(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164405
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H01L23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079853
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 克己
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA30
5F136BC05
5F136BC06
5F136DA27
5F136EA13
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA52
5F136FA53
5F136FA54
5F136FA63
5F136GA12
(57)【要約】
【課題】半導体装置の絶縁性を維持して、放熱性を向上する。
【解決手段】半導体装置は、上面23bを含む放熱ベース23と、配置領域22b1が設定されたおもて面22bとおもて面22bの反対側の裏面22aとを含み、裏面22aが放熱ベース23の上面23bに配置される絶縁層22と、裏面20aを含み、裏面20aが絶縁層22の配置領域22b1に配置される回路導電層20と、を含む回路基板2を含んでいる。この際、絶縁層22の配置領域22b1における第1厚さH1が、絶縁層22の配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3の第2厚さH2より薄い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を含む放熱ベースと、
配置領域が設定された第1おもて面と前記第1おもて面の反対側の第1裏面とを含み、前記第1裏面が前記放熱ベースの前記上面に配置される絶縁層と、
第2裏面を含み、前記第2裏面が前記絶縁層の前記配置領域に配置される導電層と、
を含み、
前記絶縁層の前記配置領域における第1厚さが、前記絶縁層の前記配置領域以外の部分の第2厚さより薄い、
半導体装置。
【請求項2】
前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記配置領域に対向する対向領域との少なくとも一方が前記絶縁層に向かって凸状に突出する突出部を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
側面視で、前記放熱ベースの前記対向領域の平面方向の両端部の第3端部は、前記導電層の前記平面方向の両端部の第2端部よりも内側に設けられている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記対向領域との少なくとも一方の前記突出部は、前記絶縁層に向かって湾曲する湾曲面状の頂点を含む山型を成している、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記突出部が少なくとも前記放熱ベースの前記対向領域に含まれており、
前記対向領域に含まれる前記突出部の外周面は、前記第3端部で前記対向領域に接続され、前記上面に対して所定の立ち上がり角度で立ち上がっている、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記立ち上がり角度の最大値は、
側面視で、前記導電層の前記第2端部を中心として前記第2厚さを半径とする円の前記絶縁層内の円周部分に対して前記突出部の前記外周面が接する際の角度である、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1厚さは、前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記対向領域との少なくとも一方の前記突出部の前記頂点と前記頂点から前記導電層の前記第2裏面または前記放熱ベースの前記対向領域への最短距離である、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1厚さは、前記第2厚さの0.5倍以上、1.0倍未満である、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1厚さは、前記第2厚さの0.8倍以上である、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2厚さは、0.12mm以上、0.2mm以下である、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2厚さは、0.15mm以下である、
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記導電層は、前記第2裏面の反対側の第2おもて面を含み、
前記導電層の前記第2おもて面に配置される回路部品をさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記回路部品は、半導体チップ、または、接続端子である、
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記絶縁層は、樹脂を主成分として構成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記絶縁層は、フィラーを含んでいる、
請求項14に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、ベース基板とベース基板上に設けられた樹脂層と樹脂層上に形成された複数の回路導電層とを含んでいる。半導体装置は、さらに、複数の回路導電層に含まれる所定の回路導電層に半導体チップが設けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、半導体装置は、ベース基板とベース基板上に設けられた樹脂層と樹脂層上に内端部側が接合され、外端部が外部に延伸する外部接続端子とを含んでいる(例えば、特許文献2)。半導体装置は、さらに、外部接続端子の内端部側の上に半導体チップが設けられている(例えば、特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-132080号公報
【特許文献2】国際公開第2005/094144号
【特許文献3】特開2022-037739号公報
【特許文献4】特開2018-088558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、絶縁性が維持され、放熱性が向上された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、上面を含む放熱ベースと、配置領域が設定された第1おもて面と前記第1おもて面の反対側の第1裏面とを含み、前記第1裏面が前記放熱ベースの前記上面に配置される絶縁層と、第2裏面を含み、前記第2裏面が前記絶縁層の前記配置領域に配置される導電層と、を含み、前記絶縁層の前記配置領域における第1厚さが、前記絶縁層の前記配置領域以外の部分の第2厚さより薄い、半導体装置を提供する。
【0007】
また、前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記配置領域に対向する対向領域との少なくとも一方が前記絶縁層に向かって凸状に突出する突出部を含んでよい。
【0008】
また、側面視で、前記放熱ベースの前記対向領域の平面方向の両端部の第3端部は、前記導電層の前記平面方向の両端部の第2端部よりも内側に設けられてよい。
また、前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記対向領域との少なくとも一方の前記突出部は、前記絶縁層に向かって湾曲する湾曲面状の頂点を含む山型を成してよい。
【0009】
また、前記突出部が少なくとも前記放熱ベースの前記対向領域に含まれており、前記対向領域に含まれる前記突出部の外周面は、前記第3端部で前記対向領域に接続され、前記上面に対して所定の立ち上がり角度で立ち上がってよい。
【0010】
また、前記立ち上がり角度の最大値は、側面視で、前記導電層の前記第2端部を中心として前記第2厚さを半径とする円の前記絶縁層内の円周部分に対して前記突出部の前記外周面が接する際の角度であってよい。
【0011】
また、前記第1厚さは、前記導電層の前記第2裏面と前記放熱ベースの前記上面の前記対向領域との少なくとも一方の前記突出部の前記頂点と前記頂点から前記導電層の前記第2裏面または前記放熱ベースの前記対向領域への最短距離であってよい。
【0012】
また、前記第1厚さは、前記第2厚さの0.5倍以上、1.0倍未満であってよい。
また、前記第1厚さは、前記第2厚さの0.8倍以上であってよい。
また、前記第2厚さは、0.12mm以上、0.2mm以下であってよい。
【0013】
また、前記第2厚さは、0.15mm以下であってよい。
また、前記導電層は、前記第2裏面の反対側の第2おもて面を含み、前記導電層の前記第2おもて面に配置される回路部品をさらに含んでよい。
【0014】
また、前記回路部品は、半導体チップ、または、接続端子であってよい。
また、前記絶縁層は、樹脂を主成分として構成されてよい。
また、前記絶縁層は、フィラーを含んでよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0016】
開示の技術によれば、絶縁性を維持して、放熱性を向上して、信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】実施の形態の半導体装置の要部の断面図である。
【
図4】実施の形態の半導体装置の要部の平面図である。
【
図5】実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態の半導体装置に含まれる放熱ベースの放熱突出部を説明するための図である。
【
図7】実施の形態(変形例1)の半導体装置の要部の第1断面図である。
【
図8】実施の形態(変形例1)の半導体装置の要部の第2断面図である。
【
図9】実施の形態(変形例2)の半導体装置の断面図である。
【
図10】実施の形態(変形例2)の半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。
【0019】
[実施の形態]
実施の形態の半導体装置について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態の半導体装置の断面図であり、
図2は、実施の形態の半導体装置の平面図である。なお、
図1は、
図2の一点鎖線Y-Yのおける断面図である。一点鎖線Y-Yは半導体装置1の長手方向に平行であって、対向する一対の短辺の中心を通る。また、
図2は、半導体装置1の封止部材53を除いた平面図である。
【0020】
半導体装置1は、半導体ユニット3と、半導体ユニット3を収納するケース30と、を含んでいる。また、半導体装置1は、ケース30内に収納されている半導体ユニット3のおもて面側を封止する封止部材53を含んでいる。
【0021】
半導体ユニット3は、回路基板2と回路基板2に設けられた半導体チップ40とを含んでいる。回路基板2は、回路導電層20,21a,21bと絶縁層22と放熱ベース23とを有している。
【0022】
回路導電層20,21a,21bは、絶縁層22のおもて面22b(
図3を参照)に形成されている。このような回路導電層20,21a,21bは、導電性に優れた金属により構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されてよい。回路導電層20,21a,21bは、例えば、絶縁層22のおもて面22bに形成された導電層をエッチングして形成されてよい。または、予め導電層から形成された回路導電層20,21a,21bを絶縁層22のおもて面22bに貼り合わせてよい。回路導電層20には半導体チップ40が接合部材52を介して接合される。回路導電層20,21a,21bは所定の回路の一部を構成する。なお、
図1及び
図2に示す回路導電層20,21a,21bはあくまで一例である。回路導電層の個数、形状、形成位置は所望の機能に応じて適宜選択されてよい。なお、回路導電層20,21a,21bの厚さは、半導体装置1の電流容量によるものの、例えば、0.1mm以上であって、0.5mm以上であることが好ましい。
【0023】
なお、接合部材52は、例えば、はんだまたは金属焼結体が用いられてよい。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。金属焼結体で用いられる焼結材は、例えば、銀、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タングステン、モリブデンまたはこれらのいずれかを含む合金の粉末である。
【0024】
絶縁層22のおもて面22bの所定領域に回路導電層20,21a,21bが形成されている。絶縁層22は、例えば、シート状を成し、熱抵抗が低く、絶縁性が高い樹脂により構成されてよい。このような樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂である。これらの樹脂には、熱伝導性フィラーが含有されていてよい。熱伝導性フィラーを含むことで、絶縁層22の熱抵抗をより低減でき、放熱ベース23との熱膨張係数の差が小さくなる。このような熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂のうちの少なくとも1種が用いられる。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂のうちの少なくとも1種が用いられる。熱伝導性フィラーは、例えば、酸化物、窒化物のうち少なくとも1種が用いられてよい。酸化物は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウムが挙げられる。窒化物は、例えば、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が挙げられる。窒化物は、六方晶窒化ホウ素でもよい。
【0025】
このような絶縁層22の厚さは、半導体装置1の定格電圧に依存する。すなわち、半導体装置1の定格電圧が高いほど、絶縁層22の厚さを増加させて絶縁性を高めることが望まれる。一方で、絶縁層22をできる限り薄くして、熱抵抗を下げることも望まれる。このような絶縁層22の厚さは、例えば、0.05mm以上、0.5mm以下である。好ましくは、0.12mm以上、0.2mm以下であって、さらに、好ましくは、0.15mm以下である。
【0026】
放熱ベース23は下面23aと上面23bとを含み、上面23bの全面に絶縁層22が形成されている。放熱ベース23は、熱伝導性に優れた金属により構成されている。金属は、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの1種を含む合金である。合金の例として、金属複合材が挙げられる。金属複合材は、例えば、アルミニウム-窒化珪素(Al-SiC)、マグネシウム-窒化珪素(Mg-SiC)が挙げられる。なお、放熱ベース23の厚さは、1mm以上、10mm以下である。
【0027】
なお、回路基板2の詳細については後述する。また、回路基板2を含むケース30の裏面に冷却ユニット(図示を省略)を接合部材を介して取り付けることができる。これにより、半導体装置1の放熱性を向上させることができる。ここで用いられる接合部材は、例えば、ろう材、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。サーマルインターフェースマテリアルは、接着剤である。接着剤は、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材を含む。また、冷却ユニットは、例えば、熱伝導性に優れた金属により構成される。金属は、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの1種を含む合金である。また、冷却ユニットは、例えば、1以上のフィンを備えるヒートシンクまたは水冷による冷却装置が挙げられる。
【0028】
半導体チップ40は、シリコンから構成されるパワーデバイス素子を含んでいる。パワーデバイス素子は、例えば、RC(Reverse-Conducting)-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。RC-IGBTは、スイッチング素子であるIGBTとダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)との機能を合わせ持つ。このような半導体チップ40のおもて面には制御電極(ゲート電極)及び主電極である出力電極(エミッタ電極)を備えている。半導体チップ40の裏面には主電極である入力電極(コレクタ電極)を備えている。なお、制御電極は、例えば、半導体チップ40のおもて面の一辺側に沿って(または一辺側の中央部に)設けられてよい。出力電極は、半導体チップ40のおもて面の中央部に設けられてよい。入力電極は、半導体チップ40の裏面の中央部を含んで設けられてよい。
【0029】
また、半導体チップ40は、RC-IGBTに代わり、一組のスイッチング素子を含む半導体チップ及びダイオード素子を含む半導体チップを用いてよい。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。このような半導体チップは、例えば、裏面に主電極として入力電極(ドレイン電極、または、コレクタ電極)を、おもて面に、制御電極(ゲート電極)及び主電極である出力電極(ソース電極、または、エミッタ電極)をそれぞれ備えている。ダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオードであって、これらがFWDとして用いられる。このような半導体チップは、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。
【0030】
また、半導体チップは40、スイッチング素子としてパワーMOSFETを含んでよい。この半導体チップ40では、パワーMOSFETのボディダイオードが、RC-IGBTのFWDと同様の機能を果たしてよい。このような半導体チップ40は、おもて面に、制御電極(ゲート電極)、及び、主電極である出力電極(ソース電極)をそれぞれ備えている。半導体チップは、裏面に主電極である入力電極(ドレイン電極)を備えている。このような半導体チップ40は、好ましくは炭化シリコンで構成されていてよい。
【0031】
半導体チップ40の裏面が絶縁層22の所定の回路導電層20に接合部材52により接合される。回路導電層20は回路導電層21aにワイヤ35bにより接続されてよい。半導体チップ40のおもて面の出力電極は回路導電層21aにワイヤ35cにより接続されてよい。
【0032】
なお、ワイヤ35b,35c(並びに後述するワイヤ35a,35d)は、導電性に優れた金属により構成されている。金属は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されてよい。
【0033】
なお、
図1及び
図2に示す回路基板2上に1つの半導体チップ40を配置した場合を例示している。この一例の場合に限らずに、適宜設計により複数の半導体チップ40を配置してもよい。また、ワイヤ35b,35c(並びに後述するワイヤ35a,35d)に代わって、リードフレーム、リボンでもよい。
【0034】
ケース30は、枠部31と枠部31内に一体的に設けられた外部接続端子34a,34bとを有している。ケース30は、熱可塑性樹脂を用いた出射成形により外部接続端子33,34を一体的に含んだ枠部31が構成されている。なお、ここで用いられる樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂が挙げられる。
【0035】
枠部31は、平面視で、矩形状を成して四方を取り囲む側壁31a~31dを含む。なお、側壁31a,31cは枠部31の長辺に対応して長手方向に平行を成し、側壁31b,31dは枠部31の短辺に対向して短手方向に平行を成す。
【0036】
枠部31は上面に上部開口部33aが形成されている。側壁31a~31dの内側の+Z方向側に内壁31e~31gを含んでいる。上部開口部33aの四方が内壁31e~31gにより順に囲まれている。
【0037】
さらに、内壁31f,31gには、段差部32がそれぞれ形成されている。内壁31fに形成されている段差部32は段差面32aと段差裏面32bと最内壁31iを含んでいる。段差面32aはX-Y面に平行であって、内壁31e,31gを接続し、内壁31fから内壁31gに向かって突出している。最内壁31iは、段差部32の先端部に位置して内壁31hに平行を成して段差面32aに接続されている。段差裏面32bは、段差面32aの反対側であって、最内壁31iに接続されている。内壁31fに形成されている段差部32は段差面32aと段差裏面32bと最内壁31iを含んでいる。段差面32a及び段差裏面32bは既述の通りである。最内壁31iは、段差部32の先端部に位置して内壁31fに平行を成して段差面32aに接続されている。
【0038】
枠部31は下面に下部開口部33bが形成されている。下部開口部33bは、段差部32の最内壁31iと内壁31e,31gとで囲まれる領域を通じて上部開口部33aに接続している。
【0039】
外部接続端子34a,34bは、側面視でL字状を成し、枠部31に一体成形されている。外部接続端子34a,34bの内端部は、段差部32の段差面32aに表出されている。外部接続端子34a,34bの外端部は、側壁31a,31cに平行を成して、枠部31のおもて面から鉛直上方に延伸している。このような外部接続端子34a,34bは、導電性に優れた金属により構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されてよい。
【0040】
このようなケース30(枠部31)の下部開口部33bに回路基板2が取り付けられている。回路基板2は、絶縁層22のおもて面22bが段差部32の段差裏面32bに当接するように下部開口部33bに取り付けられている。回路基板2は、下部開口部33bに接着剤51により接合される。回路基板2は、枠部31の段差部32の最内壁31iと内壁31e,31gとで囲まれる領域から絶縁層22の一部と回路導電層20,21a,21bと半導体チップ40とが表出される。なお、接着剤51は、耐熱性及び吸水率が低い材質を主成分として構成されている。このような材質は、例えば、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0041】
また、回路導電層21aと外部接続端子34aとがワイヤ35aにより電気的に接続されている。回路導電層21bと外部接続端子34bとがワイヤ35dにより電気的に接続されている。
【0042】
ケース30(枠部31)の上部開口部33aに封止部材53が充填されている。これにより、上部開口部33a内の絶縁層22、回路導電層20,21a,21b、半導体チップ40、ワイヤ35a~35dが封止部材53により封止されている。封止部材53は、熱硬化性樹脂と当該熱硬化性樹脂に含有されている無機物フィラーとを含んでいる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂を含む群から選択される少なくとも1種を主成分とする。好ましくは、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を主成分とする。また、無機物フィラーには、酸化珪素を主成分とする無機物が用いられる。また、ハロゲン系、アンチモン系、水酸化金属系等の難燃剤を配合することなく、高い難燃性を保つことができる。無機物フィラーは、封止原料全体の70vol%以上、90vol%以下である。
【0043】
次に、回路基板2の詳細について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態の半導体装置の要部の断面図であり、
図4は、実施の形態の半導体装置の要部の平面図である。なお、
図3は、
図1の破線で囲んだ範囲Aを拡大して示している。
図4は、
図1の破線で囲んだ範囲Aを-Z方向に見た場合を拡大して示している。また、
図3及び
図4は、封止部材53の図示を省略している。
【0044】
図3及び
図4に示される範囲Aは、半導体チップ40と半導体チップ40が配置されている回路導電層20と絶縁層22と放熱ベース23とを含んでいる。なお、放熱ベース23は、上面23bを含んでいる。絶縁層22は、裏面22aとおもて面22bとを含んでいる。絶縁層22の裏面22aは放熱ベース23の上面23bに配置される。回路導電層20は、裏面20aとおもて面20bとを含んでいる。回路導電層20の裏面20aが絶縁層22のおもて面22bに配置されている。回路導電層20のおもて面20bに半導体チップ40が接合部材52を介して接合されている。
【0045】
また、絶縁層22のおもて面22bにおいて、回路導電層20が配置される領域を配置領域22b1、配置領域22b1の外側の領域を外側領域22b2,22b3とする。さらに、回路導電層20の配置領域22b1と外側領域22b2,22b3との境界点を端部b1,b2とする。すなわち、端部b1,b2の間の長さLbは、回路導電層20の±X方向の幅に対応する。回路導電層20の平面視の形状は矩形状を成している。
【0046】
また、放熱ベース23の上面23bにおいて、回路導電層20を挟んで半導体チップ40が対向する領域を対向領域23b1とする。さらに、放熱ベース23の上面23bの対向領域23b1の両端を端部a1,a2とする。すなわち、端部a1,a2の間の長さLaは、半導体チップ40の±X方向の幅に対応する。なお、回路基板2は、側面視で、放熱ベース23の対向領域23b1の±X方向(平面方向)の両端部の端部a1,a2は、回路導電層20の同方向の両端部の端部b1,b2よりも内側に設けられている。すなわち、長さLaは長さLbよりも短い。
【0047】
このような回路基板2では、絶縁層22の配置領域22b1における第1厚さH1が、絶縁層22の配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3の第2厚さH2より薄くなっている。つまり、絶縁層22は、半導体チップ40に対応する配置領域22b1の厚さが薄くなることで半導体チップ40からの熱が伝わりやすくなる。さらに、絶縁層22は、配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3に対応する部分の厚さは一定に保たれているため、絶縁性が維持される。
【0048】
特に、ここでは、回路導電層20の裏面20aと、放熱ベース23の上面23bの配置領域22b1に対向する対向領域23b1とは、絶縁層22に向かって凸状にそれぞれ突出する導電突出部20c及び放熱突出部23cが形成されている。
【0049】
導電突出部20c及び放熱突出部23cは、絶縁層22に向かって湾曲する湾曲面状の頂点b3,a3を含む山型を成している。言い換えると、導電突出部20c及び放熱突出部23cの外形は頂点b3,a3を頂点とするボウル型を成している。この際の導電突出部20c及び放熱突出部23cの最も近接する頂点b3,a3の±Z方向の最短距離が第1厚さH1である。
【0050】
第1厚さH1は、回路導電層20の裏面20aに形成された導電突出部20cの頂点b3から裏面20aに対向する放熱ベース23の対向領域23b1までの最短距離である。また、第1厚さH1は、放熱ベース23の対向領域23b1に形成された放熱突出部23cの頂点a3から対向領域23b1に対向する回路導電層20の配置領域22b1までの最短距離である。
【0051】
図3では導電突出部20cの頂点b3と放熱突出部23cの頂点a3とが±Z方向に平行な直線上にある(対向している)場合を示している。このため、導電突出部20cの頂点b3と放熱突出部23cの頂点a3との距離が第1厚さH1である。第1厚さH1は、第2厚さH2の0.5倍以上、好ましくは、0.8倍以上であって、1.0倍未満である。絶縁層22の第1厚さH1がこのような厚さの範囲である場合に、絶縁層22の配置領域22b1における絶縁性を維持しつつ、熱抵抗を低下させることができる。
【0052】
なお、第1厚さH1が第2厚さH2の0.5倍未満である場合、絶縁層22の第1厚さH1の部分に十分な量のフィラーが包含されにくくなる。これを解決するためには、絶縁層22に含有されるフィラー全体の量を制限しなくてはならない。フィラーの量が制限された絶縁層22は熱伝導性が低下してしまう。絶縁層22の第1厚さH1の部分は一定の熱伝導性が維持されるものの、第2厚さH2の部分の熱抵抗が上昇してしまう。このため、第1厚さH1が第2厚さH2の0.5倍以上であることを要する。
【0053】
なお、導電突出部20cの頂点b3と放熱突出部23cの頂点a3とが対向していない場合は、導電突出部20cの頂点b3から放熱ベース23の対向領域23b1に対する最短距離と、放熱突出部23cの頂点a3から回路導電層20の裏面20aに対する最短距離との短い方を第1厚さH1とする。
【0054】
また、導電突出部20cは、平面視で、例えば、回路導電層20に対応する矩形状を成してよい。放熱突出部23cは、平面視で、例えば、半導体チップ40の外形に内接するような円形状(または、楕円形状)であってよい。これらの平面視の形状は一例である。平面視で、導電突出部20cが放熱突出部23cを取り囲むようなサイズであれば、導電突出部20cは円形状(または、楕円形状)であってもよく、また、放熱突出部23cは矩形状であってもよい。
【0055】
次に、半導体装置1の製造方法について、
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。まず、半導体装置1の構成部品を用意する用意工程(ステップS1)を行う。ここで用意される構成部品は、例えば、半導体チップ40、ケース30、回路導電層20,21a,21b用の導電層、絶縁層22、放熱ベース23用のベース板、封止部材53の原料が挙げられる。ここに挙げる構成部品以外でも必要なものが用意される。また、半導体装置1の製造に用いられる製造装置も用意してよい。製造装置とは、例えば、ボンディング装置、封止部材の封止装置が挙げられる。
【0056】
次いで、回路基板2を製造するにあたり、まず、回路導電層20並びに放熱ベース23に含まれることになる導電突出部20c及び放熱突出部23cを形成する突出部形成工程(ステップS2)を行う。導電層及びベース板に対してプレス金型をそれぞれ用いて凸部をそれぞれ形成する。この際、導電層に対して回路導電層20となりえる複数の箇所にそれぞれ凸部を形成する。また、ベース板に対して放熱ベース23となりえる複数の箇所にそれぞれ凸部を形成する。
【0057】
続けて、回路基板2を製造するに当たり、ステップS2で導電突出部、放熱突出部がそれぞれ形成された導電層、ベース板に絶縁層を介して積層する積層工程(ステップS3)を行う。この際、ベース板は、放熱突出部23cが形成された面を上に向けて、その上に絶縁層を配置する。導電層は、導電突出部20cが形成された面を下に向けて、それを絶縁層上に配置する。このように積層したものに対して加熱並びに積層方向に加圧することでそれぞれを圧着させる。このような圧着は、活性化ガス雰囲気中または真空中で行われる。
【0058】
続けて、回路基板2を製造するに当たり、ステップS3で積層させたものに対して、導電層を加工して回路導電層20,21a,21bを形成し、個片化する加工工程(ステップS4)を行う。ステップS3で積層させた最上層の導電層を所定のパターンに合わせて、感光性レジストマスクでマスキングを行い、エッチングによりパターンを形成し、感光性レジストマスクを除去する。これにより、複数組の回路導電層20,21a,21bが形成される。そして、複数組の回路導電層20,21a,21bごとに個片化することで、複数の回路基板2が得られる。
【0059】
次いで、回路基板2の回路導電層20に半導体チップ40を接合する半導体チップ接合工程(ステップS5)を行う。回路基板2の回路導電層20に、例えば、接合部材52としてはんだを塗布する。加熱してはんだを溶融し、溶融したはんだ上に半導体チップ40を配置する。溶融したはんだを硬化すると、回路基板2の回路導電層20にはんだを介して半導体チップ40が接合する。以上により、半導体チップ40が回路基板2に接合された半導体ユニット3が得られる。
【0060】
次いで、ケース30の下部開口部33bに半導体ユニット3を取り付けて、ケース30に半導体ユニット3を収納する収納工程(ステップS6)を行う。ケース30(枠部31)の下部開口部33bに接着剤51を介して半導体ユニット3の回路基板2を取り付ける。
【0061】
次いで、ケース30に収納された半導体ユニット3に対して配線を行って、半導体ユニット3を封止する封止工程(ステップS7)を行う。ケース30の上部開口部33aから表出される外部接続端子34aの内端部と回路導電層21aとをワイヤ35aで接続し、回路導電層21a,20をワイヤ35bで接続する。さらに、半導体チップ40の出力電極と回路導電層21bとをワイヤ35dで接続し、回路導電層21bと外部接続端子34bの内端部とをワイヤ35dで接続する。ケース30の上部開口部33aに封止部材53を充填して、上部開口部33a内を封止する。以上により、
図1及び
図2に示した半導体装置1が得られる。
【0062】
ここで、放熱ベース23に形成された放熱突出部23cと回路導電層20に形成された導電突出部20cとの詳細について
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態の半導体装置に含まれる放熱ベースの放熱突出部を説明するための図である。なお、
図6は、
図3の端部b1,a1の近傍を拡大して示している。
【0063】
回路基板2は、既述の通り、導電突出部20cを含む回路導電層20と絶縁層22と放熱突出部23cを含む放熱ベース23とを有している。導電突出部20cは、回路導電層20の配置領域22b1に対向する箇所に設けられ、裏面20aが突出している部分である。放熱突出部23cは、放熱ベース23の上面23bの対向領域23b1に設けられている。
【0064】
また、側面視で、放熱ベース23の対向領域23b1の±X方向(平面方向)の端部a1,a2は、回路導電層20の同方向の端部b1,b2よりも内側に設けられている。すなわち、長さLbは長さLaよりも長い。なお、
図6では、端部a1,b1のみを示している。
【0065】
放熱突出部23cの外周面23c1は対向領域23b1の端部a1から所定の立ち上がり角度αで立ち上がっている。放熱突出部23cの外周面23c1は、頂点a3まで上がり、頂点a3を超えると、対向領域23b1の端部a2に向かって傾斜して下る(
図3を参照)。放熱突出部23cの外周面23c1は、対向領域23b1の端部a2には立ち上がり角度αで接続する。放熱突出部23cには、端部a1から、放熱突出部23cの外周面23c1に接して延伸する接線Tが設定されている。なお、図示を省略するものの、放熱突出部23cには、端部a2からも、放熱突出部23cの外周面23c1に接して延伸する接線Tが設定されている。
【0066】
導電突出部20cは、回路導電層20の裏面20aの端部b1から所定の角度で下がっている。導電突出部20cは、
図3に示されるように、頂点b3まで下がり、頂点b3を超えると、裏面20aの端部b2に向かって傾斜して上る。導電突出部20cは、裏面20aの端部b2には所定の角度で接続する。なお、導電突出部20cと放熱突出部23cとは接しないような高さである。
【0067】
特に、放熱突出部23cの接線Tの立ち上がり角度αの最大値は、側面視で、回路導電層20の端部b1(三重点P)を中心として第2厚さH2を半径Dとする円の絶縁層22内の円周部分Cに対して放熱突出部23cの外周面23c1が接する際の角度である。
【0068】
例えば、
図6に示す角度αmが放熱突出部23cの外周面23c1が円周部分Cに接する際の角度である。接線Tの立ち上がり角度αが角度αmよりも大きい場合、回路導電層20の端部b1(三重点P)から放熱突出部23cまでの距離が第2厚さH2よりも短くなってしまう。
【0069】
ところで、三重点Pは、回路導電層20と絶縁層22と封止部材53(
図1を参照)とが集まる点であり、電界が集中しやすい箇所である。このため、放熱突出部23cは、三重点Pから沿面絶縁距離を取っておく必要がある。本実施の形態では、絶縁沿面距離は、第2厚さH2である。
【0070】
接線Tの立ち上がり角度αが角度αmよりも大きい場合には、回路導電層20の端部b1(三重点P)から放熱突出部23cまでの距離が第2厚さH2よりも短くなり、絶縁沿面距離が維持されない。
【0071】
このため、放熱突出部23cの接線Tの立ち上がり角度αは、側面視で、回路導電層20の端部b1を中心として第2厚さH2を半径Dとする円の絶縁層22内の円周部分Cに接しない範囲であることを要する。
【0072】
また、導電突出部20c及び放熱突出部23cは、山型に限らない。導電突出部20c及び放熱突出部23cは、三重点P等からの沿面絶遠距離が維持できれば、例えば、箱型であってもよい。但し、箱型である場合には、角部を含まず、R面取りされていることを要する。角部には、電界が集中しやすく、絶縁破壊の原因となることがある。
【0073】
したがって、上記半導体装置1は、上面23bを含む放熱ベース23と、配置領域22b1が設定されたおもて面22bとおもて面22bの反対側の裏面22aとを含み、裏面22aが放熱ベース23の上面23bに配置される絶縁層22と、裏面20aを含み、裏面20aが絶縁層22の配置領域22b1に配置される回路導電層20と、を含む回路基板2を含んでいる。この際、絶縁層22の配置領域22b1における第1厚さH1が、絶縁層22の配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3の第2厚さH2より薄い。絶縁層22は、半導体チップ40に対応する配置領域22b1の厚さが薄くなることで半導体チップ40からの熱が伝わりやすくなる。さらに、絶縁層22は、配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3に対応する部分の厚さは一定に保たれているため、絶縁性が維持される。このような回路基板2を含む半導体装置1は、絶縁性が維持されて、放熱性が向上して、信頼性の低下が抑制される。
【0074】
なお、本実施の形態では、上記のような回路基板2の回路導電層20に半導体チップ40を配置した半導体装置1を例に挙げて説明している。回路基板2の回路導電層20には半導体チップ40に限らず、発熱するような回路部品が配置されてよい。回路部品は、例えば、配線部材、電子部品であってよい。配線部材は、例えば、外部接続端子、リードフレーム、コンタクト部品が挙げられる。電子部品は、例えば、キャパシタ、制御IC(Integrated Circuit)が挙げられる。
【0075】
(変形例1)
以下、回路基板2の様々な変形例について説明する。まず、変形例1の2種の回路基板について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、実施の形態(変形例1)の半導体装置の要部の第1断面図であり、
図8は、実施の形態(変形例1)の半導体装置の要部の第2断面図である。なお、
図7及び
図8は、半導体装置1の
図3の断面図に対応しており、回路基板2a,2bを示している。
【0076】
図3に示した回路基板2では、回路導電層20に導電突出部20cを、放熱ベース23に放熱突出部23cをそれぞれ形成した場合である。変形例1の回路基板2a,2bでは、放熱ベース23のみに放熱突出部23cを、または、回路導電層20のみに導電突出部20cをそれぞれ形成している。
【0077】
この回路基板2a,2bの場合でも、絶縁層22の配置領域22b1における第1厚さH1が、絶縁層22の配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3の第2厚さH2より薄くなる。絶縁層22は、導電突出部20c及び放熱突出部23cが無い場合と比較して、半導体チップ40からの熱が伝わりやすくなる。さらに、絶縁層22は、配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3に対応する部分の厚さは一定に保たれているため、絶縁性が維持される。このような回路基板2a,2bを含む半導体装置1は、絶縁性が維持されて、放熱性が向上して、信頼性の低下が抑制される。
【0078】
(変形例2)
変形例2では、回路導電層20の導電突出部20cが回路導電層20の裏面20aの±X方向で内側に形成されている場合である。このような回路基板2cについて、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、実施の形態(変形例2)の半導体装置の断面図であり、
図10は、実施の形態(変形例2)の半導体装置の平面図である。なお、
図9及び
図10は、半導体装置1の
図3の断面図及び
図4の平面図にそれぞれ対応している。
【0079】
回路基板2cは、回路導電層20と絶縁層22と放熱ベース23とを含んでいる。絶縁層22及び放熱ベース23は第1の実施の形態と同様である。回路導電層20の裏面20aには導電突出部20cが形成されている。導電突出部20cの端部b11,b21は、回路導電層20の端部b1,b2よりも(±X方向の)内側であって、半導体チップ40の端部b12,b22の(±X方向の)外側に位置する。
【0080】
導電突出部20cの端部b11,b21が半導体チップ40の端部b12,b22の(±X方向の)内側に位置する場合、平面視で、導電突出部20cの端部b11,b21間の幅が半導体チップ40の端部b12,b22間の幅よりも小さくなる。この結果、半導体チップ40の放熱性が低下してしまう。このため、導電突出部20cの端部b11,b21は、半導体チップ40の端部b12,b22の(±X方向の)外側に位置することが望まれる。
【0081】
この回路基板2cの場合でも、絶縁層22の配置領域22b1における第1厚さH1が、絶縁層22の配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3の第2厚さH2より薄くなる。絶縁層22は、半導体チップ40からの熱が伝わりやすくなる。さらに、絶縁層22は、配置領域22b1以外の外側領域22b2,22b3に対応する部分の厚さは一定に保たれているため、絶縁性が維持される。このような回路基板2cを含む半導体装置1は、絶縁性が維持されて、放熱性が向上して、信頼性の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0082】
1 半導体装置
2 回路基板
3 半導体ユニット
20,21a,21b 回路導電層
20a 裏面
20b おもて面
20c 導電突出部
22 絶縁層
22a 裏面
22b おもて面
22b1 配置領域
22b2,22b3 外側領域
23 放熱ベース
23a 下面
23b 上面
23b1 対向領域
23c 放熱突出部
23c1 外周面
30 ケース
31 枠部
31a,31b,31c,31d 側壁
31e,31f,31g,31h 内壁
31i 最内壁
32 段差部
32a 段差面
32b 段差裏面
33a 上部開口部
33b 下部開口部
34a,34b 外部接続端子
35a,35b,35c,35d ワイヤ
40 半導体チップ
51 接着剤
52 接合部材
53 封止部材
a1,a2,b1,b2,b11,b12,b21,b22 端部
a3,b3 頂点
H1 第1厚さ
H2 第2厚さ
La 幅
Lb 幅
D 絶縁距離
C 円周
α 立ち上がり角度
T 接線