合わせとしては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基等と、カルボキシ基との組み合わせ等が挙げられる。
【0042】
シランカップリング剤Aとしては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-アミノプロピル)ジエトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
化合物Bとしては、アジド安息香酸、アジドスルホニル安息香酸、ジアゾメチル安息香酸、3-(4-アジドフェニル)プロピオン酸、これらのカルボン酸の塩化物、アジドアニリン、アジドフェノール等が挙げられる。
【0044】
(化合物α2)
化合物α2においては、通常、未反応のアルコキシシリル基が残存している。即ち、化合物α2も、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
【0045】
化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2は、化合物α1に由来する構造単位Aを有する。化合物α2は、構造が化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物と同一であれば、他の合成方法により得られたものであってもよい。化合物α2は、シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。化合物α2は、アルコキシシリル基及びヒドロキシシリル基の少なくとも一方を有することが好ましく、ヒドロキシシリル基を有することがより好ましい。
【0046】
構造単位Aとしては、下記式(4)で表される構造単位が挙げられる。下記式(4)で表される構造単位は、mが3である式(1)で表される化合物α1に由来する構造単位である。
【0047】
【0048】
式(4)中、R1、R2、X1、Y1及びZ1は、式(1)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1とそれぞれ同義である。aは、0から2の整数である。
式(4)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1の具体例は、式(1)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1の具体例と同様である。式(4)中のR1は、反応性等の観点からはヒドロキシ基又はアルコキシ基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。aは、1が好ましい。
【0049】
化合物α2における全構造単位に対する構造単位Aの含有量の下限は、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%が更に好ましい。一方、この含有量の上限は、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%が更に好ましい。
【0050】
化合物α2は、アミノ基(-NH2)を含む構造単位Bを有することが好ましい。化合物α2が構造単位Bを有する場合、化合物α2の水溶性が向上する等の利点がある。構造単位Bを与える加水分解性シラン化合物としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0051】
化合物α2における全構造単位に対する構造単位Bの含有量の下限は、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%が更に好ましい。一方、この含有量の上限は、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%が更に好ましい。
【0052】
化合物α2は、構造単位A及び構造単位B以外の構造単位Cを有していてもよい。構造単位Cを与える加水分解性シラン化合物としては、下記式(C)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【0054】
式(C)中、Rdは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数6から15のアリール基、又は反応性基を有する有機基であり、複数のRdはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Reは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から6のアシル基、又は炭素数6から15のアリール基であり、複数のReはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。xは0から3の整数を表す。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体及び置換体のどちらでもよく、特性に応じて選択できる。
【0055】
Rd及びReで表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-グリシドキシプロピル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピル基、3-メルカプトプロピル基、3-イソシアネートプロピル基等が挙げられる。Rdで表されるアルケニル基の具体例としては、ビニル基、3-アクリロキシプロピル基、3-メタクリロキシプロピル基等が挙げられる。Rd及びReで表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p-ヒドロキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基等が挙げられる。Rdで表される反応性基を有する有機基としては、イソシアネート基、イソシアヌレート構造とアルコキシシリル基とを有する基等が挙げられる。Rdで表される反応性基を有する有機基の炭素数としては、1以上40以下が好ましい。Reで表されるアシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。
【0056】
式(C)において、x=0の場合は4官能性シラン、x=1の場合は3官能性シラン、x=2の場合は2官能性シラン、x=3の場合は1官能性シランである。
式(C)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシラン等の4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn-ブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、p-メトキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸等の3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn-ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン等の2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn-ブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン等の1官能性シランが挙げられる。
【0057】
また、式(C)で表される加水分解性シラン化合物には、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート等、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を5個以上有する化合物も含まれる。
【0058】
加水分解性シラン化合物は、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物α2の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィ)で測定されるポリスチレン換算で1,000以上100,000以下、更に好ましくは2,000以上50,000以下である。
【0059】
(化合物α2の合成方法)
化合物α2は、(i)化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得る方法、(ii)加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であって、構造単位Bを有する化合物に対して、「アミノ基と結合反応可能な反応性基と、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物X」(アジド安息香酸、アジドスルホニル安息香酸、ジアゾメチル安息香酸等)を反応させて得る方法等が挙げられる。上記(ii)においては、構造単位B中のアミノ基が化合物Xと反応することにより、構造単位Aが形成される。
【0060】
化合物α2を得るための加水分解縮合には、一般的な方法を用いることができる。例えば、加水分解性シラン化合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、30から150℃で0.5から100時間程度加熱撹拌する。尚、撹拌中、必要に応じて、蒸留によって加水分解副生物(メタノール等のアルコール)及び縮合副生物(水)等の留去を行ってもよい。
【0061】
必要に応じて添加される触媒に特に制限はないが、酸触媒及び塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸又はその無水物、イオン交換樹脂等が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン、イオン交換樹脂等が挙げられる。触媒の添加量は、加水分解性シラン化合物100質量部に対して0.01から10質量部が好ましい。
【0062】
化合物α2を含む溶液の貯蔵安定性の観点から、加水分解縮合後の溶液には触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うことができる。除去方法としては特に制限は無いが、好ましくは水洗浄又はイオン交換樹脂の処理が挙げられる。水洗浄とは、溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法である。イオン交換樹脂での処理とは、溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
【0063】
加水分解縮合の反応に用いる溶媒は特に制限はないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物が用いられる。アルコール性水酸基を有する化合物は特に制限されないが、好ましくは大気圧下の沸点が110から250℃である化合物である。
【0064】
アルコール性水酸基を有する化合物の具体例としては、アセトール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、5-ヒドロキシ-2-ペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。尚、これらのアルコール性水酸基を有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
また、溶媒としては、アルコール性水酸基を有する化合物と共にその他の溶媒を用いてもよい。その他の溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-1-ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、アセト酢酸エチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、等のエーテル類、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等が挙げられる。
【0066】
化合物α1及び化合物α2としては、より具体的には下記式(15)、(16)、(17)、(18a)、(18b)、(18c)又は(19)で表される化合物を挙げることができる。式(15)、(16)、(17)、(18a)、(18b)又は(18c)で表される化合物は、化合物α1の具体例である。式(19)で表される化合物は、化合物α2の具体例である。式(15)、(16)及び(17)中、Etはエチル基を表す。
【0067】
【0068】
【0069】
式(19)で表される化合物は、式(19)中に示された3種類の構造単位が、それぞれ1個、m個、n個結合して構成されるシルセスキオキサン化合物であり、Xはアジド基であり、1は0以上の任意の整数、mは1以上の任意の整数、nは0以上の任意の整数である。Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は-O-である。Rfは、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数2以上10以下のアルケニル基、炭素数6以上15以下のアリール基、又は反応性基を有する有機基であり、複数のRfはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体及び置換体のどちらでもよく、特性に応じて選択できる。式(19)で表される化合物(「IMB-4KP」)は、例えば、1:m:n=1:1:0の場合には水溶性である。一般に、この化合物は、比1/(m+n)の値が0に近い場合(例えば、0.2未満又は0.1未満)を除いて水溶性である。すなわち、比1/(m+n)の値の下限は、水溶性の観点から、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1が更に好ましい。比1/(m+n)の値の上限は、5が好ましく、2がより好ましい。
【0070】
化合物αの他の形態としては、下記式(5)で表される化合物α3、及び、化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α4、が挙げられる。
(化合物α3)
化合物α3は、下記式(5)で表される化合物である。
【0071】
【0072】
式(5)中、X21は、第1官能基である。X22は、第1官能基又は-N(R21)2で表される基である。複数のR21は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上24以下の炭化水素基、又は-R22-Si(OR23)3-p(R24)pで表される基である。R22は、メチレン基又は炭素数2以上12以下のアルキレン基である。R23は、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基である。R24は、炭素数1以上4以下のアルキル基である。pは、0以上2以下の整数である。但し、式(5)で表される化合物が有する複数のR21のうちの少なくとも一つは、-R22-Si(OR23)3-p(R24)pで表される基である。
【0073】
X21又はX22で表される第1官能基としては、アミノ基、チオール基、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基が好ましく、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基がより好ましく、アジド基が更に好ましい。
【0074】
X22は、第1官能基であることが好ましい。
化合物α3としては、例えば(株)いおう化学研究所製のn-TES、P-TES、A-TES等を用いることができる。
【0075】
化合物α3の具体例としては、2,4-ジアジド-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン(以下、「IMB-P」と呼ぶ)、2,4-ジアジド-6-(4-トリエトキシシリルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン、6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2,4-ジアミノ-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0076】
(化合物α4)
化合物α4は、化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物である。化合物α4は、化合物α1に替えて化合物α3が用いられていること以外は化合物α2と同様の加水分解縮合物である。
【0077】
化合物αは、1種又は2種以上を用いることができる。
化合物αを含む接合材は、通常、化合物αと溶媒とを含む溶液である。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セルソルブ、カルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸メチル等のエステル、テトラヒドロフラン(THF)、エチルブチルエーテル、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエーテル、水等を用いることができる。また、加水分解縮合に用いられる溶媒として例示した溶媒も用いることができる。これらの中でも、アルコール、エーテル及び水が好ましい。溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0078】
接合材(化合物αを含む溶液)における化合物αの濃度としては、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。化合物αの濃度を上記範囲とすることで、適度な厚さの化合物αを含む接合層30を効果的に形成すること等ができるため、導体部12と導体部22との結合性(接着性)を高めることができる。
【0079】
接合材は、化合物α及び溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、化合物αを合成したときの未反応物、副反応生成物、界面活性剤等を挙げることができる。但し、当該接合材における全固形分(溶媒以外の全成分)に対する化合物αの含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。当該接合材における全固形分に対する化合物αの含有量は100質量%であってもよい。
【0080】
接合材を基材の表面に塗布する方法としては、従来公知のコーティング方法、例えば、インクジェット方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等が挙げられる。ディップコート方式を用いた場合の浸漬時間としては、例えば3秒以上60秒以下が好ましい。
【0081】
上記接合層は接合層を加熱する工程、加圧する工程、紫外線照射する工程、プラズマ照射する工程から選ばれる少なくとも一種、若しくは組み合わせることでより強固な接合性を発現できる。
【0082】
図1(B)に示すように、接合層30には、複数の官能基を有するオリゴマー、即ち、上記のようなアジド基及びアルコキシル基といった2種類の官能基31及び官能基32を有するオリゴマーが用いられる。接合層30が導体部12と導体部22との間に設けられた際には、そのオリゴマーが有する2種類の官能基31及び官能基32が導体部12及び導体部22の互いの対向面に化学結合される。接合層30では、ポリマーに比べて主鎖33の分子鎖長が短いオリゴマーの官能基31及び官能基32の化学結合によって導体部12と導体部22とを接合することができるため、導体部12と導体部22とを接合するための接合層30をnmオーダーといった薄い膜厚T1とすることができる。接合層30によれば、それをnmオーダーといった薄い膜厚T1としても、導体部12と導体部22とを強固に接合することができる。そして、導体部12と導体部22との接合を、このような薄い膜厚T1の接合層30を用いて実現することができるため、接合層30が介在されても、導体部12と導体部22との間の電気接続2を確保することができる。
【0083】
接合層30は、例えば、導体部12と導体部22との間の膜厚T1が0.1nm以上30.0nm以下の範囲となるように、導体部12と導体部22との間に設けられる。接合層30の膜厚T1が0.1nmを下回ると、導体部12と導体部22とを十分な接合強度で接合できなくなることが生じる恐れがある。接合層30の膜厚T1が30.0nmを上回ると、導体部12と導体部22との電気的な接続が実現されなくなることが生じる恐れがある。このような観点から、接合層30の膜厚T1は、0.1nm以上30.0nm以下の範囲とすることが好ましい。
【0084】
尚、導体部12と導体部22との間に設けられる接合層30には、接合層30の仕様或いは接合層30が用いられる電子装置1及び製造プロセスの仕様に応じて、上記のような主鎖33に2種類の官能基31及び官能基32が結合したオリゴマーのほか、溶剤、硬化剤、粘度調整剤等、他の成分が含有されてもよい。
【0085】
続いて、電子装置1における電子部品10の導体部12及び電子部品20の導体部22の、接合層30による接合形態の例について説明する。電子装置1の接合形態としては、例えば、次の
図2に示すようなものが挙げられる。
【0086】
図2は第1実施形態に係る電子装置の接合形態の例について説明する図である。
図2(A)から
図2(D)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
一例として、電子装置1の電子部品10及び電子部品20にそれぞれ、半導体チップ、半導体パッケージ、回路基板といった電子部品が用いられる場合、電子装置1には、
図2(A)から
図2(D)に示すような接合形態が採用され得る。
【0087】
図2(A)には、本体11に設けられる導体部12としてピラー電極を有する電子部品10と、本体21に設けられる導体部22としてピラー電極を有する電子部品20とを含む電子装置1を例示している。導体部12のピラー電極と、導体部22のピラー電極とが、上記のような接合層30で接合され、且つ、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0088】
図2(B)には、本体11に設けられる導体部12としてパッド電極を有する電子部品10と、本体21に設けられる導体部22としてピラー電極を有する電子部品20とを含む電子装置1を例示している。導体部12のパッド電極と、導体部22のピラー電極とが、上記のような接合層30で接合され、且つ、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0089】
図2(C)には、本体11に設けられる導体部12としてパッド電極を有する電子部品10と、本体21に設けられる導体部22としてパッド電極を有する電子部品20とを含む電子装置1を例示している。導体部12のパッド電極と、導体部22のパッド電極とが、上記のような接合層30で接合され、且つ、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0090】
図2(D)には、本体11に設けられる導体部12としてプレーナ電極を有する電子部品10と、本体21に設けられる導体部22としてプレーナ電極を有する電子部品20とを含む電子装置1を例示している。導体部12のプレーナ電極と、導体部22のプレーナ電極とが、上記のような接合層30で接合され、且つ、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0091】
尚、
図2(A)から
図2(D)にそれぞれ示した電子部品10と電子部品20との接合形態は、接合形態の一例である。電子部品10と電子部品20との接合形態は、
図2(A)から
図2(D)に示したようなものには限定されない。電子部品10と電子部品20とは、各々の構成に従い、それらの導体部12と導体部22とが対向され、接合層30で接合されて、電気的に接続される。
【0092】
続いて、電子装置1における電子部品10の導体部12及び電子部品20の導体部22の、表面形状の例について説明する。
図3は第1実施形態に係る電子装置における電子部品導体部の表面形状の例について説明する図である。
図3(A)及び
図3(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0093】
電子装置1では、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とが接合層30で接合される。導体部12及び導体部22は、例えば、上記
図1(A)に示したように、接合層30が設けられる各々の表面12a及び表面22aが、平坦面とされる。このほか、導体部12及び導体部22は、
図3(A)に示すように、接合層30が設けられる各々の表面12a及び表面22aが、凹凸を有する面とされてもよい。
【0094】
電子装置1では、導体部12と導体部22とが接合層30で接合される。そのため、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aは、必ずしもそれらを直接接合する場合のような高い平坦性を有していることを要しない。凹凸を有する表面12aと表面22aとの間の隙間を埋めるように設けられる接合層30によって、導体部12と導体部22とが接合される。このように、表面12a及び表面22aが凹凸を有する構成であっても、上記のような接合層30が用いられることで、導体部12と導体部22とが強固に接合される。
【0095】
表面12aに凹凸を有する導体部12と、表面22aに凹凸を有する導体部22とが、接合層30で接合される場合において、導体部12と導体部22とは、接合層30によって互いに隔離されてもよいし、
図3(A)に示すように、互いの一部同士が接触してもよい。導体部12と導体部22とが、互いの一部同士が接触した状態で接合される場合には、互いに隔離された状態で接合される場合に比べて、導体部12と導体部22との間の電気抵抗が低減されることが期待される。
【0096】
尚、
図3(A)には、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aの両方が凹凸を有する例を示したが、表面12a及び表面22aのうちいずれか一方のみが凹凸を有する構成とされてもよい。
【0097】
電子部品10において、導体部12の表面12aの凹凸は、本体11への導体部12の形成に伴って不可避的に形成されるものであってもよいし、導体部12の形成時又は形成後に行われる粗化処理(めっき処理やエッチング処理等)によって意図的に形成されるものであってもよい。同様に、電子部品20において、導体部22の表面22aの凹凸は、本体21への導体部22の形成に伴って不可避的に形成されるものであってもよいし、導体部22の形成時又は形成後に行われる粗化処理(めっき処理やエッチング処理等)によって意図的に形成されるものであってもよい。
【0098】
また、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aの少なくともいずれか一方には、所定の形状となるようにパターニングされた凹凸が設けられてもよい。一例として、
図3(B)には、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aのうち、一方の導体部22の表面22aに、パターニングにより凹部22b及び凸部22cが形成された構成例を示す。導体部22の凹部22bを接合層30が設けられる領域として利用すると共に、導体部22の凸部22cを導体部12に接触させる領域として利用することで、導体部12と導体部22との接合層30による強固な接合、及び、導体部12と導体部22との接触による電気抵抗の低減が図られる。
【0099】
続いて、電子装置1の製造方法について説明する。
図4は第1実施形態に係る電子装置の製造方法の例について説明する図である。
図4(A)には、電子部品準備工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
図4(B)には、接合層配置工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
図4(C)には、電子部品接合工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0100】
電子装置1の製造では、まず、
図4(A)に示すような電子部品10及び電子部品20が準備される。電子部品10は、本体11及び導体部12を有する。電子部品20は、本体21及び導体部22を有する。
【0101】
電子部品10及び電子部品20が、半導体チップ、半導体パッケージ、回路基板、チップ部品(積層セラミックコンデンサ、固体電池等)といった電子部品である場合、導体部12及び導体部22は、当該電子部品の電極(ピラー電極、パッド電極、外部電極等)である。電子部品10及び電子部品20が、リードフレーム、クリップ等の導電部材(電子部品)である場合、導体部12及び導体部22は、当該導電部材の一部(他部が本体)である。電子部品10及び電子部品20は、互いに同種の電子部品であってもよいし、互いに異種の電子部品であってもよい。導体部12及び導体部22は、互いに同種の導体材料であってもよいし、互いに異種の導体材料であってもよい。
【0102】
電子部品10及び電子部品20の準備後、例えば、
図4(B)に示すように、電子部品10の導体部12の表面12aに、未硬化状態の接合層30、即ち、接合層30を形成する接合材(化合物αを含む接合材)が配置される。例えば、液状の接合層30(接合材)が、スプレー、ディップ、印刷、滴下等の手法が用いられて、電子部品10の導体部12の表面12aに塗布され、配置される。電子部品10の導体部12の表面12aに配置される未硬化の接合層30の膜厚は、例えば、導体部12の表面12aの形状(表面平坦度、表面粗さ、表面凹凸の有無等)、硬化後に得られる接合層30、即ち、接合材により形成される接合層30の膜厚等に基づいて設定される。
【0103】
ここで、電子部品10の導体部12の表面12aに接合層30が配置される際には、電子部品10及び接合層30を取り扱う雰囲気が調整されてもよい。例えば、非酸化性雰囲気で電子部品10及び接合層30を取り扱うようにすると、導体部12の表面酸化を抑えたり、接合層30の変質や劣化を抑えたりすることが可能になる。尚、このような導体部12の表面酸化、接合層30の変質や劣化が、生じないか或いは生じ難い場合には、電子部品10及び接合層30を、大気中等の雰囲気で取り扱うようにすることもできる。また、電子部品10の導体部12の表面12aに接合層30が配置される際には、温度が調整されてもよい。電子部品10及び接合層30の取り扱いは、常温で行うことができるほか、導体部12の表面酸化、接合層30の変質や劣化が、より一層抑えられるような温度で行うこともできる。
【0104】
接合層30の配置後、例えば、
図4(C)に示すように、接合層30が配置された電子部品10と対向するように、電子部品20が配置される。電子部品20は、その導体部22が、電子部品10の導体部12と、接合層30を介して対向するように、配置される。そして、電子部品20の導体部22の表面22aが接合層30に接触され、接合層30が硬化されて、導体部22と導体部12とが接合層30で接合される。
【0105】
ここで、電子部品20の導体部22の表面22aが接合層30に接触される際には、電子部品20並びに接合層30が設けられた電子部品10を取り扱う雰囲気及び温度が、導体部22等の表面酸化、接合層30の変質や劣化が抑えられるような雰囲気及び温度に調整されてもよい。また、電子部品20の導体部22の表面22aが接合層30に接触される際、電子部品20は、対向する電子部品10側に加圧されてもよい。この加圧により、導体部12と導体部22とを接合する接合層30の膜厚が調整されてもよい。
【0106】
電子部品10の導体部12の表面12aに配置され、電子部品20の導体部22の表面22aが接触された接合層30は、例えば、所定の雰囲気中、常温で又は加熱により硬化される。接合層30の硬化温度は、その組成に基づき、常温から200℃程度の範囲、例えば、150℃から200℃の範囲に設定される。このほか、接合層30は、紫外線等の光により硬化される組成とされてもよい。接合層30の膜厚が、nmオーダーといった薄い膜厚に設定されることで、接合層30の硬化時に生じるアウトガス量が抑えられる。
【0107】
例えば、以上のような工程により、上記
図1(A)に示したような構成を有する電子装置1、即ち、電子部品20の導体部22と電子部品10の導体部12とが、硬化状態の接合層30(接合材により形成される接合層30)によって接合された、電子装置1が得られる。
【0108】
尚、
図4(A)から
図4(C)には、電子部品10及び電子部品20のうち、電子部品10の導体部12の表面12aに接合層30を配置し、これに電子部品20の導体部22の表面22aを接触させ、接合する例を示した。このほか、電子部品20の導体部22の表面22aに接合層30を配置し、その接合層30を、接合層30を配置していない電子部品10の導体部12に接触させ、接合するようにしてもよい。或いは、電子部品10の導体部12の表面12aに接合層30を配置し、且つ、電子部品20の導体部22の表面22aに接合層30を配置して、互いの接合層30同士を接触させ、接合するようにすることもできる。
【0109】
また、電子部品10の導体部12の表面12a及び電子部品20の導体部22の表面22aは、接合層30による接合前に、平坦化されてもよい。一例として、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aに対し、研磨処理を行い、表面12a及び表面22aを平坦化する。例えば、導体部12及び導体部22は、それらの表面12a及び表面22aの凹凸が、硬化後に得られる接合層30の膜厚よりも小さくなるように、平坦化される。これにより、導体部12と導体部22とを、接合層30によって隔離した状態で、接合層30のみによって、接合することが可能になる。
【0110】
また、電子部品10の導体部12の表面12a及び電子部品20の導体部22の表面22aは、接合層30による接合前に、不可避的に或いは意図的に粗化されていてもよい(
図3(B))。これにより、導体部12と導体部22とを、一部では接触させ、他部では隔離させた状態で、接合層30によって接合し、電気抵抗の低減と強固な接合とを図ることが可能になる。
【0111】
また、電子部品10の導体部12の表面12a及び電子部品20の導体部22の表面22a(平坦化された或いは粗化された表面12a及び表面22a)は、接合層30による接合前に、活性化されてもよい。一例として、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aに対し、コロナ処理やプラズマ処理を行い、表面12a及び表面22aの酸化膜や不純物を除去し、表面エネルギーの高い高活性な清浄表面を得る。これにより、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aと接合層30との結合力を高めたり、接合層30を介して電気的に接続される導体部12と導体部22との間の電気抵抗を低減したりすることが可能になる。
【0112】
但し、上記の通り、電子装置1では、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とが接合層30で接合される。そのため、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aは、必ずしもそれらを直接接合する場合のような高い平坦性を有していることを要しない。更に、導体部12の表面12a及び導体部22の表面22aは、必ずしもそれらを直接接合する場合のような高い活性又は清浄性を有していることを要しない。導体部12及び導体部22に用いられる導体材料の種類、それらの間に要求される接合強度及び電気抵抗等に基づき、表面平坦化処理、表面粗化処理、表面活性化処理を行うか否かを選択することができる。
【0113】
上記の通り、電子装置1では、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22との接合に、室温から200℃程度といった比較的低温で硬化、接合が可能な接合層30が用いられる。そのため、接合層30を用いた接合では、導体部12と導体部22とを直接接合する場合や、半田や焼結材を用いて接合(ろう接)する場合のような、比較的高い接合温度とすることを要しない。接合層30を用いた接合では、比較的低い接合温度とすることができるため、電子部品10及び電子部品20、或いは、電子装置1に含まれる他の電子部品に対する、熱的なプロセス負荷を抑えることができる。更に、接合層30を用いた接合では、導体部12と導体部22とを直接接合する場合のような高い真空環境、高い加圧力を要しない。そのため、接合時の雰囲気や加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。
【0114】
電子装置1では、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とを低プロセス負荷で接合することができるため、接合時のプロセスが煩雑になることを抑えたり、接合時のプロセス負荷に起因した電子部品10及び電子部品20或いは電子装置1に含まれる他の電子部品の機械的損傷や性能劣化を抑えたりすることができる。
【0115】
上記のような接合層30によれば、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とが低プロセス負荷で接合される電子装置1が実現される。そして、電子部品10の導体部12と電子部品20の導体部22とが接合層30で強固に接合され、接合層30を介して導体部12と導体部22とが電気的に接続される電子装置1が実現される。
【0116】
ここで、一例として、金-金接合について評価した結果について述べる。評価のため、シリコン(Si)ウェハに金を成膜したものを複数準備した。試料の1つとして、一対のシリコンウェハの金同士を、表面研磨処理を行うことなく、直接接合したものを準備した。また、試料の別の1つとして、一対のシリコンウェハの金同士を、表面研磨処理を行うことなく、膜厚3nmの接合層30で接合したものを準備した。また、試料の更に別の1つとして、一対のシリコンウェハの金同士を、表面研磨処理を行うことなく、膜厚12nmの接合層30で接合したものを準備した。また、比較のため、シリコンウェハ同士を膜厚3nmの接合層30で接合したもの、及び、シリコンウェハ同士を膜厚12nmの接合層30で接合したものを準備した。
【0117】
金同士を接合層30で接合した試料と、シリコンウェハ同士を接合層30で接合した試料とについて、引き剥がしを行った。その結果、接合層30の膜厚が3nm及び12nmのいずれの場合も、金同士を接合層30で接合した試料では、シリコンウェハ同士を接合層30で接合した試料に比べて、高い接合強度が得られることが確認された。
【0118】
また、金同士を接合層30で接合した試料と、金同士を直接接合した試料とについて、電気抵抗を測定した。その結果、金単体の電気抵抗2.07Ωに対し、金同士を膜厚3nmの接合層30で接合した試料の金-金間電気抵抗は1.91Ω、金同士を膜厚12nmの接合層30で接合した試料の金-金間電気抵抗は2.16Ω、金同士を直接接合した試料の金-金間電気抵抗は2.82Ωであった。金同士を膜厚3nm及び12nmの接合層30で接合した試料では、金単体や金同士を直接接合した試料の電気抵抗と同等又はそれよりも低い電気抵抗が得られることが確認された。
【0119】
以下、上記のような接合層30を適用した電子装置の例を、第2から第9実施形態として説明する。
[第2実施形態]
図5は第2実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図5(A)及び
図5(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0120】
図5(A)に示す電子装置100Aは、回路基板110と、回路基板110に実装された半導体装置120とを含む。
回路基板110には、プリント基板等の各種回路基板が用いられる。回路基板110は、本体111と、本体111の一方の面側(半導体装置120と対向する面側)に設けられた電極112とを有する。電極112には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0121】
ここでは図示を省略するが、回路基板110の本体111には、銅等の金属材料が用いられた配線層が設けられる。回路基板110の電極112は、回路基板110の本体111に設けられる配線層と接続される。回路基板110の電極112は、半導体装置120の電極122と対応する位置に設けられる。回路基板110の電極112は、例えば、パッド電極である。このほか、回路基板110の電極112は、本体111から所定の高さで突出したピラー電極であってもよい。
【0122】
回路基板110に実装される半導体装置120には、例えば、半導体チップが用いられる。このほか、半導体装置120には、回路基板とそれに実装された半導体チップとを含む半導体パッケージが用いられてもよい。半導体装置120は、本体121と、本体121の一方の面側(回路基板110と対向する面側)に設けられた電極122とを有する。電極122には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0123】
半導体装置120の本体121は、スイッチング機能を有するトランジスタ素子を含んでもよく、トランジスタ素子群が集積された集積回路を含んでもよい。半導体装置120の本体121は、プロセッサ機能を有する集積回路を含んでもよく、或いは、メモリ機能を有する集積回路を含んでもよい。このほか、半導体装置120の本体121は、受光機能、発光機能又は受発光機能を有する光素子を含んでもよい。半導体装置120の本体121は、圧力等のセンシング機能を有するMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)センサ素子を含んでもよい。
【0124】
半導体装置120の電極122は、半導体装置120の本体121に含まれる素子又は集積回路と接続される。半導体装置120の電極122は、回路基板110の電極112と対応する位置に設けられる。半導体装置120の電極122は、例えば、パッド電極である。このほか、半導体装置120の電極122は、本体121から所定の高さで突出したピラー電極であってもよい。
【0125】
図5(A)に示すように、電子装置100Aでは、回路基板110の電極112と、半導体装置120の電極122とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極112と電極122との間にnmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極112と電極122とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0126】
電子装置100Aにおいて、回路基板110は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極112は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置120は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極122は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0127】
接合層30を用いた電極112と電極122との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極112と電極122とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極112と電極122とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0128】
また、
図5(B)に示す電子装置100Bは、回路基板130と、回路基板130に実装された複数の半導体装置、ここでは一例として3つの半導体装置140(下層)、半導体装置150(中層)及び半導体装置160(上層)とを含む。
【0129】
回路基板130には、プリント基板等の各種回路基板が用いられる。回路基板130は、本体131と、本体131の一方の面側に設けられたパッド電極等の電極132とを有する。回路基板130の電極132には、銅、金等の金属材料が用いられる。回路基板130の電極132は、本体131に設けられる配線層(図示せず)と接続される。回路基板130の電極132は、半導体装置140の電極142aと対応する位置に設けられる。
【0130】
下層の半導体装置140には、例えば、半導体チップ又は半導体パッケージが用いられる。半導体装置140は、各種素子又は集積回路を含む本体141と、本体141の一方の面側に設けられて本体141の素子又は集積回路と接続されるパッド電極等の電極142aとを有する。半導体装置140の電極142aは、回路基板130の電極132と対応する位置に設けられる。半導体装置140は更に、本体141の他方の面側に設けられるパッド電極等の電極142bを有する。電極142bは、例えば、本体141を貫通する貫通電極143を介して反対面側の電極142aと電気的に接続されるか、或いは、当該電極142aと接続される本体141の素子又は集積回路と電気的に接続される。半導体装置140の電極142a、電極142b及び貫通電極143には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0131】
中層の半導体装置150には、例えば、半導体チップ又は半導体パッケージが用いられる。半導体装置150は、各種素子又は集積回路を含む本体151と、本体151の一方の面側に設けられて本体151の素子又は集積回路と接続されるパッド電極等の電極152aとを有する。半導体装置150の電極152aは、半導体装置140の電極142bと対応する位置に設けられる。半導体装置150は更に、本体151の他方の面側に設けられるパッド電極等の電極152bを有する。電極152bは、例えば、本体151を貫通する貫通電極153を介して反対面側の電極152aと電気的に接続されるか、或いは、当該電極152aと接続される本体151の素子又は集積回路と電気的に接続される。半導体装置150の電極152a、電極152b及び貫通電極153には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0132】
上層の半導体装置160には、例えば、半導体チップ又は半導体パッケージが用いられる。半導体装置160は、各種素子又は集積回路を含む本体161と、本体161の一方の面側に設けられて本体161の素子又は集積回路と接続されるパッド電極等の電極162とを有する。半導体装置160の電極162は、半導体装置150の電極152bと対応する位置に設けられる。半導体装置160の電極162には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0133】
半導体装置140、半導体装置150及び半導体装置160は、互いに同種の素子又は集積回路を含むものであってもよいし、互いに異種の素子又は集積回路を含むものであってもよい。また、半導体装置140、半導体装置150及び半導体装置160のうち、下層の半導体装置140及び中層の半導体装置150の一方又は双方には、半導体チップや半導体パッケージに代えて、プリント基板やインターポーザ基板等の回路基板(中継基板)が用いられてもよい。
【0134】
図5(B)に示すように、電子装置100Bでは、回路基板130の電極132と、半導体装置140の電極142aとが、上記のような接合層30を用いて接合される。半導体装置140の電極142bと、半導体装置150の電極152aとが、上記のような接合層30を用いて接合される。半導体装置150の電極152bと、半導体装置160の電極162とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極132と電極142aとの間、電極142bと電極152aとの間、及び、電極152bと電極162との間に、それぞれnmオーダーといった薄い膜厚で設けられる。電極132と電極142a、電極142bと電極152a、及び、電極152bと電極162は、それぞれの間に設けられる接合層30を介して電気的に接続される。
【0135】
電子装置100Bにおいて、回路基板130は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極132は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置140は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極142aは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0136】
或いは、電子装置100Bにおいて、半導体装置140は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極142bは、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置150は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極152aは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0137】
或いは、電子装置100Bにおいて、半導体装置150は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極152bは、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置160は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極162は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0138】
電極132と電極142a、電極142bと電極152a、及び、電極152bと電極162の、接合層30を用いた接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極132と電極142a、電極142bと電極152a、及び、電極152bと電極162を、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極132と電極142a、電極142bと電極152a、及び、電極152bと電極162を強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0139】
[第3実施形態]
図6は第3実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図6(A)及び
図6(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0140】
図6(A)に示す電子装置200Aは、半導体装置210と、半導体装置210に実装された半導体装置220とを含む。半導体装置210及び半導体装置220はそれぞれ、半導体パッケージの一例である。
【0141】
下層の半導体装置210は、回路基板211と、回路基板211に実装された半導体チップ212と、半導体チップ212を封止する封止材213とを含む。回路基板211には、パッド電極等の電極211a及び電極211bが設けられる。電極211a及び電極211bには、銅、金等の金属材料が用いられる。電極211aは、半導体チップ212の電極212aと対応する位置に設けられる。電極211bは、半導体チップ212の実装領域の外側、この例では、半導体チップ212を封止する封止材213の外側に、設けられる。
【0142】
半導体装置210では、回路基板211の電極211aと、半導体チップ212の電極212aとが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極211aと電極212aとの間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極211aと電極212aとは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0143】
半導体装置210において、回路基板211は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極211aは、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体チップ212は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極212aは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0144】
上層の半導体装置220は、回路基板221と、回路基板221に実装された半導体チップ222と、半導体チップ222を封止する封止材223とを含む。半導体チップ222は、接着材224を用いて回路基板221の一方の面側に固定される。回路基板221の一方の面側には、半導体チップ222の外側に、パッド電極等の電極221aが設けられる。電極221aには、銅、金等の金属材料が用いられる。半導体チップ222は、回路基板221の電極221aに、ワイヤ225を用いて接続される。回路基板221の、半導体チップ222が実装される面側とは反対の面側には、ピラー電極等の一定の高さを有する電極221bが設けられる。電極221bには、銅、金等の金属材料が用いられる。電極221bは、下層の半導体装置210の電極211bと対応する位置に設けられる。
【0145】
電子装置200Aでは、下層の半導体装置210の電極211bと、上層の半導体装置220の電極221bとが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極211bと電極221bとの間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極211bと電極221bとは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0146】
電子装置200Aにおいて、半導体装置210は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極211bは、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置220は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極221bは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0147】
電子装置200Aにおける、電極211aと電極212a、及び、電極211bと電極221bの、接合層30を用いた接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極211aと電極212a、及び、電極211bと電極221bを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極211aと電極212a、及び、電極211bと電極221bを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0148】
また、
図6(B)に示す電子装置200Bは、半導体装置230と、半導体装置230に実装された半導体装置240とを含む。半導体装置230及び半導体装置240はそれぞれ、半導体パッケージの一例である。
【0149】
下層の半導体装置230は、回路基板211及びそれに実装された半導体チップ212を覆うように封止材213が設けられ、その封止材213を貫通して電極211bと接続されるように貫通電極214が設けられ、その貫通電極214と接続されるように電極215が設けられた構成を有する。貫通電極214及び電極215には、銅、金等の金属材料が用いられる。半導体装置230は、このような構成を有する点で、上記半導体装置210と相違する。また、上層の半導体装置240は、回路基板221の、半導体チップ222が実装される面側とは反対の面側に、パッド電極等の比較的低背の電極221cが設けられた構成を有する。電極221cには、銅、金等の金属材料が用いられる。半導体装置240は、このような構成を有する点で、上記半導体装置220と相違する。
【0150】
電子装置200Bでは、半導体装置230内の電極211aと電極212aとが上記のような接合層30を用いて接合されるほか、半導体装置230の電極215と半導体装置240の電極221cとが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極211aと電極212aとの間、及び、電極215と電極221cとの間に、それぞれnmオーダーといった薄い膜厚で設けられる。電極211aと電極212a、及び、電極215と電極221cは、それぞれの間に設けられる接合層30を介して電気的に接続される。
【0151】
電子装置200Bにおいて、半導体装置230は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極215は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置240は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極221cは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0152】
電子装置200Bにおける、電極211aと電極212a、及び、電極215と電極221cの、接合層30を用いた接合では、ろう接や直接接合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極211aと電極212a、及び、電極215と電極221cを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極211aと電極212a、及び、電極215と電極221cを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0153】
[第4実施形態]
図7は第4実施形態に係る電子装置製造の例について説明する図である。
図7(A)及び
図7(B)にはそれぞれ、電子装置製造の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0154】
上記のような接合層30は、回路基板と半導体装置(半導体チップ又は半導体パッケージ)との接合、半導体装置同士の接合のほか、ウェハと半導体装置との接合、ウェハ同士の接合にも適用することができる。
【0155】
図7(A)には、接合層30を用いたウェハ300と半導体装置320との接合を例示している。
ウェハ300には、複数の半導体装置310が形成される。ウェハ300は、例えば、半導体チップ形成用のウェハ、即ち、トランジスタ素子等を形成した半導体基板とその上に設けられた多層配線とを含むような構成を有するウェハである。このほか、ウェハ300は、WLP(Wafer Level Package)形成用のウェハ、即ち、半導体チップが埋設された樹脂層とその上に設けられた再配線層とを含むような構成を有するウェハ(疑似ウェハ等とも称される)であってもよい。ウェハ300の複数の半導体装置310は、半導体チップ又は半導体パッケージである。複数の半導体装置310は、スクライブライン311によって画定される。このようなウェハ300の半導体装置310上に、接合層30を用いて半導体装置320が接合される。半導体装置320は、半導体チップ又は半導体パッケージである。
【0156】
尚、
図7(A)には便宜上、ウェハ300の半導体装置310と、半導体装置320との、接合層30による接合状態を、簡略化して模式的に図示している。
電子装置製造においては、ウェハ300の半導体装置310の、半導体装置320との対向面側に設けられる電極(図示せず)と、半導体装置320の、ウェハ300の半導体装置310との対向面側に設けられる電極(図示せず)とが、接合層30によって接合される。半導体装置310及び半導体装置320の電極には、銅、金等の金属材料が用いられる。例えば、上記第2及び第3実施形態(
図5及び
図6)で述べたような例に従い、ウェハ300の半導体装置310と、半導体装置320との、互いの対向する電極同士が、接合層30で接合される。
【0157】
ここで、ウェハ300又はその半導体装置310は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置320は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0158】
図7(A)には便宜上、1つの半導体装置320を図示するが、ウェハ300上には、その複数の半導体装置310上にそれぞれ接合層30を用いて複数の半導体装置320が接合されてもよい。また、ウェハ300の半導体装置310上に接合された半導体装置320の上には、例えば、上記第2及び第3実施形態(
図5及び
図6)で述べたような例に従い、接合層30を用いて更に別の半導体装置が接合されてもよい。
【0159】
ウェハ300の半導体装置310上に、接合層30を用いて半導体装置320(又は更に別の半導体装置)が接合された後、ウェハ300のスクライブライン311に沿ってダイシングが行われ、個片化が行われる。これにより、接合層30を用いて接合された半導体装置310と半導体装置320とを含む、個々の電子装置が製造される。
【0160】
また、
図7(B)には、接合層30を用いたウェハ300とウェハ330との接合を例示している。
ウェハ300上には、上記のような半導体装置320に代えて、別のウェハ330が接合されてもよい。ウェハ330には、複数の半導体装置340が形成される。ウェハ330は、例えば、半導体チップ形成用のウェハ、或いは、WLP形成用のウェハである。ウェハ330の複数の半導体装置340は、半導体チップ又は半導体パッケージである。複数の半導体装置340は、スクライブライン341によって画定される。ウェハ330のスクライブライン341は、ウェハ330と接合されるウェハ300のスクライブライン311と対応する位置に設けられる。このようなウェハ330が、上記のような複数の半導体装置310が形成されたウェハ300上に、対応するスクライブライン341及びスクライブライン311の位置を揃えて、接合層30を用いて接合される。
【0161】
尚、
図7(B)には便宜上、ウェハ300とウェハ330との接合層30による接合状態を、簡略化して模式的に図示している。
電子装置製造においては、ウェハ300の半導体装置310の、ウェハ330との対向面側に設けられる電極(図示せず)と、ウェハ330の半導体装置340の、ウェハ300との対向面側に設けられる電極(図示せず)とが、接合層30によって接合される。半導体装置310及び半導体装置340の電極には、銅、金等の金属材料が用いられる。例えば、上記第2及び第3実施形態(
図5及び
図6)で述べたような例に従い、ウェハ300の半導体装置310と、ウェハ330の半導体装置340との、互いの対向する電極同士が、接合層30で接合される。
【0162】
ここで、ウェハ300又はその半導体装置310は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。ウェハ330又はその半導体装置340は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0163】
図7(B)には便宜上、ウェハ300上に接合された1枚のウェハ330を図示するが、ウェハ300上に接合されたウェハ330の上には、接合層30を用いて更に別のウェハが接合されてもよい。
【0164】
ウェハ300上に、接合層30を用いてウェハ330(又は更に別のウェハ)が接合された後、ウェハ330のスクライブライン341及びウェハ300のスクライブライン311に沿ってダイシングが行われ、個片化が行われる。これにより、接合層30を用いて接合された半導体装置310と半導体装置340とを含む、個々の電子装置が製造される。
【0165】
このように接合層30は、ウェハ300と半導体装置320又はウェハ330等との接合に適用することもできる。
[第5実施形態]
図8は第5実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図8(A)及び
図8(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0166】
図8(A)に示す電子装置400Aは、電力変換回路やインバータ回路に用いられる半導体モジュールの一例である。電子装置400Aは、絶縁回路基板410と、絶縁回路基板410に実装された複数(一例としてハイサイド(右側)とローサイド(左側)の2つ)の半導体装置420とを含む。電子装置400Aは更に、ベース板430、ケース440及び封止材450を含む。
【0167】
絶縁回路基板410は、絶縁基板411と、絶縁基板411の一方の面側に設けられた導体層412と、絶縁基板411の他方の面側に設けられた導体層413とを有する。絶縁基板411には、アルミナ、アルミナを主成分とする複合セラミックス、窒化アルミニウム、窒化珪素等の基板が用いられる。導体層412及び導体層413には、銅等の金属材料が用いられる。絶縁回路基板410には、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板等が用いられる。
【0168】
半導体装置420には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等を含むパワー半導体デバイスが用いられる。半導体装置420には、FWD(Free Wheeling Diode)やSBD(Schottky Barrier Diode)等のダイオード素子が集積されてもよい。半導体装置420は、一方の面側に設けられた負荷電極421と、他方の面側に設けられた負荷電極422及び制御電極423とを有する。負荷電極421、負荷電極422及び制御電極423には、銅、金、アルミニウム等の金属材料が用いられる。半導体装置420がIGBTやMOSFET等を含む場合、例えば、負荷電極421はコレクタ電極又はドレイン電極として機能し、負荷電極422はエミッタ電極又はソース電極として機能し、制御電極423はベース電極又はゲート電極として機能する。
【0169】
絶縁回路基板410の一方の面側の導体層412は、複数の領域に分割される。例えば、導体層412の分割された領域にそれぞれ、上記のような接合層30を用いて、半導体装置420の負荷電極421が接合される。
【0170】
半導体装置420が搭載された絶縁回路基板410は、ベース板430上に接合される。ベース板430には、銅、アルミニウム等の金属材料が用いられる。絶縁回路基板410は、半導体装置420が搭載される導体層412側とは反対側の導体層413が、半田や焼結材等の接合層480を介して、ベース板430と接合される。ベース板430上には、半導体装置420が搭載された絶縁回路基板410を囲むケース440が、接着剤等を用いて固定される。ケース440には、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料が用いられる。例えば、ケース440には、端子441が設けられる。
【0171】
半導体装置420群のうち、ハイサイドの半導体装置420(
図8(A)右側)の負荷電極421が接合層30を用いて接合される導体層412(ハイサイドの導体層412とも言う)は、ケース440に設けられた端子441(P端子)に、ワイヤ460で接続される。ハイサイドの半導体装置420の負荷電極422は、ローサイドの半導体装置420(
図8(A)左側)の負荷電極421が接合層30を用いて接合される導体層412(ローサイドの導体層412とも言う)に、ワイヤ461で接続される。ローサイドの半導体装置420の負荷電極422は、ケース440に設けられた端子441(N端子)に、ワイヤ462で接続される。これにより、ハイサイド及びローサイドの半導体装置420が、一方の端子441(P端子)と他方の端子441(N端子)との間に、導体層412、ワイヤ460、ワイヤ461及びワイヤ462を用いて、直列接続される。尚、ここでは図示を省略するが、ハイサイド及びローサイドの半導体装置420の制御電極423も同様に、ケース440に設けられた所定の端子に、別のワイヤで接続される。
【0172】
ベース板430上のケース440の内側に設けられ、ワイヤ460、ワイヤ461及びワイヤ462等が接続された絶縁回路基板410及び半導体装置420群は、封止材450によって封止される。封止材450には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。
【0173】
上記のような構成を有する電子装置400Aにおける、絶縁回路基板410の導体層412と、半導体装置420の負荷電極421との接合に、接合層30が用いられる。接合層30は、導体層412と負荷電極421との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、導体層412と負荷電極421とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0174】
電子装置400Aにおいて、絶縁回路基板410は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その導体層412は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置420は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その負荷電極421は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0175】
接合層30を用いた導体層412と負荷電極421との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、導体層412と負荷電極421とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、導体層412と負荷電極421とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0176】
また、
図8(B)に示す電子装置400Bは、上記のようなワイヤ460、ワイヤ461及びワイヤ462に代えて、クリップ470、クリップ471及びクリップ472が用いられた構成を有する。尚、クリップ470、クリップ471及びクリップ472は、導電部材の一例であって、クリップのほか、リード、リードフレーム、バスバー等とも称される。
【0177】
クリップ470は、一端部470aが接合層30を用いてケース440の端子441(P端子)と接合され、他端部470bが接合層30を用いて絶縁回路基板410のハイサイドの導体層412と接合される。クリップ471は、一端部471aが接合層30を用いてハイサイドの半導体装置420(
図8(B)右側)の負荷電極422と接合され、他端部471bが接合層30を用いて絶縁回路基板410のローサイドの導体層412(
図8(B)左側)と接合される。クリップ472は、一端部472aが接合層30を用いてローサイドの半導体装置420(
図8(B)左側)の負荷電極422と接合され、他端部472bが接合層30を用いてケース440の端子441(N端子)と接合される。尚、ここでは図示を省略するが、ハイサイド及びローサイドの半導体装置420の制御電極423も同様に、ケース440に設けられた所定の端子に、別のクリップで接続される。
【0178】
電子装置400Bは、このような構成を有する点で、上記
図8(A)に示した電子装置400Aと相違する。
電子装置400Bにおいて、クリップ470、クリップ471及びクリップ472が接続されるケース440、絶縁回路基板410及び半導体装置420は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、それらの端子441、導体層412及び負荷電極422は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。クリップ470、クリップ471及びクリップ472は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、それらの一端部470a、471a、472a及び他端部470b、471b、472bは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。尚、それらの一端部470aと他端部470bとの間、一端部471aと他端部471bとの間、及び、一端部472aと他端部472bとの間の部位が、それぞれクリップ470、クリップ471及びクリップ472の本体に相当する。
【0179】
接合層30を用いたクリップ470、クリップ471及びクリップ472の接合では、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、クリップ470、クリップ471及びクリップ472を、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、クリップ470、クリップ471及びクリップ472を強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0180】
[第6実施形態]
図9は第6実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図9(A)及び
図9(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0181】
図9(A)に示す電子装置500Aは、リードフレーム510と、リードフレーム510に実装された半導体装置520と、リードフレーム510の一部及び半導体装置520を封止する封止材530とを含む。
【0182】
リードフレーム510には、銅、アルミニウム等の金属材料が用いられる。リードフレーム510は、半導体装置520が搭載されるダイパッド511と、封止材530の外部に引き出されるリード512及びリード513とを有する。
【0183】
半導体装置520は、半導体チップ又は半導体パッケージである。例えば、半導体装置520には、IGBTやMOSFET等を含むパワー半導体デバイス、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等を含む半導体デバイスが用いられる。半導体装置520には、FWDやSBD等のダイオード素子が集積されてもよい。半導体装置520は、一方の面側に設けられた負荷電極521と、他方の面側に設けられた負荷電極522及び制御電極523とを有する。負荷電極521、負荷電極522及び制御電極523には、銅、金、アルミニウム等の金属材料が用いられる。半導体装置520がIGBTやMOSFET等を含む場合、例えば、負荷電極521はコレクタ電極又はドレイン電極として機能し、負荷電極522はエミッタ電極又はソース電極として機能し、制御電極523はベース電極又はゲート電極として機能する。半導体装置520がHEMT等を含む場合、例えば、負荷電極521はソース電極として機能し、負荷電極522はドレイン電極として機能し、制御電極523はゲート電極として機能する。
【0184】
半導体装置520は、リードフレーム510のダイパッド511に搭載される。その際、リードフレーム510のダイパッド511と、半導体装置520の負荷電極521とが、上記のような接合層30を用いて接合される。
【0185】
半導体装置520の負荷電極522はダイパッド511と分離されたリード512に、ワイヤ540で接続される。尚、ここでは図示を省略するが、半導体装置520の制御電極523も同様に、ダイパッド511と分離された所定のリードに、別のワイヤで接続される。
【0186】
リードフレーム510及びそのダイパッド511に搭載された半導体装置520は、半導体装置520から延びるワイヤ540が接続されたリード512の一部と、ダイパッド511に繋がるリード513の一部とが露出するように、エポキシ樹脂等の封止材530で封止される。封止材530から露出するリード512の一部及びリード513の一部等が、電子装置500Aの端子として機能する。
【0187】
電子装置500Aでは、リードフレーム510のダイパッド511と、半導体装置520の負荷電極521との接合に、接合層30が用いられる。接合層30は、ダイパッド511と負荷電極521との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、ダイパッド511と負荷電極521とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0188】
電子装置500Aにおいて、リードフレーム510は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、そのダイパッド511は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置520は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その負荷電極521は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0189】
接合層30を用いたダイパッド511と負荷電極521との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、ダイパッド511と負荷電極521とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、ダイパッド511と負荷電極521とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0190】
また、
図9(B)に示す電子装置500Bは、上記のようなワイヤ540に代えて、クリップ550が用いられた構成を有する。クリップ550は、一端部550aが接合層30を用いて半導体装置520の負荷電極522と接合され、他端部550bが接合層30を用いてリードフレーム510のリード512と接合される。尚、ここでは図示を省略するが、半導体装置520の制御電極523も同様に、ダイパッド511と分離された所定のリードに、別のクリップで接続される。電子装置500Bは、このような構成を有する点で、上記
図9(A)に示した電子装置500Aと相違する。
【0191】
電子装置500Bにおいて、クリップ550が接続される半導体装置520及びリードフレーム510は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、それらの負荷電極522及びリード512は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。クリップ550は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その一端部550a及び他端部550bは、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0192】
接合層30を用いたクリップ550の接合では、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、クリップ550を、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、クリップ550を強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0193】
[第7実施形態]
図10は第7実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図10(A)及び
図10(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0194】
図10(A)に示す電子装置600Aは、2枚の回路基板610及び回路基板620を含む。回路基板610及び回路基板620には、各種回路基板を用いることができる。回路基板610と回路基板620とは、互いに同種の回路基板であってもよいし、互いに異種の回路基板であってもよい。例えば、回路基板610と回路基板620とは、いずれもプリント基板であってもよい。回路基板610と回路基板620とは、一方がパッケージ基板、他方がインターポーザ基板といった組み合わせであってもよいし、一方がマザーボード、他方がパッケージ基板やインターポーザ基板といった組み合わせであってもよい。
【0195】
回路基板610及び回路基板620は、互いの対応する位置に、それぞれ電極611及び電極621を有する。電極611及び電極621はそれぞれ、回路基板610及び回路基板620に設けられる配線層(図示せず)と電気的に接続される。電極611及び電極621には、銅、金等の金属材料が用いられる。対向する電極611と電極621とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極611と電極621との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極611と電極621とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0196】
電子装置600Aにおいて、回路基板610は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極611は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。回路基板620は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極621は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0197】
接合層30を用いた電極611と電極621との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極611と電極621とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極611と電極621とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0198】
また、
図10(B)に示す電子装置600Bは、回路基板610と接合される回路基板として、フレキシブル基板630が用いられた構成を有する点で、上記
図10(A)に示した電子装置600Aと相違する。
【0199】
フレキシブル基板630は、回路基板610に電極611と共に設けられる電極612と対応する位置に、電極631を有する。電極612及び電極631はそれぞれ、回路基板610及びフレキシブル基板630に設けられる配線層(図示せず)と電気的に接続される。電極612及び電極631には、銅、金等の金属材料が用いられる。対向する電極612と電極631とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極612と電極631との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極612と電極631とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0200】
電子装置600Bにおいて、回路基板610は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極612は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。フレキシブル基板630は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極631は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0201】
接合層30を用いた電極612と電極631との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極612と電極631とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極612と電極631とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0202】
[第8実施形態]
図11は第8実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図11には、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0203】
図11に示す電子装置700は、回路基板710、回路基板720及び半導体装置740を含む。電子装置700は更に、熱界面材料(Thermal Interface Material;TIM)750、ヒートシンク760、プレート770及びばね付きねじ780を含む。
【0204】
回路基板710及び回路基板720には、例えば、プリント基板が用いられる。一例として、回路基板710はマザーボードであり、回路基板720はパッケージ基板である。回路基板710及び回路基板720は、互いの対応する位置に、それぞれ電極711及び電極721を有する。電極711及び電極721はそれぞれ、回路基板710及び回路基板720に設けられる配線層(図示せず)と電気的に接続される。電極711及び電極721には、銅、金等の金属材料が用いられる。対向する電極711と電極721とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極711と電極721との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極711と電極721とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0205】
半導体装置740には、例えば、半導体チップ又は半導体パッケージが用いられる。半導体装置740は、回路基板720の電極722と対応する位置に、電極741を有する。電極741は、半導体装置740に設けられる素子又は集積回路(図示せず)と電気的に接続される。電極741には、銅、金等の金属材料が用いられる。対向する電極741と電極722とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極741と電極722との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極741と電極722とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0206】
半導体装置740の、回路基板720側とは反対側に、TIM750を介してヒートシンク760が設けられる。
図11には一例として、複数のフィン761を備えるヒートシンク760を例示している。尚、このようなフィン761を備えるヒートシンク760に代えて、内部に液体冷媒又は気体冷媒の流路を備える冷媒流通式のヒートシンクが設けられてもよい。ヒートシンク760には、良好な熱伝導性を有する材料、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料が用いられる。半導体装置740は、TIM750を介してヒートシンク760と熱的に接続される。
【0207】
ヒートシンク760は、貫通孔762を有する。回路基板710は、ヒートシンク760の貫通孔762と対応する位置に、貫通孔712を有する。回路基板710の、回路基板720側とは反対側には、回路基板710の貫通孔712と対応する位置にねじ穴771を有するプレート770が設けられる。ヒートシンク760の貫通孔762及び回路基板710の貫通孔712に、ばね付きねじ780が挿通され、ばね付きねじ780の先端部がプレート770のねじ穴771に螺合される。これにより、回路基板710及びそれに実装された回路基板720、並びに、その回路基板720に実装された半導体装置740が、ばね付きねじ780で接続されるヒートシンク760とプレート770との間に挟まれて固定される。
【0208】
尚、電子装置700の回路基板720には、例えば、電子装置700と他の電子装置との電気的な接続のために、更に別の回路基板が接合されてもよい。例えば、このような回路基板として、フレキシブル基板730が接合されてもよい。この場合、回路基板720には、電極723が更に設けられる。フレキシブル基板730には、回路基板720の電極723と対応する位置に、電極731が設けられる。電極723及び電極731はそれぞれ、回路基板720及びフレキシブル基板730に設けられる配線層(図示せず)と電気的に接続される。電極723及び電極731には、銅、金等の金属材料が用いられる。対向する電極723と電極731とが、上記のような接合層30を用いて接合される。接合層30は、電極723と電極731との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極723と電極731とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0209】
電子装置700において、回路基板710は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極711は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。回路基板720は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極721は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0210】
或いは、電子装置700において、回路基板720は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極722は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。半導体装置740は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極741は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0211】
また、電子装置700において、フレキシブル基板730が接合される場合には、回路基板720は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極723は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。フレキシブル基板730は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その電極731は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0212】
接合層30を用いた電極711と電極721との接合、及び、電極722と電極741との接合、或いは更に電極723と電極731との接合では、それらをろう接する場合や直接接合する場合に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極711と電極721、電極722と電極741、及び、電極723と電極731を、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極711と電極721、電極722と電極741、及び、電極723と電極731を強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0213】
[第9実施形態]
図12は第9実施形態に係る電子装置の例について説明する図である。
図12(A)及び
図12(B)にはそれぞれ、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0214】
図12(A)に示す電子装置800Aは、回路基板810と、回路基板810に実装されたチップ部品820とを含む。
回路基板810には、プリント基板等の各種回路基板が用いられる。回路基板810は、電極811を有する。電極811は、回路基板810に設けられる配線層(図示せず)と電気的に接続される。電極811には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0215】
チップ部品820には、積層セラミックコンデンサ、固体電池等の各種チップ部品が用いられる。チップ部品820は、その内部に設けられる内部電極(図示せず)と電気的に接続される外部電極821を有する。電極821には、銀、スズ、ニッケル等の金属材料が用いられる。回路基板810の電極811は、チップ部品820の外部電極821と対応する位置に設けられる。
【0216】
電子装置800Aにおける、回路基板810の電極811と、チップ部品820の外部電極821との接合に、上記のような接合層30が用いられる。接合層30は、電極811と外部電極821との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極811と外部電極821とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0217】
電子装置800Aにおいて、回路基板810は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極811は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。チップ部品820は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、その外部電極821は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0218】
接合層30を用いた電極811と外部電極821との接合では、それらをろう接する場合等に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極811と外部電極821とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極811と外部電極821とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0219】
また、
図12(B)に示す電子装置800Bは、回路基板830と、回路基板830に実装されたリード部品840とを含む。
回路基板830には、プリント基板等の各種回路基板が用いられる。回路基板830は、電極831と、電極831に通じる貫通孔832とを有する。電極831には、銅、金等の金属材料が用いられる。
【0220】
リード部品840には、抵抗、コンデンサ、インダクタ等のほか、トランジスタ等の各種リード部品が用いられる。リード部品840は、端子として機能するリード841を有する。リード841には、銅、金、アルミニウム、ステンレス等の金属材料が用いられる。回路基板830の貫通孔832は、リード部品840のリード841に対応する位置に設けられる。
【0221】
リード部品840は、そのリード841が回路基板830の貫通孔832に挿入されて折り曲げられ、回路基板830の電極831と接合される。回路基板830の電極831と、リード部品840のリード841との接合に、上記のような接合層30が用いられる。接合層30は、電極831とリード841との間に、nmオーダーといった薄い膜厚で設けられ、電極831とリード841とは、当該接合層30を介して電気的に接続される。
【0222】
電子装置800Bにおいて、回路基板830は、上記第1実施形態で述べた電子部品10(第1電子部品)の一形態であり、その電極831は、上記第1実施形態で述べた導体部12(第1導体部)の一形態である。リード部品840は、上記第1実施形態で述べた電子部品20(第2電子部品)の一形態であり、そのリード841は、上記第1実施形態で述べた導体部22(第2導体部)の一形態である。
【0223】
接合層30を用いた電極831とリード841との接合では、それらをろう接する場合等に比べて、接合時の温度、雰囲気又は加圧力について、プロセス負荷を抑えることができる。接合層30によれば、電極831とリード841とを、接合時のプロセス負荷を抑えて接合することができる。接合層30は、nmオーダーといった薄い膜厚とすることができる。薄い膜厚の接合層30によって、電極831とリード841とを強固に接合し、且つ、電気的に接続することができる。
【0224】
以上、第1実施形態及び第2から第9実施形態で述べたように、接合層30は、各種電子部品群の導体部同士の接合、即ち、電気的な接続に適用することができる。
【符号の説明】
【0225】
1、100A、100B、200A、200B、400A、400B、500A、500B、600A、600B、700、800A、800B 電子装置
2 電気接続
10、20 電子部品
11、21、111、121、131、141、151、161 本体
12、22 導体部
12a、22a 表面
22b 凹部
22c 凸部
30 接合層
31、32 官能基
33 主鎖
110、130、211、221、610、620、710、720、810、830 回路基板
112、122、132、142a、142b、152a、152b、162、211a、211b、212a、215、221a、221b、221c、611、612、621、631、711、721、722、723、731、741、811、821、831 電極
120、140、150、160、210、220、230、240、310、320、340、420、520、740 半導体装置
143、153、214 貫通電極
212、222 半導体チップ
213、223、450、530 封止材
224 接着材
225、460、461、462、540 ワイヤ
300、330 ウェハ
311、341 スクライブライン
410 絶縁回路基板
411 絶縁基板
412、413 導体層
421、422、521、522 負荷電極
423、523 制御電極
430 ベース板
440 ケース
441 端子
470、471、472、550 クリップ
470a、471a、472a、550a 一端部
470b、471b、472b、550b 他端部
480 接合層
510 リードフレーム
511 ダイパッド
512、513、841 リード
630、730 フレキシブル基板
712、762、832 貫通孔
750 TIM
760 ヒートシンク
761 フィン
770 プレート
771 ねじ穴
780 ばね付きねじ
820 チップ部品
821 外部電極
840 リード部品
T1 膜厚